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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108434
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】振動素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/02 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H03H3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012799
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】川内 修
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 琢郎
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC06
5J108CC10
5J108KK01
5J108MM08
5J108MM11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】連結部の残差部分を小さくできる振動素子の製造方法を提供する。
【解決手段】振動素子100の製造方法であって、連結部には、第1溝部310と、第1突出部320及び第2突出部330と、が形成され、第1突出部320は、連結部の外形を規定する第1外形辺322と、第1溝部310との境界を規定する第2外形辺324と、を有する。第1外形辺322と第2外形辺324との間の距離は、振動素子100の外形辺から遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成される。第2突出部330は、連結部300の外形を規定する第3外形辺332と、第1溝部310との境界を規定する第4外形辺334と、を有する。第3外形辺332と第4外形辺334との間の距離も、振動素子100の外形辺から遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成される、。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動素子と、枠部と、前記枠部と前記振動素子とを連結する連結部と、を有する圧電基板を、ウェットエッチングにより製造することと、
前記振動素子を前記連結部で折り取り、前記枠部から切り離すことと、
を含み、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記連結部には、第1面と前記第1面と表裏の関係にある第2面のうちの一方の面側に、第1溝部と、前記第1溝部を挟む位置に配置され、前記一方の面の垂直方向から見て、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から突出する第1突出部および第2突出部と、が形成され、
前記第1突出部は、前記一方の面の垂直方向から見て、
前記連結部の外形を規定する第1外形辺と、前記第1溝部との境界を規定する第2外形辺と、を有し、前記第1外形辺と前記第2外形辺との間の距離が前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成され、
前記第1外形辺と前記第2外形辺が、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺に対して傾斜するように形成され、
前記第2突出部は、前記一方の面の垂直方向から見て、
前記連結部の外形を規定する第3外形辺と、前記第1溝部との境界を規定する第4外形辺と、を有し、前記第3外形辺と前記第4外形辺との間の距離が前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成され、
前記第3外形辺と前記第4外形辺が、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺に対して傾斜するように形成される、振動素子の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記一方の面の垂直方向から見て、前記振動素子に、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺である第1辺を挟み、前記第1辺よりも前記第1突出部の突出方向に位置している前記振動素子の外形辺である第2辺および第3辺が形成され、
前記第1突出部の突出方向において、前記第1突出部の先端と前記第1辺との間の距離は、前記第1辺と前記第2辺との間の距離および前記第1辺と前記第3辺との間の距離よりも小さくなるように形成され、
前記第2突出部の突出方向において、前記第2突出部の先端と前記第1辺との間の距離は、前記第1辺と前記第2辺との間の距離および前記第1辺と前記第3辺との間の距離よりも小さくなるように形成される、振動素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記第1外形辺と前記第2外形辺を、前記第1突出部の先端で交わるように形成し、
前記第3外形辺と前記第4外形辺を、前記第2突出部の先端で交わるように形成し、
前記第1突出部と前記枠部との間に、前記第1溝部に連続する第1凹部を形成し、
前記第2突出部と前記枠部との間に、前記第1溝部に連続する第2凹部を形成する、振動素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記連結部には、前記第1面と前記第2面のうちの他方の面側に、第2溝部と、前記第2溝部を挟む位置に配置され、前記他方の面の垂直方向から見て、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から突出する第3突出部および第4突出部と、が形成され、
前記第1突出部の最大幅をW1とし、
前記第2突出部の最大幅をW2とし、
前記第3突出部の最大幅をW3とし、
前記第4突出部の最大幅をW4とし、
前記第1溝部の最大幅をW5とし、
前記第2溝部の最大幅をW6とした場合に、
W1+W2<W3+W4、かつ、W5>W6を満たす、振動素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水晶ウエハをフォトエッチングすることにより所望の圧電振動片の外形を枠部との連結部を残して加工し、連結部を折ることにより、圧電振動片を枠部から切り離す圧電振動片の製造方法が開示されている。特許文献1では、連結部の圧電振動片との接続部分には凹溝が形成され、接続部分の幅方向の両端の各隅部には円弧状に切り込みが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-198303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された圧電振動片の製造方法では、接続部分の切り込みが円弧状である。そのため、連結部を折ることにより、圧電振動片を枠部から切り離す際に、破断位置がばらついてしまい、折り取った後に圧電振動片に残る連結部の残存部分が大きくなってしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る振動素子の製造方法の一態様は、
振動素子と、枠部と、前記枠部と前記振動素子とを連結する連結部と、を有する圧電基板を、ウェットエッチングにより製造することと、
前記振動素子を前記連結部で折り取り、前記枠部から切り離すことと、
を含み、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記連結部には、第1面と前記第1面と表裏の関係にある第2面のうちの一方の面側に、第1溝部と、前記第1溝部を挟む位置に配置され、前記一方の面の垂直方向から見て、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から突出する第1突出部および第2突出部と、が形成され、
前記第1突出部は、前記一方の面の垂直方向から見て、
前記連結部の外形を規定する第1外形辺と、前記第1溝部との境界を規定する第2外形辺と、を有し、前記第1外形辺と前記第2外形辺との間の距離が前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成され、
前記第1外形辺と前記第2外形辺が、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺に対して傾斜するように形成され、
前記第2突出部は、前記一方の面の垂直方向から見て、
前記連結部の外形を規定する第3外形辺と、前記第1溝部との境界を規定する第4外形辺と、を有し、前記第3外形辺と前記第4外形辺との間の距離が前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成され、
前記第3外形辺と前記第4外形辺が、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺に対して傾斜するように形成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】振動素子を模式的に示す平面図。
図2】第1実施形態に係る振動素子の製造方法の一例を示すフローチャート。
図3】圧電基板の第1面側を模式的に示す平面図。
図4】圧電基板の連結部の第1面側を模式的に示す平面図。
図5】連結部の第1面側を模式的に示す平面図。
図6】連結部の第2面側を模式的に示す平面図。
図7】連結部を模式的に示す断面図。
図8】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図9】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図10】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図11】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図12】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図13】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図14】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図15】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図16】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図17】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図18】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図19】振動素子の製造工程を模式的に示す図。
図20】振動素子を枠部から切り離す工程を説明するための図。
図21】連結部の第1面側を模式的に示す平面図。
図22】連結部を模式的に示す平面図。
図23】連結部を模式的に示す断面図。
図24】連結部を模式的に示す断面図。
図25】振動素子の製造工程を模式的に示す図
図26】振動素子の製造工程を模式的に示す図
図27】連結部を模式的に示す平面図。
図28】連結部を模式的に示す平面図。
図29】連結部を模式的に示す断面図
図30】連結部を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0008】
1. 第1実施形態
1.1. 振動素子
まず、第1実施形態に係る振動素子の製造方法で製造された振動素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る振動素子の製造方法で製造された振動素子100を模式的に示す平面図である。
【0009】
振動素子100は、音叉型の圧電振動素子である。振動素子100は、図1に示すように、基部10と、第1振動腕20と、第2振動腕22と、第1支持腕30と、第2支持腕32と、を備えている。
【0010】
基部10、第1振動腕20、第2振動腕22、第1支持腕30、および第2支持腕32は、後述するように、圧電基板をパターニングすることにより形成される。圧電基板は、例えば、水晶や、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料からなる。圧電基板は、第1面と、第1面とは表裏の関係にある第2面と、を有しており、図1は、振動素
子100の第1面側を図示している。
【0011】
基部10には、第1振動腕20、第2振動腕22、第1支持腕30、および第2支持腕32が接続されている。基部10には、折り取り痕40が形成されている。
【0012】
折り取り痕40は、振動素子の製造工程において、振動素子100を枠部と振動素子100を連結する連結部で折り取った後に振動素子100に残る連結部の残存部分である。折り取り痕40は、図1に示すように、連結部が接続されていた振動素子100の外形辺である第1辺102aから突き出ている。第1辺102aは、凹部101の底面を構成している。凹部101は、振動素子100の外形辺である第2辺102bおよび第3辺102cの間に位置している。折り取り痕40は、凹部101の内側に位置している。すなわち、折り取り痕40の先端と第1辺102aとの間の距離は、凹部101の深さよりも小さい。
【0013】
第1振動腕20および第2振動腕22は、基部10から所定の方向に延びている。第1振動腕20の第1面側には、長溝21が形成されている。図示はしないが、第1振動腕20の第2面側にも、第1面側と同様に長溝21が形成されている。第1振動腕20に長溝21が形成されることによって、第1振動腕20が動きやすくなり、第1振動腕20を効率的に振動させることができる。第2振動腕22も、第1振動腕20と同様に、両面に長溝23が形成されている。
【0014】
図示はしないが、第1振動腕20および第2振動腕22には、第1振動腕20および第2振動腕22に駆動信号を印加するための駆動電極が形成されている。第1振動腕20および第2振動腕22に駆動信号を印加することによって、水晶の逆圧電効果により第1振動腕20および第2振動腕22を屈曲振動させることができる。
【0015】
第1支持腕30および第2支持腕32は、振動素子100をパッケージに取り付けるための部材である。第1支持腕30および第2支持腕32を用いて、振動素子100をパッケージに取り付けることによって、第1振動腕20、第2振動腕22、および基部10をパッケージに接触させることになく支持できる。
【0016】
1.2. 振動素子の製造方法
1.2.1. 振動素子の製造方法の流れ
次に、第1実施形態に係る振動素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る振動素子100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0017】
振動素子100の製造方法は、振動素子100と、枠部200と、連結部300と、を有する圧電基板2をウェットエッチングにより製造する工程S10と、振動素子100を連結部300で折り取り、振動素子100を枠部200から切り離す工程S20と、を含む。
【0018】
1.2.2. 圧電基板
図3は、工程S10で製造された圧電基板2の第1面2a側を模式的に示す平面図である。図3には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。以下では、圧電基板2が水晶基板である場合について説明する。
【0019】
図3に示すように、圧電基板2には、振動素子100が複数形成されている。各振動素子100は、連結部300によって枠部200に連結されている。
【0020】
図4は、連結部300の第1面2a側を模式的に示す平面図である。連結部300は、図4に示すように、基端部302と、破断部304と、を有している。基端部302は、枠部200に接続されている。基端部302は、枠部200から+Y方向に突出している。基端部302は、例えば、第1面2aの垂直方向から見て、すなわち、Z軸に沿った方向から見て、上辺303aを有する台形状である。基端部302の上辺303aと振動素子100の第1辺102aは、例えば、平行である。
【0021】
振動素子100は、図4に示すように、第1辺102aと、第2辺102bと、第3辺102cと、を有している。第1辺102a、第2辺102b、および第3辺102cは、振動素子100の外形を規定している外形辺である。第1辺102aは、第1面2aの垂直方向から見て、連結部300が接続される辺である。第2辺102bおよび第3辺102cは、第1辺102aを挟んでいる。第2辺102bおよび第3辺102cは、例えば、第1辺102aに平行である。第2辺102bは第1辺102aの第1支持腕30側に位置し、第3辺102cは第1辺102aの第2支持腕32側に位置している。図示の例では、第1辺102aの-X方向に第2辺102bが位置し、第1辺102aの+X方向に第3辺102cが位置している。第2辺102bおよび第3辺102cは、第1辺102aよりも-Y方向に位置している。
【0022】
破断部304は、振動素子100に接続されている。破断部304は、振動素子100と基端部302との間に位置している。振動素子100を枠部200から切り離す際には、破断部304を破断させる。Y軸に沿った方向において、破断部304の大きさは、例えば、第1辺102aと第2辺102bとの間の距離、および第1辺102aと第3辺102cとの間の距離よりも小さい。
【0023】
図5および図6は、連結部300を模式的に示す平面図である。なお、図5は、連結部300の第1面2a側を模式的に示す平面図であり、図6は、連結部300の第1面2aとは表裏の関係にある第2面2b側を模式的に示す平面図である。図7は、連結部300を模式的に示す断面図である。図7は、図5のVII-VII線断面図である。
【0024】
圧電基板2は、図7に示すように、第1面2aと、第2面2bと、を有している。圧電基板2の厚さ、すなわち、第1面2aと第2面2bとの間の距離は、例えば、130μm程度である。図示の例では、圧電基板2の厚さは、Z軸に沿った圧電基板2の大きさである。
【0025】
破断部304は、図5図7に示すように、第1溝部310と、第1突出部320と、第2突出部330と、第1対向突出部340と、第2対向突出部350と、第2溝部360と、第3突出部370と、第4突出部380と、を有している。
【0026】
破断部304の第1面2a側には、図5に示すように、第1溝部310、第1突出部320、第2突出部330、第1対向突出部340、および第2対向突出部350が形成されている。破断部304の第2面2b側には、図6に示すように、第2溝部360、第3突出部370、および第4突出部380が形成されている。
【0027】
破断部304に第1溝部310および第2溝部360を形成することによって、圧電基板2に厚さが小さい部分を形成できる。これにより、振動素子100を枠部200から切り離す工程S20において破断部304を破断しやすくできる。また、破断部304に、第1突出部320、第2突出部330、第1対向突出部340、第2対向突出部350、第3突出部370、および第4突出部380を形成することによって、圧電基板2に厚さが大きい部分を形成できる。これにより、破断部304に突出部が形成されない場合と比べて、破断部304の強度を向上できる。そのため、圧電基板2の搬送中に連結部300
が破断して振動素子100が脱落してしまうことを防ぐことができる。また、後述するように、破断部304に、第1突出部320、第2突出部330、第1対向突出部340、第2対向突出部350、第3突出部370、および第4突出部380を形成することによって、振動素子100を連結部300で折り取る際の破断位置を一定にできる。
【0028】
第1溝部310は、図5に示すように、振動素子100の第1辺102aに沿って形成されている。第1溝部310は、第1突出部320と第2突出部330で挟まれている。図示の例では、第1溝部310は、第1突出部320と第1対向突出部340からなる構造体と、第2突出部330と第2対向突出部350からなる構造体とに挟まれている。第1溝部310の深さは、例えば、10μm程度である。
【0029】
第1突出部320は、振動素子100の第1辺102aから突出している。第1突出部320は、第1面2aの垂直方向から見て、第1辺102aの垂線に沿って突出している。図示の例では、第1突出部320は、-Y方向に突出している。第1突出部320の先端は、第1突出部320において最も幅が小さい。第1突出部320の先端の幅は、例えば、10μm程度である。
【0030】
第1突出部320は、第1面2aの垂直方向から見て、連結部300の外形を規定する第1外形辺322と、第1溝部310との境界を規定する第2外形辺324と、を有している。第1外形辺322は、第1突出部320の-X方向の外形を規定している。第2外形辺324は、第1突出部320の+X方向の外形を規定している。第1外形辺322は、第1辺102aに対して傾斜している。すなわち、第1外形辺322は、第1辺102aに対して平行でなく、かつ、第1辺102aに対して垂直ではない。第2外形辺324は、第1辺102aに対して傾斜している。
【0031】
第1外形辺322と第2外形辺324との間の距離は、第1辺102aから遠ざかるにしたがって小さくなる。すなわち、第1突出部320の幅は、第1辺102aから遠ざかるにしたがって小さくなる。第1突出部320の幅は、第1突出部320の突出方向に垂直な大きさであり、図示の例では、第1突出部320のX軸に沿った大きさである。
【0032】
第1突出部320の突出方向において、第1突出部320の先端と第1辺102aとの間の距離D1は、第1辺102aと第2辺102bとの間の距離D4および第1辺102aと第3辺102cとの間の距離D6よりも小さい。距離D1は、第1突出部320の突出方向において、第1突出部320の先端と第1辺102aとの間の最大距離である。距離D4は、第1突出部320の突出方向において、第1辺102aと第2辺102bとの間の最大距離である。距離D6は、第1突出部320の突出方向において、第1辺102aと第3辺102cとの間の最大距離である。
【0033】
第2突出部330は、振動素子100の第1辺102aから突出している。第2突出部330は、第1面2aの垂直方向から見て、第1辺102aの垂線に沿って突出している。第2突出部330の先端は、第2突出部330において最も幅が小さい。第2突出部330の先端の幅は、例えば、10μm程度である。
【0034】
第2突出部330は、第1面2aの垂直方向から見て、連結部300の外形を規定する第3外形辺332と、第1溝部310との境界を規定する第4外形辺334と、を有している。第3外形辺332は、第2突出部330の+X方向の外形を規定している。第4外形辺334は、第2突出部330の-X方向の外形を規定している。第3外形辺332は、第1辺102aに対して傾斜している。第4外形辺334は、第1辺102aに対して傾斜している。
【0035】
第3外形辺332と第4外形辺334との間の距離は、第1辺102aから遠ざかるにしたがって小さくなる。すなわち、第2突出部330の幅は、第1辺102aから遠ざかるにしたがって小さくなる。第2突出部330の幅は、第2突出部330の突出方向に垂直な大きさであり、図示の例では、第2突出部330のX軸に沿った大きさである。
【0036】
第2突出部330の突出方向において、第2突出部330の先端と第1辺102aとの間の距離D2は、第1辺102aと第2辺102bとの間の距離D4および第1辺102aと第3辺102cとの間の距離D6よりも小さい。距離D2は、第2突出部330の突出方向において、第2突出部330の先端と第1辺102aとの間の最大距離である。
【0037】
第1突出部320と第2突出部330の形状および大きさは、例えば、同じである。なお、第1突出部320と第2突出部330の形状および大きさは、異なっていてもよい。
【0038】
第1対向突出部340は、基端部302の上辺303aから突出している。第1対向突出部340は、第1面2aの垂直方向から見て、上辺303aの垂線に沿って突出している。図示の例では、第1対向突出部340は、+Y方向に突出している。
【0039】
第1対向突出部340は、第1突出部320に対向している。第1対向突出部340の先端は、第1突出部320の先端に接触している。第1突出部320と第1対向突出部340は、連続して1つの構造体を形成している。第1突出部320と第1対向突出部340は、例えば、第1面2aの垂直方向から見て、振動素子100の第1辺102aと基端部302の上辺303aとの間の距離が等しく、かつ、X軸に平行な仮想直線に対して対称である。なお、第1突出部320と第1対向突出部340は、対称ではなく、互いに異なる形状および大きさであってもよい。
【0040】
第1対向突出部340は、第1面2aの垂直方向から見て、連結部300の外形を規定する第1対向外形辺342と、第1溝部310との境界を規定する第2対向外形辺344と、を有している。第1対向外形辺342は、第1対向突出部340の-X方向の外形を規定している。第2対向外形辺344は、第1対向突出部340の+X方向の外形を規定している。第1対向外形辺342は、基端部302の上辺303aに対して傾斜している。すなわち、第1対向外形辺342は、上辺303aに対して平行でなく、かつ、上辺303aに対して垂直ではない。第2対向外形辺344は、上辺303aに対して傾斜している。
【0041】
第1対向外形辺342と第2対向外形辺344との間の距離は、基端部302の上辺303aから遠ざかるにしたがって小さくなる。すなわち、第1対向突出部340の幅は、上辺303aから遠ざかるにしたがって小さくなる。第1対向突出部340の幅は、第1対向突出部340の突出方向に垂直な大きさであり、図示の例では、第1対向突出部340のX軸に沿った大きさである。
【0042】
第2対向突出部350は、基端部302の上辺303aから突出している。第2対向突出部350は、第1面2aの垂直方向から見て、上辺303aの垂線に沿って突出している。図示の例では、第2対向突出部350は、+Y方向に突出している。
【0043】
第2対向突出部350は、第2突出部330に対向している。第2対向突出部350の先端は、第2突出部330の先端に接触している。第2突出部330と第2対向突出部350は、連続して1つの構造体を形成している。第2突出部330と第2対向突出部350は、例えば、第1面2aの垂直方向から見て、振動素子100の第1辺102aと基端部302の上辺303aとの間の距離が等しく、かつ、X軸に平行な仮想直線に対して対称である。なお、第2突出部330と第2対向突出部350は、対称ではなく、互いに異
なる形状および大きさであってもよい。
【0044】
第2対向突出部350は、第1面2aの垂直方向から見て、連結部300の外形を規定する第3対向外形辺352と、第1溝部310との境界を規定する第4対向外形辺354と、を有している。第3対向外形辺352は、第2対向突出部350の+X方向の外形を規定している。第4対向外形辺354は、第2対向突出部350の-X方向の外形を規定している。第3対向外形辺352は、基端部302の上辺303aに対して傾斜している。第4対向外形辺354は、上辺303aに対して傾斜している。
【0045】
第3対向外形辺352と第4対向外形辺354との間の距離は、基端部302の上辺303aから遠ざかるにしたがって小さくなる。すなわち、第2対向突出部350の幅は、上辺303aから遠ざかるにしたがって小さくなる。第2対向突出部350の幅は、第2対向突出部350の突出方向に垂直な大きさであり、図示の例では、第2対向突出部350のX軸に沿った大きさである。
【0046】
第1対向突出部340と第2対向突出部350の形状および大きさは、例えば、同じである。なお、第1対向突出部340と第2対向突出部350の形状および大きさは、異なっていてもよい。
【0047】
第2溝部360は、図6に示すように、振動素子100の外形を規定する第4辺103aに沿って設けられている。第4辺103aは、第2面2bの垂直方向から見て、連結部300が接続されている振動素子100の外形辺である。第2溝部360は、第3突出部370と第4突出部380で挟まれている。
【0048】
第3突出部370は、振動素子100の第4辺103aから突出している。第3突出部370は、振動素子100から基端部302まで突出している。第3突出部370は、振動素子100と基端部302を接続している。
【0049】
第4突出部380は、振動素子100の第4辺103aから突出している。第4突出部380は、振動素子100から基端部302まで突出している。第4突出部380は、振動素子100と基端部302を接続している。
【0050】
第1突出部320の最大幅をW1とし、第2突出部330の最大幅をW2とし、第3突出部370の最大幅をW3とし、第4突出部380の最大幅をW4とし、第1溝部310の最大幅をW5とし、第2溝部360の最大幅をW6とした場合に、W1+W2<W3+W4、かつ、W5>W6を満たしている。
【0051】
ここで、第1突出部320の最大幅W1は、第1突出部320の突出方向に直交する方向の最大の大きさである。図示の例では、第1突出部320の最大幅W1は、第1突出部320のX軸に沿った最大の大きさである。第1突出部320は、第1突出部320と第1辺102aとの接続部分において最大幅W1となる。第2突出部330の最大幅W2についても同様である。
【0052】
第3突出部370の最大幅W3は、第3突出部370の突出方向に直交する方向の最大の大きさである。図示の例では、第3突出部370の最大幅W3は、第3突出部370のX軸に沿った最大の大きさである。第3突出部370の幅は、例えば、一定である。第4突出部380の最大幅W4についても同様である。
【0053】
第1溝部310の最大幅W5は、第1溝部310の第1辺102aに沿った最大の大きさである。図示の例では、第1溝部310の最大幅W5は、第1溝部310のX軸に沿っ
た最大の大きさである。また、第2溝部360の最大幅W6は、第2溝部360の第4辺103aに沿った最大の大きさである。図示の例では、第2溝部360の最大幅W6は、第2溝部360のX軸に沿った最大の大きさである。
【0054】
第1突出部320の+Z方向を向く面、第2突出部330の+Z方向を向く面、第1対向突出部340の+Z方向を向く面、および第2対向突出部350の+Z方向を向く面は、例えば、圧電基板2の第1面2aで構成されている。これらの+Z方向を向く面は、例えば、振動素子100の基部10の+Z方向を向く面および基端部302の+Z方向を向く面と面一である。また、第3突出部370の-Z方向を向く面、および第4突出部380の-Z方向を向く面は、例えば、圧電基板2の第2面2bで構成されている。これらの-Z方向を向く面は、例えば、振動素子100の基部10の-Z方向を向く面および連結部300の基端部302の-Z方向を向く面と面一である。
【0055】
1.2.3. 振動素子と枠部と連結部とを有する圧電基板を製造する工程S10
図8図19は、振動素子100の製造工程を模式的に示す図である。図8図10図12図14図16、および図18は、振動素子100の製造工程を模式的に示す平面図であり、図4に対応している。図9は、図8のIX-IX線断面図である。図11は、図10のXI-XI線断面図である。図13は、図12のXIII-XIII線断面図である。図15は、図14のXV-XV線断面図である。図17は、図16のXVII-XVII線断面図である。図19は、図18のXIX-XIX線断面図である。
【0056】
まず、図8および図9に示すように、圧電基板2の第1面2aに第1耐蝕膜4aを成膜し、第2面2bに第2耐蝕膜4bを成膜する。以下では、圧電基板2が水晶基板である場合について説明する。
【0057】
第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bは、例えば、クロムおよび金をこの順で積層した積層膜である。第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bは、例えば、真空蒸着法、スパッタ法などにより成膜できる。
【0058】
次に、図10および図11に示すように、第1耐蝕膜4a上にレジストR2を形成し、第2耐蝕膜4b上にレジストR4を成膜する。次に、レジストR2およびレジストR4をパターニングする。レジストR2は、振動素子100、枠部200、および連結部300の第1面2a側の外形形状にパターニングされ、レジストR4は、振動素子100、枠部200、および連結部300の第2面2b側の外形形状にパターニングされる。レジストR2およびレジストR4は、感光性樹脂であり、露光および現像によりパターニングできる。
【0059】
次に、レジストR2をマスクとして第1耐蝕膜4aをパターニングし、レジストR4をマスクとして第2耐蝕膜4bをパターニングする。レジストR2をマスクとして第1耐蝕膜4aをパターニングすることにより、第1耐蝕膜4aが、振動素子100、枠部200、および連結部300の第1面2a側の外形形状にパターニングされる。すなわち、第1耐蝕膜4aには、振動素子100の外形辺である第1辺102a、第2辺102b、および第3辺102cに対応する辺が形成される。さらに、第1耐蝕膜4aには、連結部300の外形辺である第1外形辺322、第3外形辺332、第1対向外形辺342、第3対向外形辺352、および上辺303aに対応する辺が形成される。また、レジストR4をマスクとして第2耐蝕膜4bをパターニングすることにより、第2耐蝕膜4bが、振動素子100、枠部200、および連結部300の第2面2b側の外形形状にパターニングされる。
【0060】
次に、図12および図13に示すように、レジストR2から第1溝部310に対応する
領域を除去する。このとき、図示はしないが、レジストR2から第1振動腕20の第1面2a側の長溝21に対応する領域および第2振動腕22の第1面2a側の長溝23に対応する領域を除去する。また、レジストR4から第2溝部360に対応する領域を除去する。このとき、図示はしないが、レジストR4から第1振動腕20の第2面2b側の長溝21に対応する領域および第2振動腕22の第2面2b側の長溝23に対応する領域を除去する。レジストR2およびレジストR4では、露光および現像によって所望の領域を除去できる。
【0061】
次に、図14および図15に示すように、第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bをマスクとして、圧電基板2をエッチングする。圧電基板2のエッチングは、例えば、フッ化水素酸などをエッチング液としたウェットエッチングにより行われる。これにより、振動素子100、枠部200、および連結部300の外形が形成される。すなわち、圧電基板2の第1面2aには、第1外形辺322、第3外形辺332、第1対向外形辺342、第3対向外形辺352、および上辺303aが形成される。
【0062】
次に、図16および図17に示すように、レジストR2をマスクとして第1耐蝕膜4aをエッチングし、レジストR4をマスクとして第2耐蝕膜4bをエッチングする。これにより、第1耐蝕膜4aから第1溝部310に対応する領域を除去できる。したがって、第1耐蝕膜4aには、第1溝部310の境界を規定する第2外形辺324、第4外形辺334、第2対向外形辺344、および第4対向外形辺354に対応する辺が形成される。さらに、図示はしないが、第1耐蝕膜4aから第1振動腕20の第1面2a側の長溝21に対応する領域、および第2振動腕22の第1面2a側の長溝23に対応する領域を除去できる。さらに、第2耐蝕膜4bから第2溝部360に対応する領域を除去できる。さらに、図示はしないが、第2耐蝕膜4bから第1振動腕20の第2面2b側の長溝21に対応する領域、および第2振動腕22の第2面2b側の長溝23に対応する領域を除去できる。
【0063】
次に、図18および図19に示すように、第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bをマスクとして、圧電基板2をハーフエッチングする。これにより、圧電基板2の第1面2a側に、第1溝部310、第1突出部320、第2突出部330、第1対向突出部340、および第2対向突出部350が形成される。さらに、第1振動腕20の第1面2a側に長溝21が形成され、第2振動腕22の第1面2a側に長溝23が形成される。また、圧電基板2の第2面2b側に、第2溝部360、第3突出部370、および第4突出部380が形成される。さらに、第1振動腕20の第2面2b側に長溝21が形成され、第2振動腕22の第2面2b側に長溝23が形成される。
【0064】
次に、図4に示すように、レジストR2、レジストR4、第1耐蝕膜4a、および第2耐蝕膜4bを除去する。次に、図示はしないが、第1振動腕20および第2振動腕22に駆動電極を形成する。
【0065】
以上の工程により、図3図7に示す、連結部300によって枠部200に連結された振動素子100が複数形成された圧電基板2を製造できる。
【0066】
1.2.4. 振動素子を枠部から切り離す工程S20
図20は、振動素子100を枠部200から切り離す工程を説明するための図である。
【0067】
図20に示すように、連結部300を介して枠部200に連結された振動素子100を、連結部300で折り取り、枠部200から切り離す。具体的には、まず、クランプ400で枠部200を挟んで固定する。次に、吸引ノズル500を振動素子100の第1面2a側に押しあてる。これにより、連結部300が破断部304で破断し、振動素子100
を枠部200から切り離すことができる。次に、枠部200から切り離された振動素子100を吸引ノズル500で吸着させて搬送する。
【0068】
図21は、連結部300の第1面2a側を模式的に示す平面図である。図21では、破断部304が破断する位置を破線で示している。
【0069】
図21に示すように、吸引ノズル500を振動素子100の第1面2a側に押しあてると、第1面2aの垂直方向から見て、第1突出部320の先端と第2突出部330の先端を結ぶ仮想直線L2で示す位置で破断する。以下、その理由について説明する。
【0070】
第1突出部320は、第1外形辺322と第2外形辺324との間の距離が振動素子100の第1辺102aから遠ざかるにしたがって小さくなるように形成されている。また、第2突出部330は、第3外形辺332と第4外形辺334との間の距離が振動素子100の第1辺102aから遠ざかるにしたがって小さくなるように形成されている。また、第1対向突出部340は、第1対向外形辺342と第2対向外形辺344との間の距離が、基端部302の上辺303aから遠ざかるにしたがって小さくなるように形成されている。第1対向突出部340の先端は第1突出部320の先端に接触している。第2対向突出部350は、第3対向外形辺352と第4対向外形辺354との間の距離が、基端部302の上辺303aから遠ざかるにしたがって小さくなるように形成されている。第2対向突出部350の先端は第2突出部330の先端に接触している。このように、第1突出部320では、先端の幅が最も小さい。また、第2突出部330では、先端の幅が最も小さい。そのため、振動素子100を連結部300で折り取る際に、第1突出部320の先端、および第2突出部330の先端に応力が集中する。
【0071】
したがって、吸引ノズル500を振動素子100の第1面2a側に押しあてたときに、第1突出部320の先端および第2突出部330の先端に応力が集中して、破断部304は、第1突出部320の先端と第2突出部330の先端が起点となって破断する。この結果、破断部304は、第1突出部320の先端と第2突出部330の先端を結ぶ仮想直線L2で示す位置で破断する。
【0072】
また、第1突出部320の最大幅W1、第2突出部330の最大幅W2、第3突出部370の最大幅W3、第4突出部380の最大幅W4、第1溝部310の最大幅W5、第2溝部360の最大幅W6は、W1+W2<W3+W4、かつ、W5>W6を満たしている。そのため、連結部300の第1面2a側の強度を、連結部300の第2面2b側の強度よりも小さくできる。したがって、図20に示すように、吸引ノズル500を振動素子100の第1面2a側に押しあてたときに、連結部300を第1面2a側から破断させることができる。
【0073】
また、第1突出部320の突出方向において、第1突出部320の先端と第1辺102aとの間の距離D1は、第1辺102aと第2辺102bとの間の距離D4および第1辺102aと第3辺102cとの間の距離D6よりも小さい。さらに、第2突出部330の突出方向において、第2突出部330の先端と第1辺102aとの間の距離D2は、第1辺102aと第2辺102bとの間の距離D4および第1辺102aと第3辺102cとの間の距離D6よりも小さい。したがって、図1に示す連結部300の残存部分である折り取り痕40が第2辺102bおよび第3辺102cから突き出る長さを小さく、または、折り取り痕40が第2辺102bおよび第3辺102cから突き出ないようにできる。したがって、例えば、図1に示すように折り取り痕40を凹部101の内側に配置できる。連結部300は、上述したように、第1突出部320の先端と第2突出部330の先端を結ぶ仮想直線L2で示す位置で破断するため、折り取り痕40は、第1突出部320および第2突出部330の少なくとも一部を備える。
【0074】
1.3. 作用効果
第1実施形態に係る振動素子100の製造方法は、振動素子100と、枠部200と、連結部300と、を有する圧電基板2を製造する工程S10と、振動素子100を連結部300で折り取り、枠部200から切り離す工程S20と、を含む。また、工程S10において、連結部300には、第1面2aに、第1溝部310と、第1突出部320と、第2突出部330と、が形成される。さらに、工程S10において、第1突出部320は、第1外形辺322と第2外形辺324との間の距離が振動素子100の第1辺102aから遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成される。さらに、工程S10において、第1外形辺322と第2外形辺324が振動素子100の第1辺102aに対して傾斜するように形成される。さらに、工程S10において、第2突出部330は、第1面2aの垂直方向から見て、第3外形辺332と第4外形辺334との間の距離が振動素子100の第1辺102aから遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成される。さらに、工程S10において、第3外形辺332と第4外形辺334が、振動素子100の第1辺102aに対して傾斜するように形成される。
【0075】
このように、第1実施形態に係る振動素子100の製造方法では、連結部300に第1突出部320および第2突出部330が形成される。そのため、工程S20において振動素子100を連結部300で折り取る際に、第1突出部320の先端および第2突出部330の先端に応力が集中して、第1突出部320の先端と第2突出部330の先端が起点となって連結部300が破断する。したがって、第1実施形態に係る振動素子100の製造方法では、振動素子100を連結部300で折り取る際の破断位置を一定にできる。この結果、振動素子100を枠部200から折り取った後に残存する折り取り痕40を小さくすることができる。
【0076】
第1実施形態に係る振動素子100の製造方法では、工程S10において、第1面2aの垂直方向から見て、振動素子100に、第1辺102aよりも第1突出部320の突出方向に位置している第2辺102bおよび第3辺102cが形成される。さらに、工程S10では、第1突出部320の突出方向において、第1突出部320の先端と第1辺102aとの間の距離D1は、第1辺102aと第2辺102bとの間の距離D4および第1辺102aと第3辺102cとの間の距離D6よりも小さくなるように形成される。さらに、工程S10において、第2突出部330の突出方向において、第2突出部330の先端と第1辺102aとの間の距離D2は、距離D4および距離D6よりも小さくなるように形成される。
【0077】
そのため、工程S20において、折り取り痕40が第2辺102bおよび第3辺102cから突き出る長さを小さく、または、折り取り痕40が第2辺102bおよび第3辺102cから突き出ないようにできる。
【0078】
例えば、振動素子100の折り取り痕40が大きい場合、振動素子100をパッケージに実装する際に、折り取り痕40がパッケージに干渉してしまう場合がある。特に、振動素子100およびパッケージを小型化した場合には、振動素子100全体に対する折り取り痕40が占める割合が相対的に大きくなり問題となる。第1実施形態に係る振動素子100の製造方法では、上述したように、折り取り痕40を小さくできるため、振動素子100およびパッケージを小型化できる。
【0079】
第1実施形態に係る振動素子100の製造方法では、第1突出部320の最大幅W1、第2突出部330の最大幅W2、第3突出部370の最大幅W3、第4突出部380の最大幅W4、第1溝部310の最大幅W5、第2溝部360の最大幅W6は、W1+W2<W3+W4、かつ、W5>W6を満たしている。そのため、第1実施形態に係る振動素子
100の製造方法では、連結部300の第1面2a側の強度を、連結部300の第2面2b側の強度よりも小さくできる。そのため、工程S20において、振動素子100を連結部300で折り取る際に、連結部300を第1面2a側から破断しやすくできる。したがって、第1実施形態に係る振動素子100の製造方法では、振動素子100を連結部300で折り取る際の破断位置を一定にできる。
【0080】
2. 第2実施形態
2.1. 振動素子の製造方法
2.2.1. 振動素子の製造方法の流れ
次に、第2実施形態に係る振動素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。第2実施形態に係る振動素子100の製造方法は、第1実施形態に係る振動素子100の製造方法と同様に、振動素子100と、枠部200と、連結部300と、を有する圧電基板2を製造する工程S10と、振動素子100を枠部200から切り離す工程S20と、を含む。
【0081】
以下では、上述した第1実施形態に係る振動素子100の製造方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0082】
2.2.2. 圧電基板
図22は、連結部300を模式的に示す平面図である。図23および図24は、連結部300を模式的に示す断面図である。なお、図23は、図22のXXIII-XXIII線断面図である。図24は、図22のXXIV-XXIV線断面図である。以下、第2実施形態における圧電基板2において、上述した第1実施形態における圧電基板2の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0083】
第1実施形態に係る振動素子100の製造方法では、図5に示すように、第1突出部320の先端と第1対向突出部340の先端が接触し、第2突出部330の先端と第2対向突出部350の先端が接触するように形成された。
【0084】
これに対して、第2実施形態に係る振動素子100の製造方法では、図22図24に示すように、第1突出部320の先端と第1対向突出部340の先端が接触せず、第2突出部330の先端と第2対向突出部350の先端が接触しないように形成される。また、第1突出部320の先端と第1対向突出部340との間には第1溝部310に連続する第1凹部312が形成される。また、第2突出部330の先端と第2対向突出部350の先端との間には第1溝部310に連続する第2凹部314が形成される。
【0085】
図22に示すように、第1突出部320は、第1外形辺322と第2外形辺324が第1突出部320の先端で交わるように形成される。第1外形辺322と第2外形辺324の交点が第1突出部320の先端を形成する。すなわち、第1突出部320は、V字形状に形成される。また、第2突出部330は、第3外形辺332と第4外形辺334が第2突出部330の先端で交わるように形成される。第3外形辺332と第4外形辺334の交点が第2突出部330の先端を形成する。すなわち、第2突出部330は、V字形状に形成される。
【0086】
第1対向突出部340は、第1対向外形辺342と第2対向外形辺344が第1対向突出部340の先端で交わるように形成される。第1対向突出部340の先端と第1突出部320の先端を結ぶ仮想直線は、例えば、Y軸に平行である。
【0087】
第2対向突出部350は、第3対向外形辺352と第4対向外形辺354が第2対向突出部350の先端で交わるように形成される。第2対向突出部350の先端と第2突出部
330の先端を結ぶ仮想直線は、例えば、Y軸に平行である。
【0088】
図23および図24に示すように、第1突出部320の上面320aは、第1面2aのよりも-Z方向に位置している。第1突出部320の上面320aの深さAは、例えば、第1溝部310の深さBの半分よりも小さい。すなわち、A<(B/2)を満たす。第1突出部320の上面320aの深さAは、Z軸に沿った方向における第1面2aと上面320aとの間の距離である。深さAは、第1面2aに対する上面320aの最大深さである。第1溝部310の深さBは、Z軸に沿った方向における第1面2aと第1溝部310の底面との間の距離である。深さBは、第1面2aに対する第1溝部310の最大深さである。
【0089】
A<(B/2)を満たすことによって、第1突出部320と第1溝部310における圧電基板2の厚さの差を大きくできる。したがって、振動素子100を連結部300で折り取る際に、例えば、A<(B/2)を満たさない場合と比べて、第1突出部320の先端に応力を集中できる。
【0090】
なお、図24に示す例では、第1突出部320の上面320aの深さAは、一定であるが、図示はしないが、第1突出部320の上面320aの深さAは、振動素子100の第1辺102aから第1凹部312に向かって大きくなってもよい。すなわち、第1突出部320は、第1突出部320の先端に向かうにしたがって深さAが大きくなってもよい。この場合、第1突出部320の上面320aは、XY平面に対して傾斜する。
【0091】
図示はしないが、第2突出部330の上面330a、第1対向突出部340の上面340a、第2対向突出部350の上面も、第1突出部320の上面320aと同様に、第1面2aのよりも-Z方向に位置している。第1突出部320の上面320aの深さA、第2突出部330の上面330aの深さ、第1対向突出部340の上面340aの深さ、および第2対向突出部350の上面の深さは、例えば、等しい。なお、第1突出部320の上面320aの深さA、第2突出部330の上面330aの深さ、第1対向突出部340の上面340aの深さ、および第2対向突出部350の上面の深さが異なっていてもよい。
【0092】
第1凹部312は、第1突出部320の先端と第1対向突出部340の先端との間に形成されている。第1凹部312は、第1突出部320と枠部200との間に形成されている。第2凹部314は、第2突出部330の先端と第2対向突出部350の先端との間に形成されている。第2凹部314は、第2突出部330と枠部200との間に形成されている。第1凹部312、第1溝部310、および第2凹部314は、連続して1つの溝を形成している。第1凹部312、第1溝部310、および第2凹部314が形成する溝は、破断部304の-X軸方向の端から+X軸方向の端まで形成されている。
【0093】
第1凹部312の深さおよび第2凹部314の深さは、例えば、第1溝部310の深さ以下である。第1凹部312の深さと第2凹部314の深さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0094】
なお、第2面2b側に形成される第2溝部360、第3突出部370、および第4突出部380は、図6に示す第1実施形態における振動素子100と同様であり、その説明を省略する。
【0095】
2.2.3. 振動素子と枠部と連結部とを有する圧電基板を製造する工程S10
図25および図26は、振動素子100の製造工程を模式的に示す図である。図25は、振動素子100の製造工程を模式的に示す平面図である。図26は、図25のXXVI
-XXVI線断面図である。
【0096】
図8および図9に示す第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bを成膜する工程、図10図13に示すレジストR2およびレジストR4を形成する工程、図14および図15に示す圧電基板2をエッチングする工程、図16および図17に示す第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bをエッチングする工程は、上述した第1実施形態に係る振動素子100の製造方法と同様であり、その説明を省略する。
【0097】
図16および図17に示す第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bをエッチングする工程の後に、図25および図26に示すように、第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bをマスクとして、圧電基板2をエッチングする。これにより、圧電基板2の第1面2a側に、第1溝部310、第1凹部312、第2凹部314、第1突出部320、第2突出部330、第1対向突出部340、および第2対向突出部350が形成される。また、圧電基板2の第2面2b側に、第2溝部360、第3突出部370、および第4突出部380が形成される。
【0098】
このとき、第1突出部320をサイドエッチングする。すなわち、圧電基板2をZ軸に沿った方向だけでなく、X軸に沿った方向にもエッチングする。例えば、第1突出部320を形成するためのマスクの幅を小さくして、第1突出部320をサイドエッチングしてもよい。また、例えば、圧電基板2を、サイドエッチングが進む条件でエッチングしてもよい。本工程では、例えば、第1突出部320の上面320aの深さAが、第1溝部310の深さBの半分以下となるように、第1突出部320をサイドエッチングする。なお、第2突出部330、第1対向突出部340、および第2対向突出部350も、第1突出部320と同様にサイドエッチングする。
【0099】
次に、レジストR2、レジストR4、第1耐蝕膜4a、および第2耐蝕膜4bを除去する。次に、図示はしないが、第1振動腕20および第2振動腕22に駆動電極を形成する。
【0100】
以上の工程により、図22図24に示す、連結部300によって枠部200に連結された振動素子100が複数形成された圧電基板2を製造できる。
【0101】
2.2.4. 振動素子を枠部から切り離す工程S20
図27は、連結部300を模式的に示す平面図である。図27では、破断部304が破断する位置を破線で示している。
【0102】
吸引ノズル500を振動素子100の第1面2a側に押しあてると、図27に示すように、第1面2aの垂直方向から見て、第1凹部312の中心と第2凹部314の中心を結ぶ仮想直線L4で示す位置で破断する。
【0103】
振動素子100を連結部300で折り取る際には、第1突出部320の先端、第2突出部330の先端、第1対向突出部340の先端、および第2対向突出部350の先端に応力が集中する。また、第1凹部312が形成された箇所および第2凹部314が形成された箇所は、圧電基板2の厚さが小さくなり、強度が小さくなる。そのため、振動素子100を連結部300で折り取る際には、第1突出部320の先端および第1対向突出部340の先端に隣接し、かつ、第1凹部312が形成された箇所が破断の起点となる。同様に、第2突出部330の先端および第2対向突出部350の先端に隣接し、かつ、第2凹部314が形成された箇所が破断の起点となる。この結果、破断部304は、仮想直線L4で示す位置で破断する。したがって、第2実施形態に係る振動素子100の製造方法では、振動素子100を連結部300で折り取る際の破断位置を一定にできる。
【0104】
2.3. 作用効果
第2実施形態に係る振動素子100の製造方法では、第1実施形態に係る振動素子100の製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0105】
さらに、第2実施形態に係る振動素子100の製造方法では、工程S10において、第1外形辺322と第2外形辺324を第1突出部320の先端で交わるように形成する。さらに、工程S10において、第3外形辺332と第4外形辺334を第2突出部330の先端で交わるように形成する。さらに、工程S10において、第1突出部320と枠部200との間に第1溝部310に連続する第1凹部312を形成し、第2突出部330と枠部200との間に第1溝部310に連続する第2凹部314を形成する。
【0106】
そのため、工程S20において振動素子100を連結部300で折り取る際に、第1突出部320の先端および第2突出部330の先端に応力が集中する。したがって、第2実施形態に係る振動素子100の製造方法では、振動素子100を連結部300で折り取る際の破断位置を一定にできる。この結果、折り取り痕40を小さくできる。
【0107】
3. 第3実施形態
3.1. 振動素子の製造方法
3.2.1. 振動素子の製造方法の流れ
次に、第3実施形態に係る振動素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。第3実施形態に係る振動素子100の製造方法は、第1実施形態に係る振動素子100の製造方法と同様に、振動素子100と、枠部200と、連結部300と、を有する圧電基板2を製造する工程S10と、振動素子100を枠部200から切り離す工程S20と、を含む。
【0108】
以下では、上述した第1実施形態に係る振動素子100の製造方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0109】
3.2.2. 圧電基板
図28は、連結部300を模式的に示す平面図である。図29は、図28のXXIX-XXIX線断面図である。以下、第3実施形態における圧電基板2において、上述した第1実施形態および第2実施形態における圧電基板2の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0110】
上述した第2実施形態に係る振動素子100の製造方法では、工程S10において、図22に示すように、圧電基板2の第1面2a側には、第1突出部320、第2突出部330、第1対向突出部340、および第2対向突出部350が形成された。これに対して、第3実施形態に係る振動素子100の製造方法では、図28に示すように、工程S10において、第1対向突出部340および第2対向突出部350が形成されずに、第1突出部320および第2突出部330が形成される。
【0111】
第1突出部320および第2突出部330の形状や大きさは、上述した図22に示す振動素子100の第1突出部320および第2突出部330の形状や大きさと同じであり、その説明を省略する。
【0112】
第1突出部320と基端部302との間には、第1凹部312が形成される。第1凹部312は、第1突出部320と枠部200との間に形成される。第1凹部312は、第1突出部320の先端から基端部302まで形成される。
【0113】
第2突出部330と基端部302との間には、第2凹部314が形成される。第2凹部314は、第2突出部330と枠部200との間に形成される。第2凹部314は、第2突出部330の先端から基端部302まで形成される。
【0114】
第1凹部312、第1溝部310、および第2凹部314は、連続して1つの溝を形成している。第1凹部312、第1溝部310、および第2凹部314が形成する溝は、破断部304の-X軸方向の端から+X軸方向の端まで形成されている。
【0115】
なお、第2面2b側に形成される第2溝部360、第3突出部370、および第4突出部380は、図6に示す第1実施形態における振動素子100と同様であり、その説明を省略する。
【0116】
3.2.3. 振動素子と枠部と連結部とを有する圧電基板を製造する工程S10
第3実施形態に係る振動素子100の製造方法では、図16および図17に示す第1耐蝕膜4aおよび第2耐蝕膜4bをエッチングする工程において、第1対向突出部340および第2対向突出部350を形成せずに第1凹部312および第2凹部314が形成されるように第1耐蝕膜4aをパターニングする点を除いて、第2実施形態に係る振動素子100の製造方法の工程S10と同様でありその説明を省略する。
【0117】
3.2.4. 振動素子を枠部から切り離す工程S20
図30は、連結部300を模式的に示す平面図である。図30では、破断部304が破断する位置を破線で示している。
【0118】
吸引ノズル500を振動素子100の第1面2a側に押しあてると、図30に示すように、第1面2aの垂直方向から見て、第1凹部312の第1突出部320の先端に隣接する位置と、第2凹部314の第2突出部330の先端に隣接する位置を結ぶ仮想直線L6で示す位置で破断する。
【0119】
振動素子100を連結部300で折り取る際には、第1突出部320の先端、および第2突出部330の先端に応力が集中する。さらに、第1凹部312が形成された箇所および第2凹部314が形成された箇所は、圧電基板2の厚さが小さくなり、強度が小さくなる。これにより、第1凹部312の第1突出部320の先端に隣接する位置が破断の起点となる。同様に、第2凹部314の第2突出部330の先端に隣接する位置が破断の起点となる。この結果、破断部304は、仮想直線L6で示す位置で破断する。したがって、第3実施形態に係る振動素子100の製造方法では、振動素子100を連結部300で折り取る際の破断位置を一定にできる。
【0120】
3.3. 作用効果
第3実施形態に係る振動素子100の製造方法では、第2実施形態に係る振動素子100の製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0121】
3.4. 変形例
上述した第3実施形態では、工程S10において、第1対向突出部340および第2対向突出部350が形成されずに、第1突出部320および第2突出部330が形成される場合について説明したが、図示はしないが、第1突出部320および第2突出部330が形成されずに、第1対向突出部340および第2対向突出部350が形成されてもよい。この場合、工程S20において、振動素子100を連結部300で折り取る際には、第1対向突出部340の先端および第2対向突出部350の先端に応力を集中できる。
【0122】
4. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0123】
(1)第1変形例
上述した第1実施形態では、工程S10において、圧電基板2の第1面2a側に、第1溝部310、第1突出部320、第2突出部330、第1対向突出部340、および第2対向突出部350を形成し、圧電基板2の第2面2b側に、第2溝部360、第3突出部370、および第4突出部380を形成した。また、工程S20において、振動素子100を枠部200から切り離す際に、振動素子100の第1面2a側に吸引ノズル500を押し当てて、第1面2a側から破断させた。
【0124】
これに対して、工程S10において、圧電基板2の第2面2b側に、第1溝部310、第1突出部320、第2突出部330、第1対向突出部340、および第2対向突出部350を形成し、圧電基板2の第1面2a側に、第2溝部360、第3突出部370、および第4突出部380を形成してもよい。また、この場合、工程S20において、振動素子100を枠部200から切り離す際に、振動素子100の第2面2b側に吸引ノズル500を押し当てて、第2面2b側から破断させてもよい。なお、第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
【0125】
(2)第2変形例
上述した第1実施形態では、図6に示すように、圧電基板2の第2面2b側には、第2溝部360、第3突出部370、および第4突出部380が形成されていたが、圧電基板2の第2面2b側は、平坦であってもよい。なお、第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
【0126】
(3)第3変形例
上述した第1実施形態に係る振動素子の製造方法では、音叉型の圧電振動素子を製造する場合について説明したが、第1実施形態に係る振動素子の製造方法は、音叉型の圧電振動素子の製造方法に限定されない。例えば、第1実施形態に係る振動素子の製造方法は、ATカット水晶基板やSCカット水晶基板などの水晶基板で構成された厚みすべり振動モードで振動する振動素子などにも適用できる。第1実施形態に係る振動素子の製造方法は、圧電基板をエッチングするときのマスクを振動素子の形状に応じて形成することによって、音叉型の圧電振動素子以外の振動素子にも適用できる。なお、第2実施形態および第3実施形態についても同様である。
【0127】
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0128】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0129】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0130】
振動素子の製造方法の一態様は、
振動素子と、枠部と、前記枠部と前記振動素子とを連結する連結部と、を有する圧電基
板を、ウェットエッチングにより製造することと、
前記振動素子を前記連結部で折り取り、前記枠部から切り離すことと、
を含み、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記連結部には、第1面と前記第1面と表裏の関係にある第2面のうちの一方の面側に、第1溝部と、前記第1溝部を挟む位置に配置され、前記一方の面の垂直方向から見て、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から突出する第1突出部および第2突出部と、が形成され、
前記第1突出部は、前記一方の面の垂直方向から見て、
前記連結部の外形を規定する第1外形辺と、前記第1溝部との境界を規定する第2外形辺と、を有し、前記第1外形辺と前記第2外形辺との間の距離が前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成され、
前記第1外形辺と前記第2外形辺が、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺に対して傾斜するように形成され、
前記第2突出部は、前記一方の面の垂直方向から見て、
前記連結部の外形を規定する第3外形辺と、前記第1溝部との境界を規定する第4外形辺と、を有し、前記第3外形辺と前記第4外形辺との間の距離が前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から遠ざかるにしたがって小さくなる形状に形成され、
前記第3外形辺と前記第4外形辺が、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺に対して傾斜するように形成される。
【0131】
この振動素子の製造方法によれば、振動素子を連結部で折り取り、枠部から切り離す際に、第1突出部の先端および第2突出部の先端に応力が集中する。したがって、この振動素子の製造方法では、振動素子を連結部で折り取る際の破断位置を一定にできる。この結果、振動素子を枠部から切り離した後に振動素子に残存する連結部の残存部分を小さくすることができる。
【0132】
上記振動素子の製造方法の一態様において、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記一方の面の垂直方向から見て、前記振動素子に、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺である第1辺を挟み、前記第1辺よりも前記第1突出部の突出方向に位置している前記振動素子の外形辺である第2辺および第3辺が形成され、
前記第1突出部の突出方向において、前記第1突出部の先端と前記第1辺との間の距離は、前記第1辺と前記第2辺との間の距離および前記第1辺と前記第3辺との間の距離よりも小さくなるように形成され、
前記第2突出部の突出方向において、前記第2突出部の先端と前記第1辺との間の距離は、前記第1辺と前記第2辺との間の距離および前記第1辺と前記第3辺との間の距離よりも小さくなるように形成されてもよい。
【0133】
この振動素子の製造方法によれば、連結部の残存部分が第2辺および第3辺から突き出る長さを小さく、または残存部分が第2辺および第3辺から突き出ないようにできる。
【0134】
上記振動素子の製造方法の一態様において、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記第1外形辺と前記第2外形辺を、前記第1突出部の先端で交わるように形成し、
前記第3外形辺と前記第4外形辺を、前記第2突出部の先端で交わるように形成し、
前記第1突出部と前記枠部との間に、前記第1溝部に連続する第1凹部を形成し、
前記第2突出部と前記枠部との間に、前記第1溝部に連続する第2凹部を形成してもよい。
【0135】
この振動素子の製造方法によれば、振動素子を連結部で折り取る際の破断位置を一定にできる。
【0136】
上記振動素子の製造方法の一態様において、
前記圧電基板をウェットエッチングにより製造することにおいて、
前記連結部には、前記第1面と前記第2面のうちの他方の面側に、第2溝部と、前記第2溝部を挟む位置に配置され、前記他方の面の垂直方向から見て、前記連結部が接続されている前記振動素子の外形辺から突出する第3突出部および第4突出部と、が形成され、
前記第1突出部の最大幅をW1とし、
前記第2突出部の最大幅をW2とし、
前記第3突出部の最大幅をW3とし、
前記第4突出部の最大幅をW4とし、
前記第1溝部の最大幅をW5とし、
前記第2溝部の最大幅をW6とした場合に、
W1+W2<W3+W4、かつ、W5>W6を満たしてもよい。
【0137】
この振動素子の製造方法によれば、振動素子を連結部で折り取る際に、連結部の一方の面側から破断しやすくできる。
【符号の説明】
【0138】
2…圧電基板、2a…第1面、2b…第2面、4a…第1耐蝕膜、4b…第2耐蝕膜、10…基部、20…第1振動腕、21…長溝、22…第2振動腕、23…長溝、30…第1支持腕、32…第2支持腕、40…折り取り痕、100…振動素子、101…凹部、102a…第1辺、102b…第2辺、102c…第3辺、103a…第4辺、200…枠部、300…連結部、302…基端部、303a…上辺、304…破断部、310…第1溝部、312…第1凹部、314…第2凹部、320…第1突出部、320a…上面、322…第1外形辺、324…第2外形辺、330…第2突出部、332…第3外形辺、334…第4外形辺、340…第1対向突出部、342…第1対向外形辺、344…第2対向外形辺、350…第2対向突出部、352…第3対向外形辺、354…第4対向外形辺、360…第2溝部、370…第3突出部、380…第4突出部、400…クランプ、500…吸引ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30