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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108351
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】包装容器及び展開体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/36 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B65D5/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012664
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小長谷 友季子
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB17
3E060BA03
3E060DA01
(57)【要約】
【課題】 被包装物を包装容器内で安定させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
包装容器は、起立状態では、側壁が底板に対して立ち上げられて、底板を囲み、第1当接片がフラップの第1側板側の端縁に当接し、第2当接片がフラップの第2側板側の端縁に当接し、折畳状態では、第1側板と第1当接片及び第2側板と第2当接片が底板に重なる方向に底板に対して折り曲げられ、第3側板とフラップ及び第4側板のそれぞれが底板と反対側から第1側板及び第2側板に重なるように底板に対して折り曲げられていてもよい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳状態と起立状態との間で変形可能な包装容器であって、
底板と、
前記底板に連結されており、前記底板を囲む側壁であって、第1側板と、前記第1側板に対して前記底板を挟んで配置される第2側板と、前記第1側板と前記第2側板との間に配置される第3側板と、前記第3側板に対して前記底板を挟んで配置される第4側板と、を備える前記側壁と、
互いに隣り合う前記第1側板と前記第3側板とを連結する第1連結片と、
互いに隣り合う前記第1側板と前記第4側板とを連結する第2連結片と、
互いに隣り合う前記第2側板と前記第3側板とを連結する第3連結片と、
互いに隣り合う前記第2側板と前記第4側板とを連結する第4連結片と、
前記第3側板の前記底板と反対側の端縁に連結されているフラップと、
前記第1側板の前記底板と反対側の端縁に連結されている第1当接片と、
前記第2側板の前記底板と反対側の端縁に連結されている第2当接片と、を備え、
前記第1連結片は、前記第1側板の端縁から前記第1側板の外側面に沿って延びており、中間位置において折り返されて、前記第3側板の端縁に連結され、
前記第2連結片は、前記第1側板の端縁から前記第1側板の外側面に沿って延びており、中間位置において折り返されて、前記第4側板の端縁に連結され、
前記第3連結片は、前記第2側板の端縁から前記第2側板の外側面に沿って延びており、中間位置において折り返されて、前記第3側板の端縁に連結され、
前記第4連結片は、前記第2側板の端縁から前記第2側板の外側面に沿って延びており、中間位置において折り返されて、前記第4側板の端縁に連結され、
前記起立状態では、前記側壁が前記底板に対して立ち上げられて、前記底板を囲み、前記第1当接片が前記フラップの前記第1側板側の端縁に当接し、前記第2当接片が前記フラップの前記第2側板側の端縁に当接し、
前記折畳状態では、前記第1側板と前記第1当接片及び前記第2側板と前記第2当接片が前記底板に重なる方向に前記底板に対して折り曲げられ、前記第3側板と前記フラップ及び前記第4側板のそれぞれが前記底板と反対側から前記第1側板及び前記第2側板に重なるように前記底板に対して折り曲げられている、包装容器。
【請求項2】
前記第1当接片は、前記第1側板に対して、折り曲げ可能に連結されており、
前記第2当接片は、前記第2側板に対して、折り曲げ可能に連結されており、
前記包装容器は、さらに、前記第1当接片と前記第2当接片とが、それぞれ前記底板と対向して、前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板及び前記第4側板と前記底板とで画定される収容空間を覆う収容状態に変形可能である、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記収容状態では、前記第1当接片と前記第2当接片とは、前記収容空間を閉塞し、
前記第1当接片の前記第1側板との境界から前記第1側板と反対側の端縁までの長さは、前記第2当接片の前記第2側板との境界から前記第2側板と反対側の端縁までの長さと異なる、請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記折畳状態では、
前記第1側板と前記第1当接片とが同一平板上に配置されている状態で前記底板と重なり、
前記第2側板と前記第2当接片とが同一平板上に配置されている状態で前記第1側板と前記第1当接片と配置されている前記平板に重なり、
前記第1側板と前記第1当接片との前記底板と前記第1側板との境界からの垂直方向の長さは、前記底板の前記底板と前記第1側板との前記境界からの垂直方向の長さよりも短い、請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記折畳状態において、前記第2当接片の前記第2側板と反対側の端縁は、前記第1連結片及び前記第2連結片よりも前記第2側板側に位置する、請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
1枚の平板で構成されており、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装容器を組み立て可能な展開体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、隣り合う側板を連結する連結片を備える包装容器に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、連接フラップによって、2個の壁板が繋がれている組立式容器が開示されている。連接フラップは、第3壁板又は第4壁板の外面に接着されている。第3壁板の上端には第1ロックフラップが連結され、第4壁板の上端には、第2ロックフラップが連結されている。折り畳まれた状態では、第3壁板と第1ロックフラップとが底板部に重なるとともに、第4壁板と第2ロックフラップとが底板に重なり、その上方から、第1壁板と第2壁板とが重なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-165164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、折り畳まれた状態から組み立てられる場合、組立式容器の形状を維持するために、第1ロックフラップ及び第2ロックフラップのそれぞれの下端に配置されている差込フラップを、壁板の差込口に差し込まなければならず、手間がかかる。
【0005】
本明細書では、折畳状態から側壁が底板に対して立ち上げられている起立状態に変形される場合に、側壁が底板に対して倒れることを容易に抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される第1の態様は、包装容器に関する。包装容器は、折畳状態と起立状態との間で変形可能であって、底板と、前記底板に連結されており、前記底板を囲む側壁であって、第1側板と、前記第1側板に対して前記底板を挟んで配置される第2側板と、前記第1側板と前記第2側板との間に配置される第3側板と、前記第3側板に対して前記底板を挟んで配置される第4側板と、を備える前記側壁と、互いに隣り合う前記第1側板と前記第3側板とを連結する第1連結片と、互いに隣り合う前記第1側板と前記第4側板とを連結する第2連結片と、互いに隣り合う前記第2側板と前記第3側板とを連結する第3連結片と、互いに隣り合う前記第2側板と前記第4側板とを連結する第4連結片と、前記第3側板の前記底板と反対側の端縁に連結されているフラップと、前記第1側板の前記底板と反対側の端縁に連結されている第1当接片と、前記第2側板の前記底板と反対側の端縁に連結されている第2当接片と、を備え、前記第1連結片は、前記第1側板の端縁から前記第1側板の外側面に沿って延びており、中間位置において折り返されて、前記第3側板の端縁に連結され、前記第2連結片は、前記第1側板の端縁から前記第1側板の外側面に沿って延びており、中間位置において折り返されて、前記第4側板の端縁に連結され、前記第3連結片は、前記第2側板の端縁から前記第2側板の外側面に沿って延びており、中間位置において折り返されて、前記第3側板の端縁に連結され、前記第4連結片は、前記第2側板の端縁から前記第2側板の外側面に沿って延びており、中間位置において折り返されて、前記第4側板の端縁に連結され、前記起立状態では、前記側壁が前記底板に対して立ち上げられて、前記底板を囲み、前記第1当接片が前記フラップの前記第1側板側の端縁に当接し、前記第2当接片が前記フラップの前記第2側板側の端縁に当接し、前記折畳状態では、前記第1側板と前記第1当接片及び前記第2側板と前記第2当接片が前記底板に重なる方向に前記底板に対して折り曲げられ、前記第3側板と前記フラップ及び前記第4側板のそれぞれが前記底板と反対側から前記第1側板及び前記第2側板に重なるように前記底板に対して折り曲げられていてもよい。
【0007】
この構成によると、起立状態において、第1当接片及び第2当接片のそれぞれを、第1フラップに当接させることによって、第1側板と第2側板とが底板に対して倒れることを抑制することができる。これにより、包装容器の起立状態を維持するために、フラップを側板に差し込むような作業をせずに済む。
【0008】
第2の態様は、上記第1の態様において、前記第1当接片は、前記第1側板に対して、折り曲げ可能に連結されており、前記第2当接片は、前記第2側板に対して、折り曲げ可能に連結されており、前記包装容器は、さらに、前記第1当接片と前記第2当接片とが、それぞれ前記底板と対向して、前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板及び前記第4側板と前記底板とで画定される収容空間を覆う収容状態に変形可能であってもよい。
【0009】
この構成では、第1当接片と第2当接片とのそれぞれを、第1側板と第2側板のそれぞれに対して、折り曲げ可能に連結することによって、第1当接片と第2当接片とが、第1側板及び第2側板が倒れることを抑制するだけでなく、側壁の開口の少なくとも一部を塞ぐことができる。
【0010】
第3の態様は、上記第2の態様において、前記収容状態では、前記第1当接片と前記第2当接片とは、前記収容空間を閉塞し、前記第1当接片の前記第1側板との境界から前記第1側板と反対側の端縁までの長さは、前記第2当接片の前記第2側板との境界から前記第2側板と反対側の端縁までの長さと異なっていてもよい。
【0011】
この構成によると、第1当接片と第2当接片とを包装容器を閉塞する蓋部として利用することができる。第1当接片と第2当接片との長さを揃えずに済むため、折畳状態において第1当接片と第2当接片とのそれぞれが他の部分と干渉することを回避するために、長さを調整することができる。
【0012】
第4の態様は、上記第3の態様において、前記折畳状態では、前記第1側板と前記第1当接片とが同一平板上に配置されている状態で前記底板と重なり、前記第2側板と前記第2当接片とが同一平板上に配置されている状態で前記第1側板と前記第1当接片と配置されている前記平板に重なり、前記第1側板と前記第1当接片との前記底板と前記第1側板との境界からの垂直方向の長さは、前記底板の前記底板と前記第1側板との前記境界からの垂直方向の長さよりも短くてもよい。
【0013】
この構成では、第1側板と第1当接片とが同一平板上に配置されている状態で折り畳まれていても、第1当接片の第1側板と反対側の端縁は、底板の第2側板側の端縁まで到達しない。これにより、折畳状態において、第1側板と第1当接片とが同一平板上に配置されている状態を維持することができる。折畳状態から収容状態に変形する際に、第1側板と第1当接片との境界を折り曲げればよい。折畳状態から収容状態への変形を容易に実行することができる。
【0014】
第5の態様は、上記第4の態様において、前記折畳状態において、前記第2当接片の前記第2側板と反対側の端縁は、前記第1連結片及び前記第2連結片よりも前記第2側板側に位置してもよい。
【0015】
この構成では、第2側板と第2当接片とが同一平板上に配置されている状態で折り畳まれていても、第1連結片及び第2連結片に当接することを防止することができる。これにより、折畳状態において、第2側板と第2当接片とが同一平板上に配置されている状態を維持することができる。折畳状態から収容状態に変形する際に、第2側板と第2当接片との境界を折り曲げればよい。折畳状態から収容状態への変形を容易に実行することができる。
【0016】
上記した包装容器を作製するための展開体も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例の収容状態の包装容器の斜視図。
図2】実施例の包装容器の展開図。
図3】実施例の折畳状態の包装容器の斜視図。
図4】実施例の折畳状態から起立状態に変形する途中の包装容器の斜視図。
図5】実施例の起立状態の包装容器の斜視図。
【0018】
(実施例)
図1に示す包装容器10は、例えば、被包装物を収容し、運搬、保管等を行うために用いられる。包装容器10の用途は、搬送、保管等に限られない。本明細書に含まれる前後、左右、及び上下方向は、説明を容易にするために規定されており、実際の使用時の姿勢を規定するものではない。
【0019】
図2に示すように、包装容器10は、1枚の平板状の展開体BLに設けられている複数の折曲線を折り曲げることによって作製される。複数の折曲線のそれぞれは、折曲線に沿って容易に折り曲げられるように、折曲線に沿った溝及びスリットの少なくとも一方を有する。複数の折曲線は、細い破線で表されている。また、接着剤が塗布される箇所は、格子状の細線で表されている。展開体BLは、1枚の段ボール紙で作製されている。なお、展開体BLは、段ボール紙以外の紙、又は、樹脂によって作製されていてもよい。
【0020】
底板12は、四角形の平板形状を有する。起立状態及び収容状態では、底板12は、側壁13によって囲まれている。底板12と側壁13によって、包装容器10の収容空間が画定される。側壁13は、4枚の側板14、16、24、26を備える。側板24は、底板12の後縁に折曲線を介して連結されている。側板24は、長方形状を有する。側板24の左右方向の長さは、底板12の左右方向の長さと略等しい。側板24の左右両端のそれぞれには、折曲線を介して連結片32、34のそれぞれが連結されている。
【0021】
側板24の左端縁に連結される連結片32は、展開体BLにおいて、略四角形状を有する。連結片32は、折曲線を介して、側板14と連結されている。言い換えると、連結片32は、側板24と側板14との間に配置されて、側板24と側板14とを連結している。連結片32は、底板12の角部から延びる折曲線32aを有する。折曲線32aは、展開体BLにおいて、側板24と側板14との間に位置する底板12の角部から、側板24の左端縁と側板14の後端縁とのそれぞれに対して、傾斜して配置されている。連結片32は、折曲線32aで折り曲げられて、側板24に連結される略三角形状の部分32bと、側板14に連結される略三角形状の部分と、が形成される。
【0022】
側板14は、底板12の左縁に互いに平行な2本の折曲線を介して連結されている。側板14は、長方形状を有する。側板14の前後方向の長さは、底板12の前後方向の長さと略等しい。側板14の後端には、連結片32が連結されている。側板14の底板12と反対側の端縁、即ち、図1に示す収容状態における上端縁には、折曲線を介して、フラップ44が連結されている。フラップ44は、側板14の前後方向の全長に亘って配置されている。収容状態では、フラップ44は、底板12の左端の一部に対向して配置される。
【0023】
側板14の前端には、連結片38が連結されている。連結片38は、連結片32と同様の構成を有する。連結片38は、折曲線を介して、側板26と連結されている。言い換えると、連結片38は、側板14と側板26との間に配置されて、側板14と側板26とを連結している。連結片38は、底板12の角部から延びる折曲線38aで折り曲げられて、側板14に連結される略三角形状の部分と、側板26に連結される略三角形状の部分38bと、が形成される。
【0024】
側板26は、底板12の前縁に折曲線を介して連結されている。側板26は、側板24と同様の形状を有する。側板26の左端には、連結片38が連結されている。側板26の右端には、折曲線を介して連結片36が連結されている。連結片36は、連結片32、38のそれぞれと同様の構成を有する。連結片36は、折曲線を介して、側板16と連結されている。言い換えると、連結片36は、側板26と側板16との間に配置されて、側板16と側板26とを連結している。連結片36は、底板12の角部から延びる折曲線36aで折り曲げられて、側板26に連結される略三角形状の部分36bと、側板16に連結される略三角形状の部分と、が形成される。
【0025】
側板16は、底板12の右縁に折曲線を介して連結されている。側板16は、側板14と同様の構成を有する。側板16の前端には、連結片36が連結されている。側板16の底板12と反対側の端縁、即ち、図1に示す収容状態における上端縁に折曲線を介して連決されるフラップ46は、フラップ44と同様の構成を有する。収容状態では、フラップ46は、底板12の右端の一部に対向して配置される。
【0026】
側板16の後端には、連結片34が連結されている。連結片34は、連結片32、36、38のそれぞれと同様の構成を有する。連結片34は、折曲線を介して、側板24と連結されている。言い換えると、連結片34は、側板16と側板24との間に配置されて、側板16と側板24とを連結している。連結片34は、底板12の角部から延びる折曲線34aで折り曲げられて、側板16に連結される略三角形状の部分と、側板24に連結される略三角形状の部分34bと、が形成される。
【0027】
包装容器10は、収容状態において、蓋板54、56によって、底板12と側壁13とによって画定される収容空間が閉塞される。蓋板54は、側板24の底板12と反対側の端縁、即ち、図1の収容状態における上端縁に、折曲線を介して連結されている。蓋板54は、四角形状を有する。蓋板54は、左右方向において、底板12と略同一の長さを有する。蓋板54は、前後方向において、底板12の半分の長さよりも短い。蓋板56は、側板26の底板12と反対側の端縁、即ち、図1の収容状態における上端縁に、折曲線を介して連結されている。蓋板56は、四角形状を有する。蓋板56は、左右方向において、底板12と略同一の長さを有する。蓋板56は、前後方向において、底板12の半分よりも長い。前後方向において、蓋板56は、蓋板54よりも長い。
【0028】
(包装容器10の組立方法)
展開体BLから図3に示す折畳状態、図5に示す起立状態を経て、図1に示す収容状態の包装容器10が作製されるまでの組立方法を説明する。展開体BLから側板26及び蓋板56が同一平板上に配置されている状態、即ち、展開体BLにおいて側板26と蓋板56との境界の折曲線を折り曲げずに、側板26及び蓋板56が底板12に上方から重なるように、底板12と側板26との境界の折曲線を折り曲げる。これにより、連結片36は、側板16との境界の折曲線において折り曲げられて、側板16に重なる。同様に、連結片38は、側板14との境界の折曲線において折り曲げられて、側板14に重なる。
【0029】
側板26と蓋板56とが同一平板上に配置されている状態における底板12の前端に対して垂直方向、即ち前後方向の側板26と蓋板56との合計の長さは、底板12の前後方向の長さよりも若干短い。このため、側板26及び蓋板56が底板12に上方から重なるように折り曲げられている状態で、蓋板56の側板26と反対側の端縁は、底板12の後端縁を越えない。
【0030】
次いで、側板24及び蓋板54が同一平板上に配置されている状態、即ち、側板24と蓋板54との境界の折曲線を折り曲げずに、側板24及び蓋板54が、蓋板56に上方から重なるように、底板12と側板24との境界の折曲線を折り曲げる。これにより、連結片32は、側板14との境界の折曲線において折り曲げられて、側板14に重なる。同様に、連結片34は、側板16との境界の折曲線において折り曲げられて、側板16に重なる。
【0031】
側板24と蓋板54とが同一平板上に配置されている状態における底板12の後端に対して垂直方向、即ち前後方向の側板24と蓋板54との合計の長さは、同方向における蓋板56の長さよりも若干短い。このため、側板24及び蓋板54が蓋板56に上方から重なるように折り曲げられている状態で、蓋板54の側板24と反対側の端縁は、側板26に達しておらず、蓋板56の上方に位置する。
【0032】
次いで、連結片32、38の部分32b、38bのそれぞれに接着剤を塗布して、連結片32と側板24との境界の折曲線と、連結片38と側板26との境界の折曲線と、側板14と底板12との境界の折曲線と、を側板14が側板24、26の上方に配置されるように折り曲げる。これにより、部分32bが側板24の外側に接着され、部分38bが側板26の外側に接着される。同様に、連結片34、36の部分34b、36bのそれぞれに接着剤を塗布して、連結片34と側板24との境界の折曲線と、連結片36と側板26との境界の折曲線と、側板16と底板12との境界の折曲線と、を側板16が側板24、26の上方に配置されるように折り曲げる。これにより、部分34bが側板24の外側に接着され、部分36bが側板26の外側に接着される。以上により、折畳状態の包装容器10が組み立てられる。
【0033】
蓋板54の側板24と反対側の端縁は、側板26に達していない。このため、側板26に接着される連結片36、38とは干渉せずに配置することができる。これにより、折畳状態において、側板24と蓋板54とを同一平板上に配置されている状態で維持することができる。
【0034】
折畳状態では、側板14は、側板24、26、連結片32、38を挟んで、底板12と重なっている。側板14と底板12との境界には、2本の折曲線が並んで配置されている。これにより、折畳状態では、側板14と底板12との境界において、2本の折曲線によって、側板14と底板12との間に隙間が形成される。この結果、側板14が、側板24、26、連結片32、38によって、底板12に対して斜めに傾斜して離間されることを抑制することができる。側板16も同様である。
【0035】
折畳状態の包装容器10から側板14、16のそれぞれを底板12との境界の折曲線において、側板14、16が底板12から上方に立ち上がるように回転される。側板14、16が立ち上げられると、連結片32、34、36、38が接着されている側板24、26が、連結片32、34、36、38によって底板12から立ち上がる方向に引っ張られる。図2に示すように、側板24には、折曲線24a、24bが形成されている。折曲線24aは、連結片32が連結されている端縁の下端の角部から連結片32の部分32bが側板24に接着されている領域に沿って配置される。折曲線24bは、連結片34が連結されている端縁の下端の角部から連結片34の部分34bが側板24に接着されている領域に沿って配置されている。折曲線24a、24bのそれぞれは、側板24の上端から蓋板54に延びている。折曲線24a、24bのそれぞれは、蓋板54において、前後方向に平行に延びている。
【0036】
連結片32、34によって側板24が底板12から立ち上がる方向に引っ張られる場合、側板14、16は、底板12から起立状態に向けて立ち上がっている途中である。この状況では、側板14、16と側板24及び蓋板54の少なくとも一方との接触によって、側板24及び蓋板54が折曲線24a、24bにおいて緩やかに折り曲げられる。これにより、側板24及び蓋板54が立ち上がる際に、側板14、16と強く接触することを回避することができる。これにより、側板24及び蓋板54をスムーズに立ち上げることができる。
【0037】
また、側板14には、連結片38が連結されている端縁の下端の角部から上方に向かって連結片38が連結されている端縁から遠ざかるように傾斜する折曲線14aが配置されている。折曲線14aは、側板14の上端からフラップ44に延びている。折曲線14aは、フラップ44において、左右方向に平行に延びている。同様に、側板16には、連結片36が連結されている端縁の下端の角部から上方に向かって連結片36が連結されている端縁から遠ざかるように傾斜する折曲線16aが配置されている。折曲線16aは、側板16の上端からフラップ46に延びている。折曲線16aは、フラップ46において、左右方向に平行に延びている。
【0038】
側板26と蓋板56とは、側板24の下方で底板12から立ち上がる。折曲線14a、16aおいて側板14、16及びフラップ44、46が折れ曲がることによって、側板26の立ち上がりを側板24よりも遅くすることができる。折畳状態から図4に示す途中の段階を経て、側板14、16、24、26が底板12に対して垂直方向に立ち上がって、図5に示す起立状態に組み立てられると、蓋板54、56のそれぞれが、フラップ44、46の前後端縁のそれぞれに当接することによって、側板24、26が底板12に対して倒れることを防止することができる。これにより、起立状態において、包装容器10内に、被包装物を収容し易くすることができる。
【0039】
蓋板54、56のそれぞれを、側板24、26のそれぞれに対して、折り曲げて、底板12に対して対向して配置されることによって、包装容器10を収容状態に変形する。収容状態では、蓋板54、56は、包装容器10を閉塞することができる。蓋板54を側板24との境界を折り曲げ、蓋板56を側板26との境界を折り曲げることによって、包装容器10を容易に収容状態に変形することができる。
【0040】
包装容器10では、連結片32、34、36、38によって、側板14、16、24、26が連結されている。側板14、16、24、26の間の角部は、連結片32、34、36、38によって塞がれている。被包装物からの水分が、側板14、16、24、26の隙間から包装容器10の外部に漏出することを抑制することができる。さらに、包装容器10を撥水加工された紙を用いて作製することによって、包装容器10内の水分が、包装容器10の外部に漏出することを抑制することができる。これにより、包装容器10の材料にプラスチックを用いずに、液漏れが抑制された包装容器10を作製することができる。例えば、包装容器10に冷凍食品を収容する場合に、冷凍食品を防水性の材料で覆わずに、包装容器10に収容することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0042】
包装容器10は、蓋板54、56の少なくとも一方を備えていなくてもよい。この場合、側板24、26には、蓋板54、56の少なくとも一方に替えて、収容状態において、上端から上方に延びて、フラップ44、46のそれぞれと当接する当接片を備えていてもよい。当接片は、側板24、26の少なくとも一方の全長に亘って配置されていなくてもよく、フラップ44、46の少なくとも一方に当接する位置に配置されていてもよい。
【0043】
包装容器10は、フラップ44、46の一方を備えていなくてもよい。
【0044】
蓋板54は、折畳状態において、連結片36、38との接触を回避する形状を有していればよい。例えば、蓋板54は、折畳状態において、連結片36、38との間では、側板26の上方まで延びていてもよい。
【0045】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
10:包装容器、12:底板、13:側壁、14、16、24、26:側板、32、34、
36、38:連結片、44、46:フラップ、54、56:蓋板、BL:展開体
図1
図2
図3
図4
図5