(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108325
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電気光学装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20240805BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240805BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
G02F1/1333 505
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012634
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 祐紀
【テーマコード(参考)】
2H189
2H190
2H192
【Fターム(参考)】
2H189DA78
2H189DA81
2H189DA82
2H189DA83
2H189GA49
2H189GA53
2H189HA07
2H189JA05
2H189JA10
2H189JA12
2H189JA14
2H189LA03
2H189LA05
2H189LA10
2H189MA07
2H190HB03
2H190HB04
2H190HD08
2H192AA24
2H192DA12
2H192GA21
2H192JA06
2H192JA13
2H192JA17
2H192JA33
2H192JB02
(57)【要約】
【課題】表示品位の低下が抑制された電気光学装置、および電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置は、画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する電気光学装置であって、第1基板と、前記周辺領域に設けられるシール部材を介して、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、前記周辺領域に設けられ、互いに離間する複数の第1凹部を有し、前記第1基板および前記第2基板のうちの他方の基板は、前記周辺領域に設けられ、互いに離間する複数の第1凸部を有し、前記複数の第1凹部と、前記複数の第1凸部とは、前記シール部材を介して噛み合わされている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する電気光学装置であって、
第1基板と、
前記周辺領域に設けられるシール部材を介して、前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、
前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、前記周辺領域に設けられ、互いに離間する複数の第1凹部を有し、
前記第1基板および前記第2基板のうちの他方の基板は、前記周辺領域に設けられ、互いに離間する複数の第1凸部を有し、
前記複数の第1凹部と、前記複数の第1凸部とは、前記シール部材を介して噛み合わされている、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の第1凹部のそれぞれは、平面視で前記シール部材に沿って枠状に設けられる溝であり、
前記複数の第1凸部のそれぞれは、平面視で前記シール部材に沿って枠状に設けられる突起である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1基板は、第1基部と、前記第1基部と前記シール部材との間に配置され、無機ケイ素材料を含む第1無機絶縁層を有し、
前記第2基板は、第2基部と、前記第2基部と前記シール部材との間に配置され、無機ケイ素材料を含む第2無機絶縁層を有し、
前記第1無機絶縁層および前記第2無機絶縁層のうちの一方は、前記複数の第1凹部を有し、
前記第1無機絶縁層および前記第2無機絶縁層のうちの他方は、前記複数の第1凸部を有し、
前記第1無機絶縁層または前記第2無機絶縁層は、前記シール部材に接触する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1基板は、第1基部と、前記第1基部と前記シール部材との間に配置され、無機ケイ素材料を含む第1無機絶縁層と、前記を有し、
前記第2基板は、第2基部と、前記第2基部と前記シール部材との間に配置され、無機ケイ素材料を含む第2無機絶縁層を有し、
前記第1無機絶縁層および前記第2無機絶縁層のうちの一方は、前記複数の第1凹部に対応する複数の第3凹部を有し、
前記第1無機絶縁層および前記第2無機絶縁層のうちの他方は、前記複数の第1凸部に対応する複数の第3凸部を有する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記一方の基板は、平面視で前記複数の第1凹部の内側に設けられ、互いに離間する複数の第2凹部をさらに有し、
前記他方の基板は、平面視で前記複数の第1凸部の内側に設けられ、互いに離間する複数の第2凸部をさらに有し、
前記複数の第2凹部と前記複数の第2凸部とは、前記電気光学層の一部を介して噛み合わされている、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記複数の第2凹部のそれぞれは、平面視で前記シール部材に沿って枠状に設けられる溝であり、
前記複数の第2凸部のそれぞれは、平面視で前記シール部材に沿って枠状に設けられる突起である、
請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第2凹部の数は、前記第1凹部の数よりも少なく、
前記第2凸部の数は、前記第1凸部の数よりも少ない、
請求項5または6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記複数の第1凹部の各深さは、2μm以上8μm以下であり、
前記複数の第1凸部の各高さは、2μm以上8μm以下である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記複数の第1凹部の数は、10個以上100個以下であり、
前記複数の第1凸部の数は、10個以上100個以下である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の電気光学装置が用いられる。当該電気光学装置の例として、特許文献1に記載の電気光学装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の電気光学装置では、第1の基板と第2の基板とがシール部材を介して対向配置されており、第1の基板と第2の基板との間に液晶が介在している。第1の基板と第2の基板との少なくとも一方には、配向膜と絶縁膜とが設けられる。絶縁膜は、配向膜の下層に設けられる。また、絶縁膜には、複数の溝が形成される。当該複数の溝が形成されることで、配向膜と絶縁膜との密着性が向上し、配向膜と絶縁膜との界面を介して外部の水分が液晶内に浸入することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、当該文献の構成では、シール部材の内部を介して外部の水分が液晶内に浸入するおそれがあり、充分に水分の浸入を防ぐことが難しい。この結果、角シミの発生、液晶の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラの各種問題が発生するおそれがある。よって、表示品位が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置の一態様は、画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する電気光学装置であって、第1基板と、前記周辺領域に設けられるシール部材を介して、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、前記周辺領域に設けられる複数の第1凹部を有し、前記第1基板および前記第2基板のうちの他方の基板は、前記周辺領域に設けられる複数の第1凸部を有し、前記複数の第1凹部と、前記複数の第1凸部とは、前記シール部材を介して噛み合わされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
【
図2】
図1に示す電気光学装置のA-A線の断面図である。
【
図3】
図1の第1基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
【
図4】
図2の電気光学装置の一部を拡大した図である。
【
図5】
図4の複数の第1凹部の平面的な配置を示す図である。
【
図6】比較例における外部から表示領域への水分の浸入経路を示す図である。
【
図7】本実施形態における表示領域から液晶層への水分の浸入経路を示す図である。
【
図8】第2実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
【
図9】第3実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
【
図10】
図9の複数の第1凹部および複数の第2凹部の平面的な配置を示す図である。
【
図11】第4実施形態の電気光学装置の一部を断面図である。
【
図12】第5実施形態の電気光学装置の一部を断面図である。
【
図13】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
【
図14】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
【
図15】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0009】
1.電気光学装置
A.第1実施形態
A-1.基本構成
図1は、実施形態に係る電気光学装置100の平面図である。
図2は、
図1に示す電気光学装置100のA-A線の断面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。
【0010】
また、要素αと要素βとの「電気的な接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含む。また、要素αと要素βとが「噛み合う」は、要素αと要素βとが接触している構成のほか、要素αと要素βとが他の要素を介して間接的に接触している構成も含む。
【0011】
図1および
図2に示す電気光学装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の透過型の電気光学装置である。
図2に示すように、電気光学装置100は、第1基板2と、第2基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。本実施形態では、第1基板2が「一方の基板」に相当し、第2基板3が「他方の基板」に相当する。また、
図2に示すように、第1基板2、液晶層5および第2基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。なお、第1基板2、液晶層5および第2基板3の重なる方向であるZ1方向またはZ2方向から見ることを「平面視」とする。また、
図1に示す電気光学装置100の平面形状は四角形であるが、四角形以外の多角形または円形であってもよい。
【0012】
図2に示す電気光学装置100は透過型であって、第1基板2および第2基板3は、透光性を有する。入射光LLが第2基板3に入射した後、第1基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、第1基板2に入射した光が第2基板3から出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。また、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0013】
第1基板2は、第1基部21と、第1無機絶縁層20と、複数の画素電極22と、複数のダミー画素電極22dと、周辺電極28と、透明導電膜27と、配向膜29とを有する。第1基部21、第1無機絶縁層20、複数の画素電極22および配向膜29は、この順にZ1方向に積層される。複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、周辺電極28および透明導電膜27は、同層に配置される。なお、周辺電極28と透明導電膜27とは別体であるが、一体であってもよい。ダミー画素電極22dおよび周辺電極28は省略してもよい。
【0014】
第1基部21は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。第1無機絶縁層20は、第1基部21と液晶層5との間、および第1基部21とシール部材4との間に配置される。第1無機絶縁層20は、詳細な図示はしないが、透光性および絶縁性を有する複数の絶縁膜を含む。各絶縁膜は、無機ケイ素材料を含む。無機ケイ素材料は、例えば酸化ケイ素および酸窒化ケイ素等のケイ素を含む無機化合物である。当該無機ケイ素材料には、BSG膜およびNSG膜等が含まれる。また、詳細な図示はしないが、第1無機絶縁層20には、トランジスターおよび各種配線等が設けられる。
【0015】
複数の画素電極22は、液晶層5に電界を与える。複数のダミー画素電極22dは、表示には寄与しないものの、複数の画素電極22と同様に駆動制御される。例えば、複数のダミー画素電極22dは、複数の画素電極22に書き込まれる画像信号のノイズ対策等のために用いられる。複数のダミー画素電極22dは、複数の画素電極22を平面視で囲む。周辺電極28は、液晶層5中のイオン性不純物をトラップするイオントラップ用の電極である。透明導電膜27は、複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22dおよび複数の周辺電極28の外側に配置され、これらを平面視で囲む。また、透明導電膜27は、平面視でシール部材4と重なる。複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、周辺電極28、および透明導電膜27のそれぞれは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)等の透明導電材料を含む。複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、周辺電極28および透明導電膜27は、例えば、当該透明導電材料を含む導電膜をエッチングにすることにより一括で形成される。
【0016】
配向膜29は、透光性および絶縁性を有する。配向膜29は、液晶層5に接触しており、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。配向膜29は、複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、および周辺電極28を覆うように配置される。配向膜29は、透明導電膜27上には設けられていない。配向膜29の材料は、例えば酸化ケイ素等であり、配向膜29は例えば斜方蒸着により形成される。
【0017】
また、
図1に示すように、第1基板2には、駆動回路10と複数の外部端子13とが配置される。駆動回路10は、走査線駆動回路11と信号線駆動回路12とを含む。複数の外部端子13の一部は、走査線駆動回路11または信号線駆動回路12から引き回される図示省略された配線に接続される。また、複数の外部端子13は、定電位Vcomが印加させる端子を含む。
【0018】
図2に示すように、第2基板3は、第1基板2に対向する。第2基板3は、第2基部31と、第2無機絶縁層30と、対向電極32と、配向膜39と、見切り38とを有する。第2基部31、第2無機絶縁層30、対向電極32および配向膜39は、この順にZ2方向に積層される。
【0019】
図2に示す第2基部31は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。第2無機絶縁層30は、第2基部31と液晶層5との間、および第2基部31とシール部材4との間に配置される。第2無機絶縁層30は、透光性および絶縁性を有しており、無機ケイ素材料を含む。無機ケイ素材料は、例えば酸化ケイ素および酸窒化ケイ素等のケイ素を含む無機化合物である。当該無機ケイ素材料には、BSG膜およびNSG膜等が含まれる。また、第2無機絶縁層30には、見切り38が設けられる。見切り38は、詳細な図示はしないが、平面視で複数の画素電極22を囲む遮光性の見切りとして機能する。なお、「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは10%以下であることをいう。なお、図示はしないが、第2無機絶縁層30は、例えば、複数のマイクロレンズを有してもよい。
【0020】
対向電極32は、液晶層5に電界を与える。対向電極32は、透光性および導電性を有する。対向電極32は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む。配向膜39は、透光性および絶縁性を有する。配向膜39は、液晶層5に接触しており、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。配向膜39は、対向電極32上に配置される。配向膜39の材料は、例えば酸化ケイ素等であり、配向膜39は例えば斜方蒸着により形成される。
【0021】
また、
図1に示すように、第2基板3には、複数の基板間導通材6が設けられる。複数の基板間導通材6は、第1基板2との第2基板3とを電気的に接続するための導通材である。基板間導通材6は、第1基板2に配置される図示省略された引き回し配線を介して、複数の外部端子13のうち定電位Vcomが印加させる端子に接続される。よって、対向電極32には、定電位Vcomが印加させる。
【0022】
シール部材4は、第1基板2と第2基板3との間に配置される。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等のUV硬化性材料を含む。UVは、ultravioletの略称であり、特に、波長100nm以上400nm以下の光をいう。また、シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよい。
【0023】
液晶層5は、第1基板2、第2基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。液晶層5は、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層である。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0024】
図1に示すように、電気光学装置100は、表示領域A10と周辺領域A20とを有する。表示領域A10は、画像が表示される領域である。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。複数の画素Pに対して複数の画素電極22が1対1で配置される。前述の対向電極32は、複数の画素Pで共通に設けられる。
【0025】
周辺領域A20は、平面視で表示領域A10の外側に設けられる。周辺領域A20は、平面視で表示領域A10を囲む枠状である。周辺領域A20は、ダミー画素領域A21と、周辺電極領域A22と、シール領域A24とを含む。これら領域の各平面形状は、枠状である。ダミー画素領域A21には、複数のダミー画素電極22dが配置される。周辺電極領域A22には、複数の周辺電極28が配置される。シール領域A24には、シール部材4が配置される。したがって、シール部材4は、複数の画素電極22の外側に設けられる。また、ダミー画素領域A21、および周辺電極領域A22には、見切り38が配置される。また、周辺領域A20には、走査線駆動回路11、信号線駆動回路12および複数の外部端子13が配置される。また、表示領域A10におけるまた第1基板2と第2基板3との間の距離、すなわちセルギャップは、例えば、2μm程度である。
【0026】
また、電気光学装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、電気光学装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、電気光学装置100は、ライトバルブとして機能する。なお、この場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0027】
A-2.第1基板2の電気的な構成
図3は、
図1の第1基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。
図3に示すように、第1基板2は、複数のトランジスター23とn本の走査線241とm本の信号線242とn本の定電位線243とを有する。これらは、
図2の第1無機絶縁層20に配置される。nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。また、n本の走査線241とm本の信号線242との各交差に対応してトランジスター23が配置される。各トランジスター23は、例えばスイッチング素子として機能するTFT(Thin Film Transistor)である。各トランジスター23は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0028】
n本の走査線241のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線241はY1方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、
図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0029】
図3に示すm本の信号線242のそれぞれはY1方向に延在し、m本の信号線242はX1方向に等間隔で並ぶ。m本の信号線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のソースに電気的に接続される。m本の信号線242は、
図1に示す信号線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本の信号線242には、信号線駆動回路12から画像信号S1、S2、…、およびSmが並行に供給される。
【0030】
図3に示すn本の走査線241とm本の信号線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つの信号線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。画素Pごとにトランジスター23、画素電極22および蓄積容量24が設けられる。画素電極22は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。各画素電極22は、対応するトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0031】
n本の定電位線243のそれぞれはX1方向に延在し、n本の定電位線243はY1方向に等間隔で並ぶ。また、n本の定電位線243は、n本の走査線241およびm本の信号線242に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各定電位線243には、定電位Vcomが印加される。n本の定電位線243のそれぞれは、対応する蓄積容量24が有する2つの電極のうちの一方に電気的に接続される。各蓄積容量24は、画素電極22の電位を保持するための保持容量である。蓄積容量24は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。また、各蓄積容量24が有する2つの電極のうちの他方は、対応する画素電極22に電気的に接続される。したがって、蓄積容量24の一方の電極には定電位Vcomが印加され、他方の電極はトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0032】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター23がオン状態となる。すると、m本の信号線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、S2、…、およびSmの応じた電位が、選択される走査線241に対応する画素Pの画素電極22に印加される。これにより、画素電極22と対向電極32との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子の配向が変化する。また、蓄積容量24によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子の配向の変化によって光が変調され階調表示が可能となる。
【0033】
1C.周辺領域A20
図4は、
図2の電気光学装置100の一部を拡大した図である。
図4には、電気光学装置100の周辺領域A20の一部が示されている。
図5は、
図4の複数の第1凹部25の平面的な配置を示す図である。なお、
図2では、周辺領域A20の構成を簡略化している。
【0034】
図4および
図5に示すように、第1基板2は、複数の第1凹部25を有する。各第1凹部25は、第1基板2の液晶層5を向く面に形成される凹みである。複数の第1凹部25は、周辺領域A20のうちのシール領域A24に設けられる。よって、複数の第1凹部25は、平面視でシール部材4に重なる。また、各第1凹部25は、シール部材4の内縁に沿って形成される枠状の溝である。複数の第1凹部25は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の第1凹部25は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0035】
第1無機絶縁層20は、複数の第3凹部201を有する。複数の第3凹部201は、複数の第1凹部25に対応する。複数の第3凹部201は、第1無機絶縁層20の液晶層5を向く面に形成される凹みである。
【0036】
第1無機絶縁層20上には、透明導電膜27が配置される。透明導電膜27は、第1無機絶縁層20とシール部材4との間に配置され、第1無機絶縁層20およびシール部材4に接触する。透明導電膜27は、複数の第3凹部201に沿って配置され、複数の第3凹部201に接触する。透明導電膜27は、複数の第3凹部201に沿った複数の凹部を有する。本実施形態では、当該複数の凹部が、複数の第1凹部25に相当する。また、透明導電膜27は、平面視で、枠状であり、シール部材4に重なる。
【0037】
第2基板3は、平板部300と複数の第1凸部35とを有する。平板部300は、第2基板3のうち平板状の部分であり、第2基部31と第2無機絶縁層30の一部とで構成される。各第1凸部35は、平板部300からシール部材4に向かって突出する突起である。また、複数の第1凸部35は、周辺領域A20のうちのシール領域A24に設けられる。よって、複数の第1凸部35は、平面視でシール部材4に重なる。各第1凸部35は、シール部材4の内縁に沿って形成される枠状の突起である。複数の第1凸部35は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の第1凸部35は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0038】
第2無機絶縁層30は、複数の第3凸部301を有する。複数の第3凸部301は、複数の第1凸部35に対応する。複数の第3凸部301は、第2無機絶縁層30のうちの平板状の部分からシール部材4に向かって突出する突起である。
【0039】
第2無機絶縁層30上には、対向電極32が配置される。対向電極32は、第2無機絶縁層30とシール部材4との間に配置される部分を有し、第2無機絶縁層30およびシール部材4に接触する。対向電極32の一部は、複数の第3凸部301に沿って配置され、複数の第3凸部301に接触する。本実施形態では、複数の第3凸部301と、対向電極32のうち複数の第3凸部301に沿って設けられる部分とで、複数の第1凸部35が構成される。
【0040】
前述の複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とは、シール部材4に接触し、シール部材4を介して互いに噛み合う。複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とは、1対1で設けられており、1つの第1凹部25内には1つの第1凸部35が設けられている。別の言い方をすれば、複数の第1凹部25内に複数の第1凸部35に設けられ、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とは互いに対向している。また、別の見方をすると、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とは、互いに組み合わされており、矩形波形状をなす。複数の第1凸部35は複数の第1凹部25にはめ込まれており、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とは、ジグザグに対向している。
【0041】
図6は、比較例における外部から表示領域A10への水分の浸入経路Rxを示す図である。
図7は、本実施形態における外部から表示領域A10への水分の浸入経路Rを示す図である。
【0042】
図7に示す本実施形態の電気光学装置100では、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とが噛み合わせている。これに対し、
図6に示す比較例の電気光学装置100xは、複数の第1凹部25および複数の第1凸部35を有していない。電気光学装置100xが有する第1基板2xの液晶層5を向く面は、一様に平坦である。電気光学装置100xが有する第2基板3xの液晶層5を向く面は、一様に平坦である。
【0043】
図6に示すように、外部の水分は、第1基板2xと第2基板3xとの間のシール部材4を介して表示領域A10に浸入する。比較例では、外部から表示領域A10への水分の浸入経路Rxは、一直線状である。一方、
図7に示すように、本実施形態では、複数の第1凹部25および複数の第1凸部35が設けられていることで、外部から表示領域A10への水分の浸入経路Rは、一直線状ではない。浸入経路Rは、浸入経路Rxに比べて長くなっている。
【0044】
図6および
図7から分かるように、本実施形態によれば、比較例に比べて外部から表示領域A10までの経路を長くすることができる。すなわち、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とがシール部材4を介して噛み合わされることで、2つの平坦面同士がシール部材4を介して接続される場合に比べ、水分の浸入経路を長くすることができる。このため、シール部材4の内部を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。また、本実施形態では、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とがシール部材4を介して噛み合わされることで、シール部材4と第1基板2との界面、およびシール部材4と第2基板3との界面を介して外部の水分が表示領域A105に浸入するおそれを抑制することができる。よって、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。この結果、角シミの発生、液晶分子の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラが発生するおそれが抑制される。よって、表示品位の低下を抑制することができる。
【0045】
さらに、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とが噛み合わされることで、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とが噛み合っていない場合に比べ、シール領域A24における第1基板2と第2基板3との間の距離を短くすることができる。よって、外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。
【0046】
また、第1基板2は、1つの第1凹部25ではなく、複数の第1凹部25を有する。同様に、第2基板3は、1つの第1凸部35ではなく、複数の第1凸部35を有する。そして、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とがシール部材4を介して噛み合わされている。複数の第1凹部25および複数の第1凸部35が設けられることで、1個の第1凹部25および1個の第1凸部35が設けられる場合に比べ、水分の浸入経路を長くすることができる。よって、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれをより効果的に抑制することができる。
【0047】
本実施形態では、複数の第1凹部25として4個の第1凹部25が設けられるが、第1凹部25の数は、4に限定されず、2、3または5以上でもよい。複数の第1凸部35として4個の第1凸部35が設けられるが、第1凸部35の数は、4に限定されず、2、3または5以上でもよい。外部の水分の液晶層5への浸入を抑制する観点から、第1凹部25の数、および第1凸部35の数は出来るだけ多い方がよい。水分の浸入の抑制と製造の容易性の観点から、第1凹部25の数、および第1凸部35の数は、それぞれ、例えば、10個以上100個以下であることが特に好ましい。
【0048】
また、
図5に示すように、各第1凹部25は、平面視でシール部材4の内縁に沿って枠状に設けられる溝である。同様に、各第1凸部35は、平面視でシール部材4の内縁に枠状に沿って設けられる突起である。このため、電気光学装置100の全周において外部の水分が表示領域A10に浸入し難い。よって、液晶分子の配向不良等の各種問題が生じ難い。
【0049】
なお、各第1凹部25および各第1凸部35は枠状でなくてもよい。複数の第1凹部25は例えば点在していてもよい。同様に、複数の第1凸部35は例えば点在していてもよい。
【0050】
また、前述のように、第1無機絶縁層20には、複数の第1凹部25に対応する複数の第3凹部201が設けられる。第2無機絶縁層30には、複数の第1凸部35に対応する複数の第3凸部301が設けられる。第1無機絶縁層20および第2無機絶縁層30のそれぞれは、無機ケイ素材料を含む。無機ケイ素材料を含む第1無機絶縁層20および第2無機絶縁層30は、厚さを厚く形成し易い。特に、厚さを厚く形成し易く、かつ透光性の観点から、酸化ケイ素および酸窒化ケイ素等の酸素を含む無機ケイ素材料であることが好ましい。このため、
図4に示す各第3凹部201の深さ、および各第3凸部301の高さのそれぞれを大きくし易い。よって、各第1凹部25の深さD、および各第1凸部35の高さTを大きくすることが容易である。深さDおよび高さTを大きくすることで、水分の浸入経路Rを長くすることができる。
【0051】
深さDおよび高さTのそれぞれは、特に限定されないが、例えば、2μm以上8μm以下であることが好ましい。シール部材4の厚み以上であり、かつ、複数の画素電極22または対向電極32とこれらよりも下層の各種配線との導通を図るためのコンタクトホールの加工制約により、上記範囲内であることが好ましい。また、深さDおよび高さTは、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0052】
また、複数の第1凹部25と複数の第1凸部35とがシール部材4を介して噛み合わされているため、各第1凹部25の幅W1は、各第1凸部35の幅W2よりも大きい。幅W1と幅W2とを?み合わせた時の片側の隙間はシール部材4を構成する材料、例えばシール部材4に含まれるギャップ材の最大径よりも大きくするのが望ましい。つまり、幅W1は幅W2と使用するギャップ材の径×2を足した値以上の大きさであることが望ましい。かかる範囲内であることで、範囲外である場合に比べ、電気光学装置100の平面積を過度に厚くせず、かつ多くの第1凹部25および第1凸部35を設けることができるので水分の浸入経路Rを長くすることができる。
【0053】
以上説明したように、電気光学装置100によれば、複数の第1凹部25および複数の第1凸部35を有するため、外部の水分が液晶層5に浸入するおそれを抑制することができる。よって、角シミの発生、液晶分子の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラが発生するおそれが抑制される。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0054】
B.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0055】
図8は、第2実施形態の電気光学装置100Aの一部を断面図である。本実施形態の電気光学装置100Aは、第1基板2Aが複数の第1凸部26を有し、第2基板3Aが複数の第1凹部36を有することが第1実施形態の電気光学装置100と主に異なる。
【0056】
図8に示すように、第1基板2Aは、平板部200と複数の第1凸部26とを有する。平板部200は、第1基板2Aのうち平板状の部分であり、第1基部21と第1無機絶縁層20Aの一部とで構成される。各第1凸部26は、平板部200からシール部材4に向かって突出する突起である。また、複数の第1凸部26は、周辺領域A20のうちのシール領域A24に設けられる。よって、複数の第1凸部26は、平面視でシール部材4に重なる。各第1凸部26は、シール部材4の内縁に沿って形成される枠状の突起である。複数の第1凸部26は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の第1凸部26は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0057】
第1無機絶縁層20Aは、複数の第3凸部202を有する。複数の第3凸部202は、複数の第1凸部26に対応する。複数の第3凸部202は、第1無機絶縁層20Aのうちの平板状の部分からシール部材4に向かって突出する突起である。
【0058】
第1無機絶縁層20A上には、透明導電膜27Aが配置される。透明導電膜27Aは、複数の第3凸部202に沿って配置され、複数の第3凸部202に接触する。本実施形態では、複数の第3凸部202と透明導電膜27Aとで、複数の第1凸部26が構成される。
【0059】
第2基板3Aは、複数の第1凹部36を有する。各第1凹部36は、第2基板3Aのシール部材4を向く面に形成される凹みである。複数の第1凹部36は、周辺領域A20のうちのシール領域A24に設けられる。よって、複数の第1凹部36は、平面視でシール部材4に重なる。また、各第1凹部36は、シール部材4の内縁に沿って形成される枠状の溝である。複数の第1凹部36は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の第1凹部36は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0060】
第2無機絶縁層30Aは、複数の第3凹部302を有する。複数の第3凹部302は、複数の第1凹部36に対応する。複数の第3凹部302は、第2無機絶縁層30Aの液晶層5を向く面に形成される凹みである。
【0061】
第2無機絶縁層30A上には、対向電極32Aが配置される。対向電極32Aの一部は、複数の第3凹部302に沿って配置され、複数の第3凹部302に接触する。対向電極32Aは、複数の第3凹部302に沿った複数の凹部を有する。本実施形態では、当該複数の凹部が、複数の第1凹部36に相当する。
【0062】
前述の複数の第1凸部26と複数の第1凹部36とは、シール部材4に接触し、シール部材4を介して互いに噛み合う。複数の第1凸部26と複数の第1凹部36とは、1対1で設けられており、1つの第1凹部36内には1つの第1凸部26が設けられている。別の言い方をすれば、複数の第1凹部36内に複数の第1凸部26に設けられ、複数の第1凹部36と複数の第1凸部26とは互いに対向している。
【0063】
本実施形態によれば、複数の第1凸部26と複数の第1凹部36とがシール部材4を介して噛み合わされることで、2つの平坦面同士がシール部材4を介して接続される場合に比べ、水分の浸入経路を長くすることができる。このため、シール部材4の内部を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。また、本実施形態では、複数の第1凸部26と複数の第1凹部36とがシール部材4を介して噛み合わされることで、シール部材4と第1基板2Aとの界面、およびシール部材4と第2基板3Aとの界面を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。よって、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。この結果、角シミの発生、液晶分子の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラが発生するおそれが抑制される。よって、表示品位の低下を抑制することができる。
【0064】
さらに、複数の第1凸部26と複数の第1凹部36とが噛み合わされることで、複数の第1凸部26と複数の第1凹部36とが噛み合っていない場合に比べ、シール領域A24における第1基板2Aと第2基板3Aとの間の距離を短くすることができる。よって、外部の水分が液晶層5に浸入するおそれを抑制することができる。
【0065】
また、第1基板2は、1つの第1凸部26ではなく、複数の第1凸部26を有する。同様に、第2基板3は、1つの第1凹部36ではなく、複数の第1凹部36を有する。そして、複数の第1凸部26と複数の第1凹部36とがシール部材4を介して噛み合わされている。複数の第1凸部26および複数の第1凹部36が設けられることで、1個の第1凸部26および1個の第1凹部36が設けられる場合に比べ、水分の浸入経路Rを長くすることができる。よって、外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれをより効果的に抑制することができる。
【0066】
本実施形態では、複数の第1凸部26として4個の第1凸部26が設けられるが、第1凸部26の数は、4に限定されず、2、3または5以上でもよい。複数の第1凹部36として4個の第1凹部36が設けられるが、第1凹部36の数は、4に限定されず、2、3または5以上でもよい。外部の水分の表示領域A10への浸入を抑制する観点から、第1凸部26の数、および第1凹部36の数は出来るだけ多い方がよい。水分の浸入の抑制と製造の容易性の観点から、第1凸部26の数、および第1凹部36の数は、それぞれ、例えば、10個以上100個以下であることが特に好ましい。
【0067】
また、各第1凸部26は、平面視でシール部材4の内縁に沿って枠状に設けられる突起である。同様に、各第1凹部36は、平面視でシール部材4の内縁に枠状に沿って設けられる溝である。このため、電気光学装置100Aの全周において外部の水分が表示領域A10に浸入し難い。よって、液晶分子の配向不良等の各種問題が生じ難い。
【0068】
なお、各第1凸部26および各第1凹部36は枠状でなくてもよい。複数の第1凸部26は例えば点在していてもよい。同様に、複数の第1凹部36は例えば点在していてもよい。
【0069】
また、第1凸部26の高さTの具体的な数値は、第1実施形態の第1凸部35の高さTと同様である。また、第1凹部36の深さDの具体的な数値は、第1実施形態の第1凹部25の深さDと同様である。また、複数の第1凹部36と複数の第1凸部26とがシール部材4を介して噛み合わされているため、各第1凹部36の幅W1は、各第1凸部26の幅W2よりも大きい。第1凹部36の幅W1の具体的な数値は、第1実施形態の第1凹部25の幅W1と同様である。また、第1凸部26の幅W2の具体的な数値は、第1実施形態の第1凸部35の幅W2と同様である。
【0070】
また、前述のように、第1無機絶縁層20Aには、複数の第1凸部26に対応する複数の第3凸部202が設けられる。第2無機絶縁層30Aには、複数の第1凹部36に対応する複数の第3凹部302が設けられる。第1無機絶縁層20Aおよび第2無機絶縁層30Aのそれぞれは、無機ケイ素材料を含む。無機ケイ素材料を含む第1無機絶縁層20Aおよび第2無機絶縁層30Aは、厚さを厚く形成し易い。このため、各第3凸部202の高さ、および各第3凹部302の深さのそれぞれを大きくし易い。よって、各第1凸部26の高さT、および各第1凹部36の深さDを大きくすることが容易である。深さDおよび高さTを大きくすることで、水分の浸入経路Rを長くすることができる。
【0071】
以上説明したように、電気光学装置100Aによれば、複数の第1凸部26および複数の第1凹部36を有するため、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。よって、角シミの発生、液晶分子の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラが発生するおそれが抑制される。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0072】
C.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0073】
図9は、第3実施形態の電気光学装置100Bの一部を示す断面図である。
図10は、
図9の複数の第1凹部25および複数の第2凹部250の平面的な配置を示す図である。本実施形態では、複数の第2凹部250および複数の第2凸部350が設けられることが第1実施形態と異なる。
【0074】
図9および
図10に示すように、第1基板2Bは、複数の第2凹部250を有する。各第2凹部250は、第1基板2の液晶層5を向く面に形成される凹みである。複数の第2凹部250は、平面視で、複数の第1凹部25の内側に配置されており、複数の第1凹部25と表示領域A10との間に配置される。複数の第2凹部250は、平面視で、シール部材4と重ならず、シール部材4よりも内側に配置される。また、各第2凹部250は、シール部材4の内縁に沿って形成される枠状の溝である。複数の第2凹部250は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の第2凹部250は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0075】
第1無機絶縁層20Bは、複数の凹部203を有する。複数の凹部203は、複数の第2凹部250に対応する。複数の凹部203は、第1無機絶縁層20Bの液晶層5を向く面に形成される凹みである。
【0076】
第1無機絶縁層20B上には、透明導電膜27Bが配置される。透明導電膜27Bは、複数の第3凹部201および複数の凹部203に沿って配置され、複数の第3凹部201および複数の凹部203に接触する。透明導電膜27Bは、複数の凹部203に沿った複数の凹部を有する。本実施形態では、当該複数の凹部が、複数の第2凹部250に相当する。なお、本実施形態では、周辺電極28は省略される。透明導電膜27Bは、イオントラップ用の電極としての機能を有する。
【0077】
第2基板3Bは、複数の第2凸部350を有する。各第2凸部350は、平板部300から液晶層5に向かって突出する突起である。また、複数の第2凸部350は、平面視で、複数の第1凸部35の内側に配置されており、複数の第1凸部35と表示領域A10との間に配置される。複数の第2凸部350は、平面視で、シール部材4と重ならず、シール部材4の内側に配置される。各第2凸部350は、シール部材4の内縁に沿って形成される枠状の突起である。複数の第2凸部350は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の第2凸部350は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0078】
第2無機絶縁層30Bは、複数の凸部303を有する。複数の凸部303は、複数の第2凸部350に対応する。複数の凸部303は、第2無機絶縁層30Bのうちの平板状の部分から液晶層5に向かって突出する突起である。
【0079】
第2無機絶縁層30B上には、対向電極32Bが配置される。対向電極32Bの一部は、複数の第3凸部301および複数の凸部303に沿って配置され、複数の第3凸部301および複数の凸部303に接触する。本実施形態では、複数の凸部303と、対向電極32Bのうち複数の凸部303に沿って設けられる部分とで、複数の第2凸部350が構成される。
【0080】
前述の複数の第2凹部250と複数の第2凸部350とは、液晶層5に接触し、液晶層5を介して互いに噛み合う。複数の第2凹部250と複数の第2凸部350とは、1対1で設けられており、1つの第2凹部250内には1つの第2凸部350が設けられている。別の言い方をすれば、複数の第2凹部250内に複数の第2凸部350に設けられ、複数の第2凹部250と複数の第2凸部350とは互いに対向している。
【0081】
本実施形態では、複数の第2凹部250と複数の第2凸部350とが設けられていることで、これらが設けられていない場合に比べ、水分の浸入経路をより長くすることができる。このため、シール部材4の内部を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれをより効果的に抑制することができる。また、シール部材4と第1基板2Bとの界面、およびシール部材4と第2基板3Bとの界面を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれをより効果的に抑制することができる。よって、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。この結果、角シミの発生、液晶分子の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラが発生するおそれが抑制される。よって、表示品位の低下を抑制することができる。
【0082】
さらに、複数の第2凹部250と複数の第2凸部350とが噛み合わされることで、複数の第2凹部250と複数の第2凸部350とが噛み合っていない場合に比べ、外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。
【0083】
また、第1基板2Bは、1つの第2凹部250ではなく、複数の第2凹部250を有する。同様に、第2基板3Bは、1つの第2凸部350ではなく、複数の第2凸部350を有する。そして、複数の第2凹部250と複数の第2凸部350とが液晶層5の一部を介して噛み合わされている。複数の第2凹部250および複数の第2凸部350が設けられることで、1個の第2凹部250および1個の第2凸部350が設けられる場合に比べ、水分の浸入経路を長くすることができる。よって、外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれをより抑制することができる。また、複数の第2凹部250および複数の第2凸部350が設けられることで、シール部材4から表示領域A10までの距離を長くすることができる。よって、シール部材4から液晶層5中に溶出する不純物が表示領域A10に到達することを防ぎ、この結果、シミやムラを抑制することができる。
【0084】
本実施形態では、複数の第2凹部250として2個の第2凹部250が設けられるが、第2凹部250の数は、2に限定されず、3以上でもよい。同様に、複数の第2凸部350として2個の第2凸部350が設けられるが、第2凸部350の数は、2に限定されず、3以上でもよい。外部の水分の表示領域A10への浸入を抑制する観点から、第2凹部250の数、および第2凸部350の数は出来るだけ多い方がよい。水分の浸入の抑制と製造の容易性の観点から、第2凹部250の数、および第2凸部350の数は、それぞれ、例えば、10個以上50個以下であることが特に好ましい。
【0085】
図示の例では、第2凹部250の数は、第1凹部25の数よりも少ないが、第1凹部25の数以上でもよい。同様に、第2凸部350の数は、第1凸部35の数よりも少ないが、第1凸部35の数以上でもよい。ただし、表示領域A10の平面積が過度に狭くならず、かつ、シール部材4の幅が過度に小さくならないよう、第2凹部250の数は、第1凹部25の数よりも少ないことが好ましい。同様の観点から、第2凸部350の数は、第1凸部35の数よりも少ないことが好ましい。
【0086】
また、前述のように、各第2凹部250は、平面視でシール部材4の内縁に沿って枠状に設けられる溝である。同様に、各第2凸部350は、平面視でシール部材4の内縁に枠状に沿って設けられる突起である。このため、電気光学装置100Bの全周において外部の水分が表示領域A10に浸入し難い。よって、液晶分子の配向不良等の各種問題が生じ難い。
【0087】
なお、各第2凹部250および各第2凸部350は枠状でなくてもよい。複数の第2凹部250は例えば点在していてもよい。同様に、複数の第2凸部350は例えば点在していてもよい。
【0088】
図示の例では、第2凹部250の幅は、第1凹部25の幅W1よりも小さいが、幅W1以上でもよい。第2凸部350の幅は、第1凸部35の幅W2よりも小さいが、幅W2以上でもよい。第2凹部250の深さは、第1凹部25の深さDと同じであるが、深さDよりも大きくても小さくてもよい。第2凸部350の高さは、第1凸部35の高さTと同じであるが、高さTよりも大きくても小さくてもよい。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の電気光学装置100Bによれば、第1実施形態の電気光学装置100に比べ、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれをより抑制することができる。それゆえ、表示品位の低下をより抑制することができる。
【0090】
D.第4実施形態
第4実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第2実施形態と同様である要素については、第2実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0091】
図11は、第4実施形態の電気光学装置100Cの一部を示す断面図である。本実施形態では、複数の第2凸部260および複数の第2凹部360が設けられることが第2実施形態と異なる。
【0092】
図11に示すように、第1基板2Cは、複数の第2凸部260を有する。各第2凸部260は、平板部200からシール部材4に向かって突出する突起である。また、複数の第2凸部260は、平面視で、複数の第1凸部26の内側に配置されており、複数の第1凸部26と表示領域A10との間に配置される。複数の第2凸部260は、平面視で、シール部材4とは重なっておらず、シール部材4の内側に配置される。各第2凸部260は、シール部材4の内縁に沿って形成される枠状の突起である。複数の第2凸部260は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の第2凸部260は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0093】
第1無機絶縁層20Cは、複数の凸部204を有する。複数の凸部204は、複数の第2凸部260に対応する。複数の凸部204は、第1無機絶縁層20Cのうちの平板状の部分からシール部材4に向かって突出する突起である。
【0094】
第1無機絶縁層20C上には、透明導電膜27Cが配置される。透明導電膜27Aは、複数の第3凸部202および複数の凸部204に沿って配置され、複数の第3凸部202および複数の凸部204に接触する。本実施形態では、複数の凸部204と透明導電膜27Cの一部とで、複数の第2凸部260が構成される。なお、本実施形態では、周辺電極28は省略される。透明導電膜27Cは、イオントラップ用の電極としての機能を有する。
【0095】
第2基板3Cは、複数の第2凹部360を有する。各第2凹部360は、第2基板3Cの液晶層5を向く面に形成される突起である。複数の第2凹部360は、平面視で、複数の第1凹部36の内側に配置されており、複数の第1凹部36と表示領域A10との間に配置される。複数の第2凹部360は、平面視で、シール部材4と重なっておらず、シール部材4の内側に配置される。また、各第2凹部360は、シール部材4の内縁に沿って形成される枠状の溝である。複数の第2凹部360は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の第2凹部360は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0096】
第2無機絶縁層30Cは、複数の凹部304を有する。複数の凹部304は、複数の第2凹部360に対応する。複数の凹部304は、第2無機絶縁層30Cの液晶層5を向く面に形成される凹みである。
【0097】
第2無機絶縁層30C上には、対向電極32Cが配置される。対向電極32Cの一部は、複数の第3凹部302および複数の凹部304に沿って配置され、複数の第3凹部302および複数の凹部304に接触する。対向電極32Cは、複数の凹部304に沿った複数の凹部を有する。本実施形態では、当該複数の凹部が、複数の第2凹部360に相当する。
【0098】
前述の複数の第2凸部260と複数の第2凹部360とは、シール部材4に接触し、液晶層5を介して互いに噛み合う。複数の第2凸部260と複数の第2凹部360とは、1対1で設けられており、1つの第2凹部360内には1つの第2凸部260が設けられている。別の言い方をすれば、複数の第2凹部360内に複数の第2凸部260に設けられ、複数の第2凹部360と複数の第2凸部260とは互いに対向している。
【0099】
本実施形態では、複数の第2凸部260と複数の第2凹部360とが設けられていることで、これらが設けられていない場合に比べ、水分の浸入経路をより長くすることができる。このため、シール部材4の内部を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれをより効果的に抑制することができる。また、シール部材4と第1基板2Cとの界面、およびシール部材4と第2基板3Cとの界面を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれをより効果的に抑制することができる。よって、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。この結果、角シミの発生、液晶分子の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラが発生するおそれが抑制される。よって、表示品位の低下を抑制することができる。
【0100】
さらに、複数の第2凸部260と複数の第2凹部360とが噛み合わされることで、複数の第2凸部260と複数の第2凹部360とが噛み合っていない場合に比べ、外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。
【0101】
また、第1基板2Cは、1つの第2凸部260ではなく、複数の第2凸部260を有する。同様に、第2基板3Cは、1つの第2凹部360ではなく、複数の第2凹部360を有する。そして、複数の第2凸部260と複数の第2凹部360とが液晶層5の一部を介して噛み合わされている。複数の第2凸部260と複数の第2凹部360とが設けられることで、1個の第2凸部260および1個の第2凹部360が設けられる場合に比べ、水分の浸入経路を長くすることができる。よって、外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれをより抑制することができる。また、複数の第2凸部260と複数の第2凹部360とが設けられることで、シール部材4から表示領域A10までの距離を長くすることができる。よって、シール部材4から液晶層5中に溶出する不純物が表示領域A10に到達することを防ぎ、この結果、シミやムラを抑制することができる。
【0102】
本実施形態では、複数の第2凸部260として2個の第2凸部260が設けられるが、第2凸部260の数は、2に限定されず、3以上でもよい。複数の第2凹部360として2個の第2凹部360が設けられるが、第2凹部360の数は、2に限定されず、3以上でもよい。外部の水分の液晶層5への浸入を抑制する観点から、第2凸部260の数、および第2凹部360の数は出来るだけ多い方がよい。水分の浸入の抑制と製造の容易性の観点から、第2凸部260の数、および第2凹部360の数は、それぞれ、例えば、10個以上50個以下であることが特に好ましい。
【0103】
図示の例では、第2凸部260の数は、第1凸部26の数よりも少ないが、第1凸部26の数以上でもよい。同様に、第2凹部360の数は、第1凹部36の数よりも少ないが、第1凹部36の数以上でもよい。ただし、表示領域A10の平面積が過度に狭くならず、かつ、シール部材4の幅が過度に小さくならないよう、第2凸部260の数は、第1凸部26の数よりも少ないことが好ましい。同様の観点から、第2凹部360の数は、第1凹部36の数よりも少ないことが好ましい。
【0104】
また、前述のように、各第2凸部260は、平面視でシール部材4の内縁に沿って枠状に設けられる突起である。同様に、各第2凹部360は、平面視でシール部材4の内縁に枠状に沿って設けられる溝である。このため、電気光学装置100Cの全周において外部の水分が表示領域A10に浸入し難い。よって、液晶分子の配向不良等の各種問題が生じ難い。
【0105】
なお、各第2凸部260および各第2凹部360は枠状でなくてもよい。複数の第2凸部260は例えば点在していてもよい。同様に、複数の第2凹部360は例えば点在していてもよい。
【0106】
図示の例では、第2凸部260の幅は、第1凸部26の幅W1よりも小さいが、幅W1以上でもよい。第2凹部360の幅は、第1凹部36の幅W2よりも小さいが、幅W2以上でもよい。第2凸部260の高さは、第1凸部26の高さTと同じであるが、高さTよりも大きくても小さくてもよい。第2凹部360の深さDは、第1凹部36の深さDと同じであるが、深さDよりも大きくても小さくてもよい。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の電気光学装置100Cによれば、第2実施形態の電気光学装置100Aに比べ、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれをより抑制することができる。それゆえ、表示品位の低下をより抑制することができる。
【0108】
E.第5実施形態
第5実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0109】
図12は、第5実施形態の電気光学装置100Dの一部を示す断面図である。本実施形態では、透明導電膜27が省略されていること、および対向電極32の代わりに対向電極32Dが設けられていることが第1実施形態と異なる。
【0110】
図12に示すように、第1基板2Dは、透明導電膜27を有していない。このため、第1無機絶縁層20は、シール部材4と接触する。また、複数の第1凹部25Dは、第3凹部201で構成される。
【0111】
第2基板3Dが有する対向電極32Dは、平面視でシール部材4と重ならず、シール部材4と接触していない。このため、第2無機絶縁層30は、シール部材4と接触する。また、複数の第1凸部35Dは、複数の第3凸部301で構成される。
【0112】
前述のように、第1無機絶縁層20は、複数の第1凹部25Dを有し、かつシール部材4と接触している。このため、第1実施形態における透明導電膜27と第1無機絶縁層20との界面が存在していない。よって、当該界面を介した水分の表示領域A10への浸入が生じない。それゆえ、第1実施形態に比べ、表示領域A10への水分の浸入をより抑制することができる。同様に、第2無機絶縁層30が、複数の第1凸部35Dを有し、かつシール部材4と接触している。このため、第1実施形態における対向電極32と第2無機絶縁層30との界面が存在していない。よって、当該界面を介した水分の表示領域A10への浸入が生じない。それゆえ、第1実施形態に比べ、表示領域A10への水分の浸入をより抑制することができる。
【0113】
なお、第2実施形態において、シール部材4と第1無機絶縁層20Aとが接触し、シール部材4と第2無機絶縁層30Aとが接触していてもよい。同様に、第3実施形態において、シール部材4と第1無機絶縁層20Bとが接触し、シール部材4と第2無機絶縁層30Bとが接触していてもよい。また、第4実施形態において、シール部材4と第1無機絶縁層20Cとが接触し、シール部材4と第2無機絶縁層30Cとが接触していてもよい。これらの場合であっても、前述の効果と同様に、界面の数を減らすことができるので、液晶層5への水分の浸入を抑制する効果を高めることができる。
【0114】
E.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0115】
前述の実施形態では、配向膜29および39はシール領域A24に設けられていないが、これらはシール領域A24に設けられていてもよい。また、電気光学装置100の周囲は、アルミナ等を含む防湿材で覆われていてもよい。
【0116】
前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気光学装置100が例示されるが、これに限定されず、電気光学装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0117】
「電気光学装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードが挙げられる。
【0118】
また、前述した説明では、「電気光学装置」のの一例として液晶表示装置について説明したが、「電気光学装置」のはこれに限定されない。例えば、「電気光学装置」のは、イメージセンサー等にも適用することができる。
【0119】
2.電子機器
電気光学装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0120】
図13は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0121】
図14は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する電気光学装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて電気光学装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0122】
図15は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。電気光学装置1rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1gは、緑の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1bは、青色の表示色に対応する電気光学装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0123】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1gに供給し、青色成分bを電気光学装置1bに供給する。各電気光学装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0124】
以上の電子機器は、前述の電気光学装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。前述の電気光学装置100は表示品位の低下が抑制されている。このため、よって、電気光学装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品位の低下を抑制することができる。なお、電気光学装置100の代わりに、電気光学装置100A、100B、100Cまたは100Dを適用した場合にも同様の効果が得られる。
【0125】
なお、本発明の電気光学装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0126】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0127】
1b…電気光学装置、1g…電気光学装置、1r…電気光学装置、2…第1基板、2A…第1基板、2B…第1基板、2C…第1基板、2D…第1基板、2x…第1基板、3…第2基板、3A…第2基板、3B…第2基板、3C…第2基板、3D…第2基板、3x…第2基板、4…シール部材、5…液晶層、6…基板間導通材、10…駆動回路、11…走査線駆動回路、12…信号線駆動回路、13…外部端子、20…第1無機絶縁層、20A…第1無機絶縁層、20B…第1無機絶縁層、20C…第1無機絶縁層、21…第1基部、22…画素電極、22d…ダミー画素電極、23…トランジスター、24…蓄積容量、25…第1凹部、25D…第1凹部、26…第1凸部、27…透明導電膜、27A…透明導電膜、27B…透明導電膜、27C…透明導電膜、28…周辺電極、29…配向膜、30…第2無機絶縁層、30A…第2無機絶縁層、30B…第2無機絶縁層、30C…第2無機絶縁層、31…第2基部、32…対向電極、32A…対向電極、32B…対向電極、32C…対向電極、32D…対向電極、35…第1凸部、35D…第1凸部、36…第1凹部、38…見切り、39…配向膜、100…電気光学装置、100A…電気光学装置、100B…電気光学装置、100C…電気光学装置、100D…電気光学装置、100x…電気光学装置、200…平板部、201…第3凹部、202…第3凸部、203…凹部、204…凸部、241…走査線、242…信号線、243…定電位線、250…第2凹部、260…第2凸部、300…平板部、301…第3凸部、302…第3凹部、303…凸部、304…凹部、350…第2凸部、360…第2凹部、2000…パーソナルコンピューター、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2003…制御部、2010…本体部、3000…スマートフォン、3001…操作ボタン、3002…制御部、4000…投射型表示装置、4001…照明光学系、4002…照明装置、4003…投射光学系、4004…投射面、4005…制御部、A10…表示領域、A20…周辺領域、A21…ダミー画素領域、A22…周辺電極領域、A24…シール領域、LL…入射光、P…画素、R…浸入経路、Rx…浸入経路、T…高さ、D…深さ、W1…幅、W2…幅。