(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010846
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】光ファイバの巻取り装置およびトルク制御ローラ
(51)【国際特許分類】
B65H 59/10 20060101AFI20240118BHJP
B65H 57/14 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65H59/10 Z
B65H57/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112391
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 茂樹
【テーマコード(参考)】
3F110
3F111
【Fターム(参考)】
3F110AA01
3F110BA04
3F110CA04
3F110DA09
3F110DB01
3F110DB11
3F111AA01
3F111AB09
3F111DA03
3F111DA04
(57)【要約】
【課題】所定のトルクで回転駆動されるローラの表面における光ファイバの滑りの発生を抑制し、光ファイバの断線を抑制する。
【解決手段】光ファイバの巻取り装置は、光ファイバを巻き取る巻取りボビンと、所定のトルクで回転駆動されて、巻取りボビンへ搬送される光ファイバをガイドするローラと、を備えており、ローラは、本体部と、光ファイバが接する接触部とを有しており、接触部は、ゴムにより形成されており、本体部に着脱可能に取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを巻き取る巻取りボビンと、
所定のトルクで回転駆動されて、前記巻取りボビンへ搬送される光ファイバをガイドするローラと、
を備えており、
前記ローラは、本体部と、前記光ファイバが接する接触部とを有しており、
前記接触部は、ゴムにより形成されており、前記本体部に着脱可能に取り付けられている、光ファイバの巻取り装置。
【請求項2】
前記ゴムが水素化ニトリルゴムである、請求項1に記載の光ファイバの巻取り装置。
【請求項3】
前記ゴムがエチレンプロピレンジエンゴムである、請求項1に記載の光ファイバの巻取り装置。
【請求項4】
前記光ファイバに張力を付与するためのスクリーニングローラを備えており、
前記ローラは、前記スクリーニングローラと前記巻取りボビンとの間に配置され、前記スクリーニングローラにより付与された張力を緩和するためのテンションヘルパーローラである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバの巻取り装置。
【請求項5】
サプライ部から巻取り部まで搬送される光ファイバをガイドする、所定のトルクで回転駆動されるトルク制御ローラであって、
本体部と、前記光ファイバが接する接触部とを有しており、
前記接触部は、ゴムにより形成されており、前記本体部に着脱可能に取り付けられている、トルク制御ローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバの巻取り装置およびトルク制御ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、キャプスタンホイールと巻取機との間で搬送される光ファイバの引張強度を確認するためのスクリーニング装置を開示している。スクリーニングホイールとテンションヘルプホイールとの間で搬送される光ファイバにかかる張力を調整することにより、スクリーニングホイールおよびテンションヘルプホイールの表面において光ファイバの滑りが発生することを抑制している。
【0003】
特許文献2は、サプライボビンから繰り出される光ファイバを巻取りボビンで巻き取る光ファイバの巻き替えを開示している。サプライボビンと巻取りボビンとの間で搬送される光ファイバに高張力付加手段により高張力が付与された後、テンションヘルパーローラにより付与された高張力が緩和される。
【0004】
特許文献3は、キャプスタンホイールと巻取機との間で搬送される光ファイバの引張強度を確認するためのスクリーニング装置を開示している。スクリーニングホイールの光ファイバが接触する表面には、ゴムから成る被覆が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-318485号公報
【特許文献2】国際公開第2010/047294号明細書
【特許文献3】特開平9-142735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スクリーニングローラやテンションヘルパーローラの表面において光ファイバの滑りが発生すると、光ファイバの走行が不安定になり、光ファイバが断線する場合がある。
【0007】
本開示の目的は、所定のトルクで回転駆動されるローラの表面における光ファイバの滑りの発生を抑制し、光ファイバの断線を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の光ファイバの巻取り装置は、
光ファイバを巻き取る巻取りボビンと、
所定のトルクで回転駆動されて、前記巻取りボビンへ搬送される光ファイバをガイドするローラと、
を備えており、
前記ローラは、本体部と、前記光ファイバが接する接触部とを有しており、
前記接触部は、ゴムにより形成されており、前記本体部に着脱可能に取り付けられている。
【0009】
本開示のトルク制御ローラは、
サプライ部から巻取り部まで搬送される光ファイバをガイドする、所定のトルクで回転駆動されるトルク制御ローラであって、
本体部と、前記光ファイバが接する接触部とを有しており、
前記接触部は、ゴムにより形成されており、前記本体部に着脱可能に取り付けられている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、所定のトルクで回転駆動されるローラの表面における光ファイバの滑りの発生が抑制され、光ファイバの断線を抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る光ファイバの巻取り装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、テンションヘルパーローラの構成例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、テンションヘルパーローラの構成例を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
本開示の光ファイバの巻取り装置は、
(1)光ファイバを巻き取る巻取りボビンと、
所定のトルクで回転駆動されて、前記巻取りボビンへ搬送される光ファイバをガイドするローラと、
を備えており、
前記ローラは、本体部と、前記光ファイバが接する接触部とを有しており、
前記接触部は、ゴムにより形成されており、前記本体部に着脱可能に取り付けられている。
【0013】
上記構成によれば、所定のトルクで回転駆動されるローラの接触部はゴムにより形成されているので、ローラの表面と光ファイバとの摩擦力が向上し、ローラの表面において光ファイバの滑りが発生することを抑制できる。これにより、ローラと巻取りボビンとの間において、光ファイバの滑りの影響により光ファイバの走行が不安定になり光ファイバが断線することを抑制できる。また、接触部は本体部から取り外し可能であるため、接触部が摩耗した場合に容易に取り替えることができる。
【0014】
(2)前記ゴムが水素化ニトリルゴムでもよい。このような構成によれば、ローラの表面と光ファイバとの摩擦力がさらに向上し、ローラの表面における光ファイバの滑りの発生をさらに抑制できる。
【0015】
(3)前記ゴムがエチレンプロピレンジエンゴムでもよい。このような構成によれば、ローラの表面と光ファイバとの摩擦力がさらに向上し、ローラの表面における光ファイバの滑りの発生をさらに抑制できる。
【0016】
(4)前記光ファイバに張力を付与するためのスクリーニングローラを備えており、
前記ローラは、前記スクリーニングローラと前記巻取りボビンとの間に配置され、前記スクリーニングローラにより付与された張力を緩和するためのテンションヘルパーローラでもよい。
【0017】
上記構成によれば、テンションヘルパーローラの接触部がゴムから形成されているので、テンションヘルパーローラの表面における光ファイバの滑りの発生を抑制できる。これにより、例えばテンションヘルパーローラと巻取りボビンとの間に配置されるダンサローラにおいて、ハンチングが発生することを抑制できる。
【0018】
本開示のトルク制御ローラは、
(5)サプライ部から巻取り部まで搬送される光ファイバをガイドする、所定のトルクで回転駆動されるトルク制御ローラであって、
本体部と、前記光ファイバが接する接触部とを有しており、
前記接触部は、ゴムにより形成されており、前記本体部に着脱可能に取り付けられている。
【0019】
上記構成によれば、トルク制御ローラの接触部はゴムにより形成されているので、ローラの表面と光ファイバとの摩擦力が向上し、ローラの表面における光ファイバの滑りの発生を抑制できる。これにより、トルク制御ローラから巻取り部へ搬送される途中で光ファイバの走行が不安定になり光ファイバが断線することを抑制できる。また、接触部は本体部から取り外し可能であるため、接触部が摩耗した場合に容易に取り替えることができる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光ファイバの巻取り装置およびトルク制御ローラの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
図1は、本開示に係る光ファイバの巻取り装置を光ファイバの巻き替え工程に適用した例を示している。具体的には、
図1に例示されるように、光ファイバの巻き替え装置10は、サプライボビン11と、巻き取りボビン21を有する巻取り装置20と、を備えている。巻き替え装置10は、サプライボビン11に巻かれている光ファイバ30を巻取りボビン21へ巻き取らせる装置である。光ファイバ30の例としては、線引き装置において線引きされたガラスファイバの周囲に樹脂が被覆され、さらに必要に応じて2次被覆や着色層が付与された光ファイバなどが挙げられる。サプライボビン11は、サプライ部の一例である。巻き取りボビン21は、巻取り部の一例である。
【0022】
巻き替え装置10は、サプライボビン11に加えて、複数のガイドローラ12a,12bとダンサローラ13を備えている。サプライボビン11から繰り出された光ファイバ30は、ガイドローラ12aによりダンサローラ13へ送られる。ダンサローラ13では、光ファイバ30の搬送速度や張力の変動が吸収される。そして光ファイバ30は、ガイドローラ12bにより巻取り装置20へ搬送される。
【0023】
巻取り装置20は、巻き取りボビン21に加えて、キャプスタンローラ22、キャプスタンベルト23、スクリーニングローラ24、テンションヘルパーローラ25、ダンサローラ26、および複数のガイドローラ27a~27jを備えている。
【0024】
キャプスタンローラ22は、モータなどを含む周知の駆動機構(図示せず)により回転可能に駆動される。キャプスタンローラ22は、ガイドローラ12bにより搬送されてきた光ファイバ30をキャプスタンベルト23との間で挟持した状態で回転し、光ファイバ30を搬送経路の下流側へ搬送する。キャプスタンローラ22にかかるトルクは、キャプスタンローラ22が所定のトルクで回転するように、駆動機構により制御される。
【0025】
なお、以下の説明において「搬送経路」とは、
図1において、サプライボビン11から巻取りボビン21までの光ファイバ30が搬送される経路の全部または一部を示す。また、「搬送経路の下流側」とは、「搬送経路の巻取りボビン21側」を示す。
【0026】
光ファイバ30は、ガイドローラ27a,27bによりキャプスタンローラ22からスクリーニングローラ24へ搬送される。スクリーニングローラ24は、光ファイバ30の引張り強度を保証するために光ファイバ30に一定の張力を与えて破断しないことをテストするスクリーニングに用いられる。具体的には、スクリーニングローラ24は、キャプスタンローラ22から搬送されてきた光ファイバ30にスクリーニングに必要な張力を付与する。
スクリーニングローラ24は、モータなどを含む周知の駆動機構(図示せず)により所定のトルクで回転可能に駆動される。なお、所定のトルクとは、一定のトルクに限られず、可変されるトルクも含みうる。すなわち、スクリーニングローラ24にかかるトルクは、駆動機構により、一定または可変になるように制御されうる。スクリーニングローラ24にかかるトルクに応じて、キャプスタンローラ22とスクリーニングローラ24との間で搬送される光ファイバ30に所定の張力が付与される。なお、キャプスタンローラ22とスクリーニングローラ24との間には光ファイバ30の張力を検出する張力検出器が設置されてもよい。
【0027】
続いて、光ファイバ30は、ガイドローラ27c,27dによりスクリーニングローラ24からテンションヘルパーローラ25へ搬送される。テンションヘルパーローラ25は、スクリーニングローラ24から搬送されてきた光ファイバ30の張力を緩和させる。
【0028】
テンションヘルパーローラ25は、モータなどを含む周知の駆動機構(図示せず)により所定のトルクで回転可能に駆動される。なお、所定のトルクとは、一定のトルクに限られず、可変されるトルクも含みうる。すなわち、テンションヘルパーローラ25にかかるトルクは、駆動機構により、一定または可変になるように制御されうる。テンションヘルパーローラ25にかかるトルクに応じて、スクリーニングローラ24とテンションヘルパーローラ25との間で搬送される光ファイバ30に所定の張力が付与される。
【0029】
本例においては、二つのテンションヘルパーローラ25a,25bが配置されている。テンションヘルパーローラ25aとテンションヘルパーローラ25bとの間には、ガイドローラ27e,27fが配置されている。テンションヘルパーローラ25aにより張力が緩和された光ファイバ30は、ガイドローラ27e,27fによりテンションヘルパーローラ25bへ搬送される。そして、テンションヘルパーローラ25bによりさらに張力が緩和された光ファイバ30は、ガイドローラ27g,27hによりダンサローラ26に搬送される。
【0030】
図2と
図3は、テンションヘルパーローラ25の一構成を例示している。
図2に例示されるように、テンションヘルパーローラ25は、本体部251と接触部252を有している。本体部251は、駆動機構により回転可能に構成される。本体部251は、例えば、金属から形成される。
【0031】
本体部251は、例えば、回転軸2511と環状部材2512を有している。回転軸2511は、駆動機構に直接または間接的に接続されており、駆動機構により回転される。環状部材2512は、回転軸2511に接続されており、回転軸2511と一体的に回転する。
【0032】
本例においては、環状部材2512は、第一大径部2512A、小径部2512B、および第二大径部2512Cを有している。小径部2512Bは、第一大径部2512Aと第二大径部2512Cとの間に位置している。第一大径部2512Aと第二大径部2512Cは、略同一の径を有しており、小径部2512Bは、第一大径部2512Aと第二大径部2512Cの径よりも小さい径を有している。
【0033】
接触部252は、テンションヘルパーローラ25において光ファイバ30が巻き掛けられる部分であり、光ファイバ30と接する部分である。接触部252は、例えば、外周面に環状溝2521を有する環状部材である。光ファイバ30は、環状溝2521内に配置され、接触部252との摩擦により引っ張られる。接触部252は、本体部251に取り付けられて、本体部251と一体的に回転する。本例においては、接触部252は、本体部251の小径部2512Bの外周面に取り付けられている。
【0034】
接触部252は、ゴムにより形成される。例えば、接触部252は、水素化ニトリルゴム(H―NBR)またはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)により形成される。
【0035】
また、
図3に例示されるように、接触部252は、本体部251に着脱可能に設けられている。本例においては、第二大径部2512Cは、第一大径部2512Aおよび小径部2512Bとは別体で構成されている。第二大径部2512Cを第一大径部2512Aと小径部2512Bから取り外すことにより、接触部252を本体部251から取り外すことができる。
【0036】
すなわち、第一大径部2512Aと小径部2512B、接触部252、および第二大径部2512Cは、回転軸2511に、第一大径部2512Aと小径部2512B、接触部252、および第二大径部2512Cの順に取り付けられる。また、第一大径部2512Aと小径部2512B、接触部252、および第二大径部2512Cは、回転軸2511から、第二大径部2512C、接触部252、および第一大径部2512Aと小径部2512Bの順に取り外されうる。
【0037】
なお、テンションヘルパーローラ25の構成は
図2と
図3に示される構成に限られない。接触部252が光ファイバ30と接触する位置に配置されており且つ本体部251に対して着脱可能に構成される限り、他の形状および構成が採用されうる。
【0038】
図1に戻り、テンションヘルパーローラ25bから搬送される光ファイバ30は、ガイドローラ27g,27hにより、ダンサローラ26へ送られる。ダンサローラ26では、光ファイバ30の搬送速度や張力の変動が吸収される。そして光ファイバ30は、複数のガイドローラ27i,27jにより巻取りボビン21へ搬送され、巻き取りボビン21に巻き取られる。
【0039】
このような光ファイバ30の巻取り装置20では、特にテンションヘルパーローラ25の表面において光ファイバ30滑りが発生しやすい。テンションヘルパーローラ25の表面において光ファイバ30の滑りが発生すると、光ファイバ30の走行が不安定になり、例えば、搬送経路の下流側に配置されたダンサローラ26においてハンチングが発生する。これにより、光ファイバ30の断線が生じる場合がある。しかしながら、本実施形態に係るテンションヘルパーローラ25では、接触部252がゴムにより形成されているので、テンションヘルパーローラ25の表面における光ファイバ30の滑りの発生を抑制できる。これにより、ダンサローラのハンチングなどによる光ファイバ30の断線を抑制できる。
【0040】
また、接触部252は本体部251から着脱可能であるため、光ファイバ30との摩擦により接触部252が摩耗した場合には、接触部252を本体部251から取り外して新しい接触部252に交換できる。
【0041】
また、接触部252が水素化ニトリルゴムまたはエチレンプロピレンジエンゴムにより形成される場合は、テンションヘルパーローラ25の表面と光ファイバ30との摩擦力がさらに向上し、テンションヘルパーローラ25の表面における光ファイバ30の滑りの発生をさらに抑制できる。
【0042】
(実施例)
以下、実施例を示して本開示を更に具体的に説明するが、本開示は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0043】
所定のトルクで駆動回転されるローラに対する光ファイバの滑りにくさを評価した。具体的には、直径が240mmであり且つ接触部がウレタン、水素化ニトリルゴム(H-NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)またはフッ素ゴム(例えば、バイトン(登録商標))により形成されたローラのV溝に光ファイバを巻き掛けて、各ローラと光ファイバとの間に発生する摩擦力を測定した。なお、摩擦力は、ローラのV溝に掛けた光ファイバの一端に50gの重りを付け、光ファイバの他端にバネ計りを取り付け、バネ計りを引張り光ファイバが動いたときにバネ計りに表示された値から重りの重さを引いた値により算出した。また、滑りにくさは、摩擦力が40g以上である場合を優秀(A)とし、摩擦力が40未満の場合を良好(B)と判定した。結果を表1に示す。
【0044】
【0045】
表1に示されるように、ウレタンやフッ素ゴムにより形成された接触部よりも、H-NBRまたはEPDMから形成された接触部の方が、摩擦力が大きく滑りにくいことが分かった。
【0046】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0047】
光ファイバ30の巻き替え装置10や巻取り装置20は、
図1に例示される構成に限定されない。例えば、巻き替え装置10や巻取り装置20において配置されるガイドローラの数や配置あるいはダンサローラの数や配置も適宜変更可能である。また、巻取り装置20において配置されるテンションヘルパーローラ25の数も二つに限定されない。
【0048】
上記の実施形態では、トルク制御ローラであるテンションヘルパーローラ25が、本体部251から着脱可能であり且つゴムから形成される接触部252を有している。しかしながら、テンションヘルパーローラ25に加えてまたは代えて、トルク制御ローラであるスクリーニングローラ24やキャプスタンローラ22が、
図2と
図3に例示されるように本体部から着脱可能であり且つゴムから形成される接触部を有するように構成されてもよい。
【0049】
上記の実施形態では、光ファイバ30の巻取り装置20は、光ファイバ30の巻き替え工程に適用されている。しかしながら、巻取り装置20は、光ファイバ30の着色工程や光ファイバ30の線引き工程に適用されうる。例えば、巻取り装置20が光ファイバ30の着色装置に組み込まれる場合は、サプライボビンから繰り出された光ファイバ30の外周に着色層が形成され、着色層が形成された光ファイバ30が巻取り装置20により巻き取られる。あるいは、巻取り装置20が光ファイバの線引き装置に組み込まれる場合は、線引き炉から樹脂硬化装置までの装置によりガラスファイバの外周に被覆樹脂が形成された光ファイバ30が形成され、当該光ファイバ30が巻取り装置20により巻き取られる。
【符号の説明】
【0050】
10:巻き替え装置
11:サプライボビン
12a,12b:ガイドローラ
13:ダンサローラ
20:巻取り装置
21:ボビン
22:キャプスタンローラ
23:キャプスタンベルト
24:スクリーニングローラ
25,25a,25b:テンションヘルパーローラ
26:ダンサローラ
27a~27j:ガイドローラ
30:光ファイバ
251:本体部
2511:回転軸
2512:環状部材
2512A:第一大径部
2512B:小径部
2512C:第二大径部
252:接触部
2521:環状溝