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特開2024-108592ハイブリッドエンジンおよびハイブリッドエンジンの始動制御装置
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  • 特開-ハイブリッドエンジンおよびハイブリッドエンジンの始動制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108592
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ハイブリッドエンジンおよびハイブリッドエンジンの始動制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02N 15/00 20060101AFI20240805BHJP
   F02N 11/00 20060101ALI20240805BHJP
   F02N 11/04 20060101ALI20240805BHJP
   F02B 67/06 20060101ALI20240805BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20240805BHJP
   F16H 7/00 20060101ALI20240805BHJP
   F16H 7/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
F02N15/00 C
F02N11/00 N
F02N11/04 A
F02B67/06 Z
F01M13/00 B
F16H7/00 A
F16H7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013032
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 直人
(72)【発明者】
【氏名】福山 尚尋
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真司
(72)【発明者】
【氏名】足立 憲司
(72)【発明者】
【氏名】丸山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 幹大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
(72)【発明者】
【氏名】坪田 健一
(72)【発明者】
【氏名】金野 晃大
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宝
【テーマコード(参考)】
3G015
3J049
【Fターム(参考)】
3G015BD10
3G015BD24
3J049AA01
3J049BG01
3J049BG05
3J049CA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エンジンのクランク軸とスタータ駆動軸とモータジェネレータ駆動軸の動力伝動をプーリと伝動ベルトで行うハイブリッドエンジンで、始動性低下をいち早く警告してエンジンが不調となることを防ぐ。
【解決手段】エンジンのクランク軸3とスタータ駆動軸2及びモータジェネレータ駆動軸4の各軸に設けるプーリ6,5,7に伝動ベルト8を巻き掛けて動力伝動を行いエンジンの始動をスタータ駆動軸2及びモータジェネレータ駆動軸4の駆動で行うハイブリッドエンジンにおいて、エンジンのクランク軸3の回転数とスタータ駆動軸2の回転数とモータジェネレータ駆動軸4の回転数を制御装置10に入力し、クランク軸3の回転変化率を監視し、スタータ駆動軸2の回転上昇率に対するクランク軸3の回転上昇率或いはモータジェネレータ駆動軸4の回転上昇率に対するクランク軸3回転上昇率が所定以下であればベルト点検警告表示をする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(1)のクランク軸(3)とスタータ駆動軸(2)及びモータジェネレータ駆動軸(4)の各軸に設けるプーリ(6,5,7)に伝動ベルト(8)を巻き掛けて動力伝動を行いエンジン(1)の始動をスタータ駆動軸(2)及びモータジェネレータ駆動軸(4)の駆動で行うハイブリッドエンジンにおいて、エンジン(1)のクランク軸(3)の回転数とスタータ駆動軸(2)の回転数とモータジェネレータ駆動軸(4)の回転数を制御装置(10)に入力し、各回転数の変化率を監視し、スタータ駆動軸(2)の回転上昇率に対するクランク軸(3)の回転上昇率或いはモータジェネレータ駆動軸(4)の回転上昇率に対するクランク軸(3)の回転上昇率が所定値よりも低い場合はベルト点検警告表示することを特徴とするハイブリッドエンジンの始動制御装置。
【請求項2】
エンジン(1)のクランク軸(3)とスタータ駆動軸(2)及びモータジェネレータ駆動軸(4)の各軸に設けるプーリ(6,5,7)に伝動ベルト(8)を巻き掛けて動力伝動を行いエンジン1の始動をスタータ駆動軸(2)及びモータジェネレータ駆動軸(4)の駆動で行うハイブリッドエンジンにおいて、エンジン(1)のクランク軸(3)の回転数とモータジェネレータ駆動軸(4)の回転数を制御装置(10)に入力し、クランク軸(3)の回転上昇率に対するモータジェネレータ駆動軸(4)の回転上昇率が所定量低下すればベルト点検警告表示することを特徴とするハイブリッドエンジンの始動制御装置。
【請求項3】
エンジン(1)のクランクケース内で生じるブローバイガスをエンジン(1)の吸気側面を通して再吸気させることを特徴とするハイブリッドエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタータとモータジェネレータでエンジンのクランク軸を回して起動するハイブリッドエンジンの始動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの始動性を良くするために、特許第3410056号公報に記載の如く、エンジンにスタータとモータジェネレータを設け、起動時のクランク軸駆動をスタータとモータジェネレータで行うハイブリッドエンジンがあり、また、エンジンのクランク軸とスタータの駆動軸及びモータジェネレータの駆動軸の各軸に設けるプーリに伝動ベルトを巻き掛けて駆動力の伝動を行うハイブリッドエンジンもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3410056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンのクランク軸とスタータ駆動軸とモータジェネレータ駆動軸の動力伝動をプーリと伝動ベルトで行うハイブリッドエンジンは、伝動ベルトが摩耗すると滑りによってスタータ駆動軸やモータジェネレータ駆動軸の駆動力がエンジンクランク軸に伝わり難く始動性が悪くなる。
【0005】
本発明は、エンジンのクランク軸とスタータ駆動軸とモータジェネレータ駆動軸の動力伝動をプーリと伝動ベルトで行うハイブリッドエンジンで、始動性低下をいち早く警告してエンジンが不調になることを防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0007】
請求項1の発明は、エンジン1のクランク軸3とスタータ駆動軸2及びモータジェネレータ駆動軸4の各軸に設けるプーリ6,5,7に伝動ベルト8を巻き掛けて動力伝動を行いエンジン1の始動をスタータ駆動軸2及びモータジェネレータ駆動軸4の駆動で行うハイブリッドエンジンにおいて、エンジン1のクランク軸3の回転数とスタータ駆動軸2の回転数とモータジェネレータ駆動軸4の回転数を制御装置10に入力し、クランク軸3の回転上昇率を監視し、スタータ駆動軸2の回転上昇率に対するクランク軸3の回転上昇率或いはモータジェネレータ駆動軸4の回転上昇率に対するクランク軸3の回転上昇率が所定低下すればベルト点検警告表示することを特徴とするハイブリッドエンジンの始動制御装置とする。
【0008】
請求項2の発明は、エンジン1のクランク軸3とスタータ駆動軸2及びモータジェネレータ駆動軸4の各軸に設けるプーリ6,5,7に伝動ベルト8を巻き掛けて動力伝動を行いエンジン1の始動をスタータ駆動軸2及びモータジェネレータ駆動軸4の駆動で行うハイブリッドエンジンにおいて、エンジン1のクランク軸3の回転数とモータジェネレータ駆動軸4の回転数を制御装置10に入力し、クランク軸3の回転上昇率に対するモータジェネレータ駆動軸4の回転上昇率が所定低下すればベルト点検警告表示することを特徴とするハイブリッドエンジンの始動制御装置とする。
【0009】
請求項3の発明は、エンジン1のクランクケース内で生じるブローバイガスをエンジン1の吸気側面を通して再吸気させることを特徴とするハイブリッドエンジンとする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、エンジン1を始動するには、最初にスタータ駆動軸2を駆動してプーリ6,5,7と伝動ベルト8でエンジン1のクランク軸3を強い駆動トルクで駆動し、所定以上の回転数になるとモータジェネレータ駆動軸4を駆動してさらに回転を上げてクランク軸3を定常回転数まで上昇させて始動するが、プーリ6,5,7と伝動ベルト8の動力伝動には滑りが生じるので、そのベルト滑りを回転上昇率で捉え、クランク軸3の回転上昇率が所定よりも低いと伝動ベルト8とプーリ6,5,7の間で滑りが生じているとして、ベルト点検警告表示することで、エンジン1の使用者にいち早く故障発生の可能性を知らせることが出来る。
【0011】
請求項2の発明で、エンジン1が起動するとクランク軸3の回転でモータジェネレータ駆動軸4を回し発電するが、クランク軸3の回転上昇に対するモータジェネレータ駆動軸4の駆動時間が長くなると伝動ベルト8に滑りが生じて駆動力が伝わり難くなっているので、ベルト点検警告表示をすることで、伝動ベルト8が破断に至ることを防ぐことが出来る。
【0012】
請求項3の発明で、エンジン1のクランクケース内で暖められたブローバイガスが吸気系のバルブの凍結を防いで、エンジン1の始動を良好にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかるエンジンの側面図である。
図2】本発明の実施形態にかかるスタータとモータジェネレータの出力回転とトルクの関係図である。
図3】本発明の実施形態にかかるクランク軸とスタータ軸とモータジェネレータ軸の動力伝動模式図である。
図4】本発明の実施形態にかかる制御ブロック図である。
図5】スタータプーリの回転上昇率を示すグラフである。
図6】モータジェネレータの回転上昇率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、エンジン1の側面図を示し、クランク軸3にエンジンプーリ6を固着し、スタータ駆動軸2にスタータプーリ5を固着し、モータジェネレータ駆動軸4にジェネレータプーリ7を固着して、各プーリ6,5,7に伝動ベルト8を巻き掛けてテンションプーリ11’,12’で伝動ベルト8を張って各軸3,2,4に駆動力を相互に伝動するようにしている。
【0016】
エンジン1を起動する場合は、イグニッションキ―を回すことで、制御装置10がスタータ14とモータジェネレータ15を制御して、まず低速トルクの大きなスタータ駆動軸2が回ってクランク軸3を回し、次にモータジェネレータ駆動軸4が回ってクランク軸3を定常回転数まで回転上昇する。その後にスタータ駆動軸2とモータジェネレータ駆動軸4の回転駆動が順次に停止され、やがて自発駆動したクランク軸3の駆動回転でスタータ駆動軸2に取り付ける冷却ファンが回され、モータジェネレータ駆動軸4のモータジェネレータ15で発電駆動されるようになる。
【0017】
スタータ駆動軸2とクランク軸3とモータジェネレータ駆動軸4の回転数はクランク軸回転センサ11とスタータ軸回転センサ12とモータジェネレータ軸回転センサ13が計測して制御装置10に入力し、制御装置10で各軸の回転変化率が算出され、スタータ14の駆動・停止とモータジェネレータ15の駆動・発電が制御される。
【0018】
図2は、スタータ14とモータジェネレータ15の回転数と出力トルクの関係を示し、スタータ14は低速トルクが大きく、モータジェネレータ15は出力トルクが安定しているので、クランク軸3を回し始める回転初期にはスタータ14の回転で駆動し、その後にモータジェネレータの駆動回転に引き継いでクランク軸3を定常回転にし、その後はクランク軸3が自発駆動してモータジェネレータ15を回して発電するようになる。
【0019】
図5は、スタータ駆動軸2の回転上昇率を示し、起動と共にスタータプーリ5の回転が一定の回転上昇率で上昇して伝動ベルト8の送り速度も同期して上昇するが、ベルトの滑りにより伝動ベルト8の送り速度上昇低下に伴ってクランク軸3の回転上昇率も低下する。制御装置10がクランク軸3の回転上昇率低下を算出するのである。
【0020】
図6は、モータジェネレータ15の回転変化率を示し、起動と共にモータジェネレータプーリ7の回転が一定の回転上昇率で上昇しやがて伝動ベルト8の送り速度と同期して上昇するが、ベルトの滑りにより伝動ベルト8の送り速度上昇低下に伴ってクランク軸3の回転上昇率も低下する。制御装置10がクランク軸3の回転上昇率低下を算出するのである。
【0021】
つまり、両方とも伝動ベルト8の滑りは少なく、通常の伝動であれば素早く伝動ベルト8の送り速度も速くなるが、やがて、伝動ベルト8の劣化や摩耗によって滑りが生じると送り速度の上昇率が低下してくるので、この速度上昇率低下を制御装置10で判定して、ディスプレイ16に表示してエンジン1の使用者に伝動ベルト8の不具合を警告表示する。
【0022】
同様に、クランク軸3が自発駆動を開始するとモータジェネレータ駆動軸4を駆動して発電することになるが、クランク軸3の回転上昇に対するモータジェネレータ駆動軸4の駆動時間が長くなると伝動ベルト8に滑りが生じて駆動力が伝わり難くなっているので、ベルト点検警告表示をすることで、使用者に注意を促す。
【0023】
次にエンジンの制御に関するアイデアを説明する。
【0024】
後処理装置付き電子制御エンジンを搭載したトラクタやコンバインで、走行時は圧縮温度が低くHC過多により、EGR通路内の閉塞の恐れとなり、アクセルの変化率が大きい場合には、EGRバルブを一時的に閉じ、温度が低い排気ガスをEGR通路内に流れないようにして、その後にEGRバルブを開く制御を行うと良い。
【0025】
また、後処理装置付き電子制御エンジンを搭載したコンバインで、DPF再生時排気温度が高温となってDPF装置に直接稲等の作物があたると焼き枯れの原因となるので、操作席にスイッチボタンを設置し刈取り時はそれを押すことにより通常の自動再生制御より排気温度を低く設定する制御に切り替わるようにすると良い。
【0026】
後処理装置付き電子制御エンジンを搭載した農業機械において、エンジン過回転が検出された際、吸気スロットルバルブ制御マップを過回転抑制用に切り替えるが、過回転抑制用マップには過回転領域で吸気スロットルの開度を小さくする制御とする。さらに、1500rpm以上の回転になると吸気スロットルを全閉するようにマップ設定を行う。
【0027】
後処理装置付き電子制御エンジンを搭載した農業機械において、アクセル0%状態で、指示燃料噴射量が連続して0を維持し、エンジン回転がハイアイドル回転以内であっても、閾値以上になった時、車両が下り坂などで加速させられて、エンジンブレーキが必要な状態であると判断し、吸気スロットルバルブを、閾値以上のエンジン回転数で回転が上がるにつれて、徐々に閉じる制御を行と、安全に走行出来る。
【0028】
後処理装置付き電子制御エンジンを搭載した農業機械において、DPF差圧値が一定以上になった時にスート過堆積を警告するシステムで、DPF運転時間と現在のスート堆積量から、差圧補正量Aを算出し、現在の差圧値からAを減算し、過堆積判定を行うようにする。
【0029】
バランサをシリンダブロック下面に配置するエンジンにおいて、オイルパン内の潤滑油量を確保するため、バランサをコンパクトに配置する必要があり、バランサが大きい場合、オイルパン容積を大きくする必要がある。しかし、オイルパンを大きくした場合、最低地上高などトラクタの商品性に影響をあたえるので、バランサを後処理装置の下になるようにシリンダブロックの下側に配置し、後処理装置に加わる振動を低減し、バランサの前側の空間にオイルストレーナ、オイルレベルゲージを配置する。また、バランサを駆動させるためのギヤの一部に肉抜きを設け、ギヤにもバランサウェイトの機能を持たせる、構成としたエンジンとする。
【0030】
DPFを構成に含み、ターボチャージャーが構成に含まれていない内燃機関を搭載したトラクタで、運転中の負荷率を計測し、高負荷状態が続いていた場合には、自動再生の間隔を延ばす制御を行なう。この制御で、ターボレス仕様のエンジンはターボ仕様と比較して排気温度が高くなるので、高負荷運転が続いた場合、DPF内のスートが自然燃焼するに十分な排気温度になっており、そのためDPF内のスート堆積はターボ仕様より遅くなるため、DPF再生間隔をあけることで、燃費を改善させることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 エンジン
2 スタータ駆動軸
3 クランク軸
4 モータジェネレータ駆動軸
5 スタータプーリ
6 エンジンプーリ
7 ジェネレータプーリ
8 伝動ベルト
10 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6