(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010837
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ガイドロッド抜け防止安全装置
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112373
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】390025759
【氏名又は名称】株式会社ワイビーエム
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】林 弘行
(72)【発明者】
【氏名】武藤 真幸
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AB03
2D040DA05
2D040FA01
2D040FA13
(57)【要約】
【課題】ウォータースイベル機構を有する地盤改良機等において、供回り防止のためのテレスコピック構造のガイドロッドの抜けを防止する。
【解決手段】ガイドロッド3の最下段(最外部)のパイプ31の上部には、最下段(最外部)のパイプ31の内部にある中間のパイプ32の下端を検出するパイプ検知センサー(近接スイッチ)41が取り付けられている。
図1に示すように、ガイドロッド3が縮んでいる状態ではパイプ検知センサー41が中間のパイプ32の外周321を検出しているため、パイプ検知センサー41がONしている。
図2に示すように、スイベルヘッド21を下降させてガイドロッド3が伸び、中間のパイプ32の下端322が最下段のパイプ31から抜ける前に、中間のパイプ32の下端322がパイプ検知センサー41から離れるため、パイプ検知センサー41がOFFする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に立設して配置されたリーダと、
前記リーダに沿って上下動可能に駆動され、中空の駆動軸を把持して回転駆動するためのスイベルヘッドと、
前記駆動軸の上部に配置され、前記駆動軸の回転駆動中に液状物質を供給するために注入ホースが連結されているウォータースイベルと、
前記注入ホースを保持し、前記ウォータースイベルの非回転部に連結されている連結部材と、
多段に積層されたテレスコピック構造のパイプからなり、最上段の前記パイプの上端が前記連結部に固定され、最下段の前記パイプが前記スイベルヘッドに固定され、前記リーダの長手方向に伸縮移動自在なガイドロッドと
を有する建設機械において、
前記最下段の前記パイプに配置され、伸縮移動する前記パイプを検知するパイプ検知センサーと、
前記パイプ検知センサーからの信号により、前記パイプの伸縮の異常を検知して警報、及び/又は前記建設機械の作動を停止させる安全制御手段と
からなることを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガイドロッド抜け防止安全装置において、
前記パイプ検知センサーは、前記伸縮移動する前記パイプの下端を検知するものである
ことを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【請求項3】
請求項1に記載のガイドロッド抜け防止安全装置において、
前記パイプ検知センサーは、前記ガイドロッドの残りの長さを常時検出するものである
ことを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【請求項4】
請求項2に記載のガイドロッド抜け防止安全装置において、
前記パイプ検知センサーは、前記ガイドロッドの前記伸縮移動方向に離間して複数配置されている
ことを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【請求項5】
請求項2又は4に記載のガイドロッド抜け防止安全装置において、
前記安全制御手段は、前記パイプ検知センサーが前記伸縮移動する前記パイプを検知すると、前記スイベルヘッドの下降を停止させる
ことを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【請求項6】
請求項2又は4に記載のガイドロッド抜け防止安全装置において、
前記安全制御手段は、前記パイプの前記伸縮移動の異常を前記パイプ検知センサーが検知すると、警告画面を表示し、警告ブザーを鳴らす
ことを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【請求項7】
請求項3に記載のガイドロッド抜け防止安全装置において、
前記安全制御手段は、前記ガイドロッドの残りの長さが少なくなると、前記スイベルヘッドの下降を停止させる
ことを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【請求項8】
請求項3に記載のガイドロッド抜け防止安全装置において、
前記安全制御手段は、前記ガイドロッドの残りの長さが少なくなると、警告画面を表示し警告ブザーを鳴らす
ことを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のガイドロッド抜け防止安全装置において、
前記建設機械は、前記駆動軸の下部に地盤を攪拌する攪拌翼を有する地盤改良機であり、前記液状物質は地盤改良材である
ことを特徴とするガイドロッド抜け防止安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータースイベルを有した建設機械において、供回り防止のためのガイドロッドの抜けを防ぐためのガイドロッド抜け防止安全装置に関する。更に詳しくは、テレスコピック構造を有したガイドロッドにおいて、ガイドロッドの抜け防止のための安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「住宅品質確保促進法」が施行されたこともあり、地盤調査で建築予定地の地盤強度を事前に調査することが一般的になっている。この調査の結果、地盤強度不足で、建物を地盤が支えきれない「軟弱地盤」の場合、地盤改良機で地盤補強工事(柱状改良、鋼管杭等)を行うことで、軟弱地盤を強固な地盤に改良する方法が行われている。この地盤改良機は、下部に攪拌翼を備えた管状の回転駆動される攪拌軸の上部から、加圧された液状の地盤改良材をウォータースイベルを介して供給する。地盤改良材を供給するホースが連結されているウォータースイベルの上部のヘッドは、地盤改良の運転中、攪拌軸の回転により供回りしてしまうので、回転しないように係止する必要がある。
【0003】
このために特許文献1では、ウォータースイベルの上部のヘッドが回転しないように、スクリュウ駆動装置(スイベルヘッド)に、筒状のパイプを多段に重ねたテレスコピック構造の回り止め部材の下端を固定して搭載したものが提案されている。また、特許文献2では、スイベルジョイントに連結されている連結部材に対して、テレスコピック構造の多段ロッドの大径部が貫通できる構造にすることにより、多段ロッドの段数を増加させることなく伸縮する構造が提案されている。特許文献3では、特許文献2に記載のテレスコピック構造において、小径の伸縮ロッドが輸送時等に飛び出さないように、伸び止め部材を配置したものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-233524号
【特許文献2】特開2009-203659号
【特許文献3】特開2015-30978号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回り止め部材であるガイドロッドの伸長は、スイベルヘッド(リーダに沿って上下に駆動され攪拌軸を回転駆動する)の撹拌軸チャック(攪拌軸を固定するチャック)を開放し、スイベルヘッドの下降操作を行い、撹拌軸の掴み位置を変更する動作時に行われる。このとき、伸長限度を超えてガイドロッドが抜けないように、オペレーターが運転席から上方にあるガイドロッドを目視で確認しながら作業を行っている。しかしながら、地盤改良機の機種によっては、運転席からガイドロッドを確認し難い場合もあり、確認が不足しガイドロッド(多段ロッドの大径部)が抜けてしまう場合がある。ガイドロッドが抜けた場合の復帰は、高所作業となるため、危険を伴うという問題がある。また、ガイドロッドは、中心部の小径パイプから一本ずつ引き上げられて伸びていくが、いずれかのガイドロッドが動作不良等で途中で引っ掛かり完全に伸び切らないまま伸ばし続けると、最大伸長より短い長さでガイドロッドが抜けてしまうこともあり、ガイドロッドが自重で落下する可能性もある。
上述した先行技術は、これらの事態に対応できない。
本発明の目的は、ウォータースイベル機構を有する地盤改良機等において、供回り防止のためのテレスコピック構造のガイドロッドの抜けを防止するガイドロッド抜け防止安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、次の手段を採る。
即ち、本発明1のガイドロッド抜け防止安全装置は、建設機械に立設して配置されたリーダと、前記リーダに沿って上下動可能に駆動され、中空の駆動軸を把持して回転駆動するためのスイベルヘッドと、前記駆動軸の上部に配置され、前記駆動軸の回転駆動中に液状物質を供給するために注入ホースが連結されているウォータースイベルと、前記注入ホースを保持し、前記ウォータースイベルの非回転部に連結されている連結部材と、多段に積層されたテレスコピック構造のパイプからなり、最上段の前記パイプの上端が前記連結部に固定され、最下段の前記パイプが前記スイベルヘッドに固定され、前記リーダの長手方向に伸縮移動自在なガイドロッドとを有する建設機械において、
前記最下段の前記パイプに配置され、伸縮移動する前記パイプを検知するパイプ検知センサーと、前記パイプ検知センサーからの信号により、前記パイプの伸縮の異常を検知して警報、及び/又は前記建設機械の作動を停止させる安全制御手段とからなることを特徴とする。
【0007】
本発明2のガイドロッド抜け防止安全装置は、本発明1において、前記パイプ検知センサーは、前記伸縮移動する前記パイプの下端を検知するものであることを特徴とする。
本発明3のガイドロッド抜け防止安全装置は、本発明1において、前記パイプ検知センサーは、前記ガイドロッドの残りの長さを常時検出するものであることを特徴とする。
本発明4のガイドロッド抜け防止安全装置は、本発明2において、前記パイプ検知センサーは、前記ガイドロッドの前記伸縮移動方向に離間して複数配置されていることを特徴とする。
本発明5のガイドロッド抜け防止安全装置は、本発明2又は4において、前記安全制御手段は、前記パイプ検知センサーが前記伸縮移動する前記パイプを検知すると、前記スイベルヘッドの下降を停止させることを特徴とする。
【0008】
本発明6のガイドロッド抜け防止安全装置は、本発明2又は4において、前記安全制御手段は、前記パイプの前記伸縮移動の異常を前記パイプ検知センサーが検知すると、警告画面を表示し、警告ブザーを鳴らすことを特徴とする。
本発明7のガイドロッド抜け防止安全装置は、本発明3において、前記安全制御手段は、前記ガイドロッドの残りの長さが少なくなると、前記スイベルヘッドの下降を停止させることを特徴とする。
本発明8のガイドロッド抜け防止安全装置は、本発明3において、前記安全制御手段は、前記ガイドロッドの残りの長さが少なくなると、警告画面を表示し警告ブザーを鳴らすことを特徴とする。
本発明9のガイドロッド抜け防止安全装置は、本発明1~8から選択される1項において、前記建設機械は、前記駆動軸の下部に地盤を攪拌する攪拌翼を有する地盤改良機であり、前記液状物質は地盤改良材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガイドロッド抜け防止安全装置は、パイプ検知センサーでガイドロッドの位置を検出し、ガイドロッドが抜ける前にスイベルヘッドの下降動作を停止するので、ガイドロッドの抜けを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置を備えた地盤改良機の全体側面図である。
【
図2】
図2は、撹拌軸を引き抜くためにスイベルヘッドを下降させて撹拌軸の掴み位置を変更する操作を行った状態を示す地盤改良機の全体側面図である。
【
図3】
図3は、
図1のガイドロッドを示し、
図3(a)はガイドロッドの拡大斜視図、
図3(b)は
図3(a)のA-A拡大断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置の制御ブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置のパイプ検知センサーを示し、
図6(a)はガイドロッドの拡大斜視図、
図6(b)は
図6(a)のB-B拡大断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3の実施の形態のワイヤー式リニアエンコーダを使用したガイドロッド抜け防止安全装置を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔ガイドロッド抜け防止安全装置の第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置を備えた地盤改良機の全体側面図、
図2は撹拌軸を引き抜くためにスイベルヘッドを下降させて撹拌軸の掴み位置を変更する操作を行った状態を示す地盤改良機の全体側面図である。
図3は
図1のガイドロッドを示し、
図3(a)はガイドロッドの拡大斜視図、
図3(b)は
図3(a)のA-A拡大断面図である。
図4は本発明の第1の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置の制御ブロック図、
図5は本発明の第1の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置の動作を示すフローチャートである。
図1、
図2に示すように、本発明の実施の形態の建設機械は、地盤改良機1であって、クローラ装置11によって走行する車体12と、車体12に起立及び傾倒可能に取り付けられた柱状のリーダ13を有している。リーダ13にはスイベルヘッド21が移動可能に取り付けられ、リーダ13の上端の油圧モータ22によって昇降される。スイベルヘッド21の撹拌軸チャック23には撹拌軸24が把持され、図示しない回転モータによって撹拌軸24が回転駆動される。撹拌軸24は中空のパイプであって、下端に取り付けられた撹拌翼25で地盤を攪拌、掘削する。攪拌軸24の上端にはウォータースイベル26が取り付けられ、加圧された液状の地盤改良材がウォータースイベル26を介して撹拌軸24に供給される。
【0012】
ウォータースイベル26の上部のヘッドには、地盤改良材を供給し加圧ポンプに接続されている注入ホース27が連結されている。また、ウォータースイベル26の上部のヘッドには、板状の連結部材28が固定され、この連結部材28に注入ホース27が保持される。ガイドロッド3は多段(本発明の実施の形態では6段)に積層されたテレスコピック構造のパイプで構成され、最上段(最内部)のパイプ36の上端が連結部材28に固定されている。また、ガイドロッド3の最下段(最外部)のパイプ31の下端がスイベルヘッド21に複数のボルト37(
図3(a)参照)で固定されている。このガイドロッド3によって、地盤改良の運転中、ウォータースイベル26の上部のヘッドが攪拌軸24の回転で供回りしないように係止している。なお、ウォータースイベル26の構造、機能は周知であり、かつ本発明の要旨でもないのでその構造、機能の説明は詳記しない。
【0013】
図1の状態ではスイベルヘッド21はリーダ13の上端に位置している。
図1の状態から撹拌軸24を引き抜くためには、スイベルヘッド21を下降させてスイベルヘッド21が撹拌軸24を掴む位置を変更する必要がある。そのためには、まずリーダ13の下端に取り付けられている撹拌軸クランプ14を閉じて撹拌軸24を把持する。次に、スイベルヘッド21の撹拌軸チャック23を開き撹拌軸24を解放する。次に、
図2に示すように、スイベルヘッド21を下降させた後、撹拌軸チャック23を閉じて撹拌軸24の下方を把持する。次に、リーダ13下端の撹拌軸クランプ14を開き撹拌軸24を解放した後、スイベルヘッド21を上昇させて撹拌軸24を引き抜く。
図2に示すように、スイベルヘッド21を下降させると、撹拌軸24の上端とスイベルヘッド21との距離が広がるので、ガイドロッド3が伸びる。
図3に示すように、ガイドロッド3の最下段(最外部)のパイプ31の上部には、最下段(最外部)のパイプ31の内部にある中間のパイプ32の下端を検出するパイプ検知センサー(近接スイッチ)41が取り付けられている。
図1に示すように、ガイドロッド3が縮んでいる状態ではパイプ検知センサー41が中間のパイプ32の外周321を検出しているため、パイプ検知センサー41がONしている。
【0014】
図2に示すように、スイベルヘッド21を下降させてガイドロッド3が伸び、中間のパイプ32の下端322が最下段のパイプ31から抜ける前に、中間のパイプ32の下端322がパイプ検知センサー41から離れるため、パイプ検知センサー41がOFFする。
図3(b)に示すように、中間のパイプ32の上端部の内周には段差部323が形成されている。また、中間のパイプ32の上段にある中間のパイプ33の下端部の外周には凸部331が形成されている。従って、スイベルヘッド21を下降させてガイドロッド3が伸びると、中間のパイプ33は中間のパイプ32内をスライドして上に伸びるが、凸部331が段差部323に引っかかって中間のパイプ32を上に引き上げるため、中間のパイプ33は中間のパイプ32から抜け出すことはない。最上段のパイプ36と中間のパイプ35との間、中間のパイプ35と中間のパイプ34との間、中間のパイプ34と中間のパイプ33との間にも同様な構造の凸部と段差部があるため、ガイドロッド3が伸びても抜け出すことはない。すなわち、ガイドロッド3、連結部材28等の破損を防止するために、ガイドロッド3の最下段のパイプ31の内部にある中間のパイプ32だけが、伸長限度を超えて伸びた時に、最下段のパイプ31から抜け出すことが可能な構造を有している。また、いずれかのガイドロッドが動作不良等で途中で引っ掛かり完全に伸び切らないまま伸ばし続けた結果、最大伸長より短い長さで最下段のパイプ31から中間のパイプ32が抜けてしまうこともある。
【0015】
図4は本発明の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置の制御ブロック図である。
図4に示すように、演算装置51には、ROM52、RAM53、表示装置54、入力装置55、出力装置56、パイプ検知センサー41等が接続されている。ROM52にはシステムプログラム及びデータが記憶されている。RAM53にはガイドロッド抜け防止安全プログラム531、施工支援プログラム532等がロードされている。ガイドロッド抜け防止安全プログラム531は、パイプ検知センサー41の検出結果に応じて、ガイドロッドの抜けの監視、表示装置54への警告の表示、警告ブザーを鳴らすためのプログラムがロードされている。施工支援プログラム532は地盤改良のための施工支援プログラムがロードされている。演算装置51はROM52に記憶されているシステムプログラムとRAM53にロードされているプログラムに従って地盤改良機1を制御する。
【0016】
次に、上記したガイドロッド抜け防止安全装置の制御動作を説明する。
図5は、本発明の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置の動作を示すフローチャートである。
図5は
図1の状態から撹拌軸24を引き抜くために、撹拌軸24を掴む位置を変更する操作を示している。まず、ステップS10で、リーダ13の下端に取り付けられている撹拌軸クランプ14を閉じて撹拌軸24を把持する。次に、ステップS20で、スイベルヘッド21の撹拌軸チャック23を開き撹拌軸24を解放する。次に、ステップS30で、油圧モータ22を作動して、
図2に示すようにスイベルヘッド21を下降させる。スイベルヘッド21を下降させると、撹拌軸24の上端とスイベルヘッド21との間の距離が広がるので、ガイドロッド3が伸びる。ステップS31で、パイプ検知センサー41の故障や断線が検知されると、ステップS32では、油圧モータ22を停止してスイベルヘッド21の下降を停止するとともに、表示装置54に「パイプ検知センサーの異常を検出」、「スイベルヘッドの下降操作を制限中です」、及び「パイプ検知センサーの確認を行ってください」との警告画面を表示する。同時に警告ブザーを鳴らして地盤改良機1のオペレーターに知らせる。
【0017】
図3(b)に示すように、ガイドロッド3が伸びると、最下段のパイプ31から中間のパイプ32の下端322が抜ける前に、中間のパイプ32の下端322がパイプ検知センサー41から離れるため、パイプ検知センサー41がOFFする(ステップS40)。ステップS50では、油圧モータ22を停止してスイベルヘッド21の下降を停止するとともに、表示装置54に「ガイドロッドの下端を検出しました」「スイベルヘッドの下降操作を制限中です」との警告画面を表示する。同時に警告ブザーを鳴らして地盤改良機1のオペレーターに知らせる。この結果、ガイドロッド3の抜けを防止することが可能となるため、動作不良で伸びきっていないガイドロッド3が自重で落下し、その衝撃でガイドロッド3が破損する恐れがなくなる。また、高所でのガイドロッド3の復帰作業を回避できるので、安全性が向上する。その後、ステップS60でパイプ検知センサー41がONになれば、ステップS70でスイベルヘッド21の下降が可能になる。
【0018】
〔ガイドロッド抜け防止安全装置の第2の実施の形態〕
以下、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図6本発明の第2の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置のパイプ検知センサーを示し、
図6(a)はガイドロッドの拡大斜視図、
図6(b)は
図6(a)のB-B拡大断面図である。本発明の第2の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置は、パイプ検知センサーを2個以上設置し、ガイドロッドの残りの長さに応じて段階的な警告を表示させるようにした例である。以下の説明では、第1の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置と異なる部分についてのみ説明し、第1の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置と同一部品には同一番号を付与して説明する。
図6に示すように、ガイドロッド3の最下段(最外部)のパイプ31の上部には、最下段(最外部)のパイプ31の内部にある中間のパイプ32の下端を検出するパイプ検知センサー(近接スイッチ)411、412が2個取り付けられている。パイプ検知センサー411、412はガイドロッド3の伸縮方向(上下方向)に離間して配置されている。
【0019】
ガイドロッド3が縮んでいる状態では、パイプ検知センサー411、412の両方が中間のパイプ32の外周321を検出しているため、パイプ検知センサー411、412の両方がONしている。スイベルヘッド21を下降させてガイドロッド3が伸び、中間のパイプ32の下端322が下側のパイプ検知センサー411から離れると、下側のパイプ検知センサー411がOFFする。すると、表示装置54に「ガイドロッドの残りの長さが少なくなりました」「注意してください」との注意画面を表示する。スイベルヘッド21をさらに下降させてガイドロッド3が伸びると、最下段のパイプ31から中間のパイプ32の下端322が抜ける前に、中間のパイプ32の下端322が上側のパイプ検知センサー412から離れるため、上側のパイプ検知センサー412もOFFとなる。このOFFとなると、油圧モータ22を停止させスイベルヘッド21の下降を停止させるとともに、表示装置54に「ガイドロッドの下端を検出しました」、「スイベルヘッドの下降操作を制限中です」との警告画面を表示する。同時に、警告ブザーを鳴らして地盤改良機1のオペレーターに知らせる。
【0020】
〔ガイドロッド抜け防止安全装置の第3の実施の形態〕
以下、本発明の第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図7は本発明の第3の実施の形態のワイヤー式リニアエンコーダを使用したガイドロッド抜け防止安全装置を示す拡大断面図である。本発明の第3の実施の形態のガイドロッド抜け防止安全装置は、ワイヤー式リニアエンコーダでガイドロッド3の残りの長さを常時検出し、ガイドロッド3の残りの長さを表示装置54に常時表示し、ガイドロッド3の残りの長さに応じて段階的な警告の表示やスイベルヘッド21の下降を停止させるようにした例である。ガイドロッド3の最下段(最外部)のパイプ31の上部には、ワイヤー式リニアエンコーダ本体42が固定されている。ワイヤー式リニアエンコーダ本体42から上方に引き出されたワイヤー421の上端が中間のパイプ32の上端に取り付け金具422で取り付けられている。
【0021】
ガイドロッド3が完全に縮んでいる状態では表示装置54は中間のパイプ32の最長の残りの長さを表示装置54に表示している。スイベルヘッド21を下降させてガイドロッド3が伸び、中間のパイプ32の残りの長さが少なくなると、表示装置54に「ガイドロッドの残りの長さが少なくなりました」、「注意してください」との注意画面を表示する。スイベルヘッド21をさらに下降させてガイドロッド3が伸びると、最下段のパイプ31から中間のパイプ32の下端322が抜ける前に、油圧モータ22を停止してスイベルヘッド21の下降を停止するとともに、表示装置54に「ガイドロッドの下端を検出しました」、「スイベルヘッドの下降操作を制限中です」との警告画面を表示する。同時に警告ブザーを鳴らして地盤改良機1のオペレーターに知らせる。ガイドロッド3の残りの長さを常時検出する検出装置としては、光学式センサーや超音波センサーでも良い。
【0022】
[他の実施の形態]
本発明のガイドロッド抜け防止安全装置の上記実施の形態では、地盤改良機に適用したものであったが、ウォータースイベル構造を有するものであれば、ボーリング機械等の他の建設機械でも適用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1…地盤改良機
11…クローラ装置
12…車体
13…リーダ
14…撹拌軸クランプ
21…スイベルヘッド
22…油圧モータ
23…撹拌軸チャック23
24…撹拌軸
25…撹拌翼
26…ウォータースイベル
27…注入ホース
28…連結部材
3…ガイドロッド
31…最下段(最外部)のパイプ
32、33、34、35…中間のパイプ
321…中間のパイプ32の外周
322…中間のパイプ32の下端
323…段差部
331…凸部
36…最上段(最内部)のパイプ
37…ボルト
41、411、412…パイプ検知センサー
42…ワイヤー式リニアエンコーダ本体
421…ワイヤー
422…取り付け金具
51…演算装置
52…ROM
53…RAM
531…ガイドロッド抜け防止安全プログラム
532…施工支援プログラム
54…表示装置
55…入力装置
56…出力装置