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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108512
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 11/00 20060101AFI20240805BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20240805BHJP
   B41J 29/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65H11/00 A
B65H1/04 310Z
B41J29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012921
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】奥村 英之
【テーマコード(参考)】
2C061
3F063
3F343
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AS02
2C061BB35
2C061DD02
3F063AA01
3F063AB07
3F063BA02
3F063BA08
3F063BA09
3F063BC02
3F063CA06
3F343FA02
3F343FB04
3F343FC27
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA18
3F343HA28
3F343KB03
3F343KB17
3F343LA15
3F343LD12
(57)【要約】
【課題】開閉可能に設けられた載置台が閉状態のときに、載置台の閉状態を良好に維持することが可能な媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、フレームを有する筐体と、筐体に開閉可能に設けられ、開状態で媒体を載置可能な載置台と、フレームに設けられた被係合部と、載置台が閉状態のときに、被係合部と対向するように載置台の少なくとも片方に設けられた係合部と、フレームに設けられた被当接部と、載置台に設けられた当接部と、を有し、載置台が閉状態のときに、係合部が被係合部に係合して、載置台の閉状態が維持され、載置台が閉状態のときに、当接部が被当接部と当接して、係合部が被係合部から離間するような載置台の移動が制限される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを有する筐体と、
前記筐体に開閉可能に設けられ、開状態で媒体を載置可能な載置台と、
前記フレームに設けられた被係合部と、
前記載置台が閉状態のときに、前記被係合部と対向するように前記載置台の少なくとも片方に設けられた係合部と、
前記フレームに設けられた被当接部と、
前記載置台に設けられた当接部と、を有し、
前記載置台が閉状態のときに、前記係合部が前記被係合部に係合して、前記載置台の閉状態が維持され、
前記載置台が閉状態のときに、前記当接部が前記被当接部と当接して、前記係合部が前記被係合部から離間するような前記載置台の移動が制限される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記係合部は、前記載置台の片方にのみ設けられる、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記当接部は、内部に当接面を有するフック形状を有し、
前記被当接部は、内部に被当接面を有するフック形状を有し、
前記載置台が閉状態のときに、前記当接面が前記被当接面と当接することにより、前記載置台の前記移動が制限される、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記当接部は、突出部を有し、
前記載置台が閉状態のときに、前記突出部が前記被当接部と当接することにより、前記載置台の前記移動が制限される、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記載置台は、前記筐体に回転可能に支持され、
前記当接部と前記載置台の回転軸との間の距離は、前記係合部と前記回転軸との間の距離より小さい、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能に設けられた載置台を有する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体を搬送しながら撮像するスキャナ等の媒体搬送装置において、未使用時に装置サイズを小さくするために、媒体を載置するための載置台が筐体に開閉可能に設けられている場合がある。
【0003】
装置本体の前カバーに設けられる収納凹部に対して手差しトレイが回動可能に設けられた給紙装置が開示されている(特許文献1を参照)。この給紙装置において、手差しトレイは、使用しない場合、回動されて収納凹部に収納される。収納凹部は、その左右の内側面にスナップフィット等の係止部を備え、手差しトレイは、このスナップフィットに係止される被係止孔を左右側面に備える。
【0004】
開閉カバーの回転軸線方向における両側に設けられるロック機構と、回転軸線方向における片側に設けられる開閉センサとを有する原稿送り装置が開示されている(特許文献2を参照)。ロック機構は、開閉カバー側に設けられるロック爪と、装置本体側に設けられる係合部材とからなる。ロック機構が非ロック状態からロック状態に切り替わるタイミングにおいて、ロック爪における係合部材との接触位置を第1係合位置、係合部材におけるロック爪との接触位置を第2係合位置とする。開閉カバーが完全に閉じた状態で、第1係合位置と第2係合位置との間の距離が、開閉センサが設けられた側で短く、設けられていない側で長くなるように、ロック爪および係合部材が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6586933号公報
【特許文献2】特開2022-035349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
載置台が開閉可能に設けられている媒体搬送装置では、載置台が閉状態のときに、載置台の閉状態を良好に維持できることが求められている。
【0007】
本発明の目的は、開閉可能に設けられた載置台が閉状態のときに、載置台の閉状態を良好に維持することが可能な媒体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、フレームを有する筐体と、筐体に開閉可能に設けられ、開状態で媒体を載置可能な載置台と、フレームに設けられた被係合部と、載置台が閉状態のときに、被係合部と対向するように載置台の少なくとも片方に設けられた係合部と、フレームに設けられた被当接部と、載置台に設けられた当接部と、を有し、載置台が閉状態のときに、係合部が被係合部に係合して、載置台の閉状態が維持され、載置台が閉状態のときに、当接部が被当接部と当接して、係合部が被係合部から離間するような載置台の移動が制限される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体搬送装置は、開閉可能に設けられた載置台が閉状態のときに、載置台の閉状態を良好に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】媒体搬送装置100を示す斜視図である。
図2】媒体搬送装置100を示す斜視図である。
図3】係合部111及び被係合部112について説明するための模式図である。
図4】供給トレイ103について説明するための模式図である。
図5】フレーム107について説明するための模式図である。
図6】第1当接部113等について説明するための模式図である。
図7】(A)、(B)は、第1当接部113等について説明するための模式図である。
図8】供給トレイ103及びフレーム107について説明するための模式図である。
図9】(A)、(B)は、第2当接部115等について説明するための模式図である。
図10】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図11】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
図12】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
図13】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図14】(A)、(B)は、他の供給トレイ203及びフレーム207について説明するための模式図である。
図15】(A)は、他の供給トレイ303について説明するための模式図であり、(B)は、他の供給トレイ403について説明するための模式図である。
図16】他の処理回路550の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0012】
図1及び図2は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0013】
図1及び図2において矢印A1は略鉛直方向(高さ方向)を示し、矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0014】
媒体搬送装置100は、第1筐体101、第2筐体102、供給トレイ103、排出トレイ104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0015】
第1筐体101は、筐体の一例である。第2筐体102は、第1筐体101の内側に配置され、媒体つまり時、又は、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第1筐体101に回転可能に係合している。第1筐体101は、フレーム107を有する。フレーム107は、第1筐体101の内側に、閉状態である供給トレイ103と対向するように設けられる。
【0016】
供給トレイ103は、いわゆるホッパであり、媒体を載置するための載置面103aを有する。供給トレイ103は、第1筐体101に開閉可能に設けられている。供給トレイ103は、後述するヒンジにより第1筐体101の媒体供給側の側面に回転可能に支持される。供給トレイ103は、図1に示すように、開状態で、搬送される媒体を載置可能であり、図2に示すように、閉状態で、第1筐体101内部に収納される。これにより、媒体搬送装置100は、未使用時に供給トレイ103を第1筐体101内に収納させて、装置サイズを低減することが可能となり、利用者は作業スペースを拡大させることが可能となる。
【0017】
また、供給トレイ103は、開状態で、高さ方向A1に移動可能に、即ち上昇及び下降可能に設けられる。供給トレイ103は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体を搬送するときは最も上側に載置された媒体が、後述するピックローラと当接する位置まで上昇する。
【0018】
供給トレイ103には、係合部111が設けられる。フレーム107には、係合部111と係合する被係合部112が設けられる。係合部111は、例えばラッチ(留め具)であり、供給トレイ103の側面から突出するように設けられる。被係合部112は、例えば凹部(穴部)であり、フレーム107の内側に設けられる。係合部111は、供給トレイ103が閉状態のときに、被係合部112と対向するように供給トレイ103の少なくとも片方に、即ち幅方向A4において少なくとも一方の端部側に設けられる。被係合部112は、供給トレイ103が閉状態のときに、係合部111と対向するように、フレーム107に設けられる。図2に示すように、係合部111が被係合部112に係合することにより、供給トレイ103はフレーム107内部に収納されたときに、フレーム107に固定される。
【0019】
例えば、係合部111は、供給トレイ103の片方のサイドにのみ、即ち幅方向A4において一方の端部側(図1に示す例では左側)にのみ設けられる。その場合、被係合部112も、フレーム107の片方のサイドにのみ、即ち幅方向A4において係合部111が設けられた側(図1に示す例では左側)にのみ設けられる。係合部111及び被係合部112が幅方向A4における一方の端部にのみ設けられることにより、二つの係合機構のうちの一方のみが係合しつつ他方が係合しない、いわゆる片閉まりの発生が抑制される。したがって、媒体搬送装置100は、供給トレイ103の損傷の発生等を抑制できるとともに、利用者の利便性を向上させることができる。また、係合部111及び被係合部112が幅方向A4における一方の端部にのみ設けられることにより、媒体搬送装置100は、部品数の削減又は各部品の構造の単純化を図ることができ、装置コストの低減を図ることができる。
【0020】
なお、係合部111は、供給トレイ103の両方のサイドに、即ち幅方向A4において両方の端部に設けられてもよい。その場合、被係合部112も、フレーム107の両方のサイドに、即ち幅方向A4において両方の端部に設けられる。
【0021】
排出トレイ104は、第2筐体102に開閉可能に設けられている。排出トレイ104は、ヒンジにより第2筐体102の上面に回転可能に支持される。排出トレイ104は、第1筐体101及び第2筐体102の排出口から排出された媒体を載置可能である。排出トレイ104は、開状態で、媒体を載置するエリアを延長可能であり、閉状態で、第2筐体102内部に収納される。
【0022】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0023】
図3は、係合部111及び被係合部112について説明するための模式図である。図3は、図2におけるA-A’線断面図である。即ち、図3において、供給トレイ103は閉状態であり、係合部111は被係合部112に係合している。
【0024】
図3に示すように、供給トレイ103の第1側面103bには幅方向A4に延伸する穴部103cが形成され、係合部111は穴部103cに配置される。係合部111は、突起部材111a及び弾性部材111bを含む。突起部材111aは、プラスチック等の樹脂又は鉄等の金属等で形成され、穴部103cの開口側(被係合部112側)に配置される。弾性部材111bは、圧縮コイルばね等のばね部材又はゴム部材等で形成される。弾性部材111bの一端は、突起部材111aに取り付けられ、弾性部材111bの他端は、穴部103cの底面に取り付けられる。弾性部材111bは、突起部材111aに被係合部112側に向かう力を付与する。
【0025】
供給トレイ103が開状態であるとき、突起部材111aは、弾性部材111bからの力によって穴部103cから突出する。利用者により供給トレイ103が閉じられると、突起部材111aの先端に形成された傾斜部111cがフレーム107の前面に当接し、突起部材111aはフレーム107によって押圧されて穴部103c内に押し込まれる。その後、突起部材111aは、フレーム107の第1内部側面107aに当接しながら移動し、被係合部112の底面112aに当接する。突起部材111aは、弾性部材111bからの力によって被係合部112の底面112aに押し当てられ、係合部111は、被係合部112に係合する。このように、供給トレイ103が閉状態のときに、係合部111が被係合部112に係合して、供給トレイ103の閉状態が維持される。
【0026】
一方、利用者により供給トレイ103が開かれると、突起部材111aの先端は、被係合部112の縁部に形成された傾斜部112bに沿って移動し、突起部材111aはフレーム107によって押圧されて穴部103c内に押し込まれる。その後、突起部材111aは、フレーム107の第1内部側面107aに当接しながら移動し、フレーム107から離間したときに、弾性部材111bからの力によって穴部103cから突出する。
【0027】
図4は、供給トレイ103について説明するための模式図である。図4は、フレーム107(第1筐体101)から取り外された状態の供給トレイ103の一方の側面の周辺を示している。
【0028】
図4に示すように、供給トレイ103の第1側面103bには、係合部111に加えて、第1当接部113が設けられる。第1当接部113は、当接部の一例である。第1当接部113は、載置面103aと平行であり且つ幅方向A4と直交する延伸方向A5に延伸し、且つ、幅方向A4の外側(フレーム107の後述する第1内部側面107a側)に向けて曲がるフック形状を有する。フック形状の先端部113aは延伸方向A5の反対方向に延伸し、その内部には当接面113bが設けられる。
【0029】
図5は、フレーム107について説明するための模式図である。図5は、供給トレイ103が取り外された状態のフレーム107の内側に形成された側面の周辺を示している。
【0030】
図5に示すように、フレーム107の第1内部側面107aには、第1被当接部114が設けられる。第1被当接部114は、被当接部の一例である。第1被当接部114は、媒体搬送方向A2に延伸し、且つ、幅方向A4の内側(供給トレイ103の第1側面103b側)に向けて曲がるフック形状を有する。フック形状の先端部114aは媒体搬送方向A2の反対方向に延伸し、その内部には被当接面114bが設けられる。
【0031】
図6及び図7(A)、(B)は、第1当接部113及び第1被当接部114について説明するための模式図である。図6は、図2におけるB-B’線断面図である。図7(A)は、図1におけるC-C’線断面図である。図7(B)は、図2におけるD-D’線断面図である。即ち、図7(A)において、供給トレイ103は開状態であり、図6及び図7(B)において、供給トレイ103は閉状態である。
【0032】
図7(A)に示すように、供給トレイ103が開状態である場合、第1当接部113の先端部113aは第1被当接部114の先端部114aと対向しない位置に配置され、第1当接部113の当接面113bは第1被当接部114の被当接面114bと当接しない。これにより、供給トレイ103が開状態である場合、第1当接部113及び第1被当接部114は、フレーム107に対する供給トレイ103の幅方向A4の移動を制限しない。そのため、開状態である供給トレイ103はスムーズに回転可能であり、利用者は供給トレイ103を容易に開閉できる。
【0033】
図6及び図7(B)に示すように、供給トレイ103が閉状態である場合、第1当接部113の先端部113aは第1被当接部114の先端部114aと対向する位置に配置され、第1当接部113の当接面113bは第1被当接部114の被当接面114bと当接する。これにより、供給トレイ103が閉状態である場合、第1当接部113及び第1被当接部114は、幅方向A4において係合部111が被係合部112から離間する方向(図6における右方向)の供給トレイ103の移動を制限する。
【0034】
このように、供給トレイ103が閉状態のときに、第1当接部113が第1被当接部114と当接して、係合部111が被係合部112から離間するような供給トレイ103の移動が制限される。これにより、供給トレイ103が閉状態である媒体搬送装置100に振動が加わった場合等に、係合部111と被係合部112の係合が解除されて、供給トレイ103が開いてしまうことが抑制される。また、部品の製造ばらつき等により、供給トレイ103とフレーム107の間に隙間が生じている場合でも、供給トレイ103が幅方向A4に移動して係合部111と被係合部112の係合が解除され、供給トレイ103が開いてしまうことが抑制される。
【0035】
特に、第1当接部113及び第1被当接部114は、それぞれ内部に当接面113b及び被当接面114bを有するフック形状を有する。そして、供給トレイ103が閉状態のときに、当接面113bが第1被当接部114と当接することにより、係合部111が被係合部112から離間するような供給トレイ103の移動が制限される。フック形状を有する部分は容易に形成可能であり、第1当接部113及び第1被当接部114は簡易且つ低価格に形成され得る。したがって、媒体搬送装置100は、装置コストの増大を抑制しつつ、閉状態の供給トレイ103が開いてしまうことを抑制できる。
【0036】
また、図6に示すように、供給トレイ103は、ヒンジ108によりフレーム107に、即ち第1筐体101に回転可能に支持される。第1当接部113は、供給トレイ103の回転軸であるヒンジ108と係合部111との間の位置に配置される。即ち、第1当接部113とヒンジ108の間の距離は、係合部111とヒンジ108の間の距離より小さい。供給トレイ103において回転軸から第1当接部113までの距離が小さい場合、供給トレイ103の回転時に第1当接部113が移動する範囲が小さい。そのため、係合部111と被係合部112が係合している状態において、第1当接部113と第1被当接部114の配置位置が多少ずれていても、第1当接部113と第1被当接部114が適切に当接する可能性が高い。したがって、媒体搬送装置100は、装置毎の製造誤差の影響を低減させ、歩留まりを向上させることができる。
【0037】
また、媒体搬送装置100は、フック形状を有する第1当接部113及び第1被当接部114を用いて、供給トレイ103をフレーム107に当接させることによって、供給トレイ103の移動を制限する。これにより、供給トレイ103とフレーム107は、簡易に離間可能に設けられ、利用者は、媒体搬送装置100内部の清掃時、又は、媒体のジャムの発生時等に、フレーム107から供給トレイ103を容易に取り外すことができる。したがって、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0038】
図8は、供給トレイ103及びフレーム107について説明するための模式図である。図8は、開状態である供給トレイ103の、第1当接部113が設けられた第1側面103bの反対側の第2側面103d、及び、フレーム107の、第1被当接部114が設けられた第1内部側面107aの反対側の第2内部側面107bの周辺を示す。
【0039】
図8に示すように、供給トレイ103の第2側面103dには、第2当接部115が設けられる。第2当接部115は、当接部の一例である。第2当接部115は、第2側面103dから幅方向A4の外側(フレーム107の第2内部側面107b側)に突出するように形成された突出部115aを有する。突出部115aは、十字形状を有し、中心位置が最も突出するように傾斜している。また、フレーム107の第2内部側面107bには、第2被当接部116が設けられる。第2被当接部116は、被当接部の一例である。第2被当接部116は、第2内部側面107bから幅方向A4の内側(供給トレイ103の第2側面103d側)に突出するように形成される。
【0040】
図9(A)、(B)は、第2当接部115及び第2被当接部116について説明するための模式図である。図9(A)は、開状態である供給トレイ103の第2側面103d、及び、フレーム107の第2内部側面107bの周辺を側方から見た模式図である。図9(B)は、閉状態である供給トレイ103の第2側面103d、及び、フレーム107の第2内部側面107bの周辺を側方から見た模式図である。
【0041】
図9(A)に示すように、供給トレイ103が開状態である場合、第2当接部115の突出部115aは第2被当接部116と対向しない位置に配置され、突出部115aは第2被当接部116と当接しない。これにより、供給トレイ103が開状態である場合、第2当接部115及び第2被当接部116は、フレーム107に対する供給トレイ103の幅方向A4の移動を制限しない。そのため、開状態である供給トレイ103はスムーズに回転可能であり、利用者は供給トレイ103を容易に開閉できる。
【0042】
一方、図9(B)に示すように、供給トレイ103が閉状態である場合、第2当接部115の突出部115aは第2被当接部116と対向する位置に配置され、突出部115aは第2被当接部116と当接する。これにより、供給トレイ103が閉状態である場合、第2当接部115及び第2被当接部116は、幅方向A4において係合部111が被係合部112から離間する方向(図8における右方向)の供給トレイ103の移動を制限する。また、突出部115aが傾斜していることにより、供給トレイ103が閉状態と開状態の間で変化する際に、第2当接部115は第2被当接部116に沿って滑らかに摺動する。そのため、利用者は供給トレイ103を良好に開閉できる。
【0043】
このように、供給トレイ103が閉状態のときに、第2当接部115の突出部115aが第2被当接部116と当接することにより、係合部111が被係合部112から離間するような供給トレイ103の移動が制限される。これにより、供給トレイ103が閉状態である媒体搬送装置100に振動が加わった場合等に、係合部111と被係合部112の係合が解除されて、供給トレイ103が開いてしまうことが抑制される。また、突出部115aは容易に形成可能であり、第2当接部115及び第2被当接部116は、簡易且つ低価格に形成され得る。したがって、媒体搬送装置100は、装置コストの増大を抑制しつつ、閉状態の供給トレイ103が開いてしまうことを抑制できる。
【0044】
また、第1当接部113と同様に、第2当接部115は、供給トレイ103の延伸方向A5において、ヒンジ108と係合部111の間の位置に配置される。即ち、第2当接部115とヒンジ108の間の距離は、係合部111とヒンジ108の間の距離より小さい。これにより、係合部111と被係合部112が係合している状態において、第2当接部115と第2被当接部116の配置位置が多少ずれていても、第2当接部115と第2被当接部116が適切に当接する可能性が高い。したがって、媒体搬送装置100は、装置毎の製造誤差の影響を低減させ、歩留まりを向上させることができる。
【0045】
また、媒体搬送装置100は、突出部115aを有する第2当接部115及び第2被当接部116を用いて、供給トレイ103をフレーム107に当接させることによって、供給トレイ103の移動を制限する。これにより、供給トレイ103とフレーム107は、簡易に離間可能に設けられ、利用者は、媒体搬送装置100内部の清掃時、又は、媒体のジャムの発生時等に、フレーム107から供給トレイ103を容易に取り外すことができる。したがって、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0046】
図10は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0047】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、媒体センサ121、ピックローラ122、給送ローラ123、分離ローラ124、第1~第6搬送ローラ125a~f、第1~第6従動ローラ126a~f及び撮像装置127等を有している。
【0048】
なお、ピックローラ122、給送ローラ123、分離ローラ124、第1~第6搬送ローラ125a~f及び/又は第1~第6従動ローラ126a~fのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ123、分離ローラ124、第1~第6搬送ローラ125a~f及び/又は第1~第6従動ローラ126a~fは、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0049】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0050】
媒体センサ121は、供給トレイ103に、即ち給送ローラ123及び分離ローラ124より上流側に配置され、供給トレイ103における媒体の載置状態を検出する。媒体センサ121は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、供給トレイ103に媒体が載置されているか否かを判別する。媒体センサ121は、供給トレイ103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体信号を生成して出力する。なお、媒体センサ121は接触検知センサに限定されず、媒体センサ121として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0051】
ピックローラ122は、第2筐体102に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した供給トレイ103に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接して、その媒体を下流側に向けて搬送する。
【0052】
給送ローラ123は、第2筐体102内に、ピックローラ122より下流側に設けられ、供給トレイ103に載置されてピックローラ122により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。分離ローラ124は、第1筐体101内に、給送ローラ123と対向して設けられる。分離ローラ124は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられる。給送ローラ123及び分離ローラ124は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ123は、分離ローラ124に対して上側に配置されており、媒体搬送装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。
【0053】
第1~第6搬送ローラ125a~f及び第1~第6従動ローラ126a~fは、給送ローラ123及び分離ローラ124より下流側に、それぞれ相互に対向して設けられ、給送ローラ123及び分離ローラ124により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第6搬送ローラ125f及び第6従動ローラ126fは、媒体を排出トレイ104に排出する。
【0054】
撮像装置127は、媒体搬送方向A2において、第1~第2搬送ローラ125a~bより下流側に配置され、第1~第2搬送ローラ125a~b及び第1~第2従動ローラ126a~bにより搬送された媒体を撮像する。撮像装置127は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置127a及び第2撮像装置127bを含む。
【0055】
第1撮像装置127aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置127aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置127aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0056】
同様に、第2撮像装置127bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置127bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置127bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0057】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置127a及び第2撮像装置127bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0058】
供給トレイ103に載置された媒体は、ピックローラ122、給送ローラ123がそれぞれ媒体給送方向A11、A12に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。媒体搬送装置100は、給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有する。給送モードは、利用者により操作装置105又は媒体搬送装置100と通信接続する情報処理装置を用いて設定される。給送モードが分離モードに設定されている場合、分離ローラ124は、矢印A13の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転又は停止する。これにより、分離された媒体以外の媒体の給送が制限される(重送の防止)。一方、給送モードが非分離モードに設定されている場合、分離ローラ124は、矢印A13の反対方向、即ち媒体給送方向に回転する。
【0059】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ125a~bが矢印A14~A15の方向に回転することによって、撮像装置127の撮像位置に送り込まれ、撮像装置127によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第6搬送ローラ125c~fがそれぞれ矢印A16~A19の方向に回転することによって排出トレイ104上に排出される。
【0060】
図11は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0061】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0062】
モータ131は、一又は複数のモータを含む。モータ131は、処理回路150からの制御信号によって、ピックローラ122、給送ローラ123、分離ローラ124、第1~第6搬送ローラ125a~fを回転させて媒体を搬送させるとともに、供給トレイ103を移動させる。なお、第1~第6従動ローラ126a~fは、第1~第6搬送ローラ125a~fに従動回転するのでなく、モータ131の駆動力に従って回転するように設けられてもよい。
【0063】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース回路を有してもよい。
【0064】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0065】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0066】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、媒体センサ121、撮像装置127、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、媒体センサ121から受信した媒体信号に基づいて、モータ131の駆動制御、撮像装置127の撮像制御等を行う。処理回路150は、撮像装置127から入力画像を取得し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。
【0067】
図12は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0068】
図12に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び画像取得プログラム142等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151及び画像取得部152として機能する。
【0069】
図13は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0070】
以下、図13に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
【0071】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0072】
次に、制御部151は、媒体センサ121から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、供給トレイ103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。供給トレイ103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0073】
一方、供給トレイ103に媒体が載置されている場合、制御部151は、モータ131を駆動して、媒体を給送可能な位置まで供給トレイ103を上昇させるとともに、各ローラを回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS103)。
【0074】
次に、制御部151は、撮像装置127に媒体を撮像させて、撮像装置127から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS104)。
【0075】
次に、制御部151は、媒体センサ121から受信する媒体信号に基づいて供給トレイ103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS105)。供給トレイ103に媒体が残っている場合、制御部151は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S105の処理を繰り返す。
【0076】
一方、供給トレイ103に媒体が残っていない場合、制御部151は、各ローラを停止させるように、モータ131を制御し(ステップS106)、一連のステップを終了する。
【0077】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、供給トレイ103が第1筐体101に収納された状態で、供給トレイ103に設けられた第1当接部113及び第2当接部115を第1筐体101に設けられた第1被当接部114及び第2被当接部116に当接させる。これにより、媒体搬送装置100は、係合部111の係合が解除されるような供給トレイ103の移動を制限させる。したがって、媒体搬送装置100は、開閉可能に設けられた供給トレイ103が閉状態のときに、供給トレイ103の閉状態を良好に維持することが可能となった。
【0078】
図14(A)、(B)は、他の実施形態に係る媒体搬送装置の供給トレイ203及びフレーム207について説明するための模式図である。
【0079】
本実施形態に係る媒体搬送装置は、媒体搬送装置100が有する各部を有する。但し、媒体搬送装置は、供給トレイ103及びフレーム107の代わりに、供給トレイ203及びフレーム207を有する。供給トレイ203及びフレーム207は、それぞれ供給トレイ103及びフレーム107と同様の構造及び機能を有する。但し、供給トレイ203には、第1当接部113の代わりに第1当接部213が設けられ、フレーム207には、第1被当接部114の代わりに第1被当接部214が設けられる。
【0080】
第1当接部213は、当接部の一例である。第1当接部213は、載置面203a上に、供給トレイ203が開状態であるときに上方に向けて突出するように、即ち供給トレイ203が閉状態であるときに媒体搬送方向A2に向けて突出するように設けられる。第1当接部213は、略直方体形状を有し、幅方向A4において係合部111が設けられている側の反対側に、幅方向A4と略直交する当接面213bを有する。
【0081】
第1被当接部214は、被当接部の一例である。第1被当接部214は、閉状態である供給トレイ203の載置面203aと対向する面上に、媒体搬送方向A2に向けて凹むように形成される。第1被当接部214は、略直方体形状に形成され、幅方向A4において被係合部112が設けられている側の反対側に、幅方向A4と略直交する被当接面214bを有する。
【0082】
供給トレイ203が開状態である場合、第1当接部213は、第1被当接部214と対向しない位置に配置され、第1被当接部214と当接しない。これにより、供給トレイ203が開状態である場合、第1当接部213及び第1被当接部214は、フレーム207に対する供給トレイ203の幅方向A4の移動を制限しない。一方、供給トレイ203が閉状態である場合、第1当接部213は、第1被当接部214内に配置され、第1当接部213の当接面213bは第1被当接部214の被当接面214bと当接する。これにより、供給トレイ203が閉状態である場合、第1当接部213及び第1被当接部214は、幅方向A4において係合部111が被係合部112から離間する方向の供給トレイ203の移動を制限する。
【0083】
本実施形態においても、第1当接部213は、第1当接部213とヒンジ108の間の距離が、係合部111とヒンジ108の間の距離より小さくなるように、設けられる。
【0084】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、第1当接部213が突出し且つ第1被当接部214が凹むように設けられる場合も、開閉可能に設けられた供給トレイ203が閉状態のときに、供給トレイ203の閉状態を良好に維持することが可能となった。
【0085】
図15(A)は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の供給トレイ303について説明するための模式図である。
【0086】
本実施形態に係る媒体搬送装置は、上記した媒体搬送装置が有する各部を有する。但し、本実施形態に係る媒体搬送装置は、供給トレイ103又は203の代わりに、供給トレイ303を有する。供給トレイ303は、供給トレイ103又は203と同様の構造及び機能を有する。但し、供給トレイ303の第2側面303dには、第2当接部115の代わりに第2当接部315が設けられる。第2当接部315は、当接部の一例であり、第2当接部115と同様の構造及び機能を有する。第2当接部315は、第2側面303dから幅方向A4の外側(フレーム107の第2内部側面107b側)に突出するように形成された突出部315aを有する。突出部315aは、十字形状を有し、中心位置と十字の各端部との間の位置が最も突出するように傾斜している。
【0087】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、第2当接部315が設けられる場合も、開閉可能に設けられた供給トレイ303が閉状態のときに、供給トレイ303の閉状態を良好に維持することが可能となった。
【0088】
図15(B)は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の供給トレイ403について説明するための模式図である。
【0089】
本実施形態に係る媒体搬送装置は、上記した媒体搬送装置が有する各部を有する。但し、本実施形態に係る媒体搬送装置は、供給トレイ103又は203の代わりに、供給トレイ403を有する。供給トレイ403は、供給トレイ103又は203と同様の構造及び機能を有する。但し、供給トレイ403の第2側面403dには、第2当接部115の代わりに第2当接部415が設けられる。第2当接部415は、当接部の一例であり、第2当接部115と同様の構造及び機能を有する。第2当接部415は、第2側面403dから幅方向A4の外側(フレーム107の第2内部側面107b側)に突出するように形成された突出部415aを有する。突出部415aは、略矩形形状を有し、矩形の一辺側(供給トレイ103が開状態から閉状態に変化する際に最初に第2被当接部116と当接する一辺の反対側)が突出するように傾斜している。
【0090】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、第2当接部415が設けられる場合も、開閉可能に設けられた供給トレイ403が閉状態のときに、供給トレイ403の閉状態を良好に維持することが可能となった。
【0091】
図16は、他の実施形態に係る媒体搬送装置の処理回路550の概略構成を示す図である。
【0092】
処理回路550は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路550は、制御回路551及び画像取得回路552等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0093】
制御回路551は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路551は、操作装置105又はインタフェース装置132から操作信号を、媒体センサ121から媒体信号を受信する。制御回路551は、受信した各情報に基づいてモータ131を制御する。
【0094】
画像取得回路552は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路552は、撮像装置127から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。
【0095】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路550を用いる場合においても、開閉可能に設けられた供給トレイが閉状態のときに、供給トレイの閉状態を良好に維持することが可能となった。
【0096】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、係合部111が凹部(穴部)であり、被係合部112がラッチであってもよい。また、第1当接部及び第1被当接部の組合せ、並びに、第2当接部及び第2被当接部の組合せのうちの何れか一方は省略されてもよい。また、第2当接部でなく、第2被当接部が、突出部を有してもよい。また、フレームは、第1筐体101でなく、第2筐体102に設けられてもよい。その場合、第2筐体102が筐体の一例である。これらの場合も、媒体搬送装置は、開閉可能に設けられた供給トレイが閉状態のときに、供給トレイの閉状態を良好に維持することができる。
【0097】
また、係合部、第1当接部及び/又は第2当接部は、供給トレイでなく、排出トレイに設けられてもよい。その場合、排出トレイが載置台の一例である。排出トレイは、第2筐体又は第1筐体に開閉可能に設けられ、開状態で媒体を載置可能に設けられる。フレームは、第2筐体又は第1筐体に、閉状態である排出トレイと対向するように設けられる。被係合部、第1被当接部又は第2被当接部は、フレームに、排出トレイが閉状態のときに、係合部、第1当接部及び第2当接部と対向するように配置される。排出トレイが閉状態のときに、係合部が被係合部に係合して、排出トレイの閉状態が維持され、当接部が被当接部と当接して、係合部が被係合部から離間するような排出トレイの移動が制限される。この場合、媒体搬送装置は、開閉可能に設けられた排出トレイが閉状態のときに、排出トレイの閉状態を良好に維持することができる。
【符号の説明】
【0098】
100 媒体搬送装置、101 第1筐体、102 第2筐体、103、203、303、403 供給トレイ、107、207 フレーム、111 係合部、112 被係合部、113、213 第1当接部、113b 当接面、114、214 第1被当接部、114b 被当接面、115、315、415 第2当接部、115a 突出部、116 第2被当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16