(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108310
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】気密シート、気密シート設置方法及び気密構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
E04B1/68 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012617
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】奥村 美紀
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB01
2E001FA04
2E001FA31
2E001GA24
2E001HD11
2E001LA04
2E001MA02
(57)【要約】
【課題】施工現場で被覆範囲の調整を容易に行うことが可能な気密シート、気密シート設置方法及び気密構造を提供する。
【解決手段】気密シート(50)に、第1折線(X10)、第2折線(X20)、第1部分(60)、第2部分(70)及び余剰部分(80)を設ける。また、気密シートを、折畳用切断線(Y72)に沿って切断された状態で、且つ、第1折線と第2折線とを一致させて第1部分における追加折線(X70)から長手方向の一方側の部分と他方側の部分とを囲み面(20)における角部の一方の面と他方の面とにそれぞれ沿わせた状態で、追加折線に沿って第1部分及び第2部分が折り曲げられることにより、余剰部分の少なくとも一部が外側面(22)に沿って連続するように構成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に開くとともに所定方向に沿って見る視点において角部を有する開口を取り囲む囲み面と、前記所定方向における前記囲み面の一方の端部から前記開口から離れる方向に延びる外側面と、を有する壁に対し、前記囲み面と前記外側面とに亘って設けられる気密シートであって、
所定の長手方向において前記気密シートの全長に亘って延びるとともに互いに平行に配置された第1折線及び第2折線と、
前記第1折線によって前記第2折線と反対側に区画された第1部分と、
前記第2折線によって前記第1折線と反対側に区画された第2部分と、
前記第1折線と前記第2折線との間に区画された余剰部分と、を備えるとともに、
前記囲み面に沿って配置される部分と、前記外側面に沿って配置される部分とに、前記第1部分、前記第2部分、及び前記余剰部分を前記長手方向に区画するための追加折線を形成可能な特性を有し、
前記余剰部分は、前記第1折線と前記追加折線との交点である第1交点から前記第2折線と前記追加折線との交点である第2交点まで前記余剰部分内で延びる折畳用切断線に沿って切断可能な特性を有し、
前記気密シートは、前記折畳用切断線に沿って切断された状態で、且つ、前記第1折線と前記第2折線とを一致させて前記第1部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分を前記囲み面における前記角部の一方の面に沿わせるとともに前記第2部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分を前記囲み面における前記角部の他方の面に沿わせた状態で、前記追加折線に沿って前記第1部分及び前記第2部分が折り曲げられることにより、前記所定方向に沿って見る視点において前記追加折線から前記長手方向の他方側の部分の少なくとも一部が前記外側面に沿って連続するように構成されている、気密シート。
【請求項2】
請求項1に記載の気密シートにおいて、
前記余剰部分は、前記第1折線と前記第2折線とを一致させることにより前記余剰部分が折り畳まれるように前記第1折線と前記第2折線との間に形成された補助折線を有する、気密シート。
【請求項3】
請求項1に記載の気密シートにおいて、
前記追加折線は、当該追加折線から前記気密シートの前記長手方向の他方側の端部までの距離が前記第1折線から前記第2折線までの距離の半分以上の寸法に設定される折線である、気密シート。
【請求項4】
請求項1に記載の気密シートにおいて、
前記折畳用切断線は、前記気密シートにおける前記長手方向の他方側の端部よりも前記長手方向の一方側の領域に形成される切断線であり、
前記気密シートは、前記折畳用切断線の前記第1交点と前記第2交点の間に位置する点から前記長手方向の他方側の端部まで延びて当該長手方向の他方側の端部を2つの部分に分離させる追加折畳用切断線を形成可能な特性を有する、気密シート。
【請求項5】
請求項4に記載の気密シートにおいて、
前記折畳用切断線は、前記気密シートにおける前記追加折線上または前記追加折線の前記長手方向の一方側の領域に形成される切断線である、気密シート。
【請求項6】
請求項1に記載の気密シートにおいて、
前記折畳用切断線は、前記気密シートの前記長手方向の他方側の端部上の点を通り当該長手方向の他方側の端部を2つの部分に分離させる切断線である、気密シート。
【請求項7】
請求項1に記載の気密シートにおいて、
前記気密シートは、
前記所定方向における前記囲み面の他方の端部から前記開口の内側に向けて延びる内側面に沿って配置される部分を、前記気密シートの前記囲み面に沿って配置される部分の前記長手方向の一方側に区画するための内側追加折線を形成可能な特性を有するとともに、
前記第1折線と前記第2折線とを一致させて前記第1部分における前記内側追加折線から前記長手方向の他方側の部分を前記囲み面における前記角部の一方の面に沿わせるとともに前記第2部分における前記内側追加折線から前記長手方向の他方側の部分を前記囲み面における前記角部の他方の面に沿わせた状態で、前記内側追加折線に沿って前記第1部分及び前記第2部分が内側に折り曲げられることにより、前記所定方向に沿って見る視点において前記内側追加折線から前記長手方向の一方側の部分の少なくとも一部が前記内側面に沿うように構成されている、気密シート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の気密シートを前記開口の周囲に設置する方法であって、
前記気密シートにおける前記囲み面の被覆範囲の前記所定方向の長さに応じた位置に、前記追加折線を形成する追加折線形成工程と、
前記折畳用切断線に沿って前記余剰部分を切断する切断工程と、
前記切断工程の後に実施されて、前記第1部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分が前記囲み面における前記角部の一方の面に沿い且つ前記第2部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分が前記囲み面における前記角部の他方の面に沿うように前記第1折線と前記第2折線とを一致させるとともに、前記所定方向に沿って見る視点において前記追加折線から前記長手方向の他方側の部分の少なくとも一部が前記外側面に沿って連続するように前記追加折線に沿って前記第1部分及び前記第2部分を折り曲げる折り曲げ工程とを含む、気密シート設置方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の気密シートを有する気密構造であって、
所定方向に開くとともに所定方向に沿って見る視点において角部を有する開口を取り囲む囲み面と、
前記所定方向における前記囲み面の一方の端部から前記開口から離れる方向に延びる外側面と、
前記第1部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分が前記囲み面における前記角部の一方の面に沿い、前記第2部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分が前記囲み面における前記角部の他方の面に沿う状態で、前記所定方向に沿って見る視点において前記追加折線から前記長手方向の他方側の部分の少なくとも一部が前記外側面に沿って連続するように、前記囲み面と前記外側面とに亘って設けられた前記気密シートとを有する、気密構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密シート、当該気密シートを設置する方法及び前記気密シートを備える気密構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物等において、湿気を含む空気の侵入を抑制するべく、開口部が形成された壁の周囲に気密シートを設置することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の気密材を用いて開口部周辺の気密性を高めるようにした構造が開示されている。具体的に、特許文献1に記載の気密材は、サッシ枠の開口を取り囲む囲み面(引用文献1における内壁部の見込み面)の角部を構成する二つの面に亘って設けられる第一の部分と、囲み面の屋内側の端部から開口から離れる方向に延びる外側面(引用文献1における内壁部の見付面)に沿って配置されるように第一の部分から外側に延びる第二の部分とを有している。また、気密材は、第一の部分及び第二の部分が囲み面及び外側面に沿って配置可能となるような立体形状を有している。また、特許文献1では、前記気密材を囲み面と外側面とに沿って延びるように配置した状態で、気密シートを囲み面と外側面とに亘って貼着することにより、囲み面と外側面との境界部分の気密性が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の気密材は、囲み面及び外側面に対する被覆範囲に応じて予め設定された立体形状を有する。そのため、適用対象となる囲み面及び外側面に対する被覆範囲に応じて施工現場で被覆範囲(第一の部分と第二の部分との長さ寸法の割合)を調整することができず、予め複数種類の気密材を施工現場に持ち込まねばならないという問題がある。
【0006】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、施工現場で被覆範囲の調整を容易に行うことが可能な気密シート、気密シート設置方法及び気密構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、第一の発明は、所定方向に開くとともに所定方向に沿って見る視点において角部を有する開口を取り囲む囲み面と、前記所定方向における前記囲み面の一方の端部から前記開口から離れる方向に延びる外側面と、を有する壁に対し、前記囲み面と前記外側面とに亘って設けられる気密シートであって、所定の長手方向において前記気密シートの全長に亘って延びるとともに互いに平行に配置された第1折線及び第2折線と、前記第1折線によって前記第2折線と反対側に区画された第1部分と、前記第2折線によって前記第1折線と反対側に区画された第2部分と、前記第1折線と前記第2折線との間に区画された余剰部分と、を備えるとともに、前記囲み面に沿って配置される部分と、前記外側面に沿って配置される部分とに、前記第1部分、前記第2部分、及び前記余剰部分を前記長手方向に区画するための追加折線を形成可能な特性を有し、前記余剰部分は、前記第1折線と前記追加折線との交点である第1交点から前記第2折線と前記追加折線との交点である第2交点まで前記余剰部分内で延びる折畳用切断線に沿って切断可能な特性を有し、前記気密シートは、前記折畳用切断線に沿って切断された状態で、且つ、前記第1折線と前記第2折線とを一致させて前記第1部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分を前記囲み面における前記角部の一方の面に沿わせるとともに前記第2部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分を前記囲み面における前記角部の他方の面に沿わせた状態で、前記追加折線に沿って前記第1部分及び前記第2部分が折り曲げられることにより、前記所定方向に沿って見る視点において前記追加折線から前記長手方向の他方側の部分の少なくとも一部が前記外側面に沿って連続するように構成されている、気密シートを提供する。
【0008】
第一の発明では、気密シートに前記の追加折線を形成し、気密シートを前記の折畳用切断線に沿って切断することができる。そして、折畳用切断線に沿って切断した気密シートを、第1折線と第2折線とを一致させるように折り曲げるとともに追加折線に沿って折り曲げることにより、気密シートの一部を囲み面における角部を構成する二つの面に沿わせつつ気密シートの一部を外側面に沿って配置することができる。
【0009】
具体的に、第一の発明では、第1折線と第2折線とを一致させた状態で第1部分と第2部分とを囲み面に沿うように配置することにより、気密シートのうち囲み面から開口方向の一方側に延びる外側部分には、余剰部分によって外側面に沿って展開するための余裕が形成される。そして、この余剰部分を使って、所定方向に見て開口を囲む方向に連続するように前記外側部分を展開することができる。ただし、第1折線と第2折線とを一致させた状態において、気密シートを囲み面と外側面とに沿わせるためには、気密シートの長手方向において追加折線の一方側の部分と他方側の部分とが互いに異なる方向を向くように気密シートを折り曲げる必要がある。しかしながら、気密シートの追加折線の一方側の部分と他方側の部分とは余剰部分を介して接続されているため、そのままで両部分を異なる方向に折り曲げることはできない。これに対して、第一の発明では、前記のように第1交点と第2交点とを通る折畳用切断線に沿って余剰部分を切断することにより余剰部分において気密シートをその長手方向に分断できるので、追加折線の一方側の部分と他方側の部分とが異なる方向に向くように気密シートを折り曲げることが可能になる。これより、囲み面における角部を構成する二つの面に第1部分と第2部分とを沿わせつつ外側面に沿って前記外側部分が連続する状態で気密シートを設置することができる。
【0010】
しかも、第一の発明では、追加折線の位置を調整することによって、囲み面及び外側面に対する被覆範囲を調整できる。
【0011】
これより、第一の発明によれば、施工現場で被覆範囲の調整を容易に行うことが可能な気密シートを提供できる。
【0012】
第二の発明は、第一の発明であって、前記余剰部分は、前記第1折線と前記第2折線とを一致させることにより前記余剰部分が折り畳まれるように前記第1折線と前記第2折線との間に形成された補助折線を有することが好ましい。
【0013】
第二の発明によれば、補助折線を利用して余剰部分を容易に折り畳むことができ、第1折線と第2折線とを容易に一致させることができる。
【0014】
第三の発明は、第一または第二の発明であって、前記追加折線は、当該追加折線から前記気密シートの前記長手方向の他方側の端部までの距離が前記第1折線から前記第2折線までの距離の半分以上の寸法に設定される折線であることが好ましい。
【0015】
第三の発明によれば、追加折線から気密シートの長手方向の他方側の端部までの距離が大きくされることにより、気密シートによって外側面のより広い範囲を覆うことができる。
【0016】
また、追加折線から気密シートの長手方向の他方側の端部までの距離をA、第1折線から第2折線までの距離の半分をBとした場合に、第3の発明では以下の点が成立する。
【0017】
A=Bとした場合、第1折線と第2折線とを一致させた状態(つまり、第1交点と第2交点とが一致した状態)における第1交点及び第2交点から気密シートの長手方向の他方側の端部までの最大距離は、Aを一辺とする正方形の対角線の距離となる。従って、A=Bとした場合には、第1部分と第2部分とが90°に折り曲げられた状態で外側面に沿って余剰部分を展開することができる。
【0018】
一方、A>Bとした場合、第1折線と第2折線とを一致させた状態における第1交点及び第2交点から気密シートの長手方向の他方側の端部までの最大距離は、Aを一辺とする正方形の対角線の距離よりも短い距離となる。従って、A>Bとした場合には、第1部分と第2部分とを90°まで折り曲げる前の段階で気密シートにおける追加折線の長手方向の他方側の端部によって余剰部分の展開が規制される。つまり、A>Bとした場合には、第1部分と第2部分とを90°を超える角度で折り曲げた場合に余剰部分を外側面に沿って展開させることができる。従って、第三の発明によれば、囲み面の角部が90°以上である壁において、気密シートを外側面のより広い範囲を覆う状態で設置することができる。
【0019】
第四の発明は、第一~第三の発明であって、前記折畳用切断線は、前記気密シートにおける前記長手方向の他方側の端部よりも前記長手方向の一方側の領域に形成される切断線であり、前記気密シートは、前記折畳用切断線の前記第1交点と前記第2交点の間に位置する点から前記長手方向の他方側の端部まで延びて当該長手方向の他方側の端部を2つの部分に分離させる追加折畳用切断線を形成可能な特性を有することが好ましい。
【0020】
第四の発明によれば、追加折線から気密シートの長手方向の他方側の端部までの距離と第1折線から第2折線までの距離の関係に関わらず第1部分と第2部分の角度を調整することができる。具体的に、前述のように追加折畳用切断線を形成しない場合、追加折線から気密シートの長手方向の他方側の端部までの距離を第1折線から第2折線までの距離の半分とすると、第1部分と第2部分の折り曲げ角度を90°に設定することができる。一方、追加折畳用切断線を形成しない場合、追加折線から気密シートの長手方向の他方側の端部までの距離を第1折線から第2折線までの距離の半分を超える寸法とすると、気密シートの他方側の端部により余剰部分の展開が規制されることにより、第1部分と第2部分の角度を90°にするのが難しい。これに対して、第四の発明によれば、追加折畳用切断線によって気密シートの他方側の端部の拘束を解放することができるため、A>Bとした場合であっても、第1部分と第2部分の折り曲げ角度を90°に設定することができる。
【0021】
さらに、第四の発明によれば、追加折畳用切断線によって余剰部分のうちの折畳用切断線から気密シートの長手方向の他方側の端部までの部分が2つに分離される。そのため、これら2つの部分を重ね合わせることによって、外側面のうち囲み面の角部回りの領域の気密性を高めることが可能になる。
【0022】
第五の発明は、第四の発明であって、前記折畳用切断線は、前記気密シートにおける前記追加折線上または前記追加折線の前記長手方向の一方側の領域に形成される切断線であることが好ましい。
【0023】
第五の発明によれば、気密シートにおける、追加折線上、または、追加折線の長手方向の一方側の領域に形成された折畳用切断線に沿って気密シートが切断されるとともに、折畳用切断線の第1交点と第2交点の間に位置する点から長手方向の他方側の端部まで延びる追加折畳用切断線に沿って気密シートが切断される。そのため、余剰部分のうち追加折線から前記長手方向の他方側の部分の全体を2つの部分に分離してこれら2つの部分の重ね合わせ量を調整することにより、余剰部分のうち追加折線から長手方向の他方側の部分の全体を有効に活用することができる。
【0024】
第六の発明は、第一~第三の発明であって、前記折畳用切断線は、前記気密シートの前記長手方向の他方側の端部上の点を通り当該長手方向の他方側の端部を2つの部分に分離させる切断線であることが好ましい。
【0025】
第六の発明によれば、折畳用切断線により気密シートの他方側の端部の拘束を解放することができるため、追加折線から気密シートの長手方向の他方側の端部までの距離と第1折線から第2折線までの距離の関係に関わらず第1部分と第2部分との角度を調整することができる。さらに、折畳用切断線が気密シートの長手方向の他方側の端部上の点を通らないことにより、余剰部分を折り曲げつつこれを外側面に沿って配置しなければならない場合に比べて、折り曲げに掛かる手間を省くことが可能になる。
【0026】
第七の発明は、第一の発明であって、前記気密シートは、前記所定方向における前記囲み面の他方の端部から前記開口の内側に向けて延びる内側面に沿って配置される部分を、前記気密シートの前記囲み面に沿って配置される部分の前記長手方向の一方側に区画するための内側追加折線を形成可能な特性を有するとともに、前記第1折線と前記第2折線とを一致させて前記第1部分における前記内側追加折線から前記長手方向の他方側の部分を前記囲み面における前記角部の一方の面に沿わせるとともに前記第2部分における前記内側追加折線から前記長手方向の他方側の部分を前記囲み面における前記角部の他方の面に沿わせた状態で、前記内側追加折線に沿って前記第1部分及び前記第2部分が内側に折り曲げられることにより、前記所定方向に沿って見る視点において前記内側追加折線から前記長手方向の一方側の部分の少なくとも一部が前記内側面に沿うように構成されていることが好ましい。
【0027】
第七の発明によれば、内側追加折線において気密シートを折り曲げることにより、1枚の気密シートを用いて、囲み面と外側面に加えて内側面も覆うことができる。しかも、第七の発明では、内側追加折線の位置を調整することによって、囲み面及び内側面に対する被覆範囲を調整できる。
【0028】
第八の発明は、第一~第七の発明に係る気密シートを前記開口の周囲に設置する方法であって、前記気密シートにおける前記囲み面の前記所定方向の長さに応じた位置に、前記追加折線を形成する追加折線形成工程と、前記折畳用切断線に沿って前記余剰部分を切断する切断工程と、前記切断工程の後に実施されて、前記第1部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分が前記囲み面における前記角部の一方の面に沿い且つ前記第2部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分が前記囲み面における前記角部の他方の面に沿うように前記第1折線と前記第2折線とを一致させるとともに、前記所定方向に沿って見る視点において前記追加折線から前記長手方向の他方側の部分の少なくとも一部が前記外側面に沿って連続するように前記追加折線に沿って前記第1部分及び前記第2部分を折り曲げる折り曲げ工程とを含む、気密シート設置方法を提供する。
【0029】
この方法によれば、気密シートの折り曲げ及び切断によって、気密シートを囲み面における角部を構成する二つの面に沿わせつつ外側面に沿って連続する状態で設置することができる。さらに、追加折線の位置を調整することによって、囲み面及び外側面に対する被覆範囲を調整できる。従って、施工現場で被覆範囲の調整を容易に行うことができる。
【0030】
第九の発明は、第一~第七の発明に係る気密シートを有する気密構造であって、所定方向に開くとともに所定方向に沿って見る視点において角部を有する開口を取り囲む囲み面と、前記所定方向における前記囲み面の一方の端部から前記開口から離れる方向に延びる外側面と、前記第1部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分が前記囲み面における前記角部の一方の面に沿い、前記第2部分における前記追加折線から前記長手方向の一方側の部分が前記囲み面における前記角部の他方の面に沿う状態で、前記所定方向に沿って見る視点において前記追加折線から前記長手方向の他方側の部分の少なくとも一部が前記外側面に沿って連続するように、前記囲み面と前記外側面とに亘って設けられた気密シートとを有する、気密構造を提供する。
【0031】
この構造によれば、気密シートが、囲み面における角部を構成する二つの面に加えて、囲み面の一方の端部から延びる外側面とに亘って配置されるので、開口部周辺の気密性を高めることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明によれば、施工現場で被覆範囲の調整を容易に行うことが可能な気密シート、気密シート設置方法及び気密構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明に係る気密シートが設けられる壁の一例を示した概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線における概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の一部を拡大して示した概略斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る気密シートの平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す気密シートが設置された状態の壁の一部を拡大して示した概略斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の第2実施形態に係る気密シートの平面図である。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aに示す気密シートが設置された状態の壁の一部を拡大して示した概略斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の第2実施形態に係る気密シートの平面図である。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aに示す気密シートが設置された状態の壁の一部を拡大して示した概略斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の第3実施形態に係る気密シートの平面図である。
【
図9B】
図9Bは、
図9Aに示す気密シートが設置された状態の壁の一部を拡大して示した概略斜視図である。
【
図10】
図10は、気密シートの他の例に係る設置構造を示した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0035】
(壁の構造)
本発明の実施形態に係る気密シートは、所定方向に開くとともに所定方向に沿って見る視点において角部を有する開口を取り囲む囲み面と、所定方向における囲み面の一方の端部から開口から離れる方向に延びる外側面と、所定方向における囲み面の他方の端部から開口の内側に向けて延びる内側面と、を有する壁に設けられる。
図1は、このような囲み面、内側面及び外側面を有する壁を含む建物の壁構造の一例を示した図である。
図2は、
図1のII-II線における概略断面図である。
図3は、
図1の一部を拡大して示した図である。ここでは、気密シートが
図1~
図3に示す壁構造に適用される場合を説明する。
【0036】
図1に示す壁構造1は、屋外側に設けられる外壁部2と屋内側に設けられる内壁部3とを有する。外壁部2は、屋内と屋外とを連通するための第1開口部4を囲むサッシ枠5と、サッシ枠5を支持する下地材6と、屋外に面する外壁材7とを有する。なお、
図2における符号8は水切りであり、符号5Aは額縁(不図示)を取り付けるためのアングルピースである。内壁部3は、断熱材や調湿材等の機能性建材からなり外壁材7に沿うように配置される内壁材9で構成されている。内壁部3には、サッシ枠5が囲む第1開口部4と連通して当該第1開口部4と同様に屋内と屋外とを連通するための第2開口部11が区画されている。
【0037】
開口方向に沿って見る視点において第1開口部4及び第2開口部11はそれぞれ略長方形状を呈している。以下では、適宜、第1開口部4及び第2開口部11の開口方向、つまり、サッシ枠5を挟んで屋内と屋外とをつなぐ方向を、単に、開口方向という。
【0038】
内壁材9は、開口方向に沿って見る視点において第2開口部11を囲んで開口方向に延びる囲み面20を有する。前記のように、第2開口部11は、略長方形状を呈している。これより、第2開口部11は略90°の4つの角部11Aを有し、囲み面20は4つの面を有する。具体的に、囲み面20は、互いに平行に且つ開口方向と直交する第1方向に沿って延びる一対の縦面20A,20Aと、互いに平行に且つ開口方向及び第1方向と直交する第2方向に沿って延びる一対の横面20B,20Bとを有する。一方の横面20Bは、第1方向における各縦面20A,20Aの一方側の端部どうしをつなぐように延びており、他方の横面20Bは、第1方向における各縦面20A,20Aの他方側の端部どうしをつなぐように延びている。そして、第2開口部11には、これら縦面20A,20Aと横面20B,20Bとによって4つの角部11Aが区画されている。
【0039】
内壁材9は、開口方向における囲み面20の屋内側の端部から第2開口部11から離れる方向に延びる外側面21を有する。外側面21は、開口方向と略直交している。以下では、適宜、この囲み面20の屋内側の端部から第2開口部11から離れる方向に延びる外側面21を、シート設置外側面21という。シート設置外側面21は、内壁材9の屋内を向く面により構成されている。
【0040】
外壁部2は、開口方向における囲み面20の屋外側の端部から第2開口部11及び第1開口部4の内側に向けて延びる内側面22を有する。内側面22は、シート設置外側面21と略平行であり開口方向と略直交している。以下では、適宜、囲み面20の屋外側の端部から第2開口部11の内側に向かって延びる内側面22を、シート設置内側面22という。
【0041】
シート設置内側面22は、サッシ枠5によって構成されている。サッシ枠5は、内壁材9よりも屋外側であって開口方向について内壁材9と並ぶように設けられている。開口方向に沿って見る視点において第1開口部4は第2開口部11の内側に位置している。これより、サッシ枠5の屋内側を向く面は、第2開口部11の内側において屋内側に露出しており、このサッシ枠5の屋内側を向く面がシート設置内側面22を構成している。
【0042】
このように、
図1~
図3に示した壁構造は、開口方向(所定方向)に開くとともにこの方向に沿って見る視点において角部11Aを有する第2開口部11(開口)を取り囲む囲み面20と、開口方向における囲み面20の屋内側の端部(一方の端部)から第2開口部11の内側に向けて延びるシート設置内側面22(内側面)と、開口方向における囲み面20の屋外側の端部(他方の端部)から第2開口部11から離れる方向に延びるシート設置外側面21(外側面)とを有する壁1Aを含む。
【0043】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態に係る気密シートについて説明する。
図4は、第1実施形態に係る気密シート50の平面図である。
図5は、第1実施形態に係る気密シート50が前記の壁1Aに設置された状態の概略斜視図である。
【0044】
気密シート50は、長尺なシート状部材である。気密シート50は、気密性(防湿性)を有するとともに折り曲げ及び切断が可能な特性を有している。気密シート50の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンフィルムのようなプラスティック系防湿フィルムを気密シート50として用いることができる。以下では、適宜、気密シート50の長手方向であって
図4の上下方向を前後方向といい、後述する第1追加折線X70に対する第2追加折線X80側を前、反対側を後という。また、
図2の左右方向であって前記の前後方向と気密シート50の厚み方向とに直交する方向を左右方向といい、後述する第1折線X10に対する第2折線X20側を右、反対側を左という。
【0045】
気密シート50は、略長方形状を呈している。気密シート50には、前後方向に延びるとともに互いに平行に配置された第1折線X10と第2折線X20とが形成されている。第1折線X10と第2折線X20とは、それぞれ前後方向において気密シート50の全長に亘って延びている。
【0046】
気密シート50は、これら第1折線X10と第2折線X20とによって3つの部分(第1部分60、第2部分70、余剰部分80)に区画されている。
【0047】
第1部分60は、第1折線X10によって第2折線X20と反対側に区画された部分である。つまり、第1部分60は、気密シート50のうち第1折線X10から左側の部分である。
【0048】
第2部分70は、第2折線X20によって第1折線X10と反対側に区画された部分である。つまり、第2部分70は、気密シート50のうち第2折線X20から右側の部分である。
【0049】
余剰部分80は、気密シート50の残余の部分であって、気密シート50のうち第1折線X10と第2折線X20の間の部分である。
【0050】
余剰部分80には、第1折線X10と第2折線X20との間に、第1折線X10と第2折線X20とを一致させることにより余剰部分80が折り畳まれるように形成された補助折線X30が設けられている。つまり、第1折線X10と第2折線X20とを一致させた状態で補助折線X30において余剰部分80を折り曲げることにより余剰部分80を折り畳むことができるような補助折線X30が、余剰部分80に形成されている。また、余剰部分80の補助折線X30を挟んだ右側部分と左側部分とを二つ折りにして余剰部分80を4つ折りにするための第1追加補助折線X40と第2追加補助折線X50とが、余剰部分80に形成されている。
【0051】
補助折線X30及び各追加補助折線X40、X50は、前後方向に延びる線である。補助折線X30及び各追加補助折線X40、X50は、前後方向について気密シート50の全長に亘って延びている。
【0052】
補助折線X30は、第1折線X10と第2折線X20の左右方向の中央に設けられている。第1追加補助折線X40は、第1折線X10と補助折線X30の左右方向の中央に設けられている。第2追加補助折線X50は、第2折線X20と補助折線X30の左右方向の中央に設けられている。
【0053】
(気密シートの設置手順)
次に、気密シート50を壁1Aに設置する手順について説明する。
【0054】
まず、気密シート50に、第1折線X10、第2折線X20、補助折線X30及び追加補助折線X40,X50に加えて、左右方向に延びる折線を追加する。具体的に、気密シート50に、第1追加折線X70と、第1追加折線X70よりも前側に位置する第2追加折線X80を形成する。第1追加折線X70と第2追加折線X80とはそれぞれ左右方向について気密シート50の全長に亘って延びる線である。第1折線X10と第1追加折線X70とは第1交点P1において交差しており、第2折線X20と第1追加折線X70とは第2交点P2において交差している。第1折線X10と第2追加折線X80とは第3交点Q1において交差しており、第2折線X20と第2追加折線X80とは第4交点Q2において交差している。ここで、第1追加折線X70は、本開示における「追加折線」に相当し、第2追加折線X80は、本開示における「内側追加折線」に相当する。
【0055】
第1追加折線X70は、囲み面20の長さに応じた位置に形成する。具体的に、第1追加折線X70から第2追加折線X80までの前後方向の距離L1を、囲み面20の開口方向の長さL2つまりシート設置内側面22からシート設置外側面21までの開口方向についての距離L2と同じにする。例えば、気密シート50の前後方向と開口方向とが一致し且つ気密シート50の前後方向の中央部分が囲み面20に沿うように気密シート50を壁1Aに配置して、シート設置外側面21と囲み面20との境界線20C(20D)に沿って気密シート50を折り曲げることにより第1追加折線X70を形成し、シート設置内側面22と囲み面20との境界線20E(20F)に沿って気密シート50を折り曲げることにより第2追加折線X80を形成することにより、前記の各寸法L1,L2を互いに同じにすることができる。
【0056】
また、第1実施形態では、第1追加折線X70と気密シート50の後側の端部51との距離L30を、第1折線X10から第2折線X20までの距離L40の半分以上の寸法に設定する。図例では、第1追加折線X70と気密シート50の後側の端部51との距離L30は、第1折線X10から第2折線X20までの距離L40の半分よりも大きい寸法に設定されている。
【0057】
第1追加折線X70と第2追加折線X80が形成されることにより、気密シート50の第1部分60は、第1追加折線X70から後側の第1後側部分61と、第1追加折線X70と第2追加折線X80との間の第1中央部分62と、第2追加折線X80から前側の第1前側部分63とに区画される。また、気密シート50の第2部分70は、第1追加折線X70から後側の第2後側部分71と、第1追加折線X70と第2追加折線X80との間の第2中央部分72と、第2追加折線X80から前側の第2前側部分73とに区画される。また、気密シート50の余剰部分80は、第1追加折線X70から後側の余剰後側部分81と、第1追加折線X70と第2追加折線X80との間の余剰中央部分82と、第2追加折線X80から前側の余剰前側部分83とに区画される。
【0058】
次に、余剰部分80を切断線に沿って切断する。第1実施形態では、切断線として、折畳用切断線Y72、追加折畳用切断線Y31、内側折畳用切断線Y82、及び追加内側折畳用切断線Y33が設定されている。
【0059】
折畳用切断線Y72は、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる切断線である。第1実施形態では、第1追加折線X70に沿って第1交点P1と第2交点P2とを直線で結ぶ切断線が、折畳用切断線Y72に設定されている。追加折畳用切断線Y31は、折畳用切断線Y72の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点P3から気密シート50の後側の端部51まで延びる切断線である。第1実施形態では、追加折畳用切断線Y31は、折畳用切断線Y72の左右方向の中央の点P3から後側にまっすぐ延びている。なお、折畳用切断線Y72は、第1追加折線X70のうち第1折線X10と第2折線X20との間の線分X72と同じ左右方向に延びる線分である。追加折畳用切断線Y31は、補助折線X30のうち第1追加折線X70から後側の部分と同じ前後方向に延びる線分である。点P3は、第1追加折線X70と補助折線X30とが交差する点である。
【0060】
また、第3交点Q1と第4交点Q2とを直線で結ぶ切断線が、内側折畳用切断線Y82に設定されており、内側折畳用切断線Y82上の点Q3から気密シート50の前側の端部52まで延びる切断線が追加内側折畳用切断線Y33に設定されている。追加内側折畳用切断線Y33は、内側折畳用切断線Y82上の左右方向の中央の点Q3から前側にまっすぐ延びている。なお、内側折畳用切断線Y82は、第2追加折線X80のうち第1折線X10と第2折線X20との間の線分X82と同じの左右方向に延びる線分である。追加内側折畳用切断線Y33は、補助折線X30のうち第2追加折線X80から前側の部分X33と同じ前後方向に延びる線分である。点Q3は、第2追加折線X80と補助折線X30とが交差する点である。
【0061】
各切断線Y72,Y31,Y82,Y33に沿って余剰部分80を切断するための具体的な手順は特に限定されない。ただし、
図6Aに示すように、気密シート50を補助折線X30で二つ折りにして、補助折線X30側からハサミを用いて折畳用切断線Y72及び内側折畳用切断線Y82に沿って気密シート50を切断すれば比較的容易に余剰部分80を切断できる。
【0062】
図6Bは、各切断線Y72,Y31,Y82,Y33に沿って余剰部分80が切断された後の気密シート50を示した概略図である。
図6Bに示すように、各切断線Y72,Y31,Y82,Y33に沿って余剰部分80が切断されると、余剰後側部分81と、余剰中央部分82と、余剰前側部分83とは前後方向に分離する。また、余剰後側部分81は左右方向について、第1部分60側の部分81Aと、第2部分70側の部分81Bとに分離する。また、余剰前側部分83は左右方向について第1部分60側の部分83Aと第2部分70側の部分83Bとに分離する。
【0063】
ここで、
図6Bに示した破線と鎖線は、各折線の折り方の一例を示したものであり、破線は谷折りとされる折線を示し、鎖線は山折りとされる折線を示している。
【0064】
次に、
図5に示すように、気密シート50を折り曲げつつ壁1Aに設置する。具体的に、第1折線X10と第2折線X20とが一致するように余剰部分80を折り畳む。また、第1折線X10と第2折線X20とを囲み面20の角部11Aに沿わせる。また、第1中央部分62と第2中央部分72とを囲み面20の角部11Aを構成する2つの側面(縦面20A、横面20B)にそれぞれ沿わせるとともに、第1前側部分63と第2前側部分73とをシート設置内側面22にそれぞれ沿わせる。また、第1追加折線X70から後側の部分(第1後側部分61、第2後側部分71及び余剰後側部分81)を、シート設置外側面21にそれぞれ沿わせるとともに、開口方向に沿って見る視点において囲み面20の角部11A回りに連続するように配置する。
【0065】
以下、気密シート50の具体的な設置手順を説明する。なお、以下に説明する手順は一例であり、気密シート50を前記のように設置するための手順はこれに限られない。また、以下では、気密シート50の厚み方向と直交する方向について、第2開口部11を向く側を表、反対側であって囲み面20、シート設置外側面21、シート設置内側面22を向く側を裏として説明する。また、以下では、
図5に示すように、第1中央部分62が囲み面20の横面20Bに沿うように気密シート50が壁1Aに設置される場合について説明する。なお、第1中央部分62が囲み面20の縦面20Aに沿うように設置されてもよい。
【0066】
まず、補助折線X30を谷折りにするとともに第1折線X10を山折りにする。これにより、気密シート50は、第1折線X10と第2折線X20とが一致して、第1部分60の裏側において余剰部分80が折り畳まれる状態となる。
【0067】
また、第1追加補助折線X40のうち第1追加折線X70と第2追加折線X80との間の部分X42を谷折りにし、第2追加補助折線X50のうち第1追加折線X70と第2追加折線X80との間の部分X52を山折りにする。これにより、第1中央部分62の裏側において余剰中央部分82の補助折線X30を挟んで右側の部分と左側の部分とがさらに二つ折りにされて余剰中央部分82が左右方向について4つ折りにされる。
【0068】
次に、第2追加折線X80のうち第1折線X10から左側の部分X81を谷折りにして第1部分60を折り曲げることにより、第1前側部分63を第1中央部分62に対して立ち上げる。なお、このとき、前記の第1折線X10における折り曲げによって、余剰前側部分83の左側部分83Aは第1前側部分63の裏側に折り畳まれている。
【0069】
次に、第2折線X20を谷折りにして、第2部分70を第1中央部分62に対して立ち上げる。
【0070】
次に、第2追加折線X80のうち第2折線X20よりも右側の部分X83を谷折りにして第2部分70を折り曲げるとともに第2折線X20の第2追加折線X80から前側の部分を谷折りにすることにより、余剰前側部分83の右側部分83Bを第1中央部分62の裏側に配置しつつ、第2前側部分73の一部を第1前側部分63の裏側においてこれに重ね合わせる。
【0071】
これにより、気密シート50の第1追加折線X70から前側の部分の形状は、これを囲み面20の角部11Aを構成する縦面20Aと横面20B及びこれらに連なるシート設置内側面22に沿わせることが可能な形状となる。そこで、気密シート50を、第1中央部分62が囲み面20の横面20Bに沿い、第2中央部分72が囲み面20の縦面20Aに沿い、第1前側部分63と第2前側部分73とが、シート設置内側面22にそれぞれ沿うように、壁1Aに配置する。
【0072】
次に、第1追加折線X70のうち第2折線X20よりも右側の部分X73を山折りにして、第2部分70を折り曲げる。その後、第1追加折線X70のうち第1折線X10よりも左側の部分X71を山折りにして、第1部分60を折り曲げる。このとき、先に山折りにした第1折線X10のうち第1追加折線X70よりも後側の部分X11を元に戻す。また、先に山折りにした第2折線X20のうち第1追加折線X70よりも後側の部分X21を元に戻す。
【0073】
前記のように、第1追加折線X70から第2追加折線X80までの前後方向の距離L1つまり第1中央部分62及び第2中央部分72の前後方向の寸法L1は、開口方向についてシート設置内側面22からシート設置外側面21までの距離L2と同じに設定されている。これより、気密シート50を前記のように囲み面20の縦面20A及び横面20Bに沿うように配置した状態において、第1追加折線X70は、囲み面20とシート設置外側面21との境界線20C,20Dと一致する。従って、第1追加折線X70のうち第2折線X20よりも右側の部分X73を山折りにすることにより、第2後側部分71はシート設置外側面21に沿うように折り曲げられる。同様に、第1追加折線X70のうち第1折線X10よりも左側の部分X71を山折りにすることにより、第1後側部分61はシート設置外側面21に沿うように折り曲げられる。
【0074】
ここで、仮に、折畳用切断線Y72において気密シート50が切断されていなければ、気密シート50の第1追加折線X70の前側の部分と後側の部分とが接続された状態のままであることにより、気密シート50を第1折線X10と第2折線X20とが一致して囲み面20に沿う状態に維持したまま、第1追加折線X70を山折りにすることはできない。つまり、気密シート50の第1追加折線X70の前側の部分と後側の部分とを互いに異なる方向に折り曲げることはできない。これに対して、第1交点P1と第2交点P2とを通る折畳用切断線Y72に沿って気密シート50が切断されて、余剰部分80において気密シート50の第1追加折線X70の前側部分と後側部分とが分断されている。これより、気密シート50の第1追加折線X70の前側の部分と後側の部分とを互いに異なる方向に折り曲げることができる。すなわち、前記のように、第1追加折線X70(X73、X71)を山折りにすることができ、第2後側部分71及び第1後側部分61を、シート設置外側面21に沿わせることができる。
【0075】
また、前記のように、先に山折りにした第1折線X10のうち第1追加折線X70よりも後側の部分X11及び第2折線X20のうち第1追加折線X70よりも後側の部分X21が元に戻されることにより、余剰後側部分81の左側部分81Aと右側部分81Bもシート設置外側面21に沿って配置される。このとき、
図5に示すように、余剰後側部分81の右側部分81Bと左側部分81Aとは、その一部どうしが重ね合わせられて、第1後側部分61と第2後側部分71とをつなぐようにシート設置外側面21に沿って配置される。これにより、気密シート50の第1追加折線X70から後側の部分(第1後側部分61、第2後側部分71、余剰後側部分81)は、シート設置外側面21において連続するように配置されることになる。
【0076】
前記によって、壁1Aには、囲み面20と、シート設置外側面21と、第1部分60における第1追加折線X70から前側の部分62が囲み面20における角部11Aの一方の面(20A,20B)に沿い、第2部分70における第1追加折線X70から前側の部分72が囲み面20における角部11Aの他方の面(20A,20B)に沿う状態で、開口定方向に沿って見る視点において第1追加折線X70から後側の部分の少なくとも一部がシート外側面21に沿って連続するように、囲み面20とシート設置外側面21とに亘って設けられた気密シート50とを有する、気密構造が実現される。
【0077】
前述した気密シート50を壁1Aに設置する気密シート設置方法をまとめると次のようになる。
【0078】
気密シート設置方法は、追加折線形成工程、内側追加折線形成工程、切断工程、内側切断工程、及び折り曲げ工程を含む。
【0079】
追加折線形成工程では、前記の第1追加折線X70を、気密シート50の囲み面20の開口方向の長さL2に応じた位置に形成する。
【0080】
内側追加折線形成工程では、前記の第2追加折線X80を気密シート50に形成する。
【0081】
切断工程では、前記の折畳用切断線Y72に沿って余剰部分80を切断する。第1実施形態では、さらに、追加折畳用切断線Y31に沿って余剰部分80を切断する。
【0082】
内側切断工程では、前記の内側折畳用切断線Y82及び追加内側折畳用切断線Y33に沿って余剰部分80を切断する。
【0083】
折り曲げ工程では、第1折線X10と第2折線X20とを一致させて第1部分60における第1追加折線X70から前側の部分を囲み面20における角部11Aの一方の面(縦面20Aまたは横面20B)に沿わせるとともに第2部分70における第1追加折線X70から前側の部分を囲み面20における角部11Aの他方の面(縦面20Aまたは横面20B)に沿わせた状態で第1追加折線X70に沿って第1部分60及び第2部分70を折り曲げて、開口方向に沿って見る視点において気密シート50の第1追加折線X70から後側の端部51までの部分の少なくとも一部をシート設置外側面21に沿って連続させる。第1実施形態では、前記のように、余剰部分80全体および気密シート50の第1追加折線X70から後側の端部51までの部分全体をシート設置外側面21に沿って配置する。この折り曲げ工程は少なくとも切断工程の後に実施される。
【0084】
(作用等)
以上説明したように、第1実施形態に係る気密シート50では、気密シート50に、その全長に亘って延びるとともに互いに平行に配置された第1折線X10及び第2折線X20が形成されて、第1折線X10によって第2折線X20と反対側に区画された第1部分60と、第2折線X20によって第1折線X10と反対側に区画された第2部分70と、第1折線X10と第2折線X20との間に区画された余剰部分80とが気密シート50に設けられている。また、気密シート50が折り曲げ及び切断が可能な特性を有しており、各折線(第1追加折線X70、補助折線X30、第1追加補助折線X40、第2追加補助折線X50、第2追加折線X80)を形成でき、且つ、各切断線(折畳用切断線Y72、追加折畳用切断線Y31、内側折畳用切断線Y82、追加内側折畳用切断線Y33)に沿って切断できるようになっている。
【0085】
また、気密シート50は、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる折畳用切断線Y72と、追加折畳用切断線Y31に沿って切断した後、第1折線X10と第2折線X20とを一致させて第1部分60における第1追加折線X70から前側(つまり、気密シート50の長手方向の一方側)の部分である第1中央部分62を囲み面20における角部11Aの一方の面20Bに沿わせるとともに第2部分70における第1追加折線X70から前側の部分である第2中央部分72を囲み面20における角部11Aの他方の面20Aに沿わせた状態で、第1追加折線X70に沿って第1部分60及び第2部分70が折り曲げられることにより、開口方向に沿って見る視点において第1追加折線X70から後側の端部51(つまり、気密シート50の長手方向の他方側の端部)までの部分(第1後側部分61、第2後側部分71、余剰後側部分81)が外側面21に沿って連続するように構成されている。
【0086】
これより、前記のように気密シート50を切断して折り曲げることにより、一枚の気密シート50を、囲み面20の角部11Aを構成する二つの面(20A、20B)に設置できるとともにシート設置外側面21に沿って連続する状態で設置できる。つまり、一枚の気密シート50によって囲み面20の角部11Aとシート設置外側面21とを覆うことができる。そのため、囲み面20とシート設置外側面21とを個別の気密材で覆う場合に比べて、気密材つまり気密シート50の設置作業が容易になる。
【0087】
具体的に、前記のように、第1折線X10と第2折線X20とが一致するように余剰中央部分82を第1中央部分62の裏側に折り畳みつつ、第1中央部分62と第2中央部分72とを囲み面20に沿わせれば、気密シート50のうち囲み面20から開口方向の屋内側に延びる外側部分であって第1追加折線X70から後側の部分(第1後側部分61、第2後側部分71、余剰後側部分81)に、外側面21に沿って展開するための余裕が形成される。つまり、第2開口部11を囲む方向について、気密シート50のうち囲み面20から開口方向の屋内側に延びる第1追加折線X70から後側の部分(第1後側部分61、第2後側部分71、余剰後側部分81)の長さを、囲み面20に沿う部分の長さよりも長くできる。そのため、気密シート50のうち囲み面20から開口方向の屋内側に延びる第1追加折線X70から後側の部分の長さを、当該部分がシート設置外側面21に連続して配置されるように展開可能な長さにできる。また、前記のように、折畳用切断線Y72で気密シート50を切断していることにより、気密シート50の第1追加折線X70の前側の部分と後側の部分とを互いに異なる方向に折り曲げることができる。従って、第1追加折線X70から後側の部分をシート設置外側面21に連続して配置することができる。
【0088】
また、第1実施形態に係る気密シート50では、第1追加折線X70の位置を調整することによって、囲み面20に沿って配置される気密シート50の中央部分(第1中央部分62、第2中央部分72)の前後方向の長さL1を調整できる。そのため、施工現場において第1追加折線X70を囲み面20の角部11Aの開口方向の寸法L2に対応した位置に形成することにより、気密シート50によって確実に囲み面20及びシート設置外側面21を覆うことができる。つまり、気密シート50の被覆範囲の調整を施工現場で容易に行うことができる。また、これにより、異なる複数種類の気密材を予め準備する必要がなくなる。
【0089】
また、第1実施形態に係る気密シート50には、第1折線X10と第2折線X20との間に、第1折線X10と第2折線X20とを一致させることにより余剰部分80が折り畳まれるように補助折線X30が形成されている。そのため、補助折線X30を利用して余剰部分80を容易に折り畳み、第1折線X10と第2折線X20とを容易に一致させることができる。
【0090】
また、第1実施形態に係る気密シート50では、第1追加折線X70が、当該第1追加折線X70から気密シート50の後側の端部51(つまり、気密シート50の長手方向の一方側の端部51)までの距離L30が第1折線X10から第2折線X20までの距離L40の半分以上の寸法に設定されている。そのため、気密シート50のうち第1追加折線X70から後側の部分であってシート設置外側面21に沿って配置される部分の面積を大きくして、気密シート50によってシート設置外側面21のより広い範囲を覆うことができる。
【0091】
また、第1実施形態に係る気密シート50では、折畳用切断線Y72が、第1追加折線X70上に形成されている。そして、気密シート50に、折畳用切断線Y72の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点P3から気密シート50の後側の端部51まで延びる追加折畳用切断線X31が形成されるようになっている。そして、この追加折畳用切断線X31において気密シート50が切断されることにより、余剰後側部分81(つまり、余剰部分80の第1追加折線X70から長手方向の他方側の部分)が左側と右側とに(つまり、第1部分60側と第2部分70側とに)分離される。
【0092】
そのため、前記のように、余剰後側部分81の左側部分81Aと右側部分81Bとを重ね合わせることができ、シート設置外側面21のうち囲み面20の角部11A回りの領域の気密性を高めることができる。
【0093】
また、2つの部分81A、81Bの重ね合わせ量を調整することにより、気密シート50のうち囲み面20における角部11Aを構成する二つの面に沿う部分がなす角度、つまり、気密シート50を囲み面20に沿わせた状態での第1中央部分62と第2中央部分72との折り曲げ角度を、囲み面20の角部11Aの角度に応じた角度に調整できる。具体的に、前記では、角部11Aの角度が略90°の壁1Aに気密シート50が設置される場合を説明したが、角部11Aの角度が90°よりも大きい場合は、
図5に示す状態よりも余剰後側部分81の左側部分81Aと右側部分81Bの重ね合わせ量を大きくすることにより第1中央部分62と第2中央部分72との折り曲げ角度を大きくできる。また、角部11Aの角度が90°よりも小さい場合は、
図5に示す状態よりも余剰後側部分81の左側部分81Aと右側部分81Bの重ね合わせ量を小さくすることにより第1中央部分62と第2中央部分72との折り曲げ角度を小さくできる。従って、角部11Aの角度に関わらず、第1中央部分62と第2中央部分72とを囲み面20に沿わせつつ余剰後側部分81を含む第1追加折線X70から後側の部分を連続する状態でシート設置外側面21に沿わせることができる。
【0094】
また、第1実施形態に係る気密シート50では、シート設置内側面22に沿って配置される部分を、気密シート50の囲み面20に沿って配置される第1中央部分62及び第2中央部分72部分の前側に(つまり、気密シート50の長手方向の一方側)に区画するための第2追加折線X80が形成されるようになっている。また、気密シート50は、第1折線X10と第2折線X20とを一致させて第1部分60における第1追加折線X70から前側(つまり、気密シート50の長手方向の一方側)の部分である第1中央部分62を囲み面20における角部11Aの一方の面20Bに沿わせるとともに第2部分70における第1追加折線X70から前側の部分である第2中央部分72を囲み面20における角部11Aの他方の面20Aに沿わせた状態で、第2追加折線X80に沿って折り曲げられることにより、開口方向に沿って見る視点において余剰部分80における第2追加折線X80から前側の端部52(つまり、気密シート50の長手方向の一方側の端部)までの部分の少なくとも一部(第1前側部分63、第2前側部分73、余剰前側部分83の左側部分83A)がシート設置内側面22に沿って配置されるように構成されている。
【0095】
これより、一枚の気密シート50によって、囲み面20とシート設置外側面21に加えてシート設置内側面22も覆うことができる。そのため、シート設置内側面22を覆うために別途気密材を準備してこれをシート設置内側面22に設置する場合に比べて、気密材の施工作業を容易にすることができる。
【0096】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態に係る気密シートについて説明する。
【0097】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る気密シート250について説明する。
図7Aは、第2実施形態に係る気密シート250の平面図である。
図7Bは、第2実施形態に係る気密シート250が、
図3に示す壁1Aに設置された状態の概略斜視図である。なお、以下の説明及び
図7A、
図7Bでは、第1実施形態と同様の要素については第1実施形態と同様の符号を用いて説明及び図示する。
【0098】
第2実施形態に係る気密シート250には、第1実施形態に係る第1追加補助折線X40及び第2追加補助折線X50は形成されず、第1折線X10と第2折線X20の間にはこれらの左右方向の中央において補助折線X30のみが形成される。
【0099】
第2実施形態に係る気密シート250では、第1追加折線X70から気密シート50の後側の端部51までの距離L30が、第1折線X10から第2折線X20までの距離L40の半分の寸法に設定されている。これより、第1追加折線X70から気密シート50の後側の端部51までの距離L30と、第1折線X10から補助折線X30までの距離L10と、第2折線X20から補助折線X30までの距離L20とはすべて同じ寸法となっている。
【0100】
第2実施形態では、補助折線X30上の点で第1追加折線X70よりも前側に位置する点P250を通り第1交点P1から第2交点P2まで延びる切断線が、折畳用切断線Y250に設定されている。具体的に、第1交点P1と補助折線X30上の点P250とを直線で結ぶ第1切断線Y251と、第2交点P2と補助折線X30上の点P250とを直線で結ぶ第2切断線Y252とによって、折畳用切断線Y250が構成されている。
【0101】
第2実施形態では、余剰部分80を折り畳むための補助折線として、第1交点P1と補助折線X30の後側の端部とを結ぶ第3追加補助折線X250が設定されている。なお、第3追加補助折線X250と第1折線X10とのなす角度は45度である。
【0102】
第2実施形態では、内側折畳用切断線は設けられておらず、内側折畳用切断線に沿った気密シート250の切断は行われない。一方、第2実施形態では、第4交点Q2と気密シート250の前側の端部52上の点とを結ぶ第4追加補助折線X252が設けられている。第4追加補助折線X252は、第2前側部分73内に、第2追加折線X80とのなす角度が45度となるように設けられている。
【0103】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、折畳用切断線Y250に沿って気密シート250を切断した後、気密シート250を折り曲げることにより、気密シート250を、囲み面20、シート設置内側面22及びシート設置外側面21に沿い、且つ、シート設置外側面21において連続するように壁1Aに設置することができる。
【0104】
以下、第2実施形態に係る気密シート250を壁1Aに設置する手順の一例について説明する。なお、以下の説明では、
図8Bに示すように、第1中央部分62が囲み面20の横面20Bに沿うように配置される場合について説明する。
【0105】
第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、補助折線X30を谷折りにするとともに第1折線X10を山折りにして、第1部分60の裏側で余剰部分80を折り畳みつつ、第1折線X10と第2折線X20とを一致させる。
【0106】
第2実施形態では、次に、第2追加折線X80を谷折りにして、気密シート250のうちの第1追加折線X70と第2追加折線X80の間の部分(62,72,82)に対して、第2追加折線X80から前側の部分(63,73,83)を立ち上げる。そして、第2折線X20の第2追加折線X80から前側の部分を山折りにし、第4追加補助折線X252を谷折りにし、且つ、第2追加折線X80のうち第2折線X20から右側の部分X83を谷折りにしながら、第2折線X20の第2追加折線X80から後側の部分を谷折りにする。第2実施形態では、気密シート250をこのように折り曲げることにより、気密シート50の第1追加折線X70よりも前側の部分が、囲み面20の角部11Aを構成する縦面20Aと横面20B及びこれらに連なるシート設置内側面22に沿わせることが可能な形状となる。そこで、気密シート250を、第1中央部分62が囲み面20の横面20Bに沿い、第2中央部分72が囲み面20の縦面20Aに沿い、第1前側部分63と第2前側部分73とが、シート設置内側面22にそれぞれ沿うように、壁1Aに設置する。
【0107】
次に、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1追加折線X70のうち第2折線X20よりも右側の部分X73と、第1追加折線X70のうち第1折線X10よりも左側の部分X71とを山折りにして、第2後側部分71及び第1後側部分61をシート設置外側面21に沿うように折り曲げる。ただし、第2実施形態では、このとき第3追加補助折線X250を山折りにしつつ前記の部分X73,X71を山折りにする。これにより、第2実施形態では、第1追加折線X70と折畳用切断線Y250とで囲まれた部分84が第1後側部分61の裏側に折り畳まれる。また、余剰後側部分81が、略正方形状に折り畳まれた状態で、第1後側部分61と第2後側部分71とをつなぐようにシート設置外側面21に沿って第1後側部分61と第2後側部分71との間に配置される。
【0108】
(作用等)
このように、第2実施形態に係る気密シート250でも、第1実施形態と同様に、第1折線X10、第2折線X20及び補助折線X30が形成される。また、第2実施形態に係る気密シート250でも、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる折畳用切断線Y250が形成されて、この折畳用切断線Y250に沿って切断される。そして、気密シート50を折畳用切断線Y250において切断した後、前記のように折り曲げることにより、一枚の気密シート250を、囲み面20、シート設置外側面21及びシート設置内側面22に沿って設置することができる。そのため、囲み面20、シート設置外側面21及びシート設置内側面22を個別の気密材で覆う場合に比べて、気密シート250の設置作業が容易になる。
【0109】
また、第2実施形態においても、折畳用切断線Y250の位置を調整することによって、囲み面20に沿って配置される気密シート50の中央部分(第1追加折線X70から第2追加折線X80までの部分)の前後方向の長さを調整でき、気密シート50の被覆範囲の調整を容易に行うことができる。
【0110】
また、第2実施形態に係る気密シート250では、第1実施形態における追加折畳用切断線Y31、内側折畳用切断線Y82、及び追加内側折畳用切断線Y33が設けられておらず、折畳用切断線Y250でのみ気密シート350が切断される。そのため、前記の設置作業及び被覆範囲の調整を容易にしつつ、さらに、気密シート250の切断に費やす時間を短くできる。換言すると、第1実施形態に係る追加折畳用切断線Y31を省略しても、気密シートを囲み面20に沿い且つシート設置外側面21に沿って連続する状態で設置することは可能であり、追加折畳用切断線Y31の省略によって気密シート250の切断に費やす時間を短くできる。また、第1実施形態に係る内側折畳用切断線Y82及び追加内側折畳用切断線Y33を省略しても、気密シートを、囲み面20に沿いシート設置外側面21に沿って連続し、且つ、シート設置内側面22に沿う状態で設置することができる。
【0111】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る気密シート350について説明する。
図8Aは、第3実施形態に係る気密シート350の平面図である。
図8Bは、第3実施形態に係る気密シート350が
図3に示す壁1Aに設置された状態の概略斜視図である。なお、以下の説明及び
図8A、
図8Bでは、第1実施形態と同様の要素については第1実施形態と同様の符号を用いて説明及び図示するとともに、第2実施形態と同様の要素については第2実施形態と同様の符号を用いて説明及び図示する。
【0112】
第3実施形態に係る気密シート350は、第2実施形態に係る気密シート250と、折畳用切断線の構成においてのみ異なっており、その他の構成は第2実施形態と同じである。
【0113】
具体的に、第3実施形態に係る気密シート350では、第1追加折線X70に沿って第1交点P1と第2交点P2とを直線で結ぶ線が、折畳用切断線Y350として設定されている。なお、折畳用切断線Y350は、第1追加折線X70のうち第1交点P1から第2交点P2の間の線分と同じ線分である。
【0114】
第3実施形態においても、第2実施形態と同様の手順で、気密シート350を、第1中央部分62が囲み面20の横面20Bに沿い、第2中央部分72が囲み面20の縦面20Aに沿い、第1前側部分63と第2前側部分73とがシート設置内側面22にそれぞれ沿うように、壁1Aに設置する。
【0115】
また、第3実施形態においても、第3追加補助折線X250を山折りにしつつ、第1追加折線X70のうち第2折線X20よりも右側の部分X73と、第1追加折線X70のうち第1折線X10よりも左側の部分X71とを山折りにして、第2後側部分71及び第1後側部分61をシート設置外側面21に沿うように折り曲げる。この折り曲げにより、第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、余剰後側部分81が、略正方形状に折り畳まれた状態で、第1後側部分61と第2後側部分71とをつなぐようにシート設置外側面21に沿って第1後側部分61と第2後側部分71との間に配置される。ただし、第3実施形態では、第2実施形態と異なり、余剰後側部分81の裏側に気密シート50の一部が折り畳まれることなく余剰後側部分81が略正方形状に折り畳まれる。
【0116】
(作用等)
このように、第3実施形態に係る気密シート350でも、第1実施形態と同様に、第1折線X10、第2折線X20及び補助折線X30が形成される。また、第3実施形態に係る気密シート350でも、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる折畳用切断線Y350が形成されて、この折畳用切断線Y350に沿って切断される。そして、気密シート350を折畳用切断線Y350において切断した後、前記のように折り曲げることにより、一枚の気密シート350を、囲み面20、シート設置外側面21及びシート設置内側面22に沿って設置することができる。そのため、囲み面20、シート設置外側面21及びシート設置内側面22を個別の気密材で覆う場合に比べて、気密シート250の設置作業が容易になる。
【0117】
また、第3実施形態においても、第2追加折線Y70の位置を調整することによって、囲み面20に沿って配置される気密シート50の中央部分(第1追加折線X70から第2追加折線X80までの部分)の前後方向の長さを調整でき、気密シート50の被覆範囲の調整を施工現場で容易に行うことができる。
【0118】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る気密シート450について説明する。
図9Aは、第4実施形態に係る気密シート450の平面図である。
図9Bは、第4実施形態に係る気密シート350が
図3に示す壁1Aに設置された状態の概略斜視図である。なお、以下の説明及び
図9A、
図9Bでは、第1実施形態と同様の要素については第1実施形態と同様の符号を用いて説明及び図示するとともに、第2実施形態と同様の要素については第2実施形態と同様の符号を用いて説明及び図示する。
【0119】
第4実施形態に係る気密シート450は、第2実施形態に係る気密シート250と、折畳用切断線の構成においてのみ異なっており、その他の構成は第2実施形態と同じである。
【0120】
具体的に、第4実施形態では、折畳用切断線Y450が、気密シート450の後側の端部51上の点を通り第1交点P1から第2交点P2まで延びる線に設定されている。具体的に、気密シート450の後側の端部51上の点P450と第1交点P1とを直線で結ぶ第1切断線Y451と、気密シート450の後側の端部51上の点P450と第2交点P2とを直線で結ぶ第2切断線Y452とによって、折畳用切断線Y450が構成されている。
図9Aの例では、上記の点P450は、気密シート450の後側の端部51の第1折線X10から第2折線X20までの線分の左右方向の中央つまり補助折線X30と気密シート450の後側の端部51との交点に設定されている。これより、折畳用切断線Y450で気密シート450が切断されることにより、余剰後側部分81の左側つまり第1部分60側の余剰第1部分481と、余剰後側部分81の右側つまり第2部分70側の余剰第2部分482とは、分離する。具体的に、余剰後側部分81は、第1折線X10と気密シート450の後側の端部51と第1切断線Y451を3辺とする略三角形の余剰第1部分481と、第2折線X20と気密シート450の後側の端部51と第2切断線Y452を3辺とする略三角形の余剰第2部分482と、第1追加折線X70と第1切断線Y451と第2切断線Y452とを3辺とする略三角形の余剰第3部分483とに分離する。
【0121】
第4実施形態においても、第2実施形態と同様の手順で、気密シート350を、切断後に折り曲げて、第1中央部分62が囲み面20の横面20Bに沿い、第2中央部分72が囲み面20の縦面20Aに沿い、第1前側部分63と第2前側部分73とが、シート設置内側面22にそれぞれ沿うように、壁1Aに設置する。ただし、第4実施形態では、第3実施形態と異なり、この折り曲げによって、第1後側部分61と第2後側部分71との間に、余剰第1部分481と余剰第2部分482とのみが配置され、余剰後側部分81の残余の部分である余剰第3部分483は、第1後側部分61の裏側に配置されることになる。
【0122】
また、第4実施形態では、余剰第1部分481と余剰第2部分482とを、各切断線Y451,Y452が互いに一致するようにシート設置外側面21に沿って配置する。これにより、第4実施形態では、余剰第1部分481と余剰第2部分482とが、全体で略正方形状を呈して、第1後側部分61と第2後側部分71とをつなぐようにシート設置外側面21に沿って第1後側部分61と第2後側部分71との間に配置されることになる。
【0123】
(作用等)
このように、第4実施形態に係る気密シート450でも、第1実施形態と同様に、第1折線X10、第2折線X20及び補助折線X30が形成される。また、第4実施形態に係る気密シート450でも、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる折畳用切断線Y450が形成されて、この折畳用切断線Y450に沿って切断される。そして、気密シート450を折畳用切断線Y450において切断した後、気密シート450を折り曲げることにより、一枚の気密シート450を、囲み面20、シート設置外側面21及びシート設置内側面22に沿って設置することができる。そのため、囲み面20、シート設置外側面21及びシート設置内側面22を個別の気密材で覆う場合に比べて、気密シート250の設置作業が容易になる。
【0124】
また、第4実施形態においても、第1追加折線X70の位置を調整することによって、囲み面20に沿って配置される気密シート50の中央部分(第1追加折線X70から第2追加折線X80までの部分)の前後方向の長さを調整でき、気密シート50の被覆範囲の調整を施工現場で容易に行うことができる。
【0125】
また、第4実施形態では、折畳用切断線Y450が気密シート450の後側の端部51(つまり、長手方向の他方側の端部)上の点P450を通るように設定されている。これに伴い、折畳用切断線Y450に沿って余剰部分80を切断することにより、余剰後側部分81であって余剰部分80の第1追加折線X70から後側(つまり、長手方向の他方側)の部分の一部を、第1部分60側の余剰第1部分481と、第2部分70側の余剰第2部分482とに分離させることができる。そのため、第2実施形態及び第3実施形態のように余剰後側部分81を折り畳むことなく、余剰後側部分81の少なくとも一部をシート設置外側面21に沿わせることができ、余剰後側部分81の折り畳みにかかる手間を省くことができる。
【0126】
(その他の変形例)
前記の各実施形態では、折り畳まれた余剰中央部分82が第1中央部分62の裏側に配置される場合を説明した。これに代えて、余剰中央部分82を第2中央部分72の裏側に配置してもよい。また、
図10に示すように、余剰中央部分82を第1中央部分62の表側に配置して、テープ600を用いて第1前側部分63や第1後側部分61に余剰中央部分82を固定してもよい。同様に、余剰中央部分82を第2中央部分72の表側に配置して、テープ600を用いて第2前側部分73や第2後側部分71に余剰中央部分82を固定してもよい。
【0127】
また、第1実施形態では、追加折畳用切断線Y31が折畳用切断線Y72の左右方向の中央の点P3を通り前後方向にまっすぐ延びる場合を説明したが、追加折畳用切断線Y31は、折畳用切断線Y72の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点から気密シート50の後側の端部51(気密シート50の長手方向の他方側の端部)まで延びる線であればよく、前述の線に限られない。
【0128】
また、各実施形態に係る気密シートが適用される壁1Aは、前記の壁1Aに限られない。例えば、角部11Aの角度が略90°ではない壁1Aに気密シートが適用されてもよい。
【0129】
また、各実施形態において、気密シートを内側面22に沿うように配置する構成および手順は省略してもよい。具体的には、各実施形態において第2追加折線X80は省略されてもよい。また、第1実施形態において追加内側折畳用切断線Y33は省略されてもよい。また、第2~第4実施形態において、第4追加補助折線X252は省略されてもよい。また、気密シートをシート設置内側面22に沿うように配置しない場合には、第1追加折線X70から第2追加折線X80までの前後方向の距離L1は、囲み面20の開口方向の長さL2つまりシート設置内側面22からシート設置外側面21までの開口方向についての距離L2未満の寸法に設定されてもよい。
【0130】
また、第1実施形態において追加折畳用切断線Y31は省略してもよい。ただし、第1追加折線X70から気密シート50の後側の端部51までの距離L30を、第1折線X10から第2折線X20までの距離L40の半分以上の寸法に設定する場合に追加折畳用切断線を省略すると、気密シート50の後側の端部51が拘束されることにより、第1中央部分62と第2中央部分72との折り曲げ角度が90°よりも小さい状態で気密シートを外側面21に配置するのが難しくなる。これに対して、追加折畳用切断線Y31を設けてこれに沿って気密シート50を切断すれば、気密シート50の後側の端部51の拘束を開放できるので、追加折線X70から気密シート50の後側の端部51までの距離L30を、第1折線X10から第2折線X20までの距離L40の半分以上の寸法に設定し、且つ、第1中央部分62と第2中央部分72との折り曲げ角度を90°未満にしつつ、気密シートをシート設置外側面21に配置できる。
【0131】
また、折畳用切断線は、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる線であればよく、前記の各実施形態に係る折畳用切断線Y72,Y250,Y350,Y450に限られない。
【0132】
例えば、第1実施形態において、折畳用切断線を、第1追加折線X70よりも前側に形成しもよい。また、第1実施形態において、折畳用切断線を、第1追加折線X70よりも後側に設けてもよい。ただし、折畳用切断線を第1追加折線X70上または第1追加折線X70の前側の領域(気密シートの長手方向の一方側の領域)に形成し、且つ、折畳用切断線の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点から気密シートの後側の端部51まで延びる追加折畳用切断線を形成すれば、これら切断線に沿って気密シートが切断されることで、余剰部分80のうち第1追加折線X70から後側の部分つまり余剰後側部分81全体を第1部分60側の部分と第2部分70側の部分とに分離できる。そのため、これら第1部分60側の部分と第2部分70側の部分との重ね合わせ量を調整することにより、気密シートのうちの第1追加折線X70よりも後側の部分をシート設置外側面21に沿うように配置して当該部分の全体を有効に活用することができる。また、第1中央部分62と第2中央部分72の折り曲げ角度を確実に90°よりも小さい角度にできる。
【0133】
また、各実施形態において、第1追加折線X70から気密シート50の後側の端部51までの前後方向の距離L30と、第1折線X10から第2折線X20までの左右方向の距離L40との関係は前記に限られない。つまり、第1実施形態において、前記の距離L30を前記の距離L40の半分以下の寸法に設定してもよい。また、第2~第4実施形態において、前記距離L30を前記の距離L40の半分未満あるいは半分よりも大きい寸法に設定してもよい。
【0134】
また、第1実施形態において、第1追加補助折線X40及び第2追加補助折線X50は省略可能である。ただし、これら追加補助折線X40、X50を設ければ、余剰中央部分82を4つ折りにしてこれを第1中央部分62の裏側にコンパクトに配置できる。
【0135】
また、第1実施形態において、内側折畳用切断線Y82及び追加内側折畳用切断線Y33を省略して、気密シート50の第2追加折線X80から前側の部分を第2実施形態と同様に折り畳むことにより当該部分をシート設置内側面22に沿わせるようにしてもよい。
【0136】
また、前記各実施形態では、内壁部3が内壁材9で構成される場合を説明したが、内壁部3は内壁材9に加えて他の部材を有していてもよい。例えば、内壁部3を、内壁材9と、内壁材9よりも屋内側に設けられる内壁枠とで構成して、内壁材9と内壁枠とによって第2開口部11および囲み面20を区画するようにしてもよい。なお、この場合は、内壁枠の屋内側の面を前記のシート設置外側面21として、気密シートの屋内側の部分をこの内壁枠の屋内側の面に設置すればよい。
【符号の説明】
【0137】
1A 壁
11 開口部(開口)
11A 角部
20 囲み面
21 シート設置外側面(外側面)
22 シート設置内側面(内側面)
50 気密シート(第1実施形態)
60 第1部分
70 第2部分
80 余剰部分
X10 第1折線
X20 第2折線
X30 補助折線
X70 外側折畳用折線
X80 内側折畳用折線
Y31 追加折畳用切断線
Y72 折畳用切断線(第1実施形態)
P1 第1交点
P2 第2交点
250 気密シート(第2実施形態)
Y250 折畳用切断線(第2実施形態)
350 気密シート(第3実施形態)
Y350 折畳用切断線(第3実施形態)
450 気密シート(第4実施形態)
Y450 折畳用切断線(第4実施形態)