IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特開-吐出器 図1
  • 特開-吐出器 図2
  • 特開-吐出器 図3
  • 特開-吐出器 図4
  • 特開-吐出器 図5
  • 特開-吐出器 図6
  • 特開-吐出器 図7
  • 特開-吐出器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108435
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B65D47/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012801
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】長村 隆央
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084GB26
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD25
(57)【要約】
【課題】廃棄に際し、付勢部材とその他の部材とを容易に分別することができる吐出器を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様の吐出器は、内側が容器本体内に連通するシリンダと、内側がシリンダ内に連通し、シリンダに対して上下方向に移動可能に設けられたステムと、ステムの上下動に連係するピストンと、容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有し、ステムの上端部に取り付けられる押下ヘッドと、押下ヘッドを上方付勢状態で下方移動可能に支持する付勢部材と、を備えている。押下ヘッドは、ステムに対する上下方向に沿う中心軸線回りの一方側への回転に伴い離脱するように、ステムの上端部に接続され、ステムは、下降端位置において、シリンダに対する中心軸線回りの一方側への回転に伴い、上方への移動が規制された状態でシリンダに接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるとともに、内側が容器本体内に連通するシリンダと、
上下方向に延びるとともに、内側が前記シリンダ内に連通し、前記シリンダに対して上下方向に移動可能に設けられたステムと、
前記ステムの上下動に連係して、前記シリンダ内を上下摺動可能なピストンと、
前記容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有し、前記ステムの上端部に取り付けられる押下ヘッドと、
前記押下ヘッドを上方付勢状態で下方移動可能に支持する付勢部材と、を備え、
前記押下ヘッドは、前記ステムに対する上下方向に沿う中心軸線回りの一方側への回転に伴い離脱するように、前記ステムの上端部に接続され、
前記ステムは、下降端位置において、前記シリンダに対する前記中心軸線回りの一方側への回転に伴い、上方への移動が規制された状態で前記シリンダに接続される吐出器。
【請求項2】
前記押下ヘッドは、前記ステムに対する前記中心軸線回りの一方側への回転に伴い、前記押下ヘッドに備えられたヘッドねじ部と、前記ステムに備えられた第1ステムねじ部と、の螺着が解除されることで、前記ステムから離脱可能に構成され、
前記ステムは、前記シリンダに対する前記中心軸線回りの一方側への回転に伴い、前記ステムに備えられた第2ステムねじ部と、前記シリンダに備えられたシリンダねじ部と、が螺着されることで、前記シリンダに取付可能に構成されている請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記ステムが最上端位置よりも下方で、前記下降端位置よりも上方にあるときに、前記シリンダに対する前記押下ヘッドの下方移動を規制する規制部が、前記押下ヘッドと前記シリンダとの間から離脱可能に設けられている請求項1又は請求項2に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、吐出孔を有する押下ヘッドを、付勢部材の付勢力に抗して押下することにより、シリンダ内の内容物を吐出孔から吐出することができるとともに、付勢部材の復元力により、押下ヘッドを上方に復元移動させ、シリンダ内を負圧することによって、容器本体内の内容物をシリンダ内に吸い上げることができる吐出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-274983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の吐出器においては、廃棄に際し、金属製であることが多い付勢部材と、樹脂製であることが多いその他の部材と、を容易に分別することに改善の余地がある。
【0005】
本発明は、廃棄に際し、付勢部材とその他の部材とを容易に分別することができる吐出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る吐出器は、上下方向に延びるとともに、内側が容器本体内に連通するシリンダと、上下方向に延びるとともに、内側が前記シリンダ内に連通し、前記シリンダに対して上下方向に移動可能に設けられたステムと、前記ステムの上下動に連係して、前記シリンダ内を上下摺動可能なピストンと、前記容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有し、前記ステムの上端部に取り付けられる押下ヘッドと、前記押下ヘッドを上方付勢状態で下方移動可能に支持する付勢部材と、を備え、前記押下ヘッドは、前記ステムに対する上下方向に沿う中心軸線回りの一方側への回転に伴い離脱するように、前記ステムの上端部に接続され、前記ステムは、下降端位置において、前記シリンダに対する前記中心軸線回りの一方側への回転に伴い、上方への移動が規制された状態で前記シリンダに接続される。
【0007】
本態様によれば、ステムを下降端位置まで移動させた状態で押下ヘッドを周方向の一方側に回転させることで、ステムをシリンダに接続しつつ押下ヘッドをステムから離脱させることができる。これにより、押下ヘッドの離脱作業の際に、ステムが押下ヘッドと一体で回転することを抑制できる。これにより、押下ヘッドの離脱作業が容易になり、吐出器の廃棄に際し、付勢部材とその他の部材とを容易に分別することができる。
しかも、ステムが下降端位置にあるとき、シリンダ内の下端部にステムを接続することができるので、押下ヘッドをステムから取り外した後であっても、シリンダに対するステムの上方移動を規制できる。そのため、押下ヘッド及び付勢部材を取り除いた後の吐出器の上下方向でのコンパクト化を図ることができる。その結果、廃棄時に嵩張ることを抑制できる。
【0008】
上記態様に係る吐出器において、前記押下ヘッドは、前記ステムに対する前記中心軸線回りの一方側への回転に伴い、前記押下ヘッドに備えられたヘッドねじ部と、前記ステムに備えられた第1ステムねじ部と、の螺着が解除されることで、前記ステムから離脱可能に構成され、前記ステムは、前記シリンダに対する前記中心軸線回りの一方側への回転に伴い、前記ステムに備えられた第2ステムねじ部と、前記シリンダに備えられたシリンダねじ部と、が螺着されることで、前記シリンダに取付可能に構成されていることが好ましい。
本態様によれば、押下ヘッド及びステム間、並びにステム及びシリンダ間が、いわゆる逆ねじの関係となる。そのため、押下ヘッドとステムとの取付状態を安定させることができるとともに、ステムが下降端位置にあるときステムをシリンダに接続し易くすることができる。
【0009】
上記態様に係る吐出器において、前記ステムが最上端位置よりも下方で、前記下降端位置よりも上方にあるときに、前記シリンダに対する前記押下ヘッドの下方移動を規制する規制部が、前記押下ヘッドと前記シリンダとの間から離脱可能に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、内容液の吐出時において、押下ヘッドを押し下げた際に、ステムが下降端位置に到達することを抑制できる。そのため、ステムとシリンダとが予期せず接続されることを抑制し、ステムとシリンダとの接続によって押下ヘッドの上方への復帰が妨げられることを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、廃棄に際し、付勢部材とその他の部材とを容易に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る吐出容器の縦断面図である。
図2】第1実施形態に係る吐出容器の動作説明図である。
図3】第1実施形態に係る吐出容器の動作説明図である。
図4】第1実施形態に係る吐出容器の動作説明図である。
図5】第1実施形態に係る吐出容器の動作説明図である。
図6】第2実施形態に係る吐出容器の縦断面図である。
図7】第2実施形態に係る吐出容器の横断面図である。
図8】第2実施形態に係る吐出容器の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の吐出容器1は、内容液が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部2aに着脱可能に取り付けられる有頂筒状の吐出器5と、を備えている。なお、以下の説明において、吐出容器1の各構成部材は、特に記載のない限り、樹脂材料により形成された成形品とされている。
【0013】
吐出器5は、シリンダ11と、ステム12と、ピストン13と、押下ヘッド14と、付勢部材15と、装着キャップ16と、を備えている。シリンダ11、ステム12、ピストン13及び装着キャップ16は、共通軸と同軸に配設されている。以下、共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向とする。上下方向のうち押下ヘッド14側を上方とし、シリンダ11側を下方とする。また、上下方向から見て中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
装着キャップ16は、キャップ本体21と、シール筒22と、支持筒23と、被覆筒24と、を備えている。
キャップ本体21は、環状の装着天壁21aを備える有頂筒状に形成されている。キャップ本体21において、周壁部の内周面には、雌ねじ部が形成されている。装着キャップ16は、口部2aに形成された雄ねじ部に螺着されることで、口部2aに着脱可能に取り付けられる。本実施形態において、装着キャップ16は、口部2aに対する周方向の一方側への回転に伴い、口部2aから離脱可能になっている。但し、装着キャップ16は、口部2aに対する周方向の一方側への回転に伴い、口部2aに装着される構成であってもよい。
【0015】
シール筒22は、装着天壁21aから下方に向けて突出している。
支持筒23は、装着天壁21aの内周縁(シール筒22よりも径方向の内側に位置する部分)から下方に向けて延びている。支持筒23の下端開口縁には、径方向の内側に張り出す支持底壁23aが形成されている。支持底壁23aは、周方向の全周に亘って延びる環状に形成されている。但し、支持底壁23aは、周方向に間欠的に設けられていてもよい。
被覆筒24は、装着天壁21aの内周縁から上方に向けて延びている。
【0016】
シリンダ11は、上下方向に延びるとともに、内側が容器本体2内に連通する。シリンダ11は、シリンダ筒部25と、フランジ部26と、嵌合筒部27と、を備えている。シリンダ筒部25及び嵌合筒部27は、上方から下方に向けてこの順に連なって筒状に形成されるとともに、容器本体2内に挿入されている。
【0017】
フランジ部26は、シリンダ筒部25の上端開口縁から径方向の外側に張り出している。フランジ部26は、キャップ本体21内の上端部に嵌め込まれている。フランジ部26は、口部2aと、装着天壁21aと、の間に上下方向で挟み込まれている。フランジ部26の上面及び装着天壁21aの下面には、互いに係合することで、フランジ部26及び装着天壁21aの周方向への相対回転を規制する回り止め部29が形成されている。回り止め部29は、凹部と、凹部に嵌まり合う凸部と、を備えている。
【0018】
シリンダ筒部25は、下方に位置するものほど外径が縮小する多段筒状に形成されている。シリンダ筒部25内には、容器本体2内から吸い上げられる内容液が収容される。シリンダ筒部25は、摺動筒部25aと、弁筒部25bと、を備えている。
摺動筒部25a内の上端部には、シール筒22が密に嵌め込まれている。摺動筒部25a内において、シール筒22よりも径方向の内側に位置する部分には、支持筒23が挿入されている。支持底壁23aは、摺動筒部25a内においてシール筒22よりも下方に位置している。摺動筒部25aには、摺動筒部25aを径方向に貫通する導入孔25cが形成されている。導入孔25cは、容器本体2内と摺動筒部25a内とを連通させる。摺動筒部25aにおける内周面の下端部には、シリンダねじ部25dが形成されている。シリンダねじ部25dは、周方向の一方側に向かうに従い下方に向けて螺旋状に延びている。
【0019】
弁筒部25bは、摺動筒部25aよりも小径で、かつ上下方向の寸法も小さく形成されている。弁筒部25b内には、下部弁体30が嵌め込まれている。下部弁体30は、シリンダ筒部25の下端開口を開閉する。下部弁体30は、シリンダ筒部25内の加圧時に、弁筒部25bの下端開口を閉塞したままに維持し、シリンダ筒部25内の減圧時に、弁筒部25bの下端開口を開放する逆止弁となっている。これにより、シリンダ筒部25内の加圧時に、シリンダ筒部25内の内容液がシリンダ筒部25の下端開口から容器本体2内に戻ることが阻止され、シリンダ筒部25内の減圧時に、容器本体2内の内容液がシリンダ筒部25内に流入する。図示の例において、下部弁体30は三点弁である。
【0020】
嵌合筒部27は、弁筒部25bよりも小径で、かつ上下方向の寸法が大きく形成されている。嵌合筒部27内には、パイプ32の上部が液密に嵌め込まれている。パイプ32の下端部は、容器本体2内において底部に接近している。
【0021】
ステム12は、ステム本体41と、ピストン支持部42と、を備えている。ステム本体41は、上下方向に延びる有底筒状に形成されている。ステム本体41は、上部がシリンダ11から突出した状態で、シリンダ11内に挿入されている。本実施形態において、ステム本体41は、支持筒23及び被覆筒24を上下方向に貫通している。
【0022】
ステム本体41の周壁部には、連通口41aが形成されている。連通口41aは、ステム本体41の周壁部を径方向に貫通している。連通口41aは、ステム本体41内とシリンダ11内とを連通させている。
【0023】
ステム本体41における周壁部の上端部には、上側ねじ部(第1ステムねじ部)41bが形成されている。上側ねじ部41bは、周方向の一方側に向かうに従い下方に延びる螺旋状の雄ねじである。ステム本体41の周壁部において、連通口41aよりも上方で、上側ねじ部41bよりも下方に位置する部分には、径方向の外側に突出する嵌合突部41cが形成されている。嵌合突部41cは、ステム本体41の周壁部を全周に亘って延びている。
【0024】
ピストン支持部42は、ステム本体41のうち連通口41aよりも下方に位置する部分から径方向の外側に向けてフランジ状に突出している。ピストン支持部42の外周面には下側ねじ部(第2ステムねじ部)42aが形成されている。下側ねじ部42aは、周方向の一方側に向かうに従い下方に延びる螺旋状に形成されている。下側ねじ部42aの一部は、ステム12が下降端位置にあるとき、シリンダねじ部25dの一部にシリンダねじ部25dの上方から当接する(図2参照)。すなわち、ステム12は、シリンダ11に螺着されることで、下降端位置から締付位置(図3参照)に向けて、さらに下方移動可能に構成されている。なお、ピストン支持部42には、シリンダ筒部25のうちピストン支持部42に対して上方の空間と下方の空間とを連通させる連通孔等が設けられていてもよい。本実施形態では、下側ねじ部42aとシリンダ筒部25の内周面との間に形成される隙間を通じて、シリンダ筒部25のうちピストン支持部42に対して上方の空間と下方の空間とが連通している。
【0025】
押下ヘッド14は、ステム本体41に対する中心軸線O回りの回転に伴い、ステム本体41の上端部に離脱可能に取付けられている。押下ヘッド14は、容器本体2内の内容液を吐出する吐出孔14aを有している。押下ヘッド14は、装着筒51と、吐出筒52と、ヘッド外筒53と、を備えている。
【0026】
装着筒51は、被覆筒24及び支持筒23の内側に上方から挿入されている。装着筒51のうち上下方向の中間部分には、ヘッドねじ部51aが形成されている。ヘッドねじ部51aは、周方向の一方側に向かうに従い下方に延びる螺旋状の雌ねじ部である。ヘッドねじ部51aは、上側ねじ部41bに螺着されている。これにより、押下ヘッド14は、ステム本体41に離脱可能に取り付けられている。装着筒51のうち、ヘッドねじ部51aよりも下方に位置する部分には、嵌合凹部51bが形成されている。嵌合凹部51bは、周方向の全長に亘って連続して延びている。嵌合凹部51b内には、嵌合突部41cが嵌め込まれることで、上側ねじ部41b及びヘッドねじ部51a間の緩みが抑制されている。装着筒51の内周面において、嵌合凹部51bよりも下方に位置する部分と、ステム本体41の外周面と、の間には、径方向の隙間が設けられている。
【0027】
吐出筒52は、装着筒51から径方向の外側に向けて突出している。吐出筒52の先端開口は、上述した吐出孔14aとして機能する。
ヘッド外筒53は、装着筒51を径方向の外側から取り囲んでいる。ヘッド外筒53の下端縁は、被覆筒24の上端縁よりも下方に位置している。図示の例において、ヘッド外筒53の下端部の内周面は、被覆筒24の上端部の外周面に当接、若しくは近接している。これにより、吐出器5の外部の水等が、ヘッド外筒53と被覆筒24との間を通じて吐出器5内に進入することを抑制できる。
【0028】
ピストン13は、ステム12の上下動に連係して、シリンダ11内に上下摺動可能に嵌め込まれている。ピストン13は、ピストン外筒61と、ピストン内筒62と、連結部63と、を備えている。
【0029】
ピストン外筒61は、摺動筒部25aの内周面上を上下摺動可能である。
ピストン内筒62の上部は、装着筒51の内周面と、ステム本体41の外周面と、の間に差し込まれている。ピストン内筒62の上端部は、装着筒51の内周面に液密に上下摺動可能に当接している。ピストン内筒62の下部は、装着筒51から下方に突出している。
連結部63は、ピストン外筒61の内周面と、ピストン内筒62の外周面と、を連結している。連結部63は、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。連結部63の上面は、装着キャップ16の支持底壁23aの下面に当接し、かつ装着筒51の下端部より下方に位置している。
【0030】
押下ヘッド14が押下されていない状態(ステム12の最上端位置)において、ピストン内筒62の下端縁は、ピストン支持部42に支持されている。これにより、摺動筒部25a内においてピストン13より下方に位置する部分と、連通口41aと、の連通が遮断されている。押下ヘッド14が押下された状態において、図2に示されるように、ステム12の下降に伴って、ピストン支持部42が、ピストン内筒62の下端縁から下方に離間する。これにより、摺動筒部25a内においてピストン13より下方に位置する部分と、連通口41aと、が連通する。この際、装着筒51の下端縁が、ピストン13に当接する。これにより、その後、押下ヘッド14の押下を継続すると、ピストン13も下降する。内容液の吐出後、ステム12及び押下ヘッド14が上方に復元移動する際に、ピストン支持部42がピストン内筒62の下端縁に当接することで、ピストン13も上方に復元移動する。
【0031】
付勢部材15は、押下ヘッド14を上方付勢状態で下方移動可能に支持している。付勢部材15は、例えば中心軸線Oと同軸に配設された金属製のコイルスプリングである。付勢部材15は、装着筒51の周囲を取り囲むとともに、ヘッド外筒53、被覆筒24及び支持筒23によって周囲が取り囲まれている。すなわち、付勢部材15は、装着筒51、ヘッド外筒53、被覆筒24及び支持筒23で囲まれた空間に収容されている。
【0032】
付勢部材15の下端部は、支持底壁23aの上面に支持されている。付勢部材15の上端部は、装着筒51に形成された支持段部51dに支持されている。支持段部51dは、装着筒51のうち、ヘッドねじ部51aよりも上方に位置する部分が縮径されることで形成された下向き面である。支持段部51dは、支持底壁23aの上面に向かい合っている。支持段部51dは、装着キャップ16の被覆筒24より上方に位置している。
【0033】
次に、上述した吐出容器1において、吐出孔14aから内容液を吐出する方法について説明する。
図1図2に示すように、押下ヘッド14を押し下げると、押下ヘッド14及びステム12が、ピストン13に対して下降する。すると、ピストン支持部42が、ピストン内筒62の下端から下方に離間し、シリンダ筒部25内においてピストン13より下方に位置する部分と、連通口41aと、が連通する。この際、装着筒51の下端が、ピストン13に当接する。これにより、その後、押下ヘッド14を継続して押し下げると、付勢部材15が圧縮変形しながら、ピストン13も下降することで、シリンダ筒部25内が加圧される。その結果、シリンダ筒部25内の内容液が、ピストン支持部42とピストン内筒62の下端との間の隙間、連通口41a、ステム本体41内を通じて押下ヘッド14に送り出される。押下ヘッド14に送り出された内容液は、装着筒51内及び吐出筒52内を通して、吐出孔14aから吐出される。この過程において、下部弁体30は、弁筒部25bの下端開口を閉塞したままに維持する。なお、ステム12が下降端位置まで移動すると、下側ねじ部42aの一部がシリンダねじ部25dの一部に上方から当接する。
【0034】
その後、押下ヘッド14の押し下げを解除すると、付勢部材15が復元変形することで、押下ヘッド14及びステム12が上方に復元移動する。この過程において、ピストン支持部42がピストン内筒62の下端に当接することで、シリンダ筒部25内のうちピストン13より下方に位置する部分と、連通口41aと、の連通が遮断される。この状態で、ピストン13が押下ヘッド14及びステム12とともに上方に復元移動する。これにより、シリンダ筒部25内が負圧になり、下部弁体30が弁筒部25bの下端開口を開放する。その結果、容器本体2内の内容液が、パイプ32内を通してシリンダ筒部25内に流入する。
【0035】
次に、吐出器5のうち、付勢部材15とその他の部材とを分別する方法について説明する。
まず、上述した吐出方法と同様に、押下ヘッド14を押し下げて、ステム12を下降端位置まで移動させる。すると、図2に示すように、下側ねじ部42aの一部が下側ねじ部42aの一部に下側ねじ部42aの上方から当接する。この状態で、押下ヘッド14に対して周方向の一方側への回転力を加える。図3に示すように、下側ねじ部42aがシリンダねじ部25dに噛み合うことで、ステム12がシリンダ11に螺着されていく。これにより、下降端位置のステム12が締付位置に向けてさらに下降する。なお、押下ヘッド14の回転初期において、上側ねじ部41b及びヘッドねじ部51a間の締め付けトルクは、下側ねじ部42a及びシリンダねじ部25d間に作用する締め付けトルクよりも大きくなっている。そのため、回転初期では、押下ヘッド14及びステム12は、一体となってシリンダ11に対して回転する。なお、フランジ部26の上面及び装着天壁21aの下面にそれぞれ、回り止め部29が形成されているので、押下ヘッド14に対して回転力を加えたとしても、押下ヘッド14及びシリンダ11間に作用する摩擦力等によって、シリンダ11が装着キャップ16に対して回転することが規制される。
【0036】
上側ねじ部41b及びヘッドねじ部51a間の締め付けトルクが、下側ねじ部42a及びシリンダねじ部25d間に作用する締め付けトルクを下回った時点で(例えば、ステム12のシリンダ11への螺着が完了した時点で)、ステム12が締結位置に到達する。図4に示すように、ステム12が締結位置に到達した後、押下ヘッド14を周方向の一方側に向けてさらに回転させると、ステム12に対して押下ヘッド14が回転する。これにより、ヘッドねじ部51aと上側ねじ部41bとの螺着が解除されていく。すなわち、押下ヘッド14及びステム12間、並びにステム12及びシリンダ11間は、いわゆる逆ねじの関係になっている。そして、押下ヘッド14の回転後期において、押下ヘッド14は、シリンダ11及びステム12に対して独立して回転する。その結果、押下ヘッド14がステム12から離脱する。なお、ステム12が締結位置にあるとき、ステム12はシリンダ11に対する上方移動が規制されている。したがって、押下ヘッド14をステム12から取り外した後であっても、ステム12は締結位置を維持する。
【0037】
図5に示すように、押下ヘッド14がステム12から離脱すると、押下ヘッド14による付勢部材15の支持が解放されることで、付勢部材15が復元変形する。すると、付勢部材15の上端部が、被覆筒24から突出する。この状態で、付勢部材15の上端部を把持して、付勢部材15を引き上げる。その結果、付勢部材15が装着キャップ16から取り外される。
【0038】
このように、本実施形態の吐出器5において、押下ヘッド14は、ステム12に対する周方向の一方側への回転に伴い、離脱可能にステム12の上端部に取り付けられ、ステム12は、下降端位置において、シリンダ11に対する周方向の一方側への回転に伴い、上方への移動が規制された状態でシリンダ11内の下端部に接続される構成とした。
この構成によれば、ステム12を下降端位置まで移動させた状態で押下ヘッド14を周方向の一方側に回転させることで、ステム12をシリンダ11に締め付けつつ押下ヘッド14をステム12から離脱させることができる。これにより、押下ヘッド14の離脱作業の際に、ステム12が押下ヘッド14と一体で回転することを抑制できる。これにより、押下ヘッド14の離脱作業が容易になり、吐出器5の廃棄に際し、付勢部材15とその他の部材とを容易に分別することができる。
しかも、本実施形態では、ステム12が下降端位置にあるとき、シリンダ11内の下端部にステム12を接続することができるので、押下ヘッド14をステム12から取り外した後であっても、シリンダ11に対するステム12の上方移動を規制できる。そのため、押下ヘッド14及び付勢部材15を取り除いた後の吐出器5の上下方向でのコンパクト化を図ることができる。その結果、廃棄時に嵩張ることを抑制できる。
【0039】
本実施形態の吐出器5において、押下ヘッド14及びステム12間、並びにステム12及びシリンダ11間がそれぞれねじにより螺着される構成とした。
この構成によれば、押下ヘッド14及びステム12間、並びにステム12及びシリンダ11間が、いわゆる逆ねじの関係となる。そのため、押下ヘッド14とステム12との取付状態を安定させることができるとともに、ステム12が下降端位置にあるときステム12をシリンダ11に取り付け易くすることができる。
【0040】
(第2実施形態)
図6図7に示す吐出器5において、押下ヘッド14とシリンダ11との間には、規制部100が設けられている。規制部100は、周方向の一部が切除された切除部100aを有し、中心軸線Oと同軸のリング状に形成されている。規制部100は、被覆筒24の下端部に取り外し可能に装着されている。規制部100は、被覆筒24の周囲を取り囲んでいる。規制部100は、被覆筒24に装着された状態において、ヘッド外筒53の下端縁に上下方向で向かい合っている。すなわち、規制部100は、ヘッド外筒53の下端縁が規制部100の上方から当接することで、押下ヘッド14の下方移動を規制する。
【0041】
本実施形態において、規制部100とヘッド外筒53とは、ステム12が最上端位置よりも下方であって、下降端位置よりも上方に位置するときに、互いに当接するように設定されている。具体的に、規制部100とヘッド外筒53とは、シリンダ筒部25内の内容液を十分に押下ヘッド14に送り出すことが可能な程度にピストン13のストロークを確保しつつ、下側ねじ部42aとシリンダねじ部25dとが接触しない位置で、互いに当接するように設定されている。
【0042】
規制部100のうち周方向の一部には、薄肉部100bが形成されている。薄肉部100bは、規制部100のうち他の部分よりも薄肉に形成された部分である。すなわち、規制部100は、周方向に延びる一対の規制片100cの端部同士が薄肉部100bを介して接続された構成である。規制部100は、規制片100c同士が互いに離間する向きに、薄肉部100bを起点にして変形可能である。
【0043】
本実施形態の吐出容器1では、図8に示すように、規制部100が装着キャップ16(被覆筒24)に取り付けられた取付状態で、内容液の吐出操作を行う。これにより、押下ヘッド14を押し下げた際に、下側ねじ部42aとシリンダねじ部25dとが接触することを抑制できる。そのため、下側ねじ部42aとシリンダねじ部25dとが予期せず噛み合うことで、押下ヘッド14の上方への復帰が妨げられることを抑制できる。
【0044】
一方、本実施形態の吐出容器1において、付勢部材15とその他の部材とを分別する場合には、装着キャップ16から規制部100を取り外す。具体的には、一対の規制片100c同士を、径方向で互いに離間する向きに引っ張る。すると、薄肉部100bが変形することで、規制片100c同士が互いに離間する。これにより、切除部100aにおける周方向の間隔が拡大するため、切除部100aを通じて規制部100を被覆筒24から取り外すことができる。規制部100を被覆筒24から取り外すことで、規制部100による押下ヘッド14の規制が解除される。押下ヘッド14の規制が解除されることで、ステム12を下降端位置に到達させることができる。その後、第1実施形態と同様に、押下ヘッド14を周方向の一方側に回転させることで、下側ねじ部42aとシリンダねじ部25dとを螺着させることができる。
【0045】
本実施形態の吐出器5において、押下ヘッド14は、規制部100が装着キャップ16に取り付けられた状態において、規制部100の上方から規制部100に当接することで、シリンダ11に対する下方移動が規制される構成とした。
この構成によれば、内容液の吐出時において、押下ヘッド14を押し下げた際に、下側ねじ部42aとシリンダねじ部25dとが接触することを抑制できる。そのため、下側ねじ部42aとシリンダねじ部25dとが予期せず噛み合うことを抑制し、下側ねじ部42aとシリンダねじ部25dとの噛み合いによって押下ヘッド14の上方への復帰が妨げられることを抑制できる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、押下ヘッド14及びステム12間、並びにステム12及びシリンダ11間がそれぞれねじによる螺着によって接続される構成について説明したが、この構成に限られない。押下ヘッド14及びステム12は、中心軸線O回りの相対回転によって離脱可能に構成されていてもよい。また、ステム12及びシリンダ11は、中心軸線O回りの相対回転によって取り付けられる構成であってもよい。
押下ヘッド14および装着キャップ16は、付勢部材15を外部から視認できるように、透明、若しくは半透明の材質で形成されてもよい。
上述した実施形態では、押下ヘッド14及び装着キャップ16間に付勢部材15が介在する構成としたが、この構成に限られない。付勢部材15は、ステム12及び押下ヘッド14を上方付勢状態に支持する構成であれば、例えば押下ヘッド14及びシリンダ11間や、ステム12及び装着キャップ16間に介在していてもよい。
【0047】
第2実施形態では、規制部100の一部が切除部100aによって切り離されている構成について説明したが、この構成に限られない。規制部100は、破断可能な弱化部を介してリング状に形成されていてもよい。また、規制部100は、付勢部材15とその他の部材とを分別する際に押下ヘッド14の下方移動を許容する位置まで変位又は変形する構成であってもよい。
第2実施形態では、規制部100が押下ヘッド14や装着キャップ16と別体で形成された構成について説明したが、この構成に限られない。規制部100は、押下ヘッド14及び装着キャップ16の何れかに破断可能に一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
2:容器本体
5:吐出器
11:シリンダ
12:ステム
13:ピストン
14:押下ヘッド
14a:吐出孔
15:付勢部材
25d:シリンダねじ部
41b:上側ねじ部(第1ステムねじ部)
42a:下側ねじ部(第2ステムねじ部)
51a:ヘッドねじ部
100:規制部
O:中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8