(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108525
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】端部フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 55/20 20060101AFI20240805BHJP
B29C 55/08 20060101ALI20240805BHJP
B29C 55/12 20060101ALI20240805BHJP
B65H 35/02 20060101ALI20240805BHJP
B65H 18/08 20060101ALI20240805BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
B29C55/20
B29C55/08
B29C55/12
B65H35/02
B65H18/08
B29L7:00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012943
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 真悠子
(72)【発明者】
【氏名】中原 歩夢
【テーマコード(参考)】
3F055
4F210
【Fターム(参考)】
3F055AA05
3F055FA17
4F210AA12
4F210AA21
4F210AA24
4F210AA28
4F210AG01
4F210AR12
4F210QA02
4F210QC03
4F210QC05
4F210QG01
4F210QG08
4F210QG15
4F210QG18
4F210QL15
4F210QL16
4F210QW21
4F210QW36
4F210QW45
(57)【要約】
【課題】破断を抑制できる端部フィルムを円滑に製造できる端部フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態による端部フィルムの製造方法は、長尺状の樹脂フィルムにおける幅方向の両端部のそれぞれをクリップによって把持した状態で、該樹脂フィルムを長尺方向と交差する方向に延伸して、延伸フィルムを調製する延伸工程と;該延伸フィルムから該クリップの把持跡を含む両端部のそれぞれを切断して、該把持跡を含む端部フィルムと、製品フィルムとに分離する切断工程と;を含んでいる。上記延伸工程に供される樹脂フィルムにおいて、幅方向の両端部のそれぞれが厚肉部として構成され、2つの該厚肉部の間に位置する部分が薄肉部として構成されている。上記延伸工程において、該厚肉部が上記クリップによって把持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の樹脂フィルムにおける幅方向の両端部のそれぞれをクリップによって把持した状態で、前記樹脂フィルムを長尺方向と交差する方向に延伸して、延伸フィルムを調製する延伸工程と、
前記延伸フィルムから前記クリップの把持跡を含む両端部のそれぞれを切断して、前記把持跡を含む端部フィルムと、製品フィルムとに分離する切断工程と、を含み、
前記延伸工程に供される樹脂フィルムにおいて、幅方向の両端部のそれぞれが厚肉部として構成され、2つの前記厚肉部の間に位置する部分が薄肉部として構成されており、
前記延伸工程において、前記厚肉部が前記クリップによって把持される、端部フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記厚肉部の厚みと前記薄肉部の厚みとの差は、20μm以上である、請求項1に記載の端部フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記厚肉部の厚みと前記薄肉部の厚みとの差は、30μm以下である、請求項2に記載の端部フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記厚肉部の厚みは、90μm以上である、請求項3に記載の端部フィルムの製造方法。
【請求項5】
巻取部材が前記端部フィルムを巻き取る工程を、さらに含む、請求項4に記載の端部フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記延伸工程に供される樹脂フィルムは、前記厚肉部と前記薄肉部とが一体成形された成形フィルムである、請求項1から5のいずれかに記載の端部フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記樹脂フィルムは、実質的に均一な厚みを有しており、
前記厚肉部は、前記樹脂フィルムの幅方向の端部を折り返して形成される、請求項1から5のいずれかに記載の端部フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記樹脂フィルムは、
実質的に均一な厚みを有するフィルム本体と、
前記フィルム本体の幅方向の端部に貼り付けられる貼付フィルムであって、前記フィルム本体と同じ材料から構成される貼付フィルムと、を備え、
前記厚肉部は、前記フィルム本体と前記貼付フィルムとを含んでいる、請求項1から5のいずれかに記載の端部フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端部フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業製品に幅広く利用される延伸フィルムは、樹脂フィルムを延伸して製造される。例えば、長尺状の樹脂フィルムの幅方向両端部をクリップによって把持した状態で、樹脂フィルムを長尺方向と交差する方向に延伸する、延伸フィルムの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような延伸フィルムの製造方法では、延伸フィルムの幅方向の両端部にクリップの把持跡が生じる。そのため、一般的には、延伸フィルムから当該把持跡を含む端部を切断して廃棄する。
近年、環境負荷の低減の観点から、各種産業製品の製造時に生じる廃棄物の再利用が望まれている。そこで、特許文献1に記載の延伸フィルムの製造方法において、延伸フィルムから切断した端部を端部フィルムとして回収して、有効利用することが検討されている。しかし、端部フィルムを回収するときに、端部フィルムが破断して、端部フィルムを円滑に回収できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、破断を抑制できる端部フィルムを円滑に製造できる端部フィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明の実施形態による端部フィルムの製造方法は、長尺状の樹脂フィルムにおける幅方向の両端部のそれぞれをクリップによって把持した状態で、該樹脂フィルムを長尺方向と交差する方向に延伸して、延伸フィルムを調製する延伸工程と;該延伸フィルムから該クリップの把持跡を含む両端部のそれぞれを切断して、該把持跡を含む端部フィルムと、製品フィルムとに分離する切断工程と;を含んでいる。上記延伸工程に供される樹脂フィルムにおいて、幅方向の両端部のそれぞれが厚肉部として構成され、2つの該厚肉部の間に位置する部分が薄肉部として構成されている。上記延伸工程では、該厚肉部がクリップによって把持される。
[2]上記[1]に記載の端部フィルムの製造方法において、上記厚肉部の厚みと上記薄肉部の厚みとの差は、20μm以上であってもよい。
[3]上記[1]または[2]に記載の端部フィルムの製造方法において、上記厚肉部の厚みと上記薄肉部の厚みとの差は、30μm以下であってもよい。
[4]上記[1]から[3]のいずれかに記載の端部フィルムの製造方法において、上記厚肉部の厚みは、90μm以上であってもよい。
[5]上記[1]から[4]のいずれかに記載の端部フィルムの製造方法は、巻取部材が上記端部フィルムを巻き取る工程を、さらに含んでいてもよい。
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載の端部フィルムの製造方法において、上記延伸工程に供される樹脂フィルムは、上記厚肉部と上記薄肉部とが一体成形された成形フィルムであってもよい。
[7]上記[1]から[5]のいずれかに記載の端部フィルムの製造方法において、上記樹脂フィルムは、実質的に均一な厚みを有していてもよい。この場合、上記厚肉部は、該樹脂フィルムの幅方向の端部を折り返して形成されている。
[8]上記[1]から[5]のいずれかに記載の端部フィルムの製造方法において、上記樹脂フィルムは、実質的に均一な厚みを有するフィルム本体と;該フィルム本体の幅方向の端部に貼り付けられる貼付フィルムと;を備えていてもよい。該貼付フィルムは、該フィルム本体と同じ材料から構成されている。この場合、上記厚肉部は、該フィルム本体と該貼付フィルムとを含んでいる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、破断を抑制できる端部フィルムを円滑に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施形態による端部フィルムの製造方法を説明するための概略構成図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の実施形態に係る樹脂フィルムの概略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明のさらに別の実施形態に係る樹脂フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0009】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)角度
本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回りおよび反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
【0010】
A.端部フィルムの製造方法の概略
図1は本発明の1つの実施形態による端部フィルムの製造方法を説明するための概略構成図であり;
図2は
図1の樹脂フィルムの平面図であり;
図3は
図2の樹脂フィルムの概略断面図であり;
図4は本発明の別の実施形態に係る樹脂フィルムの概略断面図であり;
図5は本発明のさらに別の実施形態に係る樹脂フィルムの概略断面図であり;
図6は
図1の延伸フィルムの概略平面図である。
【0011】
本発明の実施形態による端部フィルムの製造方法は、延伸工程と、切断工程とを、この順に含んでいる(
図1参照)。延伸工程では、長尺状の樹脂フィルム1における幅方向の両端部のそれぞれをクリップによって把持した状態で、樹脂フィルム1を長尺方向と交差する方向に延伸して、延伸フィルム2を調製する。切断工程では、延伸フィルム2からクリップの把持跡22を含む両端部のそれぞれを切断して、把持跡22を含む端部フィルム3と、製品フィルム4とに分離する。延伸工程に供される樹脂フィルム1では、幅方向の両端部のそれぞれが厚肉部11として構成され、2つの厚肉部11の間に位置する部分が薄肉部12として構成される(
図2~
図5参照)。延伸工程では、当該厚肉部11がクリップによって把持される。
本発明者らは、端部フィルムを回収(製造)するときに、クリップの把持跡がクラックの起点となり、端部フィルムの破断の原因となることを発見した。そこで、端部フィルムの回収手段について鋭意検討した結果、クリップの把持跡が形成される部分の厚みを調整することで、クラックの発生を抑制できることを見出した。具体的には、延伸工程に供される樹脂フィルム1における幅方向の両端部を厚肉部11として構成し、当該厚肉部11をクリップによって把持して、樹脂フィルム1を延伸する。これによって得られた延伸フィルム2では、相対的に厚い部分にクリップの把持跡22が形成される。その後、切断工程において、延伸フィルム2が、クリップの把持跡22を含む端部フィルム3と、製品フィルム4とに分離されるので、端部フィルム3において製品フィルム4よりも厚い部分に把持跡22を配置でき、かつ、製品フィルム4の薄型化を図ることができる。よって、破断を抑制できる端部フィルム3を円滑に製造(回収)できる。言い換えれば、本発明の実施形態による端部フィルムの製造方法は、端部フィルムの回収方法である。また、1つの実施形態では、端部フィルム3とともに、薄型化された製品フィルム4も円滑に製造できる。
【0012】
図3に示すように、厚肉部11は、薄肉部12よりも厚い。厚肉部11の厚みT1と薄肉部12の厚みT2との差Dは、例えば3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上、とりわけ好ましくは20μm以上である。厚肉部と薄肉部との厚み差が上記下限以上であれば、端部フィルムにおけるクリップの把持跡が形成される部分の厚みを十分に確保でき、端部フィルムの破断を安定して抑制できる。また、延伸工程においてクリップが厚肉部を把持したときに、クリップが薄肉部と接触することを抑制できる。
【0013】
厚肉部11の厚みT1と薄肉部12の厚みT2との差Dは、例えば60μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下、とりわけ好ましくは30μm以下である。厚肉部と薄肉部との厚み差が上記上限以下であれば、優れた外観を有する製品フィルム(すなわち、幅方向の厚みムラが低減された製品フィルム)を安定して製造でき、かつ、製品フィルムの歩留まりを向上させることができる。
【0014】
厚肉部11の厚みT1は、上記した厚み差Dとなるように、任意の適切な値を採用し得る。
厚肉部11の厚みT1は、例えば80μm以上、好ましくは90μm以上、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは110μm以上、とりわけ好ましくは120μm以上であり、例えば160μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは140μm以下、さらに好ましくは130μm以下である。厚肉部の厚みが上記下限以上であれば、端部フィルムの破断をより安定して抑制できる。厚肉部の厚みが上記上限以下であれば、延伸工程においてクリップが厚肉部を安定して把持でき、樹脂フィルムを精度よく延伸できる。
【0015】
薄肉部12の厚みT2は、上記した厚み差Dとなるように、厚肉部11の厚みT1に応じて任意かつ適切に調整される。薄肉部12の厚みT2は、例えば70μm以上、好ましくは80μm以上、より好ましくは90μm以上、さらに好ましくは100μm以上であり、例えば、上記した厚肉部11の厚みT1の下限未満である。
薄肉部12は、代表的には、実質的に均一な厚みを有している。薄肉部12における厚みの最大値と最小値との差は、例えば3μm未満、好ましくは1μm以下である。薄肉部12における厚みの最大値と最小値との差の下限は、代表的には0μmである。
【0016】
1つの実施形態において、延伸工程に供される樹脂フィルム1は、厚肉部11と薄肉部12とが一体成形された成形フィルム1aである。樹脂フィルムが、厚肉部と薄肉部とを一体に有する成形フィルムであると、延伸工程において成形フィルムを円滑に延伸できる。成形フィルム1aは、任意の適切な樹脂成形方法、代表的にはダイを用いる押出成形によって製造される。
【0017】
また、
図4に示すように、樹脂フィルム1は、実質的に均一な厚みを有していてもよい。この場合、樹脂フィルム1が延伸工程に供されるときに、樹脂フィルム1の幅方向の端部を折り返して、厚肉部11を形成する。これによっても、延伸工程において樹脂フィルムを円滑に延伸できる。
本実施形態において、折り返す前の樹脂フィルム1の厚みの範囲は、例えば、上記した薄肉部の厚みの範囲と同様である。また、折り返す前の樹脂フィルム1の厚みの最大値と最小値との差の範囲は、例えば、上記した薄肉部の厚みの最大値と最小値との差の範囲と同様である。
【0018】
さらに、
図5に示すように、樹脂フィルム1は、フィルム本体13と、貼付フィルム14と、を備えていてもよい。
フィルム本体13は、実質的に均一な厚みを有している。フィルム本体13の厚みの範囲は、例えば、上記した薄肉部の厚みの範囲と同様である。また、フィルム本体13の厚みの最大値と最小値との差の範囲は、例えば、上記した薄肉部の厚みの最大値と最小値との差の範囲と同様である。
貼付フィルム14は、任意の適切な接着層(接着剤層または粘着剤層)を介して、フィルム本体13の幅方向の端部に貼り付けられている。これによって、厚肉部11が形成されている。つまり、厚肉部11は、フィルム本体13の幅方向の端部と;それに積層される貼付フィルム14と;を含んでいる。より詳しくは、厚肉部11は、フィルム本体13の幅方向の端部と;図示しない接着層と;貼付フィルム14と;から構成されている。
貼付フィルム14は、フィルム本体13と同じ材料から構成されている。貼付フィルム14の厚みは、上記した厚み差Dとなるように、任意かつ適切に調整される。
樹脂フィルムがこのような構成を有していても、延伸工程において樹脂フィルムを円滑に延伸できる。
【0019】
図6に示すように、上記した樹脂フィルム1は、切断工程において、クリップの把持跡22を含む端部フィルム3と、製品フィルム4とに分離される。その後、端部フィルム3は、任意の適切な手段により回収できる。
【0020】
図1に示すように、1つの実施形態において、端部フィルムの製造方法は、第1の巻取部材6が端部フィルム3を巻き取る第1巻取工程をさらに含んでいる。端部フィルム3において、クリップの把持跡22は、樹脂フィルム1の厚肉部11に由来する部分に形成されている。そのため、端部フィルム3に巻き取り可能な可撓性を付与することができる。その結果、第1巻取工程では、端部フィルム3を巻き取っても、端部フィルム3の破断を抑制できる。これにより、端部フィルム3をロール状に円滑に回収でき、端部フィルム3がロール状に巻回された端部フィルムロール100を円滑に製造できる。端部フィルムロール100では、端部フィルム3が、第1の巻取部材6の径方向に積層されている。
【0021】
回収された端部フィルムは、単独で流通可能な物品であり、産業上利用可能であって、代表的には、再生樹脂原料として用いられる。
再生樹脂原料は、任意の適切な樹脂製品の製造に利用できる。樹脂製品として、例えば、位相差フィルムなどの光学フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンなどの熱可塑性樹脂から構成される包装材料などが挙げられる。これら樹脂製品のなかでは、好ましくは光学フィルムが挙げられ、より好ましくは位相差フィルムが挙げられる。つまり、回収された端部フィルムは、光学フィルム(代表的には位相差フィルム)の原料として好適に用いられ得る。
【0022】
以下では、端部フィルムの製造方法の各工程の詳細について説明する。
【0023】
B.延伸工程
延伸工程では、長尺状の樹脂フィルム1を、代表的には延伸装置8によって延伸する。
【0024】
B-1.延伸対象の樹脂フィルム
樹脂フィルム1は、本明細書において延伸工程前のフィルムをいう。樹脂フィルム1は、上記のように、長尺状を有している。樹脂フィルム1の幅(長尺方向と直交する方向の寸法)は、例えば500mm以上、好ましくは700mm以上であり、例えば2500mm以下、好ましくは2000mm以下である。
【0025】
樹脂フィルム1を構成する樹脂材料として、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、および、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。なお、(メタ)アクリル系樹脂とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。これら樹脂材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0026】
樹脂フィルム1を構成する樹脂材料のなかでは、好ましくは、ポリカーボネート(PC)系樹脂、シクロオレフィン(COP)系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、および、ポリエステル系樹脂(代表的には、ポリエチレンテレフタレート(PET))が挙げられ、より好ましくはPC系樹脂が挙げられる。このような樹脂材料が用いられていると、端部フィルムの破断をより安定して抑制できる。
【0027】
PC系樹脂として、例えば、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むPC系樹脂が挙げられる。ジヒドロキシ化合物の具体例として、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-sec-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチル-6-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレンが挙げられる。PC系樹脂は、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の他に、イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、スピログリコール、ジオキサングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、トリシクロデカンジメタノール(TCDDM)、ビスフェノール類などのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
【0028】
上記したPC系樹脂の詳細は、例えば特開2012-67300号公報および特許第3325560号に記載されている。当該特許文献の記載は、本明細書に参考として援用される。
【0029】
図2に示すように、樹脂フィルム1は、延伸工程に供されるときに、幅方向の両端部が厚肉部11として構成され、2つの厚肉部11の間の部分が薄肉部12として構成されている。厚肉部11は、代表的には、樹脂フィルム1の長尺方向に延びており、幅方向端部の全体にわたって設けられている。
厚肉部11の幅は、延伸装置のクリップが厚肉部を把持できれば、特に制限されない。厚肉部11の幅は、樹脂フィルム1の幅を100%としたときに、例えば0.5%以上、好ましくは1.0%以上であり、例えば2.5%以下、好ましくは5.0%以下である。厚肉部11の幅は、例えば10mm以上、好ましくは20mm以上であり、例えば100mm以下、好ましくは50mm以下である。厚肉部の幅が上記範囲であれば、延伸装置のクリップが厚肉部を把持したときに、クリップが薄肉部と接触することを安定して抑制できる。
【0030】
B-2.延伸装置
図1に示すように、1つの実施形態において、樹脂フィルム1は、延伸装置8を通過するように、長尺方向に搬送されている。そのため、樹脂フィルム1を搬送しながら延伸でき、延伸フィルム2を連続的に調製できる。
【0031】
延伸装置8は、図示しないが、上記した厚肉部を把持可能なクリップを備えている。延伸装置8は、代表的にはテンター延伸装置である。延伸装置8は、樹脂フィルム1における2つの厚肉部のそれぞれをクリップによって把持(代表的には挟持)した状態で、樹脂フィルム1を長尺方向と交差する方向に延伸する。延伸方向は、樹脂フィルム1の長尺方向と実質的に直交する方向(例えば、長尺方向に対して90°±1°)であってもよく、樹脂フィルム1の長尺方向および幅方向の両方と交差する方向であってもよい。
【0032】
延伸工程の詳細は、例えば、特許第7096940号公報、特開2004-226686号公報、国際公開第2007/111313号に記載されている。当該特許文献の記載は、本明細書に参考として援用される。
【0033】
これによって、長尺状の延伸フィルム2が調製される(
図6参照)。延伸工程における幅方向の延伸倍率(延伸フィルムの幅/樹脂フィルムの幅)は、例えば1.1以上、好ましくは1.5以上であり、例えば6.0以下、好ましくは4.0以下である。
【0034】
クリップの把持跡22は、延伸フィルム2において、樹脂フィルム1の厚肉部11に由来する部分に形成されており、幅方向の両端部のそれぞれに位置している。延伸フィルム2において、クリップの把持跡22が形成されている部分の厚みは、それ以外の部分よりも厚い。
【0035】
延伸フィルム2は、代表的には、上記した延伸方向に遅相軸を有してる。延伸フィルム2の遅相軸は、幅方向において軸ずれする場合がある。より詳細には、延伸フィルム2の遅相軸の方向は、幅方向端部において、所望の角度からずれやすい。当該軸ずれは、代表的には、延伸フィルム2の幅方向中央部では実質的に発現せず、幅方向端部に近づくほど大きくなる。図示例の延伸フィルム2では、幅方向中央部において、遅相軸が上記した延伸方向と実質的に平行(例えば、軸ずれが0°±1°未満)である。また、延伸フィルム2の幅方向端部において、遅相軸は上記した延伸方向と交差(例えば、軸ずれが1°~3°)していてもよい。
【0036】
C.切断工程
図1に示すように、切断工程では、上記した延伸フィルム2からクリップの把持跡22を含む両端部を、代表的には切断装置5によって切断する。1つの実施形態において、延伸フィルム2は、切断装置5を通過するように、長尺方向に搬送される。これによって、延伸フィルム2を連続的に切断できる。延伸フィルム2は、好ましくは、搬送ローラなどのローラ部材と接触することなく、切断工程に供される。
【0037】
切断装置5は、任意の適切な構成を有し得る。図示例では、切断装置5は、ギアカッタ51と、対向ローラ52と、を備えている。ギアカッタ51と対向ローラ52とは、互いに対向している。ギアカッタ51および対向ローラ52のそれぞれは、回転可能である。ギアカッタ51は、ギアカッタ51と対向ローラ52との間を通過する延伸フィルム2に、切断線21を形成できる(
図6参照)。
【0038】
図6に示すように、切断装置5は、代表的には、延伸フィルム2に2つの切断線21を形成する。切断線21は、延伸フィルム2の長尺方向に沿って延びている。2つの切断線21は、延伸フィルム2の幅方向において互いに所定の間隔を空けて形成され、かつ、2つの切断線21のそれぞれは、延伸フィルム2の幅方向においてクリップの把持跡22から所定の間隔を空けて形成される。
【0039】
以上によって、延伸フィルム2から、延伸フィルム2の幅方向の両端部に対応する2つの端部フィルム3が得られる。2つの端部フィルム3のそれぞれは、クリップの把持跡22を含んでいる。また、2つの端部フィルム3が切断された延伸フィルム2は、製品フィルム4として構成される。2つの端部フィルム3および製品フィルム4のそれぞれは、長尺状を有している。
【0040】
端部フィルム3の幅は、端部フィルム3がクリップの把持跡22の全体を含んでいれば、特に制限されない。端部フィルム3の幅は、延伸フィルム2の幅を100%としたときに、例えば0.5%以上、好ましくは1.0%以上、より好ましくは5.0%以上、さらに好ましくは10.0%以上であり、例えば30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下である。端部フィルム4の幅は、例えば10mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは100mm以上、さらに好ましくは200mm以上であり、例えば600mm以下、好ましくは500mm以下、より好ましくは300mm以下である。
端部フィルムの幅が上記下限以上であると、端部フィルムにクリップの把持跡の全体を安定して含めることができ、かつ、延伸フィルムのうち上記した軸ずれが相対的に大きい部分を端部フィルムに含めることができる。その結果、製品フィルムにクリップの把持跡が残存することを抑制でき、かつ、製品フィルムにおける軸ずれを低減できる。端部フィルムの幅が上記上限以下であると、製品フィルムの歩留まりの向上を図ることができる。
【0041】
端部フィルム3におけるクリップの把持跡22が占める面積割合は、例えば1.0%以上、好ましくは5.0%以上であり、例えば95%以下、好ましくは75%以下である。
把持跡が占める面積割合が上記範囲であると、延伸フィルムのうち上記した軸ずれが相対的に大きい部分を端部フィルムに十分に含め得る。そのため、製品フィルムにおける軸ずれを安定して低減できる。
【0042】
端部フィルム3の最大厚み(すなわち、厚肉部に由来する部分の厚み)は、製品フィルム4の厚みよりも大きい。端部フィルム3の最大厚みは、例えば80μm以上、好ましくは90μm以上であり、例えば160μm以下、好ましくは150μm以下である。端部フィルムの最大厚みが上記の範囲であれば、端部フィルムに適切な可撓性を付与できる。
【0043】
D.第1巻取工程
図1に示すように、第1巻取工程では、第1の巻取部材6が、延伸フィルム2から切断装置5によって切断された端部フィルム3を巻き取る。これによって、端部フィルム3を連続的に回収でき、端部フィルムロール100を製造できる。第1の巻取部材6は、代表的には、端部フィルム3の幅方向と実質的に平行な軸線を中心として回転可能である。なお、
図1では、便宜上、1つの第1の巻取部材6を図示しているが、実際には、第1の巻取部材6は、端部フィルム3と同数(すなわち2つ)設けられる。第1の巻取部材6は、任意の適切な構成を有し得る。第1の巻取部材6は、代表的には、円柱形状を有している。
【0044】
切断装置5から第1の巻取部材6に向かう端部フィルム3の搬送速度(ライン速)は、例えば50mm/s以上、好ましくは80mm/s以上であり、例えば1600mm/s以下、好ましくは1150mm/s以下である。端部フィルムのライン速が上記範囲であると、端部フィルムに掛かる張力を好適な範囲に調整でき、端部フィルムの破断をより一層抑制できる。
【0045】
E.第2巻取工程
切断工程で得られた製品フィルム4は、任意の適切な手段により回収される。1つの実施形態において、端部フィルムの製造方法は、第2の巻取部材7が製品フィルム4を巻き取る第2巻取工程をさらに含んでいる。第2巻取工程では、製品フィルム4を第2の巻取部材7に巻回して回収する。そのため、製品フィルム4がロール状に巻回された製品フィルムロール101を製造できる。製品フィルムロール101では、製品フィルム6が、第2の巻取部材7の径方向に積層されている。なお、第2の巻取部材7は、第1の巻取部材6と同様に説明できる。
【0046】
製品フィルム4は、代表的には、遅相軸を有する位相差フィルムとして構成される。製品フィルム4の屈折率は、nx>nyの関係を示す。
1つの実施形態において、製品フィルム4は、λ/4板として機能する。製品フィルムがλ/4板として機能する場合、製品フィルム4の面内位相差Re(550)は、例えば100nm~180nm、好ましくは135nm~155nmである。
別の実施形態において、位相差フィルムは、λ/2板として機能する。製品フィルムがλ/2板として機能する場合、製品フィルム4の面内位相差Re(550)は、例えば230nm~310nm、好ましくは250nm~290nmである。
【0047】
製品フィルム4の波長依存性は特に制限されない。製品フィルム4は、好ましくは、逆分散の波長依存性を示す。製品フィルム4のRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.95である。また、製品フィルム4のRe(550)/Re(650)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.97である。
【0048】
製品フィルム4の光弾性係数の絶対値は、例えば、2×10-12(m2/N)~100×10-12(m2/N)であり、好ましくは、5×10-12(m2/N)~50×10-12(m2/N)である。
【0049】
製品フィルム4(位相差フィルム)の厚みは、例えば60μm以下、好ましくは50μm以下である。製品フィルム4(位相差フィルム)の厚みの下限は、代表的には30μmである。
【0050】
製品フィルム4は、幅方向において、実質的に厚みムラを有さない。製品フィルム4では、下記式(I)により算出される厚みムラが、例えば8%以下、好ましくは6%以下である。製品フィルムの厚みムラの下限は、代表的には0%である。
厚みムラ={(Tmax-Tmin)/Tave)×100・・・(I)
(式(I)中、Tmaxは、製品フィルムの最大厚みを示す。Tminは、製品フィルムの最小厚みを示す。Taveは、製品フィルムの平均厚みを示す。)
【実施例0051】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。なお、特に明記しない限り、実施例および比較例における「部」および「%」は質量基準である。また、実施例および比較例の評価方法は以下の通りである。
【0052】
(1)破断
実施例および比較例で回収された端部フィルムにおける破断を目視によって確認して、以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
〇(優) :破断なし
△(良) :一部破断(フィルムは繋がっている)
×(不可):完全破断
(2)外観
実施例および比較例の製品フィルムの外観を、ダイヤルゲージによって確認して、以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
〇(優) :幅方向において実質的に厚みムラがない(上記式(I)で算出される厚みムラが8%以下)
△(良) :幅方向において厚みムラがある(上記式(I)で算出される厚みムラが8%を超過)
【0053】
<<樹脂フィルムの調製>>
<調製例1>
特開2022-150732号公報の製造例9と同様にして、PC系樹脂から構成される樹脂フィルム(成形フィルム)を調製した。樹脂フィルムは、2つの厚肉部と薄肉部とを一体的に備えていた。厚肉部および薄肉部のそれぞれの厚みを表1に示す。
【0054】
<調製例2>
PETから構成される樹脂フィルムとして、東レ社製の品番「50U48」を準備した。次いで、当該樹脂フィルムを、2つの厚肉部と薄肉部とを一体的に備えるように成形した。厚肉部および薄肉部のそれぞれの厚みを表1に示す。
【0055】
<調製例3>
アクリル系樹脂から構成される樹脂フィルムとして、カネカ社製の製品名「HTX-Z」を準備した。次いで、当該樹脂フィルムを、2つの厚肉部と薄肉部とを一体的に備えるように成形した。厚肉部および薄肉部のそれぞれの厚みを表1に示す。
【0056】
<調製例4>
COP系樹脂から構成される樹脂フィルムとして、日本ゼオン社製の品番「ZF16」を準備した。次いで、当該樹脂フィルムを、2つの厚肉部と薄肉部とを一体的に備えるように成形した。厚肉部および薄肉部のそれぞれの厚みを表1に示す。
【0057】
<調製例5>
特開2022-150732号公報の製造例9と同様にして、PC系樹脂から構成される樹脂フィルム(成形フィルム)を調製した。樹脂フィルムは、実質的に均一な厚みを有しており、厚肉部を有していない。樹脂フィルムの厚みを表1に示す。
【0058】
[実施例1~4]
調製例1で得られたPC系樹脂から構成される樹脂フィルムを延伸して、延伸フィルムを得た。
より詳しくは、クリップによって樹脂フィルムの厚肉部を挟持したこと以外は、特開2022-150732号公報の製造例9と同様にして、延伸フィルムを調製した。延伸工程の延伸倍率を表1に示す。延伸フィルムの幅は、2000mmであった。延伸フィルムの幅方向の両端部のそれぞれには、クリップの把持跡が形成されていた。
【0059】
次いで、延伸フィルムを、スリッター(切断装置)によって切断して、2つの端部フィルムと、製品フィルムとに分離した。2つの端部フィルムのそれぞれの幅は、250mmであり、端部フィルムの最大厚みは、130μmであった。製品フィルムの幅は、1500mmであった。
【0060】
次いで、円柱形状の巻取部材によって、端部フィルムを巻き取った。端部フィルムのライン速は、350mm/sであった。巻き取り回数(端部フィルムロールにおける積層数)は、7000であった。これによって、端部フィルムを回収した。
【0061】
[実施例5]
調製例1で得られたPC系樹脂から構成される樹脂フィルムを、調製例2で得られたPETから構成される樹脂フィルムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、端部フィルムを回収した。
【0062】
[実施例6]
調製例1で得られたPC系樹脂から構成される樹脂フィルムを、調製例3で得られたアクリル系樹脂から構成される樹脂フィルムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、端部フィルムを回収した。
【0063】
[実施例7]
調製例1で得られたPC系樹脂から構成される樹脂フィルムを、調製例4で得られたCOP系樹脂から構成される樹脂フィルムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、端部フィルムを回収した。
【0064】
[比較例1]
調製例1で得られたPC系樹脂から構成される樹脂フィルムを、調製例5で得られた厚肉部を有さない樹脂フィルムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、端部フィルムの回収を試みた。なお、延伸工程では、樹脂フィルムの幅方向端部を折り返すことなく、クリップで挟持した。
【0065】
【0066】
[評価]
表1から明らかなように、クリップが厚肉部を把持して、樹脂フィルムを延伸した後、得られた延伸フィルムを、クリップの把持跡を含む端部フィルムと製品フィルムとに分離すると、端部フィルムの破断を抑制できることがわかる。
本発明の端部フィルムの製造方法は、各種産業製品の原料として再利用可能な端部フィルムを製造できる。端部フィルムは、特に、光学フィルムの再生樹脂原料として好適に用いられる。