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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108511
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】受光機保持治具
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20240805BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G01C15/06 T
G01C15/00 105R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012919
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 圭介
(72)【発明者】
【氏名】松谷 裕治
(72)【発明者】
【氏名】岡田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】堀 一夫
(57)【要約】
【課題】受光機の水平状態を維持しながら、ポールを移動させて正しい位置を探し当てることが可能な受光機保持治具を提供する。
【解決手段】受光機保持治具1は、受光機20を保持する三脚10を備え、受光機20は、受光部21と鉛直方向に沿って延びるポール24とを有し、受光機20は、三脚10にひも13を介して吊り下げられた状態で保持されており、ポール24の下端部24aには、先端に釘30aを有する杭部材30が、ポール24の下端部24aに対しスライド可能に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光機を保持する三脚を備えた受光機保持治具であって、
前記受光機は、受光部と鉛直方向に沿って延びるポールとを有し、
前記受光機は、前記三脚に連結部材を介して吊り下げられた状態で保持されており、
前記ポールの下端部には、先端に釘を有するマーカが前記ポールに対しスライド可能に設けられていることを特徴とする受光機保持治具。
【請求項2】
請求項1に記載の受光機保持治具において、
前記マーカは、下端側に設けられた前記釘と、その上方側に設けられた筒状のガイド部とが一体的に設けられた構成になっており、前記ポールの下端部が、前記ガイド部の内部に挿入されていることを特徴とする受光機保持治具。
【請求項3】
請求項2に記載の受光機保持治具において、
前記ポールの前記下端部に設けられた磁石、および前記マーカの前記ガイド部に設けられた磁石によって、前記マーカが前記ポールの前記下端部の所定位置に保持されることを特徴とする受光機保持治具。
【請求項4】
請求項1または2に記載の受光機保持治具において、
前記マーカの上方には、錘が前記ポールに対しスライド可能な状態で設けられていることを特徴とする受光機保持治具。
【請求項5】
請求項1または2に記載の受光機保持治具において、
前記ポールと各脚部との間には、バネ定数の異なる複数のバネを有するバネ機構が設けられていることを特徴とする受光機保持治具。
【請求項6】
請求項1または2に記載の受光機保持治具において、
前記ポールには、各脚部へ向けて延びる腕部が設けられており、前記腕部を介して前記ポールと各脚部とが連結可能になっていることを特徴とする受光機保持治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光機保持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
トータルステーションは、角度や距離等を計測する測量機器であって、トータルステーション本体からレーザ光を照射し、受光機(プリズムやミラー)を捕捉することによって受光機の位置情報が計測される(例えば、特許文献1参照)。一般的なトータルステーションでは、トータルステーション本体側と受光機側の2人で計測を行うようになっている。
【0003】
近年では、自動追尾型のトータルステーションが提案されており、トータルステーション本体が受光機を自動的に追尾することによって、1人での計測が可能になっている(例えば、特許文献1参照)。この場合、座標データを事前にスマートフォンに登録し、スマートフォンとトータルステーション本体を無線接続することで、スマートフォンの画面上に受光機の位置情報を表示する。作業者はスマートフォンの画面上に表示された誘導表示に従ってマーカを地面に設置することで、杭打ちや縄張り(建物配置)の位置出し作業を行うことが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6130078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作業者が1人で計測を行う場合、受光機の位置情報をスマートフォンの画面上に表示する際、受光機と一体的に設けられたポールが倒れてしまうと、受光機とポール下端部との間で誤差が生じてしまい、位置出し作業を精度よく行うことができない。この際、ポールに付属した気泡計を確認することで、受光機の水平状態を維持することは可能である。
【0006】
しかし、作業者は、「スマートフォンの画面を注視」しつつ、「気泡計を見て受光機の水平状態を維持」しながら、「ポールを移動させて正しい位置を探し当てる」必要があり、これらを同時に行うのが困難である。
【0007】
本発明は上述したような実情を考慮してなされたもので、受光機の水平状態を維持しながら、ポールを移動させて正しい位置を探し当てることが可能な受光機保持治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、受光機を保持する三脚を備えた受光機保持治具であって、前記受光機は、受光部と鉛直方向に沿って延びるポールとを有し、前記受光機は、前記三脚に連結部材を介して吊り下げられた状態で保持されており、前記ポールの下端部には、先端に釘を有するマーカが前記ポールに対しスライド可能に設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、三脚を移動させて、スマートフォン等の画面上に表示される正しい位置を容易に探し当てることができる。また、受光機が三脚に吊り下げられているので、三脚が傾斜した地面に設置されたとしても、受光機の水平状態を容易に維持することができる。これにより、ポールの鉛直姿勢が維持されるので、ポールに対してマーカをスライドさせて、受光機の位置と一致する位置(受光機の鉛直下方の位置)にマーカを下降させることができ、位置出し作業を精度よく行うことができる。
【0010】
上記構成において、前記マーカは、下端側に設けられた前記釘と、その上方側に設けられた筒状のガイド部とが一体的に設けられた構成になっており、前記ポールの下端部が、前記ガイド部の内部に挿入されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、マーカを鉛直方向に沿って確実に移動させることができ、受光機の位置と一致する位置にマーカを確実に下降させることができる。
【0012】
上記構成において、前記ポールの前記下端部に設けられた磁石、および前記マーカの前記ガイド部に設けられた磁石によって、前記マーカが前記ポールの前記下端部の所定位置に保持されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、マーカを空中に浮かせた状態で位置出し作業を行うことが可能になる。この場合、マーカの高さ位置(地面からの距離)をマーカのガイド部の長さよりも小さくすることによって、マーカを下降させる際、マーカの先端の釘が地面に接するまでの間、ポールの下端部によって、マーカを鉛直方向に沿って確実に案内させることができる。
【0014】
上記構成において、前記マーカの上方には、錘が前記ポールに対しスライド可能な状態で設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、錘を上下に移動させることによって、マーカの釘を地面に打ち込むことができる。例えば、自由落下のみによって釘の打ち込みが困難な固い地面に対しても、錘によってマーカを打ち付けることで、地面への釘の打ち込みが可能になる。
【0016】
上記構成において、前記ポールと各脚部との間には、バネ定数の異なる複数のバネを有するバネ機構が設けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、バネ機構によってポールの揺れを効率的に抑制することができる。ここで、バネ定数が大きいバネをポール側に配置することによって、地面が水平でなく、三脚が傾いた場合でも、ポールを鉛直に保つ機能を有する。このようなポール側のバネに対し、バネ定数が小さいバネを脚部側に直列に設けることで、三脚の移動時に発生する細かな揺れを抑制することができる。また、バネ定数が大きいポール側のバネを、バネ定数が小さい脚部側のバネよりも長くすることで、地面の傾きが大きい場合でも容易に対応できる。
【0018】
上記構成において、前記ポールには、各脚部へ向けて延びる腕部が設けられており、腕部を介して前記ポールと各脚部とが連結可能になっていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、腕部を介してポールと各脚部とを連結することで、ポールの鉛直姿勢を維持することできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の受光機保持治具によれば、受光機の水平状態を維持しながら、ポールを移動させて正しい位置を容易に探し当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態にかかる受光機保持治具の概略構成を示す斜視図である。
図2】傾斜した地面に設置された受光機保持治具を示す概略図である。
図3】受光機保持治具のポールの下端部および杭部材の概略構成を示す断面図である。
図4】磁石が設けられたポールの下端部および杭部材の概略構成を示す断面図である。
図5】受光機保持治具に設けられた腕部の概略構成を示す正面図である。
図6】受光機保持治具のバネ機構の変形例を示す概略図である。
図7】受光機保持治具の杭部材を地面に打ち込む様子を示す正面図である。
図8】受光機保持治具を用いた位置出し作業の手順を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
本実施形態にかかる受光機保持治具1は、図1に示すように、移動式の三脚10に、受光機20が取り付けられた構成になっている。三脚10は、3本の脚部11を有しており、各脚部11の下端部には、ローラ11aが回転自在に設けられている。各脚部11の上端部は、略円形状の取付台12に固定されており、各脚部11は、平面視で取付台12の円周方向に等間隔で配置されている。この場合、各脚部11は、取付台12の中心周りに120度間隔で配置されている。各脚部11は斜めに傾斜した状態で取付台12に連結されており、各脚部11の下端部が、平面視で取付台12よりも外側に位置している。
【0024】
取付台12の中心には、例えばひも13等の連結部材の一端部が連結され、ひも13の他端部が受光機20に連結されている。ひも13によって受光機20が三脚10に吊り下げられている。
【0025】
受光機20は、プリズムやミラーを有する受光部21が、円柱状のポール24と一体的に設けられた構成になっている。受光部21の上端部には、ひも13が連結されている。受光部21は、支持台22の上面に設置されている。支持台22の上面は、水平に設けられており、支持台22には、傾斜センサとしての気泡計23が設けられている。気泡計23を確認することによって、支持台22の上面が水平になっているか否かを検知することが可能になっている。
【0026】
支持台22の下面には、ポール24の上端部が固定されている。ポール24は、支持台22の上面に対し、垂直に延びている。つまり、ポール24は、鉛直方向に沿って配置されている。上述したように、受光機20が、ひも13によって三脚10に吊り下げられているので、例えば、図2に示すように、受光機保持治具1が傾斜した地面に設置された場合でも、受光機20を水平に維持することができる。つまり、受光部21が設置された支持台22の上面を水平に維持することができる。また、支持台22に固定されたポール24の鉛直姿勢を維持することができる。
【0027】
ポール24の下端部24aには、マーカとしての杭部材30、および杭部材30を地面に打ち込むための錘31が設けられている。図3に示すように、杭部材30は、ポール24の下端部24aに設けられている。杭部材30は、下端側に設けられた釘30aと、その上方側に設けられたガイド部30bとが一体的に設けられた構成になっている。釘30aの上端がガイド部30bの底面に固定されている。ガイド部30bは、ポール24の下端部24aに沿って上下にスライド可能に設けられている。
【0028】
具体的には、杭部材30のガイド部30bは、上方が開放された円筒状に形成されており、ガイド部30bの内径と、ポール24の下端部24aの外径とが略一致している。ポール24の下端部24aが、略隙間のない状態でガイド部30bの内部に挿入されることで、ガイド部30bは、ポール24の下端部24aに沿って、言い換えれば、鉛直方向に沿ってスライド可能になる。この場合、図7に示すように、ガイド部30bの長さh1(図3参照)の分だけ、ポール24の下端部24aに沿って、杭部材30を下方に移動させる(下降させる)ことが可能になっている。
【0029】
図4に示すように、ポール24の下端部24aには、磁石24bが一体的に設けられている。また、杭部材30のガイド部30bの下端部にも、磁石30dが一体的に設けられている。ガイド部30bの内部にポール24の下端部24aが収容された状態では、磁石24b,30dが同じ高さ位置に配置されるようになっている。磁石24b,30dの極性は、互いに異極になっており、磁石24b,30d間には互いに引き付け合う力が作用する。これにより、杭部材30がポール24の下端部24aの所定位置に保持され、釘30aの先端(下端)が地面から所定の高さh2(図3参照)の位置に配置されるようになっている。
【0030】
杭部材30のガイド部30bの上端部には、鍔部30cが設けられている。鍔部30cは、ガイド部30bよりも大径に形成された円筒状の部分であり、鍔部30cの上側には、円筒状の錘31が設けられている。鍔部30cの外径と錘31の外径とは略同じになっている。磁石24b,30dによって、杭部材30がポール24の下端部24aの所定位置に保持されている状態では、錘31は、鍔部30cの上側に載置されている。錘31は、ガイド部30bに固定されておらず、ポール24の下端部24aに沿って上下に移動可能になっている。
【0031】
ポール24の中間部には、腕部40およびバネ機構50が設けられている。腕部40はポール24から各脚部11へ向けて設けられている。図1図5(b)では、ポール24と各脚部11とが腕部40を介して連結された状態を示している。各腕部40は、ポール24側の第1部分40aと、脚部11側の第2部分40bとが連結された構成になっている。ポール24の中間部には、腕取付部41が固定されており、腕取付部41に第1部分40aの一端部が取り付けられている。第1部分40aの一端部は、ポール24に対する角度を変更可能な状態で腕取付部41に連結されている。第1部分40aの他端部と、第2部分40bの一端部とが、第1部分40aと第2部分40bとのなす角が変更可能な状態で連結されている。これらの連結は、例えばピンや継手等を用いて行うことが可能である。第2部分40bの他端部には、脚部11に係合可能な係合部40cが設けられている。この係合部40c内に脚部11が嵌め込まれることによって、図5(b)に示すように、ポール24と脚部11とが腕部40によって連結され、ポール24の位置を固定できるようになっている。
【0032】
また、各腕部40の係合部40cには磁石(図示省略)が設けられており、図5(a)に示すように、受光機20の上方で、各腕部40の係合部40c同士を固定することが可能になっている。
【0033】
バネ機構50は、腕部40よりも下方に設けられている。図1に示すように、ポール24と各脚部11との間にバネ機構50が設けられている。この場合、3つのバネ機構50が設けられている。
バネ機構50は、バネ定数の異なる複数のバネが直列に接続された構成になっており、図1に示すバネ機構50では、バネ定数の異なる2つのバネ51,52が設けられている。
なお、バネ機構50は、例えば、図6に示すように、バネ定数の異なる3つのバネ51,52,53を設ける構成としてもよい。
【0034】
図1に示すバネ機構50では、ポール24に連結されたバネ51と、脚部11に連結されたバネ52とが、環状の支持部材55を介して連結されている。支持部材55は、3つのバネ機構50に共通の部材になっている。ポール24側のバネ51のバネ定数が、脚部11側のバネ52のバネ定数よりも大きくなっており、ポール24側のバネ51の長さが、脚部11側のバネ52の長さよりも小さくなっている。
【0035】
ここで、バネ定数が大きいポール24側のバネ51は、地面が水平でなく、三脚10が傾いた場合でも、ポール24を鉛直に保つ機能を有する。このようなバネ51に対し、バネ定数が小さい脚部11側のバネ52を直列に設けることで、三脚10の移動時に発生する細かな揺れを抑制することができる。また、バネ定数が大きいポール24側のバネ51を、バネ定数が小さい脚部11側のバネ52よりも長くすることで、地面の傾きが大きい場合でも容易に対応できる。さらに、ポール24側のバネ51の長さが、脚部11側のバネ52の長さよりも小さくなっているので、錘31を移動させる際、手が支持部材55に干渉しにくい位置関係となるので作業性が良くなる。一方、ポール24側のバネ51の長さが、脚部11側のバネ52の長さよりも大きい場合、錘31を移動させる際、手が支持部材55に干渉しやすい位置関係となるので作業性が悪くなる。
【0036】
次に、上記構成の受光機保持治具1を用いて、1人で位置出し作業を行う場合の手順について、図8を参照して説明する。
【0037】
まず、図8(a)に示すように、スマートフォン100の画面101を見ながら、三脚10を移動させて受光機保持治具1の位置を調整する。なお、位置出し作業を行う際には、スマートフォン100に座標データを事前に登録しておき、スマートフォン100とトータルステーション(図示省略)等の測量機器とを無線接続し、スマートフォン100の画面101上に受光機20の位置情報を表示させる。
【0038】
作業者は、スマートフォン100の画面101上に表示された誘導表示に従って三脚10を移動させればよい。この場合、現在位置の右方に15mmの位置に目標地点P1があることが分かるので、三脚10を右方に15mm移動させればよい。
【0039】
そして、図8(b)に示すように、スマートフォン100の画面101上で「0mm」の表示が出るまで受光機保持治具1の位置を調整して、目標地点P1の鉛直上方にポール24を位置させる。なお、三脚10の移動時は、受光機20の上方で、各腕部40の係合部40c同士を固定しておけばよい。
【0040】
次に、図8(c)に示すように、腕部40によって、ポール24と脚部11とを連結し、ポール24を三脚10に対して固定する。
【0041】
そして、図8(d)に示すように、手で杭部材30のガイド部30bまたは鍔部30cをつかみ、釘30aが地面に当たるまで、杭部材30を鉛直下方にスライドさせる。
【0042】
次に、図8(e)に示すように、手で錘31を上下に移動させて、錘31で鍔部30cを打ち付け、釘30aを地面に打ち込む。
【0043】
そして、図8(f)に示すように、釘30aの打ち込みが完了したら、三脚10を移動させ、次の目標地点P1の位置出しに移行する。
【0044】
本実施形態では、受光機保持治具1において、受光機20が、ひも13を介して三脚10に吊り下げられた状態で保持されており、ポール24の下端部24aには、先端に釘30aを有する杭部材30がポール24に対しスライド可能に設けられている。本実施形態によれば、受光機20の水平状態を維持しながら、ポール24を移動させて正しい位置を容易に探し当てることができる。詳細には、三脚10を移動させてポール24を移動させ、スマートフォン100の画面101上に表示される正しい位置を容易に探し当てることができる。また、受光機20が三脚10に吊り下げられているので、三脚10が傾斜した地面に設置されたとしても、受光機20の水平状態を容易に維持することができる。これにより、ポール24の鉛直姿勢が維持されるので、ポール24に対して杭部材30をスライドさせて、受光機20の位置と一致する位置(受光機20の鉛直下方の位置)に杭部材30を下降させることができ、位置出し作業を精度よく行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、杭部材30は、下端側に設けられた釘30aと、その上方側に設けられた筒状のガイド部30bとが一体的に設けられた構成になっており、ポール24の下端部24aが、ガイド部30bの内部に挿入されている。これにより、杭部材30を鉛直方向に沿って確実に移動させることができ、受光機20の位置と一致する位置に杭部材30を確実に下降させることができる。
【0046】
また、杭部材30の上方には、錘31がポール24に対しスライド可能な状態で設けられているので、錘31を上下に移動させることによって、杭部材30の釘30aを地面に打ち込むことができる。例えば、自由落下のみによって釘30aの打ち込みが困難な固い地面に対しても、錘31によって杭部材30を打ち付けることで、地面への30aの打ち込みが可能になる。
【0047】
さらに、ポール24の下端部24aに設けられた磁石24b、および杭部材30のガイド部30bに設けられた磁石30dによって、杭部材30がポール24の下端部24aの所定位置に保持されている。これにより、杭部材30を空中に浮かせた状態で位置出し作業を行うことが可能になる。この場合、杭部材30の釘30aの高さh2を杭部材30のガイド部30bの長さh1よりも小さくすることによって(h2<h1)、杭部材30を下降させる際、杭部材30の先端の釘30aが地面に当たるまでの間、ポール24の下端部24aによって、杭部材30を鉛直方向に沿って確実に案内させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、ポール24と各脚部11との間に、バネ定数の異なる複数のバネを有するバネ機構50が設けられているので、バネ機構50によってポール24の揺れを効率的に抑制することができる。さらに、ポール24には、各脚部11へ向けて延びる腕部40が設けられており、腕部40を介してポール24と各脚部11とが連結可能になっているので、腕部40によってポール24の鉛直姿勢を維持することできる。
【0049】
本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0050】
上記実施形態では、受光機20を三脚10に吊り下げるための連結部材として、ひも13を用いたが、これに限らず、ワイヤ等を用いてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、三脚10を取付台12に3本の脚部11が連結された構成としたが、ひも13等の連結部材を連結可能であり、受光機20の水平姿勢およびポール24の鉛直姿勢を維持可能であればよく、取付台12のない三脚10を用いてもよい。また、脚部11の下端部にローラ11aを設けたが、ローラ11a以外の手段によって三脚10の移動を補助してもよいし、あるいは、脚部11の下端部にローラ11a等を設けない構成としてもよい。
【0052】
上記実施形態では、ガイド部30bの上端部に鍔部30cを設けて錘31による打ち付けを容易に行えるようにしたが、ガイド部30bの上端部の鍔部30cは省略してもよく、錘31によりガイド部30bの上端部を打ち付けるようにしてもよい。
【0053】
(付記1)
受光機を保持する三脚を備えた受光機保持治具であって、
前記受光機は、受光部と鉛直方向に沿って延びるポールとを有し、
前記受光機は、前記三脚に連結部材を介して吊り下げられた状態で保持されており、
前記ポールの下端部には、先端に釘を有するマーカが前記ポールに対しスライド可能に設けられていることを特徴とする受光機保持治具。
【0054】
(付記2)
付記1に記載の受光機保持治具において、
前記マーカは、下端側に設けられた前記釘と、その上方側に設けられた筒状のガイド部とが一体的に設けられた構成になっており、前記ポールの下端部が、前記ガイド部の内部に挿入されていることを特徴とする受光機保持治具。
【0055】
(付記3)
付記2に記載の受光機保持治具において、
前記ポールの前記下端部に設けられた磁石、および前記マーカの前記ガイド部に設けられた磁石によって、前記マーカが前記ポールの前記下端部の所定位置に保持されることを特徴とする受光機保持治具。
【0056】
(付記4)
付記1~3のいずれか1つに記載の受光機保持治具において、
前記マーカの上方には、錘が前記ポールに対しスライド可能な状態で設けられていることを特徴とする受光機保持治具。
【0057】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載の受光機保持治具において、
前記ポールと各脚部との間には、バネ定数の異なる複数のバネを有するバネ機構が設けられていることを特徴とする受光機保持治具。
【0058】
(付記6)
付記1~5のいずれか1つに記載の受光機保持治具において、
前記ポールには、各脚部へ向けて延びる腕部が設けられており、前記腕部を介して前記ポールと各脚部とが連結可能になっていることを特徴とする受光機保持治具。
【符号の説明】
【0059】
1 受光機保持治具
10 三脚
11 脚部
11a ローラ
12 取付台
13 ひも(連結部材)
20 受光機
21 受光部
22 支持台
23 気泡計
24 ポール
24a 下端部
24b 磁石
30 杭部材(マーカ)
30a 釘
30b ガイド部
30c 鍔部
30d 磁石
31 錘
40 腕部
40a 第1部分
40b 第2部分
40c 係合部
41 腕取付部
50 バネ機構
51,52,53 バネ
55 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8