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特開2024-108427温室効果ガス排出量算定支援装置及び温室効果ガス排出量算定支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108427
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】温室効果ガス排出量算定支援装置及び温室効果ガス排出量算定支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240805BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240805BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240805BHJP
【FI】
G06Q50/10
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012783
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(72)【発明者】
【氏名】須藤 修
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100AA56
3C100BB13
3C100BB15
3C100CC02
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】金属製品のGHG排出量を高精度に算定する技術を提供する。
【解決手段】GHG排出量算定支援装置は、金属製品の対象品目に関する製造情報を取得する手段と、取得された製造情報に基づいて対象品目の製造に連動して消費される製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する手段と、対象品目の製造には直結せず金属製品の製造にあたり付随的に消費される共通固定的エネルギーの一部でありかつ対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する手段と、製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて対象品目の総GHG排出原単位を算出する手段とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製品の対象品目に関する製造情報を取得する第一取得手段と、
前記取得された製造情報に基づいて、前記対象品目の製造に連動して消費される製造連動エネルギー由来のGHG(温室効果ガス)排出原単位を算出する第一算出手段と、
前記対象品目の製造には直結せず金属製品の製造にあたり付随的に消費される共通固定的エネルギーの一部でありかつ前記対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する第二算出手段と、
前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて前記対象品目の総GHG排出原単位を算出する第三算出手段と、
を備える温室効果ガス排出量算定支援装置。
【請求項2】
前記製造情報は、前記対象品目の製造工程の情報を含み、
前記第二算出手段は、前記対象品目に関する一以上の各製造工程について前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位をそれぞれ取得し、製造工程ごとに取得された前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を合算する、
請求項1に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
【請求項3】
前記第二算出手段は、製造工程ごとに割り当てされていない前記対象品目の製造に対応する前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を更に取得し、取得されたGHG排出原単位を製造工程ごとの前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位の合算値に更に加算する、
請求項2に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
【請求項4】
金属製品の製造に必要となる前記製造連動エネルギーのエネルギー種ごとの排出係数を格納する排出係数テーブル、
を更に備え、
前記製造情報は、前記対象品目の製造のための複数の製造工程の各々について、各製造工程で必要となる前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種及びそのエネルギー種ごとのエネルギー原単位をそれぞれ示しており、
前記第一算出手段は、前記製造情報で示される前記製造連動エネルギーの前記一以上のエネルギー種に対応する前記排出係数を前記排出係数テーブルからそれぞれ抽出し、前記一以上のエネルギー種の前記エネルギー原単位と前記排出係数とを掛け合わせて得られるGHG排出原単位を前記対象品目に関する製造工程ごとに累計し、製造工程ごとに累計されたGHG排出原単位を前記複数の製造工程分、合算して、前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位を求める、
請求項1から3のいずれか一項に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
【請求項5】
前記排出係数テーブルは、前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種の前記排出係数として、公的に公表されている公定値とその公定値に対して自社のGHG排出量削減取り組みを反映させた実力値とを含み、
前記第一算出手段は、前記公定値及び前記実力値が前記排出係数として設定されている前記製造連動エネルギーのエネルギー種に関して前記排出係数テーブルから前記排出係数を抽出する場合には、前記公定値又は前記実力値のいずれか一方を選択して抽出する、
請求項4に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
【請求項6】
前記製造情報で示される前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種には、製造工程間の運搬エネルギー若しくは一製造工程内の運搬エネルギーの一方又は両方を含む、
請求項4に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
【請求項7】
前記製造情報、前記第一算出手段により算出された前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位、前記第二算出手段により算出された前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位、及び前記第三算出手段により算出された前記総GHG排出原単位に基づいて、GHG排出量算定レポートを出力する出力処理手段、
を更に備え、
前記GHG排出量算定レポートは、前記対象品目の製造のための複数の製造工程の各々について、各製造工程で必要となる前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種、エネルギー種ごとのエネルギー原単位、エネルギー種ごとの排出係数、及びエネルギー種ごとのGHG排出原単位、並びに前記固定的エネルギーに関する製造工程ごとかつエネルギー種ごとのGHG排出原単位をそれぞれ示す表を含む、
請求項4に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
【請求項8】
一以上のコンピュータにより実行される温室効果ガス排出量算定支援方法であって、
前記一以上のコンピュータが、
金属製品の対象品目に関する製造情報を取得する工程と、
前記取得された製造情報に基づいて、前記対象品目の製造に必要となる製造連動エネルギー由来のGHG(温室効果ガス)排出原単位を算出する工程と、
前記取得された製造情報に基づいて、金属製品の製造に付随的に必要となる固定的エネルギーの一部である前記対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する工程と、
前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて前記対象品目の総GHG排出原単位を算出する工程と、
を実行する温室効果ガス排出量算定支援方法。
【請求項9】
請求項8に記載の温室効果ガス排出量算定支援方法を前記一以上のコンピュータに実行させ得るコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製品の製造に関する温室効果ガス(GHG)の排出量の算定を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼分野や非鉄金属分野における製品毎のGHG排出量(環境負荷)は、通常、LCA(Life Cycle Assessment)手法に基づいて算定される。近年では、例えば、LCA手法に基づくGHG排出量可視化プラットフォームのようなサービスが提供されている(下記非特許文献1参照)。
また、下記特許文献1には、活動量データ(活動内容及び活動内容ごとの活動量)の種別ごとに活動内容毎の排出原単位を示す複数の排出原単位フォーマットを予め設けておき、その中から選択される導出対象の活動量データの種別に対応する排出原単位フォーマットに基づいて、導出対象の活動量データの活動内容ごとに少なくとも1つの排出原単位を決定し、その少なくとも1つの排出原単位に基づいて導出対象の活動量データに示される活動内容毎の活動量のそれぞれについてGHG排出量を導出する手法が開示されている。
また、下記特許文献2には、POSシステム等から取得される対象品目に関するGHG排出量を導出するにあたり、カーボンフットプリントに従うGHG排出量及びライフサイクルイベントリに従うGHG排出量の一方を品目ごとに記憶しておき、対象品目に関して記憶されているGHG排出量からカーボンオフセットの割合を乗じた量を減算することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7132580号公報
【特許文献2】特許第7114038号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】"国内初、サプライチェーン上で製品単位の温室効果ガス排出量を可視化するプラットフォーム、「LCA Plus」のサービス開始",[online],2022年8月3日,三井物産株式会社ホームページ内,インターネット<https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2022/1243642_13393.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の各手法は、広範な製品分野を対象とした一般的なGHG排出量算定手法となっている。
しかしながら、製品分野によって各製品の製造条件は大きく異なり、それら製品の製造に伴う環境負荷も製造条件によって異なることから、上述の各手法では大雑把な計算となってしまい、GHG排出量の算定精度が低下する恐れがある。特に、金属製品の分野では、材料、寸法、熱処理や表面状態等で製品種及び製造工程が多岐に渡るため、既存の手法ではGHG排出量の算定精度に課題が残る。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、金属製品のGHG排出量を高精度に算定する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、金属製品の対象品目に関する製造情報を取得する第一取得手段と、前記取得された製造情報に基づいて、前記対象品目の製造に連動して消費される製造連動エネルギー由来のGHG(温室効果ガス)排出原単位を算出する第一算出手段と、前記対象品目の製造には直結せず金属製品の製造にあたり付随的に消費される共通固定的エネルギーの一部でありかつ前記対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する第二算出手段と、前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて前記対象品目の総GHG排出原単位を算出する第三算出手段と、を備える温室効果ガス排出量算定支援装置が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、一以上のコンピュータにより実行される温室効果ガス排出量算定支援方法であって、前記一以上のコンピュータが、金属製品の対象品目に関する製造情報を取得する工程と、前記取得された製造情報に基づいて、前記対象品目の製造に必要となる製造連動エネルギー由来のGHG(温室効果ガス)排出原単位を算出する第一算出工程と、前記取得された製造情報に基づいて、金属製品の製造に付随的に必要となる固定的エネルギーの一部である前記対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する第二算出工程と、前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて前記対象品目の総GHG排出原単位を算出する第三算出工程と、を実行する温室効果ガス排出量算定支援方法が提供される。
また、本発明によれば、上記温室効果ガス排出量算定支援方法を一以上のコンピュータに実行させ得るコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体も提供され得る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属製品のGHG排出量を高精度に算定する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るGHG排出量算定支援装置(本支援装置)のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
図2】本実施形態に係るGHG排出量算定支援装置(本支援装置)10のソフトウェア構成例を概念的に示す図である。
図3】製造情報テーブルの例を示す図である。
図4】固定的エネルギー情報テーブルの例を示す図である。
図5】排出係数テーブルの例を示す図である。
図6】GHG排出量算定レポートの出力例を示す図である。
図7】本実施形態に係るGHG排出量算定支援方法(本支援方法)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以降、本実施形態と表記する場合がある)について説明する。なお、以下に挙げる実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
【0012】
まず、本実施形態に係る温室効果ガス(GHG)排出量算定支援装置及び温室効果ガス(GHG)排出量算定支援方法の概要について説明する。
本実施形態では、金属製品の対象品目に関する製造情報が取得され、取得された製造情報に基づいて製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位が算出され、更に当該対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位が算出され、これらを用いることで当該対象品目の総GHG排出原単位が算出される。
【0013】
ここで「金属製品」とは、鉄鋼材料又は非鉄材料から製造される製品であり、例えば、鋼材品、鍛延品、型鍛製品、帯鋼製品、火造品、粉末製品、機能製品、溶接線、中空鋼などである。鉄鋼材料とは鉄や鉄を主成分とした合金等であり、非鉄材料とは鉄鋼材料以外の金属である。
金属製品の「品目」とは、金属製品の受注単位を示し、例えば、顧客、鉄鋼材料、寸法、熱処理や表面状態等で特定される。総GHG排出原単位の算出の対象となる品目は「対象品目」と表記される。
「GHG排出原単位」とは、金属製品の品目における単位量あたりの製造に伴い排出されると推定されるGHG排出量を意味する。
【0014】
「製造連動エネルギー」とは、個々の品目の製造に連動して消費されるエネルギーを意味し、「製造連動エネルギーのエネルギー種」は、製造連動エネルギーの元となるもの、即ち電力、燃料、原料や材料等で示される。例えば、製造連動エネルギーのエネルギー種には、溶解工程で消費される電力、燃料としてのLNG(液化天然ガス)や灯油、材料としてのコークス等があり、また、製造工程内又は製造工程間の輸送で燃料として消費される軽油やガソリン等がある。但し、「製造連動エネルギーのエネルギー種」は、このような例に限定されず、個々の品目の製造に直接的に消費されるエネルギー種であればよい。
【0015】
「固定的エネルギー」とは、個々の品目の製造には直結せず(非連動であり)金属製品の製造にあたり付随的に消費される共通エネルギー(共通固定的エネルギー)の一部でありかつ個々の品目の製造に対応するエネルギーを意味する。
「固定的エネルギーのエネルギー種」は、固定的エネルギーの元となるもの、即ち電力、燃料、原料や材料等で示される。例えば、固定的エネルギーのエネルギー種には、工場やプラント等の建屋全体で利用される照明等で消費される電力、当該建屋全体で利用される暖房等で消費される蒸気、食堂や休憩所のような共通施設で消費される電力や蒸気、ガス等がある。つまり、固定的エネルギーは、工場やプラント等の建屋全体や当該共通施設で消費される共通固定的エネルギーの中の、個々の品目の製造に対して割り当てられた部分的エネルギーである。
但し、「固定的エネルギーのエネルギー種」は、このような例に限定されず、個々の品目の製造に直結せず金属製品の製造にあたり付随的に消費されるエネルギー種であればよい。
【0016】
既存手法では、金属製品の各品目の製造に関して固定的エネルギー由来のGHG排出原単位が考慮されていなかったところ、本実施形態では、製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて、対象品目の総GHG排出原単位を算出することにより、金属製品のGHG排出量を高精度に算定することができる。
【0017】
以降、本実施形態に係るGHG排出量算定支援装置(以降、本支援装置と略称する場合がある)及びGHG排出量算定支援方法(以降、本支援方法と略称する場合がある)について詳細に説明する。
【0018】
〈GHG排出量算定支援装置〉
図1は、本実施形態に係るGHG排出量算定支援装置(本支援装置)10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
本支援装置10は、いわゆるコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)1、メモリ2、入出力インタフェース(I/F)3、通信ユニット4等を有する。
CPU1は、いわゆるプロセッサであり、一般的なCPUに加えて、特定用途向け集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等も含まれ得る。
メモリ2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
【0019】
入出力I/F3は、表示装置5、入力装置6等のユーザインタフェース装置と接続可能である。表示装置5は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU1等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置6は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。表示装置5及び入力装置6は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット4は、通信網11を介した他のコンピュータとの通信や、プリンタ等の他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット4には、可搬型記録媒体等も接続され得る。本実施形態において通信ユニット4は、ユーザ端末13、ERPシステム15等と通信網11を介して通信可能に接続されている。
【0020】
本支援装置10のハードウェア構成は、図1の例に制限されない。本支援装置10は、図示されていない他のハードウェア要素を含んでもよい。また、各ハードウェア要素の数も、図1の例に制限されない。例えば、本支援装置10は、複数のCPU1を有していてもよい。また、本支援装置10は、複数の筐体からなる複数台のコンピュータにより実現されていてもよい。
【0021】
通信網11は、インターネット等のような公衆網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、無線通信ネットワーク等の一つ又は複数で構成される。但し、本実施形態において、本支援装置10とユーザ端末13及びERPシステム15との間の通信形態は限定されない。
【0022】
ユーザ端末13は、いわゆるコンピュータであり、据え置き型のコンピュータであってもよいし、携帯型のコンピュータであってもよい。
ユーザ端末13は、本支援装置10にアクセスすることにより、本支援装置10により提供される情報を出力することができる。このような情報出力が可能であれば、ユーザ端末13のハードウェア構成及びソフトウェア構成は限定されない。
なお、ユーザ端末13での出力形態については後述する。
【0023】
ERP(Enterprise Resource Planning)システム15は一般的な基幹業務システムである。本実施形態では、ERPシステム15は、金属製品の製造メーカである対象企業の基幹業務システムであり、金属製品の品目ごとの原価データを管理する機能を有していればよく、その他の機能やハードウェア構成等は何ら限定されない。
また、ERPシステム15は、本支援装置10と通信を行い、後述する製造情報テーブルに格納するための製造情報を本支援装置10に提供する。この製造情報の内容の詳細については後述するが、当該製造情報は、金属製品に関する一般的な原価管理手法等により生成され得る。
【0024】
本支援装置10は、金属製品のGHG排出量の算定を支援する。
図2は、本実施形態に係るGHG排出量算定支援装置(本支援装置)10のソフトウェア構成例を概念的に示す図である。
本支援装置10は、図2に示されるように、情報取得部21、第一算出部22、第二算出部23、第三算出部24、出力処理部25、データベース(DB)管理部26、支援データベース(DB)27等を有する。これら各処理モジュールは、例えば、CPU1によりメモリ2に格納されるコンピュータプログラムが実行されることにより実現される。このコンピュータプログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F3又は通信ユニット4を介してインストールされ、メモリ2に格納されてもよい。
但し、支援DB27は、本支援装置10とは別の装置(コンピュータ)に実装されてもよい。
【0025】
支援DB27は、金属製品のGHG排出量を算出するうえで参照される各種情報テーブルを含む。具体的には、支援DB27は、製造情報テーブル、固定的エネルギー情報テーブル、排出係数テーブル等を含む。
【0026】
図3は、製造情報テーブルの例を示す図である。
製造情報テーブルは、ERPシステム15から提供される金属製品の品目ごとの製造情報を格納するテーブルであり、金属製品の品目ごとに、品目コード、工場、工程、エネルギー種、歩留まり、及びエネルギー原単位の情報を含む。
【0027】
品目コードは、金属製品の品目を識別可能な識別子であり、ERPシステム15では、各品目コードに対して、顧客、鉄鋼材料、寸法、熱処理や表面状態等の情報がそれぞれ管理されている(図示せず)。
工場及び工程は、各品目の製造工程及びその製造工程が実施される工場を識別可能な情報である。図3では、品目コード「1H2Q」の品目の製造工程としては、工場「A」で実施される製造工程「溶解」及び「分塊圧延」、工場「B」での製造工程「運搬」及び「製品入庫」が存在することが例示されている。
ここで、製造工程「運搬」については、前の製造工程と後の製造工程との間で行われる形態と、一つの製造工程内で行われる形態とがあり得る。前者の形態(製造工程間の運搬)では、いずれか一方の製造工程が実施される工場に関連付けられればよく、後者の形態(製造工程内の運搬)については、その製造工程が実施される工場に関連付けられればよい。
このように金属製品では複数の製造工程で製造される品目がほとんどであるため、製造情報テーブルには、1つの品目コードに対して複数の製造工程を示す複数のレコードが格納される。但し、本実施形態は、一つの品目コードに対して一つの製造工程のレコードが生成される例を排除するものではない。
また、本実施形態は、製造情報で示される製造工程の内容を限定しない。その他の製造工程としては、例えば、「二次加工」、「検査」等がある。また、同一の製造工程であっても実施される工場が異なる場合には、工場ごとにエネルギー原単位を割り当てることができる。
【0028】
エネルギー種は、対象の製造工程において消費される製造連動エネルギーのエネルギー種を識別可能な情報である。図3では、品目コード「1H2Q」の品目の製造工程「溶解」においてエネルギー種「電力」、「コークス」及び「LNG(都市ガス)」の製造連動エネルギーが消費されることが例示されている。
このように金属製品の製造工程では、製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種が必要とされるため、製造情報テーブルには、1つの製造工程に対して複数のエネルギー種を示す複数のレコードが格納される。
エネルギー原単位は、対象品目の対象の製造工程で消費される製造連動エネルギーの対象のエネルギー種に関して、対象品目の単位量あたりの製造で消費されるエネルギー量を示す。
【0029】
以上から、製造情報テーブルに格納される製造情報は、対象品目の製造工程の情報を含み、対象品目の製造のための複数の製造工程の各々について、各製造工程で必要となる製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種及びそのエネルギー種ごとのエネルギー原単位をそれぞれ示すと表記することができる。
また、当該製造情報で示される製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種には、製造工程間の運搬エネルギー若しくは一製造工程内の運搬エネルギーの一方又は両方が含まれると表記することができる。
このように製造工程間又は製造工程内の運搬についても製造連動エネルギーのGHG排出量の算定対象に加えることで、金属製品のGHG排出量を高精度に算定することができる。
【0030】
歩留まりは、対象品目の製造における原材料の投入量に対する製造された製造量の割合を示す。歩留まりの値(%)は、例えば、ERPシステム15において製造実績情報から一般的な手法を用いて算出される。対象品目が新たな製品である場合にその対象品目の歩留まりの値は、例えば、同じ製造工程を含む他の品目の情報(既存設備での実績値)等から見積可能である。この点、エネルギー原単位についても同様である。
また、本実施形態では、好ましい例としてエネルギー原単位はこの歩留まりを考慮して算出されているが、歩留まりを考慮せずエネルギー原単位が決定されてもよい。
【0031】
図4は、固定的エネルギー情報テーブルの例を示す図である。
固定的エネルギー情報テーブルは、固定的エネルギーに関する情報を格納するテーブルであり、上述の製造情報テーブルに格納される製造情報で示される金属製品の品目ごとに、品目コード、工場、工程、エネルギー種、GHG排出区分、及びGHG排出原単位の情報を含む。
固定的エネルギー情報テーブルに格納される品目コード、工場及び工程の情報は、製造情報テーブルに格納される品目コード、工場及び工程の情報と同一であり、製造情報テーブルと同様に、ERPシステム15から提供される製造情報に基づいて反映される。
【0032】
固定的エネルギー情報テーブルに格納されるエネルギー種は、各品目の製造に対応する固定的エネルギーのエネルギー種を識別可能な情報である。図4では、品目コード「1H2Q」の品目の製造工程「溶解」に対して、固定的エネルギーのエネルギー種「電力」及び「燃料」が割り当てられていることが例示されている。
固定的エネルギーのエネルギー種は、1つの製造工程に対して1又は複数割り当てられることもできるし、製造工程ごとではなく全ての製造工程をまとめた製造全体に対して1又は複数割り当てられてもよい。例えば、1つの工場で複数の製造工程が実施される形態では、その工場で金属製品の製造にあたり付随的に消費される共通固定的エネルギーのエネルギー種が当該複数の製造工程の中の1つに割り当てられてもよいし、当該複数の製造工程の各々に分割されて割り当てられてもよい。また、製造工程に直結しない工場外の照明や工場外の共通施設で消費される共通固定的エネルギーは、製造工程ごとではなく全ての製造工程をまとめた製造全体に対して割り当てられてもよいし、製造工程ごとに割り当てられてもよい。また、固定的エネルギーの情報が割り当てられない製造工程が存在してもよい。
図4には図示されていないが、製造工程ごとではなく全ての製造工程をまとめた製造全体に対して割り当てられた固定的エネルギーを示すレコードでは、工場及び工程のフィールドにはデータが設定されなければよいし、或いは、入力忘れと区別するために「#」などの記号等が設定されてもよい。また、固定的エネルギー情報テーブルにおいて、固定的エネルギーのエネルギー種が割り当てられない製造工程を示すレコードが格納されなくてもよい。
【0033】
GHG排出区分は、GHG排出量算定及び報告の国際的な基準であるGHGプロトコルで設けられている排出量の区分を示し、固定的エネルギーの対象のエネルギー種が属するGHG排出区分を識別可能な識別子であり、スコープ1、2又は3のいずれかが設定される。
スコープ1は、鉄鋼製造の事業者自らによる燃料の燃焼や工業プロセス等に伴うGHGの直接排出に対応する区分である。
スコープ2は、他社から供給された電気、熱、蒸気等の使用に伴うGHGの間接排出に対応する区分である。
スコープ3は、スコープ1及び2以外のGHGの間接排出に対応する区分である。
但し、スコープ1及び2のみがGHG排出量算定の対象とされてもよい。
【0034】
GHG排出原単位は、金属製品の各品目における単位量あたりの製造に伴い排出されると推定される固定的エネルギー由来のGHG排出量である。固定的エネルギー情報テーブルに格納されるGHG排出原単位は、後述する第二算出部23により決定されるため、当該GHG排出原単位の決定手法については後述する。
【0035】
図5は、排出係数テーブルの例を示す図である。
排出係数テーブルは、金属製品の製造に必要となる製造連動エネルギーのエネルギー種ごとの排出係数を格納する。排出係数テーブルの各レコードは、係数区分、工場、エネルギー種、GHG排出区分、及び排出係数をそれぞれ含む。
排出係数とは、対象となるエネルギー種の単位量あたりのGHG排出量を示す指標である。例えば、エネルギー種「電力」の排出係数は、1kWhの電力をつくりだすのに排出されると推定されるCO2の量(kg)を示す。また、エネルギー種「コークス」の排出係数は、1kgのコークスを燃焼させた際に排出されると推定されるCO2の量(kg)を示す。エネルギー種「LNG」の排出係数は、1Nm(ノルマルリューベ)のLNGを燃焼させた際に排出されると推定されるCO2の量(kg)を示す。
GHG排出区分は、対象のエネルギー種が属するGHG排出区分を識別可能な識別子であり、その内容は、上述したとおりである。
【0036】
係数区分は、対象の排出係数が公定値であるか又は実力値であるかを示す識別情報である。
係数区分として公定値が設定されたレコードに格納される排出係数は、国や自治体、その他の非民間の公共機関により(公的に)公表されている排出係数であることを示す。排出係数の公定値は、例えば、環境省により公表されている値とされる。
係数区分として実力値が設定されたレコードに格納される排出係数は、公定値に対して自社のGHG排出量削減取り組みを反映させた排出係数であることを示す。例えば、太陽光や風力等の自然エネルギーを用いて作られたグリーン電力が利用される場合には、公定値よりも低い排出係数が実力値として設定される。
このようなGHG排出量削減の取り組みは、自社の工場ごと及びエネルギー種ごとに行われ得るため、排出係数テーブルの各レコードには工場及びエネルギー種が含まれている。
【0037】
DB管理部26は、支援DB27に含まれる各種情報テーブルに格納される情報を管理する。支援DB27が本支援装置10以外の他の装置上に実装されている場合には、DB管理部26は、当該他の装置と通信を行うことで支援DB27にアクセスすればよい。
【0038】
DB管理部26は、上述した製造情報をERPシステム15から収集し、製造情報テーブルに反映する。DB管理部26による当該製造情報テーブルへの製造情報の反映タイミングは、周期的であってもよいし、特定のタイミングであってもよい。歩留まりやエネルギー原単位は、製造設備や製造技術などの進歩によって変わるため、ERPシステム15において各品目の製造情報が更新されたタイミングで、当該製造情報テーブルにも反映されるようにしてもよい。また、金属製品の新たな品目の受注時にも、その新たな品目の製造情報がERPシステム15で生成された際に、当該製造情報テーブルにも追加されるようにする。
このような追加又は更新すべき製造情報は、DB管理部26の要求に応じてERPシステム15から取得されてもよいし、ERPシステム15から自発的に送られてもよい。
【0039】
また、DB管理部26は、固定的エネルギーに関する情報を固定的エネルギー情報テーブルに反映させる。例えば、DB管理部26は、ERPシステム15から得られる製造情報に基づいて、品目コード、工場、工程、エネルギー種、及びGHG排出区分を含むレコードを生成し、固定的エネルギー情報テーブルに格納する。固定的エネルギー情報テーブルの各レコードに含まれる固定的エネルギー由来のGHG排出原単位は、他のシステム(ERPシステム15等)から取得されてもよいし、次のようにDB管理部26により算出されてもよい。
【0040】
DB管理部26は、他のシステム(ERPシステム15等)から上述した共通固定的エネルギーの消費量情報を取得する。この情報は、金属製品の一以上の製造工程を担う工場やプラント等の建屋(各種情報テーブルの「工場」に相当し、単に工場と略称される場合もある)で消費されるエネルギーのうち個々の品目の製造に直結する製造連動エネルギーを除いたエネルギー、及び金属製品の製造工程を担うわけではない食堂や休憩所のような共通施設で消費されるエネルギーの消費量を示す。
【0041】
DB管理部26は、そのような共通固定的エネルギーの消費量を金属製品の品目ごと及び各品目の製造工程ごとにそれぞれ割り当てる。この割当には、様々な手法が利用可能である。例えば、或る工場で消費される所定期間の共通固定的エネルギー消費量の実績値(前回四半期、前年度等)を製造過程でその工場を通過した各品目の当該所定期間の製造量の割合で按分することで、各品目におけるその工場或いはその工場で行われる製造工程に対して固定的エネルギーの単位消費量を割り当てることができる。
また、共通施設での共通固定的エネルギーの所定期間の消費量については、各品目の当該所定期間の製造量の割合で按分することで、各品目に対して共通施設での固定的エネルギーの単位消費量を割り当てることができる。但し、共通施設での固定的エネルギーの単位消費量の割当は、製造工程ごとに割り当てることも可能である。例えば、品目ごとに各製造工程の通過時間(その製造工程で費やされる時間)やその製造工程に付き添う担当者の人数等を当該共通施設での固定的エネルギーの消費量の按分の情報として利用することができる。
【0042】
DB管理部26は、品目ごとかつ製造工程ごとに割り当てられた固定的エネルギーの単位消費量を各品目の当該所定期間の製造量で除算することでエネルギー原単位を取得し、このエネルギー原単位に排出係数を掛け合わせることで品目ごとかつ製造工程ごとの固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出することができる。更に、DB管理部26は、製造工程ごとには割り付けられておらず品目ごとに割り当てられた固定的エネルギーの単位消費量についても同様に計算し、品目ごとの固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出することができる。
固定的エネルギー由来のGHG排出原単位の算出のための排出係数については、後述する第一算出部22の処理と同様に公定値又は実力値のいずれか一方を選択可能に利用されてもよいし、いずれか一方が固定的に決められていてもよい。
【0043】
DB管理部26は、ERPシステム15から取得された製造情報に基づいて、工場、エネルギー種及びGHG排出区分を含むレコードを生成し、排出係数テーブルに格納する。対象の工場及びエネルギー種の排出係数の公定値及び実力値については、DB管理部26は、ERPシステム15又は公定値を公表する他のシステムから取得してもよいし、入力装置6を用いたユーザ操作により入力された情報を用いてもよい。
排出係数の公定値及び実力値のいずれも任意のタイミングで更新され得るため、DB管理部26は、更新された公定値又は実力値を所定の周期又は所定のタイミングで取得し、排出係数テーブルに反映させる。
【0044】
情報取得部21は、金属製品の対象品目に関する製造情報を取得する。このため、情報取得部21は第一取得手段に相当する。
本実施形態において情報取得部21は、対象品目の品目コードを取得し、その品目コードをキーに製造情報テーブルを検索し、製造情報テーブルからその品目コードに対応する製造情報レコードを抽出する。
対象品目の品目コードは、例えば、入力装置6を用いたユーザ操作により入力される。ユーザ入力は、直接、品目コードの入力であってもよいし、金属製品の品目リストの中から選択される入力であってもよい。対象品目の品目コードの取得手法については制限されない。
【0045】
第一算出部22は、情報取得部21により取得された製造情報に基づいて、対象品目の製造に連動して消費される製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する。このため、第一算出部22は第一算出手段に相当する。
【0046】
本実施形態では、上述したとおり、当該製造情報は、対象品目の製造のための複数の製造工程の各々について、各製造工程で必要となる製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種の情報及びそのエネルギー種ごとのエネルギー原単位の情報をそれぞれ含む。
第一算出部22は、当該製造情報に含まれる製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種に対応する排出係数を排出係数テーブルからそれぞれ抽出し、当該エネルギー種ごとにエネルギー原単位と排出係数とを掛け合わせることでGHG排出原単位をそれぞれ算出する。第一算出部22は、算出されたエネルギー種ごとのGHG排出原単位を対象品目に関する製造工程ごとに累計し、製造工程ごとに累計されたGHG排出原単位を複数の製造工程分、合算して、対象品目の製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位を求める。
【0047】
このように本実施形態によれば、対象品目の製造に関する製造連動エネルギーのGHG排出原単位が、対象品目の各製造工程で必要となる一以上のエネルギー種ごとに算出され、それらが製造工程ごとに累計され合算されることで求められる。結果、対象品目の製造に関する製造連動エネルギーのGHG排出単位を高精度に算定することができる。
【0048】
ここで排出係数の抽出においては、第一算出部22は、当該製造情報に含まれる工場及びエネルギー種をキーに排出係数テーブルを検索し、その排出係数テーブルからそのキーを含む排出係数のレコードを抽出する。このとき、抽出された排出係数には公定値と実力値とが含まれる場合があるため、第一算出部22は、公定値又は実力値のいずれか一方を選択して、GHG排出原単位の算出に利用する。
このような排出係数の係数区分(公定値又は実力値)の選択は、例えば、GHG排出量の算定処理を開始する前に、表示装置5に表示されるメニュー画面等を介して予め入力装置6を用いたユーザ操作等により受け付けられていてもよい。
また、当該選択は、工場及びエネルギー種の単位で個別に行われてもよい。例えば、一つの対象品目に関して、工場「A」のエネルギー種「電力」については実力値が選択され、工場「B」のエネルギー種「電力」については公定値が選択されるようにしてもよい。また、実力値と公定値との両方が排出係数テーブルに設定された排出係数については実力値が固定的に選択され、その他の排出係数については排出係数テーブルに設定された実力値又は公定値のいずれか一方が利用されるようにしてもよい。
【0049】
このように本実施形態によれば、排出係数として公定値か実力値かが選択可能となっているため、顧客等の要求に応じたGHG排出量算定を行うことが可能となる。また、公定値だけでなく実力値を用いることができるため、自社のGHG排出量削減取り組みを反映させた排出係数を利用してGHG排出量算定を行うことができる。
【0050】
第二算出部23は、対象品目の製造には直結せず金属製品の製造にあたり付随的に消費される共通固定的エネルギーの一部でありかつ対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する。このため、第二算出部23は第二算出手段に相当する。
【0051】
本実施形態において第二算出部23は、情報取得部21と同様に対象品目の品目コードを取得する。そして、第二算出部23は、取得された品目コードをキーに固定的エネルギー情報テーブルを検索し、固定的エネルギー情報テーブルからその品目コードに対応する固定的エネルギー情報を抽出する。ここで、抽出された固定的エネルギー情報は、1つの製造工程に対して1又は複数割り当てられている場合もあるし、製造工程ごとではなく全ての製造工程をまとめた製造全体に対して1又は複数割り当てられる場合もある。
第二算出部23は、抽出された固定的エネルギー情報から一以上の各製造工程について固定的エネルギー由来のGHG排出原単位をそれぞれ取得し、製造工程ごとに取得された固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を合算する。
更に、第二算出部23は、抽出された固定的エネルギー情報から製造工程ごとに割り当てされていない対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を更に取得し、取得されたGHG排出原単位を製造工程ごとの固定的エネルギー由来のGHG排出原単位の合算値に更に加算する。
【0052】
このように本実施形態によれば、製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位のみでなく、各品目の製造には直結しない固定的エネルギー由来のGHG排出原単位についても、共通固定的エネルギーの情報から製造工程ごとかつエネルギー種ごとに固定的エネルギー由来のGHG排出原単位が算出され得る。また、製造工程ごとに割り当てられることなく対象品目に対して固定的エネルギー由来のGHG排出原単位が割り当てられ得る。
これにより、対象品目の製造に連動しない固定的エネルギーのGHG排出単位についても高精度に算定することができる。
【0053】
第三算出部24は、第一算出部22により算出された製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と第二算出部23により算出された固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて対象品目の総GHG排出原単位を算出する。このため、第三算出部24は第三算出手段に相当する。
【0054】
出力処理部25は、情報取得部21により取得された製造情報、第一算出部22により算出された製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位、第二算出部23により算出された固定的エネルギー由来のGHG排出原単位、及び第三算出部24により算出された総GHG排出原単位に基づいて、GHG排出量算定レポートを出力する。このため、出力処理部25は出力処理手段に相当する。
GHG排出量算定レポートの出力態様については限定されない。出力処理部25は、GHG排出量算定レポートを表示装置5に表示させてもよいし、入出力I/F3又は通信ユニット4を介して接続される印刷装置に印刷させてもよいし、GHG排出量算定レポートを電子ファイルに格納し、その電子ファイルを可搬型記録媒体に格納する或いは他のコンピュータに送信することもできる。
【0055】
図6は、GHG排出量算定レポートの出力例を示す図である。
図6に例示されるGHG排出量算定レポートでは、上部に、対象品目情報(品目コード、顧客名称、材料、寸法等)が表示され、その下方に対象品目のGHG排出量算定表が表示されている。GHG排出量算定表では、各製造工程のエネルギー種ごとに、工場、製造工程、エネルギー種、歩留まり、エネルギー原単位、GHG排出区分、排出係数、製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位、固定的エネルギー由来のGHG排出原単位、及び製造連動エネルギー由来又は固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を含む行が表示されている。GHG排出量算定表の最下部の行には、第一算出部22により算出された製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位(累計値)、第二算出部23により算出された固定的エネルギー由来のGHG排出原単位(累計値)及び第三算出部24により算出された総GHG排出原単位が表示されている。
【0056】
このようにGHG排出量算定表に含まれる製造連動エネルギー由来及び固定的エネルギー由来のGHG排出原単位並びに総GHG排出原単位は、第一算出部22、第二算出部23及び第三算出部24によりそれぞれ算出される値である。このため、第一算出部22、第二算出部23及び第三算出部24は、算出される値を都度、支援DB27に格納するようにし、出力処理部25がそのようにして格納された値を用いてGHG排出量算定レポートのデータを生成してもよい。
【0057】
本実施形態によれば、このようなGHG排出量算定レポートを出力することにより、最終的に導出された総GHG排出原単位の算定根拠を明示することができ、ひいては、導出された総GHG排出原単位の信ぴょう性を高めることができる。
但し、上述した通り、図6は、GHG排出量算定レポートの一例に過ぎないため、レポートの内容は図6の例に限定されない。例えば、工場、歩留まりやエネルギー原単位、GHG排出区分等の列は排除されてもよい。
【0058】
〈GHG排出量算定支援方法〉
以下、本実施形態に係るGHG排出量算定支援方法(以降、本支援方法と表記する場合がある)について説明する。
図7は、本実施形態に係るGHG排出量算定支援方法(本支援方法)を示すフローチャートである。本支援方法は、上述した本支援装置10のような一以上のコンピュータにより実行される。本支援装置10は、CPU1によりメモリ2に格納されたコンピュータプログラムが実行されることにより、本支援方法を実行することができる。また、CPU1がメモリ2に格納されたコンピュータプログラムの実行を通じて本支援方法を実行することができると表記することもできる。このコンピュータプログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F3又は通信ユニット4を介してインストールされ、メモリ2に格納される。
【0059】
本支援方法は、図7に示されるように、工程(S71)から工程(S77)を含む。
以下では、本支援装置10を各工程の実行主体として説明するが、各工程の実行主体は、
一以上のコンピュータ若しくはCPU、又は本支援装置10が有する上述の各処理モジュールとしても説明可能である。各工程は、本支援装置10の各処理モジュールの処理内容と同様であるため、各工程の詳細は、適宜省略される。
【0060】
工程(S71)において、本支援装置10(情報取得部21)は、対象品目に関する製造情報を取得する。本実施形態において本支援装置10は、対象品目の品目コードを取得し、その品目コードをキーに製造情報テーブル(DB管理部26)を検索し、製造情報テーブルからその品目コードに対応する製造情報レコードを抽出する。対象品目の品目コードの取得手法は限定されない。
【0061】
工程(S72)において、本支援装置10(第一算出部22)は、工程(S71)で取得された製造情報に基づいて、対象品目に関する製造工程ごとかつエネルギー種ごとの製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する。本実施形態において本支援装置10は、当該製造情報に含まれる製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種に対応する排出係数を排出係数テーブル(DB管理部26)からそれぞれ抽出し、当該エネルギー種ごとにエネルギー原単位と排出係数とを掛け合わせることでGHG排出原単位をそれぞれ算出する。
同一製造工程かつ同一エネルギー種の排出係数として公定値と実力値との両方が設定されている場合があり、この場合、本支援装置10は、公定値又は実力値のいずれか一方を選択して、GHG排出原単位の算出に利用する。
【0062】
工程(S73)において、本支援装置10(第一算出部22)は、工程(S72)で算出されたエネルギー種ごとのGHG排出原単位を対象品目に関する製造工程ごとに累計し、製造工程ごとに累計されたGHG排出原単位を複数の製造工程分、合算して、対象品目に関する製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する。
【0063】
工程(S74)において、本支援装置10(第二算出部23)は、対象品目に関する製造工程ごとかつエネルギー種ごとの固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を取得する。本実施形態において本支援装置10は、対象品目の品目コードを取得し、その品目コードをキーに固定的エネルギー情報テーブル(DB管理部26)を検索し、固定的エネルギー情報テーブルからその品目コードに対応する固定的エネルギー情報を抽出する。そして、本支援装置10は、抽出された固定的エネルギー情報から一以上の各製造工程についてエネルギー種ごとの固定的エネルギー由来のGHG排出原単位をそれぞれ取得する。
但し、対象品目に関して製造工程ごとに固定的エネルギー由来のGHG排出原単位が割り当てられていなくてもよく、その場合には、工程(S74)において固定的エネルギー由来のGHG排出原単位は取得されなくてもよい。
【0064】
工程(S75)において、本支援装置10(第二算出部23)は、対象品目に関して製造工程ごとに割り当てられていない固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を取得する。本実施形態において本支援装置10は、上述のように抽出された固定的エネルギー情報から製造工程に割り当てられていない固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を取得する。
但し、対象品目に関して製造工程に割り当てられていない固定的エネルギー由来のGHG排出原単位が存在しない場合もあり、その場合には、工程(S75)において固定的エネルギー由来のGHG排出原単位は取得されなくてもよい。
【0065】
工程(S76)において、本支援装置10(第二算出部23)は、工程(S74)で取得された製造工程ごとかつエネルギー種ごとの固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を累計し、工程(S75)で取得された製造工程に割り当てられていない固定的エネルギー由来のGHG排出原単位と更に合算することで、対象品目に関する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する。
【0066】
工程(S77)において、本支援装置10(第三算出部24)は、工程(S73)で算出された製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と工程(S76)で算出された固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを合算して対象品目の総GHG排出原単位を算出する。
【0067】
図7では、複数の工程が順番に表されているが、本支援方法における各工程の実行順序は、図7の例に限定されない。例えば、工程(S72)から工程(S73)と、工程(S74)から工程(S76)とは、逆の順番に実行されてもよいし、並列に実行されてもよい。
【0068】
[変形例]
上述の実施形態の内容は一例であるため、部分的に適宜変形されてもよい。
【0069】
例えば、上述の実施形態における固定的エネルギー情報テーブル(図4参照)は、エネルギー原単位を含んでいないが、図3に示される製造情報テーブルのようにエネルギー原単位を含み、GHG排出原単位を含まないようにしてもよい。
この場合、排出係数テーブルが固定的エネルギーに関する排出係数を含むようにしてもよいし、固定的エネルギー情報テーブルに排出係数を更に含むようにしてもよい。
そして、第二算出部23が、DB管理部26に代わって、固定的エネルギーのエネルギー原単位及び排出係数を掛け合わせる等して、固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出するようにしてもよい。
【0070】
また、上述の実施形態では特に触れていないが、本支援装置10が総GHG排出原単位を算出すると共に、他のシステム(ERPシステム15等)が対象品目の製造原価を見積もるようにしてもよい。
また、本支援装置10は、各品目に関して第一算出部22、第二算出部23及び第三算出部24で算出されたGHG排出原単位を支援DB27に蓄積しておき、過去に算出された実績のある品目が対象品目とされる場合には、支援DB27に蓄積されたGHG排出原単位を利用するようにしてもよい。
【0071】
上記の実施形態及び変形例の一部又は全部は、次のようにも特定され得る。但し、上述の実施形態及び変形例が以下の記載に制限されるものではない。
【0072】
<1>
金属製品の対象品目に関する製造情報を取得する第一取得手段と、
前記取得された製造情報に基づいて、前記対象品目の製造に連動して消費される製造連動エネルギー由来のGHG(温室効果ガス)排出原単位を算出する第一算出手段と、
前記対象品目の製造には直結せず金属製品の製造にあたり付随的に消費される共通固定的エネルギーの一部でありかつ前記対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する第二算出手段と、
前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて前記対象品目の総GHG排出原単位を算出する第三算出手段と、
を備える温室効果ガス排出量算定支援装置。
<2>
前記製造情報は、前記対象品目の製造工程の情報を含み、
前記第二算出手段は、前記対象品目に関する一以上の各製造工程について前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位をそれぞれ取得し、製造工程ごとに取得された前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を合算する、
<1>に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
<3>
前記第二算出手段は、製造工程ごとに割り当てされていない前記対象品目の製造に対応する前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を更に取得し、取得されたGHG排出原単位を製造工程ごとの前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位の合算値に更に加算する、
<2>に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
<4>
金属製品の製造に必要となる前記製造連動エネルギーのエネルギー種ごとの排出係数を格納する排出係数テーブル、
を更に備え、
前記製造情報は、前記対象品目の製造のための複数の製造工程の各々について、各製造工程で必要となる前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種及びそのエネルギー種ごとのエネルギー原単位をそれぞれ示しており、
前記第一算出手段は、前記製造情報で示される前記製造連動エネルギーの前記一以上のエネルギー種に対応する前記排出係数を前記排出係数テーブルからそれぞれ抽出し、前記一以上のエネルギー種の前記エネルギー原単位と前記排出係数とを掛け合わせて得られるGHG排出原単位を前記対象品目に関する製造工程ごとに累計し、製造工程ごとに累計されたGHG排出原単位を前記複数の製造工程分、合算して、前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位を求める、
<1>から<3>のいずれか一つに記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
<5>
前記排出係数テーブルは、前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種の前記排出係数として、公的に公表されている公定値とその公定値に対して自社のGHG排出量削減取り組みを反映させた実力値とを含み、
前記第一算出手段は、前記公定値及び前記実力値が前記排出係数として設定されている前記製造連動エネルギーのエネルギー種に関して前記排出係数テーブルから前記排出係数を抽出する場合には、前記公定値又は前記実力値のいずれか一方を選択して抽出する、
<4>に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
<6>
前記製造情報で示される前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種には、製造工程間の運搬エネルギー若しくは一製造工程内の運搬エネルギーの一方又は両方を含む、
<4>又は<5>に記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
<7>
前記製造情報、前記第一算出手段により算出された前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位、前記第二算出手段により算出された前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位、及び前記第三算出手段により算出された前記総GHG排出原単位に基づいて、GHG排出量算定レポートを出力する出力処理手段、
を更に備え、
前記GHG排出量算定レポートは、前記対象品目の製造のための複数の製造工程の各々について、各製造工程で必要となる前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種、エネルギー種ごとのエネルギー原単位、エネルギー種ごとの排出係数、及びエネルギー種ごとのGHG排出原単位、並びに前記固定的エネルギーに関する製造工程ごとかつエネルギー種ごとのGHG排出原単位をそれぞれ示す表を含む、
<4>から<6>のいずれか一つに記載の温室効果ガス排出量算定支援装置。
<8>
一以上のコンピュータにより実行される温室効果ガス排出量算定支援方法であって、
前記一以上のコンピュータが、
金属製品の対象品目に関する製造情報を取得する工程と、
前記取得された製造情報に基づいて、前記対象品目の製造に必要となる製造連動エネルギー由来のGHG(温室効果ガス)排出原単位を算出する第一算出工程と、
前記取得された製造情報に基づいて、金属製品の製造に付随的に必要となる固定的エネルギーの一部である前記対象品目の製造に対応する固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を算出する第二算出工程と、
前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位と前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位とを用いて前記対象品目の総GHG排出原単位を算出する第三算出工程と、
を実行する温室効果ガス排出量算定支援方法。
<9>
前記製造情報は、前記対象品目の製造工程の情報を含み、
前記第二算出工程では、前記対象品目に関する一以上の各製造工程について前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位をそれぞれ取得し、製造工程ごとに取得された前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を合算する、
<8>に記載の温室効果ガス排出量算定支援方法。
<10>
前記第二算出工程では、製造工程ごとに割り当てされていない前記対象品目の製造に対応する前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位を更に取得し、取得されたGHG排出原単位を製造工程ごとの前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位の合算値に更に加算する、
<9>に記載の温室効果ガス排出量算定支援方法。
<11>
前記一以上のコンピュータは、金属製品の製造に必要となる前記製造連動エネルギーのエネルギー種ごとの排出係数を格納する排出係数テーブルを参照可能であり、
前記製造情報は、前記対象品目の製造のための複数の製造工程の各々について、各製造工程で必要となる前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種及びそのエネルギー種ごとのエネルギー原単位をそれぞれ示しており、
前記第一算出工程では、前記製造情報で示される前記製造連動エネルギーの前記一以上のエネルギー種に対応する前記排出係数を前記排出係数テーブルからそれぞれ抽出し、前記一以上のエネルギー種の前記エネルギー原単位と前記排出係数とを掛け合わせて得られるGHG排出原単位を前記対象品目に関する製造工程ごとに累計し、製造工程ごとに累計されたGHG排出原単位を前記複数の製造工程分、合算して、前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位を求める、
<8>から<10>のいずれか一つに記載の温室効果ガス排出量算定支援方法。
<12>
前記排出係数テーブルは、前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種の前記排出係数として、公的に公表されている公定値とその公定値に対して自社のGHG排出量削減取り組みを反映させた実力値とを含み、
前記第一算出工程では、前記公定値及び前記実力値が前記排出係数として設定されている前記製造連動エネルギーのエネルギー種に関して前記排出係数テーブルから前記排出係数を抽出する場合には、前記公定値又は前記実力値のいずれか一方を選択して抽出する、
<11>に記載の温室効果ガス排出量算定支援方法。
<13>
前記製造情報で示される前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種には、製造工程間の運搬エネルギー若しくは一製造工程内の運搬エネルギーの一方又は両方を含む、
<11>又は<12>に記載の温室効果ガス排出量算定支援方法。
<14>
前記一以上のコンピュータが、
前記製造情報、前記第一算出工程で算出された前記製造連動エネルギー由来のGHG排出原単位、前記第二算出工程で算出された前記固定的エネルギー由来のGHG排出原単位、及び前記第三算出工程で算出された前記総GHG排出原単位に基づいて、GHG排出量算定レポートを出力する工程、
を更に実行し、
前記GHG排出量算定レポートは、前記対象品目の製造のための複数の製造工程の各々について、各製造工程で必要となる前記製造連動エネルギーの一以上のエネルギー種、エネルギー種ごとのエネルギー原単位、エネルギー種ごとの排出係数、及びエネルギー種ごとのGHG排出原単位、並びに前記固定的エネルギーに関する製造工程ごとかつエネルギー種ごとのGHG排出原単位をそれぞれ示す表を含む、
<11>から<13>のいずれか一つに記載の温室効果ガス排出量算定支援方法。
<15>
<8>から<14>のいずれか一つに記載の温室効果ガス排出量算定支援方法を前記一以上のコンピュータに実行させ得るコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0073】
1 CPU
2 メモリ
3 入出力I/F
4 通信ユニット
5 表示装置
6 入力装置
10 GHG排出量算定支援装置(本支援装置)
11 通信網
13 ユーザ端末
15 ERPシステム
21 情報取得部
22 第一算出部
23 第二算出部
24 第三算出部
25 出力処理部
26 データベース(DB)管理部
27 支援データベース(DB)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7