(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108440
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】位置情報管理用通信装置、位置情報管理用通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/029 20180101AFI20240805BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240805BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20240805BHJP
【FI】
H04W4/029
H04W84/12
H04W88/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012813
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 吉孝
(72)【発明者】
【氏名】水流 慶太郎
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067JJ53
(57)【要約】
【課題】通信の確実性を高めつつ消費電力を低減することが可能な位置情報管理用通信装置、位置情報管理用通信方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】Wi-Fiのアクセスポイントの識別情報を取得するための取得処理を行う第1の通信部と、位置情報の管理対象の加速度を検出する加速度検出部と、前記加速度に基づき、前記管理対象の状態を判定する第1の判定部と、前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、前記第1の通信部の通信機能を有効にし、前記管理対象の周辺に設けられた前記Wi-Fiのアクセスポイントとの間で前記取得処理を行った後、前記第1の通信部の通信機能を無効にする第1の通信制御部と、を備える、位置情報管理用通信装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Wi-Fiのアクセスポイントの識別情報を取得するための取得処理を行う第1の通信部と、
位置情報の管理対象の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度に基づき、前記管理対象の状態を判定する第1の判定部と、
前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、前記第1の通信部の通信機能を有効にし、前記管理対象の周辺に設けられた前記Wi-Fiのアクセスポイントとの間で前記取得処理を行った後、前記第1の通信部の通信機能を無効にする第1の通信制御部と、
を備える、位置情報管理用通信装置。
【請求項2】
前記第1の判定部は、前記状態が停止状態である際に、第1の時間内に前記加速度が第1の閾値以上であった回数をカウントし、前記回数が第2の閾値以上である場合、前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定し、前記回数が第2の閾値未満である場合、前記状態が停止状態のままであると判定する、
請求項1に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項3】
前記第1の閾値及び前記第2の閾値は、前記管理対象が管理される建物の広さに応じて設定される、
請求項2に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項4】
前記第1の判定部は、前記状態が移動状態である際に、前記加速度が第3の閾値以下のまま第2の時間以上経過した場合、前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定し、前記加速度が第3の閾値以下のまま第2の時間以上経過していない場合、前記状態が移動状態のままであると判定する、
請求項1に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項5】
前記第1の通信制御部は、前記第1の通信部の通信機能が有効である際に、前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、前記第1の通信部の通信機能を無効にする、
請求項1に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項6】
前記管理対象の位置情報の管理に関するサーバへ前記識別情報を送信するための送信処理を行う第2の通信部と、
前記第2の通信部における通信を制御する第2の通信制御部と、
をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項7】
前記第2の通信制御部は、前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、前記第2の通信部の通信機能を有効にし、前記サーバとの間で前記送信処理を行った後、前記第2の通信部の通信機能を無効にする、
請求項6に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項8】
前記識別情報に基づき、前記管理対象が移動したか否かを判定する第2の判定部、
をさらに備え、
前記第2の通信制御部は、前記管理対象が移動したと判定された場合、前記第2の通信部の通信機能を有効にし、前記サーバとの間で前記送信処理を行った後、前記第2の通信部の通信機能を無効にする、
請求項6に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項9】
前記第2の判定部は、前記状態が移動状態から停止状態に遷移した際に取得される第1の識別情報と、前記第1の識別情報よりも前に取得された第2の識別情報とを比較し、各識別情報に同一の識別情報が存在しない場合、前記管理対象が移動したと判定し、各識別情報に同一の識別情報が少なくとも1つ存在する場合、前記管理対象が移動していないと判定する、
請求項8に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項10】
前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定されてから必要な通信が行われた後に、設定時間が経過するまで自装置全体の通信を無効にする無通信制御部、
をさらに備える、請求項1に記載の位置情報管理用通信装置。
【請求項11】
第1の通信部が、Wi-Fiのアクセスポイントの識別情報を取得するための取得処理を行う過程と、
加速度検出部が、位置情報の管理対象の加速度を検出する過程と、
第1の判定部が、前記加速度に基づき、前記管理対象の状態を判定する過程と、
第1の通信制御部が、前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、前記第1の通信部の通信機能を有効にし、前記管理対象の周辺に設けられた前記Wi-Fiのアクセスポイントとの間で前記取得処理を行った後、前記第1の通信部の通信機能を無効にする過程と、
を含む、位置情報管理用通信方法。
【請求項12】
コンピュータを、
Wi-Fiのアクセスポイントの識別情報を取得するための取得処理を行う第1の通信手段と、
位置情報の管理対象の加速度を検出する加速度検出手段と、
前記加速度に基づき、前記管理対象の状態を判定する第1の判定手段と、
前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、前記第1の通信手段の通信機能を有効にし、前記管理対象の周辺に設けられた前記Wi-Fiのアクセスポイントとの間で前記取得処理を行った後、前記第1の通信手段の通信機能を無効にする第1の通信制御手段と、
として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報管理用通信装置、位置情報管理用通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報を取得して所在を把握するシステムの活用が広がっている。当該システムは、例えば、物流における荷物や運搬用具の所在確認や、子供や高齢者の見守り確認などのサービスに活用されている。当該システムで用いられる電子機器に関して、電池の長寿命化の観点から消費電力の低減が重要な要素となっている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)通信によって取得される電子機器の位置情報をサーバへ送信することで、対象の位置を把握する方法が提案されている。当該技術では、加速度センサによって電子機器が移動状態であることを検出した際にGPS通信部の機能を動作させ、電子機器が移動状態から停止状態となったことを検出するとGPS通信部の機能を停止させている。これにより、電子機器における消費電力の低減を図っている。
【0004】
GPS通信による位置測定では、衛星の電波が届かない屋内での位置測定ができないことや、GPS通信部における消費電力が大きいことから、無線LAN(Local Area Network)におけるWi-Fi(登録商標)のアクセスポイントのアドレスを利用して対象の位置を測定する方法が提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-125936号公報
【特許文献2】特許第5952495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、電子機器が移動中にサーバ装置と通信を行う構成となっている。通信部の性能や通信規格によっては、移動中の通信に対応していない場合や、移動中の通信に対応していても移動速度によって通信が困難となる場合がある。そのため、電子機器から送信される情報をサーバ装置が確実に受信できるとは限らない。また、特許文献1の方法では、電子機器の移動中、GPS通信部は常に通電状態であるため、大幅な消費電力低減にはつながらない。当該電子機器のGPS通信部を、特許文献2の方法のようにWi-Fiによって通信を行う構成に変更した場合も同様である。
【0007】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、通信の確実性を高めつつ消費電力を低減することが可能な位置情報管理用通信装置、位置情報管理用通信方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る位置情報管理用通信装置は、Wi-Fiのアクセスポイントの識別情報を取得するための取得処理を行う第1の通信部と、位置情報の管理対象の加速度を検出する加速度検出部と、前記加速度に基づき、前記管理対象の状態を判定する第1の判定部と、前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、前記第1の通信部の通信機能を有効にし、前記管理対象の周辺に設けられた前記Wi-Fiのアクセスポイントとの間で前記取得処理を行った後、前記第1の通信部の通信機能を無効にする第1の通信制御部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る位置情報管理用通信方法は、第1の通信部が、Wi-Fiのアクセスポイントの識別情報を取得するための取得処理を行う過程と、加速度検出部が、位置情報の管理対象の加速度を検出する過程と、第1の判定部が、前記加速度に基づき、前記管理対象の状態を判定する過程と、第1の通信制御部が、前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、前記第1の通信部の通信機能を有効にし、前記管理対象の周辺に設けられた前記Wi-Fiのアクセスポイントとの間で前記取得処理を行った後、前記第1の通信部の通信機能を無効にする過程と、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、Wi-Fiのアクセスポイントの識別情報を取得するための取得処理を行う第1の通信手段と、位置情報の管理対象の加速度を検出する加速度検出手段と、前記加速度に基づき、前記管理対象の状態を判定する第1の判定手段と、前記状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、前記状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、前記第1の通信手段の通信機能を有効にし、前記管理対象の周辺に設けられた前記Wi-Fiのアクセスポイントとの間で前記取得処理を行った後、前記第1の通信手段の通信機能を無効にする第1の通信制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、位置情報管理用通信装置による通信の確実性を高めつつ、位置情報管理用通信装置における消費電力を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る位置情報管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る位置情報管理用通信装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るWi-Fi情報の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るWi-Fi情報の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るWi-Fi情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るWi-Fi情報の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る位置情報管理用通信装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態に係る位置情報管理用通信装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0014】
<1.位置情報管理システムの構成>
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る位置情報管理システムの構成の一例について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る位置情報管理システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように位置情報管理システム1は、位置情報管理用通信装置10、Sigfox管理サーバ20、位置情報管理サーバ30、Wi-Fi管理サーバ40、及びユーザ端末50を備える。Sigfox管理サーバ20、位置情報管理サーバ30、及びWi-Fi管理サーバ40は、管理対象の位置情報の管理に関するサーバの一例である。
【0015】
本実施形態に係る位置情報管理システム1は、管理対象の位置(所在)を把握するためのシステムである。管理対象は、例えば、物流におけるパレット、カゴ車、コンテナ、梱包箱等の物流資材や荷物等である。
以下、本実施形態では、管理対象が荷物12であるものとし、荷物12が車両14によって複数のユーザ拠点間を運送される例について説明する。
【0016】
位置情報管理用通信装置10は、荷物12の位置情報を取得するための電子機器である。位置情報管理用通信装置10は、荷物12に備え付けられる。即ち、位置情報管理用通信装置10の位置を示す位置情報は、荷物12の位置を示す位置情報でもある。なお、荷物12において、位置情報管理用通信装置10が備え付けられる位置は特に限定されない。
【0017】
位置情報管理用通信装置10は、荷物12の位置情報の取得に必要な情報を取得する。例えば、位置情報管理用通信装置10は、Wi-Fiのアクセスポイントに関する情報(以下、「Wi-Fi情報」とも称される)を、各アクセスポイントとの通信によって取得する。位置情報管理用通信装置10が通信を行うアクセスポイントは、例えば、荷物12の停止位置の周辺に設けられたアクセスポイントである。
Wi-Fi情報は、例えば、アドレス情報(識別情報の一例)と、受信レベル情報を含む。アドレス情報は、アクセスポイントのアドレスを示す情報である。具体的に、アクセスポイントのアドレスは、MACアドレス(Media Access Control address)である。以下、本実施形態ではアドレス情報がMACアドレスである例について説明する。また、受信レベル情報は、位置情報管理用通信装置10がアクセスポイントから受信する信号の強度を示す情報である。
【0018】
なお、位置情報管理用通信装置10がWi-Fi情報を取得するアクセスポイントは、位置情報管理用通信装置10が信号を受信可能であれば、建物や車両等の内部と外部のいずれに設けられていてもよい。
また、位置情報管理用通信装置10は、複数のWi-FiのアクセスポイントからWi-Fi情報を受信した場合、即ち複数のWi-Fi情報を取得した場合、取得したWi-Fi情報の中から任意のWi-Fi情報を抽出してよい。例えば、位置情報管理用通信装置10は、アクセスポイントからの信号の受信レベルに応じて、Wi-Fi情報を抽出する。一例として、位置情報管理用通信装置10は、信号の受信レベルが高いアクセスポイントから受信したWi-Fi情報を優先的に抽出する。本実施形態では、位置情報管理用通信装置10は、受信レベルが高いアクセスポイントを最大3つ抽出し、抽出したアクセスポイントから受信したWi-Fi情報を取得するものとする。
【0019】
位置情報管理用通信装置10は、取得したWi-Fi情報を荷物12の位置情報の管理に関するサーバへ送信する。荷物12の位置情報の管理に関するサーバは、例えば、荷物12の位置情報を取得するサーバや、各サーバによって取得された位置情報を管理するサーバ等である。以下、本実施形態では、位置情報管理用通信装置10は、荷物12の位置情報を取得するサーバへWi-Fi情報を送信する例について説明する。
【0020】
本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10は、通信規格としてLPWA(Low Power Wide Area)を用いて、Wi-Fi情報をサーバへ送信する。本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10は、具体的なLPWAの規格として、Sigfoxを用いるものとする。
なお、位置情報管理用通信装置10が用いる通信規格はLPWAに限定されず、例えば3G(第3世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、5G(第5世代移動通信システム)等の通信規格であってもよい。また、位置情報管理用通信装置10が用いるLPWAの規格はSigfoxに限定されず、NB-IoT、LoRa(LoRa WAN)、ELTRES、ZETA、Wi-SUN等の規格であってもよい。
【0021】
位置情報管理用通信装置10がWi-Fi情報を送信するサーバは、位置情報管理用通信装置10が用いる通信規格に応じたサーバである。本実施形態の場合、位置情報管理用通信装置10が用いる通信規格はSigfoxである。そのため、位置情報管理用通信装置10がWi-Fi情報を送信するサーバは、
図1に示すSigfox管理サーバ20である。なお、位置情報管理用通信装置10は、Sigfox基地局を介して、Sigfox管理サーバ20へWi-Fi情報を送信する。
【0022】
本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10は、Wi-Fiのアクセスポイントと通信を行うための通信機能(以下、「Wi-Fi通信機能」とも称される)と、Sigfox管理サーバ20と通信を行うための通信機能(以下、「Sigfox通信機能」とも称される)を有する。
【0023】
本実施形態においてWi-Fi通信機能は、所定の条件を満たす場合に有効となり、所定の処理が行われると無効となる。本実施形態において、通信機能の無効とは、有効の状態よりも消費電力が低い状態とすることである。通信機能の無効は、例えば、通信機能を一時的に停止させること、通信装置をスタンバイ状態にすること、通信装置への電源供給を停止すること等によって行われる。
【0024】
Wi-Fi通信機能は、例えば、位置情報管理用通信装置10の電源がオンになったタイミングで有効となる。Wi-Fi通信機能が有効になると、位置情報管理用通信装置10は、アクセスポイントのMACアドレスを取得するための取得処理を行う。位置情報管理用通信装置10が取得処理を行った後、Wi-Fi通信機能は無効となる。なお、取得処理は、MACアドレスの取得が成功したか否かに関わらず終了し得る。
【0025】
初期状態にてWi-Fi通信機能が無効になって以降、Wi-Fi通信機能は、荷物12(位置情報管理用通信装置10)の「状態」に応じて制御される。荷物12の状態は、例えば、「移動状態」と「停止状態」である。移動状態は、荷物12が移動している状態であることを示す。「停止状態」は、荷物12が停止した状態であることを示す。
【0026】
具体的に、Wi-Fi通信機能は、荷物12の状態が「停止状態」から「移動状態」に遷移した際、及び、荷物12の状態が「移動状態」から「停止状態」に遷移した際に有効となる。荷物12の状態に基づきWi-Fi通信機能が有効になると、位置情報管理用通信装置10は、初期状態の時と同様に、アクセスポイントのMACアドレスを取得するための取得処理を行う。この時、位置情報管理用通信装置10は、荷物12の周辺に設けられたWi-Fiのアクセスポイントとの間で取得処理を行う。そして、位置情報管理用通信装置10が取得処理を行った後、Wi-Fi通信機能は無効となる。なお、Wi-Fi通信機能は、通信後に荷物12の状態が「移動状態」から「停止状態」に遷移した際、及び、通信後に荷物12の状態が「停止状態」から「移動状態」に遷移した際に無効となってもよい。
【0027】
本実施形態においてSigfox通信機能は、所定の条件を満たす場合に有効となり、所定の処理が行われると無効となる。例えば、Sigfox通信機能は、荷物12の状態が「停止状態」から「移動状態」に遷移した際に有効となる。荷物12の状態に基づきSigfox通信機能が有効になると、位置情報管理用通信装置10は、Sigfox管理サーバ20へMACアドレスを送信するための送信処理を行う。そして、位置情報管理用通信装置10が送信処理を行った後、Sigfox通信機能は無効となる。
【0028】
また、Sigfox通信機能の有効又は無効は、荷物12が移動したと判定されたか否かに応じて制御される。Sigfox通信機能は、取得処理にて取得されたMACアドレスをSigfox管理サーバ20へ送信するための送信処理を行う機能である。そのため、荷物12が移動したか否かの判定は、Wi-Fi通信機能が有効から無効になった際に行われる(初期状態を除く)。当該判定にて、荷物12が移動したと判定された場合、Sigfox通信機能は有効となる。Sigfox通信機能が有効になると、位置情報管理用通信装置10は、Sigfox管理サーバ20へMACアドレスを送信するための送信処理を行う。そして、位置情報管理用通信装置10が送信処理を行った後、Sigfox通信機能は無効となる。
【0029】
荷物12が移動したと判定されたことは、即ち、荷物12の位置が変わったことを示す。そのため、荷物12の位置情報の管理に関するサーバにて荷物12の新しい位置情報を取得する必要がある。よって、本実施形態では、荷物12が移動したと判定された場合にSigfox通信機能が有効となる。
【0030】
ここで、
図1を参照して、各通信機能の制御の一例について説明する。
図1に示すように、まず、ユーザ拠点2Aにある荷物12に対して、位置情報管理用通信装置10が備え付けられる。この時、位置情報管理用通信装置10の電源がオン(初期状態)になったとする。この場合、位置情報管理用通信装置10は、Wi-Fi通信機能が有効となり、信号を受信可能な範囲に設けられたアクセスポイントAP1~AP3に対して取得処理を行う。なお、アクセスポイントAP1はユーザ拠点2Aの内部に設けられ、アクセスポイントAP2及びアクセスポイントAP3はユーザ拠点2Aの外部に設けられている。位置情報管理用通信装置10が取得処理を行った後、位置情報管理用通信装置10のWi-Fi通信機能は無効となる。初期状態以降、ユーザ拠点2Aにて荷物12の状態に変化はなく、荷物12が移動したと判定されなかったとする。この場合、初期状態以降、ユーザ拠点2Aにて位置情報管理用通信装置10のWi-Fi通信機能とSigfox通信機能は無効のままである。そのため、位置情報管理用通信装置10は、Sigfox基地局BS1を介して、Sigfox管理サーバ20に対する送信処理を行わない。
【0031】
次いで、
図1に示すように、荷物12が車両14によってユーザ拠点2Aから搬出されたとする。搬出時、位置情報管理用通信装置10の状態は「停止状態」から「移動状態」に遷移する。そのため、位置情報管理用通信装置10は、Wi-Fi通信機能が有効となり、信号を受信可能な範囲に設けられたアクセスポイントAP1~AP3に対して取得処理を行う。位置情報管理用通信装置10が取得処理を行った後、位置情報管理用通信装置10のWi-Fi通信機能は無効となる。また、位置情報管理用通信装置10の状態が「停止状態」から「移動状態」に遷移したため、位置情報管理用通信装置10は、Sigfox通信機能が有効となり、Sigfox基地局BS1を介して、Sigfox管理サーバ20に対する送信処理を行う。位置情報管理用通信装置10が送信処理を行った後、位置情報管理用通信装置10のSigfox通信機能は無効となる。
【0032】
次いで、
図1に示すように、荷物12が車両14によってユーザ拠点間を運送されているとする。なお、
図1に示す例において、信号等によって車両14が停止することは考えないものとする。そのため、位置情報管理用通信装置10の状態は「移動状態」から「停止状態」に遷移することなく、Wi-Fi通信機能は無効のままである。よって、位置情報管理用通信装置10は、信号を受信可能な範囲に設けられたアクセスポイントAP4~AP6に対して取得処理を行なわない。これより、
図1に示す例では、車両14による荷物12の運送中にWi-Fi通信機能が有効となることはなく、MACアドレスの取得処理が行われない。よって、Wi-Fi通信機能は無効のままであり、Wi-Fi通信機能が無効から有効になることがないため有効から無効になることもなく、Sigfox通信機能が有効になることはない。そのため、位置情報管理用通信装置10は、Sigfox基地局BS2を介したSigfox管理サーバ20に対する送信処理を行わない。なお、アクセスポイントAP4~AP6は、車両14の車外に設けられている。
【0033】
次いで、
図1に示すように、荷物12が車両14によってユーザ拠点2Bへ運送されたとする。運送後、位置情報管理用通信装置10の状態は「移動状態」から「停止状態」に遷移する。そのため、位置情報管理用通信装置10は、Wi-Fi通信機能が有効となり、信号を受信可能な範囲に設けられたアクセスポイントAP7~AP9に対して取得処理を行う。なお、アクセスポイントAP7はユーザ拠点2Bの内部に設けられ、アクセスポイントAP8及びアクセスポイントAP9はユーザ拠点2Bの外部に設けられている。位置情報管理用通信装置10が取得処理を行った後、位置情報管理用通信装置10のWi-Fi通信機能は無効となる。ユーザ拠点2Aからユーザ拠点2Bへ運送されたことにより、荷物12は移動したと判定される。そのため、位置情報管理用通信装置10は、Sigfox通信機能が有効となり、Sigfox基地局BS3を介して、Sigfox管理サーバ20に対する送信処理を行う。位置情報管理用通信装置10が送信処理を行った後、位置情報管理用通信装置10のSigfox通信機能は無効となる。
【0034】
Sigfox管理サーバ20は、Sigfox基地局を介して位置情報管理用通信装置10から受信する情報に基づき、位置情報管理用通信装置10の位置情報を取得する。例えば、Sigfox管理サーバ20は、基地局測位によって位置情報管理用通信装置10の位置情報を取得する。Sigfox管理サーバ20は、取得した位置情報管理用通信装置10の位置情報を、位置情報管理用通信装置10が備え付けられた荷物12(管理対象)の位置情報として取得する。
なお、Sigfox管理サーバ20が位置情報管理用通信装置10から受信する情報は、荷物12が搬出された際に取得される情報又は荷物12の停止位置にて取得される情報である。よって、Sigfox管理サーバ20は、基地局測位によって、荷物12が搬出された位置を示す位置情報、又は荷物12が停止した位置を示す位置情報を取得することができる。
【0035】
本実施形態に係るSigfox管理サーバ20は、Sigfoxを用いた通信を行う基地局から送信される情報に基づき、基地局測位を行う。なお、Sigfox管理サーバ20は、Sigfox以外のLPWAの規格を用いた通信を行う基地局から送信される情報に基づき、基地局測位を行ってもよいし、LPWA以外の通信規格を用いた通信を行う基地局から送信される情報に基づき基地局測位を行ってもよい。Sigfox管理サーバ20の名称は、用いる通信規格に応じた名称であってよい。
【0036】
以下では、基地局測位によって取得された荷物12の位置情報は、「基地局測位情報」とも称される。基地局測位によって取得される基地局測位情報には、例えば、荷物12の現在位置の緯度と経度を示す座標と信用度が含まれる。信用度は、例えば、基地局測位情報に含まれる座標を中心とする円の半径で示される。当該円は、荷物12の位置が含まれ得る範囲を示している。即ち、基地局測位による測位誤差を示しているともいえる。
【0037】
Sigfox管理サーバ20は、取得した基地局測位情報を含む情報を位置情報管理サーバ30へ送信する。なお、Sigfox管理サーバ20は、位置情報管理用通信装置10から受信したWi-Fi情報も位置情報管理サーバ30へ送信する。
【0038】
なお、Sigfox管理サーバ20と位置情報管理サーバ30との通信において、1回の通信で送信可能な情報量が制限される場合がある。そのため、Sigfox管理サーバ20は、送信可能な情報量に応じて、基地局測位情報及びWi-Fi情報の2つの情報を位置情報管理サーバ30へ送信する。
例えば、1つの信号に2つの情報を含めることができる場合、Sigfox管理サーバ20は、2つの情報を1つの信号に含めて、1回の通信で2つの情報を送信してもよい。一方、1つの信号に1つの情報しか含めることができない場合、Sigfox管理サーバ20は、2つの情報をそれぞれ異なる信号に含めて、2回の通信に分けて2つの情報を送信してもよい。1つの信号に1つの情報を全て含めることができない場合、Sigfox管理サーバ20は、送信可能な情報量に応じて1つの情報を分割し、分割数に応じた回数の通信で情報を送信してもよい。
【0039】
位置情報管理サーバ30は、荷物12の位置情報を管理する位置情報管理装置である。位置情報管理サーバ30は、Sigfox管理サーバ20から受信する基地局測位情報及びWi-Fi情報に基づき、荷物12の位置情報を管理する。
【0040】
例えば、位置情報管理サーバ30は、Wi-Fi情報に含まれるMACアドレスをWi-Fi管理サーバ40へ送信し、Wi-Fi測位を行わせる。これにより、位置情報管理サーバ30は、Wi-Fi測位により取得された荷物12の位置情報を取得することができる。以下では、Wi-Fi測位によって取得された荷物12の位置情報は、「Wi-Fi測位情報」とも称される。Wi-Fi測位によって取得されるWi-Fi測位情報には、例えば、荷物12の現在位置の緯度と経度を示す座標と信用度が含まれる。
位置情報管理サーバ30は、取得したWi-Fi測位情報と、当該Wi-Fi測位情報の取得に用いられたWi-Fi情報とともにSigfox管理サーバ20から受信した基地局測位情報とを関連付けた位置管理情報を生成する。
位置情報管理サーバ30は、生成した位置管理情報に基づき、荷物12の現在位置の推定を行う。一般的に、基地局測位とWi-Fi測位の測位精度は、Wi-Fi測位の精度の方が高くなる。即ち、基地局測位情報に含まれる測位誤差の方が、Wi-Fi測位に含まれる測位誤差よりも大きくなる。よって、本実施形態に係る位置情報管理サーバ30は、位置管理情報に含まれる情報の内、Wi-Fi測位情報を優先的に用いて荷物12の現在位置の推定を行う。そして、位置情報管理サーバ30は、推定した荷物12の現在位置を示す情報をユーザ端末50へ送信する。
【0041】
Wi-Fi管理サーバ40は、位置情報管理サーバ30から受信するMACアドレスに基づき、位置情報管理用通信装置10に対するWi-Fi測位を行う。当該Wi-Fi測位により、位置情報管理用通信装置10の位置情報が取得される。Wi-Fi管理サーバ40は、取得した位置情報管理用通信装置10の位置情報を、位置情報管理用通信装置10が備え付けられた荷物12のWi-Fi測位情報として取得する。Wi-Fi管理サーバ40は、取得したWi-Fi測位情報を位置情報管理サーバ30へ送信する。
なお、Wi-Fi管理サーバ40が位置情報管理サーバ30から受信するMACアドレスは、荷物12の搬出位置の周辺又は荷物12の停止位置の周辺に設けられたWi-Fiのアクセスポイントとの間の取得処理によって取得されるMACアドレスである。よって、Wi-Fi管理サーバ40は、Wi-Fi測位によって、荷物12が搬出された位置を示す位置情報又は荷物12が停止した位置を示す位置情報を取得することができる。
【0042】
ユーザ端末50は、ユーザが各種情報を参照するために操作する装置である。ユーザ端末50は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、PC(パーソナルコンピュータ)等の端末である。なお、ユーザ端末50は、かかる例に限定されない。
【0043】
<2.位置情報管理用通信装置の機能構成>
以上、本実施形態に係る位置情報管理システム1の構成の一例について説明した。続いて、
図2を参照して、本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10の機能構成の一例について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る位置情報管理用通信装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、位置情報管理用通信装置10は、Wi-Fi通信部100(第1の通信部の一例)、Sigfox通信部110(第2の通信部の一例)、加速度検出部120、制御部130、及び記憶部140を備える。
【0044】
(1)Wi-Fi通信部100
Wi-Fi通信部100は、Wi-Fi通信機能を有する。Wi-Fi通信部100は、Wi-FiのアクセスポイントのWi-Fi情報を取得するための取得処理を行う。本実施形態において取得されるWi-Fi情報には、アクセスポイントのMACアドレスと、アクセスポイントからの信号の受信レベルが含まれる。
Wi-Fi通信機能が有効である場合、Wi-Fi通信部100では、通信機能に関する処理の実行によって電力が消費される。一方、Wi-Fi通信機能が無効である場合、Wi-Fi通信部100における消費電力は、有効の場合よりも低くなる。Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能は、後述するWi-Fi通信制御部133の制御によって、アクセスポイントとの通信が不要な場合に無効とされる。よって、本実施形態では、アクセスポイントとの通信が不要な場合にWi-Fi通信機能を無効とすることで、Wi-Fi通信部100における消費電力を低減することができる。
【0045】
なお、複数のアクセスポイントからそれぞれWi-Fi情報を受信した場合、Wi-Fi通信部100は、受信レベルが高いアクセスポイントを最大3つ抽出し、抽出したアクセスポイントから受信したWi-Fi情報を取得するものとする。
【0046】
(2)Sigfox通信部110
Sigfox通信部110は、Sigfox通信機能を有する。Sigfox通信部110は、Sigfox管理サーバ20へWi-Fi情報を送信するための送信処理を行う。
Sigfox通信機能が有効である場合、Sigfox通信部110では、通信機能に関する処理の実行によって電力が消費される。一方、Sigfox通信機能が無効である場合、Sigfox通信部110における消費電力は、有効の場合よりも低くなる。Sigfox通信部110のSigfox通信機能は、後述するSigfox通信制御部134の制御によって、Sigfox管理サーバ20との通信が不要な場合に無効とされる。よって、本実施形態では、Sigfox管理サーバ20との通信が不要な場合にSigfox通信機能を無効とすることで、Sigfox通信部110における消費電力を低減することができる。
【0047】
(3)加速度検出部120
加速度検出部120は、荷物12の加速度を検出する。加速度検出部120は、例えば、位置情報管理用通信装置10がハードウェアとして備える加速度センサ(3軸)によって実現される。位置情報管理用通信装置10が加速度センサを備えるため、当該加速度センサが検出する加速度は、位置情報管理用通信装置10の加速度である。本実施形態では、位置情報管理用通信装置10は荷物12に備え付けられる。そのため、位置情報管理用通信装置10が備える加速度センサが検出する加速度は、荷物12の加速度とみなせる。よって、本実施形態に係る加速度検出部120は、荷物12の加速度を検出可能である。
【0048】
(4)制御部130
制御部130は、位置情報管理用通信装置10の動作全体を制御する。制御部130は、例えば、位置情報管理用通信装置10がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
図2に示すように制御部130は、状態判定部131(第1の判定部の一例)、移動判定部132(第2の判定部の一例)、Wi-Fi通信制御部133(第1の通信制御部の一例)、Sigfox通信制御部134(第2の通信制御部の一例)、及び無通信制御部135を備える。
【0049】
(4-1)状態判定部131
状態判定部131は、荷物12の状態を判定する機能を有する。本実施形態では、荷物12の状態は「移動状態」または「停止状態」である。例えば、状態判定部131は、加速度検出部120によって検出される荷物12の加速度に基づき、荷物12の状態を判定する。
【0050】
状態判定部131は、例えば、所定の時間(第1の時間)内に加速度が所定の閾値(第1の閾値)以上であった回数をカウントする。カウントした回数が所定の閾値(第2の閾値)以上である場合、状態判定部131は、荷物12の状態が移動状態であると判定する。一方、カウントした回数が所定の閾値(第2の閾値)未満である場合、状態判定部131は、荷物12の状態が停止状態であると判定する。
【0051】
状態判定部131は、このようにカウントした回数に基づき荷物12の状態を判定する方法を、例えば荷物12の状態が停止状態である際に用いる。荷物12の状態が停止状態である際に、カウントした回数が所定の閾値(第2の閾値)以上である場合、状態判定部131は、荷物12の状態が「停止状態」から「移動状態」に遷移したと判定する。一方、カウントした回数が所定の閾値(第2の閾値)未満である場合、状態判定部131は、荷物12の状態が「停止状態」のままであると判定する。
【0052】
なお、所定の時間(第1の時間)、所定の閾値(第1の閾値)、及び所定の閾値(第2の閾値)には、任意の値が設定されてよい。所定の時間(第1の時間)、所定の閾値(第1の閾値)及び所定の閾値(第2の閾値)を設定することで、例えば、荷物12の周囲で生じた振動が荷物12に伝わることで生じる加速度や、荷物12に対して単発の衝撃が加わったことによって生じる加速度等を除外することができる。即ち、荷物12の移動に関係なく生じた加速度を荷物12の状態の判定対象から除外することができる。これにより、状態判定部131における荷物12の移動判定の精度を高めることができる。
【0053】
また、所定の閾値(第1の閾値)及び所定の閾値(第2の閾値)には、荷物12が管理される建物の広さに応じた任意の値が設定されてもよい。例えば、荷物12は、広い倉庫の屋内で管理されており、位置情報管理用通信装置10からSigfox基地局への通信が届かない位置に配置されているとする。この場合、荷物12を倉庫から搬出する際に、所定の閾値(第1の閾値)及び所定の閾値(第2の閾値)に基づき位置情報管理用通信装置10の状態が「停止状態」から「移動状態」に遷移したと判定されると、位置情報管理用通信装置10のSigfox通信機能が有効となり、Sigfox基地局への送信処理が行われる。しかしながら、当該送信処理がSigfox基地局への通信が届かない位置にて行われてしまうと、Sigfox基地局は位置情報管理用通信装置10からWi-Fi情報を受信することができず、その後の荷物12の位置を把握できなくなってしまう。このため、位置情報管理用通信装置10からSigfox基地局への通信が届く位置まで荷物12が移動してから、Sigfox通信機能が有効となり送信処理が行われる必要がある。
【0054】
そこで、荷物12が管理される建物の広さに応じた所定の閾値(第1の閾値)及び所定の閾値(第2の閾値)を設定することで、位置情報管理用通信装置10が送信処理を行う位置を調整することができる。例えば、狭い建物である場合には各閾値を小さめに設定し、広い建物である場合には各閾値を大きめに設定すればよい。
なお、荷物が建物へ搬入された際には、位置情報管理用通信装置10の状態が「移動状態」から「停止状態」に遷移して荷物12が移動したと判定されると、位置情報管理用通信装置10のSigfox通信機能が有効となり、Sigfox基地局への送信処理が行われる。この場合も同様に、当該送信処理がSigfox基地局への通信が届かない位置にて行われてしまうと、Sigfox基地局は位置情報管理用通信装置10からWi-Fi情報を受信することができず、その後の荷物12の位置を把握できなくなってしまう。しかしながら、上述したように建物の広さに応じた所定の閾値(第1の閾値)及び所定の閾値(第2の閾値)が設定されていると、当該荷物12が次に搬出される際に位置情報管理用通信装置10からSigfox基地局への通信が届く位置にて送信処理が行われる。このため、少なくとも荷物12がどこから搬出されたかを把握することはできるようになる。
【0055】
また、状態判定部131は、例えば、所定の閾値(第3の閾値)以下である加速度が加速度検出部120によって検出された場合に、当該加速度が所定の閾値(第3の閾値)以下のまま経過した時間を確認する。経過した時間が所定の時間(第2の時間)以上である場合、状態判定部131は、荷物12の状態が停止状態であると判定する。一方、経過した時間が所定の時間(第2の時間)以上でない場合、状態判定部131は、荷物12の状態が移動状態であると判定する。
【0056】
状態判定部131は、このように経過した時間に基づき荷物12の状態を判定する方法を、例えば荷物12の状態が「移動状態」である際に用いる。荷物12の状態が移動状態である際に、加速度が所定の閾値(第3の閾値)以下のまま所定の時間(第2の時間)以上経過した場合、状態判定部131は、荷物12の状態が「移動状態」から「停止状態」に遷移したと判定する。一方、加速度が所定の閾値(第3の閾値)以下のまま所定の時間(第2の時間)以上経過していない場合、状態判定部131は、荷物12の状態が「移動状態」のままであると判定する。
【0057】
なお、所定の時間(第2の時間)及び所定の閾値(第3の閾値)には、任意の値が設定されてよい。所定の時間(第2の時間)及び所定の閾値(第3の閾値)を設定することで、例えば、車両14が信号待ちによって停止した際に荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移した場合や、車両14の運転手が休憩のために車両14を停止した際に荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移した場合を、状態判定部131の判定対象から除外することができる。これにより、目的とする荷物12の移動先以外にて、Wi-Fi情報が取得され、荷物12の位置情報も取得される頻度を低減することができる。これにより、荷物12の位置情報の取得精度を高めることができる。
【0058】
(4-2)移動判定部132
移動判定部132は、荷物12の移動判定を行う機能を有する。荷物12の移動判定は、荷物12が移動したか否かを判定する処理である。本実施形態において、移動判定は、荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移した際に、移動判定部132によって行われる。荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移したことは、荷物12の位置が移動した可能性があることを示す。荷物12の位置が移動している場合には、荷物12の位置情報を更新する必要がある。そのため、荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移した際に移動判定部132によって移動判定が行われ、荷物12が移動したと判定された場合には、荷物12の位置情報を更新するための処理が後続で行われる。
【0059】
移動判定部132は、例えば、Wi-FiのアクセスポイントのMACアドレスに基づき、荷物12が移動したか否かを判定する。具体的に、移動判定部132は、荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移した際に取得されるMACアドレス(第1の識別情報)と、当該MACアドレス(第1の識別情報)よりも前に取得されたMACアドレス(第2の識別情報)とを比較する。即ち、移動判定部132は、停止位置にて今回取得されたMACアドレス(以下、「今回MACアドレス」とも称される)と、前回取得されて記憶部140に記憶されたMACアドレス(以下、「前回MACアドレス」とも称される)とを比較する。今回MACアドレスと前回MACアドレスに同一のMACアドレスが存在しない場合、移動判定部132は、荷物12が移動したと判定する。一方、今回MACアドレスと前回MACアドレスに同一のMACアドレスが少なくとも1つ存在する場合、移動判定部132は、荷物12が移動していないと判定する。
なお、記憶部140に記憶されている前回MACアドレスは、初期状態にて取得されたMACアドレスであってもよいし、荷物12の状態が停止状態から移動状態に遷移した際に取得されたMACアドレスであってもよいし、荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移した際に停止位置にて取得されたMACアドレスであってもよい。
【0060】
移動判定後、記憶部140に記憶されているWi-Fi情報は、荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移した際に取得されたWi-Fi情報で更新される。
【0061】
ここで、
図3から
図6を参照して、移動判定部132による移動判定について説明する。
図3から
図6は、本発明の実施形態に係るWi-Fi情報の一例を示す図である。なお、
図3から
図6に示すWi-Fi情報は、記憶部140に記憶されるWi-Fi情報の一例でもある。
【0062】
図3は、位置情報管理用通信装置10が初期状態になった位置にて取得されたWi-Fi情報の一例を示している。
図3に示すように、MACアドレスが「OA」で受信レベルが「-50dBm」であるWi-Fi情報と、MACアドレスが「OB」で受信レベルが「-70dBm」であるWi-Fi情報と、MACアドレスが「OC」で受信レベルが「-90dBm」であるWi-Fi情報が取得されたとする。
初期状態では、状態判定部131によって荷物12の状態が停止状態のままと判定される。そのため、移動判定部132は移動判定を行わない。なお、初期状態の位置にて取得されたWi-Fi情報は、記憶部140に記憶される。
【0063】
図4は、初期状態の位置から、荷物12が少し移動して停止した位置にて取得されたWi-Fi情報の一例を示している。
図4に示すように、MACアドレスが「OC」で受信レベルが「-55dBm」であるWi-Fi情報と、MACアドレスが「OA」で受信レベルが「-70dBm」であるWi-Fi情報と、MACアドレスが「OD」で受信レベルが「-75dBm」であるWi-Fi情報が取得されたとする。
図4に示すWi-Fi情報が取得された位置では、状態判定部131によって荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定される。よって、移動判定部132は、移動判定を行う。具体的に、移動判定部132は、
図4に示すWi-Fi情報のMACアドレスを今回MACアドレスとし、
図3に示すWi-Fi情報のMACアドレスを前回MACアドレスとして用いて移動判定を行う。
図4に示す今回MACアドレスと
図3に示す前回MACアドレスとを比較すると、MACアドレス「OA」と「OC」が同一であることが分かる。よって、移動判定部132は、荷物12が移動していないと判定する。
移動判定後、記憶部140に記憶されているWi-Fi情報は、
図4に示すWi-Fi情報で更新される。
【0064】
図5は、
図4に示すWi-Fi情報が取得された位置から、荷物12がさらに移動して停止した位置にて取得されたWi-Fi情報の一例を示している。
図5に示すように、MACアドレスが「OF」で受信レベルが「-60dBm」であるWi-Fi情報と、MACアドレスが「OH」で受信レベルが「-65dBm」であるWi-Fi情報と、MACアドレスが「OK」で受信レベルが「-66dBm」であるWi-Fi情報が取得されたとする。
図5に示すWi-Fi情報が取得された位置では、状態判定部131によって荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定される。よって、移動判定部132は、移動判定を行う。具体的に、移動判定部132は、
図5に示すWi-Fi情報のMACアドレスを今回MACアドレスとし、
図4に示すWi-Fi情報のMACアドレスを前回MACアドレスとして用いて移動判定を行う。
図5に示す今回MACアドレスと
図4に示す前回MACアドレスとを比較すると、同一のMACアドレスが存在しないことが分かる。よって、移動判定部132は、荷物12が移動したと判定する。
移動判定後、記憶部140に記憶されているWi-Fi情報は、
図5に示すWi-Fi情報で更新される。
【0065】
図6は、
図5に示すWi-Fi情報が取得された位置から、荷物12がさらに移動して停止した位置にて取得されたWi-Fi情報の一例を示している。
図6に示すように、MACアドレスが「OD」で受信レベルが「-50dBm」であるWi-Fi情報と、MACアドレスが「OE」で受信レベルが「-70dBm」であるWi-Fi情報と、MACアドレスが「OA」で受信レベルが「-75dBm」であるWi-Fi情報が取得されたとする。
図6に示すWi-Fi情報が取得された位置では、状態判定部131によって荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定される。よって、移動判定部132は、移動判定を行う。具体的に、移動判定部132は、
図6に示すWi-Fi情報のMACアドレスを今回MACアドレスとし、
図5に示すWi-Fi情報のMACアドレスを前回MACアドレスとして用いて移動判定を行う。
図6に示す今回MACアドレスと
図5に示す前回MACアドレスとを比較すると、同一のMACアドレスが存在しないことが分かる。よって、移動判定部132は、荷物12が移動したと判定する。
移動判定後、記憶部140に記憶されているWi-Fi情報は、
図6に示すWi-Fi情報で更新される。
【0066】
なお、
図6に示すWi-Fi情報のMACアドレスと、
図3及び
図4に示すWi-Fi情報のMACアドレスとを比較すると、全てのWi-Fi情報にMACアドレス「OA」が含まれていることが分かる。即ち、
図3から
図6に示す例において、荷物12は、初期状態の
図3の位置から、
図5の位置へ移動した後、
図3と
図4の位置に近い
図6の位置へ戻ってきたことが分かる。
【0067】
なお、
図3から
図6を参照して説明した例において、荷物12は
図3の位置から
図4の位置へ移動しているが、移動判定部132によって移動していないと判定されている。これは、本実施形態が、荷物12がどの拠点に存在しているかを管理することを目的の1つとしているためである。例えば、荷物12が
図1に示すユーザ拠点2A内で移動された場合、荷物12が存在する拠点に変化がないため、位置情報管理サーバ30にて荷物12の位置情報を更新する必要がない。この時、移動判定部132が、荷物12が移動したと判定すると、後続の処理にて荷物12の位置情報を更新するための処理が無駄に行われてしまうことになる。
よって、移動判定部132は、当該荷物12の位置情報を更新するための処理が無駄に行われないようにするため、
図3から
図6を参照して説明した例のように、荷物12の位置が移動したとしても、荷物12が移動していないと判定する場合がある。
【0068】
(4-3)Wi-Fi通信制御部133
Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100における通信を制御する機能を有する。例えば、Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を有効又は無効にするかを制御する。具体的に、Wi-Fi通信制御部133は、状態判定部131によって判定される荷物12の状態に応じて、Wi-Fi通信機能の有効又は無効を切り替える。
【0069】
より具体的に、Wi-Fi通信制御部133は、状態判定部131によって荷物12の状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を有効にする。Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信機能が有効になった際にWi-Fi通信部100が荷物12の周辺に設けられたWi-Fiのアクセスポイントとの間で取得処理を行った後、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を無効にする。
なお、Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能が有効である際に、通信後に状態判定部131によって荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、又は停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を無効にしてもよい。
【0070】
(4-4)Sigfox通信制御部134
Sigfox通信制御部134は、Sigfox通信部110における通信を制御する機能を有する。例えば、Sigfox通信制御部134は、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を有効又は無効にするかを制御する。具体的に、Sigfox通信制御部134は、移動判定部132による荷物12の移動判定の結果に応じて、Sigfox通信機能の有効又は無効を切り替える。
【0071】
より具体的に、Sigfox通信制御部134は、状態判定部131によって荷物12の状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を有効にする。また、Sigfox通信制御部134は、移動判定部132によって荷物12が移動したと判定された場合、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を有効にする。Sigfox通信制御部134は、Sigfox通信機能が有効になった際にSigfox通信部110がSigfox管理サーバ20との間で送信処理を行った後、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を無効にする。
【0072】
なお、Sigfox通信制御部134は、移動判定部132によって荷物12が移動していないと判定された場合、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を無効のままとする。
【0073】
(4-5)無通信制御部135
無通信制御部135は、位置情報管理用通信装置10(自装置)全体の通信を無効にする機能を有する。例えば、無通信制御部135は、状態判定部131によって荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定されてから必要な通信が行われた後に、設定時間が経過するまで自装置全体の通信を無効にする。
必要な通信は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能による通信とSigfox通信部110のSigfox通信機能による通信である。なお、Sigfox通信部110のSigfox通信機能による通信は、移動判定部132によって荷物12が移動していないと判定された場合には行われていなくてもよい。
設定時間には、任意の時間が設定されてよい。例えば、停止状態の検出後すぐに加速度の検出があった場合などを考慮した時間が設定される。これにより、車両14からの積み下ろしなどの振動による加速度の検出に基づき不要な通信が行われる回数を低減し、低消費電力化が可能となる。
【0074】
(5)記憶部140
記憶部140は、各種情報を記憶する機能を有する。例えば、記憶部140は、Wi-Fi通信部100によって取得されるWi-Fi情報を記憶する。
記憶部140は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0075】
<3.処理の流れ>
以上、本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10の機能構成の一例について説明した。続いて、
図7及び
図8を参照して、本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10における処理の流れの一例について説明する。
図7及び
図8は、本発明の実施形態に係る位置情報管理用通信装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図7及び
図8は、
図7に示す結合子Aから
図8に示す結合子Aへ処理が進み、
図8に示す結合子Bから
図7に示す結合子Bへ処理が進む関係にある。
【0076】
図7に示すように、まず、位置情報管理用通信装置10は、ユーザ操作等に応じて位置情報管理用通信装置10の電源をオンにする(ステップS1)。位置情報管理用通信装置10の電源がオンになったため、Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を有効にする(ステップS2)。
Wi-Fi通信機能が有効になったWi-Fi通信部100は、周辺の通信可能な範囲にあるWi-Fiのアクセスポイントと通信を行い、アクセスポイントのWi-Fi情報を取得する(ステップS3)。Wi-Fi通信部100は、取得したWi-Fi情報を記憶部140へ出力する。
記憶部140は、Wi-Fi通信部100から入力されるWi-Fi情報を記憶し、登録する(ステップS4)。
Wi-Fi情報の登録後、Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を無効にする(ステップS5)。
【0077】
Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能の無効後、状態判定部131は、加速度検出部120によって検出される加速度が、第1の時間内に第1の閾値以上であった回数をカウントする(ステップS6)。
第1の時間内にカウントした回数が第2の閾値未満であった場合(ステップS7/NO)、状態判定部131は、状態が停止状態のままであると判定し(ステップS8)、ステップS6から処理を繰り返す。
一方、第1の時間内にカウントした回数が第2の閾値以上であった場合(ステップS7/YES)、状態判定部131は、荷物12の状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定(ステップS9)し、処理をステップS10へ進める。
【0078】
荷物12の状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定されたため、Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を有効にする(ステップS10)。
Wi-Fi通信機能が有効になったWi-Fi通信部100は、周辺の通信可能な範囲にあるWi-Fiのアクセスポイントと通信を行い、アクセスポイントのWi-Fi情報を取得する(ステップS11)。
Wi-Fi情報の取得後、Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を無効にする(ステップS12)。
【0079】
次いで、Sigfox通信制御部134は、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を有効にする(ステップS13)。
Sigfox通信機能が有効になったSigfox通信部110は、Wi-Fi通信部100によって取得されたMACアドレスを、Sigfox管理サーバ20へ送信する(ステップS14)。
Wi-Fi情報の送信後、Sigfox通信制御部134は、Sigfox通信部110のSigfox通信機能をオフにする(ステップS15)。
次いで、記憶部140は、既に登録されているWi-Fi情報を、ステップS11にてWi-Fi通信部100によって取得されたWi-Fi情報で更新する(ステップS16)。
【0080】
状態判定部131は、荷物12の状態が移動状態である際に、加速度検出部120によって検出される加速度の中から第3の閾値以下である加速度を検出する(ステップS17)。
検出した加速度が第3の閾値以下のまま第2の時間以上経過しなかった場合(ステップS18/NO)、状態判定部131は、荷物12の状態が移動状態のままであると判定し(ステップS19)、ステップS17から処理を繰り返す。
一方、検出した加速度が第3の閾値以下のまま第2の時間以上経過した場合(ステップS18/YES)、状態判定部131は、荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定し(ステップS20)、処理をステップS21へ進める。
【0081】
荷物12の状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定されたため、Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を有効にする(ステップS21)。
Wi-Fi通信機能が有効になったWi-Fi通信部100は、周辺の通信可能な範囲にあるWi-Fiのアクセスポイントと通信を行い、アクセスポイントのWi-Fi情報を取得する(ステップS22)。
Wi-Fi情報の取得後、Wi-Fi通信制御部133は、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を無効にする(ステップS23)。
【0082】
Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能の無効後、移動判定部132は、ステップS13にてWi-Fi通信部100によって取得されたWi-Fi情報に含まれるMACアドレスと、ステップS16にて記憶部140に登録されたWi-Fi情報に含まれるMACアドレスを比較する(ステップS24)。
各Wi-Fi情報に同一のMACアドレスがある場合(ステップS25/YES)、移動判定部132は、荷物12が移動していないと判定し(ステップS26)、処理をステップS31へ進める。
一方、各Wi-Fi情報に同一のMACアドレスがない場合(ステップS25/NO)、移動判定部132は、荷物12が移動したと判定し(ステップS27)、処理をステップS28へ進める。
【0083】
荷物12が移動したと判定されたため、Sigfox通信制御部134は、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を有効にする(ステップS28)。
Sigfox通信機能が有効になったSigfox通信部110は、Wi-Fi通信部100によって取得されたMACアドレスを、Sigfox管理サーバ20へ送信する(ステップS29)。
Wi-Fi情報の送信後、Sigfox通信制御部134は、Sigfox通信部110のSigfox通信機能をオフにし(ステップS30)、処理をステップS31へ進める。
【0084】
ステップS26又はステップS30の後、記憶部140は、既に登録されているWi-Fi情報を、Wi-Fi通信部100によって取得されたWi-Fi情報で更新する(ステップS31)。
更新後、無通信制御部135は、設定時間が経過するまで位置情報管理用通信装置10全体の通信を無効にする(ステップS32)。設定時間経過後、位置情報管理用通信装置10は、ステップS6から処理を繰り返す。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10は、Wi-Fi通信部100、加速度検出部120、状態判定部131、及びWi-Fi通信制御部133を備える。
Wi-Fi通信部100は、Wi-FiのアクセスポイントのMACアドレスを取得するための取得処理を行う。加速度検出部120は、位置情報の管理対象の加速度を検出する。状態判定部131は、加速度に基づき、管理対象の状態を判定する。Wi-Fi通信制御部133は、状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、及び、状態が移動状態から停止状態に遷移したと判定された場合、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を有効にし、管理対象の周辺に設けられたWi-Fiのアクセスポイントとの間で取得処理を行った後、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能を無効にする。
【0086】
かかる構成により、本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10では、管理対象が移動を開始した場合にWi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能が有効になり、管理対象が移動している場合にはWi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能が無効となり、管理対象が停止した場合にWi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能が有効になる。即ち、位置情報管理用通信装置10は、管理対象が移動開始時と移動終了時に通信を行う。これにより、従来のように管理対象が移動している際に通信を行う場合と比較し、位置情報管理用通信装置10における通信の確実性はより高まる。
また、位置情報管理用通信装置10では、取得処理が行われた後、Wi-Fi通信部100のWi-Fi通信機能が無効になる。即ち、位置情報管理用通信装置10のWi-Fi通信部100は、管理対象が移動開始時と移動終了時に必要な処理だけを行い、不要な処理は行わない。これにより、位置情報管理用通信装置10のWi-Fi通信部100における消費電力は低減する。よって、従来のように管理対象が移動している際は通信部が常に通電状態となる場合と比較し、位置情報管理用通信装置10における消費電力はより低減する。
【0087】
また、本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10は、Sigfox通信部110、移動判定部132、及びSigfox通信制御部134をさらに備える。
Sigfox通信部110は、管理対象の位置情報の管理に関するサーバへWi-Fi情報を送信するための送信処理を行う。移動判定部132は、Wi-Fi情報に基づき、管理対象が移動したか否かを判定する。Sigfox通信制御部134は、管理対象が移動したと判定された場合、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を有効にし、サーバとの間で送信処理を行った後、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を無効にする。また、状態判定部131は、加速度に基づき管理対象の状態が停止状態から移動状態に遷移したか否かを判定する。Sigfox通信制御部134は、状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を有効にし、サーバとの間で送信処理を行った後、Sigfox通信部110のSigfox通信機能を無効にする。
【0088】
かかる構成により、本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10では、管理対象の状態が移動状態から停止状態に遷移した際に管理対象が移動したと判定された場合、及び、管理対象の状態が停止状態から移動状態に遷移したと判定された場合には、Sigfox通信部110のSigfox通信機能が有効となり、それ以外の場合にはSigfox通信部110のSigfox通信機能が無効のままとなる。即ち、位置情報管理用通信装置10は、管理対象が移動を開始する際と管理対象が停止し管理対象が移動したと判定された際に、サーバと通信を行う。これにより、従来のように管理対象が移動している際に通信を行う場合と比較し、位置情報管理用通信装置10における通信の確実性はより高まる。
また、位置情報管理用通信装置10では、送信処理が行われた後、Sigfox通信部110のSigfox通信機能が無効になる。即ち、位置情報管理用通信装置10のSigfox通信部110は、管理対象が移動開始する際と停止した際に必要な処理だけを行い、不要な処理は行わない。これにより、位置情報管理用通信装置10のSigfox通信部110における消費電力は低減する。よって、従来のように管理対象が移動している際は通信部が常に通電状態となる場合と比較し、位置情報管理用通信装置10における消費電力はより低減する。
【0089】
よって、本実施形態に係る位置情報管理用通信装置10は、通信の確実性を高めつつ消費電力を低減することを可能とする。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、上述した実施形態における位置情報管理用通信装置10が備える各部の機能の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0091】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 位置情報管理システム
2A、2B ユーザ拠点
10 位置情報管理用通信装置
12 荷物
14 車両
20 Sigfox管理サーバ
30 位置情報管理サーバ
40 Wi-Fi管理サーバ
50 ユーザ端末
100 Wi-Fi通信部
110 Sigfox通信部
120 加速度検出部
130 制御部
131 状態判定部
132 移動判定部
133 Wi-Fi通信制御部
134 Sigfox通信制御部
135 無通信制御部
140 記憶部
AP1~6 アクセスポイント
BS1~3 Sigfox基地局