(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108329
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20240805BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
F01N3/08 C
F01N3/08 A
F01N3/20 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012638
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神瀬 龍平
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA14
3G091AA17
3G091AA18
3G091AB03
3G091AB06
3G091AB14
3G091BA04
3G091BA14
3G091BA15
3G091BA19
3G091EA05
3G091EA17
3G091EA27
3G091EA28
3G091EA34
3G091FB10
3G091FB12
3G091FC04
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091HA08
3G091HA36
3G091HA37
3G091HA42
(57)【要約】
【課題】リーン燃焼を行う期間を延長する。
【解決手段】エンジンに接続された第1排気流路と、前記第1排気流路の下流側に接続され、前記第1排気流路よりも大きい流路断面積を有する第2排気流路と、前記第2排気流路に設けられたNOx吸蔵還元触媒と、前記第1排気流路に設けられた磁力発生器と、前記磁力発生器を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、1つまたは複数のプロセッサと、前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、を有し、前記プロセッサは、前記NOx吸蔵還元触媒の温度分布に基づいて、前記磁力発生器を制御する、排気ガス浄化装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続された第1排気流路と、
前記第1排気流路の下流側に接続され、前記第1排気流路よりも大きい流路断面積を有する第2排気流路と、
前記第2排気流路に設けられたNOx吸蔵還元触媒と、
前記第1排気流路に設けられた磁力発生器と、
前記磁力発生器を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、1つまたは複数のプロセッサと、前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、を有し、
前記プロセッサは、
前記NOx吸蔵還元触媒の温度分布に基づいて、前記磁力発生器を制御する、排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
排気ガスに含まれるNOxおよびO2が、前記NOx吸蔵還元触媒のうち吸蔵温度範囲の領域に誘導されるように、前記磁力発生器を制御する、請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記第1排気流路の中心軸と前記NOx吸蔵還元触媒の中心軸とはずれており、
前記第1排気流路から前記第2排気流路に直進した排気ガスが前記NOx吸蔵還元触媒のうち前記第1排気流路の正面の第1領域に偏って供給されるように、前記第1排気流路および前記第2排気流路が構成されている、請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1排気流路を流れる排気ガスの温度が第1温度未満であり、かつ、前記第1排気流路を流れる排気ガスの流速が第1速度未満である場合、前記NOx吸蔵還元触媒のうち前記第1排気流路の正面の第1領域に、前記排気ガスに含まれるNOxおよびO2が誘導されるように前記磁力発生器を制御し、
前記第1排気流路を流れる排気ガスの温度が前記第1温度超の第2温度以上であり、かつ、前記第1排気流路を流れる排気ガスの流速が前記第1速度超の第2速度以上である場合、前記第1領域の周辺の第2領域に、前記排気ガスに含まれるNOxおよびO2が誘導されるように前記磁力発生器を制御する、請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排出された排気ガスが流れる排気流路に、NOx吸蔵還元触媒を備えた車両が開発されている(例えば、特許文献1)。NOx吸蔵還元触媒は、エンジンにおいてリーン燃焼させているときに、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を吸蔵して除去する。そして、NOx吸蔵還元触媒におけるNOxの吸蔵量が飽和に到達したら、エンジンにおいてリッチ燃焼を行う。これにより、NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxが脱離され、NOx吸蔵還元触媒においてNOxが還元される。
【0003】
このように、NOx吸蔵還元触媒を備えた車両は、エンジンにおいてリーン燃焼とリッチ燃焼とを繰り返す。その結果、NOx吸蔵還元触媒は、リーン燃焼時のNOxの吸蔵と、リッチ燃焼時のNOxの還元とを繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NOx吸蔵還元触媒は、所定の温度範囲内の温度である場合にNOxを効率よく吸蔵するが、当該温度範囲外の温度である場合にはNOxの吸蔵効率が低下してしまう。以下、NOx吸蔵還元触媒において、NOxを効率よく吸蔵する温度範囲を「吸蔵温度範囲」という。
【0006】
このため、従来、NOx吸蔵還元触媒の全領域の温度が吸蔵温度範囲である期間にしか、リーン燃焼を行うことができなかった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、リーン燃焼を行う期間を延長することが可能な排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の形態に係る排気ガス浄化装置は、
エンジンに接続された第1排気流路と、
前記第1排気流路の下流側に接続され、前記第1排気流路よりも大きい流路断面積を有する第2排気流路と、
前記第2排気流路に設けられたNOx吸蔵還元触媒と、
前記第1排気流路に設けられた磁力発生器と、
前記磁力発生器を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、1つまたは複数のプロセッサと、前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、を有し、
前記プロセッサは、
前記NOx吸蔵還元触媒の温度分布に基づいて、前記磁力発生器を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リーン燃焼を行う期間を延長することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両の構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第1排気流路および第2排気流路の流路断面の形状の例を説明する第1の図である。
【
図4】
図4は、第1排気流路および第2排気流路の流路断面の形状の例を説明する第2の図である。
【
図5】
図5は、第1排気流路および第2排気流路の流路断面の形状の例を説明する第3の図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、低温低速状態である場合の適温領域を説明する図である。
【
図9】
図9は、中温中速状態である場合の適温領域を説明する図である。
【
図10】
図10は、高温高速状態である場合の適温領域を説明する図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る排気ガス浄化方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、変形例に係る第1排気流路、第2排気流路、NOx吸蔵還元触媒、および、磁力発生器を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る車両100の構成を示す概略図である。なお、
図1中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0013】
図1に示すように、車両100は、エンジン110と、吸気管120と、排気管130と、排気ガス浄化装置150と、マフラ160とを含む。
【0014】
車両100は、エンジン110のみを駆動源として備える。エンジン110は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンである。ただし、本発明に係る車両は、この例に限定されず、例えば、エンジン110に加えてモータを駆動源として備えるハイブリッド車両であってもよい。
【0015】
エンジン110の吸気ポートには、吸気マニホールドが連通される。吸気マニホールドの集合部には、吸気管120が連通される。吸気管120内には、吸気流路122が形成される。
【0016】
エンジン110の排気ポートには排気マニホールドが連通される。排気マニホールドの集合部には、排気管130が連通される。排気管130内には、排気流路132が形成される。排気流路132には、エンジン110から近い順に、後述する三元触媒210、NOx吸蔵還元触媒220、および、マフラ160が設けられる。
【0017】
排気ガス浄化装置150は、エンジン110から排気される排気ガスを浄化する。排気ガス浄化装置150によって浄化された排気ガスは、マフラ160を通じて排気される。以下、排気ガスの流れ方向の下流側を単に「下流側」という場合がある。また、排気ガスの流れ方向の上流側を単に「上流側」という場合がある。
【0018】
[排気ガス浄化装置150]
続いて、本実施形態に係る排気ガス浄化装置150について説明する。
【0019】
図1に示すように、排気ガス浄化装置150は、三元触媒(TWC:Three-Way Catalyst)210と、NOx吸蔵還元触媒(LNT:Lean NOx Trap)220と、磁力発生器230a、230bと、温度センサ240と、吸入空気量センサ242と、空燃比センサ244と、制御装置250とを含む。
【0020】
三元触媒210は、排気流路132に設けられる。三元触媒210は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、OSC材(例えば、セリア)を含む。三元触媒210は、エンジン110から排出された排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、NOx(窒素酸化物)を浄化(酸化還元)する。
【0021】
NOx吸蔵還元触媒220は、排気流路132における三元触媒210の後段(排気ガスの流れ方向の下流側)に設けられる。換言すれば、NOx吸蔵還元触媒220は、排気流路132における三元触媒210とマフラ160との間に設けられる。NOx吸蔵還元触媒220は、例えば、バリウム(Ba)、カリウム(K)を含む。NOx吸蔵還元触媒220は、エンジン110がリーン燃焼を行っている場合に、NOxを吸蔵する。また、NOx吸蔵還元触媒220は、エンジン110がリッチ燃焼を行っている場合に、吸蔵したNOxを浄化(還元)する。
【0022】
以下、三元触媒210とNOx吸蔵還元触媒220とを接続する排気管130を「排気管130a」、「排気管130b」とする。また、排気管130a内に形成される排気流路132を「第1排気流路132a」とする。NOx吸蔵還元触媒220が設けられる排気管130を「排気管130c」とする。また、排気管130c内に形成される排気流路132を「第2排気流路132c」とする。NOx吸蔵還元触媒220とマフラ160とを接続する排気管130を「排気管130d」、「排気管130e」とする。
【0023】
図2は、
図1の部分拡大図である。
図3は、第1排気流路132aおよび第2排気流路132cの流路断面の形状の例を説明する第1の図である。
図4は、第1排気流路132aおよび第2排気流路132cの流路断面の形状の例を説明する第2の図である。
図5は、第1排気流路132aおよび第2排気流路132cの流路断面の形状の例を説明する第3の図である。
図6は、
図2のVI-VI線断面図である。
【0024】
排気管130a、排気管130c、排気管130eは、直線状の配管である。排気管130cの管径は、排気管130a、130eの管径より大きい。排気管130a内には、第1排気流路132aが形成される。排気管130c内には、第2排気流路132cが形成される。つまり、第2排気流路132cは、第1排気流路132aの下流側に接続される。第2排気流路132cは、第1排気流路132aよりも大きい流路断面積を有する。排気管130bは、排気管130aと排気管130cとを接続する配管である。排気管130bは、排気管130aとの接続箇所から排気管130cとの接続箇所に向かって流路断面積が漸増する配管である。排気管130dは、排気管130cと排気管130eとを接続する配管である。排気管130dは、排気管130cとの接続箇所から排気管130eとの接続箇所に向かって流路断面積が漸減する配管である。
【0025】
排気管130aの断面形状、つまり、第1排気流路132aの流路断面の形状は、特に限定されない。また、排気管130cの断面形状、つまり、第2排気流路132cの流路断面の形状は、特に限定されない。例えば、
図3、
図4に示すように、第1排気流路132aの流路断面の形状は、真円形であってもよい。また、
図5に示すように、第1排気流路132aの流路断面の形状は、角丸長方形であってもよい。また、第1排気流路132aの流路断面の形状は、楕円形、または、矩形であってもよい。また、
図3に示すように、第2排気流路132cの流路断面の形状は、真円形であってもよい。
図4に示すように、第2排気流路132cの流路断面の形状は、長円形であってもよい。長円形は、2つの等しい長さの平行線と2つの半円形からなる形状である。また、
図5に示すように、第2排気流路132cの流路断面の形状は、角丸長方形であってもよい。また、第2排気流路132cの流路断面の形状は、楕円形、または、矩形であってもよい。
【0026】
本実施形態では、
図6に示すように、第1排気流路132aの流路断面の形状が、真円形であり、第2排気流路132cの流路断面の形状が、楕円形である例について主に説明する。
【0027】
また、
図2に示すように、本実施形態において、第1排気流路132aの中心軸CA1と、NOx吸蔵還元触媒220(第2排気流路132c)の中心軸CA2とは、ずれている。つまり、第2排気流路132cは、第1排気流路132aに対して偏って接続される。なお、本実施形態において、第1排気流路132aの中心軸CA1と、NOx吸蔵還元触媒220の中心軸CA2とは、平行である。第1排気流路132aおよび第2排気流路132cは、第1排気流路132aから第2排気流路132cに直進した排気ガスがNOx吸蔵還元触媒220のうち第1排気流路132aの正面の第1領域(直進領域SR)に偏って供給されるように構成されている。
【0028】
磁力発生器230a、230bは、第1排気流路132a、および、第1排気流路132aと第2排気流路132cとを接続する排気流路132bに設けられる。本実施形態において、磁力発生器230a、230bは、排気管130a、130bの外側に設けられる。磁力発生器230aと磁力発生器230bとは、第1排気流路132aまたは排気流路132bを挟んで対向する。磁力発生器230a、230bは、例えば、電磁石である。磁力発生器230a、230bは、後述する磁力制御部264によって制御される。
【0029】
図1に戻って説明すると、温度センサ240は、第1排気流路132aに設けられる。温度センサ240は、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度を検出する。
【0030】
吸入空気量センサ242は、吸気流路122に設けられる。吸入空気量センサ242は、エンジン110に供給される吸入空気量を検出する。
【0031】
空燃比センサ244は、排気流路132におけるエンジン110と三元触媒210との間に設けられる。空燃比センサ244は、エンジン110から排気された排気ガスの空燃比を検出する。
【0032】
制御装置250は、1つまたは複数のプロセッサ252と、プロセッサ252に接続される1つまたは複数のメモリ254と、を有する。プロセッサ252は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メモリ254は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0033】
制御装置250は、車両100に設けられる各装置(例えば、エンジン110、温度センサ240、吸入空気量センサ242、空燃比センサ244等)と通信を行う。制御装置250と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0034】
図7は、本発明の実施形態に係る制御装置250の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図7に示すように、制御装置250は、推定部260、空燃比制御部262、および、磁力制御部264を有する。なお、推定部260、空燃比制御部262、および、磁力制御部264により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ252によって実行され得る。詳細には、メモリ254に記憶されているプログラムをプロセッサ252が実行することにより、各種処理が実行される。
【0035】
推定部260は、NOx吸蔵還元触媒220のうち、吸蔵温度範囲の領域を推定する。吸蔵温度範囲とは、NOx吸蔵還元触媒220において、NOxを効率よく吸蔵する温度範囲を意味する。吸蔵温度範囲は、例えば、250℃以上、400℃以下の温度範囲である。以下、NOx吸蔵還元触媒220のうち、吸蔵温度範囲の領域を「適温領域TR」という。
【0036】
推定部260は、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度、および、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速に基づいて、適温領域TRを推定する。適温領域TRの位置は、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度、および、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速に応じて変化する。具体的に説明すると、本実施形態に係る排気ガス浄化装置150は、第1排気流路132aと、第1排気流路132aよりも大きい流路断面積を有する第2排気流路132cとを備える。このため、NOx吸蔵還元触媒220に供給される排気ガスの状態が、低温低速状態である場合、中温中速状態である場合、高温高速状態である場合それぞれにおいて、NOx吸蔵還元触媒220における適温領域TRの位置が変化する。
【0037】
低温低速状態は、車両100の冷態始動時等、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度が第1温度未満であり、かつ、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速が第1速度未満である状態である。なお、第1温度は、吸蔵温度範囲の下限値(例えば250℃)以上、上限値(例えば400℃)以下の温度である。
【0038】
そして、低温低速状態からエンジン110の負荷が増加すると、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度が第1温度以上となり、また、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速が第1速度以上となり、低温低速状態から中温中速状態に移行する。
【0039】
車両100が高速道路を走行する場合等、中温中速状態からさらにエンジン110の負荷が増加すると、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度が第2温度以上となり、かつ、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速が第2速度以上となる高温高速状態に移行する。なお、第2温度は、第1温度超の温度であり、中温中速状態の排気ガスよりも高い温度である。また、第2速度は、第1速度超の速度であり、中温中速状態の排気ガスの流速より大きい流速である。
【0040】
図8は、低温低速状態である場合の適温領域TRを説明する図である。
図9は、中温中速状態である場合の適温領域TRを説明する図である。
図10は、高温高速状態である場合の適温領域TRを説明する図である。
図8~
図10中、白抜きの矢印は、排気ガスの流れを示す。
図8、
図10中、破線の矢印は、磁力線を示す。
図8~
図10中、実線の矢印は、排気ガスに含まれるNOxおよびO
2(酸素)の流れを示す。
【0041】
図8に示すように、低温低速状態である場合、まず、直進領域SR(第1領域)が暖機される。直進領域SRは、第1排気流路132aから直進した排気ガスが供給されるNOx吸蔵還元触媒220の領域である。直進領域SRは、NOx吸蔵還元触媒220のうち第1排気流路132aの正面の領域である。このため、排気ガスの状態が低温低速状態である場合、直進領域SRが適温領域TRとなる。
【0042】
一方、第2排気流路132cは、第1排気流路132aよりも大きい流路断面積を有するため、直進領域SRの周辺の周辺領域PR(第2領域)への排気ガスの供給量は、直進領域SRへの供給量よりも少ない。また、周辺領域PRは、直進領域SRよりも外部への放熱量が大きい。このため、周辺領域PRは、直進領域SRよりも低温となる。したがって、低温低速状態である場合、周辺領域PRは、吸蔵温度範囲の下限値未満となる。つまり、低温低速状態である場合、周辺領域PRは、適温領域TRとならない。
【0043】
そして、低温低速状態からエンジン110の負荷が増加すると、排気ガスの状態は、低速状態から中温中速状態に移行する。
【0044】
中温中速状態である場合、低温低速状態である場合よりも、直進領域SRおよび周辺領域PRの温度が上昇する。そうすると、
図9に示すように、直進領域SRおよび周辺領域PRの両方の領域、つまり、NOx吸蔵還元触媒220の全領域が適温領域TRとなる。
【0045】
そして、中温中速状態からさらにエンジン110の負荷が増加すると、排気ガスの状態は、中温中速状態から高温高速状態に移行する。
【0046】
高温高速状態である場合、直進領域SRの温度は、第2温度以上となる。したがって、直進領域SRは、吸蔵温度範囲の上限値超の温度となる。つまり、
図10に示すように、直進領域SRは、適温領域TRとならない。一方、高温高速状態である場合でも、周辺領域PRは、直進領域SRよりも低温であるため、適温領域TRとなる。
【0047】
このように、NOx吸蔵還元触媒220における適温領域TRの位置は、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度、および、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速に応じて変化する。したがって、推定部260は、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度、および、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速に基づいて、適温領域TRを推定する。なお、本実施形態において、推定部260は、温度センサ240の検出値を、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度とする。なお、推定部260は、エンジン負荷に基づいて、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度を推定してもよい。また、本実施形態において、推定部260は、エンジン110の回転数、吸入空気量センサ242の検出値、および、エンジン110における燃料噴射量の群から選択される1または複数に基づいて、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速を推定する。
【0048】
図7に戻って説明すると、空燃比制御部262は、エンジン110における燃料の噴射量を調整して排気ガスの空燃比を制御する。空燃比制御部262は、ストイキモード、リーン燃焼モード、または、リッチ燃焼モードに運転モードを設定する。
【0049】
なお、ストイキモードは、空燃比をストイキとするエンジン110の運転モードである。つまり、空燃比制御部262によって運転モードがストイキモードに設定されると、エンジン110において、ストイキ燃焼が行われる。
【0050】
リーン燃焼モードは、空燃比をストイキよりリーンとするエンジン110の運転モードである。つまり、空燃比制御部262によって運転モードがリーン燃焼モードに設定されると、エンジン110において、リーン燃焼が行われる。
【0051】
リッチ燃焼モードは、空燃比をストイキよりリッチとするエンジン110の運転モードである。つまり、空燃比制御部262によって運転モードがリッチ燃焼モードに設定されると、エンジン110において、リッチ燃焼が行われる。
【0052】
磁力制御部264は、リーン燃焼が行われている間、磁力発生器230a、230bを制御する。磁力制御部264は、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布に基づいて、磁力発生器230a、230bを制御する。磁力制御部264は、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布の偏りがほとんどない場合、つまり、NOx吸蔵還元触媒220の全領域が適温領域TRである場合(中温中速状態である場合)、磁力発生器230aおよび磁力発生器230bへの電力の供給を停止する。
【0053】
また、磁力制御部264は、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布の偏りが大きい場合、つまり、NOx吸蔵還元触媒220の一部の領域が適温領域TRである場合(低温低速状態または高温高速状態である場合)、磁力発生器230aおよび磁力発生器230bへ電力を供給する。本実施形態において、磁力制御部264は、推定部260によって推定された適温領域TRに、排気ガスに含まれるNOxおよびO2が誘導されるように、磁力発生器230a、230bを制御する。
【0054】
例えば、
図8に示すように、推定部260は、低温低速状態である場合、直進領域SRが適温領域TRであると推定する。したがって、低温低速状態である場合、磁力制御部264は、排気ガスに含まれるNOxおよびO
2が直進領域SRに誘導されるように、磁力発生器230a、230bを制御する。
【0055】
NOx(例えば、NO(一酸化窒素)、NO2(二酸化窒素))、および、O2は、常磁性を有する。このため、磁力発生器230a、230bから磁力が発生されると、NOxおよびO2は、磁力発生器230a、230bから発生された磁力に引き寄せられる。
【0056】
図8に示す例において、磁力制御部264は、磁力発生器230a、230bに電力を供給し、磁力発生器230aから磁力発生器230bへ向かって磁力線が形成されるように、磁力発生器230a、230bを制御する。そうすると、第1排気流路132aを流れる排気ガスに含まれるNOxおよびO
2は、磁力発生器230b側に引き寄せられる。これにより、排気ガスに含まれるNOxおよびO
2を、磁力発生器230b側、つまり、直進領域SRに誘導することができる。
【0057】
また、
図9に示すように、推定部260は、中温中速状態である場合、NOx吸蔵還元触媒220の全領域が適温領域TRであると推定する。中温中速状態である場合、磁力制御部264は、磁力発生器230aおよび磁力発生器230bへの電力の供給を停止する。この場合、磁力発生器230aおよび磁力発生器230bから磁力は発生されない。したがって、排気ガスに含まれるNOxおよびO
2は、磁力発生器230a側へも磁力発生器230b側へも引き寄せられることなく、排気ガスの流れに伴って、NOx吸蔵還元触媒220の全領域に供給される。
【0058】
また、
図10に示すように、推定部260は、高温高速状態である場合、周辺領域PRが適温領域TRであると推定する。したがって、高温高速状態である場合、磁力制御部264は、排気ガスに含まれるNOxおよびO
2が周辺領域PRに誘導されるように、磁力発生器230a、230bを制御する。
【0059】
図10に示す例において、磁力制御部264は、磁力発生器230a、230bに電力を供給し、磁力発生器230bから磁力発生器230aへ向かって磁力線が形成されるように、磁力発生器230a、230bを制御する。そうすると、第1排気流路132aを流れる排気ガスに含まれるNOxおよびO
2は、磁力発生器230a側に引き寄せられる。これにより、排気ガスに含まれるNOxおよびO
2を、磁力発生器230a側、つまり、周辺領域PRに誘導することができる。
【0060】
[排気ガス浄化方法]
図11は、本発明の実施形態に係る排気ガス浄化方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
図11に示すように、排気ガス浄化方法は、適温領域判定工程S110と、全領域判定工程S120と、磁力発生工程S130と、リーン燃焼工程S140とを含む。以下、各工程について詳述する。
【0062】
[適温領域判定工程S110]
推定部260は、NOx吸蔵還元触媒220において、適温領域TRがあるか否かを判定する。その結果、適温領域TRがあると判定した場合(S110におけるYES)、推定部260は、全領域判定工程S120に処理を移す。一方、適温領域TRがないと判定した場合(S110におけるNO)、推定部260は、当該排気ガス浄化方法を終了する。
【0063】
[全領域判定工程S120]
推定部260は、適温領域TRがNOx吸蔵還元触媒220の全領域であるか否かを判定する。その結果、適温領域TRがNOx吸蔵還元触媒220の全領域であると判定した場合(S120におけるYES)、推定部260は、リーン燃焼工程S140に処理を移す。一方、適温領域TRがNOx吸蔵還元触媒220の全領域ではない、つまり、NOx吸蔵還元触媒220の一部の領域が適温領域TRであると判定した場合(S120におけるNO)、推定部260は、磁力発生工程S130に処理を移す。
【0064】
[磁力発生工程S130]
磁力制御部264は、排気ガスに含まれるNOxおよびO2が適温領域TRに誘導されるように磁力発生器230aおよび磁力発生器230bに電力を供給する。そして、磁力制御部264は、リーン燃焼工程S140に処理を移す。
【0065】
[リーン燃焼工程S140]
空燃比制御部262は、運転モードをリーン燃焼モードに設定する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る排気ガス浄化装置150は、第1排気流路132aと、第1排気流路132aよりも大きい流路断面積を有する第2排気流路132cとを備える。これにより、排気ガスの状態が低温低速状態である場合、および、高温高速状態である場合に、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布の偏りを大きくすることができる。つまり、本実施形態に係る排気ガス浄化装置150は、低温低速状態である場合、および、高温高速状態である場合に、NOx吸蔵還元触媒220における少なくとも一部の領域を適温領域TRとすることが可能となる。
【0067】
また、本実施形態に係る排気ガス浄化装置150は、第1排気流路132aに設けられた磁力発生器230a、230b、および、磁力発生器230a、230bを制御する磁力制御部264を備える。そして、磁力制御部264は、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布に基づいて、磁力発生器230a、230bを制御する。
【0068】
磁力制御部264は、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布の偏りが大きい場合、つまり、NOx吸蔵還元触媒220の一部の領域が適温領域TRである低温低速状態または高温高速状態である場合、排気ガスに含まれるNOxおよびO2が、NOx吸蔵還元触媒220における適温領域TRに誘導されるように磁力発生器230aおよび磁力発生器230bに電力を供給する。
【0069】
したがって、排気ガス浄化装置150は、NOx吸蔵還元触媒220の全領域が適温領域TRとなっている場合のみならず、NOx吸蔵還元触媒220の一部の領域が適温領域TRとなっている場合にも、磁力制御部264によって、排気ガスに含まれるNOxおよびO2を適温領域TRに誘導することができる。これにより、NOx吸蔵還元触媒220の全領域が適温領域TRになっている場合に加えて、NOx吸蔵還元触媒220の一部の領域が適温領域TRとなっている場合にも、NOx吸蔵還元触媒220によって排気ガスに含まれるNOxを吸蔵させることが可能となる。
【0070】
このため、NOx吸蔵還元触媒220の全領域が適温領域TRになっている期間(中温中速状態の期間)に加えて、NOx吸蔵還元触媒220の一部の領域が適温領域TRとなっている期間(低温低速状態の期間、および、高温高速状態の期間)もリーン燃焼を行うことができる。これにより、リーン燃焼を行う期間を延長することができ、燃費を向上することが可能となる。
【0071】
また、磁力制御部264は、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布の偏りがほとんどない場合、つまり、NOx吸蔵還元触媒220の全領域が適温領域TRである中温中速状態である場合、磁力発生器230aおよび磁力発生器230bへの電力の供給を停止する。これにより、リーン燃焼中であっても、磁力発生器230a、230bへ不要に電力が供給されてしまう事態を回避することができる。
【0072】
また、上記のように、第1排気流路132aの中心軸CA1とNOx吸蔵還元触媒220の中心軸CA2とはずれている。これにより、直進領域SRと周辺領域PRとを、排気ガスの流れ方向と交差する一方向に並列させることができる。つまり、周辺領域PRを一方向に偏らせることができる。したがって、1組の磁力発生器230a、230bにより、周辺領域PR全体に、NOxおよびO2を誘導することが可能となる。また、1組の磁力発生器230a、230bにより、直進領域SRに、NOxおよびO2を誘導することが可能となる。
【0073】
[変形例]
上記実施形態において、第1排気流路132aの中心軸CA1とNOx吸蔵還元触媒220の中心軸CA2とがずれている場合について説明した。しかし、第1排気流路132aの中心軸CA1とNOx吸蔵還元触媒220の中心軸CA2とは同軸であってもよい。
【0074】
図12は、変形例に係る第1排気流路132a、第2排気流路132c、NOx吸蔵還元触媒220、および、磁力発生器230a~230dを説明する図である。
図13は、
図12のXIII-XIII線断面図である。
【0075】
図12に示すように、第1排気流路132aの中心軸CA1とNOx吸蔵還元触媒220の中心軸CA2とが同軸である場合、周辺領域PRは、直進領域SRの外周を囲むように形成される。
【0076】
上記実施形態と同様に、変形例においても、低温低速状態である場合、直進領域SRが適温領域TRとなる。また、中温中速状態である場合、NOx吸蔵還元触媒220の全領域が適温領域TRとなる。高温高速状態である場合、周辺領域PRが適温領域TRとなる。
【0077】
また、
図13に示すように、変形例では、磁力発生器230a~230dが設けられる。上記実施形態と同様に、磁力発生器230aは、第1排気流路132aを挟んで磁力発生器230bに対向する。また、変形例において、磁力発生器230cは、第1排気流路132aを挟んで磁力発生器230dに対向する。磁力発生器230cおよび磁力発生器230dは、第1排気流路132aの中心軸CA1を回転軸として、磁力発生器230aおよび磁力発生器230bを90度回転させた位置に設けられる。
【0078】
変形例において、磁力制御部264は、低温低速状態および高温高速状態である場合、磁力発生器230aおよび磁力発生器230b、または、磁力発生器230cおよび磁力発生器230dに電力を供給する。
【0079】
例えば、磁力制御部264が、磁力発生器230a、230bに電力を供給し、磁力発生器230bから磁力発生器230aに向かって磁力線が形成されるように、磁力発生器230a、230bを制御する。そうすると、NOx吸蔵還元触媒220の周辺領域PRのうち、磁力発生器230aに対応する領域(
図12、
図13中、周辺領域PRのうちの直進領域SRの上側の領域)にNOxおよびO
2を誘導することができる。
【0080】
同様に、磁力制御部264が、磁力発生器230a、230bに電力を供給し、磁力発生器230aから磁力発生器230bに向かって磁力線が形成されるように、磁力発生器230a、230bを制御する。そうすると、NOx吸蔵還元触媒220の周辺領域PRのうち、磁力発生器230bに対応する領域(
図12、
図13中、周辺領域PRのうちの直進領域SRの下側の領域)にNOxおよびO
2を誘導することができる。
【0081】
また、磁力制御部264が、磁力発生器230c、230dに電力を供給し、磁力発生器230dから磁力発生器230cに向かって磁力線が形成されるように、磁力発生器230c、230dを制御する。そうすると、NOx吸蔵還元触媒220の周辺領域PRのうち、磁力発生器230cに対応する領域(
図12中、周辺領域PRのうちの直進領域SRよりも紙面奥側の領域、
図13中、周辺領域PRのうちの直進領域SRの左側の領域)にNOxおよびO
2を誘導することができる。
【0082】
同様に、磁力制御部264が、磁力発生器230c、230dに電力を供給し、磁力発生器230cから磁力発生器230dに向かって磁力線が形成されるように、磁力発生器230c、230dを制御する。そうすると、NOx吸蔵還元触媒220の周辺領域PRのうち、磁力発生器230dに対応する領域(
図12中、周辺領域PRのうちの直進領域SRよりも紙面手前側の領域、
図13中、周辺領域PRのうちの直進領域SRの右側の領域)にNOxおよびO
2を誘導することができる。
【0083】
変形例に係る磁力制御部264は、磁力発生器230aから磁力発生器230bに向かって磁力線が形成される制御、磁力発生器230bから磁力発生器230aに向かって磁力線が形成される制御、磁力発生器230cから磁力発生器230dに向かって磁力線が形成される制御、および、磁力発生器230dから磁力発生器230cに向かって磁力線が形成される制御を満遍なく行うことが好ましい。これにより、磁力制御部264は、NOx吸蔵還元触媒220における周辺領域PRに偏りなくNOxを吸蔵させることができる。
【0084】
以上説明したように、第1排気流路132aの中心軸CA1とNOx吸蔵還元触媒220の中心軸CA2とが同軸であっても、第2排気流路132cが第1排気流路132aよりも大きい流路断面積を有しているため、排気ガスの状態が低温低速状態である場合、および、高温高速状態である場合に、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布の偏りを大きくすることができる。つまり、変形例に係る排気ガス浄化装置150であっても、低温低速状態である場合、および、高温高速状態である場合に、NOx吸蔵還元触媒220における少なくとも一部の領域を適温領域TRとすることが可能となる。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0086】
また、上記実施形態において、磁力発生器230a、230bが、第1排気流路132a、および、第1排気流路132aと第2排気流路132cとを接続する排気流路132bに設けられる構成について説明した。しかし、磁力発生器230a、230bは、少なくとも第1排気流路132aに設けられていればよい。これにより、磁力発生器230a、230bは、排気ガスに含まれるNOxおよびO2を、NOx吸蔵還元触媒220における適温領域TRに効率よく誘導することができる。
【0087】
また、上記実施形態において、推定部260が、第1排気流路132aを流れる排気ガスの温度、および、第1排気流路132aを流れる排気ガスの流速に基づいて、適温領域TRを推定する構成について説明した。しかし、推定部260は、他の構成で適温領域TRを推定してもよい。例えば、エンジン負荷と、NOx吸蔵還元触媒220の温度分布とが関連付けられたマップをメモリ254に予め記憶させておき、推定部260は、エンジン負荷に基づき、当該マップを参照して、適温領域TRを推定してもよい。
【0088】
また、上記実施形態において、空燃比制御部262が、ストイキモード、リーン燃焼モード、または、リッチ燃焼モードに運転モードを設定する場合を例に挙げた。しかし、空燃比制御部262は、リーン燃焼モード、または、リッチ燃焼モードに運転モードを設定してもよい。
【符号の説明】
【0089】
PR 周辺領域(第2領域)
SR 直進領域(第1領域)
110 エンジン
120 吸気管
132a 第1排気流路
132c 第2排気流路
150 排気ガス浄化装置
220 NOx吸蔵還元触媒
230a 磁力発生器
230b 磁力発生器
230c 磁力発生器
230d 磁力発生器
250 制御装置
252 プロセッサ
254 メモリ