IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジシールインターナショナルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108304
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】複合容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20240805BHJP
   B65D 35/10 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65D77/06 Z
B65D35/10 Z BRH
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012607
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲川 義則
(72)【発明者】
【氏名】森田 皓介
【テーマコード(参考)】
3E065
3E067
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA35
3E065BB02
3E065DA04
3E065DA11
3E065DB05
3E065DC01
3E065DD05
3E065FA02
3E067AA03
3E067AA04
3E067BA03C
3E067BA14B
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067FA04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】環境負荷を低減可能な複合容器を提供する。
【解決手段】本開示に基づく複合容器1において、収容部1Aは、筒状胴部10と、注出部20とを含んでいる。筒状胴部10は、一枚のシートSを湾曲または屈曲させて、当該シートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、該第1の側端部SE1の反対に位置する上記シートSの第2の側端部SE2とが互いに接続されることで筒状に形成されている。注出部20は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13に接合されている。外装体1Bは、筒状胴部10の外側に位置し、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延び、注出部20を支持している。注出部20は、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂組成物からなる。上記シートSは、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む第1基材層SL1を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のシートを湾曲または屈曲させて、前記シートの面方向における第1の側端部と、該第1の側端部の反対に位置する前記シートの第2の側端部とが互いに接続されることで筒状に形成された筒状胴部と、前記筒状胴部の軸方向における一方端部に接合され、前記筒状胴部内の収容物を注出可能な注出部とを含む、収容部と、
前記筒状胴部の外側に位置し、前記筒状胴部の前記軸方向に沿って延び、前記注出部を支持する外装体とを備え、
前記注出部は、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂組成物からなり、
前記シートは、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む第1基材層を有する、複合容器。
【請求項2】
前記筒状胴部は、前記第1の側端部と前記第2の側端部とが互いに接続されることで形成された帯状の溶着部と、前記シートの面方向における前記第1の側端部と前記第2の側端部との間に位置する、シート基部とを有し、
前記溶着部は、前記第1の側端部と前記第2の側端部とを前記シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されており、
前記シート基部は、前記シートにおいて前記第2の側端部と連続している部分である、第1基端部を有し、
前記溶着部は、前記筒状胴部の周方向における前記第1の側端部の先端縁であって、前記第1基端部と接合している、第1先端縁を有し、
前記第1先端縁は、前記周方向に沿う方向から見て、前記第1基端部の厚み内に位置している、請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記注出部は、前記収容物を注出するための注出口と、前記軸方向から見た時に前記注出口を中心として前記注出口から径方向に拡がる肩部と、該肩部から前記軸方向に沿って下方に延出する延出部とを有し、
前記延出部には前記筒状胴部の前記一方端部が接合されており、
前記肩部は、前記径方向に突出する第1突出部を有し、
前記第1突出部は、前記外装体によって下方から支持されている、請求項1または請求項2に記載の複合容器。
【請求項4】
前記収容部は、前記注出部を支持した状態で前記外装体を平面状の載置面に載置したときに、前記載置面より上方に位置するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の複合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薄肉のプラスチックからなる容器本体の胴部に外装体を装着してなる複合容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-198322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環境負荷低減のため、樹脂使用量の低減およびリサイクル性の向上した複合容器が求められている。
【0005】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、環境負荷を低減可能な複合容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく複合容器は、収容部と、外装体とを備えている。収容部は、筒状胴部と、注出部とを含んでいる。筒状胴部は、一枚のシートを湾曲または屈曲させて、当該シートの面方向における第1の側端部と、該第1の側端部の反対に位置する上記シートの第2の側端部とが互いに接続されることで筒状に形成されている。注出部は、筒状胴部の軸方向における一方端部に接合され、筒状胴部内の収容物を注出可能である。外装体は、筒状胴部の外側に位置し、筒状胴部の軸方向に沿って延び、注出部を支持している。注出部は、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂組成物からなる。上記シートは、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む第1基材層を有している。
【0007】
上記の構成によれば、収容部がシートを筒状に形成した筒状胴部を有し、かつ、筒状胴部に接合された注出部を外装体で支持することで筒状胴部のより一層の薄肉化が可能であり、収容部を製造するための樹脂使用量を低減できる。さらには、注出部および上記シートがいずれもポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含むことにより、これらのリサイクル性を向上できる。これにより、環境負荷の低減可能な複合容器を提供できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、環境負荷の低減可能な複合容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る複合容器を示す正面図である。
図2】蓋が取り外された状態の、本実施形態に係る複合容器を示す正面図である。
図3】蓋が取り外された状態の、本実施形態に係る複合容器を示す斜視図である。
図4】蓋が取り外され、かつ、収容物が収容された状態の本実施形態に係る複合容器を示す斜視図である。
図5】収容部および外装体のそれぞれの正面図である。
図6】収容部および外装体のそれぞれの斜視図である。
図7図5の筒状胴部をVII-VII線矢印方向から見た断面図である。
図8】収容部の分解斜視図である。
図9】筒状胴部および底部を構成するシートの部分断面図である。
図10図5の筒状胴部をX-X線矢印方向から見た部分断面図である。
図11】複合容器の注出部近傍を示す部分拡大図である。
図12図11の複合容器をXII-XII線矢印方向から見たときの部分断面図である。
図13図12の領域XIIIを示す部分的な拡大断面図である。
図14図5の底部をXIV-XIV線矢印方向から見た模式的な断面図である。
図15】底部が形成される直前のシートの状態を示す模式的な断面図である。
図16】本開示の一実施形態の第1変形例に係る複合容器を示す斜視図である。
図17】本開示の一実施形態の第1変形例に係る複合容器の収容部を示す斜視図である。
図18】本開示の一実施形態の第2変形例に係る複合容器を示す斜視図である。
図19】本開示の一実施形態の第2変形例に係る複合容器の収容部を示す斜視図である。
図20】外装体の分解斜視図である。
図21】本開示の一実施形態に係る収容物入りの複合容器の製造方法を示すフロー図である。
図22】重ね合わせ工程および筒状体形成工程におけるシートを示す模式的な図である。
図23】本実施形態に係る収容物入りの複合容器の製造方法に使用される超音波ホーンを、アンビルとの対向方向から見た平面図である。
図24図23の超音波ホーンをXXIV-XXIV線矢印方向から見た断面図である。
図25】本実施形態において凹凸形状の凸部が互いに接続されている超音波ホーンを示す平面図である。
図26】注出部接合工程において、インサート成形により注出部を筒状体に接合するときの金型および筒状体を示す模式的な断面図である。
図27】注出部が接合された直後の筒状体を示す斜視図である。
図28】第1折罫線を形成するときの筒状体を示す斜視図である。
図29】第2折罫線を形成するときの筒状体を示す斜視図である。
図30】第2折罫線を形成した直後の筒状体を示す斜視図である。
図31】底部溶着工程における筒状体を示す模式的な断面図である。
図32】本実施形態に係る収容物入りの複合容器の製造方法に使用される第2溶着器具を、第1溶着器具との対向方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係る複合容器について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0011】
[複合容器]
図1は、本開示の一実施形態に係る複合容器を示す正面図である。図1に示すように、本開示の一実施形態に係る複合容器1は、収容部1Aと、外装体1Bと、蓋1Cを備えている。
【0012】
図2は、蓋が取り外された状態の、本実施形態に係る複合容器を示す正面図である。図3は、蓋が取り外された状態の、本実施形態に係る複合容器を示す斜視図である。図4は、蓋が取り外され、かつ、収容物が収容された状態の本実施形態に係る複合容器を示す斜視図である。図5は、収容部および外装体のそれぞれの正面図である。図6は、収容部および外装体のそれぞれの斜視図である。
【0013】
図1から図6に示すように、本開示の一実施形態に係る複合容器において、収容部1Aは、収容物を収容可能に構成される。収容部1Aに収容される収容物としては、たとえば液体状のものが挙げられる。収容部1Aの少なくとも一部は、比較的軟質の部材で構成される。このため、収容部1Aは、容積が容易に変化可能に構成されている(図3および図4参照)。一方で、複合容器1が外装体1Bを備えていない場合、複合容器1を載置すると収容部1Aが変形するため、複合容器1を安定的に載置させることは難しい。
【0014】
外装体1Bは、収容部1Aの外周側に位置している。外装体1Bは、収容部1Aを支持している。これにより、複合容器1の使用者は、複合容器1を安定的に載置させることができる。また、本実施形態において、外装体1Bは、収容部1Aから取り外し可能に構成されているが、超音波溶着により収容部1Aと接合されていてもよい。
【0015】
蓋1Cは、収容部1Aを封止可能に構成されている。蓋1Cは、収容部1Aの上部に位置する注出部に着脱可能に設けられている。本実施形態において、蓋1Cは、収容部1Aに収容された液体状の収容物をくみ上げるためのポンプ機構と、くみ上げた収容物を吐出するための口部とを有している。このような蓋1Cと、容積が容易に可変可能な収容部1Aと、複合容器1を安定的に載置させるための外装体1Bとを備える複合容器1は、いわゆるエアレスポンプ容器として用いることができる。さらに、外装体1Bに空気を取り込むための孔が形成されている場合には、収容物をくみ上げたときに、外装体1Bが変形することなく、収容部1Aのみ収縮することができる。なお、蓋1Cは、上述の構成に限定されない。蓋1Cは、上述したポンプ機構と口部とを有していなくてもよく、キャップ状であってもよい。
【0016】
{収容部}
次に、収容部1Aの構成の詳細について説明する。図5および図6に示すように、収容部1Aは、筒状胴部10と、注出部20と、扁平状の底部30とを含んでいる。
【0017】
(筒状胴部)
図7は、図5の筒状胴部をVII-VII線矢印方向から見た断面図である。図5から図7に示すように、筒状胴部10は、シート基部11と、溶着部12と、一方端部13と、他方端部14と、を有している。
【0018】
図8は、収容部の分解斜視図である。図5から図8に示すように、筒状胴部10は、一枚のシートSを湾曲または屈曲させて、シートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、第1の側端部SE1の反対に位置するシートSの第2の側端部SE2とが互いに接続されることで筒状に形成されている。シート基部11は、一枚のシートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、第2の側端部SE2との間に位置している。
【0019】
溶着部12は、帯状の外形を有している。溶着部12は、シートSを湾曲または屈曲させて、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに接続されることで形成されている。具体的には、溶着部12は、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とをシートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されている。厚さ方向とは、シートSの面方向DPに直交する方向である。なお、溶着部12の形成方法はこれに限定されない。第1の側端部SE1および第2の側端部SE2における、シートS(筒状胴部10)の最内層(後述する第1基材層)同士が互いに突き合わされ、溶着されてもよい。また、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2は、厚さ方向に互いに重ね合わさることなくそれぞれの先端縁が互いに溶着されていてもよい。
【0020】
このように、本実施形態において、筒状胴部10は一枚のシートSからなる。まず、シートSの詳細について説明する。
【0021】
第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSは、シートSの厚さ方向から見て、矩形状の外形を有している。ただし、シートSは、湾曲または屈曲させることで筒状胴部10を形成できるものであれば、厚さ方向から見たときの形状は限定されない。
【0022】
図9は、筒状胴部および底部を構成するシートの部分断面図である。図9に示すように、シートSは、第1基材層SL1を少なくとも有している。第1基材層SL1は、筒状胴部10の径方向において、筒状胴部10の中心側に位置している。すなわち、第1基材層SL1は、筒状胴部10の最内層である。
【0023】
第1基材層SL1は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートを主成分として含んでいる。リサイクル性の観点から、第1基材層SL1は、ホモポリエチレンテレフタレートを主成分として含んでいることが好ましい。また、溶着部12におけるシートS同士を比較的低いエネルギーで互いに溶着させる観点、および、超音波振動を効率良く伝達させる観点から、第1基材層SL1は、非晶性のポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。よって、筒状胴部10のリサイクル性、ならびに、溶着部12および後述する底部30におけるシートSの接着性の両観点から、第1基材層SL1は、非晶性のホモポリエチレンテレフタレートを主成分として含むことが最も好ましい。環境負荷低減の観点からは、第1基材層SL1におけるポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10の内側に収容物を収容させる場合には、第1基材層SL1におけるポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが、バージン原料からなることが好ましい。
【0024】
また、第1基材層SL1は、単層フィルムでもよいし、または、積層フィルムの一部であってもよい。第1基材層SL1を構成するフィルム(単層フィルムまたは積層フィルム)は、無延伸、一軸延伸、または、二軸延伸フィルムであってもよい。筒状胴部10および後述する底部30におけるシートS同士の接着性、ならびに、筒状胴部10と注出部20との接合強度をより向上させる観点から、第1基材層SL1は、無延伸または一軸延伸フィルムで構成されていることが好ましく、無延伸フィルムで構成されていることがより好ましい。第1基材層SL1が無延伸または一軸延伸のフィルムで構成されていれば、第1基材層SL1の表面の結晶化が抑制されているため、超音波溶着を実施する際においては他の層との溶着性が向上する。
【0025】
本実施形態において、シートSは、第2基材層SL2をさらに有している。第2基材層SL2は、第1基材層SL1に積層されている。第2基材層SL2は、第1基材層SL1から見て筒状に形成されたシートSの径方向外側に位置している。シートSは、第2基材層SL2を含んでいなくてもよい。シートSは、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に他の層をさらに含んでいてもよい。
【0026】
本実施形態において、第2基材層SL2は樹脂成分を主成分として含んでおり、たとえば、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含んでいる。リサイクル性を向上させる観点からは、第2基材層SL2は、ポリエステル系樹脂を主成分として含んでいることが好ましい。
【0027】
第2基材層SL2のポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンポリマー等が挙げられる。リサイクル性の観点から、第2基材層SL2のポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンであることが好ましい。
【0028】
第2基材層SL2のポリエステル系樹脂としては、筒状胴部10として使用できるものであれば特に限定されない。ポリエステル系樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG、グリコール成分の一部がシクロヘキサンジメタノール(CHDM)またはネオペンチルグリコール等で変性されたポリエチレンテレフタレート)、ポリ乳酸等が挙げられる。第1基材層SL1は、樹脂成分としてポリエステル系樹脂のみを含んでいることが好ましい。
【0029】
第2基材層SL2のポリエステル系樹脂は、リサイクル性の観点から、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。環境負荷低減の観点からは、第2基材層SL2におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10および後述する底部30の製造費用低減の観点からは、第2基材層SL2におけるポリエステル系樹脂は、バージン原料からなることも好ましい。
【0030】
第2基材層SL2は、単層フィルムであってもよいし、積層フィルムの一部であってもよい。第2基材層SL2を構成する単層フィルムまたは積層フィルムは、無延伸、一軸延伸、または、二軸延伸フィルムであってもよい。第2基材層SL2を構成するフィルムは、二軸延伸フィルムであることが好ましい。これにより、筒状胴部10を強靭に保ちつつ径方向厚さをより薄くできる。また、シートSが後述するバリア層BLを含む場合には、第2基材層SL2を構成するフィルムが二軸延伸フィルムであることにより、バリア層BLの割れなどを抑制できる。第2基材層SL2が積層フィルムの一部である場合、第2基材層SL2は、第1基材層SL1とともに積層フィルムの一層として構成されていてもよく、接着剤層などを介することなく直接第1基材層SL1に積層されていてもよい。第2基材層SL2は、ポリエステル系樹脂を主成分として含み、かつ、二軸延伸フィルムで構成されていることが特に好ましい。
【0031】
本実施形態において、シートSは、バリア層BLをさらに含んでいる。バリア層BLは、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1側に位置しているが、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に位置していてもよい。なお、シートSは、バリア層BLを含んでいなくてもよい。
【0032】
バリア層BLを構成する材料は特に限定されない。バリア層BLとしては、シリカバリア層もしくはアルミナバリア層などのセラミックバリア層、または、アルミバリア層などの金属バリア層などが挙げられる。本実施形態において、バリア層BLは、第2基材層SL2(具体的には第2基材層SL2を構成するフィルム)に蒸着により積層されている。
【0033】
本実施形態において、シートSは、第1接着剤層AL1をさらに含んでいる。第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置している。より具体的には、第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1とバリア層BLとの間に位置し、これらを互いに接合する。バリア層BLが第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していない場合には、第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1と第2基材層SL2とを互いに接合する。第1接着剤層AL1を構成する接着剤は特に限定されないが、ドライラミネート用接着剤を用いることが好ましい。ドライラミネート用接着剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0034】
本実施形態において、シートSは、第3基材層SL3をさらに有している。第3基材層SL3は、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に積層されている。第3基材層SL3は、第1基材層SL1および第2基材層SL2から見て筒状に形成されたシートSの径方向における外側に位置している。第3基材層SL3は、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していてもよい。
【0035】
なお、シートSは、第1基材層SL1と第3基材層SL3との間に他の層をさらに有していてもよい。シートSは、第2基材層SL2と第3基材層SL3との間に他の層をさらに有していてもよい。シートSは第3基材層SL3を含んでいなくてもよい。
【0036】
本実施形態において、第3基材層SL3は樹脂成分を主成分として含んでおり、たとえば、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂を主成分として含んでいてもよい。第3基材層SL3の樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、または、第2基材層SL2の主成分として採用可能なポリオレフィン系樹脂およびポリエステル系樹脂と同様のものが使用可能である。第3基材層SL3が、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1の反対側に積層されている場合、溶着部12におけるシートS同士の接着性の観点から、第3基材層SL3は、第1基材層SL1の主成分と同種の樹脂成分を主成分として含むことが好ましい。これにより、溶着部12(および後述する底部30の予備溶着部)において、第1基材層SL1と第3基材層SL3とが互いに溶着し、溶着部12においてシートS同士の接合強度をより向上させることができる。
【0037】
第3基材層SL3の主成分として採用可能なポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましく、非晶性のホモポリエチレンテレフタレートであることがさらに好ましい。環境負荷低減の観点からは、第3基材層SL3におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10の製造費用低減の観点からは、第3基材層SL3におけるポリエステル系樹脂は、バージン原料からなることも好ましい。
【0038】
第3基材層SL3は、単層フィルムでもよいし、または積層フィルムの一部であってもよい。第3基材層SL3を構成するフィルム(単層フィルムまたは積層フィルム)は、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、または、二軸延伸フィルムのいずれから構成されていてもよい。筒状胴部10におけるシートS同士の接着性(すなわち、溶着部12における第1基材層SL1と第3基材層SL3との溶着の容易さ)の観点から、第3基材層SL3は、無延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムで構成されていることが好ましく、無延伸フィルムで構成されていることがより好ましい。第3基材層SL3が無延伸または一軸延伸のフィルムで構成されていれば、第3基材層SL3の表面の結晶化が抑制されているため、超音波溶着を実施する際においては他の層との溶着性が向上する。第3基材層SL3は、ポリエステル系樹脂を主成分として含み、かつ、無延伸フィルムで構成されていることが特に好ましい。
【0039】
第3基材層SL3は、シートSの最外層であることが好ましく、少なくとも、溶着部12および底部30においてシートSの最外層であることが好ましい。
【0040】
本実施形態において、シートSは、第2接着剤層AL2をさらに含んでいる。第2接着剤層AL2は、第2基材層SL2と第3基材層SL3との間に位置しており、これらを互いに接合する。第2接着剤層AL2を構成する接着剤は特に限定されないが、ドライラミネート用接着剤を用いることが好ましい。ドライラミネート用接着剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0041】
シートSは、意匠性向上のための印刷層をさらに含んでいてもよい。印刷層は、筒状胴部10の最内層である第1基材層SL1より径方向外側に位置していれば、いずれの層間に位置していてもよい。たとえば第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に位置していてもよいし、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していてもよいし、第1基材層SL1から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していてもよい。印刷層は、第3基材層SL3から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していてもよいし、第3基材層SL3と第2基材層SL2との間に位置していてもよい。印刷層は、第3基材層SL3から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していることが好ましい。
【0042】
シートSは、溶着部12において印刷層を含まないことも好ましい。これにより、溶着部12の溶着時において印刷層が溶けて収容部1Aの美粧性が低下することを抑制できる。また、後述する底部30においてシートSが印刷層を含まないことも好ましい。これにより、底部30に係る溶着時において印刷層が溶けて収容部1Aの美粧性が低下することを抑制できる。
【0043】
印刷層は、たとえばインキからなる。インキとしては、たとえば油性インキ(溶媒に有機溶剤を用いた溶剤系インキを含む)、水性インキ(水分散系のエマルジョンインキを含む)、または、UV硬化型インキなどが挙げられる。
【0044】
シートSは、アンカーコート層をさらに含んでいてもよい。アンカーコート層は、印刷層と他の層との間に位置する。アンカーコート層は、印刷層と他の層との接着性を高める。アンカーコート層は従来公知のアンカーコート剤等により形成できる。
【0045】
シートSが印刷層を含む場合、印刷層にはさらに透明保護層が積層されていてもよい。透明保護層は、たとえばポリプロプレンフィルムなどの樹脂フィルムであってもよいし、透明インキからなる層であってもよい。
【0046】
シートSの合計厚さは、シートSを筒状に形成する観点および収容部1Aの筒状胴部10の容積が容易に変化するような剛性を有するように、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、75μm以下であることがさらに好ましく、50μm以下であることが最も好ましい。シートSの合計厚さの下限は特に限定されない。液体を収容する観点から、シートSの合計厚さはたとえば20μm以上であればよい。
【0047】
また、第1基材層SL1の厚さは、たとえば10μm以上150μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であることがより好ましい。第2基材層SL2の厚さは、たとえば5μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0048】
シートSが互いに積層された複数の層を含む場合、第1基材層SL1は、筒状胴部10の最内層であって溶着部12の溶着の際に必ず他の層と接着することになる観点から、第2基材層SL2より厚いことが好ましい。これにより、溶着部12における溶着の際に、第2基材層SL2に含まれる樹脂成分がシートS同士の溶着の強度に与える影響を小さくできる。当該影響をより小さくする観点から、第1基材層SL1の厚さは、第2基材層SL2の厚さの1.5倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、5倍以上であることがさらに好ましい。第1基材層SL1は、シートSにおいて最も厚い層であってもよい。なお、本明細書において、シートSおよびこれらを構成する層の厚さとは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSおよびこれらを構成する厚さをいい、シート基部11における、延在部113(詳細は後述)を構成する層の、筒状胴部10の径方向厚さに相当する。
【0049】
第3基材層SL3の厚さは、たとえば10μm以上150μm以下であることが好ましい。第3基材層SL3の厚さは、たとえば5μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。第3基材層SL3の厚さは、第1基材層SL1と同じであってもよい。これにより、第1基材層SL1を構成するフィルムと同じフィルムにて第3基材層SL3を構成することが可能となる。なお、第3基材層SL3の厚さは第1基材層SL1の厚さと異なっていてもよい。第3基材層SL3の厚さは、第1基材層SL1より厚いことも好ましい。第3基材層SL3の厚さが第1基材層SL1より厚いことで、シートSが第1基材層SL1側において凹状にカールしやすくなり、シートSの筒状化がより容易となる。第3基材層SL3は、シートSにおいて最も厚い層であってもよい。第3基材層SL3は、第2基材層SL2より厚いことが好ましい。
【0050】
次に、シート基部11および溶着部12の詳細について説明する。図10は、図5の筒状胴部をX-X線矢印方向から見た部分断面図である。図5図7および図10に示すように、シート基部11は、第1基端部111と、第2基端部112と、延在部113とを有している。
【0051】
第1基端部111は、シートSにおいて第2の側端部SE2と連続している部分である。第2基端部112は、シートSにおいて第1の側端部SE1と連続している部分である。第1基端部111および第2基端部112は、それぞれ溶着部12に沿って、筒状胴部10の一方端部13から他方端部14にかけて延びている(図5および図7参照)。
【0052】
第1基端部111および第2基端部112の平均厚さは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)と異なっている。
【0053】
第1基端部111および第2基端部112は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さより径方向厚さが厚い部分および薄い部分の両方を有していてもよいし、厚い部分のみまたは薄い部分のみから構成されていてもよい。たとえば、図10に示す断面視においては、第1基端部111の径方向厚さは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)より厚い。また、第2基端部112は、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)よりも径方向厚さが薄い部分と、厚い部分とを有している。
【0054】
延在部113は、シートSの面方向DP(筒状胴部10の周方向DC)において第1基端部111と第2基端部112との間に位置している部分である(図7参照)。延在部113のうち一方端部13近傍の部分は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、略C字状の外形を有している。本実施形態において、延在部113のうち、他方端部14の近傍部分は、軸方向DAから見た時に、底部30を構成するシートS(詳細は後述)の延びる方向に沿って延びている。筒状胴部10の径方向における延在部113の厚さは、筒状胴部10形成前のシートSの厚さと等しい。
【0055】
帯状の溶着部12は、上記シートSを湾曲または屈曲させて、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを上記シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されている。本実施形態においては、第1の側端部SE1の外周面と、第2の側端部SE2の内周面とが、互いに溶着されている(図7参照)。溶着部12は、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延びている(図5参照)。溶着部12は、一方端部13から他方端部14まで連続的に延びている。
【0056】
溶着部12は、第1先端縁121と、第2先端縁122と、溶着部外周面123と、溶着部内周面124とを有している。
【0057】
図10に示すように、第1先端縁121は、筒状胴部10の周方向DCにおける第1の側端部SE1の先端縁である。第1先端縁121は、第1基端部111と接合している。これにより、溶着部12の溶着面積が比較的大きくなる。ひいては、溶着部12に剥離の応力がかかったときに、当該応力が分散される。よって、溶着部12の溶着強度が向上する。
【0058】
なお、本実施形態では、第1先端縁121において、第1の側端部SE1の第1基材層SL1と、第1基端部111の第1基材層SL1との間に境界があるが、当該境界はなくてもよい。すなわち、第1の側端部SE1の第1基材層SL1と、第1基端部111の第1基材層SL1とが互いに溶融して周方向DCに連続していてもよい。
【0059】
さらに、第1先端縁121は、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置している。特に、本実施形態においては、第1の側端部SE1の外周面と、第2の側端部SE2の内周面とが、互いに溶着されることで溶着部12が形成される(図7参照)。したがって、第1先端縁121が、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していることにより、収容部1Aの収容物が第1先端縁121と接触する機会を低減できる。このとき、第1先端縁121の少なくとも一部が、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していればよい。しかしながら、図10に示すように、第1先端縁121の全部が、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していることが最も好ましい。
【0060】
また、第1の側端部SE1における第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1は、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内にて第1基端部111と接している。これにより、収容部1Aの収容物が第1の側端部SE1における第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1に接触しにくくなる。ひいては、収容物が第1層間部SB1に接触することによる第1基材層SL1と第2基材層SL2との層間剥離の発生を抑制できる。
【0061】
なお、図7を参照すると、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2との境界面が形成されているように模式的に示されている。しかしながら、本実施形態において実際には、図10を参照すると、第1の側端部SE1の第3基材層SL3と、第2の側端部SE2の第1基材層SL1とが互いに溶け合うことで、一体層MLが形成されている。このため、少なくとも、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とは、周方向DCに沿う境界面を明確には形成していない。一体層MLの詳細については後述する。
【0062】
第1先端縁121は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13から他方端部14まで延びている(図5参照)。
【0063】
図10に示すように、第2先端縁122は、周方向DCにおける第2の側端部SE2の先端縁である。第2先端縁122は、第2基端部112と接合している。これにより、溶着部12の溶着面積が比較的大きくなる。ひいては、溶着部12に剥離の応力がかかったときに、この応力が分散される。
【0064】
なお、本実施形態では、第2先端縁122において、第2の側端部SE2の第3基材層SL3と、第2基端部112の第3基材層SL3との間に境界があるが、当該境界はなくてもよい。すなわち、第2の側端部SE2の第3基材層SL3と、第2基端部112の第3基材層SL3とが互いに溶融して周方向DCに連続していてもよい。
【0065】
さらに、第2先端縁122は、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置している。これにより、第2先端縁122が外部の物体に接触する機会を低減できる。このとき、第2先端縁122の少なくとも一部が、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していればよい。しかしながら、図10に示すように、第2先端縁122の全部が、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していることが最も好ましい。
【0066】
また、第2の側端部SE2における第2基材層SL2と第3基材層SL3との第2層間部SB2は、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内にて第2基端部112と接している。これにより、筒状胴部10の外側に位置する外装体1Bなどの他の物体が第2層間部SB2に接触しにくくなる、ひいては、上記他の物体が第2層間部SB2に接触することにより第2基材層SL2と第3基材層SL3との層間剥離の発生を抑制できる。
【0067】
第2先端縁122は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13から他方端部14まで延びている(図5参照)。
【0068】
次に、一体層MLについて説明する。図10に示すように、一体層MLは、第1の側端部SE1の第3基材層SL3と、第2の側端部SE2の第1基材層SL1とが互いに溶け合うことで、一つの層として形成された層である。このため、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に接続される。
【0069】
一体層MLは、第1基端部111の第1基材層SL1と溶着している。具体的には、一体層MLが、第1基端部111の第1基材層SL1と境界を形成せず、第1基端部111の第1基材層SL1と周方向DCにおいて連続している。これにより、一体層MLが第1基端部111の第1基材層SL1と強固に接続される。また、一体層MLは、第2基端部112の第3基材層SL3と溶着している。具体的には、一体層MLが、第2基端部112の第3基材層SL3と境界を形成せず、第2基端部112の第3基材層SL3と周方向DCにおいて連続している。これにより、一体層MLと第2基端部112の第3基材層SL3とが互いに強固に接続される。
【0070】
図10に示すように、溶着部外周面123は、筒状胴部10の径方向外側を向いている。溶着部外周面123は、第2の側端部SE2で構成されている。溶着部外周面123には、凹凸が形成されている。すなわち、第2の側端部SE2には、径方向外側において凹凸が形成されている。溶着部外周面123に凹凸が形成されていることで、触覚による識別性を高めることができるとともに、筒状胴部10を把持したときに筒状胴部10が滑り落ちにくくなる。
【0071】
溶着部12においては、前記筒状胴部10の一方端部13から他方端部14にかけて、前記溶着部外周面123の前記周方向DCの全体に凹凸が形成されている。そして、溶着部12(第2の側端部SE2)において、第2基材層SL2と第3基材層SL3との第2層間部SB2は、溶着部外周面123の凹凸の形状に沿うように延びている(図10参照)。
【0072】
本実施形態において、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125は、筒状胴部10の径方向から見て、格子状に形成されている(図5参照)。ただし、筒状胴部10の径方向から見たときの凸部125の形状は特に限定されない。溶着部外周面123には、凹部が格子状に形成されていてもよい。溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125または凹部が、格子状に形成されていることにより、筒状胴部10の周方向DCおよび軸方向DAに沿う方向のいずれにおいても、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2との溶着面積を大きくすることができる。
【0073】
凸部125または凹部は、筒状胴部10の径方向から見て、複数のドット状に形成されていてもよいし、互いに平行な複数の線状に形成されていてもよい。また、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125の高さ寸法は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さ(113の厚さ)の寸法より大きくなっている。そして、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125の高さ寸法は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さ(延在部113の厚さ)の寸法の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.5倍以上がさらに好ましい。凸部125の高さ寸法が大きくなるほど、凹凸の形状に沿うように延びている第2層間部SB2の周方向DCに沿う方向における長さが長くなり、溶着部12にかかる剥離応力が分散され、溶着部12の強度が向上する。
【0074】
一方、溶着部内周面124は、筒状胴部10の径方向内側を向いている。溶着部内周面124は、周方向DCに沿うように滑らかである。
【0075】
上記のような溶着部外周面123および溶着部内周面124を有するため、溶着部12は、径方向厚さが比較的厚い部分(凸部125が位置している部分)と、径方向厚さが比較的薄い部分とを有している。溶着部12において、径方向厚さが最も厚い部分の径方向厚さ寸法は、たとえば、シート基部11の延在部113の径方向厚さ寸法(すなわち、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSの厚さ寸法)の、1.5倍超かつ3倍以下である。溶着部12において、径方向厚さが最も薄い部分の径方向厚さ寸法は、たとえば、シート基部11の延在部113の径方向厚さ寸法(すなわち、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSの厚さ寸法)の0.3倍以上1.5倍以下である。
【0076】
なお、本実施形態において、凹凸形状が溶着部外周面123に形成されていたが、溶着部内周面124に凹凸形状が形成されていてもよい。溶着部内周面124に凹凸形状が形成される場合、当該凹凸形状の凸部は、上述した凸部125と同様の構成を有することができる。またこの場合、溶着部12(第1の側端部SE1)において、第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1が、溶着部内周面124の凹凸の形状に沿うように延びていてもよい。さらにこの場合、溶着部外周面123は、周方向DCに沿うように滑らかであってもよい。
【0077】
筒状胴部10は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13において、注出部20と接合している。一方端部13は、注出部20と接合されることで、可撓性を有さず、その外形形状を維持可能に構成されていてもよい。一方端部13は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、円環状の外形を有している。一方端部13は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、楕円環状または多角形環状の外形を有していてもよい。
【0078】
筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13は、当該軸方向DAにおけるシート基部11の一方端部と、溶着部12の一方端部とからなる。一方端部13においても、第1先端縁121は、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置することが好ましい。これにより、一方端部13の第1先端縁121近傍において筒状胴部10の内表面が比較的滑らかになり、筒状胴部10の内表面を注出部20に容易に接合できる。
【0079】
また、一方端部13において、第2先端縁122も、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していることも好ましい。これにより、一方端部13の第2先端縁122近傍において筒状胴部10の外表面が比較的滑らかになり、注出部20の少なくとも一部を筒状胴部10の外周側と接合させる場合には、筒状胴部10の外表面を注出部20に容易に接合できる。
【0080】
また、本実施形態においては、一方端部13においても、溶着部内周面124が周方向DCに沿うように滑らかである。このため、一方端部13において筒状胴部10の内周面と注出部20との接合が容易になる。
【0081】
筒状胴部10の軸方向DAにおける他方端部14は、軸方向DAに直交する方向(具体的には後述する第2方向)に沿って延びている。筒状胴部10は、他方端部14において底部30によって閉塞されている。他方端部14は、底部30に沿うように延びている。他方端部14において、筒状胴部10は折れ曲がっている。ただし、他方端部14の形状はこれに限定されない。他方端部14は、底部30の形状によって、様々な形状を有することができる。底部30の詳細な構成は後述する。
【0082】
{注出部}
図11は、複合容器の注出部近傍を示す部分拡大図である。図12は、図11の複合容器をXII-XII線矢印方向から見たときの部分断面図である。図13は、図12の領域XIIIを示す部分的な拡大断面図である。
【0083】
図5図6図8図11図13に示すように、注出部20は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13に接合されている。注出部20は、筒状胴部10内の収容物(収容部1Aに収容された収容物)を注出可能に構成されている。本実施形態において、注出部20は、筒状胴部10とともに収容物を収容可能な空間を有している。
【0084】
注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向内側に位置している。注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向外側に位置していてもよい。注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向外側および径方向内側の両方に位置していてもよい。
【0085】
注出部20は、注出口21と、肩部22と、延出部23とを有している。注出口21は、収容部1Aに収容された収容物を注出するために設けられている。注出口21は、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延び、略筒状の外形を有している。注出口21は、蓋1Cを取り付け可能に構成されている。注出口21は、たとえば蓋1Cと螺合可能に形成される。本実施形態において、注出口21の外周面は雄ねじ状の外形を有している。
【0086】
肩部22は、上記軸方向から見た時に、注出口21を中心として、注出口21から、筒状胴部10の径方向に拡がっている。肩部22は、軸方向DAから見たときに、延出部23に対して外側(筒状胴部10の径方向における外側)に張り出している。
【0087】
本実施形態において、肩部22は、上記軸方向DAから見たときの外形が円形状であるが、楕円形状または多角形状であってもよい。また、本実施形態において肩部22は、略円盤状の外形を有しているが、円錐台状の外形を有していてもよい。
【0088】
肩部22は、第1突出部221と、第2突出部222とを有している。第2突出部222は、第1突出部221より下方に位置している。第1突出部221および第2突出部222は、筒状胴部10の径方向に突出している。
【0089】
本実施形態において、第1突出部221および第2突出部222は、筒状胴部10の周方向に沿って延在している。より具体的には、第1突出部221および第2突出部222は、軸方向DAから見た時にそれぞれ環状の外形を有するように延びており、さらに具体的には円環状の外形を有するように延びている。なお、第1突出部221および第2突出部222は、環状の外形を有するように延びていなくてもよい。たとえば、複数の第1突出部221が、互いに離隔しつつ筒状胴部10の周方向に沿って並ぶように配置されていてもよく、複数の第2突出部222が、互いに離隔しつつ筒状胴部10の周方向に沿って並ぶように配置されていてもよい。
【0090】
肩部22の厚みは特に限定されないが、たとえば0.5mm以上2.0mm以下である。なお、肩部22の厚みとは、肩部22の外表面から内表面までの最短の厚みである。
【0091】
延出部23は、肩部22から筒状胴部10の軸方向DAに沿って下方に延出している。本実施形態において、延出部23は、上記軸方向DAから見て、環状の外形を有しており、具体的には円環状の外形を有している。
【0092】
延出部23には、筒状胴部10の一方端部13が接合されている。本実施形態において、筒状胴部10の一方端部13は、延出部23の外周面に接合されている。また、筒状胴部10の一方端部13は、径方向に張り出した肩部22に下方から接している。これにより、注出部20に対する筒状胴部10の位置決めが容易となる。
【0093】
なお、一方端部13と延出部23との接合状態は上記の状態に限定されない。筒状胴部10の筒状胴部10の一方端部13は、延出部23の内部に埋め込まれるように接合されていてもよいし、延出部23の内周面に接合されてもよい。
【0094】
注出部20は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂組成物からなる。収容部1Aのリサイクル性の観点から、注出部20は、ホモポリエチレンテレフタレートを含む樹脂組成物からなることが好ましい。また、注出部20の成形性の観点から、注出部20は非晶性のポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。しかしながら、注出部20は、結晶性のポリエチレンテレフタレートであってもよい。収容部1Aのリサイクル性の観点から、注出部20を構成する樹脂組成物は、樹脂成分としてポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートのみを含んでいることが好ましい。注出部20を構成する樹脂組成物は、従来公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。また、環境負荷低減の観点からは、注出部20を構成する樹脂組成物のポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが、リサイクル原料またはバイオマス由来の原料からなることが好ましいが、注出部20の製造費用低減の観点からは、当該樹脂組成物におけるポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートは、バージン原料からなることも好ましい。
【0095】
注出部20を成形するために使用される、ポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(IV)の値は、JIS規格(K7390-1:2015)に準拠して測定したときに、たとえば0.60以上0.90以下であればよい。IV値が0.60以上0.90以下であれば、注出部20の成形が容易となる。
【0096】
(底部)
図14は、図5の底部をXIV-XIV線矢印方向から見た模式的な断面図である。図15は、底部が形成される直前のシートの状態を示す模式的な断面図である。図15においては、図14と同様の断面視にて断面図が示されている。
【0097】
図5図6図14および図15に示すように、本実施形態において、底部30は、扁平状の外形を有している。そして、底部30は、シートSの第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに接続されることで筒状に形成されたシートS(特に図15参照)の内周面同士を第1方向D1に付き合わせてさらに溶着されることで形成されている。第1方向D1は、筒状胴部10の軸方向DAに直交する方向である。これにより、底部30を、筒状胴部10とともに1つの部材(シートS)で形成することができる。ひいては、収容部1Aを製造する際の樹脂使用量を低減できる。なお、本明細書において、上記のように筒状に形成されたシートSは、筒状体CBという場合がある。
【0098】
底部30は可撓性を有していてもよい。本明細書において底部30が説明される際は、底部30の状態に明記がない限りおいて、第2方向D2に略平行に延びた状態の底部30が説明される。第2方向D2は、上記軸方向DAおよび第1方向D1の両方に直交する方向である。
【0099】
底部30は、第1方向D1の一方側を向く平坦な第1面31と、第1方向D1の他方側を向く凹凸状の第2面32とを有している。なお、「平坦な」第1面31とは、第2面32と比較してより平坦であることを意味する。
【0100】
底部30は、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに溶着することで形成された予備溶着部33と、シートSのうち予備溶着部33と第1方向D1においてさらに溶着される部分である対向部34とを有している。予備溶着部33は、軸方向DAにおいて溶着部12と隣接している(図5および図6参照)。
【0101】
本実施形態においては、予備溶着部33が、平坦な第1面31の一部を構成する。これにより、筒状胴部10の溶着部12と予備溶着部33との境界部分も平坦となり、当該境界部分近傍にピンホールが発生することを抑制できる。一方、底部30の第2面32が凹凸状に構成されることで、シートSの内周面同士をさらに溶着させる際においては、第2面32の凹部において比較的強い応力がかけられるため、シートSの内周面同士を強固に溶着させることができる。
【0102】
ここで、本実施形態においては、筒状胴部10の第1基端部111および第2基端部112の平均厚さがシートSと異なっている場合がある(図5図7および図10参照)。しかしながら、予備溶着部33が平坦な第1面31の一部を構成することで、筒状胴部10の他方端部14のうち第1基端部111および第2基端部112が位置する部分においては、ピンホールの発生が抑制された状態となっている。
【0103】
また、本実施形態のように、シートSが、強度向上等のため第2基材層SL2として二軸延伸フィルムを含む場合には、シートSがポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートからなる無延伸または一軸延伸フィルムから構成された基材層のみを含む場合に比べて、底部30の形成の際に比較的高いエネルギーをシートSに与える必要がある。このとき、予備溶着部33は、(後述する第1溶着器具によって)平坦な第1面31の一部を構成するように形成されるため、シートSに高いエネルギーを与えても、当該境界部分近傍におけるピンホールの発生が抑制される。
【0104】
本実施形態においては、図14に示すように、底部30が、第1方向D1の上記一方側を向く面の全体が平坦な第1面31となるように構成されている。また、底部30は、第1方向D1の上記他方側の面が、少なくとも第2方向D2における全体に亘って、凹凸状の第2面32を構成する。さらに本実施形態においては、底部30は、第1方向D1の上記他方側の面の全体が凹凸状の第2面32である。これにより、シートSの内周面同士をさらに溶着させる際においては、第2面32の凸部において比較的強い応力がかけられる範囲が拡がるため、シートSの内周面同士を強固に溶着させることができる。なお、底部30は、第1方向D1における上記他方側の面が軸方向DAの全体に亘って凹凸状の第2面32を構成していなくてもよい。
【0105】
本実施形態において、底部30は、中央部35と、一対の折込部36とをさらに有している。中央部35は、底部30において第2方向D2の中央に位置している。中央部35は、一対のシートSのみが互いに溶着されることで形成されている。一対の折込部36は、第2方向D2において中央部の両側にそれぞれ位置している。折込部36は、筒状に形成されたシートS(図15に示される筒状体CB)が内側に折り込まれることで形成されている。これにより、筒状胴部10は、互いに対向する一対の側襠部15をさらに有することができる(図5および図6参照)。一対の側襠部15が形成されていることにより、底部30が扁平状であっても、収容部1Aが液体状の収容物を収容したときに筒状胴部10が第1方向D1および第2方向D2の両方に膨らむ(図3および図4参照)。よって、外装体1Bと収容部1Aとの離隔距離を小さくすることができる。ひいては、外装体1Bの内部空間の空きスペースを低減できる。
【0106】
なお、本実施形態において、底部は上述の構成に限定されない。ここで、本開示の一実施形態の各変形例に係る複合容器について説明する。各変形例に係る複合容器は、主に、底部の構成が本開示の一実施形態に係る複合容器1と異なる。このため、各変形例の説明において、本開示の一実施形態に係る複合容器1と同様の構成およびその効果については、説明を繰り返さない。
【0107】
図16は、本開示の一実施形態の第1変形例に係る複合容器を示す斜視図である。図17は、本開示の一実施形態の第1変形例に係る複合容器の収容部を示す斜視図である。
【0108】
図16および図17に示すように、第1変形例における収容部1AXにおいて、底部30Xは、一対の折り込み部を有していない。すなわち、第1変形例における底部30Xは、筒状に形成されたシートSが、内側に折り込まれることなく、第1方向D1に付き合わせてさらに溶着されることで形成される。これにより、収容部1AXは、いわゆるチューブ容器のような形状を有する。本変形例によれば、底部30Xをより簡易な構成とすることができる。
【0109】
なお、第1変形例においては、筒状胴部10Xが側襠部を有していない。このため、本開示の一実施形態における収容部1Aと比較して、第1変形例における収容部1AXは、収容物を収容したときに第2方向D2に膨らみにくくなっている。また、外装体1Bが取り付けられている状態においては、底部30Xが外装体1Bとの接触により湾曲し、底部30Xの第2方向D2における中央領域が上方に変位し得る。このため、第1変形例においては、収容部1Aと外装体1Bとの間に比較的大きな空隙が形成され得る。
【0110】
そこで、第1変形例における収容部1Aは、注出部20側とは反対側の端部(すなわち、底部30および筒状胴部10の底部30近傍部分)を折り畳むことで形成された底襠部をさらに有していてもよい。これにより、収容部1Aと外装体1Bとの間の離隔距離を比較的小さくし得る。
【0111】
また、底部は、シートSによって形成されていなくてもよい。図18は、本開示の一実施形態の第2変形例に係る複合容器を示す斜視図である。図19は、本開示の一実施形態の第2変形例に係る複合容器の収容部を示す斜視図である。
【0112】
図18および図19に示すように、第2変形例における収容部1AYにおいて、底部30Yは、略円盤状の外形を有している。第2変形例における底部30Yの周縁部において、筒状胴部10Yの他方端部14Yが、底部30Yに溶着されている。第2変形例においては、収容部1AYと外装体1Bとの間の空隙をより一層小さくすることができる。
【0113】
なお、底部30Yは、注出部20を構成し得る樹脂組成物によって構成され得る。また、底部30Yは、注出部20を筒状胴部10Yの一方端部13に接合させる後述の方法と同様の方法にて筒状胴部10Yの他方端部14に接合させることができる。
【0114】
{外装体}
次に、本開示の一実施形態における外装体1Bの構成の詳細について説明する。図1から図6および図11から図13に示すように、外装体1Bは、筒状胴部10の外側に位置している。外装体1Bは、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延びている。外装体1Bは、注出部20を支持している。外装体1Bは、肩部22の外周面上に位置している(図12および図13参照)。また、上述したように、肩部22が、軸方向から見たときに延出部23に対して外側に張り出していることで、外装体1Bが筒状胴部10の一方端部13から離隔する。これにより、複合容器1が地面に落下するなどして外装体1Bに衝撃が加えられたときに、その衝撃が筒状胴部10に伝わることが抑制される。ひいては、筒状胴部10の厚みをより薄くすることができる。
【0115】
本実施形態において、外装体1Bは、注出部20に対して着脱可能に取り付けられている。これにより、外装体1Bに対して、収容部1Aを容易に交換可能とすることができる。すなわち、外装体1Bと肩部22とは互いに接合されていない。具体的には、注出部20に取り付けられた外装体1Bを注出部20に対して下方に引き抜くことで(図6参照)、外装体1Bを注出部20(収容部1A)から脱離させることができる。これにより、収容部1Aに収容された収容物を全て使い切った後、新たな収容部1Aを外装体1Bに付け替えることで、これを新たな複合容器1として使用することができる。なお、外装体1Bは、注出部20と接合されていてもよい。
【0116】
そして、注出部20における第1突出部221が、外装体1Bによって下方から支持されている。このように、簡易な構成により、外装体1Bによって注出部20を支持できる。また、注出部20における第2突出部222は、外装体1Bに圧入している。これにより、外装体1Bが注出部20(収容部1A)に対して相対的に上下方向に変位することが抑制される。
【0117】
図20は、外装体の分解斜視図である。図1から図6図11から図13、および、図20に示すように、外装体1Bは、周壁部40と、底壁部50とを有している。
【0118】
(周壁部)
周壁部40の形状は特に限定されないが、本実施形態においては筒状の外形を有しており、具体的には円筒状の外形を有している。周壁部40は、筒状胴部10の外側を取り囲むように位置している。周壁部40は、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延びている。
【0119】
本実施形態において、周壁部40は、筒状胴部10(より具体的にはシートSを筒状にすることで形成された筒状体CB)と略同様の構成を有する。すなわち、周壁部40も、筒状胴部10と同様に、一枚のシートSaを湾曲または屈曲させて、シートSaの第1の側端部SEa1と、シートSaの第2の側端部SEa2とが互いに接続されることで、筒状に形成されている。また、上記シートSaは、シートSの構成と同様の構成を有することができる。
【0120】
ただし、外装体1Bが収容部1Aを支持するため、周壁部40の剛性は、筒状胴部10の剛性より大きいことが好ましい。このため、周壁部40の厚さは、筒状胴部10の厚さよりも厚いことが好ましく、周壁部40を構成するシートSaの厚さも、筒状胴部10を構成するシートSより厚いことが好ましい。周壁部40を構成するシートSaの厚さは、たとえば100μm以上300μm以下である。また、シートSaに含まれる第1基材層の厚さは、たとえば10μm以上300μm以下であることが好ましく、シートSaに含まれ得る第2基材層の厚さは、たとえば5μm以上200μm以下であることが好ましく、シートSaに含まれ得る第3基材層の厚さは、たとえば10μm以上300μm以下であることが好ましい。
【0121】
周壁部40は、上端部41と下端部42とを有する。上端部41が、注出部20(具体的には第1突出部221)を支持している。外装体1Bと収容部1Aとが超音波溶着により互いに接合される場合には、上端部41の全周にわたって、または、上端部41の一部分にスポット的に、収容部1Aが溶着される。下端部42には、底壁部50が接合されている。すなわち、周壁部40は、底壁部50から起立している。
【0122】
なお、周壁部40は、シートSaを筒状に形成することで構成されていなくてもよく、たとえば成形体であってもよい。周壁部40が成形体である場合、周壁部40は、リサイクル性の観点からポリエステル系樹脂を樹脂成分として含む樹脂組成物で構成されていてもよいし、その他の樹脂成分を含む樹脂組成物で構成されてもよく、金属で構成されていてもよい。周壁部40は、紙または金属を筒状に形成で構成されていてもよい。また、周壁部40には、収容部1Aに収容された収容物のくみ上げ時に空気を内部に取り込むための孔が形成されていてもよい。
【0123】
(底壁部)
底壁部50は、収容部1Aより下方に位置している。このため、収容部1Aは、注出部20を支持した状態で外装体1Bを平面状の載置面に載置したときに、載置面より上方に位置するように構成されている。これにより、収容部1Aが載置面に接触することなく、複合容器1を外装体1Bによって安定的に載置することができる。
【0124】
なお、外装体1Bは、底壁部50を有していなくてもよい。この場合、周壁部40の下端部42の下縁の全体が、収容部1Aより下方に位置していることが好ましい。これにより、外装体1Bが底壁部50を有していなくても、注出部20を支持した状態で外装体1Bを平面状の載置面に載置したときに、下端部42(外装体1B)が載置面に接する。結果として、収容部1Aは、載置面より上方に位置するように構成され得る。また、下端部42側の開口は、収容部1Aに収容された収容物のくみ上げ時に空気を内部に取り込むための孔として機能できる。
【0125】
なお、底壁部50は、リサイクル性の観点からポリエステル系樹脂を樹脂成分として含む樹脂組成物で構成されていてもよいし、その他の樹脂成分を含む樹脂組成物で構成されてもよい。外装体1Bは、紙または金属で構成されていてもよい。また、底壁部50には、収容部1Aに収容された収容物のくみ上げ時に空気を内部に取り込むための孔が形成されていてもよい。
【0126】
[収容物入りの複合容器]
複合容器1は、上述したように、収容部1Aに収容物を収容可能である。収容物は特に限定されないが、たとえば、蓋1Cのポンプ機能によってくみ上げ可能な液体または粘体である。収容物の具体例としては、化粧料、食品、医薬品、または、口腔用組成物などが挙げられる。当該収容物は、ポリオレフィン系樹脂に吸着可能な油溶性化合物、油性成分、揮発性油性成分、香料または甘味料のうち少なくとも1つ、または、界面活性剤を含有してもよい。
【0127】
本実施形態に係る複合容器1において、収容物と直接接触する収容部1Aの樹脂(筒状胴部10を構成するシートSの第1基材層SL1および注出部20)がポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートであるため、ポリオレフィン系樹脂に吸着可能な上記成分が収容部1Aに吸着したり、収容部1Aがこれらの成分を吸収して膨潤することを比較的抑制できる。また、溶着部12が強固に接合されているため、界面活性剤が溶着部12から外部へ漏出することを抑制できる。
【0128】
油溶性化合物としては、たとえば、DL-α-トコフェロール、D-δ-コフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、コハク酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸DL-α-トコフェロール、リノール酸DL-α-トコフェロール等のトコフェロール類;3-メチル-4-イソプロピルフェノール(別名イソプロピルメチルフェノール)等が挙げられる。油溶性化合物は、たとえば、上記収容物が医薬品、食品、化粧料である場合に、上記収容物に含まれる。上記トコフェロール類は、いわゆるビタミンEおよびその誘導体であり、老化防止作用、末梢血管拡張作用、血行促進作用等を期待して上記収容物に配合される。3-メチル-4-イソプロピルフェノールは、殺菌剤、防腐剤として、アクネ化粧料等の化粧料および医薬品等に配合される。
【0129】
油性成分としては、たとえば、トリアシルグリセロール;ジアシルグリセロール;菜種油、アブラナ油、ごま油、ひまわり油、コーン油、米油、ぶどう油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル等の天然油脂類;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル-2-エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル等の合成油性成分;および、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成することが可能なシリコーン樹脂、シリコーンゴム等の、シリコーン類が挙げられる。これらの油性成分は、たとえば、収容物がマヨネーズ等の食品、化粧料である場合に、上記収容物に含まれる。
【0130】
揮発性油性成分としては、比較的低分子量のシリコーン油、比較的低分子量の炭化水素油、エーテル油等が挙げられる。シリコーン油としては、直鎖状シリコーンまたは環状シリコーンが挙げられる。シリコーン油としては、具体的には、鎖状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。鎖状ジメチルポリシロキサンとしては、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、直鎖のものとしては、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等が挙げられ、分岐鎖のもとしては、メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等が挙げられる。環状ジメチルポリシロキサンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。炭化水素としては、イソドデカン、イソトリデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等が挙げられ、エーテル油としては、エチルパーフルオロブチルエーテル等が挙げられる。これらの揮発性油性成分は、主に、収容物が日焼け止め水中油型乳化化粧料などの化粧料である場合に、上記収容物に含まれる。
【0131】
香料としては、たとえば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ピメント油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、フェンネル油、珪藻油、バジル油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー、ナツメグ等の天然香料もしくはこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料;カンファー、メントール、カルボン、ベンジルサクシネート、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、メチルオイゲノール、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N-置換-パラメンタン-3-カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート、オシメン、n-デシルアルコール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、エチルリナロール、ワニリン、ベンズアルデヒド、等の単品香料;および、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等が挙げられる。これらの香料は、たとえば、上記収容物が口腔用組成物である場合に、上記収容物に含まれる。また、香料は、わさび、からし、マスタード等の食品の香気成分として上記収容物に含まれるものであってもよい。
【0132】
甘味料としては、たとえば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これらの甘味料は、たとえば、上記収容物が口腔用組成物である場合に、上記収容物に含まれる。
【0133】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、N-アシルサルコシン酸、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、N-アシルグルタミン酸塩、硫酸化油、POE-アルキルエーテルカルボン酸、POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、および、カゼインナトリウム等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム)、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE -アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、および、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。両性界面活性剤としては、イミダゾリン系両性界面活性剤およびベタイン系界面活性剤等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルキロールアミド、および、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0134】
[収容物入りの複合容器の製造方法]
次に、本開示の一実施形態に係る収容物入りの複合容器1の製造方法について説明する。図21は、本開示の一実施形態に係る収容物入りの複合容器の製造方法を示すフロー図である。図21に示すように、本実施形態に係る収容物入りの複合容器1の製造方法は、シート準備工程S1と、重ね合わせ工程S2と、筒状体形成工程S3と、注出部接合工程S4と、底部形成工程S5と、外装体準備工程S6と、外装体取付工程S7と、収容物充填工程S8と、蓋取付工程S9とを備えている。
【0135】
シート準備工程S1においては、複数の層を互いに積層することで、シートSを準備する。たとえば、単層フィルムからなる第1基材層SL1と、バリア層BLが蒸着された単層フィルムからなる第2基材層SL2とを、ドライラミネートにより第1接着剤層AL1で接合するとともに、第2基材層SL2と単層フィルムからなる第3基材層SL3とを、ドライラミネートにより第2接着剤層AL2で接合することで、シートSを準備してもよい。第1基材層SL1、第2基材層SL2および第3基材層SL3を含む市販の積層フィルムを準備してもよい。
【0136】
図22は、重ね合わせ工程および筒状体形成工程におけるシートを示す模式的な図である。図22においては、図7の断面視方向に対応する方向からシートSを図示している。図22に示すように、重ね合わせ工程S2においては、準備されたシートSが、筒状に形成されつつ、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに重ね合わされる。
【0137】
筒状体形成工程S3においては、筒状に形成されたシートSの径方向内側および径方向外側のうち一方側に位置させた、超音波ホーン6Aと、径方向内側および径方向外側のうち他方側に位置させたアンビル6Bとにより、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2を挟み込むことでこれらを互いに超音波溶着させることにより、筒状体CBを形成する。筒状体形成工程S3においては、溶着部12および底部30の予備溶着部33が形成される(図6図7および図14等参照)なお、本明細書および図中において、筒状体CBのうち、筒状胴部10と同一部分または相当部分には同一符号を付して説明される。
【0138】
このとき、図22に示すように、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2は、超音波ホーン6Aからの超音波により振動されつつ、超音波ホーン6Aおよびアンビル6BによりシートSの厚さ方向に加圧される。本実施形態においては、超音波ホーン6AがシートSの径方向外側に位置し、アンビル6BがシートSの径方向内側に位置している。なお、超音波ホーン6AがシートSの径方向内側に位置し、アンビル6BがシートSの径方向外側に位置してもよい。
【0139】
超音波ホーン6Aおよびアンビル6Bの少なくとも一方は、シートSを挟み込む際にシートSに押し付けるための凹凸形状61を有している。本実施形態においては、超音波ホーン6Aのみが凹凸形状61を有している。なお、超音波ホーン6Aおよびアンビル6Bの両方が当該凹凸形状を有していてもよいし、アンビル6Bのみが凹凸形状を有していてもよい。
【0140】
本実施形態においては、凹凸形状61を有する超音波ホーン6Aが、筒状に形成されたシートSの径方向外側に位置し、アンビル6Bが、筒状に形成されたシートSの径方向内側に位置する。このため、溶着部外周面123に、超音波ホーン6Aの凹凸形状61に沿うように凹凸が形成される(図10参照)。なお、凹凸形状61を有する超音波ホーン6Aが、シートSの径方向内側に位置し、アンビル6Bが、シートSの径方向外側に位置してもよい。
【0141】
本実施形態においては、この凹凸形状61の凸部611により、第2の側端部SE2が、複数の箇所において局所的に第1の側端部SE1に押し込まれる。これにより、溶着部12および予備溶着部33において、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2の樹脂成分が互いに溶け合いやすくなる(図7および図15参照)。ひいては、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に溶着される。より具体的には、溶着部12において、一体層MLが容易に形成される(図10参照)。
【0142】
図22に示すように、凹凸形状61は、筒状に形成されたシートSの径方向から見て第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の全体と重なるように位置する。これにより、本実施形態においては、溶着部12において、周方向DCの全体に凹凸が形成される。
【0143】
また、筒状に形成されたシートSの径方向から見て、筒状に形成されたシートSの周方向における凹凸形状61の幅寸法は、シートSにおいて第1の側端部SE1および第2の側端部SE2が互いに重なっている領域の幅寸法より大きいことが好ましい。これにより、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2が互いに重なっている領域の幅寸法の長さが設計寸法から変化したり、超音波ホーン6Aおよびアンビル6Bの位置ずれが生じた場合においても、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2をより確実に互いに溶着させることができる。
【0144】
図23は、本実施形態に係る収容物入りの複合容器の製造方法に使用される超音波ホーンを、アンビルとの対向方向から見た平面図である。図24は、図23の超音波ホーンをXXIV-XXIV線矢印方向から見た断面図である。
【0145】
図23および図24に示すように、凹凸形状61の凸部611の高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法より大きいことが好ましい。高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法の1.1倍以上でことがより好ましく、1.2倍以上であることがさらに好ましく、1.5倍以上であることが最も好ましい。
【0146】
凸部611にて第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の重ね合わせた部分を局所的に加圧することで、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2との重ね合わせ面に、超音波による摩擦熱がかかりやすくなる。そして、高さ寸法DHがシートSの厚さの寸法より大きければ、溶融したシートSの樹脂成分が凸部611間に流れ込むとともに、シートSにおいて凸部611と当接する部分においては高い応力をかけることができる。よって、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に溶着できる。また本実施形態においては、容易に一体層MLを形成できる。
【0147】
また、当該高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法の3倍以下であることが好ましい。高さ寸法DHが3倍以下であれば、凸部611がシートSを貫通することを抑制できる。高さ寸法DHは、たとえば200μm程度である。
【0148】
複数の凸部611の各々の形状は特に限定されないが、たとえば、略四角錐状であることが好ましい。また、複数の凸部611は、超音波ホーン6Aとアンビル6Bとの対向方向から見て、一方向およびこれに直交する方向の各々に沿って並ぶように位置している。これにより、溶着部12の凸部125が、格子状に形成される。
【0149】
複数の凸部611の頂点同士の離隔距離の寸法DWは、0.4mm以上2.0mm以下であることが好ましい。離隔距離の寸法DWが0.4mm以上であれば、シートSの樹脂成分がより流れこみやすくなる。離隔距離の寸法DWが2.0mm以下であれば、凸部611同士の間に流れ込んだシートSの樹脂成分が凹凸形状61から漏出することを抑制できる。なお、凹凸形状61は、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の全体と重なるように形成されていなくてもよいが、これらの全体と重なるように形成されていることが好ましい。
【0150】
なお、凹凸形状61は、上述の形状に限定されない。図25は、本実施形態において凹凸形状の凸部が互いに接続されている超音波ホーンを示す平面図である。図25に示すように、上記対向方向から見て、複数の凸部611はそれぞれ最も近くに位置する凸部611と繋がっていてもよい。すなわち、凸部611が、凹凸形状61全体に拡がる格子状に形成されていてもよい。この場合、凹凸形状61において凸部611で構成された格子の各交差点611Cは、0.4mm以上2.0mm以下の間隔で並んでいることが好ましい。これにより、シートSの樹脂成分が凹凸形状61の凹部により流れこみやすくなる。
【0151】
注出部接合工程S4においては、筒状体CBに注出部20が接合される。本実施形態において、注出部20は、いわゆるインサート成形により筒状体CBに接合される。図21に示すように、注出部接合工程S4は、筒状体配置工程S41と、射出成形工程S42とを有している。
【0152】
図26は、注出部接合工程において、インサート成形により注出部を筒状体に接合するときの金型および筒状体を示す模式的な断面図である。図26に示すように、筒状体配置工程S41においては、金型7の内部に筒状体CBが配置される。具体的には、筒状体CBの一方端部13が少なくとも金型7の内部に配置される。射出成形工程S42においては、内部に筒状体CBの一方端部13が配置された状態で金型7内において筒状体CB(の一方端部13)上に溶融した樹脂組成物を充填することで、筒状体CB上に注出部20を射出成形する。
【0153】
図27は、注出部が接合された直後の筒状体を示す斜視図である。図27に示すように、注出部20が接合された直後の筒状体CBは、略円筒状の外形を有している。
【0154】
なお、注出部接合工程S4においては、上記のインサート成形に代えて、いわゆる圧縮成型により注出部20が筒状体CBに接合されてもよいし、予め従来公知の方法により成形された注出部20が、超音波により筒状体CBに溶着されてもよい。
【0155】
次に、底部形成工程S5について説明する。図21に示すように、底部形成工程S5は、第1折罫線形成工程S51と、第2折罫線形成工程S52と、底部溶着工程S53とを有する。
【0156】
図28は、第1折罫線を形成するときの筒状体を示す斜視図である。図27および図28に示すように、第1折罫線形成工程S51においては、筒状体CBに4つの第1折罫線CL1を形成する。4つの第1折罫線CL1は、軸方向DAに沿って筒状体CBの他方端部14から直線状に延びるように形成される。具体的には、筒状体CBの他方端部14から、一対の第1押当部材8Aが挿入される。一対の第1押当部材8Aは、第1方向D1に対向している。筒状体CBの内周面側から各第1押当部材8Aの第2方向D2における両端縁が押し当てられることにより、4つの第1折罫線CL1が形成される。
【0157】
図29は、第2折罫線を形成するときの筒状体を示す斜視図である。図30は、第2折罫線を形成した直後の筒状体を示す斜視図である。図28から図30に示すように、第2折罫線形成工程S52においては、筒状体CBに2つの第2折罫線CL2を形成する。2つの第2折罫線CL2は、軸方向DAに沿って筒状体CBの他方端部14から直線状に延びるように形成される。2つの第2折罫線CL2の各々は、第1方向D1に並ぶ一対の第1折罫線CL1の間に形成される。2つの第2折罫線CL2は、それぞれ、谷折り状に形成される。このため、2つの第2折罫線CL2は、4つの第1折罫線CL1より筒状体CBの中央側に位置している。
【0158】
具体的には、一対の第2押当部材8Bが、筒状体CBの第2方向D2における両側から、筒状体CBの第2方向D2における中心に向かって、筒状体CBに押し当てられる。一対の第2押当部材8Bは、第2方向D2に対向している。一対の第2押当部材8Bは、いずれもが、第1方向D1において一対の第1押当部材8Aの間に位置している。これにより、上記の2つの第2折罫線CL2が形成される。第2折罫線CL2が形成された後、各第1押当部材8Aおよび各第2押当部材8Bは、筒状体CBから引き離される(図30参照)。
【0159】
図31は、底部溶着工程における筒状体を示す模式的な断面図である。図31においては、筒状体CBを、図14および図15と同様の断面視にて図示している。
【0160】
図30および図31に示すように、底部溶着工程S53においては、筒状体CBの内周面同士を超音波溶着によりさらに溶着させることで、他方端部14が閉塞され、かつ、側襠部15を有する筒状胴部10を形成するとともに、底部30を形成する(図6参照)。なお、本実施形態の底部30においては、筒状体CBのうち、第2折罫線CL2から第1折罫線CL1までの領域において、第1方向D1において対向する外周面同士も溶着される。
【0161】
底部溶着工程S53においては、底部用超音波ホーンおよび底部用アンビルの一方である第1溶着器具91と、底部用超音波ホーンおよび底部用アンビルの他方である第2溶着器具92とで、筒状体CBを挟み込むことにより、筒状体CBの内周面同士(および一部の外周面同士)が超音波により振動されることでその摩擦熱により溶着される。
【0162】
第1溶着器具91の筒状体側の表面が平坦であり、第2溶着器具92の筒状体側の表面が凹凸状である。これにより、筒状体CBのうち第1溶着器具側を向く面が、底部30の第1面31となり、筒状体CBのうち第2溶着器具側を向く面が、底部30の第2面32となるように、筒状体CBを加工できる(図14参照)。さらには、筒状体CBにおいて予備溶着部33がシートSの厚さより厚くなっていても、第1溶着器具91によって、一様に平坦な第1面31を形成することが可能となる。
【0163】
また、本実施形態において、第1溶着器具91は、第1折罫線CL1および第2折罫線CL2により折り曲げられた筒状体CBを、予備溶着部33側から押圧し、第2溶着器具92は、上記筒状体CBをこれとは反対側から押圧する。これにより、底部30において、予備溶着部33が平坦な第1面31の一部を構成するように、底部30を形成できる(図14参照)。ひいては、予備溶着部33を平坦な第1溶着器具91で応力をかけることで、筒状体CBにおいて予備溶着部33の厚さが比較的薄い部分およびその近傍にてピンホールが発生することを抑制することができる。
【0164】
本実施形態においては、第1溶着器具91が底部用超音波ホーンであり、第2溶着器具92が底部用アンビルである。このように、底部用アンビルの表面が凹凸状であることで筒状体CBに対して局所的にある程度強い応力をかけつつも、底部用超音波ホーンの表面が平坦であることにより、底部用超音波ホーンからは筒状体CBに対して比較的均一な応力をかけることができる。よって、筒状体CBの内面同士をある程度強固に溶着させつつ、底部30が部分的に白化することを抑制して収容部1Aの美称性を向上させることができるとともに、底部30と筒状胴部10の他方端部14との境界近傍においてピンホールが発生することを抑制できる。
【0165】
なお、第1溶着器具91が底部用アンビルであり、第2溶着器具92が底部用超音波ホーンであってもよい。このように、底部用超音波ホーンの表面が凹凸状であることにより、底部用超音波ホーンから筒状体CBに対して局所的に比較的強い応力をかけることができる。よって、筒状体CBの内面同士をより強固に溶着させることができる。
【0166】
図32は、本実施形態に係る収容物入りの複合容器の製造方法に使用される第2溶着器具を、第1溶着器具との対向方向から見た平面図である。第2溶着器具の凹凸面の形状は特に限定されないが、図32に示すように、本実施形態の第2溶着器具92の凹凸面には複数の凸部921が形成されている。
【0167】
複数の凸部921の形状は特に限定されないが、たとえば、略四角錐状であることが好ましい。また、本実施形態において複数の凸部921の形状は、第1溶着器具91と第2溶着器具92との対向方向から見て、一方向およびこれに直交する方向のそれぞれに沿って並ぶように位置している。これにより、底部30の第2面32の凹凸形状における凸部が格子状に形成される。複数の凸部921は、互いに等間隔に配置されることも好ましい。なお、第2溶着器具92は、複数の凸部921が配置された面の他に、平坦面をさらに有していてもよい。
【0168】
次に、外装体準備工程S6において、外装体1Bが準備される。外装体1Bを準備する工程は特に限定されない。本実施形態における外装体1Bは、周壁部40が、上述の筒状体CBを形成する各工程S1~S3と同様にして形成されるとともに、注出部20を筒状体CBに接合する工程S4と同様にして、底壁部50が周壁部40に接合されてもよい。そして、外装体取付工程S7において、外装体1Bの上方から収容部1Aが挿入されることで、外装体1Bが収容部1Aに取り付けられる(図3図5および図6参照)。
【0169】
さらに、収容物充填工程S8において収容部1A内に収容物が充填される(図4参照)。この後、蓋取付工程S9において蓋1Cが収容部1Aの注出部20に取り付けられる。以上により、本実施形態に係る収容物入りの複合容器1が製造される。
【0170】
なお、本実施形態における収容物入りの複合容器1の製造方法は、各工程S1~S9をこの順に備えているが、各工程S1~S9の順序はこれに限定されない。たとえば、注出部接合工程S4の後、底部形成工程S5の前までに、蓋取付工程S9と、収容物充填工程S8とがこの順で実施されてもよい。外装体準備工程S6は、外装体取付工程S7より前に実施されればよく、外装体取付工程S7は、収容物充填工程S8および蓋取付工程S9の後に実施されてもよい。
【0171】
上述のとおり、本開示の一実施形態に係る複合容器1は、収容部1Aと、外装体1Bとを備えている。収容部1Aは、筒状胴部10と、注出部20とを含んでいる。筒状胴部10は、一枚のシートSを湾曲または屈曲させて、当該シートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、該第1の側端部SE1の反対に位置する上記シートSの第2の側端部SE2とが互いに接続されることで筒状に形成されている。注出部20は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13に接合され、筒状胴部10内の収容物を注出可能である。外装体1Bは、筒状胴部10の外側に位置し、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延び、注出部20を支持している。注出部20は、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂組成物からなる。上記シートSは、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含む第1基材層SL1を有している。
【0172】
上記の構成によれば、収容部1AがシートSを筒状に形成した筒状胴部10を有し、かつ、筒状胴部10に接合された注出部20を外装体1Bで支持することで、筒状胴部10のより一層の薄肉化が可能であり、収容部1Aを製造するための樹脂使用量を低減できる。さらには、注出部20および上記シートSがいずれもポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを含むことにより、これらのリサイクル性を向上できる。これにより、環境負荷の低減した複合容器1を提供できる。
【0173】
本開示の一実施形態に係る複合容器1は、収容部1Aが主にポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートで構成されるため、リサイクル性に優れる。よって、本開示の一実施形態に係る複合容器1は、SDGs(持続可能な開発目標)が求める持続循環経済に沿うものであり、プラスチックごみの削減に大きく貢献することができる。
【0174】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0175】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0176】
1 複合容器、1A,1AX,1AY 収容部、1B 外装体、1C 蓋、10,10X,10Y 筒状胴部、11 シート基部、111 第1基端部、112 第2基端部、113 延在部、12 溶着部、121 第1先端縁、122 第2先端縁、123 溶着部外周面、124 溶着部内周面、125 凸部、13 一方端部、14,14Y 他方端部、15 側襠部、20 注出部、21 注出口、22 肩部、221 第1突出部、222 第2突出部、23 延出部、30,30X,30Y 底部、31 第1面、32 第2面、33 予備溶着部、34 対向部、35 中央部、36 折込部、40 周壁部、41 上端部、42 下端部、50 底壁部、6A 超音波ホーン、6B アンビル、61 凹凸形状、611 凸部、611C 交差点、7 金型、71a 第1の金型、72a 第2の金型、8A 第1押当部材、8B 第2押当部材、91 第1溶着器具、92 第2溶着器具、921 凸部、AL1 第1接着剤層、AL2 第2接着剤層、BL バリア層、CB 筒状体、CL1 第1折罫線、CL2 第2折罫線、M 成形材料、ML 一体層、S,Sa シート、SB1 第1層間部、SB2 第2層間部、SE1,SEa1 第1の側端部、SE2,SEa2 第2の側端部、SL1 第1基材層、SL2 第2基材層、SL3 第3基材層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32