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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108302
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】梯子
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/10 20060101AFI20240805BHJP
   E06C 7/46 20060101ALI20240805BHJP
   E06C 7/08 20060101ALI20240805BHJP
   E06C 1/12 20060101ALI20240805BHJP
   E06C 7/50 20060101ALI20240805BHJP
   E06C 1/22 20060101ALI20240805BHJP
   E06C 7/18 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
E06C1/10
E06C7/46
E06C7/08
E06C1/12
E06C7/50
E06C1/22
E06C7/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012605
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】柳 毅
(72)【発明者】
【氏名】青木 竜太
(72)【発明者】
【氏名】山田 良
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA01
2E044BA01
2E044BA03
2E044BA11
2E044BC24
2E044CA02
2E044CA05
2E044CB03
2E044DA04
2E044DC02
2E044EE13
(57)【要約】
【課題】運搬、組み立てが容易であり、要求される梯子の長さへの適応するための組み換えが容易な梯子を提供すること。
【解決手段】平坦な設置面101に設置され斜めに立て掛けられる梯子であって、一対の長尺な支柱2である第一支柱22と、一対の第一支柱22の間に架設される複数の踏桟3と、を有する複数の第一梯子ユニット10を備え、第一支柱22は、その長尺方向の上端及び下端に当該第一支柱22と他の支柱2とを連結可能とする連結手段4を有し、且つその長尺方向の下部に滑止面54を備える滑止部5を有し、滑止部5は、滑止面54が第一支柱22の下方で設置面101に略平行な状態である展開状態と、第一支柱22の側面に略平行となり当該側面の横に位置する状態である回避状態と、に移行可能であることを特徴とする梯子。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な設置面に設置され斜めに立て掛けられる梯子であって、
一対の長尺な支柱である第一支柱と、一対の前記第一支柱の間に架設される複数の踏桟と、を有する複数の第一梯子ユニットを備え、
前記第一支柱は、その長尺方向の上端及び下端に当該第一支柱と他の前記支柱とを連結可能とする連結手段を有し、且つその長尺方向の下部に滑止面を備える滑止部を有し、
前記滑止部は、前記滑止面が前記第一支柱の下方で前記設置面に略平行な状態である展開状態と、前記第一支柱の側面に略平行となり当該側面の横に位置する状態である回避状態と、に移行可能であることを特徴とする梯子。
【請求項2】
前記踏桟は、その両端に前記支柱が挿入される略輪状の踏桟固定部を有し、且つその内部に前記踏桟固定部に挿入された前記支柱に向かって伸縮可能な踏桟固定ピンを有し、
前記支柱はその側面に前記踏桟固定ピンが挿入される踏桟固定孔を有し、
前記踏桟固定ピンが前記支柱の前記踏桟固定孔に挿入されることで、前記踏桟は前記支柱に固定されることを特徴とする請求項1に記載の梯子。
【請求項3】
一対の前記支柱である第二支柱と、一対の前記第二支柱の間に架設される複数の前記踏桟と、を有する一つの第二梯子ユニットを備え、
前記第二支柱は、その長尺方向の下端に当該第二支柱と他の前記支柱とを連結可能とする前記連結手段を有し、且つその内部に当該第二支柱の上端から上方に向かって伸縮可能な長尺な棒状の伸縮部を有することを特徴とする請求項2に記載の梯子。
【請求項4】
前記伸縮部は、その側面に当該伸縮部の長尺方向に沿って間隔を空けて並ぶ複数の伸縮部長さ調整孔を有し、
前記踏桟の前記踏桟固定ピンが前記支柱の前記踏桟固定孔と、前記伸縮部のいずれかの前記伸縮部長さ調整孔と、に挿入されることで、前記伸縮部は前記支柱に固定されることを特徴とする請求項3に記載の梯子。
【請求項5】
一対の前記支柱である第三支柱と、一対の前記第三支柱の間に架設される複数の前記踏桟と、を有する複数の第三梯子ユニットを備え、
前記第三支柱は、その長尺方向の上端及び下端に当該第三支柱と他の前記支柱とを連結可能とする前記連結手段を有し、且つ前記滑止部及び伸縮部を有せず、
各前記第三支柱の前記第三支柱は長さが異なることを特徴とする請求項4に記載の梯子。
【請求項6】
前記支柱の上端に有される前記連結手段は、棒状で当該支柱の上端から上方に向かって突出する凸部であり、
前記支柱の下端に有される前記連結手段は、当該支柱の下端に前記凸部を下方から上方に向かって挿入可能な凹部であり、
前記凸部及び前記凸部は、当該凹部に当該凸部が挿入された状態で互いに重なる貫通孔をそれぞれ有し、重なったそれぞれの前記貫通孔に棒状の連結ピンを差し込むことで前記支柱同士がピン接合によって連結されることを特徴とする請求項5に記載の梯子。
【請求項7】
さらに、長尺な略棒状の後支柱を備え、
前記後支柱はその上端に任意の前記踏桟に着脱自在に固定可能な後支柱固定部を有し、その下端に前記設置面に略平行な状態となる後支柱滑止面を備える後支柱滑止部を有し、
前記後支柱は前記梯子が立て掛けられた状態で当該梯子を後方から支持することを特徴とする請求項6に記載の梯子。
【請求項8】
前記後支柱は長尺な筒状の第一後支柱と、前記第一後支柱の内部に入れ子構造のように挿入される長尺な筒状の第二後支柱と、前記第二後支柱の内部に入れ子構造のように挿入される長尺な棒状の第三後支柱と、を有し、
前記第一後支柱及び前記第二後支柱は、前記第二後支柱を前記第一後支柱の下端から突出させる長さを段階的に調整可能とする第一長さ調整手段を有し、
前記第二後支柱は、前記第三後支柱を前記第に後支柱の下端から突出させる長さを連続的に調整可能とする第二長さ調整手段を有することを特徴とする請求項7に記載の梯子。
【請求項9】
さらに、前記支柱に対して着脱可能な手摺を備えることを特徴とする請求項8に記載の梯子。
【請求項10】
水平方向に広がる支持平面の上に床構造が組まれ床が形成される建築物の建築作業において、前記支持平面を前記設置面として、また、前記床を前記設置面として規定の立て掛け角度で用いられる梯子であって、
複数の前記第一梯子ユニットのうち一つの前記第一梯子ユニットの第一支柱の長さが、前記規定の立て掛け角度で前記支持平面から前記床まで掛かる長さであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬入が容易なピース化された梯子であって、組み立て及び組み換えが容易であり、使用環境に容易に適応できる梯子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される長さを自在に変更することが可能な梯子がある。例えば建築作業等に梯子を用いる場合、梯子を設置する箇所によって要求される梯子の長さが異なるため、特許文献1のように長さを自在に変更することが可能な梯子が適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-227553号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の梯子はその構造から重量が重く、使用場所への運搬の負担が大きい。また、重量が重く長尺な梯子は取り回し性能が良くないため、例えば周辺地面に資材が置かれ、且つ適切な歩行ルートが確保される前の建築作業現場で当該梯子を運搬することは転倒や周辺環境の破損等のリスクが高く危険である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、運搬、組み立てが容易であり、要求される梯子の長さへの適応するための組み換えが容易な梯子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に掛かる梯子は、平坦な設置面に設置され斜めに立て掛けられる梯子であって、一対の長尺な支柱である第一支柱と、一対の前記第一支柱の間に架設される複数の踏桟と、を有する複数の第一梯子ユニットを備え、前記第一支柱は、その長尺方向の上端及び下端に当該第一支柱と他の前記支柱とを連結可能とする連結手段を有し、且つその長尺方向の下部に滑止面を備える滑止部を有し、前記滑止部は、前記滑止面が前記第一支柱の下方で前記設置面に略平行な状態である展開状態と、前記第一支柱の側面に略平行となり当該側面の横に位置する状態である回避状態と、に移行可能であることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記踏桟は、その両端に前記支柱が挿入される略輪状の踏桟固定部を有し、且つ当該踏桟の内部に前記踏桟固定部に挿入された前記支柱に向かって伸縮可能な踏桟固定ピンを有し、前記支柱はその側面に前記踏桟固定ピンが挿入される踏桟固定孔を有し、前記踏桟固定ピンが前記支柱の前記踏桟固定孔に挿入されることで、前記踏桟は前記支柱に固定されることを特徴とする。
【0008】
さらに、一対の前記支柱である第二支柱と、一対の前記第二支柱の間に架設される複数の前記踏桟と、を有する一つの第二梯子ユニットを備え、前記第二支柱は、その長尺方向の下端に当該第二支柱と他の前記支柱とを連結可能とする前記連結手段を有し、且つその内部に当該第二支柱の上端から上方に向かって伸縮可能な長尺な棒状の伸縮部を有することを特徴とする。
【0009】
さらに、前記伸縮部は、その側面に当該伸縮部の長尺方向に沿って間隔を空けて並ぶ複数の伸縮部長さ調整孔を有し、前記踏桟の前記踏桟固定ピンが前記支柱の前記踏桟固定孔と、前記伸縮部のいずれかの前記伸縮部長さ調整孔と、に挿入されることで、前記伸縮部は前記支柱に固定されることを特徴とする請求項3に記載の梯子。
【0010】
さらに、一対の前記支柱である第三支柱と、一対の前記第三支柱の間に架設される複数の前記踏桟と、を有する複数の第三梯子ユニットを備え、前記第三支柱は、その長尺方向の上端及び下端に当該第三支柱と他の前記支柱とを連結可能とする前記連結手段を有し、且つ前記滑止部及び伸縮部を有せず、各前記第三支柱の前記第三支柱は長さが異なることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記支柱の上端に有される前記連結手段は、棒状で当該支柱の上端から上方に向かって突出する凸部であり、前記支柱の下端に有される前記連結手段は、当該支柱の下端に前記凸部を下方から上方に向かって挿入可能な凹部であり、前記凸部及び前記凸部は、当該凹部に当該凸部が挿入された状態で互いに重なる貫通孔をそれぞれ有し、重なったそれぞれの前記貫通孔に棒状のピンを差し込むことで前記支柱同士がピン接合によって連結されることを特徴とする。
【0012】
さらに、長尺な略棒状の後支柱を備え、前記後支柱はその上端に任意の前記踏桟に着脱自在に固定可能な後支柱固定部を有し、その下端に前記設置面に略平行な状態となる後支柱滑止面を備える後支柱滑止部を有し、前記後支柱は前記梯子が立て掛けられた状態で当該梯子を後方から支持することを特徴とする。
【0013】
さらに、前記後支柱は長尺な筒状の第一後支柱と、前記第一後支柱の内部に入れ子構造のように挿入される長尺な筒状の第二後支柱と、前記第二後支柱の内部に入れ子構造のように挿入される長尺な棒状の第三後支柱と、を有し、前記第一後支柱及び前記第二後支柱は、前記第二後支柱を前記第一後支柱の下端から突出させる長さを段階的に調整可能とする第一長さ調整手段を有し、前記第二後支柱は、前記第三後支柱を前記第に後支柱の下端から突出させる長さを連続的に調整可能とする第二長さ調整手段を有することを特徴とする。
【0014】
さらに、前記支柱に対して着脱可能な手摺を備えることを特徴とする。
【0015】
さらに、水平方向に広がる支持平面の上に床構造が組まれ床が形成される建築物の建築作業において、前記支持平面を前記設置面として、また、前記床を前記設置面として規定の立て掛け角度で用いられる梯子であって、複数の前記第一梯子ユニットのうち一つの前記第一梯子ユニットの長さが、前記規定の立て掛け角度の状態で前記支持平面から前記床まで掛かる長さであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る梯子によると、複数の第一梯子ユニットの支柱同士を連結し使用される梯子であるため、梯子の連結を解除した第一梯子ユニット単位で運搬を行うことによって、運搬時の重量が軽くなり、且つサイズが小さくなるため、携帯・収納・運搬の利便性に優れる。また、連結する第一梯子ユニットの数を調整する又は連結する第一梯子ユニットの長さを異なる長さの第一梯子ユニットにすることで、梯子の長さを調整することができる。また、第一梯子ユニットは滑止部を備えるが、滑止部を回避状態にすることで当該第一梯子ユニットの下端に他の第一梯子ユニットを連結することが可能であり、梯子の最も下方に配置される第一梯子ユニットは、その滑止部を展開状態にすることで容易に滑り止めとして機能させることができる。また、滑止部は全ての第一梯子ユニットに常に固定されているため、滑止部を紛失する恐れがない。
【0017】
さらに、踏桟が容易に取り外し可能であるため、例えば、梯子を使用する環境において、梯子の最も下方に配置された第一梯子ユニットの最も下に固定された踏桟が邪魔になる場合は、その場で当該踏桟を取り外すことができる。また、容易に取り外せるためメンテナンス性に優れる。
【0018】
さらに、第二梯子ユニットを梯子の最も上方に位置するように連結し、第二梯子ユニットの伸縮部を伸ばすことで、梯子が立て掛けられ当該梯子に接する高所の位置から当該梯子の上端の上方への突き出しを容易に確保することができる。また、第二梯子ユニットの伸縮部を縮めることで、第二梯子ユニットの取り回し性能が良くなり、携帯・収納・運搬の利便性に優れる。
【0019】
さらに、伸縮部の長さ調整を踏桟固定ピンで行うため、伸縮部の長さ調整のためだけの特別な構造を必要とせず軽量化が図れる。また、容易に伸縮部の長さの調整が可能となる。
【0020】
さらに、滑止部及び伸縮部を備えない第三梯子ユニットを第一梯子ユニットと、第二梯子ユニットと、の間に配置されるように連結することで梯子の軽量化が図れる。
【0021】
さらに、連結手段はピン接合の為、架設梯子の組み立て、組み換え及び分解が容易となる。
【0022】
さらに、架設梯子は着脱自在な後支柱を備え、架設梯子の撓みを抑制することができる。
【0023】
さらに、後支柱は、第一長さ調整手段と第二長さ調節手段とを備え、第一長さ調節手段によって当該後支柱の長尺方向の長さを段階的に変化させ、第二長さ調節機能によって当該後支柱の長尺方向の長さを連続的に変化させることができるため、後支柱を適切な長さに調整することができ、梯子が立て掛けられる環境がどのような環境であっても後支柱を使用することができる。
【0024】
さらに、架設梯子は着脱自在な手摺を備え、架設梯子使用車の転倒を防ぐことができる。
【0025】
さらに、支持平面に梯子を立てて使用する場合には、規定の立て掛け角度で支持平面から床まで掛かる長さの第一支柱を備える第一梯子ユニットを梯子の最も下方に連結して使用し、床に梯子を立てて使用する場合には、梯子の最も下方に連結されていた前記第一梯子ユニットを取り外して使用することで梯子は適切な長さとなる。つまり、規定の立て掛け角度で支持平面から床まで掛かる長さの第一支柱を備える第一梯子ユニットを連結する又は取り外すだけの作業で、設置面が支持平面又は床のどちらであっても容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る梯子の一方の第一梯子ユニットを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る梯子の他方の第一梯子ユニットを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る梯子の第二梯子ユニットを示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る梯子の一方の第三梯子ユニットを示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る梯子の他方の第三梯子ユニットを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る梯子の連結の様子を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る梯子の踏桟を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る梯子の踏桟によって伸縮部を固定する様子を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る梯子の後支柱を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る梯子の後支柱の第二長さ調整手段を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る梯子を支持平面から立て掛けた様子を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る梯子を床から立て掛けた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る梯子について、以下、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下はあくまで本発明の一実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0028】
一実施形態に係る梯子1は、長さの異なる二つの第一梯子ユニット10と、一つの第二梯子ユニット60と、長さの異なる二つの第三梯子ユニット70と、後支柱80と、二つの手摺97と、を備え、それらを連結組み立てることで使用時の形を形成する梯子である。
【0029】
第一梯子ユニット10は、図1及び図2に示すように、一対の長尺な円筒状の支柱2である第一支柱22と、略板状の複数の踏桟3と、を有する。一対の第一支柱22は互いに隙間を空けて平行な状態であり、後述する複数の踏桟3は一対の第一支柱22の間に所定間隔(本実施形態では275mm間隔)で架空されるように一対の当該第一支柱22に固定されている。尚、図1に示す第一梯子ユニット10が二つの第一梯子ユニット10のうちの一方の第一梯子ユニット10aであり、図2に示す第一梯子ユニット10が二つの第一梯子ユニット10のうちの他方の第一梯子ユニット10bである。
【0030】
図7(a)は踏桟3の背面図であり、図7(b)は踏桟3の平面図である。踏桟3は、図7に示すように、略板状で内部空間を有する踏桟本体部31と、踏桟本体部31の両端に固定され支柱2を通す略輪状の踏桟固定部21と、踏桟3を支柱2に固定するための踏桟本体部31の内部空間から踏桟固定部33を通る支柱2に向かって伸縮可能な踏桟固定ピン34と、を有する。
【0031】
図8は踏桟固定ピン34によって踏桟3を支柱2に固定する様子及び後述する伸縮部62を支柱2に固定する様子を示す図でありその一部を断面図として図示している。踏桟固定ピン34は、図8に示すように、踏桟本体部31の内部空間に設けられた第一壁32を通り配置される。また、踏桟固定ピン34は当該踏桟固定ピン34に固定され踏桟固定部33に当接する第二壁35と、当該踏桟固定ピン34に巻き付くように第一壁32と第二壁35との間に配置されるバネ36を有する。そして、通常時において踏桟固定ピン34はバネ36の力によって、図8(a)に示すように、踏桟固定部33を通る支柱2に向かって突出する。このとき、支柱2の側面に設けられた踏桟固定孔21に踏桟固定ピン34が挿入されることで、踏桟3は支柱2に固定されている。
【0032】
尚、踏桟固定ピン34の一端には、図7に示すように、ひも状の引張部37が固定されており、図8(b)に示すように、引張部37を引っ張ることで、踏桟固定ピン34は踏桟本体部31の内部側へと縮まり、踏桟3と、支柱2と、の固定が解除される。
【0033】
また、第一支柱22は、図1及び図2に示すように、その上端及び下端の夫々に連結手段4を有する。連結手段4は、図6(b)に示すように、異なる二本の支柱2をピン接合によって連結させる手段であり、第一支柱22の上端に有される連結手段4は、図1及び図2に示すように、外径が支柱の内径と略同じ大きさの長尺な棒状で第一支柱22の上端から上方に向かって突出して第一支柱22の内側に入れ子構造のように配置固定された凸部41であり、第一支柱22の下端に有される連結手段4は、図1及び図2に示すように、他の支柱2の連結手段4である凸部41が下方から上方に向かって挿入可能な凹部42である。
【0034】
そして、凸部41及び凹部42は、図6(a)に示すように、当該凹部42に当該凸部41が挿入された状態で互いに重なる貫通孔43を夫々有し、図6(a)に示すように、凹部42に凸部41が挿入された状態で重なった夫々の貫通孔43に棒状のピン44を差し込むことでピン接合によって連結することが可能となっている。尚、本実施形態の支柱2は円筒状であり、その円筒状の形状を凹部42として利用している。
【0035】
さらに、第一支柱22は、図1及び図2に示すように、その長尺方向の下部に滑止部5を有する。滑止部5は、図1及び図2に示すように、U字状に折れ曲がる板状の回動部51と、板状の板部53と、板部53の下面に凹凸模様が形成された滑止面54と、から成る。そして、回動部51の下面に板部53が固定され、回動部51の二つの側部52が第一支柱22の下端を挟み込むように配置され、滑止部5が回動可能なように回動部51の二つの側部52と、第一支柱22と、が固定具56であるボルトナットによって固定されている。
【0036】
滑止部5は回動可能なように第一支柱22に固定されているため、図1に示すように滑止面54が設置面101に対して略平行となる展開状態と、図2に示すように滑止面54が第一支柱22の側面に対して略平行となる回避状態と、に容易に移行可能であり、滑止部5を回避状態とすることで、当該滑止部5が干渉することなく当該滑止部5を備える第一支柱22に下方から他の支柱2を連結することが可能となり、梯子1の最も下方に配置される第一梯子ユニット10の滑止部5を展開状態とすることで、滑止部5を滑り止めとして機能させることが可能となる。尚、設置面101とは、梯子1が立てられる地面等の平坦な面のことである。
【0037】
また、滑止部5の板部53及び滑止面54には、図1及び図2に示すように、貫通孔55が設けられており、梯子1の最も下方に配置された第一梯子ユニット10の滑止部5を展開状態とした状態で、貫通孔56を通して設置面101に図示しない固定具であるビスを打ち込むことで梯子1を強固に固定することができる。尚、梯子1の使用環境によって設置面101に固定具を打ち込めない場合や、一時的に梯子1を使用する場合等は固定具を用いて滑止部5を設置面101に固定する必要はない。
【0038】
第二梯子ユニット60は、図3に示すように、一対の円筒状の支柱2である第二支柱61と、略板状の複数の踏桟3と、を有し、第一梯子ユニット10と同様に踏桟3は一対の第二支柱61に固定されている。そして、第二支柱61はその下端に連結手段4を有する。第二支柱61の下端の連結手段4は第一支柱10の下端の連結手段4と同じであるため説明は省略する。また、第二支柱61はその内部に当該第二支柱61の上端から上方に向かって伸縮可能な長尺な棒状の伸縮部62を有する。
【0039】
また、伸縮部62は、図3に示すように、外径が支柱2の内径と略同じ大きさの長尺な棒状であり、当該伸縮部62の上端に支柱2の内径より大きい略球体状の保護部64を有し、伸縮部62は第二支柱61の内側に上方から入れ子構造のように挿入されている。
【0040】
そして、伸縮部62は、図8に示すように、その側面に当該伸縮部62の長尺方向に沿って間隔を空けた複数の伸縮部長さ調整孔63を有し、第二梯子ユニット60の最も上に配置された踏桟3の踏桟固定ピン34が、第二支柱61の踏桟固定孔21に重なったいずれかの伸縮部長さ調整孔63に挿入されることで、第二支柱61に踏桟3が固定されると同時に伸縮部62は第二支柱61に固定される。つまり、第二梯子ユニット60の最も上に配置された踏桟3の踏桟固定ピン34が挿入される伸縮部長さ調整孔63を選択することで、伸縮部62が第二梯子ユニット60の上端から上方に向かって突出する長さを調整することが可能である。
【0041】
第三梯子ユニット70は、図4及び図5に示すように、一対の長尺な円筒状の支柱2である第三支柱71と、略板状の複数の踏桟3と、を有し、第一梯子ユニット10と同様に踏桟3は一対の第三支柱71に固定されている。そして、第三支柱71は、図4及び図5に示すように、その上端及び下端に連結手段4を有し、滑止部5及び伸縮部62を有していない。第三支柱71の上端の連結手段4は第一支柱22の上端の連結手段4と同じであり、第三支柱71の下端の連結手段4は第一支柱22の下端の連結手段4と同じであるため説明は省略する。尚、図4に示す第三梯子ユニット70が二つの第三梯子ユニット70のうちの一方の第三梯子ユニット70aであり、図5に示す第三梯子ユニット70が二つの第三梯子ユニット70のうちの他方の第三梯子ユニット70bである。
【0042】
後支柱80は、図9に示すように、長尺な円筒状の第一後支柱81と、外径が第一後支柱81の内径と略同じ大きさの長尺な円筒状で第一後支柱81の内部に挿入された第二後支柱82と、外径が第二後支柱82の内径と略同じ大きさの長尺な円柱形で第二後支柱82の内部に挿入された第三後支柱83と、を有する。
【0043】
第一後支柱81及び第二後支柱82は、第一後支柱81と、第一後支柱81の下端から任意の長さで下方に突出させた状態の第二後支柱82と、を固定するための第一長さ調整手段84を有する。第一後支柱81に有される第一長さ調整手段84は、第一後支柱81の側面に当該第一後支柱81の長尺方向に沿って所定間隔に設けられた複数の貫通孔85であり、第二後支柱82に有される第一長さ調整手段84は通常時に当該第二後支柱82の上端付近の側面から外側に突出し、当該第二後支柱82の内側に押し込むことが可能なロックピン86である。
【0044】
そして、ロックピン86を第二後支柱82の内側に押し込んだ状態で当該第二後支柱82を第一後支柱81に下方から挿入させ、ロックピン86と、第一後支柱81のいずれかの貫通孔85が重なったときにロックピン86が第二後支柱82の側面から外側に突出し第一後支柱81の貫通孔85に嵌合することで第一後支柱81と、第二後支柱82と、が互いに固定される。つまり、ロックピン86を嵌合させる第一後支柱81の貫通孔85を選択することによって、図9(b)に示すように第一後支柱81から突出する第二後支柱82の長さを段階的に調整することができる。
【0045】
第二後支柱82は、第二後支柱82と、第二後支柱82の下端から任意の長さで下方に突出させた状態の第三後支柱83と、を固定するための第二長さ調整手段87を有する。第二後支柱82に有される第二長さ調整手段87は、図10に示すように、第二後支柱82の下端の外周を覆うように固定された第二長さ調整手段固定部88と、第二後支柱82から離れた位置で第二長さ調整手段固定部88に固定され下方に伸びる支点部89と、支点部89の下方に回動可能に固定され第三後支柱83の外径より大きい径の係合穴91を有する板状の係合部90と、第二長さ調整手段固定部88及び係合部90に固定され係合部90を第二長さ調整手段固定部88側に引っ張るバネである収縮部93と、から成る。
【0046】
そして、図10(a)に示すようにその係合部90の先端を掴み当該係合部を第二後支柱82の長尺方向に対して直角とした状態で、係合穴91を通るように第三後支柱83を第二後支柱82に下方から挿入させ、係合部90を解放することで図10(b)に示すように当該係合部90は収縮部93によって第二長さ調整手段固定部88側に引っ張られ、当該係合部90が支点部89に固定された位置110を支点として斜めに跳ね上がる。このとき、傾いた姿勢の係合部90の係合穴91の縁92が第三後支柱83の側面に係合することで第二後支柱82と、第三後支柱83と、が互いに固定される。つまり、係合部90の係合孔91の縁92を係合させる第三後支柱83の側面の位置によって、図9(b)に示すように第二後支柱82から突出する第三後支柱83の長さを連続的に調整することができる。
【0047】
また、図9に示すように、第一後支柱81はその上端に後支柱固定部94を有し、第三後支柱81はその下端に設置面101に対して滑り止めとして機能する後支柱滑止部95を有する。後支柱固定部94は図9(b)に示すように任意の踏桟3の下面に図示しない固定具であるボルトによって着脱自在に固定可能であり、第一支柱22に対して滑止部5が回動可能であるのと同様に、第一後支柱81に対して回動可能に固定されている。そして、後支柱滑止部95はその下面に貼り付けられる凹凸模様が形成された滑止面96と、から成る。
【0048】
手摺97は、図11及び図12に示すように、一対の長尺な棒状の親柱98と、一対の親柱98のそれぞれの端部に架かるように固定された長尺な棒状の手摺部99と、によって略U字状に形成されており、一対の親柱98の夫々の他方の端部に単管用の連結クランプ100が固定され、その連結クランプ100を親柱98を梯子1の支柱2任意の位置に固定することで、当該手摺97を梯子1に着脱自在に取付けることができる。尚、手摺97は梯子1に左右対称に取り付ける、又は梯子1の片側だけに取付ける等のように梯子1の設置環境等を鑑みて自由に取付けることができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る梯子1の使用方法について説明する。梯子1は、水平方向に広がる支持平面102の上に床構造が組まれ一階の床103が形成される建築物の建築作業において、作業者が一階から二階高さへ移動するために図11に示すように支持平面102を設置面101として、また、図12に示すように一階の床103を設置面101として一階天井に架かる梁104に規定の立て掛け角度106で立て掛けられて使用される。尚、規定の立て掛け角度106とは、本発明の梯子1が使用される作業現場で取り決められた角度であり、本実施例では図に示すように65度であり、使用される作業現場によっては45度から90度の範囲で規定される。
【0050】
ここで、一方の第一梯子ユニット10aの第一支柱22の長さ105について説明する。図1に示す一方の第一梯子ユニット10aの第一支柱22の長さ105は、図12に示すように、梯子1が立て掛けられる規定の立て掛け角度106で支持平面10から床103の上面まで掛かる長さである。
【0051】
まず、支持平面102を設置面101として使用する場合について説明する。梯子1は第一梯子ユニット10、第二梯子ユニット60、第三梯子ユニット70、後支柱80及び手摺97にそれぞれ分解された状態で作業現場に搬入される。そして、図11に示すように、第二梯子ユニット60の下に一方の第三梯子ユニット70aを連結し、第三梯子ユニット70の下に他方の第一梯子ユニット10bを連結し、他方の第三梯子ユニット10bの下に一方の第一梯子ユニット10aを連結し、適切な位置に後支柱80及び手摺97を取り付ける。
【0052】
一方の第三梯子ユニット70aと、他方の第三梯子ユニット70bと、の違いは、その長尺方向の長さであり、本実施形態では、一方の第三梯子ユニット70aを使用する。尚、要求される梯子1の長さによっては他方の第三梯子ユニット70bを使用しすること、両方の第三梯子ユニット70を使用すること、又はどちらの第三梯子ユニット70も使用しないことが選択できる。
【0053】
そして、図11に示すように、梯子1は支持平面102を設置面101として一階天井に架かる梁104に規定の立て掛け角度106で立て掛け、後支柱80を梯子1が後方に撓まないように角度108をつけて支持平面102まで伸ばし、梯子1が梁104の上面から上方に突出する長さ109が略60cmとなるように第二梯子ユニット60の伸縮部62を上方に伸ばし、梯子1が使用される。尚、本実施例の後支柱80の角度108は設置面101から75度となるように調整される。
【0054】
次に、梯子1を移動させ一階の床103を設置面101として使用する場合、既に組まれた梯子1の最も下方に配置連結された一方の第一梯子ユニット10aと、他方の第一梯子ユニット10bと、の連結を解除し、一方の第一梯子ユニット10aを取り外し他方の第一梯子ユニット10bの滑止部5を展開状態とした状態で、図12に示すように一階の床103から規定の立て掛け角度106で梁104に立て掛け、後支柱80の長さをその後支柱滑止部95が一階の床103に接地されるように調整するだけで良い。
【0055】
既に説明したように一方の第一梯子ユニット10aの第一支柱22の長さ105が梯子1が立て掛けられる規定の立て掛け角度106で支持平面102から床103の上面まで掛かる長さであるため、一方の第一梯子ユニット10aを梯子1の最も下に連結させるか、連結させないかによって、梯子1は支持平面102を設置面101とする長さと、一階の床103を設置面101とする長さと、に容易に変更可能となっている。
【0056】
また、梯子1が同一の場所に長期にわたり設置される場合は、必要に応じて、梯子1の最も下に配置された第一梯子ユニット10の滑止部5の貫通孔55を通して設置面101に図示しない固定具であるビスを打ち込み梯子1の下端を固定することができる。
【0057】
そして、梯子1が撤去されるときは梯子1を第一梯子ユニット10、第二梯子ユニット60、第三梯子ユニット70、後支柱80及び手摺97にそれぞれ分解し、夫々を使用現場から搬出して保管場所に保管する。
【0058】
尚、一実施形態に係る梯子1は、二つの第一梯子ユニット10と、二つの第三梯子ユニット70と、2つの手摺97と、を備えているが、本発明はこれに限定するものではなく、より多くの数を備えることで、梯子1を組み合わせのパターンが増え、様々な高さに対応可能となる。
【0059】
また、一実施形態に係る梯子1は、一階から一階の天井に架かる梁104に掛けられて使用されるが、本発明はこれに限定するものではなく、使用される階を問わず、梯子1は梁104以外に掛けられても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 梯子
10 第一梯子ユニット
2 支柱
21 踏桟固定孔
22 第一支柱
3 踏桟
33 踏桟固定部
34 踏桟固定ピン
4 連結手段
41 凸部
42 凹部
43 貫通孔
44 ピン
5 滑止部
54 滑止面
60 第二梯子ユニット
61 第二支柱
62 伸縮部
63 伸縮部長さ調整孔
70 第三梯子ユニット
71 第三支柱
80 後支柱
81 第一後支柱
82 第二後支柱
83 第三後支柱
84 第一長さ調整手段
87 第二長さ調整手段
94 後支柱固定部
95 後支柱滑止部
96 後支柱滑止面
97 手摺
101 設置面
102 支持平面
103 床
105 一方の第一支柱の長さ
106 規定の立て掛け角度
107 規定の立て掛け角度で支持平面から床まで掛かる長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12