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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108553
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20240805BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012982
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】深谷 哲生
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
【Fターム(参考)】
2H092GA13
2H092GA14
2H092HA04
2H092JA26
2H092JA35
2H092JB58
2H092KA04
2H092KA05
2H092KA08
2H092KA12
2H092KA13
2H092PA02
2H092PA08
2H092PA11
2H092PA13
2H192AA24
2H192BB12
2H192BB53
2H192CB05
2H192CB34
2H192CB35
2H192CB37
2H192CB82
2H192EA22
2H192EA43
2H192EA64
2H192EA68
2H192JA33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電圧印加時の透過率及び/又はコントラストを向上することができるFFSモードの液晶表示装置を提供する。
【解決手段】互いに隣接する第一の絵素及び第二の絵素を含み、フリンジ・フィールド・スイッチングモードの液晶表示装置であって、第一の基板と、液晶層と、第二の基板と、を順に備え、上記第一の基板は、少なくとも1層の下層部材と、上記第一の絵素及び第二の絵素の各々に対応して配置された第一の絵素電極及び第二の絵素電極と、層間絶縁膜と、複数の平行スリットが設けられた共通電極と、を上記液晶層側に向かって順に備え、上記少なくとも1層の下層部材は、第一の領域と、段差部を介して上記第一の領域よりも厚みが小さい第二の領域と、を有し、上記第一の領域に上記第一の絵素電極及び上記第二の絵素電極が配置され、上記第一の絵素電極と上記第二の絵素電極との間に上記第二の領域を有する、液晶表示装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する第一の絵素及び第二の絵素を含み、
フリンジ・フィールド・スイッチングモードの液晶表示装置であって、
第一の基板と、液晶層と、第二の基板と、を順に備え、
前記第一の基板は、少なくとも1層の下層部材と、前記第一の絵素及び第二の絵素の各々に対応して配置された第一の絵素電極及び第二の絵素電極と、層間絶縁膜と、複数の平行スリットが設けられた共通電極と、を前記液晶層側に向かって順に備え、
前記少なくとも1層の下層部材は、第一の領域と、段差部を介して前記第一の領域よりも厚みが小さい第二の領域と、を有し、
前記第一の領域に前記第一の絵素電極及び前記第二の絵素電極が配置され、前記第一の絵素電極と前記第二の絵素電極との間に前記第二の領域を有する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第一の領域及び前記第二の領域を有する下層部材は、絶縁膜である
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第一の領域及び前記第二の領域を有する下層部材は、ゲート絶縁膜である
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第一の基板は更に、前記第二の領域上にソース配線が配置され、
前記ソース配線は、前記平行スリットの長手方向に対して平行に延設される
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記段差部は、前記第一の絵素電極及び前記第二の絵素電極で覆われている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記共通電極は、前記第一の絵素電極及び前記第二の絵素電極の各々に重畳する第一の共通電極及び第二の共通電極と、前記第二の領域に重畳する第三の共通電極と、を含み、
前記第一の絵素電極及び前記第二の絵素電極の前記液晶層側の表面が、断面視において、前記第三の共通電極の前記液晶層側の表面と同じ高さであるか、又は、前記第三の共通電極の前記液晶層側の表面よりも前記液晶層側に突出している
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記共通電極は、前記第一の絵素電極及び前記第二の絵素電極の各々に重畳する第一の共通電極及び第二の共通電極と、前記第二の領域に重畳する第三の共通電極と、を含み、
前記第一の絵素電極及び前記第二の絵素電極の前記液晶層側の表面が、断面視において、前記第三の共通電極の前記液晶層側の表面と同じ高さであるか、又は、前記第三の共通電極の前記液晶層側の表面よりも前記液晶層側に突出している
ことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記共通電極は、前記第一の絵素電極及び前記第二の絵素電極の各々に重畳する第一の共通電極及び第二の共通電極と、前記第二の領域に重畳する第三の共通電極と、を含み、
前記第一の絵素電極及び前記第二の絵素電極の前記液晶層側の表面が、断面視において、前記第三の共通電極の前記液晶層側の表面よりも、前記液晶層とは反対側に位置する
ことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第一の基板は更に、前記液晶層側に平坦化膜を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第一の領域の厚みと前記第二の領域の厚みとの差Gは、100nm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記段差部は、断面視において、前記下層部材の底面に対して垂直又は斜めに設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
下記式(1-1)、(1-2)及び(1-3)を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
y=(a1/G’)+b1 (1-1)
-0.070≦a1≦-0.018 (1-2)
0.75≦b1≦0.91 (1-3)
式中、yは、前記液晶層への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。a1は、係数を表す。G’は、前記第一の領域の厚みと前記第二の領域の厚みとの差Gを、G=300nmで規格化した値である。b1は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。
【請求項13】
下記式(2-1)、(2-2)及び(2-3)を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
y=(a2/G’)+b2 (2-1)
-0.073≦a2≦-0.018 (2-2)
0.77≦b2≦0.91 (2-3)
式中、yは、前記液晶層への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。a2は、係数を表す。G’は、前記第一の領域の厚みと前記第二の領域の厚みとの差Gを、G=300nmで規格化した値である。b2は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。
【請求項14】
下記式(3-1)、(3-2)及び(3-3)を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
y=(a3/G’)+b3 (3-1)
-0.072≦a3≦-0.022 (3-2)
0.79≦b3≦0.91 (3-3)
式中、yは、前記液晶層への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。a3は、係数を表す。G’は、前記第一の領域の厚みと前記第二の領域の厚みとの差Gを、G=300nmで規格化した値である。b3は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。
【請求項15】
更にバックライトを備える
ことを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の液晶表示装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であり、その代表的な表示方式は、一対の基板間に封入された液晶組成物に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶組成物中の液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。このような液晶表示装置は、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を活かして幅広い分野で用いられている。
【0003】
液晶表示装置の表示方式として、広視野角特性を得やすい等の理由から、液晶分子の配向を基板面に対して平行な面内で主に回転させることによって制御する水平配向モードが注目を集めている。特に近年では、基板の主面に対して水平な方向に、正又は負の誘電率異方性を有する液晶分子を配向させるフリンジ電界スイッチング(FFS:Fringe Field Switching)モードがよく用いられている。FFSモードの液晶表示装置としては、例えば特許文献1~3において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-048394号公報
【特許文献2】国際公開第2015/087585号
【特許文献3】米国特許第8643799号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FFSモードの液晶表示装置には、共通電極及び絵素電極の配置が異なる2種類のモードがある。1つ目のモードとしては、面状の共通電極と、該共通電極上に配置された絶縁膜と、該絶縁膜上に複数の絵素の各々に対応して配置され、かつスリットが設けられた複数の絵素電極と、を備えるV2モード(FFS/V2モードとも称す)である。より具体的には、図42に示すように、液晶層を挟持する一対の基板のうち片方の基板が、面状の共通電極150Rと、絶縁膜141Rと、スリットが設けられた複数の絵素電極130Rと、を備える。通常、共通電極150Rとソース配線120S(及びソース電極)との間には有機絶縁膜142Rが配置され、ソース配線120S(及びソース電極)とゲート配線(及びゲート電極)(図示せず)との間にゲート絶縁膜112Rが配置される(図42参照)。図42は、FFS/V2モードの液晶表示装置の一例について、一対の基板のうち片方の基板の構成を示す断面模式図である。
【0006】
2つ目のモードとしては、複数の絵素の各々に対応して配置された面状の複数の絵素電極と、該複数の絵素電極上に配置された絶縁膜と、該絶縁膜上に配置され、かつスリットが設けられた共通電極と、を備えるV3モード(FFS/V3モードとも称す)である。より具体的には、図43に示すように、液晶層を挟持する一対の基板のうち片方の基板が、面状の複数の絵素電極130Rと、絶縁膜140Rと、スリットが設けられた共通電極150Rと、を備える。通常、複数の絵素電極130R間にソース配線120S(及びソース電極)が配置され、ソース配線120S(及びソース電極)とゲート配線(及びゲート電極)(図示せず)との間にゲート絶縁膜112Rが配置される(図43参照)。図43は、FFS/V3モードの液晶表示装置の一例について、一対の基板のうち片方の基板の構成を示す断面模式図である。
【0007】
特許文献1~3には、FFS/V3モードの液晶表示装置が開示されている。FFS/V3モードでは通常、FFS/V2モードと同じ液晶分子を使用しても、FFS/V2モードよりも透過率が低いという課題がある。そこで特許文献2では、隣接する画素に配置された画素電極の間の領域に、液晶層側に突出した段差部を配置し、共通電極がその段差部の少なくとも側面を覆う構成とすることで、電圧印加時の透過率を向上する手法を提案しており、この手法は、液晶表示装置の分野で極めて有用なものとなっている。
【0008】
しかしながら、従来の液晶表示装置においても未だ、電圧印加時の透過率を更に向上させて、表示画像の高精細化をより実現するための工夫の余地があった。また、高透過率に代えて又は高透過率とともに高コントラスト(CR)が要求される場合に適用できるようにするための工夫の余地もあった。
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、電圧印加時の透過率及び/又はコントラストを向上することができるFFS/V3モードの液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
(1)本発明の一実施形態は、互いに隣接する第一の絵素及び第二の絵素を含み、フリンジ・フィールド・スイッチングモードの液晶表示装置であって、第一の基板と、液晶層と、第二の基板と、を順に備え、上記第一の基板は、少なくとも1層の下層部材と、上記第一の絵素及び第二の絵素の各々に対応して配置された第一の絵素電極及び第二の絵素電極と、層間絶縁膜と、複数の平行スリットが設けられた共通電極と、を上記液晶層側に向かって順に備え、上記少なくとも1層の下層部材は、第一の領域と、段差部を介して上記第一の領域よりも厚みが小さい第二の領域と、を有し、上記第一の領域に上記第一の絵素電極及び上記第二の絵素電極が配置され、上記第一の絵素電極と上記第二の絵素電極との間に上記第二の領域を有する、液晶表示装置。
【0011】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第一の領域及び上記第二の領域を有する下層部材は、絶縁膜である、液晶表示装置。
【0012】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第一の領域及び上記第二の領域を有する下層部材は、ゲート絶縁膜である、液晶表示装置。
【0013】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記第一の基板は更に、上記第二の領域上にソース配線が配置され、上記ソース配線は、上記平行スリットの長手方向に対して平行に延設される、液晶表示装置。
【0014】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記段差部は、上記第一の絵素電極及び上記第二の絵素電極で覆われている、液晶表示装置。
【0015】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記共通電極は、上記第一の絵素電極及び上記第二の絵素電極の各々に重畳する第一の共通電極及び第二の共通電極と、上記第二の領域に重畳する第三の共通電極と、を含み、上記第一の絵素電極及び上記第二の絵素電極の上記液晶層側の表面が、断面視において、上記第三の共通電極の上記液晶層側の表面と同じ高さであるか、又は、上記第三の共通電極の上記液晶層側の表面よりも上記液晶層側に突出している、液晶表示装置。
【0016】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記共通電極は、上記第一の絵素電極及び上記第二の絵素電極の各々に重畳する第一の共通電極及び第二の共通電極と、上記第二の領域に重畳する第三の共通電極と、を含み、上記第一の絵素電極及び上記第二の絵素電極の上記液晶層側の表面が、断面視において、上記第三の共通電極の上記液晶層側の表面よりも上記液晶層とは反対側に位置する、液晶表示装置。
【0017】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)又は上記(7)の構成に加え、上記第一の基板は更に、上記液晶層側に平坦化膜を備える、液晶表示装置。
【0018】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)又は上記(8)の構成に加え、上記第一の領域の厚みと上記第二の領域の厚みとの差Gは、100nm以上である、液晶表示装置。
【0019】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)又は上記(9)の構成に加え、上記段差部は、断面視において、上記下層部材の底面に対して垂直又は斜めに設けられる、液晶表示装置。
【0020】
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、下記式(1-1)、(1-2)及び(1-3)を満たす、液晶表示装置。
y=(a1/G’)+b1 (1-1)
-0.070≦a1≦-0.018 (1-2)
0.75≦b1≦0.91 (1-3)
式中、yは、上記液晶層への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。a1は、係数を表す。G’は、上記第一の領域の厚みと上記第二の領域の厚みとの差Gを、G=300nmで規格化した値である。b1は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。
【0021】
(12)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、下記式(2-1)、(2-2)及び(2-3)を満たす、液晶表示装置。
y=(a2/G’)+b2 (2-1)
-0.073≦a2≦-0.018 (2-2)
0.77≦b2≦0.91 (2-3)
式中、yは、上記液晶層への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。a2は、係数を表す。G’は、上記第一の領域の厚みと上記第二の領域の厚みとの差Gを、G=300nmで規格化した値である。b2は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。
【0022】
(13)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、下記式(3-1)、(3-2)及び(3-3)を満たす、液晶表示装置。
y=(a3/G’)+b3 (3-1)
-0.072≦a3≦-0.022 (3-2)
0.79≦b3≦0.91 (3-3)
式中、yは、上記液晶層への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。a3は、係数を表す。G’は、上記第一の領域の厚みと上記第二の領域の厚みとの差Gを、G=300nmで規格化した値である。b3は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。
【0023】
(14)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記(11)、上記(12)又は上記(13)の構成に加え、更にバックライトを備える、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電圧印加時の透過率及び/又はコントラストを向上することができるFFS/V3モードの液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1の液晶表示装置の平面模式図である。
図2図1のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。
図3】背面側にバックライトを備える液晶表示装置の断面模式図である。
図4】従来のFFS/V3モードの液晶表示装置で生じる電界を検討した図である。
図5】実施形態1の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。
図6A】実施形態1の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図6B】実施形態1の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図6C】実施形態1の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図6D】実施形態1の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図6E】実施形態1の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図7】実施形態2の液晶表示装置の平面模式図である。
図8図7のB-B’線を切断面とする断面模式図(B-B’線断面図)である。
図9】実施形態2の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。
図10A】実施形態2の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図10B】実施形態2の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図10C】実施形態2の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図10D】実施形態2の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図10E】実施形態2の液晶表示装置の製造方法のうち、ゲート絶縁膜形成工程の一工程を説明するための図である。
図11】実施形態3の液晶表示装置の平面模式図である。
図12図11のC-C’線を切断面とする断面模式図(C-C’線断面図)である。
図13】実施形態3の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。
図14】実施形態3の液晶表示装置の製造方法のうち、(viii)平坦化膜形成工程を経て得られる第一の基板の層構成を概念的に示す断面模式図である。
図15】実施形態4の液晶表示装置の平面模式図である。
図16図15のD-D’線を切断面とする断面模式図(D-D’線断面図)である。
図17】従来のFFS/V3モードの液晶表示装置で生じる電界を検討した図である。
図18】実施形態4の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。
図19】実施形態4の液晶表示装置の製造方法のうち、(vi)層間絶縁膜/保護膜/平坦化膜形成工程を経て得られる第一の基板の層構成を概念的に示す断面模式図である。
図20】実施形態5の液晶表示装置の平面模式図である。
図21図20のE-E’線を切断面とする断面模式図(E-E’線断面図)である。
図22】実施形態5の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。
図23】実施例1の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図24】実施例1の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図25】実施例1の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図26】実施例2の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図27】実施例2の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図28】実施例2の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図29】実施例2の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図30】実施例2の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図31】実施例3の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図32】実施例3の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図33】実施例3の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図34】実施例4の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図35】実施例4の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図36】実施例4の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図37】実施例5の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図38】実施例5の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図39】実施例5の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図40】実施例5の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図41】実施例5の液晶表示装置のシミュレーション結果である。
図42】従来のFFS/V2モードの液晶表示装置の一例について、一対の基板のうち片方の基板の構成を示す断面模式図である。
図43】従来のFFS/V3モードの液晶表示装置の一例について、一対の基板のうち片方の基板の構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(用語の定義)
本明細書中、観察面側とは、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0027】
可視光とは、波長380nm以上、800nm未満の光(電磁波)を意味する。
【0028】
画素は、表示画像を構成する最小単位であり、画素は、互いに異なる色を有する複数の絵素から構成される領域である。
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で適宜設計変更を行うことが可能である。
【0030】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の液晶表示装置の平面模式図である。図2は、図1のA-A’線を切断面とする断面模式図(A-A’線断面図)である。図1及び図2に示すように、本実施形態の液晶表示装置1は、互いに隣接する第一の絵素1PX及び第二の絵素2PXを含み、背面側から観察面側に向かって順に、第一の基板100と、液晶層300と、第二の基板200と、を備える。より詳細に言うと、本実施形態の液晶表示装置1は、更に背面側にバックライト20を備える(図3参照)。即ち液晶表示装置1は、互いに隣接する第一の絵素1PX及び第二の絵素2PXを含み、背面側から観察面側に向かって順に、第一の基板100、液晶層300、及び、第二の基板200を備える液晶パネル10と、液晶パネル10の背面側に配置されたバックライト20と、を備えると言うことができる。従って、図1は、液晶表示装置1が備える液晶パネル10の平面模式図でもある。図3は、背面側にバックライトを備える態様の断面模式図である。液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は更に、第一の基板100と液晶層300との間に第一の配向膜401を備え、第二の基板200と液晶層300との間に第二の配向膜402を備える(図2参照)。第一の配向膜401及び第二の配向膜402を、配向膜400と総称することもある。
【0031】
第一の基板100は、液晶層300側に向かって順に、下層部材110と、第一の絵素1PX及び第二の絵素2PXの各々に対応して配置された第一の絵素電極131及び第二の絵素電極132と、層間絶縁膜140と、共通電極150と、を、備える。共通電極150には、複数の平行スリット150Sが設けられている。第一の絵素電極131及び第二の絵素電極132を、絵素電極130と総称することがある。
なお、図1及び図2等では一つの画素部が示されているが、図面の左右方向には、このような構成が繰り返し並んでいる。同様の他の図面も同じである。
【0032】
下層部材110は、厚みがH1である第一の領域A1と、厚みがH2である第二の領域A2との間に段差部110Sを有する(但し、H1>H2である。)。段差部110Sは、断面視において、下層部材110の底面に対して垂直に設けられている。ここで、「断面視において、段差部が下層部材の底面に対して垂直に設けられる」とは、断面視において、段差部が下層部材の底面に対して85°以上90°以下の角度をなすことをいう。言い換えれば、下層部材の底面の法線方向と、段差部110Sとがなす角度α(段差部110Sのテーパー角度とも称す)が、0°以上5°以下であることを意味する。
【0033】
第一の領域A1と第二の領域A2との厚みの差G(即ち、H1-H2)は、100nm以上であることが好ましい。より好ましくは150nm以上、更に好ましくは200nm以上、特に好ましくは300nm以上である。なお、第二の領域A2にソース配線120Sが配置される場合、Gは、ソース配線120Sの膜厚よりも大きいことが好適である。これにより、電圧印加時の透過率が更に向上される。一方、液晶表示装置のコントラストを更に高める観点から、Gは1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは800nm以下、更に好ましくは600nm以下である。
なお、厚みの差Gは、絵素電極130直下の下層部材110の厚みH1から、絵素間Pの下層部材110(即ち第二の領域A2)の厚みH2を差し引いた値である(図2参照)。
【0034】
本実施形態の液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は後述するように、絵素電極130の表面が、第二の領域A2に重畳する共通電極(第三の共通電極153)の液晶層300側の表面よりも、液晶層300側に突出した構造であるが、この構造になるように、第一の領域A1の厚みH1を調整する。例えばH1は、500nm以上であることが好適である。より好ましくは550nm以上である。また、2000nm以下であることが好ましい。より好ましくは1800nm以下である。
【0035】
第二の領域A2の厚みH2は、例えば、100nm以上、1900nm以下(但しH1未満)であることが好ましい。より好ましくは150nm以上、1650nm以下である。
【0036】
本実施形態では、第一の領域A1に絵素電極130を配置し、第二の領域A2には絵素電極130を配置せず、第一の絵素電極131と第二の絵素電極132との間(図1中のP)を、第二の領域A2とする。このような態様とすることで、絵素電極130が液晶層300側に突出した構造となる。なお、第一の絵素電極131に重畳する共通電極を第一の共通電極151とも称し、第二の絵素電極132に重畳する共通電極を第二の共通電極152とも称し、第二の領域A2に重畳する共通電極を第三の共通電極153と称す。本実施形態では特に、第一の領域A1の厚みを大きくすることで、断面視において、絵素電極130の表面が、第三の共通電極153の液晶層300側の表面よりも、液晶層300側に突出した構造としている(図2参照)。つまり本実施形態では、FFS/V3モードの液晶表示装置でありながら、第三の共通電極153と絵素電極130との関係では、観察面側から順に絵素電極、共通電極という構成(Pix/COM)の電極構造を実現している。これは従来のFFS/V3モードでは実現できなかった電極構造である。
【0037】
従来のFFS/V3モードの液晶表示装置(例えば特許文献1~3に記載の装置)では、電極構造が、観察面側から背面側に向かって順に、共通電極、絵素電極という構成(COM/Pix)を採る(図4図17及び図43参照)。図4(及び図17)は、従来のFFS/V3モードの液晶表示装置で生じる電界を検討した図である。この(COM/Pix)の構成に対して電圧を印加すると、液晶層に絵素間同士の横電界(基板に対して水平な方向の電界)が充分に届かない場合がある。より具体的に言うと、従来のFFS/V3モードでは、各絵素内では同一極性でフリンジ電界がかかるため、液晶分子が配向して電圧-透過率特性(VT特性とも称す)が生じる。一方、絵素間では、絵素ごとに極性が異なるために横電界が発生するものの、その横電界は共通電極にシールドされて、その横電界が液晶層へ影響を及ぼしにくい(図4のX1を参照)。特に絵素間では、ソース配線120S(及びソース電極)による電界影響を受けるため、横電界が液晶層に与える影響が小さくなる。このように絵素間まで横電界が届かないことがある。この場合、液晶分子の方位が充分に変化しないために、絵素エッジの透過率を充分に向上することができない。表示装置の高精細化が進むに従い、絵素部全体に対するこのような透過率の影響が顕著になると考えられる。なお、絵素間(図1中の符号:P)は、絵素電極とそれに隣接する絵素電極との間(絵素エッジとも称す)を意味する。
【0038】
これに対し、電極の配置順を逆転させた本実施形態の構成(Pix/COM)では、絵素電極130が第三の共通電極153よりも液晶層300側に突出した位置にあることで、絵素間に生じる横電界を液晶層に充分に届けることができる(図5参照)。図5は、本実施形態の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。これにより、絵素エッジに重畳する液晶層の液晶分子が容易に配向できるようになり、この部分の透過率が向上する。また、生産性の観点でも、本実施形態の液晶表示装置は有用である。
【0039】
下層部材110は、1層以上の層から構成され、このうちの1層以上の層に厚み差Gを設けて、絵素電極130を配置する第一の領域A1と、配置しない第二の領域A2とを形成する(図2参照)。厚み差Gを設ける下層部材は、どの層であってもよい。例えば下層部材110として、第一の支持基板111を含むもの、第一の支持基板と絶縁膜とを含むもの、等が挙げられるが、これらの場合、第一の領域A1と第二の領域A2とを有する下層部材は、第一の支持基板111であってもよいし、絶縁膜であってもよいし、第一の支持基板と絶縁膜との両方であってもよい。本実施形態では、絶縁膜の中でも、ゲート絶縁膜112に厚み差Gを設けている(図2参照)。即ち第一の領域A1と第二の領域A2とを有する下層部材は、ゲート絶縁膜112である。言い換えると、本実施形態の下層部材110は、第一の支持基板111とゲート絶縁膜112とを含み、ゲート絶縁膜112に厚み差Gを設けて、絵素電極130を配置する第一の領域A1と、配置しない第二の領域A2とを形成している。
【0040】
第一の支持基板111は、透明基板であることが好ましく、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。
【0041】
ゲート絶縁膜112は、導電膜同士を絶縁でき、かつ一定の比誘電率を有する膜であることが好ましい。具体的には、無機絶縁膜、有機絶縁膜、又は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層体が好適である。無機絶縁膜としては、例えば、SiNx、SiO、SiNO、TiO等を含む無機絶縁膜やその積層膜が挙げられる。有機絶縁膜としては、透明な有機高分子の単層膜又は積層膜を用いることができ、当該有機高分子としては例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等が挙げられる。
【0042】
層間絶縁膜140もまた、導電膜同士を絶縁でき、かつ一定の比誘電率を有する膜であることが好ましい。具体的には、無機絶縁膜、有機絶縁膜、又は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層体が好適である。これらの詳細は上述した通りである。なお、層間絶縁膜140は、保護膜としても機能し得る。
【0043】
無機絶縁膜の比誘電率εは、例えば3~10であることが好ましく、有機絶縁膜の比誘電率εは、例えば2.5~12であることが好ましい。比誘電率がこれらの範囲内にあり、かつ導電膜同士を絶縁できるものであれば、ゲート絶縁膜112又は層間絶縁膜140として好適に使用することができる。
【0044】
従来の液晶表示装置では、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜としてSiNx、SiOx、SiNO等のシリコン系無機絶縁膜が通常使用される。だが本実施形態では、後述するように、ゲート絶縁膜112及び層間絶縁膜140の誘電率は一定の範囲内であれば特に限定されないため、ゲート絶縁膜112及び層間絶縁膜140として、シリコン系無機絶縁膜を用いることもできるし、有機絶縁膜を用いることもできるし、SiNx膜等のPAS膜(パッシベーション膜とも称す)を用いることもできるし、SiOx、SiNO、Al、TiO等の無機絶縁膜を用いることもできる。なお、有機絶縁膜を用いると、液晶表示装置において高開口率化を図ることができる。有機絶縁膜を備える液晶表示装置とする場合は、ゲート絶縁膜112として有機絶縁膜を用いることがより好適である。
【0045】
以下では、第一の基板100として、液晶表示装置1の画素のオン・オフをスイッチングするために用いられるスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が設けられたTFT基板を使用する場合を例に挙げて説明する。
【0046】
第一の基板100は、TFTを有し、背面側から観察面側に向かって順に、第一の支持基板111上に、互いに平行に延設された複数のゲート配線120Gと、ゲート絶縁膜112と、ゲート絶縁膜を介して各ゲート配線120Gと交差する方向に互いに平行に延設された複数のソース配線120Sと、複数の絵素電極130と、層間絶縁膜140と、共通電極150と、を備える(図1及び図2参照)。複数のゲート配線120G及び複数のソース配線120Sは、各絵素(1PX、2PX等)を区画するように全体として格子状に形成されている。各ゲート配線120Gと各ソース配線120Sとの交点にはスイッチング素子としてのTFTが配置されている。ゲート絶縁膜112は、厚みがH1である第一の領域A1と、厚みがH2である第二の領域A2とを有している(図2参照)。
【0047】
各TFTは、複数のゲート配線120G及び複数のソース配線120Sのうちの対応するゲート配線120G及びソース配線120Sに接続されており、対応するゲート配線120Gから突出した(即ちゲート配線120Gの一部である)ゲート電極、対応するソース配線120Sから突出した(即ちソース配線120Sの一部である)ソース電極、複数の絵素電極130のうちの対応する絵素電極130と接続されたドレイン電極120D、及び、薄膜半導体層120SCを有する三端子スイッチから構成される。ソース電極及びドレイン電極は、ソース配線120Sと同じソース配線層に設けられる電極であり、ゲート電極はゲート配線120Gと同じゲート配線層に設けられる電極である。各絵素電極130は、ゲート絶縁膜112や層間絶縁膜140等に設けられたコンタクトホールを介して、ドレイン電極120Dに接続されている。
【0048】
共通電極150は、平面視において互いに平行な複数のスリット150Sが設けられている。スリット150Sは、例えば、液晶分子の初期配向方位に対して傾斜して設けられることが好ましい。これにより、液晶分子を一定方向へ回転させることができ、電圧制御によって液晶分子の配向を制御することが可能となる。共通電極150に対しては、一定値に保たれた共通信号が供給され、共通電極150は一定の電位に保たれる。
【0049】
絵素電極130はそれぞれ、互いに隣接する2本のゲート配線120Gと互いに隣接する2本のソース配線120Sとに囲まれた各領域に配置された電極である。各絵素電極130は、TFTが備える薄膜半導体層を介して対応するソース配線120Sと電気的に接続されている。各絵素電極130は、対応するTFTを介して供給されるデータ信号に応じた電位に設定される。
【0050】
液晶層300は、電圧無印加時に第一の基板100に対して水平配向する液晶分子を含有し、一対の電極を構成する共通電極150及び絵素電極130の間に印加された電圧により液晶層300内に発生する電界に応じて液晶分子の配向が変化することにより、光の透過量を制御するものである。液晶層300中の液晶分子は、第一の基板100に設けられた一対の電極間に電圧が印加されていない状態(電圧無印加時)では配向膜400の規制力によって水平配向し、一対の電極間に電圧が印加された状態(電圧無印加時)では液晶層300内に発生した横電界に応じて面内方向に回転する。
【0051】
液晶分子は、下記(式L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものであってもよく、負の値を有するものであってもよい。本実施形態では、Δεが負の値を有する液晶分子を用いる。なお、正の誘電率異方性を有する液晶分子はポジ型液晶ともいい、負の誘電率異方性を有する液晶分子はネガ型液晶ともいう。液晶分子の長軸方向が遅相軸の方向となる。
Δε=(長軸方向の誘電率)-(短軸方向の誘電率) (式L)
【0052】
第二の基板200は、第一の基板100に対向配置される基板である。以下では、第二の基板200として、第二の支持基板210上に、ブラックマトリクス層220と、カラーフィルタ層230と、オーバーコート層240と、を備える基板を用いる場合を例に挙げて説明する。なお、第一の基板100にカラーフィルタ層を配置してもよいが、この場合、第二の基板200にはカラーフィルタ層を配置しない。
以下では、ブラックマトリクス(Black Matrix)をBMとも称し、カラーフィルタ(Color Filter)をCFとも称す。
【0053】
第二の支持基板210は、透明基板であることが好ましく、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。
【0054】
BM層220は、第二の支持基板210上に、ゲート配線120G及びソース配線120Sに対応するように格子状に設けられている。
【0055】
CF層230は、赤色カラーフィルタ230R、緑色カラーフィルタ230G及び青色カラーフィルタ230Bが面内に並べられ、BM層220で区画された構成を有する。赤色カラーフィルタ230R、緑色カラーフィルタ230G及び青色カラーフィルタ230Bは、例えば、顔料を含有する透明樹脂で構成されている。通常、すべての画素に赤色カラーフィルタ230R、緑色カラーフィルタ230G及び青色カラーフィルタ230Bの組み合わせが配置され、赤色カラーフィルタ230R、緑色カラーフィルタ230G及び青色カラーフィルタ230Bを透過する色光の量を制御しつつ混色させることで各画素において所望の色が得られる。なお、赤色カラーフィルタ230R、緑色カラーフィルタ230G及び青色カラーフィルタ230Bの厚みは同一でなくてもよい。すなわち、CF層230の液晶層300側の表面は平坦でなくてもよい。
【0056】
オーバーコート層240は、CF層230の液晶層300側の表面を覆う層である。オーバーコート層240は、CF層230の液晶層300側の表面が平坦でない場合に、第二の基板200側の配向膜400の下地を平坦化する機能を有する。また、オーバーコート層240によりCF層230中の不純物が液晶層300側へ溶出することを防止することもできる。オーバーコート層は、平坦化層(平坦化膜とも称す)又は保護層(保護膜とも称す)と称することもできる。
【0057】
オーバーコート層240の材料としては、光硬化型又は熱硬化型の透明樹脂が好適に用いられる。光硬化型の透明樹脂は、例えば、光重合開始剤、添加剤、溶剤等とともに用いられる。オーバーコート層240としては、例えば、有機膜(比誘電率ε=2.5~5)を用いることができる。
【0058】
オーバーコート層240の厚みは、例えば、0.5~4.0μmであり、0.8~2.5μmが好ましい。より好ましくは、1.0~2.5μmである。
【0059】
第一の基板100の液晶層300側、及び、第二の基板200の液晶層300側にはそれぞれ、配向膜401、402が配置されている(図2参照)。これら配向膜400は、液晶層300に含まれる液晶分子の配向を制御する機能を有する。具体的に言うと、液晶層300への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)であるときに、主に配向膜400の働きによって、液晶層300中の液晶分子の長軸が、配向膜400に対して水平方向を向くように制御される。
【0060】
ここで、「液晶層中の液晶分子の長軸が配向膜に対して水平方向を向く」とは、液晶分子のチルト角(プレチルト角を含む)が、配向膜400に対して0~5°であることを意味する。好ましくは0~3°、より好ましくは0~1°である。
なお、液晶分子のチルト角は、液晶分子の長軸(光軸)が配向膜400の表面に対して傾斜する角度を意味する。
【0061】
配向膜400は、液晶分子の配向を制御するための配向処理がなされた層であり、液晶表示装置の分野で一般的な配向膜を用いることができる。配向膜400の材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリシロキサン等の主鎖を有するポリマーが挙げられ、主鎖又は側鎖に光反応部位(官能基)を有する光配向膜材料が好適に用いられる。
【0062】
液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は、第一の基板の液晶層300とは反対側(図2では第一の基板100の背面側に該当する。)と、第二の基板の液晶層300とは反対側(図2では第二の基板200の観察面側に該当する。)とに、一対の偏光板を有していてもよい(図示せず)。偏光板としては、直線偏光板であってもよいし、円偏光板であってもよい。
【0063】
偏光板としては例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素錯体(又は染料)等の異方性材料を、染色及び吸着させてから延伸配向させた偏光子(吸収型偏光板)等を用いることができる。なお通常は、機械強度や耐湿熱性を確保するために、PVAフィルムの両側にトリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の保護フィルムをラミネートして実用に供される。また、反射型偏光板を用いることもできる。
【0064】
一対の偏光板は、その透過軸が直交することが好ましい。つまり一対の偏光板がクロスニコルに配置されることが好適である。この場合、電圧無印加時に、良好な黒表示状態を実現することができる。
【0065】
本明細書中、2つの軸(方向)が直交するとは、両者のなす角度(絶対値)が90±3°の範囲内であることを指し、好ましくは90±1°の範囲内であり、より好ましくは90±0.5°の範囲内であり、特に好ましくは90°(完全に直交)である。また、本明細書中、2つの軸(方向)が平行であるとは、両者のなす角度(絶対値)が0±3°の範囲内であることを指し、好ましくは0±1°の範囲内であり、より好ましくは0±0.5°の範囲内であり、特に好ましくは0°(完全に平行)である。
【0066】
液晶表示装置1はまた、バックライト20を備えてよい(図3参照)。
バックライト20は、液晶パネル10に対して光を照射するものであれば特に限定されず、直下型やエッジ型やその他のどの方式でもよい。バックライト20は、例えば、光源及び導光板を有する。導光板は、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。バックライト20は、更に、拡散板、プリズムシート等の光学シートを適宜用いることができる。
【0067】
光源は、可視光を含む光を発するものであれば特に限定されず、可視光のみを含む光を発するものであってもよく、可視光及び紫外光の両方を含む光を発するものであってもよい。液晶表示装置1によるカラー表示を可能とするためには、白色光を発する光源が好適に用いられる。光源の種類としては、例えば、冷陰極蛍光灯(CCFL)、発光ダイオード(LED)等が好適に用いられる。
【0068】
液晶表示装置1は更に、TCP(テープ・キャリア・パッケージ)、PCB(プリント配線基板)等の外部回路;視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルム;ベゼル(フレーム)等の複数の部材により構成されるものであり、部材によっては、他の部材に組み込まれていてもよい。既に説明した部材以外の部材については特に限定されず、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。
【0069】
本実施形態の液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は、下記式(1-1)、(1-2)及び(1-3)を満たす。
y=(a1/G’)+b1 (1-1)
-0.070≦a1≦-0.018 (1-2)
0.75≦b1≦0.91 (1-3)
式中、yは、液晶層300への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。より詳細には、yは、〔(一対の偏光板をクロスニコルに配置した液晶表示装置1の電圧印加時(印加電圧=4.4~6V)の透過率/一対の偏光板をパラレルニコルに配置した液晶表示装置1の電圧無印加時(印加電圧=0V)の透過率)×100〕により求められる。a1は、係数を表す。G’は、第一の領域A1の厚みH1と第二の領域A2の厚みH2との差Gを、G=300nmで規格化したものを表す(敢えて数式にすれば、「G’=G/300」と表すこともできる。)。b1は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。より詳細には、b1は、〔(一対の偏光板をクロスニコルに配置した液晶表示装置1(但しG’は無限大)の電圧印加時(印加電圧=4.4~6V)の透過率/一対の偏光板をパラレルニコルに配置した液晶表示装置1(但しG’は無限大)の電圧無印加時(印加電圧=0V)の透過率)×100〕により求められる。
ここで、Gは、実用上、セル厚(3.0μm~10μm)と同等以上になることはないので、「G’が無限大(∞)であるとき」とは、実質的に、Gが、セル厚に等しい場合に該当する。なお、後述する実施例1では、Gが、セル厚の最低限の値である3.0μmである、すなわちG’=10の場合について、シミュレーションを行った(図25参照)。
【0070】
本実施形態の液晶表示装置においては、層間絶縁膜140の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜112の比誘電率εを変更しても、上記式(1-1)~(1-3)の関係式を満たすことができる。それゆえ、層間絶縁膜140の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜112の比誘電率εは、特に限定されるものではない。
【0071】
次に、本実施形態の液晶表示装置1の製造方法について説明する。
即ち例えば、以下のように得た第一の基板100と第二の基板200との間に、一般的な方法で液晶材料を注入することにより、本実施形態の液晶表示装置1を製造することができる。なお、以下のように各基板100、200を作製した後、液晶材料を注入する前に、各基板に対して配向膜材料を塗布する塗布工程を行うことにより、配向膜400をそれぞれ形成してよい。塗布方法としては、インクジェット法及びロールコータ法等が挙げられる。
【0072】
(I)第一の基板の作製
第一の基板100は、透明電極を用いる一般的なFFSモードの液晶表示装置が備えるTFT基板の作製方法に準じて作製することができる。即ち例えば、(i)ゲート形成工程、(ii)ゲート絶縁膜形成工程、(iii)半導体層形成工程、(iv)ソース形成工程、(v)絵素電極形成工程、(vi)層間絶縁膜/保護膜形成工程、及び、(vii)共通電極形成工程を、この順に行う。各工程では通常、一般的な半導体作製工程で用いられる、成膜(デポジション)と、フォトリソグラフィ法によるパターニングと、エッチングと、が行われる。
【0073】
(i)ゲート形成工程は、第一の支持基板111上にゲート配線120G及びゲート電極を形成する工程であり、一般的な方法で行えばよい。ゲート配線層(ゲート電極を含む)は、例えば、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属又はこれらの合金の、単層又は複数層である。複数層としては例えば、チタンと銅との積層膜(Ti/Cu/Tiの3層膜や、Ti/Cuの2層膜)が挙げられるが、ゲート電極を充電できるものであれば特に限定されない。その他、チタンとアルミニウムとの積層膜(Ti/Al/Tiの3層膜等)や、モリブデンと銅との積層膜(Mo/Cu)等も挙げられる。
【0074】
(ii)ゲート絶縁膜形成工程(GI形成工程とも称す)は、ゲート絶縁膜112を形成する工程である。この工程ではまず、ゲート絶縁膜の材料を塗布する際に、得られる膜(デポ膜とも称す)の厚みが大きくなるようにする(図6A参照)。即ち本工程でのデポ膜は、厚みの差Gの分だけ、通常のデポ膜よりも厚みが大きい。その後、ポジ型フォトレジストを塗布し、ハーフトーンのフォトマスク71を介した露光と現像を行った後(図6B参照)、フォトレジスト膜73をパターニング処理する(図6C参照)。次いで、フォトレジスト膜73を一部残した状態でエッチングすることで、厚みに差を設ける(図6D参照)。その後、フォトレジスト膜73を剥離する(図6E参照)。このようにして本実施形態のゲート絶縁膜112が形成される。得られたゲート絶縁膜112は、厚み差Gを有する(図6E参照)。図6A図6Eは、ゲート絶縁膜形成工程における各工程を説明するための図である。
【0075】
(iii)半導体層形成工程は、薄膜の半導体を形成する工程であり、一般的な方法で行う。半導体層は例えば、アモルファスシリコン、ポリシリコン等からなる高抵抗半導体層と、アモルファスシリコンにリン等の不純物をドープしたn+アモルファスシリコン等からなる低抵抗半導体層とによって構成される。半導体層としては、IGZO等の酸化物半導体を用いることもできる。なお、半導体層の材料としてIGZO等の透明な酸化物半導体を用いる場合には、半導体層を、絵素電極130と兼ねることが可能である。即ち半導体層が、絵素電極130となる。この場合、後述の(v)絵素電極形成工程は行わずに、(iii)半導体層形成工程におけるパターニング処理後に、酸化物半導体を導体化する工程を行う。
【0076】
(iv)ソース形成工程は、ソース配線120S、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程であり、一般的な方法で行う。
【0077】
(v)絵素電極形成工程は、ゲート絶縁膜112の厚みの大きい部分(即ち第一の領域A1)の上層に、絵素電極130を形成する工程である。この工程は一般的な方法で行う。例えば、絵素電極130の材料を用いて透明導電膜をスパッタリング法等によって形成し、パターニングすることにより、絵素電極130を形成することができる。透明導電膜には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、アルミニウムを含む酸化亜鉛(AZO)等が用いられる。また、導電性があり、かつ透明であれば、銀(Ag)ナノワイヤー等を用いることもできる。
【0078】
(vi)層間絶縁膜/保護膜形成工程は、絵素電極130を覆うように、層間絶縁膜(保護膜とも称す)140を形成する工程である。上述した材料を用いて、一般的な方法で行えばよい。
【0079】
(vii)共通電極形成工程は、層間絶縁膜140上に共通電極150を形成する工程である。この工程は一般的な方法で行う。例えば、共通電極150の材料を用いて、透明導電膜をスパッタリング法等によって形成し、パターニングすることにより、スリット150Sが設けられた共通電極150を形成することができる。透明導電膜の材料は、(v)絵素電極形成工程において上述した通りである。
以上のようにして、第一の基板100を作製することができる。
【0080】
(II)第二の基板の作製
第二の基板200は、一般的なFFSモードの液晶表示装置が備える対向基板の作製方法に準じて作製することができる。
【0081】
即ち例えば、第二の支持基板210上に、BM層220を形成し、所望のマトリクスパターンとなるようにフォトリソグラフィ等によってパターニングする。次いで、赤色カラーフィルタ230R、緑色カラーフィルタ230G及び青色カラーフィルタ230Bの各レジスト材料を順次スピンコート又はスリットコート等によって形成し、フォトリソグラフィ等によってパターニングし、CF層230を形成する。その後、BM層220及びCF層230の上層に、オーバーコート層240をスピンコート又はスリットコート等によって形成する。更に必要に応じて、オーバーコート層240の上層に透明な有機絶縁膜材料をスピンコート又はスリットコート等によって形成し、所望の位置にフォトスペーサをパターニングする。
以上のようにして、第二の基板200を作製することができる。
【0082】
本実施形態では、第二の基板200がCF層230を備える態様について説明したが、CF層230は、第二の基板200ではなく第一の基板100に設けられていてもよい。第一の基板100にCF層を設ける場合、第二の基板200にはCF層を形成しない。
【0083】
(変形例1)
実施形態1では、絵素電極130の液晶層300側の表面が、第三の共通電極の液晶層300側の表面よりも液晶層300側に突出している。だが、絵素電極130の液晶層300側の表面が、第三の共通電極の液晶層側の表面と同じ高さである場合にも、実施形態1と同様の効果を発揮することができる。即ち本変形例は、実施形態1において、絵素電極130の液晶層300側の表面が、第三の共通電極の液晶層側の表面と同じ高さである形態である。このような形態とするには、第一の領域A1の厚みH1を調整すればよい。
【0084】
(変形例2)
実施形態1では、液晶層300に含まれる液晶分子としてΔεが負の値を有するものを用いるが、Δεが正の値を有するものであっても、実施形態1と同様の効果を発揮することができる。即ち本変形例は、実施形態1において、液晶層300に含まれる液晶分子としてΔεが正の値を有するものを用いる形態である。
【0085】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、段差部が絵素電極で覆われていることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。
【0086】
図7は本実施形態の液晶表示装置(及び液晶パネル10)の平面模式図である。図8は、図7のB-B’線を切断面とする断面模式図(B-B’線断面図)である。図7及び図8に示すように、本実施形態の液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は、互いに隣接する第一の絵素1PX及び第二の絵素2PXを含み、背面側から観察面側に向かって順に、第一の基板100と、液晶層300と、第二の基板200と、を備える。液晶表示装置1はまた、バックライト20を備える(図3参照)。液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は更に、第一の基板100と液晶層300との間に第一の配向膜401を備え、第二の基板200と液晶層300との間に第二の配向膜402を備える(図8参照)。
【0087】
本実施形態では、絵素電極130を配置した下層部材110の側面部110S(段差部110Sに該当する)も、絵素電極130で覆われている(図8参照)。即ち実施形態1では、絵素電極130は、下層部材110の上面のみに配置されていたが(図2参照)、本実施形態では、下層部材110の上面部だけでなく側面部110Sにも絵素電極130が配置されている(図8参照)。この場合、実施形態1よりも絵素間同士の横電界が更に強くなる(図9参照)。その影響により、絵素エッジに重畳する液晶層の液晶分子がより容易に配向できるようになり、実施形態1に比べて低電圧化することができるため、絵素エッジの透過率が更に向上する。図9は、本実施形態の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。図9では、絵素間に生じる横電界を表す矢印を、図5よりも太線で表現することで、この絵素間に生じる横電界が強いことを示している。
【0088】
ここで、断面視において、段差部110Sを覆う絵素電極130の下端と、下層部材110が有する第二の領域A2の液晶層300側の表面と、の、下層部材110の底面の法線方向の距離を、Jとすると(図8参照)、Jは、絵素間Pの横電界を実施形態1より強くする観点から、0nm以上、10nm以下であることが好ましい。特に好ましくは0nmである。即ち段差部110Sの全てが絵素電極130で覆われていることが特に好ましい。
【0089】
本実施形態では、段差部110Sは、断面視において、下層部材110の底面に対して斜めに設けられている。ここで、「断面視において、段差部が下層部材の底面に対して斜めに設けられる」とは、断面視において、下層部材の底面の法線方向と、段差部110Sとがなす角度α(段差部110Sのテーパー角度とも称す)が、0°を超えて85°未満であることを意味する。
【0090】
段差部110Sのテーパー角度αは、絵素間Pの電界がより水平にするという観点から、1°以上が好ましく、より好ましくは3°以上、更に好ましくは5°以上である。また、プロセスの制約および絵素間Pに縦電界を生じないようにする観点から、60°以下であることが好ましい。より好ましくは45°以下、更に好ましくは30°以下である。
【0091】
本実施形態の液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は、下記式(2-1)、(2-2)及び(2-3)を満たす。
y=(a2/G’)+b2 (2-1)
-0.066≦a2≦-0.013 (2-2)
0.81≦b2≦0.91 (2-3)
式中、yは、液晶層300への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。より詳細には、yは、〔(一対の偏光板をクロスニコルに配置した液晶表示装置1の電圧印加時(印加電圧=4.4~6V)の透過率/一対の偏光板をパラレルニコルに配置した液晶表示装置1の電圧無印加時(印加電圧=0V)の透過率)×100〕により求められる。a2は、係数を表す。G’は、第一の領域A1の厚みH1と第二の領域A2の厚みH2との差Gを、G=300nmで規格化したものを表す(敢えて数式にすれば、「G’=G/300」と表すこともできる。)。b2は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。より詳細には、b2は、〔(一対の偏光板をクロスニコルに配置した液晶表示装置1(但しG’は無限大)の電圧印加時(印加電圧=4.4~6V)の透過率/一対の偏光板をパラレルニコルに配置した液晶表示装置1(但しG’は無限大)の電圧無印加時(印加電圧=0V)の透過率)×100〕により求められる。
ここで、Gは、実用上、セル厚(3.0μm~10μm)と同等以上になることはないので、「G’が無限大(∞)であるとき」とは、実質的に、Gが、セル厚に等しい場合に該当する。なお、後述する実施例2では、Gが、セル厚の最低限の値である3.0μmである、すなわちG’=10の場合について、シミュレーションを行った(図28参照)。
【0092】
本実施形態の液晶表示装置においては、層間絶縁膜140の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜112の比誘電率εを変更しても、上記式(2-1)~(2-3)の関係式を満たすことができる。それゆえ、層間絶縁膜140の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜112の比誘電率εは、特に限定されるものではない。ゲート絶縁膜112及び層間絶縁膜140として、例えば実施形態1において上述したもの等が用いられる。
【0093】
本実施形態の液晶表示装置の製造方法は、上記(I)の(ii)GI形成工程以外は、実施形態1における液晶表示装置の製造方法と同じである。
【0094】
本実施形態の(ii)GI形成工程ではまず、ゲート絶縁膜の材料を塗布する際に、得られるデポ膜の厚みが大きくなるようにする(図10A参照)。即ち本工程でのデポ膜は、厚みの差Gの分だけ、通常のデポ膜よりも厚みが大きい。その後、ポジ型フォトレジストを塗布し、ハーフトーンのフォトマスク71を介した露光と現像を行うが、その際、フォトマスク71として、実施形態1よりもフォトマスク71の平面方向の幅(図中の左右方向の幅)が狭いものを用いる(図10B参照)。そして、フォトレジスト膜73をパターニング処理する(図10C参照)。次いで、フォトレジスト膜73を一部残した状態でエッチングするが、その際、エッチング時間を実施形態1よりも短くすることで、ゲート絶縁膜112に、テーパー部(段差部110S)を有し、かつ平面方向の幅が各絵素電極130よりも狭い領域を設けることができる(図10D参照)。その後、フォトレジスト膜73を剥離する(図10E参照)。これにより、後の通常プロセスにおいて、絵素電極130が、ゲート絶縁膜112の上面だけでなく、側面(即ち段差部110S)も覆うことになる。このようにして本実施形態のゲート絶縁膜112が形成される。得られたゲート絶縁膜112は、厚み差Gを有する(図10E参照)。図10A図10Eは、本実施形態でのゲート絶縁膜形成工程における各工程を説明するための図である。
【0095】
(実施形態3)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態2(及び1)と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、更に平坦化層を備えることを除いて、実施形態2と実質的に同じである。
【0096】
図11は本実施形態の液晶表示装置(及び液晶パネル10)の平面模式図である。図12は、図11のC-C’線を切断面とする断面模式図(C-C’線断面図)である。図11及び図12に示すように、本実施形態の液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は、互いに隣接する第一の絵素1PX及び第二の絵素2PXを含み、背面側から観察面側に向かって順に、第一の基板100と、液晶層300と、第二の基板200と、を備える。液晶表示装置1はまた、バックライト20を備える(図3参照)。液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は更に、第一の基板100と液晶層300との間に第一の配向膜401を備え、第二の基板200と液晶層300との間に第二の配向膜402を備える(図12参照)。
【0097】
第一の基板100は、液晶層300側に向かって順に、下層部材110と、第一の絵素1PX及び第二の絵素2PXの各々に対応して配置された第一の絵素電極131及び第二の絵素電極132と、層間絶縁膜140と、共通電極150と、平坦化層160と、を、備える。共通電極150には、複数の平行スリット150Sが設けられている。
【0098】
平坦化層(平坦化膜とも称す)160は、第一の配向膜401の下地を平坦化する機能を有する。平坦化膜160としては例えば、溶液法によって作成することができる有機絶縁膜を用いることが好ましい。その他、ゾルゲル法によって液体にすることができる、SiO、TiO等の酸化物やSiNx、SiNO等のシリコン系化合物等の無機絶縁膜を用いることもできる。なお後述するように、平坦化層160は、絶縁性を有するものであれば特に限定されない。即ち例えば、平坦化層160として、有機絶縁膜を用いることもできるし、SiNx膜等のPAS膜を用いることもできるし、SiO、SiNO、TiO等を含む無機絶縁膜を用いることもできる。但し、PAS膜(SiNx膜)が最も好適である。
【0099】
本実施形態では、第一の領域A1に配置された絵素電極130に重畳する共通電極(即ち第一の共通電極151及び第二の共通電極152)が、液晶層300側に突出しない(液晶層300側にはみ出さない)ように、平坦化層160の厚みQを調整することが好ましい。例えば、断面視において、段差部110Sを覆う絵素電極130の下端と、下層部材110が有する第二の領域A2の液晶層300側の表面と、の、下層部材110の底面の法線方向の距離を、Jとすると(図12参照)、関係式:(J+Q)≧H1を満たすことが好適である。具体的には、Qは、490~2000μmであることが好ましく、より好ましくは540~1800μmである。
【0100】
本実施形態では、実施形態2と同様に、絵素電極130を配置した下層部材110の段差部110Sも、絵素電極130で覆われている(図12参照)。この場合、実施形態1よりも絵素電極同士の横電界が更に強くなる(図13参照)。その結果、絵素エッジの透過率が更に向上する。図13は、本実施形態の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。図13では、絵素間に生じる横電界を表す矢印を、図5よりも太線で表現することで、この絵素間に生じる横電界が強いことを示している。
【0101】
一方、実施形態1及び2では、絵素電極130を、断面視において第三の共通電極153よりも液晶層300側に突出した位置に配置することで、絵素間同士の横電界を液晶層300に充分に届けることを可能にしている。だが本発明者らが更に検討を行ったところ、実施形態1及び2では、絵素電極130が配置された第一の領域A1が液晶層300に突出する(はみ出す)ため、この影響で液晶分子が散乱し、コントラスト(CRとも称す)が好適な範囲にならないことがあることを見出した(後述の実施例3を参照)。そこで本実施形態では、第一の基板100の作製工程において、(vii)共通電極形成工程の後に、(viii)平坦化膜形成工程を行うことによって、平坦化膜160を備える態様としており、これにより液晶表示装置のCRを向上させている。
【0102】
本実施形態の液晶表示装置の製造方法は、上記(i)において、(vii)共通電極形成工程の後に(viii)平坦化膜形成工程を行うこと以外は、実施形態2における液晶表示装置の製造方法と同じである。
【0103】
(viii)平坦化膜形成工程は、一般的な方法で行えばよい。例えば、(vii)共通電極形成工程で得た積層体の上面(即ちより具体的には、共通電極150又は層間絶縁膜140の上面)に平坦化膜の材料を塗布した後、ベークする(図14参照)。図14は、(viii)平坦化膜形成工程を経て得られる第一の基板の層構成を概念的に示す断面模式図である。
【0104】
(実施形態4)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、断面視において、層間絶縁膜140を用いて絵素電極の表面が第三の共通電極の液晶層側の表面よりも液晶層とは反対側に位置することを除いて、実施形態1と実質的に同じである。
【0105】
図15は本実施形態の液晶表示装置(及び液晶パネル10)の平面模式図である。図16は、図15のD-D’線を切断面とする断面模式図(D-D’線断面図)である。図15及び図16に示すように、本実施形態の液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は、互いに隣接する第一の絵素1PX及び第二の絵素2PXを含み、背面側から観察面側に向かって順に、第一の基板100と、液晶層300と、第二の基板200と、を備える。液晶表示装置1はまた、バックライト20を備える(図3参照)。液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は更に、第一の基板100と液晶層300との間に第一の配向膜401を備え、第二の基板200と液晶層300との間に第二の配向膜402を備える(図16参照)。
【0106】
第一の領域A1と第二の領域A2との厚みの差G(即ち、H1-H2)は、ソース配線120Sの膜厚以上であることが好ましい。これにより、ソース配線120S(及びソース電極)と絵素電極130との間とに生じる電界(例えば図17において破線で示される電界)が少なくなるため、後述するように絵素エッジの透過率が向上する。具体的には、100nm以上であることが好ましい。より好ましくは150nm以上、更に好ましくは200nm以上、特に好ましくは300nm以上である。層間絶縁膜による平坦化効果を得るために、Gは1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは800nm以下、更に好ましくは600nm以下である。
【0107】
本実施形態では、断面視において、絵素電極130の表面が、第二の領域A2に重畳する共通電極(第三の共通電極153)の液晶層300側の表面よりも、液晶層300とは反対側に位置する。このような構造とするために、第一の領域A1の厚みH1は、500nm以上であることが好適である。より好ましくは550nm以上である。また、2000nm以下であることが好ましい。より好ましくは1800nm以下である。
【0108】
第二の領域A2の厚みH2は、例えば、100nm以上、1900nm以下(但しH1未満)であることが好ましい。より好ましくは150nm以上、1650nm以下である。
【0109】
ここで、従来のFFS/V3モードでは、上述したように、各絵素内では同一極性でフリンジ電界がかかるため、液晶分子が配向してVT特性が生じる。一方、絵素間では、絵素ごとに極性が異なるために横電界が発生するものの、その横電界は共通電極にシールドされて、その横電界が液晶層へ影響を及ぼしにくい。更に本発明者らが検討を重ねたところ、従来のFFS/V3モードでは、図17中の破線で示すようなソース配線120S(及びソース電極)による電界影響を受けるために、横電界が液晶層へ与える影響がより小さくなることを見い出した(図17参照)。
【0110】
本実施形態でも、電極構造が逆転しない(COM/Pix)の構成を採るが、このような構成でも、絵素電極130を配置する第一の領域A1と、第二の領域A2とに厚みの差Gを設けることにより、ソース配線120S(及びソース電極)と絵素電極130との間とに生じる電界(例えば図17中、X2で示される電界)が、少なくなる又は無くなる。この場合、従来のFFS/V3モードよりも、絵素間の横電界が強くなるため(図18参照)、液晶層300に漏れ出す電界が強くなり、絵素エッジに重畳する液晶層の液晶分子がより容易に配向できるようになる。その結果、従来のFFS/V3モードに比べて低電圧化することができるため、絵素エッジの透過率が向上する。図17は、従来のFFS/V3モードの液晶表示装置で生じる電界を検討した図である。図18は、本実施形態の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。図18では、電界を表す矢印を、図17よりも太線で表現することで、電界が強いことを意味している。
【0111】
層間絶縁膜140は上述したように、導電膜同士を絶縁でき、かつ一定の比誘電率を有する膜であることが好ましい。具体的には、無機絶縁膜、有機絶縁膜、又は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層体が好適である。これらの詳細は上述した通りである。中でも、平坦化層160の具体例として上述した絶縁膜が好適である。即ち溶液法によって作成することができる有機絶縁膜や、ゾルゲル法によって液体にすることができる、SiO、TiO等の酸化物やSiNx、SiNO等のシリコン系化合物等の無機絶縁膜が好ましい。
【0112】
本実施形態の液晶表示装置の製造方法は、上記(I)の(vi)層間絶縁膜/保護膜形成工程以外は、実施形態1における液晶表示装置の製造方法と同じである。
【0113】
本実施形態の(vi)層間絶縁膜/保護膜形成工程では、層間絶縁膜を用いて平坦化処理を行う。即ち本実施形態の(vi)層間絶縁膜/保護膜形成工程は、「(vi)層間絶縁膜/保護膜/平坦化膜形成工程」と言い換えることができる。
【0114】
(vi)層間絶縁膜/保護膜/平坦化膜形成工程は、層間絶縁膜140を用いて平坦化処理を行う工程である。平坦化処理は一般的な方法で行えばよい。ここで、層間絶縁膜を形成する場合に通常よく用いられるCVD法等のドライ法による成膜ではなく、ウェット法による成膜を行うことが好ましい(図19参照)。図19は、(vi)層間絶縁膜/保護膜/平坦化膜形成工程を経て得られる第一の基板の層構成を概念的に示す断面模式図である。
【0115】
(実施形態5)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態4と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、段差部が絵素電極で覆われていることを除いて、実施形態4と実質的に同じである。
【0116】
図20は本実施形態の液晶表示装置(及び液晶パネル10)の平面模式図である。図21は、図20のE-E’線を切断面とする断面模式図(E-E’線断面図)である。図20及び図21に示すように、本実施形態の液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は、互いに隣接する第一の絵素1PX及び第二の絵素2PXを含み、背面側から観察面側に向かって順に、第一の基板100と、液晶層300と、第二の基板200と、を備える。液晶表示装置1はまた、バックライト20を備える(図3参照)。液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は更に、第一の基板100と液晶層300との間に第一の配向膜401を備え、第二の基板200と液晶層300との間に第二の配向膜402を備える(図21参照)。
【0117】
本実施形態では、絵素電極130を配置した下層部材110の側面部110S(段差部110S)も、絵素電極130で覆われている(図20参照)。即ち実施形態4では、絵素電極130は、下層部材110の上面のみに配置されていたが(図16参照)、本実施形態では、下層部材110の上面部だけでなく側面部110Sにも絵素電極130が配置されている(図21参照)。この場合、実施形態1よりも絵素電極同士の横電界が更に強くなる(図22参照)。その影響により、絵素エッジに重畳する液晶層の液晶分子がより容易に配向できるようになり、実施形態4に比べて低電圧化することができるため、絵素エッジの透過率が更に向上する。図22は、本実施形態の液晶表示装置で生じる電界について検討した図である。図22では、電界を表す矢印を、図17よりも太線で表現することで、電界が強いことを意味している。
【0118】
ここで、断面視において、段差部110Sを覆う絵素電極130の下端と、下層部材110が有する第二の領域A2の液晶層300側の表面と、の、下層部材110の底面の法線方向の距離を、Jとすると(図21参照)、Jは、絵素間Pの横電界を実施形態1より強くする観点から、0nm以上、10nm以下であることが好ましい。特に好ましくは0nmである。即ち段差部110Sの全てが絵素電極130で覆われていることが特に好ましい。
【0119】
本実施形態では、段差部110Sは、断面視において、下層部材110の底面に対して斜めに設けられている。段差部110Sのテーパー角度は、絵素間Pの電界がより水平に近くするという観点から、1°以上が好ましく、より好ましくは3°以上、更に好ましくは5°以上である。また、プロセスの制約および絵素間Pに縦電界を生じないようにする観点から、60°以下であることが好ましい。より好ましくは45°以下、更に好ましくは30°以下である。
【0120】
本実施形態の液晶表示装置1(及び液晶パネル10)は、下記式(3-1)、(3-2)及び(3-3)を満たす。
y=(a3/G’)+b3 (3-1)
-0.072≦a3≦-0.022 (3-2)
0.79≦b3≦0.91 (3-3)
式中、yは、液晶層300への印加電圧を4.4~6Vとしたときのモード透過率(%)を表す。より詳細には、yは、〔(一対の偏光板をクロスニコルに配置した液晶表示装置1の電圧印加時(印加電圧=4.4~6V)の透過率/一対の偏光板をパラレルニコルに配置した液晶表示装置1の電圧無印加時(印加電圧=0V)の透過率)×100〕により求められる。a3は、係数を表す。G’は、第一の領域A1の厚みH1と第二の領域A2の厚みH2との差Gを、G=300nmで規格化したものを表す(敢えて数式にすれば、「G’=G/300」と表すこともできる。)。b3は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。より詳細には、b3は、〔(一対の偏光板をクロスニコルに配置した液晶表示装置1(但しG’は無限大)の電圧印加時(印加電圧=4.4~6V)の透過率/一対の偏光板をパラレルニコルに配置した液晶表示装置1(但しG’は無限大)の電圧無印加時(印加電圧=0V)の透過率)×100〕により求められる。
ここで、Gは、実用上、セル厚(3.0μm~10μm)と同等以上になることはないので、「G’が無限大(∞)であるとき」とは、実質的に、Gが、セル厚に等しい場合に該当する。なお、後述する実施例5では、Gが、セル厚の最低限の値である3.0μmである場合について、すなわちG’=10の場合についてシミュレーションを行った(図39参照)。
【0121】
本実施形態の液晶表示装置においては、層間絶縁膜140の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜112の比誘電率εを変更しても、上記式(3-1)~(3-3)の関係式を満たすことができる。それゆえ、層間絶縁膜140の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜112の比誘電率εは、特に限定されるものではない。ゲート絶縁膜112及び層間絶縁膜140としては、例えば実施形態1において上述したもの等が用いられる。
【0122】
本実施形態の液晶表示装置の製造方法は、上記(I)の(ii)GI形成工程以外は、実施形態4における液晶表示装置の製造方法と同じである。本実施形態の(ii)GI形成工程は、実施形態2の(ii)GI形成工程と同様に行う。
【0123】
以上、本発明の実施形態について説明したが、説明された個々の事項は、すべて本発明全般に対して適用され得るものである。
【0124】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、シミュレーションにはExpertLCD(LinkGlobal21社製の3D-LCDシミュレータ)を用いた。
【0125】
(実施例1)
本例の液晶表示装置は、上記実施形態1の液晶表示装置に対応する(図1図6E参照)。本例の液晶表示装置の一例として、液晶層300が含む液晶分子としてΔε=-3.4であるものを用い、層間絶縁膜140をPAS膜(SiNx膜)で構成した例について、VT特性をシミュレーションした(図23図25参照)。表1に、液晶印加電圧=5V、G=500nmである場合の、モード透過率及びCRを示す。
【0126】
図23は、Gを500nmとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図24は、Gによるモード透過率への影響を検討するために、Gを100nm、200nm、300nm、400nm及び500nmそれぞれとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図25は、液晶印加電圧を4.4V、5V及び6Vそれぞれにしたときの、モード透過率と、(1/G‘)との関係性を表すグラフである。図23及び図24には、比較例1として、従来のFFS/V3モードの液晶表示装置についてのシミュレーション結果を併記した。
【0127】
図23より、同じモード透過率を得るには、比較例1に比べて実施例1では、約0.2V以上も低電圧でよいことが分かる。また、液晶印加電圧=5Vである場合には、比較例1に比べて実施例1では、モード透過率が約15%も向上したことが確認できる。更に図24より、厚みの差Gが大きくなると、より低電圧駆動を実現できることが分かる。
【0128】
図25より、モード透過率yとG’との関係を検討すると、下記式(1-1):
y=(a1/G’)+b1 (1-1)
(式中、yは、モード透過率(%)を表す。b1は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。)で表される関係にあることが確認できる。具体的には、液晶印加電圧(液晶層300への印加電圧)が5Vである場合、傾きa1=-0.05であり、b1=0.86であることが分かった(図25参照)。一方で、液晶印加電圧ごとに係数等が変化する。本実施例の場合、FFS/V3モードの構造で白電圧としてよく使用される電圧範囲(4.4~6V)で算出すると、-0.070≦a1≦-0.018であり、かつ0.75≦b1≦0.91となることも分かった(図25参照)。
【0129】
ここで、PAS膜の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜(GI)の比誘電率εを変更しても、上記式(1-1)~(1-3)の範囲内にあるため、これらの条件が特に限定されないことも分かった。そのため、例えば、ゲート絶縁膜(GI)として有機絶縁膜を用いたり、PAS膜をSiO、SiNO、TiO等に変更したりしても、特に差し支えない。また、シミュレーションでは、液晶分子としてΔεが負のものを用いたが、Δεが正のものでも同様の効果が生じることも確認した。
【0130】
(実施例2)
本例の液晶表示装置は、上記実施形態2の液晶表示装置に対応する(図3及び図7図10E参照)。本例の液晶表示装置の一例として、液晶層300が含む液晶分子としてΔε=-3.4であるものを用い、層間絶縁膜140をPAS膜(SiNx膜)で構成した例について、VT特性をシミュレーションした(図26図30参照)。表1に、液晶印加電圧=5V、G=500nm、J=0nm、α=10°である場合の、モード透過率及びCRを示す。
【0131】
図26は、Gを500nmとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図27は、Gによるモード透過率への影響を検討するために、Gを100nm、200nm、300nm、400nm及び500nmそれぞれとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図28は、液晶印加電圧を4.4V、5V及び6Vそれぞれにしたときの、モード透過率と、(1/G’)との関係性を表すグラフである。図26には、比較例1及び実施例1のシミュレーション結果を併記し、図27には比較例1のシミュレーション結果を併記した。なお、図26図28では、J=0nm、α=5°とした。
【0132】
図29は、モード透過率へのJの影響を検討するために、Gを500nm、Jを0~400nmとし、液晶印加電圧を5Vとしたときのモード透過率を表すグラフである。図30は、モード透過率へのテーパー角度αの影響を検討するために、Gを500nm、Jを0nm、α=0~30°とし、液晶印加電圧を5Vとしたときのモード透過率を表すグラフである。
【0133】
図26より、同じモード透過率を得るには、比較例1に比べて実施例1では、約0.2V以上も低電圧でよいことが分かる。また、液晶印加電圧=5Vである場合には、実施例1に比べて実施例2では、モード透過率が約4%も向上したことが確認できる。更に図27より、厚みの差Gが大きくなると、より低電圧駆動を実現できることが分かる。
【0134】
図28より、モード透過率yとG’との関係を検討すると、下記式(2-1):
y=(a2/G’)+b2 (2-1)
(式中、yは、モード透過率(%)を表す。b2は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。)で表される関係にあることが確認できる。具体的には、液晶印加電圧(液晶層300への印加電圧)が5Vである場合、傾きa2=-0.043であり、b2=0.89であることが分かった(図28参照)。一方で、液晶印加電圧ごとに係数等が変化する。本実施例の場合、FFS/V3モードの構造で白電圧としてよく使用される電圧範囲(4.4~6V)で算出すると、-0.073≦a2≦-0.018であり、かつ0.77≦b2≦0.91となることも分かった(図28参照)。
【0135】
本例でも、PAS膜の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜(GI)の比誘電率εを変更しても、上記式(2-1)~(2-3)の範囲内にあるため、これらの条件が特に限定されないことも分かった。そのため、例えば、ゲート絶縁膜(GI)として有機絶縁膜を用いたり、PAS膜をSiO、SiNO、TiO等に変更したりしても、特に差し支えない。また、シミュレーションでは、液晶分子としてΔεが負のものを用いたが、Δεが正のものでも同様の効果が生じることも確認した。
【0136】
図29より、Jを0~400nmの範囲内で変更しても、モード透過率は0.5%以内の差しか生じないことが分かる。図30より、αを0~30°の範囲内で変更しても、モード透過率は1%以内の差しか生じないことが分かる。従って、J及びαは、これらの範囲内であれば特に限定されないことが分かった。なお、α=10°のときにモード透過率が最も高い(図30参照)。
【0137】
(実施例3)
本例の液晶表示装置は、上記実施形態3の液晶表示装置に対応する(図3及び図11図14参照)。本例の液晶表示装置の一例として、液晶層300が含む液晶分子としてΔε=-3.4であるものを用い、層間絶縁膜140をPAS膜(SiNx膜)で構成し、平坦化層160をPAS膜(SiNx膜;比誘電率ε=6.9)で構成した例について、VT特性をシミュレーションした(図31図33参照)。表1に、液晶印加電圧=5V、G=500nm、Q=500nm、α=5°である場合の、モード透過率及びCRを示す。
【0138】
図31は、モード透過率への平坦化層160の厚みQによる影響を検討するために、Qを0nm、100nm、300nm及び500nmそれぞれとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図32は、液晶印加電圧が5Vである場合の、モード透過率又はコントラスト(CR)と、Qとの関係を示すグラフである。図33は、モード透過率への平坦化層160の違いによる影響を検討するために、平坦化層160として比誘電率εが約3~15のものを用い、液晶印加電圧=5Vとしたときのモード透過率を表すグラフである。
【0139】
図31より、Qが大きくなるほど高電圧駆動になること、図32のモード透過率(左の縦軸)とQとの関係を示すグラフより、5Vでのモード透過率は、Qが大きくなるほど低くなること、が分かる。一方、図32のCR(右の縦軸)とQとの関係を示すグラフより、Qを大きくする、即ち平坦化層160により平坦化することによって、CRが徐々に向上することが分かる。
【0140】
図31及び図32では、平坦化層160としてPAS膜(SiNx膜;比誘電率ε=6.9)を使用した場合について検討したが、図33では、平坦化層160の材料を異ならせた場合にモード透過率がどうなるかを検討した。図33より、平坦化層160として比誘電率εが約3~15の範囲内のものを用いても、モード透過率は約1%以内の差しか生じないことが分かる。従って平坦化層160としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されないことが分かった。なお、平坦化層160として比誘電率ε=6.9であるもの、即ちPAS膜(SiNx膜)を用いた場合にモード透過率が最も高い(図33参照)。
【0141】
(実施例4)
本例の液晶表示装置は、上記実施形態4の液晶表示装置に対応する(図3及び図15図19参照)。本例の液晶表示装置の一例として、液晶層300が含む液晶分子としてΔε=-3.4であるものを用い、層間絶縁膜140をPAS膜(SiNx膜)で構成し、ソース膜厚(ソース配線120Sの厚み)を175nmとした例について、VT特性をシミュレーションした(図34図36参照)。表1に、液晶印加電圧=5V、G=300nmである場合の、モード透過率及びCRを示す。
【0142】
図34は、Gを300nmとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図35は、Gによるモード透過率への影響を検討するために、Gを100nm、200nm、300nm、400nm及び500nmそれぞれとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図36は、液晶印加電圧を4.4V、5V及び6Vそれぞれにしたときの、モード透過率と、Gとの関係性を表すグラフである。図34及び図35には、比較例1のシミュレーション結果を併記した。
【0143】
図34より、同じモード透過率を得るには、比較例1に比べて実施例4では、約0.3V以上も低電圧でよいことが分かる。また、液晶印加電圧が5Vである場合には、比較例1に比べて実施例4では、モード透過率が約9%も向上したことが確認できる。更に図35より、Gが大きくなると、より低電圧駆動を実現できることが分かる。特にGが200nm以上ではこの点が顕著である。即ち図36に示すように、Gが、ソース膜厚(図36中の四角内に該当する。)を超えると、ソース配線120S(及びソース電極)と絵素電極130との間の電界がなくなるために、透過率が向上すると考えられる。
【0144】
ここで、Gが200nm以上では低電圧駆動になり、モード効率が向上するのはPAS膜の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜(GI)の比誘電率εを変更しても維持されており、これらの条件が特に限定されないことも分かった。そのため、例えば、ゲート絶縁膜(GI)として有機絶縁膜を用いたり、PAS膜をSiO、SiNO、TiO等に変更したりしても、特に差し支えない。また、シミュレーションでは、液晶分子としてΔεが負のものを用いたが、Δεが正のものでも同様の効果が生じることも確認した。
【0145】
(実施例5)
本例の液晶表示装置は、上記実施形態5の液晶表示装置に対応する(図3及び図20図22参照)。本例の液晶表示装置の一例として、液晶層300が含む液晶分子としてΔε=-3.4であるものを用い、層間絶縁膜140をPAS膜(SiNx膜)で構成し、ソース膜厚(ソース配線120Sの厚み)を175nmとした例について、VT特性をシミュレーションした(図37図41参照)。表1に、液晶印加電圧=5V、G=500nm、J=0nm、α=0°である場合の、モード透過率及びCRを示す。
【0146】
図37は、Gを500nmとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図38は、Gによるモード透過率への影響を検討するために、Gを100nm、200nm、300nm、400nm及び500nmそれぞれとし、液晶印加電圧を0~6VとしたときのVT特性を表すグラフである。図39は、液晶印加電圧を4.4V、5V及び6Vそれぞれにしたときの、モード透過率と、(1/G’)との関係性を表すグラフである。図37には、比較例1及び一部の実施例のシミュレーション結果を併記し、図38には比較例1のシミュレーション結果を併記した。なお、図37図39では、J=0nm、α=5°とした。
【0147】
図40は、モード透過率へのJの影響を検討するために、Gを500nm、Jを0~400nmとし、液晶印加電圧を5Vとしたときのモード透過率を表すグラフである。図41は、モード透過率へのテーパー角度αの影響を検討するために、G=500nm、J=0nm、α=0~30°、液晶印加電圧=5Vとしたときのモード透過率を表すグラフである。
【0148】
図37より、同じモード透過率を得るには、実施例4に比べて実施例5では、約0.2V以上も低電圧でよいことが分かる。また、液晶印加電圧=5Vである場合には、実施例1に比べて実施例5では、モード透過率が約4%も向上したことが確認できる。更に下記表1より、実施例5では、実施例2よりも透過率がやや低くなるものの、平坦化層160により平坦化することによって、CRが2倍も向上されることが分かった。図38より、厚みの差Gが大きくなると、より低電圧駆動を実現できることが分かる。
【0149】
図39より、モード透過率yとG’との関係を検討すると、下記式(3-1):
y=(a3/G’)+b3 (3-1)
(式中、yは、モード透過率(%)を表す。b3は、G’が無限大(∞)であるときのモード透過率(%)を表す。)で表される関係にあることが確認できる。具体的には、液晶印加電圧(液晶層300への印加電圧)が5Vである場合、傾きa3=-0.052であり、b3=0.87であることが分かった(図39参照)。一方で、液晶印加電圧ごとに係数等が変化する。本実施例の場合、FFS/V3モードの構造で白電圧としてよく使用される電圧範囲(4.4~6V)で算出すると、-0.072≦a3≦-0.022であり、かつ0.79≦b3≦0.91となることも分かった(図39参照)。
【0150】
本例でも、PAS膜の膜厚及び比誘電率ε、並びに、ゲート絶縁膜(GI)の比誘電率εを変更しても、上記式(3-1)~(3-3)の範囲内にあるため、これらの条件が特に限定されないことも分かった。そのため、例えば、ゲート絶縁膜(GI)として有機絶縁膜を用いたり、PAS膜をSiO、SiNO、TiO等に変更したりしても、特に差し支えない。また、シミュレーションでは、液晶分子としてΔεが負のものを用いたが、Δεが正のものでも同様の効果が生じることも確認した。
【0151】
図40より、Jを0~400nmの範囲内で変更しても、モード透過率は1%以内の差しか生じないことが分かる。図41より、αが0~20°の範囲内では、モード透過率は1%以内の差しか生じないことが分かる。従って、J及びαは、これらの範囲内であれば特に限定されないことが分かった。なお、α=約1°のときにモード透過率が最も高い(図41参照)。
【0152】
参考例1
本例の液晶表示装置は、従来のFFS/V2モードの液晶表示装置に対応する(図42参照)。本例の液晶表示装置は、第一の基板100が図42で示される構成からなること以外は、実施例1の液晶表示装置と同じ構成とする。図42中、共通電極150Rと絵素電極130Rとの間に配置された絶縁膜141Rは、PAS膜(SiNx膜)で構成し、共通電極150Rとソース配線120Sとの間に配置された絶縁膜142Rは、有機絶縁膜で構成し、ゲート絶縁膜112Rは、実施例1におけるゲート絶縁膜112と同じ材料で構成する。この液晶表示装置について、VT特性をシミュレーションした(図示せず)。表1に、液晶印加電圧=5Vである場合のモード透過率及びCRを示す。
【0153】
比較例1
本例の液晶表示装置は、従来のFFS/V3モードの液晶表示装置に対応する(図43参照)。本例の液晶表示装置は、第一の基板100が図43で示される構成からなること以外は、実施例1の液晶表示装置と同じ構成とする。図43中、絵素電極130Rと共通電極150Rとの間に配置された絶縁膜140Rは、実施例1の層間絶縁膜140と同じ材料で構成する。この液晶表示装置について、VT特性をシミュレーションした(図23図24図26図27図34図35図37及び図38参照)。表1に、液晶印加電圧=5Vである場合のモード透過率及びCRを示す。
【0154】
【表1】
【0155】
表1より次の事項を確認した。
比較例1は、電極構造が、観察面側から背面側に向かって順に、共通電極、絵素電極という構成(COM/Pix)を採るのに対し、実施例1及び2は、絵素間に配置された第三の共通電極153と絵素電極130との関係では、観察面側から順に絵素電極、共通電極という構成(Pix/COM)の電極構造を採る。この実施例1及び2では、絵素間に横電界を走らせることができるため、高い透過率を示すことが分かる。また実施例3は、コントラスト(CR)向上のために、実施例2において共通電極150を形成した後に平坦化層160を設けることで、黒輝度の改善を目指した例である。この実施例3では、CRが著しく向上した一方で、絵素間の横電界が減るために実施例1及び2に比べて透過率が低くなる。即ち透過率とCRとはトレードオフの関係にあることが分かる。
【0156】
実施例4及び実施例5は、このトレードオフを解決するために考案した例である。実施例4は、電極構造は比較例1と同じ(COM/Pix)の構成を採るが、絵素電極130を配置する第一の領域A1と、配置しない第二の領域A2とに厚みの差Gを設けた例である。この場合、上述した通りソース配線120S(及びソース電極)と絵素電極130との間とに生じる電界が少なくなり、絵素間の横電界が強くなるため、よって透過率が向上する。実施例5は、実施例4から更に絵素間の横電界を強くした例である。実施例5は、実施例2と同じく段差部110Sが絵素電極130で覆われている例であるが、実施例5では実施例2に比べて透過率はやや低いものの、CRを2倍向上することに成功した。
【0157】
以上に示した本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0158】
1 :液晶表示装置
1PX、2PX:絵素
10 :液晶パネル
20 :バックライト
71 :フォトマスク
72 :現像で剥離するフォトレジスト膜
73 :フォトレジスト膜
100 :基板
110、110R:下層部材
110S :段差部
111 :支持基板
112、112R:ゲート絶縁膜
120S :ソース配線
120SC:薄膜半導体層
120D :ドレイン電極
120G :ゲート配線
130、131、132、130R:絵素電極
140、140R、141R、142R:層間絶縁膜
150、151、152、153、150R:共通電極
150S :スリット
160 :平坦化層
200 :基板
210 :支持基板
220 :ブラックマトリクス層
230 :カラーフィルタ層
230B :青色カラーフィルタ
230G :緑色カラーフィルタ
230R :赤色カラーフィルタ
240 :オーバーコート層
300 :液晶層
400、401、402:配向膜
A1 :第一の領域
A2 :第二の領域
G :第一の領域の厚みと上記第二の領域の厚みとの差
H1 :第一の領域の厚み
H2 :第二の領域の厚み
J :段差部を覆う絵素電極の下端と、第二の領域の液晶層側の表面と、の、下層部材の底面の法線方向の距離
P :絵素間(絵素エッジ)
Q :平坦化層の厚み
α :段差部のテーパー角度


図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43