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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108458
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ラップ収納ケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/52 20060101AFI20240805BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65D25/52 F
B65D83/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012839
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000250384
【氏名又は名称】リケンテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】八木 修一
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 尚人
(72)【発明者】
【氏名】堀井 貴央
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AB13
3E062AC02
3E062BA20
3E062BB02
3E062BB09
3E062LA13
3E062LA19
3E062LA25
(57)【要約】
【課題】ラップフィルムを収納して適宜長さに切断して使用できるラップ収納ケースに対して、操作性を向上させる。
【解決手段】ロール収納容器に収納されたラップロールから引き出されたラップフィルムを切断できるカット刃を備えたラップ収納ケースであって、ロール収納容器は、ラップフィルムの切断時にラップフィルムにテンションをかける滑り止め材が、ラップフィルムが引き出される際にはラップフィルムが接触しない位置に設けられており、カット刃が引き出されたラップフィルムを切断するに先立って、前記ラップフィルムを前記滑り止め材に接触させるラップ押え壁部を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール収納容器に収納されたラップロールから引き出されたラップフィルムを切断できるカット刃を備えたラップ収納ケースであって、
ロール収納容器は、ラップフィルムの切断時にラップフィルムにテンションをかける滑り止め材が、ラップフィルムが引き出される際にはラップフィルムが接触しない位置に設けられており、
カット刃が引き出されたラップフィルムを切断するに先立って、前記ラップフィルムを前記滑り止め材に接触させるラップ押え壁部を有する、
ラップ収納ケース。
【請求項2】
ロール収納容器と、蓋を備え、
ロール収納容器に収納されたラップロールからラップフィルムが引き出されたのちに蓋が閉じられることによって、ラップフィルムを適宜長さに切断できるラップ収納ケースであって、
ロール収納容器は、ラップフィルムの切断時にラップフィルムにテンションをかける滑り止め材が、ラップフィルムが引き出される際にはラップフィルムが接触しない位置に設けられており、
蓋は、閉じられることによって、引き出されたラップフィルムを前記滑り止め材に接触させるラップ押え壁部と、前記滑り止め材に接触されたラップフィルムを切断するカット刃と、を有する
ラップ収納ケース。
【請求項3】
前記ロール収納容器は、ラップフィルムが引き出される側に、内側壁部と外側壁部を有するカット刃受部を有し、
前記蓋は、閉鎖時に前記ロール収納容器の前記カット刃受部を覆う外壁部と、前記カット刃受部に納まる前記カット刃と、前記カット刃の内側に設けられた前記ラップ押え壁部を有しており、
前記滑り止め材は、前記内側壁部の内側面に設けられている、
請求項2に記載のラップ収納ケース。
【請求項4】
前記ロール収納容器は、前記内側壁部の内側面で前記滑り止め材よりも下方位置に接合凸部を有しており、
前記蓋の前記ラップ押え壁部の下方端部は、前記蓋の閉鎖時に前記接合凸部に接合される、
請求項3に記載のラップ収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップロールを収納し、ラップロールからラップフィルムを適宜長さに引き出して切断して使用できるラップ収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラップロールを収納して、ラップフィルムを適宜長さに切断しながら使用できるラップ収納ケースが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-47284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のラップ収納ケースは、例えばラップフィルムを切断した後にもラップフィルムの後端はカット刃部分に挟持されたままの状態であって、ラップフィルムがすぐに自由となるものではなく、必ずしも操作性に優れるものではなかった。
すなわち、ラップフィルムを巻回してなるラップロールを収納して、引き出されたラップフィルムを適宜長さに切断しながら使用できるラップ収納ケースに対して、操作性を向上させることが求められている。
【0005】
本発明は、ラップロールを収納して適宜長さに切断しながら使用できるラップ収納ケースに対して、操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、ラップロールを収めるロール収納容器を特定の構造にすることにより、上記課題を達成できることを見出した。
そして、本発明の実施形態は以下の通りである。
[1]
ロール収納容器に収納されたラップロールから引き出されたラップフィルムを切断できるカット刃を備えたラップ収納ケースであって、
ロール収納容器は、ラップフィルムの切断時にラップフィルムにテンションをかける滑り止め材が、ラップフィルムが引き出される際にはラップフィルムが接触しない位置に設けられており、
カット刃が引き出されたラップフィルムを切断するに先立って、前記ラップフィルムを前記滑り止め材に接触させるラップ押え壁部を有する、
ラップ収納ケース。
[2]
ロール収納容器と、蓋を備え、
ロール収納容器に収納されたラップロールからラップフィルムが引き出されたのちに蓋が閉じられることによって、ラップフィルムを適宜長さに切断できるラップ収納ケースであって、
ロール収納容器は、ラップフィルムの切断時にラップフィルムにテンションをかける滑り止め材が、ラップフィルムが引き出される際にはラップフィルムが接触しない位置に設けられており、
蓋は、閉じられることによって、引き出されたラップフィルムを前記滑り止め材に接触させるラップ押え壁部と、前記滑り止め材に接触されたラップフィルムを切断するカット刃と、を有する、
ラップ収納ケース。
[3]
前記ロール収納容器は、ラップフィルムが引き出される側に、内側壁部と外側壁部を有するカット刃受部を有し、
前記蓋は、閉鎖時に前記ロール収納容器の前記カット刃受部を覆う外壁部と、前記カット刃受部に納まる前記カット刃と、前記カット刃の内側に設けられた前記ラップ押え壁部を有しており、
前記滑り止め材は、前記内側壁部の内側面に設けられている、
[2]に記載のラップ収納ケース。
[4]
前記ロール収納容器は、前記内側壁部の内側面で前記滑り止め材よりも下方位置に接合凸部を有しており、
前記蓋の前記ラップ押え壁部の下方端部は、前記蓋の閉鎖時に前記接合凸部に接合される、
[3]に記載のラップ収納ケース。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、ラップロールを収納して適宜長さに切断しながら使用できるラップ収納ケースに対して、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のラップ収納ケースを開放側からみた全体斜視図の一例である。
図2】実施形態のラップ収納ケースを背面側からみた全体斜視図の一例である。
図3】実施形態のラップ収納ケースの蓋開放時の全体斜視図の一例である。
図4】実施形態のラップ収納ケースの蓋開放時(ラップ収納時)の全体斜視図の一例である。
図5】実施形態のラップ収納ケースの外観図の一例であり、(a)は正面図であり、(b)は背面図であり、(c)は平面図であり、(d)は裏面図である。
図6】実施形態のラップ収納ケースを側方からみた図の一例であり、(a)は側面図であり、(b)は断面図である。
図7】実施形態のラップ収納ケースの滑り止め材の位置を説明するための図であり、(a)は背面側からみた全体斜視図の一例であり、(b)はラップ収納ケースのロール収納容器を一方側からみた縦断面図である。
図8】実施形態のラップ収納ケースからラップフィルムを引き出すときの状態を示す模式断面図の一例である。
図9】実施形態のラップ収納ケースから使用するラップフィルムをカットする状態を示す模式断面図の一例である。
図10】実施形態のラップ収納ケースの蓋を閉じてラップロールを収納した状態を示す模式断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態のラップ収納ケースAは、例えば左右対称の形状をしており、図1乃至図6に示すように、ラップロール5を納めるロール収納容器1と、ロール収納容器1の一方側の側縁に回動自在に取り付けられロール収納容器1に納められたラップロール5を覆う蓋2を備えている。
なお、ラップ収納ケースは、必ずしも左右対称の形状をしていなくてもよい。
また、本発明のラップ収納ケースに収納されるラップロールは、食品包装用等のポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン‐1、ポリメチルペンテン‐1、及びナイロン等の熱可塑性樹脂を1種以上含む樹脂を含有してなる公知の材料を含有する、単層又は複層のラップフィルムを巻回してなり、そのラップフィルムは公知の厚さ及び幅を有するものである。
【0010】
ラップ収納ケースAは、蓋2にラップフィルムを切断するカット刃25が設けられており、ユーザーは、ラップ収納ケースAの蓋2を開放し、ロール収納容器1に納められたラップロール5からラップフィルムの端部を把持して引き出した後に蓋2を閉めることで、カット刃25によってラップフィルムを適宜長さに切断して使用することができる。
以下、本実施形態のラップ収納ケースAについて、具体的に説明する。
なお、以下の説明において、ラップ収納ケースAの蓋2が支持されている側を一方側といい、蓋2が開放する側を他方側という。また、ラップ収納ケースAの他方側から見た左右方向を長手方向という。
【0011】
本実施形態のラップ収納ケースAを構成するロール収納容器1は、例えばポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の樹脂、及びこれらの樹脂にセルロース繊維等の繊維を含有させてなる樹脂材料からなり、図3図6に示すように、ラップロール5を回転自在に収納するロール収納部11と、ロール収納部11の他方側に連続して設けられたカット刃受部12を有している。
【0012】
ロール収納容器1のロール収納部11は、円弧状の内周面を有する底壁11aと、底壁11aの一方側から上方に延びる蓋支持壁11bと、ロール収納部11の長手方向端部を塞ぐ側壁11c,11cを有している。
【0013】
ロール収納部11は、図5(b),(d),図6に示すように、底壁11aの底面の長手方向中央部分に複数のリブ11i,11iが長手方向に沿って設けられている。また、ロール収納部11は、底面の長手方向左右位置に台座部11e,11eが設けられており、台座部11e,11eの下面に板磁石15,15が両面テープ等により取り付けられている。
【0014】
本実施形態のラップ収納ケースAは、ロール収納部11の下面に複数のリブ11iが設けられることにより、ラップ収納ケースAを水平面に安定して載置することができる。また、ラップ収納ケースAは、ロール収納部11の下面に台座部11eが設けられて板磁石15,15が取付けられることで、例えば冷蔵庫の壁面等の鋼製の垂直面に吸着させて保持することができる。
なお、ラップ収納ケースAのロール収納部11は、底壁11aの底面の長手方向全長に亘って複数のリブ11iが設けられてもよく、台座部11e及び板磁石15は、必ずしも設けられていなくてもよい。
片手で蓋2を開ける際に、親指を21eにかけて、その他の指が底面側を支えることになる。そして、21eに親指をかけて蓋を開ける際に底面側を支えている指が滑らないようにリブ11iを設ける。複数のリブ11iは、使用者の手の大きさの大小に関わらず、リブ11iに指をかけることができ、その結果指先が滑ることをさらに防止するために設けられる。
【0015】
ロール収納部11は、底壁11aの内周面全体が円弧状の内周面を有していなくてもよく、図3に示すように、例えば底面に台座部11e,11eが下方に突出して設けられた場合には、台座部11e,11e部分の内周側に底壁11aの円弧状の内周面と同様の円弧形状を有するリブ11fを設けるなどして、ラップロール5のスムーズな回転を維持するようにしてもよい。
【0016】
ロール収納部11は、図2図3に示すように、長手方向の複数箇所において、蓋支持壁11bの上端に蓋2を回動自在に支持する収納部側ヒンジ部11g,11gが設けられている。
【0017】
ロール収納部11は、図3に示すように、側壁11cに孔11hが形成されており、左右の外側から軸部材14を孔11hに挿入することで側壁11cの内周側に突出する支持軸14bが設けられている。
【0018】
軸部材14は、円盤状の取付板部14aと、取付板部14aの一面から突出する複数の円弧状壁14c,14cを有しており、複数の円弧状壁14c,14cにより筒状の支持軸14bが形成されている。
軸部材14の円弧状壁14c,14cは、弾性を有しており、複数の円弧状壁14cのうちのいくつかの外周面に、外周方向に突出する係合凸部14dが設けられている。
【0019】
ロール収納部11は、側壁11cの孔11hの左右の外側から円弧状壁14cの弾性に逆らって軸部材14の支持軸14bが挿入され、孔11hに挿入された軸部材14の取付板部14aと復元した円弧状壁14cの係合凸部14dによって側壁11cが挟持されて取り付けられることで、側壁11cの内周側にラップロール5を回転自在に支持する支持軸14bが設けられている。
【0020】
ユーザーは、ロール収納部11の一方の側壁11cに支持軸14bを設けた状態で筒状のラップロール5の一方端を支持軸14bに挿通させて収納し、その状態で他方の軸部材14を側壁11cの外側から挿入して取り付けることで、図4に示すように、ロール収納部11にラップロール5を回転自在に収納保持することができる。
【0021】
ロール収納容器1のカット刃受部12は、図6(b)に示すように、ロール収納部11の底壁11aの他方側端に連続して他方側に延びる底壁部12aと、底壁部12aの外周側(ロール収納部とは反対側)から上方に延びる外側壁部12bと、底壁部12aの内周側から上方に延びる内側壁部12cを有しており、上方に開口する断面U字状のカット刃納まり部12dを形成している。
【0022】
カット刃受部12は、図3図4に示すように、長手方向の中央位置において、内側壁部12c及び外側壁部12bが上方から欠如されて欠如部12eが設けられており、ラップフィルムを引き出す際にラップフィルムの端部を容易に把持することができる。
【0023】
本実施形態のラップ収納ケースAを構成する蓋2は、例えば上記ロール収納容器1を構成する樹脂材料から、上記ロール収納容器1とは独立して選択してなる材料からなり、図1乃至図6に示すように、円弧状の内周面を有しロール収納容器1のロール収納部11を覆う上壁21aと、上壁21aの他方側に連続するカット刃保持部21bと、上壁21a及びカット刃保持部21bの長手方向端部を塞ぐ側壁21c,21cを有している。
蓋2は、上壁21aの上面につまみ部21eが設けられており、片手で簡単に蓋2を開閉することができる。
【0024】
蓋2は、図2図3に示すように、上壁21aの一方側に沿って複数の蓋側ヒンジ部21d,21dが設けられており、ロール収納容器1の蓋支持壁11bの収納部側ヒンジ部11g,11gと蓋側ヒンジ部21d,21dが回転軸2aを中心にして軸支されている。
蓋側ヒンジ部21d,21dと収納部側ヒンジ部11g,11gの回転軸2aは、図6(a)に示すように、軸部材14の中心であるラップロール5の回転軸1aよりも上方に位置されており、蓋2は、蓋側ヒンジ部21d,21dと収納部側ヒンジ部11g,11gの回転軸2aを中心に回動して開閉される。
【0025】
蓋2のカット刃保持部21bは、図6(b)に示すように、上壁21aの他方側端から連続して他方側に延び、その後湾曲しながら下方に向かって延びる外壁部21fと、外壁部21fの一方側寄りの下面より下方に延びるラップ押え壁部21gを有しており、外壁部21fとラップ押え壁部21gによって下方に開口するカット刃取付部21hが形成されている。
【0026】
カット刃25は、長尺部材のカット刃取付部材25bにカット刃本体25aが取付けられて形成されており、カット刃取付部材25bをカット刃取付部21hに圧入等することで蓋2に取り付けられている。
カット刃25は、ラップを切断できる機能を有していれば良く、その形状は鋸刃状等限定されない。カット刃25の材料は、ステンレス、ブリキ、及びアルミニウムの金属等から選ばれた1種以上の材料、及び、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイド、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)、PES(ポリエーテルスルホン)、及びPPS(ポリフェニレンサルファイド)等から選ばれた1種以上の樹脂素材、及び、バルカナイズド紙、樹脂含浸硬化紙、及び砥粒固着紙等から選ばれた1種以上の紙素材等から選択できる。
なお、カット刃25の構成、及びカット刃25を蓋2のカット刃取付部21hに取り付けるための構成については、何ら限定されるものではない。
【0027】
蓋2のカット刃取付部21hに取り付けられたカット刃25の下方先端は、外壁部21fの下方先端及びラップ押え壁部21gの下方先端よりも上方位置にあり、カット刃25が蓋2の下方から突出することはない。
【0028】
ラップ収納ケースAは、ロール収納容器1に支持された蓋2を閉じることにより、カット刃受部12の内側壁部12c及び外側壁部12bが蓋2の外壁部21fとラップ押え壁部21gの間に嵌り込んで閉鎖状態が維持され、蓋2の閉鎖状態において、カット刃取付部21hに取り付けられたカット刃25のカット刃本体25aはロール収納容器1のカット刃納まり部12dに納まっている。
【0029】
以上、ラップ収納ケースAについて、全体的な構成を説明したが、本実施形態のラップ収納ケースAは、ラップフィルムを良好に引き出し、切断するための構成を有している。
本実施形態のラップ収納ケースAのラップフィルムを引き出して切断するための構成について、さらに説明する。
【0030】
-ラップフィルムの引き出し、切断-
本実施形態のラップ収納ケースAは、図7図8に示すように、カット刃受部12の内側壁部12cの内側面に滑り止め材16が設けられており、滑り止め材16の下方位置に接合凸部12gが設けられている。
【0031】
滑り止め材16は、例えば合成ゴム等の弾性材料、及び/又は、滑り止め材16の内側面がラップに対して摩擦性が高い樹脂材料からなり、内側壁部12cの内側面と滑り止め材16の内側面が面一の状態となるように、内側壁部12cの内側面に設けられた凹部12f内に取付けられている。
なお、滑り止め材16は、内側壁部12cの内側面よりも若干内側に凸出するように取り付けられていてもよい。
また、滑り止め材16は図7に示すように、欠如部12eの両側に、それぞれ1つの帯状に形成してもよく、その両側の帯状の滑り止め材をラップ収納ケースの長手方向に2つ以上に分割して、合計4つに分けて形成してもよい。また帯状以外に多数の点状や任意の模様状にしてもよい。
【0032】
ユーザーは、ラップ収納ケースAの蓋2の開放状態から、例えばカット刃受部12の欠如部12eに露出するラップフィルム5aの先端を把持して引っ張ることで、適宜長さのラップフィルム5aを引き出すことができる。
【0033】
この時、図8に示すように、滑り止め材16がカット刃受部12の内側壁部12cの内側面に設けられており、ラップロール5から引き出されたラップフィルム5aが内側壁部12cの上端に至る間において滑り止め材16に接触しないので、ラップフィルム5aを抵抗なくスムーズに引き出すことができる。
ユーザーがラップフィルム5aを引き出すことで、ラップフィルム5aは、カット刃受部12の内側壁部12cと外側壁部12bの上端間に亘って張設される。
【0034】
ユーザーが、ラップフィルム5aを引き出した後、ラップ収納ケースAの蓋2を閉鎖することにより、図9に示すように、蓋2のラップ押え壁部21gの下方端部がラップフィルム5aに対して上方及び側方(一方側)から近づき、カット刃25がラップフィルム5aを切断するに先立ってラップフィルム5aを内側壁部12cに設けられた滑り止め材16に押し付けて接触させる。
【0035】
本実施形態のラップ収納ケースAは、図6(a)、図9に示すように、蓋2を回動自在に支持する回転軸2aが軸部材14の中心であるラップロール5の回転軸1aよりも上方に位置されるため、蓋2のラップ押え壁部21gの下方端部がラップフィルム5aに対して上方及び側方(一方側方向)から近づいて、内側壁部12cの内側面が垂直に近い状態であっても、ラップフィルム5aを確実に滑り止め材16に押し付けて接触させることができる。
【0036】
蓋2のラップ押え壁部21gの下方端部に押さえつけられて滑り止め材16に接触したラップフィルム5aは、ラップ押え壁部21gと滑り止め材16とによって挟持され、引き出されたラップフィルム5aは内側壁部12cと外側壁部12bに亘ってテンションがかかった張設状態となる。
【0037】
さらに、ユーザーが、ラップ収納ケースAの蓋2を閉鎖することにより、内側壁部12cと外側壁部12bの上端間に亘って張設されたラップフィルム5aはカット刃25によって切断され、切断されたラップフィルム5aは引き出して自由に使用することができる。
【0038】
ラップ収納ケースAの蓋2をさらに回動して完全に閉鎖することにより、図10に示すように、蓋2は、外壁部21fによりロール収納容器1のカット刃受部12を覆うとともに、ラップ押え壁部21gの下方端部が滑り止め材16から離脱し、カット刃25をカット刃納まり部12dに納めた状態でしっかりと閉鎖される。このとき、該ラップ押え壁部21gの下方端部は、内側壁部12cの内側面に、必要により設けた接合凸部12gに接合させてもよい。
【0039】
ラップ収納ケースAは、蓋2を閉鎖させた状態では、蓋2のラップ押え壁部21gの下方端部は弾性や摩擦性等を有する滑り止め材16に当接していないので、滑り止め材16に対して常に外力が加わることによる変形や、摩擦性の低下を防止することができ、長期にわたってラップフィルム5aの滑り止め機能を維持することができる。
【0040】
-本実施形態のラップ収納ケースの効果-
本実施形態のラップ収納ケースAは、ラップフィルム5aを切断するためのカット刃25が蓋2に設けられており、該カット刃25よりも下方に延びる外壁部21fとラップ押え壁部21gとの間に形成されたカット刃取付部21hに取り付けられているので、カット刃25が下方に突出することがなく、カット刃25によって手指を傷付けることなくラップフィルム5aを切断することができ、安全性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態のラップ収納ケースAは、蓋2に設けられたカット刃25によりラップフィルム5aを切断するに先立って、ラップフィルム5aを滑り止め材16に接触させるので、引っ張られたラップフィルム5aにテンションがかかり、カット刃25による切断を適切な位置で確実に行うことができる。
【0042】
本実施形態のラップ収納ケースAは、ラップフィルム5aを切断する際にラップフィルム5aの滑りを止める滑り止め材16がカット刃受部12の内側壁部12cの内側面に設けられているので、ラップフィルム5aの引き出し時に、ラップフィルム5aが滑り止め材16に接触することを抑制することができ、ラップフィルム5aをスムーズに引き出すことができ、操作性を向上させることができる。
【0043】
本実施形態のラップ収納ケースAにおいては、カット刃受部12の内側壁部12cの内側面に滑り止め材16が取付けられているが、滑り止め材16が取付けられる内側面の角度や滑り止め材16が取付けられる高さ位置は特に限定されるものではなく、ラップロール5から引き出されたラップフィルム5aが内側壁部12cの上端に至る間に滑り止め材16に接触しないように、すなわち収納されたラップロール5の外周と内側壁部12cの上端とを結んだ線上に滑り止め材16が存在しないように設けられていればよい。
【0044】
本実施形態のラップ収納ケースAにおいては、カット刃受部12の内側壁部12cの下方位置に接合凸部12gが設けられており、蓋2のラップ押え壁部21gの下方端部が接合凸部12gに圧着して接合することにより、蓋2の閉鎖状態を維持しているが、ラップ押え壁部21gとカット刃受部12にそれぞれ係合部を設けて両者を係合して接合するなど、接合手段は限定されないし、接合凸部12gは必ずしも必要でもない。
以上の実施形態は、請求項に記載された発明を限定するものではなく、例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 :ロール収納容器
12 :カット刃受部
12b :外側壁部
12c :内側壁部
12g :接合凸部
16 :滑り止め材
2 :蓋
21f :外壁部
21g :ラップ押え壁部
25 :カット刃
5 :ラップロール
5a :ラップフィルム
A :ラップ収納ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10