(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108446
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】シート処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/34 20060101AFI20240805BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240805BHJP
B65H 31/32 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65H31/34
B65H37/04 D
B65H31/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012821
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 真由希
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】青木 翔
(72)【発明者】
【氏名】久保 守
(72)【発明者】
【氏名】三井 雄介
【テーマコード(参考)】
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BB01
3F054BE03
3F054BH02
3F054BH05
3F054BH07
3F054BH08
3F054BJ04
3F054DA01
3F054DA06
3F054DA14
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA32
(57)【要約】
【課題】同幅混載ジョブにおいて生産性の向上を図る。
【解決手段】同幅混載ジョブにおいて、処理トレイにシートがなく、且つ、次のシートがスモールサイズのシートである場合には(S201のNo)、スモールサイズのシートに対してスイッチバックレスシフト排出処理(SBレスシフト処理)を実行する。一方、処理トレイにシートがあり、且つ、次のシートがスモールサイズのシートである場合には(S201のYes)、スモールサイズのシートに対してスイッチバックシフト動作を行って、処理トレイにあるシートと共にスイッチバックシフト動作を行ったスモールサイズのシートを積載トレイに排出するスイッチバックシフト排出処理(SBシフト処理)を実行する。
【選択図】
図86
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを一時的に載置する載置部と、
前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートの前記第1搬送方向に沿う一方の端縁に当接した状態で前記第1搬送方向と交差するシフト方向に移動することで、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記シフト方向に移動させる第1シフト部と、
前記第1シフト部を前記シフト方向に移動させるために前記第1シフト部を駆動する第1駆動部と、
前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されて前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられ、前記第1シフト部によって前記シフト方向に移動されて綴じ位置に位置決めされた複数枚のシートに対して綴じ処理を施す処理部と、
前記載置部よりも前記第1搬送方向の下流側に配置され、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを積載する積載部と、
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記積載部に排出する排出部と、
を備え、
前記第1搬送部によってシートを前記第1搬送方向に搬送した後、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記載置部上で前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送して該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当て、前記第1駆動部により前記第1シフト部を駆動することで前記第1シフト部によって、前記突き当て部に突き当てられたシートを前記シフト方向に移動して前記綴じ位置に位置決めすることを繰り返すことにより、前記綴じ位置に位置決めされた複数枚のシートに対して前記処理部によって前記綴じ処理を施し、前記綴じ処理された複数枚のシートを前記排出部によって前記積載部に排出する綴じ排出処理と、
前記第1搬送部によってシートを前記第1搬送方向に搬送した後、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記載置部上で前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送して該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当て、前記第1駆動部により前記第1シフト部を駆動することで前記第1シフト部によって、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートを前記シフト方向に移動させるスイッチバックシフト動作を行って、前記処理部による前記綴じ処理を施すことなく、前記第1シフト部により前記シフト方向に移動されたシートを前記排出部によって前記積載部に排出するスイッチバックシフト排出処理と、
前記第1搬送部によってシートを前記第1搬送方向に搬送した後、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記第2搬送部により前記第2搬送方向へ搬送をすることなく、前記第1駆動部により前記第1シフト部を駆動することで前記第1シフト部によって、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記シフト方向に移動させるスイッチバックレスシフト動作を行って、前記第1シフト部により前記シフト方向に移動されたシートを前記排出部によって前記積載部に排出するスイッチバックレスシフト排出処理と、を実行可能であり、
第1シートを前記処理部による前記綴じ処理を施すことなく前記シフト方向に移動させて前記積載部に排出する場合には、前記スイッチバックシフト排出処理が実行可能であり、
前記第1シート及び前記第1シートと前記第1搬送方向に交差するシートの幅方向の長さが同じで、且つ、前記第1シートよりも前記第1搬送方向の長さが短い第2シートを含む複数枚のシートを、前記処理部による前記綴じ処理を施すことなく前記シフト方向に移動させて前記積載部に積載するジョブにおいて、前記載置部にシートがなく、且つ、次のシートが前記第2シートである場合には、該第2シートに対して前記スイッチバックレスシフト排出処理を実行し、前記載置部にシートがあり、且つ、次のシートが前記第2シートである場合には、該第2シートに対して前記スイッチバックシフト動作を行って、前記載置部にあるシートと共に前記スイッチバックシフト動作を行った前記第2シートを前記積載部に排出する前記スイッチバックシフト排出処理を実行するシート処理装置。
【請求項2】
前記ジョブにおいて、前記スイッチバックシフト排出処理を実行する場合には、シートが前記第1シートであるか前記第2シートであるかに関わらず、第1枚数のシートに対して前記スイッチバックシフト動作を行って、前記第1シフト部により前記シフト方向に移動された前記第1枚数のシートの束を前記排出部によって前記積載部に排出する請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記ジョブにおいて、前記スイッチバックシフト排出処理を実行する場合で、且つ、前記ジョブにおける成果物の1束の残りの枚数が前記第1枚数に第2枚数を加えた枚数である場合には、シートが前記第1シートであるか前記第2シートであるかに関わらず、前記第1枚数に前記第2枚数を加えた枚数の前記シートに対して前記スイッチバックシフト動作を行って、前記第1シフト部により前記シフト方向に移動された前記第1枚数に前記第2枚数を加えた枚数のシートの束を前記排出部によって前記積載部に排出する請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートの前記第1搬送方向に沿う他方の端縁に当接した状態で前記シフト方向に移動可能な第2シフト部と、
前記第2シフト部を前記シフト方向に移動させるために前記第2シフト部を駆動する第2駆動部と、をさらに備え、
前記スイッチバックレスシフト排出処理において、前記第1シフト部及び前記第2シフト部は、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記シフト方向の両側から挟んだ状態で前記シフト方向に移動する請求項1ないし3の何れか1項に記載のシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに対してステープルなどの所定の処理を施すシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート処理装置では、搬送パスから搬送方向に搬送されたシートを処理トレイに載置し、処理トレイ上のシートを搬送方向とは逆方向に搬送し、シート後端(逆搬送方向の下流側端縁)を後端規制部材に突き当て、後端規制部材に突き当てられたシートに対してステープラを用いて綴じ処理を行う。このようなシート処理装置として、綴じ処理を行わないシートを搬送方向と交差するシフト方向に移動させてから積載トレイに排出するシフト排出処理を行う場合がある(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の構成でシフト排出処理を行う場合、搬送パスから搬送されたシートを一度、処理トレイ上で逆方向に搬送してシート後端を後端規制部材に突き当て、後端規制部材に突き当てられたシートを整合手段によりシフト方向に移動させてから排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ラージサイズのシートと、このラージサイズのシートと幅方向の長さが同じで、ラージサイズのシートよりも搬送方向の長さが短いスモールサイズのシートを含む複数枚のシートを、綴じ処理を施すことなくシフト方向に移動させて積載トレイに排出する同幅混載ジョブを実行する場合がある。そして、この同幅混載ジョブにおいて生産性の向上を図ることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート処理装置は、シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを一時的に載置する載置部と、前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートの前記第1搬送方向に沿う一方の端縁に当接した状態で前記第1搬送方向と交差するシフト方向に移動することで、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記シフト方向に移動させる第1シフト部と、前記第1シフト部を前記シフト方向に移動させるために前記第1シフト部を駆動する第1駆動部と、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されて前記第2搬送方向の下流端縁が前記突き当て部に突き当てられ、前記第1シフト部によって前記シフト方向に移動されて綴じ位置に位置決めされた複数枚のシートに対して綴じ処理を施す処理部と、前記載置部よりも前記第1搬送方向の下流側に配置され、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを積載する積載部と、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記積載部に排出する排出部と、を備え、前記第1搬送部によってシートを前記第1搬送方向に搬送した後、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記載置部上で前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送して該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当て、前記第1駆動部により前記第1シフト部を駆動することで前記第1シフト部によって、前記突き当て部に突き当てられたシートを前記シフト方向に移動して前記綴じ位置に位置決めすることを繰り返すことにより、前記綴じ位置に位置決めされた複数枚のシートに対して前記処理部によって前記綴じ処理を施し、前記綴じ処理された複数枚のシートを前記排出部によって前記積載部に排出する綴じ排出処理と、前記第1搬送部によってシートを前記第1搬送方向に搬送した後、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記載置部上で前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送して該シートの前記第2搬送方向の下流端縁を前記突き当て部に突き当て、前記第1駆動部により前記第1シフト部を駆動することで前記第1シフト部によって、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートを前記シフト方向に移動させるスイッチバックシフト動作を行って、前記処理部による前記綴じ処理を施すことなく、前記第1シフト部により前記シフト方向に移動されたシートを前記排出部によって前記積載部に排出するスイッチバックシフト排出処理と、前記第1搬送部によってシートを前記第1搬送方向に搬送した後、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記第2搬送部により前記第2搬送方向へ搬送をすることなく、前記第1駆動部により前記第1シフト部を駆動することで前記第1シフト部によって、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを前記シフト方向に移動させるスイッチバックレスシフト動作を行って、前記第1シフト部により前記シフト方向に移動されたシートを前記排出部によって前記積載部に排出するスイッチバックレスシフト排出処理と、を実行可能であり、第1シートを前記処理部による前記綴じ処理を施すことなく前記シフト方向に移動させて前記積載部に排出する場合には、前記スイッチバックシフト排出処理が実行可能であり、前記第1シート及び前記第1シートと前記第1搬送方向に交差するシートの幅方向の長さが同じで、且つ、前記第1シートよりも前記第1搬送方向の長さが短い第2シートを含む複数枚のシートを、前記処理部による前記綴じ処理を施すことなく前記シフト方向に移動させて前記積載部に積載するジョブにおいて、前記載置部にシートがなく、且つ、次のシートが前記第2シートである場合には、該第2シートに対して前記スイッチバックレスシフト排出処理を実行し、前記載置部にシートがあり、且つ、次のシートが前記第2シートである場合には、該第2シートに対して前記スイッチバックシフト動作を行って、前記載置部にあるシートと共に前記スイッチバックシフト動作を行った前記第2シートを前記積載部に排出する前記スイッチバックシフト排出処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、同幅混載ジョブにおいて生産性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
【
図2】第1の実施形態に係るシート処理装置の概略構成断面図。
【
図3】第1の実施形態に係るシート処理装置を上側のカバーを外した状態で示す概略構成斜視図。
【
図4】第1の実施形態に係る、(a)処理トレイ上の整合板を幅方向から見た図、(b)整合板をシート搬送方向下流側から見た図、(c)整合板の斜視図。
【
図5】第1の実施形態に係るシート処理装置のホームポジションにおける、(a)処理トレイ周辺の斜視図、(b)シート処理装置の概略構成断面図。
【
図6】第1の実施形態に係るシート処理装置のホームポジションにおける、(a)排出ローラの状態を、(b)掻き込みパドルの状態を、(c)後端落とし部材の状態を、それぞれ幅方向から見た図。
【
図7】第1の実施形態に係る後端落とし部材と掻き込みパドルとの係合関係を示す斜視図。
【
図8】第1の実施形態に係るシート処理装置のシート排出時における、(a)処理トレイ周辺の斜視図、(b)シート処理装置の概略構成断面図。
【
図9】第1の実施形態に係るシート処理装置のシート排出時における、(a)排出ローラの状態を、(b)掻き込みパドルの状態を、(c)後端落とし部材の状態を、それぞれ幅方向から見た図。
【
図10】第1の実施形態に係るシート処理装置のシート掻き込み時における、(a)処理トレイ周辺の斜視図、(b)シート処理装置の概略構成断面図。
【
図11】第1の実施形態に係るシート処理装置のシート掻き込み時における、(a)排出ローラの状態を、(b)掻き込みパドルの状態を、(c)後端落とし部材の状態を、それぞれ幅方向から見た図。
【
図12】第1の実施形態に係るシート処理装置の各モータと各構成との対応関係を示す表。
【
図13】第1の実施形態に係るシート処理装置の制御構成を示すブロック図。
【
図14】第1の実施形態に係るシート処理装置の制御フローの一例を示すフローチャート。
【
図15】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理のホームポジションにおけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図16】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理のシート受け入れ時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図17】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理の上側排出ローラ下降時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図18】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理の搬送停止時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図19】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理の整合板の移動時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図20】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理の整合板によるシートのシフト時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図21】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理のシートのシフト完了時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図22】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理の整合板の退避時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図23】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理のシート排出時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図24】第1の実施形態に係る第1シフト排出処理のシート排出完了時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図25】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理のシート先端が排出ローラを超えた状態におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図26】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理のシート後端が処理前ローラを抜けた状態におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図27】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理のシート掻き込み時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図28】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理の戻し部材の下降時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図29】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理の後端落とし部材、掻き込みパドル及び戻し部材の上昇時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図30】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理の整合板によるシートのシフト時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図31】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理のシートのシフト完了時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図32】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理の整合板の退避時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図33】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理のシート排出時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図34】第1の実施形態に係る第2シフト排出処理のシート排出完了時におけるシート処理装置の(a)主要部を上方から見た模式図、(b)概略構成断面図。
【
図35】第2の実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
【
図36】第2の実施形態に係るシート処理装置の概略構成斜視図。
【
図37】第2の実施形態に係るシート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図38】第2の実施形態に係る掻き込みベルトと排出ベルトとのシートのニップ位置の、(a)第1例を、(b)第2例を、(c)第3例を、それぞれ示す模式図。
【
図39】第2の実施形態に係る掻き込みベルトの支持構成の別例を示す模式図で、(a)処理トレイ上のシートが少ない状態を、(b)処理トレイ上のシートが多くなった状態を示す図。
【
図40】第2の実施形態に係る駆動構成の一部を示す斜視図。
【
図41】第2の実施形態に係る処理前ローラの、(a)ニップ圧がかかっている状態を、(b)ニップ圧が解除された状態を、それぞれ示す第1駆動構成の側面図。
【
図42】第2の実施形態に係る駆動構成の一部を示す斜視図。
【
図43】第2の実施形態に係る掻き込みベルト及び後端落とし部材の駆動構成を示す斜視図。
【
図44】第2の実施形態に係る排出ローラの動作を示す斜視図で、(a)排出ローラが退避位置にある状態を、(b)排出ローラが接触位置にある状態をそれぞれ示す図。
【
図45】第2の実施形態に係る掻き込みベルト及び後端落とし部材の動作を示す斜視図で、(a)掻き込みベルト及び後端落とし部材が第1位置にある状態を、(b)掻き込みベルト及び後端落とし部材が第2位置にある状態をそれぞれ示す図。
【
図46】第2の実施形態に係る掻き込みベルト及び後端落とし部材の動作を示す斜視図で、(a)掻き込みベルト及び後端落とし部材が第2位置にある状態を、(b)掻き込みベルト及び後端落とし部材が第2位置から第1位置に戻った状態をそれぞれ示す図。
【
図47】第2の実施形態の排出ローラの支持構成の別例を説明するための図。
【
図48】第2の実施形態に係るシート処理装置の各モータと各構成との対応関係を示す表。
【
図49】第2の実施形態に係るシート処理装置の制御構成を示すブロック図。
【
図50】第2の実施形態に係るストレート排出モードで、シートの先端が処理前ローラに到達した状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図51】第2の実施形態に係るストレート排出モードで、シートの先端が処理前ローラを通過した後の状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図52】第2の実施形態に係るストレート排出モードで、シートが排出ローラと排出ベルトとでニップされた状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図53】第2の実施形態に係るストレート排出モードで、シートが積載トレイに排出された状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図54】第2の実施形態に係るシフトモード(生産性優先)で、シートの先端が処理前ローラに到達した状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図55】第2の実施形態に係るシフトモード(生産性優先)で、シートの先端が処理前ローラを通過した後の状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図56】第2の実施形態に係るシフトモード(生産性優先)で、シートをシフトしている状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図57】第2の実施形態に係るシフトモード(生産性優先)で、シートのシフトが完了した状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図58】第2の実施形態に係るシフトモード(生産性優先)で、シートが積載トレイに排出された状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図59】第2の実施形態に係るラージシートに対するシフトモード(整列性優先)で、シートの先端が処理前ローラに到達した状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図60】第2の実施形態に係るラージシートに対するシフトモード(整列性優先)で、シートの後端が処理前ローラを通過した後の状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図61】第2の実施形態に係るラージシートに対するシフトモード(整列性優先)で、シートを掻き込みベルト及び排出ローラと排出ベルトでニップした状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図62】第2の実施形態に係るラージシートに対するシフトモード(整列性優先)で、シートを後端規制部材に突き当てた状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図63】第2の実施形態に係るラージシートに対するシフトモード(整列性優先)で、シートをシフトしている状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図64】第2の実施形態に係るラージシートに対するシフトモード(整列性優先)で、シートのシフトが完了した状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図65】第2の実施形態に係るラージシートに対するシフトモード(整列性優先)で、シートが積載トレイに排出された状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図66】第2の実施形態に係るステープルモードで、シートの先端が処理前ローラに到達した状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図67】第2の実施形態に係るステープルモードで、シートを後端規制部材に突き当てた状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図68】第2の実施形態に係るステープルモードで、シートの幅方向側端部を規制している状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図69】第2の実施形態に係るステープルモードで、シートの後端を押えて次のシートを受け入れ可能な状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図70】第2の実施形態に係るステープルモードで、2枚目のシートを後端規制部材に突き当てた状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図71】第2の実施形態に係るステープルモードで、2枚のシートの幅方向側端部を規制している状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図72】第2の実施形態に係るステープルモードで、複数のシートにステープル処理を施している状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図73】第2の実施形態に係るステープルモードで、ステープル処理を施したシート束を掻き込みベルト及び排出ローラと排出ベルトとでニップしている状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図74】第2の実施形態に係るステープルモードで、ステープル処理を施したシート束が積載トレイに排出された状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図75】第2の実施形態に係るシートの排出動作において、シートを排出ローラと排出ベルトでニップしている状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図76】第2の実施形態に係るシートの排出動作において、積載トレイの下降が開始する状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図77】第2の実施形態に係るシートの排出動作において、シートの後端がシート押さえベルトに下方に案内されている状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図78】第2の実施形態に係るシートの排出動作において、積載トレイが上昇した状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図79】第2の実施形態に係るシートの排出動作において、積載トレイに積載されたシートの後端をシート押さえベルトで押さえている状態を示す、シート処理装置を、(a)上側から見た模式図、(b)側方から見た模式図。
【
図80】第3の実施形態の第1例に係るシート処理装置の概略構成断面図。
【
図81】第3の実施形態の第2例に係るシート処理装置の概略構成断面図。
【
図82】第3の実施形態の第3例に係るシート処理装置の概略構成断面図で、(a)第1シフト排出処理のホームポジションにおけるシート処理装置の概略構成断面図、(b)第1シフト排出処理の上側排出ローラ下降時におけるシート処理装置の概略構成断面図、(c)第1シフト排出処理の整合板によるシートのシフト時におけるシート処理装置の概略構成断面図。
【
図83】第3の実施形態の第3例に係る排出アーム及び第2後端落とし部材の模式図で、(a)第2後端落とし部材が上方位置にある状態を、(b)第2後端落とし部材が下方位置にある状態をそれぞれ示す図。
【
図84】第4の実施形態において、同幅混載ジョブの制御フローの一例を示すフローチャート。
【
図85】第4の実施形態において、ラージサイズのシートのスイッチバックシフト処理の制御フローの一例を示すフローチャート。
【
図86】第4の実施形態において、スモールサイズのシートのシフト切替処理の制御フローの一例を示すフローチャート。
【
図87】第4の実施形態において、同幅混載ジョブの先行シートがラージサイズのシートで、後続シートがスモールサイズのシートとした場合の、シートの流れの一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、
図1ないし
図34を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムの概略構成について、
図1を用いて説明する。
【0010】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態の画像形成システムの概略構成を示す断面図である。画像形成システム1000Aは、画像形成装置100、パンチユニット150、シート処理装置200Aを有する。画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などであり、用紙やプラスチックシートなどのシートに画像を形成するものである。本実施形態では、電子写真方式のプリンタとしており、トナー像が形成されたシートが、第1排出部101又は第2排出部102から排出される。なお、画像形成装置100は、インクジェット方式の画像形成装置であっても良い。
【0011】
本実施形態の画像形成装置では、詳しい図示は省略するが、画像形成部103においてシートにトナー像を形成する。簡単に説明すると、感光ドラムの表面を帯電し、その表面を露光することで、感光ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像を現像装置により現像剤で現像してトナー像とする。感光ドラムに形成されたトナー像は、シートに転写され、更に、定着装置で加熱、加圧されることでシートに定着される。トナー像が定着されたシートは、搬送パス104を通り、第1排出部101又は第2排出部102に送られる。
【0012】
また、本実施形態の画像形成装置100は、画像形成部103、搬送パス104、第1排出部101及び第2排出部102を備えた画像形成装置本体110と、画像形成装置本体110の上方に配置された画像読取部120を備える。画像読取部120は、原稿上の画像を読み取り、読み取った画像信号を画像形成装置本体110に送る。画像形成装置本体110は、画像形成部103が配置された第1筐体部111と、搬送パス104の一部、第1排出部101及び第2排出部102が配置された第2筐体部112とを有し、第2筐体部112は第1筐体部111の上方に設けられている。画像読取部120は、第2筐体部112の上方に設けられている。また、第2筐体部には不図示のオペレーションパネルが設けられており、画像形成装置100、パンチユニット150やシート処理装置200に対するユーザからの指示(印刷条件やモード設定等)を入力できるようになっている。
【0013】
本実施形態では、このように構成することでは、第1筐体部111、第2筐体部112及び画像読取部120により囲まれた胴内空間130を有する。そして、第1排出部101又は第2排出部102から胴内空間130にシートを排出する構成としている。また、この胴内空間130には、パンチユニット150やシート処理装置200Aなどを着脱可能としている。本実施形態では、パンチユニット150及びシート処理装置200Aを装着して画像形成システム1000Aを構成しているが、何れか一方、或いは、他のシート処理を行う装置を装着するようにしても良い。
【0014】
パンチユニット150は、第1排出部101に接続され、第1排出部101から排出されたシートを受け入れて、該シートに対してパンチ処理を行うことが可能である。シート処理装置200Aは、パンチユニット150のシート排出部に接続され、パンチユニット150から排出されたシートを受け入れる。そして、詳しくは後述するが、該シートに対してステープルなどの所定の処理を施すことが可能である。なお、パンチユニット150でパンチ処理を行わずにシート処理装置200Aにシートを受け渡すことが可能であり、シート処理装置200Aにおいても所定の処理を施さずにシートを排出することが可能である。なお、第2排出部102から排出されたシートは、パンチユニット150及びシート処理装置200Aの上方のシート載置面160に排出される。
【0015】
胴内空間130には、
図1の左右方向に沿ってレール131が配置されており、レール131に沿って矢印α1、α2方向にパンチユニット150及びシート処理装置200を着脱可能となっている。なお、パンチユニット150を省略してシート処理装置200Aを直接、第1排出部101に接続することもできる。また、このようにパンチユニット150及びシート処理装置200Aを着脱可能とすることで、シートのジャム処理を可能としている。
【0016】
例えば、シートが第1排出部101でジャムした場合には、パンチユニット150及びシート処理装置200Aを矢印α1方向に引き出して第1排出部101を露出させる。また、パンチユニット150でシートのジャムが発生した場合には、シート処理装置200Aのみを矢印α1方向に引き出してパンチユニット150を露出させる。パンチユニット150やシート処理装置200Aを画像形成装置100に装着する際には、それぞれ矢印α2方向に押し込む。このように本実施形態では、シート処理装置200Aを画像形成装置100の胴内空間130に配置するため、シート処理装置200Aを小型化することが要求される。
【0017】
[シート処理装置]
本実施形態のシート処理装置200Aの構成について、
図2ないし
図11(c)を用いて説明する。まず、シート処理装置200Aの全体構成について、
図2及び
図3を用いて説明する。
【0018】
[シート処理装置の全体構成]
シート処理装置200Aは、搬送パス210A、第1搬送部としての処理前ローラ211A、212A、載置部としての処理トレイ220、一対の排出回転体(排出部)としての上側排出ローラ(ニップ部材)230A、下側排出ローラ230B、第2搬送部としての掻き込みパドル240A、シート落とし部としての後端落とし部材250A、第1・第2シフト部としての整合部270A、戻し部材280、突き当て部としての後端規制部材290、積載部としての積載トレイ300、シート押さえパドル320Aなどを有する。画像形成装置100又はパンチユニット150から受け取ったシートは、搬送パス210Aに搬送される。
【0019】
搬送パス210Aから搬送されたシートは、シートを処理するモードに応じて、積載トレイ300に直接排出されるか、処理トレイ220に載置される。なお、積載トレイ300への直接排出とは、処理トレイ220上でステープル処理を実行可能な位置まで逆搬送することなくシートを積載トレイ300に排出することである。言い換えれば、シート処理装置200Aは、ステープルユニット400によってステープル処理が施されたシートを積載トレイ300に排出するモードと、ステープルユニット400によるステープル処理を行わずにシートを積載トレイ300に排出するモードを有する。本実施形態では、処理トレイ220に載置しないで、整合部270Aによりシートの整合を可能としている。また、処理トレイ220でもシートの整合が可能であり、処理トレイ220に載置されたシートに対してステープルユニット400によりステープルを可能としている。また、処理トレイ220に載置されたシート又はシート束は、一対の排出回転体としての上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bなどにより積載トレイ300に排出可能となっている。以下、各部の構成について詳しく説明する。
【0020】
[搬送パス]
搬送パス210Aは、シートを第1搬送方向(所定方向)に搬送する経路であり、搬送されるシートの上面をガイドする上側ガイド2101と、シートの下面をガイドする下側ガイド2102とを有する。搬送パス210Aには、第1搬送部(一対の搬送回転体)としての処理前ローラ211A、212A、上流ローラ(入口ローラ)213a、213bが配置されている。これらは、それぞれシートの搬送方向(第1搬送方向、
図2の矢印β方向(左右方向))に交差するシートの幅方向(
図3の矢印γ方向)に離間するように一対配置されている。
【0021】
処理前ローラ211A、212Aは、シートを搬送する第1搬送部及び一対の搬送回転体であり、シートを挟持して少なくとも一方が回転する。上流ローラ213a、213bは、シートを挟持して少なくとも一方が回転する。上流ローラ213a、213bは、シート処理装置200Aの入口に配置されており、シート処理装置200Aの上流側から搬送されたシートを受け取って、搬送パス210Aに搬送する。そして、搬送パス210Aを通過したシートは、処理前ローラ211A、212Aに到達する。
【0022】
処理前ローラ211A、212Aは、シートを挟持搬送可能な処理前ニップ部211aを形成する。そして、処理前ニップ部211aでシートを挟持して第1搬送方向に搬送し、搬送パス210Aからシートを排出する。後述するように、処理前ローラ211A、212Aは、互いに当接又は離間、或いは、ニップ圧を変更可能である。
【0023】
[処理トレイ]
載置部としての処理トレイ220は、搬送パス210Aのシート搬送方向(第1搬送方向)の下流側で、且つ、搬送パス210の鉛直方向下方に配置されている。また、処理トレイ220は、第1搬送方向の上流側が下流側よりも低くなるように水平面に対して傾斜している。処理トレイ220は、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを一時的に載置する。また、処理トレイ220は、複数のシートを重ねて積載可能であり、処理トレイ220上で整合部270Aによりシートの幅方向の整合や幅方向への移動(シートのシフト)が行われる。また、処理トレイ220の第1搬送方向の上流端には、処理トレイ220に載置されたシートの第1搬送方向の上流端縁(第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向の下流端縁、シートの後端)が突き当てられる突き当て部としての後端規制部材290が配置されている。なお、処理トレイ220の一部(例えば、第1搬送方向の下流側端部)は搬送パス210Aよりも鉛直方向上方に突出していてもよい。
【0024】
また、処理トレイ220の第1搬送方向の上流側には、処理部としてのステープルユニット400が配置されている。ステープルユニット400は、処理トレイ220で幅方向の整合、後端の規制が行われたシート束に対して、所定の処理としてのステープル処理(綴じ処理)を行う。ステープルユニット400は、シート束に対するステープル位置を変更可能であり、ステープル位置に応じて移動する。なお、所定の処理は、ステープル以外に、パンチなどの他の処理であっても良い。処理トレイ220に載置されたシート又はシート束は、後述するように、上側排出ローラ230A、下側排出ローラ230Bにより積載トレイ300に排出される。
【0025】
[掻き込みパドル]
第2搬送部としての掻き込みパドル240Aは、処理トレイ220上のシートを第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送(スイッチバック搬送)する。掻き込みパドル240Aは、回転部材としてのパドル部2401と、パドル部2401を支持する支持部としてのパドルアーム2402と、パドルアーム2402を揺動可能に支持する揺動支点2403とを有する。即ち、パドルアーム2402は、揺動支点2403を中心に上下方向に揺動可能であり、そのパドルアーム2402の先端には、パドル部2401が回転可能に設けられている。
【0026】
このような掻き込みパドル240Aは、パドル部2401が処理トレイ220上のシートの上面に当接して該シートを第2搬送方向に搬送可能な戻し位置と、パドル部2401が戻し位置よりも上方に退避した上方退避位置とに、揺動支点2403を中心に揺動可能である。揺動支点2403は、処理前ローラ211A、212Aでシートを挟持するニップ位置である処理前ニップ部211aよりも第1搬送方向の上流で、且つ、処理前ニップ部211aよりも鉛直方向上方に配置されている。そして、パドルアーム2402は、揺動支点2403から第1搬送方向下流側に延設され、その先端部にパドル部2401が設けられている。また、掻き込みパドル240Aは、
図3に示すように、後述する上側排出ローラ230Aの幅方向の両側に一対配置されている。
【0027】
[後端落とし部材]
シート落とし部としての後端落とし部材250Aは、一対の掻き込みパドル240Aの両側に一対設けられている。即ち、一対の後端落とし部材250Aは、幅方向に関して掻き込みパドル240Aの両側に配置され、後述するように掻き込みパドル240Aと連動して上下方向に移動することで、シートの第1搬送方向の上流側の上面に当接して、シートの上流端部(後端部)を処理トレイ220に向けて落とすように動作する。なお、後端落とし部材250Aは、掻き込みパドル240Aとは別駆動で動作するようにしても良い。
【0028】
このような後端落とし部材250Aは、一対の搬送ローラとしての処理前ローラ211A、212Aよりも第1搬送方向の下流側に回動中心としての回動軸2501を有する。そして、回動軸2501から第1搬送方向の上流側に延設され、回動軸2501を中心として処理前ローラ211A、212Aよりも上方の上方位置から、処理前ローラ211A、212Aよりも下方の下方位置までの間を回動可能である。後端落とし部材250Aは、上方位置から下方位置に回動することで、処理前ローラ211A、212Aにより搬送されたシートに対して上方から当接して該シートを下方の処理トレイ220に落とす。
【0029】
[戻し部材]
戻し部材280は、上述のように掻き込みパドル240Aにより後端規制部材290に向けて搬送されたシートを更に後端規制部材290に向けて搬送し、シートの後端を後端規制部材290に当接させて、シートの後端位置を規制するものである。このような戻し部材280は、ローレットベルト281により構成され、ローレットベルト281を回転駆動することで、掻き込みパドル240Aにより第1搬送方向の上流側に搬送されたシートを更に掻き込んで、後端を後端規制部材290に当接させる。戻し部材280は、シートに当接可能な当接位置と、当接位置から上方に退避した退避位置に移動可能であり、シートを後端規制部材290に向けて搬送する場合には当接位置に、処理トレイ220上のシートを積載トレイ300に向けて搬送する際には退避位置に、それぞれ移動する。
【0030】
[排出ローラ]
上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bは、一対の排出回転体対及び排出部を構成し、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを、処理トレイ220よりも第1搬送方向の下流側に搬送して排出する。上側排出ローラ230Aは、下側排出ローラ230Bとの間でシートを挟持する挟持位置(接触位置)と、挟持位置から上方に退避した退避位置とに移動可能であり、挟持位置で下側排出ローラ230Bとの間でシートを挟持する。即ち、上側排出ローラ230Aは、挟持位置で下側排出ローラ230Bとの間でシートをニップするニップ部材として機能する。上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bは、それぞれシートの幅方向に離間して2つ配置されている。本実施形態では、一対の掻き込みパドル240Aの幅方向の内側に配置されている。
【0031】
上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bは、挟持位置でシート又はシート束を挟持して、例えば、下側排出ローラ230Bが回転することで、挟持したシート又はシート束を搬送する。なお、上側排出ローラ230Aは、下側排出ローラ230Bの回転に従動して回転する従動ローラであるが、駆動するようにしても良い。即ち、本実施形態では、上側排出ローラ230Aを従動回転体、下側排出ローラ230Bを駆動回転としている。また、上側排出ローラ230Aは、挟持位置で下側排出ローラ230Bとの間でシートを挟持可能なニップ部材として機能するが、このニップ部材は、ローラに代えてベルトなどの他の回転体であっても良いし、レバー部材のように回転せずにシートと当接する当接部材であっても良い。また、下側排出ローラ230Bは、ローラ以外にベルトなどの回転体であっても良い。
【0032】
上側排出ローラ230Aは、回動軸2301を中心に挟持位置から退避位置までの間で回動可能となっている。言い換えれば、上側排出ローラ230Aは、挟持位置から退避位置までの間で昇降可能である。上側排出ローラ230Aは、支持部としての排出アーム2302の先端に設けられている。回動軸2301は、上述の揺動支点2403と同軸上に設けられ、処理前ローラ211A、212Aでシートを挟持する処理前ニップ部211aよりも第1搬送方向の上流で、且つ、処理前ニップ部211aよりも鉛直方向上方に配置されている。そして、排出アーム2302は、回動軸2301から第1搬送方向下流側に延設され、その先端部に上側排出ローラ230Aが設けられている。回動軸2301は、揺動支点2403と同軸上に配置されていなくても良いが、本実施形態では、上側排出ローラ230Aと掻き込みパドル240Aの回動軸を同軸上としている。
【0033】
回動軸2301は、挟持位置において上側排出ローラ230Aが下側排出ローラ230Bとの間でシートをニップする排出ニップ部よりも第1搬送方向の上流側に配置されている。また、上側排出ローラ230Aは、退避位置において、処理前ローラ211A、212Aとでシートをニップする処理前ニップ部211aよりも鉛直方向上方に位置し、回動軸2301は、退避位置における上側排出ローラ230Aの中心よりも鉛直方向上方に位置する。
【0034】
上側排出ローラ230Aは、回動軸2301及び処理前ニップ部211aとの位置関係を上述のように規定しているため、退避位置にある状態では、処理前ニップ部211aを通過したシートが積載トレイ300に向かうことを許容する。一方、上側排出ローラ230Aは、回動軸2301を中心に
図2の反時計方向に回動することで、退避位置から挟持位置に向けて下方に移動する。そして、上側排出ローラ230Aが挟持位置に移動することで、シートを上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとの間で挟持可能となる。
【0035】
[整合部]
シフト部としての整合部270Aについて、
図2、3に加えて、
図4(a)~
図4(c)を参照して説明する。整合部270Aは、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートの第1搬送方向に沿う端縁に当接した状態で第1搬送方向と交差するシフト方向(幅方向)に移動することでシートをシフト方向に移動させる。このような整合部270Aは、シフト方向に関して互いに対向するように配置された第1シフト部及び第2シフト部としての一対の整合板271Aを有する。
【0036】
一対の整合板271Aは、搬送パス210Aの第1搬送方向の下流端部よりも更に下流側に配置され、幅方向に移動してシートの幅方向端縁に当接することでシートの幅方向の整合を行う。本実施形態では、処理トレイ220に載置されるシートの幅方向両側にそれぞれ配置され、それぞれ幅方向に移動可能である。また、一対の整合板271Aは、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bに対して第1搬送方向の上流側から下流側に亙って延設されている。なお、一対の整合板271Aの構成は同じである。一対の整合板271Aは、第1駆動部及び第2駆動部としてのフロント側(F側)整合板移動モータMT16及びリア側(R側)整合板移動モータMT17(
図12参照)の駆動によりシフト方向に移動する。一対の整合板271Aは、後述する第1シフト排出処理(スイッチバックレスシフト排出処理)及び第2シフト排出処理(スイッチバックシフト排出処理)において、シフト方向上流側の整合板を第1シフト部、シフト方向下流側の整合板を第2シフト部とする。また、第1シフト部を駆動するモータを第1駆動部、第2シフト部を駆動するモータを第2駆動部とする。
【0037】
整合板271Aは、第1搬送方向の下流側における上下方向の幅が広くなるように形成されている。即ち、整合板271Aは、第1搬送方向の下流側の第1板部2701と、第1板部2701と第1搬送方向の上流側に連続するように形成された第2板部2702とを有する。第1板部2701は、搬送されたシートの先端側が上側または下側にカールしていても該シートと当接可能なように、第2板部2702よりも上下方向に広い面積を有する。一方、第2板部2702は、後端落とし部材250Aが下方位置に位置してもこの後端落とし部材250Aと干渉しないように、上下方向の高さを第1板部2701よりも低くなるように形成している。また、第2板部2702の上端縁は、第1搬送方向の上流側に向かう程低くなるように傾斜している。
【0038】
また、第1板部2701は、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bに対して第1搬送方向の上流側から下流側に跨るように形成されている。これにより、後述する第1シフト排出処理によりシートを排出した場合であっても、該シートに対して少なくとも第1板部2701が当接可能としている。また、第2板部2702は、処理トレイ220上に位置し、第1搬送方向に関して第1板部2701と連続して形成されている。これにより、後述する第2シフト排出処理により処理トレイ220上に載置されたシートに対して少なくとも第2板部2702が当接可能としている。
【0039】
また、第1板部2701には、
図4(a)~
図4(c)に示すように、カール押さえ部2703及び支持部2704を有する。カール押さえ部2703は、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bでシートを挟持するニップ位置である排出ニップ部230a(後述する
図8(b)参照)よりも第1搬送方向の下流側で、且つ、排出ニップ部230aの鉛直方向上方に設けられ、上方にカールしたシートの先端を押さえる。本実施形態では、カール押さえ部2703は、第1板部2701の上端部から幅方向内側(シートと当接する側、
図4(b)の右側)に突出した突出部であり、カールしたシートの幅方向端縁が当接することで該シートの先端が押さえられる。また、カール押さえ部2703の下方には、凹凸部2705が設けられており、カールの状態によってはシートの幅方向端縁がこの凹凸部2705に引っ掛かることで、カールしたシートの先端を押さえることを可能としている。
【0040】
支持部2704は、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bでシートを挟持するニップ位置である排出ニップ部230aよりも第1搬送方向の下流側で、且つ、排出ニップ部230aの鉛直方向下方に設けられ、シートを下方から支持する。本実施形態では、支持部2704は、第1板部2701の下端部から幅方向内側(シートと当接する側、
図4(b)の右側)に突出した突出部である。また、
図4(a)、
図4(c)に示すように、支持部2704の第1搬送方向の下流端部には、下流に向かう程、下側に傾斜した傾斜部2704aが形成されている。これにより、支持部2704により支持されたシートを円滑に積載トレイ300に案内可能としている。また、排出ニップ部230aよりも第1搬送方向下流側のシートが支持部2704に支持されることで、支持しない場合に比べて一対の整合板271Aがシート側縁に当接する面積を増やすことができる。
【0041】
[積載トレイ]
積載部としての積載トレイ300は、上述のように、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bにより排出されたシートが積載される。積載トレイ300は、処理トレイ220の第1搬送方向の下流側で、且つ、鉛直方向下方に昇降可能に設けられている。また、積載トレイ300は、第1搬送方向の上流側が下流側よりも低くなるように水平面に対して傾斜している。このような積載トレイ300は、例えば、上下方向に配置されたレールに沿って上下方向に移動可能に支持されており、昇降手段としての積載トレイ昇降モータMT20(
図12)の駆動により昇降する。
【0042】
積載トレイ300の第1搬送方向の上流端には、積載トレイ300に積載されたシート又はシート束の所定方向上流端(後端)を規制する積載側規制手段としての立ち面310aと、立ち面310aに当接したシートの後端を押さえる後端押さえ310bが設けられている。後端押さえ310bは、上方に向かう程、第1搬送方向の下流側に傾斜しており、シートの後端が上側にカールしていても、この後端押さえ310bにより押さえることが可能となっている。また、下側排出ローラ230Bの回転軸と同軸上に、シート押さえパドル320Aが設けられている。
【0043】
積載トレイ300は、積載トレイ昇降モータMT20により第1積載位置から、第1積載位置よりも下方の第2積載位置までの間で昇降可能である。第2積載位置は、シートを積載トレイ300に排出する際に下降していた積載トレイ300の動作が上昇に切り替わる位置である。シート排出時には、積載トレイ300昇降すると共に、シート押さえパドル320Aが回転し、積載トレイ300上のシート又はシート束がシート押さえパドル320Aにより押さえられる。
【0044】
[各部の駆動構成]
次に、上側排出ローラ230A、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aの駆動構成について、
図5(a)ないし
図11(c)を用いて説明する。本実施形態では、上側排出ローラ230A、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aが互いに連動するように構成されている。これらの駆動構成600は、
図5(a)に示すように、駆動源としての処理上モータ610(MT12、
図12)、駆動伝達機構611、回転軸612、カム機構613を有する。処理上モータ610は、正逆回転可能であり、処理上モータ610の駆動は、駆動伝達機構611を介して回転軸612に伝達される。本実施形態では、駆動伝達機構611をギア列で構成しているが、ベルトにより駆動を伝達する構成など、他の駆動伝達構成であっても良い。
【0045】
回転軸612は、上側排出ローラ230A、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aの上方に幅方向に亙って配置されている。そして、回転軸612の回転によりカム機構613が動作するようにしている。カム機構613は、回転軸612と共に回転する第1カム部材620及び第2カム部材630を有する。第1カム部材620は、一対の上側排出ローラ230Aの間に配置されており、上側排出ローラ230Aを動作させる。第2カム部材630は、一対の掻き込みパドル240Aのそれぞれに隣接して1つずつ設けられており、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aを動作させる。
【0046】
第1カム部材620は、
図6(a)に示すように、内側に、上側排出ローラ230Aの排出アーム2302に設けられた突起部2303が侵入可能な溝部621が形成されている。溝部621は、外側の周面、即ち、第1カム部材620の内周面を内カム面622としている。内カム面622は、回転方向の位相によって回転軸612の回転中心からの距離が異なるカム面である。また、第1カム部材620は、外周面を外カム面623としている。外カム面623も、回転方向の位相によって回転軸612の回転中心からの距離が異なるカム面である。
【0047】
上側排出ローラ230Aの排出アーム2302には、上述の突起部2303に加えて、第1カム部材620の外カム面623に当接可能な当接部2304を有する。第1カム部材620は、回転軸612と共に回転することで、内カム面622と突起部2303との当接位置(位相)を変えたり、これらを離間させ、外カム面623と当接部2304との当接位置(位相)を変えたり、これらを離間させることで、後述するように、上側排出ローラ230Aを、回動軸2301を中心に挟持位置から退避位置までの間で回動させる。
【0048】
第2カム部材630は、
図6(b)に示すように、内側に、掻き込みパドル240Aのパドルアーム2402に設けられた第1突起部2404が侵入可能な溝部631が形成されている。溝部631は、外側の周面、即ち、第2カム部材630の内周面を内カム面632としている。内カム面632は、回転方向の位相によって回転軸612の回転中心からの距離が異なるカム面である。第2カム部材630は、回転軸612と共に回転することで、内カム面632と第1突起部2404との当接位置(位相)を変えることで、後述するように、掻き込みパドル240Aを、揺動支点2403を中心に戻し位置から上方退避位置までの間で回動させる。
【0049】
また、掻き込みパドル240Aのパドルアーム2402と共に揺動支点2403を中心に揺動し、パドル部2401の回転軸2401aの端部を支持する支持部2406には、
図6(c)及び
図7に示すように、後端落とし部材250Aに形成された係合凹部2502に侵入可能な第2突起部2405が設けられている。係合凹部2502は、第2突起部2405と当接又は離間することで、掻き込みパドル240Aが回動した際にこれと連動して、後端落とし部材250Aを、回動軸2501を中心に上方位置から下方位置までの間で回動させる。以下、上側排出ローラ230A、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aの駆動について具体的に説明する。
【0050】
[ホームポジション]
まず、
図5(a)ないし
図6(c)は、上側排出ローラ230A、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aのホームポジション(HP)位置を示している。ホームポジションでは、
図5(a)、(b)に示すように、上側排出ローラ230Aは退避位置に、掻き込みパドル240Aは上方退避位置に、後端落とし部材250Aは上方位置にそれぞれ位置する。
【0051】
この状態では、
図6(a)に示すように、上側排出ローラ230Aの突起部2303が第1カム部材620の内カム面622の回転軸612の中心からの距離が近い位置に当接することで、上側排出ローラ230Aが第1カム部材620に支持されている。
【0052】
また、
図6(b)に示すように、掻き込みパドル240Aの第1突起部2404が第2カム部材630の内カム面632の回転軸612の中心からの距離が近い位置に当接することで、掻き込みパドル240Aが第2カム部材630に支持されている。
【0053】
更に、
図6(c)に示すように、後端落とし部材250Aの係合凹部2502が掻き込みパドル240Aの第2突起部2405に当接することで、後端落とし部材250Aが第2突起部2405を介して掻き込みパドル240Aに支持されている。
【0054】
[上側排出ローラの下降]
次に、上側排出ローラ230Aをホームポジション(退避位置)から挟持位置に移動させる動作について、
図8(a)ないし
図9(c)を用いて説明する。ホームポジションから上側排出ローラ230Aを下降させるべく、処理上モータ610を駆動して回転軸612を第1方向(
図9(a)、(b)の反時計方向)回転させると、第1カム部材620も同方向に回転して、突起部2303が内カム面622に沿って移動する。内カム面622は、ホームポジションから反時計方向に回転すると回転軸612の中心からの距離が離れるように形成されている。このため、この動作により上側排出ローラ230Aが下降する。
【0055】
次いで、上側排出ローラ230Aが挟持位置に移動して下側排出ローラ230Bに接触すると、
図9(a)に示すように、第1カム部材620の内カム面622と突起部2303とが離間し、外カム面623が当接部2304と当接する。このように外カム面623を当接部2304に当接させることで、上側排出ローラ230Aを下側排出ローラ230Bに向けて加圧して、これらのローラ同士の間に所定のニップ圧を付与するようにしている。
【0056】
この際、第2カム部材630も回転軸612と共に回転するが、
図9(b)に示すように、内カム面632が第1突起部2404と当接する位置の回転軸612の中心からの距離はホームポジションにおける距離とほぼ同じである。このため、第2カム部材630が回転しても掻き込みパドル240Aはホームポジションに維持される。掻き込みパドル240Aがホームポジションに維持されるため、
図9(c)に示すように、後端落とし部材250Aもホームポジションに維持される。即ち、この状態では、
図8(b)に示すように、上側排出ローラ230Aは挟持位置に移動するが、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aはホームポジションに維持される。
【0057】
上側排出ローラ230Aを上昇させる場合、処理上モータ610を駆動して回転軸612を第1方向とは反対の第2方向に(
図9(a)、(b)の反時計方向)回転させる。すると、第1カム部材620が回転軸612と共に同方向に回転して、突起部2303が内カム面622に沿って移動し、上側排出ローラ230Aが上昇する。そして、
図6(a)に示したホームポジションに戻る。
【0058】
ここで、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aは、
図9(b)、(c)の状態から
図6(b)、(c)の状態に戻る際に、第1突起部2404が第2カム部材630の内カム面632に沿って移動するが、この際に内カム面632が第1突起部2404と当接する位置の回転軸612の中心からの距離が変わらないように、内カム面632が形成されている。このため、掻き込みパドル240Aは、ホームポジションに維持されたままとなる。掻き込みパドル240Aがホームポジションに維持されているため、後端落とし部材250Aも、ホームポジションに維持されたままとなる。
【0059】
[掻き込みパドル及び後端落とし部材の下降]
次に、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aをホームポジション(上方退避位置、上方位置)から戻し位置、下方位置に移動させる動作について、
図10(a)ないし
図11(c)を用いて説明する。ホームポジションから掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aを下降させるべく、処理上モータ610を駆動して回転軸612を第1方向とは反対の第2方向(
図11(a)、(b)の時計方向)に回転させると、第1カム部材620も同方向に回転して、突起部2303が内カム面622に沿って移動する。内カム面622は、ホームポジションから時計方向に回転しても回転軸612の中心からの距離がほぼ変わらないように形成されている。このため、
図11(a)に示すように、上側排出ローラ230Aはホームポジションに維持される。
【0060】
一方、第2カム部材630も回転軸612と共に同方向に回転して、第1突起部2404が内カム面632に沿って移動する。内カム面632は、ホームポジションから時計方向に回転すると回転軸612の中心からの距離が離れるように形成されている。このため、この動作により掻き込みパドル240Aが下降し、戻し位置に移動する。
【0061】
この際、後端落とし部材250Aも掻き込みパドル240Aと共に下降する。本実施形態では、後端落とし部材250Aは、上方位置から下方位置に回動した際に、搬送パス210Aの上側ガイド2101と係合することで下方位置に位置決めされる位置決め部2503を有する。位置決め部2503は、後端落とし部材250Aの先端(第1搬送方向の上流端)に上方に突出するように設けられた突出部2504の上端部に設けられている。突出部2504は、後端落とし部材250Aが下方位置にある状態で、処理前ニップ部211aよりも第1搬送方向の上流側で、処理前ニップ部211aに向かって搬送されるシートの先端を規制する役目も有する。
【0062】
位置決め部2503は、この突出部2504の上端に上側ガイド2101と係合可能に設けられた係合部であり、上側ガイド2101の上面に当接することで、後端落とし部材250Aがそれ以上、下降することを規制している。係合凹部2502は、この状態で第2突起部2405と離間するように形成されている。このため、後端落とし部材250Aは、掻き込みパドル240Aとの係合状態が解除された状態であり、位置決め部2503により下方位置に位置決めされた状態である。
【0063】
これにより、後端落とし部材250Aは、掻き込みパドル240Aが戻し位置に到達しても、位置決め部2503と上側ガイド2101との係合によりそれ以上下降せず、下方位置に位置決めされる。このような状態では、
図10(b)に示すように、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aが戻し位置及び下方位置に移動し、上側排出ローラ230Aがホームポジションに位置する。
【0064】
なお、
図11(c)に示した上述の突出部2504及び位置決め部2053は、
図1ないし
図10(b)では図示を省略している。このような突出部2504及び位置決め部2053は、省略しても良く、この場合、別の位置決め機構を設けて後端落とし部材250Aの下方位置への位置決めを行っても良い。例えば、下方位置で係合凹部2502と第2突起部2405とが係合することで位置決めを行うようにしても良い。
【0065】
掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aを上昇させる場合、処理上モータ610を駆動して回転軸612を第1方向に(
図11(a)、(b)の反時計方向)回転させる。すると、第2カム部材630が回転軸612と共に同方向に回転して、第1突起部2404が内カム面632に沿って移動し、掻き込みパドル240Aが上昇する。この際、第2突起部2405が係合凹部2052と再び係合し、この係合により後端落とし部材250Aも上昇する。そして、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aが、
図5(a)ないし
図6(c)に示したホームポジションに戻る。
【0066】
ここで、上側排出ローラ230Aは、
図11(a)の状態から
図6(a)の状態に戻る際に、突起部2303が第1カム部材620の内カム面622に沿って移動するが、この際に内カム面622が突起部2303と当接する位置の回転軸612の中心からの距離が変わらないように、内カム面622が形成されている。このため、上側排出ローラ230Aは、ホームポジションに維持されたままとなる。
【0067】
このような本実施形態では、回転軸612をホームポジションから
図6(a)ないし
図6(c)の反時計方向に回転すると、上側排出ローラ230Aが下降し、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aはホームポジションに維持される。一方、回転軸612をホームポジションから
図6(a)ないし
図6(c)の時計方向に回転すると、上側排出ローラ230Aがホームポジションに維持され、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aが下降する。
【0068】
また、上側排出ローラ230Aが
図9(a)に示す挟持位置にある状態で、回転軸612を
図9(a)ないし
図9(c)の時計方向に回転すると、上側排出ローラ230Aが上昇し、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aはホームポジションに維持される。一方、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aが戻し位置及び下方位置にある状態で、回転軸612を
図11(a)ないし
図11(c)の反時計方向に回転すると、上側排出ローラ230Aがホームポジションに維持され、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aが上昇する。
【0069】
図12に各モータと各構成との関係を示す。
図12に示す列は、左側から番号、モータの名称、駆動部品、動作、正転時の動作方向、逆転時の動作方向を示している。
図12中、処理上モータMT12は、上述した処理上モータ610である。
図12からも明らかなように、搬送モータMT11は、上流ローラ(入口ローラ)213a、213bの何れかのローラ、処理前ローラ211A、212Aの何れかのローラ、掻き込みパドル240A、戻し部材280の駆動を行っている。
【0070】
また、処理上モータMT12は、掻き込みパドル240A、後端落とし部材250A、上側排出ローラ(ニップ部材)230Aの昇降を行っている。本実施形態では、これ以外にも、戻し部材280を昇降させるための戻し昇降モータMT13、下側排出ローラ230Bを駆動するための排出ローラモータMT14、シート押さえ(束押さえ)パドル320Aを駆動するためのシート押さえモータMT15、前側の整合板271Aを幅方向に移動(横移動)させるためのF側整合板移動モータMT16、後側の整合板271Aを幅方向に移動(横移動)させるためのR側整合板移動モータMT17、ステープル位置を変えるためにステープルユニット(STP)400を移動させるSTP移動モータMT18、ステープルユニット400を駆動してシート束にステープルするためのSTPモータMT19、積載トレイ300を昇降させる積載トレイ昇降モータMT20を備える。
【0071】
[シート処理装置の制御構成]
シート処理装置200Aの制御構成について、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、シート処理装置200Aが有する各モータと、各センサを示すブロック図である。これら各センサの信号は、制御手段としての制御部203に入力され、各モータは制御部203により制御される。制御部203は、画像形成装置100が有する制御部と通信可能に接続されており、シート処理装置200A全体の制御を行う。
【0072】
このような制御部203は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0073】
図13に示す各モータは上述した通りである。一方、各センサについては、
図2を参照しつつ説明する。まず、入口センサSN11は、搬送パス210Aに設けられ、搬送パス210Aに搬送されたシートの先端を検知する。処理上HPセンサSN12は、掻き込みパドル240A、後端落とし部材250A、上側排出ローラ(ニップ部材)230Aのホームポジションを検知する。戻し昇降HPセンサSN13は、戻し部材280のホームポジション(処理トレイ220から退避した位置)を検知する。処理トレイシート検知センサSN14は、処理トレイ220上のシートの有無を検知する。シート押さえHPセンサSN15は、シート押さえパドル320Aのホームポジションを検知する。
【0074】
F側整合板HPセンサSN16、R側整合板HPセンサSN17は、それぞれ前側の整合板271Aと後側の整合板271Aとが処理トレイ220に載置されたシートから幅方向に離間した位置(ホームポジション)にあることを検知する。ステープラ移動HPセンサSN18は、ステープルユニット400がホームポジションにあることを検知する。シート検知センサSN19は、積載トレイ300に載置された最上位のシートを検知する。積載トレイエンコーダセンサSN20は、積載トレイ300の昇降方向の位置を検知する。積載トレイ下限位置検知センサSN21は、積載トレイ300の下限位置を検知する。制御部203は、これら各センサの信号に基づいて、後述するような各制御を行う。
【0075】
次に、
図14を用いて、本実施形態の各モードの制御の流れについて説明する。本実施形態では、シート処理装置200Aに送られたシートを、所定の処理を施さずにそのまま積載トレイ300に排出するストレート排出モードと、積載トレイ300に排出されたシートの区分けをするために、シート処理装置200Aに送られたシートを幅方向に移動(シフト動作)させて積載トレイ300に排出するシフトモードと、シート処理装置200Aに送られたシートに対して、所定の処理としてのステープルを行って積載トレイ300に排出するステープルモードとがある。これら各モードは、画像形成装置100のオペレーションパネルやネットワーク等で接続されたPCを通してユーザにより選択される。
【0076】
本実施形態では、ユーザによる手動のモード設定と、紙種(シート長)による自動のモード設定とが可能であり、シフトモードにおいて後述する第1シフト排出処理を選択するか第2シフト排出処理を選択するかはユーザが求める成果物に応じて適宜設定可能となっている。
【0077】
綴じ排出処理としてのステープルモードでは、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを、処理トレイ220上で掻き込みパドル240Aによって第2搬送方向に搬送して該シートの第2搬送方向の下流端縁(後端)を後端規制部材290に突き当てる、即ち、シートの後端を規制する。そして、F側整合板移動モータMT16及びR側整合板移動モータMT17により整合部270A(一対の整合板271A)を駆動することで、整合部270Aによって後端規制部材290に突き当てられたシートをシート幅方向(シフト方向と同方向)に移動して、綴じ位置に位置決めする。即ち、整合処理を行う。本実施形態ではセンター整合で、一対の整合板271Aを用いてシート幅方向の両側からシートを叩いて整合する。このようなシートの後端を規制する動作と整合処理を繰り返すことにより処理トレイ220上にシート束を形成する。その後、綴じ位置に位置決めされたシート束に対してステープル処理を施し、ステープル処理されたシート束を上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bによって積載トレイ300に排出する。以下のシフトモードでは、このステープルモードのシート束形成時の整合処理で使用した一対の整合板271AとF側整合板移動モータMT16及びR側整合板移動モータMT17を用いて綴じ処理を行わないシートのシフト動作を実行する。
【0078】
また、シフトモードには、シートの搬送方向(第1搬送方向)の長さが第1の長さであるシート(第1シート、スモールサイズのシート)にシフト動作を行う場合と、第1搬送方向の長さが第1の長さよりも長い第2の長さであるシート(第2シート、ラージサイズのシート)にシフト動作を行う場合とがある。スモールサイズのシートは、例えば、第1搬送方向の長さが所定長さ以下のシートであり、ラージサイズのシートは、例えば、第1搬送方向の長さが所定長さよりも長いシートである。所定長さは、例えば、A4サイズの用紙を縦方向(長手方向が搬送方向となる方向)に送る、所謂A4縦のサイズである。また、シフトモードにおいて、生産性を優先する生産性優先モードと、シートの整列性を優先する整列性優先モードとを選択して実行可能である。また、いずれのシフトモードでもシートをリア側からフロント側へ向かう方向と、フロント側からリア側へ向かう方向との両方向にシフト可能である(シフト方向は両方向)。
【0079】
スイッチバックレスシフト排出処理及び第1シフト排出処理としての生産性優先モードは、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを、掻き込みパドル240Aによる第2搬送方向への搬送を行わずに、F側整合板移動モータMT16及びR側整合板移動モータMT17を駆動することで整合部270A(一対の整合板271A)によってシフト方向に移動させるスイッチバックレスシフト動作を行って、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bによって積載トレイ300に排出するモードである。
【0080】
スイッチバックシフト排出処理及び第2シフト排出処理としての整列性優先モードは、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されたシートを、処理トレイ220上で掻き込みパドル240Aによって第2搬送方向に搬送し、該シートの第2搬送方向の下流端縁を後端規制部材290に突き当てた(規制した)後に、ステープルユニット400によるステープル処理を施さずに、F側整合板移動モータMT16及びR側整合板移動モータMT17を駆動することで整合部270A(一対の整合板271A)によってシフト方向に移動させるスイッチバックシフト動作を行って、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bによって積載トレイ300に排出するモードである。この点の詳しい説明は後述する。
【0081】
制御が開始されると、制御部203は、排出モードがストレート排出モード、シフトモード、ステープルモードの何れが選択されているかを判断する(S1)。ストレート排出モードが選択されている場合には、シート処理装置200Aに送られたシートを、所定の処理を施さずにそのまま積載トレイ300に1枚ずつ排出する(S2)。
【0082】
S1において、シフトモードが選択されている場合には、シートサイズがラージサイズのシートであるかスモールサイズのシートであるかを判断する(S3)。スモールサイズのシートである場合には、生産性優先であるか否かを判断する(S4)。生産性優先であれば、搬送パス210Aから排出されるシートを、処理トレイ220で第2搬送方向に搬送せずに、整合部270Aによりシフト動作を行って積載トレイ300に排出する(S5)。S4で生産性優先でない場合、搬送パス210Aから排出されたシートを処理トレイ220に掻き込んで、処理トレイ220上で整合部270Aによりシフト動作を行って積載トレイ300に排出する(S6)。S3でラージサイズのシートである場合にも、S6に進む。
【0083】
S1において、ステープルモードが選択されている場合には、搬送パス210Aから排出されたシートを処理トレイ220上で掻き込みパドル240Aによって第2搬送方向に搬送し、該シートの第2搬送方向の下流端縁を後端規制部材290に突き当てる。即ち、シートの後端を規制する。そして、シートの後端を規制した後に、F側整合板移動モータMT16及びR側整合板移動モータMT17を駆動することで整合部270A(一対の整合板271A)によって綴じ位置に位置決め(整合)する。このようなシートの後端規制と整合の動作を繰り返して、処理トレイ220上にシート束を形成する(S7)。そして、シート束に対してステープル処理を行う(S8)。その後、ステープル処理されたシート束を積載トレイ300に排出する(S9)。
【0084】
上述のシフトモードにおける第1シフト排出処理と第2シフト排出処理におけるシート処理装置200Aの動作について、
図15(a)ないし
図34(b)を用いて説明する。
【0085】
[第1シフト排出処理(生産性優先モード)]
まず、
図15(a)ないし
図24(b)を用いて、シフトモードのうち第1シフト排出処理(生産性優先モード)について説明する。
図15(a)、(b)に示すように、搬送パス210AにシートSがまだ搬送されていない状態では、上側排出ローラ230A、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aは、それぞれホームポジションに位置している。また、一対の整合板271Aは、互いに最も離間した位置であるホームポジションに位置している。
【0086】
次に、
図16(a)、(b)に示すように、搬送パス210Aの入口にシートSが搬送された状態では、一対の整合板271Aがホームポジションから互いに近づくように移動し、シートを受け入れる受入位置に待機する。また、この状態でも、上側排出ローラ230A、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aは、それぞれホームポジションに位置している。
【0087】
次に、
図17(a)、(b)に示すように、シートSの第1搬送方向の下流端(先端)が処理前ローラ211A、212Aの処理前ニップ部211aを通過し、且つ、シートSの先端が下側排出ローラ230Bを通過すると、上側排出ローラ230Aが下降を開始する。例えば、シートSの先端が上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとシートをニップするニップ位置から下流に10mmの位置に到達したときに、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとの隙間が2mmとなるように上側排出ローラ230Aを下降させる。即ち、退避位置よりも上側排出ローラ230Aが下側排出ローラ230Bに近い位置であり、且つ、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとが互いに離間した離間位置に位置させる。この際、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aはホームポジションに位置したままである。
【0088】
次いで、
図18(a)、(b)に示すように、シートSの第1搬送方向の上流端(後端)が処理前ローラ211A、212Aの処理前ニップ部211aを通過したら、上側排出ローラ230Aを挟持位置まで下降させ、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとでシートをニップする。また、下側排出ローラ230Bの回転を停止させる。例えば、シートSの後端が処理前ニップ部211aから下流に10mmの位置に到達したときに、上側排出ローラ230Aを挟持位置に位置させる。これによりシートSが上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとでニップされ、且つ、搬送が停止された状態となる。
【0089】
この状態で、
図19(a)、(b)に示すように、上側排出ローラ230Aを離間位置まで上昇させると共に、一対の整合板271AをシートSのサイズに合った幅方向の位置まで移動させる。これにより、シートSが幅方向両側(シフト方向両側)から挟持された状態となる。なお、シートSが一対の整合板271Aにより挟持されているため、上側排出ローラ230Aを離間位置まで上昇させてもシートSが第1搬送方向又は第2搬送方向にずれることが抑制される。
【0090】
そして、
図20(a)、(b)に示すように、シートSを一対の整合板271Aにより挟んだ状態でシフト方向に移動させる。即ち、シフト動作を行う。シフト動作の完了後、
図21(a)、(b)に示すように、上側排出ローラ230Aを挟持位置まで下降させ、シートSを再び、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとでニップする。上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BとでシートSをニップしたら、
図22(a)、(b)に示すように、一対の整合板271AをシートSから退避させる。この例では、シフト方向がリア側からフロント側に向かう方向となっているので、一対の整合板271Aのうちリア側の整合板を第1シフト部、フロント側の整合板を第2シフト部とする。また、リア側整合板移動モータMT17を第1駆動部、フロント側整合板移動モータMT16を第2駆動部とする。逆に、シフト方向がフロント側からリア側に向かう方向である場合は一対の整合板271Aのうちフロント側の整合板を第1シフト部、リア側の整合板を第2シフト部とする。また、フロント側整合板移動モータMT16を第1駆動部、リア側整合板移動モータMT17を第2駆動部とする。
【0091】
次に、
図23(a)、(b)に示すように、下側排出ローラ230Bを回転させて、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BとでニップしたシートSを、積載トレイ300に排出する。積載トレイ300にシートSを排出したら、
図24(a)、(b)に示すように、シート押さえパドル320AによりシートSの後端を押さえる。この際、一対の整合板271Aは、次のシートを受け入れるべく、受入位置まで移動する。
【0092】
このような生産性優先モードの場合、シートSを処理トレイ220上で第2搬送方向に搬送する動作(スイッチバック搬送)がないため、シートSのシフト動作を処理トレイ220上で行う場合よりも速く行うことができる。なお、生産性優先モードは、スモールサイズのシートに対して好ましく適用可能であるが、ラージサイズのシートに対して実行しても良い。つまり、ステープル処理を施さずにシフトして排出する全てのシートに対して実行しても良い。
【0093】
[第2シフト排出処理(整列性優先モード)]
次に、
図25(a)ないし
図34(b)を用いて、シフトモードのうち第2シフト排出処理(整列性優先モード)について説明する。なお、整列性優先モードはスモールサイズのシートに対して行っても良いが、ここでは、ラージサイズのシートに対して行う場合について説明する。搬送パス210AにシートSがまだ搬送されていない状態、及び、搬送パス210Aの入口にシートSが搬送された状態は、第1シフト排出処理で示した
図15(a)ないし
図16(b)と同じである。
【0094】
第2シフト排出処理では、
図25(a)、(b)に示すように、シートSの第1搬送方向の下流端(先端)が処理前ローラ211A、212Aの処理前ニップ部211aを通過し、且つ、シートSの先端が下側排出ローラ230Bを通過しても、上側排出ローラ230Aは下降しない。即ち、この状態では、上側排出ローラ230A、掻き込みパドル240A及び後端落とし部材250Aは、それぞれホームポジションに位置したままである。
【0095】
次いで、
図26(a)、(b)に示すように、シートSの第1搬送方向の上流端(後端)が処理前ローラ211A、212Aの処理前ニップ部211aを通過したら、掻き込みパドル240Aの下降を開始する。そして、
図27(a)、(b)に示すように、掻き込みパドル240Aを戻し位置に、後端落とし部材250Aを下降位置に位置させ、シートSを処理トレイ220上に落とすと共に、掻き込みパドル240AによりシートSを第2搬送方向に搬送する。
【0096】
更に、
図28(a)、(b)に示すように、戻し部材280(ローレットベルト281)も下降させ、掻き込みパドル240A及び戻し部材280によりシートSを第2搬送方向に搬送し、シートSの後端を後端規制部材290に当接させる。その後、
図29(a)、(b)に示すように、掻き込みパドル240A、後端落とし部材250A及び戻し部材280を上昇させる。この状態で、
図30(a)、(b)に示すように、一対の整合板271Aのうち、シフト方向上流側(
図30(a)の上側)の整合板271A(第1シフト部)のみをシートSに向けて移動させ、更にこの整合板271AによりシートSをシフト方向に移動させる。即ち、第2シフト排出処理では、一対の整合板271Aによりシートを挟持せずに、シフト方向上流側の整合板271Aを移動させることでシートSのシフト動作を行う。下流側(
図30(a)の下側)の整合板271Aについては、シフト動作開始時には受入位置に待機しており、シートSのシフト量に応じてこの受入位置からシフト方向に移動する。なお、整合板271Aによるシフト動作時にローレットベルト281を回転した状態でシート上面に接触させても良い。それによりシート後端が後端規制部材290に突き当てられた状態でシフト動作を行うことになるため、シートの挙動が安定する。
【0097】
このように下流側の整合板271Aを受入位置からシートS側に移動させないのは、第2シフト排出処理では、処理トレイ220上に複数枚のシートを載置した状態でシフト動作を可能とするためである。即ち、2枚目以降のシートに対してシフト動作を行う場合、下流側の整合板271Aを受入位置からシート側に移動させた場合、1枚目のシートもこの下流側の整合板271Aに押されて移動されることになり、1枚目のシートの整合性が乱れる可能性があるためである。
【0098】
シートSのシフト動作が完了すると、
図31(a)、(b)に示すように、上側排出ローラ230Aを挟持位置まで下降させ、シートSを上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとでニップする。上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BとでシートSをニップしたら、
図32(a)、(b)に示すように、一対の整合板271AをシートSから退避させる。この例では1枚のシートSに対して第2シフト排出処理を行う場合について説明するが、2枚以上の複数枚のシートに対して第2シフト排出処理を行う場合には、この状態から上側排出ローラ230Aを上昇させ、上述したシートSと同様に、2枚目以降のシートのシフト動作を行う。
【0099】
シフト動作を行ったシートを排出する際には、上側排出ローラ230Aを挟持位置に位置された状態で、即ち、
図32(a)、(b)の状態で、
図33(a)、(b)に示すように、下側排出ローラ230Bを回転させて、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BとでニップしたシートSを、積載トレイ300に排出する。積載トレイ300にシートSを排出したら、
図34(a)、(b)に示すように、シート押さえパドル320AによりシートSの後端を押さえる。この際、一対の整合板271Aは、次のシートを受け入れるべく、受入位置まで移動する。
【0100】
このように整列性優先モードでは、シートSを処理トレイ220上で整合及びシフト動作を行うため、シートSの整列性を生産性優先モードよりも良好にできる。但し、整列性優先モードでは、シートを一旦、処理トレイ220上に載置する動作があるため、生産性優先モードに比べて処理に時間がかかってしまう。しかしながら、ラージサイズのシートの場合、画像形成装置100内の処理でも時間がかかる。このため、ラージサイズのシートに対して整列性優先モードを実行した場合、画像形成装置100の生産性に適した生産性でシフト動作を行え、更に、シートの整列性を良好にできる。なお、ラージサイズのシートであっても、上述したような生産性優先モードを実行するようにしても良い。
【0101】
このような本実施形態の場合、ステープルモード、第1シフト排出処理及び第2シフト排出処理を行う場合に、共通の駆動源であるフロント側整合板移動モータMT16及びリア側整合板移動モータMT17と、共通の整合板271Aによりそれぞれの処理を行うようにしている。このため、それぞれの処理のために別々の整合板や駆動源が必要な構成に比べて低コスト化を図れる。
【0102】
なお、上述の例では、第1シフト排出処理と第2シフト排出処理において、シフト動作を行う際に、上側排出ローラ230Aを下側排出ローラ230Bから離間させた状態で行った。但し、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとのニップ圧を低くした状態でシフト動作を行うようにしても良い。即ち、上述の例では、上側排出ローラ230Aを移動させるための駆動構成600は、上側排出ローラ230Aを挟持位置と離間位置、更には退避位置に移動させる排出回転体移動部材として機能している。但し、この駆動構成600を、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとでシートを挟持するニップ圧を第1ニップ圧と第1ニップ圧よりも弱い第2ニップ圧とに切り替える排出回転体ニップ圧切り替え機構として機能させるようにしても良い。そして、シフト動作を、ニップ圧を第2ニップ圧とした状態で行うようにしても良い。第1ニップ圧は上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとでシートを排出する際のニップ圧である。
【0103】
また、上述の例では、第1シフト排出処理において、シートが処理前ローラ211A、212Aの処理前ニップ部211aを通過してからシフト動作を行っていたが、シートが処理前ニップ部211aにある状態でシフト動作を行うようにしても良い。処理前ローラ211A、212Aの何れか一方を、シートを挟持する挟持位置と、互いに離間する離間位置とに移動可能とし、第1シフト排出処理におけるシフト動作時に処理前ローラ211A、212Aを離間位置に移動させるようにしても良い。また、処理前ローラ211A、212Aのニップ圧を第1ニップ圧と、第1ニップ圧よりも弱い第2ニップ圧とに切り替え可能とし、第1シフト排出処理におけるシフト動作時に第2ニップ圧としても良い。処理前ローラ211A、212Aのニップ圧の切り替えや挟持位置と離間位置への移動の機構は、第2の実施形態と同様にしても良い。また、スモールサイズのシートはシート後端が処理前ニップ部211aを通過した後に一対の整合板271Aによるシフト動作を行い、ラージサイズのシートは、シート先端が排出ニップ部230aを通過し、且つ、シート後端が処理前ニップ部211aを通過する前に一対の整合板271Aによるシフト動作を行うようにしてもよい。これにより、ラージサイズのシートの一対の整合板271Aが当接する部分がシートの重心位置に近くなり、シフト動作時のシートが回転する力を小さくすることができる。
【0104】
また、上述の例では、第1シフト排出処理を実行する際に、シートSが上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとの間で且つ上側排出ローラ230Aが離間位置に位置づけられた状態(もしくは第2ニップ圧の状態)で一対の整合板271Aをシフト方向に移動させてシートSをシフトさせる。そして、第2シフト排出処理を実行する際も同様にシートSが上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとの間で且つ上側排出ローラ230Aが離間位置に位置づけられた状態(もしくは第2ニップ圧の状態)で一対の整合板271Aをシフト方向に移動させてシートSをシフトさせる。さらに、ステープルモードを実行する場合、処理トレイ220上のシートSのシート幅方向の整合を行う際は、同様にシートSが上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとの間で且つ上側排出ローラ230Aが離間位置に位置づけられた状態(もしくは第2ニップ圧の状態)で一対の整合板271Aをシフト方向に移動させてシート幅方向の整合を行う。
【0105】
つまり、第1シフト排出処理において一対の整合板271Aを用いてシートSをシフトさせる際はシートSをニップしている部材のニップ解除(もしくはニップ圧を第2ニップ圧に変更)する必要があるが、そのニップ解除機構(上側排出ローラ230Aを挟持位置と離間位置とに移動する機構)が第1シフト排出処理専用に設けられたものではなく、第2シフト排出処理やステープルモードでも兼用している。よって上述した第1の実施形態では、後述の第2の実施形態に比べてニップ解除機構が共通化されており、その分低コストでステープルモード、第1シフト排出処理及び第2シフト排出処理を行うことができる。
【0106】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、
図35ないし
図79を用いて説明する。本実施形態の画像形成システム1000は、第1の実施形態の画像形成システム1000Aと同様の概略構成を有する。即ち、
図35に示すように、本実施形態の画像形成システム1000は、画像形成装置100、パンチユニット150、シート処理装置200を有する。画像形成装置100及びパンチユニット150の構成は第1の実施形態と同じである。但し、シート処理装置200は、以下のように第1の実施形態のシート処理装置200Aと異なる点がある。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、以下、本実施形態のシート処理装置200について説明する。
【0107】
[シート処理装置]
本実施形態のシート処理装置200の構成について、
図36ないし
図49を用いて説明する。まず、シート処理装置200の全体構成について、
図36及び
図37(a)、(b)を用いて説明する。
【0108】
[シート処理装置の全体構成]
シート処理装置200は、搬送パス210、載置部としての処理トレイ220、排出ローラ(ニップ部材)230、第2搬送部としての掻き込み部240、シート落とし部材としての後端落とし部材250、排出ベルト(束出しベルト)260、シフト部としての整合部270、戻し部材280、後端規制部材290、積載トレイ300、立ち面310、シート押さえベルト320などを有する。なお、排出ローラ230及び排出ベルト260が排出部及び一対の排出回転体に相当する。画像形成装置100又はパンチユニット150から受け取ったシートは、搬送パス210に搬送される。
【0109】
搬送パス210から搬送されたシートは、シートを処理するモードに応じて、積載トレイ300に直接排出されるか、処理トレイ220に載置される。なお、積載トレイ300への直接排出とは、処理トレイ220上でステープル処理を実行可能な位置まで逆搬送することなくシートを積載トレイ300に排出することである。言い換えれば、シート処理装置200は、ステープルユニット400によってステープル処理が施されたシートを積載トレイ300に排出するモードと、ステープルユニット400によるステープル処理を行わずにシートを積載トレイ300に排出するモードを有する。本実施形態では、処理トレイ220に載置しないで、整合部270によりシートの整合を可能としている。また、処理トレイ220でもシートの整合が可能であり、処理トレイ220に載置されたシートに対してステープルユニット400によりステープルを可能としている。また、処理トレイ220に載置されたシート又はシート束は、排出ベルト260などにより積載トレイ300に排出可能となっている。以下、各部の構成について詳しく説明する。
【0110】
[搬送パス]
搬送パス210は、シートを所定方向(第1搬送方向)に搬送する経路であり、搬送パス210には、第1回転体としての処理前ローラ211、第2回転体としての搬送ベルト212、第3回転体としての上流ローラ213、ローレットベルト214が配置されている。これらは、それぞれシートの搬送方向(所定方向、
図37(a)の矢印β方向(左右方向))に交差するシートの幅方向(
図37(a)の矢印γ方向(上下方向))に離間するように一対配置されている。
【0111】
搬送ベルト212は、シート処理装置200に受け入れたシートの下面を支持するように、搬送パス210の所定方向全域に配置された無端状のベルトである。搬送ベルト212は、一対のローラ212a、212bに掛け渡されており、一方のローラ212aが駆動されることで回転する。搬送ベルト212の所定方向上流端部には、上流ローラ213が配置されており、搬送パス210の入口で上流ローラ213と搬送ベルト212とでシートを挟持して(ニップして)、該シートを搬送する。
【0112】
搬送ベルト212の所定方向下流端部には、処理前ローラ211が配置されており、処理前ローラ211と搬送ベルト212とでシートを挟持搬送可能な処理前ニップ部211aを形成する。また、処理前ローラ211及び搬送ベルト212が第1搬送部及び一対の搬送回転体に相当する。そして、処理前ニップ部211aでシートを挟持して所定方向に搬送し、搬送パス210からシートを排出する。本実施形態では、処理前ローラ211と搬送ベルト212とが搬送回転体対及び搬送手段を構成する。後述するように、処理前ローラ211は、搬送ベルト212に対する当接圧(ニップ圧)を変更可能である。
【0113】
処理前ローラ211は、搬送ベルト212と同様に回転駆動されるが、搬送ベルト212が回転駆動されるため、回転駆動されずに搬送ベルト212に従動回転する構成であっても良い。また、本実施形態では、複数のローラと搬送ベルトとで搬送パス210を構成しているが、搬送パスは、搬送ベルトの上方に複数の球体を任意方向に回転可能に配置した構成としても良い。この構成の場合、詳しくは後述するように、処理前ローラ211のニップ圧を小さくするなどのニップ圧の調整を行うことなく、搬送パスにシートがある状態でもシートのシフトを行うことが可能となる。
【0114】
ローレットベルト214は、回転軸が搬送ベルト212を張架する下流側のローラ212aと同軸上に配置されており、ローラ212aと共に回転可能である。このようなローレットベルト214は、搬送ベルト212の所定方向下流端よりも下流側に突出するように設けられており、処理前ローラ211と搬送ベルト212とでシートを排出する際に、シートの後端(所定方向上流端)が処理前ニップ部211aに残りにくくするものである。
【0115】
[処理トレイ]
処理トレイ220は、搬送パス210のシート搬送方向下流側で、且つ、搬送パス210の鉛直方向下方に配置されている。また、処理トレイ220は、所定方向上流側が下流側よりも低くなるように水平面に対して傾斜している。処理トレイ220は、搬送パス210から搬送されたシートを載置可能であり、複数のシートを重ねて積載可能であり、処理トレイ220上で整合部270によりシートの幅方向の整合や幅方向への移動(シートのシフト)が行われる。また、処理トレイ220の所定方向上流端には、処理トレイ220に載置されたシートの所定方向上流端(後端)を規制する規制手段及び処理側規制手段としての後端規制部材290が配置されている。
【0116】
また、処理トレイ220の所定方向上流側には、処理部としてのステープルユニット400が配置されている。ステープルユニット400は、処理トレイ220で幅方向の整合、後端の規制が行われたシート束に対して、所定の処理としてのステープル処理を行う。ステープルユニット400は、シート束に対するステープル位置を変更可能であり、ステープル位置に応じて移動する。なお、所定の処理は、ステープル以外に、パンチなどの他の処理であっても良い。処理トレイ220に載置されたシート又はシート束は、後述するように、排出ローラ230、掻き込み部240、排出ベルト260により積載トレイ300に排出される。
【0117】
[排出ベルト]
排出ベルト260は、排出ローラ230との間でシートを挟持して搬送する排出回転体対及び排出部を構成する。排出ベルト260は、少なくとも2つの張架ローラ261、262により張架されている。即ち、本実施形態では、排出ベルト260は、2つの張架ローラ261、262により張架されているが、排出ベルト260を張架する張架ローラは3つ以上であっても良い。また、本実施形態では、排出ベルト260は、シートの幅方向に関して離間した位置に3つ配置されている。これら3つの排出ベルト260のうち、中央の排出ベルト260は、後述する掻き込み部240との間でシートを挟持可能な位置に、両側の排出ベルト260は、それぞれ排出ローラ230との間でシートを挟持可能な位置に、それぞれ配置されている。
【0118】
排出ベルト260は、所定方向に沿って配置されており、張架ローラ261が回転駆動されることで回転し、処理トレイ220上のシート又はシート束を積載トレイ300に向けて搬送する。即ち、張架ローラ261が排出ベルト260を駆動する駆動ローラである。なお、処理トレイ220上のシート又はシート束を積載トレイ300に向けて搬送可能であれば、排出ベルトに代えて排出ローラなどの他の回転体としても良い。
【0119】
[掻き込み部]
移送手段、処理側搬送手段及び落下部材としての掻き込み部240は、処理トレイ220に載置されたシートを後端規制部材290に向けて移送する。掻き込み部240は、処理前ローラ211と搬送ベルト212とでシートをニップする処理前ニップ部211aの鉛直方向上方に位置する第1位置から、処理トレイ220に載置されたシートの上面に当接して該シートを後端規制部材290に向けて移送可能な第2位置までの間で移動可能である。
【0120】
掻き込み部240は、第2位置において、処理トレイ220に載置されたシートを排出ベルト260との間で挟持する。掻き込み部240が排出ベルト260との間でシートを挟持する位置は、後述する排出ローラ230が排出ベルト260との間でシートを挟持する位置よりも所定方向上流側である。即ち、掻き込み部240は、第2位置において、所定方向に関して処理前ローラ211と、後述する排出ローラ230と排出ベルト260とでシートをニップする位置(排出ニップ部)の間に位置する。
【0121】
このような掻き込み部240は、正逆両方向に回転駆動され、上述のように処理トレイ220上のシートを後端規制部材290に向けて、即ち、所定方向上流側に搬送可能であると共に、排出ベルト260と共に、処理トレイ220に載置されたシートを所定方向下流側に搬送可能である。即ち、掻き込み部240は、後述するように掻き込みベルト240aを備え、掻き込みベルト240aを正逆両方向に回転駆動可能である。そして、第2位置において、処理トレイ220上のシートと当接し、この状態で掻き込みベルト240aを正方向に回転することで、該シートを後端規制部材290に向けて搬送する。一方、掻き込みベルト240aを逆方向に回転することで、処理トレイ220上のシート又はシート束を積載トレイ300に向けて搬送する。
【0122】
処理トレイ220に載置されたシート又はシート束は、後述する排出ローラ230と排出ベルト260により挟持されて積載トレイ300に排出されるが、排出ローラ230と排出ベルト260による搬送だけでは、特にシート束を確実に排出できない可能性がある。従来、後端規制部材290をシート束を排出する側に移動させることでシート束の排出をアシストしていたが、本実施形態では、このような構成を採用しておらず、後端規制部材290はシート束を排出する方向には移動しない。そこで、本実施形態では、シート束の排出をアシストするために、掻き込み部240により処理トレイ220に載置されたシート束を積載トレイ300に向けて搬送するようにしている。
【0123】
特に、本実施形態では、掻き込み部240が、第2位置において、所定方向に関して処理前ローラ211と排出ニップ部との間に位置するため、処理トレイ220上のシートに対してより駆動を伝達し易い。即ち、処理トレイ220上のシートは、所定方向下流側が処理トレイ220から積載トレイ300に向けて垂れ下がっている。したがって、シートが排出ニップ部でニップされている状態では、排出ニップ部よりも所定方向下流側が垂れ下がり、上流側が浮き上がるようになる。そこで、本実施形態では、処理トレイ220上のシートの排出ニップ部よりも上流側の浮き上がる部分を、掻き込み部240に押さえつけるようにすることで、掻き込み部240の駆動を効率よくシートに伝達でき、シート排出のアシストを効率よく行える。
【0124】
また、掻き込み部240は、第2位置において、処理トレイ220に載置されたシート又はシート束を排出ベルト260との間で挟持している。即ち、シート又はシート束を挟んで排出ベルト260と対向する位置で、掻き込み部240によりシートの上面を押圧する。このため、排出ベルト260によるシート又はシート束の搬送力を高めることができる。更に、掻き込み部240をできるだけ排出ニップ部に近い位置でシートに当接するようにすれば、掻き込み部240によるアシストをより長い時間行うことができる。
【0125】
掻き込み部240は、移送ベルトとしての掻き込みベルト240a、掻き込みベルト240aを張架する少なくとも2つのコロ240b、240cとを有する。即ち、本実施形態では、掻き込みベルト240aは、2つのコロ240b、240cにより張架されているが、掻き込みベルト240aを張架するコロは3つ以上であっても良い。掻き込み部240は、第2位置において2つのコロ240b、240cにより張架された掻き込みベルト240aの張架面が処理トレイ220に載置されたシートに当接可能である。即ち、掻き込み部240は、広い接触面積で処理トレイ220上のシートと当接可能であり、これにより、シートに対して搬送方向への駆動を伝達し易くしている。言い換えれば、シートと接触する面が増加、安定することにより、搬送効率が向上するので接触圧を下げることができる。この結果、シート搬送時のダメージ発生を低減できる。
【0126】
ここで、本実施形態において、掻き込みベルト240aと排出ベルト260との接触位置の関係は、
図38(a)のようにしている。即ち、掻き込みベルト240aは、第2位置において、2つの張架ローラ261、262の間で排出ベルト260が張架された部分とシートを挟持するようにしている。但し、掻き込みベルト240aと排出ベルト260との接触位置の関係は、
図38(b)、(c)のようにしても良い。
【0127】
即ち、
図38(b)に示すように、掻き込みベルト240aは、第2位置において、2つの張架ローラ261、262のうちの所定方向上流側の張架ローラ262と、排出ベルト260を介してシートを挟持するようにしても良い。また、
図38(c)に示すように、掻き込みベルト240aは、第2位置において、2つのコロ240b、240cの間で掻き込みベルト240aが張架された部分が、2つの張架ローラ261、262のうちの所定方向上流側の張架ローラ262と、排出ベルト260を介してシートを挟持するようにしても良い。
【0128】
なお、掻き込み部240は、ベルト以外にローラなどの他の回転体であっても良い。例えば、ローラの場合、ローラが2つの張架ローラ261、262の間で排出ベルト260が張架された部分とシートを挟持するようにしても良いし、ローラが2つの張架ローラ261、262のうちの所定方向上流側の張架ローラ262と、排出ベルト260を介してシートを挟持するようにしても良い。但し、掻き込み部240は、処理トレイ220上のシートとの接触面積を確保する上では、本実施形態のようにベルトにより構成することが好ましい。
【0129】
このような掻き込み部240は、移動手段及び第1回動手段としての掻き込み回動機構241により、第1位置から第2位置までの間で第1回動軸としての回動軸242を中心に回動させられる。言い換えれば、掻き込み部240は、第1位置から第2位置までの間で昇降可能である。掻き込み回動機構241は、掻き込み部240を支持する第1支持部材としての掻き込みアーム243と、掻き込みアーム243を回動可能に支持する回動軸242と、を備え、掻き込みアーム243の先端に支持された掻き込み部240を回動軸242を中心に回動可能である。
【0130】
ここで、掻き込み部240は、上下方向に沿って移動することが好ましく、掻き込み部240を第1位置から第2位置までの間で移動させる機構を直動機構とすることが考えられる。但し、直動機構を採用した場合、例えば、上下方向にモータや直動用の軸を配置するなどして、装置が上下方向に大型化してしまう虞がある。上述のように、本実施形態のシート処理装置200は、画像形成装置100の胴内空間130に配置するため、上下方向の寸法が大きくなることは好ましくない。したがって、本実施形態では、掻き込み部240を回動軸242を中心に回動させる掻き込み回動機構241を採用している。なお、上下方向の寸法を確保できるシート処理装置であれば、掻き込み部240を昇降させる機構として直動機構を採用しても良い。また、この回動軸242と掻き込み部240との距離をできるだけ大きくし、回動半径を大きくすることで、できるだけ上下方向に沿った方向で掻き込み部240を移動可能としている。
【0131】
回動軸242は、接触位置において排出ローラ230が排出ベルト260との間でシートをニップする排出ニップ部よりも所定方向下流側に配置されている。これにより、掻き込み部240の回動軌跡(回動半径)を大きくでき、直動動作に近い動きが可能になる。また、掻き込み部240は、第1位置において、処理前ローラ211と搬送ベルト212とでシートをニップする処理前ニップ部211aよりも鉛直方向上方に位置し、回動軸242は、第1位置における掻き込み部240よりも鉛直方向上方に位置する。
【0132】
後述するように、排出ローラ230の回動軸232は、排出ニップ部よりも所定方向上流側に配置されており、回動方向は、処理前ニップ部211aから搬送されるシートとの関係で
図37(b)の反時計方向とすることが好ましい。一方、掻き込み部240の回動軸242は、上述のように回動半径を大きくすることが要求されると共に、第2位置は、排出ニップ部よりも所定方向上流側とすることが好ましい。このような観点から、本実施形態では、回動軸242を排出ニップ部よりも所定方向下流側に配置し、掻き込み部240の回動方向を排出ローラ230の回動方向と逆側、即ち、
図37(b)の矢印R1方向(時計方向)としている。そして、互いの回転軌跡が幅方向から見て重複するようにしている。
【0133】
即ち、掻き込み部240を支持する掻き込みアーム243の回動軌跡は、回動軸242よりも排出ローラ230の回動軸232側(第2回動軸側)にある。一方、後述する排出ローラ230を支持する排出アーム233の回動軌跡は、回動軸232よりも掻き込み部240の回動軸242側(第1回動軸側)にある。そして、掻き込みアーム243の回動軌跡は、シートの搬送方向に交差するシートの幅方向から見た場合に、排出アーム233の回動軌跡の一部と重複している。このために、本実施形態では、排出ローラ230と掻き込み部240とが幅方向に関してずれた位置に配置している。具体的には、2つの排出ローラ230を幅方向両側に、1つの掻き込み部240を2つの排出ローラ230の間に配置するようにしている。このように構成することで、掻き込み部240の回動半径を大きくできると共に、掻き込み部240を排出ニップ部よりも所定方向上流側で処理トレイ220上のシートと接触可能としている。
【0134】
本実施形態では、上述のように、掻き込み部240の回動半径を大きくすべく、回動軸242を
図35に示すシート処理装置200の排出口201の上方に配置している。シート処理装置200の排出口201には、ステープルユニット400に指などが入らないように、庇部202を設けている。特に、本実施形態では、低コスト化のために処理トレイ220の長さを短くしているため、ステープルユニット400に指などが届きやすいが、庇部202を設けることで、排出口201から指などがステープルユニット400に届かないようにしている。仮に、このような庇部202を設けなかった場合、指などの侵入を検知してステープルユニット400の動作を自動的に停止するなどの安全スイッチなどを設ける必要があり、コストが高くなる。
【0135】
このような理由により、排出口201の上方には庇部202を設けているが、本実施形態では、この庇部202を設けることで、掻き込み部240の回動軸242を排出口201の近傍に設けることが可能となっている。これにより、回動軸242を処理トレイ220の上方で移動する掻き込み部240から離すことができ、掻き込み部240の回動半径を大きくして、掻き込み部240の移動方向をできるだけ直線方向に沿った方向としている。
【0136】
掻き込み部240をできるだけ直線方向に沿った方向に移動させるのは、掻き込み部240が第1位置と第2位置とにある状態で、掻き込みベルト240aの張架面の角度の変化を少なくするためである。即ち、第2位置では、掻き込みベルト240aとシートとの接触面積を確保するために、掻き込みベルト240aの張架面が処理トレイ220のシート載置面又は処理トレイ220上のシートの上面と略平行となるように構成されている。なお、略平行とは、例えば、張架面のシート上面に対する角度が±5°以内である。掻き込み部240の回動半径が小さいと、掻き込み部240を第1位置に移動させた際に、掻き込みベルト240aの張架面が立ち上がるような状態となり、第1位置における掻き込み部240の上下方向の寸法が大きくなってしまう。そうすると、この寸法分の空間を確保するために装置が大型化してしまう。そこで、本実施形態では、掻き込み部240の回動半径を大きくするようにしている。
【0137】
なお、処理トレイ220に載置されるシートの枚数が増えると、掻き込みベルト240aがシートと接触する位置が上昇する。このため、掻き込みベルト240aの張架面の角度が変更しない機構の場合、シートの積載量によって掻き込みベルト240aとシートとの接触面積が変わってしまう。このため、掻き込みベルト240aの角度を変更可能な機構を追加しても良い。例えば、
図39(a)、(b)に示すように、掻き込みベルト240aを張架するコロ240b、240cをアーム240dにより連結し、所定方向上流側のコロ240cに回動軸240eを設けることで、掻き込みアーム243に対して掻き込みベルト240aが回動軸240eを中心に回動可能とする。そして、所定方向下流側のコロ240bがシートに向けて付勢されるように、圧縮バネかねじりバネを設けることで、シートの表面に追従して掻き込みベルト240aの張架面の角度が変わるようにする。これにより、処理トレイ220上のシートの積載量に拘わらず、掻き込みベルト240aの張架面を広い接触面積でシートの上面に接触可能となる。
【0138】
また、本実施形態の場合、掻き込み部240は、処理前ローラ211から搬送されるシートの後端(所定方向上流端)を処理トレイ220に向けて落とす落下部材としても機能する。即ち、掻き込み回動機構241は、処理前ローラ211と搬送ベルト212によりシートを搬送しているときには掻き込み部240を第1位置に位置させる。一方、掻き込み回動機構241は、該シートの所定方向上流端(後端)が処理前ローラ211と搬送ベルト212の処理前ニップ部211aを通過した後に掻き込み部240を第1位置から第2位置に移動させて、該シートを処理トレイ220に向けて落とす。これにより、シートの後端が処理前ニップ部211aに残ることを抑制している。なお、掻き込み部240の第1位置から第2位置への移動開始タイミングはシート搬送方向上流端が処理前ニップ部211aを通過する前でもよく、シート搬送方向上流端が処理前ニップ部211aを通過した後に第2位置への移動が完了してシートを処理トレイ220に落とすことができればよい。また、後述する後端落とし部材250の移動タイミングについても同様である。
【0139】
特に、本実施形態では、処理前ローラ211と搬送ベルト212によりシートを搬送しているときには掻き込み部240を第1位置に位置させている。即ち、掻き込み部240は、処理前ニップ部211aの上方で待機している。このため、処理前ニップ部211aを通過したシートの後端部の上面に掻き込み部240を当接させ、更に下方に押す動作を行い易く、より確実にシートの後端を処理トレイ220に落とすことができる。また、シートの後端落としても機能する掻き込み部240は、上述のように2つのコロ240b、240cにより張架された掻き込みベルト240aを有する。そして、本実施形態では、シートの後端を落とす際に掻き込みベルト240aの張架面をシートの上面に当接させるようにしている。このため、例えば、掻き込み部がローラである場合よりもシートとの接触面積を確保でき、シートの後端落としをより確実に行える。
【0140】
[後端落とし部材]
上述の掻き込み部240は、シートの幅方向中央に位置し、この掻き込み部240のみではシートの後端を十分に落とせない可能性がある。このため、本実施形態では、上流端落とし部材としての後端落とし部材250を更に備えている。後端落とし部材250は、掻き込み部240の両側に一対設けられている。即ち、一対の後端落とし部材250は、シートの搬送方向に交差するシートの幅方向に関して掻き込み部240の両側に配置され、掻き込み部240と連動して上下方向に移動することで、シートの所定方向上流端が処理前ニップ部211aを通過した後に、該シートの所定方向上流側(シート搬送方向上流側)の上面に当接して、シートの上流端部(後端部)を処理トレイ220に向けて落とすように動作する。
【0141】
このような一対の後端落とし部材250は、それぞれ板状の部材で、掻き込み部240と同様に、回動軸242に回動可能に支持されている。そして、掻き込み回動機構241により掻き込み部240と共に、上下方向に回動する。掻き込み部240が第1位置にある場合、一対の後端落とし部材250の先端は、掻き込み部240と同様に処理前ニップ部211aよりも上方に位置する。また、掻き込み部240が第2位置にある場合、一対の後端落とし部材250は、シートと当接する面(先端部の下面)が掻き込み部240のシートと当接する面よりも上方に位置する。そして、後端落とし部材250の先端部の下面は、処理トレイ220に載置されたシートがカールしている場合にはカールしている部分の上面に、シート束が排出される際にシート束の後端が持ち上がった場合にはこの持ち上がった部分の上面に当接する。なお、後端落とし部材250が、第2位置において、シート又はシート束を挟んで排出ベルト260と対向するように配置されている場合には、掻き込み部240と同様に、処理トレイ220に載置されたシート又はシート束の上面に当接するようにしても良い。このように、後端落とし部材250が排出ベルト260との間でシートを挟む位置にある場合には、第2位置において、掻き込み部240の幅方向両側で後端落とし部材250によりシート又はシート束の上面を押えているため、シート又はシート束をより確実に排出ベルト260に向けて押圧することができ、シート又はシート束の搬送をより確実に行える。なお、一対の後端落とし部材250の先端部は、第2位置において処理トレイ220上のシートの上面を略平行となるように折り曲げられた折り曲げ部251としている。一対の後端落とし部材250の回動軌跡は、掻き込み部240及び掻き込みアーム243と同様である。
【0142】
[戻し部材]
戻し部材280は、上述のように掻き込み部240により後端規制部材290に向けて搬送されたシートを更に後端規制部材290に向けて搬送し、シートの後端を後端規制部材290に当接させて、シートの後端位置を規制するものである。このような戻し部材280は、ローレットベルト281により構成され、ローレットベルト281を回転駆動することで、掻き込み部240により所定方向上流側に搬送されたシートを更に掻き込んで、後端を後端規制部材290に当接させる。戻し部材280は、シートに当接可能な当接位置と、当接位置から上方に退避した退避位置に移動可能であり、詳しくは後述するように、シートを後端規制部材290に向けて搬送する場合には当接位置に、処理トレイ220上のシートを積載トレイ300に向けて搬送する際には退避位置に、それぞれ移動する。
【0143】
[排出ローラ]
排出ローラ230は、排出ベルト260と共に排出回転体対及び排出部を構成する。上側排出回転体としての排出ローラ230は、処理トレイ220に載置されたシートの上面に接触する接触位置と、接触位置から上方に退避した退避位置とに移動可能であり、接触位置で排出ベルト260との間でシートを挟持する。即ち、排出ローラ230は、接触位置で排出ベルト260との間でシートをニップするニップ部材として機能する。排出ローラ230は、シートの幅方向に離間して2つ配置されており、上述のように、それぞれの排出ローラ230が接触位置で、対応する排出ベルト260との間でシートを挟持可能としている。
【0144】
また、本実施形態の場合、排出ローラ230は、幅方向に離間して2つ配置されている。即ち、排出ローラ230は、一対の後端落とし部材250のうち、片側の後端落とし部材250と掻き込み部240との間、及び、他側の後端落とし部材250と掻き込み部240との間のそれぞれに、1つずつ配置されている。これら2つの排出ローラ230は、接触位置で幅方向両側の排出ベルト260とそれぞれシート又はシート束を挟持する。そして、排出ベルト260が回転することで、排出ローラ230と排出ベルト260とで挟持したシート又はシート束を搬送する。このように幅方向に離間した位置で排出ローラ230と排出ベルト260とでシート又はシート束を挟持搬送すれば、シート又はシート束搬送時にスキューが発生しにくい。また、この際、幅方向中央の排出ベルト260と掻き込み部240とでシート又はシート束を挟持し、シート又はシート束の排出をアシストするようにしているため、シート又はシート束排出時に幅方向の3個所で搬送力をシートに伝達することができ、スキューを抑制しつつ、より確実にシート又はシート束の排出を行える。
【0145】
排出ローラ230は、排出ベルト260の回転に従動して回転する従動ローラであるが、駆動するようにしても良い。即ち、本実施形態では、排出ローラ230を従動回転体、排出ベルト260を駆動回転としている。また、排出ローラ230は、接触位置で排出ベルト260との間でシートを挟持可能なニップ部材として機能するが、このニップ部材は、ローラに代えてベルトなどの他の回転体であっても良いし、レバー部材のように回転せずにシートと当接する当接部材であっても良い。
【0146】
排出ローラ230は、接触位置で、排出ベルト260を張架する張架ローラ261、252のうち、下流側の張架ローラ261と排出ベルト260を介して対向するように配置されている。これにより、接触位置において、排出ローラ230と張架ローラ261との間で排出ベルト260を介してシートを挟持可能とし、シートより確実に挟持搬送できるようにしている。
【0147】
排出ローラ230は、第2回動手段としての排出ローラ回動機構231により、第2回動軸としての回動軸232を中心に接触位置から退避位置までの間で回動可能となっている。言い換えれば、排出ローラ230は、接触位置から退避位置までの間で昇降可能である。排出ローラ回動機構231は、排出ローラ230を支持する第2支持部材としての排出アーム233と、排出アーム233を回動可能に支持する回動軸232と、を備える。そして、排出アーム233の先端に支持された排出ローラ230を回動軸232を中心に回動可能である。排出ローラ回動機構231の詳しい構成については後述する。
【0148】
回動軸232は、接触位置において排出ローラ230が排出ベルト260との間でシートをニップする排出ニップ部よりも所定方向上流側に配置されている。また、排出ローラ230は、退避位置において、処理前ローラ211と搬送ベルト212とでシートをニップする処理前ニップ部211aよりも鉛直方向上方に位置し、回動軸232は、退避位置における排出ローラ230よりも鉛直方向上方に位置する。
【0149】
排出ローラ230は、回動軸232及び処理前ニップ部211aとの位置関係を上述のように規定しているため、退避位置にある状態では、処理前ニップ部211aを通過したシートが積載トレイ300に向かうことを許容する。一方、排出ローラ230は、回動軸232を中心に
図37(b)の矢印R2方向(反時計方向)に回動することで、退避位置から接触位置に向けて下方に移動する。この際、処理前ニップ部211aを通過したシートが通る経路に排出アーム233が侵入し、該シートを下方に案内する役割も有する。具体的には、処理前ニップ部211aを通過したシートを排出アーム233により案内する場合には、排出ローラ230が、上下方向に関して接触位置と退避位置との間の位置であるガイド位置に停止する。そして、排出ローラ230がガイド位置から更に下方の接触位置に移動することで、該シートを排出ローラ230と排出ベルト260との間で挟持可能となる。
【0150】
[整合部]
整合手段及びシフト部としての整合部270は、第1シフト部及び第2シフト部としての一対の整合板271を有する。一対の整合板271は、搬送パス210のシート搬送方向下流端部(所定方向下流端部)よりも更に下流側に配置され、シート搬送方向に交差するシートの幅方向に移動してシートの幅方向端縁に当接することでシートの幅方向の整合を行う。本実施形態では、処理トレイ220に載置されるシートの幅方向両側にそれぞれ配置され、それぞれ幅方向に移動可能である。また、一対の整合板271の構成は同じである。一対の整合板271は、第1駆動部及び第2駆動部としてのフロント側(F側)整合板移動モータMT5及びリア側(R側)整合板移動モータMT6(
図49参照)の駆動によりシフト方向に移動する。
【0151】
また、一対の整合板271は、第1当接部272と第2当接部273を有する。第1当接部272は、搬送パス210のシート搬送方向下流端部よりも更に下流側で、搬送パス210から処理トレイ220側に垂れ下がったシートの幅方向端縁に当接可能である。即ち、第1当接部272は、搬送パス210を搬送されるシートの先端(所定方向下流端)が処理前ニップ部211aを通過し、後端が処理前ニップ部211aを通過していない状態で、搬送パス210から処理前ニップ部211aに垂れ下がった状態で、シートの幅方向端縁と当接可能な位置に設けられている。なお、本実施形態では第1当接部272は搬送パス210のシート搬送方向下流側端部よりも更に下流側に配置されていることを示したが、第1当接部272を搬送パス210のシート搬送方向下流側端部よりも更に下流側だけでなく、処理前ニップ部211aよりもシート搬送方向上流側に延設して、処理前ニップ部211aを跨いだ状態でシート幅方向端縁に当接するようにしてもよい。
【0152】
第2当接部273は、第1当接部272の下方から第1当接部272よりもシート搬送方向下流に亙って配置され、処理トレイ220に載置されたシートのシート搬送方向下流端が、処理トレイ220のシート搬送方向下流端よりも積載トレイ300側(積載トレイ側)に突出した状態で、シートの幅方向端縁に当接可能である。即ち、第2当接部273は、処理トレイ220に載置された状態のシートの幅方向端縁に当接可能な位置に設けられている。処理トレイ220は、通常、載置されるシートよりも短く、処理トレイ220に載置され、上述のように後端が規制されたシートであっても、シートの先端が積載トレイ300側に垂れ下がった状態となる。第2当接部273は、このような状態のシートの幅方向端縁に当接可能な位置に形成されている。
【0153】
また、第2当接部273は、詳しくは、後述するが、搬送パス210から処理トレイ220側に垂れ下がったシートの幅方向端縁にも、第1当接部272と共に当接可能である。上述したように、排出ローラ230は、退避位置からガイド位置に回動する。排出ローラ230及び排出アーム233は、詳しくは後述するように、搬送パス210から排出されるシートにタイミングを合わせてガイド位置に向けて回動を開始し、搬送パス210から排出途中のシートの先端や上面に当接して、シートを下方に案内するガイド手段としての役目も有する。そして、このようにシートが排出ローラ230及び排出アーム233により下方に案内されることで、シートの幅方向端縁が第1当接部272及び第2当接部273に当接する。
【0154】
ここで、第1当接部272は第2当接部273の鉛直方向上方に位置する。また、一対の整合板271は、上述の後端落とし部材250と干渉しないように切り欠かれた切欠部274を有する。即ち、一対の整合板271は、所定方向に沿って長い第2当接部273と、第2当接部273の所定方向上流側部分から上方に延出するように形成された第1当接部272と、第2当接部273の所定方向下流側部分の上方に形成された切欠部274とを有する。上述のように、後端落とし部材250は、排出ニップ部よりも所定方向下流側の回動軸242を中心に回動するため、一対の整合板271の所定方向下流側部分を切り欠いて、後端落とし部材250との干渉を防止している。
【0155】
一方、上述のように、搬送パス210から垂れ下がったシートの幅方向端縁と当接可能なように、第1当接部272を第2当接部273の所定方向上流側部分の上方に設けている。更に、搬送パス210から垂れ下がったシートの幅方向端縁が第2当接部273と当接可能となるように、第2当接部273を切欠部274の下方にも存在するように形成している。
【0156】
詳しくは後述するように、搬送パス210から垂れ下がったシートの幅方向端縁に当接させる場合には、処理前ローラ211のニップ圧をほぼ0として、シートが搬送パス210にある状態でも、一対の整合板271によりシートの整合、或いは、シートの幅方向への移動(シフト)を可能としている。また、第2当接部273は、上述のように搬送パス210から垂れ下がったシートの幅方向端縁と第1当接部272と共に当接し、シートの整合、或いは、シートの幅方向の移動を可能としている。更に、第2当接部273は、処理トレイ220に載置されたシートの幅方向端縁に当接可能なように、処理トレイ220のシート載置面に沿って幅方向に移動可能であると共に、所定方向に関して第1当接部272よりも長く形成し、処理トレイ220上のシートの幅方向端縁との接触面積が大きくなるようにしている。
【0157】
[積載トレイ]
積載トレイ300は、上述のように、排出ローラ230及び排出ベルト260により排出されたシートが積載される。積載トレイ300は、処理トレイ220の所定方向下流側で、且つ、鉛直方向下方に昇降可能に設けられている。また、積載トレイ300は、所定方向上流側が下流側よりも低くなるように水平面に対して傾斜している。このような積載トレイ300は、例えば、上下方向に配置されたレールに沿って上下方向に移動可能に支持されており、昇降手段としての昇降モータMT9(
図48)の駆動により昇降する。
【0158】
積載トレイ300の所定方向上流端には、積載トレイ300に積載されたシート又はシート束の所定方向上流端(後端)を規制する積載側規制手段としての立ち面310が設けられている。また、処理トレイ220の所定方向下流端には、少なくとも一部が、立ち面310よりも所定方向下流側に、且つ、処理トレイ220のシート載置面よりも下方にそれぞれ突出するように設けられた無端ベルトとしてのシート押さえベルト320が設けられている。シート押さえベルト320は、上述の戻し部材280と同様のローレットベルトである。
【0159】
積載トレイ300は、昇降モータMT9により第1積載位置から、第1積載位置よりも下方の第2積載位置までの間で昇降可能である。第1積載位置は、積載トレイ上のシートがシート押さえベルト320に接触可能な位置である。また、第2積載位置は、シートを積載トレイ300に排出する際に下降していた積載トレイ300の動作が上昇に切り替わる位置である。
【0160】
詳しくは後述するが、積載トレイ300は、シート又はシート束の排出時に昇降し、積載トレイ300上のシート又はシート束の後端側の上面をシート押さえベルト320に接触する。これにより、積載トレイ300上のシート又はシート束の後端がシート押さえベルト320により押さえられ、その後にシート又はシート束が排出されても、既に積載トレイ300上に積載されているシート又はシート束がずれることを抑制できる。
【0161】
シート押さえベルト320は、このように積載トレイ300上のシート又はシート束の後端を押える機能以外に、回転駆動されることで、積載トレイ300上のシート又はシート束を立ち面310に向けて搬送し、シート又はシート束の後端を立ち面310に突き当てることで、シート又はシート束の後端の整合を行う。このようなシート押さえベルト320は、駆動回転体としての排出ベルト260を駆動する張架ローラ261と同軸上に配置されている。即ち、張架ローラ261の駆動軸261a上にシート押さえベルト320を駆動するローラも設けられており、排出ベルト260及びシート押さえベルト320は、同期して回転する。
【0162】
[シート処理装置の駆動構成]
次に、シート処理装置200の各部の駆動構成500について、
図40ないし
図48を用いて説明する。
図40は、駆動構成500のうち、処理前ローラ211のニップ圧の可変、搬送ベルト212などの駆動、排出ローラ230の昇降を行うための構成を示している。搬送モータMT1は、伝達ベルト501を介して搬送ベルト212を駆動するローラ212aの駆動軸502に駆動を伝達する。駆動軸502上にはローレットベルト214を駆動するローラも設けられているため、搬送モータMT1によりローレットベルト214も回転駆動される。
【0163】
また、搬送モータMT1の駆動は、不図示の伝達機構を介して処理前ローラ211及び戻し部材280に伝達される。したがって、搬送モータMT1により、処理前ローラ211、搬送ベルト212、ローレットベルト214及び戻し部材280が同期して回転駆動される。
【0164】
昇降モータMT3は、排出ローラ230の回動軸232に接続されており、昇降モータMT3が駆動されることで、排出ローラ230が上述のように接触位置から退避位置までの間で昇降する。また、本実施形態の場合、昇降モータMT3の駆動により処理前ローラ211のニップ圧の変更を行えるようにしている。即ち、昇降モータMT3は、第1回転体としての処理前ローラ211と第2回転体としての搬送ベルト212によりシートを挟持するニップ圧を調整可能なニップ圧調整手段(搬送回転体ニップ圧切り替え機構)しても機能する。処理前ローラ211及び搬送ベルト212は、シートを第1搬送方向(所定方向)に搬送する第1搬送部及び一対の搬送回転体に相当する。
【0165】
図41(a)、(b)にこの構成を示す。処理前ローラ211は、ローラ保持部511に保持され、ローラ保持部511は上下方向に移動可能に、即ち、搬送ベルト212のローラ212aに掛け渡された部分に対して遠近動する方向に移動可能である。ローラ保持部511は付勢手段としてのねじりバネ512により処理前ローラ211を搬送ベルト212に押し付ける方向に付勢されている。また、ねじりバネ512は、排出ローラ230の回動軸232に支持されており、回動軸232と共に回動する。
【0166】
具体的には、ねじりバネ512の一端がローラ保持部511に当接しており、回動軸232を挟んだねじりバネ512の他端側の一部が排出ローラ230を支持する排出アーム233に設けられた突出部233aに当接している。これにより、ねじりバネ512がローラ保持部511と突出部233aとの間で弾性的に突っ張った状態で配置される。回動軸232と共に排出アーム233が回動すると、突出部233aと当接しているねじりバネ512の他端側の一部の位置が変わり、ねじりバネ512が回動軸232を中心に回動軸232と共に回動する。これにより、ねじりバネ512によるローラ保持部511を付勢する力が変化し、処理前ローラ211にニップ圧を変更できる。
【0167】
図41(a)は、排出ローラ230が退避位置に位置している状態を示している。この状態では、ローラ保持部511がねじりバネ512に付勢されており、処理前ローラ211が所定のニップ圧(第1の圧力)で搬送ベルト212に当接している。一方、
図41(b)は、排出ローラ230が接触位置に向けて下降している状態を示している。昇降モータMT3の駆動により回動軸232が排出ローラ230を接触位置に向けて下降させる方向に回動すると、これと共にねじりバネ512も回動する。すると、ローラ保持部511に対するねじりバネ512による付勢が解除され、処理前ローラ211の搬送ベルト212に対するニップ圧がほぼ0(第1の圧力よりも小さい第2の圧力)となる。言い換えれば、処理前ローラ211は自重により搬送ベルト212に当接している状態となる。
【0168】
このように本実施形態では、昇降モータMT3を駆動して排出ローラ230を昇降させる動作を行うことに伴って、処理前ローラ211の搬送ベルト212に対するニップ圧を変更可能としている。したがって、後述するように、搬送パス210にシートの一部が残った状態で整合部270による整合動作を行う際には、排出ローラ230を下降させることで処理前ローラ211のニップ圧をほぼ0にすることができる。処理前ローラ211のニップ圧がほぼ0であれば、処理前ローラ211と搬送ベルト212との間でシートが挟持されていても、シートを幅方向に移動可能である。
【0169】
なお、
図40に示すように、回動軸232の端部にはフラグ513が設けられており、このフラグ513をニップ部材HP位置検知センサSN2で検知可能としている。ニップ部材HP位置検知センサSN2は、発光部と受光部とを備えたフォトインタラプタであり、フラグ513が発光部と受光部との間に位置すると、排出ローラ(ニップ部材)230が退避位置、即ち、ホームポジションに位置することを検知する。
【0170】
図42に示すように、昇降モータMT3は、伝達ベルト514及び電磁クラッチCL1を介して掻き込み部240及び後端落とし部材250の回動軸242に接続されている。即ち、排出ローラ230の回動軸232に設けられたプーリ515と、電磁クラッチCL1とギアなどにより駆動連結されたプーリ516とには、伝達ベルト514が掛け渡されている。電磁クラッチCL1は回動軸242に接続されている。
図43及び
図44(a)などに示すように、電磁クラッチCL1と回動軸242との接続は、電磁クラッチCL1に設けられた昇降レバー517と、回動軸242に突設された突起部518との係合により行う。
【0171】
即ち、昇降レバー517は電磁クラッチCL1の出力軸に固定されており、出力軸が回転することで、回動軸242の回動中心を中心として揺動する。突起部518が昇降レバー517の下方で、昇降レバー517と係合可能な位置に設けられている。したがって、昇降レバー517が揺動すると突起部518と係合し、突起部518が設けられた回動軸242が回動する。本実施形態では、後述するように、引っ張りばね252により掻き込みアーム243及び後端落とし部材250が上方に付勢されているため、突起部518も上方に位置する昇降レバー517に突き当たるように付勢されている。したがって、電磁クラッチCL1がON状態で、昇降モータMT3が正方向に駆動した場合には、昇降レバー517と突起部518との係合により、掻き込み部240及び後端落とし部材250の下方に移動する。一方、昇降モータMT3が逆方向に駆動した場合には、昇降レバー517が上方に揺動するが、引っ張りばね252により突起部518が昇降レバー517に追従して上方に移動することになる。即ち、昇降モータMT3を逆方向に駆動することで、掻き込み部240及び後端落とし部材250の上方への移動が可能となる。
【0172】
以上、まとめると、電磁クラッチCL1がONの状態では、プーリ516からの駆動が回動軸242側に接続されるため、昇降モータMT3の駆動により回動軸242が回動し、掻き込み部240及び後端落とし部材250が昇降する。一方、電磁クラッチCL1がOFFの場合、プーリ516と回動軸242との間の駆動伝達が切断されるため、昇降モータMT3が駆動しても回動軸242が回動せず、この場合には、排出ローラ230のみが昇降する。
【0173】
なお、後端落とし部材250には、引っ張りばね252が設けられている。引っ張りばね252は、一端が後端落とし部材250の先端側に、他端が不図示の装置上面のフレームに接続されており、後端落とし部材250を上方に、即ち、第1位置に向けて付勢している。したがって、後端落とし部材250は、上方向に付勢されている。
【0174】
ここで、
図43に示すように、回動軸242は、後述する掻き込みベルト240aを駆動するための駆動軸244の周囲に、駆動軸244に対して相対回転可能に配置されている。駆動軸244は電磁クラッチCL1とは接続されておらず、回動軸242は駆動軸244とは別に回転可能である。また、回動軸242は、後端落とし部材250の基端部(被支持部。必ずしも部材の端部である必要はなく、被支持部に対して部材の先端側とは逆側に突出する部分があってもよい。)が固定された第1部分242aと、掻き込み部240の掻き込みアーム243の基端部(被支持部。必ずしも部材の端部である必要はなく、被支持部に対して部材の先端側とは逆側に突出する部分があってもよい。)が固定された第2部分242bとを有し、第1部分242aと第2部分242bとは互いに連結されて共に回転可能となっている。したがって、掻き込みアーム243は、後端落とし部材250が引っ張りばね252の付勢力により上方に移動した場合には、後端落とし部材250と共に上方に移動する。
【0175】
例えば、掻き込み部240及び後端落とし部材250を第2位置に移動させた後、電磁クラッチCL1をOFFにすれば、後端落とし部材250及び掻き込み部240が引っ張りばね252により素早く第1位置に向けて上昇する。即ち、昇降モータMT3を駆動しなくても、電磁クラッチCL1がOFFにするだけで、掻き込み部240及び後端落とし部材250を上方に移動させることができる。例えば、次のシートの受け入れのためには、電磁クラッチCL1をOFFにして引っ張りバネ252の付勢力により上方向に移動した方が、昇降モータMT3の駆動により移動させるよりも早い。したがって、本実施形態の場合、処理トレイ220への次のシートの受け入れを素早く行え、生産性を高めることができる。
【0176】
ここで、
図44(a)ないし
図46(b)を用いて、排出ローラ230と、掻き込み部240及び後端落とし部材250の昇降動作について説明する。まず、
図44(a)及び
図45(a)は、排出ローラ230が退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250が第1位置に位置している状態である。
図44(a)の状態から、電磁クラッチCL1をOFFにしたまま昇降モータMT3を駆動すると、
図44(b)に示すように、排出ローラ230のみが退避位置から接触位置に向けて下降する。
【0177】
一方、
図45(a)の状態から、電磁クラッチCL1をONにし、昇降モータMT3を駆動すると、
図45(b)に示すように、排出ローラ230が接触位置に向けて下降すると共に、掻き込み部240及び後端落とし部材250も第2位置に向けて下降する。次に、排出ローラ230が接触位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250が第2位置にある
図46(a)の状態から、電磁クラッチCL1をOFFにすると、
図46(b)に示すように、排出ローラ230が接触位置に位置したまま、引っ張りばね252により掻き込み部240及び後端落とし部材250が上方に移動する。このように本実施形態では、電磁クラッチCL1のONとOFFのタイミングを制御することで、排出ローラ230と、掻き込み部240及び後端落とし部材250の昇降タイミングをずらすことができる。
【0178】
なお、
図47に示すように、排出ローラ230の排出アーム233Aを途中に回動軸233Bを設けて、回動軸233Bよりも先端側を回動可能とすると共に、この先端側をばねにより下方に向けて付勢するようにしても良い。この場合、掻き込み部240及び後端落とし部材250が排出ローラ230より後から下降しても、処理トレイ220上のシートに掻き込み部240及び後端落とし部材250が接触可能である。
【0179】
即ち、排出ローラ230が接触位置にある状態で、電磁クラッチCL1をONにし、更に昇降モータMT3を駆動すると、排出ローラ230が接触位置から下側に移動することになる。
図47に示すような構成とすれば、排出ローラ230が更に下方に移動しようとした場合、排出アーム233Aの先端側が回動軸233Bを中心に回動することで、排出ローラ230の移動を許容することができる。したがって、掻き込み部240及び後端落とし部材250が排出ローラ230より後から下降しても、掻き込み部240及び後端落とし部材250が処理トレイ220上のシートに接触可能な位置まで下降可能となる。
【0180】
図42に示すように、搬送モータMT2は、伝達ベルト520を介して掻き込みベルト240aを駆動するための駆動軸244に駆動伝達可能となっている。駆動軸244の掻き込みアーム243に挟まれた位置には、プーリ521が設けられており、このプーリ521と、掻き込みベルト240aを張架するコロ240c(
図43)との間には駆動ベルト522が掛け渡されている。搬送モータMT2が駆動されると、伝達ベルト520を介して駆動軸244が回転し、駆動軸244に設けられたプーリ521及び駆動ベルト522を介してコロ240cが回転駆動する。そして、コロ240cにより張架された掻き込みベルト240aが回転駆動する。上述のように、駆動軸244は回動軸242と相対回転可能となっているため、搬送モータMT2の駆動により駆動軸244が回動軸242に対して空転する。
【0181】
また、駆動軸244と、排出ベルト260を回転駆動する張架ローラ261とは、駆動伝達部523により連結されている。駆動伝達部523は、駆動軸244に設けられたプーリ523a、第1中間プーリ523b、プーリ523aと第1中間プーリ523bに掛け渡された第1伝達ベルト523c、第1中間プーリ523bと一体に回転する第2中間プーリ523d、電磁クラッチCL2、電磁クラッチCL2にギアなどにより駆動接続されたプーリ523e、第2中間プーリ523dとプーリ523eに掛け渡された第2伝達ベルト523f、電磁クラッチCL2に駆動接続された駆動軸523gを備える。駆動軸523gには、張架ローラ261が設けられている。
【0182】
したがって、搬送モータMT2が駆動すると、第1伝達ベルト523c、第2伝達ベルト523fが回転する。そして、電磁クラッチCL2がONの場合には、搬送モータMT2の駆動が駆動軸523gに伝達され、張架ローラ261が回転し、排出ベルト260が回転駆動される。一方、電磁クラッチCL2がOFFの時には、搬送モータMT2が駆動されていても駆動軸523gには駆動が伝達されず、排出ベルト260は回転しない。
【0183】
また、本実施形態では、シート押さえベルト320を駆動するローラ321にも駆動軸523gが接続されている。即ち、ローラ321は駆動軸523g上に設けられ、駆動軸523gが回転することで、張架ローラ261と共に回転する。したがって、電磁クラッチCL2がONで搬送モータMT2が駆動されると、ローラ321が回転し、シート押さえベルト320も回転駆動される。一方、電磁クラッチCL2がOFFの場合、搬送モータMT2が駆動されても、シート押さえベルト320は回転しない。
【0184】
図48に各モータと各構成との関係を示す。
図48に示す列は、左側から番号、モータの名称、モータにより駆動する駆動部品との間のクラッチの有無、駆動部品、動作、正転時のクラッチの状態及び動作方向、逆転時のクラッチの状態及び動作方向、備考を示している。
図48中、搬送モータMT1、MT2、昇降モータMT3については上述した通りである。
図48からも明らかなように、搬送モータMT1は、搬送ベルト212を駆動するローラ(搬送ローラ)212a、処理前ローラ211、戻し部材280の駆動を行っている。即ち、本実施形態では、搬送ベルト212、処理前ローラ211、戻し部材280の駆動源を同一としている。
【0185】
また、搬送モータMT2は、掻き込みベルト240aを駆動するための駆動軸244、排出ベルト260を駆動する張架ローラ261、シート押さえベルト320を駆動するための駆動軸523gの駆動を行っている。即ち、本実施形態では、掻き込みベルト240a、排出ベルト260、シート押さえベルト320の駆動源を同一としている。更に、昇降モータMT3は、排出ローラ(ニップ部材)230の昇降、処理前ローラ211のニップ圧の変更、掻き込み部240及び後端落とし部材250の昇降を行っている。即ち、本実施形態では、排出ローラ230の昇降、掻き込み部240及び後端落とし部材250の昇降、更には処理前ローラ211のニップ圧の変更を同一の駆動源で行っている。
【0186】
本実施形態では、これ以外にも、戻し部材280を昇降させるための昇降モータMT4、前側の整合板271を幅方向に移動させるための整合板移動モータMT5、後側の整合板271を幅方向に移動させるための整合板移動モータMT6、ステープル位置を変えるためにステープルユニット400を移動させるSTP移動モータMT7、ステープルユニット400を駆動してシート束にステープルするためのSTPクリンチモータMT8、積載トレイ300を昇降させる昇降モータMT9を備える。
【0187】
[シート処理装置の制御構成]
シート処理装置200の制御構成について、
図49及び上述の
図14を用いて説明する。
図49は、シート処理装置200が有する各モータやクラッチなどの駆動構成と、各センサを示すブロック図である。これら各センサの信号は、制御手段としての制御部203に入力され、各駆動構成は制御部203により制御される。制御部203は、画像形成装置100が有する制御部と通信可能に接続されており、シート処理装置200全体の制御を行う。
【0188】
このような制御部203は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0189】
図49に示す各モータ、クラッチなどは上述した通りである。一方、各センサについては、
図37(b)を参照しつつ説明する。まず、入口センサSN1は、搬送パス210に設けられ、搬送パス210に搬送されたシートの先端を検知する。ニップ部材HP位置検知センサSN2は、上述のように、回動軸232の周囲に設けられ、排出ローラ(ニップ部材)230が退避位置(ホームポジション)にあることを検知する。掻き込み部HP位置検知センサSN3は、回動軸242の周囲に設けられ、掻き込み部240及び後端落とし部材250が第1位置(ホームポジション)にあることを検知する。ローレットベルトHP位置検知センサSN4は、戻し部材280が処理トレイ220から退避した位置(ホームポジション)を検知する。
【0190】
フロント整合板HP位置検知センサSN5、リア整合板HP位置検知センサSN6は、それぞれ前側の整合板271と後側の整合板271とが処理トレイ220に載置されたシートから幅方向に離間した位置(ホームポジション)にあることを検知する。ステープラHP位置検知センサSN7は、ステープルユニット400がホームポジションにあることを検知する。積載トレイHP位置検知センサSN8は、積載トレイ300のホームポジション位置を検知する。積載トレイ下限位置検知センサSN9は、積載トレイ300の下限位置を検知する。処理トレイシート有無検知センサSN10は、処理トレイ220上のシートの有無を検知する。制御部203は、これら各センサの信号に基づいて、後述するような各制御を行う。
【0191】
次に、上述の
図14を用いて、本実施形態の各モードの制御の流れについて説明する。本実施形態では、シート処理装置200に送られたシートを、所定の処理を施さずにそのまま積載トレイ300に排出するストレート排出モードと、シート処理装置200に送られたシートを幅方向に移動(シフト動作)させて積載トレイ300に排出するシフトモードと、シート処理装置200に送られたシートに対して、所定の処理としてのステープルを行って積載トレイ300に排出するステープルモードとがある。これら各モードは、ユーザにより選択される。
【0192】
また、シフトモードには、シートの搬送方向(所定方向)の長さが所定長さよりも長いラージサイズのシートにシフト動作を行う場合と、ラージサイズよりも所定方向の長さが所定長さ以下のスモールサイズのシートにシフト動作を行う場合とがある。所定長さは、例えば、A4サイズの用紙を縦方向(長手方向が搬送方向となる方向)に送る、所謂A4縦のサイズである。また、シフトモードにおいて、生産性を優先する生産性優先モードと、シートの整列性を優先する整列性優先モードとを選択して実行可能である。
【0193】
第1モード(第1シフト排出処理)としての生産性優先モードは、搬送パス210から処理トレイ側に垂れ下がった状態で、整合部270によりシートの幅方向の整合を行うモードである。第2モード(第2シフト排出処理)としての整列性優先モードは、処理トレイ220に載置された状態で、ステープルユニット400によるステープル処理を行わないシートに対して、整合部270によりシートの幅方向の整合を行うモードである。この点の詳しい説明は後述する。
【0194】
制御が開始されると、制御部203は、排出モードがストレート排出モード、シフトモード、ステープルモードの何れが選択されているかを判断する(S1)。ストレート排出モードが選択されている場合には、シート処理装置200に送られたシートを、所定の処理を施さずにそのまま積載トレイ300に1枚ずつ排出する(S2)。
【0195】
S1において、シフトモードが選択されている場合には、シートサイズがラージサイズであるかスモールサイズであるかを判断する(S3)。スモールサイズである場合には、生産性優先であるか否かを判断する(S4)。生産性優先であれば、搬送パス210から排出されるシートを、処理トレイ220でシフト動作せずに、搬送パス210の一部が残った状態でシフト動作を行って積載トレイ300に排出する(S5)。S4で生産性優先でない場合、搬送パス210から排出されたシートを処理トレイ220に掻き込んで、処理トレイ220上でシフト動作を行って積載トレイ300に排出する(S6)。S3でラージサイズである場合にも、S6に進む。
【0196】
S1において、ステープルモードが選択されている場合には、搬送パス210から排出されたシートを処理トレイ220に掻き込み整合して、処理トレイ220上にシート束を形成する(S7)。そして、シート束に対してステープル処理を行う(S8)。その後、シート束を積載トレイ300に排出する(S9)。
【0197】
上述の各モードにおけるシート処理装置200の動作について、
図50ないし
図74を用いて説明する。
【0198】
[ストレート排出モード]
図50ないし
図53を用いて、ストレート排出モードについて説明する。
図50(a)、(b)に示すように、搬送パス210にシートSが搬送された状態では、排出ローラ230は退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250は第1位置にそれぞれ位置している。次に、
図51(a)、(b)に示すように、搬送パス210の所定方向下流端に位置する処理前ローラ211と搬送ベルト212の処理前ニップ部211aからシートSが所定方向に排出される。この状態でも、排出ローラ230は退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250は第1位置にそれぞれ位置している。
【0199】
シートSが処理前ニップ部211aから所定量搬送されると、
図52(a)、(b)に示すように、排出ローラ230が接触位置に下降し、排出ローラ230と排出ベルト260との間でシートSを挟持する。この際、シートSの後端は処理前ニップ部211aを通過していない。したがって、シートSは排出ローラ230と排出ベルト260との間の排出ニップ部230aと処理前ニップ部211aとで挟持された状態となる。但し、上述したように、排出ローラ230が接触位置に下降すると、処理前ローラ211のニップ圧がほぼ0となる。したがって、シートSは、主として排出ローラ230と排出ベルト260とで挟持搬送され、
図53(a)、(b)に示すように、処理前ローラ211に積載されることなく、積載トレイ300に直接排出される。
【0200】
[シフトモード(生産性優先)]
図54ないし
図58を用いて、シフトモードのうち生産性優先モードについて説明する。
図54(a)、(b)に示すように、搬送パス210にシートSが搬送された状態では、排出ローラ230は退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250は第1位置にそれぞれ位置している。次に、
図55(a)、(b)に示すように、シートSのシート搬送方向下流端(先端)が処理前ローラ211と搬送ベルト212との処理前ニップ部211aを通過し、且つ、該シートSのシート搬送方向上流端(後端)が第3回転体しての上流ローラ213と搬送ベルト212とのニップ部を通過した後に、処理前ローラ211のニップ圧を第1の圧力(第1ニップ圧)から第2の圧力(第2ニップ圧)に変更する。即ち、ニップ圧をほぼ0とする。なお、第1の圧力から第2の圧力への変更開始タイミングはシート搬送方向上流端が上流ローラ213と搬送ベルト212とのニップ部を通過する前でもよく、シート搬送方向上流端が上流ローラ213と搬送ベルト212とのニップ部を通過した後に第2の圧力への変更が完了するようにしてもよい。
【0201】
本実施形態では、シートSの後端が搬送パス210上の入口センサSN1を抜けたら、排出ローラ230の下降を開始してガイド位置に向けて移動する。これにより、処理前ローラ211のニップ圧がほぼ0となる。また、シートSの後端が搬送パス210上の入口センサSN1を抜けたら、前後の整合板271をそれぞれシートSの幅方向端縁に向けて移動を開始する。この状態では、シートSが搬送パス210から処理トレイ220側に垂れ下がった状態であり、この垂れ下がった部分の幅方向端縁が整合板271の第1当接部272と当接し、幅方向の整合が行われる。この際、処理前ローラ211のニップ圧がほぼ0なので、整合板271によりシートの整合が円滑に行われる。即ち、整合部270が搬送パス210から垂れ下がったシートの幅方向の整合を行う際には、処理前ローラ211のニップ圧がほぼ0に調整されている。
【0202】
次いで、シートSが更に搬送されると、
図56(a)、(b)に示すように、ガイド位置に移動した(移動中の)排出ローラ230の排出アーム233にシートSの先端が下方に向けて案内される。そして、シートSの先端が排出ベルト260の所定方向下流端を通過するタイミングで、シートSの上面が排出ローラ230に押される。なお、この際のシートSの搬送は、処理前ローラ211のニップ圧がほぼ0なので、搬送ベルト212により行われる。シートSが自重により搬送ベルト212に乗った状態であり、シートSと搬送ベルト212との接触面積はある程度確保されているため、搬送ベルト212によりシートSを所定方向下流側に搬送可能である。
【0203】
図56(a)、(b)に示すように、排出ローラ230によりシートSの幅方向先端側を下方に押すことで、シートSの先端側の幅方向端縁が整合板271の第2当接部273と対向する。また、シートSの後端は処理前ニップ部211aを通過していない。生産性優先モードでは、この状態で、一対の整合板271の第1当接部272及び第2当接部273をシートの幅方向端縁に当接させ、所望の方向にシートSをシフトさせる。即ち、本実施形態の生産性優先モードでは、シートSを処理トレイ220に載置せずに、搬送パス210から垂れ下がった状態で、一対の整合板271の所定方向に離間した2個所の当接部である第1当接部272及び第2当接部273をシートSの幅方向端縁に当接させる。この際、第1当接部272は、シートSLの搬送パス210から垂れ下がって湾曲した部分に当接し、第2当接部273は、シートSLの先端側に当接する。そして、一対の整合板271を所望の方向に移動させることで、シートSを幅方向(シフト方向)に移動させる。
【0204】
シートSの幅方向への移動(シフト動作)が完了したら、
図57(a)、(b)に示すように、排出ローラ230をガイド位置から接触位置まで下降させ、シートSを排出ローラ230と排出ベルト260との間で挟持する。そして、主として排出ローラ230と排出ベルト260によりシートSを搬送し、
図58(a)、(b)に示すように、シートSを積載トレイ300に排出する。
【0205】
このような生産性優先モードの場合、シートSを処理トレイ220に載置する動作がないため、シートSのシフト動作を処理トレイ220上で行う場合よりも速く行うことができる。また、シフト動作の際に、シートSが垂れ下がり湾曲した状態で整合板271を当接させるため、シートSがより剛性の高い状態でシートの整合及びシフト動作を行え、シートに撓みが発生しにくい状態で整合及びシフト動作を行える。
【0206】
また、本実施形態では、排出ローラ230をガイド位置に移動することによりシートSの先端側を押し下げて、より確実に整合板271の第2当接部273に当接可能としている。シートSの所定方向に離間した2個所の幅方向端縁と整合板271が当接することで、より安定した状態でシートSのシフト動作を行うことができる。即ち、シフト動作時にシートがスキューすることを抑制しつつシートを幅方向に移動できる。
【0207】
なお、生産性優先モードは、スモールサイズのシートに対して好ましく適用可能であるが、ラージサイズのシートに対して実行しても良い。また、例えば、シートの所定方向の長さ短い場合などには、第1当接部272のみをシートの幅方向端縁に当接させてシフト動作を行っても良い。
【0208】
また、上述の例では、第1シフト排出処理において、処理前ローラ211のニップ圧を第1ニップ圧よりも弱い第2ニップ圧とした状態でシフト動作を行った。但し、処理前ローラ211を搬送ベルト212から離間させた状態でシフト動作を行うようにしても良い。例えば、上述の昇降モータMT3により処理前ローラ211を移動させる構成を、処理前ローラ211を搬送ベルト212とでシートを挟持する挟持位置から、処理前ローラ211と搬送ベルト212とを互いに離間する離間位置までの間で移動させる搬送回転体移動部材として機能させるようにしても良い。そして、シフト動作を、処理前ローラ211を離間位置とした状態で行うようにしても良い。
【0209】
[シフトモード(整列性優先)]
図59ないし
図65を用いて、シフトモードのうち整列性優先モードについて説明する。なお、整列性優先モードはスモールサイズのシートに対して行っても良いが、ここでは、ラージサイズのシートに対して行う場合について説明する。
図59(a)、(b)に示すように、搬送パス210にシートSLが搬送された状態では、排出ローラ230は退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250は第1位置にそれぞれ位置している。
【0210】
図60(a)、(b)に示すように、シートSLの後端が処理前ニップ部211aを通過すると、排出ローラ230、掻き込み部240及び後端落とし部材250が下降を開始する。なお、排出ローラ230、掻き込み部240及び後端落とし部材250の下降開始タイミングは、シートSLの後端が処理前ニップ部211aを通過する前であっても良い。何れにしても、掻き込み部240及び後端落とし部材250によりシートSLの後端を処理トレイ220に向けて落とす際に、シートSLの後端が処理前ニップ部211aを通過するタイミングであれば良い。
【0211】
図61(a)、(b)に示すように、排出ローラ230が接触位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250が第2位置に下降する。これにより、搬送パス210から排出されたシートSLは、排出ローラ230と排出ベルト260との間で挟持されると共に、掻き込み部240及び後端落とし部材250により後端が処理トレイ220に向けて落とされて、処理トレイ220上に載置される。この際、シートSLは掻き込み部240の掻き込みベルト240aと排出ベルト260との間でも挟持される。
【0212】
次いで、
図62(a)、(b)に示すように、掻き込みベルト240aと排出ベルト260とをそれぞれ逆方向に回転させて、処理トレイ220上に載置されたシートSLを後端規制部材290に向けて搬送する。この際、戻し部材280が下降し、戻し部材280のローレットベルト281がシートSLの後端側上面に当接する。そして、ローレットベルト281を回転させることで更にシートSLを搬送し、シートSLの後端を後端規制部材290に突き当てる。これにより、シートSLの所定方向の整合が行われる。
【0213】
次に、
図63(a)、(b)に示すように、排出ローラ230を退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250を第1位置にそれぞれ上昇させると共に、戻し部材280を上昇させ、これら各部材をシートSLの上面から退避させる。この状態で、前後の整合板271を幅方向(シフト方向)に移動させてシートSLの幅方向の整合及びシフト動作を行う。この際、シートSLは処理トレイ220上に載置されているため、整合板271の第2当接部273に当接する。第2当接部273は、第1当接部272の下方から第1当接部272よりも所定方向下流側に亙って配置されており、所定方向に関して比較的広い範囲でシートSLの幅方向端縁と当接する。また、第2当接部273は、処理トレイ220に載置されたシートSLの先端が、処理トレイ220の所定方向下流端よりも積載トレイ300側に突出した状態で、シートSLの幅方向端縁と当接する。
【0214】
シートSLのシフト動作が完了したら、
図64(a)、(b)に示すように、排出ローラ230を接触位置に下降させて、シートSLを排出ローラ230と排出ベルト260との間で挟持する。そして、排出ベルト260を正方向に回転させることで、
図65(a)、(b)に示すように、シートSLを処理トレイ220から積載トレイ300に排出する。
【0215】
このように整列性優先モードでは、シートSLを処理トレイ220上で整合及びシフト動作を行うため、シートSLの整列性を生産性優先モードよりも良好にできる。特に、整列性優先モードでは、シートSLを処理トレイ220に載置し、シートSLの後端を後端規制部材290に突き当て、更に、第2当接部273の所定方向全域をシートSLの幅方向端縁に当接させてシフト動作を行っている。第2当接部273の所定方向全域の長さは、生産性優先モードでシートと当接する第1当接部272と第2当接部の一部を合わせた長さよりも長く、整列性優先モードでは広い範囲で整合板271をシートの幅方向端縁に当接可能である。
【0216】
また、生産性優先モードでシートが搬送パス210から垂れ下がった状態でシフト動作を行っているのに対して、整列性優先モードでは、処理トレイ220に載置された状態でシフト動作を行っているため、シートのシフト動作を安定した状態で行える。更に、シートSLの先端は処理トレイ220よりも積載トレイ300側に突出しているため、シートSLは先端側が積載トレイ300に垂れ下がって湾曲した状態である。したがって、シートSLが湾曲していない状態よりも剛性が高い状態でシートSLのシフト動作を行える。このような理由により、整列性優先モードでは、シートSLの整列性を生産性優先モードに比べて良好にできる。
【0217】
但し、整列性優先モードでは、シートを一旦、処理トレイ220上に載置する動作があるため、生産性優先モードに比べて処理に時間がかかってしまう。しかしながら、ラージサイズのシートの場合、画像形成装置100内の処理でも時間がかかる。このため、ラージサイズのシートに対して整列性優先モードを実行した場合、画像形成装置100の生産性に適した生産性でシフト動作を行え、更に、シートの整列性を良好にできる。なお、ラージサイズのシートであっても、上述したような生産性優先モードを実行するようにしても良い。
【0218】
[ステープルモード]
図66ないし
図74を用いて、ステープルモードついて説明する。
図66(a)、(b)に示すように、搬送パス210に1枚目のシートS1が搬送された状態では、排出ローラ230は退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250は第1位置にそれぞれ位置している。シートS1の後端が処理前ニップ部211aを通過すると、上述の
図60と同様に、排出ローラ230、掻き込み部240及び後端落とし部材250が下降を開始し、
図61と同様に、排出ローラ230が接触位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250が第2位置に下降する。即ち、搬送パス210から排出されたシートS1を処理トレイ220に載置し、シートS1を排出ローラ230と排出ベルト260との間で挟持すると共に、掻き込み部240の掻き込みベルト240aと排出ベルト260との間でも挟持する。なお、排出ローラ230、掻き込み部240及び後端落とし部材250の下降開始タイミングは、シートS1の後端が処理前ニップ部211aを通過する前であっても良い。
【0219】
次いで、
図67(a)、(b)に示すように、掻き込みベルト240aと排出ベルト260とをそれぞれ逆方向に回転させて、処理トレイ220上に載置されたシートS1を後端規制部材290に向けて搬送する。この際、戻し部材280が下降し、戻し部材280のローレットベルト281がシートS1の後端側上面に当接する。そして、ローレットベルト281を回転させることで更にシートS1を搬送し、シートS1の後端を後端規制部材290に突き当てる。これにより、シートS1の所定方向の整合が行われる。
【0220】
次に、
図68(a)、(b)に示すように、排出ローラ230を退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250を第1位置にそれぞれ上昇させると共に、戻し部材280を上昇させ、これら各部材をシートS1の上面から退避させる。この状態で、前後の整合板271を幅方向に移動させてシートS1の幅方向の整合を行う。この際、シートS1は処理トレイ220上に載置されているため、整合板271の第2当接部273に当接する。ここまでは、整列性優先モードと同様である。
【0221】
次に、
図69(a)、(b)に示すように、2枚目のシートに備えるべく、戻し部材280を下降させて、ローレットベルト281と処理トレイ220との間にシートS1の後端を挟持する。これにより、処理トレイ220上に2枚目のシートが搬送されても、1枚目のシートS1がずれることを抑制できる。この状態で、上述の1枚目のシートS1を処理トレイ220に載置した場合と同様に、搬送パス210から排出された2枚目のシートS2を処理トレイ220に載置されたシートS1上に載置する。
【0222】
そして、
図70(a)、(b)に示すように、掻き込みベルト240aと排出ベルト260とをそれぞれ逆方向に回転させて、処理トレイ220上に載置された1枚目のシートS2を後端規制部材290に向けて搬送する。この際、戻し部材280が一旦上昇し、シートS2の後端が戻し部材280に到達するタイミングで下降する。そして、戻し部材280のローレットベルト281がシートS2の後端側上面に当接する。ローレットベルト281を回転させることで更にシートS2を搬送し、シートS2の後端を後端規制部材290に突き当てる。これにより、シートS2の所定方向の整合が行われる。処理トレイ220上に載置されるシートが2枚目以降の場合には、排出ベルト260を回転させずに掻き込みベルト240aのみを逆方向に回転させて、1枚目と同様に、シートの後端を後端規制部材290に突き当てる。なお、1枚目のシートの後端を後端規制部材290に突き当てる場合にも、排出ベルト260を回転させずに掻き込みベルト240aのみを逆方向に回転させるようにしても良い。
【0223】
次に、
図71(a)、(b)に示すように、排出ローラ230を退避位置に、掻き込み部240及び後端落とし部材250を第1位置にそれぞれ上昇させると共に、戻し部材280を上昇させ、これら各部材をシートS2の上面から退避させる。この状態で、前後の整合板271を幅方向に移動させてシートS2の幅方向の整合を行う。このようにシートを処理トレイ220に載置し、処理トレイ220上でシートの整合を行う動作を、入力されたジョブ情報に基づく枚数分行い、処理トレイ220上にシート束STを形成する。
【0224】
シート束STを形成したら、
図72(a)、(b)に示すように、ステープルユニット400を駆動して、シート束STに対しステープル処理を行う。ステープル処理を行ったら、
図73(a)、(b)に示すように、前後の整合板271をシート束STの幅方向端縁から退避させると共に、排出ローラ230を接触位置に、掻き込み部240を第2位置にそれぞれ下降させる。これにより、シート束STが排出ローラ230及び掻き込みベルト240aと、排出ベルト260との間で挟持される。そして、排出ベルト260及び掻き込みベルト240aを駆動することで、
図74(a)、(b)に示すように、シート束STが処理トレイ220から積載トレイ300に排出される。
【0225】
このように本実施形態では、シート束STの排出を、排出ローラ230と排出ベルト260による搬送に加えて、掻き込みベルト240aを駆動することで行っている。特に、掻き込みベルト240aはベルトの張架面がシート束STの上面に接触するようにしているため、シート束STの搬送力が高い。したがって、シート束STの処理トレイ220からの排出をより確実に行うことができる。
【0226】
ここで、シートの搬送力を高めるためには、排出ローラ230の排出ベルト260に対する当接圧(ニップ圧)を大きくすることが考えられる。但し、この場合には、排出ローラ230を支持する構成の強度を確保する必要があり、装置が大型化してしまう。また、排出ローラ230をシートに強く当接させた場合、裏写りが発生する虞がある。そこで、本実施形態では、排出ローラ230とは別に掻き込みベルト240aをシートに当接させて、掻き込みベルト240aによりシートの排出をアシストするようにしている。
【0227】
このため、排出ローラ230のニップ圧を必要以上に高めなくてよく、装置の大型化を抑制でき、裏写りの発生も抑制できる。また、掻き込みベルト240aは処理トレイ220上のシートを後端規制部材290に向けて搬送する機能を有するものであり、シートを後端規制部材290に向けて搬送するときと、シートを排出するときとで掻き込みベルト240aの回転方向を切り換えるだけである。したがって、それぞれの機能を有する構成を別々に設ける場合よりも装置の小型化を図れる。
【0228】
[シートの排出動作]
本実施形態における積載トレイ300へのシートの排出動作について、
図75ないし
図79を用いて説明する。まず、
図75(a)、(b)に示すように、シートSは、排出ローラ230と排出ベルト260との間で挟持搬送されることで、積載トレイ300に排出される。この際、積載トレイ300は第1積載位置にある。第1積載位置は、積載トレイ300にシートが積載されていない場合にはホームポジションであり、シートが積載されている場合には、その積載量に応じて決まる位置である。
【0229】
次に、積載トレイ300は、排出ローラ230と排出ベルト260により排出されたシートSの所定方向下流端(先端)が、積載トレイ300のシート載置面301又はシート載置面301に載置されたシートに接触した後に、積載トレイ300が第2積載位置に到達するように、第1積載位置から第2積載位置に下降する。本実施形態では、
図76(a)、(b)に示すように、シートSの後端が排出ローラ230と排出ベルト260との間の排出ニップ部230aを通過したら、積載トレイ300が第1積載位置から第2積載位置に向けて下降を開始する。シート押さえベルト320は撓んだ状態でローラ321に掛け渡されている。よって積載トレイ300が第1積載位置にある状態でシート押さえベルト320は積載トレイ300に載置されたシートによって若干押し上げられている。この状態から積載トレイ300が第1積載位置から第2積載位置に向けて下降しても、シート押さえベルト320の撓みが解消されるまではシート押さえベルト320は積載トレイ300上のシートに接触しているため、積載トレイ300が下降開始してから所定区間はシート押えベルト320によるシート押さえ効果は持続する。
【0230】
シートSが排出ニップ部230aから排出される際は、
図77(a)、(b)に示すように、シート押さえベルト320が、排出ローラ230と排出ベルト260により排出されるシートSの所定方向上流端(後端)に回転しながら当接することで、該シートSの後端を積載トレイ300に向けて案内する。
【0231】
上述のように、シート押さえベルト320は、ローレットベルトであり、排出ベルト260を駆動する張架ローラ261の駆動軸261a上にシート押さえベルト320を駆動するローラも設けられている。このため、シート押さえベルト320は、排出ベルト260と同期して回転する。また、シート押さえベルト320は、少なくとも一部が、立ち面310よりも所定方向下流側に、且つ、処理トレイ220のシート載置面よりも下方にそれぞれ突出するように設けられている。このため、シート押さえベルト320が回転することで、排出ニップ部230aを抜けたシートSの後端はシート押さえベルト320により掻き落とされるように積載トレイ300に案内される。即ち、
図77(b)の点線及び破線で示すシートの軌跡のように、シートSの後端がシート押さえベルト320により掻き落とされる。これにより、シートSの後端が排出ニップ部230aに残りにくくしている。
【0232】
次いで、シートSの所定方向上流端が、シート載置面301又はシート載置面301に載置されたシート上に排出された後に、積載トレイ300が第1積載位置に到達するように、積載トレイ300が第2積載位置から第1積載位置に上昇する。本実施形態では、
図78(a)、(b)に示すように、シートSの後端が積載トレイ300に排出された後に、積載トレイ300が第2積載位置から第1積載位置に向けて上昇を開始する。このように積載トレイ300が第2積載位置から第1積載位置に上昇することで、シート押さえベルト320が、積載トレイ300に排出されたシートSの後端部の上面を押える。
【0233】
次に、
図79(a)、(b)に示すように、シート押さえベルト320は、第2積載位置から第1積載位置に上昇した積載トレイ300上のシートSを積載側規制手段としての立ち面310に向けて搬送する。即ち、シート押さえベルト320が回転することで、積載トレイ300上のシートSを掻き込んで、シートSの後端を立ち面310に突き当てる。このとき、シート押さえベルト320は、回転している状態でシートSの上面に当接するようにしても良いし、シートSの上面に当接した後に回転するようにしても良い。即ち、積載トレイ300が第2積載位置から第1積載位置に上昇する際に、少なくとも積載トレイ300が第1積載位置に到達する前にシート押さえベルト320の回転を開始しても良いし、積載トレイ300が第1積載位置に到達してからシート押さえベルト320の回転を開始しても良い。何れにしても、シートSの後端が立ち面310に突き当たった後のタイミングで、シート押さえベルト320の回転を停止する。
【0234】
本実施形態の場合、このように積載トレイ300に排出されたシートSの上面をシート押さえベルト320により押さえるようにしている。また、このために積載トレイ300を第1積載位置と第2積載位置とに昇降可能とし、シートの排出に合わせて上述のように第1積載位置からの下降及び第2積載位置からの上昇のタイミングを制御している。そして、処理トレイ220の所定方向下流端に設けられたシート押さえベルト320により、積載トレイ300に排出されたシートの後端部上面を押えられるようにしている。
【0235】
これにより、次のシートが積載トレイ300に載置されたシートS上に排出されても、シートSがずれることを抑制できる。なお、積載トレイ300の角度によっては、次のシートの先端が接触した後に、その前に排出されたシートSの後端をシート押さえベルト320により抑えるようにしても良い。即ち、積載トレイ300のシート載置面301が所定方向下流側が上方となるように水平面に対して傾斜している場合で、この角度が大きい場合には、次のシートの先端が既に載置されているシートの上面に接触してもこのシートがずれにくい。したがって、このような場合には、シートSを載置した積載トレイ300が第1積載位置に到達する前に次のシートの先端がシートSに接触するように、次のシートの排出を行っても良い。
【0236】
何れにしても本実施形態では、シート押さえベルト320が積載トレイ300に排出されたシートSの後端を押える機能と、シートSの後端が排出ニップ部230aに残らないように掻き落とす機能とを有する。このため、本実施形態の場合、これらの機能を有する機構をそれぞれ別に設ける場合よりも、低コスト化が図れる。
【0237】
また、本実施形態の場合も、ステープルモード、第1シフト排出処理及び第2シフト排出処理を行う場合に、共通の駆動源であるフロント側整合板移動モータMT5及びリア側整合板移動モータMT6と、共通の整合板271によりそれぞれの処理を行うようにしている。このため、それぞれの処理のために別々の整合板や駆動源が必要な構成に比べて低コスト化を図れて、さらに第1シフト排出処理により所定のシートについては生産性を向上することができる。なお、第1の実施形態と同様に綴じ処理を施さずにシフトして排出する全てのシートに対して第1シフト排出処理を適用することも可能である。
【0238】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について説明する。本発明は、
図80、
図81及び
図82(a)~
図83(b)に示す構成にも適用可能である。なお、第1の実施形態と同様の部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0239】
図80に示すシート処理装置は、第1の実施形態のメカ構成から上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bの構成を抜いて、代わりに排出部として押し出し部材291を追加したものである。このシート処理装置は、処理前ローラ211A、212A(第1搬送部)によって第1搬送方向(図の右から左に向かう方向)に搬送されて処理トレイ220に載置されたシートSを、掻き込みパドル240Aと戻し部材280のローレットベルト281(併せて第2搬送部)で第2搬送方向(図の左から右に向かう方向)に搬送し、シートSの後端を突き当て部である後端規制部材290に突き当てる。その後、一対の整合板271AでシートSの幅方向の整合を行い、次のシートSを受け入れて上記動作を繰り返すことでシート束を作り、シート束に対してステープルユニット400でステープル処理を行う。その後、押し出し部材291がシート束の後端(第1搬送方向の上流端部)に係合して第1搬送方向に移動することでシート束を積載トレイ300に排出する。
【0240】
このようなシート処理装置で第1シフト排出処理を行う場合は、処理前ローラ211A、212AがシートSを第1搬送方向に搬送し、シートSの後端が処理前ローラの処理前ニップ部211aを通過したら一対の整合板271AでシートSをシフト方向にシフトし(その際、掻き込みパドル240Aを若干下降してシートSの後端側が一対の整合板271Aに当接するようにしてもよい)、その後、押し出し部材291でシートSを積載トレイ300に排出する。
【0241】
そして、第2シフト排出処理を行う場合は、処理前ローラ211A、212AがシートSを第1搬送方向に搬送し、シートSの後端が処理前ローラの処理前ニップ部211aを通過してシートS処理トレイ220に載置されたら、掻き込みパドル240Aとローレットベルト281でシートSを第2搬送方向に搬送し、シートSの後端を突き当て部である後端規制部材290に突き当てる。その後、一対の整合板271AでシートSをシフト方向にシフトし、その後、押し出し部材291でシートSを積載トレイ300に排出する。
【0242】
図81に示すシート処理装置は、第1の実施形態のメカ構成に押し出し部材291の構成が追加されたものである。このシート処理装置は、処理前ローラ211A、212A(第1搬送部)によって第1搬送方向(図の右から左に向かう方向)に搬送されて処理トレイ220に載置されたシートSを掻き込みパドル240Aと戻し部材280のローレットベルト281(併せて第2搬送部)で第2搬送方向(図の左から右に向かう方向)に搬送し、シートSの後端を突き当て部である後端規制部材290に突き当てる。その後、一対の整合板271AでシートSの幅方向の整合を行い、次のシートSを受け入れて上記動作を繰り返すことでシート束を作り、シート束に対してステープルユニット400でステープル処理を行う。その後、押し出し部材291がシート束の後端(第1搬送方向の上流端部)に係合して第1搬送方向に移動して押し出し、その状態で上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bを挟持位置に移動して上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bの少なくとも一方を回転することでシート束を積載トレイ300に排出する。
【0243】
このようなシート処理装置で第1シフト排出処理を行う場合は、処理前ローラ211A、212AがシートSを第1搬送方向に搬送し、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bに受け渡され、シートSの後端が処理前ローラの処理前ニップ部211aを通過したら、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bを離間位置に移動して一対の整合板271AでシートSをシフト方向にシフトし、その後、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bが挟持位置に移動して回転することでシートSを積載トレイ300に排出する。
【0244】
そして、第2シフト排出処理を行う場合は、処理前ローラ211A、212AがシートSを第1搬送方向に搬送し、シートSの後端が処理前ローラの処理前ニップ部211aを通過してシートS処理トレイ220に載置されたら、掻き込みパドル240Aとローレットベルト281でシートSを第2搬送方向に搬送し、シートSの後端を突き当て部である後端規制部材290に突き当てる。その後、上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bが離間位置にある状態で一対の整合板271AでシートSをシフト方向にシフトし、その後、押し出し部材291でシートSを積載トレイ300に排出する。その際、押し出し部材291のみでシートSを積載トレイ300に排出してもよいし、押し出し部材291で途中までシートSを押し出し、途中から上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230BでシートSを積載トレイ300に排出するようにしてもよい。
【0245】
このように
図80と
図81に示すシート処理装置においても、ステープル処理の整合と第1シフト排出処理と第2シフト排出処理とを共通の整合板271Aを用いて低コストで実現できる。
【0246】
また、
図82(a)~
図83(b)に示すシート処理装置は、第1の実施形態のメカ構成に、上側排出ローラ230Aの移動と連動して移動する第2後端落とし部材234が追加されたものである。第2後端落とし部材234は上側排出ローラ230Aの回動軸2301に回動可能に設けられている。第2後端落とし部材234の先端(第1搬送方向上流側の端部)は、
図82(a)に示すように、上側排出ローラ230Aが退避位置にあるときは排出アーム2302の下面よりも鉛直方向上方に位置づけられている。そして、第2後端落とし部材234の先端は、
図82(b)に示すように、上側排出ローラ230Aが挟持位置に移動するにつれ排出アーム2302から遠ざかる方向、つまり処理トレイ220に近づく方向に回動する。
【0247】
第2後端落とし部材234は、このように上側排出ローラ230Aの回動に連動して動作する。この機構について、
図83(a)、(b)を用いて説明する。
図83(a)、(b)は、上側排出ローラ230Aを支持する排出アーム2302と第2後端落とし部材234との関係を示す模式図である。第2後端落とし部材234の回動軸234aは、上側排出ローラ230Aの回転軸230A1と同軸に設けられ、回転軸230A1に対して相対回転自在である。このため、上側排出ローラ230Aが回転しても回動軸234aは回転しない。回動軸234aにはプーリ234bが固定されており、プーリ234bが回転すると回動軸234aも回転し、この回動軸234aに基端部(被支持部。必ずしも部材の端部である必要はなく、被支持部に対して部材の先端側とは逆側に突出する部分があってもよい。第1搬送方向下流側の端部)が固定された第2後端落とし部材234も回動する。
【0248】
一方、排出アーム2302の第1搬送方向上流側には、回動軸2301の同軸上に、プーリ234cが固定されている。プーリ234cは、回動軸2301に対して相対回転自在であり、回動軸2301が回転しても回転しない。プーリ234bとプーリ234cには、無端状のベルト234dが掛け渡されている。排出アーム2302が回動軸2301を中心に回動すると、プーリ234cに対するプーリ234bの相対位置が変化してベルト234dが回転し、このベルト234dの回転によりプーリ234bが回転する。そして、プーリ234bと共に回動軸234aが回転することで、第2後端落とし部材234が上下方向に揺動する。
【0249】
図83(a)は、上側排出ローラ230Aがホームポジションに位置している状態で、この時、第2後端落とし部材234は、排出アーム2302と略平行な姿勢となっている。この位置を、第2後端落とし部材234の上方位置とする。この位置から上側排出ローラ230Aを挟持位置へと移動させるべく、排出アーム2302を回動軸2301を中心に下方に回動させると、
図83(b)に示すように、ベルト234dが矢印P方向に走行して、プーリ234b及び後端落とし部材234が回動軸234aを中心に矢印Q方向に回転する。即ち、後端落とし部材234の先端が
図83(a)に示す上方位置から
図83(b)に示す下方位置に移動する。このように第2後端落とし部材234は、排出アーム2302の回動に連動して、上側排出ローラ230Aがホームポジションに位置する状態では上方位置に、上側排出ローラ230Aが挟持位置に位置する状態では下方位置にそれぞれ位置するように移動する。
【0250】
このように動作する第2後端落とし部材234は、第1シフト排出処理を行う際にシートSの後端側を上方から押さえることでシートSの後端側の側縁を一対の整合板271Aに当たりやすい位置にすることができる。また、排出ニップ部230aよりもシート後端側でシートSが湾曲し、その湾曲部分に一対の整合板271Aが当接してシートSをシフトするため、シートSの剛性がより高い状態でシフト動作を行うことができる。
【0251】
図82(a)は上側排出ローラ230Aが退避位置でシートを受け入れる状態を示している。この状態で第2後端落とし部材234の先端は排出アーム2032の下面よりも鉛直方向上方に位置付けられているため、シートSの先端が排出アーム2302と第2後端落とし部材234との間に入り込んでジャムをすることがない。シートSの先端が上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとの間を通過したら、
図82(b)に示すように、上側排出ローラ230Aを挟持位置に移動してシートSの後端が処理前ニップ部211aを通過するまで搬送する。その際、第2後端落とし部材234が上側排出ローラ230Aの移動に連動して上方位置から下方位置に移動することでシートSの後端を上方から下方に落とす。上述したように、第1シフト排出処理では、後端落とし部材250Aを動作させていないため、このような第2後端落とし部材234を備えることで、第1シフト排出処理においてもシートSを処理トレイ220上に確実に落とすことができる。そして、次述する一対の整合板271AによるシートSのシフト動作の際に整合板271AをシートSに確実に当接させることができる。
【0252】
第2後端落とし部材234によりシートSを処理トレイ220上に落としたら、
図28(c)に示すように、上側排出ローラ230Aを離間位置に移動して一対の整合板271AによってシートSをシフト方向に移動させる。なお、
図82(c)では、上側排出ローラ230Aが離間位置にある状態で第2後端落とし部材234がシートSの上面に当接していないが、一対の整合板271Aによるシフト動作の負荷とならない程度に第2後端落とし部材234でシート上面を押さえてもよい。
【0253】
なお、上述した第1の実施形態では、上側排出ローラ230Aが挟持位置や離間位置に下降する際に後端落とし部材250Aが下方位置に移動できない構成となっており、その場合は第2後端落とし部材234を設けることで第1シフト排出処理をより安定して行うことができるが、後端落とし部材250Aを別駆動にして、シートのシフト動作時に後端落とし部材250Aを下降位置に位置付けるようにしてもよい。また、第2後端落とし部材234が上側排出ローラ230Aの回動と別駆動とすれば、後端落とし部材250Aを省略しても良い。
【0254】
また、第2後端落とし部材234は上側排出ローラ230Aの回動軸2301に回動可能に設けたが、別の部材に設けても良いし、独立して移動可能に構成しても良い。つまり、一対の整合板271Aによるシートのシフト動作時に、シート後端側の側縁が一対の整合板271Aに当接できるような位置にシート後端側を下方に落とすことができれば良い。
【0255】
また、上述の各実施形態では、第1シフト排出処理において一対の整合板271A(271)がシート幅方向の両端縁を挟持した状態でシフト方向に移動する例を示したが、以下の動作が適用可能である。以下(1)~(5)はシートが処理前ローラ211Aによって第1搬送方向に搬送されて一対の整合板271Aでシフト動作を開始できる状態での一対の整合板の動作を説明したものである。上述した通り、シフト方向上流側の整合板を第1シフト部、シフト方向下流側の整合板を第2シフト部と呼ぶ。
【0256】
(1)第1シフト部と第2シフト部とを互いに近づける方向に移動して、シートのシート幅方向両端縁をまず挟持し、その後、第1シフト部と第2シフト部とを同時にシフト方向へ移動してシートをシフトする。(2)第2シフト部が停止した状態で第1シフト部をシフト方向に移動し、シートを第2シフト部に突き当てる。その後、第1シフト部と第2シフト部とを同時にシフト方向に移動してシートをシフトする。(3)第1シフト部の移動速度を第2シフト部の移動速度よりも早くして第1シフト部と第2シフト部とを両方ともシフト方向に移動する。シフト動作完了前に第1シフト部と第2シフト部とでシートを挟持する状態とし、その状態でシートをシフト完了する。(4)第1シフト部が停止した状態で第2シフト部を第1シフト部側へ移動してシートの第2シフト部側端縁に当接させる。その後、第1シフト部をシフト方向へ移動して第1シフト部と第2シフト部とでシート両端縁を挟持し、その状態で第1シフト部と第2シフト部とをシフト方向へ移動してシートをシフトする。(5)第1シフト部が停止した状態で第2シフト部を第1シフト部側へ移動してシートを第1シフト部に突き当てる。その後、第1シフト部と第2シフト部とをシフト方向へ移動してシートをシフトする。
【0257】
また、上述の各実施形態では、シフト方向がリア側からフロント側へ向かう方向及びフロント側からリア側へ向かう方向の両方向であり、一対の整合板271A(271)が両方ともシフト方向に移動する態様を示したが、整合板271Aの一方を固定配置して他方を固定配置した整合板に向けて移動するようにしても良い。その場合は、移動する整合板が第1シフト部となり、第1シフト部を移動するための駆動モータが第1駆動部となる。この場合、ステープル処理において、第1シフト部である移動可能な整合板を用いて固定配置された整合板に向けてシートを移動することでシートの幅整合を行い、そのようにして位置決めされた位置が綴じ位置となる。また、第1・第2シフト排出処理においても第1シフト部である移動可能な整合板を用いて固定配置された整合板に向けてシートを移動することでシートを片側シフトして積載トレイ300に排出する。そして、片側シフトして排出したシートとストレート排出されたシートとを組み合わせることで積載トレイ300に排出されたシートの区分けをすることができる。
【0258】
<第4の実施形態>
第4の実施形態について、
図84ないし
図87を用いて説明する。本実施形態の制御は、上述した各実施形態の構成において適用可能である。以下の説明では、代表して第1の実施形態の構成に本実施形態の制御を適用した場合について説明する。本実施形態は、ラージサイズのシートA(第1シート)と、スモールサイズのシートB(第2シート)に対して、ステープルユニット400による綴じ処理を施すことなく、積載トレイ300に排出するジョブの制御に関するものである。なお、本実施形態におけるシートBは、シートAと第1搬送方向に交差するシートの幅方向の長さが同じで、且つ、シートAよりも第1搬送方向の長さが短いシートである。
【0259】
まず、本実施形態の場合も、上述したような綴じ排出処理、スイッチバックシフト排出処理(整列性優先モード)、スイッチバックレスシフト排出処理(生産性優先モード)を実行可能である。そして、ラージサイズのシートAをステープルユニット400による綴じ処理を施すことなくシフト方向に移動させて積載トレイ300に排出する場合には、スイッチバックシフト排出処理(整列性優先モード)が実行可能である。一方、スモールサイズのシートBをステープルユニット400による綴じ処理を施すことなくシフト方向に移動させて積載トレイ300に排出する場合には、スイッチバックシフト排出処理(整列性優先モード)及びスイッチバックレスシフト排出処理(生産性優先モード)が実行可能である。
【0260】
仮にラージサイズのシートAに対して、スイッチバックレスシフト排出処理を実行した場合、整合板271AでシートAを挟む位置はシートの重心よりも後端側にずれた位置となる。このため、ラージサイズのシートAを整合板271Aで挟む位置は、スモールサイズのシートBを整合板271Aで挟む位置と比較して、シートの重心よりも離れてしまうことになる。この結果、ラージサイズのシートAに対してスイッチバックレスシフト排出処理を実行した場合、シートAの先端が整合に追従できずにシートに傾きが発生し、積載性が低下する虞がある。したがって、本実施形態では、ラージサイズのシートAに対しては、処理トレイ220の奥まで掻き込み、後端規制部材290で後端を規制するスイッチバックシフト排出処理を実行可能としている。
【0261】
ここで、シートA及びシートBを含む複数枚のシートを、ステープルユニット400による綴じ処理を施すことなくシフト方向に移動させて積載トレイ300に積載するジョブ(同幅混載ジョブ)を実行する場合がある。この場合において、ラージサイズのシートAが処理トレイ220に積載されている状態でスモールサイズのシートBが搬送されてきた場合、このシートBに対してスイッチバックレスシフト排出処理を実行するためには、処理トレイ220上のシートAを排出しておく必要がある。これは、スイッチバックシフト排出処理ではシートの後端が後端規制部材290に突き当てているのに対し、スイッチバックレスシフト排出処理では、シートの後端を後端規制部材290に突き当てないため、シートの後端位置がずれた状態で排出されることになるからである。
【0262】
このように、ラージサイズのシートAが処理トレイ220にある状態でスモールサイズのシートBをスイッチバックレスシフト排出処理で排出しようとした場合、処理トレイ220上のシートAを排出させる時間を確保するために、シートAとシートBの間隔を空けることになる。この結果、同幅混載ジョブの生産性が低下してしまう。
【0263】
そこで、本実施形態では、同幅混載ジョブにおいて、処理トレイ220にシートがある場合には、次のシートがスイッチバックレスシフト排出処理が可能なスモールサイズのシートBであっても、このシートBに対してスイッチバックシフト動作を行って、シートAと共にこのシートBを排出するようにしている。これにより、シートの排出回数が減って処理時間の短縮化を図れ、生産性低下を抑制できる。以下、シートの搬送方向の長さが異なるが、幅方向の長さが同じ複数枚のシートを、ステープルユニット400による綴じ処理を施すことなく整合板271Aによりシフトさせて排出する同幅混載ジョブについて、詳しく説明する。
【0264】
[同幅混載ジョブ]
本実施形態の同幅混載ジョブの制御の一例について、
図84ないし
図87を用いて説明する。まず、制御の全体の流れについて、
図84のフローチャートを用いて説明する。本実施形態においても、
図14のフローチャートで説明した場合と同様に、制御が開始されると、制御部203は、排出モードがストレート排出モード、シフトモード、ステープルモードの何れが選択されているかを判断する(S301)。ストレート排出モード或いはステープルモードが選択された場合は、
図14で説明した場合と同様に、ストレート排出モードの処理(S302)、或いは、ステープルモードの処理(S303)を実行する。
【0265】
S301でシフトモードが選択されている場合、制御部203は、サイズの異なるシートを排出する混載モードであるか否かを判断する(S304)。混載モードでない場合(S304のNo)、
図14で説明した通常のシフトモードの処理へ移行する(S305)。混載モードである場合(S304のYes)、制御部203は、サイズが異なるシートの幅が同じ(同幅設定)か否かを判断する(S306)。即ち、同一ジョブ内で排出するサイズの異なるシートが、シートの搬送方向の長さが異なるが、幅方向の長さが同じあるか否かを判断する。同幅設定でない場合(S306のNo)、異幅混載処理へ移行する(S307)。異幅混載処理についても、
図14で説明したS3~S6の処理を行うものとする。
【0266】
S306で同幅設定である場合(S306のYes)、S308以降の同幅混載ジョブを実行する。なお、以下の説明で、「束出し枚数」とは、処理トレイ220から積載トレイ300にシート束として1回で排出するシートの枚数である。また、「束内枚数」とは、成果物の1束の枚数である。したがって、本実施形態では、スイッチバックシフト排出処理を実行する場合、処理トレイ220上に束出し枚数のシートを貯めて、この枚数のシートを積載トレイ300に排出する。また、スイッチバックレスシフト排出処理を実行する場合、シートを処理トレイ220上でスイッチバックさせずに排出するため、束出し枚数は0枚となる。そして、積載トレイ300上に積載されるシートが束内枚数となるまでこれらの何れかの処理を繰り返し行うことで、積載トレイ300上に1束のシートを積載する。最終的にそのジョブで指定された部数のシート束を積載トレイ300に排出すると、そのジョブは終了する。
【0267】
同幅混載ジョブが実行されると、まず、束出し枚数を0クリア、部数カウントに初期値をセット、束内枚数に初期値をセット、シートありフラグを0クリアしておく(S308)。部数カウントや束内枚数の初期値は、例えば、画像形成システム1000Aが有する操作部や画像形成システム1000Aに接続されたパーソナルコンピュータなどの外部端末においてユーザが指定した値である。即ち、画像形成システム1000Aが実行する同幅混載ジョブにおいて指定されたシート束の部数、及び、1束内のシートの枚数である。
【0268】
また、シートありフラグとは、処理トレイ220上にスイッチバックさせているシートがあるか否かであり、制御部203は、シートありフラグが「0」の場合は、処理トレイ220上にシートがないと判断し、シートありフラグが「1」の場合は、処理トレイ220上にシートがあると判断する。なお、このスイッチバックさせているシートを認識する手段は、
図13のRAMデータの情報、
図49のRAMデータの情報でもよいし、
図13の処理トレイシート検知センサSN14、
図49の処理トレイシート有無検知センサSN10などの検知センサの情報などでもよい。
【0269】
次に、制御部203は、部数カウントが0であるか否か、即ち、そのジョブの最終部のシート束の排出が終了したか否かを判断する(S309)。部数カウントが0である場合は(S309のYes)、そのジョブを終了する(S310)。S309において、部数カウントが0出ない場合(S309のNo)、制御部203は、処理前ローラ211A、212Aによって第1搬送方向の下流側に搬送されてくるシートのサイズがラージサイズであるスモールサイズであるかを判断する(S311)。
【0270】
S311において、搬送されてくるシートのサイズがラージサイズである場合、後述するラージサイズスイッチバックシフト処理(S100)へ移行し、処理が完了するとS309に戻る。一方、S311において、搬送されてくるシートのサイズがスモールサイズの場合は、後述するスモールサイズシフト切替処理(S200)へ移行し、処理が完了するとS309に戻る。
【0271】
[ラージサイズスイッチバックシフト処理]
次に、
図84のS100におけるラージサイズスイッチバックシフト処理について、
図85のフローチャート及び
図87を用いて説明する。ラージサイズのシートAについて、ステープルユニット400による綴じ処理を施すことなく、シートをシフト方向に移動させて積載トレイ300に排出する場合、上述したように、スイッチバックシフト排出処理を実行する。なお、スイッチバックシフト処理の詳細については上述した通りなので、以下では、主な動作について説明する。
【0272】
図85のフローチャートが実行されると、まず、制御部203は、シートありフラグに1をセットし、束出し枚数を1加算すると共に束内枚数を1減算する(S101)。次に、シートAが搬送されて来る前に、一対の整合板271Aをシート受入位置まで移動させ、
図87の(a)に示すように、処理トレイ220上にシートAを受入れる(S102)。次いで、
図87の(b)に示すように、シートAを処理トレイ220上から掻き込みパドル240A及び戻し部材280で、シートAの後端が後端規制部材290に当接するまで掻き込む(S103)。
【0273】
そして、
図87の(b)に示すように、一対の整合板271Aのうちの片側(
図87の上側)の整合板271Aにより、処理トレイ220上のシートAをシフト方向に移動する(S104)。なお、上述するシートAをシフト方向に移動させている方向と逆方向のシフト方向に移動させる場合は、他側(
図87の下側)の整合板271AによりシートAを逆方向のシフト方向に移動させる。
【0274】
次に、制御部203は、束内枚数が0か判断し(S105)、束内枚数が0である場合(S105のYes)、部数カウントを1減算し、束内枚数に初期値を再セットする(S106)。そして、両側の整合板271Aをシート排出時の退避位置に移動させ(S107)、シートAを積載トレイ300へ排出し、整合板271Aを次のシート受入位置へ移動する(S108)。次いで、制御部203は、束出し枚数を0クリア、シートありフラグを0クリアし(S109)、
図85のラージサイズスイッチバックシフト処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0275】
S105において、束内枚数が0でない場合(S105のNo)、束出し枚数がN枚以上であるか判断する(S110)。本実施形態では、N=2とするが、Nは自然数であれば他の値でも良く、その装置の特性によって定まる。S110において、束出し枚数がN枚以上でない、即ち、2枚以上でない(0枚又は1枚の)場合(S110のNo)、
図85のラージサイズスイッチバックシフト処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0276】
S110において、束出し枚数がN枚以上(即ち、2枚以上)である場合(S110のYes)、制御部203は、束内枚数がN枚以上であるか判断する(S111)。S111において、束内枚数がN枚以上でない、即ち、2枚以上でない(0枚又は1枚の)場合(S111のNo)、
図85のラージサイズスイッチバックシフト処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0277】
S111において、束内枚数がN枚以上(即ち、2枚以上)である場合(S111のYes)、両側の整合板271Aをシート排出時の退避位置に移動させ(S107)、シートAを積載トレイ300へ排出し、整合板271Aを次のシート受入位置へ移動する(S108)。次いで、制御部203は、束出し枚数を0クリア、シートありフラグを0クリアし(S109)、
図85のラージサイズスイッチバックシフト処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0278】
[スモールサイズシフト切替処理]
次に、
図84のS200におけるスモールサイズシフト切替処理について、
図86のフローチャート及び
図87を用いて説明する。本実施形態では、スモールサイズのシートBについて、ステープルユニット400による綴じ処理を施すことなく、シートをシフト方向に移動させて積載トレイ300に排出する場合、処理トレイ220上のシートの有無によって、スイッチバックシフト排出処理とスイッチバックレスシフト排出処理を切り替えて実行するようにしている。なお、スイッチバックシフト処理及びスイッチバックレスシフト排出処理の詳細については上述した通りなので、以下では、主な動作について説明する。
【0279】
図86のフローチャートが実行されると、まず、制御部203は、シートありフラグが1であるか否か、即ち、処理トレイ220上にスイッチバックさせているシートがあるか否かを判断する(S201)。シートありフラグが1である(処理トレイ220上にスイッチバックさせているシートがある)場合(S201のYes)、シートBに対してスイッチバックシフト排出処理(SBシフト処理)を実行すべく、S202に進む。制御部203は、スイッチバックシフト処理を行なう場合、束出し枚数を1加算し、束内枚数を1減算する(S202)。
【0280】
次に、シートBが搬送されて来る前に、
図87の(d)に示すように、片側の整合板271Aをシート受入位置まで移動させ、
図87の(e)に示すように、処理トレイ220上にシートBを受入れる(S203)。次いで、
図87の(f)に示すように、スイッチバックさせているシートAの上に積載されたシートBを、掻き込みパドル240A及び戻し部材280で、シートBの後端が後端規制部材290に当接するまで掻き込む(S204)。そして、
図87の(g)に示すように、片側の整合板271Aにより、処理トレイ220上のシートBをシフト方向に移動する(S205)。これにより、
図87の(h)に示すように、処理トレイ220上でシートAとシートAの上に積載されたシートBの幅方向の位置が整列された状態となる。
【0281】
次に、制御部203は、束内枚数が0か判断し(S206)、束内枚数が0である場合(S206のYes)、部数カウントを1減算し、束内枚数に初期値を再セットする(S207)。そして、制御部203は、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BとでシートAとシートBを束ねた状態でニップし、
図87の(i)に示すように、両側の整合板271Aをシート排出時の退避位置に移動させる(S208)。
【0282】
そして、シートAとシートBを含むシート束を積載トレイ300へ排出し、整合板271Aを次のシート受入位置へ移動する(S209)。シート束を積載トレイ300に排出後、
図87の(j)に示すように、シート押さえパドル320Aにより、排出されたシート束の上面(シートBの上面)の後端を押さえる。次いで、制御部203は、束出し枚数を0クリア、シートありフラグを0クリアし(S210)、
図86のスモールサイズシフト切替処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0283】
S206において、束内枚数が0でない場合(S206のNo)、束出し枚数がN枚以上であるか判断する(S211)。本実施形態では、上述のようにN=2とする。S211において、束出し枚数がN枚以上でない、即ち、2枚以上でない(0枚又は1枚の)場合(S211のNo)、
図86のスモールサイズシフト切替処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0284】
S211において、束出し枚数がN枚以上(即ち、2枚以上)である場合(S211のYes)、制御部203は、束内枚数がN枚以上であるか判断する(S212)。S212において、束内枚数がN枚以上でない、即ち、2枚以上でない(0枚又は1枚の)場合(S212のNo)、
図86のスモールサイズシフト切替処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0285】
S212において、束内枚数がN枚以上(即ち、2枚以上)である場合(S212のYes)、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BとでシートAとシートBを束ねた状態でニップし、
図87の(i)に示すように、両側の整合板271Aをシート排出時の退避位置に移動させる(S208)。
【0286】
そして、シートAとシートBを含むシート束を積載トレイ300へ排出し、整合板271Aを次のシート受入位置へ移動する(S209)。シート束を積載トレイ300に排出後、
図87の(j)に示すように、シート押さえパドル320Aにより、排出されたシート束の上面(シートBの上面)の後端を押さえる。次いで、制御部203は、束出し枚数を0クリア、シートありフラグを0クリアし(S210)、
図86のスモールサイズシフト切替処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0287】
[スモールサイズスイッチバクレスシフト排出処理]
上述のS201において、シートありフラグが1でない(処理トレイ220上にスイッチバックさせているシートがない)場合(S201のNo)、シートBに対してスイッチバックレスシフト排出処理(SBレスシフト処理)を実行すべく、S220に進む。制御部203は、スイッチバックシフト処理を行なう場合、束出し枚数を0クリアし、束内枚数を1減算する(S220)。
【0288】
次に、制御部203は、シートBを上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bとでニップし、一対の整合板271Aをシート受入位置に移動させ、シートBを上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BとでニップすることでシートBを受入れて、シートの搬送を停止する(S221)。そして、受け入れたシートBの幅方向端面を一対の整合板271Aで規制し、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230Bによるニップを解除する(S222)。
【0289】
更に、一対の整合板271Aで、シートBを規制した状態でシフト方向に移動させ(S223)、移動完了後、再度、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BでシートBをニップし、規制していた一対の整合板271Aを退避位置へ移動する(S224)。その後、上側排出ローラ230Aと下側排出ローラ230BとでシートBを積載トレイ300に排出する。その際、整合板271Aを次のシート受入位置へ移動させ(S225)、
図86のスモールサイズシフト切替処理を抜けて、
図84のS309に戻る。
【0290】
[同幅混載ジョブの具体例]
次に、上述した同幅混載ジョブの具体例について、上述の
図84~87を参照しながら説明する。ここでは、部数を1、束内枚数(成果物の1束の枚数)を5枚、束出し枚数は通常は2枚とし、成果物の1束の残りの枚数が3枚であれば、3枚のシート束で処理トレイ220から積載トレイ300に排出可能とする。本例でも、
図85のS110などの「N」を2枚とする。また、1束内のシートサイズの内訳は、順番に、シートA、シートA、シートA、シートB、シートBとする。即ち、本例では、ラージサイズのシートAが3枚、スモールサイズのシートBが2枚である1つのシート束を積載トレイ300に排出する同幅混載ジョブを実行するものとする。
【0291】
まず、本例の初期値を、
図84のS308において、束出し枚数0、束内枚数5、シートありフラグ0、部数カウント1に設定する。1枚目のシートはラージサイズのシートAなので、
図84のS311の判断により、S100に進む。次いで、
図85のS101で、束出し枚数1、束内枚数4、シートありフラグ1に変更する。S102~S104の処理を行うことで、シートAは、
図87の(c)の状態となる。S105において、束内枚数が0ではないからS110に進む。S110において、束出し枚数の現在の値が1であり、束出し枚数がN以上(本例は2以上)ではないので、S110の判断が「No」となり、「End」となる。そして、
図84のS309に戻る。
【0292】
2枚目のシートAについても、S311の判断でS100に進み、
図85のS101で、束出し枚数2、束内枚数3、シートありフラグ1に変更する。次いで、S102~S104の処理を行い、S105において、束内枚数が0ではないからS110に進む。S110において、束出し枚数の現在の値が2であり、束出し枚数がN以上(本例は2以上)であるので、S111へ進む。S111において、束内枚数の現在の値が3であり、束内枚数がN以上(本例は2以上)であるので、S107に進み、S108で、1枚目と2枚目のシートAをまとめて積載トレイ300に排出する。そして、S109において、束出し枚数を0に、シートありフラグを0に変更し、
図84のS309に戻る。なお、束内枚数は3のままである。
【0293】
3枚目のシートAについても、S311の判断でS100に進み、
図85のS101で、束出し枚数1、束内枚数2、シートありフラグ1に変更する。次いで、S102~S104の処理を行い、S105において、束内枚数が0ではないからS110に進む。S110において、束出し枚数の現在の値が1であり、束出し枚数がN以上(本例は2以上)ではないので、S110の判断が「No」となり、「End」となる。そして、
図84のS309に戻る。
【0294】
4枚目のシートBについては、スモールサイズなので、
図84のS311の判断により、S200に進む。次いで、
図86のS201で、シートありフラグが1なので、SBシフト処理に進み、S202で、束出し枚数2、束内枚数1に変更する。なお、この時点ではシートありフラグは1のままである。S203~S205の処理を行うことで、シートBは、
図87の(h)の状態となる。S206において、束内枚数が0ではないからS211に進む。S211において、束出し枚数の現在の値が2であり、束出し枚数がN以上(本例は2以上)であるので、S212へ進む。S212において、束内枚数の現在の値が1であり、束内枚数がN以上(本例は2以上)ではないので、S212の判断が「No」となり、「End」となる。そして、
図84のS309に戻る。
【0295】
5枚目のシートBについても、S311の判断により、S200に進む。次いで、
図86のS201で、シートありフラグが1なので、SBシフト処理に進み、S202で、束出し枚数3、束内枚数0に変更する。なお、この時点ではシートありフラグは1のままである。次いで、S203~S205の処理を行い、S206において、束内枚数が0であるので、S207に進む。S207で、部数カウントを0に変更する。なお、S207では、束内枚数を初期値にセットしておく。これは、部数が2部以上である場合、ここで部数カウントをデクリメントしても部数カウントが0にならず、次の部のジョブが行われるためである。次いで、S208に進み、S209で、3枚目のシートA、4枚目及び5枚目のシートBをまとめて積載トレイ300に排出する。そして、S210において、束出し枚数を0に、シートありフラグを0に変更し、
図84のS309に戻る。S309において、部数カウントが0なので、S310に進み、本例のジョブが終了する。
【0296】
このように本実施形態では、同幅混載ジョブにおいて、処理トレイ220にシートがなく、且つ、次のシートがシートBである場合には、シートBに対してスイッチバックレスシフト排出処理(SBレスシフト処理)を実行する。一方、処理トレイ220にシートがあり、且つ、次のシートがシートBである場合には、シートBに対してスイッチバックシフト動作を行って、処理トレイ220にあるシートと共にスイッチバックシフト動作を行ったシートBを積載トレイ300に排出するスイッチバックシフト排出処理(SBシフト処理)を実行する。
【0297】
また、本実施形態では、同幅混載ジョブにおいて、スイッチバックシフト排出処理を実行する場合には、シートがシートAであるかシートBであるかに関わらず、第1枚数のシートに対してスイッチバックシフト動作を行って、整合板271Aによりシフト方向に移動された第1枚数のシートの束を上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bによって積載トレイ300に排出する。ここで、第1枚数は、上述のN(例えば2枚)である。
【0298】
また、本実施形態では、同幅混載ジョブにおいて、スイッチバックシフト排出処理を実行する場合で、且つ、同幅混載ジョブにおける成果物の1束の残りの枚数が第1枚数に第2枚数を加えた枚数である場合には、シートがシートAであるかシートBであるかに関わらず、第1枚数に第2枚数を加えた枚数のシートに対してスイッチバックシフト動作を行って、整合板271Aによりシフト方向に移動された第1枚数に第2枚数を加えた枚数のシートの束を上側排出ローラ230A及び下側排出ローラ230Bによって積載トレイ300に排出する。ここで、第2枚数は、例えば、1枚であり、上述の具体例では、第1枚数に第2枚数を加えた枚数は、2枚に1枚を加えた3枚となる。なお、第1枚数及び第2枚数は、適宜設定可能である。
【0299】
上述のように本実施形態では、同幅混載ジョブを実行する場合に、処理トレイ220上にシートがあれば、次のシートが、スイッチバックレスシフト排出処理が可能なスモールサイズのシートBであっても、スイッチバックシフト排出処理を実行している。このため、次のシートであるシートBに対してスイッチバックレスシフト排出処理を行うべく、処理トレイ220上にあるシートを積載トレイ300に予め排出させておく必要はない。このため、シートを積載トレイ300に排出する回数を減らすことができ、同幅混載ジョブの生産性を向上させることができる。
【0300】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、シート処理装置200、200Aを画像形成装置100の胴内空間130内に配置する構成としたが、本発明のシート処理装置の構成は、例えば、画像形成装置の側面に装着される構成であっても良い。また、シート処理装置は、画像形成装置が備える制御部により制御される構成であっても良い。
【符号の説明】
【0301】
200、200A・・・シート処理装置
210、210A・・・搬送パス
211、211A、212A・・・処理前ローラ
212・・・搬送ベルト
220・・・処理トレイ
230・・・排出ローラ
230A・・・上側排出ローラ
230B・・・下側排出ローラ
240・・・掻き込み部
240a・・・掻き込みベルト
240A・・・掻き込みパドル
250、250A・・・後端落とし部材
260・・・排出ベルト
270、270A・・・整合部
271、271A・・・整合板
280・・・戻し部材
290・・・後端規制部材
300・・・積載トレイ
310・・・立ち面
320・・・シート押さえベルト
400・・・ステープルユニット
600・・・駆動構成
2703・・・カール押さえ部
2704・・・支持部
MT3・・・昇降モータ
MT16・・・F側整合板移動モータ
MT17・・・R側整合板移動モータ