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特開2024-108571静電式アクチュエータ及び静電式アクチュエータユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108571
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】静電式アクチュエータ及び静電式アクチュエータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02N 1/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H02N1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013003
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】310001067
【氏名又は名称】ストローブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(57)【要約】
【課題】本発明は、製作を容易にすることのできる静電式アクチュエータを提供することを目的とする。
【解決手段】
電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有する複数の第1の巻部13を有し、前記第1の巻部13の軸心Aに沿って複数の前記第1の巻部13が連続的に積層され、前記第1の巻部の各々は前記軸心が延びる方向に膨らんだ断面形状を有する、第1のコイル電極11と、電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有して前記第1の巻部13と同じ向きに巻き回された複数の第2の巻部14を有し、前記軸心Aに沿って複数の前記第2の巻部14が連続的に積層され、前記第2の巻部の各々は前記軸心が延びる方向に膨らんだ断面形状を有する、第2のコイル電極12とを備え、前記第1の巻部13と前記第2の巻部14とが前記軸心Aに沿って交互に並ぶように、前記第1のコイル電極11と前記第2のコイル電極12とが重ねて配置されるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有する複数の第1の巻部を有し、前記第1の巻部の軸心に沿って複数の前記第1の巻部が連続的に積層され、前記第1の巻部の各々は前記軸心が延びる方向に膨らんだ断面形状を有する、第1のコイル電極と、
電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有して前記第1の巻部と同じ向きに巻き回された複数の第2の巻部を有し、前記軸心に沿って複数の前記第2の巻部が連続的に積層され、前記第2の巻部の各々は前記軸心が延びる方向に膨らんだ断面形状を有する、第2のコイル電極とを備え、
前記第1の巻部と前記第2の巻部とが前記軸心に沿って交互に並ぶように、前記第1のコイル電極と前記第2のコイル電極とが重ねて配置されたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記第1の巻部及び前記第2の巻部の断面形状は、前記軸心に沿った方向と前記軸心に垂直な方向との長さの比が2:1以上1:20以下(1/2≦軸心に垂直な方向の長さ/軸心に沿った方向の長さ≦20/1)の範囲にあることを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記第1の巻部及び前記第2の巻部の断面形状は、円形形状であることを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記第1の巻部と前記第2の巻部とは、同じ外径を有することを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記第1の巻部と前記第2の巻部とは、同軸となるように配置されたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記第1のコイル電極及び前記第2のコイル電極の少なくとも一方は、螺旋形状を有する樹脂部材の表面が導電性材料でコーティングされているとともに、前記導電性材料の表面が電気絶縁材料で絶縁されて形成されたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記第1の巻部及び前記第2の巻部の内径よりも小さな外径の柱形状を有する弾性体が前記第1のコイル電極及び前記第2のコイル電極内に配置されたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項8】
請求項7に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記弾性体は、異方性材料で形成されたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記第1のコイル電極及び前記第2のコイル電極は、樹脂内に埋め込まれたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項10】
請求項1に記載の静電式アクチュエータにおいて、隣り合う前記第1の巻部と前記第2の巻部とは、前記第1の巻部と前記第2の巻部との間隔が広がり難くなるように保持する保持部材で接続されたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項11】
請求項10に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記保持部材は、異方性材料で形成されたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項12】
請求項10に記載の静電式アクチュエータにおいて、前記保持部材は、繊維で形成されたことを特徴とする、静電式アクチュエータ。
【請求項13】
請求項1に記載の静電式アクチュエータを複数備えた静電式アクチュエータユニットにおいて、複数の前記静電式アクチュエータは、隣り合う一方の前記静電式アクチュエータの外径が他方の前記静電式アクチュエータの内径よりも小さく形成されており、前記一方の静電式アクチュエータが前記他方の静電式アクチュエータ内に同軸で組み込まれたことを特徴とする、静電式アクチュエータユニット。
【請求項14】
請求項1に記載の静電式アクチュエータを備えた静電式アクチュエータユニットにおいて、複数の前記静電式アクチュエータを並列配置したことを特徴とする、静電式アクチュエータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電式アクチュエータ及び静電式アクチュエータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極間に生じる静電引力に基づく発生力を駆動力として用いる静電式アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の静電式アクチュエータは、2本のリボン状の電極フィルムを折り重ねて構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017‐22926
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術による静電式アクチュエータは、取り扱いが困難な薄いフィルムを積層して製作しており、安定して多数の層を積層し難く、製作することが困難であった。また、薄いフィルムで構成されているため、大きな力を発生させる静電式アクチュエータを製作したり、静電式アクチュエータを発電素子として用いたときに発電量を多くしたりすることは強度的に困難であった。
【0005】
また、フィルムを積層して製作した静電式アクチュエータは、収縮して対向する板状の電極どうしの間隔が狭まるときに電極間に介在していた空気等の流体が逃げ難く、スクイーズ効果により電極間の流体の圧力が上がるため、応答性が悪かった。
【0006】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、製作を容易にすることのできる静電式アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有する複数の第1の巻部を有し、前記第1の巻部の軸心に沿って複数の前記第1の巻部が連続的に積層され、前記第1の巻部の各々は前記軸心が延びる方向に膨らんだ断面形状を有する、第1のコイル電極と、電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有して前記第1の巻部と同じ向きに巻き回された複数の第2の巻部を有し、前記軸心に沿って複数の前記第2の巻部が連続的に積層され、前記第2の巻部の各々は前記軸心が延びる方向に膨らんだ断面形状を有する、第2のコイル電極とを備え、前記第1の巻部と前記第2の巻部とが前記軸心に沿って交互に並ぶように、前記第1のコイル電極と前記第2のコイル電極とが重ねて配置されたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記第1の巻部及び前記第2の巻部の断面形状は、前記軸心に沿った方向と前記軸心に垂直な方向との長さの比が2:1以上1:20以下(1/2≦軸心に垂直な方向の長さ/軸心に沿った方向の長さ≦20/1)の範囲にあってもよい。前記第1の巻部及び前記第2の巻部の断面形状は、円形形状であってもよい。前記第1の巻部と前記第2の巻部とは、同じ外径を有していてもよい。前記第1の巻部と前記第2の巻部とは、同軸となるように配置されていてもよい。前記第1のコイル電極及び前記第2のコイル電極の少なくとも一方は、螺旋形状を有する樹脂部材の表面が導電性材料でコーティングされているとともに、前記導電性材料の表面が電気絶縁材料で絶縁されて形成されていてもよい。前記第1の巻部及び前記第2の巻部の内径よりも小さな外径の柱形状を有する弾性体が前記第1のコイル電極及び前記第2のコイル電極内に配置されていてもよい。前記弾性体は、異方性材料で形成されていてもよい。前記第1のコイル電極及び前記第2のコイル電極は、樹脂内に埋め込まれていてもよい。隣り合う前記第1の巻部と前記第2の巻部とは、前記第1の巻部と前記第2の巻部との間隔が広がり難くなるように保持する保持部材で接続されていてもよい。前記保持部材は、異方性材料で形成されていてもよい。前記保持部材は、繊維で形成されていてもよい。
【0009】
また、本発明は、上記静電式アクチュエータを複数備えた静電式アクチュエータユニットにおいて、複数の前記静電式アクチュエータは、隣り合う一方の前記静電式アクチュエータの外径が他方の前記静電式アクチュエータの内径よりも小さく形成されており、前記一方の静電式アクチュエータが前記他方の静電式アクチュエータ内に同軸で組み込まれたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、上記静電式アクチュエータを備えた静電式アクチュエータユニットにおいて、複数の前記静電式アクチュエータを並列配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、製作を容易にすることのできる静電式アクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る静電式アクチュエータの斜視図を示す。
図2図2(a)は第2のコイル電極を示し、図2(b)は第1のコイル電極を示す。
図3図3(a)は静電式アクチュエータが収縮した状態を示し、(b)は静電式アクチュエータが伸長した状態を示す。
図4】静電式アクチュエータの拡大断面図を示す。
図5図5(a)は、第2実施形態に係る静電式アクチュエータの側面図を示し、図5(b)は、第2実施形態に係る静電式アクチュエータの断面図を示す。
図6】第3実施形態に係る静電式アクチュエータの模式図を示す。
図7】第4実施形態に係る静電式アクチュエータの拡大断面図を示す。
図8】第5実施形態に係る静電式アクチュエータユニットの斜視図を示す。
図9】第6実施形態に係る静電式アクチュエータユニットの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る静電式アクチュエータの斜視図を示し、図2(a)は第2のコイル電極を示し、図2(b)は第1のコイル電極を示し、図3(a)は静電式アクチュエータが収縮した状態を示し、(b)は静電式アクチュエータが伸長した状態を示し、図4は、静電式アクチュエータの拡大断面図を示す。
【0014】
本実施形態に係る静電式アクチュエータ10は、図1に示すように、コイル形状に形成されている。静電式アクチュエータ10は、図2に示すように、コイル形状を有する第1のコイル電極11と、同様のコイル形状を有する第2のコイル電極12とで構成されている。
【0015】
第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12は、同じ材料で同じ形状に形成されており、通電に応じて正極側の電極または負極側の電極として作用するようになっている。これら第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12は、銅、アルミ、炭素素材等の導電性がある材料で形成されており、電極表面が電気絶縁体で絶縁された電極である。もしくは、これら第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12は、樹脂材料で形成されており、この樹脂材料の表面に銅、アルミ、炭素素材等の導電性を有する材料がコーティングされ、さらにこの導電性材料の表面が電気絶縁体で絶縁された電極であってもよい。
【0016】
静電式アクチュエータ10のストローク量は、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12の巻き数に比例するため、巻き数を増やすことによりロングストロークを得ることができる。静電式アクチュエータ10は、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12に電圧が印加されたときに、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12間に発生した静電力によって静電式アクチュエータ10の全体が収縮し、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12を引き離す向きの外力、もしくは第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12の間に発生する弾性力等の内力によって、静電式アクチュエータ10の全体が伸長するようになっている。すなわち、図3(a)に示すように、第1のコイル電極11と第2のコイル電極12との間に電圧印加による電位差が生じたときに静電式アクチュエータ10は収縮し、図3(b)に示すように、第1のコイル電極11と第2のコイル電極12とで同電位もしくは電位差が小さく、静電力よりも第1のコイル電極11と第2のコイル電極12とを引き離す向きの外力もしくは内力が大きいときに静電式アクチュエータ10は伸長するようになっている。
【0017】
なお、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12の一端は、図示せぬ第1の支持部材に共に固定され、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12の他端は、図示せぬ第2の支持部材に共に固定されており、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12の伸縮によって第1の支持部材と第2の支持部材との間隔が変化するようになっている。
【0018】
以下、本実施形態に係る静電式アクチュエータ10の構造について具体的に説明する。
第1のコイル電極11は、図2(a)に示すように、電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有する複数の第1の巻部13を有し、この第1の巻部13の軸心Aに沿って第1の巻部13が連続的に積層されている。本実施形態に係る第1のコイル電極11は、10個の第1の巻部13を有している。
【0019】
第2のコイル電極12は、図2(b)に示すように、電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有して第1のコイル電極11の第1の巻部13と同じ向きに巻き回された複数の第2の巻部14が形成されている。第2のコイル電極12は、図1に示すように、第1のコイル電極11に組み込まれたときに第1のコイル電極11の第1の巻部13の軸心Aに沿って連続的に積層されている。本実施形態に係る第2のコイル電極12は、図2(b)に示すように、10個の第2の巻部14を有している。
【0020】
静電式アクチュエータ10は、図4に示すように、第1のコイル電極11の軸心Aに沿って第1のコイル電極11の第1の巻部13と第2のコイル電極12の第2の巻部14とが交互に並ぶように、第1のコイル電極11と第2のコイル電極12とは重ねて配置されている。第1のコイル電極11の第1の巻部13と第2のコイル電極12の第2の巻部14とは、同じ外径を有しているとともに軸心Aを中心に同軸となるように配置されているため、軸心Aが延びる方向に互いに対向するようになっている。本実施形態に係る第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12は、螺旋形状に形成された第1の巻部13及び第2の巻部14の半径方向内側と半径方向外側との両側に流体が流れることのできる空間が形成されている。また、軸心Aを通る面で切断したときの第1の巻部13及び第2の巻部14の断面は、軸心Aが延びる方向に山なりに膨らんだ断面形状、すなわち本実施形態では例えば直径2mm以下の円形の断面形状になっている。これにより、第1のコイル電極11の第1の巻部13と第2のコイル電極12の第2の巻部14との間でスクイーズ効果が生じ難く、第1の巻部13と第2の巻部14との間に介在する流体が第1の巻部13及び第2の巻部14の半径方向内側と半径方向外側とに形成された空間に逃げ易くなっている。このため、静電式アクチュエータ10が伸縮するときの速度が早くなり、静電式アクチュエータ10の応答性を高くすることができる。なお、スクイーズ効果を生じさせ難くするには、軸心Aを通る面で切断したときの第1の巻部13及び第2の巻部14の断面の縦横比、すなわち軸心Aを通る面で切断したときの第1の巻部13及び第2の巻部14の断面における軸心Aに沿った方向Lと軸心Aに垂直な方向Wとの長さの比は、2:1以上1:20以下(1/2≦方向Wの長さ/方向Lの長さ≦20/1)の範囲にあることが好ましい。
【0021】
本実施形態に係る静電式アクチュエータ10は、電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有する複数の第1の巻部13を有し、第1の巻部13の軸心Aに沿って複数の第1の巻部13が連続的に積層され、第1の巻部13の各々は軸心Aが延びる方向に膨らんだ断面形状を有する、第1のコイル電極11と、電極表面が電気的に絶縁されているとともに、それぞれが1周分の螺旋形状を有して第1の巻部13と同じ向きに巻き回された複数の第2の巻部14を有し、軸心Aに沿って複数の第2の巻部14が連続的に積層され、第2の巻部14の各々は軸心Aが延びる方向に膨らんだ断面形状を有する、第2のコイル電極12とを備え、第1の巻部13と第2の巻部14とが軸心Aに沿って交互に並ぶように、第1のコイル電極11と第2のコイル電極12とが重ねて配置されている。これにより、薄いフィルムを積層して製作する必要がなく、また、電極の形状が薄膜状ではないため、製作を容易にすることができる。
【0022】
また、静電式アクチュエータ10は、薄いフィルムを積層して製作したものに比べて強度を高くすることができるため、静電式アクチュエータ10の発生力を大きくしたり、静電式アクチュエータ10を発電素子として用いた場合に発電量を多くしたりすることができる。
【0023】
(第2実施形態)
図5(a)は、第2実施形態に係る静電式アクチュエータの側面図を示し、図5(b)は、第2実施形態に係る静電式アクチュエータの断面図を示す。
【0024】
以下、第1実施形態と実質的に同じ部材に同じ符号を用いて説明する。
第2実施形態に係る静電式アクチュエータ20は、図5(a)に示すように、弾性体15が組み込まれている。この弾性体15は、第1の巻部13及び第2の巻部14の内径よりも小さな外径及び柱形状を有しており、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12内に配置されている。
【0025】
弾性体15は、引張力に対しては変形し難い一方、圧縮力に対しては変形し易くなっており、例えば、繊維質な材料等の異方性材料で形成されている。
【0026】
静電式アクチュエータ20は、弾性体15が組み込まれたことにより、収縮及び伸長のし易さが適切になるように調節されている。また、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12を弾性体15に巻き付けることで静電式アクチュエータ20を成形することで、静電式アクチュエータ20の製作を容易にすることができる。
【0027】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る静電式アクチュエータの模式図を示す。
【0028】
以下、第1実施形態と実質的に同じ部材に同じ符号を用いて説明する。
第3実施形態に係る静電式アクチュエータ30は、図6に示すように、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12が樹脂16内に埋め込まれている。
【0029】
静電式アクチュエータ30は、樹脂16を有することで第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12の間に樹脂16の弾性力が働くようになる。これにより、外力に対して第1のコイル電極11と第2のコイル電極12との間隔が広がりにくくなり、電極間に発生する静電力を大きくすることができる。
【0030】
また、樹脂16は、引張力に対しては変形し難い一方、圧縮力に対しては変形し易くした、異方性材料で形成されていてもよい。なお、本実施形態では、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12は樹脂16内に埋め込まれて保持されているが、引張力に対しては変形し難い一方、圧縮力に対しては変形し易くすることができれば、例えば、1方向に繊維が配列された繊維膜等の異方性材料内に包み込まれるように保持されていてもよい。
【0031】
静電式アクチュエータ30は、樹脂16内に埋め込まれてことにより、収縮及び伸長のし易さが適切になるように調節されている。また、樹脂16(または繊維膜)によって、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12を外界から保護することができ、例えばコイル間への塵埃の流入や、ガス又は紫外線などによる電極の劣化を防止することができる。
【0032】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態に係る静電式アクチュエータの拡大断面図を示す。
【0033】
以下、第1実施形態と実質的に同じ部材に同じ符号を用いて説明する。
第4実施形態に係る静電式アクチュエータ40は、図7に示すように、第1の巻部13と第2の巻部14との間隔が広がり難くなるように保持する保持部材17で隣り合う第1の巻部13と第2の巻部14とが接続されている。
【0034】
保持部材17は、引張力に対しては変形し難い一方、圧縮力に対しては変形し易くなっており、例えば、例えば、ポリマーナノワイヤーである微細な繊維構造等の異方性材料で形成されている。
【0035】
静電式アクチュエータ40は、隣り合う第1の巻部13と第2の巻部14とが保持部材17で接続されていることにより、収縮及び伸長のし易さが適切になるように調節されている。特に、隣り合う第1の巻部13と第2の巻部14との間のバネ定数は、第1の巻部13と第2の巻部14との距離が長いときは小さく、第1の巻部13と第2の巻部14との距離が短いときは大きくなる。このような非線形なバネ特性を有することで、静電式アクチュエータ40は、電圧印加によって収縮する際は静電力が保持部材17の弾性力に阻害されることなく収縮でき、また外力によって伸長する際は隣り合う第1の巻部13と第2の巻部14との距離の変化が小さくなるため、エネルギー効率よく安定した駆動をさせることができる。
【0036】
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態に係る静電式アクチュエータユニットの斜視図を示す。
【0037】
以下、第1実施形態と実質的に同じ部材に同じ符号を用いて説明する。
第5実施形態に係る静電式アクチュエータユニット50は、図8に示すように、異なる外径及び内径を有する4つの静電式アクチュエータ10が同軸で組み込まれている。より具体的には、複数の静電式アクチュエータ10は、隣り合う一方の静電式アクチュエータ10の外径が他方の静電式アクチュエータ10の内径よりも小さく形成されて、一方の静電式アクチュエータ10が他方の静電式アクチュエータ10内に同軸で組み込まれている。なお、複数の静電式アクチュエータ10の各々に対応する第1のコイル電極11どうし及び第2のコイル電極12どうしは、それぞれ電気的に分離された別個の導線を巻き回して形成されていてもよいし、第1のコイル電極11または第2のコイル電極12毎に一本の導線を折り返すことにより巻き回して電気的に接続された単一の第1のコイル電極11または第2のコイル電極12としてもよい。
本実施形態により、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12を高密度に実装することができ、静電式アクチュエータユニット50の発生力密度を高めることができる。
【0038】
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態に係る静電式アクチュエータユニットの斜視図を示す。
【0039】
以下、第1実施形態と実質的に同じ部材に同じ符号を用いて説明する。
第6実施形態に係る静電式アクチュエータユニット60は、図9に示すように、複数の静電式アクチュエータ10が並列配置されている。複数の静電式アクチュエータ10の一端は、板形状を有する図示せぬ第1の支持部材にそれぞれ固定され、複数の静電式アクチュエータ10の他端は、板形状を有する図示せぬ第2の支持部材にそれぞれ固定されている。これにより、複数の静電式アクチュエータ10が共に伸縮することによって第1の支持部材と第2の支持部材との間隔が変化するようになっている。
本実施形態により、静電式アクチュエータユニット60は並列した静電式アクチュエータ10の個数分だけ大きな発生力を得ることができる。
【0040】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明はこれに限定しない。例えば、上記実施形態では、第1のコイル電極11の第1の巻部13及び第2のコイル電極12の第2の巻部14は円形断面を有しているが、これに限定されない。電極がコイル形状を有することにより巻部どうしの間から空気等の流体が逃げ易くなっていれば、第1のコイル電極11及び第2のコイル電極12は、例えば、楕円状断面や四角形断面等の別の断面形状を有していてもよい。また、コイル形状も実施例では円筒形状としたが、例えば、楕円筒形状、三角筒形状、多角筒形状、円錐形状などでもよい。
【符号の説明】
【0041】
A…軸心
10…静電式アクチュエータ
11…第1のコイル電極
12…第2のコイル電極
13…第1の巻部
14…第2の巻部
15…弾性体
16…樹脂
17…保持部材
20…静電式アクチュエータ
30…静電式アクチュエータ
40…静電式アクチュエータ
50…静電式アクチュエータユニット
60…静電式アクチュエータユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9