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特開2024-108500車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108500
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/16 20200101AFI20240805BHJP
   B60W 50/035 20120101ALI20240805BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240805BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20240805BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20240805BHJP
   B60W 20/40 20160101ALI20240805BHJP
   B60W 20/50 20160101ALI20240805BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240805BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W50/035
B60W60/00
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/40 ZHV
B60W20/50
B60L50/16
G08G1/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012903
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】519373914
【氏名又は名称】株式会社J-QuAD DYNAMICS
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌谷 英輝
(72)【発明者】
【氏名】成田 隆大
【テーマコード(参考)】
3D202
3D241
5H125
5H181
【Fターム(参考)】
3D202BB08
3D202BB16
3D202CC89
3D202DD00
3D202DD11
3D241BA02
3D241BA44
3D241BA64
3D241BA66
3D241BB07
3D241BB21
3D241BC01
3D241CA06
3D241CC02
3D241CC03
3D241CC08
3D241CE05
3D241DA69Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC02Z
3D241DC21Z
3D241DC45Z
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125CA04
5H125CA09
5H125EE52
5H125EE66
5H181AA01
5H181BB08
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】後続車を検出することができない場合においても、周辺車両の円滑な交通を妨げずに、自律走行制御により自車両を自律走行させることができる車両運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両運転支援装置10は、自車両100の車速を設定車速範囲で増減させながら自車両を自律走行させる車速増減制御又は自車両と自車両の周辺の他車両との間の車間距離を設定車間距離範囲で増減させながら又は自車両が車間距離を走行するのに要する時間を設定時間範囲で増減させながら自車両を自律走行させる車間距離増減制御を実行可能である。車両運転支援装置は、車速増減制御又は車間距離増減制御の実行中、後続車300を検出する後続車検出装置52に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合、制御範囲変更条件が成立していない場合よりも、設定車速範囲又は設定車間距離範囲を小さい範囲に設定する。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の車速を設定車速範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車速増減制御、又は、前記自車両と該自車両の周辺の他車両との間の車間距離を設定車間距離範囲で増減させながら又は前記自車両が前記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車間距離増減制御を実行可能に構成された制御装置を備えた車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御の実行中、後続車を検出する後続車検出装置に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合、該制御範囲変更条件が成立していない場合よりも、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を小さい範囲に設定するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記車速を設定車速に維持しながら前記自車両を自律走行させる車速維持制御、又は、前記車間距離を設定車間距離に維持しながら又は前記自車両が前記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間に維持しながら前記自車両を自律走行させる車間距離維持制御を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、前記車速増減制御の実行中、前記後続車検出装置が正常であり且つ前記後続車が検出され且つ当該後続車と前記自車両との間の距離が所定距離以下である又は前記自車両が当該後続車と前記自車両との間の距離を走行するのに要する時間が所定時間以下であるとの走行モード切替条件が成立した場合、前記車速増減制御を中止して前記車速維持制御を実行し、前記車間距離増減制御の実行中に前記走行モード切替条件が成立した場合、前記車間距離増減制御を中止して前記車間距離維持制御を実行するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、内燃機関及び電動モータの両方又は前記内燃機関のみを作動させて前記自車両に動力を加えて当該自車両を走行させる第1駆動モード、及び、前記電動モータのみを作動させて前記自車両に前記動力を加えて当該自車両を走行させる第2駆動モードで前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行可能に構成されており、
前記設定車速範囲は、前記第1駆動モードで前記車速増減制御が実行されるときよりも、前記第2駆動モードで前記車速増減制御が実行されるときのほうが小さい範囲に設定されており、
前記設定車間距離範囲は、前記第1駆動モードで前記車間距離増減制御が実行されるときよりも、前記第2駆動モードで前記車間距離増減制御が実行されるときのほうが小さい範囲に設定されており、
前記制御範囲変更条件は、前記第1駆動モードで前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行しているとの条件を含んでおり、
前記制御装置は、前記第2駆動モードで前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行しているときには、前記制御範囲変更条件が成立しても、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を変更しないように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記自車両の動力装置での動力発生損失又は前記動力装置から前記自車両の駆動輪への動力伝達損失を低減させた第1状態での動力制御と前記動力装置を前記駆動輪に機械的に又は電気的に接続して前記駆動輪に動力を加える第2状態での動力制御とを選択的に実行して前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、前記第1状態での前記動力制御と前記第2状態での前記動力制御とを選択的に実行しながら前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行しているときに前記制御範囲変更条件が成立していない場合において、前記第1駆動モードでの前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御により前記自車両を自律走行させている場合、前記第2駆動モードでの前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御により前記自車両を自律走行させている場合よりも、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を大きい範囲に設定するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項5】
自車両の車速を設定車速範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車速増減制御、又は、前記自車両と該自車両の周辺の他車両との間の車間距離を設定車間距離範囲で増減させながら又は前記自車両が前記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車間距離増減制御を実行する車両運転支援方法であって、
前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御の実行中、後続車を検出する後続車検出装置に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合、該制御範囲変更条件が成立していない場合よりも、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を小さい範囲に設定する工程を具備する車両運転支援方法。
【請求項6】
自車両の車速を設定車速範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車速増減制御、又は、前記自車両と該自車両の周辺の他車両との間の車間距離を設定車間距離範囲で増減させながら又は前記自車両が前記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車間距離増減制御を実行する車両運転支援プログラムであって、
前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御の実行中、後続車を検出する後続車検出装置に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合、該制御範囲変更条件が成立していない場合よりも、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を小さい範囲に設定するように構成されている車両運転支援プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の車速が設定車速範囲で増減するように或いは自車両と先行車との間の車間距離が設定車間距離範囲で増減するように自車両の動力装置の作動を自律的に制御して自車両を走行させる自律走行制御を実行する車両運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。当該車両運転支援装置は、上記自律走行制御により自車両を走行させることにより、動力装置において消費されるエネルギー量(消費エネルギー量)の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-95320号公報
【発明の概要】
【0004】
上記自律走行制御の実行時に後続車が存在する場合において、自車両の車速が過剰に大きく増減したり、自車両と先行車との間の車間距離が過剰に大きく増減したりすると、後続車が車速を大きく増減させることになり、後続車を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。従って、周辺車両の円滑な交通を維持するためには、上記自律走行制御の実行時に後続車が存在する場合には、当該後続車の存在を考慮して自律走行制御を実行することが望ましい。
【0005】
しかしながら、そのためには、後続車を検出する検出装置により後続車を検出する必要があるが、その検出装置に異常が発生する等して、後続車を検出することができない場合、後続車の存在を考慮して自律走行制御を実行することができず、従って、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自律走行制御を実行することができない。
【0006】
本発明の目的は、後続車を検出することができない場合においても、周辺車両の円滑な交通を妨げずに、自律走行制御により自車両を自律走行させることができる車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラムを提供することにある。
【0007】
本発明に係る車両運転支援装置は、自車両の車速を設定車速範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車速増減制御、又は、前記自車両と該自車両の周辺の他車両との間の車間距離を設定車間距離範囲で増減させながら又は前記自車両が前記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車間距離増減制御を実行可能に構成された制御装置を備えている。そして、前記制御装置は、前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御の実行中、後続車を検出する後続車検出装置に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合、該制御範囲変更条件が成立していない場合よりも、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を小さい範囲に設定するように構成されている。
【0008】
車速増減制御又は車間距離増減制御により自車両を自律走行させているときに後続車が存在する場合において、自車両の車速が過剰に大きく増減したり、自車両と当該自車両の周辺の他車両との間の車間距離が過剰に大きく増減したりすると、後続車が車速を大きく増減させることになり、後続車を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。従って、周辺車両の円滑な交通を維持するためには、車速増減制御又は車間距離増減制御により自車両を自律走行させているときに後続車が存在する場合、当該後続車の存在を考慮して車速増減制御又は車間距離増減制御により自車両を自律走行させることが望ましい。しかしながら、そのためには、後続車検出装置により後続車を検出する必要があるが、後続車検出装置に異常が発生する等して、後続車を検出することができない場合、後続車の存在を考慮して車速増減制御又は車間距離増減制御を実行することができず、従って、周辺車両の円滑な交通が維持されるように車速増減制御又は車間距離増減制御により自車両を自律走行させることができない。
【0009】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、後続車検出装置に異常が発生した場合、後続車検出装置が正常である場合よりも、設定車速範囲又は設定車間距離範囲が小さい範囲に設定される。これによれば、自車両の車速や自車両と先行車との間の車間距離が狭い範囲内の値に維持されるので、自車両の車速が過剰に大きく増減したり、自車両と先行車との間の車間距離が過剰に大きく増減したりすることを抑制することができる。従って、後続車を検出することができない場合においても、周辺車両の円滑な交通を妨げずに、自律走行制御により自車両を自律走行させることができる。
【0010】
尚、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記車速を設定車速に維持しながら前記自車両を自律走行させる車速維持制御、又は、前記車間距離を設定車間距離に維持しながら又は前記自車両が前記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間に維持しながら前記自車両を自律走行させる車間距離維持制御を実行可能に構成され得る。そして、この場合、前記制御装置は、前記車速増減制御の実行中、前記後続車検出装置が正常であり且つ前記後続車が検出され且つ当該後続車と前記自車両との間の距離が所定距離以下である又は前記自車両が当該後続車と前記自車両との間の距離を走行するのに要する時間が所定時間以下であるとの走行モード切替条件が成立した場合、前記車速増減制御を中止して前記車速維持制御を実行し、前記車間距離増減制御の実行中に前記走行モード切替条件が成立した場合、前記車間距離増減制御を中止して前記車間距離維持制御を実行するように構成され得る。
【0011】
車速増減制御又は車間距離増減制御により自車両を自律走行させているときに後続車が存在する場合において、自車両の車速が過剰に大きく増減したり、自車両と先行車との間の車間距離が過剰に大きく増減したりすると、後続車が車速を大きく増減させることになり、後続車を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。
【0012】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、後続車が自車両の比較的近くに存在する場合、即ち、走行モード切替条件が成立した場合、車速増減制御又は車間距離増減制御が中止されて車速維持制御又は車間距離維持制御が実行される。これによれば、自車両の車速が一定に維持され、又、自車両と先行車との間の車間距離が一定に維持される。従って、後続車が自車両の比較的近くに存在する場合においても、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両を自律走行させることができる。
【0013】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、内燃機関及び電動モータの両方又は前記内燃機関のみを作動させて前記自車両に動力を加えて当該自車両を走行させる第1駆動モード、及び、前記電動モータのみを作動させて前記自車両に前記動力を加えて当該自車両を走行させる第2駆動モードで前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行可能に構成され得る。この場合、前記設定車速範囲は、例えば、前記第1駆動モードで前記車速増減制御が実行されるときよりも、前記第2駆動モードで前記車速増減制御が実行されるときのほうが小さい範囲に設定される。又、前記設定車間距離範囲は、例えば、前記第1駆動モードで前記車間距離増減制御が実行されるときよりも、前記第2駆動モードで前記車間距離増減制御が実行されるときのほうが小さい範囲に設定される。又、前記制御範囲変更条件は、例えば、前記第1駆動モードで前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行しているとの条件を含んでいる。そして、前記制御装置は、前記第2駆動モードで前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行しているときには、前記制御範囲変更条件が成立しても、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を変更しないように構成され得る。
【0014】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、第2駆動モードで車速増減制御又は車間距離増減制御により自車両が自律走行されている場合、設定車速範囲又は設定車間距離範囲は、比較的小さい範囲に設定されている。従って、後続車検出装置に異常が発生する等して、後続車を検出することができない状況においても、設定車速範囲又は設定車間距離範囲を変更せずに、車速増減制御又は車間距離増減制御による自車両の自律走行を継続しても、自車両の車速が過剰に大きく増減したり、自車両と先行車との間の車間距離が過剰に大きく増減したりすることはなく、従って、後続車が車速を大きく増減させることもない。このため、周辺車両の円滑な交通を妨げる可能性は小さい。従って、設定車速範囲又は設定車間距離範囲を変更することなく、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両を車速増減制御又は車間距離増減制御により自律走行させることができる。
【0015】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記自車両の動力装置での動力発生損失又は前記動力装置から前記自車両の駆動輪への動力伝達損失を低減させた第1状態での動力制御と前記動力装置を前記駆動輪に機械的に又は電気的に接続して前記駆動輪に動力を加える第2状態での動力制御とを選択的に実行して前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行可能に構成され得る。この場合、前記制御装置は、前記第1状態での前記動力制御と前記第2状態での前記動力制御とを選択的に実行しながら前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御を実行しているときに前記制御範囲変更条件が成立していない場合において、前記第1駆動モードでの前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御により前記自車両を自律走行させている場合、前記第2駆動モードでの前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御により前記自車両を自律走行させている場合よりも、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を大きい範囲に設定するように構成され得る。
【0016】
自律走行制御を実行する場合、即ち、第1状態での動力制御と第2状態での動力制御とを選択的に実行しながら車速増減制御又は車間距離増減制御により自車両を自律走行させる場合において、自車両を第1駆動モードで自律走行させるときに、設定車速範囲又は設定車間距離範囲が大きい範囲に設定されていると、概して、消費エネルギー量の低減効果が大きくなる。しかしながら、自車両を第2駆動モードで自律走行させるときに、設定車速範囲又は設定車間距離範囲が大きい範囲に設定されても、消費エネルギー量の低減効果はさほど大きくならないにもかかわらず、周辺車両の円滑な交通を妨げてしまう虞を高めてしまう。
【0017】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、第1状態での動力制御と第2状態での動力制御とを選択的に実行しながら車速増減制御又は車間距離増減制御により自車両を自律走行させているときに制御範囲変更条件が成立していない場合において、駆動モードが第1駆動モードである場合、駆動モードが第2駆動モードである場合よりも、設定車速範囲又は設定車間距離範囲が大きい範囲に設定される。従って、周辺車両の円滑な交通を妨げてしまうことを抑制しつつ、駆動モードに応じて一定の消費エネルギー量の低減効果を得ることができる。
【0018】
又、本発明に係る車両運転支援方法は、自車両の車速を設定車速範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車速増減制御、又は、前記自車両と該自車両の周辺の他車両との間の車間距離を設定車間距離範囲で増減させながら又は前記自車両が前記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車間距離増減制御を実行する方法である。そして、本発明に係る車両運転支援方法は、前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御の実行中、後続車を検出する後続車検出装置に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合、該制御範囲変更条件が成立していない場合よりも、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を小さい範囲に設定する工程を具備している。
【0019】
本発明に係る車両運転支援方法によれば、上述した理由と同じ理由から、後続車を検出することができない場合においても、周辺車両の円滑な交通を妨げずに、自律走行制御により自車両を自律走行させることができる。
【0020】
又、本発明に係る車両運転支援プログラムは、自車両の車速を設定車速範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車速増減制御、又は、前記自車両と該自車両の周辺の他車両との間の車間距離を設定車間距離範囲で増減させながら又は前記自車両が前記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間範囲で増減させながら前記自車両を自律走行させる車間距離増減制御を実行するプログラムである。そして、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記車速増減制御又は前記車間距離増減制御の実行中、後続車を検出する後続車検出装置に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合、該制御範囲変更条件が成立していない場合よりも、前記設定車速範囲又は前記設定車間距離範囲を小さい範囲に設定するように構成されている。
【0021】
本発明に係る車両運転支援プログラムによれば、上述した理由と同じ理由から、後続車を検出することができない場合においても、周辺車両の円滑な交通を妨げずに、自律走行制御により自車両を自律走行させることができる。
【0022】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置を示した図である。
図2図2の(A)は、自車両の前に先行車が存在する場面を示した図であり、図2の(B)は、自車両の前に先行車が存在しない場面を示した図である。
図3図3の(A)は、自車両の前方に先行車が存在せず、自車両の後方に後続車が存在する場面を示した図であり、図3の(B)は、自車両の前方に先行車が存在し、自車両の後方に後続車が存在する場面を示した図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図7図7は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図8図8は、エコ自律走行制御が終了されて通常車速制御が実行されるときの道路勾配及び自車速の変化を示したタイムチャートである。
図9図9は、エコ自律走行制御が終了されて惰行制御が実行された後に通常車速制御が実行されるときの道路勾配及び自車速の変化を示したタイムチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図11図11は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図12図12は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図13図13は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラムについて説明する。図1に、車両運転支援装置10が示されている。車両運転支援装置10は、自車両100に搭載される。以下、自車両100の操作者が自車両100に乗車して当該自車両100の運転を行う者(即ち、自車両100の運転者)である場合を例にして、車両運転支援装置10について説明する。
【0025】
しかしながら、自車両100の操作者は、自車両100に乗車せずに当該自車両100の運転を遠隔で行う者(即ち、自車両100の遠隔操作者)であってもよい。自車両100の操作者が遠隔操作者である場合、車両運転支援装置10は、自車両100と、自車両100の運転を遠隔で行うために自車両100の外に設置された遠隔操作設備とにそれぞれ搭載され、以下で説明する車両運転支援装置10の機能は、自車両100に搭載された車両運転支援装置10と、遠隔操作設備に搭載された車両運転支援装置10とでそれぞれ分担して行われることになる。
【0026】
図1に示したように、車両運転支援装置10は、制御装置としてのECU(電子制御装置)90を備えている。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM及び不揮発性メモリ等の記憶媒体、並びに、インターフェース等を含む。CPUは、記憶媒体に格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。特に、本例において、車両運転支援装置10は、当該車両運転支援装置10が実行する各種制御を実現するプログラムを記憶媒体に記憶している。
【0027】
尚、車両運転支援装置10は、記録媒体に記憶してあるプログラムを外部の装置との無線通信(例えば、インターネット通信)により更新(アップデート)することができるように構成されていてもよい。
【0028】
図1に示したように、自車両100には、動力装置20及び制動装置30が搭載されている。動力装置20は、自車両100(特に、自車両100の駆動輪)に付与される動力を発生する装置であり、本例において、内燃機関21及び電動モータ22を備えている。又、制動装置30は、自車両100(特に、自車両100の車輪)に制動力を付与する装置であり、本例において、油圧ブレーキ装置31を備えている。内燃機関21、電動モータ22及び油圧ブレーキ装置31は、ECU90に電気的に接続されている。車両運転支援装置10は、内燃機関21、電動モータ22及び油圧ブレーキ装置31の作動を制御することができる。
【0029】
更に、自車両100には、バッテリ等の蓄電装置41及び充電量センサ42が搭載されている。電動モータ22は、蓄電装置41に蓄電されている電力により作動されるようになっている。又、電動モータ22は、内燃機関21から出力される動力により発電し、発電した電力を蓄電装置41に充電するようにもなっている。充電量センサ42は、蓄電装置41に充電されている電力量を検出するセンサである。充電量センサ42は、ECU90に電気的に接続されている。車両運転支援装置10は、充電量センサ42により蓄電装置41に充電されている電力量を検出する。
【0030】
更に、自車両100には、周辺情報検出装置50が搭載されている。周辺情報検出装置50は、自車両100の周辺の情報を周辺情報検出情報ISとして取得する装置である。本例において、周辺情報検出装置50は、前方情報検出装置51及び後方情報検出装置52を備えている。
【0031】
前方情報検出装置51は、レーダセンサ等の前方電磁波センサ511及びカメラセンサ等の前方画像センサ512を備えている。前方電磁波センサ511及び前方画像センサ512は、ECU90に電気的に接続されている。車両運転支援装置10は、前方電磁波センサ511により自車両100の前方の物標に関するデータ(前方物標情報IF_O)を前方検出情報IFとして取得する。又、車両運転支援装置10は、前方画像センサ512により自車両100の前方の画像データ(前方画像情報IF_C)を前方検出情報IFとして取得する。
【0032】
車両運転支援装置10は、前方物標情報IF_O及び/又は前方画像情報IF_Cに基づいて先行車200を検出し、更に、先行車距離DFを取得する。先行車200は、図2の(A)に示したように、自車両100から所定距離以内の距離で自車両100の前を走行している他車両であって、自車走行車線LN1を走行している他車両である。又、先行車距離DFは、自車両100と先行車200との間の距離(車間距離)である。
【0033】
又、後方情報検出装置52は、レーダセンサ等の後方電磁波センサ521及びカメラセンサ等の後方画像センサ522を備えている。後方電磁波センサ521及び後方画像センサ522は、ECU90に電気的に接続されている。車両運転支援装置10は、後方電磁波センサ521により自車両100の後方の物標に関するデータ(後方物標情報IR_O)を後方検出情報IRとして取得する。又、車両運転支援装置10は、後方画像センサ522により自車両100の後方の画像データ(後方画像情報IR_C)を後方検出情報IRとして取得する。
【0034】
車両運転支援装置10は、後方物標情報IR_O及び/又は後方画像情報IR_Cに基づいて後続車300を検出し、更に、後続車距離DRを取得する。後続車300は、図3の(A)及び(B)に示したように、自車両100から所定距離以内の距離で自車両100の後方を走行する他車両であって、自車走行車線LN1を走行している他車両である。又、後続車距離DRは、自車両100と後続車300との間の距離(車間距離)である。
【0035】
<車両運転支援装置の作動の概要>
次に、車両運転支援装置10の作動の概要について説明する。
【0036】
車両運転支援装置10は、動力装置20での動力発生損失又は動力装置20から駆動輪への動力伝達損失を低減させた第1状態での動力制御(例えば、後述する惰行制御)と、動力装置20を駆動輪に機械的に又は電気的に接続して駆動輪に動力を加える第2状態での動力制御(例えば、後述する最適力行制御)と、を選択的に実行して自車両100の制御値(例えば、後述する自車速V、先行車距離DF又は先行車到達時間TF)を設定制御範囲(例えば、後述する設定車速範囲R_V、設定先行車距離範囲R_DF又は設定先行車到達時間TF_S)で増減させる第1走行モードで自車両100を自律走行させる自律走行制御(例えば、後述するエコ車速制御又はエコ車間距離制御)を実行可能に構成されている。
【0037】
本例において、動力装置20を駆動輪に機械的に接続して駆動輪に動力を加えるとは、内燃機関21から出力される動力を自車両100の駆動輪に入力することを言い、このように動力が駆動輪に入力されることにより、自車両100が走行される。又、本例において、動力装置20を電気的に接続して駆動輪に動力を入力するとは、電動モータ22から出力される動力を自車両100の駆動輪に入力することを言い、このように動力が駆動輪に入力されることにより、自車両100が走行される。
【0038】
又、車両運転支援装置10は、自車両100の制御値(例えば、後述する自車速V、先行車距離DF又は先行車到達時間TF)を設定制御値(例えば、後述する設定車速V_S、設定先行車距離DF_S又は設定先行車到達時間TF_S)に維持する第2走行モードでの自律走行制御(例えば、後述する通常車速制御又は通常車間距離制御)を実行可能に構成されている。
【0039】
又、車両運転支援装置10は、自車両100の駆動モードとして、自車両100を走行させるための動力として蓄電装置の電力により発生させる動力以外の動力を使用し得る第1駆動モード(例えば、後述するハイブリッド駆動モード)と、上記電力により発生させる動力のみを使用する第2駆動モード(例えば、後述するモータ駆動モード)との何れかを選択し、第1駆動モードでの自律走行制御及び第2駆動モードでの自律走行制御を選択的に実行可能に構成されている。
【0040】
言い方を換えると、車両運転支援装置10は、自車両100の車速を設定車速範囲で増減させながら自車両100を自律走行させる車速増減制御(例えば、後述するエコ車速制御)、及び、自車両100と自車両100の周辺の他車両(例えば、先行車200)との間の車間距離を設定車間距離範囲で増減させながら又は自車両100が上記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間範囲で増減させながら自車両100を自律走行させる車間距離増減制御(例えば、後述するエコ車間距離制御)を選択的に実行可能に構成されている。
【0041】
又、車両運転支援装置10は、自車両100の車速を設定車速に維持しながら自車両100を自律走行させる車速維持制御(例えば、後述する通常車速制御)、及び、自車両100と自車両100の周辺の他車両(例えば、先行車200)との間の車間距離を設定車間距離に維持しながら又は自車両100が上記車間距離を走行するのに要する時間を設定時間に維持しながら自車両100を自律走行させる車間距離維持制御(例えば、後述する通常車間距離制御)を選択的に実行可能に構成されている。
【0042】
又、車両運転支援装置10は、内燃機関21及び電動モータ22の両方又は内燃機関21のみを作動させて自車両100に動力を加えて当該自車両100を走行させる第1駆動モード(例えば、後述するハイブリッド駆動モード)、及び、電動モータ22のみを作動させて自車両100に動力を加えて当該自車両100を走行させる第2駆動モード(例えば、後述するモータ駆動モード)で車速増減制御及び車間距離増減制御(例えば、後述するエコ車速制御及びエコ車間距離制御)を実行可能に構成されている。
【0043】
又、車両運転支援装置10は、自車両100の動力装置20での動力発生損失又は動力装置20から自車両100の駆動輪への動力伝達損失を低減させた第1状態での動力制御(例えば、後述する惰行制御)と、動力装置20を駆動輪に機械的に又は電気的に接続して駆動輪に動力を加える第2状態での動力制御(例えば、後述する最適力行制御)と、を選択的に実行して車速増減制御及び車間距離増減制御(例えば、後述するエコ車速制御及びエコ車間距離制御)を実行可能に構成されている。
【0044】
尚、本例においては、車両運転支援装置10は、内燃機関21の作動を停止する等して、内燃機関21において動力を発生させるために消費されるエネルギー量(エンジン消費エネルギー量)を低減させること、或いは、蓄電装置41から電動モータ22への電力供給を停止する等して、電動モータ22により動力を発生させるために消費されるエネルギー量(モータ消費エネルギー量)を低減させることにより、動力装置20での動力発生損失を低減させた第1状態を実現することができる。
【0045】
又、本例において、車両運転支援装置10は、いわゆるクラッチを非連結状態とする等して、動力装置20から自車両100の駆動輪への動力伝達経路を切断することにより、動力装置20から駆動輪への動力伝達損失を低減させた第1状態を実現することができる。
【0046】
又、本例においては、車両運転支援装置10は、動力装置20から自車両100の駆動輪への伝達経路を確立するとともに、当該伝達経路を介して内燃機関21から自車両100の駆動輪に動力を加えることにより、動力装置20を自車両100の駆動輪に機械的に接続して当該駆動輪に動力を加える第2状態を実現するようになっている。より具体的には、車両運転支援装置10は、後述する最適力行制御を実行することにより、動力装置20を自車両100の駆動輪に機械的に接続して当該駆動輪に動力を加える第2状態を実現するようになっている。
【0047】
又、本例においては、車両運転支援装置10は、動力装置20から自車両100の駆動輪への伝達経路を確立するとともに、当該伝達経路を介して電動モータ22から自車両100の駆動輪に動力を加えることにより、動力装置20を駆動輪に電気的に接続して駆動輪に動力を加える第2状態を実現するようになっている。
【0048】
次に、自車両100の周辺の他車両が先行車200である場合を例にして、車両運転支援装置10が実行する制御についてより具体的に説明する。
【0049】
車両運転支援装置10は、自動運転制御又は自律運転制御として、自律走行制御を実行する。自律走行制御は、動力装置20及び制動装置30の作動を自律的に制御して自車両100を加減速することにより、自車両100を走行させる制御であり、本例において、車間距離制御及び車速制御を含んでいる。
【0050】
車間距離制御は、図2の(A)に示したように、自車両100の前に先行車200が存在するときに実行される制御であって、設定先行車距離DF_Sを基準にして自車両100を自律的に加減速する制御である。設定先行車距離DF_Sは、車間距離制御による制御目標として運転者により設定される先行車距離DFである。
【0051】
或いは、車間距離制御は、自車両100の前に先行車200が存在するときに実行される制御であって、設定先行車到達時間TF_Sを基準にして自車両100を自律的に加減速する制御であってもよい。設定先行車到達時間TF_Sは、車間距離制御による制御目標として運転者により設定される先行車到達時間TFである。先行車到達時間TFは、先行車距離DFを自車速Vで除して取得される値である(TF=DF/V)。従って、先行車到達時間TFは、自車両100が先行車距離DFを走行するのに要する時間である。
【0052】
より具体的には、車間距離制御は、通常車間距離制御及びエコ車間距離制御を含んでいる。
【0053】
通常車間距離制御は、通常自律走行制御の1つであって、先行車距離DFを設定先行車距離DF_Sに維持しながら自車両100を自律走行させる制御である。或いは、通常車間距離制御は、先行車到達時間TFを設定先行車到達時間TF_Sに維持しながら自車両100を自律走行させる制御であってもよい。従って、通常車間距離制御は、いわゆる追従走行制御又はアダプティブクルーズコントロールである。
【0054】
尚、車両運転支援装置10は、通常車間距離制御の実行中に自車速Vが上昇して設定車速V_Sに達した場合、後述する通常車速制御(定速制御)を実行するように構成されてもよい。
【0055】
エコ車間距離制御は、エコ自律走行制御の1つであって、先行車距離DFが減少して所定の範囲(設定先行車距離範囲R_DF)の下限値(下限先行車距離DF_L)に達したときに自車両100を惰行させる惰行制御を開始し、先行車距離DFが増大して設定先行車距離範囲R_DFの上限値(上限先行車距離DF_U)に達したときに自車両100を力行させる力行制御(最適力行制御)を開始することにより、先行車距離DFを設定先行車距離範囲R_DFで増減させながら自車両100を自律走行させる制御である。言い換えれば、エコ車間距離制御は、先行車距離DFが所定の範囲(設定先行車距離範囲R_DF)で変動することを許容しつつ自車両100の力行と惰行とを交互に行う制御である。
【0056】
或いは、エコ車間距離制御は、先行車到達時間TFが減少して所定の範囲(設定先行車時間範囲R_TF)の下限値(下限先行車時間TF_L)に達したときに自車両100を惰行させる惰行制御を開始し、先行車到達時間TFが増大して設定先行車時間範囲R_TFの上限値(上限先行車時間TF_U)に達したときに自車両100を力行させる力行制御(最適力行制御)を開始することにより、先行車到達時間TFを設定先行車時間範囲R_TFで増減させながら自車両100を自律走行させる制御である。言い換えれば、エコ車間距離制御は、先行車到達時間TFが所定の範囲(設定先行車時間範囲R_TF)で変動することを許容しつつ自車両100の力行と惰行とを交互に行う制御である。
【0057】
尚、本例において、設定先行車距離範囲R_DFは、設定先行車距離DF_Sを含む範囲に設定される。より具体的には、設定先行車距離範囲R_DFは、設定先行車距離DF_Sよりも所定の値(制御車間距離幅dD)だけ大きい車間距離を上限先行車距離DF_Uとし(DF_U=DF_S+dD)、設定先行車距離DF_Sよりも所定の値(制御車間距離幅dD)だけ小さい車間距離を下限先行車距離DF_Lとする(DF_L=DF_S-dD)ことにより設定される。
【0058】
又、本例において、設定先行車時間範囲R_TFは、設定先行車到達時間TF_Sを含む範囲に設定される。より具体的には、設定先行車時間範囲R_TFは、設定先行車到達時間TF_Sよりも所定の値(制御先行車到達時間幅dT)だけ大きい時間を上限先行車時間TF_Uとし(TF_U=TF_S+dT)、設定先行車到達時間TF_Sよりも所定の値(制御先行車到達時間幅dT)だけ小さい時間を下限先行車時間TF_Lとする(TF_L=TF_S-dT)ことにより設定される。
【0059】
又、最適力行制御は、最大又は最大に近いエネルギー効率で動力装置20から動力が出力されるように動力装置20の作動を制御する制御、特に、内燃機関21を最適動作点(又は最適動作点近傍の動作点)で作動させる制御である。又、惰行制御は、自車両100が惰性走行するように動力装置20の作動を制御する制御である。
【0060】
一方、車速制御は、図2の(B)に示したように、自車両100の前に先行車200が存在しないときに実行される制御であって、設定車速V_Sを基準にして自車両100の走行速度(自車速V)を自律的に制御する制御である。設定車速V_Sは、車速制御による制御目標として運転者により設定される自車両100の走行速度(自車速V)である。
【0061】
図1に示したように、自車両100には、車輪速センサ等の車速検出装置61が搭載されている。車速検出装置61は、ECU90に電気的に接続されている。車両運転支援装置10は、車速検出装置61により自車速Vを取得する。
【0062】
より具体的には、車速制御は、通常車速制御及びエコ車速制御を含んでいる。
【0063】
通常車速制御は、通常自律走行制御の1つであって、自車速Vを設定車速V_Sに維持しながら自車両100を自律走行させる制御である。従って、通常車速制御は、いわゆる定速制御又はクルーズコントロールである。
【0064】
エコ車速制御は、自車速Vが上昇して所定の範囲(設定車速範囲R_V)の上限値(上限車速V_U)に達したときに惰行制御を開始し、自車速Vが低下して設定車速範囲R_Vの下限値(下限車速V_L)に達したときに最適力行制御を開始することにより、自車速Vを設定車速範囲R_Vで増減させながら自車両100を自律走行させる制御である。言い換えれば、エコ車速制御は、自車速Vが所定の範囲(設定車速範囲R_V)で変動することを許容しつつ自車両100の力行と惰行とを交互に行う制御である。
【0065】
尚、本例において、設定車速範囲R_Vは、設定車速V_Sを含む範囲に設定される。より具体的には、設定車速範囲R_Vは、設定車速V_Sよりも所定の値(制御車速幅dV)だけ大きい車速を上限車速V_Uとし(V_U=V_S+dV)、設定車速V_Sよりも所定の値(制御車速幅dV)だけ小さい車速を下限車速V_Lとする(V_L=V_S-dV)ことにより設定される。
【0066】
<車両運転支援装置の具体的な作動>
次に、車両運転支援装置10の具体的な作動について説明する。車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンを所定演算周期で実行することにより、自律走行制御を実行する。
【0067】
車両運転支援装置10は、所定のタイミングになると、図4に示したルーチンのステップS400から処理を開始し、その処理をステップS405に進め、通常自律走行条件C1が成立しているか否かを判定する。
【0068】
通常自律走行条件C1は、自律走行実施可能条件C2が成立しており且つ自律走行制御の実行が要求されており且つエコ自律走行制御(エコノミー走行制御)の実行が要求されていないとの条件である。尚、エコ自律走行制御は、エコ車速制御及びエコ車間距離制御を含んでいる。又、エコ自律走行制御は、自車両100をパルスアンドグライド走行させる制御である。
【0069】
又、自律走行実施可能条件C2は、例えば、周辺情報検出装置50が正常に機能している等、自律走行制御の実行に必要なシステムが正常に機能しているとの条件、或いは、自車両100が走行している道路の勾配が比較的大きくなく、エコ自律走行制御の実行が好ましくないと判断される状況にないとの条件である。尚、通常自律走行条件C1は、この自律走行実施可能条件C2が成立しているとの条件を含んでいなくてもよい。
【0070】
又、図1に示したように、自車両100には、走行支援ボタン等の自律走行要求操作器71及びエコノミー走行ボタン等のエコ自律走行要求操作器72が搭載されている。自律走行要求操作器71及びエコ自律走行要求操作器72は、ECU90に電気的に接続されている。運転者は、自律走行要求操作器71を操作することにより、自律走行制御の実行を車両運転支援装置10に要求することができる。又、運転者は、エコ自律走行要求操作器72を操作することにより、エコ自律走行制御の実行を車両運転支援装置10に要求することができる。
【0071】
車両運転支援装置10は、ステップS405にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS410に進め、先行車200が存在するか否かを判定する。
【0072】
車両運転支援装置10は、ステップS410にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS415に進め、自律走行制御として、通常車間距離制御を実行する。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS420に進め、エコ自律走行フラグX_ECOの値を「0」に設定し、その後、処理をステップS495に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0073】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS410にて「No」と判定した場合、処理をステップS425に進め、自律走行制御として、通常車速制御を実行する。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS430に進め、エコ自律走行フラグX_ECOの値を「0」に設定し、その後、処理をステップS495に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0074】
又、車両運転支援装置10は、ステップS405にて「No」と判定した場合、処理をステップS435に進め、エコ自律走行条件C3が成立しているか否かを判定する。
【0075】
エコ自律走行条件C3は、自律走行実施可能条件C2が成立しており且つ自律走行制御の実行が要求されており且つエコ自律走行制御の実行が要求されているとの条件である。尚、エコ自律走行条件C3は、自律走行実施可能条件C2が成立しているとの条件を含んでいなくてもよい。
【0076】
車両運転支援装置10は、ステップS435にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS440に進め、後述する力行条件C4が成立しているか否かを判定する。
【0077】
車両運転支援装置10は、ステップS440にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS445に進め、図7に示したルーチンを実行する。このルーチンについては、後述する。
【0078】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS440にて「No」と判定した場合、処理をステップS450に進め、図5又は図6に示したルーチンを実行する。
【0079】
従って、車両運転支援装置10は、処理をステップS450に進めたときに、図5に示したルーチンを実行するようになっている場合、図5に示したルーチンのステップS500から処理を開始し、その処理をステップS505に進め、先行車200が存在するか否かを判定する。
【0080】
車両運転支援装置10は、ステップS505にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS510に進め、自律走行制御として、エコ車間距離制御を実行する。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS515に進め、エコ自律走行フラグX_ECOの値を「1」に設定し、その後、処理をステップS595に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0081】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS505にて「No」と判定した場合、処理をステップS520に進め、自律走行制御として、エコ車速制御を実行する。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS525に進め、エコ自律走行フラグX_ECOの値を「1」に設定し、その後、処理をステップS595に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0082】
或いは、車両運転支援装置10は、処理をステップS450に進めたときに、図6に示したルーチンを実行するようになっている場合、図6に示したルーチンのステップS600から処理を開始し、その処理をステップS605に進め、先行車200が存在するか否かを判定する。
【0083】
車両運転支援装置10は、ステップS605にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS607に進め、後続車距離DRが所定の距離(近接判定距離DR_N)よりも大きいか否かを判定する。
【0084】
尚、車両運転支援装置10は、ステップS607において、後続車到達時間TRが所定の時間(近接判定時間TR_N)よりも長いか否かを判定するように構成されてもよい。後続車到達時間TRは、後続車距離DRを後続車300の車速(後続車速VR)で除して取得される値である(TR=DR/VR)。従って、後続車到達時間TRは、後続車300が後続車距離DRを走行するのに要する時間である。
【0085】
車両運転支援装置10は、ステップS607にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS610に進め、自律走行制御として、エコ車間距離制御を実行する。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS615に進め、エコ自律走行フラグX_ECOの値を「1」に設定し、その後、処理をステップS695に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0086】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS607にて「No」と判定した場合、処理をステップS616に進め、エコ車間距離制御を中止して通常車間距離制御を実行する。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS617に進め、エコ自律走行フラグX_ECOの値を「0」に設定し、その後、処理をステップS695に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0087】
このように、車両運転支援装置10は、先行車距離DFを設定先行車距離DF_Sに維持する通常車間距離制御(制御値を設定制御値に維持する第2走行モードでの自律走行制御)を実行可能に構成されており、エコ車間距離制御(第1走行モードでの自律走行制御)の実行中に、後続車距離DRが近接判定距離DR_N以下である又は後続車到達時間TRが近接判定時間TR_N以下であるとの条件(後続車300を検出する後続車検出装置が正常であり且つ後続車300が検出され且つ当該後続車300と自車両100との間の距離が所定距離以下である又は自車両100が当該後続車300と自車両100との間の距離を走行するのに要する時間が所定時間以下であるとの走行モード切替条件)が成立した場合、自車両100を自律走行させる制御(自車両100を自律走行させるモード)をエコ車間距離制御から通常車間距離制御に切り替える(第1走行モードから第2走行モードに切り替える)ように構成されている。
【0088】
エコ車間距離制御により自車両100を自律走行させているときに後続車300が存在する場合において、先行車距離DFが過剰に大きく増減すると、後続車300が車速を大きく増減させることになり、後続車300を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。
【0089】
車両運転支援装置10によれば、後続車300が自車両100の比較的近くに存在する場合、自車両100を自律走行させる制御がエコ車間距離制御から通常車間距離制御に切り替えられる。これによれば、先行車距離DFが一定に維持される。従って、後続車300が自車両100の比較的近くに存在する場合においても、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両100を自律走行させることができる。
【0090】
又、車両運転支援装置10は、先行車距離DF(車間距離)を設定先行車距離DF_S(設定車間距離)に維持しながら又は先行車到達時間TF(自車両100が当該自車両100と周辺車両との間の車間距離を走行するのに要する時間)を設定先行車到達時間TF_S(設定時間)に維持しながら自車両100を自律走行させる通常車間距離制御(車間距離維持制御)を実行可能に構成されている。そして、車両運転支援装置10は、エコ車間距離制御(車間距離増減制御)の実行中に後続車距離DRが近接判定距離DR_N以下である又は後続車到達時間TRが近接判定時間TR_N以下であるとの条件(後続車300を検出する後続車検出装置が正常であり且つ後続車300が検出され且つ当該後続車300と自車両100との間の距離が所定距離以下である又は自車両100が当該後続車300と自車両100との間の距離を走行するのに要する時間が所定時間以下であるとの走行モード切替条件)が成立した場合、エコ車間距離制御(車間距離増減制御)を中止して通常車間距離制御(車間距離維持制御)を実行するように構成されている。
【0091】
エコ車間距離制御により自車両100を自律走行させているときに後続車300が存在する場合において、先行車距離DFが過剰に大きく増減すると、後続車300が車速を大きく増減させることになり、後続車300を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。
【0092】
車両運転支援装置10によれば、後続車300が自車両100の比較的近くに存在する場合、エコ車間距離制御が中止されて通常車間距離制御が実行される。これによれば、先行車距離DFが一定に維持される。従って、後続車300が自車両100の比較的近くに存在する場合においても、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両100を自律走行させることができる。
【0093】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS605にて「No」と判定した場合、処理をステップS618に進め、後続車距離DRが近接判定距離DR_Nよりも大きいか否かを判定する。
【0094】
尚、車両運転支援装置10は、ステップS618において、後続車到達時間TRが近接判定時間TR_Nよりも長いか否かを判定するように構成されてもよい。
【0095】
車両運転支援装置10は、ステップS618にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS620に進め、自律走行制御として、エコ車速制御を実行する。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS625に進め、エコ自律走行フラグX_ECOの値を「1」に設定し、その後、処理をステップS695に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0096】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS618にて「No」と判定した場合、処理をステップS626に進め、エコ車速制御を中止して通常車速制御を実行する。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS627に進め、エコ自律走行フラグX_ECOの値を「0」に設定し、その後、処理をステップS695に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0097】
このように、車両運転支援装置10は、自車速Vを設定車速V_Sに維持する通常車速制御(制御値を設定制御値に維持する第2走行モードでの自車両100の自律走行制御)を実行可能に構成されており、エコ車速制御(第1走行モードで自律走行制御)の実行中に、後続車距離DRが近接判定距離DR_N以下である又は後続車到達時間TRが近接判定時間TR_N以下であるとの条件(後続車300を検出する後続車検出装置が正常であり且つ後続車300が検出され且つ当該後続車300と自車両100との間の距離が所定距離以下である又は自車両100が当該後続車300と自車両100との間の距離を走行するのに要する時間が所定時間以下であるとの走行モード切替条件)が成立した場合、自車両100を自律走行させる制御(自車両100を自律走行させるモード)をエコ車速制御から通常車速制御に切り替える(第1走行モードから第2走行モードに切り替える)ように構成されている。
【0098】
エコ車速制御により自車両100を自律走行させているときに後続車300が存在する場合において、自車速Vが過剰に大きく増減すると、後続車300が車速を大きく増減させることになり、後続車300を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。
【0099】
車両運転支援装置10によれば、後続車300が自車両100の比較的近くに存在する場合、自車両100を自律走行させる制御がエコ車速制御から通常車速制御に切り替えられる。これによれば、自車速Vが一定に維持される。従って、後続車300が自車両100の比較的近くに存在する場合でも、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両100を自律走行させることができる。
【0100】
又、車両運転支援装置10は、自車速Vを設定車速V_Sに維持しながら自車両100を自律走行させる通常車速制御(車速維持制御)を実行可能に構成されている。そして、車両運転支援装置10は、エコ車速制御(車速増減制御)の実行中に後続車距離DRが近接判定距離DR_N以下である又は後続車到達時間TRが近接判定時間TR_N以下であるとの条件(後続車300を検出する後続車検出装置が正常であり且つ後続車300が検出され且つ当該後続車300と自車両100との間の距離が所定距離以下である又は自車両100が当該後続車300と自車両100との間の距離を走行するのに要する時間が所定時間以下であるとの走行モード切替条件)が成立した場合、エコ車速制御(車速増減制御)を中止して通常車速制御(車速維持制御)を実行するように構成されている。
【0101】
エコ車速制御により自車両100を自律走行させているときに後続車300が存在する場合において、自車速Vが過剰に大きく増減すると、後続車300が車速を大きく増減させることになり、後続車300を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。
【0102】
車両運転支援装置10によれば、後続車300が自車両100の比較的近くに存在する場合、エコ車速制御が中止されて通常車速制御が実行される。これによれば、自車速Vが一定に維持される。従って、後続車300が自車両100の比較的近くに存在する場合においても、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両100を自律走行させることができる。
【0103】
又、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップS435にて「No」と判定した場合、処理をステップS455に進め、通常車速制御を実行し、その後、処理をステップS495に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0104】
次に、図7に示したルーチンについて説明する。
【0105】
図4に示したルーチンのステップS440にて判定される力行条件C4は、エコ自律走行フラグX_ECOの値が「1」であり且つ最適力行制御の実行中であるとの条件である。即ち、力行条件C4は、エコ自律走行制御の実行中であるときに自車両100の減速が要求されていないとの条件である。
【0106】
車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップS440にて「Yes」と判定し、処理をステップS445に進めると、図7に示したルーチンのステップS700から処理を開始し、その処理をステップS705に進め、ハイブリッド駆動モードフラグX_HVの値が「1」であるか否かを判定する。
【0107】
ハイブリッド駆動モードフラグX_HVの値は、現在、自車両100をハイブリッド駆動モードで走行させている場合、「1」に設定されており、自車両100をハイブリッド駆動モードで走行させていない場合、「0」に設定されている。ハイブリッド駆動モードは、要求動力P_REQに応じて内燃機関21及び電動モータ22の両方を作動させたり内燃機関21のみを作動させたりして自車両100を走行させるモードである。尚、要求動力P_REQは、動力装置20から出力される動力として要求される動力である。
【0108】
車両運転支援装置10は、ステップS705にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS710に進め、低効率指数閾値IX_Tを第1低効率指数閾値IX1に設定するとともに、惰行加速度閾値G_Tを第1惰行加速度閾値G1に設定して、処理をステップS725に進める。低効率指数閾値IX_Tは、ステップS725における判定にて使用される閾値であり、惰行加速度閾値G_Tは、後述するステップS735における判定にて使用される閾値である。
【0109】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS705にて「No」と判定した場合、処理をステップS715に進め、モータ駆動モードフラグX_EVの値が「1」であるか否かを判定する。
【0110】
モータ駆動モードフラグX_EVの値は、現在、自車両100をモータ駆動モードで走行させている場合、「1」に設定されており、自車両100をモータ駆動モードで走行させていない場合、「0」に設定されている。モータ駆動モードは、電動モータ22のみを作動させて自車両100を走行させるモードである。
【0111】
車両運転支援装置10は、ステップS715にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS720に進め、低効率指数閾値IX_Tを第2低効率指数閾値IX2に設定するとともに、惰行加速度閾値G_Tを第2惰行加速度閾値G2に設定して、処理をステップS725に進める。尚、第2低効率指数閾値IX2は、第1低効率指数閾値IX1よりも大きい値に設定されており、第2惰行加速度閾値G2は、第1惰行加速度閾値G1よりも大きい値に設定されている。
【0112】
車両運転支援装置10は、処理をステップS725に進めると、低効率条件C5が成立しているか否かを判定する。
【0113】
低効率条件C5は、自車両100の走行を制御する制御(車両走行制御)を惰行制御と最適力行制御との間で切り替えながら、自車両100を走行させるエコ自律走行制御(エコ車間距離制御又はエコ車速制御)を実行した場合において、自車両100が走行している道路の勾配(道路勾配θ)を考慮したときに、走行エネルギー効率(自車両100の走行に係る動力装置20におけるエネルギー効率)が通常車速制御により自車両100を走行させたときの走行エネルギー効率よりも低いとの条件である。
【0114】
本例において、低効率条件C5は、下式1に示したように、低効率指数IXが低効率指数閾値IX_Tよりも大きいとの条件である。
【0115】
IX>IXth …(1)
【0116】
低効率指数IXは、通常車速制御の実行時における自車両100の走行に係るエネルギー効率(走行エネルギー効率)に対し、エコ自律走行制御の実行時における走行エネルギー効率が低下する程度を示す指数である。
【0117】
本例において、低効率指数IXは、下式2に従った演算により取得される。
【0118】
IX=|Gd|-k×|Ga| …(2)
Gd=-F/M+g×sinθ …(3)
Ga=(P_OPT-F)/M+g×sinθ …(4)
【0119】
式2において、「Gd」は、惰行制御を実行したときに実現される自車両100の加速度(惰行加速度)であり、上式3に従った演算により取得される。惰行加速度Gdは、自車速Vが低下しているときには、負の値として取得され、自車速Vが上昇しているときには、正の値として取得される。
【0120】
又、式2において、「Ga」は、最適力行制御を実行したときに実現される自車両100の加速度(最適力行加速度)であり、上式4に従った演算により取得される。最適力行加速度Gaも、自車速Vが低下しているときには、負の値として取得され、自車速Vが上昇しているときには、正の値として取得される。
【0121】
又、式3及び式4において、「F」は、自車両100の走行抵抗であり、例えば、下式5に従った演算により取得される。又、「M」は、自車両100の重量であり、「g」は、重力加速度であり、「θ」は、路面勾配である。又、「P_OPT」は、最適力行制御が実行されているときに動力装置20から自車両100に加えられる動力(最適力行動力)である。
【0122】
F=a×V+b×V+c …(5)
【0123】
式5において、「V」は、自車両100の走行速度(自車速)であり、「a」、「b」及び「c」は、自車速Vに基づいて自車両100の走行抵抗を精度良く取得することができるように定められた係数である。
【0124】
又、低効率指数閾値IX_T(第1低効率指数閾値IX1及び第2低効率指数閾値IX2)は、予め定められる値であり、又、式1において、「k」は、係数であり、予め定められた値に設定されている。これら低効率指数閾値IX_T及び係数kは、以下のように設定される。
【0125】
即ち、自車両100が平坦な道路を走行しているとき、惰行制御と最適力行制御とを切り替えながら自車両100の走行を制御するエコ自律走行制御(エコ車間距離制御又はエコ車速制御)により、自車両100が走行された場合、自車両100の減速が要求されたときに惰性制御が実行されるので、通常車速制御により自車両100が走行される場合に比べ、走行エネルギー効率が高くなる。
【0126】
しかしながら、自車両100が登坂路を走行しているときに、エコ自律走行制御により自車両100が走行された場合には、惰行制御と最適力行制御との切替が一定時間の間に頻繁に行われるため、通常車速制御により自車両100が走行される場合に比べ、走行エネルギー効率が低下してしまう可能性がある。特に、自車両100がハイブリッド駆動モードで自律走行されているときには、内燃機関21の始動と停止とが頻繁に行われるため、走行エネルギー効率が低下してしまう可能性が高い。
【0127】
そこで、本例においては、低効率指数IXを式2乃至式4に従った演算により取得するとした場合において、道路勾配θと惰行加速度Gdと最適力行加速度Gaとの関係で、エコ自律走行制御により自車両100を走行させたときの走行エネルギー効率が通常車速制御により自車両100を走行させたときの走行エネルギー効率と等しくなるときの低効率指数閾値IX_Tと係数kとの組合せを予め実験等により求め、それら低効率指数閾値IX_T及び係数kをそれぞれ式1及び式2において用いる。尚、本例においては、係数kは、「0」よりも大きく且つ「1」以下の値に設定されている。
【0128】
従って、低効率指数IXが低効率指数閾値IX_Tよりも大きい場合、エコ自律走行制御により自車両100を走行させるよりも、通常車速制御により自車両100を走行させたほうが、走行エネルギー効率が高くなることになる。
【0129】
以上のことから、車両運転支援装置10は、ステップS725にて、エコ自律走行制御を継続して実行したほうが走行エネルギー効率が高いか、或いは、エコ自律走行制御を終了して、通常車速制御を実行したほうが走行エネルギー効率が高いかを判定していると言える。
【0130】
尚、低効率条件C5は、エコ自律走行制御の実行中、道路勾配θが所定上り勾配閾値θupよりも大きい上り勾配であるとの上り勾配条件であるとも言える。そして、この場合、所定上り勾配閾値θupは、道路勾配θが上り勾配であるときに自車両100を惰行制御により走行させたときの自車両100の減速度の絶対値が所定の値(所定減速度閾値)以上となるときの勾配に設定されていると言える。或いは、所定上り勾配閾値θupは、道路勾配θが上り勾配であるときに自車両100を最適力行制御により走行させたときの自車両100の加減速が所定の値(所定加速度閾値)以下となるときの勾配に設定されているとも言える。或いは、所定上り勾配閾値θupは、道路勾配θが上り勾配であるときの最適力行加速度Gaに対する惰行加速度Gdの絶対値の割合が所定割合よりも大きいときの勾配に設定されているとも言える。
【0131】
又、車両走行制御がエコ自律走行制御と通常車速制御との間で頻繁に切り替わることを防止するために、低効率指数閾値IX_Tにヒステリシスを設けてもよい。
【0132】
又、低効率条件C5が成立して車両走行制御がエコ自律走行制御から通常車速制御に切り替えられた後、通常車速制御の実行中に先行車200が存在すると判定された場合には、車両走行制御が通常車速制御から通常車間距離制御に切り替えられる。
【0133】
又、低効率条件C5が成立して車両走行制御がエコ自律走行制御から通常車速制御に切り替えられた後、低効率条件C5が成立しなくなったときには、車両走行制御が通常車速制御からエコ自律走行制御に切り替えられる。即ち、本例においては、低効率条件C5が成立したとき、エコ自律走行制御が一時的に終了され、その後、低効率条件C5が成立しなくなったときに、エコ自律走行制御が再開される。しかしながら、低効率条件C5が成立したときにエコ自律走行制御が終了され、その後、低効率条件C5が成立しなくなっても、エコ自律走行制御が再開されないようになっていてもよい。
【0134】
又、図1に示したように、自車両100には、道路勾配取得装置62が搭載されている。道路勾配取得装置62は、自車両100が走行している道路の勾配を取得する装置であり、例えば、ジャイロセンサである。道路勾配取得装置62は、ECU90に電気的に接続されている。車両運転支援装置10は、道路勾配取得装置62により、自車両100が走行している道路の勾配を道路勾配θとして取得する。
【0135】
車両運転支援装置10は、ステップS725にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS730に進め、通常車速制御を実行し、その後、処理をステップS795に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0136】
このように、車両運転支援装置10は、自車速Vを設定車速V_Sに維持する通常車速制御(定速モードでの自律走行制御)を実行可能に構成されている。そして、車両運転支援装置10は、低効率条件C5(第2条件)が成立した場合、エコ自律走行制御(第1走行モードでの自律走行制御)を中止して通常車速制御(定速モードでの自律走行制御)を実行するように構成されている。そして、低効率条件C5(第2条件)は、自車両100が登坂路を走行しているとき又は自車両100比較的高速で走行しているとき(自車両100が所定車速以上の車速で走行しているとき)に成立しやすい条件である。又、低効率指数閾値IX_Tは、ハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)で自車両100が走行されている場合、第1低効率指数閾値IX1に設定され、モータ駆動モード(第2駆動モード)で走行されている場合、第2低効率指数閾値IX2に設定され、第1低効率指数閾値IX1は、第2低効率指数閾値IX2よりも小さい値である。従って、低効率条件C5(第2条件)は、ハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)でのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させている場合、モータ駆動モード(第2駆動モード)でのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させている場合よりも、成立しやすい条件に設定されている。
【0137】
自車両100が登坂路を走行しているとき或いは自車両100が高速で走行しているときには、自車両100を惰行制御により自律走行させると、自車速Vが大きく減少する可能性があり、又、自車両100を最適力行制御により自律走行させても、自車速Vを適切に増大させることができない可能性がある。従って、自車両100が登坂路を走行しているとき或いは自車両100が高速で走行しているときに、自車両100をエコ自律走行制御により自律走行させていると、消費エネルギー量の低減効果が低下してしまう。
【0138】
更に、ハイブリッド駆動モードでのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させている場合、自車両100をモータ駆動モードでのエコ自律走行制御により自律走行させている場合よりも、設定車速範囲R_V又は設定先行車距離範囲R_DFが大きい範囲に設定されることから、自車両100が登坂路を走行しているとき或いは自車両100が高速で走行しているときに、ハイブリッド駆動モードでのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させていると、消費エネルギー量の低減効果が低下してしまう。
【0139】
車両運転支援装置10によれば、低効率条件C5は、自車両100が登坂路を走行しているとき又は自車両100が高速で走行しているときに成立しやすい条件であって、ハイブリッド駆動モードでのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させている場合、モータ駆動モードでのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させている場合よりも、成立しやすい条件に設定されている。そして、低効率条件C5が成立した場合、エコ自律走行制御が中止されて通常車速制御が実行される。即ち、自車両100が登坂路を走行しているとき又は自車両100が高速で走行しているときにハイブリッド駆動モードでのエコ自律走行制御により自車両100が自律走行されている場合、エコ自律走行制御が中止されて通常車速制御が実行されやすい。このため、一定の消費エネルギー量の低減効果を確保することができる。
【0140】
又、車両運転支援装置10によれば、自車速Vは、図8に示したように制御される。図8に示した例においては、時刻t50までの間、自車両100は、道路勾配θがゼロの道路、即ち、平坦な道路を走行しており、又、最適力行制御が実行されている。このため、時刻t50までの間、自車速Vは、徐々に上昇している。尚、このときの最適力行加速度Ga及び惰行加速度Gdは、それぞれ、第1最適力行加速度Ga1及び第1惰行加速度Gd1である。又、第1最適力行加速度Ga1は、正の値であり、第1惰行加速度Gd1は、負の値である。
【0141】
そして、時刻t50において、自車速Vが上限車速V_Uに達すると、惰行制御が開始され、このとき、自車両100は、道路勾配θがゼロである道路、従って、平坦な道路を走行している。このため、自車速Vが低下し始める。尚、このときの最適力行加速度Ga及び惰行加速度Gdも、それぞれ、第1最適力行加速度Ga1及び第1惰行加速度Gd1である。
【0142】
その後、時刻t51において、自車両100は、登坂路を走行し始める。図8に示した例において、道路勾配θは、時刻t51から時刻t53までの間、大きくなり続け、時刻t53以降、一定の値θ1となる。従って、時刻t51から時刻t53までの間、最適力行加速度Ga及び惰行加速度Gdは、徐々に小さくなる。言い方を換えると、最適力行加速度Gaは、その絶対値が徐々に小さくなり、惰行加速度Gdは、その絶対値が徐々に大きくなる。そして、時刻t53以降、最適力行加速度Ga及び惰行加速度Gdは、それぞれ、第2最適力行加速度Ga2及び第2惰行加速度Gd2で一定となる。
【0143】
時刻t51以降も、自車速Vが低下し続け、図8に示した例においては、時刻t52において、低効率条件C5が成立し、エコ自律走行制御が終了され、通常車速制御が開始される。このとき、自車速Vが設定車速V_Sよりも小さいので、自車両100が加速され、自車速Vが上昇し、設定車速V_Sに到達した後は、自車速Vが設定車速V_Sに維持されるように自車両100の加速度が制御される。
【0144】
これによれば、エコ自律走行制御の実行中に低効率条件C5が成立すると、エコ自律走行制御が終了され、通常車速制御が実行される。従って、エコ自律走行制御が継続して実行されることに起因する走行エネルギー効率の低下を防止することができる。
【0145】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS725にて「No」と判定した場合、処理をステップS735に進め、惰行加速度条件C6が成立しているか否かを判定する。
【0146】
惰行加速度条件C6は、自車両100が勾配の小さい降坂路を走行しているとの条件である。本例において、惰行加速度条件C6は、下式6に示したように、惰行加速度Gdがゼロよりも大きく且つ下式7に示したように惰行加速度Gdの絶対値が惰行加速度閾値G_T以上であるとの条件である。
【0147】
Gd>0 …(6)
|Gd|≧G_T …(7)
【0148】
惰行加速度閾値G_Tは、自車両100が勾配の小さい降坂路を走行しているか否かを判定するための閾値であり、本例においては、「0」に近い正の値に設定される。従って、惰行加速度条件C6は、道路勾配θが所定の値(所定下り勾配閾値θdown)よりも大きい下り勾配であるとの下り勾配条件であるとも言える。
【0149】
車両運転支援装置10は、ステップS735にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS740に進め、走行速度条件C7が成立しているか否かを判定する。
【0150】
走行速度条件C7は、下式8に示したように、自車速Vが設定車速V_Sよりも小さいとの条件である。
【0151】
V<V_S …(8)
【0152】
車両運転支援装置10は、ステップS740にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS745に進め、惰行制御を実行し、その後、処理をステップS795に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0153】
このように、惰行加速度条件C6(下り勾配条件)が成立した場合において、自車速Vが設定車速V_S(所定走行速度)よりも小さいときには、エコ自律走行制御が終了されて、惰行制御が実行される。
【0154】
即ち、車両運転支援装置10は、自車両100が勾配の小さい降坂路を走行しているときに自車速Vが設定車速V_Sよりも小さい場合、自車両100を惰行させても、自車速Vが上昇することから、惰行制御を実行する。
【0155】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS740にて「No」と判定した場合、処理をステップS750に進め、通常車速制御を実行し、その後、処理をステップS795に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0156】
このように、惰行加速度条件C6(下り勾配条件)が成立した場合において、自車速Vが設定車速V_S(所定走行速度)以上であるときには、エコ自律走行制御が終了されて、通常車速制御が実行される。
【0157】
又、ステップS740にて「Yes」と判定されてステップS745にて惰行制御が開始された後、自車速Vが設定車速V_Sに達すると、車両走行制御が惰行制御から通常車速制御に切り替えられる。
【0158】
このように、車両運転支援装置10は、惰行加速度条件C6(第1条件)が成立した場合、エコ自律走行制御(第1走行モードでの自律走行制御)を中止して惰行制御(第1状態での動力制御による自律走行制御)を実行するように構成されている。そして、惰行加速度条件C6(第1条件)は、自車両100が降坂路を走行しているときに成立しやすい条件である。又、惰行加速度閾値G_Tは、ハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)で自車両100が走行されている場合、第1惰行加速度閾値G1に設定され、モータ駆動モード(第2駆動モード)で走行されている場合、第2惰行加速度閾値G2に設定され、第1惰行加速度閾値G1は、第2惰行加速度閾値G2よりも小さい値である。従って、惰行加速度条件C6(第1条件)は、ハイブリッド駆動モードでのエコ自律走行制御(第1駆動モードでの自律走行制御)により自車両100を自律走行させている場合、モータ駆動モードでのエコ自律走行制御(第2駆動モードでの自律走行制御)により自車両100を自律走行させている場合よりも、成立しやすい条件に設定されている。
【0159】
自車両100が降坂路を走行しているときには、惰行制御により自車両100を自律走行させても、自車速Vが増大する傾向にあることから、最適力行制御により自車両100を自律走行させて自車速Vを増大させる必要はない。従って、自車両100が降坂路を走行しているとき、消費エネルギー量の低減効果は、最適力行制御により自車両100を自律走行させるよりも、惰行制御により自車両100を自律走行させたほうが大きい。更に、最適力行制御による自車両100の自律走行を行わないことによる消費エネルギー量の低減効果は、エコ自律走行制御による自車両100の自律走行をハイブリッド駆動モードで行う場合、エコ自律走行制御による自車両100の自律走行をモータ駆動モードで行う場合よりも、大きい。
【0160】
車両運転支援装置10によれば、惰行加速度条件C6は、自車両100が降坂路を走行しているときに成立しやすい条件となっている。即ち、惰行加速度条件C6は、自車両100が降坂路を走行しているときにエコ自律走行制御が中止されて惰行制御が実行されやすい条件とされている。しかも、惰行加速度条件C6は、モータ駆動モードでのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させている場合、ハイブリッド駆動モードでのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させている場合よりも、成立しづらい条件に設定されている。即ち、惰行加速度条件C6は、モータ駆動モードでのエコ自律走行制御により自車両100を自律走行させているときにエコ自律走行制御が中止されて惰行制御が実行されづらい条件とされている。従って、大きな消費エネルギー量の低減効果を得ることができる。
【0161】
又、車両運転支援装置10によれば、自車速Vは、図9に示したように制御される。図9に示した例においては、時刻t60までの間、自車両100は、道路勾配θがゼロの道路、即ち、平坦な道路を走行しており、又、最適力行制御が実行されている。このため、時刻t60までの間、自車速Vは、徐々に上昇している。尚、このときの最適力行加速度Ga及び惰行加速度Gdは、それぞれ、第1最適力行加速度Ga1及び第1惰行加速度Gd1である。又、第1最適力行加速度Ga1は、正の値であり、第1惰行加速度Gd1は、負の値である。
【0162】
その後、時刻t60において、自車両100は、降坂路を走行し始める。図9に示した例において、道路勾配θは、時刻t60から時刻t62までの間、小さくなり続け、時刻t62以降、一定の値θ2となる。従って、時刻t60から時刻t62までの間、最適力行加速度Ga及び惰行加速度Gdは、徐々に大きくなる。言い方を換えると、最適力行加速度Gaは、その絶対値が徐々に大きくなる。一方、惰行加速度Gdは、時刻t61までの間は、負の値であるので、その絶対値が徐々に小さくなり、時刻t61以降は、正の値となるので、その絶対値が徐々に大きくなる。そして、時刻t62以降、最適力行加速度Ga及び惰行加速度Gdは、それぞれ、第3最適力行加速度Ga3及び第3惰行加速度Gd3で一定となる。
【0163】
図9に示した例においては、時刻t60から時刻t61までの間は、最適力行制御が継続され、又、自車両100が降坂路を走行しているので、比較的大きい上昇率で自車速Vが上昇し続け、時刻t61において、惰行加速度条件C6が成立する。このとき、自車速Vが設定車速V_Sよりも小さいので、エコ自律走行制御が終了され、惰行制御が開始される。これにより、自車速Vの上昇率は小さくなるが、自車速Vは、上昇し続ける。
【0164】
そして、時刻t62においては、自車速Vが設定車速V_Sに達すると、惰行制御が終了され、通常車速制御が開始される。これにより、自車速Vは、設定車速V_Sに到達した後は、設定車速V_Sに維持されるように自車両100の加減速が制御される。
【0165】
例えば、自車両100が降坂路を走行しているときには、自車両100が惰行していると、自車両100が減速されないばかりか、自車両100が加速されてしまい、自車速Vが過剰に高くなってしまう。その結果、エコ自律走行制御により、自車速Vが設定車速範囲R_Vに維持されず、或いは、先行車距離DFが設定先行車距離範囲R_DFに維持されない。こうした状況において、エコ自律走行制御を継続して実行することは好ましくない。
【0166】
車両運転支援装置10によれば、惰行加速度条件C6が成立すると、エコ自律走行制御が終了される。このため、エコ自律走行制御の実行が好ましくない状況において、エコ自律走行制御が継続して実行されることを防止することができる。
【0167】
又、車両運転支援装置10は、ステップS735にて「No」と判定した場合、ステップS755を経由して図5に示したルーチンのステップS505に処理を進め、先に述べたように処理を実行し、その後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0168】
又、車両運転支援装置10は、ステップS715にて「No」と判定した場合、処理をステップS760に進め、エンジン継続作動制御を実行し、その後、処理をステップS795に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。エンジン継続作動制御は、エンジン駆動モードで自車両100を走行させるモードである。エンジン駆動モードは、内燃機関21を作動し続けるモードである。
【0169】
更に、車両運転支援装置10は、図10に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、車両運転支援装置10は、図10に示したルーチンのステップS1000から処理を開始し、その処理をステップS1005に進め、機関継続運転条件C8が成立しているか否かを判定する。
【0170】
機関継続運転条件C8は、内燃機関21を作動し続ける必要があるときに成立する条件である。例えば、蓄電装置41の充電量が所定量(所定充電量)よりも少なくなったために、内燃機関21を作動して蓄電装置41を充電する必要がある場合、内燃機関21を作動し続ける必要が生じる。
【0171】
車両運転支援装置10は、ステップS1005にて「No」と判定した場合、処理をステップS1010に進め、要求動力P_REQが所定要求動力P_REQ_T以上であるか否かを判定する。
【0172】
車両運転支援装置10は、ステップS1010にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1015に進め、ハイブリッド駆動モードフラグX_HVの値を「1」に設定するとともに、モータ駆動モードフラグX_EVの値を「0」に設定し、その後、処理をステップS1095に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、自車両100は、ハイブリッド駆動モードで走行される。
【0173】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS1010にて「No」と判定した場合、処理をステップS1020に進め、ハイブリッド駆動モードフラグX_HVの値を「0」に設定するとともに、モータ駆動モードフラグX_EVの値を「1」に設定し、その後、処理をステップS1095に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、自車両100は、モータ駆動モードで走行される。
【0174】
又、車両運転支援装置10は、ステップS1005にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1025に進め、ハイブリッド駆動モードフラグX_HVの値を「0」に設定するとともに、モータ駆動モードフラグX_EVの値を「0」に設定し、その後、処理をステップS1095に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、自車両100は、エンジン駆動モードで走行される。
【0175】
更に、車両運転支援装置10は、図11に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、車両運転支援装置10は、図11に示したルーチンのステップS1100から処理を開始し、その処理をステップS1105に進め、エコ車速制御の実行中であるか否かを判定する。
【0176】
車両運転支援装置10は、ステップS1105にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1110に進め、ハイブリッド駆動モードフラグX_HVの値が「1」であるか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、現在、自車両100をハイブリッド駆動モードで走行させているか否かを判定する。
【0177】
車両運転支援装置10は、ステップS1110にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1115に進め、エコレベルLVが高エコレベルLV_Hであるか否かを判定する。
【0178】
図1に示したように、自車両100には、エコノミーレベル設定ボタン等のエコレベル設定操作器73が搭載されている。エコレベル設定操作器73は、ECU90に電気的に接続されている。運転者は、エコレベル設定操作器73を操作することにより、エコレベルLV(エネルギー効率レベル)を高エコレベルLV_H、中エコレベルLV_M及び低エコレベルLV_Lの何れかに設定することができる。
【0179】
エコレベルLVは、動力装置20のエネルギー効率を向上させるレベル(エネルギー効率向上レベル)として運転者が要求するレベルである。エコレベルLVが高エコレベルLV_Hに設定された場合、最大のエネルギー効率向上レベルが運転者により要求され、エコレベルLVが低エコレベルLV_Lに設定された場合、最小のエネルギー効率向上レベルが運転者により要求され、エコレベルLVが中エコレベルLV_Mに設定された場合、最大のエネルギー効率向上レベルよりも小さいが、最小のエネルギー効率向上レベルよりも大きいエネルギー効率向上レベルが運転者に要求されたことになる。
【0180】
後述するように、車両運転支援装置10は、エコレベルLVに応じて設定車速範囲R_Vを設定するようになっている。概して言えば、車両運転支援装置10は、エコレベルLVが高いほど設定車速範囲R_V及び設定先行車距離範囲R_DFを大きい範囲に設定する。特に、本例において、設定車速範囲R_V及び設定先行車距離範囲R_DFは、自車両100がハイブリッド駆動モードで走行される場合、自車両100の運転者による設定操作により変更可能となっている。
【0181】
車両運転支援装置10は、ステップS1115にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1120に進め、後方検出正常条件C9が成立しているか否かを判定する。
【0182】
後方検出正常条件C9は、後方情報検出装置52が正常に機能していて後続車300を検出するために使用する後方検出情報IRを正常に検出することができている場合、成立する。従って、後方検出正常条件C9は、後方情報検出装置52の異常等の理由から、後続車300を検出するために使用する後方検出情報IRを検出することができていない場合、非成立となる。尚、後方検出正常条件C9は、後方情報検出装置52が自車両100に搭載されていない場合に非成立となる条件でもよい。
【0183】
車両運転支援装置10は、ステップS1120にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1125に進め、制御車速幅dVを第1車速幅dV1に設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。第1車速幅dV1は、ゼロよりも大きい値であって、比較的大きい値に設定されている。
【0184】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS1120にて「No」と判定した場合、処理をステップS1130に進め、制御車速幅dVを第2車速幅dV2に設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。第2車速幅dV2は、ゼロよりも大きい値であって、第1車速幅dV1よりも小さい値に設定されている。
【0185】
このように、車両運転支援装置10は、エコ車速制御(車速増減制御)の実行中、後方検出正常条件C9が成立していない場合(後続車300を検出する後続車検出装置に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合)、後方検出正常条件C9が成立した場合(制御範囲変更条件が成立していない場合)よりも、設定車速範囲R_Vを小さい範囲に設定するように構成されている。
【0186】
言い方を換えると、車両運転支援装置10は、ハイブリッド駆動モードでのエコ車速制御(第1駆動モードでの自律走行制御)により自車両100を自律走行させているときに後方情報検出装置52(後続車300を検出する後続車検出装置)に異常が発生した場合、後方情報検出装置52が正常である場合よりも、設定車速範囲R_V(設定制御範囲)を小さい範囲に設定するように構成されている。
【0187】
エコ車速制御により自車両100を自律走行させているときに後続車300が存在する場合において、自車速Vが過剰に大きく増減すると、後続車300が車速を大きく増減させることになり、後続車300を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。従って、周辺車両の円滑な交通を維持するためには、エコ車速制御により自車両100を自律走行させているときに後続車300が存在する場合、当該後続車300の存在を考慮してエコ車速制御により自車両100を自律走行させることが望ましい。しかしながら、後方情報検出装置52に異常が発生する等して、後続車300を検出することができない場合、後続車300の存在を考慮してエコ車速制御を実行することができず、従って、周辺車両の円滑な交通が維持されるようにエコ車速制御により自車両100を自律走行させることができない。
【0188】
車両運転支援装置10によれば、後方情報検出装置52に異常が発生した場合、後方情報検出装置52が正常である場合よりも、設定車速範囲R_Vが小さい範囲に設定される。これによれば、自車速Vが過剰に大きく増減することを抑制することができる。従って、後続車300を検出することができない場合においても、周辺車両の円滑な交通を妨げずに、エコ車速制御により自車両100を自律走行させることができる。
【0189】
又、車両運転支援装置10は、ステップS1115にて「No」と判定した場合、処理をステップS1135に進め、エコレベルLVが中エコレベルLV_Mであるか否かを判定する。
【0190】
車両運転支援装置10は、ステップS1135にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1140に進め、制御車速幅dVを第2車速幅dV2に設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0191】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS1135にて「No」と判定した場合、処理をステップS1145に進め、制御車速幅dVを第3車速幅dV3に設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。第3車速幅dV3は、ゼロよりも大きい値であって、第2車速幅dV2よりも小さい値に設定されている。
【0192】
又、車両運転支援装置10は、ステップS1110にて「No」と判定した場合、処理をステップS1150に進め、モータ駆動モードフラグX_EVの値が「1」であるか否かを判定する。
【0193】
車両運転支援装置10は、ステップS1150にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1155に進め、制御車速幅dVを第4車速幅dV4に設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。第4車速幅dV4は、ゼロよりも大きい値であって、第3車速幅dV3よりも小さい値に設定されている。
【0194】
このように、車両運転支援装置10は、内燃機関21及び電動モータ22の両方又は内燃機関21のみを作動させて自車両100に動力を加えて当該自車両100を走行させるハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)、及び、電動モータ22のみを作動させて自車両100に動力を加えて当該自車両100を走行させるモータ駆動モード(第2駆動モード)でエコ車速制御(車速増減制御)を実行可能に構成されている。
【0195】
そして、設定車速範囲R_Vは、ハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)でエコ車速制御(車速増減制御)が実行されるときよりも、モータ駆動モード(第2駆動モード)でエコ車速制御が実行されるときのほうが小さい範囲に設定される。
【0196】
そして、制御車速幅dVを小さくする条件は、ハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)でエコ車速制御(車速増減制御)を実行しているとの条件を含んでおり、車両運転支援装置10は、モータ駆動モード(第2駆動モード)でエコ車速制御を実行しているときには、後方検出正常条件C9が成立していなくても(制御範囲変更条件が成立しても)、設定車速範囲R_Vを変更しないように構成されている。
【0197】
言い方を換えると、車両運転支援装置10は、モータ駆動モードでのエコ車速制御(第2駆動モードでの自律走行制御)の実行中、後方情報検出装置52(後続車300を検出する後続車検出装置)に異常が発生しても、制御車速幅dV(設定制御範囲)を変更しないように構成されている。
【0198】
車両運転支援装置10によれば、モータ駆動モードでのエコ車速制御により自車両100が自律走行されている場合、設定車速範囲R_Vが比較的小さい範囲に設定されている。従って、後方情報検出装置52に異常が発生する等して、後続車300を検出することができない状況においても、設定車速範囲R_Vを変更せずに、エコ車速制御による自車両100の自律走行を継続しても、自車速Vが過剰に大きく増減することはなく、従って、後続車300が車速を大きく増減させることもない。このため、周辺車両の円滑な交通を妨げる可能性は小さい。従って、設定車速範囲R_Vを変更することなく、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両100をエコ車速制御により自律走行させることができる。
【0199】
又、車両運転支援装置10は、エコ車速制御の実行中、駆動モードがハイブリッド駆動モード(蓄電装置41の電力により発生させる動力以外の動力を使用し得る第1駆動モード)である場合、モータ駆動モード(蓄電装置41の電力により発生させる動力のみを使用する第2駆動モード)である場合よりも、制御車速幅dV(設定制御範囲)を大きい範囲に設定するように構成されている。
【0200】
又、車両運転支援装置10は、惰行制御(第1状態での動力制御)と最適力行制御(第2状態での動力制御)とを選択的に実行しながらエコ車速制御(車速増減制御)を実行しているときに後方検出正常条件C9が成立している(制御範囲変更条件が成立していない)場合において、ハイブリッド駆動モードでのエコ車速制御(第1駆動モードでの車速増減制御)により自車両100を自律走行させている場合、モータ駆動モードでのエコ車速制御(第2駆動モードでの車速増減制御)により自車両100を第2駆動モードで自律走行させている場合よりも、設定車速範囲R_Vを大きい範囲に設定するように構成されている。
【0201】
自律走行制御を実行する場合、即ち、惰行制御と最適加速制御とを選択的に実行しながらエコ車速制御により自車両100を自律走行させる場合において、自車両100をハイブリッド駆動モードで自律走行させるときには、設定車速範囲R_Vが大きい範囲に設定されていると、概して、消費エネルギー量の低減効果が大きくなる。しかしながら、自車両100をモータ駆動モードで自律走行させるときに、設定車速範囲R_Vが大きい範囲に設定されても、消費エネルギー量の低減効果はさほど大きくならないにもかかわらず、周辺車両の円滑な交通を妨げてしまう虞を高めてしまう。
【0202】
車両運転支援装置10によれば、惰行制御と最適力行制御とを選択的に実行しながらエコ車速制御により自車両100を自律走行させているときに後方検出正常条件C9が成立している場合において、駆動モードがハイブリッド駆動モードである場合、駆動モードがモータ駆動モードである場合よりも、設定車速範囲R_Vが大きい範囲に設定される。従って、周辺車両の円滑な交通を妨げてしまうことを抑制しつつ、駆動モードに応じて一定の消費エネルギー量の低減効果を得ることができる。
【0203】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS1150にて「No」と判定した場合、処理をステップS1160に進め、制御車速幅dVをゼロに設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、駆動モードがハイブリッド駆動モードでもモータ駆動モードでもないので、先に述べたように、エンジン継続作動制御が実行される。
【0204】
又、車両運転支援装置10は、ステップS1105にて「No」と判定した場合も、処理をステップS1160に進め、制御車速幅dVをゼロに設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、先行車200が存在しない場合、通常車速制御が実行される。
【0205】
更に、車両運転支援装置10は、図12に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、車両運転支援装置10は、図12に示したルーチンのステップS1200から処理を開始し、その処理をステップS1205に進め、エコ自律走行条件C3が成立しているか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、エコ自律走行制御の実行中であるか否かを判定する。
【0206】
車両運転支援装置10は、ステップS1205にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1210に進め、ハイブリッド駆動モードフラグX_HVの値が「1」であるか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、駆動モードがハイブリッド駆動モードであるか否かを判定する。
【0207】
車両運転支援装置10は、ステップS1210にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1215に進め、自車速Vに基づいて最適力行動力P_OPTを設定し、その後、処理をステップS1295に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、ステップS1215にて設定された最適力行動力P_OPTに基づいて、エコ自律走行制御が実行される。
【0208】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS1210にて「No」と判定した場合、処理をステップS1220に進め、モータ駆動モードフラグX_EVの値が「1」であるか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、駆動モードがモータ駆動モードであるか否かを判定する。
【0209】
車両運転支援装置10は、ステップS1220にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1225に進め、自車速Vに基づいて最適力行動力P_OPTを設定し、その後、処理をステップS1295に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、ステップS1225にて設定された最適力行動力P_OPTに基づいて、エコ自律走行制御が実行される。
【0210】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS1220にて「No」と判定した場合、処理をステップS1230に進め、最適力行動力P_OPTをゼロに設定し、その後、処理をステップS1295に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、駆動モードがハイブリッド駆動モードでもモータ駆動モードでもないので、先に述べたように、エンジン継続作動制御が実行される。
【0211】
又、車両運転支援装置10は、ステップS1205にて「No」と判定した場合も、処理をステップS1230に進め、最適力行動力P_OPTをゼロに設定し、その後、処理をステップS1295に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、エコ自律走行条件C3が成立していないので、通常自律走行制御が実行される。
【0212】
更に、車両運転支援装置10は、図13に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、車両運転支援装置10は、図13に示したルーチンのステップS1300から処理を開始し、その処理をステップS1305に進め、エコ自律走行条件C3が成立しているか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、現在、エコ自律走行制御の実行中であるか否かを判定する。
【0213】
車両運転支援装置10は、ステップS1305にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1310に進め、ハイブリッド駆動モードフラグX_HVの値が「1」であるか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、現在、自車両100をハイブリッド駆動モードで走行させているか否かを判定する。
【0214】
車両運転支援装置10は、ステップS1310にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1315に進め、後方検出正常条件C9が成立しているか否かを判定する。
【0215】
車両運転支援装置10は、ステップS1315にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1320に進め、制御車間距離幅dDを第1車間距離幅dD1に設定し、その後、処理をステップS1395に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。第1車間距離幅dD1は、ゼロよりも大きい値であって、比較的大きい値に設定されている。この場合において、エコ車間距離制御が実行されるときには、第1車間距離幅dD1に基づいて設定される設定車速範囲R_Vに基づいて、エコ車間距離制御が実行される。
【0216】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS1315にて「No」と判定した場合、処理をステップS1325に進め、制御車間距離幅dDを第2車間距離幅dD2に設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。第2車間距離幅dD2は、ゼロよりも大きい値であって、第1車間距離幅dD1よりも小さい値に設定されている。この場合において、エコ車間距離制御が実行されるときには、第1車間距離幅dD1よりも小さい第2車間距離幅dD2に基づいて設定される設定車速範囲R_Vに基づいて、エコ車間距離制御が実行される。
【0217】
このように、車両運転支援装置10は、エコ車間距離制御(車間距離増減制御)の実行中、後方検出正常条件C9が成立していない場合(後続車300を検出する後続車検出装置に異常があるとの制御範囲変更条件が成立した場合)、後方検出正常条件C9が成立した場合(制御範囲変更条件が成立していない場合)よりも、設定先行車距離範囲R_DFを小さい範囲に設定するように構成されている。
【0218】
言い方を換えると、車両運転支援装置10は、ハイブリッド駆動モードでのエコ車間距離制御(第1駆動モードでの自律走行制御)により自車両100を自律走行させているときに後方情報検出装置52(後続車300を検出する後続車検出装置)に異常が発生した場合、後方情報検出装置52が正常である場合よりも、設定先行車距離範囲R_DF(設定制御範囲)を小さい範囲に設定するように構成されている。
【0219】
エコ車間距離制御により自車両100を自律走行させているときに後続車300が存在する場合において、先行車距離DFが過剰に大きく増減すると、後続車300が車速を大きく増減させることになり、後続車300を含む周辺車両の円滑な交通の妨げとなる可能性がある。従って、周辺車両の円滑な交通を維持するためには、エコ車間距離制御により自車両100を自律走行させているときに後続車300が存在する場合、当該後続車300の存在を考慮してエコ車間距離制御により自車両100を自律走行させることが望ましい。しかしながら、後方情報検出装置52に異常が発生する等して、後続車300を検出することができない場合、後続車300の存在を考慮してエコ車間距離制御を実行することができず、従って、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両100をエコ車間距離制御により自律走行させることができない。
【0220】
車両運転支援装置10によれば、後方情報検出装置52に異常が発生した場合、後方情報検出装置52が正常である場合よりも、設定先行車距離範囲R_DFが小さい範囲に設定される。これによれば、先行車距離DFが過剰に大きく増減することを抑制することができる。従って、後方情報検出装置52に異常が発生した場合においても、周辺車両の円滑な交通を妨げずに、エコ車間距離制御により自車両100を自律走行させることができる。
【0221】
又、車両運転支援装置10は、ステップS1310にて「No」と判定した場合、処理をステップS1330に進め、モータ駆動モードフラグX_EVの値が「1」であるか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、現在、自車両100をモータ駆動モードで走行させているか否かを判定する。
【0222】
車両運転支援装置10は、ステップS1330にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS1335に進め、制御車間距離幅dDを第3車間距離幅dD3に設定し、その後、処理をステップS1395に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。第3車間距離幅dD3は、ゼロよりも大きい値であって、第2車間距離幅dD2よりも小さい値に設定されている。この場合において、エコ車間距離制御が実行されるときには、第2車間距離幅dD2よりも小さい第3車間距離幅dD3に基づいて設定される設定車速範囲R_Vに基づいて、エコ車間距離制御が実行される。
【0223】
このように、車両運転支援装置10は、内燃機関21及び電動モータ22の両方又は内燃機関21のみを作動させて自車両100に動力を加えて当該自車両100を走行させるハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)、及び、電動モータ22のみを作動させて自車両100に動力を加えて当該自車両100を走行させるモータ駆動モード(第2駆動モード)でエコ車間距離制御(車間距離増減制御)を実行可能に構成されている。
【0224】
そして、設定先行車距離範囲R_DFは、ハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)でエコ車間距離制御(車間距離増減制御)が実行されるときよりも、モータ駆動モード(第2駆動モード)でエコ車間距離制御が実行されるときのほうが小さい範囲に設定される。
【0225】
そして、制御車間距離幅dDを小さくする条件は、ハイブリッド駆動モード(第1駆動モード)でエコ車間距離制御(車間距離増減制御)を実行しているとの条件を含んでおり、車両運転支援装置10は、モータ駆動モード(第2駆動モード)でエコ車間距離制御(車間距離増減制御)を実行しているときには、後方検出正常条件C9が成立していなくても(制御範囲変更条件が成立しても)、設定先行車距離範囲R_DF(設定車間距離範囲)を変更しないように構成されている。
【0226】
言い方を換えると、車両運転支援装置10は、モータ駆動モード(第2駆動モード)でのエコ車間距離制御の実行中、後方情報検出装置52(後続車300を検出する後続車検出装置)に異常が発生しても、制御車間距離幅dD(設定制御範囲)を変更しないように構成されている。
【0227】
車両運転支援装置10によれば、モータ駆動モードでおエコ車間距離制御により自車両100が自律走行されている場合、設定先行車距離範囲R_DFが比較的小さい範囲に設定されている。従って、後方情報検出装置52に異常が発生する等して、後続車300を検出することができない状況においても、設定先行車距離範囲R_DFを変更せずに、エコ車間距離制御による自車両100の自律走行を継続しても、先行車距離DFが過剰に大きく増減することはなく、従って、後続車300が車速を大きく増減させることもない。このため、周辺車両の円滑な交通を妨げる可能性は小さい。従って、設定先行車距離範囲R_DFを変更することなく、周辺車両の円滑な交通が維持されるように自車両100をエコ車間距離制御により自律走行させることができる。
【0228】
又、車両運転支援装置10は、エコ車間距離制御の実行中、駆動モードがハイブリッド駆動モード(蓄電装置41の電力により発生させる動力以外の動力を使用し得る第1駆動モード)である場合、モータ駆動モード(蓄電装置41の電力により発生させる動力のみを使用する第2駆動モード)である場合よりも、制御車間距離幅dD(設定制御範囲)を大きい範囲に設定するように構成されている。
【0229】
又、車両運転支援装置10は、惰行制御(第1状態での動力制御)と最適力行制御(第2状態での動力制御)とを選択的に実行しながらエコ車間距離制御(車間距離増減制御)を実行しているときに後方検出正常条件C9が成立している(制御範囲変更条件が成立していない)場合において、ハイブリッド駆動モードでのエコ車間距離制御(第1駆動モードでの車間距離増減制御)により自車両100を自律走行させている場合、モータ駆動モードでのエコ車間距離制御(第2駆動モードでの車間距離増減制御)により自車両100を第2駆動モードで自律走行させている場合よりも、設定先行車距離範囲R_DF(設定車間距離範囲)を大きい範囲に設定するように構成されている。
【0230】
自律走行制御を実行する場合、即ち、惰行制御と最適加速制御とを選択的に実行しながらエコ車間距離制御により自車両100を自律走行させる場合において、自車両100をハイブリッド駆動モードで自律走行させるときには、設定先行車距離範囲R_DFが大きい範囲に設定されていると、概して、消費エネルギー量の低減効果が大きくなる。しかしながら、自車両100をモータ駆動モードで自律走行させるときに、設定先行車距離範囲R_DFが大きい範囲に設定されても、消費エネルギー量の低減効果はさほど大きくならないにもかかわらず、周辺車両の円滑な交通を妨げてしまう虞を高めてしまう。
【0231】
車両運転支援装置10によれば、惰行制御と最適力行制御とを選択的に実行しながらエコ車間距離制御により自車両100を自律走行させているときに後方検出正常条件C9が成立している場合において、駆動モードがハイブリッド駆動モードである場合、駆動モードがモータ駆動モードである場合よりも、設定先行車距離範囲R_DFが大きい範囲に設定される。従って、周辺車両の円滑な交通を妨げてしまうことを抑制しつつ、駆動モードに応じて一定の消費エネルギー量の低減効果を得ることができる。
【0232】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS1330にて「No」と判定した場合、処理をステップS1340に進め、制御車間距離幅dDをゼロに設定し、その後、処理をステップS1395に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、駆動モードがハイブリッド駆動モードでもモータ駆動モードでもないので、先に述べたように、エンジン継続作動制御が実行される。
【0233】
又、車両運転支援装置10は、ステップS1305にて「No」と判定した場合も、処理をステップS1340に進め、制御車間距離幅dDをゼロに設定し、その後、処理をステップS1195に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0234】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0235】
例えば、車両運転支援装置10は、エコ車間距離制御の実行中に、自車速Vが上昇して後述する上限車速V_Uに達した場合、エコ車速制御を実行するように構成されてもよい。
【0236】
又、図3の(A)に示したように、後続車300が存在する場合、車両運転支援装置10は、エコ車間距離制御の実行中、先行車距離DFが上限先行車距離DF_Uよりも小さくても、後続車距離DRが所定後続車距離DR_T以下になったときには、最適力行制御を実行して自車両100を加速するように構成されてもよい。この場合、車両運転支援装置10は、最適力行制御を開始した後、後続車距離DRが所定後続車距離DR_Tよりも大きくなっても、先行車距離DFが下限先行車距離DF_Lに達するまでは、最適力行制御を継続する。
【0237】
又、後続車300が存在する場合、車両運転支援装置10は、エコ車間距離制御の実行中、自車速Vと後続車300の走行速度との差を考慮して自車両100が後続車300に近づき過ぎないように最適力行制御を開始するタイミングを決定するように構成されてもよい。
【0238】
尚、図3の(B)に示したように、自車両100周辺の他車両である後続車300が存在する場合、車両運転支援装置10は、エコ車速制御の実行中、自車速Vが下限車速V_Lよりも大きくても、自車両100と後続車300との間の距離(後続車距離DR)が所定の距離(所定後続車距離DR_T)以下になったときには、最適力行制御を実行して自車両100を加速するように構成されてもよい。この場合、車両運転支援装置10は、最適力行制御を開始した後、後続車距離DRが所定後続車距離DR_Tよりも大きくなっても、自車速Vが上限車速V_Uに達するまでは、最適力行制御を継続する。
【0239】
又、後続車300が存在する場合、車両運転支援装置10は、エコ車速制御の実行中、自車速Vと後続車300の走行速度との差を考慮して自車両100が後続車300に近づき過ぎないように最適力行制御を開始するタイミングを決定するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0240】
10…車両運転支援装置、20…動力装置、41…蓄電装置、52…後方情報検出装置、90…ECU、100…自車両、200…先行車、300…後続車

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