(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108371
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】圧電振動デバイス
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H03B5/32 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012697
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】古城 琢也
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA43
5J079CB02
5J079FA01
5J079HA03
5J079HA05
5J079HA06
5J079HA25
5J079HA26
5J079HA28
(57)【要約】
【課題】樹脂基板に対する外部接続端子の剥離強度を向上させた圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも振動子2と、少なくとも振動子2を保護するモールド部12と、一方の主面に配線パターンを有する第1実装面11aと、一方の主面に平行な他方の主面の前記配線パターンと接続されるとともに外部基板に接続するための複数の外部接続端子11gを有する第2実装面11bとが構成された平面視矩形の基板11と、を有する圧電振動デバイス1である。複数の外部接続端子11gのうち少なくとも一つは、第2実装面11bに垂直な方向に見て、外部接続端子11gと重なる位置において、基板11の第2実装面11b側から第1実装面11a側に向かって延びる孔または凹部の壁面に密着している金属部材であるアンカー部11kに接続される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧電振動子と、
少なくとも前記圧電振動子を保護する樹脂モールド部と、
一方の主面に配線パターンを有する部品搭載面と、前記一方の主面に平行な他方の主面の前記配線パターンと接続されるとともに外部基板に接続するための複数の外部接続端子を有する実装面とが構成された平面視矩形の樹脂基板と、を有し、
少なくとも前記圧電振動子が前記部品搭載面に搭載され、前記部品搭載面の少なくとも一部が少なくとも前記圧電振動子を含むように前記樹脂モールド部によって覆われ、前記外部接続端子が少なくとも平面視矩形の前記実装面の四隅にそれぞれ位置している圧電振動デバイスであって、
前記複数の外部接続端子のうち少なくとも一つは、
前記実装面に垂直な方向に見て、前記外部接続端子と重なる位置において、前記樹脂基板の前記実装面側から前記部品搭載面側に向かって延びる貫通孔または凹部の壁面に密着している金属部材であるアンカー部に接続される、
圧電振動デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記実装面の四隅にそれぞれ位置している前記外部接続端子は、
前記実装面に垂直な方向に見て、それぞれの前記外部接続端子と重なる位置の前記アンカー部に接続されている、
圧電振動デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記樹脂基板の前記実装面側から前記部品搭載面側に向かって延びる孔または凹部の内部に、金属部材が充填され、前記アンカー部として構成される、
圧電振動デバイス。
【請求項4】
請求項1または2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記アンカー部の前記部品搭載面側の端部は、前記配線パターンと電気的に接続されていない、
圧電振動デバイス。
【請求項5】
請求項1または2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記樹脂基板は、
ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂のうちいずれか一つから構成される、
圧電振動デバイス。
【請求項6】
請求項1または2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記樹脂基板は、
一方の主面に配線パターンを有する複数の層が厚み方向に積層され、前記層が有する孔に充填された導体であるビア導体によって、重なり合う前記層の配線パターン同士を接続している積層基板として構成され、
前記外部接続端子を有する層と重なり合う前記層が有する前記ビア導体のうち前記外部接続端子に接続されているビア導体が前記アンカー部として機能する、
圧電振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動デバイスは、例えば水晶振動片を用いた水晶振動子が含まれる。前記水晶振動子は、圧電素子である水晶振動片と、前記水晶振動片を保持する保持部材と、前記保持部材を密閉する蓋部材とを有する。前記水晶振動子は、セラミック等の絶縁体から構成される箱状の前記保持部材内に前記水晶振動片が保持されている。前記水晶振動子は、前記水晶振動片の電極と前記保持部材の電極とが接合された状態で前記蓋部材によって前記保持部材内の前記水晶振動片が密閉されている。
【0003】
基板上に前記圧電素子と集積回路素子とを実装した圧電振動デバイスは、各種電子機器の小型化に伴い、パッケージの小型化が求められている。そこで、前記基板上に積層構造の前記圧電振動子と前記集積回路素子を実装した圧電振動デバイスが知られている。例えば、特許文献1に記載の圧電振動子(水晶振動子パッケージ)内蔵の圧電振動デバイス(圧電デバイス)は、下面に外部接続端子(外部端子)が形成された基板と、前記基板の配線パターンが形成された面に配置され、前記配線パターンに電気的に接続される水晶振動子パッケージ及び集積回路素子(回路モジュール)と、前記水晶振動子パッケージ及び前記回路モジュールを含み、前記基板上を覆うモールド樹脂部(樹脂部)と、を備えている。前記圧電振動デバイスは、前記外部接続端子によって外部基板に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の圧電振動デバイスは、ガラスエポキシ樹脂等から構成される樹脂基板上に前記圧電振動子及び前記集積回路素子が搭載されている。このようなガラスエポキシ樹脂等から構成される前記樹脂基板は、従来のセラミックから構成されている基板と比べて経年劣化しやすく、熱による膨張及び収縮等によって強度が低下し易い。よって、長期間使用された前記圧電振動デバイスを検査等のために外部基板から取り外す際、前記外部基板に接合されている前記外部接続端子が前記樹脂基板から剥離してしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、樹脂基板に対する外部接続端子の剥離強度を向上させた圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、樹脂基板に対する外部接続端子の剥離強度を向上させた圧電振動デバイスについて検討した。鋭意検討の結果、本発明者は、以下のような構成に想到した。
【0008】
圧電振動デバイスは、少なくとも圧電振動子と、少なくとも前記圧電振動子を保護する樹脂モールド部と、一方の主面に配線パターンを有する部品搭載面と、前記一方の主面に平行な他方の主面の前記配線パターンと接続されるとともに外部基板に接続するための複数の外部接続端子を有する実装面とが構成された平面視矩形の樹脂基板と、を有する。また、前記圧電振動デバイスは、少なくとも前記圧電振動子が前記部品搭載面に搭載され、前記部品搭載面の少なくとも一部が少なくとも前記圧電振動子を含むように前記樹脂モールド部によって覆われ、前記外部接続端子が少なくとも前記実装面の四隅にそれぞれ位置している。前記複数の外部接続端子のうち少なくとも一つは、前記実装面に垂直な方向に見て、前記外部接続端子と重なる位置において、前記樹脂基板の前記実装面側から前記部品搭載面側に向かって延びる貫通孔または凹部の壁面に密着している金属部材であるアンカー部に接続される。
【0009】
上述の構成では、圧電振動デバイスは、樹脂基板の実装面に設けられた外部接続端子にアンカー部が接続されている。つまり、前記アンカー部は、前記外部接続端子と一体に構成されている。よって、前記樹脂基板と前記外部接続端子との接触面積は、前記アンカー部と前記孔または前記凹部の壁面との接触面積分が増加している。また、前記樹脂基板と前記外部接続端子との接触面は、前記樹脂基板の実装面に略平行な平面と前記樹脂基板の実装面に垂直な円筒面とによって構成される。これにより、前記樹脂基板と前記外部接続端子との接触面積の増加による密着力の増大、複数の異なる形状及び位置の接触面に生じる密着力による密着、及び前記孔または前記凹部に金属部材が入り込むことによるアンカー効果によって、前記樹脂基板に対する前記外部接続端子の剥離強度を向上させることができる。
【0010】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記実装面の四隅にそれぞれ位置している前記外部接続端子は、前記実装面に垂直な方向に見て、それぞれの前記外部接続端子と重なる位置の前記アンカー部に接続されている。
【0011】
上述の構成では、前記樹脂基板の実装面の四隅にそれぞれ位置している前記外部接続端子には、前記アンカー部が接続されている。前記樹脂基板は、熱要因による膨張及び収縮、振動等の外部からの機械的な力が加わった場合、前記樹脂基板の四隅に位置する外部接続端子に最も力が伝わり、前記樹脂基板から四隅に位置する外部接続端子が剥離し易くなる。よって、前記樹脂基板の四隅に位置する前記外部接続端子に前記アンカー部を接続することで、熱要因、外部からの機械的な力によって前記樹脂基板から剥離する可能性が有る前記外部接続端子の剥離強度を向上させることができる。
【0012】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記圧電振動デバイスは、前記樹脂基板の前記実装面側から前記部品搭載面側に向かって延びる孔または凹部の内部に、金属部材が充填され、前記アンカー部として構成される。
【0013】
上述の構成では、前記アンカー部は、前記樹脂基板が有する孔または凹部の内部に充填された金属部材によって構成されている。よって、前記アンカー部は、前記孔または前記凹部の壁面から剥離し難い。これにより、前記樹脂基板と前記外部接続端子との接触面積の増加、及び前記孔または前記凹部に金属部材が入り込むことによるアンカー効果によって、前記樹脂基板に対する前記外部接続端子の剥離強度を向上させることができる。
【0014】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記アンカー部の前記部品搭載面側の端部は、前記配線パターンと電気的に接続されていない。
【0015】
上述の構成では、前記アンカー部は、前記樹脂基板の実装面に垂直な方向に見て重なっている外部接続端子だけに接続されている。つまり、前記アンカー部は、配線パターンの一部ではなく、前記樹脂基板に対して前記外部接続端子を密着させる部材として構成されている。よって、前記アンカー部は、配線パターンへの接続性、寄生容量等を考慮する必要がないので任意の位置において任意の形状で前記外部端子に接続することができる。これにより、前記樹脂基板と前記外部接続端子との接触面積を増加させ且つアンカー効果によって、前記樹脂基板に対する前記外部接続端子の剥離強度を向上させることができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記樹脂基板は、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂のうちいずれか一つから構成される。
【0017】
上述の構成では、前記樹脂基板は、加工が容易な絶縁性材料によって構成されている。よって、前記樹脂基板は、前記樹脂基板に対する前記外部接続端子の剥離強度を向上可能なアンカー部を構成するために任意の位置において任意の形状の孔または凹部を形成することができる。これにより、前記樹脂基板と前記外部接続端子との接触面積を増加させ且つアンカー効果によって、前記樹脂基板に対する前記外部接続端子の剥離強度を向上させる前記アンカー部を構成することができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記樹脂基板は、一方の主面に配線パターンを有する複数の層が厚み方向に積層され、前記層が有する孔に充填された導体であるビア導体によって、重なり合う前記層の配線パターン同士を接続している積層基板として構成される。前記外部接続端子を有する層と重なり合う前記層が有する前記ビア導体のうち前記外部接続端子に接続されているビア導体が前記アンカー部として機能する。
【0019】
上述の構成では、前記樹脂基板は、複数の層が積層された積層基板として構成されている。また、前記外部接続端子には、前記重なり合う層の配線パターン同士を電気的に接続するビア導体がアンカー部として接続されている。つまり、前記アンカー部は、一端部に外部接続端子が接続され、他端部に配線パターンが接続されているので、前記樹脂基板に対する剥離強度が向上する。これにより、前記樹脂基板に対する前記外部接続端子の剥離強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によれば、樹脂基板に対する外部接続端子の剥離強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスの平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける振動子の側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける振動子の底面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスが樹脂モールドされた状態での
図1におけるA矢視断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の部品搭載面である第1実装面を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスの変形例1における平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の実装面である第2実装面を第1実装面側から見た透過平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスの変形例2における
図1のA矢視に相当する部分断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスの変形例3における
図1のA矢視に相当する部分断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスの変形例4における
図1のA矢視に相当する部分断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスの変形例5における樹脂基板の実装面である第2実装面を第1実装面側から見た透過平面図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の実装面である第2実装面を第1実装面側から見た透過平面図において外部接続端子とアンカー部との接触面積を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態2に係る圧電振動デバイスにおける
図1のA矢視に相当する部分断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態3に係る圧電振動デバイスの平面図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態3に係る圧電振動デバイスにおける振動子の長手方向断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態3に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の第2実装面を第1実装面側から見た透過平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表していない。なお、以下の実施形態において、「主面」とは、対象部材において最も面積が大きい面、または板状部材において、厚み方向に見た際に見える最も面積が大きい面を意味する。
【0023】
なお、以下の本発明の実施の形態である圧電振動デバイス1の説明において、振動子2、22及び基板11、hの長手方向を「X方向」、短手方向を「Y方向」、振動子22における枠部24の開口方向であってX方向とY方向に直交する方向及び基板11、31において主面に垂直な方向を「Z方向」とする。また、本実施形態において、X方向及びY方向は、水平面上の方向である。Z方向は、鉛直方向である。ただし、この方向の定義により、圧電振動デバイス1の使用時の向きを限定する意図はない。
【0024】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”、“接合”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0025】
[実施形態1]
<圧電振動デバイス1の構成>
次に、
図1から
図5を用いて、本発明の圧電振動デバイスの実施形態1である圧電振動デバイス1について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイス1の平面図である。
図2は、圧電振動デバイス1における振動子2の側面図である。
図3は、
図2におけるB矢視断面図である。
図4は、圧電振動デバイス1における振動子2の底面図である。
図5は、圧電振動デバイス1が樹脂モールドされた状態での
図1におけるA矢視断面図である。
【0026】
図1に示すように、圧電振動デバイス1は、振動子2と、集積回路素子10と、基板11と、モールド部12(
図5参照)と、を有する。
【0027】
図2から
図4に示すように、振動子2は、加えられた力を電圧に変換し、または印加された電圧を力に変換する圧電体を有する圧電振動子である。振動子2は、圧電振動板3と、第1封止部材6と、第2封止部材7とを有する圧電振動子である。振動子2は、圧電振動板3を第1封止部材6と第2封止部材7とによって挟んでいるサンドイッチ構造である。
【0028】
図3に示すように、圧電振動板3は、圧電材料である水晶から構成されている矩形の板状部材である。圧電振動板3の一方の主面及び他方の主面は、一対の励振電極4aを有している。また、圧電振動板3は、一部を残して一対の励振電極4aを囲うように一方の主面から他方の主面に向かって貫通する切り欠き部4bを有している。これにより、一対の励振電極4aが位置している部分は、Z方向に振動可能な片持ち構造の振動部4として構成される。圧電振動板3は、両方の主面に、振動部4を囲むように第1封止部材6及び第2封止部材7と接合される接合材5を有している。
【0029】
図2に示すように、第1封止部材6及び第2封止部材7は、圧電振動板3の振動部4を封止する部材である。第1封止部材6及び第2封止部材7は、圧電振動板3と同一の水晶から構成されている矩形の板状部材である。第1封止部材6及び第2封止部材7は、主面を圧電振動板3の主面に対向させた際、圧電振動板3の主面の全面を覆うことができる形状である。第1封止部材6及び第2封止部材7は、一方の主面に、圧電振動板3の接合材5と接合する接合材5を有している。
【0030】
圧電振動板3の一方の主面は、第1封止部材6によって覆われている。圧電振動板3の他方の主面は、第2封止部材7によって覆われている。この際、圧電振動板3の接合材5と第1封止部材6及び第2封止部材7の接合材5とが拡散結合する。これにより、圧電振動板3の振動部4は、第1封止部材6及び第2封止部材7によって気密封止される。
【0031】
図4に示すように、第2封止部材7は、他方の主面に、基板11の電極と電気的に接続する4つの振動子実装端子7aを有している。4つの振動子実装端子7aは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。4つの振動子実装端子7aは、矩形の4隅にそれぞれ位置している。
【0032】
このように構成される振動子2は、圧電振動板3の両方の主面を第1封止部材6と第2封止部材7とによってそれぞれ封止した3層構造のパッケージとして構成される。また、振動子2は、圧電振動板3の両方の主面を第1封止部材6と第2封止部材7とによって覆うことで、圧電振動板3が有する振動部4を内部に含む内部空間が形成される。つまり、振動子2は、このパッケージの内部空間に、一対の励振電極4aを含む振動部4が気密封止されている。内部空間内には、窒素ガス等の不活性ガスが封入されている。振動子2は、印加された電圧によって所定の周波数で発振する。
【0033】
図1に示すように、集積回路素子10は、振動子2を制御するICである。集積回路素子10は、周囲の温度状態を検知する感温素子(サーミスタ)に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等の電子回路等を有している。集積回路素子10は、発振回路で生成された発振出力をクロック信号等の基準信号として集積回路素子実装端子10aを通じて外部に出力する。
【0034】
基板11は、振動子2と集積回路素子10とを配線パターンによって電気的に接続し且つ一体に構成する樹脂基板である。基板11は、例えば、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂のうちいずれか一つから構成される。基板11は、単一の層からなる基板である。基板11における一対の主面のうち一方の主面は、銅等の導体によって形成された4つの接続端子11d、パッド、ランド等を含む前記配線パターンを有する第1実装面11aとして構成されている。4つの接続端子11dは、内部配線11cを介して第1実装面11aの複数のパッドを含む前記配線パターンと電気的に接続されている。内部配線11cは、少なくとも一部が絶縁用樹脂で覆われている。このように、単層の基板11は、第1実装面11aと第2実装面11bとしかないため内部配線11cをシンプルに構成することができる。
【0035】
基板11の第1実装面11aは、振動子2及び集積回路素子10が搭載されている部品搭載面である。振動子2は、第2封止部材7(
図2参照)を第1実装面11aと対向するようにして基板11に配置されている。第2封止部材7が有している4つの振動子実装端子7a(
図4参照)は、導電性のはんだHによって第1実装面11aの4つの接続端子11dにそれぞれ電気的に接続されている。同様に、集積回路素子10の集積回路素子実装端子10aは、ワイヤー10b及び第1実装面11aのワイヤー接続用パッドであるワイヤー接続端子11pを介して第1実装面11aの配線パターンにそれぞれ電気的に接続されている。このように、振動子2と集積回路素子10とは、基板11の第1実装面11a上に並んで位置している。
【0036】
図5に示すように、基板11における前記一方の主面に平行な他方の主面は、図示しない外部基板に実装するための外部接続端子11gを有する実装面である第2実装面11bとして構成されている。外部接続端子11gは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。外部接続端子11gは、内部配線11c(図示省略)を介して第1実装面11aの複数のパッドを含む前記配線パターンと電気的に接続されている。
【0037】
基板11は、第1実装面11aに実装された振動子2と集積回路素子10とを第1実装面11a上の図示しない配線パターン、内部配線11c及び第2実装面11bの外部接続端子11gを介して、図示しない外部基板に電気的に接続可能に構成されている。これにより、振動子2は、外部基板から印加された電圧によって所定の周波数で発振する。
【0038】
図5に示すように、モールド部12は、基板11と、基板11に実装された振動子2及び集積回路素子10とのうち少なくとも振動子2を保護する。モールド部12は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。モールド部12は、基板11と、基板11に実装された振動子2及び集積回路素子10とのうち少なくとも振動子2の一部を、熱硬化したエポキシ樹脂で覆っている。本実施形態において、モールド部12は、基板11の第1実装面11aと、基板11の第1実装面11aに実装された振動子2及び集積回路素子10とを覆っている。一方、基板11の第2実装面11bは、モールド部12によってモールドされていない。
【0039】
次に、
図6を用いて、基板11の第1実装面11a及び接続端子11dについて詳細に説明する。
図6は、圧電振動デバイス1における基板11の部品搭載面である第1実装面11aを示す平面図である。
【0040】
図6に示すように、基板11の第1実装面11aは、振動子2及び集積回路素子10と電気的に接続される一方の主面である。第1実装面11aは、凹部11fを有している。凹部11fは、Z方向に見て、X方向及びY方向に広がる矩形状の窪みである。凹部11fは、振動子2の振動子実装端子7a(
図2参照)をそれぞれ内部に配置可能な形状である。凹部11f内には、それぞれ略L字状の接続端子11dが位置している。つまり、基板11は、4つの接続端子11dを有している。接続端子11dは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。
【0041】
接続端子11dは、それぞれの凹部11fの底面からZ方向に突出している。4つの接続端子11d(以下、単に「接続端子11d」と記す)の主面は、振動子2の4つの振動子実装端子7aにそれぞれ接合する接合面11eとして構成されている。接合面11eは、第1実装面11aよりも第2実装面11b側に位置している。つまり、接合面11eは、第1実装面11aよりも凹んでいる。接合面11eは、基板11の絶縁性の基材で覆われずに露出している。
【0042】
また、接続端子11dには、内部配線11cが接続されている。内部配線11cは、導電性の金属から構成されている。内部配線11cは、第1実装面11aの配線パターンと外部接続端子11g(
図8参照)とを電気的に接続する。内部配線11cは、凹部11f内においてそれぞれの接続端子11dに接続している。
【0043】
[実施形態1の変形例1]
<圧電素子をワイヤーで接続>
図7に圧電振動デバイス1の変形例1における平面図を示す。
図7に示すように、圧電振動デバイス1は、振動子2の振動子実装端子7aと第1実装面11aのワイヤー接続端子11pとをワイヤー10bで接続する構成でもよい。振動子2は、基板11の第1実装面11aをZ方向に見て、振動子実装端子7aが視認できるように第1実装面11a上に配置される。振動子実装端子7aは、ワイヤー10bによって及び第1実装面11aのワイヤー接続端子11pを介して第1実装面11aの配線パターンにそれぞれ電気的に接続されている。このように、振動子2及び集積回路素子10は、はんだ、接合材、接着材等を用いて基板11の配線パターンに電気的に接続される構成だけでなく、ワイヤー10bを用いて基板11の配線パターンに電気的に接続される構成でもよい。また、接合材として金属バンプを用いてもよい。
【0044】
次に、
図8を用いて、基板11の第2実装面11b及び外部接続端子11gについて詳細に説明する。
図8は、圧電振動デバイス1における基板11の実装面である第1実装面11a側から見た透過平面図である。
【0045】
図8に示すように、基板11の第2実装面11bは、図示しない外部基板と電気的に接続される他方の主面である。第2実装面11bは、四隅に4つの外部接続端子11gを有する。また、第2実装面11bは、4つの外部接続端子11gに対応した4つの凹部11jを有している。4つの凹部11jは、任意に定められた範囲が第2実装面11bに垂直な方向に窪んだ段差部である。4つの凹部11jは、Z方向に見て基板11の長辺と短辺との交点である頂点を含む4隅にそれぞれ位置している。また、4つの凹部11jは、それぞれ頂点から延びる基板11の外縁である長辺の一部と短辺の一部とを含む範囲が窪んでいる。凹部11jは、外部基板の実装端子をそれぞれ内部に配置可能な形状である。
【0046】
外部接続端子11gは、一方の主面が図示しない外部基板の接続端子に接合する端子として構成されている。4つの外部接続端子11g(以下、単に「外部接続端子11g」と記す)は、導電性の金属から構成されている略矩形の板状の端子である。外部接続端子11gは、4つの凹部11jの底面にそれぞれ密着している。外部接続端子11gは、それぞれ略矩形状に形成されている。外部接続端子11gは、主面に外部基板の接続端子に接合する接合面11hを有している。接合面11hは、基板11の絶縁性の基材で覆われずに露出している。接合面11hは、第2実装面11bよりも第1実装面11a側に位置している。つまり、接合面11hは、第2実装面11bよりも凹んでいる。
【0047】
外部接続端子11gには、内部配線11cが接続されている。内部配線11cは、基板11の内部を通過して凹部11j内に位置している。外部接続端子11gは、図示しない外部基板の接続端子にはんだ等で接合される。
【0048】
<アンカー部の構成>
次に、
図1、
図5、
図6、
図8用いて基板11におけるアンカー部11kについて説明する。
【0049】
図1、
図5、
図6、
図8に示すように、アンカー部11kは、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させる部材である。圧電振動デバイス1には、基板11の第2実装面11bに位置する4つの外部接続端子11gに対してそれぞれ1つのアンカー部11kが設けられている。以下の実施形態において、アンカー部11kは、特に記載がない限り4つのアンカー部11kを意味する。
【0050】
基板11には、アンカー部11kを構成するために、基板11の第1実装面11a側から第2実装面11b側に向かって延びる貫通孔を有している。前記貫通孔は、第2実装面11bに垂直な方向に見て、外部接続端子11gと重なるように配置されている。前記貫通孔の両端部には、前記貫通孔の内径よりも大きい外径の円環状の導体であるランド11nが位置している。ランド11nは、第1実装面11aに密着している。アンカー部11kは、前記貫通孔の壁面を覆っている金属部材によって構成されている。本実施形態において、アンカー部11kは、前記貫通孔に充填されている柱状の金属部材である。よって、アンカー部11kは、第2実装面11bに垂直な方向に見て、外部接続端子11gと重なるように配置されている。
【0051】
アンカー部11kの第2実装面11b側の端部は、外部接続端子11gに接続されている。アンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、ランド11nに接続されている。よって、アンカー部11kは、外部接続端子11g及びランド11nと一体に構成されている。アンカー部11kの側面は、前記貫通孔の壁面に密着している。
【0052】
ランド11nは、基板11が有する配線パターン等と電気的に接続されていない。つまり、アンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、基板11が有する配線パターン等と電気的に接続されていない。したがって、アンカー部11kは、制御信号等を伝達する配線パターン等の機能を有していない。アンカー部11kは、外部接続端子11g及びランド11nと同一種類の金属材料が好ましい。
【0053】
図5に示すように、アンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、第1実装面11aから突出した状態で位置している。また、アンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、ランド11nとともに絶縁用樹脂で覆われている。よって、アンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、第1実装面11aに実装される振動子2及び集積回路素子10に対して電気的に絶縁されている。
【0054】
このように構成されるアンカー部11kは、基板11の前記貫通孔の壁面と密着している。前記貫通孔内に空間を有さないアンカー部11kは、前記貫通孔または前記凹部の壁面から剥離し難い。よって、アンカー部11kが接続されている外部接続端子11gは、基板11との接触面積にアンカー部11kと前記貫通孔の壁面との接触面積が加わり、基板11に対する密着力が増大する。また、アンカー部11kは、基板11の前記貫通孔に入り込むことで基板11に対してアンカー効果を奏している。よって、アンカー部11kが接続されている外部接続端子11gは、アンカー部11kのアンカー効果によって基板11に対する密着力が増大する。更に、アンカー部11kは、第1実装面11a側の端部に接続されているランド11nによって、基板11の第1実装面11aに係合している(
図5参照)。つまり、ランド11nは、アンカー部11kの一部として機能している、よって、アンカー部11kが接続されている外部接続端子11gは、第1実装面11aとの係合によって基板11に対する密着力が増大する。これにより、アンカー部11kは、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させることができる。
【0055】
ところで、圧電振動デバイス1は、熱要因による基板11の膨張及び収縮、基板11に加わる振動等の外部からの機械的な力よって、基板11の四隅に位置する外部接続端子11gに外部接続端子11gを剥離する力が生じやすい。しかしながら、アンカー部11kによって剥離強度が向上した外部接続端子11gを有する圧電振動デバイス1は、基板11の熱膨張及び熱収縮が生じたり、外部からの機械的な力が加わったりしても基板11から外部接続端子11gが剥離し難い。
【0056】
[実施形態1の変形例2]
<基板が凹部を有する場合>
次に、
図9を用いて実施形態1に係る圧電振動デバイス1の変形例2について説明する。
図9は、本圧電振動デバイス1の変形例2における
図1のA矢視に相当する部分断面図である。
【0057】
図9に示すように、アンカー部11kは、基板11の第1実装面11a側から第2実装面11b側に向かって窪んでいる凹部の壁面を覆っている金属部材によって構成されている。本実施形態において、アンカー部11kは、前記凹部に充填されている凸状の金属部材である。アンカー部11kは、第2実装面11bに垂直な方向に見て、外部接続端子11gと重なるように配置されている。
【0058】
アンカー部11kの第2実装面11b側の端部は、外部接続端子11gに接続されている。よって、アンカー部11kは、外部接続端子11gと一体に構成されている。アンカー部11kの側面及び第1実装面11a側の端面は、前記凹部の底面に密着している。
【0059】
アンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、基板11が有する配線パターン等と電気的に接続されていない。また、アンカー部11kの側面は、基板11が有する配線パターン等と電気的に接続されていない。したがって、アンカー部11kは、制御信号等を伝達する配線パターン等の機能を有しておらず、基板11によって電気的に絶縁されている。
【0060】
このように構成されるアンカー部11kは、基板11の前記凹部の壁面と密着している。よって、アンカー部11kが接続されている外部接続端子11gは、基板11との接触面積の増加に伴い、基板11に対する密着力が増大する。また、外部接続端子11gは、アンカー部11kに生じるアンカー効果によって基板11に対する密着力が増大する。これにより、アンカー部11kは、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させることができる。
【0061】
[実施形態1の変形例3]
<一つの外部接続端子に対してアンカー部が複数ある場合>
次に、
図10を用いて実施形態1に係る圧電振動デバイス1の変形例3について説明する。
図10は、本圧電振動デバイス1の変形例3における
図1のA矢視に相当する部分断面図である。
【0062】
図10に示すように、圧電振動デバイス1には、基板11の第2実装面11bに位置する4つの外部接続端子11gにおいて、1つの外部接続端子11gに対してそれぞれ複数のアンカー部11kが設けられている。本実施形態において、アンカー部11kは、1つの外部接続端子11gに対して2つ設けられている。アンカー部11kは、基板11の第1実装面11a側から第2実装面11b側に向かって延びる2つの貫通孔に充填されている柱状の金属部材である。1つの外部接続端子11gに設けられている2つのアンカー部11kは、第2実装面11bに垂直な方向に見て、1つの外部接続端子11gに対して重なるように配置されている。
【0063】
2つのアンカー部11kの第2実装面11b側の端部は、1つの外部接続端子11gにそれぞれ接続されている。2つのアンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、前記貫通孔の第1実装面11aに密着している2つのランド11nにそれぞれ接続されている。よって、2つのアンカー部11kは、外部接続端子11g及びランド11nと一体に構成されている。2つのアンカー部11kの側面は、それぞれの前記貫通孔の壁面に密着している。また、2つのアンカー部11kの側面は、基板11が有する配線パターン等と電気的に接続されていない。
【0064】
このように構成される2つのアンカー部11kは、基板11の2つの前記貫通孔の壁面と密着している。よって、2つのアンカー部11kが接続されている外部接続端子11gは、基板11との接触面積の増加に伴い、アンカー部11kが1つの場合に比べて基板11に対する密着力が増大する。また、外部接続端子11gは、2つのアンカー部11kに生じるアンカー効果によって、アンカー部11kが1つの場合に比べて基板11に対する密着力が増大する。これにより、2つのアンカー部11kは、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させることができる。
【0065】
このように実施形態1に含まれるアンカー部11kを有する圧電振動デバイス1において、基板11と外部接続端子11gとの接触面積は、アンカー部11kと前記孔または前記凹部の壁面との接触面積分だけ増加している。また、基板11と外部接続端子11gとの接触面は、基板11の第2実装面11bに略平行な平面と基板11の第2実装面11bに垂直な前記孔または前記凹部の内壁である円筒面とによって構成される。これにより、基板11と外部接続端子11gとの接触面積の増加による密着力の増大及び前記孔または前記凹部に金属部材が入り込むことによるアンカー効果によって、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させることができる。
【0066】
また、アンカー部11kは、配線パターンの一部ではなく、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させる部材として構成されている。よって、アンカー部11kは、配線パターンへの接続性、寄生容量等を考慮する必要がないので任意の位置において任意の形状で前記外部端子に接続することができる。さらに、基板11は、加工が容易な絶縁性材料によって構成されている。よって、基板11は、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上可能なアンカー部を構成するために任意の位置において任意の形状の孔または凹部を形成することができる。
【0067】
[実施形態1の変形例4]
<積層基板の場合>
次に、
図11を用いて実施形態1に係る圧電振動デバイス1の変形例4について説明する。
図11は、圧電振動デバイス1の変形例4における
図1のA矢視に相当する部分断面図である。
【0068】
図11に示すように、圧電振動デバイス1の基板11は、2層の樹脂基板である。基板11は、第1層11Aと、第2層11Bとを有する。第1層11Aは、一方の主面に第1実装面11aを有し、他方の主面に第1接合面を有している。第2層11Bは、一方の主面に第2実装面11bを有し、他方に主面に第2接合面を有する。第1層11Aと第2層11Bとは、厚み方向に重なり合っている。第1層11Aの第1接合面は、接合材等によって第2層11Bの第2接合面に接合されている。第1層11Aの第1実装面11aには、振動子2が接合されている接続端子11dが位置している。第2層11Bの第2実装面11bには、外部接続端子11gが位置している。
【0069】
第2層11Bは、第2実装面11b側から第2接合面側に向かって延びる貫通孔を有している。アンカー部11kは、前記貫通孔に充填されている柱状の金属部材である。アンカー部11kは、第2実装面11bに垂直な方向に見て、外部接続端子11gと重なるように配置されている。
【0070】
アンカー部11kの第2実装面11b側の端部は、外部接続端子11gに接続されている。アンカー部11kの第2接合面側の端部は、第2接合面に位置する配線パターン11oの一端部に接続されている。よって、アンカー部11kは、外部接続端子11g及び配線パターン11oと一体に構成されている。また、アンカー部11kの側面は、前記貫通孔の壁面に密着している。
【0071】
配線パターン11oの他端部は、第1層11Aの厚み方向に設けられる導体11sと電気的に接続されている。導体11sは、接続端子11dに電気的に接続されている。つまり、アンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、基板11が有する配線パターン等と電気的に接続されている。したがって、アンカー部11kは、外部接続端子11gと接続端子11dとの間で制御信号等を伝達するビア導体の機能を有している。
【0072】
このように構成されるアンカー部11kが接続されている外部接続端子11gは、基板11との接触面積にアンカー部11kと前記貫通孔の壁面との接触面積が加わり、基板11に対する密着力が増大する。また、アンカー部11kが接続されている外部接続端子11gは、アンカー部11kのアンカー効果によって基板11に対する密着力が増大する。更に、アンカー部11kは、外部接続端子11gと接続端子11dとを電気的に接続する配線パターンの一部である。これにより、アンカー部11kは、配線パターンの自由度を向上させつつ、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させることができる。
【0073】
[実施形態1の変形例5]
<配線パターンが幅広部を有する場合>
次に、
図12を用いて実施形態1に係る圧電振動デバイス1の変形例5について説明する。
図12は、圧電振動デバイス1の変形例5における樹脂基板の実装面である第2実装面11bを第1実装面1a側から見た透過平面図である。
【0074】
図12に示すように、アンカー部11kは、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させる部材である。圧電振動デバイス1には、基板11の第2実装面11bに位置する4つの外部接続端子11gに対してそれぞれ1つのアンカー部11kが設けられている。
【0075】
アンカー部11kの第2実装面11b側の端部は、外部接続端子11gに接続されている。アンカー部11kの第1実装面11a側の端部は、前記貫通孔の第1実装面11aに密着しているランド11nに接続されている。よって、アンカー部11kは、外部接続端子11g及びランド11nと一体に構成されている。アンカー部11kの側面は、前記貫通孔の壁面に密着している。
【0076】
外部接続端子11gは、内部配線11cによって第1実装面11aの複数のパッドを含む前記配線パターンに接続されている。外部接続端子11gに接続される内部配線11cの端部は、幅広部11rを有している。外部接続端子11gには、幅広部11rが接続されている。また、外部接続端子11gは、幅広部11rと一体に構成されている。幅広部11rは、基板11の凹部11jの底面に密着している。幅広部11rの一部は、絶縁用樹脂によって覆われている。
【0077】
このようにアンカー部11kが接続されている外部接続端子11gは、第1実装面11aとの係合によって基板11に対する密着力が増大する。アンカー部11kは、基板11の前記貫通孔の壁面と密着している。更に、幅広部11rと一体に構成される外部接続端子11gは、基板11との接触面積に幅広部11rと凹部11jの底面との接触面積が加わり、基板11に対する密着力が増大する。これにより、外部接続端子11gは、アンカー部11kと幅広部11rとによって基板11に対する剥離強度が向上する。
【0078】
<外部接続端子の面積に対するアンカー部の接続面積の関係>
次に、
図13を用いて外部接続端子11gの面積に対するアンカー部11kの接続面積の関係について説明する。
図13は、圧電振動デバイス1における基板11の第2実装面11bを第1実装面11a側から見た透過平面図において外部接続端子11gとアンカー部11kとの接触面積を示す図である。
【0079】
圧電振動デバイス1には、基板11の熱膨張及び熱収縮による力、振動等による外部からの機械的な力等が、基板11から外部接続端子11gを剥離する力として作用する。よって、基板11から外部接続端子11gを剥離する力は、圧電振動デバイス1の大きさに影響される。熱膨張及び熱収縮による力は、基板11が大きくなるほど増大する。振動等の外部からの機械的な力は、圧電振動デバイス1の重量が重くなるほど増大する。また、基板11と外部接続端子11gの接触面積は、基板11の大きさに比例する場合が多い。すなわち、基板11から外部接続端子11gを剥離する力は、基板11と外部接続端子11gの接触面積に比例するとみなすことができる。
【0080】
図13に示すように、基板11と外部接続端子11gとの接触面積である面積S2(ハッチング部分)に対する外部接続端子11gとアンカー部11kとの接触面積である面積S1(黒塗り部分)の比率Xが比率Xの下限値よりも小さい場合、アンカー部11kは、外部接続端子11gの剥離を抑制可能なアンカー効果を奏するために必要な大きさを有していない。また、比率Xが比率Xの上限値よりも大きい場合、アンカー部11kは、外部接続端子11gとの接続位置に、外部接続端子11gと外部基板とを接合するはんだ等に空隙が生じる可能性が高い窪みを生じさせる。なお、アンカー部11kの直径Dが外部接続端子11gの短辺Bsの80%を超える場合、、外部接続端子11gと外部基板とを接合するはんだ等に空隙が生じる可能性が高い窪みが、外部接続端子11gにおけるアンカー部11kの接続位置に生じる可能性が高い。
【0081】
更に、面積S2に対する面積S1の比率Xを基板11の4隅に位置する外部接続端子11g同士の間隔のうち最も大きい間隔Lで除した比率Yが比率Yの下限値よりも小さい場合、アンカー部11kは、基板11の4隅に位置する外部接続端子11gの最大の間隔が間隔Lの圧電振動デバイス1において、外部接続端子11gの剥離を抑制可能なアンカー効果を奏するために必要な大きさを有していない。また、比率Yが比率Yの上限値よりも大きい場合、アンカー部11kは、基板11の4隅に位置する外部接続端子11gの最大の間隔が間隔Lの圧電振動デバイス1において、外部接続端子11gとの接続位置に、外部接続端子11gと外部基板とを接合するはんだ等に空隙が生じる可能性が高い窪みを生じさせる。
【0082】
以下に、形状が異なるタイプ1及びタイプ2の圧電振動デバイス1において、比率X=S1/S2、比率Y=S1/(S2×L)を算出する。
【0083】
圧電振動デバイス1において、面積S2=0.65mm×0.35mm=0.2275mm2の外部接続端子11gを有するタイプ1に対して、アンカー効果を奏するために必要な面積S1=(直径D=0.07mm/2)2×π=3.85×10-3mm2のアンカー部11kが接続されている場合、比率X=面積S1/面積S2=0.017となる。また、外部接続端子11gの短辺Bsの80%を直径Dとする面積S1=(直径D=0.28mm/2)2×π=6.15×10-2mm2のアンカー部11kが接続されている場合、比率X=面積S1/面積S2=0.271となる。
【0084】
圧電振動デバイス1において、面積S2=0.53mm×0.60mm=0.318mm2の外部接続端子11gを有するタイプ2に対して、アンカー効果を奏するために必要な面積S1=(直径D=0.07mm/2)2×π=3.85×10-3mm2のアンカー部11kが接続されている場合、比率X=面積S1/面積S2=0.012となる。また、外部接続端子11gの短辺Bsの80%を直径Dとする面積S1=(直径D=0.424mm/2)2×π=1.41×10-1mm2のアンカー部11kが接続されている場合、比率X=面積S1/面積S2=0.444となる。
【0085】
よって、アンカー部11kが外部接続端子11gの剥離を抑制可能なアンカー効果を奏するために必要な大きさの比率Xの下限値を0.012とする。また、アンカー部11kが外部接続端子11gとの接続位置に、外部接続端子11gと外部基板とを接合するはんだ等に空隙が生じる可能性が高い窪みを生じさせない比率Xの上限値を0.444とする。つまり、外部接続端子11gに接続されるアンカー部11kは、0.012≦比率X≦0.444を満たす必要がある。
【0086】
圧電振動デバイス1において、面積S2=0.65mm×0.35mm=0.2275mm2の外部接続端子11gが間隔L=2.4mmで配置されているタイプ1に対してアンカー効果を奏するために必要な面積S1=(直径D=0.07mm/2)2×π=3.85×10-3mm2のアンカー部11kが接続されている場合、比率Y=面積S1/(面積S2×L)=0.007となる。また、外部接続端子11gの短辺Bsの80%を直径Dとする面積S1=(直径D=0.28mm/2)2×π=6.15×10-2mm2のアンカー部11kが接続されている場合、比率Y=面積S1/(面積S2×L)=0.113となる。
【0087】
圧電振動デバイス1のタイプ2において、面積S2=0.53mm×0.60mm=0.318mm2の外部接続端子11gが間隔L=0.7mmで配置されているに対してアンカー効果を奏するために必要な面積S1=(直径D=0.07mm/2)2×π=3.85×10-3mm2のアンカー部11kが接続されている場合、比率Y=面積S1/(面積S2×L)=0.017となる。また、外部接続端子11gの短辺Bsの80%を直径Dとする面積S1=(直径D=0.424mm/2)2×π=1.41×10-1mm2のアンカー部11kが接続されている場合、比率Y=面積S1/(面積S2×L)=0.634となる。
【0088】
よって、基板11の4隅に位置する外部接続端子11gの最大の間隔が間隔Lの圧電振動デバイス1において、アンカー部11kが外部接続端子11gの剥離を抑制可能なアンカー効果を奏するために必要な大きさの比率Yの下限値を0.007とする。また、基板11の4隅に位置する外部接続端子11gの最大の間隔が間隔Lの圧電振動デバイス1において、アンカー部11kが外部接続端子11gとの接続位置に、外部接続端子11gと外部基板とを接合するはんだ等に空隙が生じる可能性が高い窪みを生じさせない比率Yの上限値を0.634とする。つまり、外部接続端子11gに接続されるアンカー部11kは、0.007≦比率Y≦0.634を満たす必要がある。
【0089】
以上より、面積S2の外部接続端子11gに対して0.012≦比率X≦0.444且つ0.007≦比率Y≦0.634の条件を満たす面積S1のアンカー部11kは、外部接続端子11gの剥離を抑制可能なアンカー効果を奏しつつ、外部接続端子11gと外部基板とを接合するはんだ等に空隙が生じる可能性が高い窪みを外部接続端子11gに生じさせない。よって、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させた圧電振動デバイス1を実現することができる。
【0090】
[実施形態2]
<絶縁用樹脂による剥離強度向上>
次に、
図14を用いて、本発明の圧電振動デバイスの実施形態2である圧電振動デバイス1Aについて説明する。
図14は、本発明の実施形態2に係る圧電振動デバイス1Aにおける
図1のA矢視に相当する部分断面図である。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0091】
図14に示すように、基板11の第2実装面11bは、外部接続端子11gが位置している凹部11jの底面に絶縁用樹脂11qが塗布されている。更に、凹部11jに位置する外部接続端子11gは、外縁部の少なくとも一部に絶縁用樹脂11qが塗布されている。本実施形態において、外部接続端子11gは、外縁部のすべてに絶縁用樹脂11qが塗布されている。つまり、絶縁用樹脂11qは、凹部11jの底面及び外部接続端子11gの外縁部を覆っている。外部接続端子11gは、絶縁用樹脂11qで覆われていない部分が外部基板に電気的に接続される。
【0092】
このように外部接続端子11gの外縁部に塗布される絶縁用樹脂11qは、凹部11jの底面に密着するとともに外部接続端子11gの外縁部に密着する。絶縁用樹脂11qは、外部接続端子11gにおける凹部11jの底面からの剥離の起点となり易い外縁部を接合面11h側から固定する。よって、外部接続端子11gは、固化した絶縁用樹脂11qの剛性によって基板11に対する密着力が増大する。外部接続端子11gは、外縁部に凹部11jの底面から剥離する力が加わった場合、絶縁用樹脂11qによって押えられる。これにより、アンカー部11kは、基板11に対する外部接続端子11gの剥離強度を向上させることができる。
【0093】
[実施形態3]
<圧電振動デバイス21の構成>
次に、
図15から
図17を用いて、本発明の圧電振動デバイスの実施形態3である圧電振動デバイス21について説明する。
図15は、本発明の実施形態3に係る圧電振動デバイス21の平面図である。
図16は、圧電振動デバイス21における振動子22の長手方向断面図である。
図17は、圧電振動デバイス21における基板31の第2実装面31bを第1実装面31a側から見た透過平面図である。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0094】
図15に示すように、圧電振動デバイス21は、振動子22と、集積回路素子30と、基板31と、モールド部12(
図5参照)と、を有する。
【0095】
図16に示すように、振動子22は、加えられた力を電圧に変換し、または印加された電圧を力に変換する圧電体を有する2端子の圧電振動子である。振動子22は、圧電振動板23と、第1封止部材27と、第2封止部材28とを有する。
【0096】
圧電振動板23は、水晶を特定の方向で切り出した矩形状の水晶振動片である。圧電振動板23は、枠部24と、振動部25と、連結部26とを有する。圧電振動板23は、枠部24、振動部25及び連結部26が一体成形されている。つまり、枠部24、振動部25及び連結部26は、単一の部材として構成されている。
【0097】
枠部24は、振動部25の周囲を囲む部材である。枠部24は、平面視であるZ方向に見て矩形の板材から構成されている。枠部24は、Z方向に見て、前記一対の主面がそれぞれ矩形の開口部分を有する枠状部材である。枠部24は、一方の前記主面から他方の前記主面に向かって貫通する矩形の貫通孔24cを有している。
【0098】
振動部25は、圧電体である。振動部25は、Z方向に見て、略矩形の板材である。振動部25は、枠部24の枠内に位置している。振動部25の一部は、板状の連結部26を介して枠部24に連結されている。振動部25は、連結部26を介して枠部24に片持ち支持の状態で保持されている。振動部25は、一対の励振電極25aを有している。一対の励振電極25aは、振動子実装端子24dに接続されている。
【0099】
封止部材である第1封止部材27及び第2封止部材28は、枠部24の枠内を封止する部材である。第1封止部材27及び第2封止部材28は、Z方向に見て、矩形状の部材である。第1封止部材27及び第2封止部材28は、例えば、金属製である。第1封止部材27及び第2封止部材28は、枠部24の主面が有している接合面24aに熱可塑性の接着剤である接合材33によって接合されている。
【0100】
上述のように構成される振動子22は、圧電振動板23と、圧電振動板23の開口部分を塞ぐ第1封止部材27及び第2封止部材28とを有する3層構造に構成されている。振動子22は、圧電振動板23の枠部24、第1封止部材27及び第2封止部材28によって構成される内部空間Sを有する。振動子22は、内部空間S内に振動部25が位置している。振動子22は、各振動子実装端子24dから印加された電圧によって所定の周波数で発振する。
【0101】
図15に示すように、集積回路素子30は、振動子22を制御するICである。集積回路素子30の構成は、実施形態1の集積回路素子10と同一であるため説明を省略する。
【0102】
基板31は、振動子22と集積回路素子30とを配線パターン(図示省略)によって電気的に接続し且つ一体に構成する単層の樹脂基板である。基板31は、例えば、切断等の加工が容易な絶縁体であるガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂のうちいずれか一つを基材としている。基板31は、任意の形状を有する圧電振動デバイス21を容易に構成することができる。基板31は、矩形状の板材である。
【0103】
基板31の一方の主面は、銅等の導体によって形成されたパッド、ランド等を含む前記配線パターンを有する第1実装面31aとして構成されている。第1実装面31aには、振動子22と集積回路素子30がそれぞれ搭載されている。振動子2の両方の振動子実装端子24dは、導電性の接合材によって第1実装面31aの2つの接続端子31dにそれぞれ電気的に接続されている。集積回路素子30の集積回路素子実装端子30aは、ワイヤー30bによって基板31の第1実装面31aのワイヤー接続端子31jにそれぞれ電気的に接続されている。
【0104】
図17に示すように、基板31における一方の主面に平行な他方の主面は、外部基板に実装するための8つの外部接続端子31fを有する第2実装面31bとして構成されている。外部接続端子31fは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。第1実装面31aの前記配線パターンは、内部配線31cを介して外部接続端子31fと電気的に接続されている。
【0105】
図示しないモールド部は、基板31と、基板31に実装された振動子22及び集積回路素子30とのうち少なくとも振動子22を保護する。モールド部は、実施形態1におけるモールド部12と同様であるため説明を省略する。
【0106】
次に、
図17を用いて、基板31の第2実装面31b及び外部接続端子31fについて詳細に説明する。本実施形態において、第2実装面31bは、8つの外部接続端子31fを有しているものとする。
【0107】
図17に示すように、基板31の第2実装面31bは、外部基板と電気的に接続される他方の主面である。第2実装面31bは、8つの外部接続端子31fを有している。8つの外部接続端子31fは、基板31の2つの長辺に沿って4つの外部接続端子31fがそれぞれ位置している。8つの外部接続端子31fのうち4つの外部接続端子31fは、基板31の4隅にそれぞれ位置している。つまり、基板31のそれぞれの長辺の端部に位置する2つの外部接続端子31fの間に2つの外部接続端子31fが位置している。第2実装面31bは、8つの外部接続端子31fに対応した8つの凹部31gを有している。第2実装面31b及び外部接続端子31fは、実施形態1における第2実装面11b及び外部接続端子11gと同様であるため説明を省略する。
【0108】
次に、アンカー部31hについて説明する。アンカー部31hは、基板31に対する外部接続端子31fの剥離強度を向上させる部材である。アンカー部31hは、基板31の第1実装面31a側から第2実装面31b側に向かって延びる貫通孔に充填されている柱状の金属部材である。
【0109】
アンカー部31hは、基板31の第2実装面31bに位置する8つの外部接続端子31fのうち基板31の4隅に位置する4つの外部接続端子31fと、基板31の一方の長辺側に位置する外部接続端子31f及び他方の長辺側に位置する外部接続端子31fとにそれぞれ一つ設けられている。つまり、アンカー部31hは、基板31の4隅の外部接続端子31fと、4隅の外部接続端子31fに隣接する外部接続端子31fに設けられている。アンカー部31hは、第2実装面31bに垂直な方向に見て、対応する外部接続端子31fと重なるように配置されている。
【0110】
アンカー部31hの第2実装面31b側の端部は、外部接続端子31fに接続されている。アンカー部31hの第1実装面31a側の端部は、前記貫通孔の第1実装面31aに密着しているランド31iに接続されている。アンカー部31hは、実施形態1におけるアンカー部31hと同様であるため詳細な説明を省略する。これにより、アンカー部31hは、基板31の4隅に位置する外部接続端子31fの剥離強度を向上させるとともに、基板31の4隅の外部接続端子31fに隣接する外部接続端子31fの剥離強度を向上させることで基板31に対する外部接続端子31fの剥離防止の信頼性を高めることができる。
【0111】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態において、基板11、31は、外部接続端子11g、31f毎に凹部11j、31gを有している。しかしながら、基板は、外部接続端子毎に凹部を有していなくてもよい。基板は、一つの凹部に複数の外部接続端子が位置してもよい。
【0112】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス1は、圧電振動板3、第1封止部材6及び第2封止部材8が積層された3層構造の振動子2を有する。しかしながら、圧電振動デバイスは、3層構造以上の振動子を有していてもよい。振動子は、第1封止部材の主面にサーミスタ等のセンサを更に搭載した4層の振動子でもよい。
【0113】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス1、21は、単層の基板11、31によって構成されている。しかしながら、圧電振動デバイスは、複数の層を有する積層基板によって構成されていてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態において、アンカー部11k、31hは、ランドを有している。しかしながら、アンカー部は、ランドを有さなくてもよい。
【0115】
また、上述の実施形態において、アンカー部11k、31hは、円柱状の金属部材である。しかしながら、アンカー部は、円柱状でなくてもよい。アンカー部は、例えば、角柱状、円錐状、円錐台状等でもよい。
【0116】
また、上述の実施形態において、アンカー部11k、31hは、第2実装面11b、31bと略同一平面上に位置している。しかしながら、アンカー部は、第2実装面よりも第1実装面側に位置していてもよい。すなわち、アンカー部は、第2実装面よりも窪んでいてもよい。
【0117】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス1、21は、振動子2、22及び集積回路素子10、30をモールド部よってモールドしている。しかしながら、圧電振動デバイスは、振動子及び集積回路素子をモールドしていなくてもよい。圧電振動デバイスは、振動子及び集積回路素子が筐体内に収容されている構成でもよい。
【0118】
また、上述の実施形態において、アンカー部11k、31hは、絶縁用樹脂によって覆われている。しかしながら、アンカー部は、絶縁用樹脂によって覆われていなくてもよい。
【0119】
また、上述の実施形態1の変形例3において、アンカー部11kは、1つの外部接続端子11gに対して2つ設けられている。しかしながら、アンカー部は、1つの外部接続端子に対して3つ以上設けられていてもよい。
【0120】
また、上述の実施形態1の変形例4において、アンカー部11kは、2層の積層基板である基板11の配線パターン11oに接続されている。しかしながら、積層基板が有するアンカー部は、配線パターンに接続されていなくてもよい。
【0121】
また、上述の実施形態において、アンカー部11k、31hは、基板11または基板31の貫通孔の壁面に密着している。この際、前記貫通孔の壁面は、アンカー部と壁面との密着力を向上させるための微細な凹凸等を有していてもよい。
【0122】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0123】
1、1A、21 圧電振動デバイス
2、22 振動子
3、23 圧電振動板
4、25 振動部
4a、25a 励振電極
4b 切り欠き部
5 接合材
26 連結部
6、27 第1封止部材
7、28 第2封止部材
24 枠部
24c 貫通孔
10、30 集積回路素子
10a、30a 集積回路素子実装端子
10b、30b ワイヤー
11、31 基板
11a、31a 第1実装面
11b、31b 第2実装面
11c、31c 内部配線
11d、31d 接続端子
11g、31f 外部接続端子
11e、11h、24a 接合面
11f、11j、31g 凹部
11k、31h アンカー部
11n、31i ランド
11o 配線パターン
11s 導体
11p、31j ワイヤー接続端子
11q 絶縁用樹脂
11r 幅広部
12 モールド部
33 接合材
7a、24d 振動子実装端子
S 内部空間
D 直径
L 間隔
S1、S2 面積
X、Y 比率