(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108460
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】足湯マット
(51)【国際特許分類】
A47K 3/022 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A47K3/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012844
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】516033101
【氏名又は名称】久冨 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 真二
(72)【発明者】
【氏名】久冨 隆治
(57)【要約】
【課題】持続的な保温及び一定の足湯の効果を実現し、安全で利便性がある足湯マットを提供する。
【解決手段】お湯を貯水することができる足湯マットであって、使用者の足が接触する接触面が、少なくとも使用者の両足を載置することができる広さを有する底部と、底部の外縁から所定の高さまで延伸して立設されている側壁部と、を備え、底部及び側壁部で囲まれた空間に、お湯を貯水することができるようになっており、所定の高さが、使用者の足底から踝までの距離を基にして設定されており、可撓性を有する素材で形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
お湯を貯水することができる足湯マットであって、
使用者の足が接触する接触面が、少なくとも使用者の両足を載置することができる広さを有する底部と、
前記底部の外縁から所定の高さまで延伸して立設されている側壁部と、を備え、
前記底部及び前記側壁部で囲まれた空間に、お湯を貯水することができるようになっており、
前記所定の高さが、使用者の足底から踝までの距離を基にして設定されており、
可撓性を有する素材で形成されていることを特徴とする足湯マット。
【請求項2】
前記側壁部での自由端である端部が、外方に突出した形状になっている請求項1に記載の足湯マット。
【請求項3】
前記側壁部において、自由端である端部の幅が、固定端である端部の幅より短くなっている請求項1に記載の足湯マット。
【請求項4】
前記底部が、前記接触面において、使用者の足が載置されたときに足指が位置する範囲に、隣接する前記足指の間に挿入可能な形状である突起部を有する請求項1に記載の足湯マット。
【請求項5】
前記底部が、前記接触面において、使用者の足裏のつぼを押圧可能な形状である隆起部を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の足湯マット。
【請求項6】
前記底部の接触面とは反対側の面が、滑り止めのために、凹凸を有する形状になっている請求項1に記載の足湯マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お湯を貯水することができる足湯マットに関し、特に、シャワー使用時に実用性がある足湯マットに関する。
【背景技術】
【0002】
入浴するときに、浴槽を使わずに、シャワーだけで済ませている人がおり、毎日浴槽に浸かるのではなく、時々シャワーだけで済ませることがある人も含めると、シャワーのみの入浴の割合は小さくない。長く入浴する時間がない、浴槽の掃除が面倒である、光熱費を節約できる等の理由により、シャワーだけで済ませる人もいれば、一人暮らし用の住宅物件等では、浴室に浴槽がない物件もある。
【0003】
入浴をシャワーだけで済ませる場合、体を十分に温めるのが難しく、特に冬場はその影響が大きく、入浴後、体の冷え込みを強く感じてしまうことがある。浴槽に浸からないことにより、浴槽に浸かることによる効果、例えば疲労回復、冷え性の解消、新陳代謝活性化等を、シャワーのみの入浴では、得ることが難しくなる。
【0004】
シャワーのみの入浴において、浴槽への入浴による効果を得るべく、シャワー使用時に、使用者の足元にシャワーからのお湯を貯水する用具を設置する方法が提案されている。これは、いわゆる足湯による効果を狙った方法である。
【0005】
足湯は膝から下をお湯に浸ける入浴方法であり、足湯の効果として、血流の改善による冷え性や浮腫みの解消、疲労回復、痛みの緩和、良質な睡眠等が挙げられる。足湯は、足だけを温めるので、着衣のままでも行うことができることが長所の1つとなっており、浴室以外の室内でも行うことが可能であるが、上記の提案方法は、シャワー使用時に利用することを想定した方法である。
【0006】
例えば、特開2012-223531号公報(特許文献1)では、本体バスマットの外周部分に立ち上がりの壁を設け、更に、排水用の穴、穴の蓋及び排水用の溝を設けたプール型バスマットが提案されている。使用時は、排水用の穴を蓋で塞ぎ、お湯を溜め、バスマットの中に足を入れて、シャワーを浴びる。シャワーを浴びている間、体を流れ落ちるお湯は本体バスマットに溜まる。使用後は、蓋を外して、お湯を排水するようになっている。
【0007】
実用新案登録第3231294号公報(特許文献2)では、シャワーのお湯をためる貯水部が、使用者の足を載せる底部分と、底部分の側方に設けられて底部分を囲む側壁部分とを備え、底部分が、貯水部の内部と外部とを繋ぐ蓋なし穴またはスリットを有する足湯用具が提案されている。このような構成とすることにより、シャワーのお湯で使用者の足を適度に温めることができるとともに、使用者がシャワーを終えて貯水部から出た際、貯水部の内部にたまったお湯が蓋なし穴またはスリットから外部へ排出され、お湯を抜く作業が不要になるので、使用者にとって使い勝手のよい足湯用具を提供することができるとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-223531号公報
【特許文献2】実用新案登録第3231294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のバスマットでは、外周部分の壁の高さについて明確な記載がなく、例えば、一般的な足湯用具のように脹脛近辺までお湯に浸かれるような高さまである場合、お湯が溜まるまでに時間がかかり、お湯が溜まった後、シャワーを使用して、シャワーからのお湯が本体バスマットに流入しても、流入するお湯と流出するお湯の置換が不十分で、お湯が冷めやすくなるおそれがある。壁が高いバスマットでは、立位でシャワーを使用している使用者が体のバランスを崩した場合等において、体を適切に支えるのが難しくなるおそれがある。バスマットが硬質な素材で形成されている場合、そのおそれは強くなる。また、特許文献1のバスマットでは、溜まったお湯は、蓋を外すことにより排水することができるので、排水の手間は軽減されるが、蓋や蓋の留め具等が必要であり、簡単な構成とはならず、サイズも大きくなる傾向がある。サイズが大きいバスマットは、浴室内に常置した場合、邪魔な存在となるおそれがある。
【0010】
特許文献2の足湯用具は、貯水部内部に溜まったお湯が、蓋なし穴またはスリットから常時排出されるので、シャワーを一時的に止めた場合もお湯が排出され続けるので、溜まったお湯が減少し、使用者の足が冷えてしまうおそれがある。貯水部の側壁部分の高さに関しては、実施例において、60~100mm程度と記載されているが、その根拠は記載されていない。また、側壁部分を、実施例のように、断面が円形の筒状の形態にした場合、使用者が側壁部分に足を載せた場合、滑ってしまうおそれがある。
【0011】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、持続的な保温及び一定の足湯の効果を実現し、安全で利便性がある足湯マットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、お湯を貯水することができる足湯マットに関し、本発明の上記目的は、使用者の足が接触する接触面が、少なくとも使用者の両足を載置することができる広さを有する底部と、前記底部の外縁から所定の高さまで延伸して立設されている側壁部と、を備え、前記底部及び前記側壁部で囲まれた空間に、お湯を貯水することができるようになっており、前記所定の高さが、使用者の足底から踝までの距離を基にして設定されており、可撓性を有する素材で形成されているにより達成される。
【0013】
本発明の上記目的は、前記側壁部での自由端である端部が、外方に突出した形状になっていることにより、或いは、前記側壁部において、自由端である端部の幅が、固定端である端部の幅より短くなっていることにより、或いは、前記底部が、前記接触面において、使用者の足が載置されたときに足指が位置する範囲に、隣接する前記足指の間に挿入可能な形状である突起部を有することにより、或いは、前記底部が、前記接触面において、使用者の足裏のつぼを押圧可能な形状である隆起部を有することにより、或いは、前記底部の接触面とは反対側の面が、滑り止めのために、凹凸を有する形状になっていることにより、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の足湯マットによれば、側壁部の高さが使用者の足底から踝までの距離を基にして設定されているので、一定の足湯の効果が期待できると共に、流入するシャワーのお湯が適度に溢れて、流入するお湯と流出するお湯の置換が適切に行われ、持続的な保温が可能となる。また、可撓性を有する素材で形成されているので、側壁部を足で踏んだ場合等でも安全であり、洗浄しやすい等の利便性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る足湯マットの例(第1実施形態)を示す図である。
【
図2】溜まったお湯に足を入れた状態での足湯マットの例を示す断面図である。
【
図3】底部の下面が凸凹を有する形状である足湯マットの例を示す底面図である。
【
図4】本発明に係る足湯マットの例(第2実施形態)及び突起部の例を示す図である。
【
図5】本発明に係る足湯マットの例(第3実施形態)を示す平面図である。
【
図6】突起部及び隆起部を混在させた足湯マットの例を示す平面図である。
【
図7】本発明に係る足湯マットの例(第4実施形態)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る足湯マットは、使用者の両足を載置する底部と、底部の外縁から延伸して立設されている側壁部を備えている。よって、底部及び側壁部で囲まれた足湯マットの内部にお湯を溜めることができるので、使用者が両足を底部に載置して、シャワーを浴びたりする場合、そのお湯が内部に溜まり、使用者の足を温めることができる。
【0017】
また、本発明に係る足湯マットでは、側壁部の高さが、使用者の足底から踝までの距離を基に設定されている。人間の毛細血管は踝から下に広がっているので、例えば、側壁部の高さを、足底から踝までの距離と同程度にした場合、足湯マットによって踝より下の部分を温めることができ、足の冷え込みを抑制すると共に、血流の改善を効果的に行うことができる。底部の広さを、使用者が窮屈さを感じずに両足を載置できる程度の広さとした場合、踝までが浸かる程度の湯量であれば、シャワーを浴びているときに足湯マットの内部がシャワーのお湯で満杯となる時間は長時間とはならないので、流入するシャワーのお湯が足湯マットから適度に溢れて、流入するお湯と流出するお湯の置換が適切に行われ、足湯マット内のお湯を持続的に保温することができる。上記程度の湯量であれば、足湯マットにお湯が溜まった状態でも容易に持ち上げることができるので、使用後に足湯マットに溜まったお湯の排出も容易に行うことができ、排水のための穴や蓋等を付設する必要がなく、構造を簡単化することができる。
【0018】
本発明に係る足湯マットは、シリコーンゴム等のように可撓性を有する素材で形成されている。よって、側壁部を足で踏んだ場合等でも、圧力に応じて変形するので、滑ったり躓いたりする等の危険な状態を回避することができる。可撓性を有する素材であれば、洗濯機での洗浄等が可能となり、洗浄が容易となる。
【0019】
更に、本発明に係る足湯マットは、足指の間に挿入可能な突起部を底部に配設することも可能である。これにより、使用者の足を温めると共に、足指間の洗浄も可能となる。底部に足裏のつぼを押圧する隆起部を配設することも可能である。これにより、足裏マッサージの効果を得ることができる。
【0020】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付し、説明を省略することがある。また、以下の説明における形状等は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明に係る足湯マットの例(第1実施形態)を示す図である。
図1(A)は足湯マット1の平面図であり、
図1(B)は、
図1(A)に示す足湯マット1のA-A線に沿った断面図である。なお、
図1(B)において、上方を向いている面を上面、下方を向いている面を下面とする。
【0022】
足湯マット1は、上部が開放され、下部が閉鎖された凹型の形状で、凹型の内側にお湯を溜めることができるようになっている。足湯マット1は、
図1(A)に示されるように、平面視において、四角が円弧となっている角丸正方形の形状をしており、同じく角丸正方形の形状で、足湯マット1の下部に位置する底部10と、底部10の外縁から上方に向かって底部10を囲むように延伸して立設されている側壁部20を備える。なお、足湯マット1の平面視の形状は、角丸正方形に限られず、角丸長方形、四角形、多角形、円、楕円等、種々の形状であっても良い。
【0023】
足湯マット1は、可撓性を有する素材、例えばシリコーンゴムで形成されている。シリコーンゴムは、人工的に生成されるプラスチックの一種で、シリコーンを主成分とする合成樹脂であるシリコーン樹脂の内のゴム状のものである。シリコーンゴムは、可撓性の他に、耐熱性、耐寒性、撥水性、耐候性等を有し、化学的安定性も良いので、電子部品、医療機器部品、シーリング部品等、様々な用途で使用されている。足湯マット1をシリコーンゴムで形成することにより、使用者が側壁部20に当たったり側壁部20を踏んだりした場合でも、側壁部20が圧力に応じて変形するので、足を傷つけたり、足湯マット1が傾いてバランスを崩したりすること等を防ぐことができる。側壁部20が圧力に応じて変形するので、使用者がシャワーを浴びているとき、側壁部20を踏むことにより、溜まったお湯の適度な排出を容易に行うことができる。また、足湯マット1を洗浄する場合、足湯マット1がシリコーンゴムで形成されていると、洗濯機で洗浄しても、洗濯機の洗濯槽内を傷つけることなく洗浄できるので、洗浄が容易となる。なお、足湯マット1を、シリコーンゴムではなく、天然ゴムやウレタンゴム等の他のゴム素材、可撓性を有する熱可塑性エラストマー、軟質プラスチック等で形成しても良い。
【0024】
底部10は、足湯マット1の下部に位置し、底部10の下面が浴室やシャワー室等の床に接触するように足湯マット1を載置することにより、足湯マット1は使用される。使用者は、底部10の上面(接触面)に両足を載置して、シャワー等を浴びるので、底部10の上面は、少なくとも使用者の両足を載置することができる広さを有する。例えば、上面が角丸正方形である底部10の場合、1辺が約45cmの広さとなっている。洗濯機での洗浄を想定した場合、洗濯機の洗濯槽に収納できる大きさが、底部10の大きさの上限となる。
【0025】
底部10は、上面及び下面が平坦な平板状に形成させており、床の温度が使用者の足に伝わりにくく、耐久性を保持する厚さ、例えば5~10mmの厚さを有する。
【0026】
側壁部20は、足湯マット1の側面を構成しており、底部10を囲むように形成されている。側壁部20は、底部10の外縁全体から上方に所定の高さまで延伸しているが、底部10と直交した構造ではなく、やや外方に傾いた方向に延伸している。例えば、側壁部20と底部10とが形成する角度は約100°となっている。なお、側壁部20は底部10と直交した構造でも良く、底部10と形成する角度は、90°以上で足湯マット1がお湯を溜めることができる角度であれば、100°以外の角度でも良い。また、側壁部20と底部10の境界部分は、円弧を描くR形状になっていても良い。
【0027】
側壁部20は、自由端である上部の端部が外方に突出した形状になっており、底部10の外縁から上方に延伸する延伸部21と、延伸部21から略水平方向に突出している突出部22から構成される。即ち、足湯マット1は、底部10から延伸部21へ、更に突出部22へと連接する形状になっている。
【0028】
延伸部21は、底部10と突出部22の間に介在し、底部10を囲むように底部10の外縁から延伸している。底部10と延伸部21とで形成される内側の空間に、お湯が溜められる。よって、延伸部21の高さ、即ち、
図1(B)に示される、底部10の外縁の上面に連接する延伸部21の下面から延伸部21の上面までの鉛直方向の距離Lが、お湯を最大限に溜めた場合に足が浸かる範囲を決定する。延伸部21の高さは、使用者の足底から踝までの距離を基に設定されており、本実施形態では、
図2に示されるように、お湯を満杯にしたときに使用者の踝までがお湯に浸かるようになる高さ、例えば約10cmになっている。
図2は、足湯マット1にお湯を満たし、溜まったお湯の中に使用者が足を入れた状態での断面図である。使用者が、足底を底部10の上面に接触されて載置した状態において、水面2は、使用者の踝3の高さに位置している。このように、両足の踝から下全体をお湯によって温めることにより、冷え易い足先を効率的に温めることができ、踝から下に広がる毛細血管の血流促進による血流改善を図ることができる。また、上面が角丸正方形である底部10の1辺が約45cmで、延伸部21の高さが約10cmの場合、足湯マット1に溜められる湯量は約20リットルとなり、シャワーから放出される湯量は、通常1分間に10~12リットルであるから、使用者がシャワーを浴びている間、足湯マット1に溜められるお湯の入れ替えが適度に行われ、溜まったお湯の温度の低下を抑えることができる。約20リットルの湯量であれば、足湯マット1に溜まったお湯の排出を、足湯マット1を傾斜させる等により、容易に行うことができる。なお、延伸部21の高さは、使用者の足底から踝までの距離を基に設定させているのであれば、使用者の踝までがお湯に浸かるようになる高さでなくても良く、それよりも多少高い高さ(例えば12~13cm)にしても良い。但し、延伸部21が高すぎると、足湯マット1に溜められるお湯の入れ替えや溜まったお湯の排出に影響が及ぶので、それらを考慮した高さにする。
【0029】
突出部22は、延伸部21の上端部の外側面(外方を向いている側面)全体から略水平方向で外方に突出している。突出部22の上面及び下面は平坦となっているが、湾曲した形状や周方向に波状した形状等になっていても良い。また、水平方向ではなく、やや上方又は下方に傾斜した方向に突出した形状でも良い。このような足湯マット1の外方に突出した突出部22を設けることにより、側壁部20に対して外方に向かう力(重力)が働くので、足湯マット1が軟性の高い素材で形成され、延伸部21だけでは側壁部20の安定性が十分でない場合、側壁部20が足湯マット1の内方に傾くことを抑制することができる。よって、突出部22が外方に突出している長さは、その抑制力が適切に働く長さ、例えば約2cmになっている。突出部22を設けることにより、足湯マット1にお湯を溜めた際に、側壁部20の上部が水圧により変形するのを抑えることもできる。なお、延伸部21だけで側壁部20の安定性が十分な場合等では、突出部22はなくても良い。
【0030】
側壁部20は、使用者が側壁部20を足で踏んでも、足からの圧力に応じて変形できるような厚さになっている。例えば、側壁部20の厚さを、底部10と同じ厚さ(5~10mm)にする。底部10と異なる厚さ、例えば底部10より薄くして、側壁部20の軽量化を図るようにしても良い。延伸部21と突出部22とで異なる厚さ、例えば突出部22の方を厚くして、側壁部20の安定化を図るようにしても良い。
【0031】
シリコーンゴムを素材とする足湯マット1は、例えば、金型にシリコーンゴムを流し込んで、加圧しながら熱して成形する圧縮成形により作製される。圧縮成形ではなく、加熱によってシリコーンゴムを溶かして、金型に流し込んでから冷却する射出成形、シリコーンゴムを加熱により融解させ、その状態で金型から押し出して冷却する押出成形等の方法により、足湯マット1を作製しても良い。シリコーンゴム以外の素材で足湯マット1を作製する場合は、素材に適した方法で足湯マット1を作製する。
【0032】
このような構造の足湯マット1を、シャワーを浴びる際に使用する方法について説明する。
【0033】
まず、浴室又はシャワー室の床の適切な位置に、底部10の下面を下にして、足湯マット1を載置する。そして、使用者は、両足を底部10の上面に載置して、シャワーを浴びる。この際、シャワーを浴びる前に、足湯マット1の内部にお湯を予め溜めても良い。これにより、シャワーの開始時点から両足を温めることができる。
【0034】
シャワーを浴び終わったら、使用者は足湯マット1の外に移動し、足湯マット1に溜まったお湯を排出する。使用後の足湯マット1に対して、表面を拭いたり、吊り下げたりすることにより、付着した水分が残らないようにする。足湯マット1を吊り下げやすくするために、側壁部20に、足湯マット1を吊り下げるための部位、例えば、フック等に掛けるための穴が穿設された部位を固設しても良い。付着した汚れを落とす場合等、必要に応じて、足湯マット1を洗濯機等で洗浄しても良い。
【0035】
このように、足湯マット1は、浴室等の床に置くだけで使用することができ、使用後も簡単にお湯を排出することができ、洗浄も容易にできるので、利便性があり、手軽に足湯の温浴効果を享受することができる。
【0036】
なお、足湯マット1の底部10の下面は平坦な形状になっているが、滑り止めのために、凹凸を有する形状にしても良い。例えば、
図3に示されるように、タイヤが路面と接する部分(トレッド)に刻まれた模様であるトレッドパターンのような凹凸を、底部10の下面が有するようにしても良い。
図3において、黒色の箇所が凸状になっており、
図3(A)では、平面視が平行四辺形の複数の凸部30が、傾斜して2列になって並んでおり、
図3(B)では、2列の溝(凹部)41及び42の両側に、傾斜した複数の平行四辺形の溝43が並んだ形状になっている。凹凸を有する形状として、底部10の下面に吸盤を付設した形状を用いて、滑り止めとしても良い。足湯マット1の作製過程において発生する、意図しない形状の突起であるバリを敢えて残して、滑り止めとして使用しても良い。
【0037】
本発明の他の実施の形態について説明する。
【0038】
第1実施形態の足湯マット1の底部10の上面は平坦な形状であるが、使用者の足を洗浄する機能や使用者の健康を促進する機能等を付加するために、底部10の上面の形状を変更することも可能である。
【0039】
図4に示される本発明に係る足湯マットの例(第2実施形態)では、足湯マット5の底部50の上面に、使用者の足指の間に挿入可能な複数の突起部51が配設されている。
図4(A)は足湯マット5の平面図であり、
図4(B)は、底部50の上面に配設された突起部51の正面図である。使用者は、足湯マット5にお湯が溜まった状態において、隣接する足指の間に突起部51を挿入し、足指を動かすことにより、足指間を洗浄することができる。
【0040】
突起部51は、使用者の両足の足指間に挿入されるので、
図4(A)に示されるように、使用者が両足を底部50の上面に載置した際に足指が位置すると想定される範囲内に、右足用と左足用で4個ずつ配設されている。そして、突起部51は、親指と人差指の間に挿入される突起部51a、人差指と中指の間に挿入される突起部51b、中指と薬指の間に挿入される突起部51c、薬指と小指の間に挿入される突起部51dから構成される。
【0041】
突起部51は、使用者が痛み等を感じることなく足指間に突起部51を挿入できるような素材及び形状で形成されている。例えば、足湯マット5は、第1実施形態での足湯マット1と同様に、シリコーンゴム等の可撓性を有する素材で形成されており、突起部51も同じ素材で形成されている。または、突起部51を、足湯マット5の他の部位より更に軟性を有する素材で形成しても良い。突起部51の形状は、
図4(B)に示されるように、上部が半球体で、それより下部が円柱形となっており、底面が底部50の上面に固着している。突起部51の幅(円柱形での直径)は、足指間の距離を考慮した大きさとなっており、例えば1cm以下となっている。突起部51の高さは、足指を動作させての足指間の洗浄を的確に行えるように設定されており、例えば約3cmとなっている。突起部51a~51dは、足指の挿入の容易さや洗浄のし易さ等を考慮して、例えば2~3cmの間隔で配設されている。
【0042】
なお、突起部51の数、素材、形状等は上記に限られない。例えば、突起部51を、鉛直方向において括れた箇所を有する形状としても良く、上面が平面でも良い。突起部51a~51dをそれぞれ異なる大きさとしても良く、異なる形状としても良い。また、片足分だけの突起部51を配設するようにしても良い。
【0043】
図5に示される本発明に係る足湯マットの例(第3実施形態)では、足湯マット6の底部60の上面に、使用者の足裏のつぼを押圧する複数の隆起部61が配設されている。
図5は足湯マット6の平面図であり、隆起部61は、底部60の上面全体に渡って配設されている。使用者は、隆起部61の上に足を乗せ、足裏に点在するつぼを刺激することにより、足裏マッサージの効果を得ることができる。
【0044】
隆起部61の形状として、市販されている足つぼマットで使用されている形状と同様な形状が使用可能である。
図5に示される足湯マット6では、平面視が円形、楕円形、菱形、星形、長方形で、鉛直方向で山形になっている隆起部61a~61eが、列となって配設されている。足湯マット6は、第1実施形態での足湯マット1と同様に、シリコーンゴム等の可撓性を有する素材で形成されており、隆起部61も同じ素材で形成されている。足裏のつぼに強い刺激を与えたい場合には、隆起部61を足湯マット6の他の部位より軟性が低い素材で形成し、足裏のつぼに弱い刺激を与えたい場合には、隆起部61を足湯マット6の他の部位より軟性が高い素材で形成しても良い。なお、隆起部61の数、素材、形状等はこれらに限られず、使用者の足裏のつぼを押圧可能であれば、種々の数、素材、形状等で隆起部61を形成しても良い。また、底部60の上面全体ではなく、一部の範囲だけに隆起部61を配設しても良い。
【0045】
第2実施形態での突起部51と第3実施形態での隆起部61を混在させることも可能である。例えば、
図6は、突起部と隆起部を混在させた足湯マット7の平面図である。足湯マット7では、底部70の上面に、第2実施形態での突起部51と同様な位置に同様な形状の突起部52が配設されており、第3実施形態での隆起部61の一部と同様な位置に同様な形状の隆起部62が配設されている。突起部52と隆起部62を混在させることにより、足指間の洗浄と足裏マッサージを同時に行うことができる。
【0046】
本発明に係る足湯マットの側壁部として、第1実施形態の足湯マット1での側壁部20のような延伸部21と突出部22を備えた構成以外の側壁部を使用することも可能である。
【0047】
図7に示される本発明に係る足湯マットの例(第4実施形態)では、足湯マット8は、断面が台形の形状となっている側壁部90を有する。
図7は、
図1(B)に対応する図になっており、足湯マット8の断面図である。なお、
図1(B)と同様に、
図7において、上方を向いている面を上面、下方を向いている面を下面とする。
【0048】
足湯マット8は、第1実施形態の足湯マット1での底部10と同様な形状の底部80と、底部80を囲むように立設されている側壁部90を備える。また、足湯マット8は、足湯マット1と同様に、可撓性を有する素材、例えばシリコーンゴムで形成されている。
【0049】
側壁部90では、自由端である端部の幅(上面の幅)が、底部80と連接している固定端である端部の幅(下面の幅)より短く、
図1(A)でのA-A線と同じ線に沿って切断した断面が台形の形状になっている。側壁部90の高さは、第1実施形態での側壁部20と同様に、お湯を満杯にしたときに使用者の踝までがお湯に浸かるようになる高さ(例えば約10cm)になっている。側壁部90の上面の幅及び下面の幅は適宜設定可能であるが、下面の幅が狭い場合、側壁部90が足湯マット8の内方に傾く可能性があるので、下面の幅は、その可能性をなくすような長さ、例えば約4cmになっている。その下面の幅に合わせて、上面の幅を設定し、例えば上面の幅は約2cmになっている。側壁部90を、このような断面が台形の形状にすることにより、側壁部90を安定化させることができる。
【0050】
なお、
図8(A)に示されるように、側壁部90の内部を中空にしても良い。内部を中空にした側壁部90aを使用することにより、足湯マット8aを軽量化できると共に、側壁部90aの軟性が高くなるので、側壁部90aを足で踏んだ場合、側壁部90aは、より柔軟に変形することができる。また、
図8(B)に示されるように、断面が台形の形状ではなく、略三角形の形状の側壁部90bを、足湯マット8bが有するようにしても良い。
【0051】
上述の実施形態において、第2実施形態では底部50の上面に突起部51が配設されており、第3実施形態では底部60の上面に隆起部61が配設されているが、底部の上面を、これら以外の形状にしても良い。例えば、底部の上面を、ブラシのように毛羽立った形状にしても良い。これにより、使用者の足裏全体を洗浄することができる。底部の上面において、使用者の足底弓蓋(土踏まず)に対向する位置に、青竹踏みのような隆起した箇所を設けても良い。これにより、青竹踏みによるマッサージ効果を得ることができる。
【0052】
また、上述の実施形態では、シャワーを浴びる時に足湯マットを使用しているが、本発明に係る足湯マットは、シャワーを浴びる時以外でも、例えば、着衣した状態で、浴室やシャワー室以外の室内で使用することも可能である。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記形態において明示的に開示されていない事項、例えば足湯マットの重量等は、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1、5、6、7、8、8a、8b 足湯マット
10、50、60、70、80 底部
20、90、90a、90b 側壁部
21 延伸部
22 突出部
51、52 突起部
61、62 隆起部