(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010847
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G02B6/44 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112393
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】井戸 里美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文昭
【テーマコード(参考)】
2H201
【Fターム(参考)】
2H201AX13
2H201BB05
2H201BB06
2H201BB08
2H201BB12
2H201BB22
2H201BB33
2H201BB44
2H201BB45
2H201BB65
2H201BB77
2H201DD13
2H201KK07
(57)【要約】
【課題】光ファイバケーブルにおいて防水性を高める。
【解決手段】光ファイバケーブルは、複数の光ファイバ心線と、前記複数の光ファイバ心線を収容する少なくとも一つの溝を有するスロットロッドと、前記溝に収容された複数の光ファイバ心線、および前記スロットロッドの周囲を覆う吸水テープと、前記吸水テープの周囲を覆う被覆部材と、を備えており、前記吸水テープは、前記被覆部材に対向する面に吸水面を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバ心線と、
前記複数の光ファイバ心線を収容する少なくとも一つの溝を有するスロットロッドと、
前記溝に収容された複数の光ファイバ心線、および前記スロットロッドの周囲を覆う吸水テープと、
前記吸水テープの周囲を覆う被覆部材と、
を備えており、
前記吸水テープは、前記被覆部材に対向する面に吸水面を有する、光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記吸水テープは、前記スロットロッドを覆う面に吸水面を有する、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記吸水テープは、基材と、前記基材の片面または両面に形成された、前記吸水面となる吸水層とを有する、請求項1または請求項2に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記光ファイバケーブルの長手方向に直交する断面における前記吸水テープと前記被覆部材との隙間の面積Sと前記隙間における前記吸水テープの長さLは、S/L≧0.40の関係を満たす、請求項1または請求項2に記載の光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の光ファイバリボンの積層体が溝に収容された多心ユニットと複数の多心ユニットの外周に巻き付けられた押さえ巻きとを備える光ファイバケーブルを開示している。複数の光ファイバリボンの積層体の中央部には、両面に防水性膨潤物質が塗布された吸水性膨潤テープが挿入されている。
【0003】
特許文献2は、複数の光ファイバが収納されたコア部とコア部の外周に巻き付けられた押え巻きテープとを備える光ファイバケーブルを開示している。押さえ巻きテープは、コア部側に防湿層と吸水層を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-306341号公報
【特許文献2】特開2011-107232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば押さえ巻きと外被との間に隙間が形成されるような光ファイバケーブルでは、ファイバケーブル内に侵入した水が隙間を伝わることで、ケーブル長手方向の広範囲にわたって水が浸入し、光ファイバケーブルの防水性が悪化する要因となる。特に、スロットロッドに形成されたスロット溝に光ファイバを収納するスロット型の光ファイバケーブルにおいては、押さえ巻きと外被との間に隙間が生じやすい。
【0006】
本開示の目的は、光ファイバケーブルにおいて防水性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の光ファイバケーブルは、
前記複数の光ファイバ心線を収容する少なくとも一つの溝を有するスロットロッドと、
前記溝に収容された複数の光ファイバ心線、および前記スロットロッドの周囲を覆う吸水テープと、
前記吸水テープの周囲を覆う被覆部材と、
を備えており、
前記吸水テープは、前記被覆部材に対向する面に吸水面を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、光ファイバケーブルにおいて防水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る光ファイバケーブルの構成を例示する概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る光ファイバケーブルの構成の別例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施の形態の説明]
まず本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の光ファイバケーブルは、
複数の光ファイバ心線と、
前記複数の光ファイバ心線を収容する少なくとも一つの溝を有するスロットロッドと、
前記溝に収容された複数の光ファイバ心線、および前記スロットロッドの周囲を覆う吸水テープと、
前記吸水テープの周囲を覆う被覆部材と、
を備えており、
前記吸水テープは、前記被覆部材に対向する面に吸水面を有する。
【0011】
一般的にスロットロッドの周囲に吸水テープを巻き付ける場合、スロットロッドの溝の上部には支えが無いので、吸水テープの断面形状は多角形状となりやすい。これに対して、吸水テープの周囲を覆う被覆部材が例えば円形形状に形成される場合には、吸水テープと被覆部材との間に隙間が生じる。このような場合でも、吸水テープは被覆部材に対向する面に吸水面を有しているので、光ファイバケーブル内に侵入した水が吸水テープと被覆部材との隙間を伝わることを抑制できる。したがって、光ファイバケーブルの防水性を高めることができる。
【0012】
(2)上記(1)において、
前記吸水テープは、前記スロットロッドを覆う面に吸水面を有してもよい。
【0013】
このような構成によれば、光ファイバケーブル内に侵入した水がスロットロッドの溝内部を伝わることも抑制できる。これにより、光ファイバケーブルの防水性をさらに高めることができる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、
前記吸水テープは、基材と、前記基材の片面または両面に形成された、前記吸水面となる吸水層とを有してもよい。
【0015】
このような構成によれば、基材に吸水層を形成することにより吸水テープを形成することができる。また、基材の両面に吸水層を形成する場合には、一枚の吸水テープにより、光ファイバケーブル内に侵入した水が吸水テープと被覆部材との間およびスロットロッドの溝内部を伝わることを抑制できる。これにより、2つの吸水テープを設ける場合に比べて、吸水テープの巻き付け工程が容易であり、また、光ファイバケーブルから光ファイバ心線を取り出す際に吸水テープの除去が容易である。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記光ファイバケーブルの長手方向に直交する断面における前記吸水テープと前記被覆部材との隙間の面積Sおよび前記隙間における前記吸水テープの長さLは、S/L≧0.40の関係を満たしてもよい。
【0017】
吸水テープと被覆部材との隙間の断面積に対して隙間における吸水テープの吸水面の長さ(スロットロッドのリブ間の距離)が短いと、十分な吸水効果を得ることができない。上記の構成によれば、吸水テープと被覆部材との隙間の断面積に対して吸水テープの長さが0.40以上であるので、良好な吸水効果を得ることができる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示に係る光ファイバケーブルの実施の形態の例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
図1は、本実施形態に係る光ファイバケーブル1の構成を例示している。
図1に例示されるように、光ファイバケーブル1は、スロットロッド2、複数の光ファイバ心線3、第一の吸水テープ4、第二の吸水テープ5、金属テープ6、および外被7を備えている。金属テープ6および外被7は、被覆部材の一例である。
【0020】
スロットロッド2は、中央にテンションメンバ21を有している。また、スロットロッド2は、放射状に配された複数のスロット溝22を有している。本例においては、スロットロッド2には6個のスロット溝22が設けられている。複数のスロット溝22は、光ファイバケーブル1の長手方向に螺旋状(S状またはZ状)またはSZ状に撚られた形状で設けられている。また、スロットロッド2において、隣り合うスロット溝22の間にはリブ23が形成されている。本例においては、スロットロッド2は、テンションメンバ21の周囲から放射状に設けられた6個のリブ23を有している。
【0021】
光ファイバ心線3は、例えば、ガラスファイバとガラスファイバを被覆する被覆層とを有する。スロットロッド2の各スロット溝22には、複数の光ファイバ心線3が収容されている。例えば、所定の本数(本例においては、12本)の光ファイバ心線3が撚り合わされて集合体31を形成し、複数の集合体31が各スロット溝22に収容される。あるいは、所定の本数(例えば12本)の光ファイバ心線3が長手方向に沿って間欠的に連結された光ファイバリボンを形成し、光ファイバリボンが丸められた状態で各スロット溝22に収容されてもよい。なお、撚り合わされた光ファイバ心線の集合体31または丸められた光ファイバリボンの周囲には、バンドル材が巻き付けられてもよい。
【0022】
第一の吸水テープ4は、スロット溝22に収容された複数の光ファイバ心線3、およびスロットロッド2の周囲を覆うように形成されている。例えば、第一の吸水テープ4は、20mm以上50mm以下の幅を有しており、スロットロッド2の周囲において幅の1/4~1/5が重なるように螺旋状に巻かれている。
【0023】
第一の吸水テープ4は、スロットロッド2を覆う面4Aに吸水面を有している。具体的には、第一の吸水テープ4において、基材41のスロットロッド2側の面に、吸水面となる吸水層42が形成されている。例えば、ポリエステル等からなる基材41に吸水剤(例えば吸水性のパウダー)を付着させることによって、吸水層42が形成される。
【0024】
第二の吸水テープ5は、第一の吸水テープ4の周囲を覆うように形成されている。例えば、第二の吸水テープ5は、20mm以上50mm以下の幅を有しており、第一の吸水テープ4の周囲において幅の1/4~1/5が重なるように螺旋状に巻かれている。第二の吸水テープ5は、第一の吸水テープ4と同じ方向に巻き付けられてもよく、または異なる方向に巻き付けられてもよい。
【0025】
第二の吸水テープ5は、金属テープ6に対向する面5Aに吸水面を有している。具体的には、第二の吸水テープ5において、基材51の金属テープ6側の面に、吸水面となる吸水層52が形成されている。例えば、ポリエステル等からなる基材51に吸水剤(例えば吸水性のパウダー)を付着させることによって、吸水層52が形成される。
【0026】
金属テープ6は、第二の吸水テープ5の周囲を覆うように形成されている。例えば、金属テープ6は、第二の吸水テープ5の外周に光ファイバケーブル1の長手方向に沿って縦添えで配され、続いて第二の吸水テープ5の周囲を囲うようにして円筒状に丸められることにより、管状に成形される。すなわち、金属テープ6は、光ファイバケーブルの長手方向に直交する断面(以下、横断面と称する)が円形に形成されている。
【0027】
外被7は、金属テープ6の周囲に形成されている。例えば、外被7は、金属テープ6の周囲に樹脂を押出成形することにより形成される。
【0028】
このようなスロット型の光ファイバケーブル1においては、
図1に例示されるように、スロット溝22の上部には支えが無いので、スロットロッド2の周囲に巻かれる第一の吸水テープ4および第二の吸水テープ5は、光ファイバケーブル1の横断面において多角形状を有する。他方、金属テープ6は、光ファイバケーブル1の横断面において円形形状を有している。このため、多角形の第二の吸水テープ5と円形の金属テープ6との間には隙間G(空間)が形成される。特に、スロット溝22の数が少なく、例えばスロット溝22の数が6溝以下の場合で、且つ、光ファイバケーブル1の横断面におけるスロット溝22の面積が大きい場合には、第二の吸水テープ5と金属テープ6との間の隙間Gが大きくなる。光ファイバケーブル1内に侵入した水がこの隙間Gを伝わると、光ファイバケーブル1の長手方向の広範囲にわたって水が浸入し、光ファイバケーブル1の防水性が悪化する要因となる。なお、スロット溝22の数がさらに少ない場合(3溝または4溝の場合)は、さらに隙間Gが大きくなるので、さらに水が浸入しやすくなる。
【0029】
これに対して、本開示に係る光ファイバケーブル1によれば、第二の吸水テープ5の金属テープ6に対向する面5Aが吸水面として形成されている。したがって、光ファイバケーブル1内に侵入した水が第二の吸水テープ5と金属テープ6との間の隙間Gを伝わることを抑制できる。これにより、光ファイバケーブル1の防水性を高めることができる。
【0030】
また、本実施形態においては、第二の吸水テープ5の金属テープ6に対向する面5Aに加えて、第一の吸水テープ4のスロットロッド2を覆う面4Aも吸水面として形成されている。このため、光ファイバケーブル1内に侵入した水がスロットロッド2のスロット溝22内部を伝わることも抑制できる。これにより、光ファイバケーブル1の防水性をさらに高めることができる。
【0031】
また、本実施形態において、光ファイバケーブル1は、光ファイバケーブル1の横断面における第二の吸水テープ5と金属テープ6との隙間Gの面積Sおよび隙間Gにおける吸水テープの長さLがS/L≧0.40の関係を満たすように形成されてもよい。具体的には、
図1に示されるように、光ファイバケーブル1の横断面において、一つのスロット溝22を覆う第二の吸水テープ5の長さL(隣り合うリブ23間の距離)および当該第二の吸水テープ5と金属テープ6との間に形成される隙間Gの面積Sは、S/L≧0.40の関係を満たしてもよい。
【0032】
例えば、第二の吸水テープ5と金属テープ6との隙間Gの面積Sに対して隙間Gにおける第二の吸水テープ5の吸水面の長さLが短いと、十分な吸水効果を得ることができない。これに対して、第二の吸水テープ5と金属テープ6との隙間Gの面積Sに対して隙間Gにおける第二の吸水テープ5の吸水面の長さLが0.40以上ある場合には、良好な吸水効果を得ることができる。
【0033】
なお、上述した実施形態において、第二の吸水テープ5の周囲は金属テープ6により覆われている。しかしながら、例えば
図2に示されるように、吸水テープ14の周囲は、金属テープが無い状態で、直接外被15により覆われてもよい。
【0034】
具体的には、
図2に示されるように、光ファイバケーブル10は、スロットロッド2、複数の光ファイバ心線3、吸水テープ14、および外被15を備えている。外被15は、被覆部材の一例である。なお、上述の光ファイバケーブル1の部材と同一の部材については同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0035】
吸水テープ14は、スロット溝22に収容された複数の光ファイバ心線3、およびスロットロッド2の周囲を覆うように形成されている。例えば、吸水テープ14は、20mm以上50mm以下の幅を有しており、スロットロッド2の周囲において幅の1/4~1/5が重なるように螺旋状に巻かれている。
【0036】
吸水テープ14は、スロットロッド2を覆う面14Aと外被15に対向する面14Bの両面に吸水面を有している。具体的には、
図2に例示されるように、基材141の両面に、吸水面となる吸水層142,143が形成されている。例えば、ポリエステル等からなる基材141に吸水剤(例えば吸水性のパウダー)を付着させることによって、吸水層142,143が形成される。
【0037】
外被15は、吸水テープ14の周囲を覆うように形成されている。外被15は、光ファイバケーブル10の横断面が円形になるように形成される。例えば、外被15を吸水テープ14の周囲に形成した後に、真空引きにより外圧を下げてケーブル内圧により外被15を膨らませることにより、円形の外被15が形成される。
【0038】
本開示に係る光ファイバケーブル10によれば、多角形の吸水テープ14と円形の外被15との間に隙間Gが生じている。しかしながら、吸水テープ14が外被15に対向する面14Bに吸水面を有することにより、光ファイバケーブル1と同様に、光ファイバケーブル10内に侵入した水が吸水テープ14と外被15との間の隙間Gを伝わることを抑制できる。
【0039】
また、本実施形態においては、吸水テープ14の外被15に対向する面14Bに加えて、吸水テープ14のスロットロッド2を覆う面14Aも吸水面として形成されている。このため、光ファイバケーブル10内に侵入した水がスロットロッド2のスロット溝22内部を伝わることも抑制できる。
【0040】
また、本実施形態においては、一枚の吸水テープ14により外被15側とスロットロッド2側の両方の吸水面が形成されているので、2つの吸水テープを設ける場合に比べて、吸水テープ14の巻き付け工程が容易であり、また、光ファイバケーブル10から光ファイバ心線3を取り出す際に吸水テープ14の除去が容易である。
【0041】
また、本実施形態において、光ファイバケーブル10の横断面における吸水テープ14と外被15との隙間Gの面積Sおよび隙間Gにおける吸水テープ14の長さLは、S/L≧0.40の関係を満たしてもよい。具体的には、
図2に示されるように、光ファイバケーブル10の横断面において、一つのスロット溝22を覆う吸水テープ14の長さL(隣り合うリブ23間の距離)および当該吸水テープ14と外被15との間に形成される隙間Gの面積Sは、S/L≧0.40の関係を満たしてもよい。これにより、良好な吸水効果を得ることができる。
【0042】
(実施例)
図1に示される本実施形態に係る光ファイバケーブル1において、スロットロッド2の外径、スロット溝22の数、一つのスロット溝22を覆う吸水テープ4,5の長さL、および当該吸水テープ4,5と金属テープ6との間に形成される隙間Gの面積Sが異なるサンプルNo.1からNo.6を用意した。
【0043】
各サンプルにおいては、スロットロッド2の周囲に第一の吸水テープ4のみを巻いた構成(吸水テープ1枚巻き)と第一の吸水テープ4と第二の吸水テープ5を巻いた構成(吸水テープ2枚巻き)についてそれぞれ防水試験を行った。なお、第一の吸水テープ4のみを巻いた構成としては、スロット溝22側の面4Aにのみ吸水面を有するように第一の吸水テープ4をスロットロッド2の周囲に巻き付けた。第一の吸水テープ4と第二の吸水テープ5を巻いた構成としては、スロット溝22側の面4Aに吸水面を有する第一の吸水テープ4をスロットロッド2の周囲に巻き付け、さらに当該第一の吸水テープ4の周囲に金属テープ6側の面5Aに吸水面を有する第二の吸水テープ5を巻き付けた。
【0044】
また、防水試験としては、光ファイバケーブル1の長さ3mに対し、水道水を水頭までの高さが1mの箇所にて注水し、24時間維持した後の光ファイバケーブル1内において透水した長さを確認した。そして、透水した長さが3m未満である場合に合格として防水特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
表1の評価結果によれば、第一の吸水テープ4のみを巻いた構成については、サンプルNo.1とNo.2は防水特性が合格であったが、サンプルNo.3からNo.6は防水特性が不合格であった。一方、第一の吸水テープ4および第二の吸水テープ5を巻いた構成については、全てのサンプルで防水特性が合格であった。これにより、金属テープ6側に吸水テープの吸水面がある場合には、防水特性が良好であることが分かった。特にサンプルNo.3からNo.6のS/Lが0.40以上となる構成では、金属テープ6側に吸水テープの吸水面を配置することにより防水効果が高まることが分かった。
【0047】
なお、第一の吸水テープ4のみを巻いた構成において、サンプルNo.2の防水特性が合格であるのに対して、同じ外径を有するスロットロッド2を有するサンプルNo.3の防水特性は不合格であった。これは、サンプルNo.3のようにスロット溝22の数が少ないと、第一の吸水テープ4と金属テープ6との間の隙間が大きくなり、隙間を流れる水の影響を受けると考えられる。
【0048】
また、第一の吸水テープ4のみを巻いた構成において、サンプルNo.1の防水特性が合格であるのに対して、同じ数のスロット溝22を有するサンプルNo.3からNo.6の防水特性は不合格であった。これは、サンプルNo.1のようにスロットロッド2の外径が小さくなると、第一の吸水テープ4と金属テープ6との間の隙間が小さくなり、隙間を流れる水の影響が小さいためと考えられる。
【0049】
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0050】
上述した実施形態においては、スロットロッド2は、6個のスロット溝22が形成されている。しかしながら、スロットロッド2のスロット溝22の数は、6個に限定されない。
【0051】
図1の光ファイバケーブル1においては、二つの吸水テープ4,5により金属テープ6側とスロットロッド2側の両方に吸水面が形成されている。しかしながら、例えば
図2に示されるように、一枚の吸水テープにより金属テープ6側とスロットロッド2側の両方に吸水面が形成されてもよい。あるいは、スロッドロッド2の周囲には、金属テープ6側に吸水面を有する吸水テープ5のみが形成されてもよい。
【0052】
図2の光ファイバケーブル10において、一枚の吸水テープ14により外被15側とスロットロッド2側の両方に吸水面が形成されている。しかしながら、例えば
図1に示されるように、片面に吸水面を有する二つの吸水テープにより外被15側とスロットロッド2側の両方に吸水面が形成されてもよい。あるいは、吸水テープ14には、外被15側のみに吸水面が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,10:光ファイバケーブル
2:スロットロッド
21:テンションメンバ
22:スロット溝
23:リブ
3:光ファイバ心線
31:集合体
4:第一の吸水テープ
4A:面
41:基材
42:吸水層
5:第二の吸水テープ
5A:面
51:基材
52:吸水層
6:金属テープ
7:外被
14:吸水テープ
14A:面
14B:面
141:基材
142:吸水層
143:吸水層
15:外被
G:隙間
L:長さ
S:面積