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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108300
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20240805BHJP
   B65D 21/032 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65D5/52 B
B65D21/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012602
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
(72)【発明者】
【氏名】太田 奈津美
【テーマコード(参考)】
3E006
3E060
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006BA03
3E006CA04
3E006DA03
3E006DB04
3E060AA03
3E060AB18
3E060BB01
3E060CB02
3E060CB13
3E060CC03
3E060CC52
3E060DA07
(57)【要約】
【課題】容易に2つの包装箱を互いに係合させることが可能な包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、複数の壁板10、20、30および40から構成されると共に、隣接する2つの包装箱1を互いに係合させる係合機構100を有する。係合機構100は、壁板40から突出する突部110と、係合の相手である相手側包装箱の突部110の少なくとも一部を収容する凹部120と、から構成され、凹部120は、壁板10および40において、相手側包装箱と対向する外表面と、相手側包装箱とは対向しない外表面と、に亘って開口するように設けられる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁板から構成されると共に、隣接する2つの包装箱を互いに係合させる係合機構を有する包装箱であって、
前記係合機構は、前記壁板から突出する突部と、係合の相手である相手側包装箱の前記突部の少なくとも一部を収容する凹部と、から構成され、
前記凹部は、前記壁板において、前記相手側包装箱と対向する外表面と、前記相手側包装箱とは対向しない外表面と、に亘って開口するように設けられることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
前記凹部は、前記突部の少なくとも一部を収容した状態のまま、前記相手側包装箱との隣接方向と交差する方向に前記相手側包装箱を相対移動させることが可能な形状に構成されることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱において、
前記凹部は、前記突部の前記凹部内に収容された部分の少なくとも一部よりも前記相手側包装箱側において前記隣接方向と交差する方向に延びる対向縁を、前記相手側包装箱とは対向しない外表面における開口の縁に有することを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1に記載の包装箱において、
前記凹部は、前記突部の少なくとも一部を収容した状態のまま、前記相手側包装箱との隣接方向と交差する方向に離隔した第1相対位置と第2相対位置の間で前記相手側包装箱を相対移動させることが可能な形状に構成されることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項4に記載の包装箱において、
前記第1相対位置は、互いに係合する2つの包装箱が整列する位置であり、
前記第2相対位置は、互いに係合する2つの包装箱が相対的にオフセットされる位置であることを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項5に記載の包装箱において、
前記凹部は、前記突部の前記凹部内に収容された部分の少なくとも一部よりも前記相手側包装箱側において前記隣接方向と交差する方向に延びる対向縁を、前記相手側包装箱とは対向しない外表面における開口の縁に有し、
前記対向縁は、前記相手側包装箱が前記第2相対位置にある場合に、前記突部の少なくとも一部と対向するように設けられることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品を収容する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種物品を収容する包装箱として、段ボール等の素材からなる一枚のブランクシートを折り曲げて製函される包装箱が普及している。この包装箱の中には、上部が開口したトレー状のものがある。このようなトレー状の包装箱は、上部が開口していることから、内容物を視認可能であり、且つ内容物を容易に取り出し可能であるため、各種物品の保管や輸送に使用されるだけでなく、店頭にそのまま配置されて陳列棚として使用することも可能となっている。
【0003】
また、このようなトレー状の包装箱の中には、例えば上下に積み重ねられる等した2つの包装箱を互いに係合させる係合機構を有し、隣接する2つの包装箱を相対的に位置決めすると共に、崩落等を防止するようにしたものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-107730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の包装箱の有する係合機構では、素材をコの字状に内方に折り返して形成した外板と内板からなる二重構造の左右壁板(側壁板)の上縁に挿込細孔を設け、この挿込細孔に、左右壁板の下縁に設けた挿入切片を挿入するようにしているため、2つの包装箱を係合させることが困難という問題があった。
【0006】
具体的には、手前側の包装箱によって視界が妨げられた状態で細いスリット状の挿込細孔に挿入切片を挿入することが困難であるだけでなく、一般に挿入切片は左右壁板の外板または内板を部分的に延出させて設けられるところ、挿込細孔は外板と内板の間に挿入切片が挿入されるように設けられることから、挿込細孔への挿入切片の挿入に際しては、挿入切片または包装箱全体を歪ませる必要があり、2つの包装箱の係合がより一層困難なものとなっていた。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑み、容易に2つの包装箱を互いに係合させることが可能な包装箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の包装箱は、複数の壁板から構成されると共に、隣接する2つの包装箱を互いに係合させる係合機構を有する包装箱であって、前記係合機構は、前記壁板から突出する突部と、係合の相手である相手側包装箱の前記突部の少なくとも一部を収容する凹部と、から構成され、前記凹部は、前記壁板において、前記相手側包装箱と対向する外表面と、前記相手側包装箱とは対向しない外表面と、に亘って開口するように設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明の包装箱によれば、前記凹部内への前記突部の挿入方向の自由度を高めると共に、前記凹部内への前記突部の挿入状況を容易に視認することが可能となる。また、例えば素材をコの字状に内方に折り返して形成した外板と内板を有する二重構造の側壁板において、前記外板の例えば上側を部分的に延出させて前記突部を構成すると共に、底壁板の外表面(前記相手側包装箱と対向する外表面)だけでなく側壁板の外表面(前記相手側包装箱と対向しない外表面)においても底壁板から連続して開口するように前記凹部を構成することで、前記突部および前記凹部の前記壁板の厚み方向における位置を容易に略一致させることが可能となる。従って、本発明の包装箱によれば、容易に2つの包装箱を互いに係合させることができる。
【0010】
また、本発明の包装箱において、前記凹部は、前記突部の少なくとも一部を収容した状態のまま、前記相手側包装箱との隣接方向と交差する方向に前記相手側包装箱を相対移動させることが可能な形状に構成されることが好ましい。
【0011】
これによれば、前記凹部に対する前記突部の抜き差し等を必要とせず、2つの包装箱の係合状態を維持したままで両者の相対的な位置関係を容易に変更することが可能となる。すなわち、係合状態における相対的な位置関係によらず、容易に2つの包装箱を互いに係合させることができる。また、これにより、例えば上下に積み重ねた2つの包装箱のうち、上側の包装箱を下側の包装箱に対して後方にオフセットさせて、下側の包装箱の内部を視認し易くすると共に、下側の包装箱から内容物を取り出し易くするのを容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明の包装箱において、前記凹部は、前記突部の前記凹部内に収容された部分の少なくとも一部よりも前記相手側包装箱側において前記隣接方向と交差する方向に延びる対向縁を、前記相手側包装箱とは対向しない外表面における開口の縁に有することが好ましい。
【0013】
これによれば、前記対向縁は前記相手側包装箱とは対向しない外表面における開口の縁に設けられることから、前記対向縁を前記突部のいずれかの部位に対向させることで2つの包装箱の分離を規制しながらも、挿入方向の自由度および挿入状態の視認性が阻害されないようにすることができる。すなわち、係合の容易性が阻害されることなく、より確実に2つの包装箱を互いに係合させることができる。
【0014】
また、本発明の包装箱において、前記凹部は、前記突部の少なくとも一部を収容した状態のまま、前記相手側包装箱との隣接方向と交差する方向に離隔した第1相対位置と第2相対位置の間で前記相手側包装箱を相対移動させることが可能な形状に構成されることが好ましい。
【0015】
これによれば、2つの包装箱の係合状態を維持したままで、両者の相対的な位置関係を容易に変更することが可能となる。すなわち、係合状態における相対的な位置関係によらず、容易に2つの包装箱を互いに係合させることができる。
【0016】
また、本発明の包装箱において、前記第1相対位置は、互いに係合する2つの包装箱が整列する位置であり、前記第2相対位置は、互いに係合する2つの包装箱が相対的にオフセットされる位置であることが好ましい。
【0017】
これによれば、2つの包装箱の係合状態を維持したままで、両者の相対的な位置関係を整列状態とオフセット状態の間で容易に変更することが可能となる。すなわち、係合状態における相対的な位置関係によらず、容易に2つの包装箱を互いに係合させることができる。
【0018】
また、本発明の包装箱において、前記第1相対位置は、互いに係合する2つの包装箱が整列する位置であり、前記第2相対位置は、互いに係合する2つの包装箱が相対的にオフセットされる位置であり、前記凹部は、前記突部の前記凹部内に収容された部分の少なくとも一部よりも前記相手側包装箱側において前記隣接方向と交差する方向に延びる対向縁を、前記相手側包装箱とは対向しない外表面における開口の縁に有し、前記対向縁は、前記相手側包装箱が前記第2相対位置にある場合に、前記突部の少なくとも一部と対向するように設けられることが好ましい。
【0019】
これによれば、2つの包装箱を不安定なオフセット状態(特に、2つの包装箱を上下に積み重ねた場合)としながらも、係合の容易性が阻害されることなく、より確実に2つの包装箱を互いに係合させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の包装箱によれば、容易に2つの包装箱を互いに係合させることが可能という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱の概略斜視図である。
図2】包装箱の展開図である。
図3】包装箱の製函途中の状態を示した概略斜視図である。
図4】AおよびBは、2つの包装箱の係合手順の一例を示した概略図である。
図5】AおよびBは、2つの包装箱1の係合手順の他の例を示した概略図である。
図6】AおよびBは、包装箱の変形例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る包装箱1の概略斜視図であり、図2は、包装箱1の展開図であり、包装箱1の製函前のブランクシート1xの表面を示している。
【0023】
本実施形態の包装箱1は、表ライナ、裏ライナおよび中芯からなる両面段ボールを素材としている。包装箱1は、両面段ボールに打ち抜き加工および罫線入れを行って形成した平板状のブランクシート1xを折り曲げることで製函される。
【0024】
図1に示されるように、包装箱1は、複数の壁板から構成され、上部および前方上部が開口したトレー状となっている。具体的に包装箱1は、長方形状の底壁板10と、底壁板10の後縁から立設された長方形状の後壁板20と、底壁板10の前縁から立設された長方形状の前壁板30と、底壁板10の左右側縁から立設されて後壁板20および前壁板30を繋ぐ2つの五角形状の側壁板40と、2つの側壁板40にそれぞれ2つずつ設けられた係合機構100と、から構成されている。
【0025】
底壁板10は、1枚の素材から構成されており、後壁板20は、底壁板10から延出した1枚の素材を内方に折り曲げて構成されている。前壁板30は、底壁板10から延出した素材をコの字状に内方に折り曲げた二重構造となっている。従って、前壁板30は、前壁板30の外表面を形成する前外板31と、前壁板30の上縁を形成する前頂板32と、前壁板30の内表面を形成する前内板33と、から構成されている。
【0026】
前壁板30は、包装箱1内部への前方からのアクセス性および視認性を高めるべく、後壁板20および側壁板40よりも高さが低く設定されている。前壁板30はまた、内容物を前方へ取り出す際に生じ得る破損や変形等を防止すべく、二重構造となっている。
【0027】
2つの側壁板40は、底壁板10から延出した素材を、後壁板20および前外板31から延出した素材を挟むようにしてコの字状に内方に折り曲げた三重構造となっている。従って、側壁板40は、側壁板40の外表面を形成する側外板41と、側壁板40の上縁を形成する側頂板42と、側壁板40の内表面を形成する側内板43と、後壁板20から延出して側外板41と側内板43の間を埋める後中板44と、前外板31から延出して側外板41と側内板43の間を埋める前中板45と、から構成されている。また、側壁板40の前上部は斜めに切り欠かれており、これにより包装箱1内部への前方からのアクセス性および視認性が高められている。
【0028】
本実施形態では、側壁板40を三重構造に構成することで、包装箱1を上下に複数積み重ねた場合にも潰れ難くすると共に、係合機構100を係合させ易い構成とすることを可能としている。
【0029】
係合機構100は、上下に積み重ねられることで隣接した2つの包装箱1を互いに係合させるためのものである。係合機構100は、側壁板40の上部から上方に向けて突出した突部110と、底壁板10と側壁板40に亘って(跨って)設けられた窪みである凹部120と、から構成されている。すなわち、係合機構100は、下側の包装箱1の突部110を上側の包装箱1の凹部120内に収容させることで、上下方向に隣接した2つの包装箱1を互いに係合させるように構成されている。
【0030】
突部110は、側外板41を部分的に延出させた鉤状(L字状)の舌片となっている。具体的に突部110は、側外板41から上方に向けて、すなわち2つの包装箱1の隣接方向に延出する本体部111と、本体部111の突端側から前方に向けて、すなわち2つの包装箱1の隣接方向(上下方向)と交差(本実施形態では、略直交)する方向に延出する係止部112と、から構成されている。
【0031】
凹部120は、底壁板10と側外板41に亘って設けられた鉤状(L字状)の切り欠き50と、後中板44または前中板45により形成される窪みとなっている。従って、凹部120は、突部110と同様に、2つの包装箱1の隣接方向に延出する本体部121と、本体部121の奥端側(上側)から前方に向けて延出する係止部122と、から構成されている。
【0032】
また、凹部120は、下側の包装箱1(本発明における相手側包装箱)と対向する外表面(底壁板10の下面)と、下側の包装箱1と対向しない側壁板40の外表面と、に亘って開口している。具体的に凹部120は、底壁板10の外表面において長方形状に開口する対向開口部123と、側壁板40の外表面において鉤状(L字状)に開口する側方開口部124と、を有している。
【0033】
本実施形態では、凹部120をこのように構成することで、突部110が挿入される開口を広げると共に、突部110および凹部120の側壁板40の厚み方向における位置を略一致させ、凹部120内への突部110の収容を容易化している。
【0034】
凹部120の本体部121の前後方向寸法L1は、突部110における最大の前後方向寸法L2よりも大きく設定されている。また、凹部120の係止部122は、突部110の係止部112が嵌まり込む相補的形状に構成されている。すなわち、凹部120は、自身の内部に収容した状態のままで、突部110を前後方向に相対的に移動させることが可能な形状となっている。
【0035】
また、凹部120の上下方向寸法L3は、突部110の上下方向寸法L4に対し、折り曲げた後の側頂板42の膨らみを考慮した分だけ僅かに小さく設定されている。なお、図1および図4~6は、概略図であるため、側頂板42における膨らみを省略して記載している。
【0036】
なお、凹部120の側壁板40の厚み方向における深さDは、後中板44または前中板45および対向開口部123の開口縁によって素材の厚みと略同一に設定されている。従って、凹部120内に収容された状態では、突部110の外表面と側壁板40の外表面は略面一となる。
【0037】
図2に示されるように、ブランクシート1xでは、底壁板10が略中央に配置され、底壁板10の後方側(図の下側)に、後壁板20が後部横折目線aを介して連接されている。そして、後壁板20の左右両側には、後中板44が後部縦折目線bを介して連接されている。
【0038】
また、底壁板10の前方側(図の上側)には、前外板31が前部第1横折目線c1を介して連接され、全外板31の前方側には、前頂板32が前部第2横折目線c2を介して連接され、前頂板32の前方側には、前内板33が前部第3横折目線c3を介して連接され、前内板33の前方側には、折り返し板34が前部第4横折目線c4を介して連接されている。そして、前外板31の左右両側には、前中板45が前部縦折目線dを介して連接されている。
【0039】
また、底壁板10の左右両側には、側外板41が側部第1縦折目線e1を介して連接され、2つの側外板41の左右両側には、側頂板42が側部第2縦折目線e2を介して連接され、2つの側頂板42の左右両側には、側内板43が側部第3縦折目線e3を介して連接されている。
【0040】
突部110は、側頂板42および側内板43において側部第2縦折目線e2から延びて再び側部第2縦折目線e2に戻るように設けられた全切線(素材を厚み方向に貫通する切れ目線)fによって画定されている。また、底壁板10および側外板41には、凹部120の開口縁を画定する鉤状の切り欠き50が両者に亘って設けられている。
【0041】
側内板43の端縁には、2つの突起46が設けられ、底壁板10には、この突起46が挿入される挿入孔11が4か所に設けられている。これにより、包装箱1は、接着剤や粘着テープ等を使用することなく製函することが可能となっている。また、側内板43の前方側の角部近傍には、製函時に前内板33との接触状態を調整するための補助折目線gが斜め方向に設けられている。
【0042】
なお、ブランクシート1xの各部の寸法形状は、素材の厚みおよび製函後の包装箱1の形状に応じた適宜の寸法形状に設定されている。また、素材の段目方向は、積み重ね時の強度を確保すべく、製函後の側外板41および側内板43において上下方向となる方向(図の左右方向)に設定されている。
【0043】
また、各折目線a、b、c1~c4、d、e1~e3およびgは、ブランクシート1xの裏面側に設けられた押罫線から構成されているが、前部第2横折目線c2、前部第3横折目線c3および前部第4横折目線c4においては、折り曲げを容易化すべく、断続的な半切線(素材を厚み方向に貫通しない切れ目線)hが押罫線に重ねて表面側に設けられている。なお、ブランクシート1xの表面は、底壁板10の外表面(下面)側の面である。
【0044】
次に、包装箱1の製函手順について説明する。図3は、包装箱1の製函途中の状態を示した概略斜視図である。
【0045】
包装箱1の製函では、まずブランクシート1xにおける後壁板20を内方に向けて後部横折目線aで折り曲げると共に、2つの後中板44を内方に向けて後部縦折目線bで折り曲げる。そして、前外板31を内方に向けて前部第1横折目線c1で折り曲げると共に、2つの前中板45を内方に向けて前部縦折目線dで折り曲げる。これにより、ブランクシート1xは、図3に示される中間状態となる。
【0046】
次に、前頂板32を内方に向けて前部第2横折目線c2で折り曲げると共に前内板33を内方に向けて前部第3横折目線c3で折り曲げ、さらにこれらとは逆方向に折り返し板34を前部第4横折目線c4で折り曲げることで、前壁板30を形成する。次に、側外板41を内方に向けて側部第1縦折目線e1で折り曲げた後に、後中板44および前中板45を挟み込むように、側頂板42および側内板43を内方に向けて側部第2縦折目線e2および側部第3縦折目線e3で折り曲げ、突起46を挿入孔11に挿入することで、側壁板40を形成する。以上の手順により、包装箱1が完成する。
【0047】
次に、2つの包装箱1の係合手順について説明する。図4AおよびBは、2つの包装箱1の係合手順の一例を示した概略図であり、2つの包装箱1を右側方から見た場合を示している。
【0048】
2つの包装箱1を係合させる場合、図4Aに示されるように、上側の包装箱1を下側の包装箱1とある程度整列させた状態で上方から近接させて、その上に載置するだけでよい。上述のように、凹部120は、対向開口部123と連続した側方開口部124を有すると共に、側壁板40の厚み方向の位置が突部110と略一致しており、さらに凹部120の位置を左右側方から視認可能であるため、きわめて容易に凹部120内へ対向開口部123から突部110を挿入しつつ、下側の包装箱1上に上側の包装箱1を載置することができる。また、突部110は、挿入中に後中板44または前中板45によってガイドされることから、曲がりや引っ掛かり等を生じることなくスムーズに凹部120内に挿入されるようになっている。
【0049】
本実施形態では、突部110の後端縁110aと凹部120の後端縁120aの前後方向における位置を略一致させている。従って、上側の包装箱1に対して下側の包装箱1(本発明の相手側包装箱)を、図4Aに示されるように、突部110の後端縁110aと凹部120の後端縁120aが接触する第1相対位置に配置することで、2つの包装箱1を略整列させることができる。
【0050】
また、上述のように、凹部120は、自身の内部に収容した状態のままで突部110を前後方向に相対的に移動させることが可能な形状となっているため、突部110が凹部120に収容された状態のままで下側の包装箱1(本発明の相手側包装箱)を前後方向(互いに係合した2つの包装箱1の隣接方向と交差する方向)に相対移動させることが可能ととなっている。
【0051】
より具体的には、凹部120は、上側の包装箱1に対して下側の包装箱1を、前後方向に離隔した第1相対位置と第2相対位置の間で相対移動させることが可能な形状となっている。そして、下側の包装箱1が第1相対位置に配置された場合に2つの包装箱1は略整列した状態となるため、下側の包装箱1を第2相対位置に配置した場合には、2つの包装箱1は前後方向において相対的にオフセットされた状態となる。
【0052】
図4Bは、下側の包装箱1を第2相対位置に配置した状態を示している。本実施形態では、第2相対位置を第1相対位置よりも前方側に設定することで、上側の包装箱1を下側の包装箱1に対して所定の量だけ後方側にオフセットさせるようにしている。上側の包装箱1をこのようにオフセットさせることで、下側の包装箱1内部への前方からのアクセス性および視認性を向上させることができる。
【0053】
なお、下側の包装箱1の第1相対位置から第2相対位置への相対移動は、例えば図4Bに示されるように、下側の包装箱1上に載置された状態のまま、上側の包装箱1を後方にスライドさせるだけで容易に行うことができる。
【0054】
本実施形態ではさらに、突部110の係止部112および凹部120の係止部122を前方側に設けることで、下側の包装箱1を第2相対位置に配置した場合に、凹部120の係止部122内に突部110の係止部112が嵌まり込んで係止されるようにし、これにより相対的にオフセットされた状態における2つの包装箱1の分離を規制するようにしている。
【0055】
より詳細には、凹部120の係止部122の下端に設けられた対向縁122aは、凹部120内に収容された突部110の係止部112よりも下側(本発明の相手側包装箱側)において前後方向(すなわち、2つの包装箱の隣接方向と交差する方向)に延びている。従って、下側の包装箱1が第2相対位置に配置されて凹部120の係止部122内に突部110の係止部112が嵌まり込んだ場合、対向縁122aは突部110の係止部112に対して下側から上下方向に対向することとなり、これにより上下2つの包装箱1の分離が規制されるようになっている。
【0056】
本実施形態では、2つの包装箱1が相対的にオフセットされて不安定な状態となる場合に、凹部120の係止部122に突部110の係止部112が係止されるようにすることで、積み重ねた2つの包装箱1の崩落をより効果的に防止するようにしている。
【0057】
なお、下側の包装箱1は、上側の包装箱1に対して第1相対位置と第2相対位置の間で自在に相対移動させることができるため、内容物の状態等に応じてオフセット量を適宜に減少させることも可能となっている。また、オフセット量を減少させた場合においても、対向縁122aの一部が突部110の係止部112に対向している状態であれば、2つの包装箱1の分離が規制されることとなる。
【0058】
図5AおよびBは、2つの包装箱1の係合手順の他の例を示した概略図であり、2つの包装箱1を右側方から見た場合を示している。凹部120は、対向開口部123に加えて側方開口部124を有しているため、突部110を側方開口部124から凹部120内へ挿入するようにしてもよい。
【0059】
例えば、図5Aに示されるように、予め上側の包装箱1を下側の包装箱1に対して後方にオフセットさせた状態で上方から近接させるようにしてもよい。この場合、左右両側(図5AおよびBでは、奥側と手前側)の突部110を両外側に押し開くように弾性変形させることで、突部110の係止部112を側壁板40の外表面に沿って滑らせながら上側の包装箱1を下側の包装箱1に近接させることができる。そして、上側の包装箱1が下側の包装箱1上に載置され、突部110が凹部120の側方開口部124の範囲内に配置されて係止部112と側壁板40の接触が解除されることで、弾性変形の復元力により、突部110が凹部120内に収容される。
【0060】
また、図5Bに示されるように、予め上側の包装箱1を下側の包装箱1に対して前方に大きくオフセットさせた状態で上方から近接させ、突部110を弾性変形させたままの状態で下側の包装箱1上に載置し、その後上側の包装箱1を後方に移動させることで、突部110を凹部120の側方開口部124の範囲内に配置して、凹部120内に収容させるようにしてもよい。また、図示は省略するが、予め上側の包装箱1を下側の包装箱1に対して後方に大きくオフセットさせた状態で上方から近接させた後に、上側の包装箱1を前方に移動させることで、突部110を凹部120内に収容させるようにしてもよい。
【0061】
このように、凹部120に側方開口部124を設けることで、2つの包装箱1の初期段階での位置決めが大雑把なものであっても、容易に突部110を凹部120内に収容させることが可能となっている。なお、側壁板40または突部110に適宜の傾斜面や丸み等を設けることで、突部110の弾性変形を容易化するようにしてもよい。
【0062】
次に、包装箱1の変形例について説明する。図6AおよびBは、包装箱1の変形例を示した概略図であり、2つの包装箱1を右側方から見た場合を示している。
【0063】
図6AおよびBに示される例では、突部110の前方側および後方側の両方に係止部112を設けると共に、凹部120の前方側および後方側の両方に係止部122を設けるようにしている。このようにすることで、図6Aに示されるように、下側の包装箱1が第1相対位置に配置されて2つの包装箱1が整列している場合、および図6Bに示されるように、下側の包装箱1が第2相対位置に配置されて、2つの包装箱1が相対的にオフセットされている場合のいずれにおいても、2つの包装箱1の分離を規制することが可能となる。
【0064】
なお、図示は省略するが、突部110および凹部120の後方側にのみ係止部112および係止部122を設け、2つの包装箱1が整列している場合にのみ2つの包装箱1の分離を規制するようにしてもよい。また、突部110および凹部120は、係止部112および係止部122を備えないものであってもよい。また、凹部120は、突部110の全体を収容するものに限定されず、突部の110の少なくとも一部を収容するように構成されるものであればよい。
【0065】
また、突部110および凹部120は、上側の包装箱1を下側の包装箱1に対して前方にオフセットさせるように設けられるものであってもよいし、前後両方にオフセットさせることが可能なように設けられるものであってもよい。また、突部110および凹部120は、後壁板20および前壁板30に設けられ、上下方向に隣接する2つの包装箱を左右方向にオフセットさせるものであってもよい。また、突部110を包装箱1の下側に設け、凹部120を包装箱1の上側に設けるようにしてもよいし、包装箱1に突部110および凹部120のいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0066】
また、包装箱1の形態は、複数の壁板から構成されるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば上部に代えて前部または後部のみが開口するもの、筒状のもの、および開口を有しないもの等、既知の種々の形態のものであってもよい。また、包装箱1は、互いに略直交する複数の壁板のみから構成されるものに限定されず、傾斜した壁板を有するものであってもよい。
【0067】
また、突部110および凹部120は、上下方向に隣接する2つの包装箱1を互いに係合させるものに限定されず、左右方向または前後方向に隣接する2つの包装箱を互いに係合させるべく、適宜の位置の壁板に設けられるものであればよい。また、突部110および凹部120の形状は、特に限定されるものではなく、任意の形状を採用することができる。また、突部110に側部第2縦折目線e2および側部第3縦折目線e3を設け、突部110を使用しない場合に折り畳めるようにしてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の包装箱は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、包装箱の各部の形状、寸法および寸法比は、特に限定されるものではない。また、包装箱の素材は、特に限定されるものではなく、両面段ボール以外の各種段ボール、厚紙、各種樹脂段ボールまたは樹脂板等であってもよい。
【0069】
また、上述の実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 包装箱
10 底壁板
20 後壁板
30 前壁板
40 側壁板
100 係合機構
110 突部
120 凹部
122a 対向縁

図1
図2
図3
図4
図5
図6