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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108413
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】コンデンサ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240805BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20240805BHJP
   H01C 13/00 20060101ALI20240805BHJP
   H01C 13/02 20060101ALI20240805BHJP
   H01C 1/14 20060101ALI20240805BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01L25/00 B
H01C13/00 J
H01C13/02 Z
H01C1/14 Z
H01G4/40 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012765
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 一雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠司
【テーマコード(参考)】
5E028
5E082
5H770
【Fターム(参考)】
5E028BB01
5E028BB13
5E028CA11
5E028DA08
5E028JA07
5E028JB01
5E082DD01
5E082DD13
5H770AA21
5H770DA44
5H770HA02Z
5H770QA01
5H770QA05
5H770QA06
5H770QA08
5H770QA11
5H770QA22
5H770QA27
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】半導体装置の電流の検出精度が向上する。
【解決手段】コンデンサ装置3は、コンデンサ素子と第1配線3aと第2配線3bとを含む。第1配線3aは、一端部がコンデンサ素子の電極(例えば、正極)に接続され、他端部が半導体装置2に含まれる第1電極端子2aに接続される。第2配線3bは、一端部がコンデンサ素子の電極(例えば、負極)に接続され、他端部が半導体装置2に含まれる第2電極端子2bに接続される。さらに、抵抗部が、第1配線3aの一端部及び他端部の間に含まれて、第1配線3aと抵抗部とは直接電気的に接続されている。このようにコンデンサ装置3では、抵抗部が第1配線3aに直接設けられている。このため、第1配線3aを半導体装置2の第1電極端子2aに何も介さず直接接続することができ、第1配線3aと半導体装置2の第1電極端子2aとの間に浮遊インダクタンスの増加が抑制される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極を含むコンデンサ素子と、
第1一端部が前記第1電極に接続され、第1他端部が半導体装置に含まれる第1電極端子に接続される第1配線と、
第2一端部が前記第2電極に接続され、第2他端部が半導体装置に含まれる第2電極端子に接続される第2配線と、
を含み、
前記第1配線の前記第1一端部と前記第1他端部との間に抵抗部が含まれて、前記第1配線と前記抵抗部とは直接電気的に接続されている、
コンデンサ装置。
【請求項2】
前記抵抗部はシャント抵抗である、
請求項1に記載のコンデンサ装置。
【請求項3】
前記抵抗部の抵抗値は、0.01mΩ以上、1mΩ以下である、
請求項2に記載のコンデンサ装置。
【請求項4】
前記抵抗部は、前記第1配線中に前記第1一端部側及び前記第1他端部側からそれぞれ挟持されて、前記第1配線に含まれている、
請求項2に記載のコンデンサ装置。
【請求項5】
前記第1配線は、
前記抵抗部の前記第1一端部側に隣接して設けられる第1検出端子と、
前記抵抗部の前記第1他端部側に隣接して設けられる第2検出端子と、
を含む、
請求項1に記載のコンデンサ装置。
【請求項6】
前記コンデンサ素子及び前記抵抗部を封止し、前記第1配線の前記第1他端部及び前記第2配線の前記第2他端部を除いて前記第1配線及び前記第2配線を封止する封止部材をさらに含む、
請求項1に記載のコンデンサ装置。
【請求項7】
前記第1配線は、
前記抵抗部の前記第1一端部側に隣接して設けられる第1検出端子と、
前記抵抗部の前記第1他端部側に隣接して設けられる第2検出端子と、
を含み、
前記第1検出端子及び前記第2検出端子のそれぞれの前記第1配線に設けられた側の反対側の先端部は前記封止部材から露出している、
請求項6に記載のコンデンサ装置。
【請求項8】
前記第1配線の前記第1一端部に接続された第1電源端子と、
前記第2配線の前記第2一端部に接続された第2電源端子と、
をさらに含む、
請求項1に記載のコンデンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置には、コンデンサが搭載されたモジュールから引き出された端子がIGBT(Integrated Gate Bipolar Transistor)モジュールと接続しているものがある。(例えば、特許文献1を参照)。大電流の短絡電流の検出にシャント抵抗が用いられている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-102241号公報
【特許文献2】特開2020-017678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、半導体装置の電流の検出精度を向上させるコンデンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、第1電極及び第2電極を含むコンデンサ素子と、第1一端部が前記第1電極に接続され、第1他端部が半導体装置に含まれる第1電極端子に接続される第1配線と、第2一端部が前記第2電極に接続され、第2他端部が半導体装置に含まれる第2電極端子に接続される第2配線と、を含み、前記第1配線の前記第1一端部と前記第1他端部との間に抵抗部が含まれて、前記第1配線と前記抵抗部とは直接電気的に接続されている、コンデンサ装置が提供される。
【0006】
前記抵抗部はシャント抵抗であってよい。
前記抵抗部の抵抗値は、0.01mΩ以上、1mΩ以下であってよい。
前記抵抗部は、前記第1配線中に前記第1一端部側及び前記第1他端部側からそれぞれ挟持されて、前記第1配線に含まれてよい。
【0007】
前記第1配線は、前記抵抗部の前記第1一端部側に隣接して設けられる第1検出端子と、前記抵抗部の前記第1他端部側に隣接して設けられる第2検出端子と、を含んでよい。
前記コンデンサ素子及び前記抵抗部を封止し、前記第1配線の前記第1他端部及び前記第2配線の前記第2他端部を除いて前記第1配線及び前記第2配線を封止する封止部材をさらに含んでよい。
【0008】
前記第1配線は、前記抵抗部の前記第1一端部側に隣接して設けられる第1検出端子と、前記抵抗部の前記第1他端部側に隣接して設けられる第2検出端子と、を含み、前記第1検出端子及び前記第2検出端子のそれぞれの前記第1配線に設けられた側の反対側の先端部は前記封止部材から露出してよい。
【0009】
前記第1配線の前記第1一端部に接続された第1電源端子と、前記第2配線の前記第2一端部に接続された第2電源端子と、をさらに含んでよい。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、半導体装置の電流の検出精度が向上し、半導体装置の信頼性評価の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態の電流検出システムを示す図である。
図2】第1の実施の形態の半導体装置の平面図(封止時)である。
図3】第1の実施の形態の半導体装置の側面図である。
図4】第1の実施の形態の半導体装置の平面図(未封止時)である。
図5】第1の実施の形態の半導体装置の断面図である。
図6】第1の実施の形態のコンデンサ装置の側面図(封止時)である。
図7】第1の実施の形態のコンデンサ装置の側面図(未封止時)である。
図8】第1の実施の形態のコンデンサ装置の断面図である。
図9】第1の実施の形態のコンデンサ装置に含まれるリードフレームを示す図である。
図10】第1の実施の形態の電流検出システムの等価回路図である。
図11】第1の参考例の電流検出システムを示す図である。
図12】第2の参考例の電流検出システムを示す図である。
図13】第2の実施の形態の半導体装置の平面図(封止時)である。
図14】第2の実施の形態のコンデンサ装置の側面図(未封止時)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図の半導体装置2及びコンデンサ装置3において、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図の半導体装置2及びコンデンサ装置3において、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図の半導体装置2及びコンデンサ装置3において、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図の半導体装置2及びコンデンサ装置3において、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。また、「略同一」とは、±10%以内の範囲であればよい。また、「垂直」、「平行」とは、±10°以内の範囲であればよい。
【0014】
[第1の実施の形態]
半導体装置2の主電流を検出する電流検出システム1について図1を用いて説明する。図1は、第1の実施の形態の電流検出システムを示す図である。電流検出システム1は、検出対象である半導体装置2とコンデンサ装置3と電源装置4とインダクタンス装置5と電流検出装置6とを含んでいる。
【0015】
半導体装置2は、スイッチング機能を備えた半導体チップを含み、インバータとして機能する。半導体装置2は、第1電極端子2aと第2電極端子2bと主電流が出力される出力端子2cとを含んでいる。なお、第1電極端子2a及び第2電極端子2bは、例えば、電源装置4の正極及び負極がそれぞれ接続される。半導体装置2の詳細については後述する。
【0016】
コンデンサ装置3は、第1電極及び第2電極を備えるコンデンサ素子を含み、第1電極及び第2電極に接続された第1配線3a及び第2配線3bと第1電源端子3c及び第2電源端子3dとを含んでいる。この際の接続は、例えば、ボルトにより締結される。なお、第1電源端子3c及び第2電源端子3dは、例えば、正極及び負極がそれぞれ接続される。
【0017】
なお、第1配線3a及び第2配線3bは、コンデンサ装置3内で、第1電源端子3c及び第2電源端子3dにそれぞれ接続されている。さらに、コンデンサ装置3は、第1配線3aに抵抗部を含んで、当該抵抗部はコンデンサ装置3の内部に封止されている。コンデンサ装置3の詳細については後述する。
【0018】
電源装置4は、第1電源配線4a及び第2電源配線4bを含み、半導体装置2及びコンデンサ装置3に電源供給を行う。第1電源配線4a及び第2電源配線4bは、コンデンサ装置3の第1電源端子3c及び第2電源端子3dにそれぞれ接続されている。この際の接続は、例えば、ボルトにより締結される。半導体装置2の第1電極端子2a及び第2電極端子2bは、コンデンサ装置3の第1配線3a及び第2配線3bを経由して、第1電源配線4a及び第2電源配線4bに接続されている。
【0019】
なお、電源装置4の第1電源配線4a及び第2電源配線4bは、半導体装置2の第1電極端子2a及び第2電極端子2bに直接接続してもよい。この際の接続は、例えば、ボルトにより締結される。この場合は、コンデンサ装置3から第1電源端子3c及び第2電源端子3dを省略することができる。
【0020】
インダクタンス装置5は、半導体装置2に対する付加であって、例えば、コイル、モータが挙げられる。ここでは、コイルである場合を例示している。インダクタンス装置5の一端は、配線5aを経由して半導体装置2の出力端子2cに接続されている。インダクタンス装置5の他端は、配線5bと第1電源端子3cと第1配線3aとを経由して半導体装置2の第1電極端子2aに接続されている。
【0021】
電流検出装置6は、コンデンサ装置3内の抵抗部を流れる電流を検出する。電流検出装置6は、例えば、オシロスコープである。電流検出装置6の一対のプローブがコンデンサ装置3内の抵抗部を流れる電流を検出する。
【0022】
このような電流検出システム1では、電源装置4から電源を供給しつつ、半導体装置2の後述する制御端子に印加する制御信号のオン・オフの切り替えを行う。この際の半導体装置2の第1電極端子2aとコンデンサ装置3の第1配線3aとの間を通電する電流を電流検出装置6により検出する。このようにして検出した電流に基づき、半導体装置2の動的な電気的特性を評価することが可能となる。例えば、制御信号のオン・オフに伴う電流の立ち上がり並びに立ち下がり時間、制御信号のオン・オフの切り替え時間内における半導体チップの発熱に起因する損失電力を測定し、各部の電圧・電流に基づき動的な電気的特性の評価を行うことができる。
【0023】
次に、電流検出システム1に含まれる半導体装置2について図2図5を用いて説明する。図2は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図(封止時)である。図3は、第1の実施の形態の半導体装置の側面図である。図4は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図(未封止時)である。図5は、第1の実施の形態の半導体装置の断面図である。
【0024】
なお、図3は、図2の半導体装置2を-X方向に見た側面図である。図4は、図2において封止部材18を除いた(封止していない)場合を示している。図5は、図4の一点鎖線Y‐Yにおける断面図である。また、図5では、各種ワイヤの図示を省略している。
【0025】
半導体装置2は、後述するようにスイッチング機能を備える2つの半導体チップを含んで電力変換機能を実現する。以下に詳細を説明する半導体装置2は電流検出システム1の検出対象の一例である。すなわち、検出対象は半導体装置2に限らず、他の電力変換機能を実現する半導体装置であってよい。
【0026】
半導体装置2は、放熱板13と放熱板13上に設けられたケース10とを含んでいる(図2及び図3)。半導体装置2は、ケース10に収納されている半導体ユニット20をさらに含んでいる(図4及び図5)。また、半導体ユニット20はケース10内で封止部材18により封止されている(図2)。
【0027】
ケース10は、直方体状を成し、平面視で矩形状の上面10eと上面10eの四方を順に取り囲む短側面10a、長側面10b、短側面10c、長側面10dとを含んでいる。なお、短側面10a,10cは、平面視でケース10の短辺にそれぞれ対応する。長側面10b,10dは、平面視でケース10の長辺にそれぞれ対応する。
【0028】
ケース10の上面10eは端子台12と開口された収納部11とが設けられている。なお、端子台12から制御端子17が上面10eに対して鉛直上方に延伸している。さらに、上面10eは、短側面10c側に第1電極端子14及び第2電極端子15と、短側面10a側に出力端子16とをそれぞれ含んでいる。第1電極端子14、第2電極端子15及び出力端子16のそれぞれの一端部は上面10eに表出されている。
【0029】
ケース10は、熱可塑性樹脂を用いて射出成形により、第1電極端子14と第2電極端子15と出力端子16と制御端子17とを含んで一体成形される。これにより、ケース10が構成される。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である。ケース10の平面視のサイズは、放熱板13のサイズに対応してよい。このようなケース10は放熱板13に対して接着剤により取り付けられる。
【0030】
放熱板13は、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金である。放熱板13の耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。放熱板13の厚さは、例えば、0.5mm以上、5mm以下である。放熱板13は、平板状を成し、四方を順に取り囲む短側面13a、長側面13b、短側面13c、長側面13dを含んでいる。なお、短側面13a,13cは、平面視で放熱板13の短辺にそれぞれ対応する。長側面13b,13dは、平面視で放熱板13の長辺にそれぞれ対応する。さらに、放熱板13の短側面13a、長側面13b、短側面13c、長側面13dは、ケース10の短側面10a、長側面10b、短側面10c、長側面10dにそれぞれ対応し、同一平面を成している。放熱板13の四隅には締結孔13eがそれぞれ開口されている。締結孔13eは放熱板13の四隅に貫通して形成されており、平面視で円形を成している。
【0031】
制御端子17は、後述する半導体チップの制御電極にケース10内で電気的に接続されている。第1電極端子14及び第2電極端子15は、図1の半導体装置2の第1電極端子2a及び第2電極端子2bにそれぞれ対応している。第1電極端子14及び第2電極端子15は、ケース10内で、後述する半導体チップの入力電極及び出力電極にそれぞれ電気的に接続されている。出力端子16は、図1の半導体装置2の出力端子2cに対応している。出力端子16は、ケース10内で、後述する半導体チップの入力電極及び出力電極に電気的に接続されている。
【0032】
第1電極端子14、第2電極端子15、出力端子16及び制御端子17は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。第1電極端子14、第2電極端子15、出力端子16及び制御端子17の表面に対して、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金、錫である。
【0033】
また、第1電極端子14の他端部(第1内端部14a)、第2電極端子15の他端部(第2内端部15a)、出力端子16の他端部(内端部16a)、制御端子17の他端部(内端部17a)がそれぞれケース10の収納部11内に表出している(図4)。
【0034】
封止部材18によりケース10の収納部11が封止されている。封止部材18は、熱硬化性樹脂であってよい。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、ポリエステル樹脂である。好ましくは、エポキシ樹脂である。さらに、封止部材18は、フィラーが添加されていてもよい。フィラーは、絶縁性で高熱伝導を有するセラミックスである。封止部材18は、熱硬化性樹脂に限らず、シリコン系ゲルを用いてよい。
【0035】
半導体ユニット20は、図4及び図5に示されるように、絶縁回路基板21と2つの半導体チップ25とを含んでいる。半導体チップ25は接合部材(図示を省略)により絶縁回路基板21に接合されている。なお、この接合部材は、はんだ、または、焼結材を用いてよい。はんだは、鉛フリーはんだであってよい。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてもよい。添加物は、例えば、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコンを主成分としてよい。はんだは、添加物が含まれることで、濡れ性、光沢、結合強度が向上し、信頼性の向上を図ることができる。焼結材は、例えば、銀、銅または少なくともこれらを1つ含む合金を含む金属材料が用いられる。
【0036】
絶縁回路基板21は、絶縁板22と回路パターン23a,23bと金属板24とを含んでいる。絶縁板22及び金属板24は、平面視で矩形状である。また、絶縁板22及び金属板24は、角部がR面取り、C面取りされていてもよい。金属板24のサイズは、平面視で、絶縁板22のサイズより小さく、絶縁板22の内側に形成されている。
【0037】
絶縁板22は、絶縁性を備え、熱伝導性に優れた材質により構成されている。このような絶縁板22は、セラミックスにより構成されている。セラミックスは、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素である。
【0038】
回路パターン23a,23bは、絶縁板22のおもて面に形成されている。回路パターン23a,23bは、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。回路パターン23a,23bの表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0039】
回路パターン23a,23bは平面視で矩形状を成している。回路パターン23a,23bは、絶縁板22の±Y方向の中心線に対して線対称を成して、絶縁板22のおもて面の半分の領域にそれぞれ形成されている。回路パターン23a,23bのサイズは、半導体チップ25のサイズよりも広い。
【0040】
このような回路パターン23a,23bは、以下のようにして絶縁板22のおもて面に形成される。絶縁板22のおもて面に金属層を形成し、この金属層に対してエッチング等の処理を行って所定形状の回路パターン23a,23bが得られる。または、あらかじめ金属層から切り出した回路パターン23a,23bを絶縁板22のおもて面に圧着させてもよい。なお、回路パターン23a,23bは一例である。必要に応じて、回路パターン23a,23bの個数、形状、大きさ、位置を適宜選択してもよい。
【0041】
金属板24は、絶縁板22の裏面に形成されている。金属板24は、矩形状を成している。金属板24の平面視の面積は、絶縁板22の面積よりも小さく、回路パターン23a,23bが形成されている領域の面積よりも広い。金属板24の角部は、R面取り、C面取りされていてもよい。金属板24は、絶縁板22のサイズより小さく、絶縁板22の縁部を除いた全面に形成されている。金属板24は、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。この金属は、例えば、銅、アルミニウムまたは、少なくともこれらの一種を含む合金である。
【0042】
このような構成を有する絶縁回路基板21として、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板を用いてもよい。絶縁回路基板21が配置される放熱板13の裏面に冷却装置のおもて面を既述の接合部材(図示を省略)を介して取り付けてもよい。半導体チップ25で発生した熱を回路パターン23a,23b、絶縁板22及び金属板24並びに放熱板13を介して、冷却装置に伝導させて放熱することができる。
【0043】
なお、放熱板13と冷却装置とを接合する接合部材(図示を省略)は、ろう材、サーマルインターフェースマテリアルであってよい。ろう材は、例えば、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金、ジルコニウム合金、シリコン合金の少なくともいずれかを主成分とする。サーマルインターフェースマテリアルは、例えば、エラストマーシート、RTV(Room Temperature Vulcanization)ゴム、ゲル、フェイズチェンジ材などを含む接着剤である。このようなろう材またはサーマルインターフェースマテリアルを介して冷却装置に取り付けることで、半導体装置2の放熱性を向上させることができる。
【0044】
半導体チップ25は、炭化シリコンにより構成されるパワーデバイスである。このパワーデバイスの一例として、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が挙げられる。このような半導体チップ25は、裏面に入力電極(主電極)としてドレイン電極を、おもて面に、制御電極25aとしてゲート電極及び出力電極(主電極)としてソース電極をそれぞれ備えている。
【0045】
また、半導体チップ25は、シリコンにより構成されるパワーデバイスであってもよい。この場合のパワーデバイスは、例えば、RC(Reverse Conducting)-IGBTである。RC-IGBTは、スイッチング素子であるIGBT及びダイオード素子であるFWD(Free Wheeling Diode)が1チップ内に構成されたものである。このような半導体チップ25は、例えば、裏面に入力電極(主電極)としてコレクタ電極を、おもて面に、制御電極としてゲート電極、出力電極(主電極)としてエミッタ電極をそれぞれ備えている。
【0046】
なお、半導体チップ25は、図4及び図5に示されるように、回路パターン23a,23bにそれぞれ配置されてよい。第1の実施の形態では、それぞれ、1つずつ配置されている場合を示している。この場合、各半導体チップ25は、制御電極25aがそれぞれ-Y方向側(出力端子16側)を向いて配置されている。
【0047】
また、半導体チップ25は、パワーMOSFET、RC-IGBTに代わり、一組のスイッチング素子及びダイオード素子をそれぞれに用いてもよい。スイッチング素子は、例えば、IGBT、パワーMOSFETである。ダイオード素子は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、PiN(P-intrinsic-N)ダイオード等のFWDである。ダイオード素子である半導体チップ25は、裏面に主電極として出力電極(カソード電極)を、おもて面に主電極として入力電極(アノード電極)をそれぞれ備えている。
【0048】
このような半導体ユニット20は第1電極端子14、第2電極端子15、出力端子16、制御端子17に対して各種ワイヤが電気的に接続されている。すなわち、制御ワイヤ31は、半導体チップ25の制御電極25aと制御端子17の内端部17aとを直接接続している。
【0049】
主電流ワイヤ32は、第1電極端子14の第1内端部14aと(図4中左側の)半導体チップ25の出力端子とを直接接続している。主電流ワイヤ33は、出力端子16の内端部16aと回路パターン23aとを直接接続している。すなわち、主電流ワイヤ33は、(図4中左側の)半導体チップ25の入力端子に電気的に接続されている。
【0050】
主電流ワイヤ34は、出力端子16の内端部16aと(図4中右側の)半導体チップ25の出力端子とを直接接続している。主電流ワイヤ35は、第2電極端子15の第2内端部15aと回路パターン23bとを直接接続している。すなわち、主電流ワイヤ35は、(図4中右側の)半導体チップ25の入力端子に電気的に接続されている。
【0051】
なお、制御ワイヤ31及び主電流ワイヤ32~35は、導電性に優れた材質を主成分としている。このような材質は、例えば、金、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されている。好ましくは、ワイヤは、シリコンを微量含むアルミニウム合金であってよい。なお、主電流ワイヤ32~35は、ワイヤでなくてもよく、例えば、リードフレームでもよい。
【0052】
このような半導体ユニット20及び制御ワイヤ31及び主電流ワイヤ32~35がケース10の収納部11内に収納されて、収納部11内が封止部材18により封止される。半導体装置2は以上の構成を含んでいる。
【0053】
次に、電流検出システム1に含まれるコンデンサ装置3について図6図9を用いて説明する。図6は、第1の実施の形態のコンデンサ装置の側面図(封止時)である。図7は、第1の実施の形態のコンデンサ装置の側面図(未封止時)である。図8は、第1の実施の形態のコンデンサ装置の断面図である。図9は、第1の実施の形態のコンデンサ装置に含まれるリードフレームを示す図である。
【0054】
なお、図6ではコンデンサ装置3を+Y方向に見た側面視である。図7は、図6において封止部材46を除いた(封止していない)場合を示している。図8(A),(B)は、図7の一点鎖線X1‐X1,X2‐X2におけるそれぞれの断面図である。
【0055】
コンデンサ装置3は、ケース40とケース40の収納領域41に収納されたコンデンサユニット42と収納領域41内を封止する封止部材46とを含んでいる。この際、封止部材46からコンデンサユニット42に含まれる第1リードフレーム44の第1配線44bの端部と第1電源端子44fの端部と、第2リードフレーム45の第2配線45bの端部と第2電源端子45fの端部とがそれぞれ露出されている。さらに、封止部材46から、第1リードフレーム44の第1配線44bに含まれる第1検出端子44dの端部及び第2検出端子44eの端部もまたそれぞれ露出されている。
【0056】
ケース40は、箱状を成しており、底面40aと側面40bと上面40cと側面40dと背面40eとで収納領域41が構成されている。また、ケース40の側面40b,40dに底面40aと同一平面を成して固定部40fがそれぞれ形成されている。固定部40fは、コンデンサ装置3を所定の位置に固定する際に、ねじで螺合される。収納領域41は、後述するコンデンサユニット42が収納可能なサイズであればよい。
【0057】
ケース40もまた、熱可塑性樹脂を用いて射出成形により成形される。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である。
【0058】
コンデンサユニット42は、さらに、コンデンサ素子43a,43bと第1リードフレーム44と第2リードフレーム45とを含んでいる。コンデンサ素子43a,43bは、正極及び負極を含むコンデンサ本体と、コンデンサ本体を収納する収納容器と、収納容器から表出される電極43a1,43a2及び電極43b1,43b2とを含む。なお、本実施の形態では、コンデンサユニット42が2つのコンデンサ素子43a,43bが含まれている場合を例示している。コンデンサ素子43a,43bは、2つに限らず、1つまたは3つ以上でもよい。また、コンデンサ素子43a,43bのそれぞれのキャパシタンスは50μF以上、1000μF以下であり、それぞれの耐電圧は、50V以上、1000V以下である。
【0059】
コンデンサ本体は、例えば、アルミニウムを主成分とする誘電体をフィルムで積層して巻かれている。また、コンデンサ本体は、正極及び負極を含む。収納容器は、絶縁性を備え、例えば、円筒状を成し、巻かれたコンデンサ本体を収納する。さらに、収納容器のおもて面及び裏面にそれぞれ電極43a1,43b1及び電極43a2,43b2がそれぞれ設けられている。電極43a1,43b1及び電極43a2,43b2は、コンデンサ本体の正極及び負極にそれぞれ接続されている。
【0060】
第1リードフレーム44及び第2リードフレーム45は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。第1リードフレーム44及び第2リードフレーム45の表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0061】
第1リードフレーム44は、第1電極接続部44aと第1配線44bと抵抗部44cと第1検出端子44d及び第2検出端子44eと第1電源端子44fとを含んでいる。第1電極接続部44aは、配列されたコンデンサ素子43a,43bのおもて面の前面側に設けられてコンデンサ素子43a,43bのそれぞれの電極43a1,43b1に接合されている。第1電極接続部44aは、例えば、平板がL字を成して接合されて構成されている。
【0062】
第1配線44bは、一端部(第1一端部)が第1電極接続部44aに接続されて、他端部(第1他端部)が平面視で第1電極接続部44aから外側(-Y方向)に延伸している。なお、第1配線44bは、第1電極接続部44aの-X方向の端部よりも内側に接続されている。ここでの第1配線44bは、例えば、L字を成している。第1配線44bは、第1電極接続部44aに接続されている一端部からコンデンサ素子43aに沿って-Z方向に延伸して途中で屈曲して、他端部が-Y方向に延伸している。また、第1配線44bは、抵抗部44cを挟んで設けられた配線部44b1,44b2を含んでいる。
【0063】
抵抗部44cは、第1配線44bの一端部と他端部との間に含まれて、第1配線44bに直接接続されている。抵抗部44cの抵抗値は、例えば、0.01mΩ以上、1mΩ以下である。抵抗部44cは、例えば、シャント抵抗であって、立方体状を成している。抵抗部44cの厚さは、例えば、第1配線44bの厚さと略等しい。抵抗部44cの±X方向の幅の長さは、第1配線44bの同方向の幅の長さと略等しい。なお、抵抗部44cの形状、形成箇所は、一例である。抵抗部44cは、第1配線44bの配線部44b1,44b2に挟持されて、第1配線44bに含まれている。なお、抵抗部44cは、第1配線44bの配線部44b1,44b2に対して、例えば、溶接により接合されてよい。第1検出端子44d及び第2検出端子44eは、導電性に優れた金属により構成されており、例えば、銅である。第1検出端子44d及び第2検出端子44eは、例えば、ピン状を成して、第1配線44bに接合される。または、第1検出端子44d及び第2検出端子44eは第1配線44bに対して、上記の材料を用いて、めっき、または、堆積により形成されてよい。
【0064】
また、第1検出端子44d及び第2検出端子44eは、第1配線44bに対して抵抗部44cを挟んでそれぞれ形成される。すなわち、第1検出端子44dは、第1配線44bの抵抗部44cに対して一端部側(第1電極接続部44a側)に隣接している。第2検出端子44eは、第1配線44bの抵抗部44cに対して他端部側(第1電極接続部44aから離れる側)に隣接している。さらに、第1検出端子44d及び第2検出端子44eは、±X方向に位置ずれしてよい。なお、第1検出端子44d及び第2検出端子44eの形状、形成箇所は、一例である。後述するように、電流検出装置に接続することができればこの形状、形成位置に限らない。ここでは、第1検出端子44dは、第1配線44bの配線部44b2に形成され、第2検出端子44eは、第1配線44bの配線部44b1に形成されている。例えば、抵抗部44cが第1配線44bの配線部44b2に形成されていれば、第1検出端子44d及び第2検出端子44eは抵抗部44cを挟んで第1配線44bの配線部44b2に形成されてよい。
【0065】
なお、抵抗部44cは、第1配線44bまたは後述する第2配線45bのいずれかに設けられればよい。抵抗部44cは、第2配線45bに設けられる場合も、第1配線44bと同様に設けられる。抵抗部44cが第2配線45bに設けられる場合には、第1検出端子44d及び第2検出端子44eもまた、第1配線44bと同様に第2配線45bに形成されてよい。
【0066】
第1電源端子44fは、一端部が第1電極接続部44aの-X方向の端部に接続されて、他端部が平面視で第1電極接続部44aから外側(-Y方向)に延伸している。第1電源端子44fは、例えば、L字を成している。第1電源端子44fは、第1電極接続部44aに接続されている一端部からコンデンサ素子43aに沿って-Z方向に延伸して途中で屈曲して、他端部が-Y方向に延伸している。この場合の第1電源端子44fの他端部は、第1配線44bの他端部よりも上方(+Z方向)に位置している。このような第1電源端子44fは、第1電極接続部44aを経由して第1配線44bの一端部に電気的に接続されている。
【0067】
第2リードフレーム45は、第2電極接続部45aと第2配線45bと第2電源端子45fとを含んでいる。第2電極接続部45aは、配列されたコンデンサ素子43a,43bの裏面の前面側に設けられてコンデンサ素子43a,43bのそれぞれの電極に接合されている。第2電極接続部45aは、例えば、平板がL字を成して接合されて構成されている。
【0068】
第2配線45bは、一端部(第2一端部)が第2電極接続部45aに接続されて、他端部(第2他端部)が平面視で第2電極接続部45aから外側(-Y方向)に延伸している。なお、第2配線45bは、第2電極接続部45aの+X方向の端部よりも内側に接続されている。ここでの第2配線45bは、例えば、L字を成している。第2配線45bは、第2電極接続部45aに接続されている一端部からコンデンサ素子43bに沿って+Z方向に延伸して途中で屈曲して、他端部が-Y方向に延伸している。
【0069】
第2電源端子45fは、一端部が第2電極接続部45aの+X方向の端部に接続されて、他端部が平面視で第2電極接続部45aから外側(-Y方向)に延伸している。第2電源端子45fは、例えば、L字を成している。第2電源端子45fは、第2電極接続部45aに接続されている一端部からコンデンサ素子43bに沿って+Z方向に延伸して途中で屈曲して、他端部が-Y方向に延伸している。この場合の第2電源端子44fの他端部は、第2配線45bの他端部よりも上方(+Z方向)に位置している。このような第2電源端子45fは、第1電極接続部44aを経由して第2配線45bの一端部に電気的に接続されている。
【0070】
封止部材46は、熱硬化性樹脂であってよい。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、ポリエステル樹脂である。好ましくは、エポキシ樹脂である。さらに、封止部材46は、フィラーが添加されていてもよい。フィラーは、絶縁性で高熱伝導を有するセラミックスである。このような封止部材46がケース40の収納領域41内に充填されて、コンデンサ素子43a,43bが封止される。また、第1リードフレーム44の第1配線44bの他端部及び第1電源端子44fの他端部と、第2リードフレーム45の第2配線45bの他端部及び第2電源端子45fの他端部とが露出されて第1リードフレーム44及び第2リードフレーム45が封止される。この際、抵抗部44cもまた封止部材46に封止される。但し、本実施の形態の場合には、第1検出端子44dの端部(第1検出端子44dの第1配線44bに設けられた側の反対側の先端部)が封止部材46から露出している。第2検出端子44eは封止部材46に封止されていない。なお、第2検出端子44eも封止部材46に封止される場合は、第2検出端子44eの第2配線45bに設けられた側の反対側の先端部は封止部材46から露出されている必要がある。例えば、上述のように、抵抗部44cが第1配線44bの配線部44b2に形成されている場合、第1配線44bの配線部44b2に形成された第1検出端子44d及び第2検出端子44eの両方の端部が封止部材46から露出される。
【0071】
次に、このようなコンデンサ装置3を含む電流検出システム1の等価回路図について、図10を用いて説明する。図10は、第1の実施の形態の電流検出システムの等価回路図である。
【0072】
電流検出システム1は、既述の通り、半導体装置2とコンデンサ装置3と電源装置4とインダクタンス装置5と電流検出装置6とを含んでいる。なお、図10では、電流検出装置6の記載を省略している。
【0073】
図10の電流検出システム1の等価回路図によれば、抵抗部44cはコンデンサ装置3のコンデンサ素子43a,43b(のここでは、正極)に接続されている第1配線44b内に含まれている。図示を省略している電流検出装置6は、第1検出端子44d及び第2検出端子44eに接続されて、抵抗部44cに通電する電流を検出することができる。
【0074】
ここで、第1の実施の形態の電流検出システム1に対する参考例として別の電流検出方法について図11及び図12を用いて説明する。図11は、第1の参考例の電流検出システムを示す図であり、図12は、第2の参考例の電流検出システムを示す図である。
【0075】
図11及び図12に示す電流検出システム100,100aもまた、検出対象となる半導体装置2とコンデンサ装置300と電源装置4とインダクタンス装置5と電流検出装置6とを含んでいる。但し、第1の参考例のコンデンサ装置300の第1配線300aは、第1の実施の形態のコンデンサ装置3から抵抗部44c及び第1,第2検出端子44d,44eを除いたものである。
【0076】
図11に示す第1の参考例では、半導体装置2の第1電極端子2aとコンデンサ装置300の第1電極接続部44a(コンデンサ素子43a,43bの電極43a1,43b1(符号を省略))とを最短で接続している。電流センサー部7は、例えば、ロゴスキーコイルを用いてよい。電流検出装置6は、コンデンサ端子300aに流れる電流に比例するロゴスキ―コイル部7の電圧を検出する。
【0077】
このような電流検出システム100では、ロゴスキーコイル部7の原理的な制約から応答速度が低いため、高速で変化する信号に追従できない。特に、半導体チップ25が炭化シリコンを主成分として高速動作を行う場合、測定誤差が顕著となる。この結果、電流検出装置6による検出結果は精度が低下し、適切な電気的特性評価を行うことができない。
【0078】
また、図12に示す第2の参考例では、半導体装置2の第1電極端子2aとコンデンサ装置300の第1配線300aとは、抵抗部8aと一対の検出端子8bとを含む接続板8を介して接続されている。半導体装置2の第2電極端子2bとコンデンサ装置300の第2配線3bとは接続板9を介して接続されている。接続板8,9は、既述の導電性に優れた金属により構成されている。接続板8に含まれる抵抗部8aは、例えば、シャント抵抗である。接続板8及び抵抗部8aの±X方向の幅は略等しい。電流検出装置6は、接続板8の一対の検出端子8bに対して抵抗部8aを挟んでそれぞれ接続されている。電流検出装置6は、接続板8に流れる電流を検出する。なお、抵抗部8aは、接続板8,9のいずれかに設けられてよい。抵抗部8aが接続板9に設けられた場合、電流検出装置6は、抵抗部8aを挟んで接続板9に流れる電流を検出する。
【0079】
このような電流検出システム100aは、半導体装置2の第1電極端子2aとコンデンサ装置300の第1配線300aとの間に抵抗部8aを含む接続板8を挟んでいる。このため、接続板8に発生する浮遊インダクタンスが増加してしまい、電気的な特性が変化してしまう。この結果、電流検出装置6による検出結果は精度が低下し、適切な電気的特性評価を行うことができない。
【0080】
このような電流検出システム100,100aに対して、第1の実施の形態のコンデンサ装置3は、コンデンサ素子43a,43bと第1配線44bと第2配線45bとを含む。第1配線44bは、一端部がコンデンサ素子43a,43bの、例えば正極である電極43a1,43b1に接続され、他端部が半導体装置2に含まれる第1電極端子14に接続される。第2配線45bは、一端部がコンデンサ素子43a,43bの、例えば負極である電極43a2,43b2に接続され、他端部が半導体装置2に含まれる第2電極端子15に接続される。さらに、抵抗部44cが、第1配線44bの一端部及び他端部の間に含まれて、第1配線44bと抵抗部44cとは直接電気的に接続されている。このようにコンデンサ装置3では、抵抗部44cが第1配線44bに直接設けられている。このため、第1配線44bを半導体装置2の第1電極端子14に何も介さず直接接続することができ、第1配線44bと半導体装置2の第1電極端子14との間に浮遊インダクタンスの増加が抑制される。また、抵抗部44cはシャント抵抗であるため、ロゴスキーコイルを用いたようなロゴスキーコイルの原理的な制約による応答速度の低下、高速で変化する信号に追従できないこともない。
【0081】
したがって、電流検出システム1において、コンデンサ装置3を用いることで半導体装置2の電流の検出精度が向上する。このような検出結果を用いることで、半導体装置2の信頼性評価の精度が向上する。
【0082】
また、コンデンサ装置3では、第1配線44bに含まれる抵抗部44cはケース40内に封止部材46により封止される。すなわち、抵抗部44cは封止部材46によって、固定される。このため、半導体装置2の第1電極端子14に第1配線44bを接合する際、また、接合後に第1配線44bを通じて抵抗部44cに対する外部応力を緩和することができる。したがって、抵抗部44cを確実に保護することができ、抵抗部44cの長期寿命化を図ることができる。
【0083】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態の電流検出システム1における検出対象として、2つの半導体チップ25を含む半導体装置2を例に挙げて説明した。第2の実施の形態の電流検出システム(図示を省略)では、これに代わり、6つの半導体チップを含む半導体装置、すなわち、第1の実施の形態の半導体装置2を3つ含む半導体装置について図13を用いて説明する。
【0084】
図13は、第2の実施の形態の半導体装置の平面図(封止時)である。第2の実施の形態の半導体装置2eは、第1の実施の形態の半導体装置2を3つ含んでいる。図13では半導体装置2の各構成の符号を記載しているわけではない(図2図4を参照)。半導体装置2eは、3つの半導体装置2を、第1電極端子14及び第2電極端子15並びに出力端子16が1列に配列されるように含んでいる。この際、3つの半導体装置2のケース10並びに放熱板13はそれぞれ一体的に接続されている。
【0085】
次に、第2の実施の形態の電流検出システムにおいて、半導体装置2eに接続されるコンデンサ装置について、図14を用いて説明する。図14は、第2の実施の形態のコンデンサ装置の側面図(未封止時)である。なお、図14では、コンデンサ装置3の各構成の符号を全て記載しているわけではない(図6図9を参照)。
【0086】
コンデンサ装置3eは、第1の実施の形態のコンデンサ装置3を3つ分、含んでいる。コンデンサ装置3eもまた、ケース40とケース40の収納領域41に収納されたコンデンサユニット42と収納領域41内を封止する封止部材46とを含んでいる。なお、図14では、封止部材46の図示を省略している。
【0087】
また、第1の実施の形態と同様に、封止部材46からコンデンサユニット42に含まれる第1リードフレーム44の第1配線44bの端部と第1電源端子44fの端部と、第2リードフレーム45の第2配線45bの端部と第2電源端子45fの端部とがそれぞれ露出されている。さらに、封止部材46から、第1リードフレーム44の第1配線44bに含まれる第1検出端子44dの端部及び第2検出端子44eの端部もまたそれぞれ露出されている。
【0088】
ケース40は、第1の実施の形態と同様に、箱状を成しており、底面40aと側面40bと上面40cと側面40dと背面(符号を省略)とで収納領域41が構成されている。また、ケース40の側面40b,40dに底面40aと同一平面を成して固定部40fがそれぞれ形成されている。収納領域41は、コンデンサユニット42が収納可能なサイズであればよい。ケース40もまた、第1の実施の形態と同様に、熱可塑性樹脂を用いて射出成形により成形される。
【0089】
コンデンサユニット42は、さらに、3組のコンデンサ素子43a,43bとコンデンサ素子43c,43dとコンデンサ素子43e,43fと第1リードフレーム44と第2リードフレーム45とを含んでいる。コンデンサ素子43a,43b,43c,43d,43e,43fは、第1の実施の形態のコンデンサ素子43a,43bと同様の構成を成している。
【0090】
第1リードフレーム44及び第2リードフレーム45は、第1の実施の形態と同様に、導電性に優れた金属により構成されている。第1リードフレーム44は、第1の実施の形態と同様に、第1電極接続部44aと第1配線44bと抵抗部(図示を省略)と第1,第2検出端子44d,44eと第1電源端子44fとを含んでいる。但し、第1リードフレーム44は、第1配線44bを3つ含んでいる。また、抵抗部(図示を省略)と第1検出端子44dと第2検出端子44eとは、3つの第1配線44bのうち、少なくとも2つの第1配線44bに設けられてよい。
【0091】
第1電極接続部44aは、配列された3組のコンデンサ素子43a,43bとコンデンサ素子43c,43dとコンデンサ素子43e,43fとのおもて面の前面側に設けられてそれぞれの電極(符号を省略)に接合されている。第1電極接続部44aは、例えば、平板がL字を成して接合されて構成されている。
【0092】
第1配線44bは、一端部(第1一端部)が第1電極接続部44aの3カ所にそれぞれ接続されて、他端部(第1他端部)が平面視で第1電極接続部44aから外側(-Y方向)に延伸している。例えば、-X方向の端部の第1配線44bは、第1電極接続部44aの-X方向の端部よりも内側に接続されている。第1配線44bは、第1電極接続部44aに接続されている一端部からコンデンサ素子43a,43c,43eに沿って-Z方向に延伸して途中で屈曲して、他端部が-Y方向に延伸している。これらの第1配線44bは、それぞれ、L字を成している。第1配線44bは第1の実施の形態と同様に抵抗部及び第1検出端子44d及び第2検出端子44eを含む。
【0093】
第1電源端子44fは、第1の実施の形態と同様に、一端部が第1電極接続部44aの-X方向の端部に接続されて、他端部が平面視で第1電極接続部44aから外側(-Y方向)に延伸している。
【0094】
第2リードフレーム45は、第2電極接続部45aと第2配線45bと第2電源端子45fとを含んでいる。但し、第2リードフレーム45は、第2配線45bを3つ含んでいる。
【0095】
第2電極接続部45aは、配列されたコンデンサ素子43a,43bとコンデンサ素子43c,43dとコンデンサ素子43e,43fとのそれぞれの裏面の前面側に設けられてそれぞれの電極(符号省略)に接合されている。第2電極接続部45aは、例えば、平板がL字を成して接合されて構成されている。
【0096】
第2配線45bは、一端部(第2一端部)が第2電極接続部45aの3カ所にそれぞれ接続されて、他端部(第2他端部)が平面視で第2電極接続部45aから外側(-Y方向)に延伸している。例えば、+X方向の端部の第2配線45bは、第2電極接続部45aの+X方向の端部よりも内側に接続されている。第2配線45bは、第2電極接続部45aに接続されている一端部からコンデンサ素子43b,43d,43fに沿って+Z方向に延伸して途中で屈曲して、他端部が-Y方向に延伸している。これらの第2配線45bは、それぞれ、L字を成している。
【0097】
第2電源端子45fは、第1の実施の形態と同様に、一端部が第2電極接続部45aの+X方向の端部に接続されて、他端部が平面視で第2電極接続部45aから外側(-Y方向)に延伸している。
【0098】
コンデンサ装置3e及び半導体装置2eを含む電流検出システム1では、コンデンサ装置3eのそれぞれの第1配線44b及び第2配線45bは、半導体装置2eのそれぞれの第1電極端子14及び第2電極端子15にそれぞれ接続される。また、コンデンサ装置3eの第1電源端子44f及び第2電源端子45fに電源装置の第1電源配線4a及び第2電源配線4bがそれぞれ接続される。そして、電流検出装置6により、第1の実施の形態と同様に、第1検出端子44d及び第2検出端子44eから電流を検出することができる。
【0099】
このようなコンデンサ装置3eでも、抵抗部が第1配線44bに直接設けられている。このため、第1配線44bを半導体装置2eの第1電極端子14に何も介さず直接接続することができ、第1配線44bと半導体装置2eの第1電極端子14との間に浮遊インダクタンスの増加が抑制される。また、抵抗部はシャント抵抗であるため、ロゴスキーコイルを用いたようなロゴスキーコイルの原理的な制約による応答速度の低下、高速で変化する信号に追従できないこともない。
【0100】
したがって、電流検出システムにおいて、コンデンサ装置3eを用いることで半導体装置2の電流の検出精度が向上する。このような検出結果を用いることで、半導体装置2の信頼性評価の精度が向上する。
【0101】
また、コンデンサ装置3eでは、第1配線44bに含まれる抵抗部はケース40内に封止部材46により封止される。すなわち、抵抗部は封止部材46によって、固定される。このため、半導体装置2eのそれぞれの第1電極端子14にコンデンサ装置3eのそれぞれの第1配線44bを接合する際、また、接合後に第1配線44bを通じて抵抗部に対する外部応力を緩和することができる。したがって、抵抗部を確実に保護することができ、抵抗部の長期寿命化を図ることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 電流検出システム
2 半導体装置
2a 第1電極端子
2b 第2電極端子
2c 出力端子
2e 半導体装置
3 コンデンサ装置
3a 第1配線
3b 第2配線
3c 第1電源端子
3d 第2電源端子
3e コンデンサ装置
4 電源装置
4a 第1電源配線
4b 第2電源配線
5 インダクタンス装置
5a,5b 配線
6 電流検出装置
10 ケース
10a,10c 短側面
10b,10d 長側面
10e 上面
11 収納部
12 端子台
13 放熱板
13a,13c 短側面
13b,13d 長側面
13e 締結孔
14 第1電極端子
14a 第1内端部
15 第2電極端子
15a 第2内端部
16 出力端子
16a 内端部
17 制御端子
17a 内端部
18 封止部材
20 半導体ユニット
21 絶縁回路基板
22 絶縁板
23a,23b 回路パターン
24 金属板
25 半導体チップ
25a 制御電極
31 制御ワイヤ
32,33,34,35 主電流ワイヤ
40 ケース
40a 底面
40b,40d 側面
40c 上面
40e 背面
40f 固定部
41 収納領域
42 コンデンサユニット
43a,43b,43c,43d,43e,43f コンデンサ素子
43a1,43a2,43b1,43b2 電極
44 第1リードフレーム
44a 第1電極接続部
44a1 電極
44b 第1配線
44b1,44b2 配線部
44c 抵抗部
44d 第1検出端子
44e 第2検出端子
44f 第1電源端子
45 第2リードフレーム
45a 第2電極接続部
45b 第2配線
45f 第2電源端子
46 封止部材
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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