(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108567
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】操作システム、作業機、操作ユニット
(51)【国際特許分類】
F15B 11/04 20060101AFI20240805BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240805BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20240805BHJP
F15B 11/16 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
F15B11/04 Z
E02F9/20 H
F15B11/08 A
F15B11/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012998
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三ツ井 友輔
(72)【発明者】
【氏名】作田 拓也
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AB07
2D003BA01
2D003DA04
3H089AA21
3H089BB15
3H089CC09
3H089CC11
3H089DA02
3H089DB43
3H089EE15
3H089GG02
3H089JJ01
(57)【要約】
【課題】作業機のアクチュエータの作動速度を変更する操作システムの利便性を向上させる。
【解決手段】操作システムは、作動電流が入力されないときにアクチュエータの速度段を第1速度段に維持し、作動電流が入力されたときに作動電流に応じた速度段に切り換える変速装置と、所定の作業モード以外のときに第1操作部材の操作に応じた作動電流を変速装置に入力する制御装置と、第2操作部材と、電源と変速装置との間に接続され且つ制御装置を介さずに電源からの作動電流を変速装置に入力する中継ハーネスとを備え、中継ハーネスは、第2操作部材が操作されたときに作動電流を通電し、第2操作部材が操作されないときに作動電流を遮断する第1切換部と、所定モード以外のときに第1切換部から変速装置への作動電流の供給を許容し、所定モードのときに第1切換部から変速装置への作動電流の供給を遮断する第2切換部とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の速度段で作動するアクチュエータを備えた作業機に搭載される操作システムであって、
作動電流が入力されていないときに前記速度段を第1速度段に維持し、前記作動電流が入力されたときに前記速度段を前記作動電流に応じた速度段に切り換える変速装置と、
前記速度段を変更するために操作される第1操作部材と、
所定の作業モード以外にあるときに前記第1操作部材が操作されると当該操作に応じた前記作動電流を前記変速装置に入力して前記速度段を変更させ、前記所定の作業モードであるときに前記第1操作部材の操作にかかわらず前記作動電流を前記変速装置に入力しない制御装置と、
前記速度段を変更するために操作され且つ前記第1操作部材とは異なる第2操作部材と、
電源と前記変速装置との間に接続され、前記制御装置を介さずに前記電源から供給される電流を前記作動電流として前記変速装置に入力する中継ハーネスと、を備え、
前記中継ハーネスは、
前記第2操作部材が操作されたときに前記作動電流を通電し、前記第2操作部材が操作されていないときに前記作動電流を遮断する第1切換部と、
前記所定モード以外のときに前記第1切換部から前記変速装置への前記作動電流の供給を許容し、前記所定モードのときに前記第1切換部から前記変速装置への前記作動電流の供給を遮断する第2切換部と、を有している操作システム。
【請求項2】
前記第2切換部は、常閉リレーであり、
前記中継ハーネスは、前記電源と前記第1切換部の一端とを接続し、且つ前記第1切換部の他端と前記常閉リレーの接点部の一端とを接続し、且つ前記常閉リレーの前記接点部の他端と前記変速装置とを接続し、且つ前記常閉リレーのコイル部と前記所定の作業モードにあるときに駆動信号が流れる給電配線とを接続する請求項1に記載の操作システム。
【請求項3】
前記第1切換部は、前記第2操作部材が操作されるとオン状態に切り換わる検出スイッチである請求項2に記載の操作システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の操作システムと、
複数の速度段で作動するアクチュエータと、を備えた作業機。
【請求項5】
前記給電配線の途中に接続された給電リレーと、
複数種類ある作業モードを切り換えるモードスイッチと、を備え、
前記制御装置は、前記モードスイッチから出力されるモード判別信号により前記所定の作業モードに切り換えられたと判別した場合に、前記給電リレーをオン状態にし、
前記第2切換部は、前記給電リレーがオン状態のときに前記第1切換部から前記変速装置への前記作動電流の供給を遮断する請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
請求項3に記載の操作システムと、
複数の速度段で作動するアクチュエータと、を備え、
前記給電配線は、一端が電源に接続され、他端に給電コネクタが接続され、
前記中継ハーネスは、
電源と前記検出スイッチの一端とを接続する第1配線と、
前記検出スイッチの他端と前記常閉リレーの前記接点部の一端とを接続する第2配線と、
前記常閉リレーの前記接点部の他端と前記変速装置とを接続する第3配線と、
前記常閉リレーの前記コイル部と前記給電コネクタとを接続する第4配線と、を有して
いる作業機。
【請求項7】
複数種類ある作業モードのそれぞれに応じて作動する作業アクチュエータと、
前記給電配線から入力された前記駆動信号に応じて前記作業アクチュエータの動作を制御する作業制御部と、を備え、
前記中継ハーネスは、前記第4配線から分岐して前記作業制御部に接続される第5配線を有している請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記作業アクチュエータの動力により動作する作業具を含んだ作業装置を備え、
前記制御装置は、前記モードスイッチにより前記所定の作業モードとして、前記作業装置によってクレーン作業を行うクレーンモードに切り換えられた場合に、前記給電リレーをオン状態にする請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記第1操作部材は、手で操作させる操作スイッチであり、
前記第2操作部材は、足で操作される操作ペダルである請求項4に記載の作業機。
【請求項10】
機体を走行可能に支持する走行装置を備え、
複数の操作段で作動する前記アクチュエータは、前記走行装置を駆動する可変容量型の油圧モータから成る走行モータであり、
前記変速装置は、前記走行モータの斜板の角度を変更することで、前記走行モータの前記速度段を第1速度段と当該第1速度段より高速な第2速度段とに切り換え、
前記第1操作部材及び前記第2操作部材は、前記速度段を前記第1速度段から前記第2速度段に変更するためにそれぞれ操作される請求項4に記載の作業機。
【請求項11】
複数の速度段で作動するアクチュエータを備えた作業機に搭載可能な操作ユニットであって、
前記速度段を変更するために操作される第2操作部材と、
前記速度段を入力された作動電流に応じた速度段に切り換える変速装置と電源との間に接続され、前記電源から供給される電流を前記作動電流として前記変速装置に入力する中継ハーネスと、を備え、
前記中継ハーネスは、
前記第2操作部材が操作されたときに前記作動電流を通電し、前記第2操作部材が操作されていないときに前記作動電流を遮断する第1切換部と、
前記所定モード以外のときに前記第1切換部から前記変速装置への前記作動電流の供給を許容し、前記所定モードのときに前記第1切換部から前記変速装置への前記作動電流の供給を遮断する第2切換部と、を有する操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に備わるアクチュエータの作動速度を操作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、油圧アクチュエータの作動を制御するコントロールバルブと、コントロールバルブを操作する操作手段と、作業モードを複数種類の間で切換えるモード切換手段と、油圧アクチュエータの作動速度を制限する速度制限手段と、モード切換手段による作業モードの切換えに応じて速度制限手段による速度制限を実行する速度制限状態と速度制限を解除する制限解除状態とに切換える制御手段とを備えた建設機械が開示されている。また、例えば特許文献2には、バックホーの走行モータを1速状態又は2速状態に切り換える油圧システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-286300号公報
【特許文献2】特開2008-82130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクチュエータの作動速度を変更する操作部材として、作業機の運転者が手で操作する操作部材と足で操作する操作部材などがあるが、そのうちのいずれかの操作部材しか作業機に設けられておらず、当該操作部材にしか作業機の操作システムが対応していないのが実情である。このため、例えば、作業機に他の操作部材を実装して欲しい、との要望があったときに、容易に対応することができず、不便であった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、作業機のアクチュエータの作動速度を変更する操作システムの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の速度段で作動するアクチュエータを備えた作業機に搭載される操作システムであって、作動電流が入力されていないときに前記速度段を第1速度段に維持し、前記作動電流が入力されたときに前記速度段を前記作動電流に応じた速度段に切り換える変速装置と、前記速度段を変更するために操作される第1操作部材と、所定の作業モード以外にあるときに前記第1操作部材が操作されると当該操作に応じた前記作動電流を前記変速装置に入力して前記速度段を変更させ、前記所定の作業モードであるときに前記第1操作部材が操作されると当該操作にかかわらず前記変速装置に前記作動電流を入力しない制御装置と、前記速度段を変更するために操作され且つ前記第1操作部材とは異なる第2操作部材と、電源と前記変速装置との間に接続され、前記制御装置を介さずに前記電源から供給される電流を前記作動電流として前記変速装置に入力する中継ハーネスと、を備え、前記中継ハーネスは、前記第2操作部材が操作されたときに前記作動電流を通電し、前記第2操作部材が操作されていないときに前記作動電流を遮断する第1切換部と、前記所定モード以外のときに前記第1切換部から前記変速装置への前記作動電流の供給を許容し、前記所定モードのときに前記第1切換部から前記変速装置への前記作動電流の供給を遮断する第2切換部と、を有している。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、作業機のアクチュエータの作動速度を変更する操作システムの利便
性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】作業機に操作スイッチを適用した場合の操作システムの電気的構成図である。
【
図4A】作業機がクレーンモード以外にある場合の
図3の構成の操作システムの動作を示す図である。
【
図4B】作業機がクレーンモードにある場合の
図3の構成の操作システムの動作を示す図である。
【
図5】作業機に操作ペダルを含む操作ユニットを適用した場合の操作システムの電気的構成図である。
【
図6A】作業機がクレーンモード以外にある場合の
図5の構成の操作システムの動作を示す図である。
【
図6B】作業機がクレーンモードにある場合の
図5の構成の操作システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図7は、作業機1の側面図である。本実施形態の作業機1は、バックホー或いは掘削機から構成されている。なお、本発明の作業機は、バックホー或いは掘削機に限定されず、例えばホイールローダ、コンパクトトラックローダ、及びスキッドステアローダなどの他の建設機械、或いはトラクター、コンバイン、田植機、又は芝刈機などの農業機械などから構成されてもよい。
【0011】
作業機1は、機体(旋回台)2と走行装置10と作業装置20などを備えている。機体2の上には、キャビン6が設けられている。キャビン6の内部には、運転者が着座する運転席4と、作業機1の各部を操作するための操作装置5とが設けられている。運転者は、運転席4に着座した状態で、操作装置5に含まれる各種の操作部材を手或いは足で操作可能である。
【0012】
走行装置10は、左右1対で設けられ、機体2を走行(移動)可能に支持している。各走行装置10には、それぞれ走行フレーム11と走行機構12とが含まれている。走行フレーム(トラックフレーム)11は、周囲に走行機構12を取り付け、且つ上部に機体2を支持する構造体である。走行機構12は、例えばクローラ式の走行機構である。走行機構12は、アイドラ13、駆動輪14、複数の転輪15、無端状のクローラベルト16、及び走行モータML、MRを有している。アイドラ13は、走行フレーム11の前部に配置されている。駆動輪14は、走行フレーム11の後部に配置されている。複数の転輪15は、アイドラ13と駆動輪14との間に設けられている。クローラベルト16は、アイドラ13、駆動輪14、及び転輪15に亘って巻掛けられている。
【0013】
走行モータ(アクチュエータ)ML、MRは、左右1対で設けられている。走行モータML、MRは、油圧モータから構成されている。左走行モータMLは、機体2の左側にある左走行装置10の左走行機構12に設けられている。右走行モータMRは、機体2の右側にある右走行装置10の右走行機構12に設けられている。各走行機構12では、走行モータML、MRの動力により、駆動輪14が回転駆動して、転輪15が回転し、クローラベルト16が周方向に循環回走する。これにより機体2が走行する。
【0014】
走行装置10の前部には、ドーザ装置18が装着されている。ドーザ装置18は、ドーザシリンダC5の伸縮によって上下に揺動する。ドーザシリンダC5は、油圧シリンダから成り、走行フレーム11に取り付けられている。機体2は、走行フレーム11上に旋回ベアリング3を介して回転可能に支持されている。機体2の内部には、油圧モータから成る旋回モータMTが設けられている。機体2は、旋回モータMTの動力によって旋回軸心X回りに旋回する。
【0015】
作業装置20は、機体2の前部に支持されている。作業装置20は、ブーム21、アーム22、バケット(作業具)23、及び油圧シリンダC1~C4を有する。ブーム21の基端側は、スイングブラケット24に横軸(機体2の幅方向に延伸する軸心)回りに回動可能に枢着されている。このため、ブーム21は上下方向(鉛直方向)に揺動可能になっている。アーム22は、ブーム21の先端側に横軸回りに回動可能に枢着されている。このため、アーム22は、前後方向と上下方向に揺動可能になっている。バケット23は、アーム22の先端側に装着されている。
【0016】
作業機1は、バケット23に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具としては、フック、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノーブロアなどが例示できる(図示省略)。そのうち、フックは、作業機1でクレーン作業を行う際に、バケット23の背部23bに取り付けられる。
【0017】
作業機1は、上記作業具の少なくともいずれかにより、複数種類の作業を行うことが可能である。その際、作業機1は、各種の作業に応じた作業モードに移行する。例えば掘削作業を行う場合、作業機1は掘削モードに移行し、クレーン作業を行う場合、作業機1はクレーンモードに移行する。
【0018】
スイングブラケット24は、機体2の内部に設けられたスイングシリンダC1の伸縮によって左右に揺動する。ブーム21は、ブームシリンダC2の伸縮によって上下(及び前後)に揺動する。アーム22は、アームシリンダC3の伸縮によって前後(及び上下)に揺動する。バケット23は、バケットシリンダ(作業アクチュエータ)C4の伸縮によって、土などを掬うショベル動作と、掬った土などを排出するダンプ動作などを行う。作業機1は、走行装置10により機体2を走行させ、旋回モータMTにより機体2を旋回させ、作業装置20及びドーザ装置18により作業を行う。
【0019】
次に、作業機1に備わる油圧回路について説明する。
図1は、作業機1に備わる油圧回路Kの概略図である。油圧回路Kには、前述した油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、コントロールバルブV、油圧ポンプP1、P2、作動油タンクT、オイルクーラ27、操作弁PV1~PV8、アンロード弁58、59、及び油路50等の油圧機器が設けられている。
【0020】
複数設けられた油圧ポンプP1、P2のうち、一方は作動用油圧ポンプP1であり、他方はコントロール用油圧ポンプP2である。油圧ポンプP1、P2は、作業機1に備わる原動機9の動力により駆動する。原動機9は、ディーゼルエンジン或いは電動モータから構成されている。
【0021】
作動用油圧ポンプP1は、作動油タンクTに貯留された作動油を吸引した後、コントロールバルブVに向かって作動油を吐出する。コントロール用油圧ポンプP2は、作動油タンクTに貯留された作動油を吸引した後に吐出することで、信号用又は制御用等の油圧を出力する。即ち、コントロール用油圧ポンプP2はパイロット油を供給(吐出)する。
図1の例では、作動用油圧ポンプP1及びコントロール用油圧ポンプP2がそれぞれ1台ずつ設けられているが、これに限らず、作動用油圧ポンプ及びコントロール用油圧ポンプがそれぞれ複数台作業機1に設けられてもよい。
【0022】
コントロールバルブVは、複数の制御弁V1~V8を有している。各制御弁V1~V8は、作動用油圧ポンプP1から各油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTへの作動油の供給状態を制御(調整)する。スイング制御弁V1は、スイングシリンダC1に供給する作動油の流量を制御する。ブーム制御弁V2は、ブームシリンダC2に供給する作動油の流量を制御する。アーム制御弁V3は、アームシリンダC3に供給する作動油の流量を制御する。バケット制御弁V4は、バケットシリンダC4に供給する作動油の流量を制御する。ドーザ制御弁V5は、ドーザシリンダC5に供給する作動油の流量を制御する。左用走行制御弁V6は、左走行モータMLに供給する作動油の流量を制御する。右用走行制御弁V7は、右走行モータMRに供給する作動油の流量を制御する。旋回制御弁V8は、旋回モータMTに供給する作動油の流量を制御する。
【0023】
操作弁PV1~PV8は、操作装置5に含まれる複数の操作部材5a1~5a8のうち、対応する操作部材5a1~5a8の操作に応じて作動する。
図1に示す操作部材5a1~5a8はレバーであるが、これに代えて、ペダル、スティック、タンブラスイッチ、ボタン、或いはキーなどで操作部材5a1~5a8を構成してもよい。操作装置5には、操作部材5a1~5a8以外の操作部材も含まれている。
【0024】
各操作弁PV1~PV8の作動量(操作量)に比例して、パイロット油が各制御弁V1~V8に作用することで、各制御弁V1~V8のスプールが移動する。そして、各制御弁V1~V8のスプールの移動量に比例する量の作動油が、制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される。これにより、各油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTが、各制御弁V1~V8からの作動油の供給量に応じて駆動する。
【0025】
言い換えれば、操作部材5a1~5a8がそれぞれ操作されることで、対応する制御弁V1~V8に作用するパイロット油の油圧が調整されて、対応する制御弁V1~V8の位置と開度が制御される。そして、制御弁V1~V8から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される作動油の量が調整されて、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTが駆動或いは停止する。
【0026】
油路50は、例えばホース又は金属等の材料で形成された管から構成されている。油路50は、油圧回路Kに設けられた各部を接続し、各部に対して作動油又はパイロット油を流す。油路50には、第1油路51、第2油路52、第1吸引油路54、第2吸引油路55、及び制限油路57が含まれている。
【0027】
第1吸引油路54は、作動用油圧ポンプP1が作動油タンクTから吸引した作動油を流す流路である。第2吸引油路55は、コントロール用油圧ポンプP2が作動油タンクTから吸引した作動油を流す流路である。第1油路51は、作動用油圧ポンプP1が吐出した作動油をコントロールバルブVの制御弁V1~V8に向かって流す流路である。第1油路51は、コントロールバルブV内で複数に分岐して、各制御弁V1~V8に接続されている。
【0028】
第2油路52は、制御弁V1~V8を通過した作動油を作動油タンクTに向かって流す流路である。作動油タンクTは作動油を貯留する。第2油路52には、往復油路52aと排出油路52bとが含まれている。往復油路52aは、各制御弁V1~V8と制御対象の
油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTとを2本1対で接続するように複数設けられている。往復油路52aは、接続された制御弁V1~V8から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに作動油を供給し、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTから制御弁V1~V8に作動油を戻す流路である。排出油路52bの一端側は複数に分岐して、各制御弁V1~V8に接続されている。排出油路52bの他端部は、作動油タンクTに接続されている。
【0029】
第1油路51を通っていずれかの制御弁V1~V8に流れた作動油の一部は、当該制御弁V1~V8を通過して一方の往復油路52aを通り、制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される。そして、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTから排出された作動油は、他方の往復油路52aを通って制御弁V1~V8に戻り、当該制御弁V1~V8を通過して排出油路52bに流れる。
【0030】
また、第1油路51を通っていずれかの制御弁V1~V8に流れた作動油の他部は、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTへ供給されることなく、当該制御弁V1~V8を通過して排出油路52bに流れる。排出油路52bには、作動油を冷却するオイルクーラ27が設けられている。オイルクーラ27で冷却された作動油は、排出油路52bを通って作動油タンクTに戻る。
【0031】
制限油路57は、コントロール用油圧ポンプP2が吐出した作動油を操作弁PV1~PV8に流す流路である。制限油路57の一端部は、コントロール用油圧ポンプP2に接続され、他端側は複数に分岐して、各操作弁PV1~PV8の一次側のポート(一次ポート)に接続されている。
【0032】
制限油路57には、アンロード弁58が設けられている。アンロード弁58は、アンロードレバー(図示省略)を操作することにより、供給位置と遮断位置とに切り換えられる。アンロード弁58が供給位置に切り替わることで、コントロール用油圧ポンプP2から制限油路57に吐出された作動油が操作弁PV1~PV8に供給されて、操作部材5a1~5a8による制御弁V1~V8の操作が可能になる。またこれにより、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、走行装置10、及び作業装置20の操作も可能となる。
【0033】
対して、アンロード弁58が遮断位置に切り替わることで、コントロール用油圧ポンプP2から制限油路57に吐出された作動油が作動油タンクTに排出されて、操作弁PV1~PV8に供給されなくなり、操作部材5a1~5a8による制御弁V1~V8の操作が禁止又は制限される。またこれにより、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、走行装置10、及び作業装置20の操作も禁止又は制限される。
【0034】
制限油路57から分岐してバケット操作弁PV4に接続された分岐油路57aには、バケットアンロード弁59が設けられている。バケットアンロード弁59も、供給位置と遮断位置とに切り換え可能である。バケットアンロード弁59が供給位置に切り替わることで、作動油がコントロール用油圧ポンプP2からバケット操作弁PV4に供給されて、バケット操作部材5a4によるバケット制御弁V4の操作が可能になり、バケットシリンダC4及びバケット23の操作も可能となる。また、バケットアンロード弁59が遮断位置に切り替わることで、作動油がコントロール用油圧ポンプP2からバケット操作弁PV4に供給されなくなり、バケット操作部材5a4によるバケット制御弁V4の操作が禁止又は制限され、バケットシリンダC4及びバケット23の操作も禁止又は制限される。
【0035】
バケット制御弁V4には、スプールを移動させるためのバケットソレノイド38が設けられている。後述する給電配線41(
図3など)からバケットソレノイド38に所定の大
きさの作動電流が流れて、バケットソレノイド38が励磁されることによっても、バケット制御弁V4のスプールが移動して、バケット制御弁V4の位置が切り換わり、バケットシリンダC4が作動して、バケット23が揺動する。バケット制御弁V4とバケットソレノイド38は、バケットシリンダC4(作業アクチュエータ)の動作を制御する作業制御部である。
【0036】
走行モータML、MRは、それぞれ対応する制御弁V7、V8から供給される作動油により作動する。また、走行モータML、MRは、可変容量型の油圧モータから構成され、複数の速度段(回転速度の段階)でそれぞれ作動して、対応する走行装置10を駆動し、機体2を走行させる。本例では、走行モータML、MRは、複数の速度段として、第1速度段と、当該第1速度段より高速な第2速度段とに切り換えである。即ち、走行装置10及び作業機1の走行速度の速度段も、第1速度段と第2速度段とに切り換えである。
【0037】
図2は、作業機1に備わる変速装置7の概略図である。変速装置7は、走行モータML、MRの速度段を切り換える装置である。変速装置7は、左走行モータMLと右走行モータMRとに個別に設けられているが、
図2では、説明の便宜上、まとめて図示している。
【0038】
変速装置7は、斜板切換シリンダ71、シリンダ制御弁72、変速制御弁36、及び変速ソレノイド37を有している。走行モータML、MRは、斜板切換シリンダ71によって斜板の角度が変更されることにより、第1速度段と第2速度段とに切り換えられる。本例では、斜板切換シリンダ71が作動していないときには、走行モータML、MRの速度段が第1速度段に維持され、斜板切換シリンダ71が作動(ロッドを伸長)することにより、走行モータML、MRの速度段が第2速度段に切り換えられる。
【0039】
斜板切換シリンダ71は、油路(符号省略)を介してシリンダ制御弁72に接続されている。シリンダ制御弁72には、油路を介して作動用油圧ポンプP1が接続されている。シリンダ制御弁72は、直動スプール形のパイロット操作切換弁によって構成され、1速位置72aと2速位置72bとに切り換え可能である。シリンダ制御弁72のパイロットポートは、油路を介して変速制御弁36の出力ポートに接続されている。
【0040】
変速制御弁36は、直動スプール形の電磁弁(電磁方式の切換弁)によって構成され、1速位置36aと2速位置36bとに切り換え可能である。変速制御弁36の入力ポートには、油路を介してコントロール用油圧ポンプP2が接続されている。変速制御弁36は、作動電流(制御電流)が入力される変速ソレノイド37を有している。変速制御弁36は、変速ソレノイド37に入力された作動電流に応じて、位置が切り換わることにより、シリンダ制御弁72及び斜板切換シリンダ71を作動させて、走行モータML、MRの速度段を切り換える。
【0041】
詳しくは、作動電流が変速ソレノイド37に入力されず、変速ソレノイド37が励磁されていないときには、変速制御弁36がバネの弾性力により1速位置36aにあり、コントロール用油圧ポンプP2からのパイロット油が変速制御弁36を経由して、シリンダ制御弁72のパイロットポートに供給されない。このため、シリンダ制御弁72もバネの弾性力により1速位置72aにあり、作動用油圧ポンプP1からの作動油がシリンダ制御弁72を経由して、斜板切換シリンダ71に供給されない。よって、斜板切換シリンダ71が作動せず、走行モータML、MRの速度段が第1速度段に保持される。
【0042】
作動電流が変速ソレノイド37に入力されて、変速ソレノイド37が励磁されると、変速制御弁36が2速位置36bに切り換わって、コントロール用油圧ポンプP2からのパイロット油が変速制御弁36を経由して、シリンダ制御弁72のパイロットポートに供給される。すると、シリンダ制御弁72も2速位置72bに切り換わって、作動用油圧ポン
プP1からの作動油がシリンダ制御弁72を経由して、斜板切換シリンダ71に供給される。これにより、斜板切換シリンダ71が作動(ロッドが伸長)して、走行モータML、MRの斜板の角度を変更し、走行モータML、MRの速度段が第1速度段から第2速度段に切り換えられる。
【0043】
次に、作業機1に搭載された操作システムについて説明する。走行モータML、MRの速度段を変更するための操作部材として、運転者が手で押圧操作する操作スイッチ5b(第1操作部材、
図3)と、足で踏み込み操作する操作ペダル5c(第2操作部材、
図5)とがある。操作スイッチ5b及び操作ペダル5cの少なくともいずれかが、機体2上に設けられたキャビン6内の運転席4の周辺に実装される。操作スイッチ5b及び操作ペダル5cは、操作装置5に含まれる。
【0044】
図3は、作業機1に操作スイッチ5bを適用(実装)した場合の操作システム100(第1構成の操作システム100A)の電気的構成図である。
図4Aは、作業機1がクレーンモード以外(非クレーンモード)にある場合の、
図3の構成の操作システム100(100A)の動作を示す図である。
図4Bは、作業機1がクレーンモードにある場合の、
図3の構成の操作システム100(100A)の動作を示す図である。
【0045】
図3において、操作スイッチ5bは、例えばドーザ装置18(
図1)を操作するドーザレバー5dに設けられた押しボタンである。これ以外のレバー若しくは操作盤などに設けられたボタン、ノブ、若しくはダイヤルなどのハードウェアタイプの操作キー、又はソフトウェアプログラムに基づいてタッチパネルなどのディスプレイに表示されたソフトウェアキーなどで、操作スイッチを構成してもよい。
【0046】
作業機1に操作スイッチ5bが実装された場合、操作スイッチ5bの操作状態を検出する手元検出スイッチ47も実装される。
図3では、便宜上、手元検出スイッチ47がドーザレバー5dの外部に示されているが、手元検出スイッチ47は、ドーザレバー5dに内蔵されている。操作スイッチ5bが未操作のときは、手元検出スイッチ47がOFF(オフ、開路)状態にあり、操作スイッチ5bが押し操作されると、手元検出スイッチ47がON(オン、閉路)状態に切り換わる。
【0047】
バッテリ(第1電源)B1には、電力を供給する給電配線41の一端が接続されている。給電配線41の途中には、バッテリB1側から順に、第1ヒューズ44a、第2ヒューズ44b、及び給電リレー43の接点部43aが接続されている。給電リレー43は常開リレー(ノーマルオープンリレー)である。給電配線41の他端には、給電コネクタ49が接続されている。
【0048】
第1ヒューズ44aには、バッテリB1からの電力を分岐供給する第1信号配線45aの一端が接続されている。第1信号配線45aの途中には、第1ヒューズ44a側から順に、電源スイッチ42、第3ヒューズ44c、給電リレー43のコイル部43b、及び制御装置40が設けられている。第1信号配線45aの他端は接地されている。電源スイッチ42は、作業機1を起動するために、作業機1の各部に電源を投入するためのスイッチである。例えば作業機1のイグニションキー(図示省略)を起動位置まで回動操作されると、電源スイッチ42がOFF(オフ、開路)状態からON(オン、閉路)状態に切り換わる。
【0049】
制御装置40は、ECU(電子制御装置)から構成され、CPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、及びその他の電子部品と電気回路を含んでいる。制御装置40の不揮発性メモリには、CPUが各部を制御するためのソフトウェアプログラム及び各種データが記憶されている。即ち、制御装置40は作業機1のコントローラである。
【0050】
制御装置40には、第2信号配線45bを介してモードスイッチ46が接続され、第3信号配線45cを介して手元検出スイッチ47が接続されている。また、制御装置40には、第4信号配線45dとコネクタ37aを介して変速制御弁36の変速ソレノイド37の一端が接続されている。変速ソレノイド37の他端は接地されている。
【0051】
モードスイッチ46は、作業機1が実行可能な複数種類の作業モードを切り換えるために操作される。モードスイッチ46が操作されると、当該操作に応じたモード判別信号がモードスイッチ46から制御装置40に出力される。制御装置40は、モードスイッチ46から出力されるモード判別信号から、モードスイッチ46の操作状態を検出し、当該操作状態からモードスイッチ46により指示された作業モードを判別する。また、制御装置40は、手元検出スイッチ47の出力信号から、手元検出スイッチ47のON・OFF状態を判断する。
【0052】
バケット制御弁V4のバケットソレノイド38の一端は、コネクタ38aと給電コネクタ49とを介して、給電配線41に接続されている。また、バケットソレノイド38の他端は、コネクタ38aと給電コネクタ49とを介して接地されている。
【0053】
上記のように、操作スイッチ5bが適用された操作システムでは、
図4Aに示すように、作業機1の運転者により電源スイッチ42がONされた後、作業機1がクレーンモード以外にあるときに、制御装置40が、給電リレー43のコイル部43bを励磁せず、給電リレー43をOFF状態に保持する。このため、給電配線41から給電コネクタ49などを介してバケットソレノイド38に駆動電流が入力されず、当該駆動電流によりバケットソレノイド38が励磁されてバケット制御弁V4の位置が切り換わることもない。
【0054】
また、作業機1がクレーンモード以外にあるときに、制御装置40は、バケットアンロード弁59(
図1)を供給位置に保持する。これにより、運転者が、バケット操作部材5a4を操作することで、バケット操作弁PV4を介してバケット制御弁V4の位置と開度を変更し、バケットシリンダC4及びバケット23を任意に操作することができる。
【0055】
また、作業機1がクレーンモード以外にあるときに、運転者が走行モータML、MRの速度段を第1速度段から第2速度段に変更するために、操作スイッチ5bを操作する。すると、手元検出スイッチ47がON状態に切り換わって、ON信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、手元検出スイッチ47からON信号が入力されると、第4信号配線45dを介して作動電流を変速ソレノイド37に入力して、変速ソレノイド37を励磁させ、変速制御弁36を2速位置36bに切り換える。すると、パイロット油が変速制御弁36からシリンダ制御弁72のパイロットポートに供給されて、シリンダ制御弁72も2速位置72bに切り換わり、作動油がシリンダ制御弁72から斜板切換シリンダ71に供給される。そしてそれにより、斜板切換シリンダ71が伸長して、走行モータML、MRの斜板の角度を変更することにより、走行モータML、MRの速度段が第1速度段から第2速度段に切り換わる。
【0056】
即ち、作業機1がクレーンモード以外(他の作業モード或いは非作業モードなど)にあるときには、運転者が操作スイッチ5bを操作することで、走行モータML、MRの速度段を第1速度段から第2速度段に切り換えることができ、走行装置10及び作業機1の走行速度の速度段も、第1速度段から第2速度段に切り換えることができる。
【0057】
一方、運転者がモードスイッチ46を操作して、クレーンモードを指示すると、制御装置40は、
図4Bに示すように、第1信号配線45aから給電リレー43のコイル部43bに通電して、給電リレー43をON状態に切り換える。詳しくは、制御装置40は、例
えば内蔵するFET又はMOSFETなどのスイッチング素子(図示省略)をON(駆動)することにより、バッテリB1から第1信号配線45を通って流れる電流をグランドに落として、給電リレー43のコイル部43bに通電し、接点部43aをON状態に切り換える。
【0058】
それにより、給電配線41から給電コネクタ49などを介して駆動電流がバケットソレノイド38に入力されて、バケットソレノイド38が励磁され、バケット制御弁V4の作動が制限される。即ち、バケット制御弁V4が作動しなくなる。これにより、バケットシリンダC4の作動も制限されて(作動しなくなり)、バケット23がダンプ方向に作動しないクレーンモードになる。
【0059】
また、モードスイッチ46によりクレーンモードが指示されると、制御装置40は、バケットアンロード弁59(
図1)を遮断位置に切り換える。これにより、運転者が、バケット操作部材5a4を操作しても、バケット操作弁PV4、バケット制御弁V4、及びバケットシリンダC4が作動せず、バケット23のクレーンモードが維持される。制御装置40或いは作業機1に備わる別の制御装置は、バケット23及びバケットアンロード弁59以外の作業機1の各部もクレーンモードに応じた状態にして、作業機1をクレーンモードにする。
【0060】
クレーンモードでは、作業機1の走行速度を一定速度以下にすることが規定されている。このため、作業機1がクレーンモードにあるときに、操作スイッチ5bが操作されて、手元検出スイッチ47がON状態に切り換わっても、制御装置40は、変速ソレノイド37に作動電流を入力せず、変速制御弁36を1速位置36aに保持する。これにより、パイロット油が変速制御弁36からシリンダ制御弁72のパイロットポートに供給されず、シリンダ制御弁72も1速位置72aに保持され、斜板切換シリンダ71が作動せず、走行モータML、MRの速度段が第1速度段に保持される。このため、作業機1がクレーンモードにあるときに、作業機1の走行速度が一定速度より速くなるのを防止することができる。
【0061】
上述した作業機1の操作システム100(100A)において、例えば運転者などから、走行モータML、MRの速度段を変更するための操作部材を、手で操作する操作スイッチ5bから、足で操作する操作ペダル5cに変更したいという要望があった場合、
図5に示す後付け型の操作ユニット30が作業機1に実装される。この場合、
図3などに示した操作スイッチ5bなど(手元検出スイッチ47も)が設けられたドーザレバー5dに代えて、操作スイッチ5bなどが設けられていないドーザレバー5e(
図5)が作業機1に実装されてもよいし、ドーザレバー5dがそのまま用いられてもよい。
【0062】
図5は、作業機1に操作ペダル5cを含んだ操作ユニット30を適用(実装)した場合の操作システム100(第2構成の操作システム100B)の電気的構成図である。
図6Aは、作業機1がクレーンモード以外にある場合の、
図5の構成の操作システム100(100B)の動作を示す図である。
図6Bは、作業機1がクレーンモードにある場合の、
図5の構成の操作システム100(100B)の動作を示す図である。
【0063】
図5において、操作ユニット30は、操作ペダル5cと中継ハーネス33を有している。中継ハーネス33は、足元検出スイッチ(第1切換部、検出スイッチ)31、常閉リレー(ノーマルクローズリレー、第2切換部)32、複数の配線34a~34h、及び複数のコネクタ35a~35iを有している。
【0064】
操作ペダル5cは、キャビン6内の運転席4の前方の床面に設置される。足元検出スイッチ31は、例えばリミットスイッチなどから構成されている。足元検出スイッチ31は、操作ペダル5cが操作されていないときは、OFF(オフ、開路)状態にあって、電流を遮断する。また、足元検出スイッチ31は、操作ペダル5cが操作されると、ON(オン、閉路)状態に切り換わって通電する。常閉リレー32は、接点部32aとコイル部32bとを有し、足元検出スイッチ31からの作動電流を通電或いは遮断する。
【0065】
中継ハーネス33は、補助電源B2と変速装置7との間に接続され、制御装置40を介さずに補助電源B2から供給される電流を作動電流として変速装置7に入力する。詳しくは、中継ハーネス33は、補助電源(第2電源)B2と足元検出スイッチ31の一端とを接続し、且つ足元検出スイッチ31の他端と常閉リレー32の接点部32aの一端とを接続し、且つ常閉リレー32の接点部32aの他端と変速制御弁36とを接続し、且つ常閉リレー32のコイル部32bと給電配線41とを接続する。中継ハーネス33が用いられる場合、
図3などに示した給電コネクタ49とバケットソレノイド38のコネクタ38aとが取り外され、変速ソレノイド37の一端に接続されたコネクタ37aが取り外される。
【0066】
また、操作ユニット30及び中継ハーネス33が用いられない場合、機体2に設置された電装品に対して電気信号を入出力するメインハーネス61と、キャビン6に設置された電装品に対して電気信号を入出力するキャビンハーネス62とが、コネクタ61a、62aを介して接続される。
図3などに示した第1構成の操作システム100Aでは、ハーネス61、62などの図示を省略している。
図5に示す第2構成の操作システム100Bでは、操作ユニット30及び中継ハーネス33が用いられるので、コネクタ61aとコネクタ62aとが取り外される。
【0067】
メインハーネス61の一端に接続されたコネクタ61aには、中継ハーネス33のコネクタ35aが接続され、キャビンハーネス62の一端に接続されたコネクタ62aには、中継ハーネス33のコネクタ35bが接続される。コネクタ35aとコネクタ35bの間には、メインハーネス61の複数の配線とキャビンハーネス62の複数の配線とを中継する複数の中継配線が設けられている。
【0068】
第1配線34aは、補助電源B2と足元検出スイッチ31の一端とを接続する。詳しくは、第1配線34aは、コネクタ35a、35b間にある給電配線34iから分岐することにより、給電配線34i、コネクタ35a、メインハーネス61のコネクタ61a、及びメインハーネス61の給電配線61bなどを介して、補助電源B2と接続されている。第1配線34aの先端に接続されたコネクタ35cと、足元検出スイッチ31の一端に接続されたコネクタ31aとが接続されることにより、第1配線34aが足元検出スイッチ31の一端に接続される。そしてそれらにより、補助電源B2からの電力が第1配線34aなどを介して足元検出スイッチ31に供給される。
【0069】
図5の例では、補助電源B2からの電力が第1配線34aに供給されるようにしたが、これに限らず、バッテリB1からの電力が第1配線34aに供給されるようにしてもよい。即ち、同一の電源から給電配線41と第1配線34aとに電力が供給されるようにしてもよい。
【0070】
第2配線34bは、足元検出スイッチ31の他端と常閉リレー32の接点部32aの一端とを接続する。詳しくは、第2配線34bの一端に接続されたコネクタ35dと、足元検出スイッチ31の他端に接続されたコネクタ31bとが接続されることにより、第2配線34bが足元検出スイッチ31の他端と接続される。また、第2配線34bの他端に接続されたコネクタ35eが、常閉リレー32の接点部32aの一端に接続されたコネクタ32cの所定の接続箇所に接続されることにより、第2配線34bが常閉リレー32の接点部32aの一端に接続される。
【0071】
第3配線34cは、常閉リレー32の接点部32aの他端と変速制御弁36とを接続する。詳しくは、第3配線34cの一端に接続されたコネクタ35fが、常閉リレー32の接点部32aの他端に接続されたコネクタ32dの所定の接続箇所に接続されることにより、第3配線34cが常閉リレー32の接点部32aの他端と接続される。また、第3配線34cの他端に接続されたコネクタ35gが、変速制御弁36の変速ソレノイド37の一端に接続されたコネクタ37aの所定の接続箇所に接続されることにより、第3配線34cが変速ソレノイド37の一端に接続される。
【0072】
第4配線34dは、常閉リレー32のコイル部32bの一端と給電コネクタ49とを接続する。詳しくは、第4配線34dの一端に接続されたコネクタ35eが、常閉リレー32のコイル部32bの一端に接続されたコネクタ32cの所定の接続箇所に接続されることにより、第4配線34dが常閉リレー32のコイル部32bの一端と接続される。また、第4配線34dの他端に接続されたコネクタ35iが、給電コネクタ49に接続されることにより、第4配線34dが給電コネクタ49に接続される。
【0073】
第5配線34eは、第4配線34dから分岐してバケット制御弁V4に接続される。詳しくは、第5配線34eの先端に接続されたコネクタ35hが、バケット制御弁V4のバケットソレノイド38の一端に接続されたコネクタ38aに接続されることにより、第5配線34eがバケットソレノイド38の一端に接続される。これにより、給電配線41からの電力が、第4配線34d及び第5配線34eなどを介してバケットソレノイド38に供給される。
【0074】
第6配線34fは、常閉リレー32のコイル部32bの他端を接地する。詳しくは、第6配線34fの一端がコネクタ35f、32dを介して常閉リレー32のコイル部32bの他端と接続され、第6配線34fの他端がコネクタ35iと給電コネクタ49を介して接地される。
【0075】
第7配線34gは、第6配線34fから分岐してバケット制御弁V4のバケットソレノイド38の他端に接続される。詳しくは、第7配線34gの先端がコネクタ35h、38aを介してバケットソレノイド38の他端と接続される。これにより、バケットソレノイド38の他端が、第7配線34g及び第6配線34fなどを介して接地される。
【0076】
第8配線34hは、変速制御弁36の変速ソレノイド37の他端を接地する。詳しくは、第8配線34hは、コネクタ35a、35b間にある接地配線34jから分岐することにより、接地配線34j、コネクタ35b、キャビンハーネス62のコネクタ62a、及びキャビンハーネス62の接地配線62bを介して接地されている。第8配線34hの先端は、コネクタ35g、37aを介して変速ソレノイド37の他端と接続される。これらにより、変速ソレノイド37の他端が第8配線34hなどを介して接地される。
【0077】
上記のように、操作ユニット30が適用された操作システム100(100B)では、電源スイッチ42がONされた後、作業機1がクレーンモード以外にあるときには、制御装置40が、
図6Aに示すように、給電リレー43のコイル部43bを励磁せず、接点部43aをOFF状態に保持する。このため、給電配線41から給電コネクタ49と中継ハーネス33の第4配線34dと第5配線34eなどを介して、駆動電流がバケットソレノイド38に入力されず、当該駆動電流によりバケットソレノイド38が励磁されてバケット制御弁V4の作動が制限されることもない。
【0078】
また、作業機1がクレーンモード以外にあるときに、運転者が走行モータML、MRの速度段を第1速度段から第2速度段に変更するために、操作ペダル5cを操作する。する
と、
図6Aに示すように、足元検出スイッチ31がON状態に切り換わり、補助電源B2からの作動電流が第1配線34a、足元検出スイッチ31、第2配線34b、常閉リレー32の接点部32a、及び第3配線34cなどを経由して、変速ソレノイド37に入力される。これにより、変速ソレノイド37が励磁されて、変速制御弁36が2速位置36bに切り換わり、シリンダ制御弁72も2速位置72bに切り換わる。そして、作動油がシリンダ制御弁72から斜板切換シリンダ71に供給されて、斜板切換シリンダ71が作動して、走行モータML、MRの斜板の角度を変更し、走行モータML、MRの速度段が第1速度段から第2速度段に切り換わる。
【0079】
即ち、作業機1がクレーンモード以外にあるときには、運転者が操作ペダル5cを操作することで、走行モータML、MRの速度段を第1速度段から第2速度段に切り換えることができ、走行装置10及び作業機1の走行速度の速度段も、第1速度段から第2速度段に切り換えることができる。
【0080】
一方、運転者がモードスイッチ46を操作してクレーンモードを指示すると、制御装置40は、
図6Bに示すように、第1信号配線45aから給電リレー43のコイル部43bに通電して、給電リレー43をON状態に切り換える。これにより、給電配線41から給電コネクタ49と中継ハーネス33の第4配線34dと第5配線34eなどを介して、駆動電流がバケットソレノイド38に入力されて、バケットソレノイド38が励磁され、バケット制御弁V4の作動が制限される。これにより、バケットシリンダC4の作動も制限されて、バケット23がダンプ方向に作動しないクレーンモードになる。
【0081】
また、モードスイッチ46によりクレーンモードが指示されると、前述したように制御装置40は、バケットアンロード弁59(
図1)を遮断位置に切り換えて、バケット操作部材5a4によるバケット操作弁PV4、バケット制御弁V4、及びバケットシリンダC4の操作を禁止又は制限し、バケット23のクレーンモードが維持される。
【0082】
また、作業機1がクレーンモードにあるときに、制御装置40が給電リレー43をON状態にするので、給電配線41から給電コネクタ49と中継ハーネス33の第4配線34dなどを介して、駆動電流が常閉リレー32のコイル部32bに入力されて、コイル部32bが励磁され、常閉リレー32の接点部32aがOFF状態に切り換わる。このため、操作ペダル5cが操作されて、足元検出スイッチ31がON状態に切り換わっても、補助電源B2からの作動電流が常閉リレー32の接点部32aで遮断され、当該作動電流が変速ソレノイド37に入力されることはない。
【0083】
それにより、変速ソレノイド37が励磁されず、変速制御弁36が1速位置36aに保持され、シリンダ制御弁72も1速位置72aに保持される。さらに、斜板切換シリンダ71が作動せず、走行モータML、MRの速度段が第1速度段(低速段)に保持され、第2速度段(高速段)に切り換わらない。これにより、作業機1がクレーンモードにあるときに、作業機1の走行速度が一定速度より速くなるのを防止することができる。
【0084】
上述した実施形態では、操作スイッチ5b(第1操作部材)とは操作方式が異なる操作部材(第2操作部材)として、操作ペダル5cを操作ユニット30に含めたが、操作ペダル5cに代えて、例えばレバー、ボタン、ノブ、若しくはダイヤルなどのハードウェアタイプの操作キーを操作ユニット30に含めてもよい。
【0085】
上述した実施形態では、作業機1に予め実装されていた操作スイッチ5b及び手元検出スイッチ47に代えて、操作ペダル5c及び足元検出スイッチ31を含む操作ユニット30を作業機1に実装した例を示したが、作業機1に操作スイッチ5b、手元検出スイッチ47、及び操作ユニット30を全て実装して、運転者が操作スイッチ5bと手元検出スイッチ47とを任意に操作できるようにしてもよい。
【0086】
他の実施形態として、制御装置40が操作ペダル5cの操作に応じて変速制御弁36を1速位置36a或いは2速位置36bに切り換えて、走行モータML、MRの速度段を第1速度段或いは第2速度段に変更し、操作ユニット30に操作ペダル5c及び足元検出スイッチ31に代えて、操作スイッチ5b及び手元検出スイッチ47を含めてもよい。
【0087】
上述した実施形態では、常開リレーから成る給電リレー43によって給電配線41を通電又は遮断したが、この構成に限定されない。給電リレー43以外の電子部品或いは電気回路で、給電配線41を通電又は遮断してもよい。
【0088】
上述した実施形態では、作業機1がクレーンモードにあるときに、バケットアンロード弁59(
図1)を遮断位置に切り換えて、バケット操作部材5a4によるバケット操作弁PV4、バケット制御弁V4、バケットシリンダC4、及びバケット23の操作を禁止又は制限したが、この構成に限定されない。バケットアンロード弁59以外の油圧機器或いは電子機器で、バケット操作部材5a4によるバケット操作弁PV4及びバケット制御弁V4などの操作を禁止又は制限してもよい。また、作業機1がクレーンモード以外の所定の作業モードにあるときに、バケット操作部材5a4によるバケット操作弁PV4及びバケット制御弁V4などの操作を禁止又は制限してもよい。
【0089】
上述した実施形態では、変速制御弁36の位置を電気的に切り換えて、シリンダ制御弁72及び斜板切換シリンダ71により走行モータML、MRの斜板の角度を変更して、走行モータML、MRの速度段を変更する変速装置7を例示したが、この構成に限定されず、その他の油圧機器或いは電気機器で構成される変速装置により、走行モータML、MRの速度段を変更してもよい。
【0090】
上述した実施形態では、作動速度の速度段を変更するアクチュエータとして、高低2速の速度段に切り換え可能な油圧モータから成る走行モータML、MRを例示したが、速度段が3段階以上に切り換え可能な油圧式若しくは電動式の走行モータを変速するために、本発明の操作システム100(100A、100B)を適用してもよい。
【0091】
また、作業機1の機体2を走行させる走行モータML、MR以外に、例えば機体2を旋回させる旋回モータMT(
図1)などのような、他の油圧式のアクチュエータ或いは電動式のアクチュエータの作動速度の速度段を変更するために、本発明の操作システム100(100A、100B)を適用してもよい。
【0092】
以上のように、本実施形態の操作システム100(100A、100B)は、複数の速度段で作動するアクチュエータ(走行モータ)ML、MRを備えた作業機1に搭載される操作システムであって、作動電流が入力されていないときに油圧アクチュエータML、MRの速度段を第1速度段に維持し、作動電流が入力されたときに速度段を作動電流に応じた速度段に切り換える変速装置7と、速度段を変更するために操作される第1操作部材(操作スイッチ)5bと、所定の作業モード以外にあるときに第1操作部材5bが操作されると当該操作に応じた作動電流を変速装置7に入力して速度段を変更させ、且つ所定の作業モードであるときに第1操作部材5bの操作にかかわらず作動電流を変速装置7に入力しない制御装置40と、速度段を変更するために操作され且つ第1操作部材5bとは異なる第2操作部材(操作ペダル)5cと、電源(補助電源)B2と変速装置7との間に接続され、制御装置40を介さずに電源B2から供給される電流を作動電流として変速装置7に入力する中継ハーネス33と、を備えている。そして、中継ハーネス33は、第2操作部材5cが操作されたときに通電し、第2操作部材5cが操作されていないときに作動電流を遮断する第1切換部(足元検出スイッチ)31と、所定モード以外のときに第1切換部31から変速装置7への作動電流の供給を許容し、所定モードのときに第1切換部31から変速装置7への作動電流の供給を遮断する第2切換部(常閉リレー)32と、を有している。
【0093】
上記構成によると、第1操作部材5bと第2操作部材5cのうちの少なくともいずれかの操作部材を作業機1に設けることで、当該操作部材を操作して、アクチュエータML、MRの作動速度の速度段を変更することができる。また、例えば第1操作部材5bが設けられている作業機1において、第2操作部材5cを設けて欲しいという要望があった場合に、第2操作部材5cと共に中継ハーネス33を作業機1に設けることで、制御装置40を介さずに、第2操作部材5cを操作して、アクチュエータML、MRの作動速度の速度段を変更することができる。また、作業機1が所定の作業モードにあるときに、第2操作部材5cが操作されても、第2切換部32によってアクチュエータML、MRの速度段の変更を阻止することができる。また、第2操作部材5cに対応させて、制御装置40を動作させるソフトウェアプログラムなどを更新する必要がないので、上述の要望に容易に対応することができる。このように、上記構成によれば、作業機1の操作システム100の利便性を向上させることが可能となる。
【0094】
本実施形態では、第2切換部32は常閉リレーであり、中継ハーネス33は、電源(補助電源)B2と第1切換部31の一端とを接続し、且つ第1切換部31の他端と常閉リレー32の接点部32aの一端とを接続し、且つ常閉リレー32の接点部32aの他端と変速装置7とを接続し、且つ常閉リレー32のコイル部32bと所定の作業モードにあるときに駆動信号が流れる給電配線41とを接続する。
【0095】
上記により、作業機1が所定の作業モードにないときに、第2操作部材5cが操作されると、電源B2からの作動電流が第1切換部31と常閉リレー32の接点部32aとを介して、変速装置7に入力されて、アクチュエータML、MRの速度段を変更することができる。また、作業機1が所定の作業モードにあるときに、給電配線41から常閉リレー32のコイル部32bに駆動電流が流れて、常閉リレー32がオフ状態になり、第2操作部材5cが操作されても、油圧アクチュエータML、MRの速度段の変更を阻止することができる。
【0096】
また、本実施形態では、第1切換部31は、第2操作部材5cが操作されると、オン状態に切り換わる検出スイッチ(足元検出スイッチ)である。このため、作業機1が所定の作業モードにないときに、作業機1の運転者が第2操作部材5cを操作することで、第1切換部31がオンして、電源B2からの作動電流が第1切換部31と常閉リレー32の接点部32aと経由して変速装置7に入力されて、アクチュエータML、MRの速度段を変更することができる。また、運転者が第2操作部材5cを操作していないときには、第1切換部31がオフ状態にあり、電源B2からの作動電流が変速装置7に入力されず、アクチュエータML、MRの速度段を維持することができる。
【0097】
また、本実施形態では、作業機1は、操作システム100と、複数の速度段で作動するアクチュエータML、MRと、を備え、操作システム100は、給電配線41の途中に接続された給電リレー43と、複数種類ある作業モードを切り換えるモードスイッチ46と、を備え、制御装置40は、モードスイッチ46から出力されるモード判別信号により所定の作業モードに切り換えられたと判別した場合に、給電リレー43をオン状態にし、第2切換部32は、給電リレー43がオン状態のときに、第1切換部31から変速装置7への作動電流の供給を遮断する。
【0098】
上記により、作業機1が所定の作業モードにあるときに、給電リレー43がオン状態になって、給電配線41から常閉リレー32のコイル部32bに駆動電流が入力されるので
、常閉リレー32の接点部32aを容易且つ確実にオフ状態にして、第2操作部材5cが操作されても、アクチュエータML、MRの速度段の変更を阻止することができる。また、作業機1が所定の作業モード以外にあるときに、給電配線41から常閉リレー32のコイル部32bに駆動電流が入力されなくなるので、常閉リレー32の接点部32aを容易且つ確実にオン状態に保持して、第2操作部材5cの操作に応じて、アクチュエータML、MRの速度段の変更をすることができる。
【0099】
また、本実施形態では、給電配線41は、一端が電源(バッテリ)B1に接続され、他端に給電コネクタ49が接続され、中継ハーネス33は、電源B2と検出スイッチ31の一端とを接続する第1配線34aと、検出スイッチ31の他端と常閉リレー32の接点部32aの一端とを接続する第2配線34bと、常閉リレー32の接点部32aの他端と変速装置7とを接続する第3配線34cと、常閉リレー32のコイル部32bと給電コネクタ49とを接続する第4配線34dと、を有している。
【0100】
上記により、中継ハーネス33によって、電源B2と検出スイッチ31とを容易に接続し、且つ検出スイッチ31の他端と常閉リレー32の接点部32aとを容易に接続し、常閉リレー32の接点部32aと変速装置7とを容易に接続し、常閉リレー32のコイル部32bと給電コネクタ49とを容易に接続することができる。そして、電源B2からの作動電流を検出スイッチ31及び常閉リレー32の接点部32aなど経由して、変速装置7に入力して、変速装置7によりアクチュエータML、MRの速度段を容易に変更することができる。また、電源B1からの作動電流を給電配線41及び給電コネクタ49などを経由して、常閉リレー32のコイル部32bに入力して、接点部32aを容易にオフすることができる。
【0101】
また、本実施形態では、作業機1は、複数種類ある作業モードのそれぞれに応じて作動する油圧式の作業アクチュエータ(バケットシリンダ)C4と、給電配線41から入力された駆動電流に応じて作業アクチュエータC4の動作を制御する作業制御部(バケット制御弁)V4と、を備え、中継ハーネス33は、第4配線34dから分岐して作業制御部V4に接続される第5配線34eを有している。これにより、常閉リレー32のコイル部32bと作業アクチュエータC4に入力する駆動電流の供給経路を一部共通化して、操作ユニット30及び操作システム100の構成部品点数を減少させることができ、コストを削減することが可能となる。
【0102】
また、本実施形態では、作業機1は、作業アクチュエータC4の動力により動作する作業具(バケット)23を含んだ作業装置20を備え、制御装置40は、モードスイッチ46により所定の作業モードとして、作業装置20によってクレーン作業を行うクレーンモードに切り換えられた場合に、給電リレー43をオン状態にする。これにより、第2操作部材5c及び中継ハーネス33を作業機1に設けても、給電配線41、給電リレー43、及び制御装置40により、作業アクチュエータC4、作業具23、及び常閉リレー32などをクレーンモードに応じた状態で作動させることができる。また、作業機1がクレーンモードにあるときに、給電リレー43がオン状態になって、常閉リレー32の接点部32aがオフ状態になるので、第1操作部材5b及び第2操作部材5cによりアクチュエータML、MRの速度段が変更されるのを確実に阻止することができる。
【0103】
また、本実施形態では、作業機1は、第1操作部材5bの操作状態を検出する検出スイッチ(手元検出スイッチ)47を備え、制御装置40は、所定の作業モードにあるときに、第1操作部材5bが操作されたことを検出スイッチ47により検出すると、変速制御弁36に作動電流を入力せず、アクチュエータML、MRの速度段を変更しない。これにより、作業機1が所定の作業モードにあるときに、第1操作部材5bが操作されても、油圧アクチュエータML、MRの速度段の変更を阻止することができる。
【0104】
また、本実施形態では、第1操作部材5bは、手で操作させる操作スイッチ5bであり、第2操作部材5cは、足で操作される操作ペダル5cである。これにより、操作スイッチ5b及び操作ペダル5cの少なくともいずれかを、機体2に設けられた運転席4の周辺に実装することで、作業機1の運転者が、操作スイッチ5b及び操作ペダル5cのうちの所望の操作部材を操作して、油圧アクチュエータML、MRの速度段を容易に変更することができ、作業機1の操作システム100の利便性をより向上させることが可能となる。
【0105】
また、本実施形態では、作業機1は、機体2を走行可能に支持する走行装置10を備え、複数の操作段で作動するアクチュエータML、MRは、走行装置10を駆動する可変容量型の油圧モータから成る走行モータML、MRであり、変速装置7は、走行モータML、MRの斜板の角度を変更することで、走行モータML、MRの速度段を第1速度段と当該第1速度段より高速な第2速度段とに切り換え、第1操作部材5b及び第2操作部材5cは、速度段を第1速度段から第2速度段に変更するためにそれぞれ操作される。
【0106】
上記により、所定の作業モードにある場合に、第1操作部材5b或いは第2操作部材5cが操作されても、作動電流が変速装置7に入力されず、走行モータML、MRの速度段が第1速度段に保持されるので、作業機1の走行速度が増大するのを容易且つ確実に阻止することができる。また、作業機1が所定の作業モード以外にあるときに、第1操作部材5b或いは第2操作部材5cによって、走行モータML、MRの速度段を、低速な第1速度段から高速な第2速度段に容易に変更して、作業機1の走行速度の速度段も容易に低速段から高速段に変更することができる。
【0107】
さらに、本実施形態では、第2操作部材5cと中継ハーネス33とを備えた操作ユニット30を、アクチュエータML、MRの速度段を変更する操作システム100に組み込み可能である。このため、作業機1の運転者などの要望に応じて、作業機1の操作システム100に操作ユニット30を組み込んで、第2操作部材5cによりアクチュエータML、MRの速度段を変更することができる。また、運転者などの要望に応じて、作業機1の操作システム100に操作ユニット30を組み込まず、第1操作部材5b及び検出スイッチ47を実装して、第1操作部材5bにより制御装置40を介してアクチュエータML、MRの速度段を変更することができる。
【0108】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 作業機
2 機体
5b 操作スイッチ(第1操作部材)
5c 操作ペダル(第2操作部材)
7 変速装置
10 走行装置
20 作業装置
23 バケット(作業具)
30 操作ユニット
31 足元検出スイッチ(第1切換部、検出スイッチ)
32 常閉リレー(第2切換部)
32a 接点部
32b コイル部
33 中継ハーネス
34a 第1配線
34b 第2配線
34c 第3配線
34d 第4配線
34e 第5配線
40 制御装置
41 給電配線
43 給電リレー
46 モードスイッチ
49 給電コネクタ
100、100A、100B 操作システム
B1 バッテリ(電源)
B2 補助電源(電源)
C4 バケットシリンダ(作業アクチュエータ)
ML、MR 走行モータ(アクチュエータ)
V4 バケット制御弁(作業制御部)