(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108470
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20240805BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20240805BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240805BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F11/80
F24F110:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012857
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】長吉 正良
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕香
【テーマコード(参考)】
3L260
4D052
【Fターム(参考)】
3L260AB13
3L260BA03
3L260BA05
3L260CA12
3L260EA07
3L260FB61
4D052AA08
4D052BA04
4D052BB02
4D052BB03
4D052BB06
4D052BB09
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB01
4D052GB02
4D052GB03
4D052GB07
4D052GB08
(57)【要約】
【課題】空調ユニット及び送風ユニットを連動させる除湿運転を好適に実施できる空気調和機を提供する。
【解決手段】除湿ユニット2及びサーキュレータ3を連動して運転させ、対象空間を除湿する除湿運転を実施するもので、除湿ユニット側制御部70は、除湿運転時に検知された対象空間の湿度に基づき、除湿強化モードと循環強化モードのいずれか一方を実施する。対象空間における湿度状態に応じて、適切な運転モードで除湿ユニット及びサーキュレータ3を連動して運転させることができるので、除湿運転を実施する対象空間の湿度に応じた最適な運転が実施でき、対象空間におけるユーザの快適性を高めることができ、製品性が向上する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ユニットと、
当該空調ユニットに対して連動して運転する送風ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記空調ユニットは、
前記空調ユニット及び前記送風ユニットを連動して運転させ、対象空間を除湿する除湿運転を制御する空調側制御部と、
前記除湿運転時における前記空調ユニット及び前記送風ユニットの連動した運転を制御するための制御信号を前記除湿運転中において前記送風ユニットに送信する送信部と、を有し、
前記送風ユニットは、
前記送信部から送信された前記制御信号を受信する受信部と、
受信した前記制御信号に基づいて前記送風ユニットを制御する送風側制御部と、を有し、
前記除湿運転は、除湿強化モードと循環強化モードと、を有し、
前記空調側制御部は、前記除湿運転時に検知された前記対象空間の湿度に基づき、前記除湿強化モードと前記循環強化モードのいずれか一方を実施することを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
前記空調側制御部は、前記除湿運転時に検知された前記対象空間の湿度が所定値より高ければ前記除湿強化モードを実施し、前記所定値以下であれば前記循環強化モードを実施することを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記空調ユニットは、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を順次配管で接続し冷媒が流れる冷凍サイクルを有し、
前記送風ユニットは、所定方向に沿う首振り軸周りに首振り可能に支持される送風部を有し、
前記空調側制御部は、
前記除湿強化モード時に前記圧縮機を駆動させ、前記送風ユニットに対し、前記循環強化モード時と比較し前記首振りの範囲を小さくする指示を含む前記制御信号を送信し、
前記循環強化モード時に前記圧縮機を停止させ、前記送風ユニットに対し、前記除湿強化モード時と比較し前記首振りの範囲を大きくする指示を含む前記制御信号を送信することを特徴とした請求項2記載の空気調和機。
【請求項4】
前記空調側制御部は、
前記除湿強化モード時に前記空調ユニットの送風量を前記循環強化モード時より大きくし、前記送風ユニットに対し、前記送風ユニットでの送風量を前記循環強化モード時より小さくする指示を含む前記制御信号を送信し、
前記循環強化モード時に前記空調ユニットの送風量を前記除湿強化モード時より小さくし、前記送風ユニットに対し、前記送風ユニットでの送風量を前記除湿強化モード時より大きくする指示を含む前記制御信号を送信することを特徴とした請求項3記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空調ユニットは、送風する空気を加熱し駆動状態の切り替えが可能な加熱ヒータを有し、
前記空調側制御部は、前記除湿運転時に検知された前記対象空間の温度が所定値以下であれば前記加熱ヒータを駆動させることを特徴とした請求項3又は4記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ユニットに対して連動して運転する送風ユニットを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空調ユニットと送風ユニットとを連動させ、対象空間を除湿する除湿運転が実施可能な空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、除湿運転を実施する対象空間の湿度変化に応じた最適な空調ユニットと送風ユニットとを連動させた運転ができないため、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、空調ユニットと、
当該空調ユニットに対して連動して運転する送風ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記空調ユニットは、
前記空調ユニット及び前記送風ユニットを連動して運転させ、対象空間を除湿する除湿運転を制御する空調側制御部と、
前記除湿運転時における前記空調ユニット及び前記送風ユニットの連動した運転を制御するための制御信号を前記除湿運転中において前記送風ユニットに送信する送信部と、を有し、
前記送風ユニットは、
前記送信部から送信された前記制御信号を受信する受信部と、
受信した前記制御信号に基づいて前記送風ユニットを制御する送風側制御部と、を有し、
前記除湿運転は、除湿強化モードと循環強化モードと、を有し、
前記空調側制御部は、前記除湿運転時に検知された前記対象空間の湿度に基づき、前記除湿強化モードと前記循環強化モードのいずれか一方を実施することを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記空調側制御部は、前記除湿運転時に検知された前記対象空間の湿度が所定値より高ければ前記除湿強化モードを実施し、前記所定値以下であれば前記循環強化モードを実施することを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記空調ユニットは、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を順次配管で接続し冷媒が流れる冷凍サイクルを有し、
前記送風ユニットは、所定方向に沿う首振り軸周りに首振り可能に支持される送風部を有し、
前記空調側制御部は、
前記除湿強化モード時に前記圧縮機を駆動させ、前記送風ユニットに対し、前記循環強化モード時と比較し前記首振りの範囲を小さくする指示を含む前記制御信号を送信し、
前記循環強化モード時に前記圧縮機を停止させ、前記送風ユニットに対し、前記除湿強化モード時と比較し前記首振りの範囲を大きくする指示を含む前記制御信号を送信することを特徴とした。
【0008】
また、請求項4では、前記空調側制御部は、
前記除湿強化モード時に前記空調ユニットの送風量を前記循環強化モード時より大きくし、前記送風ユニットに対し、前記送風ユニットでの送風量を前記循環強化モード時より小さくする指示を含む前記制御信号を送信し、
前記循環強化モード時に前記空調ユニットの送風量を前記除湿強化モード時より小さくし、前記送風ユニットに対し、前記送風ユニットでの送風量を前記除湿強化モード時より大きくする指示を含む前記制御信号を送信することを特徴とした。
【0009】
また、請求項5では、前記空調ユニットは、送風する空気を加熱し駆動状態の切り替えが可能な加熱ヒータを有し、
前記空調側制御部は、前記除湿運転時に検知された前記対象空間の温度が所定値以下であれば前記加熱ヒータを駆動させることを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、除湿運転時に検知された対象空間の湿度に基づき、除湿強化モードと循環強化モードのいずれか一方を実施するので、除湿運転を実施する対象空間の湿度変化に応じた最適な空調ユニットと送風ユニットとを連動させた運転が実施でき、対象空間におけるユーザの快適性が高まり製品性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態における除湿機の一体時における正面から見た外観斜視図。
【
図2】本実施形態における除湿機の一体時における背面から見た外観斜視図。
【
図3】サーキュレータ付除湿機の一体時における縦断面図。
【
図4】サーキュレータ付除湿機の一体時における分解斜視図。
【
図5】サーキュレータ付除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
【
図6】
図5の機能ブロックのうち、各電源部を特に説明するための概略的な機能ブロック図。
【
図7】分離時におけるサーキュレータの正面から見た外観斜視図。
【
図8】分離時におけるサーキュレータの背面から見た外観斜視図。
【
図9】分離時における除湿機の使用状態の一例を示す外観斜視図。
【
図10】除湿運転時における動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿し、送風するサーキュレータ付除湿機に適用して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における正面から見た外観斜視図である。
図2は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における背面から見た外観斜視図である。
図3は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における縦断面図である。
図4は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における分解斜視図である。
図5は、サーキュレータ付除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
図6は、
図5の機能ブロックのうち、各電源部83、183を特に説明するための概略的な機能ブロック図である。
図7は、分離時におけるサーキュレータ3の正面から見た外観斜視図である。
図8は、分離時におけるサーキュレータ3の背面から見た外観斜視図である。
図9は、分離時における除湿機1の使用状態の一例を示す外観斜視図である。
【0014】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。除湿ユニット側操作部74が設けられている前方を向く面を正面、後方を向く正面と反対の面を背面という場合がある。また、前後左右方向に沿う方向を、水平方向とする。サーキュレータ3の前後上下左右の定義は、サーキュレータ3が除湿ユニット2へ取り付けられた場合(以下単に「一体時」という。)と、除湿ユニット2から分離された場合(以下単に「分離時」という。)とで、異なる場合があり、一体時においては
図1から4の定義に従い、分離時においては
図7及び8に従う場合がある。
【0015】
サーキュレータ付除湿機1(以下単に「除湿機1」という。)は、除湿(調和)した空気を吹き出す除湿ユニット2(空調ユニット)と、除湿ユニット2の上方に配置され、周囲の空気を吸い込んで送風するサーキュレータ3(送風ユニット)と、を有する。サーキュレータ3は、
図4に示すように、除湿ユニット2(筐体10)に対して着脱可能であり、除湿ユニット2と連動又は独立して送風可能である。また、サーキュレータ3は、除湿ユニット2に対して一体又は分離して運転可能である。
【0016】
除湿ユニット2は、除湿ユニット2の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0017】
前枠11及び後枠12は、筐体10の前後方向のほぼ中央位置において上下方向に延びる接続線13を介して組み合わされ、筐体10の上面21及び底面22を繋ぐ、四面を有するほぼ角柱状の側面23をなす。前枠11及び後枠12は、それぞれ上端から水平方向内側に折れ曲がり形成される上面枠部24を有する。また、右側面23c、左側面23dとしての前枠11及び後枠12は、取っ手43が配置されるための取っ手切欠25を有する。取っ手切欠25は、右側面23c、左側面23dの上端かつ前後方向ほぼ中央位置に形成される。前枠11の前方を向く面は、側面23のうちの正面23aとなる。
【0018】
図2及び3に示すように、後枠12(背面23b)は、吸込口31と、タンク挿入口32と、電源コード口34と、を有する。吸込口31は、複数のスリット36を有し、外表面にフィルタ37及びフィルタケース38を有する。フィルタ37は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース38は、フィルタ37を吸込口31に固定する。タンク挿入口32は、吸込口31の下方に配置され、ここからドレンタンク69が挿入され、また取り出される。電源コード口34は、後枠12の右下方に配置され、除湿ユニット側制御部70に接続された電源コード4が電源コード口34から筐体10外部に引き回される。
【0019】
上面板14は、上方に面する基部14aと、基部14aの周縁から下方に延びる周壁部14bと、を有する。上面板14は、上面枠部24の内縁が形成する開口24a(
図3)を覆うように配置される。基部14aは、上述した上面枠部24と共に、筐体10の上方に面する面である上面21をなす。上面21においては、周壁部14bが上面枠部24に対する段差を形成することにより、基部14aが上面枠部24に対して上方に凸となる上面側凸部90(
図4)として機能する。
【0020】
また、上面板14は、吹出口41と、導風壁42と、取っ手43と、左右吸込口凹部45と、を有する。
【0021】
図3及び4に示すように、吹出口41は、基部14aのほぼ中央位置に矩形状に形成される。吹出口41には、乾燥空気の吹出方向を制御可能なルーバ48と、ルーバ48を駆動するルーバモータ49(
図5)と、が配置される。
【0022】
導風壁42は、上方視における吹出口41の外側で吹出口41を囲むようにして、基部14aに対して上方に所定量立ち上がる壁である。導風壁42は、吹出口41から吹き出される空気を上方のサーキュレータ3方向に導く。導風壁42は、筐体10の内部と接続された、吹出口41から吹き出される空気の通り道となる空間を形成する。
【0023】
取っ手43は、上面板14の左方及び右方の、前枠11及び後枠12の取っ手切欠25に対応する位置であって、右側面23c、左側面23dの上方に形成される。取っ手43は、右側面23c、左側面23dから左右方向内側に凹んだ取っ手凹部51及び指掛部52を有し、ユーザが除湿機1を運搬する際に利用される。
【0024】
左右吸込口凹部45は、後述する左右吸込口121を形成するための凹部である。左右吸込口凹部45は、指掛部52に関して取っ手凹部51(取っ手43)と左右方向において重なり合う位置に形成される。
【0025】
図3に示すように、ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12が下方に形成する開口22aを覆うように配置される。ベース15は、除湿機1の土台となり、床などの設置面に直接、又は脚部などを有する場合には間隙を介して面して設置される底面22となる。
【0026】
除湿ユニット2は、筐体10に収容される主な内部部品として、
図3に示すように、ファンケース61と、シロッコファン62と、送風モータ63と、圧縮機65と、熱交換器66と、加熱ヒータ67と、ドレンパン68と、ドレンタンク69と、を有する。
【0027】
ファンケース61は、ベース15上に配置され、主にシロッコファン62、送風モータ63、及びドレンタンク69を支持したり位置決めしたりする。
【0028】
シロッコファン62は、送風モータ63の回転により回転し、吸込口31から空気を吸い込み、吹出口41から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン62及び送風モータ63は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース61に取り付けられている。
【0029】
圧縮機65は、ベース15上に固定されており、配管65a及び減圧装置を介して熱交換器66に接続される。
【0030】
熱交換器66は、吸込口31から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器66は、吸込口31に近い位置に配置される蒸発器66aと、蒸発器66aよりも前方に配置される凝縮器66bと、を有する。蒸発器66a及び凝縮器66bは、U字状の冷媒管66cにフィン66dが取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管66cは、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部と、上下方向にU字に曲り2本の直線部をつなげる曲げ部と、を有し、この直線部と曲げ部とが冷媒管66cの長さ方向に渡って連続して現われる。
【0031】
圧縮機65、配管65a、減圧装置及び熱交換器66は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機65、凝縮器66b、減圧装置、蒸発器66aを有する。冷媒は、蒸発器66aを流れる際に、蒸発器66aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器66bを流れる際に、凝縮器66bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口31から吸い込まれた空気は、フィルタ37で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器66aで冷却、除湿され、次いで凝縮器66bで加熱されて、低湿度の空気となる。
【0032】
加熱ヒータ67は、凝縮器66bを通過した低湿度の空気を、吹出口41の前段で加熱する。
【0033】
ドレンパン68は、排水口を有し、蒸発器66aで発生し落下するドレン水を受け、この排水口から排出する。ドレンパン68は、熱交換器66を下方で支持し、固定する。
【0034】
ドレンタンク69は、ドレンパン68の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク69は、タンク挿入口32から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク69は、ファンケース61により形成されたタンク室に配置される。
【0035】
ドレンタンク69は、タンク蓋69aと、浮き収容部69bと、を有する。タンク蓋69aは、ドレンパン68の排水口からのドレン水をドレンタンク69内に落下させる。浮き収容部69bは、ドレンタンク69内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮きを収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、除湿ユニット側制御部70などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)などの水位センサ69cにより検出され、ドレンタンク69の満水をユーザに通知する。
【0036】
除湿ユニット2は、
図5に示すように、さらに除湿ユニット側制御部70と、温度センサ71と、湿度センサ72と、報知部73と、除湿ユニット側操作部74と、表示部75と、を有する。
【0037】
除湿ユニット側制御部70(空調側制御部)は、ファンケース61の前方に、所要のケースに支持されて配置される制御基板である。
【0038】
除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側操作部74からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ49、送風モータ63や圧縮機65、加熱ヒータ67、表示部75などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。除湿ユニット側制御部70は、一体時及び分離時において、サーキュレータ3の首振りモータ138などの各部も赤外線信号の送信により制御する。これにより、本実施形態においては、除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット2及びサーキュレータ3の連動での運転を制御する。
【0039】
除湿ユニット側制御部70は、記憶部77及びタイマ78を有する。記憶部77は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ78は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。
【0040】
温度センサ71及び湿度センサ72は、除湿機1本体の所定位置に設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を計測する。除湿ユニット側制御部70は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部73は、除湿ユニット側制御部70の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音などを出力する。
【0041】
除湿ユニット側操作部74及び表示部75は、筐体10の正面23a(側面23、前枠11)側における上方であって、左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。除湿ユニット側操作部74及び表示部75は、除湿ユニット側操作部74、表示部75及び除湿ユニット側通信部82用の、正面23aにほぼ平行に配置される制御基板70a上に配置される。除湿ユニット側操作部74は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチ、サーキュレータ3の動作を設定するためのスイッチ、などを実現する複数の入力ボタンを有する。表示部75は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0042】
除湿ユニット2は、さらに、サーキュレータ検出センサ81と、除湿ユニット側通信部82と、除湿ユニット側電源部83と、電源切替部84と、を有する。
【0043】
サーキュレータ検出センサ81は、除湿ユニット2(除湿ユニット2及びサーキュレータ3の一方)に配置され、除湿ユニット2及びサーキュレータ3が一体であるか又は分離しているかを示す着脱状態を検出する。サーキュレータ検出センサ81は、例えばサーキュレータ3の所定位置に配置された磁石の磁界を検出することによりサーキュレータ3の近接の有無を検出するリードスイッチ(近接センサ)である。
【0044】
サーキュレータ検出センサ81は、磁界の検出の有無を除湿ユニット側制御部70に出力する。除湿ユニット側制御部70は、取得した検出結果に基づいて、磁界の検出がある場合にはサーキュレータ3は一体となっており、検出がない場合には分離しているとして着脱状態を取得する。
【0045】
除湿ユニット側通信部82は、除湿ユニット側制御部70の制御に基づいてサーキュレータ3のサーキュレータ側通信部182に所要の赤外線信号(無線信号)を送信する赤外線アンテナである。除湿ユニット側通信部82は、
図1に示すように、除湿ユニット側操作部74が形成されるパネル76内に設けられた赤外線を透過させる除湿ユニット側透過窓86から赤外線を送信する。
【0046】
除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側通信部82を介して、所要の情報をサーキュレータ3に送信する。具体的には、除湿ユニット側制御部70は、サーキュレータ検出センサ81の検出結果から取得した着脱状態に関する情報や、サーキュレータ3の運転を除湿ユニット2の運転に連動させるために必要な運転制御に関する情報を除湿ユニット側通信部82に送信させる。このため、本実施形態においては、除湿ユニット側通信部82は、除湿ユニット2及びサーキュレータ3を連動して運転させるための制御信号をサーキュレータ3に送信する送信部として機能する。
【0047】
図6に示すように、除湿ユニット側電源部83は、商用電源と接続された電源コード4から供給される交流電流を直流電源に変換し、除湿ユニット2の各部に供給する。
【0048】
電源切替部84は、商用電源から供給される交流電流を、電源出力端子87に供給するか否かを切り替える。電源出力端子87は、
図4に示すように、サーキュレータ3の取付箇所となる上面21から上方に露出している。除湿ユニット側制御部70は、一体時においては、電源切替部84を閉じて電源出力端子87からサーキュレータ3の電源入力端子187に電源を供給する。一方、除湿ユニット側制御部70は、分離時においては、電源切替部84を開き、電源出力端子87に電源を供給しない。
【0049】
サーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、また分離時においては、周囲の空気を吸い込み、これらの空気を送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。
【0050】
サーキュレータ3は、台座部110と、送風部130と、を有する。送風部130は、台座部110に対して一体時における左右方向に沿う軸周りに首振り可能に支持されている。
【0051】
台座部110は、
図1、7及び8などに示すように、台座部110内側に送風部130を収容可能な空間(一体時における上下方向に貫通する貫通孔)を形成する筒状のケーシングである。台座部110は、台座部底面111と、台座部側面112と、台座部上面113と、を有する。台座部側面112は、外側面及び内側面からなり、台座部底面111、台座部側面112及び台座部上面113で閉じて形成される内部空間115は、
図3に示すように一部又は全てが中空である。
【0052】
台座部底面111は、上面枠部24が形成する上面21とほぼ同一の形状を有する枠状面である。台座部底面111は、一体時においては、上面枠部24に設置され上面枠部24に接触する面となる。
【0053】
また、台座部底面111は、
図3及び8に示すように、台座部底面111の内周縁111aより内側に、サーキュレータ側凹部190を有する。サーキュレータ側凹部190は、上面板14の周壁部14bの上下方向長さに対応し、かつ上面側凸部90の形状に対応して、上方に凹んだ凹空間である。サーキュレータ側凹部190は、上面側凸部90の形状に対応しているため、一体時においては上面側凸部90と掛かり合う。この結果、台座部110は、上面側凸部90により設置面に平行な水平方向の移動、すなわち上面21上での移動が規制される。また、サーキュレータ3は単純な凹凸の掛かり合いにより筐体10に支持されているため、上方に持ち上げることにより簡単に取り外される。
【0054】
台座部側面112は、外周面の形状が筐体10の側面23の外周面の形状とほぼ同一である。すなわち、サーキュレータ3の台座部側面112は、一体時においては、除湿ユニット2の側面23と面一になり、筐体10と一体であるような外観を有する。台座部側面112は、左右吸込口121と、後吸込口122と、を有する。
【0055】
左右吸込口121は、台座部左右側面112cの、前後方向ほぼ中央位置に配置され、台座部左右側面112cの台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。左右吸込口121は、
図2などに示すように、筐体10の側面23の取っ手43に対して、指掛部52に関して、又は上面枠部24と台座部底面111との境界線5に関してほぼ上下対称となる形状を有する。上述したように、上面板14には左右吸込口凹部45が形成されており、この左右吸込口凹部45に形成された空間と、左右吸込口121とが作用して、左右吸込口121を介して除湿機1の周囲と台座部110(台座部側面112)の内側とを接続する。
【0056】
台座部側面112は、
図1に示すように、一体時において正面23aと同方向である前方に面し、台座部110の正面となる台座部正面112aを有する。また、一体時において後方に面し、台座部110の背面となる台座部背面112bを有する。
【0057】
後吸込口122は、台座部背面112bの、左右方向におけるほぼ中央位置に配置され、台座部背面112bの台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。後吸込口122は、筐体10の上面21の形状と作用して、後吸込口122を介して周囲と台座部110の内側とを接続する。
【0058】
台座部上面113は、前後方向において、後方からほぼ中央位置まで水平方向に平行な面113aと、ほぼ中央位置から前方にかけて下方に曲線的に傾斜する面113bと、からなる。台座部上面113は、このような構成から、一体時において台座部底面111の上方に位置し、上方(ほぼ上方)に面する面となる。台座部上面113は、後方に、曲線的な凹部113cを有する。凹部113cは、一体時におけるサーキュレータ3からの送風を台座部110が妨げることなく、送風路を形成するために形成される。
【0059】
送風部130は、カバー131と、ファンモータ135と、ファン136と、を有する。
【0060】
カバー131は、ユーザの指などをファン136から保護するための骨状の部材である。カバー131は、ファン136の吸込側(上流側)を覆い吸込面となる、例えばほぼ半球状の吸込側カバー131aと、ファン136の吹出側(下流側)を覆い吹出面となる平面状の吹出側カバー131bと、を有する。吸込側カバー131a及び吹出側カバー131bは、組み合わされて一体となる。一体時において吹出側カバー131bがほぼ水平方向に沿う送風部130の姿勢であって、ファン136の回転軸が上下方向に沿う姿勢である
図3の姿勢(以下単に「停止姿勢という」。)において、吸込側カバー131aは、下方に面する中心位置に上方に凹となり形成されるモータ支持部131cを有する。
【0061】
ファンモータ135及びファン136は、停止姿勢において、ファンモータ135(ファン136)の回転軸が上下方向に沿い、カバー131をなす球体の中心を通るようにカバー131の内部に収容される。ファンモータ135は、回転軸周りにファン136を回転させる。ファン136は、吸込側カバー131aから吸い込まれた吹出口41から吹き出される空気や除湿機1の外側から吸込側カバー131aに吸い込まれた空気を吹出側カバー131bから送風する。
【0062】
送風部130は、台座部110に対して、ファン136からの吹出方向が吹出口41から吹き出された空気の吹出方向であるほぼ上方にほぼ一致する、停止姿勢で支持される。また、送風部130は、首振りモータ138により一体時の停止姿勢から左右方向(所定方向)に沿う首振り軸周りに所定範囲内の角度で首振り可能なように、台座部110に支持されている。首振りモータ138は、台座部110の内部空間115に配置される。首振りモータ138は、首振り軸をサーキュレータ3の前後方向のほぼ中央位置に配置する。また首振り軸は、半球状の吸込側カバー131aをなす球体の中心を通る。また、首振り軸は、ファン136の回転軸に直交する。
【0063】
サーキュレータ3は、さらに、サーキュレータ側制御部170と、サーキュレータ側操作部174と、サーキュレータ側通信部182と、サーキュレータ側電源部183と、を有する。
【0064】
サーキュレータ側制御部170は、台座部110の内部空間115に配置される制御基板(
図3)である。サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70又はサーキュレータ側操作部174からの指示に基づいてファンモータ135及び首振りモータ138を電気的に制御する。本実施形態においては、サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70(除湿ユニット側通信部82)から受信した制御信号に基づいてサーキュレータ3を制御する送風側制御部として機能する。
【0065】
サーキュレータ側操作部174は、台座部正面112aの左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。サーキュレータ側操作部174は、除湿ユニット側操作部74同様に、台座部正面112aにほぼ平行に配置される制御基板170a上に配置される。制御基板170aは、サーキュレータ側操作部174及びサーキュレータ側通信部182用の制御基板である。サーキュレータ側操作部174の制御基板170aは、除湿ユニット側操作部74の制御基板70aに対して上方視においてほぼ重なり合う位置又は可能な限り近い位置に配置される。サーキュレータ側操作部174は、例えば、運転スイッチ及び首振りスイッチなどを実現する複数の入力ボタンを有する。特に、本実施形態においては、サーキュレータ側操作部174は、サーキュレータ側制御部170にサーキュレータ3の運転の停止又は開始のユーザ指示を入力する送風側操作部として機能する。
【0066】
サーキュレータ側制御部170は、記憶部177及びタイマ178を有する。記憶部177は、各部を制御するために必要なプログラムや情報などを記憶する。タイマ78は、サーキュレータ3のタイマ運転などのための計時を行う。
【0067】
サーキュレータ側通信部182は、サーキュレータ側制御部170の制御に基づいて除湿ユニット側通信部82から送信される所要の赤外線信号(無線信号)を受信する赤外線アンテナである。本実施形態においては、サーキュレータ側通信部182は、送信部としての除湿ユニット側通信部82から送信された制御信号を受信する受信部として機能する。サーキュレータ側通信部182は、例えば台座部110の台座部上面113に設けられた赤外線を透過させるサーキュレータ側透過窓186から赤外線を受信する。サーキュレータ側透過窓186及び除湿ユニット側透過窓86は、例えば台座部上面113及び前枠11のサーキュレータ側透過窓186及び除湿ユニット側透過窓86が形成される領域を薄肉にする又は赤外線の透過率の高い材料で形成することなどにより実現される。
【0068】
図6に示すように、サーキュレータ側電源部183は、電源入力端子187から供給される交流電流を直流電流に変換し、サーキュレータ3の各部に供給する。電源入力端子187は、
図8に示すように、一体時において除湿ユニット2の上面21から露出した電源出力端子87に直接接続可能な位置に配置される。
【0069】
サーキュレータ側電源部183は、一体時においては、除湿ユニット2の電源出力端子87と直接接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。また、分離時においては、商用電源に接続された電源コード8(
図9)と接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。電源入力端子187への電源出力端子87及び電源コード8の端子の接続は、例えば磁力を利用して引き合うことによりユーザの端子接続動作を容易にすることができる。
【0070】
このようなサーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、これらの空気を上方に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸周りに交互に前後方向に吹出面を向けるように首振りしながら運転する。
【0071】
また、サーキュレータ3は、分離時においては、除湿ユニット2に対して所定距離を隔てて配置される(
図9)。その際、サーキュレータ3は、台座部背面112bが床などの設置面に面し(設置され)、台座部正面112aが上方に面し、また台座部上面113が除湿ユニット2に面するように、一体時から90度起立させて配置され使用される。このように配置されたサーキュレータ3は、周囲の空気を背面となる台座部底面111側から吸い込み、これらの空気を正面となる台座部上面113側に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸周りに上下方向に首振りしながら運転する。
【0072】
このような除湿機1は、サーキュレータ3を一体にして運転することにより、除湿ユニット2で除湿されたほとんどの空気をサーキュレータ3が吸い込み、除湿空気を好適に送風することができることから、除湿効率を向上させることができる。また、除湿機1は、サーキュレータ3を分離して運転することにより、例えば以下のような用途において好適に使用される。
【0073】
室内に干された洗濯物を乾燥させるために除湿機1が使用される場合、除湿機1を洗濯物の直下において使用することにより洗濯物を効率的に乾燥させることができる。その際、除湿機1と洗濯物が重なり合わないように除湿機1を配置することが好ましい。しかしながら、物干しの高さの都合や洗濯物の種類によっては、除湿機1を洗濯物の直下に配置することが困難となる場合があり、洗濯物に重なり合わないように洗濯物から離れた位置に除湿機1を配置しなければならない。これに対し本実施形態における除湿機1は、除湿機1の上方に配置されたサーキュレータ3を取り外し、設置面に別途配置することができる。このため、除湿機1が洗濯物と重なり合う場合には、サーキュレータ3を分離し、除湿機1の高さを低くしての使用が可能であり、状況に応じて使い勝手のよい除湿機1を実現できる。
【0074】
ここで、本実施形態における除湿機1は、上述したように、除湿ユニット2及びサーキュレータ3が物理的に分離した分離時においても、除湿ユニット側制御部70が除湿ユニット側通信部82及びサーキュレータ側通信部182を介してサーキュレータ側制御部170に制御信号を送信することにより、周囲の環境に適した運転を行うことができる。
【0075】
具体的には、除湿ユニット側制御部70が取得した、温度センサ71や湿度センサ72から得られる周囲の温度や湿度に基づいて、除湿ユニット2からの除湿空気の送風量(送風モータ63の回転数)や温度、サーキュレータ3の送風量、除湿機1の運転時間などを決定し、これに適した制御を除湿ユニット2及びサーキュレータ3を連動させて実行することができる。
【0076】
これら温度や湿度の取得、周囲の環境に応じた好適な制御内容の決定を除湿ユニット側制御部70及びサーキュレータ側制御部170が個別に行うこともできるが、除湿ユニット側制御部70及びサーキュレータ側制御部170の双方に高性能な制御基板を用いる必要が生じたり、相互に連携を図るための処理の複雑化を招いたりするおそれもある。そこで、本実施形態における除湿機1は、除湿ユニット側制御部70が除湿機1を全体的に制御すべくサーキュレータ3の制御も除湿ユニット側制御部70が行うことにより、上記課題に対応した。
【0077】
次に、本発明における対象空間の除湿を実施する除湿運転について説明する。
【0078】
対象空間の湿度を調整するとき、当該対象空間に除湿ユニット2及びサーキュレータ3を分離状態で設置し、除湿ユニット側操作部74にある運転モード選択スイッチをユーザが操作することで除湿運転を設定する。当該除湿運転が設定された場合、対象空間の湿度、及び温度を確認し、最適な運転モードの選択、及び加熱ヒータ67の駆動について設定する。除湿運転は、除湿強化モードと循環強化モードとを有しており、対象空間の湿度に応じてそれぞれのモードが実施される。
【0079】
前記除湿強化モードは、対象空間の湿度が所定値より高い場合に実施される。
除湿強化モード時、除湿ユニット2は除湿ユニット側制御部70により、圧縮機65を駆動させ、シロッコファン62の送風量が強風となるよう送風モータ63で駆動する。
また、除湿強化モード時、サーキュレータ3は除湿ユニット側制御部70から送信される制御信号を受信し、サーキュレータ側制御部170により、送風部130がサーキュレータ3上方の狭い範囲に送風する上スイングで首振りするよう首振りモータ138を駆動させ、ファン136の送風量が弱風となるようファンモータ135で駆動する。
【0080】
以上のように、除湿強化モード時に除湿ユニット2とサーキュレータ3とが連動して運転することで、除湿ユニット2により対象空間の湿度を早期に低下させ、サーキュレータ3により対象空間の床面付近に溜まった湿気を天井面の狭い範囲へ押し上げることができるため、対象空間内に存在するユーザ付近の湿度を早期に低下させ対象空間におけるユーザの快適性を高めることができる。
【0081】
また、除湿強化モード時に検知された対象空間の温度が所定値以下であれば加熱ヒータ67を駆動する。吸込口31から吸い込まれる空気の温度が低下すると蒸発器66aでの除湿能力が低下するため、対象空間における除湿効率が低下する。加熱ヒータ67を駆動させることで吸込口31から吸い込まれる空気の温度が上昇するため、対象空間における除湿効率の低下を抑えることができ、ユーザの快適性を高めることができる。
【0082】
前記循環強化モードは、対象空間の湿度が所定値以下の場合に実施される。
循環強化モード時、除湿ユニット2は除湿ユニット側制御部70により、圧縮機65を停止させ、シロッコファン62の送風量が強風と比較し小さい弱風となるよう送風モータ63で駆動する。
また、循環強化モード時、サーキュレータ3は除湿ユニット側制御部70から送信される制御信号を受信し、サーキュレータ側制御部170により、送風部130が前記上スイングよりも広範囲であるワイドスイングで首振りするよう首振りモータ138を駆動させ、ファン136の送風量が弱風と比較し大きい強風となるようファンモータ135で駆動する。
【0083】
以上のように、循環強化モード時に除湿ユニット2とサーキュレータ3とを連動して運転することで、除湿ユニット2により過剰に除湿されることで対象空間の湿度が極端に低下することを阻止し、サーキュレータ3により対象空間の全体に空気を循環させ、対象空間内を均一な湿度にすることができるので、対象空間におけるユーザの快適性を高めることができる。
【0084】
また、循環強化モード時に検知された対象空間の温度が所定値以下であれば加熱ヒータ67を駆動する。一般に、温度が低下すると空気中に含有可能な水分量が減るため、対象空間の温度低下によりユーザは乾燥したと感じ、快適性が低下する。加熱ヒータ67を駆動させることで対象空間の温度低下を防ぐことができるため、対象空間における空気の乾燥感によるユーザの快適性低下を阻止することができる。
【0085】
次に、本発明における除湿運転の具体的な動作について
図10のフローチャートに基づき説明する。
【0086】
除湿ユニット側制御部70は、サーキュレータ検出センサ81の検出結果から除湿ユニット2とサーキュレータ3とが分離状態であり、除湿ユニット側操作部74にある運転モード選択スイッチで除湿運転が設定されたと判断したら、温度センサ71、及び湿度センサ72で対象空間の温度h、及び湿度Hを確認する(ステップS101)。
【0087】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS101の処理が完了したと判断したら、湿度センサ72で検知された対象空間の湿度Hが所定値である60%RHより高いか判断する(ステップS102)。除湿ユニット側制御部70は、検知された湿度が60%RHより高いと判断したら、除湿強化モード時の動作となるよう除湿ユニット2の各駆動部を動作させる共に、除湿ユニット2からサーキュレータ3へ除湿強化モード実施の情報を制御信号で送信し、サーキュレータ側制御部170は、制御信号を受信したら除湿強化モード時の動作となるようサーキュレータ3の各駆動部を動作させる(ステップS103)。
【0088】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS102で湿度センサ72で検知された対象空間の湿度Hが60%RH以下だと判断したら、循環強化モード時の動作となるよう除湿ユニット2の各駆動部を動作させる共に、除湿ユニット2からサーキュレータ3へ循環強化モード実施の情報を制御信号で送信し、サーキュレータ側制御部170は、制御信号を受信したら循環強化モード時の動作となるようサーキュレータ3の各駆動部を動作させる(ステップS104)。
【0089】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS103、又は前記ステップS104の処理が完了したら、温度センサ71で検知された対象空間の温度hが所定値である10℃以下か判断する(ステップS105)。除湿ユニット側制御部70は、検知された温度hが10℃以下だと判断したら加熱ヒータ67をON状態にして駆動させ(ステップS106)、検知された温度hが10℃より高いと判断したら加熱ヒータ67をOFF状態にして駆動停止する(ステップS107)。
【0090】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS106、又は前記ステップS107の処理が完了したら、除湿ユニット側操作部74にあるスイッチ操作等で運転停止指示が出されたか判断する(ステップS108)。除湿ユニット側制御部70は、運転停止指示が出されたと判断したら除湿ユニット2内での駆動部の動作を停止させると共に、除湿ユニット2からサーキュレータ3へ運転停止情報を制御信号で送信し、サーキュレータ側制御部170は、制御信号を受信したら各駆動部の駆動を停止させることで、除湿運転が終了する。
【0091】
除湿ユニット側制御部70は、前記ステップS108で運転停止指示が出されていないと判断したら、前記ステップS101の処理を繰り返す。
【0092】
なお、湿度センサ72で検知された対象空間の湿度に基づく除湿運転のモード設定情報、及び温度センサ71で検知された対象空間の温度に基づく加熱ヒータ67の駆動有無情報は、制御信号として除湿ユニット側通信部82からサーキュレータ側通信部182へ定期的に送信される。
除湿運転の開始後、除湿ユニット2とサーキュレータ3との間に人やもの等があることで、除湿ユニット側通信部82から送信された制御信号がサーキュレータ側通信部182で受信できない場合がある。サーキュレータ側通信部182が制御信号を受信できなかった場合、除湿ユニット2から送信した制御信号に沿った動作内容ができず、対象空間におけるユーザの快適性が損なわれる。
制御信号が定期的に送信されることで、除湿ユニット側通信部82から送信された制御信号をいずれかのタイミングでサーキュレータ側通信部182が受信する可能性が高まるため、除湿運転時に対象空間の湿度に基づく最適な運転モードで除湿ユニット2及びサーキュレータ3を連動して運転させることができ、対象空間におけるユーザの快適性が損なわれることを未然に阻止でき、製品性が向上する。
【0093】
次に、本発明の効果を説明する。
【0094】
除湿ユニット2及びサーキュレータ3を連動して運転させ、対象空間を除湿する除湿運転を実施するもので、除湿ユニット側制御部70は、除湿運転時に検知された対象空間の湿度に基づき、除湿強化モードと循環強化モードのいずれか一方を実施する。対象空間における湿度状態に応じて、適切な運転モードで除湿ユニット2及びサーキュレータ3を連動して運転させることができるので、除湿運転を実施する対象空間の湿度に応じた最適な運転が実施され、対象空間におけるユーザの快適性を高めることができ、製品性が向上する。
【0095】
また、除湿ユニット側制御部70は、除湿運転時に検知された対象空間の湿度が所定値より高ければ除湿強化モードを実施し、所定値以下であれば循環強化モードを実施する。対象空間内の湿度が高い場合は積極的に除湿し対象空間内の湿度を低下させ、対象空間内の湿度が低い場合は積極的に空気を循環させ均一な湿度にすることができるため、対象空間におけるユーザの快適性を高めることができ、製品性が向上する。
【0096】
また、除湿ユニット側制御部70は、除湿強化モード時に圧縮機65を駆動させ、サーキュレータ3に対し、循環強化モード時と比較し首振りの範囲を小さくする指示を含む制御信号を送信する。対象空間の除湿を積極的に行いつつ、対象空間の底面付近に溜まった湿気を天井面の狭い範囲に押し上げることができ、対象空間内に存在するユーザ周辺における湿度を低下させ快適性を高めることができる。
また、循環強化モード時に圧縮機65を停止させ、サーキュレータ3に対し、除湿強化モード時と比較し首振りの範囲を大きくする指示を含む制御信号を送信する。対象空間の過剰除湿を阻止すると共に対象空間全体に空気が循環するよう送風し、対象空間内の湿度を均一にすることができるため、ユーザの快適性が高めることができ、製品性が向上する。
【0097】
また、除湿ユニット側制御部70は、除湿強化モード時に除湿ユニット2の送風量を循環強化モード時より大きくし、サーキュレータ3に対し、サーキュレータ3での送風量を循環強化モード時より小さくする指示を含む制御信号を送信する。対象空間の除湿を積極的に行いつつ、対象空間の底面付近にある湿気を対象空間の全体に分散させることなく天井面の一部にのみ押し上げることができるため、除湿効率が向上すると共に対象空間内に存在するユーザの快適性を高めることができる。
また、循環強化モード時に除湿ユニット2の送風量を除湿強化モード時より小さくし、サーキュレータ3に対し、サーキュレータ3での送風量を除湿強化モード時より大きくする指示を含む制御信号を送信する。対象空間全体に空気を循環させ湿度を均一にすることができるため、対象空間に存在するユーザの快適性を高めることができ、製品性が向上する。
【0098】
また、除湿ユニット側制御部70は、除湿運転時に検知された対象空間の温度が所定値以下であれば加熱ヒータ67を駆動させる。除湿強化モード時であれば、低温時に加熱ヒータ67を駆動させることで除湿効率を向上させることができ、循環強化モード時であれば、低温時に加熱ヒータ67を駆動させることでユーザが体感する対象空間内の湿度変化を抑えることができるため、対象空間に存在するユーザの快適性を高めることができ、製品性が向上する。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0100】
例えば、本発明に係る空気調和機は、空調ユニットが除湿機1である例を用いて説明したが、除湿機1以外にも空気の湿度、温度、清浄度などを調整可能な加湿機、乾燥機、冷暖房装置、空気清浄機などの、他の空調機器にも適用することができる。
【0101】
除湿ユニット2が着脱状態を検出するためのサーキュレータ検出センサ81を有する例を用いて説明した。しかしながら、除湿ユニット2及びサーキュレータ3がそれぞれ着脱状態を検出してもよいし、サーキュレータ3が検出した着脱状態を除湿ユニット2に共有してもよい。例えば、サーキュレータ3が一体時の姿勢(台座部底面111が下方を向く姿勢)であるか、分離時の姿勢であるか(台座部背面112bが下方を向く(設置面に設置される)姿勢)であるかを検出するための姿勢センサを有することにより、着脱状態を検出してもよい。
【0102】
また、本実施形態では除湿強化モード時と循環強化モード時とで、除湿ユニット2とサーキュレータ3との送風量を変化させているが、送風量の変化は必須でない。除湿強化モード時と循環強化モード時とで送風量が同一だったとしても、除湿強化モード時と循環強化モード時とで各駆動部の動作について変化させれば、対象空間の湿度を好適にしてユーザの快適性を高めることができることから、本発明の作用効果が発揮できる。
【0103】
また、本実施形態では、除湿運転時に温度センサ71で検知された対象空間の温度が所定値以下であれば加熱ヒータ67を駆動させているが、加熱ヒータ67の駆動は必須ではない。除湿運転時に加熱ヒータ67を駆動させなくとも、除湿強化モード時と循環強化モード時とで各駆動部の動作について変化させれば、対象空間の湿度を好適にしてユーザの快適性を高めることができることから、本発明の作用効果が発揮できる。
【0104】
また、本実施形態では、除湿ユニット2からサーキュレータ3へ制御信号を送信しているが、これに限られない。例えば、サーキュレータ3が対象空間の湿度を検知可能とすれば、サーキュレータ3から除湿ユニット2へ制御信号を送信する構成であってもよく、制御信号の送受信については、本実施形態の内容に限定されない。
【0105】
また、本実施形態では、除湿運転を除湿ユニット2とサーキュレータ3とが分離した状態で連動する運転で説明したが、これに限られない。例えば、除湿ユニット2とサーキュレータ3とが一体状態時で除湿運転を実施するとき、検知された湿度に応じて除湿強化モードと循環強化モードのいずれかを実施するものであってもよい。一体状態であっても、除湿ユニット2の風量、及び加熱ヒータ67の駆動内容について可変でき、また、サーキュレータ3の送風量、首振り範囲について可変できることから、一体状態での除湿運転時、除湿ユニット2とサーキュレータ3とを連動して運転させ、検知された湿度に応じて除湿強化モードと循環強化モードのいずれかを実施するものも本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0106】
1 サーキュレータ付除湿機(除湿機)
2 除湿ユニット
3 サーキュレータ
65 圧縮機
65a 配管
66 熱交換器
66a 蒸発器
66b 凝縮器
66c 冷媒管
67 加熱ヒータ
70 除湿ユニット側制御部
72 湿度センサ
82 除湿ユニット側通信部
130 送風部
170 サーキュレータ側制御部
182 サーキュレータ側通信部