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特開2024-108551モルタル注入システムおよびそれを用いたモルタル注入方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108551
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】モルタル注入システムおよびそれを用いたモルタル注入方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 20/00 20060101AFI20240805BHJP
   E21D 20/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
E21D20/00 L
E21D20/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012979
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】591140813
【氏名又は名称】株式会社カテックス
(71)【出願人】
【識別番号】523034494
【氏名又は名称】株式会社NexusSolutions
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】浅井 勉
(72)【発明者】
【氏名】岡本 剛司
(57)【要約】
【課題】混練されたモルタルの品質を確保することができるモルタル注入システムおよびそれを用いたモルタル注入方法を提供する。
【解決手段】本モルタル注入システム1は、穿孔h内にモルタルを注入するモルタル注入機2と、モルタル注入機に水を供給する水ポンプ3と、モルタル注入機及び水ポンプの稼働を制御する制御装置4と、を備える。そして、水ポンプは流量計9を備えており、制御装置は流量計からのデータによりモルタルの実フロー値F2を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山に設けた穿孔内にモルタルを注入するためのモルタル注入システムにおいて、
前記穿孔内にモルタルを注入するモルタル注入機と、
前記モルタル注入機に水を供給する水ポンプと、
前記モルタル注入機及び前記水ポンプの稼働を制御する制御装置と、を備え、
前記水ポンプは流量計を備えており、
前記制御装置は前記流量計からのデータによりモルタルの実フロー値を算出することを特徴とするモルタル注入システム。
【請求項2】
前記制御装置はモルタルの規定フロー値を入力する入力部を備え、前記算出された実フロー値から前記入力された規定フロー値との差異を演算し、前記差異により前記水ポンプの流量を制御することを特徴とする請求項1に記載のモルタル注入システム。
【請求項3】
前記制御装置は前記入力された規定フロー値および前記算出された実フロー値を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項2に記載のモルタル注入システム。
【請求項4】
前記制御装置は前記入力された規定フロー値および前記算出された実フロー値を注入日報としてデータ化することを特徴とする請求項2に記載のモルタル注入システム。
【請求項5】
前記モルタル注入機のモルタル吐出側に流量計および/または圧力計を備え、
前記制御装置は前記流量計および/または前記圧力計からのデータによって予め設定したモルタルの設定注入量および/または設定注入圧力に達した時に前記モルタル注入機を停止させることを特徴とする請求項1に記載のモルタル注入システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモルタル注入システムを用いて、地山に設けた穿孔内にモルタルを注入する方法において、
予めモルタルの規定フロー値を設定する工程と、
モルタルの実フロー値が前記規定フロー値になるように前記水ポンプの流量を制御する工程と、を含むことを特徴とするモルタル注入方法。
【請求項7】
予めモルタルの設定注入量および/または設定注入圧力を設定する工程と、
モルタルの実注入量が前記設定注入量に達した時および/またはモルタルの実注入圧力が前記設定注入圧力に達した時に前記モルタル注入機を停止させる工程と、を含むことを特徴とする請求項6に記載のモルタル注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地山に設けた穿孔内にモルタルを注入するためのモルタル注入システムおよびそれを用いたモルタル注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルにおいてはロックボルトを支保部材として使用するNATMと呼ばれる掘削方法が主流となっている。NATMではトンネルの外周部に吹付けコンクリートを敷設し、放射状にロックボルトを打設する(図10参照)。このロックボルトを地山に定着する定着材としてモルタルが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-181659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モルタルはその製品ごとに水との比率が設定されており、JIS R5201「セメントの物理試験方法」によってフロー値を測定することでモルタルの品質を確保することとなっている(図11参照)。しかしながら、施工時の管理はモルタルの空袋による充填量管理のみであり、ロックボルトの孔ごとに充填したモルタルが規定のフロー値であることの確認はなされておらず、モルタルの品質を確保できていない。
【0005】
なお、特許文献1には、ロックボルト孔に注入されたトータルのモルタル注入量を確認できるロックボルト工法管理システムが開示されているが、モルタルのフロー値についての記載は全くない。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、混練されたモルタルの品質を確保することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の通りである。
1.地山に設けた穿孔内にモルタルを注入するためのモルタル注入システムにおいて、
前記穿孔内にモルタルを注入するモルタル注入機と、
前記モルタル注入機に水を供給する水ポンプと、
前記モルタル注入機及び前記水ポンプの稼働を制御する制御装置と、を備え、
前記水ポンプは流量計を備えており、
前記制御装置は前記流量計からのデータによりモルタルの実フロー値を算出することを特徴とするモルタル注入システム。
2.前記制御装置はモルタルの規定フロー値を入力する入力部を備え、前記算出された実フロー値から前記入力された規定フロー値との差異を演算し、前記差異により前記水ポンプの流量を制御することを特徴とする上記1.に記載のモルタル注入システム。
3.前記制御装置は前記入力された規定フロー値および前記算出された実フロー値を表示する表示部を備えることを特徴とする上記2.に記載のモルタル注入システム。
4.前記制御装置は前記入力された規定フロー値および前記算出された実フロー値を注入日報としてデータ化することを特徴とする上記2.に記載のモルタル注入システム。
5.前記モルタル注入機のモルタル吐出側に流量計および/または圧力計を備え、
前記制御装置は前記流量計および/または前記圧力計からのデータによって予め設定したモルタルの設定注入量および/または設定注入圧力に達した時に前記モルタル注入機を停止させることを特徴とする上記1.に記載のモルタル注入システム。
6.上記1.乃至5.のいずれか一項に記載のモルタル注入システムを用いて、地山に設けた穿孔内にモルタルを注入する方法において、
予めモルタルの規定フロー値を設定する工程と、
モルタルの実フロー値が前記規定フロー値になるように前記水ポンプの流量を制御する工程と、を含むことを特徴とするモルタル注入方法。
7.予めモルタルの設定注入量および/または設定注入圧力を設定する工程と、
モルタルの実注入量が前記設定注入量に達した時および/またはモルタルの実注入圧力が前記設定注入圧力に達した時に前記モルタル注入機を停止させる工程と、を含むことを特徴とする上記6.に記載のモルタル注入方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モルタル注入機に水を供給する水ポンプに備えた流量計からのデータによりモルタルの実フロー値が算出される。これにより、地山の穿孔に充填するモルタルの実フロー値を確認することができ、実フロー値により水ポンプの流量を制御することなどで適正なフロー値のモルタルを充填することができ、モルタルの品質を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部材を示す。
図1】実施形態に係るモルタル注入システムのブロック図である。
図2】実施形態に係る注入機制御部のブロック図である。
図3】実施形態に係る水ポンプ制御部のブロック図である。
図4】水ポンプ制御部のフロー値データ記憶部を説明するための説明図である。
図5】実施形態に係る表示部のブロック図である。
図6】表示部を説明するための説明図である。
図7】実施形態に係る注入記録作成部のブロック図である。
図8】注入記録作成部を説明するための説明図である。
図9】実施形態に係るモルタル注入方法を説明するための説明図であり、(a)は地山に穿孔した状態を示し、(b)は穿孔内にモルタルホースを挿入した状態を示し、(c)はモルタルを充填し始めた状態を示し、(d)は穿孔内にモルタルを充填し終えた状態を示し、(e)は穿孔内にロックボルトを挿入した状態を示し、(f)はロックボルトにナット及びプレートを装着した状態を示す。
図10】NATMを説明するための説明図である。
図11】モルタルのフロー値を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0011】
以下、図面を用いて実施形態により本発明を具体的に説明する。なお、本実施形態では、本発明に係る「モルタル注入システム」として、トンネル51の外周部に吹付けコンクリート52を敷設し、放射状にロックボルト53を打設するロックボルト工法に用いられるモルタル注入システム1を例示する(図10参照)。
【0012】
ロックボルト工法では、先ず、地山に穿孔h(以下に「注入孔h」又は「ロックボルト孔h」とも記載する。)を形成し(図9(a)参照)、穿孔h内にモルタルホース55を挿入する(図9(b)参照)。次に、後述のモルタル注入機2を稼働させ、モルタルmの充填を開始し(図9(c)参照)、モルタルホース55を引き抜きながら穿孔h内にモルタルmを充填する(図9(d)参照)。次いで、穿孔h内にロックボルト53を挿入し(図9(e)参照)、ロックボルト53にナット56、プレート57を装着する(図9(f)参照)。
【0013】
本実施形態に係るモルタル注入システム1は、図1に示すように、穿孔h内にモルタルを注入するモルタル注入機2と、モルタル注入機2に水を供給する水ポンプ3と、モルタル注入機2及び水ポンプ3の稼働を制御する制御装置4と、を備えている。
【0014】
モルタル注入機2は既知のもの(たとえばMai International製の「MAI400NT」など)で連続練りが可能な仕様となっている。またモルタル注入機2は、セメントを投入するホッパー(図示省略)、水の取入れ口2a、セメントと水を混錬してモルタルを生成するミキサー(図示省略)およびモルタルの吐出口2bを備えている。またモルタル注入機2はモルタルを吐出口2bから送り出すためのモルタルポンプ6を備えている。モルタルポンプ6は通常一定の回転数で駆動される。さらにモルタル注入機2のモルタル吐出側には流量計7及び圧力計8が設置されている。
【0015】
水ポンプ3にはポンプの回転を調整するインバーターなどの制御手段(図示省略)が設置されている。さらに水ポンプ3の水吐出側には流量計9が設置されている。
【0016】
制御装置4は、モルタルの流量計7と圧力計8からの信号を取得してモルタル注入機2の稼働を制御する注入機制御部11と、水の流量計9からの信号を取得して実フロー値F2を算出し、実フロー値F2が規定フロー値F1になるように水ポンプ3の回転数を制御して水の供給量を調整する水ポンプ制御部12と、モルタルの流量計7と圧力計8からの注入データおよび算出された実フロー値F2を表示する表示部13と、注入データおよびフロー値F2を記憶して注入日報(注入記録)15を作成する注入記録作成部14から構成されている。上記「実フロー値F2が規定フロー値F1になるように」とは、実フロー値F2が規定フロー値F1と完全に一致する形態の他に略一致(たとえば±10%未満の誤差など)する形態を含むものとする。
【0017】
なお、制御装置4による各部の制御処理は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれによって実現されてもよく、好適にはCPU、記憶装置(ROM、RAM等)、入出力回路等を備えるマイクロコントローラ(マイクロコンピュータ)を中心に、入出力インターフェース等周辺回路を備えることにより制御装置4を構成できる。
【0018】
注入機制御部11は、図2に示すように、規定の注入量L1や注入圧力P1などの注入終了条件を入力する入力部21と、モルタルの流量計7と圧力計8からの信号を取得する取得部22と、モルタルの流量計7と圧力計8からの信号によって注入データ(具体的に実注入量L2、実注入圧力P2)を作成するデータ処理部23と、データ処理部23によって作成された注入データによってモルタル注入機2の稼働をオン/オフする制御部24から構成されている。
【0019】
水ポンプ制御部12は、図3に示すように、水の流量計9からの信号を取得する取得部31と、モルタルの種別ごとに規定された規定フロー値F1を入力する入力部32と、モルタルの種別ごとの水量と水量に応じたフロー値をデータ(図4参照)として記憶させるフロー値データ記憶部33と、取得部31で取得した水量とフロー値データ記憶部33のデータとを照合してフロー値データ記憶部33のデータから実フロー値F2を読み取るデータ読み取り部34と、入力部32に入力された規定フロー値F1とデータ読み取り部34で読み取った実フロー値F2とを照合し、実フロー値F2が規定フロー値F1になるよう水ポンプ3の回転数を調整する制御部35から構成される。なお、実フロー値F2は、通常水ポンプ3にかかる水圧の増減やモルタル注入機2のミキサーへのセメントの供給状況(詰り具合)などの影響により変化する。
【0020】
表示部13は、図5に示すように、注入機制御部11のデータ処理部23によって作成された注入データL2、P2と水ポンプ制御部12で読み取った実フロー値F2を表示する液晶などの表示画面13aで構成される。具体的に表示画面13aには、注入孔h(注入孔番号N)ごとにおいて、注入量L1、L2、注入圧力P1、P2およびフロー値F1、F2が表示される(図6参照)。
【0021】
注入記録作成部14は、図7に示すように、注入機制御部11のデータ処理部23によって作成された注入データL2、P2と水ポンプ制御部12で読み取った実フロー値F2を記憶するデータ記憶部41と、注入孔hごとに記憶したデータL2、P2、F2をエクセル(登録商標)などの表形式により注入日報(注入記録)15を作成する作成部42から構成される。具体的に注入日報15には、注入孔h(注入孔番号N)ごとの注入量L1、L2、注入圧力P1、P2およびフロー値F1、F2が記録されるとともに、トンネル51の断面を示す模式図が記録される(図8参照)。
【0022】
次に、上記構成のモルタル注入システム1を用いたモルタル注入方法について説明する。使用するモルタルの水量と水量の大きさに応じた各フロー値との相関を示すデータ(図4参照)を水ポンプ制御部12のフロー値データ記憶部33に入力する。また使用するモルタルの規定フロー値F1を水ポンプ制御部12の入力部32に入力する。さらにロックボルト孔hへの注入を終了する注入量L1や注入圧力P1を注入機制御部11の入力部21に入力する。なお、これら各入力の順序は特に問わない。
【0023】
モルタル注入機2の制御パネルの開始ボタン(図示省略)を押し、注入を開始する。注入開始後はモルタル注入機2の吐出側に設置された流量計7と圧力計8からの信号が注入機制御部11のデータ処理部23に送られ、データ処理部23によって作成された注入データによって注入量L2や注入圧力P2が入力された注入の終了条件L1、P1に達した場合にモルタル注入機2の稼働が停止される。
【0024】
注入開始後は水ポンプ3の吐出側に設置された流量計9からの信号が水ポンプ制御部12の取得部31に送られ、データ読み取り部34は取得部31で取得した水量とフロー値データ記憶部33に記憶された水量とを照合してフロー値データ記憶部33のデータから実フロー値F2を読み取る。制御部35は読み取られた実フロー値F2と入力された規定フロー値F1との差異を算出し、たとえば読み取られた実フロー値F2と規定フロー値F1が10%以上の誤差があった場合には、実フロー値F2が規定フロー値F1になるように、すなわち水ポンプ3からモルタル注入機2に供給される水量がフロー値データ記憶部33に入力された水量になるように水ポンプ3の回転数を増減させる。
【0025】
注入機制御部11のデータ処理部23で作成された注入データL2、P2および水ポンプ制御部12のデータ読み取り部34で読み取られた実フロー値F2は表示部13に送られ、表示画面13aに表示される。また注入機制御部11のデータ処理部23で作成された注入データL2、P2および水ポンプ制御部12のデータ読み取り部34で読み取られた実フロー値F2は注入記録作成部14のデータ記憶部41に送られて記憶される。記憶されたデータはSDカードなどの電子媒体で取り出すことができ、また、Wi-Fi(登録商標)などの通信機能を付加することによって現場事務所のPCやタブレットなどに転送することができる。
【0026】
同じく注入記録作成部14では注入機制御部11のデータ処理部23で作成された注入データL2、P2および水ポンプ制御部12のデータ読み取り部34で読み取られた実フロー値F2をエクセルなどの表形式に転記して注入日報15を作成する。この注入日報15はPDFやCSVデータとしてSDカードなどの電子媒体で取り出すことができ、また、Wi-Fiなどの通信機能を付加することによって現場事務所のPCやタブレットなどに転送することができる。
【0027】
以上より、本実施形態のモルタル注入システム1によれば、穿孔h内にモルタルを注入するモルタル注入機2と、モルタル注入機2に水を供給する水ポンプ3と、モルタル注入機2及び水ポンプ3の稼働を制御する制御装置4と、を備え、水ポンプ3は流量計9を備えており、制御装置4は流量計9からのデータによりモルタルの実フロー値F2を算出する。これにより、地山の穿孔hに充填するモルタルの実フロー値F2を確認することができ、実フロー値F2に応じて水ポンプ3の流量を制御することで適正なフロー値(規定フロー値F1)のモルタルを充填することができ、モルタルの品質を確保できる。
【0028】
また本実施形態では、制御装置4はモルタルの規定フロー値F1を入力する入力部32を備え、算出された実フロー値F2から入力された規定フロー値F1との差異を演算し、差異により水ポンプ3の流量を制御する。これにより、水ポンプ3の流量を効果的に制御できる。
【0029】
また本実施形態では、制御装置4は入力された規定フロー値F1および算出された実フロー値F2を表示する表示部13を備える。これにより、ロックボルト孔hごとのモルタルのフロー値F1、F2を確認できる。
【0030】
また本実施形態では、制御装置4は入力された規定フロー値F1および算出された実フロー値F2を注入日報15としてデータ化する。これにより、ロックボルト工の記録が可能となる。
【0031】
さらに本実施形態では、モルタル注入機2のモルタル吐出側に流量計7および圧力計9を備え、制御装置4は流量計7および圧力計9からのデータによって予め設定した設定注入量L1または設定注入圧力P1に達した時にモルタル注入機2の稼働を停止させる。これにより、モルタルを適正な注入量L1または注入圧力P1で充填できる。これに対して、作業者の手動操作でモルタル注入機の稼働を停止させる形態(特許文献1等を参照)では、モルタルの注入量や注入圧力が適正な範囲を超えてしまう恐れがある。
【0032】
尚、本発明においては、実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更することができる。すなわち上記実施形態では、モルタルの実フロー値F2が規定フロー値F1になるように水ポンプ3の流量を制御する形態を例示したが、これに限定されず、たとえばモルタルの実フロー値F2が規定フロー値F1になるようにモルタル注入機2のミキサーへのモルタルの供給量を制御する形態としてもよい。
【0033】
さらに上記実施形態では、流量計7および圧力計8を備えるモルタル注入機2を例示したが、これに限定されるものではなく、たとえば流量計7および圧力計9のうちの一方のみを備えるモルタル注入機2としてもよい。この場合であっても、モルタルの実注入量L2または実注入圧力P2が終了条件L1、P1に達した時にモルタル注入機2の稼働が停止される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明はロックボルト工に限定されるものではなく、たとえば長尺鏡ボルトなどのモルタルを注入もしくは充填する方法において広く使用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1;モルタル注入システム、2;モルタル注入機、3;水ポンプ、4;制御装置、7;モルタルの流量計、8;モルタルの圧力計、9;水の流量計、13;表示部、F1;規定フロー値、F2;実フロー値、h;穿孔、L1;モルタルの設定注入量、L2;モルタルの実注入量、P1;モルタルの設定注入圧力、P2;モルタルの実注入圧力。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11