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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108372
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】切削インサート及び転削工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/20 20060101AFI20240805BHJP
   B23C 5/06 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B23C5/20
B23C5/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012699
(22)【出願日】2023-01-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】亀田 修司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悟
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022HH01
3C022LL01
(57)【要約】
【課題】工具本体を共通化できるコンパクトな切削インサート及び該切削インサートを用いた転削工具を提供する。
【解決手段】切削インサート10は、上面20と、該上面20とは反対側の下面40と、上面20及び下面40を繋ぐ周側面30と、を有している。上面20と周側面30とが交差する稜線11は、少なくとも一つの切れ刃14を含んでいる。周側面30は、少なくとも一つの切れ刃14に隣接した逃げ面31と、該逃げ面31に下面40側から隣接した減肉面33と、該減肉面33に下面側から隣接した拘束面32と、を含んでいる。中心軸Oを含む平面で切断した断面において、上面20の中心と下面40の中心とを通る中心軸Oに平行であって少なくとも一つの切れ刃14を通る仮想面Vと拘束面32とがなす傾斜角βは、仮想面Vと減肉面33とがなす傾斜角γよりも大きい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、該上面とは反対側の下面と、前記上面及び前記下面を繋ぐ周側面と、を有し、
前記上面と前記周側面とが交差する稜線は、少なくとも一つの切れ刃を含み、
前記周側面は、前記少なくとも一つの切れ刃に隣接した逃げ面と、該逃げ面に前記下面側から隣接した減肉面と、該減肉面に前記下面側から隣接した拘束面と、を含み、
前記切れ刃に直交する断面において、前記上面の中心と前記下面の中心とを通る中心軸であって前記少なくとも一つの切れ刃を通る仮想面と前記拘束面とがなす傾斜角は、前記仮想面と前記減肉面とがなす傾斜角よりも大きい、
切削インサート。
【請求項2】
転削工具の工具本体に装着可能な切削インサートであって、
前記工具本体に装着された状態において、前記拘束面は前記工具本体に接触し、かつ前記減肉面は前記工具本体に接触しない、
請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記上面は、前記中心軸について回転対称な略多角形であって、互いに隣接する第1コーナ及び第2コーナを含む複数のコーナを有し、
前記減肉面は、前記周側面において前記第1コーナと前記第2コーナとの中間位置に臨む位置に形成されている、
請求項1に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記拘束面は略円錐面又は略円柱面であり、前記減肉面は略平坦面に形成されている、
請求項1に記載の切削インサート。
【請求項5】
工具本体と、該工具本体の装着された切削インサートと、を備えた転削工具であって、
前記切削インサートは、
上面と、該上面とは反対側の下面と、前記上面及び前記下面を繋ぐ周側面と、を有し、
前記上面と前記周側面とが交差する稜線は、少なくとも一つの切れ刃を含み、
前記周側面は、前記少なくとも一つの切れ刃に隣接した逃げ面と、該逃げ面に前記下面側から隣接した減肉面と、該減肉面に前記下面側から隣接した拘束面と、を含み、
前記工具本体は、前記拘束面に接触し、かつ前記減肉面に接触しない、
転削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削インサート及び該切削インサートを用いた転削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、側面における主逃げ面と拘束面との間に段差部を設けることによって平坦な拘束面を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-100901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、段差部を径方向に張り出すと、その分だけ切削インサートのサイズが大きくなる結果、新たな問題が生じることがある。例えば、拘束面の形状が共通であれば、刃部の形状が異なる種々の切削インサートを共通の工具本体に固定できるところ、拘束面と比べて刃部が極端に大きいと、拘束面の形状が他の切削インサートと共通していても刃部が干渉して共通の工具本体を使用できなくなる。
【0005】
そこで、本発明は、工具本体を共通化できるコンパクトな切削インサート及び該切削インサートを用いた転削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る切削インサートは、上面と、該上面とは反対側の下面と、上面及び下面を繋ぐ周側面と、を有している。上面と周側面とが交差する稜線は、少なくとも一つの切れ刃を含んでいる。周側面は、少なくとも一つの切れ刃に隣接した逃げ面と、該逃げ面に下面側から隣接した減肉面と、該減肉面に下面側から隣接した拘束面と、を含んでいる。切れ刃に直交する断面において、上面の中心と下面の中心とを通る中心軸に平行であって少なくとも一つの切れ刃を通る仮想面と拘束面とがなす傾斜角は、仮想面と減肉面とがなす傾斜角よりも大きい。
【0007】
この態様によれば、拘束面よりも傾斜角が小さい減肉面を有しているため、切削インサートのサイズを大きくしなくても減肉面の位置において拘束面が切れ刃よりも径方向にはみ出さない。工具本体を共通化できるコンパクトな切削インサートを構成できる。
【0008】
上記態様では、工具本体に装着された状態において、拘束面は工具本体に接触し、かつ減肉面は工具本体に接触しなくてもよい。
【0009】
この態様では、減肉面が、切削インサートの回転を規制する回り止めではないため、減肉面を工具本体に接触させる必要がない。
【0010】
上記態様において、中心軸について回転対称な略多角形であって、上面は、互いに隣接する第1コーナ及び第2コーナを含む複数のコーナを有していてもよい。減肉面は、周側面において第1コーナと第2コーナとの中間位置に臨む位置に形成されていてもよい。
【0011】
この態様によれば、拘束面と逃げ面とが最も接近する第1コーナと第2コーナとの中間位置であっても、当該位置に拘束面よりも傾斜角が小さい減肉面が形成されているため、拘束面が切れ刃よりも径方向にはみ出さない。
【0012】
上記態様において、拘束面は略円錐面又は略円柱面であり、減肉面は略平坦面に形成されていてもよい。
【0013】
この態様によれば、拘束面が円錐面や円柱面である丸駒インサートをはじめとした種々の切削インサートと共通の工具本体を使用できる。
【0014】
本発明の他の一態様に係る転削工具は、工具本体と、該工具本体の装着された切削インサートと、を備えている。切削インサートは、上面と、該上面とは反対側の下面と、上面及び下面を繋ぐ周側面と、を有している。上面と周側面とが交差する稜線は、少なくとも一つの切れ刃を含んでいる。周側面は、少なくとも一つの切れ刃に隣接した逃げ面と、該逃げ面に下面側から隣接した減肉面と、該減肉面に下面側から隣接した拘束面と、を含んでいる。工具本体は、拘束面に接触し、かつ減肉面に接触しない。
【0015】
この態様によれば、上記した優れた効果を奏する切削インサートを用いて転削工具を構成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、工具本体を共通化できるコンパクトな切削インサート及び該切削インサートを用いた転削工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態の切削インサートが取り付けられた転削工具の一例を示す斜視図である。
図2図2は、切削インサートを取り外してインサート取付座を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態の切削インサートの一例を示す斜視図である。
図4図4は、図3に示された切削インサートを上面側から見た平面図である。
図5図5は、図3に示された切削インサートを下面側から見た底面図である。
図6図6は、図4中のVII-VII線に直交する径方向から見た側面図である。
図7図7は、図4中のVII-VII線に沿う断面図である。
図8図8は、図4中のIX-IX線に直交する径方向から見た側面図である。
図9図9は、図4中のIX-IX線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本発明の一実施形態の切削インサート10は、図1及び図2に示すように、工具本体2に装着可能な切削インサートであって、図3図8及び図9に示すように、工具本体2に接触する拘束面42から刃部(図示した例では、主切れ刃14、第1すくい面21、第2すくい面22及び逃げ面31)が張り出している。しかしながら、図6及び図7に示すように、拘束面42の一部を切削インサート10の中心軸O側に後退させて減肉面33を設けているため、図4及び図5に示すように、切削インサート10のサイズ、すなわち上面20の内接円の直径Iが大きくなることを抑制できる。以下、図面を参照して各構成について詳しく説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の切削インサート10が取り付けられた刃先交換式の転削工具1の一例を示す斜視図である。図1に示すように、転削工具1は、例えば正面フライス工具であって、円筒状又は円盤状に形成された工具本体2と、工具本体2の外周部に取り付けられた少なくとも一つの切削インサート10と、を備えている。各々の切削インサート10は、工具本体2のインサート取付座3に締付けねじ5等で固定されている。
【0020】
図2は、切削インサート10を取り外して図1に示されたインサート取付座3を示す斜視図である。インサート取付座3には、締付けねじ5に螺合するねじ穴4、工具本体2の径方向x、軸方向y及び周方向zの三方から切削インサート10に当接して移動を規制する第1乃至第3拘束面3x,3y,3z、ねじ止めされた切削インサート10の回転を規制する第4拘束面3θ等が設けられている。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態の切削インサート10の一例を示す斜視図である。図3に示すように、切削インサート10は、上面20と、該上面20とは反対側の下面40と、上面20及び下面40を繋ぐ周側面30と、上面20及び下面40を貫通する取付孔19と、を有している。取付孔19の中心軸は、上面4の中心と下面5の中心とを通る切削インサート10の中心軸Oと一致している。
【0022】
以下の説明において、中心軸Oに平行な方向を切削インサート10の軸方向(上下方向)zと呼ぶ。軸方向zにおいて、下面40から上面20への向きを上向き、上面20から下面40への向きを下向きと呼ぶ。さらに、中心軸Oに直交する方向を切削インサート10の径方向rと呼び、中心軸Oを中心とした円周に沿う方向を切削インサート10の周方向θと呼ぶ。
【0023】
図示した例では、切削インサート10が、略多角形の皿状に形成された上段と、略円錐台に形成された中段と、凸部37及び凹部39が形成された下段と、を含む三段構造で構成されている。工具本体2に切削インサート10が取り付けられた状態において、下面40は、前述した第3拘束面3zに接触する。中段に形成された拘束面32は、前述した工具本体2の第1及び第2拘束面3x,3yに接触する。下段に形成された凸部37と凹部38とを繋ぐ段差面(回り止め)38は、前述した第4拘束面3θに接触する。
【0024】
他方、後述する減肉面33は、切削インサート10の周方向θの回転を規制する回り止めではないため、工具本体2に切削インサート10が取り付けられた状態において、工具本体2のインサート取付座3に接触しない。
【0025】
図示した例では、上面20が、第1すくい面21、第2すくい面22、第3すくい面23、平坦面24等を有している。第1すくい面21は、稜線11に隣接している。稜線11に隣接する幅狭の第1すくい面21をランドと呼んでもよい。第2すくい面22は、稜線11とは反対側から第1すくい面21に隣接し、第3すくい面23は、第1すくい面21とは反対側から第2すくい面22に隣接している。平坦面24は、中心軸Oに直交する径方向rに平行に形成されている(図7及び図9参照)。
【0026】
図4は、図3に示された切削インサート10を上面20側から見た平面図である。図4に示すように、上面20は、例えば、中心軸Oについて回転対称な略多角形に形成され、複数のコーナA,B,C,…を有している。図示した例では、八回対称の略八角形に形成されている。上面20の形状は、図示した例に限定されず、略八角形以外の略多角形であってもよい。以下の説明において、互いに隣接するコーナA,Bを第1コーナA及び第2コーナBと呼ぶことがある。
【0027】
上面20と周側面30とが交差する稜線11は、複数のコーナA,B,C,…の各々と一対一で対応する複数の区間(多角形の辺)AB,BC,CD,…に分割されている。複数の区間AB,BC,CD,…の各々には、切れ刃の一例である主切れ刃14が一つずつ形成されている。図示した例では、主切れ刃14が直線状に形成されている。稜線11は、主切れ刃14に加え、さらい刃12やコーナ切れ刃13を更に含んでいてもよい。
【0028】
図示した例では、各々のコーナA,B,C,…に円弧状に湾曲したコーナ切れ刃13が形成され、コーナ切れ刃13を挟んで主切れ刃14とは反対側に、さらい刃12が形成されている。主切れ刃14は、一組の切れ刃11、12,13のうちで最も長く、さらい刃12及びコーナ切れ刃13よりも長く形成されている。
【0029】
さらい刃12は、加工底面の粗さを小さくする役割をもつ切れ刃であって副切れ刃とも呼ばれる。さらい刃12は、工具本体2に切削インサート3が装着された状態で、転削工具1の回転軸に略直交する向きに配置される。主切れ刃14は、工具本体2に切削インサート3が装着された状態で、さらい刃12よりも転削工具1の回転軸から遠い外側に配置される。
【0030】
図5は、図3に示された切削インサート10を下面40側から見た底面図である。図3及び図5に示すように、上面20と下面40との間を繋ぐ周側面30は、複数の区間AB,BC,CD,…の各々と一対一で対応する領域において、主切れ刃14に隣接する逃げ面31、逃げ面31に下面40側すなわち下方から隣接する減肉面33、減肉面33に下面40側すなわち下方から隣接する拘束面32を含んでいる。
【0031】
図示した例では、拘束面32が、円錐面に形成され、減肉面33が略平坦面、厳密には曲率半径が極めて大きい円錐面に形成されている。拘束面32の形状は、略円錐面に限定されず、略円柱面であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0032】
図5に示すように、下面40の輪郭は、凹部39を除いて略円形であり、上面30の輪郭は、下面40よりも大きい略多角形である。切削インサート10の径方向rにおいて、拘束面32の上縁と逃げ面31とが最も接近するコーナAとコーナBとの中間位置に減肉面33が形成されている。そのため、上面20の内接円の直径Iを大きくしなくても拘束面32の上縁が主切れ刃14よりも径方向rにはみ出さない。
【0033】
図6は、図4中のVII-VII線に直交する径方向から見た側面図である。図7は、図4中のVII-VII線に沿う断面図である。図7に示された断面は、中心軸Oを含む平面で切断した断面の一例であって、図4に示されたコーナAとコーナBとの略中間の位置において主切れ刃14に直交している。
【0034】
図6及び図7に示すように、第1及び第2すくい面21,22と逃げ面31とは、主切れ刃14を挟むように位置している。主切れ刃14、第1すくい面(ランド)21、第2すくい面22及び逃げ面31は、切削インサート10の上段において刃部(14,21,22,31)を構成している。
【0035】
主切れ刃14を通り中心軸Oに平行な仮想面V、すなわち被削材の加工面を想定したとき、仮想面Vと拘束面32とがなす傾斜角βは、仮想面Vと減肉面33とがなす傾斜角γよりも大きく、γ<βの大小関係になっている。また、仮想面Vと逃げ面31とがなす逃げ角αは、仮想面Vと拘束面32とがなす傾斜角βよりも大きく、γ<β<αの大小関係になっている。逃げ角αを大きくすると、図7中に仮想面Vとして示された被削材の加工面と逃げ面31との間に切りくずを噛み込みにくくなる。
【0036】
図8は、図4中のIX-IX線に直交する径方向から見た側面図である。図9は、図4中のIX-IX線に沿う断面図であって、中心軸OとコーナAとを含む平面で切断した断面である。図8及び図9に示すように、周側面30は、コーナA及びその近傍において、拘束面32と逃げ面31との間を繋ぐ張出面34を有している。仮想面Vと張出面34とがなす傾斜角δは、仮想面Vと拘束面32とがなす傾斜角βよりも大きく、β<δの大小関係になっている。
【0037】
張出面34に隣接する領域において、拘束面32は、下面40から拘束面32の上縁までの高さh1が一定である。減肉面33に隣接する領域において、下面40から拘束面32の上縁までの高さh2は、前述した一定の高さh1よりも低くなっている。
【0038】
以上のように構成された切削インサート10及び該切削インサート10を用いた転削工具1によれば、上面20の内接円の直径Iを大きくしなくても種々の形状の切れ刃(主切れ刃14)を構成できる。切削インサート10のサイズがコンパクトであるため、刃部(主切れ刃14、すくい面21,22、逃げ面31等)がインサート取付座3と干渉しない。丸駒インサートをはじめとした種々の切削インサートと工具本体2を共通化できる。
【0039】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0040】
例えば、上面20の形状は、略多角形に限定されず、楕円や卵形であってもよい。平面視において上面20と拘束面32の上縁とが最接近する位置に減肉面33を形成すれば、上面30が略多角形であっても楕円であっても卵形であっても共通して、切削インサート10のサイズを大きくすることなく他種の切削インサートと工具本体2を共通化できる。
【符号の説明】
【0041】
1…転削工具、2…工具本体、3…インサート取付座、3x,3y,3z,3θ…工具本体側の第1~第4拘束面、4…ねじ穴、5…締付けねじ、10…切削インサート、11…稜線、12…さらい刃、13…コーナ切れ刃、14…主切れ刃(切れ刃の一例)、19…取付孔、20…上面、21…第1すくい面、22…第2すくい面、23…第3すくい面、24…平坦面、30…周側面、31…逃げ面、32…拘束面、33…減肉面、34…張出面、37…凸部、38…段差面、39…凹部、40…下面、A~H…コーナ、h1,h2…拘束面の上縁の高さ、I…内接円の直径、O…中心軸、r…切削インサートの径方向、V…仮想面(被削材の加工面)、x…工具本体の径方向、y…工具本体の軸方向、z…切削インサートの軸方向(工具本体の周方向)、θ…切削インサートの周方向、α…逃げ角、β…拘束面の傾斜角、γ…減肉面の傾斜角、δ…張出面の傾斜角。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、該上面とは反対側の下面と、前記上面及び前記下面を繋ぐ周側面と、を有し、
前記上面と前記周側面とが交差する稜線は、少なくとも一つの切れ刃を含み、
前記周側面は、前記少なくとも一つの切れ刃に隣接した逃げ面と、該逃げ面に前記下面側から隣接した減肉面と、該減肉面に前記下面側から隣接した拘束面と、を含み、
前記切れ刃に直交する断面において、前記上面の中心と前記下面の中心とを通る中心軸に平行であって前記少なくとも一つの切れ刃を通る仮想面と前記拘束面とがなす傾斜角は、前記仮想面と前記減肉面とがなす傾斜角よりも大きく、
前記上面は、前記中心軸について回転対称な略多角形であって、互いに隣接する第1コーナ及び第2コーナを含む複数のコーナを有し、
前記減肉面は、前記周側面において前記第1コーナと前記第2コーナとの中間位置に臨む位置に形成されている
切削インサート。
【請求項2】
転削工具の工具本体に装着可能な切削インサートであって、
前記工具本体に装着された状態において、前記拘束面は前記工具本体に接触し、かつ前記減肉面は前記工具本体に接触しない、
請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記拘束面は略円錐面又は略円柱面であり、前記減肉面は略平坦面に形成されている、
請求項1に記載の切削インサート。