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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108540
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】二輪車の固縛装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/68 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B65D85/68 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012963
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】513278068
【氏名又は名称】株式会社ALFA
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 好孝
【テーマコード(参考)】
3E037
【Fターム(参考)】
3E037CA05
(57)【要約】
【課題】多様なシート形状に適応可能な二輪車の固縛装置を提供する。
【解決手段】ラウンドスリングに用いる材料からなるシート状の押え部11を適用し、当該押え部11によって座席2を下向きに押圧することにより、二輪車1を固縛するように構成した。これにより、如何なる型(形状)の座席2であっても、押え部11を座席2の座面3の形状に沿わせることが可能であり、1つの押え部11をさまざな形状の座席2に適応させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車両の荷台に二輪車を固縛する装置であって、
二輪車の座席を横断するように設けられるシート状の押え部と、
前記押え部から下向きに突出されて設けられ、座席上側の横方向両側部に当接される一対の突出部と、
前記押え部の横方向両端部に設けられ、固縛用ロープが接続可能な第1接続部と、
前記押え部の横方向両側に設けられ、一端側が前記押え部の下面の前記突出部と前記第1接続部との間に接続され、他端側が前記押え部を越えて横方向へ延びる延出部と、
前記延出部の他端に設けられ、固縛用ロープが接続可能な第2接続部と、
を備えることを特徴とする二輪車の固縛装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二輪車の固縛装置であって、
前記押え部又は前記延出部は、ラウンドスリングに用いる材料が適用されることを特徴とする二輪車の固縛装置。
【請求項3】
請求項1に記載の二輪車の固縛装置であって、
前記延出部は前後方向に分割して構成され、分割された各延出部に前記第2接続部が設けられることを特徴とする二輪車の固縛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬車両の荷台等に二輪車を固定するための固縛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、床2と車体押さえ部材20と後輪留め部材30とに連結されたベルト10の長さを調節することにより、車体押さえ部材20により二輪車Aのサドルを上から押さえ付けるとともに、前輪留め部材40と後輪留め部材30とにより二輪車Aの前輪及び後輪の前後方向位置を拘束する二輪車の輸送用固定装置が開示されている。特許文献1に記載された固定装置(以下「従来の固縛装置」と称する)は、型式が同じ複数台の二輪車を輸送するものであり、車体押え部材20(押え部)は、輸送対象となる二輪車にのみ適応するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-101812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、故障等により走行不能になった二輪車を車両に積載して運搬する場合、一般に、二輪車の左右両側にロープを張設して車両の荷台に二輪車を固縛する。この場合、剛性が高いフレームにロープを掛けることが望ましいが、フレームにはロープを掛けるためのフックが設けられていないので、作業者は、ロープを掛ける位置を探すのに現場で難儀することがあった。
【0005】
そこで、従来の固縛装置を適用、即ち、押え部材(押え部)によって座席を押圧して二輪車を固縛することが検討された。しかし、二輪車の座席は、ストレート型や座席下にヘルメットを収容可能な幅広のスクーター型等、形状が多様であるため、座席の形状に合わせて複数種類の押え部材を用意する(運搬車両に載せておく)必要があった。
【0006】
本発明は、幅広い座席形状に適用可能な二輪車の固縛装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の二輪車の固縛装置は、運搬車両の荷台に二輪車を固縛する装置であって、二輪車の座席を横断するように設けられるシート状の押え部と、前記押え部から下向きに突出されて設けられ、座席上側の横方向両側部に当接される一対の突出部と、前記押え部の横方向両端部に設けられ、固縛用ロープが接続可能な第1接続部と、前記押え部の横方向両側に設けられ、一端側が前記押え部の下面の前記突出部と前記第1接続部との間に接続され、他端側が前記押え部を越えて横方向へ延びる延出部と、前記延出部の他端に設けられ、固縛用ロープが接続可能な第2接続部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、幅広い座席形状に適用可能な二輪車の固縛装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る固縛装置を用いて運搬車両の荷台に固縛された二輪車の左側面図である。
図2】本実施形態に係る固縛装置の平面図(表面)図である。
図3】本実施形態に係る固縛装置の平面図(裏面)図である。
図4】本実施形態の説明図であって、ウィンチを巻き上げる前の状態を示す。
図5】本実施形態の説明図であって、ウィンチを巻き上げた後の状態を示す。
図6】本実施形態の説明図であって、ロープをハトメ(第1接続部)に接続した状態を示す。
図7】本実施形態の説明図であって、ロープをリング(第2接続部)に接続した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
便宜上、明細書中に記載された「方向」に関する記載は、固縛対象である二輪自動車1(以下「二輪車1」と称する)を基準としたものであり、図1における左方向及び右方向を「前方向」及び「後方向」、図1における上方向及び下方向をそのまま「上方向」及び「下方向」、図1における紙面手前側の方向及び紙面奥側の方向を「左方向」及び「右方向」と称する。ここで、図1は、本実施形態に係る固縛装置10を用いて運搬車両の荷台6に固縛された二輪車1の左側面図である。
【0011】
図1又は図2に示されるように、固縛装置10は、二輪車1の座席2の座面3を横切るようにして当該座面3上にセットされるシート状の押え部11を備える。押え部11は、長方形に形成され、例えば、ラウンドスリングの本体に用いられる材料(JIS B 8811参照)が適用される。押え部11の左右方向両端部13L,13Rには、前後方向に間隔をあけて配置された複数個のハトメ14L,14R(第1接続部)が設けられる。ハトメ14L,14Rには、必要に応じて固縛用のロープ8L,8R(図1にロープ8Lのみ表示)が接続される。なお、本実施形態では、押え部11の各端部13L,13Rに各々5個のハトメ14L,14Rが設けられる。
【0012】
図3又は図4に示されるように、押え部11の裏面12(座面3に接触させる側の面)には、座面3側(下向き)に突出し、二輪車1の座席4上側の左右方向両側部4L,4Rに当接させる一対の突出部21L,21Rが設けられる。突出部21L,21Rは、押え部11の表面布の内側を前後方向(図2における「上下方向」)へ延びる。突出部21L,21Rは、横断面が半円形に形成され、左右対称となるように配置される。なお、突出部21L,21Rの材料には、例えばシリコーン樹脂が適用される。
【0013】
図3に示されるように、押え部11の左右方向両端部13L,13Rには、当該押え部11の左右方向両端縁を越えて延びる延長部31,31が設けられる。延長部31,31には、前述した押え部11と同一の材料が適用される。左側の延出部31及び右側の延出部31は、各々、前後に2分割される。分割された各延出部31L,31L及び31R,31Rは、頂角部(他端)が押え部11の外側に位置する二等辺三角形に形成される。
【0014】
延出部31L,31L及び31R,31Rは、当該二等辺三角形の底辺側(一端側)が突出部21L及び21Rの外側縁に沿うようにして押え部11の裏面12(下面)に縫い付けられる。換言すれば、延出部31L,31L及び31R,31Rは、押え部11の裏面12の突出部21L及び21Rとハトメ14L及び14Rとの間に接続される。延出部31L,31L及び31R,31Rの頂角部には、各々、必要に応じてロープ8L,8Rが接続されるリング32L,32L及び32R,32R(第2接続部)が設けられる。
【0015】
次に、本実施形態の作用を図4又は図5を参照して説明する。
ここでは、前述した固縛装置10を用いて二輪車1を運搬車両の荷台6に固縛する手順を説明する。まず、当該固縛装置10を、シート状の押え部11が座面3を横断するようにして二輪車1の座席2にセットする。このとき、図4に示されるように、固縛装置10の一対の突出部21L,21Rを、座席4の両側部4L,4Rに沿わせるように当接させる。
【0016】
次に、一端が、荷台6のフック7L,7L(図1参照)及び7R,7R(図4に後側のフック7Rのみを表示)に接続されたロープ8L,8L及び8R,8Rの他端を、座席2にセットされた固縛装置10に接続する。例えば、図1に示されるように、ロープ8L,8Lの他端を、延出部31L,31Lの頂角部(他端)に取り付けられたリング32L,32L(第2接続部)に接続し、他方、ロープ8R,8Rの他端を、押え部11の右側端部13Rに取り付けられた複数個のハトメ14R(第1接続部)のうち、選択されたハトメ14R(例えば、一番前のハトメ14Rと一番後ろのハトメ14R)に接続する。
【0017】
この状態(図4参照)から、ウィンチ9,9を操作してロープ8R,8Rを巻き取り、ロープ8L,8L及び8R,8Rに引張力を付与する。当該引張力は、押え部11が座席2を下向きに押圧する押圧力として作用する。当該押圧力は、二輪車1のサスペンション装置に入力され、図5に示されるように、サスペンション装置の懸架ばね5L,5Rを縮長させる。換言すれば、押え部11が座席2を下向きに押圧する押圧力は、サスペンション装置の懸架ばね5L,5Rの反発力によって発生させる。このようにして、座席2を押え部11によって下向きに押圧することにより、二輪車1を運搬車両の荷台6に確り固縛する。
【0018】
さらに、図5に示されるように、ロープ8L,8L及び8R,8Rに付与させた引張力、延いてはサスペンション装置の懸架ばね5L,5Rの反発力は、固縛装置10の一対の突出部21L,21Rを座席4の両側部4L,4Rに押し付ける。このように、一対の突出部21L,21Rを座席4の両側部4L,4Rに押し付けることにより、座席2の押え部11に対する左右方向への移動を規制する。これにより、二輪車1を運搬車両の荷台6により確り固縛することができる。
【0019】
ところで、二輪車の座席は、ストレート型や座席下にヘルメットを収容可能な幅広のスクーター型等、形状が多様である。しかし、従来の固縛装置は、型が決まった既定の二輪車を輸送するものであるため、例えば、故障等により走行不能になった二輪車を運搬車両に積載する場合、二輪車の座席形状に合わせて複数種類の押え部材(押え部)を用意する(運搬車両に載せておく)必要があった。
【0020】
これに対し、本実施形態では、ラウンドスリングに用いる材料からなるシート状の押え部11を適用し、当該押え部11によって座席2を下向きに押圧することにより、二輪車1を固縛するように構成した。これにより、如何なる型(形状)の座席2であっても、押え部11を座席2の座面3の形状に沿わせることが可能であり、1つの押え部11をさまざな形状の座席2に適応させることができる。よって、本実施形態では、二輪車1の座席2の形状に合わせて複数種類の押え部11を用意する(運搬車両に載せておく)必要はない。
【0021】
また、本実施形態では、一対の突出部21L,21Rによって座席4の両側部4L,4Rを押圧するようにしたので、座席2の押え部11に対する左右方向への移動を規制することが可能であり、座席2が滑って二輪車1が左右方向へ傾くことを抑止するすることができる。
【0022】
また、本実施形態では、押え部11の左右方向両端部13L,13Rに、複数個のハトメ14L,14R(第1接続部)を前後方向へ間隔をあけて配置したので、ロープ8L,8Rを接続するハトメ14L,14Rを適宜選択することにより、図6に示されるように、押え部11又は突出部21L,21Rによる押圧力を、座席2(座面3)の狭い幅(ロープ8L,8Rが接続されたハトメ14L,14R近傍)に集中させることができる。
【0023】
さらに、本実施形態では、押え部11の裏面12の左右方向両側に、両端部13L,13Rを越えて延びるとともに前後方向に分割された延出部31L,31L及び31R,31Rを設け、延出部31L,31L及び31R,31Rの頂角部(他端)に、各々リング32L及び32Rを設けたので、ロープ8L,8Rを接続するリング32L,32Rを適宜選択することにより、図7に示されるように、押え部11又は突出部21L,21Rによる押圧力を、座席2(座面3)のより広い幅に分散させて付与することができる。
【0024】
なお、実施形態は、前述した形態に限定されるものではなく、例えば、次のように構成することができる。
本実施形態では、横断面の形状が半円形の突出部21L,21Rを適用し、当該突出部21L,21Rを押え部11の表面布の内側に設けて固縛装置10を構成したが、横断面の形状が円形の突出部21L,21Rを適用し、当該突出部21L,21Rを押え部11の表面布の外側に縫い付けて固縛装置10を構成してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 二輪車、8L,8R ロープ(固縛用ロープ)、10 固縛装置、11 押え部、14L,14R ハトメ(第1接続部)、21L,21R 突出部、31,31L,31R 延出部、32L,32R リング(第2接続部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7