(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108456
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】駆動ユニット及び遠隔操縦装置
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240805BHJP
G05G 7/10 20060101ALI20240805BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
E02F9/20 B
G05G7/10 Z
B25J3/00
E02F9/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012837
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】上條 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小林 和彦
【テーマコード(参考)】
2D003
3C707
3J070
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA01
2D003BA04
2D003CA02
2D003DA04
2D003EA00
3C707AS21
3C707BS09
3C707DS01
3C707HS13
3C707HS27
3C707HT06
3C707HT08
3C707HT11
3C707JS03
3C707JT04
3C707KT01
3C707KT04
3C707KT18
3C707MT01
3J070AA03
3J070AA41
3J070BA71
3J070CC02
3J070CC71
3J070DA21
(57)【要約】
【課題】建設機械を効率的に遠隔操作する駆動ユニット及び遠隔操縦装置を提供する。
【解決手段】駆動ユニット30は、建設機械を操作する操作レバー20を傾動させるために操作レバー20の上部に設けられた把持部材31を備える。駆動ユニット30は、把持部材31に一端部が取り付けられる少なくとも2本の並設するリンク機構Lm1,Lm2とモータM11,M12とを備える。モータM11,M12は、リンク機構Lm1,Lm2の他端部にそれぞれ回転軸M1a,M2aが連結されることによりリンク機構Lm1,Lm2を回動させる。モータM11,M12の回転量及び回転方向を調整することによって、操作レバー20を、所望の方向に傾動させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械を操作する操作レバーを傾動させるために前記操作レバーを摺動する把持部材を備えた駆動ユニットであって、
前記把持部材に一端部が取り付けられる少なくとも2本の並設するリンク機構と、
前記リンク機構の他端部に回転軸が連結されることにより前記リンク機構を回動させるモータと、を備え、
前記モータの回転量及び回転方向を調整することを特徴とする駆動ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動ユニットにおいて、
前記リンク機構は、前記操作レバーの位置に対して前記建設機械に設けられた座席とは反対側に延在するように設けられていることを特徴とする駆動ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動ユニットと、
遠隔地から操作するための制御信号を出力する遠隔操作機器と、を備えた遠隔操縦装置であって、
前記遠隔操作機器における前記操作レバーの傾動方向及び傾動量に応じた回転方向及び回転量の制御信号に応じて、前記モータを制御する駆動制御部を備えることを特徴とする遠隔操縦装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧ショベル等の建設機械の操作レバーを可動させる駆動ユニット及び遠隔操縦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
災害現場等、建設機械を使用する現場状況に応じて、二次的災害を抑制するために、建設機械を遠隔操作することが望ましい場合がある。そこで、本来は作業者が操作する建設機械の操作レバーに装着して操作レバーを遠隔操作するための装置が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された建設機械の操作装置は、遠隔操作機器からの制御信号に応じて制御される制御ユニットと操作ユニットとを備える。操作ユニットは、操作レバーを傾動させる把持部材と、建設機械に固定する取付板とを備える。操作ユニットは、x軸方向に不動となるように、取付板に取り付けられた摺動部材と、x軸方向に延在して、摺動部材に対して摺動可能で離間して配置される第1ねじ軸及び第1ガイド軸から構成される第1軸部材とを備える。操作ユニットは、第1軸部材の各端部をそれぞれ支持する把持部材及び支持部材と、第1伝達機構を介して第1ねじ軸を正逆方向に回転させる第1モータとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の遠隔操縦装置は、使用する部品点数が多いため、構造が複雑になる。更に、装置の重量が重くなる。また、特許文献1に記載の遠隔操縦装置を取り付けた建設機械は、遠隔操作を行なわない場合には、運転席にオペレータが搭乗して操作レバーを操作できることを特徴とする。しかしながら、運転席の座席側に、遠隔操縦装置の操作ユニットがはみ出ると、オペレータの脚等と操作ユニットとが干渉することがある。そこで、更なる簡素化及び軽量化を図るとともに、オペレータの操作時にも、操作席に駆動部が干渉しない遠隔操縦装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する駆動ユニットは、建設機械を操作する操作レバーを傾動させるために前記操作レバーを摺動する把持部材を備えた駆動ユニットであって、前記把持部材に一端部が取り付けられる少なくとも2本の並設するリンク機構と、前記リンク機構の他端部に回転軸が連結されることにより前記リンク機構を回動させるモータと、を備え、前記モータの回転量及び回転方向を調整する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、建設機械を効率的に遠隔操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態における遠隔操縦装置の駆動ユニットを、油圧ショベルの操作レバーに取り付けた状態を説明するの運転席内の上方から見た要部の概略図である。
【
図2】実施形態の遠隔操縦装置の構成を説明する概念図である。
【
図3】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
【
図4】実施形態の操作レバーに取り付けられた駆動ユニットの平面図である。
【
図5】実施形態の駆動ユニットの要部の平面図である。
【
図6】実施形態の操作レバーに取り付けられた駆動ユニットの縦断面図である。
【
図7】実施形態の操作レバーに取り付けられた駆動ユニットの傾動時の平面図である。
【
図8】実施形態の操作レバーに取り付けられた駆動ユニットの傾動時の縦断面図である。
【
図10】第2変更例の操作レバーに取り付けられた駆動ユニットの縦断面図である。
【
図11】第2変更例の操作レバーに取り付けられた駆動ユニットの平面図である。
【
図12】第2変更例の操作レバーに取り付けられた駆動ユニットの傾斜時の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図8を用いて、駆動ユニット及び遠隔操縦装置を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態の遠隔操縦装置は、油圧ショベル等の建設機械を遠隔地から操作する。遠隔操縦装置は、操作レバーを動かす操作装置と、操作装置に対して制御信号を送信する遠隔操作機器とを備える。本実施形態では、操作装置は、各操作レバーにそれぞれ取り付けられる右側及び左側の駆動ユニットを備える。
【0009】
図1は、建設機械としての油圧ショベルの運転席内の要部を示している。本実施形態では、油圧ショベルの運転席内には、座席S1の両脇に、油圧ショベルを操作する1対の操作レバー20が配置される。手動の場合には、座席S1に座った運転者が、各操作レバー20の把持部21を把持して、操作レバー20を前後左右に傾動させることにより、油圧ショベルの操作を行なう。なお、操作レバー20は、シャフト部22と、この頭頂部に取り外し可能な略球体形状の把持部21とを備える。
【0010】
左右の操作レバー20には、駆動ユニット30がそれぞれ取り付けられる。各操作レバー20にそれぞれ固定された駆動ユニット30は、線対称の同じ構成を有し、取付板40の上にそれぞれ固定されている。なお、各取付板40は、操作レバー20がそれぞれ設けられているコンソールボックスCB1の上面に固定される。
【0011】
また、座席S1には、運転席の前方を撮影するカメラ(図示せず)が設けられている。このカメラからの映像は、後述する遠隔操作機器60の近傍に配置されるディスプレイに表示される。操作者は、この映像を確認しながら、遠隔地で建設機械を操縦する。
【0012】
<遠隔操縦装置の概念図>
図2には、本実施形態の遠隔操縦装置10の概念図を示す。
遠隔操縦装置10は、油圧ショベルに取り付けられる操作装置15と遠隔操作機器60とを備える。操作装置15は、操作レバー20をそれぞれ可動させる各駆動ユニット30と、駆動制御部としての制御ユニット50とを備える。遠隔操作機器60は、駆動ユニット30の第1モータM11及び第2モータM12に制御信号を送信する。第1モータM11及び第2モータM12は、正逆方向に回転可能なステッピングモータで構成される。
【0013】
(ハードウェア構成例)
図3は、制御ユニット50及び遠隔操作機器60として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0014】
情報処理装置H10は、通信装置H11、記憶部H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースである。本実施形態では、例えば、無線により通信を行なうため、通信装置H11は、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0015】
記憶部H14は、制御ユニット50及び遠隔操作機器60の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0016】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、制御ユニット50及び遠隔操作機器60における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。
【0017】
(制御ユニット50の機能)
図2に示すように、制御ユニット50は、制御プログラムを実行することにより、右側駆動部51、左側駆動部52及び監視部55として機能する。右側駆動部51及び左側駆動部52は、同じ構成を有し、それぞれ右側の操作レバー20及び左側の操作レバー20を駆動制御する。
【0018】
右側駆動部51及び左側駆動部52は、遠隔操作機器60からの制御信号に応じて、駆動ユニット30の各モータ(M11,M12)の回転方向及び回転量を制御する。この場合、駆動部(51,52)は、遠隔操作機器60からの操作方向及び操作量を、これに対応した操作レバー20の回転方向及び回転量となるように変換する。
【0019】
監視部55は、各モータ(M11,M12)に異常がないか否かを監視する。例えば、監視部55は、制御信号に応じて駆動するモータ(M11,M12)に、許容範囲以上のトルクが発生した場合には、異常が生じたとして、油圧ショベルの動作を停止する。
【0020】
(遠隔操作機器60の機能)
遠隔操作機器60は、入力装置61を備える。この入力装置61は、例えば、レバー部を備えたジョイスティックであって、レバー部を前後左右に傾動させて、操作方向及び操作量を入力する。遠隔操作機器60は、入力装置61において傾動した方向(傾動方向)及び傾動した量(傾動量)に応じた制御信号を、操作装置15の制御ユニット50に、無線通信により送信する。
【0021】
<駆動ユニット30の構成>
次に、
図4~
図6を用いて、駆動ユニット30の構成について説明する。
図4に示すように、駆動ユニット30は、把持部材31、1対(2個)のリンク機構Lm1,Lm2及び1対(2個)のモータ(M11,M12)を備える。2個のリンク機構Lm1,Lm2は、中心面C1に対して左右対称(操作レバー20に対して前後対称)で同じ構成を有し、把持部材31に対して並んで設けられている(並設されている)。2個のモータ(M11,M12)は、中心面C1に対して左右対称となる位置に配置される。リンク機構Lm1(Lm2)は、可動側アーム部35(36)、ピンジョイントP3(P4)及び静止側アーム部37(38)を備える。可動側アーム部35(36)及び静止側アーム部37(38)の端部は、ピンジョイントP3(P4)を中心にして回転可能に連結されている。本実施形態では、各可動側アーム部35,36は、例えば、180mm程度の長さを有し、各静止側アーム部37,38は、例えば90mm程度の長さを有する。
【0022】
図5に示すように把持部材31は、同じ略半円形状を有した2個の本体部31aで構成されている。本体部31aには、半円弧の頂点位置に切欠き部31bが形成されている。この切欠き部31bには、ユニバーサルジョイントP1,P2の一端部が固定される。
【0023】
把持部材31の本体部31aには、直径面の中央に、半円形状の係合孔31hが形成されている。この係合孔31hは、操作レバー20のシャフト部22が遊嵌する大きさを有する。把持部材31は、操作レバー20が傾斜した場合には、シャフト部22を上下方向に移動する。
【0024】
更に、本体部31aには、係合孔31hを挟んだ位置に一直線状に並んだ2つの固定部31dが、本体部31aに対して上方に突出するように形成されている。固定部31dには、固定孔(図示せず)が設けられている。この固定孔にボルトB1を挿通することにより、2つの本体部31aが一体となって固定される。
可動側アーム部35,36の内側端部は、把持部材31の切欠き部31bに、それぞれ、ユニバーサルジョイントP1,P2を介して取り付けられている。
【0025】
図4に示すように、本実施形態では、操作レバー20のシャフト部22が直立したニュートラルの状態において、可動側アーム部35,36は、操作レバー20の左右方向に延在する中心面C1に対して、同じ角度(例えば、約45°)となるように配置されている。
【0026】
可動側アーム部35,36の外側端部には、ピンジョイントP3,P4によって、静止側アーム部37,38の外側端部が、回転可能に取り付けられている。静止側アーム部37,38の内側(中心面C1側)端部は、それぞれ対応する第1モータM11及び第2モータM12の回転軸M1a,M2aに固定されている。
【0027】
図6に示すように、本実施形態の第1モータM11(第2モータM12)は、略円柱形状を有し、長手方向に突出するように回転軸M1a(M2a)が設けられている。このため、本実施形態の第1モータM11(第2モータM12)は、回転軸M1a(M2a)の軸方向と同じ上下方向(鉛直方向)に延在するように配置されている。なお、
図6及び
図8においては、把持部材31にボルトB1及びこれを挿通する挿通孔は図示を省略している。
【0028】
以上のように構成した駆動ユニット30では、操作レバー20のシャフト部22を係合した把持部材31に、ユニバーサルジョイントP1,P2を介して、2個のリンク機構Lm1,Lm2の先端が取り付けられる。更に、これらリンク機構Lm1,Lm2の先端は、モータ(M11,M12)の回転軸(M1a,M2a)の回転によって移動する。結果として、操作レバー20のシャフト部22と2個のリンク機構Lm1,Lm2とで、把持部材31をエンドエフェクタとするパラレルリンク機構が構成される。そして、このパラレルリンク機構により、操作レバー20が傾動される。
【0029】
<建設機械への設置方法>
次に、以上のように構成された駆動ユニット30の操作レバー20への設置方法について説明する。
【0030】
まず、
図4に示す操作レバー20の把持部21をシャフト部22から取り外す。更に、取付板40を、コンソールボックスCB1の上面に固定する。
次に、第1モータM11(第2モータM12)を、取付板40における所定位置に固定する。そして、第1モータM11(第2モータM12)の回転軸M1a(M2a)に、把持部材31に一体化されたリンク機構Lm1,Lm2の静止側アーム部37(38)の端部を連結する。
【0031】
そして、把持部材31の係合孔31hに、操作レバー20のシャフト部22を配置させた後、本体部31aの固定部31dを当接させた状態でボルトB1により、2個の本体部31aを固定する。
【0032】
<遠隔操縦装置10の動作>
次に、遠隔操縦装置10の動作について説明する。ここでは、例えば、右側後方に向かう斜め方向に操作レバー20を移動(傾動)させる場合について説明する。
【0033】
図2に示す制御ユニット50は、遠隔操作機器60から、入力装置61を介して入力された操作方向及び操作量に応じた制御信号を受信する。制御ユニット50は、取得した操作方向及び操作量に応じた移動先の位置座標を特定する。そして、この移動先の位置座標に操作レバー20の把持部21を移動させるために、各モータ(M11,M12)の回転角度を算出する。この回転角度は、基準線に対する回転角度(絶対角度)として特定される。そして、制御ユニット50は、現在のニュートラル状態の各モータ(M11,M12)の回転角度から、算出した絶対回転角度に移動させるための回転方向及び回転量(相対角度)を算出して、各モータ(M11,M12)を制御する。
【0034】
例えば、
図7に示すように、中心面C1上に操作レバー20のシャフト部22の中心が位置したニュートラル状態から、右側後方向(
図7において左側下方)に移動する場合を想定する。この場合、第1モータM11を、ニュートラル状態の位置から回転量θ3分、左回り方向R1に回転させる。更に、第2モータM12を、ニュートラル状態の位置から回転量θ4分、左回り方向R2に回転させる。
【0035】
この場合、
図8に示すように、可動側アーム部35及び静止側アーム部37が、水平方向に延在する基準水平面C2上で移動するように、モータ(M11,M12)を駆動する。これにより、把持部材31がシャフト部22を摺動しながら、基準水平面C2上で、モータ(M11,M12)の回転軸M1a,M2aとシャフト部22との間隔を変更する。
【0036】
(作用)
モータ(M11,M12)を駆動すると、把持部材31を移動させる2個のリンク機構Lm1,Lm2を備えるパラレルリンク機構により、操作レバー20が所望の方向に傾動される。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、油圧ショベルを操作する操作レバー20のシャフト部22を、把持部材31の係合孔31hに貫通させる。把持部材31に、ユニバーサルジョイントP1,P2を介して、2個のリンク機構Lm1,Lm2を設ける。モータ(M11,M12)を回転させることにより、リンク機構Lm1,Lm2が取り付けた把持部材31を移動させる。これにより、把持部材31を所望の方向に移動させることができ、把持部材31に係合した操作レバー20を、遠隔操作により所望の方向に傾動させることができる。従って、部品点数が少なく簡易な構成の駆動ユニット30で、操作レバー20を所望の方向に傾動させることができる。
【0038】
(2)本実施形態では、リンク機構Lm1,Lm2を、操作レバー20の座席S1の反対側(外側)に配置する。これにより、操作レバー20よりも座席S1側には、駆動ユニット30の機構が配置されていないため、座席S1に座った油圧ショベルのオペレータと、駆動ユニット30との干渉を抑制することができる。
【0039】
(3)本実施形態では、把持部材31に連結する2個のリンク機構Lm1,Lm2は、中心面C1に対して左右対称の同じ構成を有する。このため、必要とする部品の種類を低減することができる。更に、操作レバー20の移動が前後対称になるので、操作レバー20を所望の位置に動かす場合、モータ(M11,M12)の回転量の算出を効率的に行なうことができる。
【0040】
(4)本実施形態の把持部材31は、係合孔31hに、操作レバー20のシャフト部22を配置して、2つの本体部31aを、固定部31dにおいてボルトB1で固定する。このため、駆動ユニット30を効率的に操作レバー20に取り付けることができる。
【0041】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の駆動ユニット30は、回転軸M1a,M2aの軸方向と同じ方向に延在する縦置きのモータ(M11,M12)を備える。駆動ユニットが備えるモータの配置は縦置きに限られない。例えば、
図9に示すように、回転軸M3a,M4aの軸方向に対して直交する方向に延在する横置きのモータM21,M22を備え、取付板40に固定される駆動ユニット70としてもよい。
【0042】
更に、モータにギアボックスを設けて、ギアボックスを介して静止側アーム部を駆動してもよい。このギアボックスによっても、モータの配置の自由度を高くすることができる。また、モータとしては、正逆方向に回転可能なモータであれば、ステッピングモータに限られない。
【0043】
・上記実施形態においては、リンク機構Lm1,Lm2が、水平方向に延在する基準水平面C2上で移動する駆動ユニット30として構成した。駆動ユニットは、操作レバー20のシャフト部22とともにパラレルリンクを構成するリンク機構を備えた構成であれば、リンク機構Lm1,Lm2の配置は、水平方向に延在する場合に限られない。例えば、垂直方向に延在するリンク機構を備えた駆動ユニットでもよい。
【0044】
具体的には、
図10~
図12に示す駆動ユニット80は、操作レバー20のシャフト部22を遊嵌した係合孔81hを有する把持部材81を有する。この把持部材81は、円筒形状の本体部81aを備える。この本体部81aには、ユニバーサルジョイントP1,P2を設けるための2個の切欠き部81bが、所定の角度をなすように形成されている。
更に、駆動ユニット80は、リンク機構Lm5,Lm6及びモータM31,M32を備える。リンク機構Lm5(Lm6)は、可動側アーム部85(86)、ピンジョイントP3(P4)、静止側アーム部87(88)を備える。なお、駆動ユニット80は、取付板41を介してコンソールボックスCB1に固定される。
【0045】
可動側アーム部85(86)の内側端部は、ユニバーサルジョイントP1,P2を介して、把持部材81に回動可能に固定される。可動側アーム部85(86)の外側端部は、ピンジョイントP3(P4)を介して静止側アーム部87(88)の外側端部に回動可能に固定される。各可動側アーム部85(86)は、1対の棒部材85a,85b(86a,86b)で構成される。静止側アーム部87(88)は、1対の棒部材85a,85b(86a,86b)の間に位置する。静止側アーム部87(88)の内側端部は、モータM31(M32)の回転軸M5a(M6a)に接続されている。
この場合においても、
図12に示すように、モータM31,M32の角度を変更することにより、操作レバー20を任意の方向に傾動させることができる。
【0046】
・上記実施形態においては、駆動ユニット30の把持部材31は、2個の本体部31aを、固定部31dにおいて一体化して構成した。把持部材31は、これに限定されず、例えば、固定部31dを有しない円筒形状の本体部を備えた構成であってもよい。
・上記実施形態の駆動ユニット30において、リンク機構Lm1,Lm2は、把持部材31の中心面C1に対して約45°の角度で、すなわち約90°離れて取り付けられる。リンク機構Lm1,Lm2の取り付け間隔は、これに限られず、例えば、前方までの距離があまりない場合には、90°よりも広い角度で、2本のリンク機構を把持部材に取り付けてもよい。
【0047】
・上記実施形態においては、駆動ユニット30は、2本のリンク機構Lm1,Lm2を有する。駆動ユニット30が有するリンク機構の数は、これに限られず、例えば、3本以上であってもよい。
・上記実施形態においては、遠隔操縦装置10の操作装置15を、建設機械として油圧ショベルに取り付けた。操作装置15を取り付ける建設機械は、油圧ショベルに限られず、操作レバーを前後や左右に傾動して操作する機構を備えればよい。
【0048】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)請求項1又は2に記載の駆動ユニットにおいて、
前記1対のリンク機構は、前記操作レバーの左右方向に対して線対称に配置されていることを特徴とする駆動ユニット。
(b)請求項1、2又は前記(a)に記載の駆動ユニットにおいて、
前記リンク機構は、基準面において移動することを特徴とする駆動ユニット。
【符号の説明】
【0049】
θ3、θ4…回転量、B1…ボルト、C1…中心面、C2…基準水平面、CB1…コンソールボックス、P1,P2…ユニバーサルジョイント、P3,P4…ピンジョイント、R1,R2…方向、S1…座席、H10…情報処理装置、H11…通信装置、H14…記憶部、H15…プロセッサ、Lm1,Lm2,Lm5,Lm6…リンク機構、M11…第1モータ、M12…第2モータ、M1a,M2a,M3a,M4a,M5a,M6a…回転軸、M21,M22,M31,M32…モータ、10…遠隔操縦装置、15…操作装置、20…操作レバー、21…把持部、22…シャフト部、30,70,80…駆動ユニット、31,81…把持部材、31a,81a…本体部、31b,81b…切欠き部、31d…固定部、31h,81h…係合孔、35,36,85,86…可動側アーム部、37,38,87,88…静止側アーム部、40,41…取付板、50…駆動制御部としての制御ユニット、51…右側駆動部、52…左側駆動部、55…監視部、60…遠隔操作機器、61…入力装置、85a、85b…棒部材。