(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010852
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】香りディスプレイのブースタ装置
(51)【国際特許分類】
G09F 19/00 20060101AFI20240118BHJP
A61L 9/12 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
G09F19/00 J
A61L9/12
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112399
(22)【出願日】2022-07-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】514000602
【氏名又は名称】株式会社アロマジョイン
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145207
【弁理士】
【氏名又は名称】酒本 裕明
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンウク
(72)【発明者】
【氏名】安井 愛子
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA14
4C180CA06
4C180HH05
4C180LL15
(57)【要約】
【課題】香りディスプレイと組み合わせたときにおいてもコンパクトで、香りを遠くまで届けることが可能な香りディスプレイのブースタ装置を提供する。
【解決手段】香りディスプレイのブースタ装置は、上面及び下面、並びに上面の外周及び下面の外周を接続する側面を持ち、上面から香りを放出する香りディスプレイ60の、香りの放出力を高めるブースタ装置であって、香りディスプレイを保持するホルダ部62と、第1開口及び第2開口66を持ち、香りディスプレイ60の側面に沿うようにホルダ部62に設けられたダクト130と、ダクト130の第1開口に風を送り込むファンとを含み、第1開口はホルダ部62により保持された香りディスプレイの底面側に形成され、第2開口66は香りディスプレイの上面側に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、前記第1面と対向する第2面、及び前記第1面の外周及び前記第2面の外周を接続する第3面を持ち、前記第1面から香りを放出する香りディスプレイの、香りの放出力を高めるブースタ装置であって、
前記香りディスプレイを保持するホルダ部と、
第1開口及び第2開口を持ち、前記第3面に沿うように前記ホルダ部に設けられたダクトと、
前記第1開口に風を送り込む遠心ファンとを含み、
前記ダクトは、前記ホルダ部により保持された前記香りディスプレイの前記第2面側に前記第1開口が位置し、前記ホルダ部により保持された前記香りディスプレイの前記第1面側に前記第2開口が位置するように前記ホルダ部に設けられる、香りディスプレイのブースタ装置。
【請求項2】
前記香りディスプレイの外周は、多角形の形状を持ち、
前記ダクトは、前記多角形の連続する2辺以下の部分のみに隣接するように形成されている、請求項1に記載のブースタ装置。
【請求項3】
さらに、前記ホルダ部の側面部に形成された開口を通して、前記香りディスプレイの前記第3面に形成された係合部と係合することにより、前記香りディスプレイと前記ブースタ装置とを揺動可能に支持するスタンドを含む、請求項1又は請求項2に記載のブースタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は香りを含む空気を噴出する香りディスプレイに関し、特に香りディスプレイの空気の到達範囲を広げるためのブースタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機、パーソナルコンピュータ、ゲーム機など、映像と音声とを再生できる装置とともに使用され、場面にあわせて香りを発生する装置が提案されている。この明細書においては、そのように場面にあわせて香りを発生する装置を香りディスプレイと呼ぶ。特にバーチャルリアリティに香りを使用すると、単にものの香りをユーザに感じさせるだけではなく、嗅覚に伴う脳の働きにより、例えばスピード感を感じるというような効果を発生させることができることが分ってきた。
【0003】
場面にあわせて適切に香りを発生させる場合には、香りを的確に切替えることが必要になる。そこで、任意の時点において、ある限られた範囲に所望の香りを放散させ、任意の時点においてその香りを消して次の香りに切替えることができるような香りディスプレイが望ましい。一方、香りディスプレイは特定の個人を対象として香りを感じさせることが想定されている。そのため、香りディスプレイは小さいことが望ましく、また香りを噴出する際の音も小さいことが望ましい。そのような香りディスプレイにおいては、周囲に残っている香りを直ちに消散させるような勢いをもって空気を噴出することは難しい。
【0004】
こうした問題に対処するためには、香りの噴出機構のパワーを大きくすればよいかも知れない。しかし、香り噴出のためのパワーを大きくしようとすると、香りディスプレイが大きくなることが避けられず、また動作時の騒音も大きくなるという問題がある。
【0005】
こうした問題を解決するための提案が、後掲の特許文献1においてされている。特許文献1は、香りディスプレイの香り噴出パワーを大きくするのではなく、香りディスプレイよりも大きなパワーを持って空気を噴出できるブースタ装置を提案している。このブースタ装置は、香りディスプレイを筐体内部に収容し、ブースタ装置に設けられた軸流ファン(プロペラファン)を使用して香りディスプレイの周囲を通る空気の流れを作り出す。香りディスプレイはこのブースタ装置からいつでも取り外せる。そのため、香りを広い範囲に広げる必要がないときには香りディスプレイのみ使用し、広い範囲に香りを広げたり、香りを直ちに消散させたりする必要があるときには、香りディスプレイをブースタ装置と組み合わせて使用できる。
【0006】
特許文献1に開示されたブースタ装置により、単体によっては小さなパワーによってしか香りを噴出できない香りディスプレイにおいて、香りをより多くの空気の流れ(風量)により遠くまで送れるという効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示されたブースタ装置は大型だという問題がある。そのため、香りディスプレイを個人的に使用する場合にはブースタ装置を取り外さなければならないという問題がある。また特許文献1に開示されたブースタ装置においては、大きなパワーをもって風を送るようにしても、軸流ファンの特性上、より多くの空気の流れ(風量)は得られるものの、空気を押し出す力(静圧)が十分に得られないため、期待したほどの香りの広がりが得られないという問題もある。
【0009】
それ故にこの発明は、香りディスプレイと組み合わせたときにおいてもコンパクトな、しかも香りを遠くまで届けることが可能な香りディスプレイのブースタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の第1の局面に係る香りディスプレイのブースタ装置は、第1面、第1面と対向する第2面、及び第1面の外周及び第2面の外周を接続する第3面を持ち、第1面から香りを放出する香りディスプレイの、香りの放出力を高めるブースタ装置であって、香りディスプレイを保持するホルダ部と、第1開口及び第2開口を持ち、第3面に沿うようにホルダ部に設けられたダクトと、第1開口に風を送り込む遠心ファンとを含み、ダクトは、ホルダ部により保持された香りディスプレイの第2面側に第1開口が位置し、ホルダ部により保持された香りディスプレイの第1面側に第2開口が位置するようにホルダ部に設けられる。
【0011】
好ましくは、ホルダ部は、第3面の、第2面に隣接する部分を保持するディスプレイホルダ部と、ディスプレイホルダ部の、香りディスプレイと反対側の部分に接続して設けられ、遠心ファンを収容するためのハウジング部とを含む。
【0012】
より好ましくは、ホルダ部及びダクトは、香りディスプレイの第3面の少なくとも一部を開放するように形成される。
【0013】
さらに好ましくは、ダクトは、第1開口から第2開口に至るまで同じ断面積を持つ。
【0014】
好ましくは、ダクトの断面は、第1開口から第2開口に至るまで同じ形状を持つ。
【0015】
より好ましくは、ダクトの内部形状は、第1開口と第2開口とを両端面とする角柱形状である。
【0016】
さらに好ましくは、香りディスプレイは、第2面の幾何学的中心と第1面の幾何学的中心とを結ぶ中心軸を持ち、香りディスプレイの外周は、中心軸を中心とした回転対称な形状を持ち、ダクトは、中心軸に垂直な断面において、香りディスプレイの外周の半分より小さな部分に隣接するように形成されている。
【0017】
好ましくは、香りディスプレイの外周は、中心軸を中心とする多角形の形状を持ち、ダクトは、多角形の角の数をNとして、多角形の連続するN/2個の辺より少ない部分のみに隣接するように形成されている。
【0018】
より好ましくは、多角形は正多角形である。
【0019】
さらに好ましくは、正多角形は正六角形であり、ダクトは、正六角形の連続する2辺以下の部分のみに隣接するように形成されている。
【0020】
好ましくは、ダクトは、正六角形の1辺のみに隣接するように形成されている。
【0021】
より好ましくは、香りディスプレイは、第2面の幾何学的中心と第1面の幾何学的中心とを結ぶ中心軸を持ち、遠心ファンは、遠心ファンの送風口が中心軸の方向と交わる方向又は中心軸とねじれの位置にある方向を向くようにホルダ部に取り付けられ、遠心ファンの送風口から送り出される風を、第1開口を介してダクトに案内するように、ダクト及び遠心ファンの送風口に接続された導風ダクトをさらに含む。
【0022】
さらに好ましくは、ブースタ装置は、さらに、ダクトの内部に設けられた、第1開口から第2開口に向く方向に沿うように形成された1又は複数の整流板を含む。
【0023】
好ましくは、遠心ファンは、当該遠心ファンの羽根車の回転中心軸が中心軸と平行になるようにホルダ部に取り付けられる。
【0024】
より好ましくは、遠心ファンは、当該遠心ファンの羽根車の回転中心軸が中心軸と交わる方向又は中心軸とねじれの位置にある方向を向くようにホルダ部に取り付けられる。
【0025】
さらに好ましくは、香りディスプレイの第3面には雌ネジ部が形成され、ホルダ部は、香りディスプレイを保持するときに、雌ネジ部の位置がホルダに対して一定の関係となるように香りディスプレイの位置を規定するための位置規定部材が形成されており、ホルダ部は、香りディスプレイを保持するときに、雌ネジ部に対向する位置を囲む領域に形成された側面部を持ち、かつ当該側面部の、雌ネジ部と対向する位置には、雌ネジ部の呼び径よりも大きな径を持つ開口が形成されている。
【0026】
好ましくは、ブースタ装置は、さらに、ホルダ部の側面部の開口を通して香りディスプレイの第3面に形成された雌ネジ部と係合して、香りディスプレイとブースタ装置とを互いにロックして支持するスタンドを含む。
【0027】
より好ましくは、スタンドは、上面及び下面を規定する基部と、基部の上面側に対して垂直になるように上記基部に取り付けられ、雌ネジ部と係合するロック用ネジが相通する開口部を持つ支持部とを持ち、基部の下面には、1又は複数の磁石が取り付けられている。
【0028】
香りディスプレイの外周は、多角形の形状を持ち、ダクトは、前記多角形の連続する2辺以下の部分のみに隣接するように形成されている。
【0029】
ブースタ装置はさらに、ホルダ部の側面部に形成された開口を通して、香りディスプレイの第3面に形成された係合部と係合することにより、香りディスプレイとブースタ装置とを揺動可能に支持するスタンドを含む。
【0030】
この発明の上記した目的及び他の目的、特徴、局面及び利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、この発明の第1実施形態に係る香りディスプレイのブースタ装置を用いた香りディスプレイシステムの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す香りディスプレイシステムの分解図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す香りディスプレイシステムの使用状態を示す図である。
【
図4】
図4は、香りディスプレイの上面側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、香りディスプレイの底面側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、この発明の第1実施形態に係るブースタ装置であるブースタの斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7のダクトの上面側開口付近を示す拡大平面図である。
【
図15】
図15は、香りディスプレイシステムのスタンドの斜視図である。
【
図16】
図16は、この発明の第2実施形態に係る香りディスプレイシステムの分解斜視図である。
【
図17】
図17は、この発明の第3実施形態に係る香りディスプレイシステムの正面図である。
【
図18】
図18は、第3実施形態に係る香りディスプレイシステムの側面図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係る香りディスプレイの導風ダクトを備えたファン取付部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0033】
1.第1実施形態
A.香りディスプレイシステム50
図1はこの発明の第1実施形態に係る香りディスプレイシステム50の斜視図である。
図1を参照して、香りディスプレイシステム50は、香りディスプレイ60と、香りディスプレイ60を保持して香りディスプレイ60が噴出する空気を遠くまで運ぶための空気の流れを作り出すためのブースタ62と、ブースタ62を挟んで香りディスプレイ60に形成された雌ネジ部(
図1には図示せず)と係合するブースタロック70を持ち、香りディスプレイ60及びブースタ62をブースタロック70により規定される回転軸の周りに揺動可能に保持するためのスタンド68とを含む。雌ねじ部は、香りディスプレイ60をブースタロック70と係合させるための係合部だが、香りディスプレイ60を市販の三脚などに固定する機能も持つ。
【0034】
香りディスプレイ60は、後述するようにいずれも正六角形の形状の上面及び底面を持つ。香りディスプレイ60の上面の中央には、開口64が形成されていて、この開口64から香りを含んだ空気が噴出される。ブースタ62は、空気の通路となるダクト130を持つ。ダクト130は香りディスプレイ60の側面に沿って形成される。ダクト130は、香りディスプレイ60の上面外周とほぼ同じ高さの位置に、空気の噴出口である開口66を持つ。
【0035】
図2を参照して、ブースタ62は、香りディスプレイ60の底面及び底面付近の香りディスプレイ60の外周部を保持するホルダ100と、ホルダ100の底面に取り付けられる基板102と、ホルダ100の下部に形成された空間内に収容され、ダクト130の底面側開口(
図2には図示せず)に空気を送り込むためのファンアセンブリ104とを含む。ブースタ62はさらに、ホルダ100の底部側端面に係合する底板106を含む。
【0036】
基板102は、ホルダ100に装着された香りディスプレイ60の底面に形成された接続部と電気的に係合するピンを持つ。基板102は、このピンを介して香りディスプレイ60からの、ファンアセンブリ104への電力供給と制御信号とを受けるためのものである。基板102は小ネジによりホルダ100の下面にネジ止めされる。
【0037】
ファンアセンブリ104は、ダクト130の内部に送り込む空気の流れを生成するための遠心ファン112と、遠心ファン112の吐出口に固定された第1開口と、ダクト130の底面側開口に連結される第2開口とを持つ導風ダクト114とを含む。遠心ファン112は、遠心ファン112の羽根車が、香りディスプレイ60の中心軸と平行な軸を中心に回転するよう配置されている。遠心ファン112の吐出口は、遠心ファン112の中心軸とねじれの位置にある方向を向いている。導風ダクト114は、遠心ファン112の吐出口からホルダ100の側面に向かって吹き出される空気の流れを90度変化させ、ダクト130の内部に送り込むためのものである。遠心ファン112及び導風ダクト114は、小ネジによりホルダ100の底面にネジ止めされる。
【0038】
底板106には、遠心ファン112のための多数の空気吸入口が形成されている。底板106は、小ネジ110によりホルダ100の底面にネジ止めされる。さらに、底板106及びホルダ100には、底板106をホルダ100に固定したときに、底板106の下面からホルダ100の香りディスプレイ60を収容する部分の上面まで通じる開口が形成されている。また香りディスプレイ60の底面の同じ位置にはスタンド68との係合部である雌ネジ部が形成されている。長ネジ108を底板106側からこの開口を通してホルダ100の内部まで通し、香りディスプレイ60の底面の雌ネジ部と係合させることにより、底板106、ファンアセンブリ104、ホルダ100及び香りディスプレイ60が一体的に固定される。
【0039】
スタンド68は、平面に安定して接する、周囲が正六角形の底部120と、底部120の外周の1辺から垂直に立ち上がるロックホルダ板122とを含む。ロックホルダ板122には
図2には示されていないブースタロック70(
図1参照)が取り付けられている。ロックホルダ板122の構成については後述する。底部120の下面には、6個のマグネット124が埋め込まれてれている。この結果、スタンド68を鉄製のキャビネットの側板などに吸着させることにより、香りディスプレイシステム50を様々な位置に配置できる。
【0040】
図3を参照して、スタンド68のロックホルダ板122の上端付近には図示しない開口が形成されており、ブースタロック70がその開口に取り付けられる。後述するように、ブースタロック70は、ブースタ62を挟んで香りディスプレイ60の側面に設けられた雌ネジ部と係合する雄ネジ部を持っている。ブースタロック70の雄ねじ部を香りディスプレイ60の雌ネジ部に係合させることにより、香りディスプレイ60とブースタ62とがスタンド68に取り付けられる。またブースタロック70の回転軸を中心に香りディスプレイ60及びブースタ62を
図3に示す様に揺動させることができる。この実施形態においては、ブースタロック70の底部120からの高さは、香りディスプレイ60及びブースタ62を取り付けたときに、それらが一定の角度範囲内しか回動できないような高さに選ばれている。
【0041】
B.香りディスプレイ60
図4及び
図5を参照して、香りディスプレイ60は、ほぼ同じ正六角形の外周を持つ第1の面である上面74及び第2の面である下面72、並びに下面72の外周と上面74の外周とを接続する第3の面である側面82を持つ。したがって、香りディスプレイ60はほぼ正六角柱の形状をしている。すなわち側面82は、第1面から第6面の6個の面を持つ。香りディスプレイ60は、下面72の六角形の幾何学的中心と、上面74の六角形の幾何学的中心とを結ぶ中心軸86を持つ。香りディスプレイ60は中心軸86を回転軸とした6回回転対称な外形を為している。
【0042】
側面82の第1面には、ブースタロック70の雄ネジ部が係合する雌ネジ部76が形成されている。第1面の底面から連続する部分には、香りディスプレイ60がブースタ62に装着されるときに、雌ネジ部76が正しい方向を向くように香りディスプレイ60の位置を規制するための切り欠きである位置規定部80が形成されている。ブースタ62に形成されている位置規定部材がこの位置規定部80と係合することにより香りディスプレイ60の位置が規制され、香りディスプレイ60がブースタ62の正規の位置に装着される。
【0043】
側面82の第2面には、ディスプレイ60が外部から制御信号及び電力供給を受けるためのUSB(Universal Serial Bus)-Cコネクタ78が設けられている。香りディスプレイ60は図示しない6個の香りカートリッジを収容しており、この制御信号により指定されたカートリッジからの香りを開口64から吹き出す機能を持つ。
【0044】
特に
図5を参照して、香りディスプレイ60の下面72には、
図2に示す基板102との接続部84が形成されている。USB-Cコネクタ78を介して受信された制御信号の内、遠心ファン112を制御する信号及び電力は接続部84及び基板102を介してファンアセンブリ104に与えられ、遠心ファン112の駆動に用いられる。
【0045】
C.ブースタ62
図6から
図11を参照して、ブースタ62のホルダ100は、香りディスプレイ60の下面72及びその近傍の側面82を保持するためのディスプレイホルダ部132と、ディスプレイホルダ部132の下部に、ディスプレイホルダ部132に連なって設けられた、ファンアセンブリ104を収容するためのファンハウジング134とを含む。
【0046】
ディスプレイホルダ部132は、区画板138によりファンハウジング134と区画されている。区画板138の外周の内、互いに隣接する3辺には外周壁136が形成されている。残りの3辺の内、外周壁136が形成された辺に隣接する辺には、外周壁136から斜め上方に広がるように形成された側壁202及び204がそれぞれ形成される。側壁202及び204により挟まれた残りの1辺にはダクト130が設けられており、ダクト130の外壁がダクト130内部とディスプレイホルダ部132とを区画している。ダクト130は、ディスプレイホルダ部132に香りディスプレイ60が収容されたときに、香りディスプレイの第2の面である下面側で、その外周に接する部分に形成された図示しない開口と、側壁202及び204の上端を結ぶ辺に接して設けられた開口66とを持つ。ダクト130の上端は側壁202及び204の上端とほぼ同じ高さである。ダクト130の上端に形成された開口66は、ディスプレイホルダ部132に香りディスプレイ60が収容されたときに、香りディスプレイ60の第1の面である上面とほぼ同じ高さとなる。
【0047】
図7及び
図8を参照して、ダクト130の上端、すなわち香りディスプレイ60の上面側に形成された開口66は、ほぼ台形の断面形状を持つ。ダクト130の下端、すなわち香りディスプレイの下面側には、開口66と同じ形状を持ち同じ大きさ(面積)のダクト底部開口300が形成されている。ダクト底部開口300は
図2に示す導風ダクト114と接続される。ダクト130は
図6に示すようにブースタ62の底面と垂直にまっすぐにその側面に沿って設けられている。したがって、ダクト130の内部の空間の形状は、開口66とダクト底部開口300とを両端とする、断面がほぼ台形形状を持つ角柱である。すなわち、ダクト130の伸びる方向と垂直な面におけるダクト130の断面形状及びその面積は、ダクト130の全長にわたって同じである。導風ダクト114の、ダクト130側と反対側の開口に、遠心ファン112からの空気を導入することにより、その空気がダクト130の内部に導かれる。
【0048】
区画板138の中央部分には、
図2に示す基板102のピン210(
図6参照)が区画板138の下面から上面に向かって挿入されるピン用開口部260が形成されている。このピン210が
図5に示す接続部84と電気的に係合することにより、香りディスプレイ60からの制御信号が基板102を介してファンアセンブリ104に与えられるようになる。
【0049】
図9を参照して、ダクト130の内部には、ダクト130における空気の進行方向に沿って3本の整流板250、252及び254が設けられる。これら整流板は互いに一定間隔をもって、かつ互いに平行に配置されている。このような整流板をダクト130に設けることにより、遠心ファン112はダクト130の伸びる方向とは異なる方向を向いた吐出口を持つ。この実施形態では、遠心ファン112から送り出された空気の流れを、ダクト130の方向に90度曲げる必要がある。さらに、遠心ファン112から送り出された空気の流れをダクト130内に導入するためには、空気の流れの方向を90度曲げるだけではなく、左右方向に広げる必要がある。そのためにダクト130に導入される空気には乱れが生じている。整流板250、252及び254をダクト130内部に設けることにより、ダクト内で空気の流れを整えることができ、その結果、香りを含む空気を遠くまで導くことができる。
【0050】
図10を参照して、ディスプレイホルダ部132の側壁202にはロック用開口206が形成されている。さらにそのすぐ下の側壁202の内周面には、
図4及び
図5に示す位置規定部80と係合することにより、香りディスプレイ60の位置を規制するための位置規定部材208が設けられている。位置規定部材208が位置規定部80と係合するように香りディスプレイ60をディスプレイホルダ部132に挿入することにより、ロック用開口206が
図4及び
図5に示す雌ネジ部76に対向する。したがって、スタンド68のブースタロック70の雄ネジ部400(
図15)を、ロック用開口206を通して雌ネジ部76に螺合させることができる。その結果、香りディスプレイ60とブースタロック70とによりホルダ100を挟むようにしてスタンド68に香りディスプレイ60及びブースタ62を固定できる。
【0051】
外周壁136の下部に連なるようにファンハウジング134が形成され、その内部はファン(図示せず)を収容したファン収容部320となっている。
【0052】
D.導風ダクト114
図12から
図14を参照して、導風ダクト114は、遠心ファン112(
図2を参照)の風の吐出口に接続されるファン側開口342が形成された前面340と、側壁348と、背面366と、側壁348及び背面366の間を接続する側面364と、上部仕切356とを持つ筐体330を含む。前面340にはさらに、中央仕切350によりファン側開口342と仕切られたネジ室352が形成されている。ネジ室352の底面及び上部仕切356の部分には、それぞれネジ穴354及び362が形成されている。このネジ穴は、
図2に示す長ネジ108を通すためのものである。
【0053】
導風ダクト114の上面にはダクト側開口358が形成され、ダクト側開口358はダクト130のダクト底部開口300に接続されている。ファン側開口342及びダクト側開口358は、筐体330の一部である底板344、側壁346及び347、及び上部仕切356の下面により囲まれ、遠心ファン112が吐出した空気の流れをダクト底部開口300に導く導風路を形成している。ダクト側開口358の周囲には係合部材360が形成されている。係合部材360とダクト130のダクト底部開口300部分とが係合することにより、導風ダクト114がダクト底部開口300に隙間なく接続される。
【0054】
特に
図14に示すように、底板344とその背面366とは段差がない流線型に形成されている。そのため、遠心ファン112から吐出された空気流のエネルギ損失を最小限にし、空気流の方向を90度変化させてダクト130の内部に導くことができる。その結果、遠心ファン112の最大風及び最大静圧を活かして香りを含む空気を遠くまで運んだり、周辺に漂っている香りを消散させたりすることができる。
【0055】
E.スタンド68
図15を参照して、スタンド68は、前述したとおり底部120とロックホルダ板122とを含む。底部120は内部に開口402を持つ正六角形状である。底部120の正六角形の一辺の外側から、底部120の正六角形が規定する平面と垂直に伸びるようにロックホルダ板122が植立されている。ロックホルダ板122の先端は半円形状に整形されている。その半円形状の中心部を貫通するようにブースタロック70の雄ネジ部400がロックホルダ板122に取り付けられる。ブースタロック70はロックホルダ板122に対して自由に回転可能である。このブースタロック70の雄ネジ部400を、ブースタ62に取り付けられた香りディスプレイ60の雌ネジ部76と螺合させることにより、香りディスプレイ60及びブースタ62をスタンド68により保持できる。ブースタロック70を少し緩めれば香りディスプレイ60及びブースタ62をスタンド68に対し一定の角度範囲内において回動させることができ、その回動させた位置でブースタロック70を締め付けることによってその回動させた角度で香りディスプレイ60及びブースタ62を固定させることができる。
【0056】
図2に示したように、底部120の裏面には6個のマグネット124が埋め込まれ固定されている。したがって、スタンド68をキャビネットの扉のように、鉄製部分に吸着させることにより、香りディスプレイ60及びブースタ62の姿勢を自由に設定できる。
【0057】
F.動作
図1から
図15を参照して、香りディスプレイシステム50は以下のように動作する。特に1図を参照して、香りディスプレイ60は、外部から与えられる制御信号に応答して、6種類の香りの任意の組み合わせを含んだ空気を、制御信号により指定されたタイミングで開口64から噴出する。香りディスプレイ60の噴出力は比較的小さい。そのため、噴出された香りを含む空気は香りディスプレイ60の近傍領域にしか到達しない。
【0058】
香りをより広い領域に広げたいときには、香りディスプレイ60が香りを含んだ空気を噴出するタイミングにあわせて、ブースタ62の遠心ファン112(
図2を参照)を起動する。遠心ファン112が横向きに吐出する空気は導風ダクト114により上向きの流れに変えられ、ダクト130のダクト底部開口300に導かれる。ダクト底部開口300を経由してダクト130の内部に導入された空気はそのままダクト130の内部を上向きに流れ、最上端の開口66から吹き出される。遠心ファン112により作り出されダクト130から吹き出された空気の流れは強く、速い。そのため、ダクト130から吹き出された空気は周りの空気も引き込み、遠くまで到達する。香りディスプレイ60の近傍領域にしか到達していなかった、香りを含んだ空気も、ダクト130から吹き出された空気の流れに引き込まれ、遠くまで運ばれる。その結果、香りディスプレイ60が噴出した香りを、ブースタ62を使用しない場合よりも特に遠くまで届けることができる。
【0059】
香りディスプレイ60がある香りを噴出した後、別の香りを噴出させる場合がある。このとき、前者の香りが残っていると、後者の香りと混ざり合ってしまい所望の効果が得られない。そうしたときにもブースタ62を起動させる。ブースタ62を起動させることにより、香りディスプレイ60の近傍領域に残留していた香りを含む空気は香りディスプレイ60から離れた位置まで吹き飛ばされる。ブースタ62を停止した後に新たな香りを香りディスプレイ60から噴出させることにより、新たな香りがそれ以前の香りと混ざり合ってしまうことが防止でき、香りによる所望の効果を実現できる。
【0060】
なお、ブースタ62の場合、遠心ファン112から吹き出された空気は、導風ダクト114及び130のダクト底部開口300を経て全てダクト130に導入され、さらに開口66から噴出される。導風ダクト114及び130により形成された空気の通り道には、空気の流れを妨げるものがない。そのため、遠心ファン112により空気に与えられたパワーが失われることなく、開口66から空気が吹き出される。したがって、香りディスプレイ60から噴出された空気を十分に遠くまで運んだり、香りディスプレイ60の近傍に残留している香りを含んだ空気を、すぐに消散させたりすることができる。その結果、遠心ファン112として比較的コンパクトなものを使用しても十分に効果を得ることができる。ブースタ62のサイズを大きくする必要がなくコンパクトにできる。さらに、遠心ファン112の動作音も小さくできる。
【0061】
以上のようにこの第1実施形態においては、遠心ファンから吐出される空気の流れの中に香りディスプレイ60を置くのではなく、香りディスプレイ60の外周壁の一部に沿ってのみダクトを設け、そのダクトから空気を吐出する。香りディスプレイ60の中央部に形成された開口64から香りディスプレイ60が香りを含む空気を噴出すると、その香りを含んだ空気はダクト130から吐出される空気の流れに乗って遠くまで運ばれる。
【0062】
特許文献1に開示されたブースタにおいては、軸流ファンから吐出された空気が香りディスプレイの底面にぶつかってから、その周囲を迂回してブースタの吐出口に向かって流れていた。そのため、特許文献1に開示のブースタにおいては、軸流ファンのパワーが十分に空気の流れに生かされていなかったと思われる。
【0063】
それに対してこの実施形態においては、遠心ファンから吐出される空気は香りディスプレイ60に妨害されることなく、スムーズにダクト130から吹き出される。したがって、遠心ファンのパワーが空気の流れを生み出すために十分に使用され、最大静圧が得られる。その結果、香りディスプレイ60から噴出される香りを含んだ空気も効率的にこの空気の流れに引き込まれ、遠くまで運ばれる。また遠心ファンを香りディスプレイ60の底面側のファンハウジング134内に配置し、ダクト130も香りディスプレイ60の外周の一部のみに配置している。その結果、ブースタ62がコンパクトになるという効果も得られる。上記したように、特許文献1に開示されたブースタと比較して、より小さな遠心ファンを使用して同等以上の最大静圧が得られる。このためさらにブースタ62をコンパクトにできるというさらなる効果が得られる。
【0064】
2.第2実施形態
図16に、この発明の第2実施形態に係る香りディスプレイシステム450の構成の概略を示す。
図16を参照して、香りディスプレイシステム450と
図2に示す第1実施形態に係る香りディスプレイシステム50との1番目の相違は、香りディスプレイ60に代えて、底面の適切な位置に鉄など磁石に吸着する金属を取り付けた香りディスプレイ460が使用されることである。
【0065】
2番目の相違は、ホルダ100に代えて、ディスプレイホルダ部132内に香りディスプレイ460を固定するための複数のマグネット472、474及び476を設けたホルダ470を持つブースタ462を含む点である。したがって、
図2の場合と異なり、長ネジ108により香りディスプレイ60を固定する必要がない。この第2実施形態では、
図2に示す長ネジ108は使用せず、小ネジ490を用いて底板106をホルダ470の下端に固定する。
【0066】
以上の相違点以外において、香りディスプレイシステム450は第1実施形態に係る香りディスプレイシステム50と同じ構成を持つ。相違は香りディスプレイをどのようにしてホルダに固定するか、という点だけである。したがってこの第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
3.第3実施形態
図17及び
図18に、この発明の第3実施形態に係る香りディスプレイシステム550の正面図及び側面図を示す。
図17及び
図18において、スタンド68は示されていない。しかし
図18に示されているように香りディスプレイシステム550のホルダにも、香りディスプレイ60の雌ネジ部と対向する位置に開口が形成されている。したがってこの香りディスプレイシステム550もスタンド68と組み合わせることができる。
【0068】
香りディスプレイシステム550と第1実施形態に係る香りディスプレイシステム50との第1の相違点は、第1実施形態のホルダ100に代えて、ファンハウジングを持たないホルダ560を含む点である。ただしこの相違は本質的ではなく、この実施形態においてもファンハウジング134を設けるようにしてもよい。ホルダ560も、第1実施形態のダクト130と同様、ホルダ560の底面からその上端まで、ホルダ560の六角柱状の外径の内、一辺に対応する側面に沿って伸びるダクト566を持つ。ダクト566は、図示しないがその下端と上端に同一形状の開口を持つ。
【0069】
第2の相違点は、香りディスプレイシステム50の遠心ファン112に代えて、回転軸が香りディスプレイ60の中心軸と垂直に交わる方向となるように配置された遠心ファン562を含むことである。遠心ファン562をこのように配置することにより、遠心ファン562の吐出口は、香りディスプレイ60の中心軸と垂直な方向を向く。
【0070】
第3の相違点は、第1実施形態における導風ダクト114に代えて、遠心ファン562から吐出される空気をダクト566の下部の開口に導くための導風ダクト564を含む点である。導風ダクト564の機能は導風ダクト114と同様である。
【0071】
図19及び
図20を参照して、導風ダクト564は、合成樹脂により一体成型されたファン取付部材600の一部となっている。ファン取付部材600は、導風ダクト564に加えて、ホルダ560の底部と接続される、周囲が正六角形のホルダ受け部620と、ホルダ受け部620の底部に対し垂直になるように取り付けられたファン取付板622とを含む。ファン取付板622にはネジ穴が形成されており、遠心ファン562(
図17及び
図18を参照)をネジでファン取付板622に固定できる。
【0072】
この実施形態では、導風ダクト564は、ホルダ受け部620の底部にファン取付板622の一部に沿って形成される。導風ダクト564は、ホルダ受け部620の上端と面一となる位置に形成されたダクト側開口614と、ファン取付板622に固定された遠心ファン562の空気の吐出口と接続されるように形成されたファン側開口604とを持つ。
【0073】
より具体的には導風ダクト564は、側壁610、ファン取付板622に沿うように形成された側壁608、底面606及び上面612を含む。側壁610及び608,底面606及び上面612のファン側の端部がファン側開口604の周囲を規定している。一方、ダクト側開口614の周囲は、底面606の上端部と、側壁610及び608の上端部と、ホルダ受け部620の六角形の一辺とにより規定されている。
【0074】
上記したように、導風ダクト564の機能は第1実施形態の導風ダクト114と同様である。底面606及び上面612は流線型の空気の通路を形成する。したがって、この実施形態に係る導風ダクト564も、遠心ファン562から吐出された空気流のエネルギ損失を最小限にし、空気流の方向を90度変化させてダクト130の内部に導くことができる。その結果、遠心ファン562の最大風及び最大静圧を活かして香りを含む空気を遠くまで運んだり、周辺に漂っている香りを消散させたりすることができる。
【0075】
しかしその一方で、導風ダクト564と導風ダクト114とはその形状において大きな相違がある。
【0076】
例えば軸流ファンとしてシロッコファンを用いる場合、その吐出口は長方形状となる。長方形の長辺は羽根車の羽の長手方向のサイズとほぼ同じである。長方形の短辺は羽根車の幅方向のサイズとほぼ同じである。一般的に羽根車の長手方向の合図は幅方向のサイズより大きい。
【0077】
図2の遠心ファン112のように遠心ファン112を配置した場合、吐出口の長辺は
図2における上下方向と一致する。つまり、第1実施形態の場合には、上下方向に長く、かつ左右方向には短い空気の流れが遠心ファン112から送り出される。この空気の流れをダクト130の内部に導くためには、空気の流れの向きを横方向から縦方向に変えることが必要である。さらに、左右方向に短く、上下方向に長く分布している横向きの空気の流れを、縦方向の、かつダクト130の内部形状にあうような空気の流れに変化させる必要がある。上下方向に長く分布している空気の流れをそのように変化させると、どうしても空気の流れに乱れが生じる。さらに、ダクト130から空気が吐出されるときにもまだ空気の流れの乱れが残っている。そのため、ダクト130から吐出される空気は多少の広がりをもって進むことになる。
【0078】
一方、
図17及び
図18に示すように遠心ファン562を配置した場合、遠心ファン562の吐出口の長辺の長さとダクト566の内部の横幅とをほぼ揃えられる。そのため、導風ダクト564は、単に遠心ファン562から横向きに吐出された空気の流れの向きを上に向けて90度変化させるだけでよく、さらに空気の流れの平面的分布を調整する必要がない。しかも上記したように導風ダクト564の内部形状は滑らかで、空気の流れを阻害する要因はない。その結果、この第3実施形態においては、ダクト566から吐出される空気の流れには乱れが非常に少なく、遠くまで香りを届けることができる。
【0079】
ただし、この第3実施形態においては、空気の流れに乱れが少ないため、香りを広げるという効果は第1実施形態と比較して弱くなる。そのため、この第3実施形態の配置は、一定の位置にほぼピンポイントに香りを届けたいという用途に適している。一方、第1実施形態の配置においては、そのようなピンポイントに香りを届けるのは難しいが、多少の広がりを持って香りを届けることができるため、ユーザの位置にそれほど影響を受けずに香りを効率的に届けることができるという効果がある。
【0080】
上記実施形態においては、ブースタ62の内周面は六角形を形成している。しかしこれは香りディスプレイ60の外周にあわせてブースタ62の内周を形成しているためであり、ブースタ62の内周面が六角形に限定されるわけではない。ブースタ62の外周が六角形となっているのも同様である。
【0081】
また上記実施形態においては、ダクト130はブースタ62の外周の六角形の1辺のみに沿うように形成されている。しかしこの発明はそのような実施形態に限定されるわけではない。例えば六角形の2辺又は3辺に沿うようダクトを設けてもよい。しかし、ブースタを小型にするという目的に鑑みると、六角形の3辺に沿うようにダクトを設けるのが上限である。それ以上の数の辺に沿ってダクトを設けると、ブースタは大型化してしまう。またダクトの断面積が大きくなるため、ファンを大型化しないと十分な最大静圧を作り出すことが難しくなるという問題もある。
【0082】
なお、ダクトは、ブースタ62の外周の六角形の頂点をはさみ、2つの辺の各々の一部にまたがるように設けてもよい。同様に、1辺と、その左右の2つの辺の各々の1部にまたがるようにダクトを設けてもよい。
【0083】
また、ブースタ62の外周は六角形に限定されるわけではない。この実施形態では、香りディスプレイ60の外周が六角形となっているためにブースタ62の外周も六角形としているだけである。例えば香りディスプレイ60の外周が八角形ならばブースタ62の外周も八角形とすることが自然である。もちろん、香りディスプレイ60の外周は正多角形でない多角形でもよいし、円形などの他の形状であってもよい。それらの場合も、ブースタ62の外周の形状を香りディスプレイ60の外周の形状と揃えることが自然である。ブースタの外周を円形とする場合には、多角形の場合と異なり辺の数によりブースタのダクトの幅を決めることはできない。その場合、例えばブースタのダクトを、ブースタの外周の1/10から1/3、好ましくは1/8から1/4、さらに好ましくは1/7から1/5の範囲内に設けることが望ましい。このときのダクトの内部の断面形状は、上記実施形態のようにほぼ台形でなくてもよく、例えばブースタの外周に沿った曲線をなすようにダクトを変形してもよい。
【0084】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0085】
50、450、550 香りディスプレイシステム
60、460 香りディスプレイ
62、462 ブースタ
68 スタンド
70 ブースタロック
80 位置規定部
86 中心軸
100、470、560 ホルダ
104 ファンアセンブリ
108 長ネジ
112、562 遠心ファン
114、564 導風ダクト
130、566 ダクト
132 ディスプレイホルダ部
134 ファンハウジング
136 外周壁
138 区画板
202、204、346、347、348、608、610 側壁
206 ロック用開口
208 位置規定部材
250、252、254 整流板
300 ダクト底部開口
320 ファン収容部
342、604 ファン側開口
358、614 ダクト側開口
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、前記第1面と対向する第2面、及び前記第1面の外周及び前記第2面の外周を接続する第3面を持ち、前記第1面から香りを放出する香りディスプレイの、香りの放出力を高めるブースタ装置であって、
前記香りディスプレイを保持するホルダ部と、
第1開口及び第2開口を持ち、前記第3面に沿うように前記ホルダ部に設けられたダクトと、
前記第1開口に風を送り込む遠心ファンとを含み、
前記ダクトは、前記ホルダ部により保持された前記香りディスプレイの前記第2面側に前記第1開口が位置し、前記ホルダ部により保持された前記香りディスプレイの前記第1面側に前記第2開口が位置するように前記ホルダ部に設けられ、
前記ダクトは、前記ダクトの中心軸が、前記香りディスプレイの中心軸から所定距離だけ離れ、かつ前記香りディスプレイの中心軸と平行となるように設けられ、
前記香りディスプレイの外周は、多角形の形状を持ち、
前記ダクトは、前記多角形の連続する2辺以下の部分のみに隣接するように形成されている、香りディスプレイのブースタ装置。
【請求項2】
さらに、前記ホルダ部の側面部に形成された開口を通して、前記香りディスプレイの前記第3面に形成された係合部と係合することにより、前記香りディスプレイと前記ブースタ装置とを揺動可能に支持するスタンドを含む、請求項1に記載のブースタ装置。
【請求項3】
前記ダクトは、前記第1開口から前記第2開口に至るまで、同じ断面積及び同じ形状を有する、請求項1または請求項2に記載のブースタ装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、前記第1面と対向する第2面、及び前記第1面の外周及び前記第2面の外周を接続する第3面を持ち、前記第1面から香りを放出する香りディスプレイの、香りの放出力を高めるブースタ装置であって、
前記香りディスプレイを保持するホルダ部と、
第1開口及び第2開口を持ち、前記第3面に沿うように前記ホルダ部に設けられたダクトと、
前記第1開口に風を送り込む遠心ファンとを含み、
前記ダクトは、前記ブースタ装置の底面に垂直に、かつ前記ブースタ装置の側面に沿ってまっすぐに、前記ホルダ部により保持された前記香りディスプレイの前記第2面側に前記第1開口が位置し、前記ホルダ部により保持された前記香りディスプレイの前記第1面側に前記第2開口が位置するように前記ホルダ部に設けられ、
前記香りディスプレイの外周は、正六角形の形状を持ち、
前記ダクトは、前記正六角形の1辺のみに隣接するように形成されている、香りディスプレイのブースタ装置。
【請求項2】
さらに、前記ホルダ部の側面部に形成された開口を通して、前記香りディスプレイの前記第3面に形成された係合部と係合することにより、前記香りディスプレイと前記ブースタ装置とを揺動可能に支持するスタンドを含む、請求項1に記載のブースタ装置。
【請求項3】
前記ダクトは、前記第1開口から前記第2開口に至るまで、同じ断面積及び同じ形状を有する、請求項1または請求項2に記載のブースタ装置。