(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108486
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240805BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240805BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20240805BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240805BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240805BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240805BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20240805BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240805BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N7/18 U
G09G3/20 680F
G09G3/20 680W
G09G3/34 J
G09G3/20 641E
G09G3/36
G02F1/133 505
G02F1/133 550
G02F1/13 505
G02F1/1347
G02F1/13357
H04N23/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012880
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迫 和彦
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H193
2H391
5C006
5C054
5C080
5C122
【Fターム(参考)】
2H088EA22
2H088EA33
2H088GA02
2H088GA10
2H088HA06
2H088HA08
2H088HA28
2H088JA05
2H088MA20
2H189AA04
2H189AA22
2H189AA35
2H189JA05
2H189LA10
2H189LA20
2H189LA24
2H189MA15
2H193ZA02
2H193ZA27
2H193ZA37
2H193ZB51
2H193ZE40
2H193ZG04
2H193ZG27
2H193ZG34
2H193ZJ01
2H193ZP20
2H193ZQ06
2H193ZQ13
2H193ZR01
2H193ZR16
2H193ZR20
2H391AA25
2H391AB14
2H391CB03
2H391EB02
2H391FA01
5C006AA22
5C006AF44
5C006BA16
5C006BB29
5C006EA01
5C054AA02
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA09
5C054FA00
5C054HA24
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ06
5C122DA03
5C122EA27
5C122FC13
5C122FF13
5C122FK22
5C122FK23
5C122FK24
5C122GC07
5C122GC37
5C122GC52
5C122GC75
5C122GF04
5C122HA35
5C122HB02
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】撮像画像における干渉縞の発生を抑制すること。
【解決手段】一実施形態に係る表示システムは、表示装置と、カメラと、表示装置とカメラの間に配置されるシャッターと、表示装置とシャッターとを制御する制御装置と、を備える。表示装置は、表示領域に画像を表示する第1サブフレーム期間と、表示領域を透明状態にする第2サブフレーム期間と、を含む1フレーム期間に従って動作する。制御装置は、複数の1フレーム期間を1周期として表示装置の動作を周期的に制御し、且つ、1周期に含まれる複数の1フレーム期間が、1フレーム期間の開始から互いに異なるタイミングで第2サブフレーム期間を開始するように表示装置の動作を制御する。制御装置は、第1サブフレーム期間においてはカメラに向かう光を遮光し、第2サブフレーム期間においてはカメラに向かう光を透過するようにシャッターの動作を制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示し外光を透過する表示領域と、発光素子と、を有する表示装置と、
前記表示装置の後方に配置されるローリングシャッター方式のカメラと、
前記表示装置と前記カメラとの間に配置されるシャッターと、
前記表示装置の動作と前記シャッターの動作とを制御する制御装置と、を備え、
前記表示装置は、前記発光素子を点灯させ、前記表示領域に画像を表示する第1サブフレーム期間と、前記発光素子を点灯させずに、前記表示領域を透明状態にする第2サブフレーム期間と、を含む1フレーム期間に従って動作し、
前記制御装置は、
複数の1フレーム期間を1周期として前記表示装置の動作を周期的に制御し、且つ、前記1周期に含まれる複数の1フレーム期間が、1フレーム期間の開始から互いに異なるタイミングで前記第2サブフレーム期間を開始するように前記表示装置の動作を制御し、
前記第1サブフレーム期間においては前記カメラに向かう光を遮光し、前記第2サブフレーム期間においては前記カメラに向かう光を透過するように前記シャッターの動作を制御する、表示システム。
【請求項2】
前記カメラは、複数の画素行を含むイメージセンサを有し、前記各画素行を時分割的に露光させるように動作することで、前記表示装置の前方にいる被写体を撮像し、
前記各画素行は、前記1周期に含まれる複数の第2サブフレーム期間において、互いに等しい時間露光される、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記シャッターは、第1電極と、前記第1電極に対向し基準電位の第2電極と、シャッターとして機能する液晶層と、を有し、
前記シャッターは、前記第1電極に前記基準電位と異なる電位の電圧を印加した場合、前記カメラに向かう光を遮光する閉状態に遷移し、前記第1電極に前記基準電位と同電位の電圧を印加した場合、前記カメラに向かう光を透過する開状態に遷移する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記シャッターの極性は、前記第1電極に前記基準電位よりも大きい電圧を印加して前記閉状態に遷移した場合に正極性を示し、前記第1電極に前記基準電位よりも小さい電圧を印加して前記閉状態に遷移した場合に負極性を示す、
請求項3に記載の表示システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記シャッターを開状態から閉状態に遷移させる度に、前記シャッターの極性を、前回シャッターが閉状態であった際の極性から反転させるように、前記シャッターの動作を制御し、前記1周期において前記シャッターの極性が正極性を示す時間と負極性を示す時間とを一致させる、
請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記1周期毎に、前記シャッターの極性を、前回の1周期の極性から反転させるように、前記シャッターの動作を制御し、連続する2周期において前記シャッターの極性が正極性を示す時間と負極性を示す時間とを一致させる、
請求項4に記載の表示システム。
【請求項7】
前記カメラにより撮像された画像を取得するコンピュータをさらに備え、
前記コンピュータは、ネットワークを介して他のコンピュータと通信可能に接続され、前記カメラから取得した画像を前記他のコンピュータに順次送信する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項8】
前記カメラにより撮像された画像を取得するコンピュータをさらに備え、
前記コンピュータは、ネットワークを介して他のコンピュータと通信可能に接続され、前記カメラから前記1周期分の画像を取得すると、前記取得した1周期分の画像を合成し、前記合成した画像を前記他のコンピュータに送信する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項9】
前記コンピュータは、前記他のコンピュータから送信されてくる画像を受信すると、前記受信した画像を前記制御装置に出力する、
請求項7または請求項8に記載の表示システム。
【請求項10】
前記第1サブフレーム期間は、赤色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に赤色の画像を表示する赤色サブフレーム期間と、緑色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に緑色の画像を表示する緑色サブフレーム期間と、青色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に青色の画像を表示する青色サブフレーム期間と、を含み、
前記表示装置は、前記赤色サブフレーム期間と、前記緑色サブフレーム期間と、前記青色サブフレーム期間と、前記第2サブフレーム期間と、を含む前記1フレーム期間に従って動作し、前記赤色サブフレーム期間と、前記緑色サブフレーム期間と、前記青色サブフレーム期間と、前記第2サブフレーム期間とは互いに等しい長さに設定され、
前記制御装置は、4フレーム期間を前記1周期として前記表示装置の動作を周期的に制御する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項11】
画像を表示し外光を透過する表示領域と、発光素子と、を有する表示装置と、
前記表示装置の後方に配置されるローリングシャッター方式のカメラと、
前記表示装置と前記カメラとの間に配置されるシャッターと、
前記表示装置の動作と前記シャッターの動作とを制御する制御装置と、を備え、
前記表示装置は、前記発光素子を点灯させ、前記表示領域に画像を表示する第1サブフレーム期間と、前記発光素子を点灯させずに、前記表示領域を透明状態にする第2サブフレーム期間と、を含む1フレーム期間に従って動作し、
前記第1サブフレーム期間は、赤色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に赤色の画像を表示する赤色サブフレーム期間と、緑色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に緑色の画像を表示する緑色サブフレーム期間と、青色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に青色の画像を表示する青色サブフレーム期間と、を含み、
前記表示装置は、前記赤色サブフレーム期間と、前記緑色サブフレーム期間と、前記青色サブフレーム期間と、前記第2サブフレーム期間と、を含む前記1フレーム期間に従って動作し、前記赤色サブフレーム期間と、前記緑色サブフレーム期間と、前記青色サブフレーム期間とは互いに等しい長さに設定され、前記第2サブフレーム期間は、前記赤色サブフレーム期間、前記緑色サブフレーム期間、前記青色サブフレーム期間の半分の長さに設定され、
前記制御装置は、
2フレーム期間を1周期として前記表示装置の動作を周期的に制御し、且つ、前記1周期に含まれる最初の1フレーム期間においては前記第1サブフレーム期間、前記第2サブフレーム期間の順に各サブフレーム期間を開始するように前記表示装置の動作を制御し、前記1周期に含まれる次の1フレーム期間においては前記第2サブフレーム期間、前記第1サブフレーム期間の順に各サブフレーム期間を開始するように前記表示装置の動作を制御し、
前記第1サブフレーム期間に含まれる前記赤色サブフレーム期間、前記緑色サブフレーム期間および前記青色サブフレーム期間の半分の時間と、前記最初の1フレーム期間に含まれる前記第2サブフレーム期間とにおいては前記カメラに向かう光を透過し、且つ、前記第1サブフレーム期間に含まれる前記赤色サブフレーム期間、前記緑色サブフレーム期間および前記青色サブフレーム期間の他の半分の時間と、前記次の1フレーム期間に含まれる前記第2サブフレーム期間においては前記カメラに向かう光を遮光するように前記シャッターの動作を制御する、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Web会議やビデオ通話が普及してきている。このようなWeb会議やビデオ通話においては、画面に表示された画像(映像)を見ている人物と、画面に表示された人物との間で視線が合わなくなってしまうことがある。
【0003】
このため、画面に表示された画像を見ている人物と、画像に表示された人物との間の視線を一致させることが可能なシステムとして、透明ディスプレイの後方にカメラを配置し、画面越しに被写体を撮影することが可能なシステムが開発されている。このようなシステムでは、透明ディスプレイに画像が表示されていない時に(つまり、透明ディスプレイが透明状態の時に)、被写体の撮像が行われる。
【0004】
ところで、Web会議やビデオ通話には、被写体を撮像するためのカメラとして、安価なローリングシャッター方式のカメラ(例えば、Webカメラ)が用いられることが多い。しかしながら、ローリングシャッター方式のカメラにより撮像された画像には、干渉縞が発生しやすいといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-230282号公報
【特許文献2】特許第4411059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、撮像画像における干渉縞の発生を抑制することが可能な表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る表示システムは、画像を表示し外光を透過する表示領域と、発光素子と、を有する表示装置と、前記表示装置の後方に配置されるローリングシャッター方式のカメラと、前記表示装置と前記カメラとの間に配置されるシャッターと、前記表示装置の動作と前記シャッターの動作とを制御する制御装置と、を備える。前記表示装置は、前記発光素子を点灯させ、前記表示領域に画像を表示する第1サブフレーム期間と、前記発光素子を点灯させずに、前記表示領域を透明状態にする第2サブフレーム期間と、を含む1フレーム期間に従って動作する。前記制御装置は、複数の1フレーム期間を1周期として前記表示装置の動作を周期的に制御し、且つ、前記1周期に含まれる複数の1フレーム期間が、1フレーム期間の開始から互いに異なるタイミングで前記第2サブフレーム期間を開始するように前記表示装置の動作を制御する。前記制御装置は、前記第1サブフレーム期間においては前記カメラに向かう光を遮光し、前記第2サブフレーム期間においては前記カメラに向かう光を透過するように前記シャッターの動作を制御する。
【0008】
一実施形態に係る表示システムは、画像を表示し外光を透過する表示領域と、発光素子と、を有する表示装置と、前記表示装置の後方に配置されるローリングシャッター方式のカメラと、前記表示装置と前記カメラとの間に配置されるシャッターと、前記表示装置の動作と前記シャッターの動作とを制御する制御装置と、を備える。前記表示装置は、前記発光素子を点灯させ、前記表示領域に画像を表示する第1サブフレーム期間と、前記発光素子を点灯させずに、前記表示領域を透明状態にする第2サブフレーム期間と、を含む1フレーム期間に従って動作する。前記第1サブフレーム期間は、赤色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に赤色の画像を表示する赤色サブフレーム期間と、緑色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に緑色の画像を表示する緑色サブフレーム期間と、青色の発光素子を点灯させ、前記表示領域に青色の画像を表示する青色サブフレーム期間と、を含む。前記表示装置は、前記赤色サブフレーム期間と、前記緑色サブフレーム期間と、前記青色サブフレーム期間と、前記第2サブフレーム期間と、を含む前記1フレーム期間に従って動作し、前記赤色サブフレーム期間と、前記緑色サブフレーム期間と、前記青色サブフレーム期間とは互いに等しい長さに設定され、前記第2サブフレーム期間は、前記赤色サブフレーム期間、前記緑色サブフレーム期間、前記青色サブフレーム期間の半分の長さに設定される。前記制御装置は、2フレーム期間を1周期として前記表示装置の動作を周期的に制御し、且つ、前記1周期に含まれる最初の1フレーム期間においては前記第1サブフレーム期間、前記第2サブフレーム期間の順に各サブフレーム期間を開始するように前記表示装置の動作を制御し、前記1周期に含まれる次の1フレーム期間においては前記第2サブフレーム期間、前記第1サブフレーム期間の順に各サブフレーム期間を開始するように前記表示装置の動作を制御する。前記制御装置は、前記第1サブフレーム期間に含まれる前記赤色サブフレーム期間、前記緑色サブフレーム期間および前記青色サブフレーム期間の半分の時間と、前記最初の1フレーム期間に含まれる前記第2サブフレーム期間とにおいては前記カメラに向かう光を透過し、且つ、前記第1サブフレーム期間に含まれる前記赤色サブフレーム期間、前記緑色サブフレーム期間および前記青色サブフレーム期間の他の半分の時間と、前記次の1フレーム期間に含まれる前記第2サブフレーム期間においては前記カメラに向かう光を遮光するように前記シャッターの動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示システムの概略構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る表示装置の概略的な平面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るシャッターの概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る表示システムの動作例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る表示システムの動作例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る表示システムの動作例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す動作により撮像された画像を通話相手側の表示装置に表示させる方法の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1比較例に係る表示システムの動作例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第2比較例に係る表示システムの動作例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、同実施形態の第1変形例に係る表示システムの動作例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、同実施形態の第1変形例に係る表システムの別の動作例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、同実施形態の第2変形例に係る表示システムの動作例を説明するための図である。
【
図15】
図15は、同実施形態の第3変形例に係る表示システムの動作例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0011】
図1は、一実施形態に係る表示システム1の概略構成例を示す図である。表示システム1は、Web会議やビデオ通話を行う際に利用されるシステムである。表示システム1は、
図1に示すように、表示装置2と、カメラ3と、シャッター4と、制御装置5と、コンピュータ6と、を備えている。
【0012】
表示装置2は、画像を表示し外光を透過する表示領域を有した、いわゆる透明ディスプレイである。表示装置2には、通話相手U2の姿(顔)が表示される。
【0013】
カメラ3は、表示装置2の後方に配置される。上記したように、表示装置2は透明ディスプレイであるため、カメラ3は、表示装置2越しにユーザU1(被写体)を撮影することができる。なお、詳しくは後述するが、本実施形態に係るカメラ3は、ローリングシャッター方式のカメラ(例えば、Webカメラ)である。
【0014】
シャッター4は、表示装置2とカメラ3との間に配置される外付けのシャッターである。シャッター4は、開閉動作を行うことで、カメラ3を構成するイメージセンサ(図示せず)の露光時間を制御する。シャッター4は、開状態の場合にカメラ3へ向かう光を透過し、閉状態の場合にカメラ3へ向かう光を遮光する。なお、
図1では便宜上、カメラ3とシャッター4とが離間して描かれているが、カメラ3とシャッター4とは密着していてもよい。
【0015】
制御装置5は、表示装置2とシャッター4とに接続される。制御装置5は、表示装置2に画像を表示するための表示制御、後述する発光素子の点灯/非点灯を切り替えるための点灯制御、シャッター4の開状態/閉状態を切り替えるための開閉制御、等を行う。
【0016】
コンピュータ6は、ネットワークNWを介して、通話相手側のコンピュータ6´と通信可能に接続される。ユーザU1は、コンピュータ6に予めインストールされた所定のアプリケーションやWebブラウザを使用して、通話相手U2とWeb会議やビデオ通話を行う。コンピュータ6は、カメラ3により撮像された画像(映像データ)を通話相手側のコンピュータ6´に送信する。また、コンピュータ6は、通話相手側のコンピュータ6´から送られて来る画像(映像データ)を受信し、当該画像を制御装置5に出力する。
【0017】
図1に示す表示システム1によれば、ユーザU1は、表示装置2に表示される通話相手の顔を見ながら、表示装置2の後方に配置されたカメラ3も見ることができるため、カメラ3は、カメラ目線のユーザU1を撮像することが可能となる。これによれば、通話相手側の表示装置(図示せず)には、カメラ目線のユーザU1が表示されるため、通話相手U2は、表示装置に表示されたユーザU1と視線を合わせて会話することが可能である。
図1に示す表示システム1が、ユーザ側と通話相手側との双方に導入されることにより、双方共に視線を合わせて会話することが可能となり、自然な会話環境を実現することが可能である。
【0018】
図2は、
図1に示した表示装置2の概略構成例を示す平面図である。
図2に示すように、第1方向Xおよび第2方向Yは互いに交差する方向であり、第3方向Zは第1方向Xおよび第2方向Yと交差する方向である。第1方向Xは、行方向に相当し、第2方向Yは、列方向に相当している。一例では、第1方向X、第2方向Y、および第3方向Zは、互いに直交しているが、互いに90度以外の角度で交差していてもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を上方(あるいは、単に上)または前方と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を下方(あるいは、単に下)または後方と称する。
【0019】
表示装置2は、表示パネルPNLと、配線基板F1,F2,F3と、等を備えている。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む額縁状の周辺領域SAとを有している。表示領域DAには、n本のゲート線G(G1~Gn)と、m本のソース線S(S1~Sm)とが設けられている。なお、nおよびmはいずれも正の整数であり、nがmと等しくてもよいし、nがmと異なっていてもよい。複数のゲート線Gは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔をおいて並んでいる。言い換えると、複数のゲート線Gは、行方向に延出している。複数のソース線Sは、それぞれ第2方向Yに延出し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。言い換えると、複数のソース線Sは、列方向に延出している。表示パネルPNLは、第1方向Xに沿った端部E1およびE2と、第2方向Yに沿った端部E3およびE4とを有している。
【0020】
配線基板F1は、ゲートドライバGDを備えている。ゲートドライバGDには複数のゲート線Gが接続されている。配線基板F2は、ソースドライバSDを備えている。ソースドライバSDには複数のソース線Sが接続されている。配線基板F1,F2は、それぞれ表示パネルPNLおよび配線基板F3に接続されている。配線基板F3は、配線基板F1,F2や、
図1に示した制御装置5等と電気的に接続される。ゲートドライバGDおよびソースドライバSDは、
図1に示した制御装置5からの制御信号に従って動作する。なお、配線基板F1,F2は、単一の配線基板として設けられてもよい。あるいは、配線基板F1,F2,F3が、単一の配線基板として設けられてもよい。
【0021】
図3は、
図2に示した表示装置2の断面図である。ここでは、第2方向Yおよび第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置2の断面における主要部のみ説明する。
図3に示すように、表示パネルPNLは、第1基板SUB11と、第2基板SUB21と、表示機能層としての液晶層LC1と、等を備えている。
【0022】
第1基板SUB11は、透明基板10と、複数の画素電極11と、配向膜12と、等を備えている。第2基板SUB21は、透明基板20と、共通電極21と、配向膜22と、等を備えている。複数の画素電極11および共通電極21は、例えばITO、IZO等の透明導電材料によって形成され、表示領域DAに位置している。配向膜12および配向膜22は、それぞれ液晶層LC1に接している。
【0023】
液晶層LC1は、少なくとも表示領域DAに位置している。液晶層LC1は、高分子分散液晶を含み、第1基板SUB11と第2基板SUB21との間に保持されている。本実施形態においては、液晶層LC1が、ノーマル型高分子分散液晶を含む場合を想定する。このため、液晶層LC1は、当該液晶層LC1に電界が作用していない場合に散乱状態となり、当該液晶層LC1に電界が作用している場合に透明状態となる。散乱状態とは、液晶層LC1に入射した光が当該液晶層LC1内で散乱される状態である。透明状態とは、液晶層LC1に入射した光が当該液晶層LC1内でほとんど散乱されることなく透過する状態である。表示パネルPNLは液晶層LC1が散乱状態の場合に表示領域DAに画像を表示することができ、液晶層LC1が透明状態の場合に外光を透過させることができる。
【0024】
第1基板SUB11および第2基板SUB21は、シール材SE1によって接着されている。第1基板SUB11は、透明基板20の端部E5よりも第2方向Yに延出した延出部Exを有している。
配線基板F1,F2は、第1基板SUB11の延出部Exに接続されている。
【0025】
光源ユニットLUは、表示領域DAの外側の周辺領域SAに位置している。光源ユニットLUは、発光素子LSおよび配線基板F4等を備えている。発光素子LSは、配線基板F4に接続され、延出部Exの上に位置している。発光素子LSは、端部E5と対向する発光部(発光面)EMを有している。発光部EMから出射された照明光は、端部E5から透明基板20に入射し、当該透明基板20内を伝播して、液晶層LC1に入射する。配線基板F4は、
図1に示した制御装置5等と電気的に接続される。発光素子LSは、
図1に示した制御装置5からの制御信号に従って動作し、点灯/非点灯が制御される。
【0026】
なお、本実施形態に係る光源ユニットLUは、複数色の発光素子LSを備えている。具体的には、光源ユニットLUは、赤色の光を照射する発光素子LSRと、緑色の光を照射する発光素子LSGと、青色の光を照射する発光素子LSBと、を備えている。詳細については後述するが、本実施形態に係る表示装置2は、1フレーム期間が複数のサブフレーム期間を含むフィールドシーケンシャル方式により駆動される。このため、各サブフレームにおいては、上記した発光素子LSR,LSG,LSBのうちの少なくとも1つが点灯し、サブフレーム毎にその色が切り替えられる。
【0027】
図4は、
図1に示したシャッター4の概略構成例を示す断面図である。
本実施形態に係るシャッター4はいわゆる液晶シャッターであり、
図4に示すように、第1基板SUB12と、第2基板SUB22と、シャッターとして機能する液晶層LC2と、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、等を備えている。第1基板SUB12および第2基板SUB22は、シール材SE2によって接着されている。
【0028】
第1基板SUB12は、透明基板30と、第1電極31と、配向膜32と、等を備えている。第2基板SUB22は、透明基板40と、第2電極41と、配向膜42と、等を備えている。第1電極31および第2電極41は、例えばITO、IZO等の透明導電材料によって形成され、液晶層LC2と重なる位置に配置されている。第2電極41には基準電位と同電位の電圧が印加され、第1電極31には基準電位と同じかまたは当該基準電位よりも高い電圧または低い電圧が印加される。配向膜32および配向膜42は、それぞれ液晶層LC2に接している。
【0029】
液晶層LC2には、TN(Twisted Nematic)液晶が用いられ、第1基板SUB12側の液晶分子の初期配向方向と、第2基板SUB22側の液晶分子の初期配向方向とは、90度になっている。
【0030】
シャッター4は、液晶層LC2に電界が作用した場合に液晶分子の配向が変化して閉状態(黒表示)となり、液晶層LC2に電界が作用しない場合に液晶分子の配向が変化せずに開状態(白表示)となる、ノーマリーホワイト方式で動作する。但し、シャッター4は、液晶層LC2に電界が作用した場合に液晶分子の配向が変化して開状態(白表示)となり、当該液晶層LC2に電界が作用しない場合に液晶分子の配向が変化せずに閉状態(黒表示)となる、ノーマリーブラック方式で動作してもよい。
【0031】
第1偏光板PL1は、第1基板SUB12の下面に配置される。第2偏光板PL2は、第2基板SUB22の上面に配置される。第1偏光板PL1の偏光軸と、第2偏光板PL2の偏光軸とは、例えばクロスニコルの関係、つまり、90度になっている。これによれば、シャッター4は、開状態の時に第1基板SUB12側から入射する光を透過し、閉状態の時に第1基板SUB12側から入射する光を遮蔽することができる。なお、表示装置2を透過してシャッター4に向かう光が、ある方向に偏光軸を有する偏光光である場合、当該シャッター4は、第2偏光板PL2のみを有する構成であっても構わない。
【0032】
図4に示した構成を有するシャッター4は液晶シャッターとして機能し、カメラ3を構成するイメージセンサの露光時間を制御する。なお、本実施形態では、シャッター4が液晶シャッターである場合を想定するが、これに限定されず、シャッター4は物理シャッターであってもよい。但し、シャッターが開閉した際の動作音等を考慮すると、シャッター4は液晶シャッターである方が望ましい。
【0033】
図5は、
図1に示した制御装置5の機能構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、制御装置5は、制御部50と、表示制御部51と、点灯制御部52と、シャッター制御部53と、等を備えている。
【0034】
制御部50は、各部51~53の動作を制御する。制御部50は、コンピュータ6から出力される映像データ(つまり、
図1に示した通話相手U2の姿が映った映像データ)の入力を受けると、当該映像データを表示制御部51に出力する。
【0035】
表示制御部51は、制御部50から出力される映像データの入力を受けると、当該映像データに含まれる赤色(R)の映像データ、緑色(G)の映像データおよび青色(B)の映像データと、これら映像データに基づく画像を表示するタイミングを制御するための制御信号と、を表示装置2に出力する。点灯制御部52は、表示装置2に設けられた発光素子LSの点灯/非点灯を制御する(切り替える)ための制御信号を表示装置2に出力する。シャッター制御部53は、シャッター4の開状態/閉状態を制御する(切り替える)ための制御信号と、シャッター4の極性(より詳しくは、閉状態のシャッター4の極性)を制御するための制御信号と、をシャッター4に出力する。
【0036】
図6は、本実施形態に係る表示システム1の動作例を説明するための図である。
図6では、例えば、表示装置2のリフレッシュレートと、カメラ3のフレームレートとが一致している場合を想定する。換言すると、表示装置2の1フレーム期間FPdと、カメラ3の1フレーム期間FPcとが一致している(同期している)場合を想定する。なお、カメラ3の1フレーム期間FPcは、カメラ3の露光周期と言い換えられてもよい。また、
図6では、本実施形態に係る表示システム1が、表示装置2の4フレーム期間(または、カメラ3の4フレーム期間)を1周期として周期的に動作する場合を想定する。
【0037】
図6に示すように、カメラ3は、第1フレーム期間FPc1と、第2フレーム期間FPc2と、第3フレーム期間FPc3と、第4フレーム期間FPc4とにおいて同様に動作する。このため、以下では、第1フレーム期間FPc1におけるカメラ3の動作のみ説明し、その他のフレーム期間FPc2~FPc4におけるカメラ3の動作の説明は省略する。
【0038】
カメラ3の第1フレーム期間FPc1は、露光期間EPと、ブランキング期間BPとを含む。第1フレーム期間FPc1の開始と共に露光期間EPが開始されると、カメラ3は、イメージセンサの最初の画素行から最後の画素行に向かって順次露光を開始する。露光期間EPは、イメージセンサの最初の画素行の露光が開始されてから、最後の画素行の露光が終了するまでの期間である。上記したように、本実施形態に係るカメラ3はローリングシャッター方式のカメラであり、画素行毎に順次露光を行うため、各画素行の露光開始時間と露光終了時間とは互いに異なっている。ブランキング期間BPは、イメージセンサの最後の画素行の露光が終了してから、次の1フレーム期間(この場合、第2フレーム期間FPc2)が開始されるまでの期間である。なお、本実施形態において、ローリングシャッター方式のカメラは、画素行ごとに所定時間の露光を行った後に各画素のデータを読み出す読出し期間(或いはリセット期間)が設けられる。各画素行の露光期間に対し、読出し期間は著しく短い。本実施形態において、上記各画素行の露光期間は、当該読出し期間を含めた期間と考えてよい。或いは、
図6に示す如く前後の露光期間の間にある程度余裕がある場合は、純粋に露光期間のみを露光期間と考えてもよい。
【0039】
一方、表示装置2は、第1フレーム期間FPd1と、第2フレーム期間FPd2と、第3フレーム期間FPd3と、第4フレーム期間FPd4との4フレーム期間を1周期として表示動作を行う。各フレーム期間FPd1~FPd4はそれぞれ、赤色サブフレーム期間SFRと、緑色サブフレーム期間SFGと、青色サブフレーム期間SFBと、透明サブフレーム期間SFTと、を含む。なお、
図6では、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTの長さが互いに等しい場合を示している。
【0040】
赤色サブフレーム期間SFRは、表示領域DAに配置された各画素PXに赤色の映像データを書き込み、赤色の発光素子LSRを点灯することで、赤色の画像を表示領域DAに表示させる期間である。緑色サブフレーム期間SFGは、表示領域DAに配置された各画素PXに緑色の映像データを書き込み、緑色の発光素子LSGを点灯することで、緑色の画像を表示領域DAに表示させる期間である。青色サブフレーム期間SFBは、表示領域DAに配置された各画素PXに青色の映像データを書き込み、青色の発光素子LSBを点灯することで、青色の画像を表示領域DAに表示させる期間である。透明サブフレーム期間SFTは、表示領域DAに配置された各画素PXに対して、共通電極CEに印加する電圧と同電位の透明電圧を書き込み、液晶層LC1(表示装置2)を透明状態にする期間である。このため、透明サブフレーム期間SFTにおいては、いずれの色の発光素子も点灯されない(つまり、発光素子は非点灯状態となる)。
【0041】
第1フレーム期間FPd1において、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTは、
図6に示すように、透明サブフレーム期間SFT、赤色サブフレーム期間SFR、緑色サブフレーム期間SFG、青色サブフレーム期間SFBの順に並んでいる。
【0042】
第1フレーム期間FPd1に含まれる最初のサブフレーム期間である透明サブフレーム期間SFTが開始されると、表示装置2は、制御装置5内の表示制御部51からの制御信号に従って、表示領域DAに配置された各画素PXに透明電圧を書き込み、表示装置2を透明状態にする。また、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を開状態にする。これによれば、表示装置2が透明状態であり、かつ、シャッター4が開状態のため、カメラ3は、表示装置2越しに当該表示装置2の前方に位置する被写体(
図1に示したユーザU1)を撮像することが可能になる。
【0043】
第1フレーム期間FPd1に含まれる透明サブフレーム期間SFTが終了し、赤色サブフレーム期間SFRが開始されると、表示装置2は、制御装置5内の表示制御部51からの制御信号に従って、表示領域DAに配置された各画素PXに赤色の映像データを書き込み、かつ、制御装置5内の点灯制御部52からの制御信号に従って、赤色の発光素子LSRを点灯させる。これによれば、表示装置2には赤色の画像が表示される。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、例えば、
図4に示した第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加し、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。これによれば、シャッター4は、カメラ3に向かう光を遮光することができる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は正極性(+極性)となる。
【0044】
第1フレーム期間FPd1に含まれる赤色サブフレーム期間SFRが終了し、緑色サブフレーム期間SFGが開始されると、表示装置2は、制御装置5内の表示制御部51からの制御信号に従って、表示領域DAに配置された各画素PXに緑色の映像データを書き込み、かつ、制御装置5内の点灯制御部52からの制御信号に従って、緑色の発光素子LSGを点灯させる。これによれば、表示装置2には、緑色の画像が表示される。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4の閉状態を維持する。これによれば、シャッター4は、赤色サブフレーム期間SFRと同様に、カメラ3に向かう光を遮光することができる。また、シャッター4の第1電極31には、閉状態を維持するために、基準電位よりも高い電圧が印加され続けるため、当該シャッター4の極性は、赤色サブフレーム期間SFRと同様に、正極性を示す。
【0045】
第1フレーム期間FPd1に含まれる緑色サブフレーム期間SFGが終了し、青色サブフレーム期間SFBが開始されると、表示装置2は、制御装置5内の表示制御部51からの制御信号に従って、表示領域DAに配置された各画素PXに青色の映像データを書き込み、かつ、制御装置5内の点灯制御部52からの制御信号に従って、青色の発光素子LSBを点灯させる。これによれば、表示装置2には、青色の映像が表示される。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4の閉状態を維持する。これによれば、シャッター4は、赤色サブフレーム期間SFRおよび緑色サブフレーム期間SFGと同様に、カメラ3に向かう光を遮光することができる。また、シャッター4の第1電極31には、閉状態を維持するために、基準電位よりも高い電圧が印加され続けるため、当該シャッター4の極性は、赤色サブフレーム期間SFRおよび緑色サブフレーム期間SFGと同様に、正極性を示す。
【0046】
カメラ3は、第1フレーム期間FPc1が開始されると、上記したように、イメージセンサの最初の画素行から最後の画素行に向かって順次露光を開始する。カメラ3には、表示装置2の第1フレーム期間FPd1に含まれる透明サブフレーム期間SFT中のみ光が入射する。このため、カメラ3は、上記した透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I1を撮像する。
【0047】
なお、カメラ3により撮像される画像は、画素行に入射した光量に応じて明るさが変化する。このため、第1フレーム期間FPc1において撮像される画像I1は、
図6に示すように、露光時間の長い画素行に対応する画像上段領域ほど明るく、露光時間の短い画素行に対応する画像中段領域に近づくほど暗くなっている。なお、画像下段領域に対応する画素行(つまり、透明サブフレーム期間SFTより後に露光が開始された画素行)には光が入射しないため、
図6に示すように、画像下段領域には何も映らず、黒色となる。
【0048】
第2フレーム期間FPd2において、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTは、
図6に示すように、赤色サブフレーム期間SFR、緑色サブフレーム期間SFG、透明サブフレーム期間SFT、青色サブフレーム期間SFBの順に並んでいる。なお、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTにおける表示装置2の動作は、第1フレーム期間FPd1と同様なため、ここではその詳しい説明を省略する。以下では、シャッター4の動作と、カメラ3により撮像される画像I2とについてのみ説明する。
【0049】
表示装置2の第2フレーム期間FPd2に含まれる緑色サブフレーム期間SFGが終了し、透明サブフレーム期間SFTが開始されると、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加することで、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。
【0050】
カメラ3には、この透明サブフレーム期間SFT中のみ光が入射する。このため、カメラ3は、第2フレーム期間FPd2に含まれる透明サブフレームSFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I2を撮像する。第2フレーム期間FPc2において撮像される画像I2は、
図6に示すように、露光時間の長い画素行に対応する画像下段領域ほど明るく、露光時間の短い画素行に対応する画像中段領域に近づくほど暗くなっている。なお、画像上段領域に対応する画素行(つまり、透明サブフレーム期間SFTより前に露光が終了した画素行)には光が入射しないため、
図6に示すように、画像I2の画像上段領域には何も映らず、黒色となる。
【0051】
第2フレーム期間FPd2に含まれる透明サブフレーム期間SFTが終了し、青色サブフレーム期間SFBが開始されると、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加することで、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は負極性(-極性)となる。
【0052】
第3フレーム期間FPd3において、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTは、
図6に示すように、赤色サブフレーム期間SFR、緑色サブフレーム期間SFG、青色サブフレーム期間SFB、透明サブフレーム期間SFTの順に並んでいる。なお、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTにおける表示装置2の動作は、第1フレーム期間FPd1と同様なため、ここではその詳しい説明を省略する。以下では、シャッター4の動作と、カメラ3により撮像される画像I3とについてのみ説明する。
【0053】
表示装置2の第3フレーム期間FPd3に含まれる青色サブフレーム期間SFBが終了し、透明サブフレーム期間SFTが開始されると、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加することで、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。
【0054】
カメラ3には、この透明サブフレーム期間SFT中のみ光が入射する。このため、カメラ3は、第3フレーム期間FPd3に含まれる透明サブフレームSFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I3を撮像する。
図6に示すように、第3フレーム期間FPd3に含まれる透明サブフレーム期間SFT中には、画像下段領域に対応する画素行以外には光が入射しないため、画像I3においては、画像下段領域にのみ被写体が映り、その他の領域には何も映らず、黒色となる。
【0055】
第4フレーム期間FPd4において、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTは、
図6に示すように、赤色サブフレーム期間SFR、透明サブフレーム期間SFT、緑色サブフレーム期間SFG、青色サブフレーム期間SFBの順に並んでいる。なお、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTにおける表示装置2の動作は、第1フレーム期間FPd1と同様なため、ここではその詳しい説明を省略する。以下では、シャッター4の動作と、カメラ3により撮像される画像I4とについてのみ説明する。
【0056】
第4フレーム期間FPd4に含まれる最初のサブフレーム期間である赤色サブフレーム期間SFRが開始されると、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加することで、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は正極性となる。
【0057】
第4フレーム期間FPd4に含まれる赤色サブフレーム期間SFRが終了し、透明サブフレーム期間SFTが開始されると、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加することで、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。
【0058】
カメラ3には、この透明サブフレーム期間SFT中のみ光が入射する。このため、カメラ3は、第4フレーム期間FPd4に含まれる透明サブフレームSFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I4を撮像する。第4フレーム期間FPc4に撮像される画像I4は、
図6に示すように、露光時間の長い画素行に対応する画像中段領域ほど明るく、露光時間の短い画素行に対応する画像上段領域および画像下段領域ほど暗くなっている。
【0059】
第4フレーム期間FPd4に含まれる透明サブフレーム期間SFTが終了し、緑色サブフレーム期間SFGが開始されると、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加することで、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は負極性となる。
【0060】
以上説明した
図6に示す動作によれば、表示装置2の4フレーム期間FPd1~FPd4に含まれる4つの透明サブフレーム期間SFTおいて、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行はそれぞれ、カメラ3の1フレーム期間FPc分(換言すると、露光開始時間と露光終了時間との差分に相当する時間分)露光される。つまり、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行はそれぞれ、互いに等しい時間露光される。このため、詳しくは後述するが、画像I1~I4に基づき表示され得る画像IAを、
図6に示すように、画像上段領域から画像下段領域にかけて均一な明るさの画像(要するに、画像全領域において均一な明るさの画像)にすることができる。
【0061】
また、以上説明した
図6に示す動作では、シャッター4の極性は、シャッター4を閉状態に遷移させる度に、前回閉状態に遷移させた際の極性と反転するように制御される。これによれば、
図6に示すように、1周期において、シャッター4が正極性を示す時間と、シャッター4が負極性を示す時間とを一致させることが可能であり、いわゆる焼き付きの発生を抑制することができる。
【0062】
なお、
図6では、焼き付きの発生を抑制するために、シャッター4を閉状態に遷移させる度にシャッター4の極性を反転させる制御を行うとしたが、これに限定されず、例えば
図7に示すように、1周期毎にシャッター4の極性を反転させる制御(具体的には、最初の周期では閉状態のシャッター4の極性を全て正極性にし、次の周期では閉状態のシャッター4の極性を全て負極性にする制御)を行うことにより、焼き付きの発生を抑制してもよい。
【0063】
また、
図6では、表示装置2の1フレーム期間FPdと、カメラ3の1フレーム期間FPcとが一致している場合の動作(つまり、表示装置2とカメラ3とが同期して動作する場合)について説明したが、これに限定されず、本実施形態に係る表示システム1は、例えば
図8に示すように、カメラ3の1フレーム期間FPcが表示装置2の1フレーム期間FPdに比べて僅かに長い等、表示装置2の1フレーム期間FPdと、カメラ3の1フレーム期間FPdとが一致していない場合にも同様に動作することが可能である。この場合、表示装置2の4フレーム期間FPd1~FPd4に含まれる透明サブフレーム期間SFTにおいて、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行をそれぞれ、カメラ3の1フレーム期間FPc分露光させることはできないものの、表示装置2の1フレーム期間FPdとカメラ3の1フレーム期間FPcとの差が数%程度であれば、各画素行の露光時間の差を画像品質に影響がでない程度に抑えることが可能であり、画像I1´~I4´に基づき表示され得る画像IA´を、画像上段領域から画像下段領域にかけてほぼ均一な明るさの画像(要するに、画像全領域においてほぼ均一な明るさの画像)にすることができる。
【0064】
図9は、
図6に示す動作により撮像された画像I1~I4に基づく画像IAを通話相手側の表示装置(図示せず)に表示させる方法の一例を説明するための図である。
図6に示した動作により撮像された画像I1~I4は、例えば
図9(a)に示すように、コンピュータ6により、通話相手側のコンピュータ6´に順次送信される。通話相手側の表示装置には、コンピュータ6´により受信された画像I1~I4が例えば4フレーム期間に亘って順次表示される。一般に、人は1フレーム期間に表示される画像をそのまま視認することはできず、複数フレーム期間に亘って表示される画像を1つの画像として視認する。このため、画像I1~I4を通話相手側のコンピュータ6´に順次送信し、画像I1~I4を通話相手側の表示装置に順次表示させることにより、通話相手には、画像I1~I4が組み合わされた画像IAを視認させることができる。これによれば、通話相手に対して、均一な明るさの画像(この場合、画像IA)を提供することが可能である。
【0065】
あるいは、
図6に示した動作により撮像された画像I1~I4は、
図9(b)に示すように、コンピュータ6により合成された上で、通話相手側のコンピュータ6´に送信されてもよい。これによれば、画像I1~I4を合成して得られる画像IAを、通話相手側のコンピュータ6´に送信することができるため、視覚効果を利用しなくても、通話相手に対して、均一な明るさの画像(この場合、画像IA)を提供することが可能である。
【0066】
以下では、比較例を用いて、本実施形態に係る表示システム1の効果について説明する。なお、比較例は、本実施形態に係る表示システム1が奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、本実施形態と比較例とで共通する構成や効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0067】
図10は、第1比較例に係る表示システムの概略構成例と、当該表示システムの動作とを説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上、第1比較例に係る要素の末尾には「A」を付して説明する。第1比較例に係る表示システム1Aは、
図10(a)に示すように、カメラ3Aがグローバルシャッター方式のカメラであり、その動作が制御装置5Aにより制御される点と、シャッター4に相当する構成が省略されている点とで、本実施形態に係る表示システム1と相違している。
【0068】
グローバルシャッター方式のカメラ3Aは、ローリングシャッター方式のカメラ(つまり、本実施形態に係るカメラ3)のようにイメージセンサの各画素行を順次露光するのではなく、イメージセンサの全画素行を一度に露光することが可能である。このため、制御装置5Aは、表示装置2Aの動作に同期させてカメラ3Aの動作を制御し、例えば
図10(b)に示すように、表示装置2Aの1フレーム期間FPdに含まれる透明サブフレーム期間SFTが開始され、表示装置2Aを透明状態にするタイミングでカメラ3Aに内蔵されたシャッターを開く制御を行う。なお、表示装置2Aの1フレーム期間FPdに含まれる各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTにおける表示装置2Aの動作は、本実施形態に係る表示装置2と同様であるため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0069】
第1比較例に係る表示システム1Aによれば、カメラ3Aは、1度の透明サブフレーム期間SFTにおいてイメージセンサの全画素行を等しく露光させ、その後の読出し期間に各画素のデータを読み出すことが可能なため、カメラ3Aは、1フレーム期間FPcにおいて、画像上段領域から画像下段領域にかけて均一な明るさの画像を撮像することが可能である。
【0070】
一方、グローバルシャッター方式のカメラ3Aは非常に高価であり、Web会議やビデオ通話のために当該カメラ3Aを用いるのは現実的でないといった問題がある。また、グローバルシャッター方式のカメラ3Aを用いるにあたっては、上記したように、その動作を表示装置2Aと同期させる必要があり、表示装置2Aの動作に同期させてカメラ3Aの動作を制御する特別な機能を制御装置5Aに実装する必要がある。以上のように、第1比較例に係る表示システム1Aは、実現するにあたって多大なコストを要するといった問題がある。
【0071】
これに対し、本実施形態に係る表示システム1は、グローバルシャッター方式のカメラ3Aに比べて安価なローリングシャッター方式のカメラ3を用いている。また、本実施形態に係る表示システム1は、表示装置2とカメラ3の動作を同期させなくてもよいため、上記した特別な機能を制御装置5に実装する必要がない。このため、本実施形態に係る表示システム1は、第1比較例に係る表示システム1Aのように多大なコストを要することなく、実現することが可能である。
【0072】
図11は、第2比較例に係る表示システムの動作を説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上、第2比較例に係る要素の末尾には「B」を付して説明する。第2比較例に係る表示システム1Bは、本実施形態に係る表示システム1と同様な構成を有する。一方、第2比較例に係る表示システム1Bは、
図11に示すように、表示装置2Bの1フレーム期間FPdが赤色サブフレーム期間SFR、緑色サブフレーム期間SFG、青色サブフレーム期間SFBと、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFBの間にそれぞれ挿入された透明サブフレーム期間SFTとで構成されている点で、本実施形態に係る表示システム1と相違している。
【0073】
表示装置2Bの1フレーム期間FPdに含まれる最初のサブフレーム期間である赤色サブフレーム期間SFRが開始されると、表示装置2Bは、表示領域に配置された各画素に赤色の映像データを書き込み、かつ、赤色の発光素子を点灯させる。表示装置2Bは、赤色の発光素子を点灯させてから所定時間経過後に当該赤色の発光素子を非点灯状態に切り替える。その後、表示装置2Bは、赤色サブフレーム期間SFRと後述する緑色サブフレーム期間SFGとの間に挿入された透明サブフレーム期間SFTが開始されると、表示領域に配置された各画素に透明電圧を書き込み、表示装置2Bを透明状態にする。シャッター4Bは、透明サブフレーム期間SFTが開始されると、制御装置5Bからの制御信号に従って、当該シャッター4Bを閉状態から開状態に遷移させる。
【0074】
赤色サブフレーム期間SFRに続く透明サブフレーム期間SFTが終了し、緑色サブフレーム期間SFGが開始されると、表示装置2Bは、表示領域に配置された各画素に緑色の映像データを書き込み、かつ、緑色の発光素子を点灯させる。表示装置2Bは、緑色の発光素子を点灯させてから所定時間経過後に当該緑色の発光素子を非点灯状態に切り替える。その後、表示装置2Bは、緑色サブフレーム期間SFGと後述する青色サブフレーム期間SFBとの間に挿入された透明サブフレーム期間SFTが開始されると、表示領域に配置された各画素に透明電圧を書き込み、表示装置2Bを透明状態にする。シャッター4Bは、透明サブフレーム期間SFTが開始されると、制御装置5Bからの制御信号に従って、当該シャッター4Bを閉状態から開状態に遷移させる。
【0075】
緑色サブフレーム期間SFGに続く透明サブフレーム期間SFTが終了し、青色サブフレーム期間SFBが開始されると、表示装置2Bは、表示領域に配置された各画素に青色の映像データを書き込み、かつ、青色の発光素子を点灯させる。表示装置2Bは、青色の発光素子を点灯させてから所定時間経過後に当該青色の発光素子を非点灯状態に切り替える。その後、表示装置2Bは、青色サブフレーム期間SFBと次の1フレーム期間FPdに含まれる赤色サブフレーム期間SFRとの間に挿入された透明サブフレーム期間SFTが開始されると、表示領域に配置された各画素に透明電圧を書き込み、表示装置2Bを透明状態にする。シャッター4Bは、透明サブフレーム期間SFTが開始されると、制御装置5Bからの制御信号に従って、当該シャッター4Bを閉状態から開状態に遷移させる。
【0076】
カメラ3Bは、1フレーム期間FPcが開始されると、イメージセンサの最初の画素行から最後の画素行に向かって順次露光を開始し、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFBの間にそれぞれ挿入された透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行に対応する画像を撮像する。つまり、カメラ3Bは、
図11に示すように、赤色サブフレーム期間SFRと緑色サブフレーム期間SFGとの間に挿入された透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)と、緑色サブフレーム期間SFGと青色サブフレーム期間SFBとの間に挿入された透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)とに対応する画像を撮像する。
【0077】
赤色サブフレーム期間SFRと緑色サブフレーム期間SFGとの間に挿入された透明サブフレーム期間SFT中においては、カメラ3Bを構成するイメージセンサの上段から中段までの画素行が露光し、緑色サブフレーム期間SFGと青色サブフレーム期間SFBとの間に挿入された透明サブフレーム期間SFT中においては、カメラ3Bを構成するイメージセンサの中段から下段までの画素行が露光している。これによれば、
図11に示すように、カメラ3Bを構成するイメージセンサの中段の画素行(破線で囲まれた画素行)の露光時間が、上段および下段の画素行の露光時間に比べて長くなってしまい、第2比較例に係る表示システム1Bに含まれるカメラ3Bにおいては、画像中段領域が他の領域よりも明るい画像が撮像されてしまう。つまり、撮像画像に干渉縞が発生してしまう。
【0078】
これに対し、本実施形態に係る表示システム1は、表示装置2の4フレーム期間FPd1~FPd4に含まれる4つの透明サブフレーム期間SFTおいて、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行をそれぞれ、カメラ3の1フレーム期間FPc分露光させ、各画素行の露光時間を等しくすることができるため、上記した干渉縞の発生を抑制し、画像上段領域から画像下段領域にかけて均一な明るさの画像(要するに、画像全領域において均一な明るさの画像)を提供することが可能である。
【0079】
以下では、本実施形態に係る表示システム1の変形例について説明する。
(第1変形例)
図12は、第1変形例に係る表示システム1の動作を説明するための図である。第1変形例に係る表示システム1の動作は、
図12に示すように、カメラ3の1フレーム期間FPcが各画素行の露光期間に対応する点で、
図6に示した表示システム1の動作と相違している。なお、表示装置2の動作とシャッター4の動作とは、
図6に示した動作と同様であるため、ここではその詳しい説明を省略する。以下では、カメラ3の動作と、カメラ3により撮像される画像とについてのみ説明する。
【0080】
カメラ3は、1フレーム期間FPcが開始されると、イメージセンサの最初の画素行から最後の画素行に向かって順次露光を開始する。各画素行の露光時間は1フレーム期間FPcと等しく、例えば所定の画像を撮像するための所定の画素行の露光が終了し、当該画素行における読出し期間が終了すると、次の画像を撮像するための当該所定の画素行の露光が直ちに開始される。
【0081】
カメラ3は、表示装置2の第1フレーム期間FPd1に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(左下がりの線が付された画素行)と、表示装置2の第2フレーム期間FPd2に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(左下がりの線が付された画素行)とに対応する画像として、画像I11を撮像する。
【0082】
また、カメラ3は、表示装置2の第2フレーム期間FPd2に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(左下がりの太線が付された画素行)と、表示装置2の第3フレーム期間FPd3に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(左下がりの太線が付された画素行)とに対応する画像として、画像I12を撮像する。
【0083】
さらに、カメラ3は、表示装置2の第3フレーム期間FPd3に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(右下がりの線が付された画素行)と、表示装置2の第4フレーム期間FPd4に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(右下がりの線が付された画素行)とに対応する画像として、画像I13を撮像する。
【0084】
以上説明した
図12に示す動作においても、
図6に示した動作と同様に、表示装置2の4フレーム期間FPd1~FPd4に含まれる4つの透明サブフレーム期間SFTおいて、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行をそれぞれ、カメラ3の1フレーム期間FPc分露光させ、各画素行の露光時間を等しくすることができる。このため、画像I11~I13に基づき表示され得る画像IBを、
図12に示すように、画像上段領域から画像下段領域にかけて均一な明るさの画像(要するに、画像全領域において均一な明るさの画像)にすることができ、
図6に示した動作と同様な効果を得ることが可能である。
【0085】
なお、
図13に示すように、カメラ3は、表示装置2の第4フレーム期間FPd4に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(右下がりの太線が付された画素行)と、次の第1フレーム期間FPd1に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(右下がりの太線が付された画素行)とに対応する画像として、画像I14をさらに撮像してもよい。この場合においても、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行の露光時間を等しくすることができるため、画像I11~I14に基づき表示され得る画像ICを、
図13に示すように、画像上段領域から画像下段領域にかけて均一な明るさの画像(要するに、画像全領域において均一な明るさの画像)にすることができ、
図6に示した動作と同様な効果を得ることが可能である。なお、画像I11~I14に基づき表示され得る画像ICは、画像I11~I13に基づき表示され得る画像IBに比べて、画像I14を含む分、より明るい画像にすることが可能である。
【0086】
(第2変形例)
図14は、第2変形例に係る表示システム1の動作を説明するための図である。第2変形例に係る表示システム1の動作は、
図14に示すように、カメラ3の1フレーム期間FPcが、表示装置2の1フレーム期間FPdよりも短く(つまり、カメラ3の1フレーム期間FPcが表示装置2の1フレーム期間FPdと一致せず)、表示装置2の4フレーム期間(つまり、1周期)と、カメラ3の8フレーム期間とが一致する点で、
図6に示した表示システム1の動作と相違している。換言すると、第2変形例においては、表示装置2の1周期に含まれる4フレーム期間の時間と、カメラ3の1フレーム期間にN(この場合、N=8)を掛けた時間とが等しい場合の表示システム1の動作について説明する。なお、表示装置2の動作とシャッター4の動作とは、
図6に示した動作と同様であるため、ここではその詳しい説明を省略する。以下では、カメラ3の動作と、カメラ3により撮像される画像とについてのみ説明する。
【0087】
カメラ3は、第1フレーム期間FPc1が開始されると、イメージセンサの最初の画素行から最後の画素行に向かって順次露光を開始し、表示装置2の第1フレーム期間FPd1に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I21を撮像する。
【0088】
また、第4フレーム期間FPc4において、カメラ3は、表示装置2の第2フレーム期間FPd2に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I22を撮像する。
【0089】
さらに、第6フレーム期間FPc6において、カメラ3は、表示装置2の第3フレーム期間FPd3に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I23を撮像する。
【0090】
また、第7フレーム期間FPc7において、カメラ3は、表示装置2の第4フレーム期間FPd4に含まれる透明サブフレーム期間SFT中に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I24を撮像する。
【0091】
なお、カメラ3は、第2フレーム期間FPc2、第3フレーム期間FPc3、第5フレーム期間FPc5および第8フレーム期間FPc8においても、イメージセンサの最初の画素行から最後の画素行を順次走査するものの、閉状態のシャッター4によりカメラ3に向かう光が遮光されているため、何も映らず、黒色となる。この黒色の画像は、例えば廃棄されてもよい。
【0092】
以上説明した
図14に示す動作においても、表示装置2の4フレーム期間FPd1~FPd4に含まれる4つの透明サブフレーム期間SFTにおいて、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行をそれぞれ、カメラ3の2フレーム期間分露光させ、各画素行の露光時間を等しくすることができる。このため、画像I21~I24に基づき表示され得る画像IDを、
図14に示すように、画像上段領域から画像下段領域にかけて均一な明るさの画像(要するに、画像全領域において均一な明るさの画像)にすることができ、
図6に示した動作と同様な効果を得ることが可能である。
【0093】
(第3変形例)
図15は、第3変形例に係る表示システム1の動作を説明するための図である。第3変形例に係る表示システム1の動作周期は、
図15に示すように、表示装置2の2フレーム期間(または、カメラ3の2フレーム期間)に相当し、この点において、
図6に示した動作と相違している。また、第3変形例に係る表示システム1の動作は、
図15に示すように、表示装置2の1フレーム期間FPdに含まれる透明サブフレーム期間SFTの長さが、表示装置2の1フレーム期間FPdに含まれるその他のサブフレーム期間SFR,SFG,SFBの長さの半分になっている点で、
図6に示した表示システム1の動作と相違している。さらに、第3変形例に係る表示システム1の動作は、
図15に示すように、発光素子LSが、表示装置2の1フレーム期間FPdに含まれるサブフレーム期間SFR,SFG,SFBの半分の時間において点灯状態となり、残りの半分の時間において非点灯状態となるように制御される点で、
図6に示した表示システム1の動作と相違している。また、第3変形例に係る表示システム1の動作は、
図15に示すように、シャッター4が各サブフレーム期間SFR,SFG,SFBの半分の時間の間(より詳しくは、発光素子LSが非点灯状態となっている時間の間)、開状態となり、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFBの残りの半分の時間の間(より詳しくは、発光素子LSが点灯状態となっている時間の間)、閉状態となるように制御される点で、
図6に示した表示システム1の動作と相違している。さらに、第3変形例に係る表示システム1の動作は、
図15に示すように、シャッター4が第1フレーム期間FPd1に含まれる透明サブフレーム期間SFTにおいては、開状態となり、第2フレーム期間FPd2に含まれる透明サブフレーム期間SFTにおいては、閉状態となるように制御される点で、
図6に示した表示システム1の動作と相違している。なお、ここでは説明の便宜上、表示装置2の1フレーム期間FPd1と、カメラ3の1フレーム期間FPcとが一致し、カメラ3の1フレーム期間FPcが露光期間EPのみを含む場合を想定する。
【0094】
表示装置2の第1フレーム期間FPd1において、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTは、
図15に示すように、赤色サブフレーム期間SFR、緑色サブフレーム期間SFG、青色サブフレーム期間SFB、透明サブフレーム期間SFTの順に並んでいる。
【0095】
図15に示すように、表示装置2の第1フレーム期間FPd1に含まれる最初のサブフレーム期間である赤色サブフレーム期間SFRが開始されると、表示装置2は、当該赤色サブフレーム期間SFRの前半の時間SFR1において、制御装置5内の表示制御部51からの制御信号に従って、表示領域DAに配置された各画素PXに赤色の映像データを書き込む。赤色サブフレーム期間SFRの前半の時間SFR1において、各画素PXには赤色の映像データが書き込まれるものの、発光素子LSは非点灯状態のため、表示装置2はある偏光成分を有した光を透過する状態となる。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を開状態にする。これによれば、表示装置2から、ある偏光成分を有した光が出射され、かつ、シャッター4が開状態のため、カメラ3は、表示装置2越しに当該表示装置2の前方に位置する被写体を撮像することが可能になる。
【0096】
第1フレーム期間FPd1に含まれる赤色サブフレーム期間SFRの後半の時間SFR2において、表示装置2は、赤色の発光素子LSRを点灯させる。これによれば、表示装置2には赤色の画像が表示される。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加し、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。これによれば、シャッター4は、カメラ3に向かう光を遮光することができる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は正極性(+極性)となる。
【0097】
第1フレーム期間FPd1に含まれる赤色サブフレーム期間SFRが終了し、緑色サブフレーム期間SFGが開始されると、表示装置2は、当該緑色サブフレーム期間SFGの前半の時間SFG1において、制御装置5内の表示制御部51からの制御信号に従って、表示領域DAに配置された各画素PXに緑色の映像データを書き込む。緑色サブフレーム期間SFGの前半の時間SFG1において、各画素PXには緑色の映像データが書き込まれるものの、発光素子LSは非点灯状態のため、赤色サブフレーム期間SFRの前半の時間SFR1と同様に、表示装置2はある偏光成分を有した光を透過する状態となる。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加することで、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。
【0098】
第1フレーム期間FPd1に含まれる緑色サブフレーム期間SFGの後半の時間SFG2において、表示装置2は、緑色の発光素子LSGを点灯させる。これによれば、表示装置2には緑色の画像が表示される。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。より詳しくは、シャッター4は、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加し、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。これによれば、シャッター4は、カメラ3に向かう光を遮光することができる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は負極性(-極性)となる。
【0099】
第1フレーム期間FPd1に含まれる緑色サブフレーム期間SFGが終了し、青色サブフレーム期間SFBが開始されると、表示装置2は、当該青色サブフレーム期間SFBの前半の時間SFB1において、制御装置5内の表示制御部51からの制御信号に従って、表示領域DAに配置された各画素PXに青色の映像データを書き込む。青色サブフレーム期間SFBの前半の時間SFB1において、各画素PXには青色の映像データが書き込まれるものの、発光素子LSは非点灯状態のため、赤色サブフレーム期間SFRの前半の時間SFR1や緑色サブフレーム期間SFGの前半の時間SFG1と同様に、表示装置2はある偏光成分を有した光を透過する状態となる。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加し、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。
【0100】
第1フレーム期間FPd1に含まれる青色サブフレーム期間SFBの後半の時間SFB2において、表示装置2は、青色の発光素子LSBを点灯させる。これによれば、表示装置2には青色の画像が表示される。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加し、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は正極性となる。
【0101】
第1フレーム期間FPd1に含まれる青色サブフレーム期間SFBが終了し、透明サブフレーム期間SFTが開始されると、表示装置2は、制御装置5内の表示制御部51からの制御信号に従って、表示領域DAに配置された各画素PXに透明電圧を書き込み、透明状態となる。シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加し、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。
【0102】
カメラ3は、第1フレーム期間FPc1が開始されると、イメージセンサの最初の画素行から最後の画素行に向かって順次露光を開始する。カメラ3は、赤色サブフレーム期間SFRの前半の時間SFR1中と、緑色サブフレーム期間SFGの前半の時間SFG1中と、青色サブフレーム期間SFBの前半の時間SFB1中と、透明サブフレーム期間SFT中と、に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I41を撮像する。
【0103】
続いて、表示装置2の第2フレーム期間FPd2について説明する。表示装置2の第2フレーム期間FPd2において、各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTは、
図15に示すように、透明サブフレーム期間SFT、赤色サブフレーム期間SFR、緑色サブフレーム期間SFG、青色サブフレーム期間SFBの順に並んでいる。各サブフレーム期間SFR,SFG,SFB,SFTにおける表示装置2の動作は、第1フレーム期間FPd1と同様なため、ここではその詳しい説明を省略する。以下では、シャッター4の動作と、カメラ3により撮像される画像とについてのみ説明する。
【0104】
図15に示すように、表示装置2の第2フレーム期間FPd2に含まれる最初のサブフレーム期間である透明サブフレーム期間SFTが開始されると、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加し、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は負極性となる。
【0105】
第2フレーム期間FPd2に含まれる透明サブフレーム期間SFTが終了し、赤色サブフレーム期間SFRが開始されると、前半の時間SFR1において、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加し、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。一方、後半の時間SFR2において、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加し、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は正極性となる。
【0106】
第2フレーム期間FPd2に含まれる赤色サブフレーム期間SFRが終了し、緑色サブフレーム期間SFGが開始されると、前半の時間SFG1において、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加し、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。一方、後半の時間SFG2において、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加し、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも低い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は負極性となる。
【0107】
第2フレーム期間FPd2に含まれる緑色サブフレーム期間SFGが終了し、青色サブフレーム期間SFBが開始されると、前半の時間SFB1において、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位と同電位の電圧を印加し、当該シャッター4を閉状態から開状態に遷移させる。一方、後半の時間SFB2において、シャッター4は、制御装置5内のシャッター制御部53からの制御信号に従って、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加し、当該シャッター4を開状態から閉状態に遷移させる。なお、ここでは、上記したように、第1電極31に基準電位よりも高い電圧を印加してシャッター4を閉状態に遷移させているため、当該シャッター4の極性は正極性となる。
【0108】
カメラ3は、第2フレーム期間FPc2が開始されると、イメージセンサの最初の画素行から最後の画素行に向かって順次露光を開始し、カメラ3は、赤色サブフレーム期間SFRの前半の時間SFR1中と、緑色サブフレーム期間SFGの前半の時間SFG1中と、青色サブフレーム期間SFBの前半の半分の時間SFB1中と、に露光した画素行(斜線が付された画素行)に対応する画像として、画像I42を撮像する。
【0109】
以上説明した
図15に示す動作によれば、表示装置2の2フレーム期間FPd1,FPd2の半分の時間を、ある偏光成分を有した光を透過する状態または透明状態にすることができ、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行をそれぞれ、カメラ3の1フレーム期間FPc分露光させ、各画素行の露光時間を等しくすることができる。このため、画像I41,42に基づき表示され得る画像IEを、
図15に示すように、画像上段領域から画像下段領域にかけて均一な明るさの画像(要するに、画像全領域において均一な明るさの画像)にすることができ、
図6に示した動作と同様な効果を得ることが可能である。
【0110】
また、以上説明した
図15に示す動作では、シャッター4の極性は、シャッター4を閉状態に遷移させる度に、前回閉状態に遷移させた際の極性と反転するように制御される。これによれば、
図15に示すように、2周期において、シャッター4が正極性を示す時間と、シャッター4が負極性を示す時間とを一致させることが可能であり、
図6に示した動作と同様に、いわゆる焼き付きの発生を抑制することができる。
【0111】
以上説明した一実施形態に係る表示システム1は、画像を表示し外光を透過する表示領域DAと、発光素子LSと、を有する表示装置2と、表示装置2の後方に配置されるローリングシャッター方式のカメラ3と、表示装置2とカメラ3との間に配置されるシャッター4と、表示装置2の動作とシャッター4の動作とを制御する制御装置5と、を備える。表示装置2は、発光素子LSを点灯させ、表示領域DAに画像を表示する赤色サブフレーム期間SFR、緑色サブフレーム期間SFGおよび青色サブフレーム期間SFBと、発光素子LSを点灯させずに、表示領域DAを透明状態にする透明サブフレーム期間SFTと、を含む1フレーム期間に従って動作する。制御装置5は、複数の1フレーム期間を1周期として表示装置2の動作を周期的に制御し、且つ、1周期に含まれる複数の1フレーム期間が、1フレーム期間の開始から互いに異なるタイミングで透明サブフレーム期間SFTを開始するように表示装置2の動作を制御する。また、制御装置5は、赤色サブフレーム期間、緑色サブフレーム期間および青色サブフレーム期間においてはカメラ3に向かう光を遮光し、透明サブフレーム期間SFTにおいてはカメラ3に向かう光を遮光するようにシャッター4の動作を制御する。
【0112】
これによれば、1周期に含まれる複数の透明サブフレーム期間SFTにおいて、カメラ3を構成するイメージセンサの各画素行をそれぞれ等しい時間だけ露光させることができるため、ローリングシャッター方式のカメラ3により撮像された画像に生じ得る干渉縞の発生を抑制し、均一な明るさの画像を撮像(提供)することが可能である。
【0113】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1…表示システム、2…表示装置、3…カメラ、4…シャッター、5…制御装置、6…コンピュータ(ユーザ側)、6´…コンピュータ(通話相手側)、U1…ユーザ、U2…通話相手、NW…ネットワーク。