(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108311
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】気密シート、気密シート設置方法及び気密構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/684 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
E04B1/684 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012618
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】奥村 美紀
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB01
2E001FA12
2E001FA31
2E001GA24
2E001HD11
2E001LA04
2E001MA02
(57)【要約】
【課題】面材と貫通部材との隙間を塞ぐ形状に維持して気密性を確保できる気密シート、気密シート設置方法及び気密構造を提供する。
【解決手段】気密シート(50)に、複数の方向変換部(110)と接続部(120)とを設ける。方向変換部(110)に、第1折線(X10)、第2折線(X20)及び余剰部分(80)を設ける。気密シートを、折畳用切断線(Y31)に沿って切断された状態で、且つ、第1折線と第2折線とを一致させて隣り合う接続部の向く角度を変えるとともに接続部における追加折線(X40)から第1方向の一方側の部分と他方側の部分とを貫通部材(20)の外側面(21)それぞれ沿わせた状態で、追加折線に沿って折り曲げられることにより、方向変換部の少なくとも一部が面材(10)に沿って連続するように構成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面材と、前記面材に形成された貫通孔を通じて前記面材の表裏に亘って延びる貫通部材と、の間に設けられて、前記面材と前記貫通部材との隙間を気密状態で塞ぐための気密シートであって、
所定の第1方向に沿って延びるとともに前記第1方向と直交する第2方向に並ぶ複数の方向変換部と、
前記複数の方向変換部どうしを前記第2方向に接続する複数の接続部と、を有し、
前記複数の方向変換部は、前記第1方向において前記気密シートの全長に亘って延びるとともに互いに平行に配置された第1折線及び第2折線と、前記第1折線と前記第2折線との間に区画された余剰部分と、をそれぞれ有し、
前記気密シートは、前記貫通部材の外側面に配置される部分と、前記面材に沿って配置される部分とに、前記複数の方向変換部及び前記複数の接続部を前記第1方向に区画するための追加折線を形成可能な特性を有し、
前記複数の方向変換部は、各々の前記第1折線と前記追加折線との交点である第1交点から各々の前記第2折線と前記追加折線との交点である第2交点まで各々の前記余剰部分内で延びる折畳用切断線に沿って切断可能な特性をそれぞれ有し、
前記気密シートは、
前記複数の方向変換部を前記折畳用切断線に沿ってそれぞれ切断した状態で、且つ、前記複数の方向変換部を各々の前記第1折線と前記第2折線とを一致させつつ折り曲げることにより互いに隣り合う前記接続部の向く角度を変えるとともに前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の一方側の部分を前記貫通部材の外側面にそれぞれ沿わせた状態で、前記追加折線に沿って折り曲げられることにより、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の他方側の部分が前記面材に沿い、且つ、前記複数の方向変換部において、各々の前記追加折線から前記第1方向の他方側の端部までの部分の少なくとも一部が前記面材に沿って前記第1方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように構成されている、気密シート。
【請求項2】
請求項1に記載の気密シートにおいて、
前記気密シートは、前記複数の方向変換部の各々の前記第1折線と前記第2折線とを一致させ、且つ、前記第1方向に延びる軸を中心として前記貫通部材を取り囲んだ状態で、前記周方向に接続可能な前記第2方向の長さを有する、気密シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の気密シートにおいて、
前記複数の方向変換部は、各々の前記余剰部分に設けられて、前記第1折線と前記第2折線とを一致させることにより当該余剰部分が折り畳まれるように前記第1折線と前記第2折線との間に形成された補助折線を、それぞれ有する、気密シート。
【請求項4】
請求項1または2に記載の気密シートにおいて、
前記追加折線は、当該追加折線から前記気密シートの前記第1方向の他方側の端部までの距離が前記第1折線から前記第2折線までの距離の半分以上の寸法に設定される折線である、気密シート。
【請求項5】
請求項1または2に記載の気密シートにおいて、
前記折畳用切断線は、前記気密シートにおける前記第1方向の他方側の端部よりも前記第1方向の一方側の領域に形成される切断線であり、
前記気密シートは、前記折畳用切断線の前記第1交点と前記第2交点の間に位置する点から前記第1方向の他方側の端部まで延びて当該第1方向の他方側の端部を2つの部分に分離させる追加折畳用切断線を形成可能な特性を有する、気密シート。
【請求項6】
請求項5に記載の気密シートにおいて、
前記折畳用切断線は、前記気密シートにおける前記追加折線上または前記追加折線の前記第1方向の一方側の領域に形成される切断線である、気密シート。
【請求項7】
請求項1または2に記載の気密シートにおいて、
前記折畳用切断線は、前記気密シートの前記第1方向の他方側の端部上の点を通り当該第1方向の他方側の端部を2つの部分に分離させる切断線である、気密シート。
【請求項8】
請求項1または2に記載の気密シートにおいて、
前記気密シートは、前記面材に沿って配置される部分と対向する部分を、前記貫通部材の外側面に配置される部分の前記第1方向の一方側に区画するための対向面用追加折線を形成可能な特性を有し、
前記複数の方向変換部は、各々の前記第1折線と前記対向面用追加折線との交点である第3交点から各々の前記第2折線と前記対向面用追加折線との交点である第4交点まで当該余剰部分内で延びる対向面用切断線に沿って切断可能な特性をそれぞれ有し、
前記気密シートは、
前記複数の方向変換部を前記対向面用切断線に沿ってそれぞれ切断した状態で、且つ、前記複数の方向変換部を各々の前記第1折線と前記第2折線とを一致させつつ折り曲げることにより互いに隣り合う前記接続部の向く角度を変えるとともに前記複数の接続部における前記対向面用追加折線から前記第1方向の他方側の部分を前記貫通部材の外側面にそれぞれ沿わせた状態で、前記対向面用追加折線に沿って折り曲げられることにより、前記複数の接続部における前記対向面用追加折線から前記第1方向の一方側の部分が前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の他方側の部分と対向し、且つ、前記複数の方向変換部において、各々の前記対向面用追加折線から前記第1方向の一方側の端部までの部分の少なくとも一部が前記第1方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように構成されている、気密シート。
【請求項9】
請求項1または2に記載の気密シートを前記面材と前記貫通部材との間に設置する方法であって、
前記追加折線を、前記面材と前記貫通部材との隙間寸法に応じた位置に形成する追加折線形成工程と、
前記複数の方向変換部をそれぞれ前記折畳用切断線に沿って切断する切断工程と、
前記切断工程の後に実施されて、互いに隣り合う前記接続部の向く角度が変わり、且つ、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の一方側の部分が前記貫通部材の外側面にそれぞれ沿うように、前記複数の方向変換部を各々の前記第1折線と前記第2折線とを一致させつつ前記気密シートを折り曲げるとともに、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の他方側の部分が前記面材に沿い、且つ、前記複数の方向変換部において、各々の前記追加折線から前記第1方向の他方側の端部までの部分の少なくとも一部が前記面材に沿って前記第1方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように、前記追加折線に沿って前記気密シートを折り曲げる折り曲げ工程とを含む、気密シート設置方法。
【請求項10】
請求項1または2に記載の気密シートを有する気密構造であって、
面材と、
前記面材に形成された貫通孔を通じて前記面材の表裏に亘って延びる貫通部材と、
前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の一方側の部分が前記貫通部材の外側面にそれぞれ沿い、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の他方側の部分が前記面材に沿い、且つ、前記複数の方向変換部において、各々の前記追加折線から前記第1方向の他方側の端部までの部分の少なくとも一部が前記面材に沿って前記第1方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように、前記貫通部材の外側面と前記面材とに亘って設けられた前記気密シートとを備えている、気密構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密シート、当該気密シートを設置する方法及び前記気密シートを備える気密構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物等において、湿気を含む空気の侵入を抑制するべく、面材と、面材の表裏に亘って延びる貫通部材との隙間に気密材を設置することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、テープを用いて、面材と、面材の表裏に亘って延びる貫通部材との隙間を塞ぐようにした構造が開示されている。具体的に、特許文献1に記載のテープは、その幅方向の一方側の部分に幅方向にそれぞれ延びる複数の切れ込みを有している。また、特許文献1では、前記テープの幅方向の他方側の部分を貫通部材の外側面に沿って配置してこれに接着した状態で、前記テープの幅方向の一方側の部分を貫通部材の周方向に引き延ばしながら面材に接着することによりテープの幅方向の一方側の部分を貫通部材の周方向に沿って配置するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のテープでは、テープの一部を貫通部材の周方向に沿って引き延ばすことでテープを貫通部材の周方向に沿う形状にしている。そのため、テープの施工後等において引き延ばされた部分が収縮するおそれがあり、テープを貫通部材の周方向に沿う形状に維持するのが難しい。そして、テープが貫通部材の周方向に沿う形状から逸脱すると気密性が低下するという問題が生じる。
【0006】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、面材と貫通部材との隙間を塞ぐ形状に維持して気密性を確保できる気密シート、気密シート設置方法及び気密構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、第一の発明は、面材と、前記面材に形成された貫通孔を通じて前記面材の表裏に亘って延びる貫通部材と、の間に設けられて、前記面材と前記貫通部材との隙間を気密状態で塞ぐための気密シートであって、所定の第1方向に沿って延びるとともに前記第1方向と直交する第2方向に並ぶ複数の方向変換部と、前記複数の方向変換部どうしを前記第2方向に接続する複数の接続部と、を有し、前記複数の方向変換部は、前記第1方向において前記気密シートの全長に亘って延びるとともに互いに平行に配置された第1折線及び第2折線と、前記第1折線と前記第2折線との間に区画された余剰部分と、をそれぞれ有し、前記気密シートは、前記貫通部材の外側面に配置される部分と、前記面材に沿って配置される部分とに、前記複数の方向変換部及び前記複数の接続部を前記第1方向に区画するための追加折線を形成可能な特性を有し、前記複数の方向変換部は、各々の前記第1折線と前記追加折線との交点である第1交点から各々の前記第2折線と前記追加折線との交点である第2交点まで各々の前記余剰部分内で延びる折畳用切断線に沿って切断可能な特性をそれぞれ有し、前記気密シートは、前記複数の方向変換部を前記折畳用切断線に沿ってそれぞれ切断した状態で、且つ、前記複数の方向変換部を各々の前記第1折線と前記第2折線とを一致させつつ折り曲げることにより互いに隣り合う前記接続部の向く角度を変えるとともに前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の一方側の部分を前記貫通部材の外側面にそれぞれ沿わせた状態で、前記追加折線に沿って折り曲げられることにより、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の他方側の部分が前記面材に沿い、且つ、前記複数の方向変換部において、各々の前記追加折線から前記第1方向の他方側の端部までの部分の少なくとも一部が前記面材に沿って前記第1方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように構成されている、気密シートを提供する。
【0008】
第一の発明では、気密シートに前記の追加折線を形成して、気密シートの各方向変換部を前記の折畳用切断線に沿って切断することができる。そして、折畳用切断線に沿って切断した各方向変換部の各々の第1折線と第2折線とを一致させつつ気密シートを折り曲げて互いに隣り合う接続部の向く角度を変えるとともに追加折線に沿って折り曲げることにより、気密シートの一部を貫通部材の外側面に沿わせつつ気密シートの一部を面材の外側面に沿って配置することができる。
【0009】
具体的に、第一の発明では、複数の方向変換部を折り曲げることで、互いに隣り合う接続部の向く角度を変えてこれら接続部を貫通部材の外側面に沿うように配置することができる。また、複数の方向変換部を各々の第1折線と第2折線とを一致させつつ折り曲げることにより、各方向変換部の余剰部分に、面材に沿って展開するための余裕をそれぞれ形成できる。そして、この余剰部分を使って、気密シートの追加折線から第1方向の他方側の端部までの部分を面材の外側面に沿って第1方向を中心とする周方向に連続するように展開することができる。ただし、第1折線と第2折線とを一致させた状態において、気密シートを貫通部材と面材とに沿わせるためには、気密シートの追加折線から第1方向の一方側の部分と他方側の部分とが互いに異なる方向を向くように気密シートを折り曲げる必要がある。しかしながら、気密シートの追加折線の一方側の部分と他方側の部分とは余剰部分を介して接続されているため、そのままで両部分を異なる方向に折り曲げることはできない。これに対して、第一の発明では、前記のように第1交点と第2交点とを通る折畳用切断線に沿って余剰部分を切断することにより余剰部分において気密シートを第1方向に分断できるので、追加折線の一方側の部分と他方側の部分とが異なる方向に向くように気密シートを折り曲げることが可能になる。これより、接続部を貫通部材の外側面に沿わせつつ、面材に沿って気密シートの追加折線から第1方向の一方側の部分が第1方向を中心とする周方向に連続する状態、つまり、面材に沿って気密シートの一部が貫通部材の周方向に連続する状態で気密シートを設置することができる。
【0010】
しかも、第一の発明では、折畳用切断線に沿って切断された後の気密シートを折り曲げることによって気密シートを貫通部材の周方向に連続する状態で面材に沿わせているので、気密シートの形状をこの貫通部材の周方向に連続する形状に維持できる。つまり、気密シートの施工後においても、気密シートの形状をその一部が貫通部材の周方向に連続する形状に維持できる。従って、気密シートによって貫通部材と面材の隙間を確実に塞いで気密性を確保することができる。
【0011】
第二の発明は、第一の発明であって、前記気密シートは、前記複数の方向変換部の各々の前記第1折線と前記第2折線とを一致させ、且つ、前記第1方向に延びる軸を中心として前記貫通部材を取り囲んだ状態で、前記周方向に接続可能な前記第2方向の長さを有する、ことが好ましい。
【0012】
第二の発明によれば、一枚の気密シートを用いて貫通部材の全周に亘って貫通部材と面材の隙間を覆うことができる。
【0013】
第三の発明は、第一または第二の発明であって、前記複数の方向変換部は、各々の前記余剰部分に設けられて、前記第1折線と前記第2折線とを一致させることにより当該余剰部分が折り畳まれるように前記第1折線と前記第2折線との間に形成された補助折線を、それぞれ有する、ことが好ましい。
【0014】
第三の発明によれば、補助折線を利用して余剰部分を容易に折り畳むことができ、第1折線と第2折線とを容易に一致させることができる。
【0015】
第四の発明は、第一~第三の発明であって、前記追加折線は、当該追加折線から前記気密シートの前記第1方向の他方側の端部までの距離が前記第1折線から前記第2折線までの距離の半分以上の寸法に設定される折線である、ことが好ましい。
【0016】
第四の発明によれば、追加折線から気密シートの第1方向の他方側の端部までの距離が大きくされることにより、気密シートによって面材のより広い範囲を覆うことができる。
【0017】
また、追加折線から気密シートの第1方向の他方側の端部までの距離をA、第1折線から第2折線までの距離の半分をBとした場合に、第四の発明では以下の点が成立する。
【0018】
A=Bとした場合、第1折線と第2折線とを一致させた状態(つまり、第1交点と第2交点とが一致した状態)における第1交点及び第2交点から気密シートの第1方向の他方側の端部までの最大距離は、Aを一辺とする正方形の対角線の距離となる。従って、A=Bとした場合には、隣り合う接続部が90°に折り曲げられた状態で気密シートの第1方向の他方側の領域を面材に沿って展開することができる。
【0019】
一方、A>Bとした場合、第1折線と第2折線とを一致させた状態における第1交点及び第2交点から気密シートの第1方向の他方側の端部までの最大距離は、Aを一辺とする正方形の対角線の距離よりも短い距離となる。従って、A>Bとした場合には、隣り合う接続部を90°まで折り曲げる前の段階で気密シートにおける追加折線の第1方向の他方側の端部によって余剰部分の展開が規制される。つまり、A>Bとした場合には、隣り合う接続部を90°を超える角度で折り曲げた場合に余剰部分を面材に沿って展開させることができる。従って、第四の発明によれば、角部が90°以上である貫通部材において、気密シートを面材のより広い範囲を覆う状態で設置することができる。
【0020】
第五の発明は、第一~第四の発明であって、前記折畳用切断線は、前記気密シートにおける前記第1方向の他方側の端部よりも前記第1方向の一方側の領域に形成される切断線であり、前記気密シートは、前記折畳用切断線の前記第1交点と前記第2交点の間に位置する点から前記第1方向の他方側の端部まで延びて当該第1向の他方側の端部を2つの部分に分離させる追加折畳用切断線を形成可能な特性を有する、ことが好ましい。
【0021】
第五の発明によれば、追加折線から気密シートの第1方向の他方側の端部までの距離と第1折線から第2折線までの距離の関係に関わらず接続部どうしがなす角度を調整することができる。具体的に、追加折畳用切断線を形成しない場合、追加折線から気密シートの第1方向の他方側の端部までの距離を第1折線から第2折線までの距離の半分とすると、隣り合う接続部どうしがなす角度を90°に設定することができる。一方、追加折畳用切断線を形成しない場合、追加折線から気密シートの第1方向の他方側の端部までの距離を第1折線から第2折線までの距離の半分を超える寸法とすると、気密シートの他方側の端部により余剰部分の展開が規制されることにより、隣り合う接続部どうしがなす角度を90°にするのが難しい。これに対して、第五の発明によれば、追加折畳用切断線によって気密シートの他方側の端部の拘束を解放することができるため、A>Bとした場合であっても、隣り合う接続部どうしがなす角度を90°に設定することができる。
【0022】
さらに、第五の発明によれば、追加折畳用切断線によって余剰部分のうちの折畳用切断線から気密シートの第1方向の他方側の端部までの部分が2つに分離される。そのため、これら2つの部分を重ね合わせることによって、この重ね合わせ部分が配置される面材の一部の気密性を高めることが可能になる。
【0023】
第六の発明は、第五の発明であって、前記折畳用切断線は、前記気密シートにおける前記追加折線上または前記追加折線の前記第1方向の一方側の領域に形成される切断線である、ことが好ましい。
【0024】
第六の発明によれば、気密シートにおける、追加折線上、または、追加折線の第1方向の一方側の領域に形成された折畳用切断線に沿って気密シートが切断されるとともに、折畳用切断線の第1交点と第2交点の間に位置する点から第1方向の他方側の端部まで延びる追加折畳用切断線に沿って気密シートが切断される。そのため、余剰部分のうち追加折線から第1方向の他方側の部分の全体を2つの部分に分離してこれら2つの部分の重ね合わせ量を調整することにより、余剰部分のうち追加折線から第1方向の他方側の部分の全体を有効に活用することができる。
【0025】
第七の発明は、第一~第四の発明であって、前記折畳用切断線は、前記気密シートの前記第1方向の他方側の端部上の点を通り当該第1方向の他方側の端部を2つの部分に分離させる切断線である、ことが好ましい。
【0026】
第七の発明によれば、折畳用切断線により気密シートの第1方向の他方側の端部の拘束を解放することができるため、追加折線から気密シートの第1方向の他方側の端部までの距離と第1折線から第2折線までの距離の関係に関わらず隣り合う接続部どうしがなす角度を調整することができる。さらに、折畳用切断線が気密シートの第1方向の他方側の端部上の点を通らないことにより、余剰部分を折り曲げつつこれを面材に沿って配置しなければならない場合に比べて、折り曲げに掛かる手間を省くことが可能になる。
【0027】
第八の発明は、第一~第七の発明であって、前記気密シートは、前記面材に沿って配置される部分と対向する部分を、前記貫通部材の外側面に配置される部分の前記第1方向の一方側に区画するための対向面用追加折線を形成可能な特性を有し、前記複数の方向変換部は、各々の前記第1折線と前記対向面用追加折線との交点である第3交点から各々の前記第2折線と前記対向面用追加折線との交点である第4交点まで当該余剰部分内で延びる対向面用切断線に沿って切断可能な特性をそれぞれ有し、前記気密シートは、前記複数の方向変換部を前記対向面用切断線に沿ってそれぞれ切断した状態で、且つ、前記複数の方向変換部を各々の前記第1折線と前記第2折線とを一致させつつ折り曲げることにより互いに隣り合う前記接続部の向く角度を変えるとともに前記複数の接続部における前記対向面用追加折線から前記第1方向の他方側の部分を前記貫通部材の外側面にそれぞれ沿わせた状態で、前記対向面用追加折線に沿って折り曲げられることにより、前記複数の接続部における前記対向面用追加折線から前記第1方向の一方側の部分が前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の他方側の部分と対向し、且つ、前記複数の方向変換部において、各々の前記対向面用追加折線から前記第1方向の一方側の端部までの部分の少なくとも一部が前記第1方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように構成されている、ことが好ましい。
【0028】
第八の発明によれば、気密シートを対向面用切断線で切断するとともに対向面用追加折線に沿って折り曲げることで、気密シートの対向面用追加折線から第1方向の一方側の部分を、気密シートの追加折線から第1方向の他方側の部分と対向させることができる。そのため、貫通部材の外側面及び面材に加えて面材と対向する面に沿うように気密シートを配置することができる。
【0029】
第九の発明は、第一~第八の発明に係る気密シートを前記開口の周囲に設置する方法であって、前記追加折線を、前記面材と前記貫通部材との隙間寸法に応じた位置に形成する追加折線形成工程と、前記複数の方向変換部をそれぞれ前記折畳用切断線に沿って切断する切断工程と、前記切断工程の後に実施されて、互いに隣り合う前記接続部の向く角度が変わり、且つ、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の一方側の部分が前記貫通部材の外側面にそれぞれ沿うように、前記複数の方向変換部を各々の前記第1折線と前記第2折線とを一致させつつ前記気密シートを折り曲げるとともに、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の他方側の部分が前記面材に沿い、且つ、前記複数の方向変換部において、各々の前記追加折線から前記第1方向の他方側の端部までの部分の少なくとも一部が前記面材に沿って前記第1方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように、前記追加折線に沿って前記気密シートを折り曲げる折り曲げ工程とを含む、気密シート設置方法を提供する。
【0030】
この方法によれば、気密シートの切断及び折り曲げによって、気密シートを貫通部材の外側面と面材の隙間を塞ぐ状態でこれらに沿って設置することができる。
【0031】
第十の発明は、第一~第八の発明に係る気密シートを有する気密構造であって、面材と、前記面材に形成された貫通孔を通じて前記面材の表裏に亘って延びる貫通部材と、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の一方側の部分が前記貫通部材の外側面にそれぞれ沿い、前記複数の接続部における前記追加折線から前記第1方向の他方側の部分が前記面材に沿い、且つ、前記複数の方向変換部において、各々の前記追加折線から前記第1方向の他方側の端部までの部分の少なくとも一部が前記面材に沿って前記第1方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように、前記貫通部材の外側面と前記面材とに亘って設けられた前記気密シートとを備えている、気密構造を提供する。
【0032】
この構造によれば、気密シートが、貫通部材の外側面と面材とに亘って配置されるとともに、気密シートの形状をその一部が貫通部材の周方向に連続する形状に維持できるので、貫通部材と面材との隙間を確実に塞いで気密性を確保することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明によれば、面材と貫通部材との隙間を塞ぐ形状に維持して気密性を確保可能な気密シート、気密シート設置方法及び気密構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明に係る気密シートが設けられる施工対象の一例を示した概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線における概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る気密シートの平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す気密シートの方向変換部の周囲を拡大して示した図である
【
図5】
図5は、
図3に示す気密シートが設置された状態の床構造を示した概略断面図である。
【
図6】
図6は、床構造に設置された状態の
図3に示す気密シートを示した概略斜視図である。
【
図7】
図7は、
図3に示す気密シートの切断後の状態を示した図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態に係る気密シートの平面図である。
【
図9】
図9は、床構造に設置された状態の
図8に示す気密シートの一部を示した概略斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に係る気密シートの平面図である。
【
図11】
図11は、床構造に設置された状態の
図10に示す気密シートの一部を示した概略斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第4実施形態に係る気密シートの平面図である。
【
図13】
図13は、床構造に設置された状態の
図12に示す気密シートの一部を示した概略斜視図である。
【
図14】
図14は、気密シートの他の例に係る設置構造を示した概略断面図である。
【
図15】
図15は、気密シートの他の例に係る設置構造を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0036】
本発明の実施形態に係る気密シートは、面材と、前記面材に形成された貫通孔を通じて前記面材の表裏に亘って延びる貫通部材と、の間に設けられて、面材と貫通部材との隙間を気密状態で塞ぐためのものである。
図1は、このように面材と貫通部材とを有して気密シートが施工される施工対象の一例であって、前記の面材としての床支持材10と、前記の貫通部材としての柱20とを有する床構造1を示した図である。
図2は、
図1のII-II線における概略断面図である。以下では、気密シートが
図1、
図2に示す床構造に適用される場合を説明する。
【0037】
図1に示す床構造1は地面等に設置される基礎2を有し、基礎2の天面2aから上方に延びる姿勢で基礎2に固定されている。柱20は上下方向に延びる中心軸O1を有する略直方体状の角柱である。柱20の外側面21は上下方向に延びて幅方向(上下方向と直交する方向)の寸法が互いに略同一の4つの側面21aを有する。また、柱20は、隣り合う側面21aどうしによって区画された略90度の4つの角部22を有する。
【0038】
床支持材10は、略板状を有し、基礎2の上方において略水平に延びている。床支持材10には、これを上下方向に貫通する貫通孔10aが形成されている。柱20は、この貫通孔10aを通じて床支持材10の表裏に亘って延びている。
図1の例では、床支持材10は、床パネル11と、床パネル11の上方に配置される下地材12とを有する。床パネル11及び下地材12はいずれも板状に形成されている。床パネル11及び下地材12には上方から見て互いに同じ位置にその表裏を貫通する孔11a,12aがそれぞれ形成されており、これらの孔11a,12aが貫通孔10aを構成している。なお、
図1の例では、下地材12の上方に仕上げ材13が設置される。この仕上げ材13にも、上方から見て貫通孔10aとほぼ一致する孔が形成されており、柱20は仕上げ材13の表裏に亘って延びている。
【0039】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態に係る気密シートについて説明する。
図3は、第1実施形態に係る気密シート50の平面図である。
【0040】
気密シート50は、長尺なシート状部材である。気密シート50は、気密性(防湿性)を有するとともに折り曲げ及び切断が可能な特性を有している。気密シート50の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンフィルムのようなプラスティック系防湿フィルムを気密シート50として用いることができる。
【0041】
気密シート50は、略長方形状を呈している。以下では、適宜、気密シート50の長手方向であって
図3の左右方向を左右方向といい、後述する方向変換部110の各々における第1折線X10に対する第2折線X20側を右、反対側を左という。また、気密シート50の短手方向であって
図3の上下方向を前後方向といい、後述する第2追加折線X50に対する第1追加折線X40側を前、反対側を後という。なお、前記の左右方向は本開示における「第1方向」に相当し、「前側」が「第1方向の他方側」に相当し、「後側」が「第1方向の一方側」に相当する。また、前記の前後方向は本開示における「第2方向」に相当する。
【0042】
気密シート50は、左右方向に互いに離間した状態で並ぶ複数の囲み部120と、囲み部120の間に位置して左右方向に互いに離間した状態で並ぶ複数の方向変換部110とを有する。各囲み部120及び各方向変換部110は、それぞれ、前後方向において気密シートの全長に亘って延びている。また、各囲み部120及び各方向変換部110は、それぞれ、前後方向に延びる略長方形状を有する。
【0043】
方向変換部110は、気密シート50が床支持材10と柱20との間に設置された状態で柱20の角部22に配置される部分であり、囲み部120は、柱20の4つの側面21aに配置される部分である。気密シート50には、柱20の4つの角部22に対応して4つの方向変換部110が設けられている。囲み部120は、4つの方向変換部110の左右のそれぞれに設けられており、気密シート50には5つの囲み部120が設けられている。
【0044】
4つの方向変換部110の左右方向の寸法L10は、互いに同じ寸法に設定されており、これら4つの方向変換部110は、互いに同じ構造及び同じ寸法を有する。
【0045】
5つの囲み部120は互いに同じ構造を有する。一方、5つの囲み部120のうち方向変換部110の間に位置する3つの囲み部120の左右方向の寸法L120と、気密シート50の右端に位置する囲み部120Aの左右方向の寸法L120Aと、左端に位置する囲み部120Bの左右方向の寸法L120Bとは、互いに異なる寸法に設定されている。具体的に、方向変換部110の間に位置する3つの囲み部120の左右方向の寸法L120は、柱20の側面21aの幅方向の寸法L20と略同じ値に設定されている。一方、気密シート50の右端及び左端に位置する囲み部120(120A、120B)の左右方向の寸法L120(L120A、L120B)は、柱20の側面21aの幅方向の寸法L20よりも小さく、且つ、これら2つの寸法L120(L120A、L120B)の合計が柱20の側面21aの幅方向の寸法L20よりも大きくなる値に設定されている。そして、この寸法設定に伴い、5つの囲み部120の左右方向の寸法L120の合計は、柱20の4つの側面21aの幅方向の寸法L20の合計つまり柱20の外側面21の中心軸O1回りの寸法よりも大きくなっている。なお、5つの囲み部120のうち方向変換部110の間に位置する3つの囲み部120は、複数の方向変換部110どうしを左右方向に接続しており、これら3つの囲み部120はそれぞれ本開示における「接続部」に相当する。
【0046】
図4は、気密シート50の方向変換部110の周囲を拡大して示した図である。各方向変換部110は、前後方向に延びるとともに互いに平行に配置された第1折線X10と第2折線X20と、第1折線X10と第2折線X20との間に区画された余剰部分80とをそれぞれ有する。上記のように、ここでは、方向変換部110の各々における第1折線X10に対する第2折線X20側を右、反対側を左としており、各方向変換部110は、第1折線X10とこれの右側に位置する第2折線X20とをそれぞれ有する。各第1折線X10及び各第2折線X20は、それぞれ前後方向において気密シート50の全長に亘って延びている。
【0047】
第1折線X10と第2折線X20は、各方向変換部110の左右方向の両縁に設けられている。換言すると、方向変換部110は、第1折線X10とこれの右方に位置する第2折線X20とが形成された部分と、これら第1折線X10と第2折線X20との間に位置して余剰部分80を構成する部分とによって構成されている。
【0048】
各余剰部分80には、それぞれ第1折線X10と第2折線X20との間に、第1折線X10と第2折線X20とを一致させることにより余剰部分80が折り畳まれるように形成された補助折線X30が設けられている。つまり、第1折線X10と第2折線X20とを一致させた状態で余剰部分80を折り畳むことができるような補助折線X30が、余剰部分80に形成されている。補助折線X30は、前後方向に延びる線であり、前後方向について気密シート50の全長に亘って延びている。補助折線X30は、各余剰部分80において第1折線X10と第2折線X20の左右方向の中央に設けられている。
【0049】
(気密シートの設置手順)
次に、気密シート50を床構造1に設置する手順について説明する。
図5は、第1実施形態に係る気密シート50が前記の床構造1に適用された状態の概略断面図であって、
図2において仕上げ材13を省略した図に対応している。
図6は、前記の床構造1に設置された状態の気密シート50の概略斜視図であって、
図1において仕上げ材13及び床支持材10を省略した図に対応している。
【0050】
まず、気密シート50に、
図3に示すように、第1折線X10、第2折線X20及び補助折線X30に加えて、左右方向に延びる折線を追加する。具体的に、気密シート50に、第1追加折線X40と、第1追加折線X40よりも後側に位置する第2追加折線X50を形成する。第1追加折線X40と第2追加折線X50とはそれぞれ左右方向について気密シート50の全長に亘って延びる折線である。各第1折線X10と第1追加折線X40とは第1交点P1においてそれぞれ交差しており、各第2折線X20と第1追加折線X40とは第2交点P2においてそれぞれ交差している。各第1折線X10と第2追加折線X50とは第3交点Q1においてそれぞれ交差しており、各第2折線X20と第2追加折線X50とは第4交点Q2においてそれぞれ交差している。なお、前記の第1追加折線X40は本開示における「追加折線」に相当し、第2追加折線X50は本開示における「対向面用追加折線」に相当する。
【0051】
このとき、床支持材10と柱20の隙間の長さd1に応じた位置に第1追加折線X40を形成する。具体的に、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの前後方向の距離L1が、床支持材10と柱20の側面21aとの水平方向の隙間寸法d1よりも大きくなる位置に、第1追加折線X40を形成する。
【0052】
また、第1実施形態では、第1追加折線X40と気密シート50の前側の端部51との距離L1を、第1折線X10からこれの右側に位置する第2折線X20までの距離L10つまり方向変換部110の左右方向の寸法L10の半分以上の寸法に設定する。図例では、第1追加折線X40と気密シート50の前側の端部51との距離L1は、第1折線X10から第2折線X20までの距離L10の半分よりも大きい寸法に設定されている。
【0053】
また、床支持材10の上面10bと基礎2の天面2aとの距離d2に応じた位置に、第2追加折線X50を形成する。具体的に、第1追加折線X40から第2追加折線X50までの前後方向の距離L2が、床支持材10の上面10bから基礎2の天面2aまでの距離d2と略同じになる位置に、第2追加折線X50を形成する。なお、第1実施形態に係る気密シート50の前後方向の全長は、床支持材10と柱20の側面21aとの水平方向の隙間寸法d1と、床支持材10の上面10bから基礎2の天面2aまでの距離d2とを合わせた寸法よりも長い寸法に設定されている。
【0054】
第2追加折線X50と気密シート50の後側の端部52との距離L3は、気密シート50の前後方向の全長と、第2追加折線X50の位置とで規定される。
図3の例では、第2追加折線X50と気密シート50の後側の端部52との距離L3は、第1折線X10から第2折線X20までの距離L10の半分とほぼ同じ寸法になっている。
【0055】
次に、各方向変換部110を切断線に沿ってそれぞれ切断する。第1実施形態では、各方向変換部110に、第1切断線Y31、第1追加切断線Y32、第2切断線Y33、及び第2追加切断線Y34が、それぞれ1つずつ切断線として設定されている。なお、前記の第1切断線Y31は本開示における「折畳用切断線」に相当し、前記の第1追加切断線は本開示における「追加折畳用切断線」に相当する。また、前記の第2切断線Y33は本開示における「対向面用切断線」に相当する。上記のように、4つの方向変換部110は互いに同じ構造を有しており、以下では、1つの方向変換部110に設定された切断線について説明する。
【0056】
第1切断線Y31は、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる切断線である。第1実施形態では、第1追加折線X40に沿って第1交点P1と第2交点P2とを直線で結ぶ切断線が、第1切断線Y31に設定されている。第1追加切断線Y32は、第1切断線Y31の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点P3から気密シート50の前側の端部51まで延びる切断線である。第1実施形態では、第1追加切断線Y32は、第1切断線Y31の左右方向の中央の点P3から前側にまっすぐ延びている。なお、第1切断線Y31は、第1追加折線X40のうち第1折線X10とこれの右側に位置する第2折線X20との間の線分と同じ左右方向に延びる線分である。第1追加切断線Y32は、補助折線X30のうち第1追加折線X40から前側の部分と同じ前後方向に延びる線分である。点P3は、第1追加折線X40と補助折線X30とが交差する点である。
【0057】
第2切断線Y33は、第3交点Q1から第4交点Q2まで余剰部分80内で延びる切断線である。第1実施形態では、第2追加折線X50に沿って第3交点Q1と第4交点Q2とを直線で結ぶ切断線が、第2切断線Y33に設定されている。第2追加切断線Y34は、第2切断線Y33の第3交点Q1と第4交点Q2の間に位置する点Q3から気密シート50の後側の端部52まで延びる切断線である。第1実施形態では、第2追加切断線Y34は、第2切断線Y33の左右方向の中央の点Q3から後側にまっすぐ延びている。なお、第2切断線Y33は、第2追加折線X50のうち第1折線X10とこれの右側に位置する第2折線X20との間の線分と同じ左右方向に延びる線分である。第2追加切断線Y34は、補助折線X30のうち第2追加折線X50から後側の部分と同じ前後方向に延びる線分である。点Q3は、第2追加折線X50と補助折線X30とが交差する点である。
【0058】
上記の切断線Y31~Y34に沿って方向変換部110を切断するための具体的な手順は特に限定されない。ただし、気密シート50を補助折線X30で二つ折りにして、補助折線X30側からハサミを用いて第1切断線Y31及び第2切断線Y33に沿って気密シート50を切断すれば比較的容易に方向変換部110を切断できる。
【0059】
図7は、切断線Y31~Y34に沿って各方向変換部110を切断した後の気密シート50を示した概略図である。
図7に示すように、切断線Y31~Y34に沿って各方向変換部110を切断すると、各方向変換部110において、余剰部分80のうち第1追加折線X40から前側の部分は、左右方向について2つに分離する。また、各方向変換部110において、余剰部分80のうち第2追加折線X50から後側の部分も、左右方向について2つに分離する。
【0060】
次に、気密シート50を、折り曲げつつ床構造1に設置する。このとき、各囲み部120の第1追加折線X40と第2追加折線X50との間の部分121を柱20の外側面21にそれぞれ沿わせる。また、各囲み部120の第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの部分122を、床支持材10の上面10bに沿わせる。また、各方向変換部110の第1切断線Y31から気密シート50の前側の端部51までの部分112を、床支持材10の上面10bに沿って柱20の中心軸O1を中心とする周方向にそれぞれ連続するように配置する。また、各囲み部120の第2追加折線X50から気密シート50の後側の端部52までの部分123を、基礎2の天面2aに沿わせる。また、各方向変換部110の第2切断線Y33から気密シート50の後側の端部52までの部分113を、基礎2の天面2aに沿って柱20の中心軸O1を中心とする周方向にそれぞれ連続するように配置する。
【0061】
以下、気密シート50の詳細な設置手順を説明する。なお、以下に説明する手順は一例であり、気密シート50を前記のように設置するための手順はこれに限られない。
【0062】
まず、各補助折線X30を谷折りにするとともに各第1折線X10を山折りにする。これにより、各方向変換部110の余剰部分80はそれぞれ左右方向について2つ折りにされて、気密シート50は、第1折線X10と第2折線X20とが一致し且つ各囲み部120の裏側に各余剰部分80が折り畳まれた状態となる。
【0063】
次に、各第2折線X20を山折りにして隣り合う囲み部120どうしの向く角度を変えつつ気密シート50を柱20に巻き付けて、各囲み部120をそれぞれ柱20の側面21aに沿わせる。
【0064】
具体的に、上記のように、方向変換部110の間に位置する3つの囲み部120の左右方向の寸法L120は、それぞれ柱20の側面21aの幅方向の寸法L20と略同じ値に設定されている。そのため、囲み部120どうしの向く角度を柱20の角部22の角度(ここでは、略90度)と略同じにすることで、柱20の角部22と、第1折線X10及び第2折線X20とを一致させて、各囲み部120をそれぞれ柱20の側面21aに沿わせていくことができる。これより、柱20の角部22と第1折線X10及び第2折線X20とを一致させつつ各囲み部120をそれぞれ柱20の側面21aに沿うように配置する。
【0065】
また、上記のように、気密シート50の右端及び左端に位置する囲み部120(120A、120B)の左右方向の寸法L120(L120A、L120B)は、柱20の側面21aの幅方向の寸法L20よりも小さく、且つ、これら2つの寸法L120(L120A、L120B)の合計が柱20の側面21aの幅方向の寸法L20よりも大きくなる値に設定されている。そのため、柱20の一つの側面21aにおいて、気密シート50の右端に位置する囲み部120Aと左端に位置する囲み部120Bとを、重ね合わせることができる。これより、気密シート50の右端に位置する囲み部120Aと左端に位置する囲み部120Bとを、気密シート50の厚み方向について重ね合わせつつ柱20の一つの側面21aに沿うように配置して、気密シート50を、柱20の全周にわたって柱20の外側面21に沿うように配置する。このようにして、気密シート50を柱20の外側面21にその全周にわたって巻き付ける。すなわち、気密シート50は、複数の方向変換部110の各々の第1折線X10と第2折線X20とを一致させ、且つ、柱20を取り囲んだ状態で、柱20の周方向に接続可能な左右方向の長さを有しており、複数の方向変換部110の各々の第1折線X10と第2折線X20とを一致させた後、柱20の外側面21にその全周にわたって巻き付ける。
【0066】
次に、各囲み部120の第2追加折線X50から後側の部分123を基礎2の天面2aに沿うように設置する。具体的に、第2追加折線X50を谷折りにして、各囲み部120の第2追加折線X50から後側の部分123を、柱20から離間する方向に略直角に折り曲げることで、各囲み部120を基礎2の天面2aに沿わせる。なお、このとき、気密シート50の右端に位置する囲み部120Aと左端に位置する囲み部120Bの第2追加折線X50から後側の部分123については、これらを基礎2の天面2a上で上下方向に重ね合わせつつ当該天面2aに沿って配置する。
【0067】
ここで、仮に、第2切断線Y33において各方向変換部110が切断されていなければ、各方向変換部110の各々において第2追加折線X50から前側の部分121と後側の部分123とが接続された状態のままであることにより、各囲み部120の第2追加折線X50から前側の部分121をそれぞれ柱20の側面21aに沿わせた状態で、各囲み部120の第2追加折線X50から後側の部分123を柱20から離間する方向に折り曲げることはできない。つまり、気密シート50の第2追加折線X50の前側の部分と後側の部分とを互いに異なる方向に折り曲げることはできない。これに対して、第3交点Q1と第4交点Q2とを通る第2切断線Y33に沿って各方向変換部110が切断されて、各方向変換部110において気密シート50の第2追加折線X50の前側の部分と後側の部分とが分断されている。これより、気密シート50の第2追加折線X50の前側の部分と後側の部分とを互いに異なる方向に折り曲げることができる。すなわち、前記のように、各囲み部120のうち第2追加折線X50から後側の部分123を、柱20に沿うように配置された第2追加折線X50から前側の部分121に対して、柱20から離間する方向に折り曲げて基礎2の天面2aに沿わせることができる。
【0068】
次に、第1折線X10及び第2折線X20が山折りにされることで折り曲げられていた各方向変換部110の第2切断線Y33から後側の部分113であって、各囲み部120の第2追加折線X50から後側の部分123とつながっている部分113を左右方向に広げる。そして、これら方向変換部110の第2切断線Y33から後側の部分113も、基礎2の天面2aに沿うように設置する。
【0069】
このとき、各方向変換部110の第2切断線Y33から後側の部分113の右側部分と左側部分であって、第2追加切断線Y34によって左右に分離された部分は、その一部どうしが上下方向に重ね合わせられることになる。これにより、各方向変換部110の第2切断線Y33から後側の部分113は、基礎2の天面2aにおいて柱20の中心軸O1を中心とする周方向に連続し、各方向変換部110の第2切断線Y33から後側の部分113と囲み部120の第2追加折線X50から後側の部分123とを含む気密シート50の第2追加折線X50から後側の部分は、基礎2の天面2aに沿い、且つ、柱20の中心軸O1を中心とする周方向の全周に亘って連続するように配置されることになる。ここで、柱20の中心軸O1は、柱20に巻き付けられた状態の気密シート50の前後方向と一致し、気密シート50の一部は、基礎2の天面2aに沿って気密シート50の前後方向を中心とする周方向に亘って連続するように配置されることになる。
【0070】
第1実施形態では、前記のように気密シート50を基礎2の天面2aに沿うように配置した後、気密シート50をテープを用いて基礎2の天面2aに固定する。
【0071】
次に、気密シート50の第1追加折線X40から前側の部分を、気密シート50の第2追加折線X50から後側の部分と同様に折り曲げて床支持材10の上面10bに沿うように設置する。
【0072】
まず、第1追加折線X40を谷折りにして、各囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122を、柱20から離間する方向に略直角に折り曲げて各囲み部120は床支持材10の上面10bに沿うように配置する。このとき、気密シート50の右端に位置する囲み部120Aと左端に位置する囲み部120Bの第1追加折線X40から前側の部分122については、これらを床支持材10の上面10b上で上下方向に重ね合わせつつ当該上面10bに沿って配置する。
【0073】
ここで、気密シート50の第2追加折線X50から後側の部分と同様に、仮に、第1切断線Y31において各方向変換部110が切断されていなければ、各方向変換部110の各々において第1追加折線X40から前側の部分122と後側の部分121とが接続された状態のままであることにより、各囲み部120の第1追加折線X40から後側の部分121をそれぞれ柱20の側面21aに沿わせた状態で、各囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122を柱20から離間する方向に折り曲げることはできない。つまり、気密シート50の第1追加折線X40の前側の部分と後側の部分とを互いに異なる方向に折り曲げることはできない。これに対して、第1交点P1と第2交点P2とを通る第1切断線Y31に沿って各方向変換部110が切断されて、各方向変換部110において気密シート50の第1追加折線X40の前側の部分と後側の部分とが分断されている。これより、気密シート50の第1追加折線X40の前側の部分と後側の部分とを互いに異なる方向に折り曲げることができる。すなわち、前記のように、各囲み部120のうち第1追加折線X40から前側の部分122を、柱20に沿うように配置された第1追加折線X40から後側の部分121に対して、柱20から離間する方向に折り曲げて床支持材10の上面10bに沿わせることができる。
【0074】
また、前記のように、第1追加折線X40から第2追加折線X50までの前後方向の距離L2は、床支持材10の上面10bから基礎2の天面2aまでの距離d2と略同じである。また、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの前後方向の距離L1は、床支持材10と柱20の側面21aとの水平方向の隙間寸法d1よりも大きい。これより、気密シート50を柱20の外側面21に沿い且つ基礎2の天面2aに沿うように配置した状態において、各囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122は床支持材10の上面10bから上方に延びている。これより、各囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122は、前記のように折り曲げられることで床支持材10の上面10bに沿うように配置される。
【0075】
次に、第1折線X10及び第2折線X20が山折りにされることで折り曲げられていた各方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分112であって、各囲み部120の第1追加折線X40から後側の部分122とつながっている部分112を左右方向に広げる。そして、これら方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分112も、床支持材10の上面10bに沿うように設置する。
【0076】
このとき、各方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分112の右側部分と左側部分であって、第1追加切断線Y32によって左右に分離された部分は、その一部どうしが上下方向に重ね合わせられることになる。これにより、各方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分112は、床支持材10の上面10bにおいて柱20の中心軸O1を中心とする周方向に連続し、各方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分112と囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122とを含む気密シート50の第1追加折線X40から前側の部分は、床支持材10の上面10bに沿い、且つ、柱20の中心軸O1を中心とする周方向の全周に亘って連続するように配置されることになる。そして、柱20と床支持材10の貫通孔10aとの間の隙間は、柱20の全周にわたって気密シート50によって塞がれる。ここで、前記のように、柱20の中心軸O1は、柱20に巻き付けられた状態の気密シート50の前後方向と一致しており、気密シート50の一部は、床支持材10の上面10bに沿って気密シート50の前後方向を中心とする周方向に亘って連続するように配置されることになる。
【0077】
第1実施形態では、前記のように気密シート50を床支持材10の上面10bに沿うように配置した後、気密シート50をテープを用いて床支持材10の上面10bに固定する。
【0078】
前記によって、床構造1には、床支持材10と、床支持材10に形成された貫通孔10aを通じて床支持材10の表裏に亘って延びる柱20と、複数の囲み部120における第1追加折線X40から後側の部分121が柱20の外側面21にそれぞれ沿い、複数の囲み部120における第1追加折線X40から前側の部分122が床支持材10に沿い、且つ、複数の方向変換部110において、各々の第1追加折線X40から前側の端部51までの部分112の少なくとも一部が床支持材10に沿って前後方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように、柱20の外側面21と床支持材10とに亘って設けられた気密シート50とを備える、気密構造が実現される。
【0079】
前述した気密シート50を床構造1に設置する気密シート設置方法をまとめると次のようになる。
【0080】
気密シート設置方法は、追加折線形成工程、第2追加折線形成工程、切断工程、第2切断工程、及び折り曲げ工程を含む。
【0081】
追加折線形成工程では、前記の第1追加折線X40を、床支持材10と柱20の隙間の長さd1つまり当該隙間寸法に応じた位置に形成する。
【0082】
第2追加折線形成工程では、前記の第2追加折線X50を気密シート50に形成する。
【0083】
切断工程では、前記の第1切断線Y31に沿って各方向変換部110を切断する。第1実施形態では、さらに、第1追加切断線Y32に沿って各方向変換部110を切断する。
【0084】
第2切断工程では、前記の第2切断線Y33及び第2追加切断線Y34に沿って各方向変換部110を切断する。
【0085】
折り曲げ工程では、互いに隣り合う囲み部120の向く角度が変わり、且つ、複数の囲み部120における第1追加折線X40から前側の部分122が柱20の外側面21にそれぞれ沿うように、複数の方向変換部110を各々の第1折線X10と第2折線X20とを一致させつつ気密シート50を折り曲げるとともに、複数の囲み部120における第1追加折線X40から後側の部分121が床支持材10に沿い、且つ、複数の方向変換部110の第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの部分112の少なくとも一部が床支持材10に沿って柱20の中心軸O1の周方向にそれぞれ連続するように、第1追加折線X40に沿って気密シート50を折り曲げる。第1実施形態では、前記のように、複数の方向変換部110の第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの部分112の全体を床支持材10の上面10bに沿って配置する。この折り曲げ工程は少なくとも切断工程の後に実施される。
【0086】
(作用等)
以上説明したように、第1実施形態に係る気密シート50では、気密シート50に、前後方向に沿って延びるとともに左右方向に並ぶ複数の方向変換部110と、複数の方向変換部110どうしを左右方向に接続する3つの囲み部120を含む複数の囲み部120と、とが設けられている。また、複数の方向変換部110に、前後方向において気密シート50の全長に亘って延びるとともに互いに平行に配置された第1折線X10及び第2折線X20と、第1折線X10と第2折線X20との間に区画された余剰部分80とが設けられている。また、気密シート50が折り曲げ及び切断が可能な特性を有しており、各折線(補助折線X30、第1追加折線X40、第2追加折線X50)を気密シート50に形成でき、且つ、各切断線(第1切断線Y31、第1追加切断線Y32、第2切断線Y33、第2追加切断線Y34)に沿って気密シート50を切断できるようになっている。詳細には、少なくとも複数の方向変換部110は、各切断線に沿って切断可能な特性を有している。
【0087】
また、気密シート50は、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる第1切断線Y31と、第1追加切断線Y32に沿って複数の方向変換部110を切断した後、複数の方向変換部110を各々の第1折線X10と第2折線X20とを一致させつつ折り曲げることにより各囲み部120の向く角度を変えるとともに各囲み部120における第1追加折線X40から後側の部分111を柱20の外側面21にそれぞれ沿わせた状態で、第1追加折線X40に沿って折り曲げられることにより、各囲み部120における第1追加折線X40から前側の部分112が床支持材10に沿い、且つ、各方向変換部110において、各々の第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの部分の少なくとも一部が床支持材10に沿って柱20の中心軸O1及び気密シート50の前後方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように構成されている。
【0088】
これより、前記のように気密シート50を切断して折り曲げることにより、気密シート50の形状を、柱20の外側面21に沿い且つ床支持材10に沿って連続するような形状にできて、気密シート50を、柱20の外側面21に沿い且つ床支持材10に沿って連続するように配置できる。そのため、柱20の外側面21の隙間を気密シート50により塞いで気密性を高めることができるとともに、気密シート50の形状をこの隙間を塞いだ状態に維持できることで気密性を高い状態に維持できる。すなわち、気密性を確実に高めることができる。
【0089】
また、第1実施形態に係る気密シート50は、前記のように、複数の方向変換部110の各々の第1折線X10と第2折線X20とを一致させ、且つ、柱20を取り囲んだ状態で、前記周方向に接続可能な左右方向の長さを有している。
【0090】
そのため、一枚の気密シート50を用いて柱20の全周に亘って柱20と床支持材10の隙間を覆うことができる。
【0091】
また、第1実施形態に係る気密シート50には、第1折線X10と第2折線X20との間に、第1折線X10と第2折線X20とを一致させることにより余剰部分80が折り畳まれるように補助折線X30が形成されている。そのため、補助折線X30を利用して余剰部分80を容易に折り畳み、第1折線X10と第2折線X20とを容易に一致させることができる。
【0092】
また、第1実施形態に係る気密シート50では、第1追加折線X40が、当該第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1が第1折線X10からこれの右側に位置する第2折線X20までの距離L10の半分以上の寸法に設定されている。そのため、気密シート50のうち第1追加折線X40から前側の部分であって床支持材10の上面10bに沿って配置される部分の面積を大きくして、気密シート50によって床支持材10のより広い範囲を覆うことができる。
【0093】
また、第1実施形態に係る気密シート50では、第1切断線Y31が第1追加折線X40上に形成されている。そして、気密シート50に、第1切断線Y31の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点P3から気密シート50の前側の端部51まで延びる第1追加切断線Y32が形成されるようになっている。そして、この第1追加切断線Y32において方向変換部110が切断されることにより、方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分112が左右方向に2つに分離される。
【0094】
そのため、前記のように、左右方向に2つに分離された方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分112の右側部分と左側部分とを重ね合わせることができ、この重ね合わせ部分が配置される床支持材10の一部の気密性をより高めることが可能になる。
【0095】
また、方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分112の右側部分と左側部分どうしの重ね合わせ量を調整することにより、気密シート50の一部を床支持材10に沿わせつつ、隣り合う囲み部120どうしがなす角度を柱20の角部22の角度に応じた角度に調整できる。具体的に、前記では、角部22の角度が略90°の柱20に気密シート50が設置される場合を説明したが、柱20の角部22の角度が90°よりも大きい場合は、前記の右側部分と左側部分どうしの重ね合わせ量を大きくすることにより囲み部120どうしがなす角度を大きくできる。また、柱20の角部22の角度が90°よりも小さい場合は、前記の右側部分と左側部分どうしの重ね合わせ量を小さくすることにより囲み部120どうしがなす角度を小さくできる。従って、柱20の角部22の角度に関わらず、囲み部120を柱20の外側面21に沿わせつつ、方向変換部110の第1切断線Y31から前側の部分を床支持材10に沿うように、気密シート50を柱20の周囲に配置することができる。
【0096】
また、第1実施形態に係る気密シート50では、床支持材10に沿って配置される部分と対向する部分を柱20の外側面21に配置される部分の後側に区画するための第2追加折線X50が形成されるようになっている。また、各方向変換部110が、第3交点Q1から第4交点Q2まで余剰部分80内で延びる第2切断線Y33及び前記の第2追加切断線Y34に沿って切断可能な特性をそれぞれ有している。そして、気密シート50が、第3交点Q1から第4交点Q2まで余剰部分80内で延びる第2切断線Y33と、第2追加切断線Y34に沿って複数の方向変換部110を切断した後、複数の方向変換部110を各々の第1折線X10と第2折線X20とを一致させつつ折り曲げることにより各囲み部120の向く角度を変えるとともに各囲み部120における第2追加折線X50から前側の部分111を柱20の外側面21にそれぞれ沿わせた状態で、第2追加折線X50に沿って折り曲げられることにより、各囲み部120における第2追加折線X50から後側の部分113が、各囲み部120における第1追加折線X40から前側の部分111と対向し、且つ、各方向変換部110において、各々の第2追加折線X50から気密シート50の後側の端部52までの部分の少なくとも一部が柱20の中心軸O1及び気密シート50の前後方向を中心とする周方向にそれぞれ連続するように構成されている。
【0097】
これより、前記のように気密シート50を、柱20、床支持材10に加えて、床支持材10と対向する基礎2の天面2aに沿って配置することができる。
【0098】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態に係る気密シートについて説明する。
【0099】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る気密シート250について説明する。
図8は、第2実施形態に係る気密シート250の一部を拡大して示した平面図である。
図9は、前記の床構造1に設置された状態の気密シート250の一部を示した概略斜視図である。なお、以下の説明及び
図8、
図9では、第1実施形態と同様の要素については第1実施形態と同様の符号を用いて説明及び図示する。
【0100】
第1実施形態と同様に、第2実施形態でも各方向変換部110の構成は互いに同じである。一方、第1実施形態と第2実施形態とでは、方向変換部110の一部の構成が異なっており、以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0101】
第2実施形態に係る気密シート250では、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1が、第1折線X10からこれの右側に位置する第2折線X20までの距離L10の半分の寸法に設定されている。これより、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1と、第1折線X10から補助折線X30までの距離と、第2折線X20から補助折線X30までの距離とはすべて同じ寸法となっている。
【0102】
第2実施形態では、補助折線X30上の点で第1追加折線X40よりも後側に位置する点P200を通り第1交点P1から第2交点P2まで延びる切断線が、第1切断線Y231に設定されている。具体的に、第1交点P1と補助折線X30上の点P200とを直線で結ぶ線分と、第2交点P2と補助折線X30上の点P200とを直線で結ぶ線分とによって、第1切断線Y231が構成されている。また、第2実施形態では、第1実施形態に係る第1追加切断線であって第1切断線Y231の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点から気密シート50の前側の端部51まで延びる切断線は、設けられていない。
【0103】
第2実施形態では、方向変換部110を折り畳むための補助折線として、第1交点P1と補助折線X30の前側の端部51とを結ぶ第2補助折線Y232が設定されている。なお、第2補助折線Y232と第1折線X10とのなす角度は45度である。
【0104】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、気密シート250を第1切断線Y231に沿って切断した後に折り曲げることにより、気密シート250を、柱20の外側面21及び床支持材10の上面10bに沿い、且つ、床支持材10の上面10bにおいて柱20の中心軸O1の周方向に連続するように床構造1に設置することができる。
【0105】
ただし、第2実施形態では、各囲み部120を柱20の各側面21aに沿わせた後、第2補助折線Y232を山折りにしつつ第1追加折線X40を谷折りにする。これにより、第2実施形態では、方向変換部110のうちの第1追加折線X40と第1切断線Y231とで囲まれた部分が囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122に重ね合わせられる。また、方向変換部110の第1追加折線X40から前側の部分112が、略正方形状に折り畳まれて、床支持材10の上面10bに沿って囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122どうしの間に配置される。
【0106】
なお、
図9には、気密シート250が前後方向について対称となるように構成された場合、つまり、方向変換部110の後側の部分が前側の部分と同様に前記のように構成された場合を例示している。これより、
図9の例では、方向変換部110の第2追加折線X50から後側の部分113も第1追加折線X40から前側の部分112と同様に、略正方形状に折り畳まれて基礎2の天面2aに沿って囲み部120の第2追加折線X50から後側の部分123どうしの間に配置されている。
【0107】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る気密シート350について説明する。
図10は、第3実施形態に係る気密シート350の一部を拡大して示した平面図である。
図11は、前記の床構造1に設置された状態の気密シート350の一部を示した概略斜視図である。なお、以下の説明及び
図10、
図11では、第1実施形態と同様の要素については第1実施形態と同様の符号を用いて説明及び図示する。
【0108】
第1実施形態と同様に、第3実施形態でも各方向変換部110の構成は互いに同じである。一方、第1実施形態と第3実施形態とでは、方向変換部110の一部の構成が異なっており、以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0109】
第3実施形態に係る気密シート350では、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1が、第1折線X10からこれの右側に位置する第2折線X20までの距離L10の半分の寸法に設定されている。これより、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1と、第1折線X10から補助折線X30までの距離と、第2折線X20から補助折線X30までの距離とはすべて同じ寸法となっている。
【0110】
第3実施形態では、第1実施形態に係る第1切断線Y31と同じ切断線であって第1交点P1と第2交点P2とを直線で結ぶ第1切断線Y331が気密シート350に形成されている。一方、第3実施形態では、第1実施形態に係る第1追加切断線であって第1切断線Y331の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点から気密シート50の前側の端部51まで延びる切断線は、設けられていない。また、第3実施形態では、方向変換部110を折り畳むための補助折線として、第1交点P1と補助折線X30の前側の端部51とを結ぶ第3補助折線Y332が設定されている。なお、第3補助折線Y332と第1折線X10とのなす角度は45度である。
【0111】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、気密シート350を第1切断線Y331に沿って切断した後に折り曲げることにより、気密シート350を、柱20の外側面21及び床支持材10の上面10bに沿い、且つ、床支持材10の上面10bにおいて柱20の中心軸O1の周方向に連続するように床構造1に設置することができる。
【0112】
ただし、第3実施形態では、各囲み部120を柱20の各側面21aに沿わせた後、第3補助折線Y332を山折りにしつつ第1追加折線X40を谷折りにする。これにより、第3実施形態では、方向変換部110のうちの第1追加折線X40及び第1切断線Y331から前側の部分112が、略正方形状に折り畳まれて、床支持材10の上面10bに沿って囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122どうしの間に配置される。
【0113】
なお、
図11には、気密シート350が前後方向について対称となるように構成された場合、つまり、方向変換部110の後側の部分が前側の部分と同様に前記のように構成された場合を例示している。これより、
図11の例では、方向変換部110の第2追加折線X50から後側の部分113も第1追加折線X40から前側の部分112と同様に、略正方形状に折り畳まれて基礎2の天面2aに沿って囲み部120の第2追加折線X50から後側の部分123どうしの間に配置されている。
【0114】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る気密シート450について説明する。
図12は、第4実施形態に係る気密シート450の一部を拡大して示した平面図である。
図13は、前記の床構造1に設置された状態の気密シート450の一部を示した概略斜視図である。なお、以下の説明及び
図12、
図13では、第1実施形態と同様の要素については第1実施形態と同様の符号を用いて説明及び図示する。
【0115】
第1実施形態と同様に、第4実施形態でも各方向変換部110の構成は互いに同じである。一方、第1実施形態と第4実施形態とでは、方向変換部110の一部の構成が異なっており、以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0116】
第4実施形態に係る気密シート450では、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1が、第1折線X10からこれの右側に位置する第2折線X20までの距離L10の半分の寸法に設定されている。これより、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1と、第1折線X10から補助折線X30までの距離と、第2折線X20から補助折線X30までの距離とはすべて同じ寸法となっている。
【0117】
第4実施形態では、気密シート450の前側の端部51上の点P40を通り第1交点P1から第2交点P2まで延びる線が、第1切断線Y431に設定されている。具体的に、気密シート450の前側の端部51上の点P40と第1交点P1とを直線で結ぶ線分と、気密シート450の前側の端部51上の点P40と第2交点P2とを直線で結ぶ線分とによって、第1切断線Y431が構成されている。これより、第1切断線Y431で気密シート450が切断されることにより、方向変換部110の第1切断線Y431から前側の部分は、左右方向について2つに分離する。
図12の例では、第1切断線Y431が通る点P40は、気密シート450の前側の端部51のうち第1折線X10とこれの右側に位置する第2折線X20との間の線分の左右方向の中央に点に設定されている。また、第4実施形態では、第1実施形態に係る第1追加切断線であって第1切断線Y231の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点から気密シート50の前側の端部51まで延びる切断線は、設けられていない。
【0118】
第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、気密シート450を第1切断線Y431に沿って切断した後に折り曲げることにより、気密シート450を、柱20の外側面21及び床支持材10の上面10bに沿い、且つ、床支持材10の上面10bにおいて柱20の中心軸O1の周方向に連続するように床構造1に設置することができる。
【0119】
ただし、第4実施形態では、各囲み部120を柱20の各側面21aに沿わせた後、第1追加折線X40に沿って気密シート450を折り曲げることで、方向変換部110の第1追加折線X40と第1切断線Y431との間の部分を囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分に重ね合わせる。また、方向変換部110の第1切断線Y431から前側の部分112であって左右に分離された部分を、囲み部120の第1追加折線X40から前側の部分122どうしの間において、全体で略正方形状を呈するように床支持材10の上面10bに沿って配置し、これにより、気密シート450を、床支持材10の上面10bにおいて柱20の中心軸O1の周方向に連続させる。
【0120】
なお、
図13には、気密シート450が前後方向について対称となるように構成された場合、つまり、方向変換部110の後側の部分が前側の部分と同様に前記のように構成された場合を例示している。これより、
図13の例では、方向変換部110の第2追加折線X50から後側の部分113も第1追加折線X40から前側の部分112と同様に、その一部が左右に分離されて、これら分離された2つの部分が全体で略正方形状を呈するように基礎2の天面2aに沿って配置されている。
【0121】
(第2~第4実施形態の作用等)
前記のように、第2~第4実施形態に係る気密シートにおいても、気密シートを切断して折り曲げることにより、気密シートの形状を、柱20の外側面21に沿い且つ床支持材10に沿って連続するような形状にして、気密シートを、柱20の外側面21に沿い且つ床支持材10に沿って連続するように配置できる。従って、柱20の外側面21の隙間を気密シート50によって確実に塞いで、これらの隙間回りの気密性を確実に高めることができる。
【0122】
また、第2実施形態に係る気密シート250及び第3実施形態に係る気密シート350では、第1実施形態における第1追加切断線Y32が設けられていない。そのため、これら第2、第3実施形態に係る気密シート250,350では、気密シート250,350を切断するのに費やす時間を短くできる。
【0123】
また、第4実施形態では、第1切断線Y431が気密シート450の前側の端部51上の点P40を通るように設定されている。これに伴い、第1切断線Y431に沿って方向変換部110を切断することにより、方向変換部110の第1追加折線X40から前側の部分の一部を、左右方向に2つに分離させることができる。そのため、第2実施形態及び第3実施形態のように方向変換部110の第1追加折線X40から前側の部分112を折り畳むことなく、当該部分112の少なくとも一部を床支持材10に沿わせることができ、折り畳みにかかる手間を省くことができる。
【0124】
(その他の変形例)
前記の第1実施形態では、第1切断線Y31の左右方向の中央の点P3を通り前後方向にまっすぐ延びる線分が第1追加切断線Y32に設定された場合を説明したが、第1追加切断線Y32は、第1切断線Y31の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点から気密シート50の前側の端部51まで延びる線であればよく前記の線分に限られない。
【0125】
また、第1実施形態において第1追加切断線Y32は省略してもよい。ただし、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1を、第1折線X10から第2折線X20までの距離L10の半分以上の寸法に設定する場合に第1追加切断線を省略すると、気密シート50の前側の端部51が拘束されることにより、隣り合う囲み部120のどうしの向く角度が90°よりも小さい角度となる状態で気密シート50を柱20の外側面21に配置するのが難しくなる。これに対して、第1追加切断線Y32を設けてこれに沿って気密シート50を切断すれば、気密シート50の前側の端部51の拘束を開放できるので、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの距離L1を、第1折線X10から第2折線X20までの距離L10の半分以上の寸法に設定し、且つ、隣り合う囲み部120どうしの向く角度を90°未満にしつつ、気密シート50を柱20の外側面21に配置できる。なお、同様に、第1実施形態において、第2追加切断線Y34は省略されてもよい。
【0126】
また、第1切断線は、第1交点P1から第2交点P2まで余剰部分80内で延びる線であればよく、前記の各実施形態に係る第1切断線Y31,Y231,Y331,Y431に限られない。
【0127】
例えば、第1実施形態において、第1切断線を、第1追加折線X40よりも前側に形成しもよい。ただし、第1切断線を第1追加折線X40上または第1追加折線X40の後側の領域に形成し、且つ、第1切断線の第1交点P1と第2交点P2の間に位置する点P3から気密シート50の前側の端部51まで延びる第1追加切断線Y32を形成すれば、これら切断線に沿って気密シート50が切断されることで、方向変換部110のうち第1追加折線X40から前側の部分全体を左右方向について2つに分離できる。そのため、これら2つの部分の重ね合わせ量を調整することにより、気密シート50のうちの第1追加折線X40よりも前側の部分の全体を床支持材10に沿うように配置して当該部分の全体を有効に活用することができる。
【0128】
また、各実施形態において、第1追加折線X40から気密シート50の前側の端部51までの前後方向の距離L1と、第1折線X10から第2折線X20までの左右方向の距離L10との関係は前記に限られない。つまり、第1実施形態において、前記の距離L10を前記の距離L10の半分以下の寸法に設定してもよい。また、第2~第4実施形態において、前記距離L1を前記の距離L10の半分未満あるいは半分よりも大きい寸法に設定してもよい。
【0129】
また、各実施形態において、補助折線X30は省略可能である。ただし、補助折線X30を設ければ、余剰部分80を容易に2つ折りにして第1折線X10と第2折線X20とを容易に一致させることができる。
【0130】
また、前記実施形態では、基礎2の天面2a及び床支持材10の上面10bにテープを用いて気密シート50を固定する場合を説明したが、気密シート50をこれらに固定する具体的な手順はこれに限られない。例えば、接着剤を用いて気密シート50を基礎2の天面2a及び床支持材10の上面10bに固定してもよい。
【0131】
また、各実施形態において、気密シートは、基礎2の天面2aに沿うように配置されなくてもよい。例えば、
図14に示すように、気密シート550を、床パネル11の上面に沿い、且つ、柱20の外側面21に沿うように配置してもよい。この場合は、各実施形態に設けた第2追加折線X50及び第2切断線Y33、第1実施形態に設けた第2追加切断線Y34を省略して、気密シート550の前側部分を床パネル11の上面に沿って配置すればよい。すなわち、各実施形態において、気密シートを基礎2の天面2aに沿うように配置する構成及び手順は省略してもよい。また、気密シート650を、
図15に示すように、基礎2の天面2aに代えて、床支持材10の下面に沿うように配置してもよい。なお、この場合は、第2追加折線X50を、第1追加折線X40と第2追加折線X50との前後方向の距離L2が床パネル11の厚み寸法と同等になる位置に形成すればよい。
【0132】
また、前記の各実施形態では、複数の方向変換部110が互いに同じ構成を有する場合を説明したが、1つの気密シートにおいて、複数の方向変換部110の構成は互いに異なっていてもよい。例えば、1つの気密シートに、第1~第4実施形態のいずれか一つの実施形態に係る構成を備えた方向変換部110と、他の実施形態に係る構成を備えた方向変換部110とを設けるようにしてもよい。
【0133】
また、各実施形態に係る気密シートは、面材と、当該面材に形成された貫通孔を通じて前記面材の表裏に亘って延びる貫通部材と、の間に施工可能なものであり、その施工対象は前記の床構造1に限られない。すなわち、貫通部材は、柱に限られず、配管等であってもよい。また、貫通部材は、多角形状や円状の断面を有する部材であってもよい。また、面材は、床を構成する部材に限られず、建物の壁を構成する部材であってもよい。なお、貫通部材の断面形状が四角形ではなく、且つ、気密シートを貫通部材の全周にわたって巻き付ける場合は、気密シートに貫通部材の数以上の方向変換部を設ければよい。また、貫通部材の断面形状が円形である場合は、囲み部が円弧に略沿って並ぶように各囲み部の左右方向の寸法を非常に小さい値とすればよい。なお、貫通部材の断面形状が円形である場合は、各方向変換部の左右方向の寸法も小さくするとともに、第1切断線を第4実施形態に係る第1切断線Y431のように気密シート450の前側の端部51上の点P40を通り第1交点P1から第2交点P2まで延びる線として第1切断線Y431に沿った方向変換部の切断を容易にするのが好ましい。
【符号の説明】
【0134】
1 床構造
10 床支持材(面材)
10a 貫通孔
20 柱(貫通部材)
50 気密シート(第1実施形態)
80 余剰部分
110 方向変換部
120 囲み部
250 気密シート(第2実施形態)
350 気密シート(第3実施形態)
450 気密シート(第4実施形態)
X10 第1折線
X20 第2折線
X30 補助折線
X40 第1追加折線(追加折線)
X50 第2追加折線(対向面用追加折線)
Y31 第1切断線(折畳用切断線)
Y32 第1追加切断線(追加折畳用切断線)
Y33 第2切断線(対向面用切断線)
Y34 第2追加切断線
Y231 第1切断線(折畳用切断線,第2実施形態)
Y331 第1切断線(折畳用切断線,第3実施形態)
Y431 第1切断線(折畳用切断線,第4実施形態)
P1 第1交点
P2 第2交点
Q1 第3交点
Q2 第4交点