(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108542
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240805BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240805BHJP
B60W 30/165 20200101ALI20240805BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/16 D
B60W30/165
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012965
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉木 智
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BB31
3D241CE01
3D241CE04
3D241CE05
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】自動運転中に車両の前方が遮蔽された場合であっても、先行車両の状態に応じて、車両の走行状態を制御することができる運転支援装置を提供する。
【解決手段】運転支援装置は、車両の前方の信号機を繰り返し検出する信号機検出部(検出部)と、信号機までの距離を推定する距離推定部(推定部)と、車両の先行車両が、前記信号機で停止するかを判定する先行車両停止判定部(判定部)と、信号機検出部が信号機を検出できなくなった場合であって、最後に検出された信号機までの距離が所定距離以内であり、尚且つ、先行車両停止判定部が、車両の先行車両が、信号機で停止しないと判定した場合に、信号機検出部が信号機を検出できるようになるまで、車両の減速制御を行う車両制御部(制御部)と、車両の運転者に対して、車両制御部が行う制御の内容を通知する制御内容通知部(通知部)と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方の信号機を繰り返し検出する検出部と、
前記信号機までの距離を推定する推定部と、
前記車両の先行車両が、前記信号機で停止するかを判定する判定部と、
前記検出部が前記信号機を検出できなくなった場合であって、最後に検出された前記信号機までの距離が所定距離以内であり、尚且つ、前記判定部が、前記車両の先行車両が、前記信号機で停止しないと判定した場合に、前記検出部が前記信号機を検出できるようになるまで、前記車両の減速制御を行う制御部と、
前記車両の運転者に対して、前記制御部が行う制御の内容を通知する通知部と、を備える、
運転支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部が前記信号機を検出できなくなった場合であって、最後に検出された前記信号機までの距離が所定距離以内であり、尚且つ、前記判定部が、前記車両の先行車両が、前記信号機で停止すると判定した場合に、前記先行車両に対する追従走行を行わせる、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出部が前記信号機を検出できなくなった場合であって、最後に検出された前記信号機までの距離が所定距離以上である場合に、前記先行車両に対する追従走行を行わせる、
請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記推定部が推定した前記信号機までの距離と、前記車両の車速と、前記車両と先行車両との車間距離の変化率とから、前記先行車両が前記信号機で停止するかを判定する、
請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、車両を走行させる際に、運転者のアクセル操作や操舵操作の支援を行う運転支援装置が実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、先行車両との衝突回避機能を備えた運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された運転支援装置は、先行車両と前方の道路環境とがともに認識できる前提で動作するものであった。しかし、自車両の前方に大型トラックが走行しているような場合には、前方の道路環境、例えば信号機が遮蔽されてしまうため、信号機の状態を認識することができなくなってしまう。そのため、運転支援を継続することができなくなる可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、自動運転中に車両の前方が遮蔽された場合であっても、先行車両の状態に応じて、車両の走行状態を制御することができる運転支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る運転支援装置は、車両の前方の信号機を繰り返し検出する検出部と、前記信号機までの距離を推定する推定部と、前記車両の先行車両が、前記信号機で停止するかを判定する判定部と、前記検出部が前記信号機を検出できなくなった場合であって、最後に検出された前記信号機までの距離が所定距離以内であり、尚且つ、前記判定部が、前記車両の先行車両が、前記信号機で停止しないと判定した場合に、前記検出部が前記信号機を検出できるようになるまで、前記車両の減速制御を行う制御部と、前記車両の運転者に対して、前記制御部が行う制御の内容を通知する通知部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、自動運転中に車両の前方が遮蔽された場合であっても、先行車両の状態に応じて、車両の走行状態を制御することができる。
【0009】
また、本発明に係る運転支援装置において、前記制御部は、前記検出部が前記信号機を検出できなくなった場合であって、最後に検出された前記信号機までの距離が所定距離以内であり、尚且つ、前記判定部が、前記車両の先行車両が、前記信号機で停止すると判定した場合に、前記先行車両に対する追従走行を行わせる。
【0010】
この構成によれば、自動運転中に車両の前方が遮蔽された場合であっても、先行車両の状態に応じて、車両の走行状態を制御することができる。
【0011】
また、本発明に係る運転支援装置において、前記制御部は、前記検出部が前記信号機を検出できなくなった場合であって、最後に検出された前記信号機までの距離が所定距離以上である場合に、前記先行車両に対する追従走行を行わせる。
【0012】
この構成によれば、自動運転中に車両の前方が遮蔽された場合であっても、信号機までの距離に応じて、車両の走行状態を制御することができる。
【0013】
また、本発明に係る運転支援装置において、前記判定部は、前記推定部が推定した前記信号機までの距離と、前記車両の車速と、前記車両と先行車両との車間距離の変化率とから、前記先行車両が前記信号機で停止するかを判定する。
【0014】
この構成によれば、先行車両の状態を簡単かつ確実に推定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、信号機が遮蔽された場合であっても、先行車両の状態に応じて、車両の走行状態を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、従来の運転支援装置の課題を説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態の運転支援装置の制御内容を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態の運転支援装置のハードウエア構成の一例を示すハードウエアブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態の運転支援装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態の運転支援装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
(運転支援装置の動作概要)
図1と
図2を用いて、本発明の第1実施形態の運転支援装置の動作概要を説明する。
図1は、従来の運転支援装置の課題を説明する図である。
図2は、第1の実施形態の運転支援装置の制御内容を説明する図である。
【0019】
運転支援装置10(
図3参照)を搭載する車両1は、自身が走行する道路環境を認識して、障害物がない場合には、先行車両2との間に予め設定された車間距離を保持した状態で、設定車速以下の速度で走行する。このような走行状態を自動運転と呼ぶことにする。
【0020】
運転支援装置10は、車両1の前方に設置されたカメラ22や、車両1のフロントバンパに設置されたライダ、レーダ等の測距装置によって、車両1の前方の障害物(例えば先行車両2)を検出する。そして、運転支援装置10は、検出された障害物との間に、予め設定された車間距離を保持した状態で、車両1を自動運転させる。また、カメラ22は、進行方向前方の信号機3を検出して、その灯色を認識する。運転支援装置10は、認識された信号機3の灯色に応じて、自動運転を継続するか、減速するかを判断する。
【0021】
車両1の前方が開けていれば、前述した各種制御が実行されるが、
図1に示すように、車両1の前方に大型の先行車両2が存在すると、先行車両2が、カメラ22の視野範囲22aを遮ってしまうおそれがある。このような状態になると、カメラ22は信号機3を認識することができなくなってしまう。
【0022】
このような信号機3の遮蔽を防止するために、交差点によっては、信号機3を反対車線側にも設置した例もある。しかし、全ての交差点で、信号機3を反対車線側にも設置するのは困難である。本実施形態の運転支援装置10は、このような信号機3の遮蔽が発生することを想定したものであり、信号機3の遮蔽が発生した場合であっても、車両1の先行車両2の走行状態に基づいて、車両1の走行状態を制御するものである。
【0023】
図2は、信号機3の遮蔽が発生した場合に、本実施形態の運転支援装置10が行う制御の内容を示している。まず、車両1が自動運転中に、時刻t=t1において、信号機3を検出して、その信号機3までの距離D1を推定したとする。そして、その後、車両1の前方に大型の先行車両2が侵入したとする。
【0024】
このとき、運転支援装置10は、時刻t=t1における信号機3までの距離D1が、所定距離Dth以内であって、尚且つ、先行車両2が、信号機3で停止しないと判定された場合に、運転支援装置10は、車両1を減速させる。
【0025】
所定距離Dthは、予め設定された値であり、例えば、車両1が現在の車速のまま走行した場合に、所定時間Т以内に信号機3を通過できるような距離に設定される。所定時間Тは、例えば2秒以内の値に設定される。より具体的には、所定時間Tは、信号機3の青色点灯が消えてから、黄色点灯を経て、赤色点灯に至るまでの時間相当の値に設定される。
【0026】
なお、先行車両2が信号機3で停止するかは、例えば、車両1から信号機3までの距離D1と、車両1の車速と、車両1と先行車両2との車間距離D2の変化量、即ち、車両1に対する先行車両2の相対速度と、によって推定することができる。具体的には、例えば、車両1に対する先行車両2の相対速度から推定される車速で走行している先行車両2が、距離D1と車間距離D2との差分値に相当する距離を、所定時間T以内で走行することが可能であるときに、先行車両2は信号機3で停止しないと推定される。一方、先行車両2が、距離D1と車間距離D2との差分値に相当する距離を、所定時間T以内で走行することができない場合に、先行車両2は信号機3で停止するものと推定される。
【0027】
そして、運転支援装置10は、先行車両2が信号機3で停止しないと判定された場合に、車両1を減速させることによって、先行車両2との車間距離D2が大きくなって、カメラ22が、再び信号機3を検出できるようになった場合に、自動運転を復帰させる。
【0028】
一方、時刻t=t1における信号機3までの距離D1が、所定距離Dth以内であって、尚且つ、先行車両2が、信号機3で停止しないと判定された場合に、運転支援装置10は、車両1の自動運転、即ち、先行車両2に対する追従制御を継続させる。
【0029】
また、運転支援装置10は、時刻t=t1における信号機3までの距離D1が、所定距離Dth以上である場合にも、車両1の自動運転、即ち、先行車両2に対する追従制御を継続させる。
【0030】
(運転支援装置のハードウエア構成)
図3を用いて、運転支援装置10のハードウエア構成を説明する。
図3は、第1の実施形態の運転支援装置のハードウエア構成の一例を示すハードウエアブロック図である。
【0031】
運転支援装置10は、車両1の各部を制御するために、複数のECU(Electronic Control Unit)を備えている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備える。マイコンには、CPUと、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、およびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。
【0032】
複数のECUには、操舵ECU13、駆動ECU15、制動ECU17が含まれる。操舵ECU13、駆動ECU15、制動ECU17は、バス12によって、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる通信、つまりCAN通信が可能に接続されている。
【0033】
操舵ECU13は、車両1の操舵装置14を制御する制御部である。操舵装置14は、例えば電動モータのトルクをステアリング機構に付与する電動パワーステアリング装置である。ステアリング機構は、たとえば、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤを含み、電動モータのトルクによりラック軸が車幅方向に移動すると、そのラック軸の移動に伴って左右の操向輪が左右に転舵するように構成されている。
【0034】
駆動ECU15は、車両1の駆動装置16を制御する制御部である。駆動装置16は、エンジンを駆動源として備える構成であってもよいし、モータを駆動源として備える構成であってもよいし、エンジンおよびモータの両方を駆動源として備える構成であってもよい。駆動装置16には、必要に応じて、駆動源からの駆動力を変速して出力する変速機が含まれる。
【0035】
制動ECU17は、車両1の制動装置18を制御する制御部である。制動装置18は、油圧式であってもよいし、電動式であってもよい。油圧式の制動装置18は、ブレーキアクチュエータを備え、このブレーキアクチュエータの機能により、各車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダに油圧が分配され、その油圧により各ブレーキから駆動輪を含む車輪に制動力が付与される。
【0036】
また、前述した複数のECUには、自動運転機能のための制御部として、自動運転ECU11、カメラECU21、ライダECU23等が含まれる。
【0037】
自動運転ECU11は、自動運転制御の制御中枢である。自動運転ECU11は、自身が備えるCPUに、制御プログラムを実行させることによって、運転支援装置10を統括的に制御する。自動運転ECU11は、操舵ECU13、駆動ECU15、制動ECU17とCAN通信可能に接続されている。自動運転ECU11が有する具体的な機能については後述する(
図4参照)。
【0038】
自動運転ECU11には、例えば、イーサネット(登録商標)規格のバス20を介して、カメラECU21と、ライダECU23と、GPSレシーバ25と、高精度地図データベース26と、車速センサ27と、モニタ28と、スピーカ29とが接続されている。
【0039】
カメラECU21は、バス20を介して、自動運転ECU11と通信可能に接続されている。カメラECU21には、カメラ22が接続されている。カメラ22は、車両1の前方の視野範囲22aの静止画を所定のフレームレートで連続して撮影する。カメラECU21には、カメラ22から連続して出力される静止画の画像信号が入力される。カメラECU21は、カメラ22から入力される画像信号を、自動運転ECU11に出力する。そして、自動運転ECU11は、カメラECU21から取得した画像信号を分析することによって、車両1の前方の道路線形や信号機3の状態等を認識する。なお、カメラ22はモノクロカメラであってもよいし、カラーカメラであってもよい。また、カメラ22は、単眼カメラであってもよいし、ステレオカメラであってもよい。
【0040】
ライダECU23は、バス20を介して、自動運転ECU11と通信可能に接続されている。ライダECU23には、複数のライダ24が接続されている。ライダ24は、探索範囲にレーザ光を照射し、探索範囲内に存在する物体からの反射光を光センサで受光して、その反射光の強度、即ち物体までの距離に応じた検出信号を出力する。ライダ24は、例えば、車両1のフロントバンパの左端、中央および右端ならびにリヤバンパの左端、中央および右端にそれぞれ配置されている。ライダECU23には、複数のライダ24から出力される検出信号が入力される。ライダECU23は、複数のライダ24から取得した検出信号を処理して、その処理により得られたデータを自動運転ECU11に送信する。具体的には、ライダECU23は、複数のライダ24から入力された検出信号を処理して、各ライダ24の方向における物体の存在位置を画像化する。なお、運転支援装置10は、ライダECU23の他に、レーダECU、およびレーダECUに接続されたミリ波レーダを備えてもよい。一般に、ミリ波レーダはライダ24よりも測距距離が長いため、近距離の測距はライダ24で行い、遠距離の測距はミリ波レーダで行うようにしてもよい。
【0041】
GPSレシーバ25は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの測位信号を受信する受信機である。GPSレシーバ25が受信した複数の測位信号は、GPSレシーバ25から自動運転ECU11に入力される。自動運転ECU11は、複数の測位信号から、車両1の現在位置と進行方向とを推定する。なお、GPSレシーバ25自身が、車両1の現在位置と進行方向とを推定する機能を有し、GPSレシーバ25が推定した現在位置と進行方向とが自動運転ECU11に入力される構成であってもよい。
【0042】
高精度地図データベース26は、例えば、道路の幅および勾配などの情報や、区画線、路肩の線、交差点、踏切、停止線、横断歩道、信号機、標識などの地物の情報を含むデータである。自動運転ECU11は、GPSレシーバ25からの測位信号に基づいて推定した車両1の現在位置と、高精度地図データベース26の内容とを照合することによって、車両1の道路上の位置を特定する。なお、高精度地図データベース26は、自動運転ECU11のマイコンに内蔵された不揮発性メモリに記憶されてもよいし、自動運転ECU11に接続された非図示のHDD(Hard Disk Drive)などに記憶されてもよい。
【0043】
車速センサ27は、車両1の車速を検出する。
【0044】
モニタ28は、自動運転ECU11が生成した、運転支援装置10の動作状態に係る図形情報やテキスト情報を表示することによって、運転者に通知する。モニタ28は、例えば液晶モニタや有機ELモニタである。
【0045】
スピーカ29は、自動運転ECU11が生成した、運転支援装置10の動作状態に係る音や音声を出力することによって、運転者に通知する。
【0046】
なお、
図3に示すハードウエア構成は一例であって、同様の機能を実現するための様々な変形が可能である。また、同様の機能を実現するために、異なるセンサやアクチェータが備えられてもよい。
【0047】
(運転支援装置の機能構成)
図4を用いて、運転支援装置10の機能構成を説明する。
図4は、第1の実施形態の運転支援装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、
図4の機能ブロック図は、自動運転ECU11が、本発明の内容を実現するために必要な最小限の構成を示す。
【0048】
運転支援装置10の自動運転ECU11は、自身が備えるCPUに制御プログラムを実行させることによって、
図4に示す信号機検出部31と、距離推定部32と、車速検出部33と、車間距離検出部34と、先行車両停止判定部35と、車両制御部36と、制御内容通知部37とを機能部として実現する。なお、自動運転ECU11の機能の一部または全てが、専用のハードウエアによって実現されてもよい。
【0049】
信号機検出部31は、車両1の前方の信号機3の状態とそのときの時刻tとを繰り返し検出する。なお、信号機検出部31は、本発明における検出部の一例である。
【0050】
信号機検出部31は、例えば、カメラ22が撮像した画像を、深層学習によって生成された信号機認識モデルと照合させることによって、画像の中に信号機3が映っているか、信号機3が映っている場合は、少なくとも、その位置と灯色とを検出する。カメラ22としてカラーカメラを使用すると、灯色の検出をより確実に行うことができる。なお、信号機検出部31は、カメラECU21が備えてもよい。その場合、カメラECU21が、自動運転ECU11に対して、信号機3が映っているかを示す情報と、信号機3が映っている場合は、その位置と灯色とを出力する。
【0051】
距離推定部32は、車両1の前方の信号機3までの距離D1を推定する。具体的には、距離推定部32は、信号機検出部31が検出した信号機3の見かけの大きさに基づいて、車両1から信号機3までの距離D1を推定する。信号機3の大きさは既知であるため、信号機検出部31が検出した信号機3の見かけの大きさと、信号機3の実際の大きさとに基づいて、距離D1を推定することができる。また、信号機3の設置位置が高精度地図データベース26に記憶されている場合には、距離推定部32は、GPSレシーバ25の測位信号に基づいて測位された車両1の現在位置と、信号機3の設置位置とに基づいて、距離D1を推定してもよい。なお、距離推定部32は、本発明における推定部の一例である。
【0052】
また、距離推定部32は、最後に推定した信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であるかを判定する。
【0053】
車速検出部33は、車速センサ27の出力に基づいて、車両1の車速を検出する。
【0054】
車間距離検出部34は、前方に向いて設置されたライダ24の出力を繰り返し検出することによって、車両1と先行車両2との車間距離D2と、車間距離D2の変化率とを検出する。
【0055】
先行車両停止判定部35は、車両1の先行車両2が、信号機3で停止するかを判定する。なお、先行車両停止判定部35は、本発明における判定部の一例である。
【0056】
車両制御部36は、信号機検出部31が、信号機3の状態を検出できなくなった場合であって、最後に検出された信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であり、尚且つ、先行車両停止判定部35が、車両1の先行車両2が、信号機3で停止しないと判定した場合に、信号機検出部31が信号機3を検出できるようになるまで、車両1の減速制御を行う。
【0057】
また、車両制御部36は、信号機検出部31が信号機3の状態を検出できなくなった場合であって、最後に検出された信号機3までの距離D1が所定距離Dth以上であり、尚且つ、先行車両停止判定部35が、車両1の先行車両2が、信号機3で停止すると判定した場合に、車両1に対して、自動運転を継続させる。より具体的には、車両制御部36は、車両1を先行車両2に対して追従走行させる。
【0058】
また、車両制御部36は、信号機検出部31が信号機3を検出できなくなった場合であって、最後に検出された信号機3までの距離D1が所定距離Dth以上である場合に、車両1に対して、自動運転を継続させる。より具体的には、車両制御部36は、車両1を先行車両2に対して追従走行させる。なお、車両制御部36は、本発明における制御部の一例である。
【0059】
制御内容通知部37は、車両1の運転者に対して、車両制御部36が行う制御の内容を通知する。具体的には、制御内容通知部37は、モニタ28に車両1が行う制御内容を表示することによって、運転者に制御内容を通知する。また、制御内容通知部37は、スピーカ29から車両1が行う制御内容を音声出力することによって、運転者に制御内容を通知する。なお、制御内容通知部37は、本発明における通知部の一例である。
【0060】
(運転支援装置が行う処理の流れ)
図5を用いて、運転支援装置10が行う処理の流れを説明する。
図5は、第1の実施形態の運転支援装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0061】
車両制御部36は車両1の自動運転を開始する(ステップS11)。
【0062】
信号機検出部31は信号機3を検出したかを判定する(ステップS12)。信号機3を検出したと判定される(ステップS12:Yes)とステップS13に進む。一方、信号機3を検出したと判定されない(ステップS12:No)とステップS12を繰り返す。
【0063】
ステップS12において、信号機3を検出したと判定されると、距離推定部32は、車両1から信号機3までの距離D1を推定する(ステップS13)。
【0064】
その後、信号機検出部31は信号機3が検出できないかを判定する(ステップS14)。信号機3が検出できないと判定される(ステップS14:Yes)とステップS15に進む。一方、信号機3が検出できないと判定されない(ステップS14:No)、即ち、信号機3を検出できると判定されると、ステップS13に戻る。
【0065】
ステップS14において、信号機3が検出できないと判定されると、距離推定部32は、最後に推定した信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であるかを判定する(ステップS15)。最後に推定した信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であると判定される(ステップS15:Yes)とステップS16に進む。一方、最後に推定した信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であると判定されない(ステップS15:No)とステップS19に進む。
【0066】
ステップS15において、最後に推定した信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であると判定されると、先行車両停止判定部35は、車両1の先行車両2が信号機3で停止しないかを判定する(ステップS16)。先行車両2が、信号機3で停止しないと判定される(ステップS16:Yes)とステップS17に進む。一方、先行車両2が信号機3で停止しないと判定されない(ステップS16:No)、即ち、先行車両2が信号機3で停止すると判定されるとステップS19に進む。
【0067】
ステップS16において、先行車両2が信号機3で停止しないと判定されると、車両制御部36は、車両1の減速制御を行う(ステップS17)。
【0068】
そして、制御内容通知部37は、車両1が減速する旨を車両1の運転者に通知する(ステップS18)。その後、運転支援装置10は、
図5の処理を終了する。
【0069】
一方、ステップS15において、最後に推定した信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であると判定されない、若しくは、ステップS16において、先行車両2が信号機3で停止しないと判定されないと、車両制御部36は、車両1に対して自動運転を継続させることによって、先行車両2に追従させる(ステップS19)。
【0070】
そして、制御内容通知部37は、車両1が自動運転を継続する旨を車両1の運転者に通知する(ステップS20)。その後、運転支援装置10は、
図5の処理を終了する。
【0071】
なお、
図5では、運転支援装置10が、自動運転を行っている車両1に対して行う制御内容を説明したが、運転支援装置10は、同じ内容の制御を、運転者が車両1を自ら運転している場合に行ってもよい。具体的には、運転支援装置10は、車両1が手動運転されている場合であって、車両1を減速させる必要があると判断した場合に、車両1の自動ブレーキを作動させてもよい。
【0072】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、実施形態の運転支援装置10は、車両1の前方の信号機3を繰り返し検出する信号機検出部31(検出部)と、信号機3までの距離D1を推定する距離推定部32(推定部)と、車両1の先行車両2が、信号機3で停止するかを判定する先行車両停止判定部35(判定部)と、信号機検出部31が信号機3を検出できなくなった場合であって、最後に検出された信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であり、尚且つ、先行車両停止判定部35が、車両1の先行車両2が、信号機3で停止しないと判定した場合に、信号機検出部31が信号機3を検出できるようになるまで、車両1の減速制御を行う車両制御部36(制御部)と、車両1の運転者に対して、車両制御部36が行う制御の内容を通知する制御内容通知部37(通知部)とを備える。したがって、自動運転中に車両1の前方が遮蔽された場合であっても、先行車両2の状態に応じて、車両1の走行状態を制御することができる。
【0073】
また、実施形態の運転支援装置10において、車両制御部36(制御部)は、信号機検出部31(検出部)が信号機3を検出できなくなった場合であって、最後に検出された信号機3までの距離D1が所定距離Dth以内であり、尚且つ、先行車両停止判定部35(判定部)が、車両1の先行車両2が、信号機3で停止すると判定した場合に、先行車両2に対する追従走行を行わせる。したがって、自動運転中に車両1の前方が遮蔽された場合であっても、先行車両2の状態に応じて、車両1の走行状態を制御することができる。
【0074】
また、実施形態の運転支援装置10において、車両制御部36(制御部)は、信号機検出部31(検出部)が信号機3を検出できなくなった場合であって、最後に検出された信号機3までの距離D1が所定距離Dth以上である場合に、先行車両2に対する追従走行を行わせる。したがって、自動運転中に車両1の前方が遮蔽された場合であっても、先行車両2の状態に応じて、車両1の走行状態を制御することができる。
【0075】
また、実施形態の運転支援装置10において、先行車両停止判定部35は、距離推定部32(推定部)が推定した信号機3までの距離D1と、車両1の車速と、車両1と先行車両2との車間距離D2の変化率とから、先行車両2が信号機3で停止するかを判定する。したがって、先行車両2の状態を簡単かつ確実に推定することができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 車両
2 先行車両
3 信号機
10 運転支援装置
11 自動運転ECU
22 カメラ
27 車速センサ
31 信号機検出部(検出部)
32 距離推定部(推定部)
33 車速検出部
34 車間距離検出部
35 先行車両停止判定部(判定部)
36 車両制御部(制御部)
37 制御内容通知部(通知部)
D1 距離
D2 車間距離
Dth 所定距離
T 所定時間