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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108570
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】液体容器
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B41J2/175 169
B41J2/175 115
B41J2/175 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013002
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】林 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 真也
(72)【発明者】
【氏名】田邉 裕磨
(72)【発明者】
【氏名】大木 聡
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐士
(72)【発明者】
【氏名】阿部 七海
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA18
2C056KC02
2C056KC05
2C056KC17
(57)【要約】
【課題】液体容器が落下しても、供給筒が変形したり破損したりし難い液体容器を提供する。
【解決手段】 液体容器は、貯留室32を有しており、メイン前壁および当該メイン前壁より後方かつ下方に位置するサブ前壁を有する容器本体130と、容器本体130のサブ前壁から前方へ突出しており、貯留室32と連通する供給筒と、供給筒の突出端に嵌合されるキャップ79と、を備え、キャップ79は、容器本体130と上下方向に対向するキャップ上面79Aと、キャップ上面79Aから上方へ起立しており、左右方向へ離れて位置する複数の起立部60と、を有しており、容器本体130は、キャップ上面79Aと対向する第1受け面141と、複数の起立部60の上面とそれぞれ対向する第2受け面142と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留室を有しており、メイン前壁および当該メイン前壁より後方かつ下方に位置するサブ前壁を有する容器本体と、
上記容器本体のサブ前壁から前方へ突出しており、上記貯留室と連通する供給筒と、
上記供給筒の突出端に嵌合されるキャップと、を備え、
上記キャップは、
上記容器本体と上下方向に対向するキャップ上面と、
上記キャップ上面から上方へ起立しており、左右方向へ離れて位置する複数の起立部と、を有しており、
上記容器本体は、
上記キャップ上面と対向する第1受け面と、
複数の上記起立部の上面とそれぞれ対向する第2受け面と、を有する液体容器。
【請求項2】
上記容器本体は、
上記メイン前壁および上記サブ前壁と接続して前後方向へ延びるサブ下壁と、
上記サブ下壁から下方へ突出する受け部と、をさらに有しており、
上記受け部は、上記第1受け面と、上記第2受け面と、上記第1受け面および上記第2受け面と接続して上下方向へ延びる段差面と、を有しており、
上記段差面は、複数の上記起立部の左右方向の内方に位置しており、複数の上記起立部と左右方向において対向する請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
上記起立部は、前後方向に沿って延びるプレート形状であり、
上記第2受け面は、前後方向に延びて上記起立部の上面と対向する請求項1または2に記載の液体容器。
【請求項4】
上記貯留室は、上記サブ下壁の上方に位置する請求項2に記載の液体容器。
【請求項5】
上記起立部および上記第2受け面は、上記供給筒の前端から後端部に亘って延びている請求項3に記載の液体容器。
【請求項6】
上記第1受け面と上記キャップ上面との間の距離は、上記第2受け面と上記起立部との間の距離よりも大きい請求項2に記載の液体容器。
【請求項7】
上記キャップは、上記供給筒に対して前後方向へ移動することによって上記容器本体に着脱可能である請求項1または2に記載の液体容器。
【請求項8】
上記供給筒の上面と上記容器本体との間に接続されるリブをさらに備える請求項1に記載の液体容器。
【請求項9】
貯留室を有しており、メイン前壁および当該メイン前壁より後方かつ下方に位置するサブ前壁を有する容器本体と、
上記容器本体のサブ前壁から前方へ突出しており、上記貯留室と連通する供給筒と、
上記供給筒の上面と上記容器本体との間に位置し、上記供給筒の上面から上方に向けて延びるリブと、を備える液体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の供給筒にキャップが嵌められた液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
インクカートリッジから供給されたインクが、ノズルを介して記録ヘッドから吐出されるプリンタが知られている。インクカートリッジは、貯留室に貯留されたインクを外部へ供給するための供給筒を有する。供給筒の先端には、シールゴムが位置されている。供給筒にキャップが嵌められて、シールゴムがキャップと供給筒の先端との間に挟み込まれている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-161874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクカートリッジが店頭で販売されているときや、ユーザが持ち運ぶときに、インクカートリッジが床などに落下することがある。落下による衝撃がキャップに加わると、供給筒が撓んで変形したり破損したりするおそれがある。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、落下により供給筒が変形したり破損したり難い液体容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る液体容器は、貯留室を有しており、メイン前壁および当該メイン前壁より後方かつ下方に位置するサブ前壁を有する容器本体と、上記容器本体のサブ前壁から前方へ突出しており、上記貯留室と連通する供給筒と、上記供給筒の突出端に嵌合されるキャップと、を備える。上記キャップは、上記容器本体と上下方向に対向するキャップ上面と、上記キャップ上面から上方へ起立しており、左右方向へ離れて位置する複数の起立部と、を有する。上記容器本体は、上記キャップ上面と対向する第1受け面と、複数の上記起立部の上面とそれぞれ対向する第2受け面と、を有する。
【0007】
上記構成によれば、キャップの下方から外力が加わると、供給筒が上方に向けて撓む。供給筒が上方へ撓むことにより、キャップの上面は、第1受け面に向けて移動して第1受け面に接触する。複数の起立部は、第2受け面に向けて移動して第2受け面に接触する。キャップが複数箇所で容器本体に接触することにより、キャップから容器本体に作用する応力は、接触する複数個所に分散する。容器本体の変形が抑えられることにより、供給筒の撓みが抑制され、供給筒の変形や破損が抑制される。また、容器本体の変形や破損が抑制される。
【0008】
(2) 好ましくは、上記容器本体は、上記メイン前壁および上記サブ前壁と接続して前後方向へ延びるサブ下壁と、上記サブ下壁から下方へ突出する受け部と、をさらに有しており、上記受け部は、上記第1受け面と、上記第2受け面と、上記第1受け面および上記第2受け面と接続して上下方向へ延びる段差面と、を有しており、上記段差面は、複数の上記起立部の左右方向の内方に位置しており、複数の上記起立部と左右方向において対向する。
【0009】
上記構成によれば、キャップに外力が加わることにより、キャップおよび供給筒が左右方向へ撓むと、起立部が段差面に接触する。これにより、供給筒の左右方向への撓みが抑えられるので、供給筒の変形や破損が抑制される。
【0010】
(3) 好ましくは、上記起立部は、前後方向に沿って延びるプレート形状であり、上記第2受け面は、前後方向に延びて上記起立部の上面と対向する。
【0011】
上記構成によれば、第2受け面と起立部との接触面積を増やすことができるので、起立部から第2受け面へ伝達される力が分散され、容器本体の変形がより抑えられる。
【0012】
(4) 好ましくは、上記貯留室は、上記サブ下壁の上方に位置する。
【0013】
上記構成によれば、貯留室の容積が比較的大きい。キャップから受け部を通じてサブ下壁へ伝達される力が分散されるのでサブ下壁が変形し難い。
【0014】
(5) 好ましくは、上記起立部および上記第2受け面は、上記供給筒の前端から後端部に亘って延びている。
【0015】
上記構成によれば、供給筒の後端側において、起立部が第2受け面に接触するので、供給筒の変形がより抑制される。
【0016】
(6) 好ましくは、上記第1受け面と上記キャップ上面との間の距離は、上記第2受け面と上記起立部との間の距離よりも大きい。
【0017】
上記構成によれば、起立部が第2受け面に当たった後、第1受け面にキャップが当たる。これにより、第2受け面において複数の起立部から応力を受けた後、第1受け面において応力を受けるので、供給筒および容器本体の変形および破損を抑制できる。
【0018】
(7) 好ましくは、上記キャップは、上記供給筒に対して前後方向へ移動することによって上記容器本体に着脱可能である。
【0019】
上記構成によれば、キャップが着脱されるときに、起立部と第2受け面とがキャップの移動を阻害しない。
【0020】
(8) 好ましくは、上記液体容器は、上記供給筒の上面と上記第1受け面との間に接続されるリブをさらに備える。
【0021】
(9) 本発明に係る液体容器は、貯留室を有しており、メイン前壁および当該メイン前壁より後方かつ下方に位置するサブ前壁を有する容器本体と、上記容器本体のサブ前壁から前方へ突出しており、上記貯留室と連通する供給筒と、上記供給筒の上面と上記容器本体との間に位置し、上記供給筒の上面から上方に向けて延びるリブと、を備える。
【0022】
上記構成によれば、供給筒の下方から外力が加わると、供給筒が上方に向けて撓もうとする。リブは、供給筒に応力を与えることにより、供給筒の撓みを抑制する。供給筒の撓みが抑制されることで、供給筒の変形や破損が抑制される。また、容器本体の変形や破損が抑制される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、液体容器が落下しても、供給筒が変形したり破損したりし難い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、プリンタ部の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図2図2は、カートリッジ装着部の平面図である。
図3図3は、カートリッジの斜視図である。
図4図4は、インクカートリッジの断面を示す斜視図である。
図5図5は、インクカートリッジの横断面図である。
図6図6は、図5の領域Aの部分拡大図である。
図7図7は、インクカートリッジの分解斜視図である。
図8図8は、キャップに衝撃が加わった際のキャップの状態を示す図5の領域Aの模式図である。
図9図9は、キャップに衝撃が加わった際のキャップの状態を示す図5の領域Aの模式図である。
図10図10は、インクカートリッジの変形例を示す断面の部分拡大図である。
図11図11は、インクカートリッジの変形例を示す断面の部分拡大図である。
図12図12は、インクカートリッジの変形例を示す斜視図である。
図13図13は、インクカートリッジの変形例を示す断面図である。
図14図14は、インクカートリッジのさらに他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0026】
また、以下の説明では、インクカートリッジがカートリッジ装着部に挿入される方向が前方向と定義される。また、インクカートリッジがカートリッジ装着部から抜き出される方向が後方向と定義される。以下では、インクカートリッジは、カートリッジ装着部に対して水平方向である前提として説明がなされるが、必ずしも前方向および後方向は水平方向でなくてもよい。また、前方向および後方向のいずれかに直交する方向が下方向と定義される。下方向の反対となる方向が上方向と定義される。前方向および下方向と直交する方向が右方向と定義される。右方向と反対方向が左方向と定義される。したがって、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されて使用される状態において、重力方向が下方向であり、重力方向と反対方向が上方向であることを前提として説明がなされる。つまり、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されて使用される状態において、筐体のメイン下壁の外面が重力方向の下方を向く。また、前方向及び下方向と直交する方向が、右方向及び左方向と定義される。より具体的には、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されて使用される状態で、インクカートリッジを後方から前方に視た場合において、右方に向く方向が右方向と定義され、左方に向く方向が左方向と定義される。なお、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されて使用される状態とは、インクカートリッジがカートリッジ装着部の装着位置まで挿入された状態である。装着位置は、カートリッジ装着部に設けられたインクニードルがインクカートリッジに設けられたインク供給部に挿入されて互いに連結され、且つインクカートリッジに設けられたIC基板がカートリッジ装着部に設けられた接点と接触する位置である。また、以下では、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されて使用される状態の、当該インクカートリッジの姿勢を使用姿勢と称する。なお、インクカートリッジは、液体容器の一例である。
【0027】
また、前方向及び後方向は、前後方向と定義される。また、上方向及び下方向は、上下方向と定義される。また、右方向及び左方向は、左右方向(幅方向の一例)と定義される。
【0028】
また、以下の説明では、「前方を向く」とは、前方の成分を含む方向を向くことを含み、「後方を向く」とは、後方の成分を含む方向を向くことを含む。また、「下方を向く」とは、下方の成分を含む方向を向くことを含み、「上方を向く」とは、上方の成分を含む方向を向くことを含む。例えば、「前面が前方を向く」とは、前面が前方を向いていてもよいし、前面が前方に対して傾斜した方向を向いていてもよい。
【0029】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、用紙に対してインク滴を吐出することにより画像を記録する画像記録装置であり、例えばインクジェットプリンタである。プリンタ10は、記録ヘッド21と、インク供給装置100と、記録ヘッド21及びインク供給装置100を接続するインクチューブ20とを備えている。インク供給装置100は、カートリッジ装着部110を備える。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30(液体カートリッジの一例)が装着される。図2に示されるように、カートリッジ装着部110には、その一面に開口112が形成されている。インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジ装着部110に前方へ挿入され、或いは開口112を通じてカートリッジ装着部110から後方へ抜き出される。
【0030】
インクカートリッジ30は、液体を貯留しており、例えばプリンタ10で使用可能なインク(液体の一例)を貯留する。カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とは、インクチューブ20を介して接続されている。記録ヘッド21は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留するダンパ室28を有する。記録ヘッド21は、ダンパ室から供給されたインクを複数のノズル29から吐出する。具体的には、記録ヘッド21が備えるヘッド制御基板が、複数のノズル29に対応して設けられた複数のピエゾ素子29Aに選択的に駆動電圧を印加する。これにより、ノズル29から選択的にインクが吐出される。つまり、記録ヘッド21は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30に貯留されたインクを消費する。
【0031】
プリンタ10は、給紙トレイ15と、給紙ローラ23と、搬送ローラ対25と、プラテン26と、排出ローラ対27と、排紙トレイ16と、を備えている。給紙ローラ23は、給紙トレイ15上の用紙を搬送路24へ向けて給送する。搬送路24へ給送された用紙は、やがて搬送ローラ対25に到達する。搬送ローラ対25は、搬送ローラ対25に到達した用紙をプラテン26上へ搬送する。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、用紙に画像が記録される。プラテン26を通過した用紙は、排出ローラ対27に到達する。排出ローラ対27は、排出ローラ対27に到達した用紙を、搬送路24の最下流側に位置する排紙トレイ16に排出する。
【0032】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100は、記録ヘッド21にインクを供給する。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110と、タンク103と、を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態が示されている。つまり、図1において、インクカートリッジ30は装着状態である。この状態にあるインクカートリッジ30の姿勢が、使用姿勢である。
【0033】
[カートリッジ装着部110]
図1および図2に示されるように、カートリッジ装着部110は、カートリッジケース101と、インクニードル102と、を備えている。
【0034】
[カートリッジケース101]
図2に示されるように、カートリッジケース101は、カートリッジ装着部110の筐体である。図1および図2に示されるように、インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジケース101へ挿入され、開口112を通じてカートリッジケース101から抜き出される。
【0035】
[インクニードル102]
図1及び図2に示されるように、インクニードル102は、中空の管状となっており、カートリッジケース101の終面59の下部に位置している。インクニードル102は、カートリッジケース101の終面59において、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34(図3参照)に対応する位置に配置されている。インクニードル102は、カートリッジケース101の終面59から後方へ突出しており、その先端が後方に向けて開口している。なお、インクニードル102の先端は、平坦であってもよく、尖っていてもよい。
【0036】
図2に示されるように、カートリッジケース101の下部には、突起105が位置している。具体的には、突起105は、カートリッジケース101におけるインクニードル102の周囲に位置している。突起105は、4つ形成されている。突起105は、前後方向に延びている。突起105は、インクカートリッジ30の後述するキャップ79(図3参照)をインクニードル102に向けてガイドするガイド部材である。
【0037】
[タンク103]
図1に示されるように、カートリッジケース101の前方にはタンク103が配置されている。タンク103は、内部にインクを貯留可能な箱形状である。タンク103の上部は、大気連通ポート124によって外部へ開口している。これにより、タンク103の内部空間は、大気開放されている。タンク103の内部空間は、後方においてインクニードル102の内部空間と連通している。これにより、インクニードル102を通じてインクカートリッジ30から流出したインクがタンク103に貯留される。タンク103には、インクチューブ20が接続されている。これにより、タンク103の内部空間に貯留されたインクがインクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ供給される。
【0038】
[インクカートリッジ30の全体構造]
インクカートリッジ30は液体であるインクが貯留される容器である。図3から図6に示されるように、インクカートリッジ30は、平面視における外形が略形の箱体である。図3から図6に示されているインクカートリッジ30の姿勢は、インクカートリッジ30が使用姿勢にあるときの姿勢、すなわち使用姿勢である。インクカートリッジ30は、前壁40,82と、後壁41,83と、上壁39と、下壁45と、側壁37,84と、側壁38,85と、を備える。
【0039】
前壁40は、インクカートリッジ30が使用姿勢において、前方を向く壁である。前壁40は、メイン前壁43と、サブ前壁50と、を備える。サブ前壁50は、メイン前壁43より後方かつ下方に位置する。メイン前壁43は、インクカートリッジ30の前端を画定する壁である。メイン前壁43の上端は、前壁82の下端に接続される。メイン前壁43の下端は、サブ下壁48の前端に接続される。サブ前壁50の上端は、サブ下壁48の後端に接続される。サブ前壁50の下端は、メイン下壁42の前端に接続される。
【0040】
後壁41は、インクカートリッジ30が使用姿勢において、後方を向く壁である。上壁39は、インクカートリッジ30が使用姿勢において、上方を向き、前端が前壁82の上端と接続され、後端が後壁83の上端と接続されている。
【0041】
下壁45は、インクカートリッジ30が使用姿勢において、下方を向いている。下壁45は、メイン下壁42と、サブ下壁48と、を備える。サブ下壁48は、メイン下壁42の前方かつ上方に位置する。メイン下壁42の後端は、後壁41の下端に接続される。メイン下壁42の前端は、サブ前壁50の下端に接続されている。サブ下壁48の後端は、サブ前壁50の上端に接続されている。サブ下壁48の前端は、メイン前壁43の下端に接続されている。
【0042】
インクカートリッジ30は、使用姿勢においては、後壁41から前壁40に向かう方向が前方向に一致し、前壁40から後壁41に向かう方向が後方向に一致する姿勢である。また、インクカートリッジ30は、使用姿勢においては、上壁39から下壁45に向かう方向が下方向(重力方向)に一致し、下壁45から上壁39に向かう方向が上方向に一致する姿勢である。また、インクカートリッジ30は、使用姿勢においては、側壁38から側壁37に向かう方向が右方向に一致し、側壁37から側壁38に向かう方向が左方向に一致する。また、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されるときに、前壁40の外面は前方を向き、後壁41の外面は後方を向き、下壁45の外面は下方を向き、上壁39の外面は、上方を向く。
【0043】
図7に示されるように、インクカートリッジ30は、容器本体130と、インク供給部34と、第1内蓋131と、第2内蓋132と、外蓋134と、を備える。
【0044】
[容器本体130]
容器本体130は、上方が開放された箱形状である。つまり、容器本体130の上端には、開口95が形成されている。本実施形態では、容器本体130は、樹脂製である。図4および図5に示されるように、容器本体130は、貯留室32を有している。貯留室32は、例えば、サブ下壁48の上方に位置する。サブ下壁48の下面48Aは、前壁40およびサブ前壁50を接続するサブ下壁48のうち、下方を向く面である。
【0045】
インクカートリッジ30の使用姿勢において、前方を向く容器本体130の面がメイン前壁43と、サブ前壁50と、であり、後方を向く容器本体130の面が後壁41である。側壁37、38は、メイン前壁43、サブ前壁50、及び後壁41とそれぞれ交差して延びている。側壁37、38は、メイン前壁43とサブ前壁50と後壁41とメイン下壁42とサブ下壁48とを繋いでいる。使用姿勢において、側壁37の外面は右方を向いており、側壁38の外面は左方を向いている。
【0046】
図4に示されるように、メイン下壁42の前端には、サブ前壁50の後方を向く面に沿って上下方向に延びる連通孔49が位置する。連通孔49は、サブ前壁50を貫通する貫通孔51に連通される。容器本体130は、受け部140を備える。
【0047】
[受け部140]
図4から図7に示されるように、受け部140は、サブ下壁48から下方へ突出する。受け部140は、左右方向および上下方向に沿った断面において、下方へ突出する凸形状である。受け部140は、左右方向の中央部が最も下方に突出する。受け部140は、左右方向の中央部において、キャップ79の上面79Aに対向する。受け部140の上方には、貯留室32が位置する。受け部140の上面は、連通孔49に向けて前後方向に延びる凹状の溝140Aである。受け部140は、第1受け面141と、第2受け面142と、第3受け面143と、段差面144と、前端面145と、を有する。
【0048】
[第1受け面141]
第1受け面141は、キャップ79の上面79Aと対向する面である。第1受け面141は、平面視における外形が矩形である。第1受け面141は、前後方向および左右方向に延びる平面である。図4および図7に示されるように、第1受け面141の前端は、筒体75の前端よりも前方に位置する。第1受け面141の前端は、キャップ79の上面79Aよりも後方に位置する。第1受け面141の前端から後端までの寸法は、キャップ79の上面79Aの前後方向の寸法と概略同じである。
【0049】
第1受け面141には、下方に膨出する膨出部146が位置する。膨出部146は、筒体75の前端部と上下方向において重なる。膨出部146は、第1受け面141において左右方向に延びる。図6に示されるように、膨出部146の下端と筒体75の上端との上下方向に沿う寸法sは、例えば、キャップ79の上面79Aの肉厚dよりも大きい(寸法s>肉厚d)。
【0050】
[第2受け面142]
第2受け面142は、前後方向および左右方向に延びる平面である。第2受け面142の平面視における外形は、前後方向に長い矩形である。第2受け面142は、例えば、左右方向において第1受け面141を挟んで一対である。第2受け面142は、第1受け面141よりもサブ下壁48の下面48Aの近くに位置する。換言すれば、第2受け面142は、第1受け面141よりも上方に位置する。第2受け面142は、筒体75の前端から後端に亘り延びている。第2受け面142の前端は、第1受け面141の前端よりも前方に位置する。
【0051】
[第3受け面143]
第3受け面143は、第1受け面141より前方かつ上方において左右方向に延びて下方を向く。第3受け面143は、一対の第2受け面142の前端同士を接続する。第3受け面143の平面視における外形は、矩形である。
【0052】
[段差面144]
段差面144は、第1受け面141と第2受け面142とを接続して上下方向に延びる。段差面144は、左右方向において、第1受け面141を挟んで一対である。段差面144は、第1受け面141の前端と後端との間で前後方向へ延びる。段差面144は、左右方向に沿って視たときにおける外形が矩形である。
【0053】
[前端面145]
前端面145は、一対の段差面144の前端を接続する面である。前端面145は、第1受け面141および第2受け面142とも接続する。前端面145は、左右方向および上下方向に延びて前方を向く。前端面145の上下方向の寸法は、段差面144の上下方向の寸法と同一である。前端面145の左右方向の寸法は、段差面144同士を結ぶ寸法と同一である。前端面145は、前後方向に沿って視たときにおける外形が矩形である。
【0054】
[インク供給部34]
図3から図6に示されるように、インク供給部34は、サブ前壁50の前方を向く面50Aに位置する。インク供給部34は、サブ下壁48の下方に位置する。図5に示されるように、インク供給部34は、左右方向において、サブ前壁50の中央に位置する。インク供給部34は、筒体75(供給筒の一例)と、バルブ77と、コイルバネ78と、キャップ79と、を備える。
【0055】
[筒体75]
図6および図7に示されるように、筒体75は、円筒形状の外形をなしている。筒体75は、筒形状であれば円筒形状に限定されない。図4に示されるように、筒体75は、サブ前壁50から前方へ突出する。筒体75の後端は、サブ前壁50に接続される。筒体75の内部空間は、貫通孔51と連通する。これにより、筒体75は、貫通孔51を介して貯留室32に連通する。筒体75の下端は、サブ前壁50の下端から前方に向けて延出されている。筒体75の上端は、サブ前壁50の上端から前方に向けて延出されている。筒体75の突出端(先端)は、前方を向いている。筒体75の内部空間がインクバルブ室35である。
【0056】
[バルブ77およびコイルバネ78]
バルブ77およびコイルバネ78は、インクバルブ室35に収容されている。バルブ77は、前後方向に沿って移動することにより、前方に位置するパッキン73と接離可能である。バルブ77がパッキン73と接離することにより、パッキン73に貫通された貫通孔76が開閉される。コイルバネ78は、バルブ77を前方へ付勢している。したがって、外力が付与されていない状態において、バルブ77は、パッキン73の貫通孔76を閉じている。
【0057】
[キャップ79]
図3から図7に示されるように、キャップ79の外形は、概ね直方体である。キャップ79は、前端および後端が開口する筒状である。キャップ79の上面79Aは、左右方向に延びるアーチ状である。キャップ79の上面79Aは、容器本体130のサブ下壁48の下面48Aに対向する。
【0058】
キャップ79は、筒体75の突出端に外嵌されている。キャップ79は、例えば、筒体75の突出端に被せられる。筒体75の外面は、キャップ79の内面に当接する。また、キャップ79の後端の開口89を通じて、筒体75およびパッキン73がキャップ79の内部空間に位置している。図4から図6に示されるように、キャップ79が筒体75に被せられた状態において、キャップ79の下面79Bは、サブ前壁50の下端50Bよりも下方に位置する。また、キャップ79の前端の開口87の径は、インクニードル102の径よりも大きい。
【0059】
キャップ79の上面の両側部および下面の両側部は、カートリッジケース101へのインクカートリッジ30の挿入の際に突起105(図2参照)に係合する。キャップ79と突起105との係合により、インクニードル102の先端と開口87の中心とは、前後方向に沿って位置合わせされる。突起105に対してキャップ79が摺動されることにより、インクニードル102がキャップ79の内部(インクバルブ室35)に挿入される。
【0060】
キャップ79の後端には、後方に突出する固定部180が位置する。固定部180は、例えば、キャップ79の後端から後方に向かって突出する。固定部180は、開口89を挟んで左右方向に一対に位置する。固定部180は、上下方向に突出する係合爪181を有する。係合爪181は、サブ前壁50との接続位置における筒体75の両側面に位置する凹状の被係合部179に係合する。係合爪181の前端が被係合部179において上下方向且つ左右方向に延びる被係合片179Aに係合することにより、キャップ79は容器本体130に固定される。キャップ79が筒体75に被せられた状態において、キャップ79の上面79Aは、容器本体130と上下方向で対向する。具体的には、キャップ79の上面79Aは、受け部140に対向する。
【0061】
[起立部60]
キャップ79の上面79Aには、上方へ起立する2つの起立部60が位置する。起立部60は、前後方向に延びるプレート形状である。起立部60は、筒体75の前端から後端部に亘り延びている。起立部60の前後方向の寸法は、第2受け面142の前後方向の寸法と同じである。図5および図6に示されるように、2つの起立部60は、左右方向に離れて位置する。2つの起立部60の間の左右方向に沿った寸法は、開口87の直径よりも小さい。
【0062】
キャップ79の上面79Aから起立部60の上端までの寸法は、起立部60の前後方向に沿って概略同じである。2つの起立部60の間の寸法L3(2つの起立部60の対向面60Bの間の寸法)は、左右方向に沿って、第1受け面141の左右方向の寸法と概略同じである。2つの起立部60の間において、キャップ79の上面79Aは、第1受け面141と上下方向に対向する。2つの起立部60の上面60Aは、2つの第2受け面142と上下方向にそれぞれ対向する。2つの起立部60の対向面60Bは、左右方向において段差面144にそれぞれ対向する。図6に示されるように、キャップ79の上面79Aの頂点と上下方向に重なる第1受け面141との間の距離L1は、起立部60の上面60Aの一点と上下方向に重なる第2受け面142との間の距離L2よりも大きい(距離L1>距離L2)。
【0063】
[接続部61]
キャップ79の上面79Aの前端には、左右方向に延びて起立部60の前端部同士を接続する接続部61が位置する。接続部61は、キャップ79の上面79Aから上方に向けて突出する。接続部61は、プレート状である。キャップ79の上面79Aから接続部61の上端までの寸法は、接続部61の左右方向に沿って概略同じである。また、キャップ79の上面79Aから接続部61の上端までの寸法は、キャップ79の上面79Aから起立部60の上端までの寸法と同じである。したがって、接続部61および起立部60は、キャップ79の上面から同じ高さで起立する。接続部61および起立部60の平面視における外形は、後端側を開口したU字状である。接続部61の上面60Aは、第3受け面143に対向する。接続部61の後方を向く面61Bは、前端面145に対向する。第3受け面143と上下方向に重なる接続部61の上面61Aの一点とを結ぶ距離は、距離L2である。
【0064】
[第1内蓋131]
図4および図7に示されるように、第1内蓋131は、上方向が開放される箱形状である。第1内蓋131は、平面視の外形が矩形である。第1内蓋131の左右方向の中央位置の後端側には、貫通孔46が位置する。第1内蓋131は、容器本体130の開口95に嵌合されることにより、容器本体130の開口95を閉塞する。第1内蓋131の下面は、容器本体130の前壁40の内面と、側壁37,38の内面と、後壁41の内面と、下壁45の内面とによって貯留室32を区画する。
【0065】
[第2内蓋132]
図4および図7に示されるように、第2内蓋132は、上方向が開放される箱形状である。第2内蓋132は、概ね板形状である。第2内蓋132の下面は、第1内蓋131に支持されている。第2内蓋132上面と、第1内蓋131の上面と、容器本体130の外壁との間は、図示しないフィルムによって液密に封止される。第2内蓋132は、貫通孔47を有する。貫通孔47は、第1内蓋131の貫通孔46と上下方向において重なる位置に有る。貫通孔47には、貫通孔47の開閉を切り替える弁機構165の一部が挿通される。第2内蓋132の左右方向の中央および前後方向の前端側には、上下方向に貫通する貫通孔148と、貫通孔148を囲繞するリブ149とが位置する。貫通孔148およびリブ149は、後述する大気連通流路72を構成する。
【0066】
[外蓋134]
図4および図7に示されるように、外蓋134は、下方が開放された箱形状である。外蓋134は、上方向から容器本体130に嵌合される。外蓋134は、容器本体130との間に第1内蓋131、第2内蓋132、およびフィルムを挟み込む。外蓋134の後方端には、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の着脱に用いられる操作面90が位置する。外蓋134の左右方向の中央且つ前後方向の後端側には、後述する大気連通流路72の一部である開口44が位置する。
【0067】
[大気連通流路72]
図4に示されるように、大気連通流路72は、貯留室32と大気との間に連通される空気の流路である。大気連通流路72の連通の有無は、弁機構165の動作による貫通孔46の開閉により切り替えられる。大気連通流路72は、貫通孔46、第1内蓋131の上面と第2内蓋132の下面との間、貫通孔148、第2内蓋132の上面と外蓋134の下面との間、および開口44を通る。弁機構165により貫通孔46が開放されている状態(カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着されている状態)が開状態である。弁機構165により貫通孔46が閉鎖されている状態(カートリッジ装着部110にからインクカートリッジ30が外されている状態)が閉状態である。
【0068】
[キャップ79の着脱]
キャップ79は、筒体75に対して前後方向へ移動することによって容器本体130に着脱可能である。キャップ79の装着過程において、図7に示されるように、キャップ79の後端が筒体75の先端に対して後方向に沿って移動する。キャップ79の移動にしたがって、起立部60の後端も後方向に沿って移動する。キャップ79の後端が筒体75に位置合わせされた状態でさらに後方に移動すると、2つの起立部60の対向する対向面60B(内面)の間に、第1受け面141、前端面145、および段差面144が進入する。2つの起立部60の対向面60Bは、段差面144と対向しながら、さらに後方に移動する。また、2つの起立部60の上面60Aは、第2受け面142と対向しながら、さらに後方に移動する。キャップ79の後端がサブ前壁50の前方を向く面50Aに当接することにより、キャップ79は筒体75に外嵌される。固定部180の係合爪181が被係合部179の被係合片179Aに係合することにより、キャップ79は、容器本体130に固定される。
【0069】
キャップ79の取り外し過程において、キャップ79の係合爪181が被係合部179との係合から解除される。キャップ79が前方に向けて移動すると、起立部60は、段差面144に沿って前方向に移動する。キャップ79が筒体75から取り外されると、2つの起立部60の間から第1受け面141および段差面144が抜ける。これにより、キャップ79を筒体75に容易に着脱できる。
【0070】
[インクカートリッジ30の落下時における態様]
インクカートリッジ30が落下すると、インクカートリッジ30は、床等に接触する。例えば、キャップ79の下面79Bの前端部(図3参照)が床等に接触する。落下による衝撃は、キャップ79の下面79Bの前端部から筒体75と容器本体130との接続位置を撓ませる。キャップ79の上面79Aは、筒体75の撓みによって容器本体130の下壁45に近づく方向に動く。
【0071】
キャップ79の上面79Aが容器本体130の下壁45(下面48A)に近づく方向(上方向)へ動くと、キャップ79の上面79Aは、第1受け面141に近づく。キャップ79の上面79Aから起立する起立部60は、キャップ79の上面79Aとともに上方向へ動く。換言すると、起立部60は、第2受け面142に近づく方向へ動く。接続部61は、起立部60とともに動き、第3受け面143へ近づく。
【0072】
キャップ79の上面79Aがさらに容器本体130の下壁45に近づくと、接続部61は、第3受け面143に接触する。また、図8に示されるように、起立部60は、第2受け面142に接触する。起立部60の上端は、キャップ79の上面79Aの更なる動きに応じて前後方向に延びる第2受け面142の全体に亘り接触する。すなわち、キャップ79に加わった応力は、接続部61および2つの起立部60を介して、第2受け面142および第3受け面143への応力に分散する。
【0073】
第2受け面142および第3受け面143への接続部61および2つの起立部60の接触により、第2受け面142および第3受け面143にはせん断応力が加わる。第2受け面142および第3受け面143は、せん断応力により、接続部61および2つの起立部60との接触位置で上方に撓む。また、第2受け面142および第3受け面143の撓みにより、キャップ79の上面79Aは、さらに容器本体130の下壁45に近づく。
【0074】
図9に示されるように、キャップ79の上面79Aのうち、第1受け面141に対向する領域は、第1受け面141に接触する。換言すると、キャップ79の上面79Aのうち、左右方向において2つの起立部60に挟まれている領域は、第1受け面141に接触する。キャップ79の上面の第1受け面141への接触により、キャップ79に加わる衝撃の応力は、第1受け面141、第2受け面142、および第3受け面143に分散する。
【0075】
インクカートリッジ30の落下による衝撃の応力は、床面と衝突するキャップ79の下面79Bとの左右方向における傾きに応じて、筒体75の左右方向に沿う方向にも作用する。左右方向に沿う方向に作用する応力は、筒体75を左右方向に撓ませる。
【0076】
筒体75の撓みにより、キャップ79の上面79Aは、左右方向に動く。2つの起立部60は、キャップ79の上面79Aとともに左右方向に動く。すなわち、一方の起立部60の対向面60Bは、対向する段差面144に対して近づく。一方の起立部60の対向面60Bがさらに段差面144に近づくと、対向面60Bの前端部が段差面144の前端部に接触する。対向面60Bがさらに段差面144に近づく方向に移動すると、対向面60Bの先端部から後方にかけて、徐々に段差面144に接触する。これにより、衝撃により筒体75の左右方向に作用する応力は、対向面60Bと段差面144との接触面積の増加により分散する。したがって、容器本体130の破損および変形をし難くできる。また、応力分散により筒体75の撓み量を減らせるので、筒体75の破損および変形をし難くできる。
【0077】
[実施形態の作用効果]
前述された実施形態では、キャップ79の下方から外力が加わると、筒体75が上方に向けて撓む。筒体75が上方へ撓むことにより、キャップ79の上面79Aは、第1受け面141に向けて移動するとともに、第1受け面141に接触する。複数の起立部60は、第2受け面142に向けて移動するとともに、第2受け面142に接触する、キャップ79が複数個所で容器本体130に接触することにより、キャップ79から容器本体130に作用する応力は、接触する複数個所に分散する。容器本体130の変形が抑えられることにより、筒体75の撓みが抑制され、筒体75の変形や破損が抑制される。また、容器本体130の変形や破損が抑制される。
【0078】
キャップ79に外力が加わることにより、キャップ79および筒体75が左右方向へ撓むと、起立部60が段差面144に接触する。これにより、筒体75の左右方向への撓みが抑えられるので、筒体75の変形や破損が抑制される。
【0079】
第2受け面142と起立部60との接触面積を増やすことができるので、起立部60から第2受け面142へ伝達される力が分散され、容器本体130の変形がより抑えられる。
【0080】
インク供給部34が貯留室の前方に位置する場合に比べ、貯留室32の容積が比較的大きい。キャップ79から受け部140を通じてサブ下壁48の下面48Aへ伝達される力が分散されるので、サブ下壁48の下面48Aが変形し難い。
【0081】
筒体75の後端側において、起立部60が第2受け面142に接触するので、筒体75の変形がより抑制される。
【0082】
起立部60が第2受け面142に当たった後、第1受け面141にキャップ79が当たる。これにより、第2受け面142において複数の起立部60から応力を受けた後、第1受け面141において応力を受けるので、筒体75および容器本体130の変形および破損を抑制できる。
【0083】
キャップ79が着脱されるときに、起立部60と第2受け面142とがキャップ79の移動を阻害しない。
【0084】
[変形例]
上記実施形態では、段差面144を有する受け面をもつインクカートリッジが説明されたが、これに限定されない。図10に示されるように、受け部140がサブ下壁48の下面48Aから突出しないインクカートリッジ30であってもよい。左右方向および前後方向に延びるサブ下壁48の下面48Aのうち、上下方向で起立部60に対向する領域が第2受け面142となる。また、サブ下壁48の下面48Aのうち、起立部60によって挟まれる位置のキャップ79の上面に上下方向で対向する領域が第1受け面141となる。第1受け面141と第2受け面142とは、左右方向に沿って面一になっている。
【0085】
また、図11に示されるように、第2受け面142がサブ下壁48の下面48Aから突出しないインクカートリッジであってもよい。段差面144は、第1受け面141とサブ下壁48の下面48Aとを接続する。起立部60の上端は、上下方向において、段差面144に前後方向に沿うサブ下壁48の下面48Aの領域に対向する。起立部60の上端が対向する領域が第2受け面142となる。起立部60の上下方向の長さは、上記実施形態に比べ、より大きい。具体的には、起立部60の上下方向の長さは、起立部60に挟まれるキャップ79の上面79Aと第1受け面141との間の距離R1よりも、起立部60の上端と第2受け面142との間の距離R2を短くする程度に延びる(R1>R2)。
【0086】
上記実施形態では、第3受け面143を備える構成を説明したが、これに限定されない。第3受け面143はなくてもよい。すなわち、第2受け面142が第1受け面141を挟んで左右方向に一対に位置していてもよい。
【0087】
上記実施形態では、容器本体130のサブ下壁48の下面48Aと筒体75の上面との接続の無い形態が説明されたが、これに限定されない。図12に示されるように、インクカートリッジ30は、筒体75の上面と第1受け面141との間に接続されるリブ160を有していてもよい。容器本体130のうち、リブ160との接続位置が第1受け面141である。キャップ79の上面79Aには、リブ160の左右方向の寸法に合わせた幅をもつ図示しないスリットが位置する。リブ160はスリットに進入している。キャップ79に衝撃が加わった場合、キャップ79から筒体75および容器本体130に加わる応力がリブ160および容器本体130のサブ下壁48の下面48Aに分散される。また、応力の分散により、リブ160が折損し難くい。
【0088】
また、上記実施形態において、起立部60を一対として説明した、これに限定されない。起立部60は、3以上の複数であってよい。例えば、起立部60は、キャッフ゜79の上面に左右方向に並んで3以上位置していてもよい。また、起立部60は、キャップ79の前後方向において間欠的に複数位置してもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、起立部60をプレート形状であるとしたが、これに限定されない。起立部60は、前後方向に間欠的に複数配置されている柱形状であってもよい。起立部60は、上方に向かって幅が狭くなるテーパ形状であってもよい。起立部60は、横断面が蒲鉾状であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態において、キャップ79の上面79Aは、アーチ状に限定されない。キャップ79の上面は平面状であってもよい。例えば、キャップ79の上面79Aが左右方向および前後方向に延びる平面とし、第1受け面141に接触するキャップ79の上面79Aの面積を大きくしてもよい。また、容器本体130のサブ下壁48の下面48Aが左右方向の中央且つ下方に向けて傾斜しているのに合わせて、傾斜していてもよい。
【0091】
また、上記実施形態において、キャップ79は、前端および後端が開口された中空の部材であれば、直方体以外の外形であってもよい。インクニードル102は、円筒状に限らず、角筒状などであってもよい。
【0092】
また、上記実施形態において、サブ下壁48の上方が貯留室32であるとしたが、これに限定されない。サブ下壁48の上方には、貯留室32に代えて、貯留室32からインク供給部34へインクを供給する図示しない供給路が位置してもよい。供給路の上方に貯留室32が位置してもよい。
【0093】
また、上記実施形態において、距離L1が距離L2よりも大きい(L1>L2)としたが、これに制限されない。キャップ79の上面79Aから第1受け面141に作用する応力が分散される構造であれば、距離L1が距離L2より小さくなっていてもよい(L1<L2)。また、距離L1と距離L2とは、等距離であってもよい(L1=L2)。
【0094】
また、上記実施形態において、キャップ79は、前後方向に移動させることで着脱可能としたが、これに限定されない。キャップ79は、上下方向に分割された2つの筐体を筒体に被せた状態で両者組み合わせることにより、容器本体130に着脱可能であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態において、図13に示されるように、インクカートリッジ30は、筒体75の上面と容器本体130のとの間に接続されるリブ160を備えており、キャップ79は、筒体75の突出端(前端)から筒体75の内部に内嵌されていてもよい。リブ160は、上下方向に延びる。なお、リブ160は、筒体75の上面75Aと容器本体130との間に位置しており、筒体75の上面75Aから上方に向けて延びており、容器本体130とは接続されずに容器本体130との間に隙間を有していてもよい。図13において、リブ160の左右方向において前方を向く面がサブ前壁50である。
【0096】
落下の衝撃により筒体75が上下方向に撓もうとすると、リブ160が筒体75の撓みを抑制する。これにより、筒体75および容器本体130の破損が抑制される。
【0097】
また、図14に示されるように、筒体75は、筒体75の上面75Aに接続される起立部60を有していてもよい。起立部60は、例えば、左右方向において、一対に位置する。一対の起立部60のそれぞれは、左右方向においてリブ160との接続位置を挟んで位置する。起立部60は、筒体75の上面75Aに接続される。一対の起立部60のそれぞれは、筒体75の上面75Aから上方に向けて延びる。起立部60の上面60Aに対向する容器本体130の下面が第2受け面142である。なお、起立部60の上面60Aは、第2受け面142に接続されていてもよい。図14において、リブ160の左右方向において前方を向く面がサブ前壁50である。
【0098】
筒体75が上下方向に撓むと、リブ160は、筒体75の撓みを抑制する。リブ160による筒体75の撓み抑制にも関わらず、筒体75が撓んだ場合、起立部60の上面60Aが第2受け面142に接触することにより、さらなる筒体75の撓みを抑制する。これにより、筒体75および容器本体130の破損が抑制される。
【符号の説明】
【0099】
30・・・インクカートリッジ
35・・・インクバルブ室
40・・・前壁
43・・・メイン前壁
48・・・サブ下壁
48A・・・下面
50・・・サブ前壁
78・・・コイルバネ
60・・・起立部
75・・・筒体
77・・・バルブ
79・・・キャップ
79A・・・上面
130・・・容器本体
140・・・受け部
141・・・第1受け面
142・・・第2受け面
144・・・段差面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14