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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108326
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電気光学装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20240805BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/1333 505
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012635
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 祐紀
【テーマコード(参考)】
2H189
2H190
2H192
【Fターム(参考)】
2H189DA82
2H189DA83
2H189DA84
2H189GA49
2H189GA53
2H189HA07
2H189JA05
2H189JA10
2H189JA12
2H189JA14
2H189LA10
2H189MA07
2H190HB03
2H190HB04
2H190HC12
2H190HD08
2H192AA24
2H192DA12
2H192GA21
2H192JA06
2H192JA13
2H192JA17
2H192JA33
2H192JB02
(57)【要約】
【課題】表示品位の低下が抑制された電気光学装置、および電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置は、第1基板と、前記周辺領域に設けられるシール部材を介して、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、積層体と、前記積層体と前記シール部材との間に設けられる第1無機絶縁層と、前記第1無機絶縁層と前記シール部材との間に設けられる第2無機絶縁層とを有し、前記第2無機絶縁層は、前記周辺領域に設けられ、前記第1無機絶縁層から前記シール部材に向かって突出する複数の凸部を有し、前記第1無機絶縁層のエッチングレートは、前記第2無機絶縁層のエッチングレートよりも低い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する電気光学装置であって、
第1基板と、
前記周辺領域に設けられるシール部材を介して、前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、
前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、積層体と、前記積層体と前記シール部材との間に設けられる第1無機絶縁層と、前記第1無機絶縁層と前記シール部材との間に設けられる第2無機絶縁層とを有し、
前記第2無機絶縁層は、前記周辺領域に設けられ、前記第1無機絶縁層から前記シール部材に向かって突出する複数の凸部を有し、
前記第1無機絶縁層のエッチングレートは、前記第2無機絶縁層のエッチングレートよりも低い、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1無機絶縁層は、前記周辺領域に設けられる、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1無機絶縁層は、前記複数の凸部に対応する複数の絶縁部を有する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記一方の基板は、前記第2無機絶縁層と前記シール部材との間に設けられる透明導電膜をさらに有する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記一方の基板は、前記積層体と前記第1無機絶縁層との間に設けられる透明導電膜をさらに備える、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記複数の凸部は、互いに離間しており、
前記複数の凸部のそれぞれは、平面視で前記シール部材に沿って設けられる枠状である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1基板および前記第2基板のうちの他方の基板は、前記複数の凸部に対応する複数の凹部を有し、
前記複数の凹部の各内部には、前記複数の凸部のうち対応する凸部が配置される、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第1無機絶縁層は、窒素を含む無機ケイ素材料を含み、
前記第2無機絶縁層は、酸素を含む無機ケイ素材料を含む、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記第1無機絶縁層の厚さは、0.1μm以上1.0μm以下である、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の電気光学装置が用いられる。当該電気光学装置の例として、特許文献1に記載の液晶装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の液晶装置は、第1基板と、第2基板と、これら基板に挟持された液晶層と、シール部とを有する。シール部は、表示領域を囲むシール領域に設けられる。第1基板は、積層構造と、積層構造上に設けられた無機配向膜および補助無機絶縁膜とを有する。無機配向膜は、表示領域に設けられ、液晶分子の配向を制御する。補助無機絶縁膜は、シール領域に設けられる突起である。無機配向膜と補助無機絶縁膜とは、積層構造上に設けられた蒸着膜の一部をエッチングすることにより形成される。当該文献の液晶装置では、シール領域に補助無機絶縁膜を設けることで、補助無機絶縁膜と積層構造との段差により外部からの水分等の異物の浸入を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-248743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の構成では、エッチング深さにバラつきが生じ易い。エッチング深さにバラつきが生じると、第1基板と第2基板との間の距離であるセルギャップに影響が生じてしまう。このため、従来の構成では、表示品位が低下するおそれを充分に抑制することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置の一態様は、画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する電気光学装置であって、第1基板と、前記周辺領域に設けられるシール部材を介して、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、積層体と、前記積層体と前記シール部材との間に設けられる第1無機絶縁層と、前記第1無機絶縁層と前記シール部材との間に設けられる第2無機絶縁層とを有し、前記第2無機絶縁層は、前記周辺領域に設けられ、前記第1無機絶縁層から前記シール部材に向かって突出する複数の凸部を有し、前記第1無機絶縁層のエッチングレートは、前記第2無機絶縁層のエッチングレートよりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
図2図1に示す電気光学装置のA-A線の断面図である。
図3図1の第1基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
図4図2の電気光学装置の一部を拡大した図である。
図5図4の複数の凸部の平面的な配置を示す図である。
図6】比較例における外部から表示領域への水分の浸入経路を示す図である。
図7】本実施形態における外部から表示領域への水分の浸入経路を示す図である。
図8】第1実施形態における第2基板の製造方法の流れを示す図である。
図9】第1無機絶縁層形成工程を説明するための図である。
図10】第2無機絶縁層形成工程を説明するための図である。
図11】第2無機絶縁層形成工程を説明するための図である。
図12】マイクロトレンチを説明するための図である。
図13】第2実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
図14】第3実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
図15】第4実施形態の電気光学装置の一部を断面図である。
図16】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図17】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
図18】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0009】
1.電気光学装置
A.第1実施形態
A-1.基本構成
図1は、実施形態に係る電気光学装置100の平面図である。図2は、図1に示す電気光学装置100のA-A線の断面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。
【0010】
また、要素αと要素βとの「電気的な接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含む。また、要素αと要素βとが「噛み合う」とは、要素αと要素βと直接的に接触している構成のほか、要素αと要素βとが他の要素を介して間接的に接触している構成も含む。
【0011】
図1および図2に示す電気光学装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の透過型の電気光学装置である。図2に示すように、電気光学装置100は、第1基板2と、第2基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。本実施形態では、第2基板3が「一方の基板」に相当し、第1基板2が「他方の基板」に相当する。また、図2に示すように、第1基板2、液晶層5および第2基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。なお、第1基板2、液晶層5および第2基板3の重なる方向であるZ1方向またはZ2方向から見ることを「平面視」とする。また、図1に示す電気光学装置100の平面形状は四角形であるが、四角形以外の多角形または円形であってもよい。
【0012】
図2に示す電気光学装置100は透過型であって、第1基板2および第2基板3は、透光性を有する。入射光LLが第2基板3に入射した後、第1基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、第1基板2に入射した光が第2基板3から出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。また、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0013】
第1基板2は、第1基部21と、積層体20と、第3無機絶縁層25と、第4無機絶縁層26と、複数の画素電極22と、複数のダミー画素電極22dと、周辺電極231と、配向膜29とを有する。第1基部21、積層体20、第3無機絶縁層25、第4無機絶縁層26、複数の画素電極22、および配向膜29は、この順にZ1方向に積層される。複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、および周辺電極231は、同層に配置される。なお、ダミー画素電極22dおよび周辺電極231は省略してもよい。
【0014】
第1基部21は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。積層体20は、詳細な図示はしないが、透光性および絶縁性を有する複数の絶縁膜を含む。各絶縁膜は、無機ケイ素材料を含む。無機ケイ素材料は、例えば酸化ケイ素および酸窒化ケイ素等のケイ素を含む無機化合物である。また、詳細な図示はしないが、積層体20には、トランジスターおよび各種配線等が設けられる。第3無機絶縁層25および第4無機絶縁層26は後で詳述する。
【0015】
複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、および周辺電極231は、積層体20上に配置される。複数の画素電極22は、液晶層5に電界を与える。複数のダミー画素電極22dは、表示には寄与しないものの、複数の画素電極22と同様に駆動制御される。例えば、複数のダミー画素電極22dは、複数の画素電極22に書き込まれる画像信号のノイズ対策等のために用いられる。複数のダミー画素電極22dは、複数の画素電極22を平面視で囲む。周辺電極231は、液晶層5中のイオン性不純物をトラップするイオントラップ用の電極である。複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、および周辺電極231のそれぞれは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)等の透明導電材料を含む。複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、および周辺電極231は、例えば、当該透明導電材料を含む導電膜をエッチングにすることにより一括で形成される。
【0016】
配向膜29は、透光性および絶縁性を有する。配向膜29は、液晶層5に接触しており、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。配向膜29は、複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、および周辺電極231を覆うように配置される。配向膜29の材料は、例えば酸化ケイ素等であり、配向膜29は例えば斜方蒸着により形成される。
【0017】
また、図1に示すように、第1基板2には、駆動回路10と複数の外部端子13とが配置される。駆動回路10は、走査線駆動回路11と信号線駆動回路12とを含む。複数の外部端子13の一部は、走査線駆動回路11または信号線駆動回路12から引き回される図示省略された配線に接続される。また、複数の外部端子13は、定電位Vcomが印加させる端子を含む。
【0018】
図2に示すように、第2基板3は、第1基板2に対向する。第2基板3は、第2基部31と、積層体30と、第1無機絶縁層35と、第2無機絶縁層36と、対向電極32と、配向膜39と、見切り33とを有する。第2基部31、積層体30、第1無機絶縁層35、対向電極32、および配向膜39は、この順にZ2方向に積層される。
【0019】
図2に示す第2基部31は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。積層体30は、透光性および絶縁性を有しており、無機ケイ素材料を含む。また、積層体30には、見切り33が設けられる。見切り33は、詳細な図示はしないが、平面視で複数の画素電極22を囲む遮光性の見切りとして機能する。なお、「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは10%以下であることをいう。なお、図示はしないが、積層体30は、例えば、複数のマイクロレンズを有してもよい。第1無機絶縁層35および第2無機絶縁層36は、後で詳述する。
【0020】
対向電極32は、液晶層5に電界を与える。対向電極32は、透光性および導電性を有する。対向電極32は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む。配向膜39は、透光性および絶縁性を有する。配向膜39は、液晶層5に接触しており、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。配向膜39は、対向電極32上に配置される。配向膜39の材料は、例えば酸化ケイ素等であり、配向膜39は例えば斜方蒸着により形成される。
【0021】
また、図1に示すように、第2基板3には、複数の基板間導通材6が設けられる。複数の基板間導通材6は、第1基板2との第2基板3とを電気的に接続するための導通材である。基板間導通材6は、第1基板2に配置される図示省略された引き回し配線を介して、複数の外部端子13のうち定電位Vcomが印加させる端子に接続される。よって、対向電極32には、定電位Vcomが印加させる。
【0022】
シール部材4は、第1基板2と第2基板3との間に配置される。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等のUV硬化性材料を含む。UVは、ultravioletの略称であり、特に、波長100nm以上400nm以下の光をいう。また、シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよい。
【0023】
液晶層5は、第1基板2、第2基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。液晶層5は、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層である。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0024】
図1に示すように、電気光学装置100は、表示領域A10と周辺領域A20とを有する。表示領域A10は、画像が表示される領域である。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。複数の画素Pに対して複数の画素電極22が1対1で配置される。前述の対向電極32は、複数の画素Pで共通に設けられる。
【0025】
周辺領域A20は、平面視で表示領域A10の外側に設けられる。周辺領域A20は、平面視で表示領域A10を囲む枠状である。周辺領域A20は、ダミー画素領域A21と、周辺電極領域A22と、中間領域S23と、シール領域A24とを含む。これら領域の各平面形状は、枠状である。ダミー画素領域A21には、複数のダミー画素電極22dが配置される。周辺電極領域A22には、複数の周辺電極231が配置される。中間領域S23は、周辺電極領域A22とシール領域A24との間の領域である。シール領域A24には、シール部材4が配置される。したがって、シール部材4は、複数の画素電極22の外側に設けられる。また、ダミー画素領域A21、および周辺電極領域A22には、見切り33が配置される。また、周辺領域A20には、走査線駆動回路11、信号線駆動回路12および複数の外部端子13が配置される。
【0026】
また、電気光学装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、電気光学装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、電気光学装置100は、ライトバルブとして機能する。なお、この場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0027】
A-2.第1基板2の電気的な構成
図3は、図1の第1基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。図3に示すように、第1基板2は、複数のトランジスター240とn本の走査線241とm本の信号線242とn本の定電位線243とを有する。これらは、図2の積層体20に配置される。nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。また、n本の走査線241とm本の信号線242との各交差に対応してトランジスター240が配置される。各トランジスター240は、例えばスイッチング素子として機能するTFT(Thin Film Transistor)である。各トランジスター240は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0028】
n本の走査線241のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線241はY1方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター240のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0029】
図3に示すm本の信号線242のそれぞれはY1方向に延在し、m本の信号線242はX1方向に等間隔で並ぶ。m本の信号線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター240のソースに電気的に接続される。m本の信号線242は、図1に示す信号線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本の信号線242には、信号線駆動回路12から画像信号S1、S2、…、およびSmが並行に供給される。
【0030】
図3に示すn本の走査線241とm本の信号線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つの信号線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。画素Pごとにトランジスター240、画素電極22および蓄積容量24が設けられる。画素電極22は、トランジスター240に対して1対1で設けられる。各画素電極22は、対応するトランジスター240のドレインに電気的に接続される。
【0031】
n本の定電位線243のそれぞれはX1方向に延在し、n本の定電位線243はY1方向に等間隔で並ぶ。また、n本の定電位線243は、n本の走査線241およびm本の信号線242に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各定電位線243には、定電位Vcomが印加される。n本の定電位線243のそれぞれは、対応する蓄積容量24が有する2つの電極のうちの一方に電気的に接続される。各蓄積容量24は、画素電極22の電位を保持するための保持容量である。蓄積容量24は、トランジスター240に対して1対1で設けられる。また、各蓄積容量24が有する2つの電極のうちの他方は、対応する画素電極22に電気的に接続される。したがって、蓄積容量24の一方の電極には定電位Vcomが印加され、他方の電極はトランジスター240のドレインに電気的に接続される。
【0032】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター240がオン状態となる。すると、m本の信号線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、S2、…、およびSmの応じた電位が、選択される走査線241に対応する画素Pの画素電極22に印加される。これにより、画素電極22と対向電極32との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子の配向が変化する。また、蓄積容量24によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子の配向の変化によって光が変調され階調表示が可能となる。
【0033】
1C.周辺領域A20
図4は、図2の電気光学装置100の一部を拡大した図である。図4には、電気光学装置100の周辺領域A20の一部が示されている。図5は、図4の複数の凸部361の平面的な配置を示す図である。図5は、第2基板3を見たZ1方向に図であって、図5では、配向膜39および対向電極32の図示が省略される。
【0034】
図4に示すように、第1基板2は、複数の凹部201を有する。各凹部201は、第1基板2の液晶層5を向く面に形成される凹みである。複数の凹部201は、周辺領域A20の中間領域S23およびシール領域A24に設けられる。複数の凹部201の一部は、平面視でシール部材4に重なり、残りは、平面視で液晶層5に重なる。また、平面図は省略するが、各凹部201は、シール部材4の内縁に沿って形成される溝である。本実施形態では、各凹部201は、平面視で枠状である。複数の凹部201は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の凹部201は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0035】
第1基板2は、前述のように、積層体20、第3無機絶縁層25、および第4無機絶縁層26を有する。積層体20の液晶層5を向く面は、平坦面である。当該平坦面上に第3無機絶縁層25が配置される。第3無機絶縁層25は、積層体20上に設けられており、第3無機絶縁層25のシール部材4を向く面は、平坦面である。第3無機絶縁層25は、絶縁性および透光性を有する。第3無機絶縁層25は、周辺領域A20に設けられる。
【0036】
第4無機絶縁層26は、第3無機絶縁層25上に配置される。第4無機絶縁層26は、複数の貫通孔261を有する。各貫通孔261は、第4無機絶縁層26の厚さ方向に貫通する孔である。複数の貫通孔261は、周辺領域A20に設けられる。複数の貫通孔261は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。複数の貫通孔261は、複数の凹部201に1対1で対応する。各凹部201は、対応する1つの貫通孔261の内壁面と第3無機絶縁層25の液晶層5を向く面の一部とで構成される。また、第4無機絶縁層26は、絶縁性および透光性を有する。また、第4無機絶縁層26の表示領域A10に設けられる部分には、複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、および周辺電極231が配置される。
【0037】
第3無機絶縁層25のエッチングレートは、第4無機絶縁層26のエッチングレートよりも低い。第3無機絶縁層25および第4無機絶縁層26のそれぞれは、例えば、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等の無機ケイ素材料を含む。この場合、第3無機絶縁層25のフッ素を含むエッチングガスに対するエッチングレートは、第4無機絶縁層26のフッ素を含むエッチングガスに対するエッチングレートよりも低い。特に、第3無機絶縁層25は、例えば、酸化ケイ素、および酸窒化ケイ素等の窒素を含む無機ケイ素材料を含むことが好ましい。第4無機絶縁層26は、例えば、酸化ケイ素、および酸窒化ケイ素等の酸素を含む無機ケイ素材料を含むことが好ましい。かかる材料であることで、上記エッチングレートの関係を満足し易い。なお、第3無機絶縁層25は、例えば、窒化チタン、およびタングステンナイトライド等の窒化物を含んでもよい。第4無機絶縁層26の酸素を含む無機ケイ素材料には、BSG膜およびNSG膜等が含まれる。
【0038】
第2基板3は、前述のように、積層体30、第1無機絶縁層35、および第2無機絶縁層36を有する。積層体30の液晶層5を向く面は、平坦面である。当該平坦面上に第1無機絶縁層35が配置される。第1無機絶縁層35は、積層体30上に設けられ、第1無機絶縁層35のシール部材4を向く面は、平坦面である。第1無機絶縁層35は、絶縁性および透光性を有する。第1無機絶縁層35は、周辺領域A20および表示領域A10に設けられる。また、第2無機絶縁層36は、第1無機絶縁層35上に配置される。第2無機絶縁層36は、絶縁性および透光性を有する。
【0039】
第1無機絶縁層35のエッチングレートは、第2無機絶縁層36のエッチングレートよりも低い。第1無機絶縁層35および第2無機絶縁層36のそれぞれは、例えば、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等の無機ケイ素材料を含む。この場合、第1無機絶縁層35のフッ素を含むエッチングガスに対するエッチングレートは、第2無機絶縁層36のフッ素を含むエッチングガスに対するエッチングレートよりも低い。特に、第1無機絶縁層35は、例えば、酸化ケイ素、および酸窒化ケイ素等の窒素を含む無機ケイ素材料を含むことが好ましい。第2無機絶縁層36は、例えば、酸化ケイ素、および酸窒化ケイ素等の酸素を含む無機ケイ素材料を含むことが好ましい。かかる材料であることで、上記エッチングレートの関係を満足し易い。なお、第1無機絶縁層35は、例えば、窒化チタン、およびタングステンナイトライド等の窒化物を含んでもよい。第2無機絶縁層36の酸素を含む無機ケイ素材料には、BSG膜およびNSG膜等が含まれる。
【0040】
第2無機絶縁層36は、複数の凸部361を有する。複数の凸部361は、周辺領域A20の中間領域S23およびシール領域A24に設けられる。複数の凸部361の一部は、平面視でシール部材4に重なり、残りは、平面視で液晶層5に重なる。各凸部361は、第1無機絶縁層35からシール部材4または液晶層5に向かって突出する突起である。第2無機絶縁層36に複数の貫通孔が形成されることにより、複数の凸部361が形成される。
【0041】
図5に示すように、複数の凸部361は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の凸部361は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0042】
図4に示すように、各凸部361の幅W2は、各凹部201の幅W1よりも小さい。複数の凹部201と複数の凸部361とは、1対1で設けられており、1つの凹部201内には、対応する1つの凸部361が設けられている。このため、複数の凹部201と複数の凸部361とは、シール部材4または液晶層5を介して互いに噛み合う。別の言い方をすれば、複数の凹部201内に複数の凸部361に設けられ、複数の凹部201と複数の凸部361とは互いに対向している。
【0043】
対向電極32は、第2無機絶縁層36上に配置される。対向電極32の一部は、第2無機絶縁層36とシール部材4との間に設けられる「透明導電膜」に相当する。当該対向電極32の一部は、複数の凸部361を覆っている。対向電極32が第2無機絶縁層36とシール部材4との間に設けられていることで、複数の凸部361を対向電極32で覆うことができる。このため、第2無機絶縁層36から液晶層5中に不純物が溶出すること抑制することができる。
【0044】
図6は、比較例における外部から表示領域A10への水分の浸入経路Rxを示す図である。図7は、本実施形態における外部から表示領域A10への水分の浸入経路Rを示す図である。
【0045】
図7に示す本実施形態の電気光学装置100では、複数の凹部201と複数の凸部361とが噛み合わされている。これに対し、図6に示す比較例の電気光学装置100xは、複数の凹部201および複数の凸部361を有していない。電気光学装置100xが有する第1基板2xの液晶層5を向く面は、周辺領域A20において平坦である。電気光学装置100xが有する第2基板3xの液晶層5を向く面は、周辺領域A20において平坦である。
【0046】
図6に示すように、外部の水分は、第1基板2xと第2基板3xとの間のシール部材4を介して液晶層5に浸入する。比較例では、外部から表示領域A10への水分の浸入経路Rxは、一直線状である。一方、図7に示すように、本実施形態では、複数の凹部201および複数の凸部361が設けられていることで、外部から表示領域A10への水分の浸入経路Rは、一直線状ではない。浸入経路Rは、浸入経路Rxに比べて長くなっている。
【0047】
図6および図7から分かるように、複数の凹部201と複数の凸部361とがシール部材4等を介して噛み合わされることで、2つの平坦面同士がシール部材4を介して接続される場合に比べ、シール部材4の内部における水分の浸入経路Rを長くすることができる。このため、シール部材4の内部を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。よって、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。この結果、角シミの発生、液晶分子の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラが発生するおそれが抑制される。よって、表示品位の低下を抑制することができる。
【0048】
また、第2無機絶縁層36は、複数の凸部361を有する。第2無機絶縁層36が複数の凸部361を有することで、複数の凸部361を有さない場合に比べ、第2基板3とシール部材4との界面における外部から表示領域A10への水分の浸入経路を長くすることができる。このため、当該界面を介した外部からの水分の浸入を抑制することができる。
【0049】
さらに、第1基板2は、複数の凹部201を有する。第1基板2が複数の凹部201を有することで、複数の凹部201を有さない場合に比べ、第1基板2とシール部材4との界面における外部から表示領域A10への水分の浸入経路を長くすることができる。このため、当該界面を介した外部からの水分の浸入を抑制することができる。
【0050】
また、前述のように、第1無機絶縁層35のエッチングレートは、第2無機絶縁層36のエッチングレートよりも低い。このため、エッチングにより複数の凸部361を形成する際、第1無機絶縁層35がエッチングストッパーとして機能する。複数の凸部361の形成の際、第1無機絶縁層35はエッチングにより除去され難い。このため、第2基板3においてエッチング深さにバラつきが生じ難い。過剰エッチングを防止しバラツキを少なくすることができる。よって、第1基板2と第2基板3との間の距離であるセルギャップに影響が生じ難い。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0051】
同様に、第3無機絶縁層25のエッチングレートは、第4無機絶縁層26のエッチングレートよりも低い。このため、エッチングにより複数の貫通孔261を形成する際、第3無機絶縁層25がエッチングストッパーとして機能する。複数の貫通孔261の形成の際、第3無機絶縁層25はエッチングにより除去され難い。このため、第1基板2においてエッチング深さにバラつきが生じ難い。過剰エッチングを防止しバラツキを少なくすることができる。よって、第1基板2と第2基板3との間の距離であるセルギャップに影響が生じ難い。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0052】
また、第2無機絶縁層36が無機ケイ素材料で形成されることで、図4に示す各凸部361の高さTを大きくすることが容易である。また、第4無機絶縁層26が無機ケイ素材料で形成されることで、各凹部201の深さDを大きくすることが容易である。各深さDおよび高さTを大きくすることで、水分の浸入経路Rを長くすることができる。
【0053】
深さDおよび高さTのそれぞれは、特に限定されないが、例えば、2μm以上8μm以下であることが好ましい。シール部材4の厚み以上であり、かつ、複数の画素電極22または対向電極32とこれらよりも下層の各種配線との導通を図るためのコンタクトホールの加工制約により、上記範囲内であることが好ましい。また、深さDおよび高さTは、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0054】
また、複数の凹部201と複数の凸部361とが噛み合わされているため、各凹部201の幅W1は、各凸部361の幅W2よりも大きい。幅W1と幅W2とを?み合わせた時の片側の隙間はシール部材4を構成する材料、例えばシール部材4に含まれるギャップ材の最大径よりも大きくするのが望ましい。つまり、幅W1は幅W2と使用するギャップ材の径×2を足した値以上の大きさであることが望ましい。かかる範囲内であることで、範囲外である場合に比べ、電気光学装置100の平面積を過度に厚くせず、かつ多くの凹部201とより多くの凸部361とを設けることができるので水分の浸入経路Rを長くすることができる。
【0055】
また、第1無機絶縁層35および第3無機絶縁層25の各厚さは特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。かかる範囲内であることで、範囲外である場合に比べ、第1無機絶縁層35および第3無機絶縁層25をエッチングストッパーとして好適に用いることができるとともに、第1基板2および第2基板3の各厚さが過度に厚くなることが抑制される。
【0056】
また、前述のように、複数の凸部361は、互いに離間し、平面視でシール部材4に沿って設けられる枠状である。このため、電気光学装置100の全周において外部の水分が液晶層5に浸入し難い。よって、液晶分子の配向不良等の各種問題が生じ難い。同様に、複数の凹部201は、互いに離間し、平面視でシール部材4に沿って設けられる枠状である。このため、電気光学装置100の全周において外部の水分が液晶層5に浸入し難い。
【0057】
なお、各凹部201および各凸部361は枠状でなくてもよい。複数の凹部201は例えば点在していてもよい。同様に、複数の凸部361は例えば点在していてもよい。
【0058】
本実施形態では、複数の凸部361として5個の凸部361が設けられるが、凸部361の数は、5に限定されず、2、3、4または6以上でもよい。複数の凹部201として5個の凹部201が設けられるが、凹部201の数は、5に限定されず、2、3、5または6以上でもよい。外部の水分の液晶層5への浸入を抑制する観点から、凸部361の数、および凹部201の数は出来るだけ多い方がよい。水分の浸入の抑制と製造の容易性の観点から、凸部361の数、および凹部201の数は、それぞれ、例えば、10個以上100個以下であることが特に好ましい。
【0059】
また、複数の凸部361のうちの幾つかの凸部361と、複数の凹部201のうちの幾つか凹部201とが、平面視でシール部材4と重なる。残りの凸部361と残りの凹部201とは、平面視で液晶層5に重なる。シール部材4と液晶層5の接触位置が複数の凸部361および複数の凹部201の内側端部よりも外側にあることで、シール部材4から表示領域A10までの距離を長くすることができる。よって、シール部材4から液晶層5中に溶出する不純物が表示領域A10に到達することを防ぎ、この結果、シミやムラを抑制することができる。なお、複数の凸部361の全て、および複数の凹部201の全てが平面視でシール部材4と重なっていてもよい。
【0060】
また、図4に示す例では、複数の凸部361は、平面視で配向膜39に重なっていないが、重なっていてもよい。複数の凹部201は、平面視で配向膜29に重なっていないが、重なっていてもよい。
【0061】
1D.電気光学装置100の製造方法
図8は、第1実施形態における第2基板3の製造方法の流れを示す図である。以下では、電気光学装置100のうち第2基板3の製造方法について説明する。
【0062】
図8に示すように、第2基板3の製造方法は、積層体形成工程S11、第1無機絶縁層形成工程S12、第2無機絶縁層形成工程S13、複数の凸部形成工程S14、対向電極形成工程S15、および配向膜形成工程S16を含む。
【0063】
積層体形成工程S11では、複数の絶縁膜を形成することにより積層体20が形成される。積層体20には、例えば、見切り33およびマイクロレンズが形成される。積層体20は、公知の方法で形成される。
【0064】
第1無機絶縁層形成工程S12では、積層体20上に第1無機絶縁層35を形成する。第1無機絶縁層35は、例えば、窒素を含む無機ケイ素材料を含む膜を積層体20上に形成することにより得られる。第1無機絶縁層35は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法またはALD(Atomic Layer Deposition)法で形成される。
【0065】
また、第1無機絶縁層35は、前述のように、周辺領域A20および表示領域A10に一様に設けられる。したがって、第1無機絶縁層35の形成時にマスクを設ける必要がないため、第1無機絶縁層35の形成が容易である。
【0066】
図9は、第2無機絶縁層形成工程S13を説明するための図である。図9に示すように、第2無機絶縁層形成工程S13では、第1無機絶縁層35上に第2無機絶縁層36を形成する。第2無機絶縁層36は、例えば、酸素を含む無機ケイ素材料を含む膜を第1無機絶縁層35上に形成することにより得られる。第2無機絶縁層36は、例えば、CVD法またはALD法で形成される。
【0067】
また、第1無機絶縁層35のエッチングレートが第2無機絶縁層36のエッチングレートよりも小さくなるよう、第1無機絶縁層35および第2無機絶縁層36は形成される。例えば、第1無機絶縁層35および第2無機絶縁層36が同一材料である場合、第1無機絶縁層35をALD法で形成し、第2無機絶縁層36をCVD法で形成することで、第1無機絶縁層35のエッチングレートを第2無機絶縁層36のエッチングレートよりも小さくすることができる。また、例えば、第1無機絶縁層35が酸窒化ケイ素を含み、第2無機絶縁層36が酸化ケイ素を含むことで、第1無機絶縁層35のエッチングレートを第2無機絶縁層36のエッチングレートよりも小さくすることができる。
【0068】
図10および図11のそれぞれは、複数の凸部形成工程S14を説明するための図である。図10に示すように、複数の凸部形成工程S14では、まず、第2無機絶縁層36上にマスクM0を配置する。例えば、レジスト材料を第2無機絶縁層36上に塗布し、露光および現像することで、マスクM0が形成される。なお、マスクM0は、複数の開口H0を有する。複数の開口H0は、複数の凸部361に対応する。
【0069】
第2無機絶縁層36上にマスクM0を形成した後、エッチングを行う。具体的には、ドライエッチングが行われる。エッチングガスの流量およびエッチング時間等の条件は、適宜に調整される。エッチングにより、図11に示すように、第2無機絶縁層36に複数の凸部361が形成される。第1無機絶縁層35および第2無機絶縁層36のそれぞれが無機ケイ素材料を含む場合、エッチングガスとしては、フッ素を含むエッチングガスが用いられる。
【0070】
前述のように、第1無機絶縁層35のエッチングレートは、第2無機絶縁層36のエッチングレートよりも低い。このため、エッチングの際、第1無機絶縁層35がエッチングストッパーとして機能する。それゆえ、エッチング深さにバラつきが生じ難い。
【0071】
複数の凸部361を形成した後に、マスクM0を除去する。例えば、プラズマまたはオゾンによるアッシング処理を施すことにより、マスクM0が除去される。これにより、図11に示すように、複数の凸部361が得られる。
【0072】
前述のように、本実施形態では、第1無機絶縁層35は、周辺領域A20および表示領域A10に一様に設けられている。このため、第2無機絶縁層36のエッチング後に第1無機絶縁層35を除去する必要がない。よって、生産性の向上を図ることができる。なお、第1無機絶縁層35の表示領域A10に設けられる部分は除去されてもよい。
【0073】
対向電極形成工程S15では、複数の凸部361を含む第2無機絶縁層36上に対向電極32が形成される。対向電極32は、公知の方法で形成される。配向膜形成工程S16では、対向電極32上に配向膜39が形成される。配向膜39は、公知の方法で形成される。なお、本実施形態では、図4に示すように、配向膜39は、表示領域A10に形成されるが、周辺領域A20にも形成されてもよい。
【0074】
以上により、第2基板3が形成される。なお、第1基板2の第3無機絶縁層25は、前述の第1無機絶縁層35と同様の方法で形成される。また、第1基板2の第4無機絶縁層26は、前述の第2無機絶縁層36と同様の方法で形成される。また、前述のように、第3無機絶縁層25のエッチングレートは、第4無機絶縁層38のエッチングレートよりも低い。このため、エッチングの際、第3無機絶縁層25がエッチングストッパーとして機能する。それゆえ、エッチング深さにバラつきが生じ難い。また、第2基板3では、第3無機絶縁層25は、表示領域A10に設けられておらず、周辺領域A20に設けられる。表示領域A10において各画素電極22とこれよりも下層に配置される配線とを導通させるためのコンタクトホールの形成時に第3無機絶縁層25があるとエッチングの阻害要因となってしまう。なお、第2基板3では、当該コンタクトホールを形成しないため、表示領域A10に第1無機絶縁層35が設けられていてよい。また、第3無機絶縁層25が周辺領域A20に一様に設けられることで、後述の第2実施形態のように第3無機絶縁層25をパターニングする必要がない。このため、製造上容易である。
【0075】
図12は、マイクロトレンチT35を説明するための図である。図12に示すように、第1無機絶縁層35が設けられていない場合、複数の凸部361の形成時に積層体30にマイクロトレンチT35が形成されるおそれがある。これに対し、本実施形態の第2基板3は、第1無機絶縁層35を有する。このため、積層体30にマイクロトレンチT35が形成されるおそれが抑制される。よって、マイクロトレンチT35が形成されることを想定して積層体30の厚さを厚くする必要がない。それゆえ、第2基板3の厚さを薄くし易い。この結果、生産性の向上およびコスト負荷の低減を図ることができる。
【0076】
同様に、第3無機絶縁層25が設けられることで、積層体20にマイクロトレンチが形成されるおそれが抑制される。第3無機絶縁層25にマイクロトレンチが形成されることが抑制される。よって、マイクロトレンチが形成されることを想定して積層体20の厚さを厚くする必要がない。それゆえ、第1基板2の厚さを薄くし易い。この結果、生産性の向上およびコスト負荷の低減を図ることができる。
【0077】
以上説明したように、電気光学装置100によれば、外部の水分が液晶層5に浸入するおそれを抑制することができる。さらに、第1基板2と第2基板3との間の距離であるセルギャップに影響が生じ難い。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0078】
B.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0079】
図13は、第2実施形態の電気光学装置100Aの一部を示す断面図である。本実施形態の電気光学装置100Aは、第2基板3の代わりに第2基板3Aを有することが第1実施形態の電気光学装置100と異なる。第2基板3Aは、第1実施形態の対向電極32および第1無機絶縁層35の代わりに対向電極32Aおよび第1無機絶縁層35Aを有する。
【0080】
図13に示す第2基板3Aは、「一方の基板」に相当する。対向電極32Aは、積層体20と第1無機絶縁層35との間に配置される「透明導電膜」に相当する。対向電極32Aの液晶層5を向く面は、平坦面である。当該平坦面上に、第1無機絶縁層35が配置される。
【0081】
対向電極32Aが積層体20と第2無機絶縁層36との間に配置されているので、対向電極32Aは、積層体20が形成された後、かつ第1無機絶縁層35を形成する前に形成される。したがって、対向電極32Aは、積層体20が有する平坦な表面上に形成される。このため、対向電極32Aの厚さを一様に形成し易い。
【0082】
また、第1無機絶縁層35Aは、複数の絶縁部351を有する。複数の絶縁部351は、複数の凸部361に対応する。本実施形態では、第2無機絶縁層36のエッチング後に、第1無機絶縁層35Aをエッチングすることにより、複数の絶縁部351が形成される。このため、複数の凸部361と平面視で重なる部分以外には、第1無機絶縁層35Aが設けられていない。よって、表示領域A10には第1無機絶縁層35Aが設けられていない。第1無機絶縁層35Aが設けられていないことで、第1無機絶縁層35Aが設けられている場合に比べ、表示領域A10における透光性を高めることができる。
【0083】
以上の電気光学装置100Aによっても、電気光学装置100と同様に、外部の水分が液晶層5に浸入するおそれを抑制することができる。さらに、第1基板2と第2基板3Aとの間の距離であるセルギャップに影響が生じ難い。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0084】
C.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0085】
図14は、第3実施形態の電気光学装置100Bの一部を示す断面図である。本実施形態の電気光学装置100Bは、第1基板2および第2基板3の代わりに第1基板2Bおよび第2基板3Bを有することが第1実施形態の電気光学装置100と異なる。第1基板2Bは、第1実施形態の第3無機絶縁層25および第4無機絶縁層26の代わりに、第1無機絶縁層27および第2無機絶縁層28を有する。さらに、第1基板2Bは、導電膜230を有する。第2基板3Bは、第1無機絶縁層35および第2無機絶縁層36の代わりに、第3無機絶縁層37、および第4無機絶縁層38を有する。また、第2基板3Bは、複数の凹部301を有する。
【0086】
図14に示すように、第1無機絶縁層27は、積層体30の液晶層5を向く面上に配置される。第1無機絶縁層27は、積層体30上に設けられており、第1無機絶縁層27のシール部材4を向く面は、平坦面である。第1無機絶縁層27は、周辺領域A20に設けられる。第1無機絶縁層27は、絶縁性および透光性を有する。また、第2無機絶縁層28は、第1無機絶縁層27上に配置される。第2無機絶縁層28は、絶縁性および透光性を有する。
【0087】
第1無機絶縁層27のエッチングレートは、第2無機絶縁層28のエッチングレートよりも低い。第1無機絶縁層27および第2無機絶縁層28のそれぞれは、例えば、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等の無機ケイ素材料を含む。この場合、第1無機絶縁層27のフッ素を含むエッチングガスに対するエッチングレートは、第2無機絶縁層28のフッ素を含むエッチングガスに対するエッチングレートよりも低い。
【0088】
第2無機絶縁層28は、複数の凸部281を有する。複数の凸部281は、周辺領域A20のシール領域A24および中間領域A23に設けられる。複数の凸部281の一部は、平面視でシール部材4に重なり、残りは、平面視で液晶層5に重なる。各凸部281は、第1無機絶縁層27からシール部材4または液晶層5に向かって突出する突起である。第2無機絶縁層28に複数の貫通孔が形成されることにより、複数の凸部281が形成される。また、複数の凸部281は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の凸部281は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0089】
第2無機絶縁層28上は、導電膜230が設けられる。導電膜230は、第2無機絶縁層28とシール部材4との間に設けられる「透明導電膜」に相当する。導電膜230は、複数の凸部281を覆っており、導電膜230の一部は、第1無機絶縁層27に接触する。導電膜230が第2無機絶縁層36とシール部材4との間に設けられることで、複数の凸部281を導電膜230で覆うことができる。このため、第2無機絶縁層28から液晶層5中に不純物が溶出すること抑制することができる。
【0090】
導電膜230は、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む。導電膜230は、複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22dおよび複数の周辺電極231と同層に設けられる。導電膜230、複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22dおよび複数の周辺電極231は、例えば、当該透明導電材料を含む導電膜をエッチングすることにより一括で形成される。
【0091】
第2基板3Bは、複数の凹部301を有する。各凹部301は、第2基板3Bの液晶層5を向く面に形成される凹みである。複数の凹部301は、周辺領域A20のシール領域A24および中間領域A23に設けられる。複数の凹部301は、平面視でシール部材4または液晶層5に重なる。また、各凹部301は、シール部材4の内縁に沿って形成される溝である。本実施形態では、各凹部301は、枠状である。複数の凹部301は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。なお、本実施形態では、複数の凹部301は、等間隔で並ぶが、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0092】
第3無機絶縁層37は、積層体30の液晶層5を向く面上に配置される。第3無機絶縁層37は、積層体30上に一様に設けられており、第3無機絶縁層37の液晶層5を向く面は、平坦面である。第3無機絶縁層37は、絶縁性および透光性を有する。
【0093】
第4無機絶縁層38は、第3無機絶縁層37上に配置される。第4無機絶縁層38は、複数の貫通孔381を有する。各貫通孔381は、第4無機絶縁層38の厚さ方向に貫通する孔である。複数の貫通孔381は、周辺領域A20に設けられる。また、複数の貫通孔381は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。複数の貫通孔381は、複数の凹部301に1対1で対応する。各凹部301は、対応する1つの貫通孔381の内壁面と第3無機絶縁層37の液晶層5を向く面の一部とで構成される。また、第4無機絶縁層38は、絶縁性および透光性を有する。
【0094】
第3無機絶縁層37のエッチングレートは、第4無機絶縁層38のエッチングレートよりも低い。第3無機絶縁層37および第4無機絶縁層38のそれぞれは、例えば、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等の無機ケイ素材料を含む。この場合、第3無機絶縁層37のフッ素に対するエッチングレートは、第4無機絶縁層38のフッ素に対するエッチングレートよりも低い。
【0095】
第4無機絶縁層38上には、対向電極32が設けられる。本実施形態では、対向電極32のうちの複数の貫通孔381の各内壁面と、対向電極32のうちの第3無機絶縁層37に接触する部分とで、複数の凹部301が構成される。
【0096】
各凹部301の幅W1は、前述の各凸部281の幅W2よりも大きい。複数の凹部301と複数の凸部281とは、1対1で設けられており、1つの凹部301内には、対応する1つの凸部281が設けられている。よって、複数の凹部301と複数の凸部281とは、シール部材4または液晶層5等を介して互いに噛み合う。別の言い方をすれば、複数の凹部301内に複数の凸部281に設けられ、複数の凹部301と複数の凸部281とは互いに対向している。なお、本実施形態では、複数の凸部281と、シール部材4または液晶層5との間には、導電膜230が配置される。
【0097】
複数の凹部301と複数の凸部281とがシール部材4等を介して噛み合わされることで、2つの平坦面同士がシール部材4を介して接続される場合に比べ、シール部材4の内部における水分の浸入経路を長くすることができる。このため、シール部材4の内部を介して外部の水分が表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。よって、外部の水分が液晶層5の表示領域A10に浸入するおそれを抑制することができる。この結果、角シミの発生、液晶分子の配向不良、または比抵抗低下による表示ムラが発生するおそれが抑制される。よって、表示品位の低下を抑制することができる。
【0098】
また、第2無機絶縁層28は、複数の凸部281を有する。第2無機絶縁層28が複数の凸部281を有することで、複数の凸部281を有さない場合に比べ、第1基板2Bとシール部材4との界面における外部から表示領域A10への水分の浸入経路を長くすることができる。このため、当該界面を介した外部からの水分の浸入を抑制することができる。
【0099】
さらに、第2基板3Bは、複数の凹部301を有する。第2基板3Bが複数の凹部301を有することで、複数の凹部301を有さない場合に比べ、第2基板3Bとシール部材4との界面における外部から表示領域A10への水分の浸入経路を長くすることができる。このため、当該界面を介した外部からの水分の浸入を抑制することができる。
【0100】
また、前述のように、第1無機絶縁層27のエッチングレートは、第2無機絶縁層28のエッチングレートよりも低い。このため、エッチングにより複数の凸部281を形成する際、第1無機絶縁層27がエッチングストッパーとして機能する。複数の凸部281の形成の際、第1無機絶縁層27はエッチングにより除去され難い。このため、エッチング深さにバラつきが生じ難い。よって、第1基板2Bと第2基板3Bとの間の距離であるセルギャップに影響が生じ難い。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0101】
同様に、第3無機絶縁層37のエッチングレートは、第4無機絶縁層38のエッチングレートよりも低い。このため、エッチングにより複数の貫通孔381を形成する際、第3無機絶縁層37がエッチングストッパーとして機能する。複数の貫通孔381の形成の際、第3無機絶縁層37はエッチングにより除去され難い。このため、エッチング深さにバラつきが生じ難い。よって、第1基板2Bと第2基板3Bとの間の距離であるセルギャップに影響が生じ難い。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0102】
また、第2無機絶縁層28が無機ケイ素材料で形成されることで、各凸部281の高さTを大きくすることが容易である。また、第4無機絶縁層38が無機ケイ素材料で形成されることで、各凹部301の深さDを大きくすることが容易である。各深さDおよび高さTを大きくすることで、水分の浸入経路Rを長くすることができる。
【0103】
なお、深さDおよび高さTの各具体的な好ましい数値範囲は、第1実施形態と同様である。また、幅W1およびW2の各具体的な好ましい数値範囲は、第1実施形態と同様である。
【0104】
また、第1無機絶縁層27および第3無機絶縁層37の各厚さは特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。かかる範囲内であることで、範囲外である場合に比べ、第1無機絶縁層35および第3無機絶縁層37をエッチングストッパーとして好適に用いることができるとともに、第1基板2Bおよび第2基板3Bの各厚さが過度に厚くなることが抑制される。
【0105】
また、前述のように、複数の凸部281は、互いに離間し、平面視でシール部材4に沿って設けられる枠状である。このため、電気光学装置100Bの全周において外部の水分が液晶層5に浸入し難い。よって、液晶分子の配向不良等の各種問題が生じ難い。同様に、複数の凹部301は、互いに離間し、平面視でシール部材4に沿って設けられる枠状である。このため、電気光学装置100Bの全周において外部の水分が液晶層5に浸入し難い。
【0106】
なお、各凸部281および各凹部301は枠状でなくてもよい。複数の凸部281は例えば点在していてもよい。同様に、複数の凸部281は例えば点在していてもよい。
【0107】
複数の凸部281として5個の凸部281が設けられるが、凸部281の数は、5に限定されず、2、3、4または6以上でもよい。複数の凹部301として5個の凹部301が設けられるが、凹部301の数は、5に限定されず、2、3、5または6以上でもよい。外部の水分の液晶層5への浸入を抑制する観点から、凸部281の数、および凹部301の数は出来るだけ多い方がよい。水分の浸入の抑制と製造の容易性の観点から、凸部281の数、および凹部301の数は、それぞれ、例えば、10個以上100個以下であることが特に好ましい。
【0108】
また、複数の凸部281のうちの幾つかの凸部281と、複数の凹部301のうちの幾つか凹部301とが、平面視でシール部材4と重なる。残りの凸部281と残りの凹部301とは、平面視で液晶層5に重なる。シール部材4と液晶層5の接触位置が複数の凸部281および複数の凹部301の内側端部よりも外側にあることで、シール部材4から表示領域A10までの距離を長くすることができる。よって、シール部材4から液晶層5中に溶出する不純物が表示領域A10に到達することを防ぎ、この結果、シミやムラを抑制することができる。なお、複数の凸部281の全て、および複数の凹部301の全てが平面視でシール部材4と重なっていてもよい。
【0109】
また、図14に示す例では、複数の凸部281は、平面視で配向膜29に重なっていないが、重なっていてもよい。複数の凹部301は、平面視で配向膜39に重なっていないが、重なっていてもよい。
【0110】
以上の電気光学装置100Bによっても、電気光学装置100と同様に、外部の水分が液晶層5に浸入するおそれを抑制することができる。さらに、第1基板2Bと第2基板3Bとの間の距離であるセルギャップに影響が生じ難い。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0111】
D.第4実施形態
第4実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第3実施形態と同様である要素については、第3実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0112】
図15は、第4実施形態の電気光学装置100Cの一部を示す断面図である。本実施形態の電気光学装置100Cは、第1基板2Bの代わりに第1基板2Cを有することが第3実施形態の電気光学装置100Bと異なる。第1基板2Cは、第3実施形態の導電膜230および周辺電極231の代わりに導電膜230Cを有し、第3実施形態の第1無機絶縁層27の代わりに第1無機絶縁層27Cを有する。
【0113】
図15に示す第1基板2Cは、「一方の基板」に相当する。導電膜230Cは、積層体20と第1無機絶縁層35との間に配置される「透明導電膜」に相当する。導電膜230Cは、液晶層5中のイオン性不純物をトラップするイオントラップ用の電極としても機能する。導電膜230Cの液晶層5を向く面は、平坦面である。当該平坦面上に、第1無機絶縁層27が配置される。
【0114】
導電膜230Cが積層体20と第1無機絶縁層27との間に配置されているので、導電膜230Cは、積層体20が形成された後、かつ第1無機絶縁層27を形成する前に形成される。したがって、導電膜230Cは、積層体20が有する平坦な表面上に形成される。このため、導電膜230Cの厚さを一様に形成し易い。なお、導電膜230Cは省略されてもよい。この場合、積層体20と第1無機絶縁層35とは接触する。
【0115】
また、第1無機絶縁層27は、複数の絶縁部271を有する。複数の絶縁部271は、複数の凸部281に対応する。本実施形態では、第2無機絶縁層28のエッチング後に、第1無機絶縁層27をエッチングすることにより、複数の絶縁部271が形成される。このため、複数の凸部281と平面視で重なる部分以外には、第1無機絶縁層27が設けられていない。よって、表示領域A10には第1無機絶縁層27が設けられていない。第1無機絶縁層27が設けられていないことで、第1無機絶縁層27が設けられている場合に比べ、表示領域A10における透光性を高めることができる。
【0116】
以上の電気光学装置100Cによっても、電気光学装置100Bと同様に、外部の水分が液晶層5に浸入するおそれを抑制することができる。さらに、第1基板2Cと第2基板3Bとの間の距離であるセルギャップに影響が生じ難い。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0117】
E.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0118】
前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気光学装置100が例示されるが、これに限定されず、電気光学装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0119】
「電気光学装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードが挙げられる。
【0120】
また、前述した説明では、「電気光学装置」のの一例として液晶表示装置について説明したが、「電気光学装置」のはこれに限定されない。例えば、「電気光学装置」のは、イメージセンサー等にも適用することができる。
【0121】
2.電子機器
電気光学装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0122】
図16は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0123】
図17は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する電気光学装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて電気光学装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0124】
図18は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。電気光学装置1rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1gは、緑の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1bは、青色の表示色に対応する電気光学装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0125】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1gに供給し、青色成分bを電気光学装置1bに供給する。各電気光学装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0126】
以上の電子機器は、前述の電気光学装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。前述の電気光学装置100は表示品位の低下が抑制されている。このため、よって、電気光学装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品位の低下を抑制することができる。なお、電気光学装置100の代わりに、電気光学装置100A、100B、または100Cを適用した場合にも同様の効果が得られる。
【0127】
なお、本発明の電気光学装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0128】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0129】
1b…電気光学装置、1g…電気光学装置、1r…電気光学装置、2…第1基板、2B…第1基板、2C…第1基板、2x…第1基板、3…第2基板、3A…第2基板、3B…第2基板、3x…第2基板、4…シール部材、5…液晶層、6…基板間導通材、10…駆動回路、11…走査線駆動回路、12…信号線駆動回路、13…外部端子、20…積層体、21…第1基部、22…画素電極、22d…ダミー画素電極、24…蓄積容量、25…第3無機絶縁層、26…第4無機絶縁層、27…第1無機絶縁層、27C…第1無機絶縁層、28…第2無機絶縁層、29…配向膜、30…積層体、31…第2基部、32…対向電極、32A…対向電極、33…見切り、35…第1無機絶縁層、35A…第1無機絶縁層、36…第2無機絶縁層、37…第3無機絶縁層、38…第4無機絶縁層、39…配向膜、100…電気光学装置、100A…電気光学装置、100B…電気光学装置、100C…電気光学装置、100x…電気光学装置、201…凹部、230…導電膜、230C…導電膜、231…周辺電極、240…トランジスター、241…走査線、242…信号線、243…定電位線、261…貫通孔、271…絶縁部、281…凸部、301…凹部、351…絶縁部、361…凸部、381…貫通孔、2000…パーソナルコンピューター、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2003…制御部、2010…本体部、3000…スマートフォン、3001…操作ボタン、3002…制御部、4000…投射型表示装置、4001…照明光学系、4002…照明装置、4003…投射光学系、4004…投射面、4005…制御部、A10…表示領域、A20…周辺領域、A21…ダミー画素領域、A22…周辺電極領域、A23…中間領域、A24…シール領域、D…深さ、H0…開口、LL…入射光、M0…マスク、P…画素、R…浸入経路、Rx…浸入経路、S11…積層体形成工程、S12…第1無機絶縁層形成工程、S13…第2無機絶縁層形成工程、S14…凸部形成工程、S15…対向電極形成工程、S16…配向膜形成工程、S23…中間領域、T…高さ、T35…マイクロトレンチ、W1…幅、W2…幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18