(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108447
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電流監視装置、電流監視方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240805BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240805BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240805BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20240805BHJP
B60L 58/24 20190101ALI20240805BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
H01M10/48 P
H01M10/48 301
B60L50/60
B60L53/80
B60L58/24
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012824
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 純一郎
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503FA03
5G503FA17
5G503FA18
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC13
5H125BC05
5H125BC19
5H125CD02
5H125EE22
5H125EE25
5H125EE29
5H125FF12
(57)【要約】
【課題】より低コストに、バッテリからの電力供給に対する適切な制御を行うこと。
【解決手段】実施形態の電流監視装置において、移動体に着脱可能なバッテリのコネクタに流れる電流値を取得する取得部と、前記取得部により取得された電流値が第1条件を満たす場合に前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測する推測部と、前記推測部により前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測された場合に、前記移動体に対する制御を行う制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に着脱可能なバッテリのコネクタに流れる電流値を取得する取得部と、
前記取得部により取得された電流値が第1条件を満たす場合に前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測する推測部と、
前記推測部により前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測された場合に、前記移動体に対する制御を行う制御部と、
を備える電流監視装置。
【請求項2】
前記移動体に対する制御は、前記バッテリから前記移動体へ供給される電力の出力制御を含む、
請求項1に記載の電流監視装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記出力制御の実行中であって、且つ前記電流値に基づく第2条件を満たす場合に、前記出力制御を解除する、
請求項2に記載の電流監視装置。
【請求項4】
前記推測部は、前記移動体に設けられた移動体側検出部により検出された前記コネクタの電流値に基づいて、前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えているか否かを判定する、
請求項1に記載の電流監視装置。
【請求項5】
前記推測部は、前記バッテリに設けられたバッテリ側検出部により検出された前記コネクタの電流値に基づいて、前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えているか否かを判定する、
請求項1に記載の電流監視装置。
【請求項6】
前記移動体に対する制御は、前記移動体の乗員への通知制御を含む、
請求項1に記載の電流監視装置。
【請求項7】
前記通知制御は、前記コネクタまたは前記バッテリの温度の劣化度合に関する情報を前記乗員に通知する制御を含む、
請求項6に記載の電流監視装置。
【請求項8】
コンピュータが、
移動体に着脱可能なバッテリのコネクタに流れる電流値を取得し、
取得した前記電流値が第1条件を満たす場合に前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測し、
前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測した場合に、前記移動体に対する制御を行う、
電流監視方法。
【請求項9】
コンピュータに、
移動体に着脱可能なバッテリのコネクタに流れる電流値を取得させ、
取得された前記電流値が第1条件を満たす場合に前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測させ、
前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測された場合に、前記移動体に対する制御を行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流監視装置、電流監視方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が行われている。これに関連して、コネクタ(電気接続部)の内部にヒューズを組み込んで過電流遮断機能を付加する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次電池に関する技術においては、過電流によってコネクタやバッテリの温度が上昇すると、コネクタやバッテリが劣化する恐れがある。そのため、コネクタにヒューズだけでなく温度センサを設けて温度を監視することが考えられるが、ヒューズや温度センサを設置するとコストが増加してしまう。そのため、従来ではバッテリからの電力供給に対する適切な制御を低コストに行えないということが課題であった。
【0005】
本願は、上記課題の解決のため、より低コストに、バッテリからの電力供給に対する適切な制御を行うことができる電流監視装置、電流監視方法、およびプログラムを提供することを目的としたものである。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電流監視装置、電流監視方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る電流監視装置は、移動体に着脱可能なバッテリのコネクタに流れる電流値を取得する取得部と、前記取得部により取得された電流値が第1条件を満たす場合に前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測する推測部と、前記推測部により前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測された場合に、前記移動体に対する制御を行う制御部と、を備える電流監視装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記移動体に対する制御は、前記バッテリから前記移動体へ供給される電力の出力制御を含むものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記制御部は、前記出力制御の実行中であって、且つ前記電流値に基づく第2条件を満たす場合に、前記出力制御を解除するものである。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記推測部は、前記移動体に設けられた移動体側検出部により検出された前記コネクタの電流値に基づいて、前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えているか否かを判定するものである。
【0010】
(5):上記(1)の態様において、前記推測部は、前記バッテリに設けられたバッテリ側検出部により検出された前記コネクタの電流値に基づいて、前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えているか否かを判定するものである。
【0011】
(6):上記(1)の態様において、前記移動体に対する制御は、前記移動体の乗員への通知制御を含むものである。
【0012】
(7):上記(6)の態様において、前記通知制御は、前記コネクタまたは前記バッテリの温度の劣化度合に関する情報を前記乗員に通知する制御を含むものである。
【0013】
(8):本発明の他の態様に係る電流監視方法は、コンピュータが、移動体に着脱可能なバッテリのコネクタに流れる電流値を取得し、取得した前記電流値が第1条件を満たす場合に前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測し、前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測した場合に、前記移動体に対する制御を行う、電流監視方法である。
【0014】
(9):本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、移動体に着脱可能なバッテリのコネクタに流れる電流値を取得させ、取得された前記電流値が第1条件を満たす場合に前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測させ、前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測された場合に、前記移動体に対する制御を行わせる、プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)~(9)の態様によれば、より低コストに、バッテリからの電力供給に対する適切な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る電流監視装置が適用される車両10の構成の一例を示す図である。
【
図2】バッテリ150の構成の一例を示す図である。
【
図3】計測データから電流値Irmsを取得することについて説明するための図である。
【
図4】条件情報の内容の一例について説明するための図である。
【
図5】電流監視装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】変形例におけるバッテリ150Aの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の電流監視装置、電流監視方法、およびプログラムの実施形態について説明する。なお、以下の例では、電流監視装置が移動体に搭載されているものとして説明する。移動体とは、例えば、二輪車、三輪または四輪等の車両、マイクロモビリティ等を含み、人(運転者等の乗員)が搭乗し、且つ複数のバッテリ(二次電池)から供給される電力によって作動するあらゆる移動体を含んでもよい。以下では、移動体が車両であるものとして説明する。
【0018】
(車両)
図1は、実施形態に係る電流監視装置が適用される車両10の構成の一例を示す図である。車両10は、例えば、モータ(電動機)12と、駆動輪14と、ブレーキ装置16と、車両センサ20と、通信装置50と、制御装置60と、出力装置70と、給電制御システム100とを備える。
図1に示した車両10は、走行用のバッテリ(二次電池)から供給される電力によって駆動される電動機(電動モータ)によって走行するBEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)である。代替的に、車両10は、ハイブリッド車両に外部充電機能を持たせたPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)又はPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)であってもよい。なお、車両10は、例えば、鞍乗り型の二輪の車両であるが、これに限らず四輪の車両や、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)の車両、アシスト式の自転車、さらには、電動船等、バッテリから供給される電力によって駆動される電動モータによって走行する移動体の全般が含まれる。
【0019】
モータ12は、例えば、三相交流電動機である。モータ12の回転子(ロータ)は、駆動輪14に連結される。モータ12は、バッテリ150が備える蓄電部から供給される電力によって駆動され、回転の動力を駆動輪14に伝達させる。また、モータ12は、車両10の減速時に車両10の運動エネルギーを用いて発電する。
【0020】
ブレーキ装置16は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、を備える。ブレーキ装置16は、ブレーキペダル(不図示)に対する車両10の乗員(運転者)による操作によって発生した油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてもよい。なお、ブレーキ装置16は、上記説明した構成に限らず、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0021】
車両センサ20は、例えば、アクセル開度センサと、車速センサと、ブレーキ踏量センサと、を備える。アクセル開度センサは、アクセルペダルに取り付けられ、運転者によるアクセルペダルの操作量を検出し、検出した操作量をアクセル開度として後述する制御装置60に出力する。車速センサは、例えば、車両10の各車輪に取り付けられた車輪速センサと速度計算機とを備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して車両10の速度(車速)を導出し、制御装置60に出力する。ブレーキ踏量センサは、ブレーキペダルに取り付けられ、運転者によるブレーキペダルの操作量を検出し、検出した操作量をブレーキ踏量として制御装置60に出力する。
【0022】
通信装置50は、セルラー網やWi-Fi網を接続するための無線モジュールを含む。通信装置50は、Bluetooth(登録商標)等利用するための無線モジュールを含んでもよい。通信装置50は、無線モジュールにおける通信によって、車両10に係る種々の情報を、外部装置(例えば、情報管理装置やバッテリ交換装置)との間で送受信する。通信装置50は、例えば、車両10を識別する車両識別番号(vehicle identification number;VIN)又はバッテリ150を識別するバッテリIDに紐づけて、バッテリセンサ160によって計測されたバッテリ150の電流値、電圧値、温度や制御装置60によって算出されたSOC(State Of Charge;バッテリ充電率)等の計測データを外部装置に送信する。
【0023】
制御装置60は、車両センサ20や通信装置50、給電制御システム100等から得られる情報に基づいて、車両10の各構成全体を制御する。例えば、制御装置60は、車両センサ20が備えるアクセル開度センサからの出力に基づいて、モータ12の駆動を制御する。また、制御装置60は、車両センサ20が備えるブレーキ踏量センサからの出力に基づいて、ブレーキ装置16を制御する。また、制御装置60は、PCU120に給電に関する制御情報を出力したり、車両10に係る種々の情報を通信装置50に送信させたり、出力装置70から出力させる等の制御を行う。制御装置60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。この構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0024】
出力装置70は、制御装置60または給電制御システム100から得られた種々の情報を出力する。出力装置70は、例えば、ディスプレイ(表示部の一例)72と、スピーカ(音声出力部の一例)74とを備える。ディスプレイ72は、例えば、TFT(薄膜トランジスター:Thin Film Transistor)液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を含んで構成される。ディスプレイ72は、制御装置60または給電制御システム100から得られた所定の状態や所定の指示を示す画像を表示する。所定の状態とは、例えば、後述するバッテリ150またはコネクタ151の温度が上昇していることを示す情報であったり、バッテリ150またはコネクタ151の劣化度合に関する情報である。所定の指示とは、例えば、車両10における電力の使用を制限するための指示である。スピーカ74は、ディスプレイ72により表示された画像に対応する音声情報を出力する。また、スピーカ74は、出力制御の内容に対応付けられた音(例えば、警告音)等を出力してもよい。
【0025】
給電制御システム100は、例えば、PCU(Power Control Unit)120と、バッテリ150と、バッテリセンサ160とを備える。なお、
図1においては、これらの構成要素を給電制御システム100として一まとまりの構成としたのは、あくまで一例であり、給電制御システム100におけるこれらの構成要素は分散的に配置されてもよい。また、給電制御システム100には、他の構成要素が含まれてもよい。PCU120は、「電力制御部」の一例である。バッテリセンサ160は、「移動体側検出部」の一例である。
【0026】
PCU120は、バッテリ150から負荷への電力の供給(放電)を制御する。負荷は、例えば、モータ12であるが、車両10に搭載され、電力の供給によって作動する他の車載機器(例えば、車両センサ20、通信装置50、制御装置60等)が含まれてよい。また、PCU120は、バッテリ150の充電制御や、給電制御システム100内の電流の流れや電圧の制御、システム内の導通状態(オン状態)と遮断状態(オフ状態)の切替制御等を行ってもよい。PCU120は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。この構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0027】
図1の例において、PCU120は、例えば、変換器130と、VCU(Voltage Control Unit)34とを備えるが、他の構成(回路等)が含まれてよい。変換器130は、例えば、AC-DC変換器である。変換器130の直流側端子は、直流リンクDLに接続されている。直流リンクDLには、VCU140を介してバッテリ150が接続されている。変換器130は、モータ12により発電された交流を直流に変換して直流リンクDLに出力する。VCU140は、例えば、DC-DCコンバータである。VCU140は、バッテリ150から供給される電力を昇圧して直流リンクDLに出力する。
【0028】
例えば、制御装置60は、バッテリ150に接続されたバッテリセンサ160からの出力に基づいて、例えば、バッテリ150のSOCを算出し、VCU140に出力する。VCU140は、制御装置60からの指示に応じて、直流リンクDLの電圧を上昇させる。
【0029】
バッテリ150は、例えば、車両10の動力の他、例えば家庭での電源としても活用できるバッテリである。バッテリ150は、例えば、車両10に対して着脱自在に装着されるカセット式等の着脱式バッテリであり、MPP(Mobile Power Pack;モバイルパワーパック)と称される場合がある。車両10には、一以上のバッテリ150が搭載され、各バッテリ150からの電力が供給可能な構成になっている。また、複数のバッテリ150は、バッテリパックとして一体に構成されていてもよい。バッテリ150は、車両10の外部の充電設備(不図示)から供給される電力を蓄え、車両10の走行のための放電を行う。また、バッテリ150は、車両10が生成する回生エネルギーによって電力を蓄えてもよい。また、車両10に搭載されたバッテリ150は、バッテリ交換装置に収容されている他のバッテリとの交換が可能である。
【0030】
なお、バッテリ150には、車両10側と着脱自在に装着でき、車両10との機械的且つ電気的な接続を可能するためのコネクタ(接続部)151が設けられている。実施形態において車両10には、複数のバッテリ150を搭載することができ、その場合に各バッテリは、コネクタ151によって直列または並列に接続される。なお、コネクタ151には、流れる電流を遮断状態にする機構が設けられていてもよい。
【0031】
バッテリセンサ160は、バッテリ150(特に後述する蓄電部152)の電流や、電圧、温度等の物理量を計測する。バッテリセンサ160は、例えば、電流センサ、電圧センサ、温度センサを備える。バッテリセンサ160は、電流センサによってバッテリ150の電流を計測し、電圧センサによってバッテリ150の電圧を計測し、温度センサによってバッテリ150の温度を計測する。また、バッテリセンサ160は、コネクタ151を流れる電流値を計測してもよい。バッテリセンサ160は、計測したバッテリ150の電流値、電圧値、温度等の物理量のデータ(計測データ)やコネクタ151の電流値の計測データをバッテリ150や、制御装置60、通信装置50に出力する。
【0032】
[バッテリ]
次に、バッテリ150の構成について説明する、
図2は、バッテリ150の構成の一例を示す図である。バッテリ150は、例えば、コネクタ151と、蓄電部152と、BMU(Battery Management Unit)154とを備える。BMU154は、「電流監視装置」の一例である。
【0033】
蓄電部152は、充電した電力の蓄電および蓄電した電力の放電をする蓄電池を含んで構成される。蓄電部152に含まれる蓄電池としては、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン電池、全固体電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ、または二次電池とキャパシタとを組み合わせた複合電池等である。
【0034】
BMU154は、蓄電部152の充電や放電を制御したり、電流の流れる方向や電圧値を制御したり、バッテリ150の異常判定を行ったり、バッテリ回路の導通状態と遮断状態とを切り替えるオンオフ制御を実行する。また、BMU154は、バッテリ150の使用可能容量を調整してもよい。BMU154は、例えば制御装置60またはPCU120の制御によって、上述の各種制御を実行してもよい。
【0035】
BMU154は、例えば、取得部154Aと、推測部154Bと、制御部154Cと、記憶部154Dとを備える。取得部154Aと、推測部154Bと、制御部154Cとは、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0036】
記憶部154Dは、上記の各種記憶装置、或いはSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。また、記憶部154Dには、例えば、実施形態における出力制御の実行条件や実行の解除条件を示す条件情報や、制御部154Cによる制御内容、バッテリセンサ160による検出結果、プログラム、その他各種情報が格納される。
【0037】
取得部154Aは、例えば、バッテリセンサ160により所定間隔で繰り返し(継続的に)計測される計測データを取得する。
【0038】
推測部154Bは、取得部154Aにより取得されたたコネクタ151の電流値の計測データに基づいて、コネクタ151に流れる電流の実効値(電流値Irms)を取得し、取得した電流値Irmsに基づいてコネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えているか否か(温度が上昇しているか否か)を推測する。
図3は、計測データから電流値Irmsを取得することについて説明するための図である。
図3の例において、横軸は時間を示し、縦軸は電流値[A]を示す。推測部154Bは、所定時間Tmsにおいて、所定間隔(例えば、約500[ms]程度)で電流値のサンプル(瞬時値)を取得し、取得したサンプル(例えば、20サンプル)を用いて、例えば、以下の(1)式に示すような所定の演算処理(二乗平均値等の計算)によって、所定時間Tmsにおける電流値Irmsを取得する。
【数1】
【0039】
なお、(1)式のI
t-1~I
t-20は、所定時間Tmsに含まれる異なる時刻のサンプル値(20個分)を示す。推測部154Bは、上述の処理を、時間(所定時間Tmsの始期)をずらしながら継続して電流値Irmsを取得する(
図3の例では、所定時間Tms1~Tms5に対する電流値Irms1~Irmsが取得されている)。上述した処理を行うことで、一時的な電流値の変動によるバラツキを軽減することができ、
図3に示すように瞬時値よりも安定した電流値Irmsを取得することができる。したがって、電流値Irmsを用いてより適切な制御を行うことができる。
【0040】
次に、推測部154Bは、求めた電流値Irmsと記憶部154Dに記憶された条件情報とに基づいて、取得部154Aにより取得された電流値Irmsが第1条件を満たす場合に、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えている(温度が上昇している)と推測し、第1条件を満たさない場合に、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えていない(温度が上昇していない、または、温度が閾値である)と推測する。また、推測部154Bは、継続して求めた電流値Irmsの推移(時系列情報による変動量)に基づいて、近い将来(現在から所定時間以内)における電流値Irmsを予測し、予測した電流値Irmsと、第1条件とに基づいて、コネクタ151またはバッテリ150の温度が近い将来に閾値を超える(温度が上昇する)か否かを推測してもよい。また、推測部154Bは、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えていると推測され、後述する出力制御が実行している場合に、電流値Irmsが第2条件を満たす場合に、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えていない(温度が上昇していない、または、温度が閾値である)と推測してもよい。
【0041】
図4は、条件情報の内容の一例について説明するための図である。
図4に示す条件情報には、第1条件と第2条件とが含まれる。第1条件は、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超える可能性が高いと推測される条件であり、車両10に対する出力制御を実行する条件(実行条件)である。第2条件は、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値以下となる可能性が高いと推測される条件であり、第1条件に基づく車両10に対する出力制御の実行を解除する条件(解除条件)である。第1条件と第2条件は、例えば、車両10に複数のバッテリ150が搭載されている場合には、バッテリごとに設定されてもよく、複数のバッテリ150が直列で接続されているか、並列で接続されているかによって異なる条件が設定されてもよい。第1条件および第2条件のそれぞれには、電流値Irmsの状態と継続時間とが含まれる。
図4の例では、電流値Irmsが60[A]以上となる状態が5[sec]以上継続した場合に第1条件を満たし、電流値Irmsが60[A]未満となる状態が1[sec]以上継続した場合に第2条件を満たす。なお、
図4に示す数値は一例であり、これに限定されるものではない。推測部154Bは、コネクタ151の温度を計測するための温度センサを設けなくても、上述の条件を満たしているか否かに基づいて、コネクタ151やバッテリ150の温度上昇や下降を推測することができる。したがって、より低コストに温度を把握してバッテリ150からの電力供給に対する制御を行うことができる。
【0042】
なお、推測部154Bは、蓄電部152を充電または蓄電部152が放電する際の温度等の蓄電部152の状態を表す計測値に基づいて、蓄電部152に異常があることを推測してもよい。例えば、推測部154Bは、バッテリセンサ160により計測された蓄電部152の電流値、電圧値、または温度のうち少なくとも一つの値が異常値である場合(予め決められた使用許容範囲に含まれない値である場合)に、バッテリ150に異常があると推測する。また、推測部154Bは、バッテリセンサ160からの計測値が所定時間以上取得できない場合(センサ異常)にバッテリ150に異常があると推測してもよい。また、推測部154Bは、異常値の大きさ(使用可能範囲からの乖離度合)や異常値である値の種類や数に応じた異常の度合を検知してもよい。
【0043】
また、推測部154Bは、バッテリ150の異常の度合に基づいて、バッテリ150の劣化度合を推測してもよい。例えば、推測部154Bは、バッテリ150の異常を検知した回数に応じてバッテリ150の劣化度合が段階的に大きくなるように変更する。また、推測部154Bは、コネクタ151に流れる電流値Irmsが第1条件を満たす回数等に基づいて劣化度合を推測してもよい。この場合、推測部154Bは、第1条件を満たす回数に応じてコネクタ151の劣化度合が段階的に大きくなるように変更する。上記回数は、例えばバッテリ150またはコネクタ151の現在の劣化度合に応じて調整されてよい。
【0044】
推測部154Bにより推測された結果は、制御部154Cに出力されてもよく、記憶部154Dに記憶されてもよく、PCU120や制御装置60に出力されてもよい。
【0045】
制御部154Cは、推測部154Bにより推測された結果に基づく制御を行う。例えば、制御部154Cは、推測部154Bによりコネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えている(または温度が近い将来に閾値を超える)と推測された場合に、車両10に対する制御を行う。車両10に対する制御には、例えば、バッテリ150から車両10に供給される電力の出力制御および/または車両の乗員への通知制御が含まれる。
【0046】
例えば、制御部154Cは、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えていると推測された場合に、蓄電部152から車両10に供給される電力量を抑制する(電力抑制制御)。例えば、制御部154Cは、抑制前の電力量(基準電力量)と比較して所定量だけ削減した電力量が供給可能となるように電力の使用可能容量を調整する。所定量は、例えば、推測部154Bにより推測されたバッテリ150やコネクタ151の劣化度合に応じて設定されてもよく、固定量であってもよい。また、所定量は、車両10が複数のバッテリ150を搭載している場合に直列に接続されているか、並列に接続されているかによって異ならせてもよい。
【0047】
また、制御部154Cは、車両10に対する出力制御として、電力の出力制御が実行中であることや、バッテリ150の異常度合、バッテリ150やコネクタ151の劣化度合に関する情報を車両10の乗員に通知するために制御装置60に出力してもよい。また、制御部154Cは、車両10の乗員に、車載機器の使用を中断して電力消費の抑制を促す情報を制御装置60に出力させてもよい。制御装置60は、制御部154Cにより出力された情報を取得し、取得した情報に基づく画像や音声を生成して、出力装置70に出力する。これにより、出力装置70を介して上述の各種情報を乗員に通知することができる。したがって、乗員は、電力供給の状況をより正確に把握することができ、劣化度合に応じてより適切なタイミングでバッテリ150やコネクタ151の交換や修理等を行うことができる。なお、制御装置60は、出力装置70に代えて(または加えて)、通信装置50を介して車両10の利用者(または管理者)の端末装置に各種情報を出力させてもよい。
【0048】
また、制御部154Cは、上述した電力の出力制御の実行中に、推測部154Bにより第2条件を満たしてコネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えていないと推測された場合に、実行中の出力制御(電力抑制制御)を解除する。出力制御を解除するとは、例えば、供給される電力量を抑制前の電力量に戻したり、乗員への通知情報の出力を終了することである。また、制御部154Cは、出力制御が解除されたことを示す情報を、乗員に通知するために制御装置60に出力させてもよい。このような制御により、過電流等の影響によりバッテリ150から車両10に供給される電力が遮断されることを抑制することができ、より継続した電力の供給が可能となる。
【0049】
なお、制御部154Cは、推測部154Bにより蓄電部152に異常がある(電力供給できない)と推定された場合には、コネクタ151またはその他の機構(既存の遮断機構)を用いて電力の供給を遮断する電力遮断制御を行ってもよい。また、制御部154Cは、上述した出力制御(電力抑制制御)を実行してから所定時間が経過しても電流値Irmsが減少しない場合には、蓄電部152に異常が生じていると推測し電力遮断制御を実行してもよい。
【0050】
[処理フロー]
次に、実施形態の電流監視装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、電流監視装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、電流監視装置の一例であるBMU154より実行される処理のうち、主にコネクタ151に流れる電流値に基づく出力制御処理を中心として説明する。また、以下に示す処理は、例えば、所定周期またはタイミングで繰り返し実行されてよい。
【0051】
図5の例において、取得部154Aは、バッテリセンサ160からコネクタ151に流れる電流値の計測データを取得する(ステップS100)。次に、推測部154Bは、取得した計測データに基づいて電流値Irmsを取得する(ステップS110)。次に、推測部154Bは、電流値Irmsが第1条件を満たすか否かを判定する(ステップS120)。電流値Irmsが第1条件を満たすと判定した場合、推測部154Bは、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えている(温度が上昇している)と推測する(ステップS130)。次に、制御部154Cは、温度が閾値を超えているため、車両10に関する出力制御(例えば、電力抑制制御や乗員への通知)を行う(ステップS140)。ステップS140の処理は、供給電力(出力される電流値)の抑制によってコネクタ151およびバッテリ150の温度を減少させるための処理であり、この出力制御を実行しても電流値Irmsが減少しない場合であってもバッテリ150に異常が生じているとして電力遮断等の処理が実行されるため、結果として、コネクタ151に流れる電流値Irmsは下がることになる。
【0052】
次に、出力制御の実行中において、推測部154Bは、電流値Imsが第2条件を満たすか否かを判定する(ステップS150)。電流値Imsが第2条件を満たない場合には、第2条件を満たすまで待機し、第2条件を満たすと判定した場合、推測部154Bは、コネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えていないと推測する(ステップS160)。次に、制御部154Cは、温度が閾値を超えていないため、ステップS140の処理で実行した車両10に関する出力制御を解除する(ステップS170)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。また、ステップS140の処理において、電流値Irmsが第1条件を満たさないと判定した場合、本フローチャートの処理は、終了する。
【0053】
[変形例]
実施形態において、バッテリセンサ160は、バッテリ150内に設けられてもよい。また、実施形態において、バッテリ150内に電流センサ(バッテリ側検出部)を設け、コネクタ151に流れる電流値をバッテリセンサ160に代えて、バッテリ側検出部で検出させてもよい。
図6は、変形例におけるバッテリ150Aの構成の一例を示す図である。
図6に示すバッテリ150Aは、
図2に示すバッテリ150の構成と比較して、電流センサ156を備えている点で相違する。したがって、以下では主に電流センサ156を中心として説明し、他の構成の説明は省略する。電流センサ156は、「バッテリ側検出部」の一例である。
【0054】
電流センサ156は、コネクタ151に流れる電流を計測し、計測したデータ(計測データ)を取得部154Aに出力する。取得部154Aは、バッテリセンサ160からではなく、電流センサ156によりコネクタ151の電流値を取得する。なお、電流センサ156は、バッテリ150ごとに設けられてもよく、車両10に搭載された複数のバッテリ150が直列に接続される場合に、複数のバッテリの何れか一つに設けられていてもよい。上述したようにバッテリ150内にコネクタ151に流れる電流値を計測するセンサを設けることで、バッテリ150自身でバッテリ150やコネクタ151の温度が上昇していることを推測することができる。また、バッテリ自身で推測するため、バッテリごとに設定された閾値との比較等が容易となる。
【0055】
また、実施形態では、バッテリセンサ160(移動体側検出部)に加えて電流センサ156(バッテリ側検出部)を設け、状況に応じて、どちらからコネクタ151に流れる電流値を取得するかを切り替えてもよい。例えば、車両10に搭載された複数のバッテリ150が直列に接続されている場合には、バッテリセンサ160から電流値を取得し、並列接続されている場合には、電流センサ156によりそれぞれの電流値を取得する。
【0056】
また、実施形態において、取得部154A、推測部154B、および制御部154Cにおける各機能のうちの少なくとも一部は、車両側(例えば、PCU120または制御装置60)に設けられてもよい。この場合、PCU120および/または制御装置60が「電流監視装置」の一例となる。また、PCU120および/または制御装置60、且つBMU154を含めた構成が「電流監視装置」の一例となってもよい。
【0057】
例えば、推測部154Bにおけるコネクタ151やバッテリ150の温度の推測、制御部154Cにおける出力制御の実行や解除を車両側で実行させることで、バッテリ150の構成が容易になるため、バッテリ150のコストを削減することができると共に、バッテリ側の負荷を軽減することができる。
【0058】
また、実施形態において、車両10に複数のバッテリ150が搭載されている場合に、バッテリごとに、バッテリ150やコネクタ151の温度の推定を行ってもよい。この場合、制御部154Cは、複数のバッテリ150が直列に接続されている場合には、最も温度が高いと推測されるバッテリや最も劣化が大きいバッテリを基準にした出力制御(電力抑制制御)を実行する。また、制御部154Cは、複数のバッテリ150が並列に接続されている場合には、バッテリごとに出力制御(電力抑制制御)が実行される。なお、制御部154Cは、複数のバッテリごとの劣化度合を統合的に判断して、上述した出力制御の制御度合(電力抑制度合)を調整してもよい。これにより、より適切にバッテリからの電力供給に対する制御を行うことができる。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、電流監視装置(BMU154)において、移動体(車両10)に着脱可能なバッテリ150のコネクタ151に流れる電流値を取得する取得部154Aと、取得部154Aにより取得された電流値が第1条件を満たす場合にコネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えていると推測する推測部154Bと、推測部154Bによりコネクタ151またはバッテリ150の温度が閾値を超えていると推測された場合に、移動体に対する制御を行う制御部154Cとを備えることにより、より低コストに、バッテリからの電力供給に対する適切な制御を行うことができる。したがって、実施形態によれば、エネルギーの効率化に寄与することができる。
【0060】
例えば、実施形態によれば、コネクタ151に温度センサを設けなくても、コネクタ151の電流値から温度の上昇を推測することができる。また、実施形態によれば、例えば、過去にコネクタに印加された電流値に基づいて、コネクタやバッテリの温度上昇を推測(または予見)し、早期に電力抑制制御を実行することで、異常が生じてバッテリ150が使用不可になるほどの温度上昇を抑制することができ、車両等の電力供給先の急停止やバッテリまたはコネクタの早期劣化を抑制することができる。したがって、より適切にバッテリ150およびコネクタ151の昇温を抑制することができ、バッテリ150の寿命を延長させることができる。
【0061】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
移動体に搭載される着脱式バッテリのコネクタに流れる電流値を取得し、
取得した前記電流値が第1条件を満たす場合に前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測し、
前記コネクタまたは前記バッテリの温度が閾値を超えていると推測した場合に、前記移動体に対する制御を行う、
電流監視装置。
【0062】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0063】
10 車両
12 モータ
14 駆動輪
16 ブレーキ装置
20 車両センサ
50 通信装置
60 制御装置
100 給電制御システム
120 PCU
130 変換器
140 VCU
150,150A バッテリ
151 コネクタ
152 蓄電部
154 BMU
154A 取得部
154B 推測部
154C 制御部
154D 記憶部
156 電流センサ