(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108400
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】搬送資材
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20240805BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
B65D25/20 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012746
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英郎
【テーマコード(参考)】
3E062
3E063
【Fターム(参考)】
3E062AA20
3E062AB07
3E062AC02
3E062BA07
3E062BB06
3E062BB10
3E062DA02
3E062DA08
3E063AA11
3E063BA06
3E063CA01
3E063FF01
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】位置認識マークが認識されやすい搬送資材を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る搬送資材は、被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材であって、発泡樹脂製の本体部と、位置認識マークと、を備え、前記本体部は、前記被搬送物を載置可能に構成された載置部と、外面に凹設され、前記位置認識マークを収納可能に構成された凹部と、前記凹部に連続して、該凹部近傍の外面に位置する光の反射を低減させる光反射低減部と、を有し、前記位置認識マークは、外面視において前記光反射低減部とは異なる色を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材であって、
発泡樹脂製の本体部と、
位置認識マークと、を備え、
前記本体部は、前記被搬送物を載置可能に構成された載置部と、外面に凹設され、前記位置認識マークを収納可能に構成された凹部と、前記凹部に連続して、該凹部近傍の外面に位置する光反射低減部と、を有し、
前記位置認識マークは、外面視において前記光反射低減部とは異なる色を有する、搬送資材。
【請求項2】
前記位置認識マークの厚さは、前記凹部の奥行方向の距離よりも小さい、請求項1に記載の搬送資材。
【請求項3】
前記位置認識マークが、外面視において円形である、請求項1又は2に記載の搬送資材。
【請求項4】
前記凹部の外面視における径が、奥行方向の奥側に向かうにつれて大きくなる、請求項1又は2に記載の搬送資材。
【請求項5】
前記位置認識マークの表面に艶消し処理が施されている、請求項1又は2に記載の搬送資材。
【請求項6】
前記光反射低減部の色が、白色である、請求項1又は2に記載の搬送資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送資材に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ラインで加工される、又は組立てられる製品は、搬送資材上に載置され搬送される。近年、製造ラインは無人化が進み、搬送資材上に載置され搬送される製品(以下、「被搬送物」と記載することがある。)は、ロボット等により、取り出し、配置等のハンドリングが行われている。その際、該ハンドリングは、被搬送物の位置を認識して行われるが、被搬送物の位置は、被搬送物自体、搬送資材に設置された位置認識マーク等を撮像装置により撮影し、処理することで認識されている。そのため、被搬送物の位置を確実に認識することが重要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像パターン認識装置用パレットが開示され、パレット上に置かれたワークを画像パターンとして認識するために、パレットの上面に凹凸面を形成することが記載されている。また、特許文献2には、位置認識マークを備える電子部品収納トレイが開示され、位置認識マークを確実に認識させるために、位置認識マークが上面または下面側から認識することが可能な平面領域と、平面領域に隣接する傾斜領域とを備え、平面領域と傾斜領域との境界線により規定される境界線包囲領域の上面または下面側からみた場合の形状を円形とすることが記載されている。
【0004】
また、製造ラインの無人化が進むことで、製造ラインにおける作業者が少なくなり、ロボットがかかわらない人的作業区においては、作業負荷低減のため搬送資材としてより軽量なものが求められおり、発泡樹脂からなる搬送資材が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-053134号公報
【特許文献2】特許第6481760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
撮像装置による被搬送物の位置認識を、位置認識マークを備えた発泡樹脂製の搬送資材で行う場合、発泡樹脂製の搬送資材は光の反射率が高く、搬送資材で光が反射して撮像装置に入射する反射光によって位置認識マークを認識できなくなってしまう虞がある。そのため、撮像装置による被搬送物の位置認識において、位置認識マークが認識されやすい発泡樹脂製の搬送資材が求められている。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、位置認識マークが認識されやすい搬送資材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る搬送資材は、被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材であって、
発泡樹脂製の本体部と、
位置認識マークと、を備え、
前記本体部は、前記被搬送物を載置可能に構成された載置部と、外面に凹設され、前記位置認識マークを収納可能に構成された凹部と、前記凹部に連続して、該凹部近傍の外面に位置する光反射低減部と、を有し、
前記位置認識マークは、外面視において前記光反射低減部とは異なる色を有する。
【0009】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、光反射低減部を有することによって位置認識マーク近傍の光反射を抑えつつ、位置認識マークが外面視において光反射低減部とは異なる色を有することにより、色彩明度を区別しやすくなり、その結果、位置認識マークが認識されやすくなる。
【0010】
本発明に係る搬送資材は、前記位置認識マークの厚さは、前記凹部の奥行方向の距離よりも小さくてもよい。
【0011】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、位置認識マークの輪郭において陰影ができるため、位置認識マークがより認識されやすくなる。
【0012】
本発明に係る搬送資材は、位置認識マークが、外面視において円形であってもよい。
【0013】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、本体部の凹部に位置認識マークを容易に収納できる。
【0014】
本発明に係る搬送資材は、凹部の外面視における径が、奥行方向の奥側に向かうにつれて大きくなってもよい。
【0015】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、凹部に収納された位置認識マークが凹部の奥行方向の手前側の部分に引っ掛かるので、凹部からの位置認識マークの脱落抑制が可能となる。
【0016】
本発明に係る搬送資材は、位置認識マークの表面に艶消し処理が施されてもよい。
【0017】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、位置認識マークの光反射を抑制し、位置認識マークがより認識されやすくなる。
【0018】
本発明に係る搬送資材は、光反射低減部の色が、白色であってもよい。
【0019】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、光反射低減部の光反射を低減させる効果をより際立たせ、位置認識マークがより認識されやすくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、位置認識マークが認識されやすい搬送資材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る搬送資材1を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<搬送資材>
以下、本発明の実施形態に係る搬送資材1について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0023】
図1は、本実施形態に係る搬送資材1を示す概略図である。
図2は、
図1のII部分の拡大図である。
図3は、
図2のIII-III断面図である。
【0024】
本実施形態に係る搬送資材1は、本体部2と、位置認識マーク3と、を備える。本体部2は、発泡樹脂製であり、載置部21と、凹部22と、光反射低減部23と、を有する。
【0025】
本体部2を構成する発泡樹脂としては、特に限定はないが、例えば、ビーズ発泡法によって得られた発泡粒子を用いることができる。発泡ビーズの材質としては、例えば、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等が挙げられる。発泡ビーズの材質としては、より成形加工性に優れるという観点から、好ましくは、スチレン系樹脂である。
【0026】
ポリスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーが重合してなるものである。該ポリスチレン系樹脂としては、汎用のポリスチレン系樹脂が挙げられ、例えばスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のスチレン系モノマー1種の単独重合体、又はこれらスチレン系モノマー複数種の共重合体が挙げられる。前記共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0027】
載置部21は、被搬送物を載置可能に構成されている。本実施形態に係る搬送資材1の本体部2は、2つの載置部21を有している。載置部21それぞれに、被搬送物が載置される。具体的には、被搬送物は、搬送資材1の上側から載置部21に載置される。なお、以下において、被搬送物が載置部21に載置される方向(
図1中、Z方向の下向き)を載置方向と記載することがある。
【0028】
本体部2は、外面に凹設された凹部22を有している。より詳しくは、載置方向から見た外面に凹部22を有している。凹部22は、後述する位置認識マーク3が収納可能に構成されている。外面視における凹部22の形状は、位置認識マーク3の形状に対応している。すなわち、本実施形態に係る搬送資材1の凹部22の形状は、外面視において円形である。また、凹部22の外面視における径(すなわち、直径)は、
図3に示すように、外面から奥行方向(
図3におけるZ方向)の全体にわたって同じである。
【0029】
本体部2は、凹部22に連続する凹部22近傍の外面に光反射低減部23を有している。光反射低減部23は、本体部2の凹部22近傍の外面における光の反射を低減させる。本体部2は発泡樹脂製であり、光の反射率が高く、その外面に光沢がある。そこで、本体部2の位置認識マーク3が収納される凹部22に連続する凹部22近傍に光反射低減部23を設けることで、本体部2の光反射低減部23における光の反射を低減でき、撮像装置が位置認識マーク3を認識しやすくなる。
【0030】
具体的には、
図3に示すように、光反射低減部23には、マトリックス状に配列された互いに隣接する複数の微小凹部24が形成されている。光反射低減部23に複数の微小凹部24が形成されることで、光反射低減部23に照射される光が乱反射して光の反射が低減される。
【0031】
光反射低減部23の色は、位置認識マーク3と異なる色であれば、特に限定はない。光反射低減部23の色は、好ましくは、白色である。光反射低減部23の色を白色とすることで、光反射低減部23の光反射を低減させる効果をより際立たせ、位置認識マーク3がより認識されやすくなる。
【0032】
位置認識マーク3は、撮像装置によって認識され、搬送資材1に載置された被搬送物の位置を検知させる。位置認識マーク3は、本体部2の凹部22に収納される。
【0033】
位置認識マーク3は、光反射低減部23とは異なる色を有する。位置認識マーク3の色は、光反射低減部23と異なり、撮像装置が認識できれば、特に限定はない。位置認識マーク3の色としては、赤、緑、青、黄、マゼンタ及びシアンからなる群から選ばれる少なくとも1つの色が挙げられる。なお、位置認識マーク3の色は、1つの色から構成されていてもよいし、2つ以上の色から構成されてもよい。
【0034】
本実施形態に係る搬送資材1の位置認識マーク3の厚さは、
図2、
図3に示すように凹部の奥行方向(図中、Z方向)の距離よりも小さい。そのような関係となることで、位置認識マーク3を本体部2に埋没させることができ、位置認識マーク3の輪郭において陰影ができるため、位置認識マーク3がより認識されやすくなる。
【0035】
本実施形態に係る搬送資材1の位置認識マーク3は、外面視において円形である。円形とすることで、本体部2に位置認識マーク3を容易に収納できる。
【0036】
位置認識マーク3の材料としては、特に限定はない。前記材料としては、例えば、プラスチック、木材、金属等が挙げられ、好ましくは、プラスチックである。
【0037】
位置認識マーク3の表面には、艶消し処理が施されている。艶消し処理が行われることで、位置認識マーク3の光反射を抑制し、位置認識マーク3がより認識されやすくなる。
【0038】
本実施形態に係る搬送資材1は、位置認識マーク3及び凹部22の互いが接する面に接着剤が塗布されている。接着剤が塗布されることで、位置認識マーク3を凹部22に強固に固定できる。
【0039】
本実施形態に係る搬送資材1は、発泡樹脂製の本体部2と、位置認識マーク3と、を備え、本体部2は、被搬送物を載置可能に構成された載置部21と、外面に凹設され、位置認識マーク3を収納可能に構成された凹部22と、凹部22に連続して、該凹部22近傍の外面に位置する光の反射を低減させる光反射低減部23と、を有し、位置認識マーク3は、外面視において光反射低減部23とは異なる色を有することにより、光反射低減部23によって位置認識マーク3近傍の光反射を抑えつつ、位置認識マーク3が外面視において光反射低減部23とは異なる色を有することにより、色彩明度を区別しやすくなり、位置認識マークが認識されやすくなる。
【0040】
本実施形態に係る搬送資材1は、位置認識マーク3の厚さを、凹部22の奥行方向の距離よりも小さくすることで、位置認識マーク3の輪郭に陰影ができるため、位置認識マーク3がより認識されやすくなる。
【0041】
本実施形態に係る搬送資材1は、位置認識マーク3を外面視において円形とすることで、本体部2の凹部22に位置認識マーク3を容易に収納できる。
【0042】
本実施形態に係る搬送資材1は、位置認識マーク3の表面に艶消し処理が施されていることで、位置認識マーク3の光反射を抑制し、位置認識マーク3がより認識されやすくなる。
【0043】
本実施形態に係る搬送資材1は、光反射低減部23の色を白色とすることで、光反射低減部23の光反射を低減させる効果をより際立たせ、位置認識マーク3がより認識されやすくなる。
【0044】
以上、本発明の搬送資材の一実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0045】
例えば、上記本実施形態に係る搬送資材1では、光反射低減部23に、マトリックス状に配列された互いに隣接する複数の微小凹部24を形成している。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、光反射低減部23は、光反射を低減できればよい。光反射低減部23には、例えば、シボ状の凹凸を形成してもよい。なお、本明細書において、「シボ状」とは、平面視が矩形の凸部を一定の間隔で多数設けた形態、一定の間隔で直交する方向に連続する多数の突条からなる形態等を意味する。
【0046】
また、本実施形態に係る搬送資材1では、
図2に示すように本体部2の凹部22が形成された外面全体に光反射低減部23を有している。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、光反射低減部23は、少なくとも凹部近傍の外面に形成されていればよく、例えば、凹部22を囲うように凹部22の形状に合わせてドーナツ形状に形成されてもよい。
【0047】
また、本実施形態に係る搬送資材1では、位置認識マーク3が、外面視において円形である。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、位置認識マーク3の外面視における形状は、例えば、三角形、四角形、多角形等でもよい。なお、位置認識マーク3が多角形である場合、位置認識マーク3が収納される凹部22の外面視における径は、多角形の外接円の直径をいう。
【0048】
また、本実施形態に係る搬送資材1では、凹部22は、
図3に示すように外面から奥行方向(
図3におけるZ方向)の全体にわたって同じである。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、凹部22の外面視における径が、奥行方向の奥側に向かうにつれて大きくなってもよい。厚さが、凹部22の奥行方向の距離よりも小さい位置認識マーク3を凹部22に収納した場合、凹部22に収納された位置認識マーク3が凹部22の奥行方向の手前側の部分に引っ掛かるので凹部22からの位置認識マーク3の脱落抑制が可能となる。
【0049】
また、本実施形態に係る搬送資材1では、位置認識マーク3の厚さが、凹部22の奥行方向の距離よりも小さい。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、位置認識マーク3の厚さは、凹部22の奥行方向の距離と同じ、もしくは、大きく(位置認識マーク3が外面より突出)てもよい。
【0050】
また、本実施形態に係る搬送資材1では、位置認識マーク3の表面には、艶消し処理が施されている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、位置認識マーク3の表面には、艶消し処理が施されていなくてもよい。
【0051】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材であって、
発泡樹脂製の本体部と、
位置認識マークと、を備え、
前記本体部は、前記被搬送物を載置可能に構成された載置部と、外面に凹設され、前記位置認識マークを収納可能に構成された凹部と、前記凹部に連続して、該凹部近傍の外面に位置する光反射低減部と、を有し、
前記位置認識マークは、外面視において前記光反射低減部とは異なる色を有する、搬送資材。
[2]前記位置認識マークの厚さは、前記凹部の奥行方向の距離よりも小さい、上記[1]に記載の搬送資材。
[3]前記位置認識マークが、外面視において円形である、上記[1]又は[2]に記載の搬送資材。
[4]前記凹部の外面視における径が、奥行方向の奥側に向かうにつれて大きくなる、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の搬送資材。
[5]前記位置認識マークの表面に艶消し処理が施されている、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の搬送資材。
[6]前記光反射低減部の色が、白色である、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の搬送資材。
【符号の説明】
【0052】
1…搬送資材、2…本体部、21…載置部、22…凹部、23…光反射低減部、24…微小凹部、3…位置認識マーク