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特開2024-10839油揚げの製造装置および油揚げの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010839
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】油揚げの製造装置および油揚げの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/45 20210101AFI20240118BHJP
【FI】
A23L11/45 108A
A23L11/45 108Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112375
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】522282081
【氏名又は名称】松田 清克
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】松田 清克
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB06
4B020LS04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】油揚げの内部に対して空気を確実に注入することができるようにする。
【解決手段】本発明の油揚げの製造装置は、油揚げTの広面に対して空気注入針を刺し込んで油揚げの内部に空気を注入するガス注入装置5を備える。ガス注入装置は、ほぼ水平姿勢に維持した状態で搬送される油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入するガス注入手段を備えることを特徴とする油揚げの製造装置。
【請求項2】
前記ガス注入手段は、1枚の油揚げの広面に対して複数のガス注入針を刺し込んでガスを注入することを特徴とする請求項1に記載の油揚げの製造装置。
【請求項3】
前記ガス注入手段は、1枚の油揚げの広面に対して搬送方向について複数列および搬送方向に垂直な方向について複数列に複数のガス注入針を刺し込んでガスを注入することを特徴とする請求項2に記載の油揚げの製造装置。
【請求項4】
前記ガス注入手段は、1枚の油揚げの広面の大きさに応じて異なる数のガス注入針を刺し込んでガスを注入することを特徴とする請求項2に記載の油揚げの製造装置。
【請求項5】
油槽から油揚げ引き上げ機で引き上げられた油揚げをほぼ水平姿勢に維持した状態で搬送する搬送手段を備え、
前記ガス注入手段は、前記搬送手段により搬送される油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の油揚げの製造装置。
【請求項6】
前記ガス注入手段は、
前記搬送手段の搬送路から所定距離だけ離れた位置に配置される押さえ板と、
前記搬送手段の搬送路と前記押さえ板との間に配置される油揚げの広面に対して前記ガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入することを特徴とする請求項5に記載の油揚げの製造装置。
【請求項7】
前記押さえ板は、開口を有しており、
前記ガス注入手段は、前記ガス注入針が前記開口を通過するように前記ガス注入針を移動させて油揚げに刺し込むことを特徴とする請求項6に記載の油揚げの製造装置。
【請求項8】
油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入することを特徴とする油揚げの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油揚げの製造装置および油揚げの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、油揚げの生地を油槽の内部に所定時間浸漬させて引き上げた後、引き上げた油揚げを整列コンベア上に載せて搬送しながら、油揚げに空気注入針を刺し込んで空気を注入して、油揚げの内部の厚さ方向両側に分離することでシャリなどが入る空隙を形成する油揚げの製造装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の油揚げの製造装置において、整列コンベアは、水平部と、水平部の終わりに形成される垂直部とを有している。水平部上を搬送された油揚げは、垂直部と揚げ固定板との間を下方に搬送される。このとき、空気注入針が下降して油揚げの上面に刺し込まれて、油揚げの内部に空気が吹き込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-43893
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1と同様の油揚げの製造装置では、油揚げを出荷する際、多数枚の油揚げを厚さ方向に積層した状態で出荷用ケースに整列収納する必要があるため、図10に示すように、フライヤで揚げられた油揚げTを水平コンベア503で搬送した後、水平コンベア503の下流側において油揚げTを縦姿勢にした状態で整列させることが考えられる。具体的には、水平コンベア503の下流側に、周方向に所定間隔おきに配置される複数の支え板533を有する搬送チェーン532を設けて、支え板533を隣り合う2つの支持板531間から上方に突出させる。すると、搬送チェーン532の回転にともなって、支え板533は、隣り合う2つの支持板531間を搬送方向に移動して油揚げTを搬送する。
【0006】
このようにすると、水平コンベア503から支持板531上に移動した油揚げTは、搬送チェーン532の回転方向に連続する2つの支え板533間に1つずつ嵌入されるようになる。すると、油揚げTは、搬送チェーン532の回転にともなって、縦姿勢を保った状態で支持板531上を搬送される。このような油揚げの製造装置では、縦姿勢を保った状態で搬送される油揚げの端面に空気注入装置505の空気注入針531を刺し込んで、空気を油揚げTの内部に吹き込むことが考えられる。
【0007】
しかしながら、油揚げの端面は、面積が小さいため、空気注入針51を適正に刺し込むのが困難である。さらに、空気を注入すると油揚げが厚さ方向に膨らむため、それを見込んで空気注入前の油揚げの厚さに対して2つの支え板533間の距離を厚み方向に大きめに設定する必要がある。そのため、2つの支え板533間において縦姿勢となった油揚げが、搬送方向に斜めになり起立姿勢が一律でなくなるため、空気注入針51の刺し込みが確実になされず、歩留まりが悪くなる問題がある。
【0008】
本発明は、これらの課題に着目してなされたものであって、油揚げの内部に対して空気などのガスを確実に注入することができる油揚げの製造装置および油揚げの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明の油揚げの製造装置は、油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入するガス注入手段を備えることを特徴とする。
【0011】
このようにすると、油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んでガスを注入するため、油揚げの内部に対してガスを確実に注入することができる。
【0012】
本発明の油揚げの製造装置において、前記ガス注入手段は、1枚の油揚げの広面に対して複数のガス注入針を刺し込んでガスを注入することが好適である。
【0013】
このようにすると、油揚げの広面は、ガス注入針を刺し込み可能な範囲が大きいため、複数のガス注入針を刺し込んでガスを注入することで、ガス注入効率が向上する。
【0014】
本発明の油揚げの製造装置において、前記ガス注入手段は、1枚の油揚げの広面に対して搬送方向について複数列および搬送方向に垂直な方向について複数列に複数のガス注入針を刺し込んでガスを注入することが好適である。
【0015】
このようにすると、複数のガス注入針を縦横複数列の複数個所に刺し込んでガスを注入することで、油揚げの内部にガスを均等に注入することができる。
【0016】
本発明の油揚げの製造装置において、前記ガス注入手段は、1枚の油揚げの広面の大きさに応じて異なる数のガス注入針を刺し込んでガスを注入することが好適である。
【0017】
このようにすると、油揚げに刺し込まれるガス注入針の数が、油揚げの広面の大きさに応じて変化するため、大きさが異なる複数種類の油揚げに対してもガスを適正に注入することができる。
【0018】
本発明の油揚げの製造装置において、油槽から油揚げ引き上げ機で引き上げられた油揚げをほぼ水平姿勢に維持した状態で搬送する搬送手段を備え、前記ガス注入手段は、前記搬送手段により搬送される油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入することが好適である。
【0019】
このようにすると、ほぼ水平姿勢に維持した油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んでガスを注入するため、油揚げの内部に対してガスを確実に注入することができる。
【0020】
本発明の油揚げの製造装置において、前記ガス注入手段は、前記搬送手段の搬送路から所定距離だけ離れた位置に配置される押さえ板と、前記搬送手段の搬送路と前記押さえ板との間に配置される油揚げの広面に対して前記ガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入することが好適である。
【0021】
このようにすると、ガスが注入されて油揚げが膨らんだときに、その膨らんだ部分が押さえ板に当接して膨らむのが抑制されるため、油揚げ全体を隅々まで膨らませることができる。
【0022】
本発明の油揚げの製造装置において、前記押さえ板は、開口を有しており、前記ガス注入手段は、前記ガス注入針が前記開口を通過するように前記ガス注入針を移動させて油揚げに刺し込むことが好適である。
【0023】
このようにすると、ガスが注入されて油揚げが膨らんだときに、その膨らんだ部分が膨らむのを押さえ板により確実に抑制することができる。
【0024】
本発明の油揚げの製造方法は、油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んで油揚げの内部にガスを注入することを特徴とする。
【0025】
このようにすると、油揚げの広面に対してガス注入針を刺し込んでガスを注入するため、油揚げの内部に対してガスを確実に注入することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、油揚げの内部に対してガスを確実に注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る油揚げの製造装置1の構成を示す模式図である。
図2図1の油揚げの製造装置1に含まれる搬送台30の構成を示す平面図である。
図3図1の油揚げの製造装置1に含まれる空気注入装置5の構成を示す斜視図である。
図4図1の油揚げの製造装置1に含まれる給気管50および押さえ板52構成を示す図である。
図5】油揚げTaに対して空気が注入される際の空気注入針51の位置を説明する斜視図である。
図6図1の油揚げの製造装置1に含まれる給気管50および押さえ板52構成を示す図である。
図7】油揚げTbに対して空気が注入される際の空気注入針51の位置を説明する斜視図である。
図8】空気注入装置5の下方まで搬送された油揚げTの内部に空気が注入される際の動作を説明する模式図である。
図9】空気注入装置5の下方まで搬送された油揚げTの内部に空気が注入される際の動作を説明する模式図である。
図10】従来の油揚げの製造装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
本実施形態の油揚げの製造装置1は、フライヤ2と、水平コンベア3と、空気注入装置5と、収納部6とを有している。
【0030】
フライヤ2は、複数のバケット10が取り付けられたベルトコンベア11を有する油揚げ引き上げ機12と、ベルトコンベア11の下部が内部を通過する油槽13と有している。
【0031】
バケット10は、油揚げ用の生地を収容するものであり、ベルトコンベア11の幅方向(図1の奥行き方向)に複数列に配置される。油揚げの製造装置1において、バケット10内に装入された生地は、ベルトコンベア11が回転することにより油槽13の内部に所定時間浸漬される間に揚げられて油揚げTとなる。
【0032】
フライヤ2で揚げられた油揚げTは、ベルトコンベア11の回転により支持台16の先端部を超える位置まで搬送されると、重力によりバケット10内から離れて水平コンベア5上に移動する。
【0033】
水平コンベア3は、搬送台30と、搬送台30の下方に配置される搬送チェーン32とを有している。なお、水平コンベア3の搬送台30は、水平面上に配置されている必要はなく、水平面に対して傾斜していてもよい。
【0034】
搬送台30は、図2に示すように、搬送方向に沿って配置される複数の板状部材31を有している。複数の板状部材31は、略同一水平面上において複数列を形成するように固定される。隣り合う2つの板状部材31間には、所定の隙間が形成されている。その隙間からは、複数の板状部材31の下方に配置される搬送チェーン32が見える状態となる。
【0035】
搬送チェーン32は、周方向に所定間隔おきに配置される複数の係止板33を有している。係止板33は、隣り合う2つの板状部材31間の隙間に配置され、隣り合う2つの板状部材31間から上方に突出している。そのため、搬送チェーン32が回転すると、係止板33は、隣り合う2つの板状部材31間を搬送方向に移動する。
【0036】
上述したように、ベルトコンベア11のバケット10内から離れて水平コンベア5上に移動した油揚げTは、係止板33により係止されながら板状部材31上を搬送方向に搬送される。そのとき、油揚げTの下面は、搬送台30の上面と略平行に配置された状態で搬送される。なお、搬送方向に連続する2つの係止板33間の距離は、油揚げの長さ(搬送方向長さ)よりも大きくなっている。
【0037】
収納部6は、水平コンベア3の搬送方向下流側に配置される。搬送台30の終端には、下方に曲げられた湾曲部30aが設けられており、略水平面に沿って搬送された油揚げTは、湾曲部30aを下方に向かって滑るように移動して収納部6に収納される。
【0038】
収納部6は、収納台60と、収納台60の下方に配置される回転体62とを有している。詳細な説明は省略するが、収納台60は、搬送台30と同様に、搬送方向に沿って配置される複数の板状部材61を有している。複数の板状部材61は、略同一水平面上において複数列を形成するように固定される。隣り合う2つの板状部材61間には、所定の隙間が形成されている。その隙間からは、複数の板状部材61の下方に配置される回転体62が見える状態となる。
【0039】
回転体62は、周方向に所定間隔おきに配置される複数の係止板63を有している。係止板63は、隣り合う2つの板状部材61間の隙間に配置され、隣り合う2つの板状部材61間から上方に突出している。そのため、回転体62が回転すると、係止板63は、隣り合う2つの板状部材61間を搬送方向に移動する。
【0040】
回転体62は、水平コンベア3の搬送台30の終端に配置される湾曲部30aに近接して配置されており、湾曲部30aを下方に向かって滑るように移動した油揚げTは、回転方向に連続する2つの係止板63間に1つずつ嵌入する。
【0041】
すると、油揚げTは、回転体62の回転にともなって係止板63により回転方向に押圧されながら、縦姿勢になって板状部材61上に載置される。このようにして、収納部6において、複数の油揚げTは、縦姿勢を保った状態で板状部材61上に整列配置される。
【0042】
空気注入装置5は、図3に示すように、水平コンベア3の搬送台30の搬送方向途中部分の上方において搬送方向と垂直方向に沿って設けられる。空気注入装置5は、給気管50と、空気注入針51と、押さえ板52とを有している。
【0043】
給気管50は、略直方体形状の中空の部材である。給気管50の内部には、その上面に接続された給気ホース50aを介して空気が供給される。給気管50の下面には、図4に示すように、複数の空気注入針51が設けられている。
【0044】
給気管50は、図示しない上下駆動装置により上下方向に往復移動するように駆動される。具体的には、給気管50は、搬送台30の下方に設けられた搬送チェーン32の駆動源(図示せず)に連結されており、搬送チェーン32の回転移動と連動して所定のストロークにて上下動するように駆動される。
【0045】
複数の空気注入針51は、給気管50の下面から下方に向けて、給気管50の幅方向に間隔をあけて設けられる。空気注入針51は、給気管50の内部と連通しており、給気管50内の空気を先端から吹出すように構成される。
【0046】
押さえ板52は、搬送台30の搬送面から上方に所定距離c(図8(a)参照)だけ離れた位置に配置される。所定距離cは、油揚げTの厚さt(空気が注入されていない油揚げTの厚さt)よりも大きい距離である。押さえ板52には、図4に示すように、空気注入針51を通過させるための円形の開口53が形成されている。そのため、給気管50が上下方向に移動する際に、空気注入針51が開口53の略中央を通過する。
【0047】
本実施形態の油揚げの製造装置1では、異なる形状の2種類の油揚げTa、Tbの製造を行うことができる。例えば、油揚げTaは、図5に示すように、ほぼ水平姿勢に平置きされた場合、その略水平断面が略正方形状である略直方体形状の油揚げである。そのとき、油揚げTaの端面(小口)は、ほぼ鉛直方向に沿って配置され、その端面に略垂直な面が、ほぼ水平に配置される広面(面部)である。本実施形態において、油揚げTaの広面の辺の長さは、油揚げTaの端面の厚さtよりも長くなっている。
【0048】
同様に、油揚げTbは、図7に示すように、ほぼ水平姿勢に平置きされた場合、その略水平断面が略長方形状である略直方体形状の油揚げである。そのとき、油揚げTbの端面(小口)がほぼ鉛直方向に沿って配置され、その端面に略垂直な面が、ほぼ水平に配置される広面(面部)である。本実施形態において、油揚げTbの広面の辺の長さは、油揚げTbの端面の厚さtよりも長くなっている。
【0049】
図4では、給気管50の下面図および押さえ板52の上面図を示すとともに、油揚げTaが製造される場合の搬送経路を図示している。複数の油揚げTaが平置きされた状態で水平コンベア3の幅方向に沿って列を形成して空気注入装置5の下方まで搬送される。すると、図5に示すように、略水平姿勢に維持された1枚の油揚げTaの広面に対して、4つの空気注入針51を刺し込んで油揚げTaの内部に空気が注入される。このように、空気注入装置5は、水平コンベア3により搬送される1枚の油揚げTaに対して搬送方向について2列および搬送方向に垂直な方向について2列に4つの空気注入針51を刺し込んで空気を注入する。
【0050】
図6では、給気管50の下面図および押さえ板52の上面図を示すとともに、油揚げTbが製造される場合の搬送経路を図示している。複数の油揚げTbが平置きされた状態で水平コンベア3の幅方向に沿って列を形成して空気注入装置5の下方まで搬送される。すると、図7に示すように、略水平姿勢に維持された1枚の油揚げTbの広面に対して、6つの空気注入針51を刺し込んで油揚げTbの内部に空気が注入される。このように、空気注入装置5は、水平コンベア3により搬送される1枚の油揚げTbに対して搬送方向について2列および搬送方向に垂直な方向について3列に6つの空気注入針51を刺し込んで空気を注入する。
【0051】
このように、本実施形態の油揚げの製造装置1では、複数の油揚げTが搬送台30の幅方向に沿う列を形成するように載置されるが、その際、図4及び図6に示すように、搬送台30の一端に配置された複数の油揚げTは、その一端部が所定位置に配置される。そのため、油揚げTaが製造される場合は、搬送台30の幅方向に1列に配置された複数の油揚げTaの何れにおいても、図4に示すように1枚の油揚げTaの広面に対して4つの空気注入針51が刺し込まれるようになる。同様に、油揚げTbが製造される場合は、搬送台30の幅方向に1列に配置された複数の油揚げTbの何れにおいても、
図6に示すように1枚の油揚げTbの広面に対して6つの空気注入針51が刺し込まれるようになる。なお、空気が注入された後の油揚げTの広面には、空気注入針51が刺し込まれたときに形成された穴が残る。
【0052】
空気注入装置5の下方まで搬送された油揚げTの内部に空気が注入される際の動作について、図8及び図9に基づいて説明する。
【0053】
図8(a)に示すように、1枚の油揚げTが空気注入装置5の下方まで搬送されると、図8(b)に示すように、給気管50が下方に移動して空気注入針51が油揚げTの広面に挿し込まれる。このとき、給気管50は、押さえ板52の上面に当接するまで下方に移動する。そのため、空気注入針51の先端が、搬送台30上に載置された油揚げTの厚さ方向の略中央部に配置される。
【0054】
その状態で、空気注入針51の先端から空気が油揚げTの内部に吹出されると、図8(c)に示すように、油揚げTの内部に空隙が形成され、油揚げTの中央部分が下方に膨らんで、油揚げTの厚さが厚くなる。さらに、空気注入針51の先端から空気が油揚げTの内部に吹出されると、図9(a)に示すように、油揚げTの内部に形成される空隙が大きくなり、油揚げTの膨らんだ部分が押さえ板52に当接して膨らむのが抑制される。
【0055】
そのため、その後、空気注入針51の先端から油揚げTの内部に吹出される空気は、油揚げTの内部を略水平方向外側に移動するようになり、図9(b)に示すように、油揚げTの全体が略均等に膨らんで、油揚げTの全体の厚さが略均等に厚くなる。このように油揚げTの内部への空気の注入が終了すると、図9(c)に示すように、給気管50が上方に移動して空気注入針51が油揚げTから引き抜かれる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の油揚げの製造装置1は、油揚げTの広面に対してガス注入針51を刺し込んで油揚げTの内部にガスを注入するガス注入装置5(空気注入手段)を備えることを特徴とする。
【0057】
このようにすると、油揚げTの広面に対して空気注入針51を刺し込んで空気を注入するため、油揚げTの内部に対して空気を確実に注入することができる。
【0058】
本実施形態の油揚げの製造装置1において、空気注入装置5は、1枚の油揚げTの広面に対して複数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入する。
【0059】
このようにすると、油揚げTの広面は、空気注入針51を刺し込み可能な範囲が大きいため、複数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入することで、空気注入効率が向上する。
【0060】
本実施形態の油揚げの製造装置1において、空気注入装置5は、1枚の油揚げTの広面に対して搬送方向について複数列および搬送方向に垂直な方向について複数列に複数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入する。
【0061】
このようにすると、複数の空気注入針51を縦横複数列の複数個所に刺し込んで空気を注入することで、油揚げTの内部に空気を均等に注入することができる。
【0062】
本実施形態の油揚げの製造装置1において、空気注入装置5は、1枚の油揚げTの広面の大きさに応じて異なる数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入する。
【0063】
このようにすると、油揚げTに刺し込まれる空気注入針51の数が、油揚げTの大きさに応じて変化するため、大きさが異なる複数種類の油揚げTに対しても空気を適正に注入することができる。
【0064】
本実施形態の油揚げの製造装置1において、油槽13から油揚げ引き上げ機12で引き上げられた油揚げTをほぼ水平姿勢に維持した状態で搬送する水平コンベア3(搬送手段)を備え、空気注入装置5は、水平コンベア3により搬送される油揚げTの広面に対して空気注入針51を刺し込んで油揚げTの内部に空気を注入する。
【0065】
このようにすると、ほぼ水平姿勢に維持した油揚げTの広面に対して空気注入針51を刺し込んで空気を注入するため、油揚げTの内部に対して空気を確実に注入することができる。
【0066】
本実施形態の油揚げの製造装置1において、空気注入装置5は、水平コンベア3の搬送路から所定距離cだけ離れた位置に配置される押さえ板52と、水平コンベア3の搬送路と押さえ板52との間に配置される油揚げTの広面に対して空気注入針51を刺し込んで油揚げTの内部に空気を注入する。
【0067】
このようにすると、空気が注入されて油揚げTが膨らんだときに、その膨らんだ部分が押さえ板52に当接して膨らむのが抑制されるため、油揚げTの全体を隅々まで膨らませることができる。
【0068】
本実施形態の油揚げの製造装置1において、押さえ板52は、開口53を有しており、空気注入装置5は、空気注入針51が開口53を通過するように空気注入針51を移動させて油揚げTに刺し込む。
【0069】
このようにすると、空気が注入されて油揚げTが膨らんだときに、その膨らんだ部分が膨らむのを押さえ板52により確実に抑制することができる。
【0070】
本実施形態の油揚げの製造方法は、油揚げTの広面に対して空気注入針51を刺し込んで油揚げTの内部に空気を注入する。
【0071】
このようにすると、油揚げTの広面に対して空気注入針51を刺し込んで空気を注入するため、油揚げTの内部に対して空気を確実に注入することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0073】
例えば上記実施形態では、1枚の油揚げTに対して複数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入しているが、それに限られない。例えば、1枚の油揚げTに対して1つの空気注入針51を刺し込んで空気を注入してもよい。
【0074】
上記実施形態では、1枚の油揚げTに対して搬送方向に複数列および搬送方向に垂直な方向に複数列に複数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入しているが、それに限られない。例えば、1枚の油揚げTに対して搬送方向に複数列および搬送方向に垂直な方向に1列に複数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入してもよい。また、1枚の油揚げTに対して搬送方向に1列および搬送方向に垂直な方向に複数列に複数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入してもよい。
【0075】
上記実施形態では、空気注入装置5が、水平コンベア3により搬送される1枚の油揚げTの大きさに応じて異なる数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入するが、それに限られない。空気注入装置5は、水平コンベア3により搬送される1枚の油揚げTの大きさにかかわらず、同一の数の空気注入針51を刺し込んで空気を注入してもよい。
【0076】
上記実施形態では、空気注入装置5が、水平コンベア3の搬送路と押さえ板52との間に配置される油揚げTに対して空気注入針51を刺し込んで油揚げTの内部に空気を注入するが、それに限られない。空気注入装置5は、押さえ板52を有してなくてもよい。
【0077】
上記実施形態では、空気注入装置5が、空気注入針51が開口53を通過するように空気注入針51を移動させて油揚げTに刺し込むが、それに限られない。空気注入装置5が空気注入針51を油揚げTに刺し込むときの移動方法は任意である。
【0078】
上記実施形態では、異なる形状の2種類の油揚げTaおよび油揚げTbの製造を行う場合を説明したが、それに限られない。油揚げTの形状は任意である。また、油揚げTに対して刺し込まれる空気注入針51の数および配置は任意である。
【0079】
上記実施形態では、油揚げTに対して空気を注入しているが、それに限られない。例えば、油揚げTに対して空気以外のガス(気体)を注入してもよい。
【0080】
上記実施形態では、ほぼ水平姿勢に維持される油揚げTの広面に対して空気注入針51を刺し込んで油揚げTの内部にガスを注入するが、それに限られない。例えば、ほぼ鉛直姿勢に維持される油揚げTの広面に対して空気注入針51を刺し込んで油揚げTの内部にガスを注入してもよい。
【0081】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 油揚げの製造装置
3 水平コンベア(搬送手段)
5 空気注入装置(ガス注入手段)
12 油揚げ引き上げ機
13 油槽
51 空気注入針(ガス注入針)
52 押さえ板
53 開口
T 油揚げ
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10