(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108469
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】二次電池及び二次電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240805BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240805BHJP
H01M 50/136 20210101ALI20240805BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240805BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240805BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/04 Z
H01M50/136
H01M10/0568
H01M50/105
H01M50/262 E
H01M50/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012856
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】藤野 健
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H028AA06
5H028AA07
5H028AA08
5H028CC08
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ12
5H029DJ13
5H040AA36
5H040AT03
5H040CC23
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】充電時に厚みが増加し、放電時に厚みが減少する負極を用いながらも耐久性が高い二次電池及び二次電池モジュールを提供すること。
【解決手段】二次電池は、正極と負極とがセパレータを介して積層された電極積層体と、電解液と、前記電極積層体及び前記電解液を収容する外装体と、を含む二次電池であって、前記負極は、充放電により厚みが変化し、前記外装体は、前記電極積層体の積層方向に伸縮又は変形可能であり、前記電極積層体の積層方向に沿う少なくとも一つの側面と前記外装体の内面との間に、前記電解液の吸収及び放出が可能な電解液一時貯留空間を形成する空間形成部材が配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とがセパレータを介して積層された電極積層体と、電解液と、前記電極積層体及び前記電解液を収容する外装体と、を含む二次電池であって、
前記負極は、充放電により厚みが変化し、
前記外装体は、前記電極積層体の積層方向に伸縮又は変形可能であり、
前記電極積層体の積層方向に沿う少なくとも一つの側面と前記外装体の内面との間に、前記電解液の吸収及び放出が可能な電解液一時貯留空間を形成する空間形成部材が配置されている、二次電池。
【請求項2】
前記負極の厚みの減少時は、前記電極積層体から放出された前記電解液が前記電解液一時貯留空間に吸収され、前記負極の厚みの増加時は、前記電解液一時貯留空間から前記電極積層体に前記電解液が放出される、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記空間形成部材は、多孔質体である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記外装体は、前記電極積層体と離間した位置に封止部を有し、
前記空間形成部材は、前記電極積層体の積層方向に沿う側面と前記封止部との間に配置されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極積層体は、平面視で長方形状であり、
前記空間形成部材は、前記電極積層体の長辺に沿って配置されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記空間形成部材は、弾性部材である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記正極は正極集電体層を有し、前記負極は負極集電体層を有していて、
前記正極集電体層の一辺に接続する正極タブと、前記負極集電体層の一辺に接続する負極タブと、を備え、
前記空間形成部材は、前記正極タブと前記負極タブが接続されていない辺に配置されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記電解液は、有機溶媒と電解質とを含み、
前記電解質の濃度が、0.5~4.0mol/Lの範囲内である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
複数の二次電池が積層された電池積層体と、前記電池積層体の積層方向の両端に位置する一対のエンドプレートと、を有する二次電池モジュールであって、
前記二次電池は、請求項1~8のいずれか一項に記載の二次電池であり、
前記二次電池は、前記電極積層体の積層方向に沿って積層されていて、
前記電池積層体の隣接する2つの前記二次電池の間及び前記二次電池と前記エンドプレートと間の一方又は両方に配置されている弾性体を備え、
前記弾性体は、前記二次電池の前記電極積層体と重なる位置にある、二次電池モジュール。
【請求項10】
前記弾性体は、前記二次電池の前記空間形成部材に重ならない位置に配置されている、請求項9に記載の二次電池モジュール。
【請求項11】
前記弾性体は、前記二次電池の前記空間形成部材側の端部に、前記二次電池側に向かって下り勾配を有する傾斜部を有する、請求項9に記載の二次電池モジュール。
【請求項12】
複数の前記二次電池は、前記空間形成部材側の側面が、前記二次電池の前記空間形成部材側とは反対側の側面よりも重力方向の上側に位置するように配置されている、請求項9に記載の二次電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及び二次電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献するバッテリに関する研究開発が行われている。
【0003】
例えば、充放電によって電解液が消費されることによって生じる電解液の不足を解消するために、余剰の電解液を電池ケース(外装体)が静止している状態では電極に接触しないように、電池ケースに収容した二次電池が検討されている(特許文献1)。この二次電池は、二次電池が揺れて余剰の電解液が電極に含浸されることにより、電解液の不足を解消することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、二次電池及び二次電池モジュールに関する技術においては、電気容量の向上が課題である。二次電池の電気容量の向上のため、負極活物質としてリチウム金属やシリコン粒子を用いることが検討されている。しかしながら、リチウム金属やシリコン粒子を用いたリチウム二次電池は、充電時に負極の厚みが大きく増加し、放電時に負極の厚みが大きく減少することによって、充放電特性が低下することがある。例えば、負極活物質としてリチウム金属を用いたリチウム二次電池は、充電時においてリチウムが粒状から徐々に苔状に析出して負極活物質層を形成することにより負極の厚みが増加し、放電時において負極活物質層(リチウム金属)が溶解することによって負極の厚みが減少する。リチウムが粒状から徐々に苔状に析出して形成された負極活物質層は空隙が発生しやすい。負極活物質層に多くの空隙が発生すると、その多くの空隙に接する部分は電解液に接していないため、充電放電に寄与できない。その結果、リチウム二次電池の充電容量は低下する。負極活物質層の空隙に電解液を供給することによって、充電容量を向上させることは可能である。しかしながら、特許文献1に記載されている二次電池は、余剰の電解液は電池ケースが静止している状態では電極に接触しないように収容されているため、負極活物質層の空隙に電解液を供給するのは困難である。また、負極活物質の空隙に電解液を供給した場合、放電時に負極活物質層が溶解して空隙が消失する際に速やかに移動できる電解液の移動場所を設定しておかないと、正極の負極の間の電解液の斑ができるため、面内の抵抗が不均一となり正極と負極との間の抵抗が大きくなるおそれがある。特に電極の面積が大きくなると電極間の保持圧力のばらつきも影響してリチウム金属の不均一な析出が起こるため、リチウム金属二次電池の耐久性が低下するおそれがある。
【0006】
本願は上記課題の解決のため、充電時に厚みが増加し、放電時に厚みが減少する負極を用いながらも耐久性が高い二次電池及び二次電池モジュールを提供することを目的としたものである。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、正極と負極とがセパレータを介して積層された電極積層体の積層方向に沿う少なくとも一つの側面と、外装体の内面との間に電解液の吸収及び放出が可能な電解液一時貯留空間を形成する空間形成部材を配置し、且つ二次電池の外装体として、電極積層体の積層方向に伸縮又は変形可能なものを用いることにより、上記課題を解決することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発明は、次の構成の二次電池及び二次電池モジュールを提供する。
【0008】
(1)正極と負極とがセパレータを介して積層された電極積層体と、電解液と、前記電極積層体及び前記電解液を収容する外装体と、を含む二次電池であって、前記負極は、充放電により厚みが変化し、前記外装体は、前記電極積層体の積層方向に伸縮又は変形可能であり、前記電極積層体の積層方向に沿う少なくとも一つの側面と前記外装体の内面との間に、前記電解液の吸収及び放出が可能な電解液一時貯留空間を形成する空間形成部材が配置されている、二次電池。
【0009】
(1)の二次電池によれば、充放電によって負極の厚みが変化して、電極積層体内の電解液が過剰となったときは、過剰分の電解液が電極積層体から放出されて、電解液一時貯留空間にて一時的に吸収される。また、電極積層体内の電解液が不足となったときは、電解液一時貯留空間から電解液が電極積層体に放出される。このため、(1)の二次電池は、長期間にわたって耐久性が向上する。さらに外装体としてラミネートフィルムを用いる場合は、ラミネートフィルムを封口するための加熱溶着工程においては、空間形成部材を配置することで電解液配備とシール部の間の空間の位置を規定することができ、ラミネートフィルムのシール部と電解液の接触が回避される。これによりラミネートフィルムの溶着加熱時に電解液への熱の移動制限し、溶着部の樹脂温度が安定することで確実な溶着を行うことでセルの液漏れを防止できる。
【0010】
(2)前記負極の厚みの減少時は、前記電極積層体から放出された前記電解液が前記電解液一時貯留空間に吸収され、前記負極の厚みの増加時は、前記電解液一時貯留空間から前記電極積層体に前記電解液が放出される、(1)に記載の二次電池。
【0011】
(2)の二次電池によれば、放電によって負極の厚みが減少することによって、負極内で電解液が過剰となったときは、過剰分の電解液が電極積層体から放出され、放出された電解液が電解液一時貯留空間に吸収される。また、充電によって負極の厚みが増加し、電極積層体内で電解液が不足となったときは、電解液一時貯留空間から電解液が電極積層体に放出される。このため、充放電を繰り返しても耐久性が向上する。
【0012】
(3)前記空間形成部材は、多孔質体である、(1)又は(2)に記載の二次電池。
【0013】
(3)の二次電池によれば、空間形成部材は多孔質体であるので、孔部を介して電解液の吸収および放出を確実に行うことができる。これにより、電極積層体の電極面内およびセパレータの電解液の保持量や分布のばらつきがより少なくなるので、耐久性がより向上する。
【0014】
(4)前記外装体は、前記電極積層体と離間した位置に封止部を有し、前記は、前記電極積層体の積層方向に沿う側面と前記封止部との間に配置されている、(1)~(3)のいずれか一つに記載の二次電池。
【0015】
(4)の二次電池によれば、外装体の封止部が電極積層体の側面から離間した位置に設定され、その離間した位置に空間形成部材が配置されているので、二次電池内のスペース効率的に無駄がなく、二次電池のエネルギー密度が向上する。また、外装体を封止する際は、外装体を挟む方法が一般的だが、空間形成部材を内部に配置することによって挟む場所の位置決めが可能となる。
【0016】
(5)前記電極積層体は、平面視で長方形状であり、前記空間形成部材は、前記電極積層体の長辺に沿って配置されている、(1)~(4)のいずれか一つに記載の二次電池。
【0017】
(5)の二次電池によれば、空間形成部材が電極積層体の長辺に沿って配置されているので、短辺に沿って配置される場合に比べて電解液の移動距離を短くすることができる。このため、充電によって負極の厚みが増加したときは、電解液を負極全体に均一に供給しやすくなる。
【0018】
(6)前記空間形成部材は、弾性部材である、(1)~(5)のいずれか一つに記載の二次電池。
【0019】
(6)の二次電池によれば、空間形成部材が弾性部材でクッション性を有するので、この空間形成部材が配置されることによって電極積層体の保護に寄与する。
【0020】
(7)前記正極は正極集電体層を有し、前記負極は負極集電体層を有していて、前記正極集電体層の一辺に接続する正極タブと、前記負極集電体層の一辺に接続する負極タブと、を備え、前記空間形成部材は、前記正極タブと前記負極タブが接続されていない辺に配置されている、(1)~(6)のいずれか一つに記載の二次電池。
【0021】
(7)の二次電池によれば、空間形成部材が配置される電極積層体の辺にはタブが接続されていないので、空間形成部材を連続的に配置することができる。
【0022】
(8)前記電解液は、有機溶媒と電解質とを含み、前記電解質の濃度が0.5~4.0mol/Lの範囲内である、(1)~(7)のいずれか一つに記載の二次電池。
【0023】
(8)の二次電池によれば、電解液が二次電池内を移動しやすいので、電解質の濃度が上記の範囲内にある場合でも、二次電池内での電解液の移動が安定し、二次電池内での電解液の偏在による電気特性の低下が起こりにくくなる。このため、二次電池のサイクル特性が向上する。
【0024】
(9)複数の二次電池が積層された電池積層体と、前記電池積層体の積層方向の両端に位置する一対のエンドプレートと、を有する二次電池モジュールであって、前記二次電池は、上記(1)~(8)のいずれか一つに記載の二次電池であり、前記二次電池は、前記電極積層体の積層方向に沿って積層されていて、前記電池積層体の隣接する2つの前記二次電池の間及び前記二次電池と前記エンドプレートと間の一方又は両方に配置されている弾性体を備え、前記弾性体は、前記二次電池の前記電極積層体と重なる位置にある、二次電池モジュール。
【0025】
(9)の二次電池モジュールによれば、充電により二次電池の負極の厚みが増加したときは、弾性体が負極の厚み増加量に合わせて収縮することによって、電極積層体に付与される荷重が均一となる。このため、二次電池の充電容量が向上する。また、放電により二次電池の負極の厚みが減少したときは、エンドプレートを介して二次電池の外装体を、電極積層体の積層方向に沿って均一に加圧することができるので、負極活物質層の空隙に供給した電解液の残留量が少なくなる。このため、二次電池の耐久性が向上する。
【0026】
(10)前記弾性体は、前記二次電池の前記空間形成部材に重ならない位置に配置されている、(9)に記載の二次電池モジュール。
【0027】
(10)の二次電池モジュールによれば、空間形成部材には、エンドプレートを介して荷重が付与されることがないので、外力によって引き起こされる空間形成部材の変形による電解液の放出や空間形成部材の劣化が起こりにくくなる。
【0028】
(11)前記弾性体の前記二次電池の前記空間形成部材側の端部に、前記二次電池側に向かって下り勾配を有する傾斜部が配置されている、(9)又は(10)に記載の二次電池モジュール。
【0029】
(11)の二次電池モジュールによれば、充電時に負極の厚みが増加して二次電池の電極積層体と接する外装体が伸長又は変形するときに、空間形成部材が二次電池間の弾性体の角に接触して、破損することを抑制する。このため、外装体の伸長によって引き起こされる空間形成部材の変形による電解液の放出や空間形成部材の劣化が起こりにくくなる。
【0030】
(12)複数の前記二次電池は、前記空間形成部材側の側面が、前記二次電池の前記空間形成部材側とは反対側の側面よりも重力方向の上側に位置するように配置されている、(9)~(11)のいずれか一つに記載の二次電池モジュール。
【0031】
(12)の二次電池モジュールによれば、充電によって負極の厚みが増加したときは、空間形成部材に吸収されている電解液を自重によって、電極積層体に供給することができるので、負極活物質層の空隙に電解液を均一に供給することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、充電時に厚みが増加し、放電時に厚みが減少する負極を用いながらも耐久性が高い二次電池及び二次電池モジュールを提供する二次電池及び二次電池モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係る二次電池モジュールの一例を示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る二次電池の一例を示す平面視した断面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う二次電池の断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に沿う二次電池の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る二次電池の充電後の状態を示す要部拡大断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る二次電池の空間形成部材を構成する多孔質膜空を説明する図面であり、(a)は断面図、(b)は表面を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る二次電池の別の一例を示す要部拡大断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る二次電池モジュールの別の一例を示す要部拡大断面図である。
【
図10A】本発明の一実施形態に係る二次電池モジュールのさらに別の一例を示す要部拡大断面図である。
【
図10B】
図10Aに示す二次電池モジュールの充電後の状態を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明を例示するものであって、本発明は以下に限定されるものではない。
【0035】
本発明の一実施形態である二次電池モジュール1は、
図1に示すように、複数の二次電池10が積層された電池積層体30と、電池積層体30の積層方向の両端に位置する一対のエンドプレート40と、を有する。電池積層体30の隣接する2つの二次電池10の間及び二次電池10とエンドプレート40との間のそれぞれには弾性体20が配置されている。
【0036】
放電状態の二次電池10は、
図2~
図5に示すように、電極積層体11と、電解液15と、電極積層体11及び電解液15を収容する外装体18と、を有する。電極積層体11と外装体18の内面との間には空間形成部材16が配置されている。空間形成部材16は、電解液の吸収及び放出が可能な電解液一時貯留空間17を形成する。電極積層体11は、正極12と負極13とがセパレータ14を介して積層された積層体であり、平面視で長方形状とされている。電極積層体11には、電解液(不図示)が含侵されている。空間形成部材16は、電極積層体11の積層方向に沿う側面と外装体18の内面との間に配置されている。二次電池モジュール1において、複数個の二次電池10は、空間形成部材16が配置されている側の側面が上側で、空間形成部材16が配置されている側とは反対側の側面が下側となるように配置されている。
【0037】
正極12は、正極活物質層12aと正極集電体層12bとを有する。正極集電体層12bは、
図4に示すように、正極タブ12cを介して、正極リード端子12dに接続している。負極13は、負極集電体層13bを有する。負極集電体層13bは、
図4に示すように、負極タブ13cを介して、負極リード端子13dに接続している。正極リード端子12dと負極リード端子13dとは、互いに対向する位置に配置されている。なお、放電状態の二次電池10は、製造直後の状態を含む。
【0038】
充電状態の二次電池110は、
図6に示すように、負極集電体層13bの表面に金属リチウムが析出して負極活物質層113aが形成される。充電によって析出した負極活物質層113aは、放電によって溶解する。このように、放電状態の負極13は充電によって厚みが増加し、充電状態の負極113は放電によって厚みが減少する。放電状態の正極12の正極活物質層12aと充電状態の正極112の正極活物質層112aの厚みの変化は、放電状態の負極13と充電状態の負極113の厚みの変化より小さい。このため、放電状態の電極積層体11と充電状態の電極積層体111の厚みの変化は、通常、放電状態の負極13と充電状態の負極113の厚みの変化とほぼ同じとなる。SOC(充電率)が0%のときの放電状態の電極積層体11に対するSOCが100%のときの充電状態の電極積層体111の厚みの比(電極積層体111の厚さ/電極積層体11の厚さ×100)は、例えば110%以上130%以下の範囲内にあってもよい。
【0039】
正極活物質層12aは、正極活物質を含む。正極活物質の例としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、LiNipMnqCorO2(p+q+r=1)、LiNipAlqCorO2(p+q+r=1)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、Li1+xMn2-x-yMyO4(x+y=2、M=Al、Mg、Co、Fe、Ni及びZnから選ばれる少なくとも1種)で表される異種元素置換Li-Mnスピネル、チタン酸リチウム(Li及びTiを含む酸化物)、リン酸金属リチウム(LiMPO4、M=Fe、Mn、Co、及びNiから選ばれる少なくとも1種)等が挙げられる。正極活物質層は、バインダー及び導電助剤など正極活物質層の材料として用いられている各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0040】
正極集電体層12bの材料としては、例えばAlを用いることができる。正極タブ12c及び正極リード端子12dの材料としては、正極集電体層12bの材料と同じものを用いることができる。
【0041】
負極集電体層13bの材料としては、例えばCuを用いることができる。負極タブ13c及び負極リード端子13dの材料としては、負極集電体層13bの材料と同じものを用いることができる。
【0042】
セパレータ14としては、特に限定されないが、例えば多孔体シート、不織布シートを用いることができる。多孔体シートの材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アラミド、ポリイミド、フッ素樹脂等が挙げられる。不織布シートの材料の例としては、グラスファイバー、セルロースファイバー等が挙げられる。セパレータ14は、
図3に示すようにつづら折りとされている。
【0043】
電解液15の組成は、電極積層体11に含侵されている電解液(不図示)と同じである。電解液15は、有機溶媒と電解質とを含む。有機溶媒としては、例えば環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エーテル、鎖状エーテル、ハイドロフルオロエーテル、芳香族エーテル、スルホン、環状エステル、鎖状カルボン酸エステル、ニトリルを用いることができる。環状カーボネートの例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。鎖状カーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネート等が挙げられる。環状エーテルの例としては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル1,3-ジオキソラン等が挙げられる。鎖状エーテルの例としては、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエチルエーテル等が挙げられる。ハイドロフルオロエーテルの例としては、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル、1,2-ビス(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン等が挙げられる。芳香族エーテルの例としては、アニソールが挙げられる。スルホンの例としては、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。環状エステルの例としては、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。鎖状カルボン酸エステルの例としては、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられる。ニトリルの例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。有機溶媒は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
電解質は、電荷移動媒体であるリチウムイオンの供給源であり、リチウム塩を含む。リチウム塩の例としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2(LiTFSI)、LiN(FSO2)2(LiFSI)、及びLiBC4O8等が挙げられる。リチウム塩は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。電解質の濃度は、例えば0.5~4.0mol/Lの範囲内にあってもよく、1.0~4.0mol/Lの範囲内にあってもよく、2.0~4.0mol/Lの範囲内にあってもよい。電解液15は、一般に電解質の濃度が高くなるに従って粘度が高くなり、二次電池10内での移動が起こりにくくなる傾向がある。本実施形態の二次電池10は、電解液一時貯留空間17を有するので、電解質の濃度が高くても電解液15は二次電池10内で移動しやすい。
【0045】
二次電池10の電解液15の含有量は、特に制限されるものではないが、例えば二次電池10の電気容量(単位:Ah)、即ち充電状態で生成する負極活物質層113aを基準として、1.0~1.8mL/Ahの範囲内にあることが好ましい。また、二次電池10の製造直後において、電解液一時貯留空間17に貯留される電解液15の量は、0.2~0.6mL/Ahの範囲内にあることが好ましい。
【0046】
空間形成部材16は、弾性部材であってもよい。空間形成部材が弾性部材でクッション性を有することによって、電極積層体11を外力に対して保護することができる。また、空間形成部材16は、外装体18を封止する際に座屈できる強度で、電解液15が浸透しやすいことが好ましい。
【0047】
本実施形態では、空間形成部材16は円柱状の中空体とされている。空間形成部材16は、
図3に示すように、多孔質膜160と、多孔質膜160の内部に形成された空間161とを有する中空多孔質体とされている。多孔質膜160は、
図7に示すように、電解液15が通過可能な孔160aを有する。多孔質膜160の材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が挙げられる。空間形成部材16の内部の空間161と、空間形成部材16と電極積層体11との間の空間は、電解液一時貯留空間17を形成する。なお、
図3に示すように、空間形成部材16の空間161には電解液15は完全に充填されずに空間を残していてるが、空間161全体に電解液15を充填してもよい。また、空間形成部材16として、中空多孔質体の代わりに連通孔を有する発泡体を用いてもよい。
【0048】
電解液一時貯留空間17は、電解液15の吸収及び放出が可能とされている。二次電池10を効率よく充放電させるためには、負極活物質層113aの表面に電解液15を均一に存在させることが必要である。充電によって析出した負極活物質層113aは、通常、空隙が形成されやすい。このため、充電状態の二次電池110は、電極積層体111内の電解液15が不足した状態となりやすい。本実施形態では、電極積層体111内の電解液15が不足となったときは、電解液一時貯留空間17から電解液15が電極積層体111に放出され、負極活物質層113aの空隙に電解液15を供給することによって、負極活物質層113aの表面に電解液を均一に存在させることができる。一方、充電状態の二次電池110の放電により、負極活物質層113aが溶解すると、供給された電解液によって、電極積層体111内の電解液15が過剰となる。本実施形態では、電極積層体111内の電解液15が過剰となったときは、過剰な電解液15を電極積層体111から放出させて、電解液一時貯留空間17に吸収させることによって、負極活物質層113aの表面に電解液を均一に存在させることができる。
【0049】
電解液一時貯留空間17は、電極積層体11の積層方向に沿う側面と外装体18の封止部18aとの間に形成されている。電解液一時貯留空間17を電極積層体11の側面と封止部18aとの間に形成することによって、二次電池10内のスペースを効率的に利用することができ、二次電池10のエネルギー密度が向上する。また、電解液一時貯留空間17は、電極積層体11の長辺に沿って配置されている。このため、電解液一時貯留空間17が電極積層体11の短辺に沿って配置される場合に比べて電解液15の移動量を少なくすることができる。これにより、充電状態の負極113の負極活物質層113aの表面全体に、電解液15を均一に供給しやすくなる。
【0050】
外装体18は、電極積層体11の積層方向に伸縮又は変形可能とされている。充電により負極13の厚みが増加したときは、その厚みの増加とともに外装体18は伸長する。また、放電により負極13の厚みが減少したときは、その厚みの減少とともに外装体18は収縮する。外装体18は、電極積層体11と離間した位置に封止部18aを有する。外装体18の材料としては、ラミネートフィルムを用いることができる。ラミネートフィルムとしては、内側から内側樹脂層、金属層、外側樹脂層の順で積層された3層構造の積層フィルムを用いることができる。内側樹脂層は例えばポリアミド(ナイロン)層、ポリエチレンテレフタレート(PET)層であり、金属層は例えばアルミニウム層であり、内側樹脂層は例えばポリエチレン層、ポリプロピレン層であってもよい。
【0051】
二次電池10は、例えば次のように製造することができる。先ず、電極積層体11と空間形成部材16とを用意する。電極積層体11は、例えば正極12と負極13とがセパレータ14を介して積層された積層体を作製し、次いで正極12に正極タブ12cを、負極13に負極タブ13cをそれぞれ接続することによって得ることができる。次いで、電極積層体11と空間形成部材16とを外装体18に入れて、正極タブ12cに正極リード端子12dを、及び負極タブ13cに負極リード端子13dを接続する。次いで外装体18に電解液15を入れて、電解液15の一部を空間形成部材16に貯留させた後、外装体18を封止する。外装体18を封止する際は、外装体18を治具で挟む方法を用いることができる。本実施形態では、空間形成部材16を配置するので、外装体18を挟む場所の位置決めが容易となる。
【0052】
二次電池モジュール1の電池積層体30において、複数の二次電池10はそれぞれ、電極積層体11の積層方向に沿って積層されている。本実施形態では、複数の二次電池10は、直列に接続しやすいように、正極リード端子12dと負極リード端子12dとが交互に配列されるように積層されている。なお、複数の二次電池10を並列に接続しやすくするために、一方の側に正極リード端子12dが配置され、他方の側に負極リード端子12dが配置されるように積層してもよい。
【0053】
弾性体20は、充電による負極13の厚みの増加による二次電池10の膨張力を受けた際に圧縮して膨張力を吸収可能なものである。弾性体20としては、金属ばね、多孔性樹脂発泡体、天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム等のゴムを用いることができる。これらの弾性体は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
一対のエンドプレート40は、締結部材(不図示)によって拘束されている。一対のエンドプレート40は、締結部材によって付与された拘束力を電池積層体30に伝達することにより、電池積層体30をその積層方向に加圧する。これにより、充電状態の二次電池110は電極積層体111の積層方向に加圧されるので、二次電池110の放電により負極113の厚みが減少するときは、負極113内の過剰な電解液15を電極積層体111から押し出しやすくなる。エンドプレート40の材料は、特に制限はなく、バッテリモジュール用のエンドプレートで利用されている各種の材料を用いることができる。
【0055】
以上のような構成とされた本実施形態の二次電池10によれば、放電状態の二次電池10の充電により負極13の厚みが増加したときは、空間形成部材16に吸収されている電解液15を、充電状態の電極積層体111に放出して、負極活物質層113aの空隙に電解液15に供給することができる。このため、充電容量が向上する。また、充電状態の二次電池110の放電により負極113の厚みが減少したときは外装体18を電極積層体11の積層方向に加圧することによって、負極活物質層113aの空隙に供給された電解液15を電極積層体111から押し出して、空間形成部材16に吸収させて回収することができる。このため、二次電池10の耐久性が向上する。
【0056】
以上のような構成とされた本実施形態の二次電池モジュール1によれば、放電状態の二次電池10の充電により負極13の厚みが増加したときは、空間形成部材16に吸収されている電解液15を、充電状態の電極積層体111に放出して、負極活物質層113aの空隙に電解液15に供給することができる。これにより、充電中の負極活物質層113aの表面に電解液15を均一に存在させることができるので、充電容量が向上する。また、充電状態の二次電池110の放電により負極113の厚みが減少したときは、過剰な電解液15を電極積層体111から放出させて、電解液一時貯留空間17に吸収させることができる。このため、放電容量が向上する。これにより、放電中の負極活物質層113aの表面に電解液15を均一に存在させることができるので、放電容量が向上する。よって、本実施形態の二次電池モジュール1によれば、充電時に厚みが増加し、放電時に厚みが減少する負極を用いながらも二次電池10の耐久性が向上する。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。
【0058】
上記実施形態の二次電池モジュール1において、二次電池10の空間形成部材16は電極積層体11の側面と封止部18aとの間に配置されているが、空間形成部材16の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば、空間形成部材16を、封止部18a側とは反対側に配置してもよい。ただし、空間形成部材16は、電極積層体11の正極タブ12cと負極タブ13cが接続されていない辺に配置されていることが好ましい。これにより、空間形成部材16を連続的に配置することができる。
【0059】
上記実施形態の二次電池モジュール1において、二次電池10の負極活物質層113aは、充電によって析出し、放電によって溶解する金属リチウムとされているが、負極活物質層113aの材料はこれに限定されるものではない。例えば、負極活物質層の材料として、充電時にリチウムを取り込み、放電時にリチウムを放出する物質を用いてもよい。このような物質としては、シリコン粒子、酸化シリコン粒子又はこれらを含む複合物を用いることができる。
【0060】
上記実施形態の二次電池モジュール1において、電極積層体11は平面視で長方形状とされているが、電極積層体11の形状はこれに限定されるものではない。例えば、電極積層体11は平面視で正方形状であってもよい。
【0061】
上記実施形態の二次電池モジュール1において、弾性体20は、電池積層体30の隣接する2つの二次電池10の間及び二次電池10とエンドプレート40との間のそれぞれに配置されているが、弾性体20の配置位置はこれに限定されるものではない。電極積層体11に付与される荷重を均一とすることが可能であれば、例えば、弾性体20を、隣接する2つの二次電池10の間のみ又は二次電池10とエンドプレート40との間のみに配置してもよい。
【0062】
上記実施形態の二次電池モジュール1において、複数個の二次電池10は、空間形成部材16が配置されている側の側面が上側で、空間形成部材16が配置されている側とは反対側の側面が下側となるように配置されているが、二次電池10の配置はこれに限定されるものではない。たたし、複数の二次電池10は、空間形成部材16側の側面が、二次電池10の空間形成部材16側とは反対側の側面よりも重力方向の上側に位置するように配置されていることが好ましい。これにより、電解液一時貯留空間17内の電解液15を自重によって、充電状態の二次電池110の電極積層体111に移動させることができるので、負極活物質層113aの空隙に電解液15を均一に供給することが可能となる。
【0063】
上記実施形態の二次電池モジュール1において、二次電池10の空間形成部材16は円柱状の中空体とされているが、空間形成部材16の形状はこれに限定されるものではない。
【0064】
図8に示す二次電池10aは、空間形成部材16aの断面が、電極積層体11の積層方向に垂直な方向に潰れた楕円状とされている。本実施形態の二次電池10aは、空間形成部材16a以外の構成は、上述の二次電池10と同じであるので、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
図8の二次電池10aによれば、空間形成部材16aは電解液15の放出及び吸収が可能であるので、上述の二次電池10と同様に耐久性が向上する。また、外装体18をヒートシールバーで挟んで封止する際に、空間形成部材16aを介して電極積層体11に力が加わりにくくなる。
【0066】
図9に示す二次電池モジュール1aは、弾性体20の空間形成部材16側の端部に傾斜部20aが形成されている。傾斜部20aは、二次電池10側に向かって下り勾配を有する。弾性体20は、電極積層体11に対向する位置で外装体18に接し、空間形成部材16に対向する位置は傾斜部20aとされている。本実施形態の二次電池モジュール1aは、弾性体20以外の構成は、上述の二次電池モジュール1と同じであるので、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
図9に示す二次電池モジュール1aによれば、上述の二次電池モジュール1と同様に耐久性が向上する。また、弾性体20は、電極積層体11に対向する位置で外装体18に接し、空間形成部材16に対向する位置には接しないので、空間形成部材16には、エンドプレート40を介して荷重が付与されることがない。このため、外力によって引き起こされる空間形成部材16の変形による電解液の放出や空間形成部材の劣化が起こりにくくなる。さらに、弾性体20の空間形成部材16側の端部に傾斜部20aが形成されているので、充電時に負極13の厚みが増加して二次電池10の電極積層体11と接する外装体18が伸長したときに、空間形成部材16が弾性体20の角に接触して、破損することが抑制される。
【0068】
また、空間形成部材16は、充電状態において、電極積層体111側とは反対側の端部よりも、電極積層体111側の端部の方が、電極積層体111の積層方向における長さが大きい形状であってもよい。この場合、空間形成部材16と電極積層体111との接触面積が広くなるので、充電状態の負極113に対して、電解液15を速やかに供給することができる。
【0069】
図10Aに示す二次電池モジュール1aは、弾性体20が、二次電池10の空間形成部材16に重ならない位置、即ち電極積層体11と重なる位置にのみ配置される形状とされている。さらに、弾性体20の二次電池10の空間形成部材16側の端部には、二次電池10側に向かって下り勾配を有する傾斜部材21が配置されている。傾斜部材21の材料としては、硬質性樹脂を用いることができる。本実施形態の二次電池モジュールは、弾性体20及び傾斜部材21以外の構成は、上述の二次電池モジュール1と同じであるので、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図10Aに示す二次電池モジュール1bによれば、上述の二次電池モジュール1と同様に耐久性が向上する。また、空間形成部材16には、エンドプレート40を介して荷重が付与されることがないので、外力によって引き起こされる空間形成部材16の変形による電解液の放出や空間形成部材の劣化が起こりにくくなる。さらに、
図10Bに示す充電後の二次電池モジュール101bのように、充電により負極113の厚みが増加して二次電池の電極積層体11と接する外装体18が伸長したときは、傾斜部材21によって空間形成部材16近傍の外装体18が伸長することが抑えられる。このため、外装体18の伸長によって引き起こされる空間形成部材16の変形による電解液15の放出や空間形成部材の劣化が起こりにくくなる。
【符号の説明】
【0071】
1、1a、1b、101b モジュール
10、10a、10b、110 二次電池
11 電極積層体
12、112 正極
12a 正極活物質層
12b 正極集電体層
12c 正極タブ
12d 正極リード端子
13、113 負極
113a 負極活物質層
13b 負極集電体層
13c 負極タブ
13d リード端子
14 セパレータ
15 電解液
16、16a 空間形成部材
160 多孔質膜
160a 孔
161 空間
17、17a 電解液一時貯留空間
18 外装体
18a 封止部
20 弾性体
20a 傾斜部
21 傾斜部材
30 電池積層体
40 エンドプレート