(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108575
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】出力ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20240805BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240805BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
G09G3/20 633H
G09G3/20 612K
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 633P
G09G3/20 633B
G09G3/20 611J
G09G3/20 621F
G09G3/20 633U
G09G3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013007
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 満
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
5J056
【Fターム(参考)】
5C006AF50
5C006AF52
5C006AF54
5C006AF68
5C006AF72
5C006AF75
5C006BB11
5C006BC12
5C006BC16
5C006BC23
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF26
5C006BF27
5C006BF28
5C006BF33
5C006BF34
5C006BF42
5C006BF44
5C006EB05
5C006FA13
5C006FA31
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD08
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5C080DD25
5C080FF03
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5J056AA05
5J056BB02
5J056DD13
5J056DD28
5J056FF08
5J056GG06
5J056KK01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高スルーレートで差動信号を出力する出力ドライバ及び該ドライバを含む表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置において、出力ドライバ200_1は、バイアス電流を生成する第1のトランジスタMP1と、第1のノードn1及び第2のノードn2と、2つのノード間に接続されている抵抗回路r1、r2と、を有し、入力信号CLKのレベルに基づきバイアス電流を2つのノードのうちの一方に供給することで2つのノードに夫々生じた電圧を一対の差動信号として出力する差動信号化回路33と、2つのノード間の電圧の中心電圧vi_ckと所定の基準電圧Vref1との差分を表す差分電圧em_ckを第1のトランジスタのゲートに供給する差分電圧回路31と、入力信号のレベルの変化に応じて、差分電圧に基づく電流を生成しこれをバイアス電流に加えるプリエンファシス処理を行うプリエンファシス回路34と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2値の入力信号を差動信号化して出力する出力ドライバであって、
バイアス電流を生成する第1のトランジスタと、第1及び第2のノードと、前記第1のノード及び前記第2のノード間に接続されている抵抗回路と、を含み、前記入力信号のレベルに基づき前記バイアス電流を前記第1及び第2のノードのうちの一方に供給することで前記第1及び前記第2のノードに夫々生じた電圧を一対の差動信号として出力する差動信号化回路と、
前記第1のノード及び前記第2のノード間の電圧の中心電圧と所定の基準電圧との差分を表す差分電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給する差分電圧回路と、
前記差分電圧に基づく電流を生成しこれを前記バイアス電流に加えるプリエンファシス処理を前記入力信号のレベルの変化に応じて行うプリエンファシス回路と、を有することを特徴とする出力ドライバ。
【請求項2】
前記プリエンファシス回路は、前記入力信号のレベルが所定周期内で変化している間は前記プリエンファシス処理を実行し、前記所定周期を超えて前記入力信号のレベルが一定となる場合には、前記プリエンファシス処理を停止することを特徴とする請求項1に記載の出力ドライバ。
【請求項3】
前記抵抗回路は、
前記第1のノードに一端が接続されている第1の抵抗と、
前記第2のノードに一端が接続されており他端が前記第1の抵抗の他端と接続されている第2の抵抗と、を含み、
前記差動信号化回路は、
前記入力信号を受け、前記入力信号に応じてオン又はオフ状態となり、オン状態となっている場合に前記バイアス電流を前記第1のノードに供給する第1のスイッチ素子と、
前記入力信号のレベルを反転させた反転入力信号を受け、前記反転入力信号に応じてオン又はオフ状態となり、オン状態となっている場合に前記バイアス電流を前記第2のノードに供給する第2のスイッチ素子と、を含み、
前記差分電圧回路は、
前記基準電圧を受けると共に前記第1の抵抗の他端に生じた電圧を前記中心電圧として受け、前記基準電圧と前記中心電圧との差分を前記差分電圧として生成するオペアンプを含み、
前記プリエンファシス回路は、
前記差分電圧を自身のゲートで受ける第2のトランジスタと、
オン状態時に前記第2のトランジスタのドレインを前記第1のトランジスタのドレインに接続することで前記プリエンファシス処理を実行する一方、オフ状態時には前記第2のトランジスタのドレインと前記第1のトランジスタのドレインとの接続を遮断することで前記プリエンファシス処理を停止するスイッチ素子と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力ドライバ。
【請求項4】
クロック信号を差動信号化して出力するクロックドライバ部と、データ信号を差動信号化して出力するデータドライバ部と、を有する出力ドライバであって、
前記クロックドライバ部は、
第1のバイアス電流を生成する第1のトランジスタと、第1及び第2のノードと、前記第1のノードに一端が接続されている第1の抵抗と、前記第2のノードに一端が接続されており他端が前記第1の抵抗の他端と接続されている第2の抵抗と、を含み、前記クロック信号のレベルに基づき前記第1のバイアス電流を前記第1及び第2のノードのうちの一方に供給することで前記第1及び前記第2のノードに夫々生じた電圧を一対の差動クロック信号として出力する第1の差動信号化回路と、
前記第1の抵抗の他端に生じた電圧を前記一対の差動クロック信号同士の中心電圧を示す第1の中心電圧とし、前記第1の中心電圧と所定の基準電圧との差分を表す差分電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給する第1のオペアンプと、
前記第1の中心電圧と前記基準電圧との差分を表す第1の差分電圧を生成する第2のオペアンプと、
前記クロック信号のレベルの変化に応じて、前記第1の差分電圧に基づく電流を生成しこれを前記第1のバイアス電流に加えるプリエンファシス処理を行う第1のプリエンファシス回路と、を含み、
前記データドライバ部は、
第2のバイアス電流を生成する第2のトランジスタと、第3及び第4のノードと、前記第3のノードに一端が接続されている第3の抵抗と、前記第4のノードに一端が接続されており他端が前記第3の抵抗の他端と接続されている第4の抵抗と、を含み、前記データ信号のレベルに基づき前記第2のバイアス電流を前記第3及び第4のノードのうちの一方に供給することで前記第3及び第4のノードに夫々生じた電圧を一対の差動データ信号として出力する第2の差動信号化回路と、
前記第3の抵抗の他端に生じた電圧を前記一対の差動データ信号同士の中心電圧を示す第2の中心電圧とし、前記第2の中心電圧と前記基準電圧との差分を表す差分電圧を前記第2のトランジスタのゲートに供給する第3のオペアンプと、
前記データ信号のレベルの変化に応じて、前記第1の差分電圧に基づく電流を生成しこれを前記第2のバイアス電流に加えるプリエンファシス処理を行う第2のプリエンファシス回路と、を含むことを特徴とする出力ドライバ。
【請求項5】
前記第1のプリエンファシス回路は、前記クロック信号のレベルが所定周期毎に変化している間に亘り前記プリエンファシス処理を実行し、
前記第2のプリエンファシス回路は、前記データ信号のレベルが前記所定周期内で変化している間は前記プリエンファシス処理を実行する一方、前記データ信号のレベルが前記所定周期を超えて一定となる場合には、前記プリエンファシス処理を停止することを特徴とする請求項4に記載の出力ドライバ。
【請求項6】
画像表示を担う複数のデータ線を有する表示パネルと、
映像信号を受け、前記映像信号に基づく各画素の輝度レベルを表す画素データ片の系列を差動信号化した夫々が一対の差動信号からなる一対の差動データ信号、及びクロック信号を差動信号化した一対の差動クロック信号を生成して夫々を出力する表示制御部と、
前記一対の差動データ信号及び前記一対の差動クロック信号を受け、前記一対の差動データ信号及び前記一対の差動クロック信号に基づき、複数の駆動信号を生成して前記表示パネルの前記複数のデータ線に供給するデータドライバと、を含み、
前記表示制御部は、
前記一対の差動クロック信号を前記請求項4に記載の前記クロックドライバ部で生成し、前記一対の差動データ信号を前記請求項4に記載の前記データドライバ部で生成することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動信号を出力する出力ドライバ、及び当該出力ドライバを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示パネル及び表示コントローラ間のデータ通信に、小振幅のシリアル形態の差動信号の形態でデータ信号の伝送を行うLVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式を採用した液晶表示装置が製品化されている。
【0003】
LVDS方式を採用した出力ドライバは、所定のコモンモード電圧を規定し、当該コモンモード電圧を中心電圧として正側及び負側に夫々振れる2系統の信号を差動信号として生成して出力する。尚、コモンモード電圧は、LVDSドライバの終端抵抗のレプリカとして設けた抵抗に生じた電圧に基づき生成しているので、当該抵抗の製造ばらつきに伴い、出力する差動信号の振幅に変動が生じる。
【0004】
そこで、所望とするコモンモード電圧の電圧値を有する基準電圧と、実際に上記した抵抗に生じた電圧との差分でLVDSドライバに流すバイアス電流を制御することで、コモンモード電圧を所望の電圧値に維持させるようにしたLVDSドライバが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、液晶表示装置の高精細画像化に伴い、液晶表示パネル及び表示コントローラ間のデータ通信の高速化が要求されている。
【0007】
そこで、本願発明は、高スルーレートで差動信号を出力することが可能な出力ドライバ、及び当該出力ドライバを含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による出力ドライバは、2値の入力信号を差動信号化して出力する出力ドライバであって、バイアス電流を生成する第1のトランジスタと、第1及び第2のノードと、前記第1のノード及び前記第2のノード間に接続されている抵抗回路と、を含み、前記入力信号のレベルに基づき前記バイアス電流を前記第1及び第2のノードのうちの一方に供給することで前記第1及び前記第2のノードに夫々生じた電圧を一対の差動信号として出力する差動信号化回路と、前記第1のノード及び前記第2のノード間の電圧の中心電圧と所定の基準電圧との差分を表す差分電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給する差分電圧回路と、前記差分電圧に基づく電流を生成しこれを前記バイアス電流に加えるプリエンファシス処理を前記入力信号のレベルの変化に応じて行うプリエンファシス回路と、を有する。
【0009】
また、本発明による出力ドライバは、クロック信号を差動信号化して出力するクロックドライバ部と、データ信号を差動信号化して出力するデータドライバ部と、を有する出力ドライバであって、前記クロックドライバ部は、第1のバイアス電流を生成する第1のトランジスタと、第1及び第2のノードと、前記第1のノードに一端が接続されている第1の抵抗と、前記第2のノードに一端が接続されており他端が前記第1の抵抗の他端と接続されている第2の抵抗と、を含み、前記クロック信号のレベルに基づき前記第1のバイアス電流を前記第1及び第2のノードのうちの一方に供給することで前記第1及び前記第2のノードに夫々生じた電圧を一対の差動クロック信号として出力する第1の差動信号化回路と、前記第1の抵抗の他端に生じた電圧を前記一対の差動クロック信号同士の中心電圧を示す第1の中心電圧とし、前記第1の中心電圧と所定の基準電圧との差分を表す差分電圧を前記第1のトランジスタのゲートに供給する第1のオペアンプと、前記第1の中心電圧と前記基準電圧との差分を表す第1の差分電圧を生成する第2のオペアンプと、前記クロック信号のレベルの変化に応じて、前記第1の差分電圧に基づく電流を生成しこれを前記第1のバイアス電流に加えるプリエンファシス処理を行う第1のプリエンファシス回路と、を含み、前記データドライバ部は、第2のバイアス電流を生成する第2のトランジスタと、第3及び第4のノードと、前記第3のノードに一端が接続されている第3の抵抗と、前記第4のノードに一端が接続されており他端が前記第3の抵抗の他端と接続されている第4の抵抗と、を含み、前記データ信号のレベルに基づき前記第2のバイアス電流を前記第3及び第4のノードのうちの一方に供給することで前記第3及び第4のノードに夫々生じた電圧を一対の差動データ信号として出力する第2の差動信号化回路と、前記第3の抵抗の他端に生じた電圧を前記一対の差動データ信号同士の中心電圧を示す第2の中心電圧とし、前記第2の中心電圧と前記基準電圧との差分を表す差分電圧を前記第2のトランジスタのゲートに供給する第3のオペアンプと、前記データ信号のレベルの変化に応じて、前記第1の差分電圧に基づく電流を生成しこれを前記第2のバイアス電流に加えるプリエンファシス処理を行う第2のプリエンファシス回路と、を含む。
【0010】
本発明による表示装置は、画像表示を担う複数のデータ線を有する表示パネルと、映像信号を受け、前記映像信号に基づく各画素の輝度レベルを表す画素データ片の系列を差動信号化した夫々が一対の差動信号からなる一対の差動データ信号、及びクロック信号を差動信号化した一対の差動クロック信号を生成して夫々を出力する表示制御部と、前記一対の差動データ信号及び前記一対の差動クロック信号を受け、前記一対の差動データ信号及び前記一対の差動クロック信号に基づき、複数の駆動信号を生成して前記表示パネルの前記複数のデータ線に供給するデータドライバ部と、を含み、前記表示制御部は、前記一対の差動クロック信号を上記したクロックドライバ部で生成し、前記一対の差動データ信号を上記したデータドライバ部で生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る出力ドライバでは、2値の入力信号を差動信号化した一対の差動信号を生成する差動信号化回路に流すバイアス電流を、当該一対の差動信号間の電圧の中心電圧と基準電圧との差分を示す差分電圧に基づき制御する。更に、入力信号のレベルの変化に応じて当該差分電圧に基づく電流をプリエンファシス電流として生成し、これを上記バイアス電流に加えるプリエンファシス処理を行う。
【0012】
よって、本発明によれば、当該プリエンファシス処理によって差動信号化回路に流れるバイアス電流の電流値が増加するので、出力ドライバの高スルーレート化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る出力ドライバを含む表示装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施例としての出力ドライバ200_1の構成を示す回路図である。
【
図3】出力ドライバ200_1の内部動作波形を示すタイムチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施例としての出力ドライバ200_2の構成を示す回路図である。
【
図5】本発明の第3の実施例としての出力ドライバ200_3の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0014】
図1は、本発明に係る出力ドライバを含む表示装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、表示装置100は、表示制御部11、走査ドライバ12、データドライバ13、及び液晶パネル等からなる表示パネル20から構成される。
【0016】
表示パネル20には、夫々が2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の走査線GL1~GLmと、夫々が2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータ線DL1~DLnとが形成されている。更に、走査線及びデータ線の各交叉部の領域には、画素を担う表示セルが形成されている。
【0017】
表示制御部11は、映像信号VSを受け、映像信号VSに含まれる水平同期信号毎に、水平走査タイミングを示す水平走査信号HSを生成しこれを走査ドライバ12に供給する。
【0018】
更に、表示制御部11は、映像信号VSに基づき各画素毎にその画素の輝度レベルを表す画素データPDの系列を生成する。そして、表示制御部11は、当該画素データPDの系列、1画素データPD分のシリアル信号の単位周期1UIを有するクロック信号CLK、及び同期信号等を含む映像デジタルデータ信号を、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)規格に準拠した信号群に変換する。
【0019】
すなわち、表示制御部11は、上記した画素データPDの系列及び同期信号をシリアルの差動信号の形態に変換したものを差動データ信号DFDとして生成する。また、表示制御部11は、クロック信号CLKを差動信号化した差動クロック信号DFCを生成する。そして、表示制御部11は、これら差動クロック信号DFC及び差動データ信号DFDをデータドライバ13に送信する。
【0020】
走査ドライバ12は、水平走査信号HSに同期させて、所定のピーク電圧を有する水平走査パルスを生成し、これを表示パネル20の走査線GL1~GLm各々に順次、択一的に印加する。
【0021】
データドライバ13は、差動データ信号DFD及び差動クロック信号DFCを受ける。データドライバ13は、差動データ信号DFD及び差動クロック信号DFCに基づき、表示パネル20のデータ線DL1~DLnに夫々対応したアナログの駆動信号G1~Gnを生成して、表示パネル20のデータ線DL1~DLnに供給する。
【0022】
図2は、表示制御部11に含まれており、差動データ信号DFD及び差動クロック信号DFCを生成して夫々をデータドライバ13に供給する出力ドライバ200_1の構成を示す回路図である。
【0023】
出力ドライバ200_1は、クロックドライバ部200a、データドライバ部200b、プリエンファシス制御部30を含む。
【0024】
尚、クロックドライバ部200aは、上記したクロック信号CLK、及び当該クロック信号CLKを論理反転させた反転クロック信号CLKbを受ける。これにより、クロックドライバ部200aは、クロック信号CLKを差動信号化した正側差動クロック信号vp_ck及び負側差動クロック信号vn_ckからなる差動クロック信号DFCを生成する。データドライバ部200bは、上記した画素データPDの系列及び同期信号を表すデジタルデータ信号DAT及びデジタルデータ信号DATを論理反転させた反転デジタルデータ信号DATbを受ける。これにより、データドライバ部200bは、これらデジタルデータ信号DAT及び反転デジタルデータ信号DATbを差動信号化した正側差動データ信号vp_da及び負側差動データ信号vn_daからなる差動データ信号DFDを生成する。
【0025】
図2に示すように、クロックドライバ部200aは、オペアンプ31、差動信号化回路33、プリエンファシス回路34及び35、終端抵抗R1及びR2を含む。
【0026】
オペアンプ31は、差動信号化回路33で検知したコモンモード電圧vi_ckを非反転入力端子で受けると共に、所定の基準電圧Vref1を反転入力端子で受ける。オペアンプ31は、基準電圧Vref1に対するコモンモード電圧vi_ckの差分を表す差分電圧em_ckを生成し、これを差動信号化回路33及びプリエンファシス回路34に出力する。
【0027】
差動信号化回路33は、PチャネルMOS型のトランジスタMP1、NチャネルMOS型のトランジスタMN1、スイッチ素子S2~S5、抵抗r1及びr2を含む。
【0028】
トランジスタMP1は、電源電圧VDDを自身のソースで受けると共に、上記した差分電圧em_ckを自身のゲートで受ける。トランジスタMP1のドレインはスイッチ素子S2及びS3各々の一端に接続されている。これにより、トランジスタMP1は、差分電圧em_ckに基づく電流値を有する電流をバイアス電流として生成し、これをスイッチ素子S2及びS3各々の一端に送出する。
【0029】
スイッチ素子S2の他端はノードn1を介して抵抗r1の一端及びスイッチ素子S4の一端に接続されている。抵抗r1の他端は、抵抗r2の一端、及びオペアンプ31の非反転入力端子に接続されている。
【0030】
スイッチ素子S2は、クロック信号CLKを受け、当該クロック信号CLKが例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、クロック信号CLKが論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S2はオン状態となり、トランジスタMP1のドレインとノードn1とを電気的に接続する。
【0031】
スイッチ素子S3の他端はノードn2を介して抵抗r2の他端、及びスイッチ素子S5の一端に接続されている。スイッチ素子S3は、反転クロック信号CLKbを受け、当該反転クロック信号CLKbが例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、反転クロック信号CLKbが論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S3はオン状態となり、トランジスタMP1のドレインとノードn2とを電気的に接続する。
【0032】
スイッチ素子S4の他端はトランジスタMN1のドレインに接続されている。スイッチ素子S4は、反転クロック信号CLKbを受け、当該反転クロック信号CLKbが例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、反転クロック信号CLKbが論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S4はオン状態となり、ノードn1とトランジスタMN1のドレインとを電気的に接続する。
【0033】
スイッチ素子S5の他端はトランジスタMN1のドレインに接続されている。スイッチ素子S5は、クロック信号CLKを受け、当該クロック信号CLKが例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、クロック信号CLKが論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S5はオン状態となり、ノードn2とトランジスタMN1のドレインとを電気的に接続する。
【0034】
ここで、抵抗r1及びr2同士の接続点に生じた電圧がコモンモード電圧vi_ckとして、オペアンプ31の非反転入力端子に供給される。
【0035】
ノードn1とノードn2との間には、直列接続された終端抵抗R1及びR2が接続されている。つまり、終端抵抗R1の一端がノードn1に接続されており、終端抵抗R2の一端がノードn2に接続されている。更に、終端抵抗R1及びR2の他端同士が接続されている。
【0036】
この際、ノードn1に生じた電圧が正側差動クロック信号vp_ckとして出力されると共に、ノードn2に生じた電圧が負側差動クロック信号vn_ckとして出力される。
【0037】
トランジスタMN1は、接地電圧VSSを自身のソースで受けると共に、所定の固定電圧値を有するバイアス電圧Vbsを自身のゲートで受ける。これにより、トランジスタMN1は、バイアス電圧Vbsに基づく電流を流す。
【0038】
プリエンファシス回路34は、PチャネルMOS型のトランジスタMP2、及びスイッチ素子S1を含む。トランジスタMP2は、電源電圧VDDを自身のソースで受けると共に、上記した差分電圧em_ckを自身のゲートで受ける。トランジスタMP2のドレインはスイッチ素子S1の一端に接続されている。スイッチ素子S1の他端はトランジスタMP1のドレインに接続されている。スイッチ素子S1は、プリエンファシス制御部30からプリエンファシス信号SW1を受け、このプリエンファシス信号SW1が例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、プリエンファシス信号SW1がプリエンファシスの実行を指示する論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S1はオン状態となり、トランジスタMP2のドレインとトランジスタMP1のドレインとを接続する。
【0039】
かかる構成により、プリエンファシス回路34は、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1のプリエンファシス信号SW1に応じて、差分電圧em_ckに基づく電流値を有する電流をプリエンファシス電流として生成する。そして、プリエンファシス回路34は、かかるプリエンファシス電流を、差動信号化回路33のトランジスタMP1が送出したバイアス電流に加える。
【0040】
プリエンファシス回路35は、NチャネルMOS型のトランジスタMN2、及びスイッチ素子S6を含む。トランジスタMN2は、接地電圧VSSを自身のソースで受けると共に、上記したバイアス電圧Vbsを自身のゲートで受ける。トランジスタMN2のドレインはスイッチ素子S6の一端に接続されている。スイッチ素子S6の他端はトランジスタMN1のドレインに接続されている。スイッチ素子S6は、プリエンファシス制御部30からプリエンファシス信号SW4を受け、このプリエンファシス信号SW4が例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、プリエンファシス信号SW4が論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S6はオン状態となり、トランジスタMN2のドレインとトランジスタMN1のドレインとを接続する。
【0041】
かかる構成により、プリエンファシス回路35は、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1のプリエンファシス信号SW1に応じて、バイアス電圧Vbsに基づく固定のプリエンファシス電流を差動信号化回路33のトランジスタMN1のドレインから引き抜く。
【0042】
図2に示すように、データドライバ部200bは、オペアンプ41、差動信号化回路43、プリエンファシス回路44及び45、終端抵抗R11及びR12を含む。
【0043】
オペアンプ41は、差動信号化回路43で検知したコモンモード電圧vi_daを非反転入力端子で受けると共に、上記した基準電圧Vref1を反転入力端子で受ける。オペアンプ41は、基準電圧Vref1に対するコモンモード電圧vi_daの差分を表す差分電圧em_daを生成し、これを差動信号化回路43及びプリエンファシス回路44に出力する。
【0044】
差動信号化回路43は、PチャネルMOS型のトランジスタMP3、NチャネルMOS型のトランジスタMN3、スイッチ素子S12~S15、抵抗r11及びr12を含む。
【0045】
トランジスタMP3は、電源電圧VDDを自身のソースで受けると共に、上記した差分電圧em_daを自身のゲートで受ける。トランジスタMP3のドレインはスイッチ素子S12及びS13各々の一端に接続されている。これにより、トランジスタMP3は、差分電圧em_daに基づく電流値を有する電流をバイアス電流として生成し、これをスイッチ素子S12及びS13各々の一端に送出する。
【0046】
スイッチ素子S12の他端はノードn11を介して抵抗r11の一端及びスイッチ素子S14の一端に接続されている。抵抗r11の他端は、抵抗r12の一端、及びオペアンプ41の非反転入力端子に接続されている。
【0047】
スイッチ素子S12は、デジタルデータ信号DATを受け、当該デジタルデータ信号DATが例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、デジタルデータ信号DATが論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S12はオン状態となり、トランジスタMP3のドレインとノードn11とを電気的に接続する。
【0048】
スイッチ素子S13の他端はノードn12を介して抵抗r12の他端、及びスイッチ素子S15の一端に接続されている。スイッチ素子S13は、反転デジタルデータ信号DATbを受け、当該反転デジタルデータ信号DATbが例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、反転デジタルデータ信号DATbが論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S13はオン状態となり、トランジスタMP3のドレインとノードn12とを電気的に接続する。
【0049】
スイッチ素子S14の他端はトランジスタMN3のドレインに接続されている。スイッチ素子S14は、反転デジタルデータ信号DATbを受け、当該反転デジタルデータ信号DATbが例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、反転デジタルデータ信号DATbが論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S14はオン状態となり、ノードn11とトランジスタMN3のドレインとを電気的に接続する。
【0050】
スイッチ素子S15の他端はトランジスタMN3のドレインに接続されている。スイッチ素子S15は、デジタルデータ信号DATを受け、当該デジタルデータ信号DATが例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、デジタルデータ信号DATが論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S15はオン状態となり、ノードn12とトランジスタMN3のドレインとを電気的に接続する。
【0051】
ここで、抵抗r11及びr12同士の接続点に生じた電圧がコモンモード電圧vi_daとして、オペアンプ41の非反転入力端子に供給される。
【0052】
ノードn11とノードn12との間には、直列接続された終端抵抗R11及びR12が接続されている。つまり、終端抵抗R11の一端がノードn11に接続されており、終端抵抗R12の一端がノードn12に接続されている。更に、終端抵抗R11及びR12の他端同士が接続されている。
【0053】
この際、ノードn11に生じた電圧が正側差動データ信号vp_daとして出力されると共に、ノードn12に生じた電圧が負側差動データ信号vn_daとして出力される。
【0054】
トランジスタMN3は、接地電圧VSSを自身のソースで受けると共に、上記したバイアス電圧Vbsを自身のゲートで受ける。これにより、トランジスタMN3は、当該バイアス電圧Vbsに基づく電流を流す。
【0055】
プリエンファシス回路44は、PチャネルMOS型のトランジスタMP4、及びスイッチ素子S11を含む。トランジスタMP4は、電源電圧VDDを自身のソースで受けると共に、上記した差分電圧em_daを自身のゲートで受ける。トランジスタMP4のドレインはスイッチ素子S11の一端に接続されている。スイッチ素子S11の他端はトランジスタMP3のドレインに接続されている。スイッチ素子S11は、プリエンファシス制御部30からプリエンファシス信号SW4を受け、このプリエンファシス信号SW4が例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、プリエンファシス信号SW4が論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S11はオン状態となり、トランジスタMP3のドレインとトランジスタMP4のドレインとを接続する。
【0056】
かかる構成により、プリエンファシス回路44は、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1のプリエンファシス信号SW4に応じて、差分電圧em_daに基づく電流値を有する電流をプリエンファシス電流として生成する。そして、プリエンファシス回路44は、かかるプリエンファシス電流を、差動信号化回路43のトランジスタMP3が送出したバイアス電流に加える。
【0057】
プリエンファシス回路45は、NチャネルMOS型のトランジスタMN4、及びスイッチ素子S16を含む。トランジスタMN4は、接地電圧VSSを自身のソースで受けると共に、上記したバイアス電圧Vbsを自身のゲートで受ける。トランジスタMN4のドレインはスイッチ素子S16の一端に接続されている。スイッチ素子S16の他端はトランジスタMN3のドレインに接続されている。スイッチ素子S16は、プリエンファシス制御部30からプリエンファシス信号SW4を受け、このプリエンファシス信号SW4が例えば論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる。一方、プリエンファシス信号SW4が論理レベル1の状態にある間は、スイッチ素子S16はオン状態となり、トランジスタMN4のドレインとトランジスタMN3のドレインとを接続する。
【0058】
かかる構成により、プリエンファシス回路45は、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1のプリエンファシス信号SW4に応じて、バイアス電圧Vbsに基づく固定のプリエンファシス電流を差動信号化回路43のトランジスタMN3のドレインから引き抜く。
【0059】
プリエンファシス制御部30は、1画素データPD分のシリアル信号の単位周期1UI毎にその単位周期内でクロック信号CLKが論理レベル1から論理レベル0、又は論理レベル0から論理レベル1に変化している間は、論理レベル1のプリエンファシス信号SW4を生成する。一方、クロック信号CLKが上記した単位周期1UIを超えて論理レベル1又は0の状態を維持している場合には、プリエンファシス制御部30は、プリエンファシスの停止を指示する論理レベル0のプリエンファシス信号SW1を生成する、
尚、そもそもクロック信号CLKの周期は単位周期1UIにて固定されているので、プリエンファシス制御部30は、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1固定のプリエンファシス信号SW1を、プリエンファシス回路34のスイッチ素子S1及びプリエンファシス回路35のスイッチ素子S6に供給する。
【0060】
また、プリエンファシス制御部30は、デジタルデータ信号DATに基づき、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1、又はプリエンファシスの停止を指示する論理レベル0のプリエンファシス信号SW4を生成する。すなわち、プリエンファシス制御部30は、単位周期1UI毎にその単位周期内でデジタルデータ信号DATの論理レベルが変化している間は、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1のプリエンファシス信号SW4を生成する。一方、デジタルデータ信号DATが上記した単位周期1UIを超えて論理レベル1又は0の状態を維持している場合には、プリエンファシス制御部30は、プリエンファシスの停止を指示する論理レベル0のプリエンファシス信号SW4を生成する。そして、プリエンファシス制御部30は、当該プリエンファシス信号SW4を、データドライバ部200bに含まれるプリエンファシス回路44のスイッチ素子S11及びプリエンファシス回路45のスイッチ素子S16に供給する。
【0061】
以下に、
図2に示す出力ドライバ200_1に含まれるクロックドライバ部200aの動作及びデータドライバ部200bの動作について、
図3に示す内部動作波形を参照しつつ説明する。
【0062】
[クロックドライバ部200aの動作]
クロックドライバ部200aでは、差動信号化回路33が、
図3に示すように単位周期1UIにて論理レベル0及び1の状態を交互に繰り替えるクロック信号CLK及び反転クロック信号CLKbを受ける。よって、クロック信号CLKが論理レベル1の状態にある間は、
図3に示すような差分電圧em_ckに基づいてトランジスタMP1から送出されたバイアス電流が、スイッチ素子S2、抵抗r1、r2、スイッチ素子S5及びトランジスタMN1からなる経路に流れる。一方、クロック信号CLKが論理レベル0の状態にある間、つまり反転クロック信号CLKbが論理レベル1の状態にある間は、上記した差分電圧em_ckに基づくバイアス電流が、スイッチ素子S3、抵抗r2、r1、スイッチ素子S4及びトランジスタMN1からなる経路に流れる。
【0063】
これにより、
図3に示すように、クロック信号CLKに対応した正側差動データ信号vp_da、及び反転クロック信号CLKbに対応した負側差動データ信号vn_daが出力される。尚、正側差動データ信号vp_da及び負側差動データ信号vn_daの中心電圧が
図3に示すコモンモード電圧vi_ckとしてオペアンプ31に供給される。よって、オペアンプ31は、当該コモンモード電圧vi_ckが基準電圧Vref1と等しくなるように、トランジスタMP1が送出するバイアス電流を差分電圧em_ckによって制御する。
【0064】
ここで、クロックドライバ部200aでは、
図3に示すように、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1のプリエンファシス信号SW1に応じて、プリエンファシス回路34のスイッチ素子S1がオン状態になる。これにより、プリエンファシス回路34のトランジスタMP2が
図3に示す差分電圧em_ckに基づくプリエンファシス電流を生成し、これをトランジスタMP1から送出されたバイアス電流に加える(プリエンファシス処理)。
【0065】
よって、プリエンファシス回路34のプリエンファシス処理により、差動信号化回路33に流れるバイアス電流が増加するので、クロックドライバ部200aのスルーレートが高くなる。更に、当該バイアス電流の増加により、コモンモード電圧vi_ckの変動に追従させて、当該コモンモード電圧vi_ckの電圧値を迅速に基準電圧Vref1の近傍に収束させることが可能となる。
【0066】
[データドライバ部200bの動作]
データドライバ部200bでは、差動信号化回路43が、例えば
図3に示すように、そのデータの内容に対応した論理レベル0又は論理レベル1の状態となるデジタルデータ信号DAT及び反転デジタルデータ信号DATbを受ける。よって、デジタルデータ信号DATが論理レベル1の状態にある間は、
図3に示すような差分電圧em_daに基づいてトランジスタMP3から送出されたバイアス電流が、スイッチ素子S12、抵抗r11、r12、スイッチ素子S15及びトランジスタMN3からなる経路に流れる。一方、デジタルデータ信号DATが論理レベル0の状態にある間、つまり反転デジタルデータ信号DATbが論理レベル1の状態にある間は、上記した差分電圧em_daに基づくバイアス電流が、スイッチ素子S13、抵抗r12、r11、スイッチ素子S14及びトランジスタMN3からなる経路に流れる。
【0067】
これにより、
図3に示すような、デジタルデータ信号DATに対応した正側差動データ信号vp_da、及び反転デジタルデータ信号DATbに対応した負側差動データ信号vn_daが出力される。尚、正側差動データ信号vp_da及び負側差動データ信号vn_daの中心電圧が
図3に示すコモンモード電圧vi_daとしてオペアンプ41に供給される。よって、オペアンプ41は、当該コモンモード電圧vi_daが基準電圧Vref1と等しくなるように、トランジスタMP3が送出するバイアス電流を差分電圧em_daによって制御する。
【0068】
ここで、データドライバ部200bでは、
図3に示すように、プリエンファシスの実行を指示する論理レベル1のプリエンファシス信号SW4に応じて、プリエンファシス回路44のスイッチ素子S11がオン状態になる。これにより、プリエンファシス回路44のトランジスタMP4が差分電圧em_daに基づくプリエンファシス電流を生成し、これをトランジスタMP3から送出されたバイアス電流に加える(プリエンファシス処理)。
【0069】
よって、プリエンファシス回路44のプリエンファシス処理により、差動信号化回路43に流れるバイアス電流が増加するので、データドライバ部200bのスルーレートが高くなる。更に、当該バイアス電流の増加により、コモンモード電圧vi_daの変動に追従させて、当該コモンモード電圧vi_daの電圧値を迅速に基準電圧Vref1の近傍に収束させることが可能となる。
【0070】
ところで、上記したデジタルデータ信号DATの論理レベルはそのデータの内容によってランダムに切り替わるので、当該論理レベルの変化周期は一定とはならない。
【0071】
これにより、データドライバ部200bでは、デジタルデータ信号DATの論理レベルの変化周期が
図3に示すように単位周期1UIより長くなる場合に、プリエンファシス処理が停止する。尚、プリエンファシス処理が停止している間は、プリエンファシス回路44によるバイアス電流の増加処理が為されないので、差分電圧em_daが
図3に示すように徐々に低下する。
【0072】
よって、出力ドライバ200_1に更なる高速化が要求された場合、
図3に示すようなコモンモード電圧vi_daの変化にオペアンプ41及びプリエンファシス回路44が追従しきれない。よって、正側差動データ信号vp_da及び負側差動データ信号vn_daの中心電圧であるコモンモード電圧の変動を抑えられないという問題が生じる。
オペアンプ31bは、上記したコモンモード電圧vi_ckを非反転入力端子で受けると共に、上記した基準電圧Vref1を反転入力端子で受ける。オペアンプ31bは、基準電圧Vref1に対するコモンモード電圧vi_ckの差分を表す差分電圧em_ckを生成する。オペアンプ31bは、生成した差分電圧em_ckを、プリエンファシス回路34のトランジスタMP2のゲート、及びデータドライバ部200bのプリエンファシス回路44のトランジスタMP4のゲートに供給する。
データドライバ部200bのオペアンプ41aは、差動信号化回路43で検知したコモンモード電圧vi_daを非反転入力端子で受けると共に、上記した基準電圧Vref1を反転入力端子で受ける。オペアンプ41aは、基準電圧Vref1に対するコモンモード電圧vi_daの差分を表す差分電圧em_daを生成し、これを差動信号化回路43のトランジスタMP3のゲートに供給する。
すなわち、出力ドライバ200_2では、オペアンプ31a及び31bの各々で基準電圧Vref1とコモンモード電圧vi_ckとの差分を表す差分電圧を生成する。ここで、オペアンプ31aが生成した差分電圧を、差動信号化回路33のトランジスタMP1及びプリエンファシス回路34のトランジスタMP2のうちのトランジスタMP1のみに供給する。また、オペアンプ41aが生成した基準電圧Vref1とデータドライバ部200b側のコモンモード電圧vi_daとの差分を表す差分電圧を、差動信号化回路43のトランジスタMP3及びプリエンファシス回路44のトランジスタMP4のうちのトランジスタMP3のみに供給する。そして、オペアンプ31bが生成した差分電圧を、クロックドライバ部200aのプリエンファシス回路34のトランジスタMP2のゲート、及びデータドライバ部200bのプリエンファシス回路44のトランジスタMP4のゲートに供給する。
ただし、出力ドライバ200_2では、クロックドライバ部200a側のコモンモード電圧vi_ckに基づき生成された差分電圧em_ckにより、クロックドライバ部200a側のプリエンファシス回路34と共に、データドライバ部200b側のプリエンファシス回路44を駆動している。この際、差分電圧em_ckは、論理レベルの変化周期が単位周期1UIにて固定のクロック信号CLKに基づいて生成されるので、論理レベルの変化周期が不定なデジタルデータ信号DATに基づき生成される差分電圧em_daに比べて変動量が小さい。
よって、プリエンファシス回路44がプリエンファシス処理時にトランジスタMP4が送出する、バイアス電流増加用のプリエンファシス電流を一定にすることができる。これにより、正側差動データ信号vp_da及び負側差動データ信号vn_daの中心電圧、つまりコモンモード電圧を一定にすることが可能となる。