(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010840
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】いなり餅包装品およびいなり餅製造装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240118BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20240118BHJP
A23P 20/20 20160101ALI20240118BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A23L7/10 102
A23L35/00
A23P20/20
B65D85/50 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112376
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】522282081
【氏名又は名称】松田 清克
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】松田 清克
【テーマコード(参考)】
3E035
4B023
4B036
4B048
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035AB07
3E035BA02
3E035BC02
3E035CA04
3E035DA01
4B023LE23
4B023LE30
4B023LK12
4B023LK20
4B023LT60
4B036LE05
4B036LF19
4B036LH22
4B036LH26
4B036LH50
4B036LP19
4B048PE12
4B048PP01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】油揚げを味付けするための出汁により消費者の手が汚れることなく、いなり餅を食することを可能とする。
【解決手段】本発明に係るいなり餅包装品は、味付けされた油揚げ3の内部に餅5が詰められたいなり餅を包材50により包装したものである。包材は、凹形状である収容部51aと、収容部の開口の周囲に配置された鍔部51bとを含む容器部51と、収容部の開口を密閉するように鍔部に接合される蓋部52とを有する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
味付けされた油揚げの内部に餅が詰められたいなり餅を包材により包装したいなり餅包装品。
【請求項2】
いなり餅を包材により個別包装したものであることを特徴とする請求項1に記載された、いなり餅包装品。
【請求項3】
冷凍されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載された、いなり餅包装品。
【請求項4】
前記包材は、
凹形状である収容部と、収容部の開口の周囲に配置された鍔部とを含む容器部と、
前記収容部の開口を密閉するように前記鍔部に接合される蓋部とを有することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載された、いなり餅包装品。
【請求項5】
複数の餅を収容可能な餅収容部と、
前記餅収容部から供給された餅を載せる餅受板と、
複数の味付けされた油揚げを載置可能なターンテーブルとを備え、
前記餅受板上の餅を前記ターンテーブル上にある油揚げの内部に挿入していなり餅を製造するいなり餅製造装置。
【請求項6】
前記餅収容部の下方を通過した状態で前記餅受板上にある第1の餅を押しながら油揚げの内部に対して進退可能に設けられた挿入棒を備え、
前記挿入棒が前記第1の餅を押しながら油揚げの内部に向かって移動している間は、前記餅収容部の内部において前記第1の餅の直上にあった第2の餅が前記挿入棒の上面に載置され、
前記第1の餅を油揚げの内部に挿入した後、前記挿入棒が前記餅収容部の下方以外の位置まで移動すると、前記第2の餅が前記餅受板上に供給されることを特徴とする請求項5に記載された、いなり餅製造装置。
【請求項7】
前記餅収容部を、寿司飯を供給可能な寿司飯供給機構に取り替えると、いなり寿司製造装置として使用可能であることを特徴とする請求項5または6に記載された、いなり餅製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いなり餅包装品およびいなり餅製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、甘くあるいは甘辛く煮付けた油揚げを袋状に開いて寿司飯を詰めたいなり寿司が古くから広く一般的に食されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、甘くあるいは甘辛く煮付けた油揚げのなかに、寿司飯の代わりに、餅を詰めたいなり餅が食されるようになっている。
【0005】
そのため、消費者がいなり餅を家庭で食することができるように、甘くあるいは甘辛く煮付けた油揚げと、油揚げ内に詰める餅とを別々に包装して袋詰めにしたものが販売されている。
【0006】
消費者が上記袋詰めされた油揚げと餅によりいなり餅を作って食する場合、まず、油揚げを包装パックから取り出すとともに餅を包装パックから取り出す。引き続き、油揚げの切口部を開いて、餅を油揚げ内に詰めて、いなり餅を作る必要がある。
【0007】
しかしながら、包装パック内に包装された油揚げは、甘くあるいは甘辛く煮付けされており、味付けするための出汁とともに包装されている。そのため、油揚げを包装パックから取り出して油揚げの切口部を開く際に、消費者の手に出汁が付着してしまう。さらに、餅を油揚げ内に挿入する際にも、手で油揚げを持って油揚げの切口部を開いた状態に保持する必要があり、消費者の手に出汁が付着してしまう。このように、味付けされた油揚げと、油揚げ内に詰める餅とが別々に包装されている場合、出汁が手に付着してしまうため、消費者が手に付着した出汁を洗い流すなど、余計な手間が発生する問題がある。
【0008】
本発明は、これらの課題に着目してなされたものであって、油揚げを味付けするための出汁により消費者の手が汚れることなく、いなり餅を食することが可能ないなり餅包装品およびいなり餅を製造するいなり餅製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明に係るいなり餅包装品は、味付けされた油揚げの内部に餅が詰められたいなり餅を包材により包装したものである。
【0011】
このようにすると、消費者がいなり餅を食する際に、味付けされた油揚げと油揚げ内に詰める餅とが別々に包装されている場合のように、消費者が餅を油揚げ内に詰めて、いなり餅を作る必要がない。そのため、消費者の手に出汁が付着するのを抑制し、手に付着した出汁を洗い流すなどの余計な手間が発生するのを抑制できる。
【0012】
本発明に係るいなり餅包装品において、いなり餅を包材により個別包装したものであることが好適である。
【0013】
このようにすると、いなり餅が1つずつ個別包装されるため、消費者がいなり餅を食する際の利便性が向上する。
【0014】
本発明に係るいなり餅包装品において、冷凍されたものであることが好適である。
【0015】
このようにすると、いなり餅を長期間保管することができるとともに、冷凍されたいなり餅を解凍することで食することができる。
【0016】
本発明に係るいなり餅包装品において、前記包材は、凹形状である収容部と、収容部の開口の周囲に配置された鍔部とを含む容器部と、前記収容部の開口を密閉するように前記鍔部に接合される蓋部とを有することが好適である。
【0017】
このようにすると、いなり餅を容易に真空パックすることができる。
【0018】
本発明に係るいなり餅製造装置は、複数の餅を収容可能な餅収容部と、前記餅収容部から供給された餅を載せる餅受板と、複数の油揚げを載置可能なターンテーブルとを備え、前記餅受板上の餅を前記ターンテーブル上にある油揚げの内部に挿入していなり餅を製造するものである。
【0019】
このようにすると、餅収容部に収容した複数の餅を順に餅受板上に供給し、餅受板上にある餅をターンテーブル上にある油揚げの内部に自動的に挿入することができる、そのため、いなり餅を自動的に量産することができる。
【0020】
本発明に係るいなり餅製造装置において、前記餅収容部の下方を通過した状態で前記餅受板上にある第1の餅を押しながら油揚げの内部に対して進退可能に設けられた挿入棒を備え、前記挿入棒が前記第1の餅を押しながら油揚げの内部に向かって移動している間は、前記餅収容部の内部において前記第1の餅の直上にあった第2の餅が前記挿入棒の上面に載置され、前記第1の餅を油揚げの内部に挿入した後、前記挿入棒が前記餅収容部の下方以外の位置まで移動すると、前記第2の餅が前記餅受板上に供給されることが好適である。
【0021】
このようにすると、複数に餅を収容した餅収容部から餅受板上に餅を1つずつ容易に供給することができる。
【0022】
本発明に係るいなり餅製造装置において、前記餅収容部を、寿司飯を供給可能な寿司飯供給機構に取り替えると、いなり寿司製造装置として使用可能であることが好適である。
【0023】
このようにすると、いなり餅を製造するいなり餅製造装置を、いなり寿司を製造するいなり寿司製造装置として兼用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、油揚げを味付けするための出汁により消費者の手が汚れることなく、いなり餅を食することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る、いなり餅製造装置1の構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示したいなり餅製造装置1の構成を示す概略平面図である。
【
図3】
図1に示したいなり餅製造装置1の主要部の構成を示す模式図である。
【
図5】餅収容部12を装置本体10の筐体10aに対して着脱する動作を説明する図である。
【
図6】餅収容部12を装置本体10の筐体10aに対して着脱する動作を説明する図である。
【
図7】餅収容部12を装置本体10の筐体10aに対して着脱する動作を説明する図である。
【
図8】餅5を油揚げ3の内部に挿入する動作を説明する図である。
【
図9】餅5を油揚げ3の内部に挿入する動作を説明する図である。
【
図10】餅5を油揚げ3の内部に挿入する動作を説明する図である。
【
図11】餅5を油揚げ3の内部に挿入する動作を説明する図である。
【
図12】餅5を油揚げ3の内部に挿入する動作を説明する図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る、いなり餅包装品ATを示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る、いなり餅包装品ATを示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る、いなり餅包装品ATの分解図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る、いなり餅製造装置1をいなり寿司製造装置として使用する場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態のいなり餅製造装置1は、
図1~3に示すように、複数枚の油揚げ3の内部に餅5を挿入することにより、複数個のいなり餅Aを自動的に製造する装置である。餅5を挿入する油揚げ3としては、予め甘くまたは甘辛く味付けされたものが使用される。
【0028】
いなり餅製造装置1は、
図1及び
図2に示すように、装置本体10と、ターンテーブル11とを備えている。
【0029】
装置本体10は、筐体10aに対して着脱可能な餅収容部12と、餅収容部12の最下にある餅5が載置される餅受台13と、餅受台13上の餅5をターンテーブル11上の油揚げ3の内部に移動させる挿入棒14と、一対のチャック16とを備えている。
【0030】
餅収容部12は、油揚げ3の内部に挿入される複数の餅5を収容するものであり、筐体10aの上面に形成された取り付け穴10cを通過するように筐体10aに対して取り付け可能である。餅収容部12は、上下方向に延びる筒状に形成され、複数の餅5を上下方向に積層して収容可能である。本実施形態において、餅5は、略正方形状の板状であり、餅収容部12は、餅5の大きさよりも僅かに大きい水平断面の空隙を有している。
【0031】
餅受台13は、餅収容部12の下端から供給される餅5を載置した後、その餅5をターンテーブル11の内側に向かって案内する部材である。餅受台13は、ターンテーブル11に向かって前進する方向およびターンテーブル11から離間する方向に移動可能である。
【0032】
餅受台13の先端部には、
図3に示すように、上回動部材13aと、下回動部材13bとが取り付けられている。上回動部材13aおよび下回動部材13bは、餅受台13の左右方向に沿った幅と略同一の幅を有する板状部材である。上回動部材13aは、取付部材13a
1を支点として回転可能に構成され、下回動部材13bは、取付部材13b
1を支点として回転可能に構成される。なお、本実施形態では、上回動部材13aおよび下回動部材13bは、取付部材13a
1、13b
1により餅受台13に取り付けられているが、取付部材13a
1、13b
1が取り付けられる餅受台13の部分の図示を省略している。
【0033】
餅5を油揚げ3の内部に挿入する際に、餅受台13の先端部がターンテーブル11の外周部近傍まで移動すると、上回動部材13aは、取付部材13a1を支点として上方に回転し、下回動部材13bは、取付部材13b1を支点として下方に回転するように構成されている。これにより、上回動部材13aは、餅5が挿入される油揚げ3の切口部の上皮の下面に接触する位置に移動し、下回動部材13bは、餅5が挿入される油揚げ3の切口部の下皮の上面に接触する位置に移動して、油揚げ3の切口部の上皮及び下皮を開口した位置に保持することができる。
【0034】
このように、油揚げ3の切口部の上皮及び下皮が、上回動部材13aおよび下回動部材13bにより開口した位置に保持された状態において、上回動部材13aと下回動部材13bとの間を、油揚げ3の内部に挿入される餅及び挿入棒14が通過することができる。
【0035】
なお、上回動部材13aおよび下回動部材13bには、図示しないバネが接続されており、餅受台13の先端部がターンテーブル11の外周部近傍まで移動した場合に、上回動部材13aおよび下回動部材13bは開くように回転するが、餅受台13の先端部が上記位置からターンテーブル11から離れるように移動した場合に、上回動部材13aおよび下回動部材13bは閉じるように構成されている。
【0036】
挿入棒14は、餅収容部12の下方を通過した状態で油揚げ3の内部に進退可能に設けられており、餅受台13上の餅5を水平方向に押しながら油揚げ3の内部に挿入するためのものである。そのため、挿入棒14は、ターンテーブル11に向かって前進して油揚げ3の内部に進入する方向、および、油揚げ3の内部から退避してターンテーブル11から離間する方向に移動可能に設けられる。
【0037】
一対のチャック16a、16bは、
図3に示すように、油揚げ3の内部に餅5を挿入する際に油揚げ3の切口部の上下皮を掴んで油揚げ3を開口させた状態で保持するためのものである。チャック16a、16bは、餅受台13からの餅挿入位置(挿入棒14により餅が押し出される位置)においてターンテーブル11を挟むように上下対になって配置されており、それぞれ上下方向に移動可能に設けられる。下側のチャック16bは、ターンテーブル11の孔11aを通過して油揚げ3の下皮を掴むことが可能である。
【0038】
上側のチャック16aは、
図1に示すように支持部材18により支持され、下側のチャック16bは、図示しない支持部材により支持されており、一対のチャック16a、16bは、図示しない駆動機構により連動して上下方向に移動する。なお、上述した餅受台13及び挿入棒14は、図示しない駆動機構により連動して水平方向に移動する。
【0039】
ターンテーブル11は、間欠的に回転可能に設けられており、
図1に示すように、所定間隔を空けて載置された油揚げ3を装置本体10からの餅挿入位置に搬送する。
【0040】
具体的には、ターンテーブル11は、
図2に示すように、円形の板状部材であり、その外周部には、油揚げ載置領域11aと、油揚げ載置領域11aよりも高く形成された凸部11bとが交互に配置される。すなわち、ターンテーブル11の外周部には、複数の凸部11bが一定の間隔を空けて形成され、隣り合う2つの凸部11b間に油揚げ載置領域11aが設けられる。このように、油揚げ載置領域11aは、凸部11bよりも高さが低くなっており、隣り合う2つの凸部11b間に配置された油揚げ3が位置決めされる。
【0041】
なお、
図1は、ターンテーブル11の複数の油揚げ載置領域11aに、油揚げ3が載置された状態が図示され、
図2は、ターンテーブル11の複数の油揚げ載置領域11aに、油揚げ3が載置されてない状態が図示されている。餅5が挿入される前の平坦状の油揚げ3は、油揚げ載置領域11a上に載置されて、ターンテーブル11によって間欠搬送される。油揚げ3は、その一辺の切口部を外側に向けた状態で油揚げ載置領域11a上に載置される。
【0042】
また、油揚げ載置領域11aには、
図2に示すように、ターンテーブル11の上下面を貫通する孔11nがそれぞれ形成されている。この孔11nは、油揚げ3の内部に餅5を挿入するときに、油揚げ3を開口させる際に油揚げの下皮を保持するために、下側のチャック16bを通過させるために使用される(
図9参照)。
【0043】
次に、餅収容部12の詳細な構成について、
図4に基づいて説明する。
【0044】
餅収容部12は、略矩形の水平断面を有する筒状部材であり、その内部空間に複数の餅5を収容可能である。餅収容部12の右側面(餅収容部12が装置本体10の筐体10aに取り付けられたときに右側に配置される面)は、開口しており、内部に収容される餅5を視認可能である。
【0045】
餅収容部12の背面(餅収容部12が装置本体10の筐体10aに取り付けられたときに後方側に配置される面)には、
図4に示すように、餅保持機構12Cが設けられている。餅保持機構12Cは、餅5が内部に収容された状態で餅収容部12の下面が下方を向いたとしても、餅5が餅収容部12の下面から出てしまうのを防止するものである。
【0046】
図4(a)は、餅保持機構12Cが餅5の外部への移動を規制する保持状態を示し、
図4(b)は、餅保持機構12Cが餅の外部への移動を規制しない開放状態を示している。
【0047】
餅保持機構12Cは、2つの支持板12aと、2つの回転部材12bと、ばね12Rと、切り替え板12Tとを有している。
【0048】
2つの支持板12aは、餅収容部12の背面の下端部近傍において、左右方向に突出するように餅収容部12の背面にそれぞれ取り付けられている。
【0049】
2つの回転部材12bは、2つの支持板12aに対して回転可能にそれぞれ支持されている。2つの回転部材12bの上端部には、留め具12nがそれぞれ取り付けられる。2つの回転部材12bの下端部には、回転部材12bの下端から餅収容部12の内側に向かって折れ曲がるように係止部12cがそれぞれ形成される。係止部12cは、餅収容部12の側面に沿うように長尺に形成され、餅収容部12内の空隙の長さと略同一長さを有している。そのため、餅保持機構12Cが保持状態である場合、係止部12cは、餅収容部12内の空隙の左右両側において、餅収容部12内の空隙の下面を正面側から背面側の略全域にわたって塞ぐことができる。
【0050】
ばね12Rは、2つの回転部材12bの上端部に取り付けられる2つの留め具12nの間に接続される。
【0051】
切り替え板12Tは、2つの回転部材12bの上端部よりも上方において、上下方向に移動可能に餅収容部12の背面に設けられる。切り替え板12Tは、横長の長方形状の部材であり、その両端近傍の下端部には、矩形状の切り欠き12Taがそれぞれ形成される。なお、切り替え板12Tは、手動または駆動機構により、上下方向に移動させることができる。
【0052】
図4(a)に示す保持状態では、切り替え板12Tが上下方向可動範囲の下端位置にあり、2つの回転部材12bの上端部の留め具12nが、切り替え板12Tの切り欠き12Taに嵌り込んでいる。そのため、2つの回転部材12bの上端部は、ばね12Rのバネ力に逆らって広げられた状態に維持される。そのとき、2つの回転部材12bの下端部の係止部12cが餅収容部12の内側にそれぞれ配置される。すなわち、2つの係止部12cは、餅収容部12に収容される複数の餅5のなかで最下にある餅5の下面と接触する。よって、
図4(a)に示す保持状態では、餅収容部12の下面から餅5が外部へ移動しないように規制される。
【0053】
これに対して、
図4(b)に示す開放状態では、切り替え板12Tが上下方向可動範囲の上端位置にあり、2つの回転部材12bの上端部の留め具12nが、切り替え板12Tの切り欠き12Taの外側に移動する。そのため、2つの回転部材12bの上端部は、ばね12Rのバネ力により近づいた状態に維持される。そのとき、2つの回転部材12bは、支持板12aを支点として回転し、2つの回転部材12bの下端部の係止部12cが餅収容部12の外側にそれぞれ配置される。すなわち、2つの係止部12cは、餅収容部12に収容される複数の餅5のなかで最下にある餅5の下面と接触しない。よって、
図4(b)に示す開放状態では、餅収容部12の下面から餅5が外部へ移動可能な状態になる。
【0054】
餅収容部12を装置本体10に対して着脱する動作について、
図5~
図7に基づいて説明する。
【0055】
餅収容部12を装置本体10に対して取り付ける際には、餅保持機構12Cを保持状態にして、
図5に示すように、餅収容部12の下端を装置本体10の筐体10aの上面に形成された取り付け穴10nの上方に配置する。
【0056】
引き続き、餅収容部12を装置本体10の取り付け穴10nに向かって移動させて、装置本体10の筐体10aに差し込む。すると、
図6に示すように、餅収容部12の正面に取り付けられた規制板12pの下面が装置本体10内の規制板10pの上面に接触して、餅収容部12が装置本体10に対して適正位置まで差し込まれる。
【0057】
その後、
図7に示すように、切り替え板12Tを例えば手動により上方に向かって移動させると、餅保持機構12Cが保持状態から開放状態に切り替わり、餅収容部12に収容される複数の餅5のなかで最下にある餅5が、餅収容部12の下面から外部へ移動して、餅受け板13上に載置される。
【0058】
次に、本実施形態のいなり餅製造装置1の動作について、
図8~
図12に基づいて説明する。なお、いなり餅製造装置1の動作は、図示しない制御部の制御により実行される。
【0059】
餅5を油揚げ3の内部に挿入する動作を開始する時、
図8に示すように、上下のチャック16a、16b、餅受台13および挿入棒14は、予め設定された位置(初期設定位置)に停止している。その後、上側のチャック16aが下降するとともに、下側のチャック16bが上昇する。
【0060】
上下のチャック16a、16bは、ターンテーブル11上にある油揚げ3の上下皮を掴む。その後、
図9に示すように、下側のチャック16bにより油揚げ3の下皮を掴んだまま、上側のチャック16aを油揚げ3の上皮を掴んで上昇させて油揚げ3の切口部を開口状態にする。そのとき、餅受台13および挿入棒14は、初期設定位置に停止したままの状態である。
図9の状態では、餅収容部12内に収容された複数の餅5のなかで最下部に配置される餅5aが、餅受台13上に供給されている。
【0061】
引き続き、油揚げ3の上下皮を一対のチャック16a、16bで掴んだままで、餅受台13の先端をターンテーブル11の外周部に向かって移動させる。すると、
図10に示すように、上回動部材13aが上方に回転して油揚げ3の切口部の上皮を開口した位置に保持し、下回動部材13bが下方に回転して油揚げ3の切口部の下皮を開口した位置に保持する。
【0062】
そのとき、挿入棒14が餅受台13上の餅5aを押しながら油揚げ3の内部に向かって移動している。このように、挿入棒14が餅5aを押しながら油揚げ3の内部に向かって移動している間は、餅収容部12の内部において、油揚げ3の内部に挿入される餅5aの直上にあった餅5bが挿入棒14の上面に載置される。
【0063】
その状態において、
図11に示すように、挿入棒14の先端を油揚げ3の内部まで移動させる。すると、餅受台13に載っていた餅5aが挿入棒14により押されて、餅受台13上から油揚げ3の内部に移動する。
【0064】
その後、上下のチャック16a、16b、餅受台13および挿入棒14を初期設定位置に向かって移動させる。挿入棒14の先端が餅収容部12の外部まで移動すると、
図12に示すように、餅収容部12の内部において挿入棒14の上面に載っていた餅5bが下方に移動して、その餅5bは、餅受台13上に載置される。このように、餅5aを油揚げ3の内部に挿入した後、挿入棒14が餅収容部12の外部に移動すると、餅5bが餅受板13上に供給される。
【0065】
その後、上述した動作を、ターンテーブル11の間欠的な回転動作により装置本体10の餅挿入位置に搬送された油揚げ3に対して順に施すことにより、いなり餅Aが量産される。
【0066】
以上説明したように、いなり餅製造装置1により製造したいなり餅Aを個別包装した、いなり餅包装品ATの構成について、
図13~
図15に基づいて説明する。
【0067】
いなり餅包装品ATは、
図13及び
図14に示すように、密閉された容器状の包材50内に、いなり餅Aを1つずつ個別に真空パック(真空包装)したものである。具体的には、いなり餅包装品ATは、
図15に示すように、いなり餅Aを、容器部51の内部に配置して、蓋部52により容器部51の内部を減圧しながら密閉して真空パックされる。いなり餅包装品ATは、いなり餅が包材50内に収容された状態で冷凍されたものである。
【0068】
包材50は、樹脂製のいわゆる深絞り包装であり、容器部51と蓋部52とを有している。容器部51は、一方向に向かって開口した略直方体形状の凹形状である収容部51aと、収容部51aの開口の周囲全体に配置された鍔部51bとを含んでいる。鍔部51bは、略同一の平面に沿って設けられている。容器部51は、樹脂製のフィルムを熱成型することにより形成される。樹脂フィルムは、透明または半透明のものである。
【0069】
蓋部52は、樹脂製のフィルムであり、容器部51の収容部51aの開口を密閉するものである。蓋部52は、容器部51の鍔部51bに、鍔部51bの全周にわたって溶着される。蓋部52は、刃物等を用いずに容器部51から剥がすことができる。
【0070】
なお、本実施形態のいなり餅製造装置1において、装置本体10の筐体10aに取り付けられた餅収容部12を取り外して、
図16に示すように、餅収容部12に代えて、寿司飯供給機構112を装置本体10の筐体10aに取り付けることで、いなり寿司製造装置として使用することができる。
【0071】
寿司飯供給機構112は、寿司飯収容部112aと、寿司飯収容部112aの下方に取り付けられた寿司飯成型部112bとを有している。寿司飯収容部112aは、上部が開口した箱状部材を有し、箱状部材の内部には、回転することにより寿司飯を柔らかく解す図示しない解し部材が設けられている。寿司飯収容部112aの下端には、寿司飯が通過する開口112nが形成されており、開口112nを介して寿司飯収容部112aから寿司飯成型部112bに寿司飯が供給される。
【0072】
寿司飯成型部112bは、左右に離れた図示しない2つの回転ベルトを有しており、2つの回転ベルト間の距離は、上部から下部に向かって狭くなっている。そのため、寿司飯収容部112aから寿司飯成型部112bに供給された寿司飯は、2つの回転ベルト間を下方に向かって移動する間に、予め設定された大きさ、形状および重さになるように計量分割される。
【0073】
本実施形態のいなり餅製造装置1をいなり寿司製造装置として使用する場合、寿司飯成型部112bにより成型された寿司飯は、餅受台13上に供給された後で、ターンテーブル11上にある油揚げ3の内部に挿入されて、いなり寿司が製造される。なお、餅受台13上にある寿司飯が、ターンテーブル11上にある油揚げ3の内部に挿入される動作は、餅受台13上にある餅が、ターンテーブル11上にある油揚げ3の内部に挿入される動作と略同一である。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るいなり餅包装品ATは、味付けされた油揚げ3の内部に餅5が詰められたいなり餅Aを包材50により包装したものである。
【0075】
このようにすると、消費者がいなり餅Aを食する際に、味付けされた油揚げと油揚げ内に詰める餅とが別々に包装されている場合のように、消費者が餅5を油揚げ3内に詰めて、いなり餅Aを作る必要がない。そのため、消費者の手に出汁が付着するのを抑制し、手に付着した出汁を洗い流すなどの余計な手間が発生するのを抑制できる。
【0076】
本実施形態に係るいなり餅包装品ATにおいて、いなり餅Aを包材10により個別包装したものであることが好適である。
【0077】
このようにすると、いなり餅Aが1つずつ個別包装されるため、消費者がいなり餅Aを食する際の利便性が向上する。
【0078】
本実施形態に係るいなり餅包装品ATにおいて、冷凍されたものであることが好適である。
【0079】
このようにすると、いなり餅Aを長期間保管することができるとともに、冷凍されたいなり餅Aを解凍することで食することができる。
【0080】
本実施形態に係るいなり餅包装品ATにおいて、包材50は、凹形状である収容部51aと、収容部51aの開口の周囲に配置された鍔部51bとを含む容器部51と、収容部11の開口を密閉するように鍔部51bに接合される蓋部52とを有することが好適である。
【0081】
このようにすると、いなり餅Aを容易に真空パックすることができる。
【0082】
本実施形態に係るいなり餅製造装置1は、複数の餅5を収容可能な餅収容部12と、餅収容部12から供給された餅5を載せる餅受板13と、複数の油揚げ3を載置可能なターンテーブル11とを備え、餅受板13上の餅5をターンテーブル11上にある油揚げ2の内部に挿入していなり餅Aを製造するものである。
【0083】
このようにすると、餅収容部12に収容した複数の餅5を順に餅受板13上に供給し、餅受板13上にある餅5をターンテーブル11上にある油揚げ3の内部に自動的に挿入することができる、そのため、いなり餅Aを自動的に量産することができる。
【0084】
本実施形態に係るいなり餅製造装置1において、餅収容部12の下方を通過した状態で餅受板13上にある餅5aを押しながら油揚げ3の内部に対して進退可能に設けられた挿入棒14を備え、挿入棒14が餅5aを押しながら油揚げ3の内部に向かって移動している間は、餅収容部12の内部において餅5aの直上にあった餅5bが挿入棒14の上面に載置され、餅5aを油揚げ3の内部に挿入した後、挿入棒14が餅収容部12の下方以外の位置まで移動すると、餅5bが餅受板13上に供給されることが好適である。
【0085】
このようにすると、複数の餅を収容した餅収容部12から餅受板13上に餅5を1つずつ容易に供給することができる。
【0086】
本実施形態に係るいなり餅製造装置1において、餅収容部12を、寿司飯を供給可能な寿司飯供給機構112に取り替えると、いなり寿司製造装置として使用可能であることが好適である。
【0087】
このようにすると、いなり餅を製造するいなり餅製造装置1を、いなり寿司を製造するいなり寿司製造装置として兼用することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0089】
例えば上記実施形態では、いなり餅包装品ATが、包材50内に、いなり餅Aを1つずつ個別に真空パック(真空包装)したものであるが、それに限られない。いなり餅包装品ATは、包材50内に、いなり餅Aを複数真空パックされたものでもよい。
【0090】
上記実施形態では、いなり餅包装品ATが、包材50内に、いなり餅Aを真空パック(真空包装)したものであるが、それに限られない。いなり餅包装品ATは、包材50内が真空でない状態で包装されたものでもよい。
【0091】
上記実施形態では、いなり餅包装品ATが冷凍されたものであるが、それに限られない。いなり餅包装品ATは、冷蔵されたものでも、常温のものでもよい。
【0092】
上記実施形態では、樹脂製のいわゆる深絞り包装である包材50を説明したが、それに限られない。包材50の形状及び構造(容器部51、蓋部52の形状及び構造)は、任意である。
【0093】
例えば上記実施形態では、包材50において、鍔部51bが、収容部51aの開口の周囲全体に配置されるが、それに限られない。鍔部51bは、収容部51aの開口の周囲の一部に配置されたものでもよい。例えば、鍔部51bが、4辺を有する開口のなかで3辺に配置され、他の1辺に配置されてなくてもよい。
【0094】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 いなり餅製造装置
3 油揚げ
5 餅
11 ターンテーブル
12 餅収容部
13 餅受板
14 挿入棒
50 包材
51 容器部
51a 収容部
51b 鍔部
52蓋部
112 寿司飯供給機構
A いなり餅
AT いなり餅包装品