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  • 特開-雄型コネクタおよび雌型コネクタ 図1
  • 特開-雄型コネクタおよび雌型コネクタ 図2
  • 特開-雄型コネクタおよび雌型コネクタ 図3
  • 特開-雄型コネクタおよび雌型コネクタ 図4
  • 特開-雄型コネクタおよび雌型コネクタ 図5
  • 特開-雄型コネクタおよび雌型コネクタ 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108387
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】雄型コネクタおよび雌型コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/533 20060101AFI20240805BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01R13/533 C
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012724
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】新田 翔司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優介
(72)【発明者】
【氏名】末吉 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 正義
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康行
【テーマコード(参考)】
5E087
5G503
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF02
5E087FF06
5E087HH02
5E087PP03
5E087QQ04
5E087RR15
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】着脱式バッテリと対象機器とを接続した際に摺動摩耗や騒音の発生を抑制すること。
【解決手段】対象機器に着脱可能な着脱式バッテリと前記対象機器とを接続させるコネクタのうち雄型コネクタであって、前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に雌型コネクタのコンタクタと接触するコンタクタと、前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に前記雌型コネクタの受入部材に挿入される誘導部材と、を備え、前記誘導部材には絶縁性の弾性部材が設けられ、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタの嵌合状態において前記弾性部材が前記受入部材に対して押圧される、雄型コネクタ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器に着脱可能な着脱式バッテリと前記対象機器とを接続させるコネクタのうち雄型コネクタであって、
前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に雌型コネクタのコンタクタと接触するコンタクタと、
前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に前記雌型コネクタの受入部材に挿入される誘導部材と、を備え、
前記誘導部材には絶縁性の弾性部材が設けられ、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタの嵌合状態において前記弾性部材が前記受入部材に対して押圧される、
雄型コネクタ。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記誘導部材の基部に取り付けられている、
請求項1に記載の雄型コネクタ。
【請求項3】
前記誘導部材の前記基部には第1係止部が設けられており、
前記弾性部材には前記第1係止部に嵌合する形状の第1被係止部が設けられており、
前記弾性部材は、前記第1係止部と前記第1被係止部とが嵌合することによって、前記誘導部材の基部に固定される、
請求項2に記載の雄型コネクタ。
【請求項4】
前記第1係止部は凹形状を有し、前記第1被係止部は前記凹形状に対応する凸形状を有する、
請求項3に記載の雄型コネクタ。
【請求項5】
対象機器に着脱可能な着脱式バッテリと前記対象機器とを接続させるコネクタのうち雌型コネクタであって、
前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に雄型コネクタのコンタクタと接触するコンタクタと、
前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に前記雄型コネクタの誘導部材を中空部に受け入れる受入部材と、を備え、
前記受入部材には絶縁性の弾性部材が設けられ、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタの嵌合状態において前記弾性部材が前記受入部材に対して押圧される、
雌型コネクタ。
【請求項6】
前記弾性部材は前記受入部材の奥部に取り付けられている、
請求項5に記載の雌型コネクタ。
【請求項7】
前記弾性部材は凹型形状の内周面を有し、前記誘導部材が導入される方向に沿った溝部が前記内周面に設けられている、
請求項5に記載の雌型コネクタ。
【請求項8】
前記弾性部材には、前記受入部材の最奥部に設けられた第2係止部に嵌合される第2被係止部が設けられており、
前記第2被係止部は、前記第2係止部に押し込まれる方向に交わる方向に設けられた溝部を有し、
前記第2係止部は、前記第2被係止部が押し込まれる入口部分の内径が、それよりも奥側の内径よりも狭くなっている、
請求項5に記載の雌型コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄型コネクタおよび雌型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雄型コネクタと雌型コネクタとを備えるコネクタ構造が知られている。例えば、特許文献1には、雌型接続子の雌型端子と接続される複数の雄型端子と、複数の雄型端子を支持する樹脂製の雄型端子支持台と、雄型端子支持台に固定された金属製のピン部材とを備える雄型接続子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/010433号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、金属製のピン部材にガイドピンを設け、雌型端子支持台に設けられたガイド穴に当該ガイドピンを挿入することによって、雄型接続子と雌型接続子とを嵌合するものである。しかしながら、正確嵌合をサポートするガイドピンには、微摺動に伴う摩耗が発生しやすい傾向がある。
【0005】
さらに、近年、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、着脱可能なバッテリ(以下、着脱式バッテリ)を電気自動車や電動2輪車などの車両に装着して駆動用バッテリとして用いたり、バッテリ交換装置(BEX)に装着して充電を行う技術が開発されている。着脱式バッテリを車両又はバッテリ交換装置に装着する際に、コネクタの接続部と非接続部との間の嵌合隙間が小さい場合には、コネクタの製造に高い精度が要求される。一方、コネクタの接続部と非接続部との間の嵌合隙間が大きい場合には、例えば、着脱式バッテリを車両に搭載した際に、当該車両の走行に伴って、摺動摩耗や騒音が発生する。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、着脱式バッテリと対象機器とを接続した際に摺動摩耗や騒音の発生を抑制することができる雄型コネクタおよび雌型コネクタを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る雄型コネクタおよび雌型コネクタは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る雄型コネクタは、対象機器に着脱可能な着脱式バッテリと前記対象機器とを接続させるコネクタのうち雄型コネクタであって、前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に雌型コネクタのコンタクタと接触するコンタクタと、前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に前記雌型コネクタの受入部材に挿入される誘導部材と、を備え、前記誘導部材には絶縁性の弾性部材が設けられ、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタの嵌合状態において前記弾性部材が前記受入部材に対して押圧されるものである。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記弾性部材は、前記誘導部材の基部に取り付けられているものである。
【0009】
(3):上記(2)の態様において、前記誘導部材の前記基部には係止部が設けられており、前記弾性部材には前記第1係止部に嵌合する形状の第1被係止部が設けられており、前記弾性部材は、前記第1係止部と前記第1被係止部とが嵌合することによって、前記誘導部材の基部に固定されるものである。
【0010】
(4):上記(3)の態様において、前記係止部は凹形状を有し、前記被係止部は前記凹形状に対応する凸形状を有するものである。
【0011】
(5):この発明の一態様に係る雌型コネクタは、対象機器に着脱可能な着脱式バッテリと前記対象機器とを接続させるコネクタのうち雌型コネクタであって、前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に雄型コネクタのコンタクタと接触するコンタクタと、前記着脱式バッテリが前記対象機器に装着される際に前記雄型コネクタの誘導部材を中空部に受け入れる受入部材と、を備え、前記受入部材には絶縁性の弾性部材が設けられ、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタの嵌合状態において前記弾性部材が前記受入部材に対して押圧されるものである。
【0012】
(6):上記(5)の態様において、前記弾性部材は前記受入部材の奥部に取り付けられているものである。
【0013】
(7):上記(5)の態様において、前記弾性部材は凹型形状の内周面を有し、前記誘導部材が導入される方向に沿った溝部が前記内周面に設けられているものである。
【0014】
(8):上記(5)の態様において、前記弾性部材には、前記受入部材の最奥部に設けられた第2係止部に嵌合される第2被係止部が設けられており、前記第2被係止部は、前記第2係止部に押し込まれる方向に交わる方向に設けられた溝部を有し、前記第2係止部は、前記第2被係止部が押し込まれる入口部分の内径が、それよりも奥側の内径よりも狭くなっているものである。
【発明の効果】
【0015】
(1)~(8)の態様によれば、着脱式バッテリと対象機器とを接続した際に摺動摩耗や騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の雄型コネクタおよび雌型コネクタによって接続される着脱式バッテリと対象機器の使用環境1の一例を示す図である。
図2】雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とを含むコネクタ構造の組み付け前の状態を示す図である。
図3】雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とを含むコネクタ構造の組み付け後の状態を示す図である。
図4】弾性部材4aの構造の一例を示す図である。
図5】弾性部材4aの構造の別の例を示す図である。
図6】弾性部材4bの構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[使用環境]
以下、図面を参照し、本発明の雄型コネクタおよび雌型コネクタの実施形態について説明する。図1は、本発明の雄型コネクタおよび雌型コネクタによって接続される着脱式バッテリと対象機器の使用環境1の一例を示す図である。使用環境1は、例えば、複数の着脱式バッテリ100と、複数のバッテリ交換ステーション200(BEX: battery exchanger)と、管理サーバ300とを備える。複数のバッテリ交換ステーション200と、管理サーバ300とは、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWには、電動車両10が通信可能に接続されてもよい。ネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等を含む。電動車両10およびバッテリ交換ステーション200のうち少なくとも一方は、「対象機器」の一例である。
【0018】
電動車両10は、バッテリ交換ステーション200から貸し出される一または複数の着脱式バッテリ100を搭載し、搭載された着脱式バッテリ100から供給された電力によって走行する。また、電動車両10は、着脱式バッテリ100と、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関とを組み合わせた駆動によって走行するハイブリッド電動車両や燃料電池車両であってもよい。使用環境1に適用可能な電動車両10は、電動二輪車のほか、電動自転車、電動三輪車、電動四輪車、ハイブリッド車両等の車両、電動キックスケータ、またはロボット等であってもよい。電動車両に搭載される複数の着脱式バッテリ100は、バッテリユニットとして利用者に貸し出されてもよい。
【0019】
バッテリ交換ステーション200は、電動車両10の駆動源である着脱式バッテリ100の充電および交換(返却、貸出)を行う装置である。着脱式バッテリ100は、電動車両10に着脱自在に装着される。着脱式バッテリ100は、移動型ポータブル電源等の用途に用いられる電源装置であってもよい。バッテリ交換ステーション200は、系統連携等を行うために着脱式バッテリ100から放電させることも行ってよい。
【0020】
電動車両10は、着脱式バッテリ100を着脱可能に搭載する車両である。図1の例では、着脱式バッテリ100の蓄電部120により供給される電力によって駆動される電動モータによって走行する、鞍乗り型の電動車両(電動二輪車)10-1と、車室内乗車型の電動車両(電動四輪車)10-2とが示されている。例えば、図1に示す電動車両10-1には、二つの着脱式バッテリ100が搭載可能であり、電動車両10-2には、三つの着脱式バッテリ100が搭載可能である。このように、電動車両10の種類や形状等によって、搭載可能な着脱式バッテリ数が異なる。また、車種によって使用可能な着脱式バッテリが異なるものであってもよい。
【0021】
着脱式バッテリ100は、電動車両10に装着される際、相互のバッテリ接続部を介して電動車両10に電気的に接続される。また、着脱式バッテリ100は、バッテリ交換ステーション200に存在する複数のスロット210のうちの一つに収容される際、相互のバッテリ接続部を介してバッテリ交換ステーション200に電気的に接続される。本実施形態において、着脱式バッテリ100は、バッテリ接続部として雌型コネクタ3を有し、電動車両10又はバッテリ交換ステーション200のスロット210は、バッテリ接続部として雄型コネクタ2を有する。すなわち、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とが嵌合することによって、着脱式バッテリ100と電動車両10又はバッテリ交換ステーション200とが電気的に接続される。以下、雄型コネクタ2および雌型コネクタ3のコネクタ構造について詳細に説明する。
【0022】
[コネクタ構造]
以下、必要に応じてxyz軸を図示し、それに沿って説明を行う。図2は、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とを含むコネクタ構造の組み付け前の状態を示す図である。図2は、本実施形態に係る雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とを含むコネクタ構造を示している。本実施形態において、コネクタ構造Cは、一対のコネクタ2、3を備えるコネクタ構造である。コネクタ構造Cは、一対のコネクタ2、3として、一対のコネクタ2、3の一方である雄型コネクタ2と、一対のコネクタ2、3の他方である雌型コネクタ3とを備えている。
【0023】
本明細書において、雌型コネクタ3が雄型コネクタ2に組み付けられる方向(特許請求の範囲における「導入される方向」と同じ方向であり、図中、z軸のマイナス方向)を組み付け方向と称する。ここで、本明細書において、「組み付け方向」とは、たとえば嵌合などによって、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とが電気的に接続されている使用状態になるように互いに接近する方向である。例えば、図2の場合、雌型コネクタ3をy軸周りに180度回転させることによって、雌型コネクタ3は雄型コネクタ2と向き合う組み付け方向を向く。
【0024】
図2に示されるコネクタ構造Cでは、雌型コネクタ3が雄型コネクタ2に組み付け方向から嵌合することで、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とが電気的に接続される。一方、雄型コネクタ2と嵌合した雌型コネクタ3が雄型コネクタ2から組み付け方向とは反対方向に離脱することで、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3との電気的接続が解除される。雄型コネクタ2と雌型コネクタ3が電気的に接続されると、着脱式バッテリ100は対象機器との間で充電又は放電を行う一方、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3との電気的接続が解除されると、着脱式バッテリ100による充電又は放電は停止される。
【0025】
雄型コネクタ2は、着脱式バッテリ100が対象機器に装着される際に雌型コネクタ3のコンタクタ31と電気的に接続されるコンタクタ21と、着脱式バッテリ100が対象機器に装着される際に雌型コネクタ3の受入部材32に挿入される誘導部材22とを備える。図2に示す通り、コンタクタ21とコンタクタ31は、互いにペアとなる複数個のコンタクタを含み、図中、これら複数個のコンタクタは、x軸方向に沿って並べられている。複数個のコンタクタのうち、例えば、両端のコンタクタは着脱式バッテリ100の充放電に用いられる一方、他のコンタクタは着脱式バッテリ100と対象機器との間の通信に用いられる。
【0026】
誘導部材22は、例えば、金属製のガイドピンであり、着脱式バッテリ100が対象機器に装着される際に、コンタクタ21とコンタクタ31との接触に先立って、誘導部材22は受入部材32の中空部に挿入され、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3との間の円滑な嵌合を誘導する。これにより、コンタクタ21とコンタクタ31との接触に起因する破損や摩耗を防ぐことができる。
【0027】
ここで、誘導部材22と受入部材32との接触に起因する破損や摩耗を防ぐため、誘導部材22と受入部材32の中空部との間には嵌合隙間が存在する。嵌合隙間が存在する場合、例えば、着脱式バッテリ100が電動車両10に装着された際に、電動車両10の走行に伴って、着脱式バッテリ100が摺動し、バッテリの破損や摩耗を引き起こすことがあり得る。このような摺動を抑制するために、誘導部材22の基部には、ゴムブッシュ等の絶縁性の弾性部材4aが設けられる。雄型コネクタ2の誘導部材22が雌型コネクタ3の受入部材32に挿入され、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とが嵌合状態になると、弾性部材4aは受入部材32に対して押圧され、誘導部材22は、その押圧量に応じた反力を受ける。これにより、誘導部材22の摺動を抑制し、摺動に起因する誘導部材22の破損や摩耗、騒音の発生などを防ぐことができる。
【0028】
雌型コネクタ3は、着脱式バッテリ100が対象機器に装着される際に雄型コネクタ2のコンタクタ21と電気的に接続されるコンタクタ31と、着脱式バッテリ100が対象機器に装着される際に誘導部材22を中空部に受け入れる受入部材32とを備える。図2では図示されていないが、受入部材32の奥部には絶縁性の弾性部材4bが設けられ、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とが嵌合状態になると、弾性部材4bが受入部材32に対して押圧され、誘導部材22は、その押圧量に応じた反力を受ける。これにより、弾性部材4aを設ける場合と同様に、誘導部材22の摺動を抑制し、摺動に起因する誘導部材22の破損や摩耗、騒音の発生などを防ぐことができる。
【0029】
図3は、雄型コネクタ2と雌型コネクタ3とを含むコネクタ構造の組み付け後の状態を示す図である。図3は、図2に示す状態において、着脱式バッテリ100の雌型コネクタ3をy軸周りに180度回転させることによって、第1方向D1から雄型コネクタ2に組み付けた状態を表している。図3において、誘導部材22は、受入部材32と、弾性部材4aおよび弾性部材4bにおいてのみ接触し、弾性部材4aおよび弾性部材4bを押圧することによって、その押圧量に応じた反力をxy平面方向に受ける。これにより、xy平面方向(すなわち、誘導部材22のスライド方向)における誘導部材22の摺動を抑制することができる。
【0030】
なお、図3は、弾性部材4aと弾性部材4bの両方が設けられている場合を表しているが、本発明はそのような構成に限定されず、誘導部材22の摺動を抑制するために、弾性部材4aと弾性部材4bとのうちの少なくとも一方が設けられればよい。
【0031】
図4は、弾性部材4aの構造の一例を示す図である。図4の左部は弾性部材4aの全体図を表し、図4の右部は弾性部材4aの径方向に関する断面図を表す。図4に示す通り、弾性部材4aは、その内周面上に、内側に突出する凸部4a1(「第1被係止部」の一例である)を有し、誘導部材22は、図3に示される凹部(「第1係止部」の一例である)22aを有する。弾性部材4aの凸部4a1と誘導部材22の凹部22aとが互いに係止することによって、弾性部材4aは、誘導部材22の基部に固定される。
【0032】
図5は、弾性部材4aの構造の別の例を示す図である。図5に示す例において、弾性部材4aはリング状に形成され、図4に示す例と同様、その内周面上に、内側に突出する凸部4a1を有する。このように、弾性部材4aは、少なくとも誘導部材22と係止する被係止部を備えていればよい。さらに、本実施形態において、弾性部材4aは凸部4a1を有し、誘導部材22は凹部22aを有しているが、本発明はそのような構成に限定されず、弾性部材4aが係止部としての凹部を有し、誘導部材22が被係止部としての凸部を有してもよい。
【0033】
図6は、弾性部材4bの構造の一例を示す図である。図6の左部は弾性部材4bの全体図を表し、図6の右部は弾性部材4bの径方向に関する断面図を表す。図6に示す通り、弾性部材4bは、凹型形状の内周面を有し、その内周面上に、誘導部材22が導入される方向に沿った溝部4b1が設けられている。さらに、弾性部材4bには、受入部材32の最奥部に設けられた係止部32a(「第2係止部」の一例である)に係止される溝部4b2(「第2被係止部」の一例である)が設けられており、溝部4b2は、受入部材32の最奥部に設けられた係止部32aに押し込まれる方向に交わる方向に設けられたものである。係止部32aは、溝部4b2が押し込まれる入口部分の内径が、それよりも奥側の内径よりも短くなっているため、溝部4b2が係止部32aに押し込まれて係止状態になった場合、一定の内径を有する係止部に係止された場合に比して、固定力が増すこととなる。これにより、xy平面方向における誘導部材22の摺動をさらに効果的に抑制することができる。
【0034】
以上の通り説明した本実施形態によれば、着脱式バッテリと対象機器とを接続させる雄型コネクタと雌型コネクタのうちの少なくとも一方に絶縁性の弾性部材を設け、雄型コネクタと雌型コネクタの嵌合状態において弾性部材から受ける反力により、着脱式バッテリの摺動を抑制する。これにより、着脱式バッテリと対象機器とを接続した際に摺動摩耗や騒音の発生を抑制することができる。
【0035】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0036】
2 雄型コネクタ
3 雌型コネクタ
4a、4b 弾性部材
4a1 凸部
4b1、4b2 溝部
10 電動車両
21、31 コンタクタ
22 誘導部材
22a凹部
32 受入部材
32a 係止部
100 着脱式バッテリ
200 バッテリ交換ステーション
210 スロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6