(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010856
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】アジャスト式製袋器
(51)【国際特許分類】
B65B 9/06 20120101AFI20240118BHJP
B65B 59/02 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65B9/06
B65B59/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112405
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】菊本 悠
【テーマコード(参考)】
3E050
3E056
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050DC02
3E056AA02
3E056CA01
3E056DA01
3E056EA05
3E056FH20
3E056GA03
3E056HA05
(57)【要約】
【課題】 簡単な構成、作業で移動ガイド板と連結部材を連結したり、分離したりすることができるアジャスト式製袋器を提供する
【構成】 製袋器の底部を構成する左右一対の固定ガイド板2と、製袋器の中心線に対して前後進移動する左右一対の移動ガイド板5と、それらを連結する連結部材10を有する。移動ガイド板は、連結部材の一端に備えた第1連結片14を挿入するための下端先細りのすり鉢状の孔部20を有し、その孔部20の円周方向の一部に切欠き部21を備える。移動ガイド板の下方側から連結部材の第1連結片の端部14aを切欠き部に合わせた状態で孔部内に挿入させ、その挿入させた状態で第1連結片を孔部内で回転させ切欠き部の設置エリアから外れることで連結片の両端が孔部から離脱が抑止されるように構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装フィルム及び製品の搬送方向に沿って中心線で2分割され、製袋器の底部を構成する左右一対の固定ガイド板と、
前記中心線に対して前後進移動する左右一対の移動ガイド板と、
前記中心線に対して左右の同じ側に配置される前記固定ガイド板と前記移動ガイド板を連結する連結部材とを有し、
前記固定ガイド板と前記移動ガイド板の搬入側縁は、前記搬送方向に対して傾斜する傾斜辺とするとともに、前記移動ガイド板は、その傾斜辺の傾斜方向に沿って前後進移動するようにし、
前記固定ガイド板は、前記傾斜辺及び前記中心線側の側縁に沿って形成された帯状のガイド孔を設け、
前記移動ガイド板に、前記連結部材の一端を回転自在に連結するとともに、その連結部材の他端を前記ガイド孔に挿入し、前記移動ガイド板の前後進移動に追従して前記連結部材の他端が前記ガイド孔内を相対移動することにより、その連結部材は前記一端を中心に回転するように構成した製袋器であって、
前記連結部材の前記一端は、平板状の本体部の側縁側を折り曲げて形成される帯状の連結片を有し、
前記移動ガイド板の所定位置に、前記連結片を着脱可能で前記回転自在に連結するための孔部を設け、
前記孔部は、上面側の開口部の内寸法より下面側の開口部の内寸法を小さくし、前記下面側の開口部の内周縁の一部に切欠き部を有し、
前記移動ガイド板の下方側から前記連結部材の前記連結片の端部を前記切欠き部に合わせた状態で前記連結片を前記孔部内に挿入させ、その挿入させた状態で前記連結片を前記孔部内で回転させ前記切欠き部の設置エリアから外れると前記連結片の両端が前記孔部から離脱が抑止されるように構成するアジャスト式製袋器。
【請求項2】
前記連結片は、前記本体部の側縁側に設けた接続片の先端側に設け、
その接続片を折り返して前記連結片と前記本体部との間に隙間が形成されるように構成する請求項1に記載のアジャスト式製袋器。
【請求項3】
前記孔部の内周面は、下方に行くほど内寸法が小さくなる傾斜面状に構成する請求項1に記載のアジャスト式製袋器。
【請求項4】
前記切欠き部は、周方向の1箇所に設ける請求項1に記載のアジャスト式製袋器。
【請求項5】
前記移動ガイド板の前後進移動にともなう前記連結部材の回転範囲内では、前記連結片の端部が前記切欠き部の設置エリアに位置しないように構成する請求項1~4のいずれか1項に記載のアジャスト式製袋器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジャスト式製袋器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピロー包装機は、連続して引き出す帯状の包装フィルムをその引き出し途中で筒状に成形して筒状の包装フィルムを形成し、その筒状の包装フィルム内に製品を順次供給するようにしている。そして、係る帯状の包装フィルムを筒状に形成するのに製袋器が用いられる。
【0003】
この製袋器は、帯状の包装フィルムを筒状に成形すべく各種の態様があり、所定形状のガイド部材の内周面に沿わすように包装フィルムを通過させることで筒状に形成する。そして、製袋器の寸法形状は、包装体つまり製品の寸法形状によって適宜変更される。そこで、汎用性を持たせるために、幅方向と高さ方向の少なくとも一方の変更を可能としたアジャスト式製袋器も種々開発されており、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0004】
この特許文献1に開示されたアジャスト式製袋器は、製袋器に対して包装フィルムを上方側から供給し、包装フィルムの両側端縁部を製袋器の下側で重合させる正型ピロー包装機に適用するもので、搬送方向に沿った中心線で2分割され、製袋器の底部を構成する一対の固定ガイド板に重なるように移動ガイド板を配置し、両ガイド板の搬入側縁の傾斜辺を同一直線状に位置させ、移動ガイド板をその傾斜辺の傾斜方向に沿って前後進移動するようにする。固定ガイド板には、傾斜辺及び中心線側の側縁に沿って形成された帯状のガイド孔を設け、連結部材の一端を移動ガイド板に回転自在に連結し、連結部材の他端をガイド孔に結合させる。移動ガイド板が中心線から離れる方向に移動し、固定ガイド板から離れると、回転した連結部材の側縁が、両ガイド板の傾斜辺を結ぶ線上に位置し、搬入側が連続した1本のガイド線部を構成している。
【0005】
また、連結部材は、移動ガイド板の下面側に配置され、移動ガイド板の傾斜辺近くを包装フィルムが通過するため、移動ガイド板の下面よりも下方に大きく突出する部位を設けることはできない。そのため、連結部材の一端を移動ガイド板に回転自在に連結する構造は、ネジ止めはできないため、溶接を利用して回転軸部分が上下に突出しないように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
使用に伴い移動ガイド板が摩耗した場合、部品交換が必要となるが、移動ガイド板と連結部材とが溶接構造のため、分解不可となり連結部材も一緒に交換することになる。さらに実際には、連結部材と固定ガイド板も分解不可の構造をとっているため、3つの部品(移動ガイド、連結部材、固定ガイド)を一体に交換する必要がある。
【0008】
そして、使用に伴い摩耗が進むのは移動ガイド板であるため、摩耗していない或いは摩耗がさほど進んでおらず正常に使用できる連結部材等も交換することになり、資源の無駄遣いを招くことになり好ましくない。また、交換対象の部品が大きくなり、作業空間も大きく確保し、相対位置が変化する複数部品を一括で着脱することが煩雑であり、捻子止めしている部分の取り外しなど工具が必要な場合があり、作業性が悪く、また、交換部品の保管も煩雑であるという課題を招く場合がある。
【0009】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明のアジャスト式製袋器は、(1)包装フィルム及び製品の搬送方向に沿って中心線で2分割され、製袋器の底部を構成する左右一対の固定ガイド板と、前記中心線に対して前後進移動する左右一対の移動ガイド板と、前記中心線に対して左右の同じ側に配置される前記固定ガイド板と前記移動ガイド板を連結する連結部材とを有し、前記固定ガイド板と前記移動ガイド板の搬入側縁は、前記搬送方向に対して傾斜する傾斜辺とするとともに、前記移動ガイド板は、その傾斜辺の傾斜方向に沿って前後進移動するようにし、前記固定ガイド板は、前記傾斜辺及び前記中心線側の側縁に沿って形成された帯状のガイド孔を設け、前記移動ガイド板に、前記連結部材の一端を回転自在に連結するとともに、その連結部材の他端を前記ガイド孔に挿入し、前記移動ガイド板の前後進移動に追従して前記連結部材の他端が前記ガイド孔内を相対移動することにより、その連結部材は前記一端を中心に回転するように構成した製袋器であって、前記連結部材の前記一端は、平板状の本体部の側縁側を折り曲げて形成される帯状の連結片を有し、前記移動ガイド板の所定位置に、前記連結片を着脱可能で前記回転自在に連結するための孔部を設け、前記孔部は、上面側の開口部の内寸法より下面側の開口部の内寸法を小さくし、前記下面側の開口部の内周縁の一部に切欠き部を有し、前記移動ガイド板の下方側から前記連結部材の前記連結片の端部を前記切欠き部に合わせた状態で前記連結片を前記孔部内に挿入させ、その挿入させた状態で前記連結片を前記孔部内で回転させ前記切欠き部の設置エリアから外れると前記連結片の両端が前記孔部から離脱が抑止されるように構成する。
【0011】
このように構成すると、移動ガイド板と連結部材は、回転自在に連結された状態で連結部材ひいては連結片を所定角度回転させてその端部を移動ガイド板に設けた孔部の切欠き部に合わせることで、連結片を孔部から離脱させることができ、移動ガイド板と連結部材を分離することができる。よって、例えば使用に伴い移動ガイド板が摩耗して交換が必要になった場合、移動ガイド板のみを取り外し、新たな移動ガイド板を連結部材に取り付けることで、移動ガイド板のみの交換が行える。
【0012】
(2)前記連結片は、前記本体部の側縁側に設けた接続片の先端側に設け、その接続片を折り返して前記連結片と前記本体部との間に隙間が形成されるように構成するとよい。このようにすると、連結片と本体部の間に形成される隙間に、孔部の下方側の内周部分を位置させることで、上下で挟み込んだ態様となり、例えば連結部材が移動ガイド板に対して相対的に上下方向に移動するようなことがあっても安定して連結状態を維持できる。
【0013】
(3)前記孔部の内周面は、下方に行くほど内寸法が小さくなる傾斜面状に構成するとよい。このようにすると、例えば連結片及びまたは孔部の寸法にばらつきがあっても、連結片を孔部内に挿入した状態で連結片を孔部の内周面に接触させ、離脱を抑止させることができる。傾斜面状は、実施形態のすり鉢状のように上端から下端に至る全範囲で傾斜角度が同じ直線状のものとすると、加工が容易で好ましいが、これに限ることはなく、例えば上下方向で傾斜角度が変わる曲線状するものなど各種の形態をとるとよい。
【0014】
(4)前記切欠き部は、周方向の1箇所に設けるとよい。このようにすると、連結片を孔部に着脱する位置が、360度範囲内で一箇所となるので不用意に連結部材と移動ガイド板が離脱するのを抑止できる。
【0015】
(5)前記移動ガイド板の前後進移動にともなう前記連結部材の回転範囲内では、前記連結片の端部が前記切欠き部の設置エリアに位置しないように構成するとよい。このようにすると、通常の運転中では、移動ガイド板の離反が抑止され、例えば運転停止し所定角度以上回転することで移動ガイド板の交換作業を行える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構成、作業で移動ガイド板と連結部材を連結したり、分離したりすることができ、移動ガイド板が損傷して交換する場合、移動ガイド板のみ部品交換をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るアジャスト式製袋器の好適な一実施形態を示す平面図である。
【
図2】片側の移動ガイド板と固定ガイド板とそれらを接続する連結部材を示す平面図で、(a)は移動ガイド板を外側に移動した状態を示す図であり、(b)は移動ガイド板を中心線側に移動した状態を示す図である。
【
図3】(a)は移動ガイド板を示す平面図であり、(b)は(a)図におけるB-B線矢視断面である。
【
図4】(a)は移動ガイド板を示す正面図であり、(b)は(a)図におけるA-A線矢視拡大断面である。
【
図5】(a)は連結部材を折り曲げ加工する前の展開状態を示す斜視図であり、(b)は連結部材を示す斜視図であり、(c)は折り曲げ加工される第1接続片及び第1連結片の部分を示す拡大斜視図である。
【
図6】連結部材と移動ガイド板の連結部分を示す平面図である。
【
図7】(a)は連結部材の一端側の第1連結片を、移動ガイド板の水平部位に設けた孔部に挿入した状態を示す斜視図であり、(b)は連結部分を示す拡大斜視図である。
【
図8】(a)は連結部材の一端側の第1連結片を、移動ガイド板の水平部位に設けた孔部に挿入して所定角度回転した状態を示す斜視図であり、(b)は連結部分を示す拡大断面図である。
【
図9】連結部材と移動ガイド板の着脱工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
図1は、本発明に係るアジャスト式製袋器の好適な一実施の形態を示している。同図に示すように、包装フィルム及び製品(図示省略)の搬送面と同一平面上であって、その搬送方向に沿って製袋器1の底面を構成する2枚の固定ガイド板2,2が平行に配置されている。この固定ガイド板2,2は、搬送方向の中心線CLを基準として線対称となるように略同一形状からなる。具体的には、製袋器1の底面部分となり水平面上に配置されるフィルム受け面と、そのフィルム受け面の先端縁2a側(搬送方向すなわち製袋器の中心線CL側)の側縁に連続し下方に向けて90度折曲されたガイド面(図示省略)を有している。そして、一対の固定ガイド板2,2のガイド面の間には隙間Sが形成され、この隙間S内に帯状の包装フィルムの両側縁が挿入され、重合されるように構成される。
【0020】
また、固定ガイド板2の搬入側(フィルム,製品の進行方向後側)は、傾斜辺2bとなっており、2つの固定ガイド板2,2の傾斜辺2bにより、進行方向前方に行くにしたがって中央にせり出て行くV字状のガイドが形成される。これにより、包装フィルムはその傾斜辺2bからなるガイドに案内されて包装フィルムの両側縁がガイド面間の隙間内に導かれるとともに、フィルム受け面に接する。なお、この固定ガイド板2,2の基端側(フィルム進行方向外側)には、外側に向けて突出する突片2cが設けられ、この突片2cの部分にてボルト締めして機枠に固定される。
【0021】
これら各固定ガイド板2に対し、それぞれ移動ガイド板5が移動自在に取り付けられる。本実施形態では、移動ガイド板5は、固定ガイド板2の上面に置かれた状態となる。そして、移動ガイド板5の形状は、包装フィルムの搬送方向の外側が起立したL字型プレートからなり、水平部位5aが包装フィルムの搬送面を構成する。また、水平部位5aと直交するように起立した垂直部位5bには、側壁6が連結される。製袋器に供給される帯状の包装フィルムは、移動ガイド板5のL字プレートの内面に沿って折り曲げられ、移動ガイド板5の垂直部位5bや側壁6の内面にも沿うように搬送される。これにより、上述したように、包装フィルムの両側縁が左右の固定ガイド板2のガイド面間の隙間Sに重合状態で挿入され、さらに固定ガイド板2の上面(フィルム受け面)、移動ガイド板5の水平部位5a及び垂直部位5b・側壁6の内面に沿うように成形されることにより、筒状に製袋される。
【0022】
側壁6は移動ガイド板5に連結され一体化され、移動ガイド板5の水平移動に追従して移動し、対向する両側壁6,6間の距離も変動する。そして図示省略するが、左右の移動ガイド板5の下方空間には、移動ガイド板5・側壁6に連結され、左右の移動ガイド板5を接近離反移動させる駆動機構が配置される。この駆動機構により、両側壁6,6間の距離を調整可能なる。駆動機構は、例えば搬送方向に対して直交する方向に伸びるようにスクリューネジを配置し、そのスクリューネジに噛み合う雌ネジを有する移動台を側壁6及びまたは移動ガイド板5と、直接または別の連結部材を介して連携する。これにより、手動操作或いはモーター駆動によりスクリューネジを正逆回転させることで、一対の移動ガイド板5・側壁6を、中心線CLを基準に接近離反移動させる。なお、この種の具体的な構成は、例えば特許文献1に開示された装置のものを適用するとよい。
【0023】
本実施形態のアジャスト式製袋器は、上述した機構により、左右の移動ガイド板5並びに側壁6の間隔を変更し、製品の横幅に応じた調整が行うことができるとともに、製袋器の搬入側の高さ位置を変更する機構を備え、製袋器の高さ、つまり、包装フィルムの高さの調整を行う機能も備えている。なお、具体的な製袋がされる仕組みは、従来公知のものと同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0024】
また、移動ガイド板5の搬入側は、固定ガイド板2と同様に、傾斜辺5cとなっており、この傾斜辺5cは、固定ガイド板2の傾斜辺2bの延長線上に位置するようになっている。そして上述したように駆動機構を動作させることで、
図2(a)に示すように移動ガイド板5が中心線CLから離れた状態と、
図2(b)に示すように移動ガイド板5が中心線CL付近に至る状態との間で変位することができる。そして移動ガイド板5を製袋器の中央に寄せた状態では、
図2(b)に示すように固定ガイド板2の傾斜辺2bと移動ガイド板5の傾斜辺5cは重なる。
【0025】
さらに固定ガイド板2と移動ガイド板5は、連結部材10で連結する。連結部材10は、その一端10a側で移動ガイド板5の水平部位5aに水平平面内で回転可能に連結し、他端10b側で固定ガイド板2のフィルム受け面に設けたガイド孔11に沿って移動可能に連結する。ガイド孔11は、固定ガイド板2の先端縁2aと平行な直線部11aと、傾斜辺2bと平行な傾斜部11bを有し、直線部11aと傾斜部11bは連続する。
【0026】
そして、
図2(b)に示すように、移動ガイド板5を製袋器の中心線CL側に位置させた状態では、連結部材10の他端10bは、ガイド孔11のうちの直線部11a内に位置する。なお、
図2(b)ではガイド孔11の上方に移動ガイド板5が位置しておりガイド孔11は隠れている。そして、
図1、
図2(a)に示すように、移動ガイド板5を製袋器1の中心線CLから離れる方向に移動させ、固定ガイド板2のフィルム受け面から離れた状態では、他端10bは、ガイド孔11のうちの傾斜部11b内に位置する。この状態では、連結部材10の側縁10dが、固定ガイド板2,移動ガイド板5の傾斜辺2b,5cを結ぶ線上に位置するように構成する。
【0027】
このようにすると、移動ガイド板5が大きく外側に移動して固定ガイド板2の傾斜辺2bと移動ガイド板5の傾斜辺5cの間に空間が生じたとしても、その空間部分には、連結部材10が位置するので、包装フィルムは、傾斜辺5c,連結部材10の側縁10d,傾斜辺2bによる連続したガイド面に沿って適宜位置で折り曲げられスムーズに、途中で引っかかることもなく固定ガイド板2,2間のガイド面間の隙間Sに重合状態で挿入することができる。
【0028】
連結部材10は、
図5(a)に示すように所定形状の平板状の金属プレートを用い、適宜位置を折り曲げ加工して形成する(
図5(b)参照)。連結部材10は、帯板状の本体部12を有し、その本体部12の一端部位12aは、幅方向の片側が切除された状態の細幅に形成される。この細幅の一端部位12aは、連結部材10の長手方向に伸びる一方の辺は、本体部12の一方の側縁に連続した一直線上に位置し、他方の辺は本体部12の他方の側縁から一段中心側に下がった位置に位置している。そして、その他方の辺の所定位置に、直交する外側方向に伸びる矩形状の第1接続片13を備え、その第1接続片13の先端側に細幅帯状の第1連結片14を備える。これら本体部12と第1接続片13と第1連結片14は、例えば金属プレートを打ち抜き加工して一体に形成するとよい。第1連結片14は、第1接続片13に対して略直交する方向に伸びる細長帯状で、長手方向の両方の端部14aは第1接続片13よりも外側に位置し、円弧状に形成される。そして、
図5(b)に示すように、第1接続片13を略180度折り返し、第1連結片14を本体部12の一端部位12aに対して所定の距離をおいて上に重なるように構成される(
図5(c)参照)。そして、この第1連結片14の部分が連結部材10の一端10aとなり、移動ガイド板5に回転自在に連結する。
【0029】
一方、本体部12の他端部位12b側の短辺の所定位置に、本体部12の長手方向に伸びる矩形状の第2接続片16を備え、その第2接続片16の先端側に細幅帯状の第2連結片17を備える。これら本体部12と第2接続片16と第2連結片17は、例えば金属プレートを打ち抜き加工して一体に形成するとよい。第2連結片17は、第2接続片16に対して略直交する方向に伸びる細長帯状で、長手方向の両方の端部17aは第2接続片16よりも外側に位置し、円弧状に形成される。そして、
図5(b)に示すように、第2接続片16が本体部12に対して所定角度傾斜するように折り曲げ、第2連結片17を本体部12の他端部位12bに対して一段低い位置に位置するように構成される。そして、この第2連結片17の部分が連結部材10の他端10bとなり、固定ガイド板2のガイド孔11に移動可能に取り付けられる。
【0030】
移動ガイド板5の水平部位5aの所定位置は、上下に貫通する孔部20が形成され、この孔部20内に連結部材10の第1連結片14を装着可能にする。孔部20は、すり鉢状の内周面を有し、下方に行くほど内径が小さくなる傾斜面状に形成し、さらに、円周方向の一部に切欠き部21を設ける。切欠き部21は、孔部20の上端側の内径・内周縁に沿って上下方向に貫通するように構成する。そして、第1連結片14の長さAと、切欠き部21から反対側の孔部20の下端縁までの距離Bを等しくしている(
図6参照)。
【0031】
これにより、例えば連結部材10を移動ガイド板5の下方側において、第1連結片14の長手方向の端部14aの一方を切欠き部21内に位置させ、他方の端部14aを孔部20内の下端縁の切欠き部21と対向する部位に位置させた状態から(
図9(a)参照)、連結部材10を上方移動させると、第1連結片14が孔部20内に進入する(
図9(b)(c)、
図7等参照)。そして、第1連結片14が孔部20内に位置した状態で第1連結片14が水平部位5aと平行な水平平面内で回転するように連結部材10を回転させると、第1連結片14の端部14aは切欠き部21の設置エリアから外れ、すり鉢状の先端(内周縁)の一番細くなっている部分に嵌め込まれ、引っかかって下方に離脱しないようになる(
図8等参照)。連結部材10が移動ガイド板5と連結されている状態から両者を分離する場合には、上記と逆の工程をとることで簡単に取り外し、分離することができる。
【0032】
そして、製袋器の使用状態では、第1連結片14の端部14aが切欠き部21の設置位置に来ないように切欠き部21の位置を設定し、移動ガイド板5の移動に伴い連結部材10が回転しても、第1連結片14が孔部20から離脱しないようにするとよい。
【0033】
さらに移動ガイド板5の孔部20の加工公差を考慮し、A寸法をB寸法よりも少し大きくした設計で製造するとよい。このようにすると、第1連結片14を回転させて端部14aを切欠き部21からずらした状態では、両方の端部14aが確実にすり鉢状の孔部20に引っかかり、離脱が抑止できる。また、実際にA>Bの関係になった場合でも、第1連結片14を孔部20に対して斜めに傾斜させた姿勢で昇降させると(
図9(b)参照)、出し入れすることができる。
【0034】
さらに本実施形態では、連結部材10を構成する金属プレートの板厚を、移動ガイド板5の板厚よりも薄くしている。これにより、第1連結片14がすり鉢状の孔部20の内周面に接した状態では、第1連結片14の下面の位置は、孔部20の下端縁すなわち移動ガイド板5の水平部位5aの下面よりも少し上方に位置する。本実施形態では、連結部材10の肉厚を薄くしたため、第1連結片14の上面は移動ガイド板5の水平部位5aの上面から上方に突出するのを抑制する(
図8(b)、
図9(c)等参照)。すなわち、例えば仮に連結部材10の第1連結片14の板厚と、移動ガイド板5の水平部位5aの板厚が等しいとすると、第1連結片14の下面が水平部位5aの下面よりも少し上方に位置すると、その分だけ第1連結片14の上面が、移動ガイド板5の水平部位5aの上面よりも上方に突出してしまう事態を生じてしまい、包装フィルムがそこに引っかかり損傷するおそれを生じる。本実施形態では、連結部材10の肉厚を薄くすることで、係る事態の発生を抑制できる。換言すると、第1連結片14が上方に突出しないように肉厚を薄くするとよい。
【0035】
また、このように連結部材10の肉厚を薄くするので、移動ガイド板5の水平部位5aの下面側は、薄い連結部材10が位置しているだけで、連結部材10の下面よりも下側に突出する部分がないため、フィルムは引っかからずにスムーズに移動する。
【0036】
一方、第2連結片17をガイド孔11内に連携する場合、固定ガイド板2に対して連結部材10を上方空間にて第2連結片17側を下にして起立させた姿勢にし、第2連結片17の長手方向とガイド孔11の方向を合わせた状態で第2連結片17をガイド孔11内に挿入する。そして、第2連結片17を固定ガイド板2の下面側に突出させた状態で、第2接続片16周りに連結部材10を所定角度、例えば略90度自転させる。これにより、第2連結片17の両方の端部17aは、ガイド孔11の形成領域から外れ、固定ガイド板2の下面側に位置する。そして、連結部材10を倒して本体部12を固定ガイド板2の上面と平行な姿勢に変移すると、第2連結片17の両方の端部17aは、固定ガイド板2の下面に対向するとともに、本体部12の下面が固定ガイド板2の上面に接触する。これにより、第2連結片17の離脱が抑止され、上述したように移動ガイド板5の移動に伴い連結部材10の他端10bすなわち第2連結片17がガイド孔11に沿って移動可能となる。
【0037】
なお、本実施形態では、連結部材10と固定ガイド板2も取り外し可能に構成したが、着脱不能に一体化してもよい。但し、本実施形態のように取り外し可能とした方が、構成が簡単で第1連結片14と孔部20の着脱も容易に行えるのでよい。
【0038】
孔部20の内周面は、下方に行くほど内寸法・内径が小さくなる直線的な傾斜面状に構成したが、例えば下方に行くほど内寸法・内径が小さくなる変化率を大きくし上下方向で曲線的な傾斜面としてもよく、さらには、寸法が連続して小さくするものに限らず、不連続で小さくなる部分を有してもよい。
【0039】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0040】
1 :製袋器
2 :固定ガイド板
5 :移動ガイド板
6 :側壁
10 :連結部材
11 :ガイド孔
12 :本体部
13 :第1接続片
14 :第1連結片
16 :第2接続片
17 :第2連結片
20 :孔部
21 :切欠き部