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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108331
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】オイルストレーナユニット装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/03 20060101AFI20240805BHJP
   F01M 11/12 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
F01M11/03 G
F01M11/03 H
F01M11/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012640
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】597146721
【氏名又は名称】ヤマセ電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516114787
【氏名又は名称】株式会社日本アレフ
(71)【出願人】
【識別番号】591074736
【氏名又は名称】宮城県
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 信二
(72)【発明者】
【氏名】萩山 昌哉
(72)【発明者】
【氏名】水田 謙
(72)【発明者】
【氏名】山岸 和弘
(72)【発明者】
【氏名】萱場 文彦
(72)【発明者】
【氏名】川村 洋一
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015BH00
3G015BH04
3G015BL06
3G015BL07
3G015CA01
3G015DA04
3G015DA06
3G015EA11
3G015FC05
3G015FC11
(57)【要約】
【課題】オイルストレーナとそれに接続する関連部品を一体化構成としたオイルストレーナユニット装置を提供する。
【解決手段】車両のエンジンブロックの下部に設けられるオイルパンに貯留されるオイルを濾過するためのオイルストレーナユニット装置は、オイルパン内のオイルの量を含む所定の物理量を検出するオイルセンサと、オイルを濾過するフィルタと当該フィルタを収容するケーシングとを有し、ケーシングの一端側でオイルセンサと連結し、オイルセンサの信号端子と電気的に接続する配線構造体がケーシング内にその内面に沿ってケーシングの他端側に延びて設けられるオイルストレーナと、配線構造体と電気的に接続する接続端子を有し、ケーシングの他端側でオイルストレーナと連結する外部接続用コネクタとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンブロックの下部に設けられるオイルパンに貯留されるオイルを濾過するためのオイルストレーナユニット装置であって、
前記オイルパン内のオイルの量を含む所定の物理量を検出するオイルセンサと、
オイルを濾過するフィルタと当該フィルタを収容するケーシングとを有し、前記ケーシングの一端側で前記オイルセンサと連結し、前記オイルセンサの信号端子と電気的に接続する配線構造体が前記ケーシング内にその内面に沿って前記ケーシングの他端側に延びて設けられるオイルストレーナと、
前記配線構造体と電気的に接続する接続端子を有し、前記ケーシングの他端側で前記オイルストレーナと連結する外部接続用コネクタとを備えることを特徴とするオイルストレーナユニット装置。
【請求項2】
前記配線構造体は、線状の金属配線パターンであり、
前記ケーシングは、樹脂材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載のオイルストレーナユニット装置。
【請求項3】
前記金属配線パターンは、前記ケーシングの一端側で前記オイルセンサの前記信号端子と電気的に接続する部位を含む第1の長さ部分と、前記ケーシングの他端側で前記外部接続用コネクタの前記接続端子と接続する部位を含む第2の長さ部分と、前記第1の長さ部分と前記第2の長さ部分との間にわたって延びる第3の長さ部分とにより構成され、
前記第1の長さ部分及び前記第2の長さ部分は、前記ケーシングの熱膨張による変形の範囲内で剥離せずに前記ケーシングの内面に接合されることを特徴とする請求項2に記載のオイルストレーナユニット装置。
【請求項4】
前記第3の長さ部分は、前記第1の長さ部分及び前記第2の長さ部分より弱い接合強度でケーシングの内面に接合されることを特徴とする請求項3に記載のオイルストレーナユニット装置。
【請求項5】
前記ケーシングはその内面側に突出する凸部が設けられ、
前記第3の長さ部分は、前記凸部に沿って前記凸部を越えるように配置されることを特徴とする請求項4に記載のオイルストレーナユニット装置。
【請求項6】
前記オイルストレーナには、前記エンジンブロックのオイル通路と連通する孔部が設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のオイルストレーナユニット装置。
【請求項7】
前記エンジンブロックに形成された貫通孔の内周面に設けられるオイル通路の口部と前記オイルストレーナの前記孔部が連通するように、前記オイルストレーナは前記貫通孔に挿入されて配置されることを特徴とする請求項6に記載のオイルストレーナユニット装置。
【請求項8】
前記ケーシングの一端側に、前記オイルセンサを支持する支持部材が前記ケーシングと一体的に成形され、前記ケーシングと横方向に並列に設けられることを特徴とする請求項1に記載のオイルストレーナユニット装置。
【請求項9】
前記配線構造体は、インサート成形により前記ケーシングの内面に形成されることを特徴とする請求項2に記載のオイルストレーナユニット装置。
【請求項10】
前記オイルセンサは、オイルパン内のオイルの量を線形的に検出するリニア型レベルセンサであることを特徴とする請求項1に記載のオイルストレーナユニット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルストレーナとそれに接続する関連部品を一体化構成としたオイルストレーナユニット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エンジンブロックの下部に装着されたオイルパンにオイルを貯留するオイル貯留装置について開示する。特許文献1のオイル貯留装置は、その図1に示されるように、オイルパン内において、エンジンブロックの下部から下方に延長され接地電位が与えられたブラケットに締結手段によって締結されるオイルストレーナと、オイルの液面レベルを検出するオイルレベルセンサを備えた構成であり、オイルレベルセンサは、検出結果を表す信号をオイルパン外から導かれた信号線を介してオイルパンの外部に送信するセンサ素子と、そのセンサ素子に接地電位を与えセンサ素子と一体化された接地端子とを有する。そして、オイルストレーナと接地端子とが、ブラケットに対して下方から重ねられた状態でブラケットに、接地端子に接触した締結手段で共締めされている構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-246887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるオイル貯留装置は、プラスマイナスのうち一方の電極のみを信号線で供給可能であり、オイルストレーナとオイルレベルセンサの取付け工数の削減を図るものであるものの、エンジンブロックから延長された鉄製のブラケットにオイルレベルセンサとオイルストレーナをそれぞれ締結手段により取り付ける必要があり、組み付けのための部品数や工数を大きく削減することには至らず、比較的複雑な構成となっている。
【0005】
また、オイルレベルセンサからの信号線は、オイルパン内を露出した状態で配線され、信号線を外部接続するためのコネクタ(特許文献1には図示されず)にも露出した状態で接続することになり、配線工程にも工数を要する。
【0006】
本願発明者は、オイルストレーナ及びそれに付随するオイルレベルセンサやコネクタなどの関連部品の一体化構成に関する研究・開発を鋭意進め、今般、より小型化、軽量化、低コスト化が可能となる改良されたオイルストレーナユニット装置を開発するに至った。
【0007】
したがって、本発明の目的は、オイルストレーナとそれに接続する関連部品を一体化構成としたオイルストレーナユニット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明のオイルストレーナユニット装置は、車両のエンジンブロックの下部に設けられるオイルパンに貯留されるオイルを濾過するためのオイルストレーナユニット装置であって、前記オイルパン内のオイルの量を含む所定の物理量を検出するオイルセンサと、オイルを濾過するフィルタと当該フィルタを収容するケーシングとを有し、前記ケーシングの一端側で前記オイルセンサと連結し、前記オイルセンサの信号端子と電気的に接続する配線構造体が前記ケーシング内にその内面に沿って前記ケーシングの他端側に延びて設けられるオイルストレーナと、前記配線構造体と電気的に接続する接続端子を有し、前記ケーシングの他端側で前記オイルストレーナと連結する外部接続用コネクタとを備えることを特徴とする。
【0009】
上記発明において、好ましい態様は、前記配線構造体は、線状の金属配線パターンであり、前記ケーシングは、樹脂材料で形成されることを特徴とする。
【0010】
上記発明において、好ましい態様は、前記金属配線パターンは、前記ケーシングの一端側で前記オイルセンサの前記信号端子と電気的に接続する部位を含む第1の長さ部分と、前記ケーシングの他端側で前記外部接続用コネクタの前記接続端子と接続する部位を含む第2の長さ部分と、前記第1の長さ部分と前記第2の長さ部分との間にわたって延びる第3の長さ部分とにより構成され、前記第1の長さ部分及び前記第2の長さ部分は、前記ケーシングの熱膨張による変形の範囲内で剥離せずに前記ケーシングの内面に接合されることを特徴とする。
【0011】
上記発明において、好ましい態様は、前記第3の長さ部分は、前記第1の長さ部分L1と前記第2の長さ部分L2より弱い接合強度でケーシングの内面に接合されることを特徴とする。
【0012】
上記発明において、好ましい態様は、前記ケーシングはその内面側に突出する凸部が設けられ、前記第3の長さ部分は、前記凸部に沿って前記凸部を越えるように配置されることを特徴とする。
【0013】
上記発明において、好ましい態様は、前記オイルストレーナには、前記エンジンブロックのオイル通路と連通する孔部が設けられることを特徴とする。
【0014】
上記発明において、好ましい態様は、前記エンジンブロックに形成された貫通孔の内周面に設けられるオイル通路の口部と前記オイルストレーナの前記孔部が連通するように、前記オイルストレーナは前記貫通孔に挿入されて配置されることを特徴とする。
【0015】
上記発明において、好ましい態様は、前記ケーシングの一端側に、前記オイルセンサを支持する支持部材が前記ケーシングと一体的に成形され、前記ケーシングと横方向に並列に設けられることを特徴とする。
【0016】
上記発明において、好ましい態様は、前記配線構造体は、インサート成形により前記ケーシングの内面に形成されることを特徴とする。
【0017】
上記発明において、好ましい態様は、前記オイルセンサは、オイルパン内のオイルの量を線形的に検出するリニア型レベルセンサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、オイルストレーナとそれに接続する関連部品を一体化構成としたオイルストレーナユニット装置が提供される。一体化構成とすることで、オイルパン内に露出する信号線がなくなり、組み付け部品点数が減少することで組付け作業が効率化し、信頼性も向上する。本発明のオイルストレーナユニット装置を採用することにより、車両のエンジンの小型化、軽量化、コスト低減に寄与する。
【0019】
また、リニア型レベルセンサにてオイル量を検出することにより、オイルレベルゲージを削除とすることが可能となりエンジン設計の自由度向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態におけるオイルストレーナユニット装置の構成例を示す外観斜視図である。
図2】本発明の実施の形態におけるオイルストレーナユニット装置の構成例を示す上面図及び断面図である。
図3】オイルストレーナ10の構成例を示す外観斜視図及び分解斜視図である。
図4】オイルストレーナとオイルセンサの電気的接続部分の詳細を示す図である。
図5】プレスフィットコネクタの構成例を示す図である。
図6】オイルストレーナとオイルセンサの接続手順を示す図である。
図7】オイルストレーナ10の配線構造体13と外部接続用コネクタ30との電気的接続部分の詳細を示す図である。
図8】配線構造体13を構成する1本の金属配線パターンの長さ部分を説明する図である。
図9】オイルセンサ20の構成例を示す外観斜視図及び断面図である。
図10】オイルストレーナユニット装置の配置を示す上面図及び断面図である。
図11】オイルストレーナユニット装置の配置を透視的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の実施の形態について、具体的な図に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態におけるオイルストレーナユニット装置の構成例を示す外観斜視図であり、図2は、その上面図(図2(a))及び断面図(図2(b))である。オイルストレーナユニット装置1は、車両のエンジンブロックの下部に設けられるオイルパンに貯留されるオイルを濾過するためのオイルストレーナとそれに接続する関連部品を露出する配線なしに一体化構成とした装置である。具体的には、オイルストレーナ10、オイルセンサ20及び外部接続用コネクタ30を有して構成され、オイルストレーナ10の一端側にオイルセンサ20が連結され、オイルストレーナ10の他端側に外部接続用コネクタ30が連結されている。
【0023】
図3は、オイルストレーナ10の構成例を示す外観斜視図(図3(a))及び分解斜視図(図3(b))である。図3に示すオイルストレーナ10は、外部接続用コネクタ30が連結されている。図1乃至図3を参照して、オイルストレーナ10は、オイルを濾過するフィルタ11と、当該フィルタを収容する上部ケーシング12a及び下部ケーシング12b(両者を一つのケーシング12と称する)を有し且つそのケーシング12の一端側でオイルセンサ20と連結してオイルセンサ20の信号端子と電気的に接続する配線構造体13がケーシング12内にその内面(底面)に沿ってケーシング12の他端側に延びて設けられる。
【0024】
ケーシング12は樹脂材料で形成され、例えば、PA6(ナイロン6)/GF30(ガラス繊維30%)で形成される。線状に延びる金属配線パターンである配線構造体13が、インサート成形によりケーシング12の内面に接合して形成される。図示では、配線構造体13は3本の例が示されるが、少なくとも1本であればよく、オイルセンサ20との電気的接続に必要な本数が設けられる。
【0025】
ケーシング12、特に下部ケーシング12bの一端側には、オイルセンサ20を支持する支持部材14が一体成形により取り付けられている。支持部材14は、ケーシング12と横方向に並んで並列に設けられ、これにより、オイルセンサ20が支持部材14に装着された状態において、オイルストレーナ10とオイルセンサ20とが上下に重ならず、上下方向に比較的長いオイルセンサ20をオイルパン内に配置することが容易となり、オイルパン内のオイルの液面変化を広い範囲で検出することができる。
【0026】
支持部材14は、オイルセンサ20が挿入される孔部(貫通孔)14aを有し、さらに、その孔部14aと同心に配置される孔部15aを有するアルミフレームによるフランジ部材15に取り付けられる。オイルセンサ20は、同心に重なっている支持部材14の孔部14aとフランジ部材15の孔部15aに挿入され、フランジ部材15をエンジンブロックにボルト締めにより取り付けることで、オイルセンサ20(及びオイルセンサ20を含んで一体的に構成されているオイルストレーナユニット装置1)はエンジンブロックに固定される。
【0027】
配線構造体13は、オイルストレーナ10の下部ケーシング12bの内面に沿って、オイルストレーナ10の一端側から他端側にわたって延びる金属配線パターンであり、インサート成形により下部ケーシング12bの内面に接合して設けられる。
【0028】
下部ケーシング12bの一端側部位及びそこに接合している配線構造体13の一端領域13aには、オイルセンサ20の信号端子を備えたセンサ用コネクタ21と接続する端子取付部が形成される。配線構造体13の一端領域13aの端子取付部は、例えばスルーホールであり、いわゆるプレスフィットによりオイルセンサ20の信号端子が圧入されて、オイルセンサ20の信号端子は配線構造体13と電気的に接続する。
【0029】
図4はオイルストレーナ10とオイルセンサ20の電気的接続部分の詳細を示す図であり、図5はオイルセンサ20のセンサ用コネクタ(プレスフィットコネクタ)の構成例を示す斜視図(図5(a))及び正面図(図5(b))、図6はオイルストレーナ10とオイルセンサ20の接続手順を示す図である。
【0030】
オイルセンサ20の信号端子は、図5に示されるセンサ用コネクタ21の信号端子21aであり、センサ用コネクタ21は、オイルセンサ20の構成要素の一つであり、配線構造体13の一端領域13aの端子取付部に圧入される信号端子21aと、オイルセンサ20内部の配線(図示せず)と接続する信号端子21bを有してプレスフィットコネクタである。センサ用コネクタ21の信号端子21a、21bは、それぞれ下部ケーシング12bの配線構造体13の本数と同数であり、対となっている各信号端子間は導通接続している。オイルセンサ20は、露出した線材による配線によらず、センサ用コネクタ21によりオイルストレーナ10と直接連結する。
【0031】
図6には、センサ用コネクタ21の信号端子21aを配線構造体13の一端領域13aに設けられた端子取付部(スルーホール)に圧入して取り付ける工程が示される。センサ用コネクタ21の信号端子21aと配線構造体13の一端領域13aの端子取付部の位置をあわせて、オイルセンサ20を支持部材14の孔部14aに挿入して取り付けることにより、センサ用コネクタ21の信号端子21aと配線構造体13の一端領域13aが接続する。図4には、信号端子21aが配線構造体13の一端領域13aの端子取付部に圧入されて、オイルストレーナ10とオイルセンサ20とが連結されている状態が示される。
【0032】
下部ケーシング12bの他端側においては、配線構造体13の他端が外部接続用コネクタ30と接続する。
【0033】
図7は、オイルストレーナ10の配線構造体13と外部接続用コネクタ30との電気的接続部分の詳細を示す図である。外部接続用コネクタ30は、配線構造体13と電気的に接続する接続端子31を有し、ケーシング12の他端側でオイルストレーナ10と連結する。配線構造体13の他端領域13bには、外部接続用コネクタ30の接続ピン31と接触する接触部が形成される。配線構造体13の他端領域13bの接触部は、例えばメス型端子であり、外部接続用コネクタ30の接続ピン31と接触して電気的に接続する。外部接続用コネクタ30の接続ピン31は、配線構造体13の本数に合わせて、本例では3ピン構造であるが、配線構造体13の本数及びそのサイズや形状は外部との接続形態に応じて、適宜設計される。
【0034】
図8は、配線構造体13を構成する1本の金属配線パターンの長さ部分を説明する図である。配線構造体13の各金属配線パターンは、上記一端領域13aを含む第1の長さ部分L1、上記他端領域13bを含む第2の長さ部分L2と、この第1の長さ部分と第2の長さ部分との間にわたって延びる第3の長さ部分L3とにより構成される。金属配線パターンの両端側の部位である第1の長さ部分L1と第2の長さ部分L2は、ケーシング12の熱膨張による変形の範囲内で剥離せずにケーシング12に接合される。
【0035】
樹脂材料であるケーシング12と配線構造体13の金属配線パターンの熱膨張係数が異なるため、オイルパン内のオイルの温度変化に応じて、その変形量が異なる。例えば、オイル温度の上昇に対して、樹脂材料であるケーシング12の変形量の方が、金属である配線構造体13の変形量より大きいため、インサート成形による接合では、オイル温度が上昇すると、その変形量の相違によって、配線構造体13がケーシング12から剥離したり、オイルストレーナ10の両端での端子接続位置の相対的なズレが生じ、オイルセンサ20及び外部接続用コネクタ30と接続不良を起こす可能性がある。
【0036】
そのため、配線構造体13の両端領域、オイルセンサ20の信号端子21と接触する領域を含む第1の長さ部分L1と、外部接続用コネクタ30の接続ピン31と接触する領域を含む第2の長さ部分L2は、オイル温度の変化に応じた膨張収縮変形によっても、ケーシング12と配線構造体13とが剥離せずに接合状態が維持される加工処理が施されて、ケーシング12に固定される。その加工処理として、例えば、配線構造体13の第1の長さ部分L1と第2の長さ部分L2の表面を互いにクロスする2つの走査方向にレーザスキャニング加工するレーザ加工方法を採用することができる。当該レーザ加工方法は、詳細には、特許第4020957号に開示されており、「レザリッジ」(登録商標)又は「Laseridge」(登録商標)と呼ばれる金属と異種材料の直接接合技術として知られている。当該技術を用いることで、金属配線パターンの両端側の部位である第1の長さ部分L1と第2の長さ部分L2は、オイルの温度変化によるケーシング12の熱膨張による変形の範囲内で剥離せずにケーシング12に強固に接合され、固定される。これにより、端子接続位置のズレが防止され、安定的な接続が可能となる。ケーシング12と配線構造体13の接合技術については、上記加工方法に限られず、他の加工方法が採用されてもよい。
【0037】
配線構造体13の第3の長さ部分L3は、上記加工処理は施されず、第1の長さ部分L1及び第2の長さ部分L2より弱い接合強度でケーシング12の内面に接合する(逆に言えば、第1の長さ部分L1と第2の長さ部分L2は、第3の長さ部分L3より強い接合強度でケーシング12の内面に接合する)。ケーシング12には、その内面側に突出する凸部12cが配線構造体13を横切る方向に設けられ、第3の長さ部分L3は、その凸部12cに沿って凸部12cを乗り越えるように配置される。すなわち、第3の長さ部分L3もケーシング12の凸部12cに沿った凸部13cが設けられる。
【0038】
配線構造体13の凸部13cは、ケーシング12と配線構造体13の膨張収縮変形量の相違に応じて、ケーシング12の凸部12cから剥離及び復元するように伸縮することで、ケーシング12と配線構造体13の変形量の相違を吸収する。当該構造により、第1の長さ部分L1と第2の長さ部分L2の位置を固定したまま、熱膨張による変形に追従可能となる。
【0039】
図9は、オイルセンサ20の構成例を示す外観斜視図(図9(a))及び断面図(図9(b))である。オイルセンサ20は、オイルパン内のオイルの量を線形的に(リニアに)検出するセンサであり、例えば、オイルパン内のオイルの液面の上下動に応じた信号を出力するリニア型レベルセンサである。オイルセンサ20は、垂直方向に延びる軸体22に対して磁石を有するフロート23がオイルの液面高さに応じて上下に摺動可能に配置され、磁気センサ24が、そのフロート23の高さに応じた電圧信号を出力する。磁気センサ24の出力信号は、上述のセンサ用コネクタ21を介して配線構造体13に出力される。配線構造体13の3本の金属配線パターンは、オイルセンサ20がリニア型レベルセンサである場合、磁気センサ23の出力信号線、接地線、及びオイルセンサ20への給電線である。リニア型レベルセンサにてオイル量を検出することにより、いままで必須構成部品であったオイルレベルゲージを不要とし、それを削除とすることが可能となりエンジン設計の自由度が向上する。
【0040】
オイルセンサ20は、オイル量を連続的、線形的に検出できるリニア型レベルセンサを用いることが好ましいが、オイルの液面高さが所定の閾値以上又は閾値未満かどうかをON/OFF出力するレベルスイッチを用いることもできる。また、オイルセンサ20は、オイル量に加えて、例えば、オイル温度などオイルの物性や状態を測定するセンサであってもよい。
【0041】
図10は、オイルストレーナユニット装置の配置例を示す上面図(図10(a))及び断面図(図10(b))であり、図11は、その配置例を異なる角度から示す斜視図である。オイルストレーナユニット装置1は、そのオイルストレーナ10の部分がエンジンブロック50に形成された貫通孔51(図10(b))に挿入されて配置され、エンジンブロック50に固定される。なお、図11では、オイルストレーナユニット装置1の配置を示すために、オイルストレーナユニット装置1を横切る部分のエンジンブロック50の図示が省略される。
【0042】
オイルストレーナ10に連結している外部接続用コネクタ30は、貫通孔51から突出するように位置決めされる。当該貫通孔51に挿入され嵌合されているオイルストレーナ10の対応部分には、例えばOリングなどの止水手段16、17が取り付けられ、挿入組み付け作業のみで水密性が確保される。
【0043】
また、エンジンブロックに形成された貫通孔51の内周面には、オイル通路の口部52が形成されている。オイルストレーナ10の貫通孔51に挿入され嵌合されている部分には、挿入状態においてオイル通路の口部52に対応する位置に、オイル通路の口部52と連通する孔部16が設けられ、オイルはこの孔部16を通って口部52からエンジンブロックに流れる。
【0044】
上述した本発明のオイルストレーナユニット装置は、オイルストレーナとそれに接続する関連部品を一体化構成とすることで、オイルパン内に露出する信号線がなくなり、組み付け部品点数が減少することで組付け作業が効率化し、信頼性も向上する。そして、本発明のオイルストレーナユニット装置を採用することにより、車両のエンジンの小型化、軽量化、コスト低減に寄与する。
【0045】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1:オイルストレーナユニット装置、10:オイルストレーナ、11:フィルタ、12:ケーシング、12a:上部ケーシング、12b:下部ケーシング、12c:凸部、13:配線構造体、13a:一端領域、13b:他端領域、13c:凸部、14:支持部材、15:フランジ部材、16:孔部、17:Oリング、18:Oリング、20:オイルセンサ、21:センサ用コネクタ、21a:信号端子、22:軸体、23:フロート、24:磁気センサ、30:外部接続用コネクタ、31:接続端子、50:エンジンブロック、51:孔部、52:口部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11