(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108546
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】経路生成装置及び刈芝回収装置
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240805BHJP
A01D 43/06 20060101ALI20240805BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240805BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01D43/06
G05D1/02 Y
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012973
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】内田 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 航汰
(72)【発明者】
【氏名】小川 直秀
【テーマコード(参考)】
2B043
2B083
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA09
2B043BB11
2B043EA16
2B043EB05
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2B043EB16
2B043ED12
2B043ED16
2B083FA09
2B083FA11
2B083HA58
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB12
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301HH01
5H301HH11
5H301HH18
5H301JJ01
(57)【要約】
【課題】芝刈り作業後に残置された刈芝を効率的かつ確実に回収できる刈芝回収装置の移動経路を生成できる経路生成装置及び刈芝回収装置を提供すること。
【解決手段】経路生成装置3は、芝刈り機1が刈り取った刈芝の排出方向を示す情報を少なくとも含む機体情報を取得する芝刈り情報取得部32と、芝刈り機1の移動経路91を取得し、移動経路91と刈芝の排出方向とに基づいて、刈芝を回収する自律移動型の刈芝回収装置2の移動経路92を生成する回収経路生成部33と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝刈り機が刈り取った刈芝の排出方向を示す情報を少なくとも含む機体情報を取得する芝刈り情報取得部と、
前記芝刈り機の移動経路を取得し、前記移動経路と前記刈芝の排出方向とに基づいて、刈芝を回収する自律移動型の刈芝回収装置の移動経路を生成する回収経路生成部と、を備える経路生成装置。
【請求項2】
前記機体情報には、前記芝刈り機の機体のサイズが含まれ、
前記回収経路生成部は、
前記刈芝回収装置の機体サイズを取得し、前記芝刈り機の機体サイズと前記刈芝回収装置の機体サイズと前記刈芝の排出方向とに基づいて回収作業中の前記芝刈り機と前記刈芝回収装置の相対距離を算出し、
前記相対距離と前記芝刈り機の移動経路と前記刈芝の排出方向とに基づいて前記刈芝回収装置の移動経路を生成する、請求項1に記載の経路生成装置。
【請求項3】
前記回収経路生成部は、
前記刈芝の排出方向が左右方向の一側の場合は、前記芝刈り機の移動経路に対して前記左右方向の一側にずれるように、前記刈芝回収装置の移動経路を生成する、請求項2に記載の経路生成装置。
【請求項4】
前記芝刈り情報取得部は、移動経路において芝刈り作業を行っている区間と芝刈り作業を行っていない区間を区別する作業情報を更に取得し、
前記回収経路生成部は、前記芝刈り作業を行っていない区間を反映して移動距離が短縮されるように前記刈芝回収装置の移動経路を生成する、請求項1から3の何れか記載の経路生成装置。
【請求項5】
前記芝刈り情報取得部は、移動経路において芝刈り作業を行っている区間と芝刈り作業を行っていない区間を区別する作業情報を更に取得し、
前記回収経路生成部は、前記芝刈り作業を行っていない区間に合わせて前記刈芝回収装置の移動経路における回収作業を行わない区間を設定する、請求項1から3の何れか記載の経路生成装置。
【請求項6】
天候情報を取得する天候情報取得部と、
前記天候情報に基づいて刈芝を圧縮して排出する場所を決定する圧縮処理部と、を更に備える、請求項1から3の何れか記載の経路生成装置。
【請求項7】
芝刈り機が刈り取った刈芝の排出方向を示す情報を少なくとも含む機体情報を取得する芝刈り情報取得部と、
前記芝刈り機の移動経路を取得し、前記移動経路と前記刈芝の排出方向とに基づいて、刈芝を回収する刈芝回収装置の移動経路を生成する回収経路生成部と、を有する経路生成装置を備える刈芝回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路生成装置及び刈芝回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業や緑地整備等において、芝刈り機による芝刈り後の刈芝を刈芝回収装置により回収することが行われている。この種の刈芝回収装置を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、自走式のスイーパ(刈芝回収装置)の例が記載されている。特許文献1のスイーパは、刈草を掻上げて吸上げ移送する刈草収集部と、この刈草収集部から吸引風とともに送られてくる刈草を、該吸引風を排風部から排出する排風と集草容器に回収する刈草とに分離する分離部とを備えるとともに、この分離部における刈草分離用のフィルターに付着した刈草を掻落として掃除する駆動クリーニング機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業効率向上の観点から自律移動型の芝刈り機を用いることがある。自律移動型の芝刈り機による芝刈り後にも、刈芝を回収する必要がある。自律移動型の刈芝回収装置を芝刈り機の移動経路に沿って移動させることにより、刈芝の回収も自動化することができる。しかしながら、芝刈り機の刈芝の排出方向は、左右方向である場合もあるし、後方の場合もある。自律移動型の刈芝回収装置を芝刈り機の移動経路に沿って移動させても、芝刈り機の刈芝の排出方向によっては刈芝を十分に回収できないおそれがある。
【0006】
本発明は、芝刈り作業後に残置された刈芝を効率的かつ確実に回収できる刈芝回収装置の移動経路を生成できる経路生成装置及び刈芝回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る経路生成装置は、芝刈り機が刈り取った刈芝の排出方向を示す情報を少なくとも含む機体情報を取得する芝刈り情報取得部と、前記芝刈り機の移動経路を取得し、前記移動経路と前記刈芝の排出方向とに基づいて、刈芝を回収する自律移動型の刈芝回収装置の移動経路を生成する回収経路生成部と、を備える。
【0008】
(2) 上記(1)の経路生成装置において、前記機体情報には、前記芝刈り機の機体のサイズが含まれ、前記回収経路生成部は、前記刈芝回収装置の機体サイズを取得し、前記芝刈り機の機体サイズと前記刈芝回収装置の機体サイズと前記刈芝の排出方向とに基づいて回収作業中の前記芝刈り機と前記刈芝回収装置の相対距離を算出し、前記相対距離と前記芝刈り機の移動経路と前記刈芝の排出方向とに基づいて前記刈芝回収装置の移動経路を生成してもよい。
【0009】
(3) 上記(2)の経路生成装置において、前記回収経路生成部は、前記刈芝の排出方向が左右方向の一側の場合は、前記芝刈り機の移動経路に対して前記左右方向の一側にずれるように、前記刈芝回収装置の移動経路を生成してもよい。
【0010】
(4) 上記(1)~(3)の何れかの経路生成装置において、前記芝刈り情報取得部は、移動経路において芝刈り作業を行っている区間と芝刈り作業を行っていない区間を区別する作業情報を更に取得し、前記回収経路生成部は、前記芝刈り作業を行っていない区間を反映して移動距離が短縮されるように前記刈芝回収装置の移動経路を生成してもよい。
【0011】
(5) 上記(1)~(3)の何れかの経路生成装置において、前記芝刈り情報取得部は、移動経路において芝刈り作業を行っている区間と芝刈り作業を行っていない区間を区別する作業情報を更に取得し、前記回収経路生成部は、前記芝刈り作業を行っていない区間に合わせて前記刈芝回収装置の移動経路における回収作業を行わない区間を設定してもよい。
【0012】
(6) 上記(1)~(3)の何れかの経路生成装置において、天候情報を取得する天候情報取得部と、前記天候情報に基づいて刈芝を圧縮して排出する場所を決定する圧縮処理部と、を更に備えてもよい。
【0013】
また、本発明に係る刈芝回収装置は、芝刈り機が刈り取った刈芝の排出方向を示す情報を少なくとも含む機体情報を取得する芝刈り情報取得部と、前記芝刈り機の移動経路を取得し、前記移動経路と前記刈芝の排出方向とに基づいて、刈芝を回収する刈芝回収装置の移動経路を生成する回収経路生成部と、を有する経路生成装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る経路生成装置としてのサーバが適用される芝刈りシステムの構成を示す模式図である。
【
図2】本実施形態の刈芝の排出方向が左右方向の芝刈り機及び刈芝回収装置を概略的に示す平面図である。
【
図3】本実施形態の芝刈り機の機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態の刈芝回収装置の機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態のサーバの機能ブロック図である。
【
図6】芝刈り機の作業開始から作業終了までの移動経路の一例を示す図である。
【
図7】刈芝の排出方向が後方の芝刈り機及び刈芝回収装置を概略的に示す平面図である。
【
図8】芝刈り機の作業情報を反映した刈芝回収装置の移動経路の一例を示す平面図である。
【
図9】刈芝回収装置の移動経路を生成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】刈芝回収装置の圧縮処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】変形例の刈芝回収装置が備える制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る経路生成装置としてのサーバ3が適用される芝刈りシステム100の構成を示す模式図である。
図1に示すように、芝刈りシステム100は、自律移動型の芝刈り機1と、自律移動型の刈芝回収装置2と、芝刈り機1と刈芝回収装置2の移動経路を管理するサーバ3と、を備える。
【0016】
図2は、本実施形態の刈芝の排出方向が左右方向の芝刈り機1及び刈芝回収装置2を概略的に示す平面図である。
図3は、本実施形態の芝刈り機1の機能ブロック図である。
【0017】
図2及び
図3に示す芝刈り機1は、作業エリアW内の植生200に対して芝刈り作業を実行する自律移動型のロボットである。芝刈り機1は、芝刈り機本体11と、走行装置12と、撮像装置13と、制御装置14と、通信装置19と、を備える。
【0018】
芝刈り機本体11は、芝を刈り取る機構である刈取部15と、刈取部15によって刈り取られた刈芝を芝刈り機本体11の外部に排出する排出部16と、を備える。
【0019】
刈取部15は、芝刈り機本体11の下部に配置される回転式の複数のブレード17a~17cを有する。複数のブレード17a~17cのうちの1つであるブレード17aは芝刈り機本体11下面の中心に配置される。以下の説明において、ブレード17aの回転軸中心が芝刈り機1の中心C1とする。残りの2つのブレード17bとブレード17cは、ブレード17aの左右両側に配置される。ブレード17b及びブレード17cは、何れも、ブレード17aよりも前後方向において後側に位置している。複数のブレード17a~17cの回転により、植生200の芝が切断される。
【0020】
排出部16は、刈取部15が刈り取った刈芝を刈取部15内部から外部に排出する。
図2の例の排出部16は、刈芝を左右方向に排出するサイドディスチャージ方式である。後述するように、芝刈り機1は、右側へ折り返す移動経路91に従って走行する。そのため、
図2に示すように、排出部16は芝刈り機1の左側に配置されており、芝刈り機1の左側に刈芝を放出する構成となっている。なお、芝刈り機1の移動経路91が左側に折り返す場合、排出部16は、芝刈り機1の右側に配置されることになり、芝刈り機1の右側に刈芝を放出する構成となる。
【0021】
走行装置12は、芝刈り機本体11を移動させるため手段である。走行装置12は、例えば、左右一対ずつの前輪、後輪及びこれを駆動するモータ、及び進行方向を変更する機構等によって構成される。
【0022】
撮像装置13は、芝刈り機本体11に配置される。撮像装置13が撮像した画像は、自律移動の制御等のために制御装置14に送信される。
【0023】
制御装置14は、芝刈り機1の自律移動、芝刈り動作及びサーバ3との通信処理等の各種制御を実行するコンピュータである。制御装置14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理を行う演算部141、演算部141がブログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)等の主記憶装置142、アプリケーションソフトウェアやOS(Operating System)等の各種の制御用プログラムを格納したHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置143等によって構成される。また、制御装置14は、芝刈り機1の各部に電力を供給するバッテリ144と、芝刈り機1の位置を特定するための測位装置145と、を備える。測位装置145は、例えば、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの信号を受信する受信部や加速度センサ等によって構成される。
【0024】
通信装置19は、芝刈り機1が外部機器と通信するためのものである。通信装置19を介して芝刈り機1は、サーバ3又は刈芝回収装置2と各種情報の送受信を行う。
【0025】
次に、刈芝回収装置2について説明する。
図4は、本実施形態の刈芝回収装置2の機能ブロック図である。
図2及び
図4に示す刈芝回収装置2は、芝刈り後に芝刈り機1から放出された残置物(刈芝)201の回収を実行する自律移動型のロボットである。刈芝回収装置2は、回収装置本体21と、走行装置22と、撮像装置23と、制御装置24と、圧縮装置28と、通信装置29と、を備える。
【0026】
回収装置本体21は、回転ブラシ25と、移送機構26と、貯留部27と、を備える。回転ブラシ25は、地面に残置された刈芝を巻き取る作業部である。移送機構26は、回転ブラシ25によって地面から回収された刈芝を貯留部27まで運ぶ機構である。移送機構26は、例えば、コンベアや吸引装置等によって構成することができる。貯留部27は、回収した刈芝を貯留する容器である。貯留部27には、回収した刈芝の量を機械的又は光学的に検出するセンサ等で構成される検出部271が配置される。
【0027】
走行装置22は、回収装置本体21を移動させるため手段である。走行装置22は、例えば、左右一対ずつの前輪及び後輪を備え、回収装置本体21に内蔵される不図示の走行用モータの駆動によって駆動する。また、走行装置22は、進行方向を変更するための機構を備えており、刈芝回収装置2の移動方向を変更することができる。
【0028】
撮像装置23は、回収装置本体21に配置される。撮像装置23が撮像した画像は、自律移動の制御等のために制御装置24に送信される。
【0029】
制御装置24は、刈芝回収装置2の自律移動、回収動作及びサーバ3との通信処理等の各種制御を実行するコンピュータである。制御装置24は、例えば、CPU等の演算処理を行う演算部241、演算部241がブログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM等の主記憶装置242、アプリケーションソフトウェアやOS等の各種の制御用プログラムを格納したHDD等の補助記憶装置243等によって構成される。また、制御装置24は、刈芝回収装置2の各部に電力を供給するバッテリ244と、刈芝回収装置2の位置を特定するための測位装置245と、を備える。測位装置245は、例えば、GPS等のGNSSの測位衛星からの信号を受信する受信部や加速度センサ等によって構成される。
【0030】
圧縮装置28は、貯留部27に収容された刈芝を圧縮してロール状に成形する機構である。圧縮装置28は、例えば、複数の圧縮ローラ、巻取装置、切断装置等によって構成される。複数の圧縮ローラに挟み込まれることによって刈芝をシート状にした上で、巻取装置によって巻き取り、切断装置によって所定の長さで切断することにより、円柱状の刈芝の成形物が成形される。
【0031】
通信装置29は、刈芝回収装置2が外部機器と通信するためのものである。通信装置29を介して刈芝回収装置2は、サーバ3又は芝刈り機1と各種情報の送受信を行う。
【0032】
次に、サーバ3について説明する。サーバ3は、芝刈り機1の移動経路91を生成するとともに、刈芝回収装置2の移動経路92を生成するコンピュータである。
図5は、本実施形態のサーバ3の機能ブロック図である。
【0033】
図5に示すように、サーバ3は、例えば、CPU等の演算処理を行う演算部341、演算処理装置がブログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM等の主記憶装置342、アプリケーションソフトウェアやOS等の各種の制御用プログラムを格納したHDD等の補助記憶装置343、外部機器と各種の情報を送受信する通信装置344等によって構成される。
【0034】
サーバ3は、演算部341によって実行される機能部として、芝刈り経路設定部31と、芝刈り情報取得部32と、回収経路生成部33と、天候情報取得部34と、圧縮処理部35と、を備える。
【0035】
芝刈り経路設定部31は、芝刈り機1の移動経路91を設定する。芝刈り機1の移動経路91は、例えば、作業エリア全体の外周をティーチングすることにより、その内側を網羅する走行コースとして自動生成できる。また、芝刈り経路設定部31は、ユーザが実際の芝刈り作業を行ったときの移動経路91や作業状況を示す作業情報を記憶させ、その移動経路91及び作業情報に基づいて芝刈り機1を動作させてもよい。
【0036】
ここで、
図6を参照して芝刈り機1の移動経路91について説明する。
図6は、芝刈り機1の作業開始から作業終了までの移動経路91の一例を示す図である。
図6には、平面視矩形状の作業エリアWが示されている。芝刈り作業前の芝刈り機1は、作業エリアWの左下隅の作業開始位置に待機している。
【0037】
この例では、設定された移動経路91に従って芝刈り機1は、作業エリアWの下側の辺W1から上側の辺W2に向けて直線的に移動した後、上側の辺W2で180度向きを変え、下側の辺W1に向けて直線的に移動する。下側の辺W1に到達した芝刈り機1は、再び180度向きを変え、上側の辺W2に向けて直線的に移動する。芝刈り機1は、作業開始位置から作業終了位置に向けて、辺W1,W2間の移動を繰り返しながら、作業エリアWの全域に亘って芝刈り作業を実行する。
【0038】
図5に戻り、他の機能部について説明する。芝刈り情報取得部32は、芝刈り機1の機体情報と、芝刈り機1の動作に関する作業情報と、を取得する処理を実行する。
【0039】
芝刈り機1の機体情報は、芝刈り機1のサイズ、ブレード17a~17cの個数及び長さ、刈芝の排出方向等である。芝刈り機1の作業情報は、走行速度、回転数等のブレード17a~17cの動作状況、ブレード17の地上高等である。芝刈り機1の作業情報は、芝刈り作業時に芝刈り機1から直接取得してもよいし、ユーザの入力によって取得されてもよい。芝刈り情報取得部32は、取得した芝刈り機1の機体情報及び作業情報を、移動経路91に関連づけて補助記憶装置343に記憶させる。
【0040】
回収経路生成部33は、芝刈り機1の移動経路91と、刈芝の排出方向と、芝刈り機1と刈芝回収装置2の間の相対距離(離間距離)と、に基づいて刈芝回収装置2の移動経路92を生成する。
【0041】
図2に戻り、相対距離について説明する。芝刈り機1と刈芝回収装置2の間の相対距離は、刈芝回収装置2が芝刈り機1に接触しないように設定される。なお、相対距離は、芝刈り機1と刈芝回収装置2が、Wi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信の範囲内とする。
【0042】
まず、
図2に示すように、刈芝の排出方向が左右方向の場合について説明する。刈芝の排出方向が左右方向の場合、芝刈り機1の移動経路91に対して左右方向(刈芝回収装置2の幅方向)にオフセットするように、左右方向における相対距離が設定される。
【0043】
この左右方向のオフセット量d1は、例えば、芝刈り機1の中心C1から幅方向端部までの長さ、刈芝回収装置2の中心C2から幅方向端部までの長さ、及びマージンαを加算して算出する。芝刈り機1の幅方向端部は、外側に位置するブレード17cの回転軸中心位置からブレード17cの半径の長さを左右方向で加えた位置としてもよい。また、刈芝回収装置2の中心から幅方向端部までの長さは、刈芝回収装置2の中心C2から刈芝回収装置2の幅方向の長さの半分を加えた位置までの長さとしてもよい。マージンαは、芝刈り機1と刈芝回収装置2の接触を確実に避けるためのマージンである。
【0044】
また、相対距離のうち、前後方向(芝刈り機1又は刈芝回収装置2の進行方向)における距離は、芝刈り機1が排出した刈芝が刈芝回収装置2に直接接触しないように、所定距離d2(例:2m)後方となるように設定される。
【0045】
このように芝刈り機1に対する前後左右の相対距離が設定されることにより、刈芝回収装置2の移動経路92が設定される。この例では、刈芝回収装置2は、芝刈り作業中の芝刈り機1に対して斜め後方に位置するように当該芝刈り機1に追従する。
【0046】
次に、
図7を参照して排出方向が左右方向ではなく後方に設定される場合の相対距離について説明する。
図7は、刈芝の排出方向が後方の芝刈り機1a及び刈芝回収装置2を概略的に示す平面図である。
【0047】
図7に示す芝刈り機1aは、排出部18の構成が異なる以外は
図2に示す芝刈り機1と同様の構成である。排出部18以外の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7の例に示す排出部18は、芝刈り機本体11の後方に配置されており、刈芝の排出方向が後方となるリアディスチャージ方式である。
【0048】
刈芝の排出方向が後方の場合、左右方向における相対距離は、0に設定される。従って、刈芝回収装置2の移動経路92は、芝刈り機1aの移動経路91に沿うものとなり、同じ位置を走行する場合、芝刈り機1aの中心C1の位置と、刈芝回収装置2の幅方向の中心C2の位置と、が一致することになる。
【0049】
一方、前後方向における相対距離は、刈芝の排出方向が後方の場合においても、芝刈り機1aが排出した刈芝が刈芝回収装置2に直接接触しないように、所定距離d3(例:3m)後方となるように設定される。この所定距離d3は、刈芝が後方に排出されるため、排出方向が左右方向の場合の所定距離d2よりも長めに設定される。このように設定される相対距離により、刈芝回収装置2は、芝刈り作業中の芝刈り機1aに対して後方に位置しながら芝刈り機1aに追従する。
【0050】
なお、排出方向が左右方向及び後方の何れにおいても、刈芝回収装置2の移動経路92に基づく刈芝回収装置2の移動時の走行速度や回転ブラシ25の作動の有無等の作業情報は、芝刈り機1の作業情報に合わせて設定される。
【0051】
次に、作業情報を移動経路92に反映する処理について説明する。芝刈り機1の移動経路91において、刈取部15のブレード17a~17cが回転動作している場合は芝刈作業が行われているが、ブレード17a~17cが回転動作していない場合は芝刈り作業が行われておらず、刈芝も排出されていないことになる。そこで、ブレード17a~17cの回転動作の情報を含む作業情報を刈芝回収装置2の移動経路92に反映させることにより、移動経路91における刈芝が排出されていない区間については、回収作業を行わないようにしたり、刈芝が排出されていない区間を通過しないように移動経路92を設定したりすることにより、より効率的な回収作業を実現することができる。
【0052】
図8を参照して刈芝が排出されていない区間を通過しないように移動経路92を設定する処理について説明する。
図8は、芝刈り機1の作業情報を反映した刈芝回収装置2の移動経路92の一例を示す平面図である。
【0053】
図8に示すように、芝刈り機1が作業エリアWからアスファルトR上に出て、Uターンして作業エリアWに戻ってくるような場合において、アスファルトRではブレード17a~17cの回転動作が停止することになる。この情報は、ブレード17a~17cの回転動作の情報を含む作業情報に基づいて把握することができる。そこで、芝刈り機1が作業エリアWに戻ってくるまで作業エリアW内で待機し、芝刈り機1が戻った後に回収作業を行うように、刈芝回収装置2の移動経路92を設定してもよい。即ち、芝刈り機1のブレード17a~17cの回転動作中の経路のみをつなぎ合わせ、そのつなぎ合わせた経路に対して上述の相対距離を保った刈芝回収装置2の移動経路92を生成するのである。
【0054】
なお、
図8において、作業情報を反映しない場合の移動経路を利用する場合においても、上述の通り、当該区間では回収作業を行わない設定とすることができる。このように、移動経路92の生成方法は、事情に合わせて適宜変更することができる。
【0055】
ここで、上述した移動経路92の生成処理の流れについて説明する。
図9は、刈芝回収装置2の移動経路92を生成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0056】
まず、ステップS1において、回収経路生成部33が、芝刈り機1の移動経路91を取得する。芝刈り機1の移動経路91は、サーバ3が芝刈り機1に設定した移動経路91であってもよいし、芝刈り機1から取得した移動経路91であってもよい。
【0057】
次に、ステップS2において、芝刈り情報取得部32は、芝刈り機1の機体情報を取得する。この機体情報には、芝刈り機1の機体のサイズや刈芝の排出方向が含まれる。続いてステップS3において、芝刈り情報取得部32は、芝刈り機1の動作に関する作業情報を取得する。この作業情報には、上述のブレード17a~17cの動作情報が含まれる。
【0058】
ステップS4において、回収経路生成部33は、芝刈り機1の機体のサイズや刈芝の排出方向に基づいて算出した相対距離と、芝刈り機1の移動経路91と、芝刈り機1の作業情報(ブレード17a~17cの動作情報)と、に基づいて刈芝回収装置2の移動経路92を設定する。上述の通り、芝刈り機1の移動経路91において、ブレード17a~17cが動作していない区間が含まれる場合は、当該区間を除去して刈芝回収装置2の移動経路92を設定する。
【0059】
以上、回収経路生成部33による生成処理の一例について説明した。次に、
図5に戻って天候情報取得部34及び圧縮処理部35の構成について説明する。
【0060】
天候情報取得部34は、外部のサーバ(不図示)から通信ネットワーク等を介して天候情報を取得する。天候情報には、晴天、雨天等の天気の他、降水確率等が含まれる。なお、天候情報は、ユーザの入力によって取得されてもよい。
【0061】
圧縮処理部35は、圧縮装置28を動作させる圧縮処理を実行する。本実施形態の圧縮処理部35は、天候状態に基づいて圧縮処理を刈芝回収装置2に実行させる。
図10を参照して天候状態に基づく圧縮処理について説明する。
図10は、刈芝回収装置2の圧縮処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
ステップS11において、圧縮処理部35は、刈芝回収装置2による刈芝の回収作業の間、貯留部27に所定量以上の刈芝が貯留されているか否かを監視する。例えば、圧縮処理部35は、刈芝回収装置2と通信し、検出部271の検出値が所定量以上の刈芝が貯留されていることを示しているか否か判定する。あるいは、圧縮処理部35は、芝刈り機1の回転ブラシ25の作動時間等に基づいて推定貯留量を算出し、当該推定貯留量が所定量以上であるか否かを判定する構成でもよい。
【0063】
圧縮処理部35は、貯留部27に所定量以上の刈芝が貯留されている場合、処理をステップS12に進める(ステップS11;Yes)。圧縮処理部35は、貯留部27に所定量以上の刈芝が貯留されていない場合、貯留部27の監視を継続する(ステップS11;No)。
【0064】
ステップS12において、圧縮処理部35は、圧縮処理を行った後に回収作業を再開するため、刈芝回収装置2の現在位置を中断位置として補助記憶装置343に記憶させる。なお、芝刈り機1の動作も停止させる場合は、芝刈り機1の現在位置も中断位置として補助記憶装置343に記憶させてもよい。ステップS12の処理の後、処理はステップS13に移行する。
【0065】
ステップS13において、天候情報取得部34は、天候情報を取得する。なお、天候情報取得部34は、予め所定のタイミングで天候情報を取得して補助記憶装置343に記憶させておいたものを読み出してもよいし、このタイミングで外部のサーバ(不図示)から天候情報を取得してもよい。
【0066】
ステップS14において、圧縮処理部35は、天候情報取得部34が取得した天候情報が、晴天条件又は雨天条件を満たすか否かを判定する。晴天条件は、天候情報が晴れを示す又は降水確率が所定値以下である等の晴れ又は晴れの可能性が高いことを示す条件である。雨天条件は、天候情報が雨天を示している又は降水確率が所定値以上である等の雨天の可能性が高いことを示す条件である。
【0067】
圧縮処理部35は、ステップS14において晴天条件を満たす判定した場合、処理をステップS15に移行させる。ステップS15では、作業エリアW又は作業エリアWに隣接するエリアの芝地に刈芝回収装置2を移動させる。そこで圧縮装置28を作動させ、刈芝を圧縮して成形した円柱状の刈芝を芝地へ排出する圧縮処理を実行する。なお、ステップS15において、作業エリアW内にいる場合は、移動することなく圧縮処理を行ってその場でロール状の刈芝を排出してもよい。圧縮処理部35は、ステップS14において雨天条件を満たす判定した場合、処理をステップS16に移行させる。ステップS16では、屋根のある所定の場所として倉庫に刈芝回収装置2を移動させる。そこで、圧縮装置28を作動させ、刈芝を圧縮して成形した円柱状の刈芝を倉庫へ排出する圧縮処理を実行する。これらの一連の処理により、天候条件に基づく刈芝回収装置2の圧縮処理が完了する。
【0068】
以上、説明したように、本実施形態の経路生成装置としてのサーバ3は、芝刈り機1が刈り取った刈芝の排出方向を示す情報を少なくとも含む機体情報を取得する芝刈り情報取得部32と、芝刈り機1の移動経路91を取得し、移動経路91と刈芝の排出方向とに基づいて、刈芝を回収する自律移動型の刈芝回収装置2の移動経路92を生成する回収経路生成部33と、を備える。これにより、自律移動する刈芝回収装置2の移動経路を芝刈り機1の刈芝の排出方向に対応させることができるので、刈芝回収装置2による刈芝の回収を効率化することができる。
【0069】
また、本実施形態では、機体情報には、芝刈り機1の機体のサイズが含まれ、回収経路生成部33は、刈芝回収装置2の機体サイズを取得し、芝刈り機1の機体サイズと刈芝回収装置2の機体サイズと刈芝の排出方向とに基づいて回収作業中の芝刈り機1と刈芝回収装置2の相対距離を算出し、相対距離と芝刈り機1の移動経路と刈芝の排出方向とに基づいて刈芝回収装置2の移動経路を生成する。これにより、自律移動する芝刈り機に対して刈芝回収装置2を相対移動させるための移動経路92を複雑な処理を行うことなく生成できる。
【0070】
また、本実施形態では、回収経路生成部33は、刈芝の排出方向が左右方向の一側の場合は、芝刈り機1の移動経路91に対して左右方向の一側にずれるように、刈芝回収装置2の移動経路92を生成する。これにより、芝刈り機1によって左右方向の一側に放出された刈芝の残置位置に対して刈芝回収装置2の回収位置を正確に合わせることができるので、より一層効率的に回収漏れを少なくして刈芝を確実に回収することができる。
【0071】
また、本実施形態では、芝刈り情報取得部32は、移動経路91において芝刈り作業を行っている区間と芝刈り作業を行っていない区間を区別する作業情報を更に取得し、回収経路生成部33は、芝刈り作業を行っていない区間を反映(例えば、除外)して移動距離が短縮されるように刈芝回収装置2の移動経路92を生成する。これにより、芝刈り作業を行っていないため刈芝を回収する必要がない区間を省略して実際の刈芝の排出に沿った効率的な移動経路92を生成できる。
【0072】
また、本実施形態では、芝刈り情報取得部32は、移動経路91において芝刈り作業を行っている区間と芝刈り作業を行っていない区間を区別する作業情報を更に取得し、回収経路生成部33は、芝刈り作業を行っていない区間に合わせて刈芝回収装置2の移動経路92における回収作業を行わない区間を設定する。これにより、芝刈り作業を行っていないため刈芝を回収する必要がない区間については回収作業を行わないように回収作業が行われることになる。従って、回収を行うための動作に必要なエネルギーを省力できる。
【0073】
また、本実施形態では、サーバ3は、天候情報を取得する天候情報取得部34と、天候情報に基づいて刈芝を圧縮して排出する場所を決定する圧縮処理部35と、を更に備える。これにより、ユーザが天候を意識しなくても、晴天が続く場合はその場に刈芝を排出し乾燥させることができ、雨天が予想される場合は刈芝が濡れて乾燥が遅れる事態の発生を防ぐことができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0075】
図11は、変形例の刈芝回収装置2が備える制御装置24aの機能ブロック図である。なお、
図11に示す変形例において、制御装置24aの構成以外は、上記実施形態と共通の構成である。また、制御装置24aの構成においても、上記実施形態と共通又は同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0076】
本変形例では、刈芝回収装置2の制御装置24aが刈芝回収装置2の経路生成装置である。制御装置24aは、演算部241によって実行される機能部として、芝刈り経路取得部30と、芝刈り情報取得部32と、回収経路生成部33と、天候情報取得部34と、圧縮処理部35と、を備える。
【0077】
芝刈り経路取得部30は、外部の機器である芝刈り機1又はサーバ3と通信し、芝刈り機1の移動経路91を取得する。芝刈り情報取得部32も同様に、芝刈り機1又はサーバ3と通信し、機体情報及び作業情報を取得する。回収経路生成部33は、上記実施形態で説明した
図9と同様の処理により、刈芝回収装置2の移動経路92を生成する。
【0078】
天候情報取得部34は、外部のサーバから天候情報を取得する。圧縮処理部35は、貯留部27の刈芝が所定量以上の場合は天候条件に基づいて上記実施形態で説明した
図10と同様の処理により、圧縮処理を実行する。
【0079】
このように、変形例の刈芝回収装置2は、芝刈り機1が刈り取った刈芝の排出方向を示す情報を少なくとも含む機体情報を取得する芝刈り情報取得部32と、芝刈り機1の移動経路91を取得し、移動経路91と刈芝の排出方向とに基づいて、刈芝を回収する刈芝回収装置2の移動経路92を生成する回収経路生成部33と、を有する制御装置24aを備える。この構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0080】
なお、上記実施形態及び変形例では、自律型の芝刈り機1であることを前提としたが、これに限定される訳ではない。搭乗者が乗る自走式の芝刈り機1や遠隔操作される芝刈り機1の移動経路91を利用して刈芝回収装置の移動経路92を生成することもできる。また、芝刈り機1又は刈芝回収装置2が、充電、雨天又は作業者の指示等によって作業を中断した場合は、作業中断を示す情報とともに、芝刈り機1、刈芝回収装置2又はその両方の位置を記憶させる構成としてもよい。これによって、中断位置が記憶される。芝刈り機1と刈芝回収装置2の両方の作業が中断した場合は、それぞれの中断位置に基づいて相対距離が維持された位置関係を再現して作業再開を行うことができる。
【0081】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,1a 芝刈り機
2 刈芝回収装置
3 サーバ(経路生成装置)
24a 制御装置(経路生成装置)
30 芝刈り経路取得部
31 芝刈り経路設定部
32 芝刈り情報取得部
33 回収経路生成部
34 天候情報取得部
35 圧縮処理部