(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108532
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】器具姿勢保持ツール
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A62B35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012952
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】吉田 薪之介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 将喜
(72)【発明者】
【氏名】戸田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】谷口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】可知 靖典
(72)【発明者】
【氏名】秋山 立樹
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA04
2E184KA06
2E184KA11
(57)【要約】
【課題】作業者が活線作業を行う際に活線作業用器具を安全に持ち運ぶことができ、さらには、活線作業時においてランヤードの構造物への付け替えを簡単に行えるようにする。
【解決手段】器具姿勢保持ツール1は、面ファスナーのフック状起毛面を先端部に有する一方、挿通孔12を基端部に有するツール本体9を備える。挿通孔12は、折り返したツール本体9を先端部から挿通できる。ツール本体9の中途部には、ツール本体9を折り返した状態でフック状起毛面を係脱可能に係合させるループ状起毛面が設けられる。器具姿勢保持ツール1は、フルハーネス型安全帯2を装着した作業者Hの一方の肩で担いだ活線作業用器具10の肩掛け紐13と作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4とを所定の間隔以内となるように繋いで活線作業用器具10を身長方向に延びる姿勢となるように保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者がその正面を身長方向に両肩から延びる一対のベルト部を有するフルハーネス型の安全帯を装着して高所作業を行う際において、肩掛け紐により担いだ棒状に延びる活線作業用器具が所定の姿勢となるように保持する器具姿勢保持ツールであって、
先端部から基端部に亘って長く延びる形状をなし、前記先端部に係合部を有するツール本体を備え、
前記基端部には、折り返した前記ツール本体を前記先端部から挿通可能な挿通孔が設けられ、
前記ツール本体の中途部には、当該ツール本体を折り返した状態で前記係合部を係脱可能に係合させる被係合部が設けられ、
前記作業者の一方の肩で前記活線作業用器具を前記肩掛け紐により担いだ状態において、前記作業者の他方の肩に対応する前記ベルト部に前記ツール本体を巻き掛けるとともに、前記ツール本体を前記先端部から前記挿通孔に挿通させることにより前記基端部を前記他方の肩に対応する前記ベルト部に連結させ、且つ、前記ツール本体を前記肩掛け紐にも巻き掛けるとともに前記肩掛け紐を前記作業者の他方の肩に対応する前記ベルト部側に引き寄せて前記肩掛け紐と前記作業者の他方の肩に対応する前記ベルト部とが所定の間隔以内で維持されるように前記係合部を前記被係合部に係合させて使用するよう構成されていることを特徴とする器具姿勢保持ツール。
【請求項2】
請求項1に記載の器具姿勢保持ツールにおいて、
前記係合部は、面ファスナーの一方の面であり、
前記被係合部は、前記面ファスナーの他方の面であることを特徴とする器具姿勢保持ツール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の器具姿勢保持ツールにおいて、
前記ツール本体は、帯板状をなしており、
前記係合部及び前記被係合部は、前記ツール本体のいずれか一方の面に設けられていることを特徴とする器具姿勢保持ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルハーネス型の安全帯を装着した作業者が高所作業を行う際において、肩掛け紐により担いだ活線作業用器具が所定の姿勢となるよう保持する器具姿勢保持ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、送電鉄塔等の高所で活線作業を行う際、作業者は、ランヤードが接続されたフルハーネス型安全帯を装着して行うことが義務付けられている。このフルハーネス型安全帯は、例えば、特許文献1に開示されているように、作業者の両肩に正面側から背面側へと掛け渡される左右一対の肩ベルト部と、作業者の両脚の付け根部分を環状に延びる左右一対の腿ベルト部と、作業者の腰回りを環状に延びる腰ベルト部と、を備えている。各肩ベルト部は、作業者の正面側においてはそれぞれ身長方向に延びており、作業者の胸部分に対応する領域において互いに引き寄せられるように胸ベルト部が掛け渡されている。一方、各肩ベルト部は、作業者の背面側においては交差するように延びていて、その交差部分にランヤードの一端が接続されている。そして、作業者は、ランヤードの他端を構造物の適切な位置に付け替えながら高所作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、活線作業を行う作業者は、一般的に、肩掛け紐を斜め掛けにすることにより活線作業用器具を背中に背負って作業場所まで持ち運んでいる。
しかし、肩掛け紐を斜め掛けにすることにより活線作業用器具を背中に背負うと、上述の如きフルハーネス型の安全帯は、作業者の背中の略中央部分にランヤードの一端が接続される構造であるので、作業中に活線作業用器具や肩掛け紐とランヤードとが絡まってしまい、ランヤードの他端の構造物への付け替え作業が困難になってしまうという課題がある。
また、活線作業用器具は、略棒状をなす長尺形状であるので、肩掛け紐を斜め掛けにすることにより背中に背負うと、活線作業用器具の両側部分が作業者の身体の側方からはみ出てしまい、そのはみ出た部分が活線に接近し易くなってしまうという課題もある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業者が活線作業を行う際に活線作業用器具を安全に持ち運ぶことができ、さらには、活線作業時においてランヤードの構造物への付け替えを簡単に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明では、器具姿勢保持ツールを使用することにより、作業者が活線作業用器具を担いだ際に当該活線作業用器具が予め決められた姿勢で保持されるようにしたことを特徴とする。
具体的には、作業者がその正面を身長方向に両肩から延びる一対のベルト部を有するフルハーネス型の安全帯を装着して高所作業を行う際において、肩掛け紐により担いだ棒状に延びる活線作業用器具が所定の姿勢となるように保持する器具姿勢保持ツールを対象とし、次のような対策を講じた。
【0006】
すなわち、第1の発明に係る器具姿勢保持ツールでは、先端部から基端部に亘って長く延びる形状をなし、前記先端部に係合部を有するツール本体を備え、前記基端部には、折り返した前記ツール本体を前記先端部から挿通可能な挿通孔が設けられ、前記ツール本体の中途部には、当該ツール本体を折り返した状態で前記係合部を係脱可能に係合させる被係合部が設けられ、前記作業者の一方の肩で前記活線作業用器具を前記肩掛け紐により担いだ状態において、前記作業者の他方の肩に対応する前記ベルト部に前記ツール本体を巻き掛けるとともに、前記ツール本体を前記先端部から前記挿通孔に挿通させることにより前記基端部を前記他方の肩に対応する前記ベルト部に連結させ、且つ、前記ツール本体を前記肩掛け紐にも巻き掛けるとともに前記肩掛け紐を前記作業者の他方の肩に対応する前記ベルト部側に引き寄せて前記肩掛け紐と前記作業者の他方の肩に対応する前記ベルト部とが所定の間隔以内で維持されるように前記係合部を前記被係合部に係合させて使用するよう構成されていることを特徴とする。
このように構成される器具姿勢保持ツールでは、活線作業用器具を作業者の正面側に引っ張って作業者の背面側の一方の肩に対応する位置において作業者の身長方向に延びる姿勢で密着させるように作用する。
【0007】
第2の発明に係る器具姿勢保持ツールでは、第1の発明において、前記係合部は、面ファスナーの一方の面であり、前記被係合部は、前記面ファスナーの他方の面であることを特徴とする。
このように構成される器具姿勢保持ツールでは、係合部と被係合部とが互いに接近するだけで係合するように作用する。
【0008】
第3の発明に係る器具姿勢保持ツールでは、第1又は第2の発明において、前記ツール本体は、帯板状をなしており、前記係合部及び前記被係合部は、前記ツール本体のいずれか一方の面に設けられていることを特徴とする。
このように構成される器具姿勢保持ツールでは、ツール本体を折り返した際に係合部を被係合部の位置に一致させ易くなるように作用する。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明の器具姿勢保持ツールでは、使用すると、肩掛け紐が作業者の他方の肩に対応するベルト部側に引っ張られるので、活線作業用器具が作業者の正面側に引っ張られて作業者の背中に接触する。このとき、肩掛け紐が緊張状態で作業者の前側部分に沿うので、肩掛け紐の活線作業用器具に繋がる2点が身長方向に離間した位置となり、それに伴って活線作業用器具が作業者の背面側の一方の肩に対応する位置において作業者の身長方向に延びる姿勢で密着するようになる。したがって、活線作業用器具が作業者の背中の略中央部分から上方に延びるランヤードと交差し難くなり、作業中に活線作業用器具や肩掛け紐とランヤードとが絡まるのを回避してランヤードの構造物への付け替え作業を簡単に行うことができる。また、活線作業用器具が作業者の身長方向に延びる姿勢となるので、活線作業用器具の両側部分が作業者の身体の側方からはみ出さないようになる。したがって、活線作業時に活線作業用器具が活線に不意に接近するのを防ぐことができるようになり、作業者は安全に活線作業を行うことができる。
【0010】
第2の発明の器具姿勢保持ツールでは、ツール本体を巻き掛けた肩掛け紐を作業者の他方の肩に対応するベルト部側に引き寄せた後、ツール本体の折り返した部分を互いに接近させるだけで係合部と被係合部とが係合するようになる。したがって、作業現場において活線作業用器具の姿勢を身長方向に延びる姿勢とする際の作業者による器具姿勢保持ツールの操作が簡単になり、効率よく活線作業を行うことができる。
【0011】
第3の発明の器具姿勢保持ツールでは、ツール本体が厚み方向にしか折り返せなくなるとともに、折り返すと、係合部と被係合部とが対向する位置となるようになる。したがって、作業者による器具姿勢保持ツールを使用した活線作業用器具の姿勢保持操作が簡単になり、さらに効率よく活線作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る器具姿勢保持ツールを使用して活線作業用器具が身長方向に延びる姿勢となるようにして作業者が活線作業を行っている斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る器具姿勢保持ツールを使用して活線作業用器具が身長方向に延びる姿勢となるようにした作業者を正面側から見た図である。
【
図4】本発明の実施例に係る器具姿勢保持ツールを使用して活線作業用器具が身長方向に延びる姿勢となるようにした作業者を背面側から見た図である。
【
図5A】本発明の器具姿勢保持ツールの正面図である。
【
図5B】本発明の器具姿勢保持ツールの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施例の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る器具姿勢保持ツール1を使用して活線作業用器具10を担いだ状態で送電鉄塔Pに登って活線作業を行っている作業者Hを示す。作業者Hは、フルハーネス型の安全帯2を装着するとともに、安全ロープ3を送電鉄塔Pのフレーム部分に巻き掛けて高所作業を行っている。
【0015】
フルハーネス型の安全帯2は、
図2及び
図4に示すように、作業者Hの両肩に正面側から背面側へと掛け渡される左右一対の肩ベルト部4と、作業者Hの腰回りを環状に延びる腰ベルト部5と、作業者Hの両脚の付け根部分を環状に延びる左右一対の腿ベルト部6と、を備え、作業者Hの太腿外側方において上下に延びる一対の側方ベルト部7が各腿ベルト部6と腰ベルト部5の左右両側部分とをそれぞれ連結している。
各肩ベルト部4における作業者Hの正面側は、それぞれ身長方向に延びて腰ベルト部5に連結しており、作業者Hの胸部分に対応する領域には、当該作業者Hの左右方向に延びて両肩ベルト部4を引き寄せるように掛け渡された胸ベルト部4aが設けられている。
一方、各肩ベルト部4における作業者Hの背面側は、交差するように延びて腰ベルト部5に連結していて、その交差部分には、ランヤード8の一端が接続されている。
【0016】
作業者Hが担ぐ活線作業用器具10の中央領域外面には、肩掛け紐13の両端が活線作業用器具10の長手方向に離間して固定されていて、作業者Hは、肩掛け紐13を肩に掛けることにより、活線作業用器具10を作業場所まで持ち運べるようになっている。
【0017】
器具姿勢保持ツール1は、
図5A及び
図5Bに示すように、細長く延びる帯板状をなす樹脂材からなる柔軟性のツール本体9を備え、このツール本体9は、先端部9aから中途部9bに亘る領域よりも、基端部9cの領域の方が幅広な形状になっている。
ツール本体9の先端部9aにおける一方の面には、
図5Aに示すように、当該ツール本体9の長手方向に沿って延びるフック状起毛面11a(係合部)が設けられる一方、ツール本体9の中途部9bにおける一方の面には、フック状起毛面11aが係合可能なループ状起毛面11b(被係合部)が設けられている。すなわち、フック状起毛面11aとループ状起毛面11bとで面ファスナー11を構成しており、ツール本体9の先端部9aを折り返した状態で、フック状起毛面11aをループ状起毛面11bに係脱可能になっている。
ツール本体9の基端部9cには、当該ツール本体9の幅方向に細長く延びるスリット状の挿通孔12が設けられ、この挿通孔12には、折り返したツール本体9の先端部9a及び中途部9bを挿通可能になっている。
【0018】
そして、作業者Hは、活線作業を行う際、
図2~
図4に示すように、作業者Hの一方の肩で活線作業用器具10を肩掛け紐13により担いだ状態において、作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4に器具姿勢保持ツール1のツール本体9を巻き掛けるとともに、そのツール本体9を先端部9aから挿通孔12に挿通させてツール本体9の基端部9cを他方の肩ベルト部4に連結させ、且つ、ツール本体9を肩掛け紐13にも巻き掛けるとともにその肩掛け紐13を作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4側に引き寄せて肩掛け紐13と作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4とが所定の間隔以内で維持されるように面ファスナー11のフック状起毛面11aをループ状起毛面11bに係合させるようになっている。そうすると、器具姿勢保持ツール1は、肩掛け紐13により担いだ活線作業用器具10が作業者Hの身長方向に延びる姿勢となるように保持するよう構成されている。
【0019】
次に、作業者Hが活線作業を行う際における器具姿勢保持ツール1の使用方法について詳述する。
まず、作業者Hは、安全帯2を装着した後、一方の肩に肩掛け紐13を掛けて活線作業用器具10を担ぐ。
次に、作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4と作業者Hの胸部分との間にツール本体9の先端部9aを通過させた後、その先端部9aを折り返して肩ベルト部4にツール本体9を巻き掛けるとともに先端部9aを挿通孔12に挿通させ、しかる後、先端部9aを引っ張る。すると、ツール本体9における先端部9aと中途部9bとが挿通孔12を通過してツール本体9の基端部9cが他方の肩ベルト部4を締め付けて当該肩ベルト部4に連結する。
次いで、活線作業用器具10と肩掛け紐13との間にツール本体9の先端部9aを通過させた後、その先端部9aを折り返して肩掛け紐13にもツール本体9の先端部9aを巻き掛ける。
【0020】
しかる後、ツール本体9の先端部9aを作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4側に引っ張って肩掛け紐13を作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4側に引き寄せるとともに、肩掛け紐13と他方の肩ベルト部4とが所定の間隔以内で維持されるようにした状態でフック状起毛面11aをループ状起毛面11bに係合させる。すなわち、器具姿勢保持ツール1が突っ張るようになった状態でフック状起毛面11aをループ状起毛面11bに係合させる。すると、肩掛け紐13が作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4側に引っ張られるので、活線作業用器具10が作業者Hの正面側に引っ張られて作業者Hの背中に接触する。このとき、肩掛け紐13が緊張状態で作業者Hの胸部分に沿うので、肩掛け紐13の活線作業用器具10に繋がる2点が身長方向に離間した位置になり、それに伴って活線作業用器具10が作業者Hの背面側の一方の肩に対応する位置において作業者Hの身長方向に延びる姿勢で密着するようになる。したがって、活線作業用器具10が作業者Hの背中の略中央部分から上方に延びるランヤード8と交差し難くなるので、作業中に活線作業用器具10や肩掛け紐13とランヤード8とが絡まるのを回避してランヤード8の送電鉄塔Pのフレーム部分への付け替え作業を簡単に行うことができる。また、活線作業用器具10が作業者Hの身長方向に延びる姿勢となるので、活線作業用器具10の両側部分が作業者Hの身体の側方からはみ出さないようになる。したがって、活線作業時に活線作業用器具10が活線に不意に接近するのを防ぐことができるようになり、作業者Hは安全に活線作業を行うことができる。
【0021】
また、本発明の実施例では、ツール本体9の先端部9aと中途部9bとを係合させるために面ファスナー11を用いているので、ツール本体9を巻き掛けた肩掛け紐13を作業者Hの他方の肩に対応する肩ベルト部4側に引き寄せた後、ツール本体9の折り返した部分を互いに接近させるだけで折り返した部分が互いに係合するようになる。したがって、作業現場において活線作業用器具10の姿勢を身長方向に延びる姿勢とする際の作業者Hによる器具姿勢保持ツール1の操作が簡単になり、効率よく活線作業を行うことができる。
【0022】
さらに、本発明の実施例では、ツール本体9が帯板状をなしているので、ツール本体9が厚み方向にしか折り返せなくなるとともに、折り返すと、面ファスナー11のフック状起毛面11aとループ状起毛面11bとが対向する位置となるようになる。したがって、作業者Hによる器具姿勢保持ツール1を使用した活線作業用器具10の姿勢保持操作が簡単になり、さらに効率よく活線作業を行うことができる。
【0023】
尚、本発明の実施例では、ツール本体9の先端部9aと中途部9bとを係合させる手段として面ファスナー11を用いているが、これに限らす、例えば、フック形状をなす係合爪やカラビナのようなものを引っ掛けてツール本体9の先端部9aと中途部9bとを係合させるような構造であってもよい。
【0024】
また、本発明の実施例では、ツール本体9の先端部9aにフック状起毛面11aが設けられ、中途部9bにループ状起毛面11bが設けられているが、先端部9aにループ状起毛面11bが設けられる一方、中途部9bにフック状起毛面11aが設けられていてもよい。また、係脱する各起毛面においてフックとループとの両方が植え込まれたフック面とループ面との区別のないタイプの面ファスナー11であってもよい。
【0025】
また、本発明の実施例では、ツール本体9が帯板状をなしているが、その他の形状であってもよく、例えば、ロープ形状であってもよい。
【0026】
また、本発明の実施例では、作業者Hの胸部分の前において器具姿勢保持ツール1を使用しているが、作業者Hの腹部分の前において器具姿勢保持ツール1で肩ベルト部4と肩掛け紐13とを繋いで使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、フルハーネス型の安全帯を装着した作業者が高所作業を行う際において、肩掛け紐により担いだ活線作業用器具が所定の姿勢となるよう保持する器具姿勢保持ツールに適している。
【符号の説明】
【0028】
1…器具姿勢保持ツール 2…安全帯 3…安全ロープ 4…肩ベルト部 5…腰ベルト部 6…腿ベルト部 7…側方ベルト部 8…ランヤード 9…ツール本体 9a…ツール本体の先端部 9b…ツール本体の中途部 9c…ツール本体の基端部 10…活線作業用器具 11…面ファスナー 11a…フック状起毛面(係合部) 11b…ループ状起毛面(被係合部) 12…挿通孔 13…肩掛け紐 H…作業者 P…送電鉄塔