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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108515
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】計測装置、計測方法、情報処理端末
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20240805BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240805BHJP
【FI】
G01H17/00 A
G01M99/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012926
(22)【出願日】2023-01-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】391019658
【氏名又は名称】株式会社中部プラントサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神保 吉秀
(72)【発明者】
【氏名】平尾 剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦広
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】久冨 敬太
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2G024AC01
2G024AD01
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA11
2G064AA11
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB13
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC41
2G064CC43
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】潤滑状態の判断における個人間のばらつきを抑制する。
【解決手段】回転機50が有する軸受53の振動を計測する計測装置10は、表示部13と、軸受53の振動を計測して加速度アナログ信号SAを出力する加速度センサ11と、加速度アナログ信号SAを量子化して出力するA/D変換器12と、制御部15と、を備え、制御部15は、A/D変換器12で量子化された加速度アナログ信号SAをフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出し、算出した周波数ごとの音圧レベル信号を、時系列のグラフとして表示部13に表示する、計測装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機が有する軸受の振動を計測する計測装置であって、
情報処理端末と、
前記軸受の振動を計測して加速度アナログ信号を出力する加速度センサと、
前記情報処理端末と前記加速度センサとに接続され、前記加速度アナログ信号を加速度デジタル信号にA/D変換するA/D変換器と、を備え、
前記情報処理端末は、
表示部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記加速度デジタル信号をフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出し、
算出した周波数ごとの前記音圧レベル信号を、時系列のグラフとして前記表示部に表示する、計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計測装置であって、
周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフは、横軸または縦軸のうち一方の軸を時間とし、他方の軸を周波数とし、プロットする点の色彩または濃淡を前記音圧レベル信号の強度とするグラフである、計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の計測装置であって、
前記表示部は、表示可能な領域内に、第1表示領域と、第2表示領域と、を少なくとも有し、
前記制御部は、
第1期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第1表示領域に表示し、
前記第1期間とは異なる第2期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第2表示領域に表示する、計測装置。
【請求項4】
請求項3に記載の計測装置であって、
前記第1期間は、振動計測の開始時点を始点とする期間であり、
前記第2期間は、最新の振動計測時点を終点とする期間であり、
前記制御部は、
前記第1期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第1表示領域に固定表示し、
前記第2期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、振動の計測を継続する間更新して、前記第2表示領域にスクロール表示する、計測装置。
【請求項5】
請求項4に記載の計測装置であって、
前記表示部は、表示可能な領域内に、前記第1表示領域と、前記第2表示領域とに加え、第3表示領域と、第4表示領域と、を有し、
前記制御部は、
今回の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第1表示領域に固定表示し、
今回の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第2表示領域にスクロール表示し、
過去の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第3表示領域に固定表示し、
過去の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第4表示領域に固定表示する、計測装置。
【請求項6】
請求項5に記載の計測装置であって、
前記制御部は、
周波数ごとの前記音圧レベル信号に基づいてオーバーオール値を算出し、
過去の計測時におけるオーバーオール値と、今回の計測時におけるオーバーオール値と、を前記表示部に表示する、計測装置。
【請求項7】
請求項6に記載の計測装置であって、
前記制御部は、
今回の計測時における前記音圧レベル信号のオーバーオール値を、過去の計測時における前記音圧レベル信号のオーバーオール値で除した商の値を算出し、
前記商の値を前記表示部に表示する、計測装置。
【請求項8】
請求項1に記載の計測装置であって、
前記加速度デジタル信号に基づいて前記制御部が算出した音響信号を再生する、再生部を備える、計測装置。
【請求項9】
請求項4に記載の計測装置であって、
前記制御部は、
過去の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第1表示領域に固定表示し、
過去の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第2表示領域にスクロール表示する、計測装置。
【請求項10】
請求項9に記載の計測装置であって、
前記加速度デジタル信号に基づいて前記制御部が算出した音響信号を、前記第2表示領域に表示されるグラフのスクロールに同期して再生する、再生部を備える、計測装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の計測装置であって、
前記表示部は、2kHz以下、4kHz以上12kHz以下、12kHz以下のうち少なくとも1つの周波数帯を含むように、周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを表示する、計測装置。
【請求項12】
回転機が有する軸受の振動を計測する計測方法であって、
前記軸受の振動を計測して加速度信号を出力する加速度計測ステップと、
前記加速度信号をフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出する算出ステップと、
周波数ごとの前記音圧レベル信号を、時系列のグラフとして表示部に表示する、表示ステップと、を含む、計測方法。
【請求項13】
軸受の振動に基づく加速度信号を外部から取得して処理する情報処理端末であって、
表示部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記加速度信号をフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出し、算出した周波数ごとの前記音圧レベル信号を、時系列のグラフとして前記表示部に表示する、情報処理端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、計測方法、情報処理端末に関する
【背景技術】
【0002】
回転機等の入出力軸に用いられる軸受として、開放型グリス潤滑式軸受(以下、単に「軸受」と表記する)が知られている。グリスは回転機の使用に伴って劣化および減少する。軸受の潤滑状態を良好に保つためには、適時に適量のグリスを補充して、劣化したグリスを排出するとともに、グリスの総量を適切に保つ必要がある。グリスが劣化したり減少したりすると、軸受の潤滑状態が悪化して軸受が損傷するおそれがある。例えば特許文献1には、振動信号を用いたエンジン軸受の損傷を検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-004871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グリスの補充が必要か否かや、グリスの補充によって潤滑状態が改善したか否かについての判断は、軸受の動作音をユーザが聴き、その動作音に基づいてユーザの主観により行っていた。聴覚には個人差があり、潤滑状態の判断結果にばらつきが生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたのであって、軸受の潤滑状態を判断するにあたり、個人間のばらつきを抑制できる計測装置、計測方法、情報処理端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の計測装置は、回転機が有する軸受の振動を計測する計測装置であって、前記軸受の振動を計測して加速度アナログ信号を出力する加速度センサと、前記加速度アナログ信号を加速度デジタル信号に変換するA/D変換器と、前記加速度デジタル信号を処理する情報処理端末と、を備え、前記情報処理端末は、表示部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記加速度デジタル信号をフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出し、算出した周波数ごとの前記音圧レベル信号を、時系列のグラフとして前記表示部に表示する。
【0007】
(2)周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフは、横軸または縦軸のうち一方の軸を時間とし、他方の軸を周波数とし、プロットする点の色彩または濃淡を前記音圧レベル信号の強度としてもよい。
【0008】
(3)前記表示部は、表示可能な領域内に、第1表示領域と、第2表示領域と、を少なくとも有し、前記制御部は、第1期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第1表示領域に表示し、前記第1期間とは異なる第2期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第2表示領域に表示してもよい。
【0009】
(4)前記第1期間は、振動計測の開始時点を始点とする期間であり、前記第2期間は、最新の振動計測時点を終点とする期間であり、前記制御部は、前記第1期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを前記第1表示領域に固定表示し、前記第2期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、振動の計測を継続する間更新して、前記第2表示領域にスクロール表示してもよい。
【0010】
(5)前記表示部は、表示可能な領域内に、前記第1表示領域と、前記第2表示領域とに加え、第3表示領域と、第4表示領域と、を有し、前記制御部は、今回の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第1表示領域に固定表示し、今回の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第2表示領域にスクロール表示し、過去の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第3表示領域に固定表示し、過去の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第4表示領域に固定表示してもよい。
【0011】
(6)前記制御部は、周波数ごとの前記音圧レベル信号に基づいてオーバーオール値を算出し、過去の計測時におけるオーバーオール値と、今回の計測時におけるオーバーオール値と、を前記表示部に表示してもよい。
【0012】
(7)前記制御部は、今回の計測時における前記音圧レベル信号のオーバーオール値を、過去の計測時における前記音圧レベル信号のオーバーオール値で除した商の値を算出し、前記商の値を前記表示部に表示してもよい。
【0013】
(8)前記計測装置は、前記加速度デジタル信号に基づいて前記制御部が算出した音響信号を再生する、再生部を備えていてもよい。
【0014】
(9)前記制御部は、過去の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第1表示領域に固定表示し、過去の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第2表示領域にスクロール表示してもよい。
【0015】
(10)計測装置は、前記軸受の加速度デジタル信号に基づいて前記制御部が算出した音響信号を、前記第2表示部に表示されるグラフのスクロールに同期して再生する、再生部を備えていてもよい。
【0016】
(11)前記表示部は、2kHz以下、4kHz以上12kHz以下、12kHz以下のうち少なくとも1つの周波数帯を含むように、周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを表示してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、軸受の潤滑状態を判断するにあたり、判断結果のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】計測装置の全体構成を示す説明図
図2】グリスを注入した場合のグラフの変化を示す図(1)
図3】グリスを注入した場合のグラフの変化を示す図(2)
図4】表示部で表示する画像の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
1. 計測装置10の説明
図1図4を参照して、本発明の実施形態に係る計測装置10について説明する。図1に示すように、計測装置10は、回転機50に取り付けられ、回転機50が備える軸受53の振動を測定する。
【0020】
回転機50は、例えば発電所やプラントに配置されている電動機である。回転機50は、回転機本体部51と、出力軸52と、軸受53と、を備えている。回転機本体部51は、出力軸52を所定の回転数で軸周りに回転させる。軸受53は、出力軸52を回転自在に支持している。
【0021】
軸受53は、転がり軸受であり、球状の転動体54と、内輪55と、外輪56と、を有している。軸受53は、転動体54が露出した、いわゆる開放型の軸受である。軸受53は、ケーシング57内で保持されている。転動体54は球状の他、円筒のころであってもよい。
【0022】
ケーシング57には、ケーシング57の内外を貫通する注入孔57aと、排出孔57bと、が貫設されている。回転機50のユーザは、軸受53を潤滑させるためのグリスを、グリスガン58を用いて注入孔57aから注入できるようになっている。注入されたグリスによって軸受53が潤滑される。注入されたグリスによって押し出された古いグリスは、排出孔57bから排出されるようになっている。
【0023】
計測装置10は、加速度センサ11と、A/D変換器12と、タブレット端末20(情報処理端末の一例)と、を備えている。タブレット端末20は、表示部13と、再生部14と、制御部15とを含む。
【0024】
加速度センサ11は、ケーシング57に取り付けられ、軸受53の振動を計測する。加速度センサ11の外側には、磁石が設けられている。ケーシング57に加速度センサ11を取り付ける際には、磁石によってケーシング57に吸着し、必要に応じて取り付け、取り外しができるようになっている。
【0025】
加速度センサ11は、例えば圧電素子を用いた小型のセンサであり、計測した振動に応じて発生する電荷(電圧、電流)を、加速度アナログ信号(加速度信号の一例)SAとして出力する。加速度アナログ信号SAは、A/D変換器12において加速度デジタル信号(加速度信号の一例)SDに変換され、加速度デジタル信号SDが、制御部15に伝達される。加速度デジタル信号SDは、制御部15の記憶部15bに記憶される。本実施形態では、加速度センサ11として、数10[Hz]~12[kHz]の振動を計測可能な周波数特性のセンサを使用している。
【0026】
表示部13は、液晶表示装置等の表示装置である。表示部13は、制御部15から送信される信号に基づき、画面に文字や画像を表示する。ユーザは、表示部13を視認して、軸受53の振動に関する情報を知得することができる。表示部13で表示する情報の種類と、表示の形態については後述する。
【0027】
再生部14は、例えばスピーカである。演算部15aは、記憶部15bに記憶されている加速度デジタル信号SDに基づいて、音響信号SSを算出する。過去に行われた複数の計測時に計測された加速度デジタル信号SDが、それぞれ記憶部15bに個別に記憶されている場合は、演算部15aは、ユーザが選択した任意の計測時における加速度デジタル信号SDに基づいて、音響信号SSを算出する。再生部14は、演算部15aから音響信号SSを受信して、軸受53の振動により生じる音(以下、振動音と表記する)を再生する。また、再生部14は、計測中の加速度に基づいて算出される音響信号SSを、加速度の計測中に振動音として再生することもできる。
【0028】
制御部15には、A/D変換器12、表示部13、再生部14がそれぞれ接続されている。制御部15は、演算部15aと、記憶部15bと、を有している。演算部15aは、例えばCPUであり、記憶部15bは、例えばROMやRAMである。制御部15は、記憶部15bに記憶されている各種のプログラムを実行することにより、計測装置10の各部を制御する。
【0029】
A/D変換器12は、加速度センサ11と、制御部15と、にケーブルを介して電気的に接続されている。A/D変換器12は、加速度センサ11から、軸受53の振動に基づく加速度アナログ信号SAを受信する。加速度アナログ信号SAは、加速度の時間変化を示すアナログ信号である。A/D変換器12は、加速度アナログ信号SAを、所定のサンプリング時間で加速度デジタル信号SDにA/D変換する。
【0030】
演算部15aは、A/D変換器12でA/D変換された加速度デジタル信号SDを受信し、フーリエ変換(高速フーリエ変換)して、各サンプリング時間における、周波数ごとの音圧レベル信号を算出する。さらに、算出した周波数ごとの音圧レベル信号を、時系列のグラフとして、表示部13に表示させる。また、周波数ごとの音圧レベル信号を、振動を計測する機会ごとに、ひとまとまりのデータとして記憶部15bに蓄積して記憶させる。
【0031】
表示部13、再生部14、制御部15を1つの機器にまとめた製品形態の一例が、タブレット端末20である。タブレット端末20は、表示部13として液晶表示装置、再生部14としてスピーカー、制御部15としてCPU(演算部15a)およびメモリ(記憶部15b)をそれぞれ有している。タブレット端末20に、A/D変換器12を介して加速度センサ11を接続することにより、タブレット端末20の外部から取得した加速度アナログ信号SAに基づくグラフ等を、表示部13に表示できるようになっている。タブレット端末20にA/D変換器12と加速度センサ11を加えて構成される計測装置10は、ユーザが容易に持ち運びできる程度のサイズ及び重量であり、可搬性が高い。例えば工場や発電所といった広い場所に複数の回転機50が点在している場合に、ユーザは計測装置10を持ち運び、複数の回転機50を1台の計測装置10で順次計測できる。
【0032】
2. 軸受53へのグリスの補充について
上述したように、軸受53を使用すると、ケーシング57内のグリスが劣化したり、減少したりする。ケーシング57内のグリスが劣化や減少して潤滑不良の状態になると、摩擦抵抗が増大して軸受53の温度が上昇し、軸受53の寿命が短くなるおそれがある。
【0033】
一方、適正量を超えて過剰にグリスを補充すると、ケーシング57内のグリスが過度に攪拌されて温度が上昇し、潤滑不良のときと同様に軸受53の寿命が低下するおそれがある。また、グリスが過剰の場合回転抵抗の増大により回転機50の負荷が増大し、過大な電流が流れて回転機50がトリップするおそれがある。
【0034】
軸受53の潤滑状態を良好に保つためには、計測装置10によって軸受53の潤滑状態(潤滑不良、良好、グリス過剰、のいずれか)を検出し、潤滑状態に応じて適量のグリスを補充する必要がある。
【0035】
軸受53の潤滑状態が、回転中の軸受53が発する振動に影響を及ぼすことが知られている。図2のグラフ60は、計測開始時点の潤滑状態が「潤滑不良」であって、計測中に適量のグリスを注入して「良好」になった場合の周波数ごとの音圧レベル信号を、時系列にプロットしたグラフを例示している。グラフ60は計測中や計測後に表示部13に表示することができ、ユーザが視認できる。
【0036】
グラフ60および後述するグラフ61や、後述する第1~第4表示領域に表示される各グラフは、横軸が計測開始からの経過時間[秒]を、縦軸が周波数[kHz]を、色彩(モノクロの場合は濃淡)が音圧レベル信号の強度[dB]を、それぞれ表している。
【0037】
グラフ60において、計測開始から14秒時点までは、グリスの注入前であり、潤滑状態は「潤滑不良」である。14秒時点から適量のグリスを注入し、20秒時点以降の潤滑状態は「良好」である。
【0038】
計測開始から14秒時点までと、20秒時点以降とを比較すると、4kHz~12kHzの強度が低下していることが分かる。したがって、4kHz~12kHzの周波数帯における音圧レベル信号の強度を観測することで、潤滑状態が「潤滑不良」なのか、「良好」なのかを判別可能である。なお、潤滑状態が「潤滑不良」と「良好」との間では、4kHzより低い周波数帯の信号強度にほとんど変化は見られない。
【0039】
図3に示すグラフ61は、計測開始時点の潤滑状態が「良好」であり、計測中に過剰なグリスを注入して「グリス過剰」となった場合の周波数ごとの音圧レベル信号を、時系列にプロットしたグラフである。グラフ61は、表示部13に表示される。グラフ60と同じく、グラフ61の横軸は時間[秒]、縦軸は周波数[kHz]、色彩(または濃淡)は強度[dB]である。ただし、グラフ61では縦軸のスケールの最大値が2kHzとなっており、グラフ60のスケール(0.02~12kHz)とは異なる。
【0040】
グラフ61において、計測開始から14秒までは、潤滑状態は「良好」である。潤滑状態が「良好」のときに、ケーシング57内にさらにグリスを注入すると(14秒時点)、ケーシング57内のグリスが適正量を超えて過剰になる。22秒以降では、2kHz以下の周波数帯(グラフ61の例では約1kHz)において、グリスが過剰になる以前には無かったピーク62が出現する。したがって、2kHz以下の周波数帯における音圧レベル信号の強度を観測することで、潤滑状態が「良好」なのか、「グリス過剰」なのかを判別可能である。
【0041】
グラフ60、61の例で説明したように、2kHz以下と、4kHz~12kHzの、それぞれの周波数帯における音圧レベル信号の強度から、潤滑状態(潤滑不良、良好、グリス過剰)を判別できる。ユーザは、表示部13に表示されたグラフ60、61を視認することで、現在の潤滑状態や、潤滑状態の変化の有無を視覚情報として知得することができる。
【0042】
3. 表示部13に表示される情報の種類と表示の形態
軸受53の振動を計測中の計測装置10において、表示部13が表示する画像の例を図4(画像63)に示す。表示部13は、表示可能な領域内に、第1表示領域13a、第2表示領域13b、第3表示領域13c、第4表示領域13d、を有している。
【0043】
第1表示領域13aと、第2表示領域13bは、今回の計測時において計測中の振動に基づいて生成されるグラフ(以下、「今回の計測時におけるグラフ」と表記する)を表示する。第3表示領域13cと、第4表示領域13dは、過去の計測時において計測した振動に基づいて生成されたグラフ(「過去の計測時におけるグラフ」と表記する)を表示する。過去の計測時におけるグラフは、記憶部15bに記憶されている加速度デジタル信号SDに基づき生成される。
【0044】
第1表示領域13aは、今回の計測時におけるグラフのうち、第1期間におけるグラフを表示する。ここで、第1期間とは、振動計測の開始時(0秒)を始点として、所定の時間(本実施形態では一例として10秒間)経過したときを終点とする期間である。第1表示領域13aの表示は、計測開始から第1期間(10秒間)経過するまではデータの取得に伴ってグラフが順次更新される。計測開始から第1期間経過した以降は、表示は更新されず、第1期間(0~10秒)のグラフを固定表示する。
【0045】
第2表示領域13bは、今回の計測時におけるグラフのうち、第2期間におけるグラフを表示する。ここで、第2期間とは、最新の振動計測時点を終点とし、終点から所定の期間(本実施形態では一例として20秒間)遡った時点を始点とする期間であり、第1期間とは異なる期間である。図4の例では、最新の振動計測時点である32秒が終点であり、32秒から所定期間(20秒間)遡った12秒が始点となる。
【0046】
第2表示領域13bが表示するグラフは、第1表示領域13aのように固定表示ではなく、スクロール表示である。スクロール表示の場合、グラフは計測時間の経過とともに随時更新されて右から左に向かってスクロールする。例えば図4に示す第2表示領域13bは、終点を32秒とする第2期間(12秒~32秒)のグラフを表示しているが、この時点から10秒経過すると、終点を42秒とする第2期間(22秒~42秒)のグラフを表示する。つまり、第2期間の長さは一定(所定の時間)でも、第2期間の始点と終点は、振動計測を継続している間は随時更新され、表示されるグラフも随時更新される。
【0047】
第3表示領域13cおよび第4表示領域13dは、記憶部15bに記憶されている過去の計測時における加速度デジタル信号SDまたは音圧レベル信号のデータのうち、ユーザが任意に選択した1つのデータに基づいたグラフを表示する。第3表示領域13cは、過去の計測時のデータに基づいて、第1表示領域13aと同じ第1期間(0秒~10秒)のグラフを固定表示する。第4表示領域13dは、任意に選択した過去の計測時のデータ(第3表示領域13cと同じデータ)に基づいて、第2期間(計測終了までの20秒間)のグラフを固定表示する。過去のデータを用いた場合は、最新の振動計測時点が計測終了時点であり、これは更新されないため、第2期間の終点は計測終了時点となり、計測終了までのグラフが固定表示される。
【0048】
画像63は、今回の計測において算出した音圧レベル信号のオーバーオール値(以降の説明において、「今回のオーバーオール値64」と表記する)と、過去の計測において算出した音圧レベル信号のオーバーオール値(「過去のオーバーオール値65」と表記する)を含んでいる。さらに、画像63は商の値66を含んでいる。商の値66は、今回のオーバーオール値64を、過去のオーバーオール値65で除した商を百分率で表示した値である。オーバーオール値とは、フーリエ変換によって得られた全周波数帯の音圧レベル信号の強度を合計した値である。
【0049】
上述したように、潤滑状態が「潤滑不良」から「良好」に変化すると、4kHzより低い周波数帯では信号強度は変化せず、4kHz~12kHzの周波数帯の信号強度が低下する。そのため、潤滑状態が「潤滑不良」から「良好」に変化すると、オーバーオール値は減少する。オーバーオール値が小さければ、潤滑状態が「良好」である。
【0050】
今回のオーバーオール値64の変化から、潤滑状態を推定できる。また、商の値66からは、過去のオーバーオール値65の算出時の潤滑状態と、現在の潤滑状態の差異がわかる。例えば、過去のオーバーオール値65の算出時において潤滑状態が「良好」であった場合、商の値66が100%の近傍(例えば95%~105%)であれば、現在の潤滑状態も良好であると判断できる。逆に、商の値66が105%以上であれば、潤滑状態が「潤滑不良」や「グリス過剰」である可能性があり、95%以下であれば、潤滑状態以外の何らかの不具合が発生している可能性がある。
【0051】
4. 作用効果
本実施形態に係る計測装置10の作用および効果について説明する。
【0052】
(1)計測装置10は、タブレット端末20と、軸受53の振動を計測して加速度アナログ信号SAを出力する加速度センサ11と、タブレット端末20と加速度センサ11とに接続され、加速度アナログ信号SAを加速度デジタル信号SDにA/D変換して出力するA/D変換器12と、を備え、タブレット端末20は、表示部13と、制御部15と、を備え、制御部15は、加速度デジタル信号SDをフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出し、算出した周波数ごとの音圧レベル信号を、時系列のグラフとして表示部13に表示する。
【0053】
このような構成では、ユーザは、表示部13に表示された、周波数ごとの音圧レベル信号の時系列のグラフ60、61を視認することにより、軸受53の潤滑状態や、潤滑状態の変化を視覚情報として視認することができる。グラフという視覚情報は、軸受53が発する音という聴覚情報に比べてユーザ(観測者)の主観の入り込む余地が小さく、潤滑状態の判断にユーザ個人間のばらつきが生じにくい。これにより、潤滑状態の判断における個人間のばらつきが抑制され、潤滑状態をより正確に判断できる。
【0054】
(2)周波数ごとの音圧レベル信号のグラフは、横軸または縦軸のうちの一方の軸を時間とし、他方の軸を周波数とし、プロットする点の色彩または濃淡を音圧レベル信号の強度としてもよい。
【0055】
このようにすると、1つのグラフに3つのパラメータ(時間、周波数、音圧レベル信号の強度)を記述することができる。ユーザは、周波数ごとの音圧レベル信号のグラフから、これらのパラメータの関係性を読み取り、潤滑状態の判断に役立てることができる。
【0056】
(3)表示部13は、表示可能な領域内に、第1表示領域13aと、第2表示領域13bと、を少なくとも有し、制御部15は、第1期間における周波数ごとの音圧レベル信号のグラフを、第1表示領域13aに表示し、第1期間とは異なる第2期間における周波数ごとの音圧レベル信号のグラフを、第2表示領域13bに表示してもよい。
【0057】
このような構成では、表示部13は、第1期間のグラフと、第2期間のグラフと、の両方を表示する。ユーザは、計測時期の異なる2つのグラフを見比べることにより、計測時期(グリス補充前、補充中、補充後)の違いによる潤滑状態の変化を容易に知得できる。
【0058】
(4)第1期間は、振動計測の開始時点を始点とする期間であり、第2期間は、最新の振動計測時点を終点とする期間であり、制御部15は、第1期間における周波数ごとの音圧レベル信号のグラフを第1表示領域13aに固定表示し、第2期間における周波数ごとの音圧レベル信号のグラフを、振動の計測を継続する間更新して、第2表示領域13bにスクロール表示してもよい。
【0059】
このような構成では、第1表示領域13aが表示するグラフは、計測開始直後の潤滑状態を示すグラフである。第2表示領域13bが表示するグラフは、最新の算出結果を反映した、現在の潤滑状態を示すグラフである。ユーザは、2つのグラフを見比べることにより、計測開始直後の潤滑状態と、現在の潤滑状態を比較して、どのように変化したのかを知得することができる。具体的には、計測開始後にグリスを注入したことによる潤滑状態の変化を、ユーザは容易に認識できる。
【0060】
(5)表示部13は、表示領域内に、第1表示領域13aと、第2表示領域13bとに加え、第3表示領域13cと、第4表示領域13dと、を有し、制御部15は、今回の計測時における第1期間のグラフを、第1表示領域13aに固定表示し、今回の計測時における第2期間のグラフを、第2表示領域13bにスクロール表示し、過去の計測時における第1期間のグラフを、第3表示領域13cに固定表示し、過去の計測時における第2期間のグラフを、第4表示領域13dに固定表示してもよい。
【0061】
今回のグラフと、過去のグラフとを、1つの表示部13に同時に表示するので、ユーザは、第1期間のグラフ同士や、第2期間のグラフ同士を見比べながら、過去の潤滑状態と今回の潤滑状態とを効率的に比較できる。
【0062】
(6)制御部15は、周波数ごとの音圧レベル信号に基づいてオーバーオール値を算出し、表示部13は、過去の計測時におけるオーバーオール値65と、今回の計測時におけるオーバーオール値64と、を表示部13に表示してもよい。
【0063】
このような構成では、ユーザは、過去と今回のオーバーオール値に基づいて、それぞれの場合における軸受53の潤滑状態を判断できる。
【0064】
(7)制御部15は、今回の計測時における音圧レベル信号のオーバーオール値64を、過去の計測時における音圧レベル信号のオーバーオール値65で除した商の値66を算出し、商の値66を表示部13に表示してもよい。
【0065】
過去の計測時と今回の計測時のオーバーオール値の比較結果を数値で算出するので、ユーザは過去の計測時と比べた今回の計測時の潤滑状態を判断しやすい。
【0066】
(8)計測装置10は、加速度デジタル信号SDに基づいて制御部15が算出した音響信号SSを再生する、再生部14を備えてもよい。
【0067】
ユーザは、軸受53の振動を可視化したグラフ(視覚情報)だけでなく、再生部14が再生する、軸受53の振動音(聴覚情報)にも基づいて、潤滑状態を判断できる。振動から生成したグラフの表示と、振動音の再生と、を行うことにより、計測を行ったユーザだけでなく、計測していない第三者にも、グラフと振動音とを見聞きさせて、グラフと振動音の対応関係や、潤滑状態の判断基準を共有することができる。
【0068】
(9)表示部13は、2kHz以下、4kHz以上12kHz以下、12kHz以下のうち少なくとも1つの周波数帯における音圧レベル信号のグラフを表示してもよい。
【0069】
2kHz以下の周波数帯におけるグラフから、ユーザは、軸受53の潤滑状態が、「グリス過剰」であるか否かを判断できる。4kHz~12kHzの周波数帯におけるグラフから、ユーザは、軸受53の潤滑状態が、「潤滑不良」であるか否かを判断できる。12kHz以下の周波数帯におけるグラフから、ユーザは、軸受53の潤滑状態が、「潤滑不良」、「良好」、「グリス過剰」のいずれであるかを判断できる。
【0070】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、過去の計測時におけるオーバーオール値として、任意に選択した過去の計測時の値を適用したが、過去に複数回計測したときは、複数回の計測時の平均値を過去のオーバーオール値としてもよい。
【0071】
(2)上記実施形態では、表示部13が、第1~第4表示領域を有する場合を例示したが、表示部13は、第1~第2表示領域のみを有し、今回の計測結果だけを表示してもよい。また、表示部13は複数の表示領域を有さず、画面に1つのグラフのみ(例えばグラフ60やグラフ61)を表示してもよい。
【0072】
(3)上記実施形態では、所定の期間として、第1期間が10秒、第2期間が20秒の場合を例示したが、それぞれの所定の期間の長さは、ユーザが任意に決定してもよい。
【0073】
(4)上記実施形態では、今回の計測時における第1期間のグラフを第1表示領域13aに固定表示し、今回の計測時における第2期間のグラフを第2表示領域13bにスクロール表示する表示態様を例示したが、グラフの表示態様はこれに限られない。過去の計測時における第1期間のグラフを第1表示領域13aに固定表示し、過去の計測時における第2期間のグラフを、第2表示領域13bにスクロール表示してもよい。過去の計測時におけるグラフの基になるデータは、記憶部15bに記憶されている過去の加速度デジタル信号SDのデータから、ユーザが任意に選択する。
【0074】
これにより、ユーザは、回転機50の近傍で振動を計測しているときだけでなく、計測を終えて回転機50の近傍から離れても、過去の計測時において潤滑状態が変化する過程(特に、第2表示領域13bにスクロール表示される、過去の計測時におけるグラフ)を表示部13に再生表示させて、繰り返し確認することができる。また、計測する現場にいなかった第三者にグラフを見せて、意見や判断を求めたり得られる知見を共有したりできる。
【0075】
さらに、過去のグラフを繰り返し確認して潤滑状態の変化の過程を読み取ることは、ユーザが軸受53の内部状態を推測するときの手掛かりになり得る。表示部13に表示される過去のグラフから、ユーザは、軸受53の内部状態を推測できる。軸受53の内部状態とは、軸受53が発する振動に影響を及ぼす、軸受53の構成部品およびグリスの状態である。例えば「軸受53内部のグリスが詰まり気味である」や、「内外輪55、56や転動体54の表面が劣化して荒れている」という状態が挙げられる。
【0076】
(5)再生部14は、軸受53の振動に基づいて制御部15が算出した音響信号SSを、第2表示部がスクロール表示するグラフに同期させて再生してもよい。グラフと振動音は、同一の計測時に取得した任意の加速度デジタル信号SDに基づき生成、算出される。ユーザは、再生表示されるグラフと、グラフに同期して再生される振動音とから、グラフの変化と振動音の変化との相関を、視覚情報と聴覚情報から取得することができる。これにより、グラフによる視覚情報だけの場合と比べて、軸受53の内部状態を、より正確に推測できる。また、計測する現場にいなかった第三者にグラフおよび振動音を見聞きさせることで、知見を共有したり意見や判断を求めたりできる。
【符号の説明】
【0077】
10: 計測装置
11: 加速度センサ
12: A/D変換器
13: 表示部
14: 再生部
15: 制御部
15a: 演算部
15b: 記憶部
20: タブレット端末
50: 回転機
51: 回転機本体部
52: 出力軸
53: 軸受
54: 転動体
55: 内輪
56: 外輪
57: ケーシング
57a: 注入孔
57b: 排出孔
58: グリスガン
SA: 加速度アナログ信号
SD: 加速度デジタル信号
SS: 音響信号
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機が有する軸受の振動を計測する計測装置であって、
情報処理端末と、
前記軸受の振動を計測して加速度アナログ信号を出力する加速度センサと、
前記情報処理端末と前記加速度センサとに接続され、前記加速度アナログ信号を加速度デジタル信号にA/D変換するA/D変換器と、を備え、
前記情報処理端末は、
表示部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記加速度デジタル信号をフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出し、
算出した周波数ごとの前記音圧レベル信号を、時系列のグラフとして前記表示部に表示し、
周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフは、横軸または縦軸のうち一方の軸を時間とし、他方の軸を周波数とし、プロットする点の色彩または濃淡を前記音圧レベル信号の強度とするグラフであり、
前記表示部は、表示可能な領域内に、第1表示領域と、第2表示領域と、を少なくとも有し、
前記制御部は、第1期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第1表示領域に表示し、前記第1期間とは異なる第2期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第2表示領域に表示する、計測装置。
【請求項2】
請求項に記載の計測装置であって、
前記第1期間は、振動計測の開始時点を始点とする期間であり、
前記第2期間は、最新の振動計測時点を終点とする期間であり、
前記制御部は、
前記第1期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第1表示領域に固定表示し、
前記第2期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、振動の計測を継続する間更新して、前記第2表示領域にスクロール表示する、計測装置。
【請求項3】
請求項に記載の計測装置であって、
前記表示部は、表示可能な領域内に、前記第1表示領域と、前記第2表示領域とに加え、第3表示領域と、第4表示領域と、を有し、
前記制御部は、
今回の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第1表示領域に固定表示し、
今回の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第2表示領域にスクロール表示し、
過去の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第3表示領域に固定表示し、
過去の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第4表示領域に固定表示する、計測装置。
【請求項4】
請求項に記載の計測装置であって、
前記制御部は、
周波数ごとの前記音圧レベル信号に基づいてオーバーオール値を算出し、
過去の計測時におけるオーバーオール値と、今回の計測時におけるオーバーオール値と、を前記表示部に表示する、計測装置。
【請求項5】
請求項に記載の計測装置であって、
前記制御部は、
今回の計測時における前記音圧レベル信号のオーバーオール値を、過去の計測時における前記音圧レベル信号のオーバーオール値で除した商の値を算出し、
前記商の値を前記表示部に表示する、計測装置。
【請求項6】
請求項1に記載の計測装置であって、
前記加速度デジタル信号に基づいて前記制御部が算出した音響信号を再生する、再生部を備える、計測装置。
【請求項7】
請求項に記載の計測装置であって、
前記制御部は、
過去の計測時における前記第1期間のグラフを、前記第1表示領域に固定表示し、
過去の計測時における前記第2期間のグラフを、前記第2表示領域にスクロール表示する、計測装置。
【請求項8】
請求項に記載の計測装置であって、
前記加速度デジタル信号に基づいて前記制御部が算出した音響信号を、前記第2表示領域に表示されるグラフのスクロールに同期して再生する、再生部を備える、計測装置。
【請求項9】
回転機が有する軸受の振動を計測する計測方法であって、
前記軸受の振動を計測して加速度信号を出力する加速度計測ステップと、
前記加速度信号をフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出する算出ステップと、
周波数ごとの前記音圧レベル信号を、横軸または縦軸のうち一方の軸を時間とし、他方の軸を周波数とし、プロットする点の色彩または濃淡が前記音圧レベル信号の強度であるグラフとして表示部に表示する表示ステップと、を含み、
前記表示ステップにおいて、
第1期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記表示部の第1表示領域に表示し、前記第1期間とは異なる第2期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記表示部の第2表示領域に表示する、計測方法。
【請求項10】
軸受の振動に基づく加速度信号を外部から取得して処理する情報処理端末であって、
表示部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記加速度信号をフーリエ変換して、周波数ごとの音圧レベル信号を算出し、算出した周波数ごとの前記音圧レベル信号を、時系列のグラフとして前記表示部に表示し、
周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフは、横軸または縦軸のうち一方の軸を時間とし、他方の軸を周波数とし、プロットする点の色彩または濃淡を前記音圧レベル信号の強度とするグラフであり、
前記表示部は、表示可能な領域内に、第1表示領域と、第2表示領域と、を少なくとも有し、
前記制御部は、第1期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第1表示領域に表示し、前記第1期間とは異なる第2期間における周波数ごとの前記音圧レベル信号のグラフを、前記第2表示領域に表示する、情報処理端末。